特許第6895110号(P6895110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOTO株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6895110-トイレシステム 図000002
  • 特許6895110-トイレシステム 図000003
  • 特許6895110-トイレシステム 図000004
  • 特許6895110-トイレシステム 図000005
  • 特許6895110-トイレシステム 図000006
  • 特許6895110-トイレシステム 図000007
  • 特許6895110-トイレシステム 図000008
  • 特許6895110-トイレシステム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895110
(24)【登録日】2021年6月9日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】トイレシステム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20210621BHJP
   E03D 9/08 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   H04Q9/00 331Z
   H04Q9/00 361
   E03D9/08 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-53243(P2017-53243)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-157400(P2018-157400A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】榎本 路人
(72)【発明者】
【氏名】松永 隆志
(72)【発明者】
【氏名】由井 隆司
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−161901(JP,A)
【文献】 特開2004−300711(JP,A)
【文献】 特開2013−104645(JP,A)
【文献】 特開2011−066849(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/092144(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段および入力手段を有し、前記入力手段に対応する操作が前記表示手段に表示されるリモコンと、
便器に設けられ、前記リモコンによって遠隔制御される衛生洗浄装置と、を備え、
前記リモコンは、前記リモコンによって遠隔制御可能であり且つ前記衛生洗浄装置とは異なる機器である被制御機器の操作が前記表示手段に表示されない第1状態において、前記被制御機器から前記リモコンへ一時的に無線通信を介して送信される第1信号を受信すると、前記被制御機器の操作が前記表示手段に表示される第2状態へ移行し、
前記リモコンが前記第2状態のときには、前記リモコンと前記被制御機器との間で、前記リモコンから前記被制御機器への一方向の無線通信が行われ、前記リモコンは前記無線通信によって前記被制御機器を遠隔制御し、
前記リモコンは、前記第1状態において、前記衛生洗浄装置及び前記被制御機器とのペアリングを行なうためのペアリングモードへ移行可能であり、
前記リモコンは、前記ペアリングモードにおいて前記第1信号を受信すると、前記ペアリングモードの終了後に前記第2状態へ移行するトイレシステム
【請求項2】
表示手段および入力手段を有し、前記入力手段に対応する操作が前記表示手段に表示されるリモコンと、
便器に設けられ、前記リモコンによって遠隔制御される衛生洗浄装置と、
前記衛生洗浄装置とは異なる、前記リモコンによって遠隔制御可能な被制御機器と、を備え、
前記リモコンは、前記被制御機器の操作が前記表示手段に表示されない第1状態において、前記被制御機器から前記リモコンへ一時的に無線通信を介して送信される第1信号を受信すると、前記被制御機器の操作が前記表示手段に表示される第2状態へ移行し、
前記リモコンが前記第2状態のときには、前記リモコンと前記被制御機器との間で、前記リモコンから前記被制御機器への一方向の無線通信が行われ、前記リモコンは前記無線通信によって前記被制御機器を遠隔制御し、
