特許第6895145号(P6895145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895145
(24)【登録日】2021年6月9日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】電力制御装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/67 20060101AFI20210621BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   G05F1/67 A
   H02J3/38 150
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-204433(P2018-204433)
(22)【出願日】2018年10月30日
(62)【分割の表示】特願2017-568355(P2017-568355)の分割
【原出願日】2016年10月3日
(65)【公開番号】特開2019-12578(P2019-12578A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2019年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】500091520
【氏名又は名称】株式会社アイケイエス
(73)【特許権者】
【識別番号】519355493
【氏名又は名称】日揮グローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 真二
(72)【発明者】
【氏名】入谷 剛
(72)【発明者】
【氏名】今井 尊史
【審査官】 白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−266458(JP,A)
【文献】 特開昭60−256824(JP,A)
【文献】 特開昭63−181015(JP,A)
【文献】 特開2016−158412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/67
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電装置が発電する電力を制御する電力制御装置において、
前記太陽光発電装置は、
太陽電池と、
前記太陽電池に対するMPPT(最大電力点追従:Maximum Power Point Tracking)制御を行い、前記太陽電池が発電する直流電力を、交流に変換するパワーコンディショナとを有するものであって、
前記電力制御装置は、
前記太陽電池から前記パワーコンディショナへの電力母線に、1次側で接続されるコンバータと、
前記コンバータの2次側に接続される蓄電池と、
前記太陽電池の出力が、前記パワーコンディショナの出力可能な電力より大きくなると判断する場合、前記コンバータが、前記太陽電池の出力電力と前記パワーコンディショナの出力電力との差分電力を前記蓄電池へ充電するように、前記コンバータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記パワーコンディショナのMPPT制御の時定数より長い時定数で、前記コンバータを用いて、前記蓄電池への充電を制御する電力制御装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記パワーコンディショナの出力を抑制する出力抑制信号を受信した場合、前記出力抑制信号に示される抑制出力を、前記パワーコンディショナの出力可能な電力に設定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パワーコンディショナの出力電力を測定する電力計を備え、
前記制御部は、前記電力計で測定される電力が前記パワーコンディショナの出力可能な電力に達すると、前記太陽電池の出力が、前記パワーコンディショナの出力可能な電力より大きくなると判断する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記MPPT制御におけるMPP(最大電力点:Maximum Power Point)から外れないように、前記コンバータを用いて前記蓄電池への充電を制御する、請求項1〜3の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記パワーコンディショナの出力電力が、前記パワーコンディショナの定格出力より下回ると判断する場合、前記充電の速度を遅らせる、請求項1〜4の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記コンバータが充電を行っておらず、且つ、前記パワーコンディショナの出力電力が、前記パワーコンディショナの定格出力より小さくなると判断する場合、前記制御部は、前記蓄電池から放電するように、前記コンバータを制御する、請求項1〜5の何れか1項に記載の電力制御装置。
【請求項7】
太陽光発電装置が発電する電力を制御する電力制御装置の制御方法において、
