(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような衛生洗浄装置では、湯水混合装置への水の流路および湯水混合装置への湯の流路には、それぞれの流路を開閉するための電磁弁が設けられる。いずれかの電磁弁が故障するなど、水の流路及び湯の流路のいずれかに不具合が生じた場合、サーミスタで測定された混合水の温度が所定の範囲から外れる。混合水が高温であった場合には、例えば、適温となるように所定時間(例えば3分間程度)混合水を捨水流路に捨てる。混合水が低温であった場合は、例えば、混合水をそのままノズル側流路へ流し、ノズルからの吐水を行う。
【0007】
しかし、このような衛生洗浄装置は、給水及び給湯のいずれに不具合があるのか絞り込むことができない。したがって、故障があった場合に、その原因を特定することが困難となる場合がある。また、混合水が高温であった場合に毎回混合水を捨水流路に捨てると、多量の湯または水が必要となることがある。消費する湯及び水の量を抑制することが望まれる。
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、湯と水との混合水の温度が適温でない場合に、不具合の原因の特定が容易な衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、水が供給される給水管と、湯が供給される給湯管と、前記給水管に供給された水と、前記給湯管に供給された湯と、を混合して混合水を生成する湯水混合装置と、混合水を人体の局部に向けて吐水するノズルと、混合水を排水する排水部と、前記給水管から前記湯水混合装置への流路の開閉を行う給水電磁弁と、前記給湯管から前記湯水混合装置への流路の開閉を行う給湯電磁弁と、混合水を前記ノズルへ流す状態と、前記排水部へ流す状態と、を切り替える切替電磁弁と、前記給水電磁弁、前記給湯電磁弁及び前記切替電磁弁を制御する制御部と、便座と、前記便座への使用者の着座を検知する着座検知手段と、混合水の温度を測定する温度測定手段と、を備え、前記制御部は、前記着座検知手段が使用者の着座を検知すると、前記給水電磁弁及び前記給湯電磁弁のそれぞれを開状態にし、前記切替電磁弁を前記排水部へ混合水を流す状態に切り替える排水制御
を実行し、前記排水制御の後に前記温度測定手段によって測定された混合水の第1の温度が所定の範囲よりも高い場合は、前記給湯電磁弁を閉状態とし、その後に前記温度測定手段によって測定された混合水の第2の温度が、前記第1の温度から低下していない場合は、
前記ノズルに混合水を流すのを禁止することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0010】
この衛生洗浄装置によれば、湯水混合装置によって供給される混合水の温度が所定の範囲よりも高かった場合に、給水に不具合があると特定することができる。これにより、例えば、給水電磁弁が故障している可能性が高いと推定することができる。
【0013】
第
2の発明は、第
1の発明において、前記制御部は、前記第2の温度が前記第1の温度から低下していない場合、不具合があることを報知すると共に、前記ノズルからの吐水を禁止することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0014】
この衛生洗浄装置によれば、使用者に故障を知らせることができる。また、高温の湯が使用者に吐水されること及び湯が無駄に排水されることを防ぐことができる。
【0015】
第
3の発明は、
第1または第2の発明において、前記制御部は、
前記排水制御の後に測定された前記第1の温度が前記範囲よりも低い場合は、前記給水電磁弁を閉状態とし、その後に前記温度測定手段によって測定された混合水の第3の温度が前記第1の温度から上昇していない場合、不具合があること及び前記ノズルから水のみが吐水されることを報知することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0016】
この衛生洗浄装置によれば、使用者に故障を知らせることができる。また、ノズルから水のみが吐水されることを使用者に知らせることができるため、使用者に洗浄機能の使用を選択させることができる。
【0017】
第
4の発明は、第1〜第