前記リモコンは、前記被制御機器とのペアリングを行なうための第2信号を前記被制御機器へ送信し、
前記被制御機器は、前記第2信号を受信すると、前記リモコンへ前記第1信号を一時的に送信するトイレシステム。
【請求項3】
前記リモコンは、前記第2信号を前記被制御機器へ送信した後に前記衛生洗浄装置とのペアリングを行うための第3信号を前記衛生洗浄装置へ送信し、
前記衛生洗浄装置は、前記第3信号を受信した後に、前記リモコンおよび前記被制御機器とのペアリングを行うための第4信号を前記リモコンおよび前記被制御機器へ送信する請求項記載のトイレシステム。
【請求項4】
前記衛生洗浄装置は、前記第3信号を受信した後に、前記第4信号を送信して、他の機器とのペアリングを行うためのペアリングモードを終了し、
前記被制御機器は、前記第4信号を受信すると、他の機器とのペアリングを行うためのペアリングモードを終了し、
前記リモコンは、前記第4信号を受信すると、他の機器とのペアリングを行うためのペアリングモードを終了して前記第2状態へ移行する請求項記載のトイレシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、トイレシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トイレシステムの衛生洗浄装置とリモコンとをペアリングさせ、衛生洗浄装置をリモコンによって遠隔制御することが開示されている。また、近年では、衛生洗浄装置以外の機器もリモコンによって遠隔制御可能なトイレシステムが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−56663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リモコンには、トイレシステムが備える機器に対応した操作手段が設けられることが望ましい。トイレシステムが備えていない機器の操作手段がリモコンに設けられていると、リモコンの使い勝手が悪くなったり、トイレシステムの使用者が困惑したりするためである。
【0005】
そのための方法の1つとして、リモコンによって遠隔制御される被制御機器の有無に応じて、複数種類のリモコンを用意することが考えられる。しかしこの場合、リモコンの種類が多くなるため、リモコンの品番数の増加や在庫数の増加を招き、管理コストが増大してしまう。
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、被制御機器の有無に応じた態様の変更が可能なトイレシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、表示手段および入力手段を有し、前記入力手段に対応する操作が前記表示手段に表示されるリモコンと、便器に設けられ、前記リモコンによって遠隔制御される衛生洗浄装置と、を備え、前記リモコンは、前記リモコンによって遠隔制御可能であり且つ前記衛生洗浄装置とは異なる機器である被制御機器の操作が前記表示手段に表示されない第1状態において、前記被制御機器から前記リモコンへ一時的に無線通信を介して送信される第1信号を受信すると、前記被制御機器の操作が前記表示手段に表示される第2状態へ移行し、前記リモコンが前記第2状態のときには、前記リモコンと前記被制御機器との間で、前記リモコンから前記被制御機器への一方向の無線通信が行われ、前記リモコンは前記無線通信によって前記被制御機器を遠隔制御し、前記リモコンは、前記第1状態において、前記衛生洗浄装置及び前記被制御機器とのペアリングを行なうためのペアリングモードへ移行可能であり、前記リモコンは、前記ペアリングモードにおいて前記第1信号を受信すると、前記ペアリングモードの終了後に前記第2状態へ移行するトイレシステムである。
【0008】
このトイレシステムのリモコンによれば、被制御機器から送信される信号を受信することで表示手段に表示される内容が変化するため、被制御機器の有無に応じて複数のリモコンを用意する必要が無い。また、リモコンによって被制御機器を遠隔制御する第2状態では、リモコンから被制御機器への一方向の無線通信しか行われないが、このようなリモコンと被制御機器について、被制御機器から一時的に送信される信号をリモコンで受信し、リモコンを第1状態から第2状態へ変化させることで、手動でリモコンの設定を変更する必要が無く、リモコンの設定変更をより容易に行うことが可能である。