前記太陽光発電装置は、
太陽電池と、
前記太陽電池に対するMPPT(最大電力点追従:Maximum Power Point Tracking)制御を行い、前記太陽電池が発電する直流電力を、交流に変換するパワーコンディショナとを有するものであって、
前記電力制御装置は、前記太陽電池から前記パワーコンディショナへの電力母線に、1次側で接続されるコンバータと、前記コンバータの2次側に接続される蓄電池と、前記コンバータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記太陽電池の出力が、前記パワーコンディショナの出力可能な電力より大きくなると判断する場合、前記コンバータが、前記太陽電池の出力電力と前記パワーコンディショナの出力電力との差分電力を前記蓄電池へ充電するように、前記コンバータを制御し、
前記制御部は、前記パワーコンディショナのMPPT制御の時定数より長い時定数で、前記コンバータを用いて、前記蓄電池への充電を制御する、制御方法。
【請求項8】
前記制御部が、前記パワーコンディショナの出力を抑制する出力抑制信号を受信した場合、前記出力抑制信号に示される抑制出力を、前記パワーコンディショナの出力可能な電力に設定する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記パワーコンディショナの出力電力を測定する電力計を備え、
前記制御部は、前記電力計で測定される電力が前記パワーコンディショナの出力可能な電力に達すると、前記太陽電池の出力が、前記パワーコンディショナの出力可能な電力より大きくなると判断する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記制御部は、前記MPPT制御におけるMPP(最大電力点:Maximum Power Point)から外れないように、前記コンバータを用いて前記蓄電池への充電を制御する、請求項7〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記制御部は、前記パワーコンディショナの出力電力が、前記パワーコンディショナの定格出力より下回ると判断する場合、前記充電の速度を遅らせる、請求項7〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記制御部は、前記コンバータが充電を行っておらず、且つ、前記パワーコンディショナの出力電力が、前記パワーコンディショナの定格出力より小さくなると判断する場合、前記制御部は、前記蓄電池から放電するように、前記コンバータを制御する、請求項7〜11の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光から電気を発電する太陽光発電システムが知られている。太陽光発電システムは、太陽電池を有し、太陽電池から出力される直流電流(DC)を、系統の交流電圧(AC)に変換するとともに、複数の太陽電池を統合して系統連系するパワーコンディショナ(PCS)をさらに有する。
【0003】
パワーコンディショナは、太陽電池が発電する電力を最大電力点追従(MPPT:Maximum Power Point Tracking)制御する機能が備え付けられている(特許文献1)。
【0004】
また、近年、太陽光発電における系統安定化のために、出力を抑制する要求がある。出力抑制による太陽光発電の発電量を低下させないため、PCSの後段に蓄電池を設ける装置が開示されている(特許文献2)。
【0005】
特許文献3では、太陽電池モジュールと、DC/AC変換装置との間に、リチウムイオン電池が備えられるが、DC/AC変換装置は、MPPT制御による最大電力量では制御していない(段落
【0006】
)。リチウムイオン電池の充放電電圧を、太陽電池モジュールの最大電力点近傍にすることで、太陽光発電を、リチウムイオン電池に充電している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−066916号公報
【特許文献2】特開2015−073433号公報
【特許文献3】特開2007−201257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、PCSのMPPTに関する技術説明であり、電池制御に関する記載も、示唆もない。
【0009】
特許文献2は、PCSの後段に、貯湯式給湯器と蓄電池を設ける技術である。
【0010】
特許文献3は、PCSの前段に、蓄電池を設ける構成である。しかし、最大電力点で、太陽光発電させるような電池構成を有するものであり、電池の蓄電量制御を要件としていない。
【0011】
以上のように、PCSの前段に電池を配置して、太陽光発電の最大電力を維持する発電装置は、全く開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する形態は、以下の項目により示される。
【0013】
[項目1]
太陽光発電装置が発電する電力を制御する電力制御装置において、
前記太陽光発電装置は、
太陽電池と、