3のいずれか1つの発明において、前記ノズルによる吐水を使用者が操作するための操作部をさらに備え、前記制御部は、使用者が吐水の開始指示を前記操作部に入力した際に、前記ノズルに混合水を流すのを禁止していない場合には前記切替電磁弁を前記ノズルに混合水を流す状態とし、前記切替電磁弁が前記ノズルに混合水を流す状態において、混合水の一部は、前記ノズルから吐水され、混合水の別の一部は、便器に排水されることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0018】
この衛生洗浄装置では、ノズルから混合水が吐水されている状態において、給水管から供給される水と、給湯管から供給される湯と、を併せた量は、ノズルから吐水される混合水の量よりも多い。このため、混合水の一部は、便器に排水される。このような衛生洗浄装置において、給水及び給湯のいずれに不具合が生じているか特定することによって、湯及び水の無駄な使用を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の態様によれば、湯と水との混合水の温度が適温でない場合に、不具合の原因の特定が容易な衛生洗浄装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視図である。
図1に表したトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、操作部500と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0022】
ここで、本願明細書においては、便座200に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座200に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、開いた状態の便蓋300に背を向けて便座200に座った使用者からみて前方を「前方」とし、便座200に座った使用者からみて後方を「後方」とする。また、便座200に座った使用者からみて右側を「右側方」とし、便座200に座った使用者からみて左側を「左側方」とする。
【0023】
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング400には、トイレ室への使用者の入室を検知する入室検知センサ402(人体検知手段)、便座200の前方にいる使用者を検知する人体検知センサ403(人体検知手段)、便座200への使用者の着座を検知する着座検知センサ404(人体検知手段)が設けられている。
【0024】
操作部500は、使用者がノズル473による吐水を操作するために用いられる。例えば、着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者がリモコンなどの操作部500(操作スイッチ)を操作すると、ノズル473(洗浄ノズル)を便器800のボウル801内に進出させることができる。なお、
図1には、ノズル473がボウル801内に進出した状態を表している。ノズル473の進退は、任意の手段によって行われる。例えば、水圧やバネの付勢力を利用することができる。
【0025】
ノズル473の先端部には、ひとつあるいは複数の吐水口474が設けられている。ノズル473は、吐水口474から水や温水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。
【0026】
なお、着座検知センサ404としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。着座検知センサは、タクトスイッチなどの接触式のスイッチであってもよい。人体検知センサ403としては、例えば、赤外線投受光式の測距センサなどを用いることができる。入室検知センサ402としては、例えば、焦電センサや、ドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。
【0027】
図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置の内部を例示する平面図である。
図2は、ケーシング400の内部を表す。なお、
図2においては、見やすさのため、ケーシング400内の要素のうち一部のみが示されている。衛生洗浄装置100は、給水管91と、給湯管92と、給水電磁弁16と、給湯電磁弁26と、湯水混合装置30(ミキシングバルブ)と、切替電磁弁150(切替弁ユニット)と、ノズル部470と、制御部480と、を含む。これらは、ケーシング400のケースプレート401上に配置されている。ケースプレート401は、略水平方向に延在する皿状又は板状である。ケースプレート401は、適宜、排水等のために水平方向に対して傾斜した部分を有していてもよい。