また、このトイレシステムによれば、リモコンと被制御機器および衛生洗浄装置とのペアリングを行いつつ、リモコンに被制御機器の有無を認識させることができる。トイレシステムのこれらの設定がまとめて行われることで、トイレシステムの設定に要する時間を短縮することができる。
【0011】
の発明は、表示手段および入力手段を有し、前記入力手段に対応する操作が前記表示手段に表示されるリモコンと、便器に設けられ、前記リモコンによって遠隔制御される衛生洗浄装置と、前記衛生洗浄装置とは異なる、前記リモコンによって遠隔制御可能な被制御機器と、を備え、前記リモコンは、前記被制御機器の操作が前記表示手段に表示されない第1状態において、前記被制御機器から前記リモコンへ一時的に無線通信を介して送信される第1信号を受信すると、前記被制御機器の操作が前記表示手段に表示される第2状態へ移行し、前記リモコンが前記第2状態のときには、前記リモコンと前記被制御機器との間で、前記リモコンから前記被制御機器への一方向の無線通信が行われ、前記リモコンは前記無線通信によって前記被制御機器を遠隔制御し、前記リモコンは、前記被制御機器とのペアリングを行なうための第2信号を前記被制御機器へ送信し、前記被制御機器は、前記第2信号を受信すると、前記リモコンへ前記第1信号を一時的に送信するトイレシステムである。
【0012】
このトイレシステムのリモコンによれば、被制御機器から送信される信号を受信することで表示手段に表示される内容が変化するため、被制御機器の有無に応じて複数のリモコンを用意する必要が無い。また、リモコンによって被制御機器を遠隔制御する第2状態では、リモコンから被制御機器への一方向の無線通信しか行われないが、このようなリモコンと被制御機器について、被制御機器から一時的に送信される信号をリモコンで受信し、リモコンを第1状態から第2状態へ変化させることで、手動でリモコンの設定を変更する必要が無く、リモコンの設定変更をより容易に行うことが可能である。
このトイレシステムによれば、リモコンと被制御機器とのペアリングを行いつつ、リモコンに被制御機器の有無を認識させることができる。トイレシステムのこれらの設定がまとめて行われることで、トイレシステムの設定に要する時間を短縮することができる。
【0013】
の発明は、第の発明において、前記リモコンは、前記第2信号を前記被制御機器へ送信した後に前記衛生洗浄装置とのペアリングを行うための第3信号を前記衛生洗浄装置へ送信し、前記衛生洗浄装置は、前記第3信号を受信した後に、前記リモコンおよび前記被制御機器とのペアリングを行うための第4信号を前記リモコンおよび前記被制御機器へ送信するトイレシステムである。
【0014】
このトイレシステムによれば、衛生洗浄装置からリモコンおよび被制御機器へ第4信号が一斉に送信されるため、これらの機器のペアリングをより短い時間で完了させることができる。
【0015】
の発明は、第の発明において、前記衛生洗浄装置は、前記第3信号を受信した後に、前記第4信号を送信して、他の機器とのペアリングを行うためのペアリングモードを終了し、前記被制御機器は、前記第4信号を受信すると、他の機器とのペアリングを行うためのペアリングモードを終了し、前記リモコンは、前記第4信号を受信すると、他の機器とのペアリングを行うためのペアリングモードを終了して前記第2状態へ移行するトイレシステムである。
【0016】
このトイレシステムによれば、衛生洗浄装置から一斉に送信される第4信号をペアリングモード終了の起点として用いるため、各機器がペアリングモードに移行している時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の態様によれば、被制御機器の有無に応じた態様の変更が可能なトイレシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係るトイレシステムを表す斜視図である。
図2】実施形態に係るトイレシステムのトイレ装置を表す斜視図である。
図3】実施形態に係るトイレシステムのトイレ装置を表す平面図である。
図4】実施形態に係るリモコンを表す斜視図である。
図5】実施形態に係るリモコンの表示手段および入力手段を例示する図である。
図6】実施形態に係るトイレシステムの一部を表す断面図である。
図7】実施形態に係るリモコンを用いた設定方法の一例を表す模式図である。
