特許第6895209号(P6895209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6895209静電容量タッチスイッチモジュールのバックライト点灯方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895209
(24)【登録日】2021年6月9日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】静電容量タッチスイッチモジュールのバックライト点灯方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/325 20200101AFI20210621BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20210621BHJP
【FI】
   H05B45/325
   H05B45/10
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-36124(P2018-36124)
(22)【出願日】2018年3月1日
(65)【公開番号】特開2019-153405(P2019-153405A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2019年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(73)【特許権者】
【識別番号】000117940
【氏名又は名称】ノリタケ伊勢電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174090
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 光
(74)【代理人】
【識別番号】100100251
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 操
(72)【発明者】
【氏名】武田 由佳利
(72)【発明者】
【氏名】小濱 徹
(72)【発明者】
【氏名】芝田 和久
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−011527(JP,A)
【文献】 特開2008−091311(JP,A)
【文献】 特開2015−109146(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/118975(WO,A1)
【文献】 特開平09−204230(JP,A)
【文献】 実開平06−054298(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/325
H05B 45/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ダイオードバックライトが搭載されている基板の上方に静電容量タッチスイッチパネルが配置され、前記発光ダイオードバックライトがパルス変調方式で駆動されている静電容量タッチスイッチモジュールのバックライト点灯方法であって、
前記複数の発光ダイオードバックライトが前記静電容量タッチスイッチパネルの複数のタッチスイッチの下部にそれぞれ配置されており、
前記発光ダイオードバックライトの駆動により発生する電気的ノイズを以下の方法により抑えることを特徴とする静電容量タッチスイッチモジュールのバックライト点灯方法、
トランジスタのスイッチング制御により、前記パルス変調方式におけるパルス波形のON/OFFタイミングを前記複数の発光ダイオードバックライト同時ではなく相互に分散させ、かつ、オペアンプ制御により、前記パルス変調方式におけるパルス波形の立上りおよび立下りの少なくとも1つに要する時間を長くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電容量タッチスイッチモジュールのバックライト点灯方法に関し、特にLEDバックライトを有する静電容量タッチスイッチモジュールのバックライト点灯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器、AV機器、PC/OA機器、産業機械、その他の電子デバイスにおいて、各機器への入力手段の1つとして静電容量方式のタッチスイッチモジュールが使用されている。この静電容量方式のタッチスイッチモジュールは、スイッチとなる複数のセンサー電極を有するタッチスイッチパネルにおいて、センサー電極の静電容量の変化量を数値化し、その数値が予め決められた閾値をこえるときに指が接触したと判定するマイコンに接続されている。