前記太陽電池に対するMPPT(最大電力点追従:Maximum Power Point Tracking)制御を行い、前記太陽電池が発電する直流電力を、交流に変換するパワーコンディショナとを有するものであって、
前記電力制御装置は、
前記太陽電池と、前記パワーコンディショナとの間に接続される蓄電池と、
前記蓄電池と、前記太陽電池との間に配置され、前記太陽電池の出力電力を、前記蓄電池に充電するコンバータと、
前記太陽電池の出力が、前記パワーコンディショナの出力可能な電力より大きくなると判断する場合、前記コンバータが、前記太陽電池の出力電力と前記パワーコンディショナの出力電力との差分電力を前記蓄電池へ充電するように、前記コンバータを制御する制御部と、
を備える電力制御装置。
【0014】
パワーコンディショナは、自己の所定電力(例えば、定格電力)をもとに、MPPT制御を行うので、所定電力以上の電力を放電できないため、未回収電力が生じている。前記制御部は、前記太陽電池が本来可能な出力電力をもとに、未回収電力を、蓄電池に溜めるように制御する。
【0015】
[項目2]
前記制御部が、前記パワーコンディショナの出力を抑制する出力抑制信号を受信した場合、前記出力抑制信号に示される抑制出力を、前記パワーコンディショナの出力可能な電力に設定する、項目1に記載の装置。
【0016】
出力抑制が起これば、その分未回収電力を電池で回収することが可能になる。
【0017】
[項目3]
前記パワーコンディショナの電力を測定する電力計を備え、
前記制御部は、前記電力計で測定される電力が前記パワーコンディショナの出力可能な電力に達すると、前記太陽電池の出力が、前記パワーコンディショナの出力可能な電力より大きくなると判断する、項目1又は2に記載の装置。
【0018】
[項目4]
前記制御部は、前記MPPT制御におけるMPP(最大電力点:Maximum Power Point)から外れないように、前記コンバータを用いて前記蓄電池への充電を制御する、項目1〜3の何れか1項に記載の装置。
【0019】
パワーコンディショナのMPPT制御におけるMPPから外れると、太陽電池の発電量が下がることを回避するためである。
【0020】
[項目5]
前記制御部は、前記パワーコンディショナのMPPの時定数より長い時定数で、前記コンバータを用いて、前記蓄電池への充電を制御する、項目1〜4の何れか1項に記載の装置。
【0021】
前記蓄電池制御が、パワーコンディショナのMPPTより長くすることで、MPPTの制御への影響を及ぼさないようにする。
【0022】
[項目6]
前記パワーコンディショナの出力電力が、前記出力可能電力より下回ると判断する場合、前記充電の速度を遅らせる、項目1〜5の何れか1項に記載の装置。
【0023】
[項目7]
照度計をさらに備え、
前記制御部は、前記照度計から得られる入射量に応じた前記太陽電池の電流電圧特性データを保持し、
前記電流電圧特性データを参照して、前記照度計から得られる入射データに対応する前記太陽電池の電力を算出し、
前記算出した電力が、前記パワーコンディショナの出力可能な電力より大きくなる場合、前記算出電力から前記パワーコンディショナの出力可能な電力を減算して、充電電力を算出し、
前記コンバータを制御して、前記充電電力を、前記蓄電池に充電する、項目1〜6の何れか1項に記載の装置。
【0024】
[項目8]
前記制御部は、
前記照度計から得られる入射データに対応する前記太陽電池のMPP(最大電力点:Maximum Power Point)を算出し、
前記太陽電池のMPPにおける電力から、前記パワーコンディショナの出力可能な電力を減算して得られる充電電力を算出し、
前記コンバータを制御して、前記太陽電池と前記パワーコンディショナとを接続する母線が、前記MPPにおける電圧を維持するようにして、前記算出した充電電力を前記蓄電池に充電する、項目1〜7の何れか1項に記載の装置。
【0025】
[項目9]
前記制御部は、前記パワーコンディショナの出力可能な電力より小さくなると判断する場合、前記制御部は、前記蓄電池から放電するように、前記コンバータを制御する、項目1〜8の何れか1項に記載の装置。
【0026】
[項目10]
前記制御部は、
前記電流電圧特性データを参照して、前記照度計から得られる入射データに対応する前記太陽電池のMPPを算出し、
前記電力計で測定される電力が、前記算出した電力より低いと判断すると、前記コンバータを制御して、前記太陽電池と前記パワーコンディショナとを接続する母線が、前記太陽電池の算出したMPPにおける電圧を維持するようにして、前記蓄電池から電力を放電する、項目1〜9の何れか1項に記載の装置。
【0027】
[項目11]
太陽光発電装置が発電する電力を制御する電力制御装置の制御方法において、
前記太陽光発電装置は、
太陽電池と、
前記太陽電池に対するMPPT(最大電力点追従:Maximum Power Point Tracking)制御を行い、前記太陽電池が発電する直流電力を、交流に変換するパワーコンディショナとを有するものであって、
前記電力制御装置は、前記太陽電池と、前記パワーコンディショナとの間に接続される蓄電池と、前記蓄電池と、前記太陽電池との間に配置され、前記太陽電池の出力電力を、前記蓄電池に充電するコンバータと、制御部を備え、