図8】実施形態に係るリモコンを用いた設定方法の他の一例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、本願明細書においては、発明の説明のために、「上方」や、「下方」、「後方」などの方向を用いるが、これらは後述するトイレ装置10に着座した使用者からみた場合を基準とするものである。
【0022】
図1は、実施形態に係るトイレシステム1を表す斜視図である。
本実施形態に係るトイレシステム1は、例えば、トイレ装置10、鏡20、キャビネット30、およびリモコン40を備える。図1に表したように、トイレシステム1は、さらに、手洗い器50などを備えていてもよい。トイレ装置10、鏡20、キャビネット30、リモコン40、手洗い器50は、トイレ室TRの内部に設けられている。
【0023】
図2は、実施形態に係るトイレシステム1のトイレ装置10を表す斜視図である。図3は、実施形態に係るトイレシステム1のトイレ装置10を表す平面図である。
図2(a)は、便蓋13を開けて、便座12を下げたときの様子を表している。図2(b)は、便蓋13を開けて、便座12を上げたときの様子を表している。
【0024】
図2に表したように、トイレ装置10は、便器11と、便座12と、便蓋13と、衛生洗浄装置60と、を有する。
【0025】
便器11は、例えば、トイレ室TRの床面に設置されている。便座12および便蓋13は、便器11の上に設けられ、便器11に対して回動可能に設けられている。衛生洗浄装置60は、図2(b)に表したように、便器11の後部に設けられている。
【0026】
図2および図3に表したように、衛生洗浄装置60は、カバープレート61、洗浄ノズル62、人体検知センサ63、着座検知センサ64、および制御部65を有する。
【0027】
制御部65は、リモコン40から送信される制御信号に基づき、例えば、洗浄ノズル62を便器11のボウル内に進出させたり、洗浄ノズル62をボウルから後退させたりする。洗浄ノズル62がボウル内に進出した状態で、使用者の「おしり」などの局部に向けて吐水口62aから吐水されることで、局部洗浄が行われる。なお、図2(a)では、洗浄ノズル62が、ボウル内に進出した状態が表され、図2(b)では、洗浄ノズル62がカバープレート61の下方に収納された状態が表されている。
【0028】
人体検知センサ63は、電波センサまたは赤外線センサなどであり、トイレ室TRにおける人体の入室や退室を検知する。着座検知センサ64は、スイッチ、または赤外線を用いた測距センサなどであり、便座12における人体の着座や離座を検知する。
【0029】
図2(b)に表した例では、人体検知センサ63は電波センサであり、カバープレート61によって上方から覆われている。着座検知センサ64は、着座時の荷重を検知するスイッチであり、便器11に対する便座12の軸支部分に設けられる。
【0030】
人体検知センサ63および着座検知センサ64は、検知結果を制御部65に送信する。制御部65は、これらのセンサから送信された検知結果に基づき、トイレ室TRに設けられた種々の機器の動作を制御する。
【0031】
衛生洗浄装置60は、これらの他に、洗浄ノズルから吐水される水を温める熱交換器や、使用者の局部を乾燥させるための送風ユニットなどを適宜有していてもよい。
【0032】
図3に表したように、トイレ装置10は、照明14をさらに有する。照明14は、便器11の後部に設けられ、衛生洗浄装置60の後方に位置している。照明14は、点灯時にトイレ装置10の後方に向けて光L1を放射し、トイレ装置10の後方の壁を照らす。
【0033】
図4は、実施形態に係るリモコン40を表す斜視図である。図4(a)は、リモコン40が閉じた状態を表し、図4(b)は、リモコン40が開いた状態を表す。
図4に例示したリモコン40は、トイレ装置10の未使用時にはキャビネット30に収納されており、便座12への着座が検知されると回動して開くように構成されている。
【0034】
リモコン40は、図4(b)に表したように、表示手段41、入力手段42、および入力手段43を有する。入力手段42は、複数のスイッチを有し、表示手段41には、それぞれのスイッチに対応した操作(アイコンや文字)が表示される。入力手段43は、便器11の洗浄を行うためのものである。入力手段43は、大便時および小便時の洗浄にそれぞれ対応するスイッチ43aおよび43bを有する。
【0035】