【0003】
また、タッチスイッチモジュールのスイッチが動作したことをより明確に示すために、センサー電極の背面に発光ダイオード(以下、LEDという。)バックライトを搭載することが多い。このLEDバックライトの数が多くなると、これらのLEDを駆動することにより夕ッチスイッチに影響を与えることがある。
【0004】
従来、複数のLEDを駆動するために必要とされる力率改善制御および定電流制御を両立できるコンバーターを備えたLED点灯装置が知られている(特許文献1)。また、LED点灯装置における電磁ノイズを低減しEMIの発生を抑止できるLED照明装置が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−84616号公報
【特許文献2】特開2013−62032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、LEDを用いた照明装置と、センサー電極の静電容量の変化量を測定する静電容量方式のタッチスイッチモジュールとは、LEDの点灯または消灯に伴う電磁誘導などが大きく影響するため、技術的に異なる分野である。
また、LEDの点灯または照明装置に比較して、静電容量方式のタッチスイッチモジュールは、モジュールの入力電流に占めるLED電流の割合が高くなる傾向にある。特に、LEDバックライトの数が多くなると、モジュールへの入力電流の大半がLED駆動電流となる。このため、LED駆動により電気的変化が生じ、タッチスイッチがLED駆動に伴う電気的変化を検出してしまい誤動作する場合がある。
【0007】
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、LEDバックライトを搭載する静電容量タッチスイッチモジュールにおいて、バックライトの駆動がタッチスイッチの感度に影響を与えにくい静電容量タッチスイッチモジュールのバックライト点灯方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の静電容量タッチスイッチモジュールの点灯方法は、複数のLEDバックライトが搭載されている基板の上方に静電容量タッチスイッチパネルが配置され、上記LEDバックライトがパルス変調方式で駆動されている静電容量タッチスイッチモジュールのバックライト点灯方法であって、上記LEDバックライトの駆動により発生する電気的ノイズを以下の2つの方法の少なくとも1つの方法により抑えることを特徴とする。
(1)上記パルス変調方式におけるパルス波形のON/OFFタイミングを上記複数の発光ダイオードバックライト同時ではなく相互に分散させる。
(2)上記パルス変調方式におけるパルス波形の立上りおよび立下りの少なくとも1つに要する時間を長くする。ここで、LEDバックライトが搭載されている基板の上方とは、静電容量タッチスイッチをタッチ操作する者側の方向をいう。
【0009】
上記電気的ノイズの抑制がトランジスタのスイッチング制御によるか、またはオペアンプ制御によることを特徴とする。
また、上記複数の発光ダイオードバックライトが上記静電容量タッチスイッチパネルの複数のタッチスイッチの下部にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の静電容量タッチスイッチモジュールのバックライト点灯方法は、複数のLEDバックライト駆動により発生する電気的ノイズを、パルス波形のON/OFFタイミングを相互に分散させる、および/または、パルス波形の立上りおよび立下りの少なくとも1つに要する時間を長くすることにより、以下の効果が得られる。
(1)LED駆動によるタッチスイッチヘの誘導ノイズが低減できるので、静電容量タッチスイッチにおける検出感度を向上でき、誤認識率を低下させることができる。
(2)LED駆動による電源の変動を抑えられるため、検出するマイコン等のコントロール部が安定化し、誤認識率を低下させることができる。
(3)モジュール自身より発生するノイズが減るため、静電容量タッチスイッチモジュールが受けるノイズに対してもEMC耐性が上がる。
(4)タッチスイッチの動作マージンが増えるので、製造工程および市場での動作不良が減る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】静電容量タッチスイッチモジュールを示す図である。
図2】パネルの配線網とLED基板の電気的関連を示す図である。