前記制御部は、
前記太陽電池の出力が、前記パワーコンディショナの出力可能な電力より大きくなると判断する場合、前記コンバータが、前記太陽電池の出力電力と前記パワーコンディショナの出力電力との差分電力を前記蓄電池へ充電するように、前記コンバータを制御する、制御方法。
[項目12]
前記制御部が、前記パワーコンディショナの出力を抑制する出力抑制信号を受信した場合、前記出力抑制信号に示される抑制出力を、前記パワーコンディショナの出力可能な電力に設定する、項目11に記載の方法。
[項目13]
前記パワーコンディショナの電力を測定する電力計を備え、
前記制御部は、前記電力計で測定される電力が前記パワーコンディショナの出力可能な電力に達すると、前記太陽電池の出力が、前記パワーコンディショナの出力可能な電力より大きくなると判断する、項目11又は12に記載の方法。
[項目14]
前記制御部は、前記MPPT制御におけるMPP(最大電力点:Maximum Power Point)から外れないように、前記コンバータを用いて前記蓄電池への充電を制御する、項目11〜13の何れか1項に記載の方法。
[項目15]
前記制御部は、前記パワーコンディショナのMPPの時定数より長い時定数で、前記コンバータを用いて、前記蓄電池への充電を制御する、項目11〜14の何れか1項に記載の方法。
[項目16]
前記パワーコンディショナの出力電力が、前記出力可能電力より下回ると判断する場合、前記充電の速度を遅らせる、項目11〜15の何れか1項に記載の方法。
[項目17]
照度計をさらに備え、
前記制御部は、前記照度計から得られる入射量に応じた前記太陽電池の電流電圧特性データを保持し、
前記電流電圧特性データを参照して、前記照度計から得られる入射データに対応する前記太陽電池の電力を算出し、
前記算出した電力が、前記パワーコンディショナの出力可能な電力より大きくなる場合、前記算出電力から前記パワーコンディショナの出力可能な電力を減算して、充電電力を算出し、
前記コンバータを制御して、前記充電電力を、前記蓄電池に充電する、項目11〜16の何れか1項に記載の方法。
[項目18]
前記制御部は、
前記照度計から得られる入射データに対応する前記太陽電池のMPP(最大電力点:Maximum Power Point)を算出し、
前記太陽電池のMPPにおける電力から、前記パワーコンディショナの出力可能な電力を減算して得られる充電電力を算出し、
前記コンバータを制御して、前記太陽電池と前記パワーコンディショナとを接続する母線が、前記MPPにおける電圧を維持するようにして、前記算出した充電電力を前記蓄電池に充電する、項目11〜17の何れか1項に記載の方法。
[項目19]
前記制御部は、前記パワーコンディショナの出力可能な電力より小さくなると判断する場合、前記制御部は、前記蓄電池から放電するように、前記コンバータを制御する、項目11〜18の何れか1項に記載の方法。
[項目20]
前記制御部は、
前記電流電圧特性データを参照して、前記照度計から得られる入射データに対応する前記太陽電池のMPPを算出し、
前記電力計で測定される電力が、前記算出した電力より低いと判断すると、前記コンバータを制御して、前記太陽電池と前記パワーコンディショナとを接続する母線が、前記太陽電池の算出したMPPにおける電圧を維持するようにして、前記蓄電池から電力を放電する、項目11〜19の何れか1項に記載の方法。
【発明の効果】
【0028】
本実施形態に係る電力制御装置は、太陽電池が本来発電可能な電力を電池で回収して、太陽光発電の発電量を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】電力制御装置の一例を示す図である。
図2】過剰積載時の蓄電池への充電処理を示すフローチャートである。
図3A図2に示すケースにおいてPVの発電電力を示す図である。
図3B図2に示すケースにおいてPCSの出力電力を示す図である。
図3C図2に示すケースにおいて蓄電池への充電電力を示す図である。
図4】太陽電池からの出力がPCS定格より低いケースにおける蓄電池放電処理を示すフローチャートである。
図5A図4に示すケースにおいてPVの発電電力を示す図である。
図5B図4に示すケースにおいてPCSの出力電力を示す図である。
図5C図4に示すケースにおいて蓄電池への充電電力を示す図である。
図6】太陽電池出力がないケースにおける蓄電池放電処理を示すフローチャートである。
図7図6に示すケースにおいて蓄電池の放電電力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本実施形態を、1.電力制御装置、2.電力制御処理の順で説明する。
【0031】
1.電力制御装置
図1は、電力制御装置の一例を示す図である。
電力制御装置100は、太陽光発電装置10に接続し、太陽光発電装置10が発電する電力を制御する。太陽光発電装置10は、複数の太陽電池から構成される太陽電池(PV:photovoltaic)200と、パワーコンディショナ(PCS)300から構成される。なお、太陽電池200は、多数の太陽電池からなる太陽電池アレイであってもよい。PCS300は、太陽電池200に対するMPPT(最大電力点追従:Maximum Power Point Tracking)制御を行い、太陽電池が発電する直流電力を、交流に変換する。太陽電池の定格出力は、前記パワーコンディショナの定格出力より大きい。