図5は、実施形態に係るリモコン40の表示手段41および入力手段42を例示する図である。
使用者は、表示手段41に表示された操作に対応する入力手段42のスイッチを押下することで、所定の動作を、衛生洗浄装置60や他の機器に行わせることができる。
【0036】
表示手段41に表示される操作内容は、例えば図5(a)〜図5(c)に表したように、複数の画面の間で切り替えることができる。一例として、図5(a)に表した画面において、使用者が「設定」に対応するスイッチ42aを押下すると、図5(b)に表した画面に移行する。さらに、図5(b)に表した画面において、使用者が「照明」に対応するスイッチ42bを押下すると、図5(c)に表した画面に移行する。
【0037】
図5(c)に表した画面では、後述する、トイレ室TRに設けられた各照明の設定や操作を行うことができる。例えば、「おやすみ」に対応するスイッチを押下すると、表示手段41には、「おやすみ」のモード時の各照明の光量や「おやすみ」のモードに移行する時間帯などの設定を行うことができる画面が表示される。「くつろぎ」は、深夜以外の日中などの時間帯における演出性の高いモードであり、「くつろぎ」に対応するスイッチを押下すると、表示手段41には、「くつろぎ」のモード時の各照明の光量の設定を行うことができる画面が表示される。
【0038】
図6は、実施形態に係るトイレシステム1の一部を表す断面図である。
鏡20には、照明21が設けられている。照明21は、例えば、鏡20とトイレ室TRの壁面との間の下部に設けられている。照明21は、下方に向けて光L2を放射し、キャビネット30の上面や手洗い器50近傍を照らす。
【0039】
キャビネット30には、照明31が設けられている。キャビネット30の下面には、カバー32が設けられており、照明31は、例えば、カバー32の裏側に設けられている。照明31は、キャビネット30が取り付けられた壁面に向けて光L3を放射し、その反射光によってキャビネット30下方の床面やトイレ室TR内の壁面が照らされる。
【0040】
キャビネット30には、紙巻器(ペーパホルダ)35が設けられる。紙巻器35の奥(キャビネット30が取り付けられた壁面側)には、照明36が設けられている。照明36は、例えば、下方に向けて光を放射し、紙巻器35近傍を照らす。
【0041】
トイレシステム1が備える各照明は、人体検知センサ63や着座検知センサ64などの検知結果に応じて動作させることができる。一例として、人体検知センサ63がトイレ室TRへの人体の入室を検知すると、照明21、照明31、および照明36が同時に点灯する。
【0042】
さらに、トイレシステム1では、複数の照明の一部が、時間帯等に応じて点灯しないように設定されていても良い。例えば、複数の照明の一部が、深夜の時間帯に点灯しないように設定されていても良い。
【0043】
照明21および照明31の動作や設定変更は、図5(c)に表したように、リモコン40の操作により行うことができる。これらの照明や衛生洗浄装置60は、特定のリモコン40から発せられる信号にのみ対応するよう、リモコン40との間でペアリングが行われる。また、リモコン40の表示手段41には、トイレシステム1が備えるこれらの機器に応じた操作が表示されるように、リモコン40の設定が行われる。
【0044】
図7は、実施形態に係るリモコン40を用いた設定方法の一例を表す模式図である。
実施形態に係るリモコン40は、最初、照明21および照明31の操作が表示手段41に表示されない第1状態にある。
【0045】
リモコン40が第1状態のときに、照明21、照明31、および衛生洗浄装置60を、リモコン40とのペアリングを行うためのモードに移行させる。例えば、照明21および照明31には、それぞれ、これらの照明をペアリングモードに移行させるための専用スイッチが設けられている。これらの専用スイッチを押下することで、照明21および照明31をペアリングモードに移行させることができる。また、衛生洗浄装置60は、例えば、衛生洗浄装置60が備える「流すスイッチ」を所定時間押下し続けることで、ペアリングモードに移行させることができる。
【0046】
続いて、リモコン40は、照明21に向けて無線通信で信号(第2信号)を送信する。リモコン40は、例えば、図5(a)に表した「止」に対応するスイッチを5回連続して押下することで、無線通信で信号(第2信号)を送信することができる。信号には、個々のリモコン40に割り当てられた識別情報(ID)が含まれている。照明21は、リモコン40から送信された信号を受信すると、信号に含まれるリモコン40の識別情報を登録する。リモコン40は、照明21に向けて無線通信で信号(第2信号)を送信するとともに、ペアリングモードへ移行する。