図3】パルス波形とノイズとの関係を示す図である。
図4】複数のLEDを点灯させる場合の波形について示す図である。
図5】スイッチング素子(トランジスタ)の回路図を示す図である。
図6】誘導結合とパルス波形の関係を示す図である。
図7】容量結合とパルス波形の関係を示す図である。
図8】オペアンプ制御を示す回路図である。
図9】ノイズ対策例2および3を実施した場合の誘導結合の結果を示す図である。
図10】ノイズ対策例2および3を実施した場合の容量結合の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例として、本発明の静電容量タッチスイッチモジュールの一例を図1に示す。図1(a)は斜視図を、図1(b)は(a)のA−A断面図をそれぞれ示す。図1に示す静電容量タッチスイッチモジュール1は、タッチスイッチパネル2とLEDバックライトおよびタッチスイッチコントロール基板(以下、LEDバックライト基板という)3とから構成されている。
タッチスイッチパネル2は、ガラス等の透光性カバー2aの裏面にセンサー電極およびスイッチデザイン4(以下、センサー電極という)を印刷またはレーザートリミング等で施し、このセンサー電極4はタッチスイッチコントロール配線網9に接続されている。LEDバックライト基板3は、センサー電極4に対応した複数のLEDバックライト6が搭載されているプリント基板(PCB)5から構成され、プリント基板5にはLEDバックライトおよびタッチスイッチコントロール部(以下、コントロール部という)7が実装されている。タッチスイッチパネル2とLEDバックライト基板3とはFPC等の接続部8により接続されている。コントロール部7において、LEDバックライト6はパルス変調方式で駆動される。ここで、パルス変調方式による駆動とはパルス幅変調がされたパルス波形により駆動されることをいう。
【0013】
上記構成の静電容量タッチスイッチモジュール1において、カバー2aの表面を指で触れると、センサー電極4と指との間で静電結合が起きて電極の静電容量が変化する。センサー電極4はスイッチデザインに対応した複数位置に分けて設けられ、各センサー電極4は配線網9と接続部8でLEDバックライト基板3とそれぞれ接続される。センサー電極4における静電容量の変化量がLEDバックライト基板3で数値化され、その数値が予め決められた閾値をこえるときに指が接触したと判定される。これにより静電容量タッチスイッチモジュール1は、いずれのセンサー電極4の静電容量が変化したかを検知でき、指がいずれのタッチスイッチ部分に触れたかを検出できる。
【0014】
静電容量タッチスイッチモジュール1には、タッチスイッチパネル2のセンサー電極4(スイッチデザイン)が動作したことをより明確に示すためにLEDバックライト基板3が搭載されている。静電容量タッチスイッチをタッチ操作する者側の方向からみて、タッチスイッチパネル2、LEDバックライト基板3の順に配置されている。センサー電極44が触れられるとLEDバックライト6が点灯/消灯/輝度変化/点滅等を行ないスイッチが押されたことを表示する。また、LEDバックライト基板3に搭載されているLEDバックライト6を駆動するための電流は、タッチスイッチパネルを制御するための電流よりも大きい。特にLEDバックライト6が多く搭載される場合、モジュールの入力電流に占めるLED電流の割合が高くなる傾向にあり、大半がLED駆動電流となる。
【0015】
静電容量タッチスイッチモジュール1における、タッチスイッチパネル2のタッチスイッチコントロール配線網9と、LEDバックライト基板3のコントロール部7との関係を図2に示す。図2は、配線網9とコントロール部7との電気的関連を示す図である。
LEDバックライト6を点灯/消灯/輝度変化/点滅等させるパルス波形がON/OFFすると電流の変動ΔIが発生する。電流が流れることで電圧の変動ΔVも発生する。タッチスイッチパネル2の配線網9とLEDバックライト基板3のコントロール部7との間には、キャパシタンスCによる容量結合、およびインダクタンスLによる誘導結合がある。この容量結合はキャパシタンスCを、誘導結合はインダクタンスLをそれぞれ小さくすれば小さくできる。
タッチスイッチパネル2とLEDバックライト基板3との距離を離すことにより、容量結合および誘導結合を小さくすることは可能であるが、タッチスイッチパネル2の下にLEDバックライト基板3およびLEDバックライト6を配置しなければならなくなる。また、厚さ制限などから、図1に示すタッチスイッチパネル2とLEDバックライト基板3との間隔を狭くせざるを得ず、近年の静電容量タッチスイッチモジュール1にとって容量結合および誘導結合を小さくすることは困難な場合が多い。