【0028】
制御部480は、IC素子などを含む制御回路(マイコン)である。制御部480は、衛生洗浄装置100が有する各要素の動作を制御する。例えば、制御部480によって、給水電磁弁16、給湯電磁弁26、切替電磁弁150、及び人体検知手段などの動作が制御される。
【0029】
図3は、実施形態に係る衛生洗浄装置を例示するブロック図である。
図3は、衛生洗浄装置100における流路を表している。
図3に表したように、給水管91は、水側配管部14を介して、水道や貯水タンクなどの給水源(図示せず)と接続される。これにより、給水管91に水が供給される。水側配管部14は、ストレーナ11と、ストレーナ11の下流側に設けられた逆止弁12と、逆止弁12の下流側に設けられた止水弁13と、を有する。給水管91の下流側の端は、給水電磁弁16に接続される。給水電磁弁16の下流側には、湯水混合装置30が設けられる。給水電磁弁16は、給水管91から湯水混合装置30への流路の開閉を行う。すなわち、給水電磁弁16の開閉によって、湯水混合装置30へ水が供給される状態と、水の供給が停止された状態と、を切り替えることができる。給水管91と湯水混合装置30との間には、水の圧力を調整する弁などが設けられていてもよい。
【0030】
一方、給湯管92は、湯側配管部24を介して、加熱装置などの給湯源(図示せず)と接続される。これにより、給湯管92に湯が供給される。湯側配管部24は、ストレーナ21と、ストレーナ21の下流側に設けられた逆止弁22と、逆止弁22の下流側に設けられた止水栓23と、を有する。給湯管92の下流側の端は、給湯電磁弁26に接続される。給湯電磁弁26の下流側には、湯水混合装置30が設けられる。給湯電磁弁26は、給湯管92から湯水混合装置30への流路の開閉を行う。すなわち、給湯電磁弁26の開閉によって、湯水混合装置30へ湯が供給される状態と、湯の供給が停止された状態と、を切り替えることができる。給湯管92と湯水混合装置30との間には、湯の圧力を調整する弁などが設けられていてもよい。
【0031】
湯水混合装置30は、供給された湯と水とを混合して混合水を生成する。これにより、適度な温度の温水(混合水)を、下流側へ供給することができ、ノズル473から噴射することができる。
【0032】
この例では、湯水混合装置30には、温度検知手段が設けられる。これにより、湯水混合装置30は、混合水の温度を自動で調整することができる。例えば、湯水混合装置30は、温度検知手段としてワックスエレメントを用いたワックス式温度調整弁である。なお、実施形態において、湯水混合装置30には、ワックス式温度調整弁に限らず、任意の湯水混合弁を用いることができる。
【0033】
湯水混合装置30は、所定の範囲の温度の混合水を生成するように調整されている。この所定の範囲は、例えば、使用者が快適に洗浄機能を使用できる温度に基づく。所定の範囲は、例えば、32.5℃以上45℃以下である。
【0034】
湯水混合装置30の下流側には、サーミスタ41(温度測定手段)が設けられる。サーミスタ41は、湯水混合装置30によって生成された混合水の温度を測定する。サーミスタ41の下流側には、切替電磁弁150が設けられる。なお、湯水混合装置30と切替電磁弁150との間には、適宜、安全弁などを設けてもよい。
【0035】
切替電磁弁150は、衛生洗浄装置100が有する混合水の流路の分岐部に設けられている。混合水の流路は、ノズル側水路55と、排水部81(捨水路)と、を含む。ノズル側水路55及び排水部81は、それぞれ、切替電磁弁150の下流側に設けられ、切替電磁弁150が設けられた部分から分岐している。
【0036】
切替電磁弁150は、混合水をノズル473へ流す状態と、排水部81へ流す状態と、を切り替える。すなわち、切替電磁弁150の開/閉によって、混合水がノズル側水路55へ流れる状態と、混合水が排水部81へ流れる状態と、が切り替えられる。混合水は、ノズル側水路55及び排水部81の双方に同時に流れなくてよい。
【0037】
排水部81へ流れた混合水は、
図2に表した矢印A5のように、ケースプレート401側へ導かれ、ケースプレート401の前方に設けられた開口から外部(例えばボウル801)へ排水される。
【0038】
例えば、使用者が衛生洗浄装置100を使用するときに、着座検知センサ404の出力に応じて、給水電磁弁16及び給湯電磁弁26が開かれる。このとき、湯や混合水の流路、及び、その流路内に残留した湯水が冷えていることがある。また、湯水混合装置30に所定量以上の水及び湯を流すことにより、湯水混合装置30は、混合水の温度を調整することができる。このため、使用者の使用開始直後においては、湯水混合装置30から供給される混合水の温度が使用者にとって低い場合がある。そこで、衛生洗浄装置100は、人体の着座検知の後に、所定量の混合水を排水部81へ捨てる。例えば、湯水混合装置30において、混合水が適度な温度となるまで、排水部81へ混合水が流される。