【0047】
照明21は、リモコン40の識別情報を登録すると、リモコン40に向けて、一時的に無線通信で信号(第1信号)を送信する。照明21から送信される信号には、例えば、照明21の識別情報が含まれている。リモコン40は、照明21から送信された信号を受信すると、信号に含まれる照明21の識別情報を登録する。
【0048】
次に、リモコン40は照明31に向けて無線通信で信号(第2信号)を送信する。照明31は、リモコン40から送信された信号を受信すると、信号に含まれるリモコン40の識別情報を登録する。
【0049】
照明31は、リモコン40の識別情報を登録すると、照明21と同様に、リモコン40に向けて一時的に無線通信で信号(第1信号)を送信する。照明31から送信される信号には、例えば、照明31の識別情報が含まれている。リモコン40は、照明31から送信された信号を受信すると、信号に含まれる照明31の識別情報を登録する。
【0050】
次に、リモコン40は、衛生洗浄装置60に向けて無線通信で信号(第3信号)を送信する。衛生洗浄装置60は、リモコン40から送信された信号を受信すると、信号に含まれるリモコン40の識別情報を登録する。
【0051】
衛生洗浄装置60は、リモコン40の識別情報を登録すると、照明21、照明31、およびリモコン40に向けて無線通信で信号(第4信号)を一斉に送信する。衛生洗浄装置60から送信される信号には、衛生洗浄装置60の識別情報が含まれている。照明21、照明31、およびリモコン40は、衛生洗浄装置60から送信された信号を受信すると、信号に含まれる衛生洗浄装置60の識別情報を登録する。
【0052】
衛生洗浄装置60は、照明21、照明31、およびリモコン40に向けて信号(第4信号)を送信すると、ペアリングモードを終了し、通常のモードへ移行する。また、照明21および照明31は、衛生洗浄装置60の識別情報を登録すると、ペアリングモードを終了し、通常のモードへ移行する。
【0053】
リモコン40は、衛生洗浄装置60の識別情報を登録すると、ペアリングモードを終了し、第1状態から第2状態へ移行する。リモコン40は、第2状態において、図5(b)および図5(c)に表したように、照明21および照明31の設定等が表示手段41に表示される。
【0054】
図8は、実施形態に係るリモコン40を用いた設定方法の他の一例を表す模式図である。
図8に表した設定方法は、例えば、リモコン40から、照明21、照明31、および衛生洗浄装置60へ一斉に信号が送信される点で、図7に表した設定方法と異なる。
【0055】
リモコン40から照明21、照明31、および衛生洗浄装置60へ信号(第2信号および第3信号)が送信されると、それぞれの機器でリモコン40の識別情報が登録される。
【0056】
各機器でリモコン40の識別情報が登録されると、まず、照明21からリモコン40に向けて信号(第1信号)が送信される。次に、登録から第1時間T1の経過後に、照明31からリモコン40に向けて信号(第1信号)が送信される。続いて、登録から第2時間T2の経過後に、衛生洗浄装置60から、リモコン40、照明21、および照明31に向けて信号(第4信号)が送信される。第2時間T2は、第1時間T1よりも長い。その後、照明21、照明31、および衛生洗浄装置60は、通常モードへ移行し、リモコン40は、第1状態から第2状態へ移行する。
【0057】
以上の方法により、リモコン40の設定が行われるとともに、それぞれの機器の間でペアリングが行われる。なお、リモコン40は、第1状態においてペアリングモードへ移行した後、所定時間の間にペアリングを行うための信号が受信されない場合は、ペアリングモードを解除し、第1状態における通常のモードへ移行する。同様に、照明21、照明31、および衛生洗浄装置60も、ペアリングモードに移行した後、所定時間の間にペアリングを行う信号が受信されない場合、自動で通常モードへ移行する。
【0058】
各機器は、ペアリングモードにあることを使用者に分かり易く示すように構成されていても良い。例えば、照明21および照明31は、ペアリングモードに移行するとそれぞれの照明が点滅し、さらに、ペアリングが完了すると点滅の周期が変化するように構成される。
【0059】