【0016】
誘導結合は、図2に示すように、LEDバックライト基板3のコントロール部7にパルス波形の電流が流れ、この電流変動ΔIにより、タッチスイッチパネル2の配線網9に誘導電圧eが誘導される現象をいう。誘導電圧eはインダクタンスLと(ΔI/Δt)との積に比例する。Δtはパルス波形におけるターンオン/ターンオフに要する時間である。すなわち、パルス波形の立上りおよび/または立下りに要する時間である。インダクタンスLは組み立てられたモジュールの構造により定まるので、誘導電圧eは単位時間当たりの電流変化(=ΔI/Δt)に比例する。それ故、誘導電圧eはΔIを小さくΔtを大きくすれば小さくできる。
【0017】
容量結合は、図2に示すように、LEDバックライト基板3のコントロール部7にパルス波形の電流が流れ、この電流変動ΔIによって生じる電圧変動ΔVにより、タッチスイッチパネル2の配線網9に誘導電圧Vが誘導される現象をいう。誘導電圧VはキャパシタンスCと(ΔV/Δt)との積に比例する。Δtはパルス波形におけるターンオン/ターンオフに要する時間である。すなわち、パルス波形の立上りおよび/または立下りに要する時間である。キャパシタンスCは組み立てられたモジュールの構造により定まるので、誘導電圧Vは単位時間当たりの電圧変化(=ΔV/Δt)に比例する。それ故、誘導電圧VはΔVを小さくΔtを大きくすれば誘導電圧Vを小さくできる。
【0018】
上記誘導電圧Vおよび誘導電圧eはLEDバックライトの駆動により発生する電気的ノイズとなる。このノイズは複数のLEDを点灯させるときに発生しやすい。パルス波形とノイズとの関係を図3に示す。図3(a)はパルス波形を、図3(b)は周波数に対するノイズレベルを示す。
ノイズレベルは、図3(b)においてCで表すA(=ΔVまたはΔA)の値を下げることにより小さくできる。本発明は、パルス変調方式におけるパルス波形のON/OFFタイミングを複数の発光LEDバックライト同時ではなく相互に分散させることでこのAの値を下げることができ、ノイズレベルを下げることができる。また、図3(b)においてDで表すように、Δtを長くすることにより、ノイズ周波数を下げることができる。周波数が高いほど放射されやすいノイズの原因を抑えることができる。
【0019】
複数のLEDを点灯させる場合の波形について図4に示す。図4(a)はLEDを同時に点灯させる場合の波形を、図4(b)はLED点灯タイミングをずらす場合の波形を、図4(c)はさらにそれぞれのΔtを制御する場合の波形をそれぞれ示す。また、(a)〜(c)において、図面左側に個々のLED波形を、図面右側に全体の波形を、時間軸の上側にLED電流変化を、下側にLED電圧変化をそれぞれ示す。
従来例のように、複数のLEDを同時に点灯させる場合(図4(a))、個々の電流波形のピークが重なる。同時に電圧降下が重なる。その結果、全体としての波形は電流波形のピークが大きくなり、同時に電圧降下が大きくなり、ノイズが大きくなる。
【0020】
複数のLEDを同時に点灯させる場合に対して、LED点灯タイミングをずらす場合(図4(b))、電流波形のピークと電圧降下とがずれることになる。ピークが全体波形に埋もれることになる。全体波形としては電流増加の傾きが緩やかになりノイズが減少する。同様に電圧降下が分散することでノイズが減少する。
【0021】
上記図4(b)の効果に対して、さらにそれぞれのΔtを制御する場合(図4(c))、個々の波形にピークがなく、電圧降下も少なくなることに加えて、Δtを制御することにより、タッチスイッチ制御に影響を与えにくい周波数に調整することが可能となる。また、電圧降下がより分散する。その結果、ノイズをさらに低減できる。
【0022】
タッチスイッチパネル2には複数のタッチスイッチとなるセンサー電極4が配置され、この複数のセンサー電極4にそれぞれ対応してLEDバックライト基板3上にバックライト6が配置されている。ここで、LEDバックライト1個当たりΔIの電流変動およびΔVの電圧変動が発生するので、n個のLEDバックライトが搭載され、n個同時に点灯した場合、電流および電圧変動はn倍となる。例えば16個のLEDバックライトを同時に点灯した場合、16×ΔI、16×ΔVの変動が発生する。すなわち、誘導結合により16×(ΔI/Δt)に比例した誘導電圧eが、容量結合により16×(ΔV/Δt)に比例した誘導電圧Vがタッチスイッチパネル2の配線網9に発生する。これらの誘導電圧Vおよび誘導電圧eは、電気的ノイズとなりタッチスイッチパネル2の検出感度を低下させる。