【0039】
その後、例えば、使用者が局部洗浄を行う際に操作部500を操作することで、切替電磁弁150によって流路が切り替えられる。これにより混合水は、ノズル側水路55へ流れる。混合水がノズル部470へ供給される。
【0040】
ノズル部470は、例えば、流量切替弁と流路切替弁(不図示)とノズル473とを有する。流量切替弁及び流路切替弁によって、ノズル473における水勢の調節や、水を吐水する吐水口474の切替などが可能である。
以上により、適度な温度の温水(混合水)をノズル473から噴射することができる。
【0041】
なお、切替電磁弁150がノズル473に混合水を流す状態において、混合水の一部は、ノズル473から吐水され、混合水の別の一部は、便器(ボウル801)に排水されている。つまり、ノズル473から混合水が吐水されている状態において、給水管91から供給される水の量と、給湯管92から供給される湯の量と、を併せた量は、ノズル473から吐水される混合水の量よりも多い。既に述べたとおり、湯水混合装置30は、流量が所定量以上の場合に、安定的に温度調整を行うことができる。ノズル側水路55に混合水が流れる場合でも、混合水の一部を便器に排水することによって、湯水混合装置30における流量を確保する。これにより、適度な温度の混合水をノズル473から噴射することができる。
【0042】
なお、本願明細書において、「混合水」とは、水と湯とが混合された温水だけでなく、湯水混合装置30から下流側に流れる水または湯も含む。例えば、電磁弁が故障して湯水混合装置30に水又は湯が供給されない場合、湯水混合装置30の下流には混合されていない水又は湯が流れる。このような場合でも本願明細書においては、湯水混合装置30の下流側に流れる水又は湯を、便宜上、混合水と称する。
【0043】
次に、実施形態に係る衛生洗浄装置の動作について説明する。
図4は、実施形態に係る衛生洗浄装置の動作を例示するフローチャートである。
衛生洗浄装置100が待機状態であったとき(ステップS101)に、使用者が便座200に着座すると、着座検知センサ404(着座検知手段)が使用者の着座を検知する(ステップS102:yes)。制御部480は、その検知結果を受信し、ステップS103へ進む。使用者の着座がない間(ステップS102:no)は、衛生洗浄装置100は、着座を待っている状態である。
【0044】
使用者の着座が検知されると、制御部480は、給水または給湯に不具合があると既に判定されている場合(ステップS103:yes)には、待機状態となる(ステップS104)。給水または給湯の不具合とは、例えば給水電磁弁16または給湯電磁弁26の故障である。この不具合の判定については、後述する。
【0045】
使用者の着座が検知され、給水又は給湯に不具合があると判定されていない場合(ステップS103:no)には、制御部480は、排水制御(ステップS105及びS106を実行する。
【0046】
ステップS105において、制御部480は、切替電磁弁150を駆動して、混合水の流路を切り替える。すなわち、制御部480は、切替電磁弁150の状態を、排水部81へ混合水を流す状態に切り替える。ステップS106において、制御部480は、給水電磁弁16及び給湯電磁弁26のそれぞれをオン(開状態)とする。すなわち、給水管91から湯水混合装置30への流路が開かれ、給湯管92から湯水混合装置30への流路が開かれる。
【0047】
ステップS105及びステップS106(排水制御)の実行により、混合水が排水部81を介してボウル801へ排水されている状態となる。混合水の排水が開始された後に、サーミスタ41は、混合水の温度を測定する。
【0048】
ステップS107において、制御部480は、サーミスタ41によって測定された混合水の温度が所定の範囲内(例えば32.5℃以上45℃以下)であるかを判定する。混合水の温度が所定の範囲内であった場合(ステップS107:yes)、制御部480は、待機状態(ステップS104)となる。混合水の温度が所定の範囲内でなかった場合(ステップS107:no)、制御部480は、給水不具合判定制御または給湯不具合判定制御を行う。
【0049】
給水不具合判定制御は、ステップS108及び処理Aを含む。給湯不具合判定制御は、ステップS109及び処理Bを含む。これらの制御の詳細については、