一例として、照明21および照明31は、ペアリングモードに移行すると、それぞれの照明が1秒の点灯と1秒の消灯を交互に繰り返して点滅する。さらに、各照明は、ペアリングが完了すると、0.5秒の点灯と0.5秒の消灯を交互に繰り返して点滅する。
【0060】
ここで、本発明の実施形態による効果について説明する。
本実施形態では、上述したように、リモコン40が、照明21や照明31などの被制御機器から信号を受信すると、第1状態から第2状態へ移行する。すなわち、リモコン40は、トイレシステム1が備える被制御機器の有無に応じて、表示手段41に表示される操作が変化する。このため、本実施形態によれば、被制御機器の有無に応じて複数種類のリモコン40を用意する必要が無く、管理コストを低減することが可能である。
【0061】
なお、リモコン40の第1状態は、ペアリング設定が必要なことを表示手段41に表示させるものであっても良い。従来のトイレシステムのリモコンには、最初の起動時に、このようにペアリング設定が必要なことを表示手段に表示させるものがある。この従来のリモコンでは、ペアリングが完了すると、被制御機器の有無に拘わらず、被制御機器の操作が表示手段に表示されるか、表示されない状態に移行していた。これに対して、本実施形態によれば、上述したように、被制御機器の有無に応じて、表示手段41に表示される操作を変化させることが可能である。
【0062】
また、リモコン40の第2状態においては、照明21とリモコン40との間、及び、照明31とリモコン40との間で、リモコン40からこれらの照明への一方向のみの無線通信が行われ、これにより各照明がリモコン40によって遠隔制御される。ただし、リモコン40の設定を行うときは、被制御機器からリモコン40へ一時的に無線通信が行われ、信号が送信される。そして、この一時的に送信される信号によって、リモコン40に対して被制御機器の有無を認識させることができる。こうすることで、リモコン40の設定を手動で変更する必要が無く、リモコン40の設定変更をより容易に行うことができる。
【0063】
さらに、図7および図8に表したように、それぞれの機器の間でペアリングを行う際に、併せてリモコン40に被制御機器の有無を認識させるよう構成することで、トイレシステム1の必要な設定をまとめて行うことが可能となり、トイレシステム1の設定に要する時間を短縮することができる。
【0064】
なお、各機器同士のペアリングの具体的方法は、図7および図8に例示した方法に限定されず、種々の変形が可能である。ただし、図7および図8に表したように、リモコン40と、衛生洗浄装置60以外と、のペアリングを行った後に、リモコン40と衛生洗浄装置60とのペアリングを行い、最後に衛生洗浄装置60から他の機器に一斉に信号が送信されることが望ましい。
【0065】
衛生洗浄装置60から他の機器に一斉に信号が送信されることで、ペアリングをより短い時間で完了させることができる。また、各機器において、この信号の送受信をペアリングモード終了の起点として用いることで、各機器がペアリングモードに移行している時間を短縮し、より早く通常モードに移行することができるようになる。
【0066】
また、図7および図8に表した設定方法は、リモコン40とそれぞれの被制御機器(照明21および照明31)との間で信号の送受信を自動で順次行っていくため、より短い時間でペアリングおよびリモコン40の設定を完了させることが可能である。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレシステム1やトイレ装置10、リモコン40、衛生洗浄装置60などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0068】
1 トイレシステム、 10 トイレ装置、 11 便器、 12 便座、 13 便蓋、 14 照明、 20 鏡、 21 照明、 30 キャビネット、 31 照明、 32 カバー、 35 紙巻器、 36 照明、 40 リモコン、 41 表示手段、 42 入力手段、 42a、42b スイッチ、 43 入力手段、 43a、43b スイッチ、 50 手洗い器、 60 衛生洗浄装置、 61 カバープレート、 62 洗浄ノズル、 62a 吐水口、 63 人体検知センサ、 64 着座検知センサ、 65 制御部、 TR トイレ室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8