【0032】
電力制御装置100は、蓄電池20、制御部30、およびDC/DC(直流/直流コンバータ)50を備える。蓄電池20は、DC/DC50を介して太陽電池200と、PCS300との間に接続される。さらに、DC/DC50は、蓄電池20と、太陽電池200との間のDC母線上に配置され、太陽電池200の出力電力を、蓄電池200に対して充電するとともに、蓄電池20からの放電も行う。DC/DC50は、母線の電圧条件と、蓄電池200の電圧および電流条件(電池出力)を合わせるために設けられる。
【0033】
電力制御装置100はさらに、蓄電池20への充放電量を測定する、電流電圧計94、96を有する。電流電圧計96は、太陽電池200の電圧を、MPPTの所定電圧に維持するように、DC/DC50を動作させるために利用される。電流電圧計94は、蓄電池20の充放電電圧を所定値にするように、DC/DC50を制御するために、利用される。
【0034】
電力計97の交流電力を測定する電流計であり、PCS300の後段に設けられる。
【0035】
電力制御装置100は、パネル照度計91、パネル温度計92をさらに備える。この計器により、太陽電池へ向けられる照度と、その温度がわかる。
【0036】
制御部30は、太陽電池200の出力が、PCS300の出力可能な電力より大きくなると判断する場合、DC/DC50が、太陽電池200の出力電力とPCS300の出力電力との差分電力を蓄電池20へ充電するように、DC/DC50を制御する。
【0037】
PCS300は、出力可能な電力(例えば、定格電力や、後述する抑制電力)をもとに、MPPT制御を行うので、所定電力以上の電力を放電できないため、未回収電力が生じている。制御部30は、太陽電池200が本来可能な出力電力をもとに、未回収電力を、蓄電池20に溜めるように制御する。
【0038】
なお、PCS300は、系統事業者から、太陽光発電の出力を抑制する出力抑制信号を受信すると、電力を出力抑制電力に設定する。
【0039】
太陽電池には、接続した負荷の電圧によって取り出せる電流が決まると言う性質がある。電力は、電圧×電流であるので、V×Iが最大になる点が、最大出力点である。PCS300は、所望の動作点から始まり、電流制御によって徐々に太陽電池パネル200の出力電流を増やした時に、PCS300を通過する電力が増えればさらに電流を増やし、逆に増やして電力が減れば電流を減らす方法によって最大電力点に到達する。
【0040】
制御部30はさらに、照度計91を用いて、太陽電池200の入射量に応じた電流電圧特性データを保持する。そして、制御部30は、電流電圧特性データを参照して、照度計から得られる入射データに対応する電圧、電流、電力を算出する。このようにして、算出した電力が、PCS300の出力可能な電力より大きくなる場合、算出電力からPCS300の出力可能な電力を減算して、充電電力を算出する。制御部30は、DC/DC50を制御して、充電電力を、蓄電池20に充電する。
【0041】
上記処理において、制御部は、電流電圧特性データを参照して、照度計から得られる入射データに対応する太陽電池200のMPP(最大電力点:Maximum Power Point)を算出し、太陽電池200のMPPにおける電力から、PCS300の出力可能な電力を減算して、充電電力を算出する。そして、DC/DC50を制御して、MPPにおける電圧下で、算出した充電電力を蓄電池20に充電する。
【0042】
太陽光発電装置10は、系統事業者等から出力抑制を受けると、少なくとも部分的に発電量を抑制して、電力インフラを守るため、系統における電力の需給バランスを保つように制御される。制御部30は、PCS300の出力を、電力計97を用いて監視する。
【0043】
なお、太陽光発電からパワーコンディショナへの電力母線を流れる電圧・電流は、出力抑制の設定により決定されている。よって、抑制出力を超えて太陽光発電装置10が発電している場合は、母線の電圧・電流を検出しても、太陽光発電の潜在出力を検出することができない。そのため、DC/DC50から蓄電池20に一定量の電力を充電し、電力計97の数値と充電電力の総和を計算し、PCS300のMPPT機能が正常に動作し、最大電力が出力されるように制御部30で制御する。また、照度計を用いて、照度計から太陽光発電装置の潜在出力を計算する方法もある。
【0044】
2.電力制御処理
2.1 過剰積載時の蓄電池への充電処理
図2は、過剰積載時の蓄電池への充電処理を示すフローチャートである。過剰積載とは、太陽電池200の出力が、PCS300より出力が大きい状態を示す。なお、過剰積載には、出力抑制によって、PCS定格より抑制された電力より、太陽電池出力が大きくなった場合も含む。制御部30は、PCS300の出力電力と、蓄電池20への充電電力の総和を計算し、電力計97が最大電力を維持しつつ、太陽電池200の出力電力がピークになるように充電電力を調整する。