図5に関して後述する。制御部480は、これらの制御を実行することにより、混合水の温度が所定の範囲から外れている場合に、原因を絞り込むことができる。例えば、給水電磁弁16の故障または給湯電磁弁26の故障を推定することができる。
【0050】
使用者が着座中であり制御部480が待機状態(ステップS104)であるときに、使用者がノズル473からの吐水の開始指示を操作部500に入力すると、その指示に関する情報が制御部480に送信される。制御部480は、この信号を受信すると、ノズル473の吐水が禁止されていない場合、切替電磁弁150を駆動する。これにより、切替電磁弁150は、混合水をノズル473へ流す状態となる。そして、ノズル473から混合水が噴射される。
【0051】
その後、使用者がノズル473からの吐水の停止指示を操作部500に入力すると、その指示に関する情報が制御部480に送信される。制御部480は、この信号を受信すると、給水電磁弁16及び給湯電磁弁26のそれぞれを閉状態とする。その後、制御部480は、切替電磁弁150の状態を、排水部81へ混合水を流す状態に切り替える。
【0052】
図5は、実施形態に係る衛生洗浄装置の動作を例示するフローチャートである。
図5は、
図4に示す範囲Rの詳細を例示している。
図5を参照して、制御部480の給水不具合判定制御及び給湯不具合判定制御について説明する。
【0053】
図4に関して説明したステップS107においてサーミスタ41によって測定された温度が所定の範囲外であった場合、サーミスタ41は、ステップS107(又はS106)から所定時間が経過した後の混合水の温度(以下、第1の温度T1と称する)を測定する。この所定時間は、任意であるが例えば3分程度である。第1の温度T1が所定の範囲(例えば45℃)よりも高い場合(ステップS108:yes)、制御部480は、処理Aを実行する。
図5に表したように処理Aは、ステップSA1〜SA5を含む。
【0054】
ステップSA1において、制御部480は、給湯電磁弁26をOFF(閉状態)とする。このとき、給水電磁弁16はON(開状態)のままである。すなわち、衛生洗浄装置100が正常であれば、湯水混合装置30には水が供給され、湯が供給されていない状態である。ステップSA2において、サーミスタ41により、ステップSA1から所定時間が経過した後の混合水の温度(以下、第2の温度T2と称する)が測定される。この所定時間は、任意であるが、例えば3分程度である。
【0055】
第2の温度T2が、前述の第1の温度T1よりも低い場合(ステップSA2:yes)、制御部は、ステップS104へ進む。この場合、第1の温度T1が所定の範囲よりも高かった原因は、例えば、給水管91から供給される水の温度、または、給湯管92から供給される湯の温度が想定よりも高かったことである。給水電磁弁16を開状態とし、給湯電磁弁26を閉状態とすることで、混合水の温度が低下することから、給水には不具合が生じていないと判定することができる。例えば、給水電磁弁16が故障していることは、確定しない。
【0056】
第2の温度T2が、前述の第1の温度T1から低下していない場合(ステップSA2:no)、制御部480は、給水に不具合があると判定する(ステップSA3)。例えば、給水電磁弁16が故障している(給水電磁弁16が開かない)可能性が高いと推定することができる。また、例えば、湯水混合装置30よりも上流の給水経路の破損(水漏れ)、サーミスタ41の故障、制御部480の故障なども想定される。
【0057】
なお、「第2の温度T2が、前述の第1の温度T1から低下していない場合」という範囲は、厳密には第2の温度T2が第1の温度T1から低下していても、その差が小さい場合(例えば、差が1℃以下)を含んでもよい。
【0058】
その後、制御部480は、給水に不具合があることを報知し(ステップSA4)、ノズル473からの吐水を禁止する(ステップSA5)。不具合を報知する手段は、任意であり、光による手段であっても音による手段であってもよい。例えば、不具合を報知する手段として、LED(発光ダイオード)を点灯または点滅させる方法が用いられる。
【0059】
このようにして、実施形態に係る衛生洗浄装置によれば、使用者に給水側の故障を知らせることができる。また、ノズル473の吐水を禁止することにより、高温の湯が使用者に吐水されることを防ぐこと及び湯が無駄に排水されることを防ぐことができる。
【0060】
一方、ステップS107(又はS106)から所定時間が経過した後の混合水の温度(第1の温度T1)が所定の範囲(例えば32.5℃)よりも低い場合(ステップS109:yes)、制御部480は、処理Bを実行する。
図5に表したように処理Bは、ステップSB1〜SB5を含む。
【0061】
ステップSB1において、制御部480は、給水電磁弁16をOFF(閉状態)とする。このとき、給湯電磁弁26は、ON(開状態)のままである。すなわち、衛生洗浄装置100が正常であれば、湯水混合装置30には湯が供給され、水が供給されていない状態である。ステップSB2において、サーミスタ41により、ステップSB1から所定時間が経過した後の混合水の温度(以下、第3の温度T3と称する)が測定される。この所定時間は、任意であるが、例えば3分程度である。
【0062】
第3の温度T3が、前述の第1の温度T1よりも低い場合(ステップSB2:yes)、制御部は、ステップS104へ進む。この場合、第1の温度T1が所定の範囲よりも低かった原因は、例えば、給水管91から供給される水の温度、または、給湯管92から供給される湯の温度が想定よりも低かったことである。給湯電磁弁26を開状態とし、給水電磁弁16を閉状態とすることで、混合水の温度が上昇することから、給湯には不具合が生じていないと判定することができる。例えば、給湯電磁弁26が故障していることは、確定しない。
【0063】
第3の温度T3が、前述の第1の温度T1から上昇していない場合(ステップSB2:no)、制御部480は、給湯に不具合があると判定する(ステップSB3)。例えば、給湯電磁弁26が故障している(給湯電磁弁26が開かない)可能性が高いと推定することができる。また、例えば、湯水混合装置30よりも上流の給湯経路の破損(湯漏れ)、サーミスタ41の故障、制御部480の故障なども想定される。
【0064】
なお、「第3の温度T3が、前述の第1の温度T1から上昇していない場合」という範囲は、厳密には第3の温度T3が第1の温度T1から上昇していても、その差が小さい場合(例えば、差が1℃以下)を含んでもよい。
【0065】
その後、制御部480は、給湯に不具合があることを報知し(ステップSB4)、ノズル473からの吐水を許可する(ステップSB5)。ステップSB5において吐水を許可した場合には、以降、湯水混合装置30には湯が供給されず、ノズル473からは水のみが吐水される。
【0066】
このように実施形態に係る衛生洗浄装置によれば、使用者に給湯側の故障を知らせることができる。また、ノズル473から水のみ吐水されることを使用者に知らせることができる。使用者は、水のみが吐水されるという情報を考慮した上で、洗浄機能を使用するか否かを選択することができる。
【0067】
第1の温度T1が、ステップS108において所定の温度よりも低く(ステップS108:no)、その後のステップS109において所定の温度よりも高かった場合(ステップS109:no)、制御部480は、再びステップS107を実行する。
【0068】
以上説明したように、制御部480は、混合水の温度が適温でない場合に、給水不具合判定制御及び給湯不具合判定制御を行う。これにより、給水及び給湯のいずれに不具合が生じている可能性が高いかを判定することができる。例えば、給水電磁弁16及び給湯電磁弁26のどちらが故障しているかを推定することができる。したがって、不具合の原因の特定が容易となる。
【0069】
また、既に述べたように、湯水混合装置を有する衛生洗浄装置においては、温度調整のため、排水制御(ステップS105及びS106)のように、一定量の水及び湯が捨てられる。混合水の温度が所定の範囲内でなかった場合に、毎回、温度調整のために水と湯とを所定時間流すと多量の水及び湯が使用される。また、ノズル473の吐水中においても、流量を確保するため、混合水の一部は便器に排水されており、一定量の水及び湯が使用される。このため、使用する湯及び水の量を抑制することが望まれる。
【0070】
これに対して、実施形態においては、ステップSA5に関して説明したように給水に不具合がある場合は、ノズル473の吐水が禁止される。また、ステップS103に関して説明したように、給水又は給湯に不具合があると判定された場合、ステップS105〜S109が省略される。このように、給水又は給湯の不具合判定を行うことで、湯及び水の無駄な使用を抑制することができる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、給水管、給湯管、湯水混合装置、ノズル、電磁弁、操作部、制御部、排水部などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。