【0045】
処理が開始すると、制御部30は、出力抑制信号の有無を判断する(S101)。出力抑制があると(S101 Yes)、抑制電力に、PCSの出力可能電力を設定する。
【0046】
制御部30は、電力計97を参照して、PCS300の出力可能電力に達しているか判断する(S102)。この出力可能電力とは、出力抑制が無い場合は、PCS300の定格出力、出力抑制がある場合は、抑制された出力である。出力可能電力に達していない場合(S102 NO)、S121に進んで、充電制御を行わず、S101に戻る。出力可能電力に達している場合(S102 YES)、ステップS111に進む。
【0047】
なお、出力可能電力の判断(S102)は、制御部30が、電流電圧特性データを参照して、照度計91及び温度計92から得られる温度及び照度に対応する太陽電池200のMPP(最大電力点:Maximum Power Point)を計算し、計算したMPPが、出力可能電力を超えているか否かで判断してもよい。
【0048】
S111では、充電電力(kw)の計算をする。充電電力を、PCS300のMPPT制御で行われる電力変化より大きくすると、PCS300は、MPPを維持できなくなる。そのため、電力計97を参照して、MPPとなる出力可能電力を維持しているか監視しながら、充電電力がMPPをずらさない適量に設定する。図3Aは、PVの発電電力を示す図である。PCSの最大値を超えるMPPを計算する。制御部30は、このMPPでの電圧(V peak)に、PCS入口電圧およびDCDC50の母線側電圧を維持する。図3Bは、PCSの出力電力を示す図である。V peakで、MPPTで放電するように、PCS側が制御する。
【0049】
例えば、PCS300の出力の5%を、10秒程度で蓄電池に充電するレートである。定格50kwのPCSの場合、その30%である、15kwほどのレートとなる。また、MPPT制御の時定数より、当該充電電力計算の時定数を早めると、PCSは、MPPを維持できなくなる。そのため、充電電力計算の時定数は、MPPT制御の時定数より長くする。
【0050】
また、S102で計算したMPPを用いて、充電電力を計算してもよい。この時、充電電力は、以下の式で示される。
(充電電力)=(PVの計算MPP)−(PCSの出力可能電力)
【0051】
制御部30は、電池のSOC(充電状態:State Of Charge)が上限に達しない限り(S112)、S111で計算した充電電力を、蓄電池20に充電する(S112)。図3Cは、蓄電池への充電電力を示す図である。PVのMPPを維持するように、蓄電池に充電電力が供給されている。
【0052】
2.2 太陽電池出力がPCS出力可能電力より低いケースの放電処理
図4は、太陽電池出力がPCS出力可能電力より低いケースにおける蓄電池放電処理を示すフローチャートである。
【0053】
S101〜S113は、図2を用いて説明したので、説明を省略する。
放電する場合、PCS300が出力可能電力に至っていない場合(S102 No)、蓄電池からの放電を行う。蓄電池の稼働率の向上を考えると、蓄電池は可能な限り、SOCを低めの状態にして、いつでも充電可能な状態にすることが好ましい。そのため、S201では、可能な限り放電量を最大にするため、PCSの出力可能電力から、計算された太陽電池200のMPPの電力を減算して得られる電力を、蓄電池から放電する。この時、放電電力は、以下の式で示される。
(放電電力)=(PCSの出力可能電力)−(PVの計算MPP)
【0054】
図5Bは、蓄電池の放電を説明する図であり、図5Cは、PCSの出力可能電力を説明する図である。なお、図5B及び図5Cに示されるように、太陽電池200のMPPを維持するため、放電電圧およびPCSの入力電圧は、MPPの電圧(V peak)である。
【0055】
S203では、図5Bで示す放電量を放電する。
【0056】
2.3 太陽電池出力がないケースの放電処理
図6は、太陽電池出力がないケースにおける蓄電池放電処理を示すフローチャートである。
曇り・雨・夜間など、PV発電がない場合、蓄電池からの出力電力を、PV発電と同じような電圧および電流に設定することでPCS300からの出力を行う。
【0057】
制御部30は、太陽電池200の発電がある状態か否かを、照度計91から得られる日射量で判断する(S301)。日射が無いと判断した場合、蓄電池20からの出力電力を、PV発電と同じような電圧および電流を計算し(S302)、放電する(S203)。図7は、蓄電池20からの放電量の一例を示す図である。放電電力は、蓄電池の稼働率の向上を考えると、蓄電池20は可能な限り、SOCを低めの状態にして、いつでも充電可能な状態にすることが好ましい。そのため、放電電力は、PCS300の定格電力とするのが好ましい。
【符号の説明】
【0058】
太陽光発電装置10
電力制御装置100
PCS300
太陽電池200
蓄電池20
制御部30
DC/DC50
パネル照度計91
パネル温度計92
電流電圧計94、96
電力計97
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7