【0023】
LEDバックライトの駆動により発生する電気的ノイズを抑える方法の1つとして、上述したように、パルス波形のON/OFFタイミングをスイッチング素子(トランジスタ)を用いて、16個のLEDバックライト同時ではなく相互に分散させる方法がある。この方法を対策例1として、図5図7により説明する。図5はスイッチング素子(トランジスタ)の回路図を、図6は誘導結合とパルス波形の関係を、図7は容量結合とパルス波形の関係をそれぞれ示す。なお、図6および図7において、Δtは拡大して表記してある。
【0024】
図5に示すトランジスタを用いたスイッチング素子において、点灯周期Tを10msおよびデューティを70%にて、16個のLEDバックライトを駆動した。トランジスタのターンオン/ターンオフに要する時間であるΔtは点灯周期に比較して、極めて短い。例えば点灯周期10msに対してΔtを100nsとすると、Δt/Tは0.001%であり、16×Δt/Tとしても0.016%である。以上の結果、LEDを分散点灯させる方法として、点灯タイミングを順次ずらした場合であっても、見た目の影響は無視できる。
【0025】
図6および図7は、16個のLEDバックライトを同時に点灯させるときのパルス波形を「通常点灯」として左側に、ノイズ対策1のパルス波形を「ノイズ対策例1」として右側にそれぞれ示す。図6は誘導結合、図7は容量結合の結果をそれぞれ示す。
ノイズ対策例1は、トランジスタのターンオン/ターンオフタイミングを順にΔtずらした例である。すなわちLEDの点灯開始時間をLED01→Δt→LED02→・・・Δt→LED16としたものである。
【0026】
ノイズ対策例1の結果、LEDバックライト点灯に伴う誘導電圧eの発生を1/16に低減できる(図6)。これは誘導電圧eがインダクタンスLと(ΔI/Δt)との積に比例するためである。同様に、LEDバックライト点灯に伴う誘導電圧Vの発生を1/16に低減できる(図7)。これは誘導電圧VがキャパシタンスCと(ΔV/Δt)との積に比例するためである。
【0027】
図8はオペアンプ制御を示す回路図である。図8は、オペアンプ回路のマイナス(−)端子と出力端子を接続した負帰還回路を有するボルテージフォロア回路を導入したオペアンプ回路の例である。オペアンプボルテージフォロア回路により、トランジスタ素子のターンオン/ターンオフに要する時間を調整できる。すなわち、Δtを長くして、n倍のΔt’とすることができる。また、ボルテージフォロア回路はオペアンプのプラス(+)端子に入力される波形と相似の電流波形になり、入力波形のターンオン/ターンオフに要する時間がΔt’ならば電流波形のターンオン/ターンオフに要する時間もΔt’となる。なお、例えば点灯周期10msに対してΔt’がΔtの4倍の400nsになったとしても、16×Δt’/Tは0.064%であり、ターンオン/ターンオフに要する時間を長くしても、その見た目の影響は無視できる。
【0028】
オペアンプ制御を用いたノイズ対策例2およびノイズ対策例3について、図9および図10に示す。図9はノイズ対策例2および3を実施した場合の誘導結合の結果を、図10はノイズ対策例2および3を実施した場合の容量結合の結果をそれぞれ示す。
ノイズ対策例2は、トランジスタ素子のターンオン/ターンオフに要する時間をΔtの4倍であるΔt’に長くする対策例である。ノイズ対策例3は、トランジスタ素子のターンオン/ターンオフに要する時間をΔt’にすると共に、ターンオン/ターンオフタイミングをΔt’ずらす対策例である。LEDバックライトの数、点灯周期Tおよびデューティはノイズ対策例1と同じである。
【0029】
ノイズ対策例2の結果、LEDバックライト点灯に伴う誘導電圧eおよび誘導電圧Vの発生をそれぞれ1/4に低減できる(図9および図10)。
ノイズ対策例3の結果、LEDバックライト点灯に伴う誘導電圧eおよび誘導電圧Vの発生をそれぞれ1/64に低減できる(図9および図10)。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の静電容量タッチスイッチモジュールのバックライト点灯方法は、LEDバックライト駆動により発生する電気的ノイズを低減できるので、検出感度に優れる。その結果、LEDバックライトを備えた静電容量タッチスイッチモジュール全般に利用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 静電容量タッチスイッチモジュール
2 タッチスイッチパネル
3 LEDバックライトおよびタッチスイッチコントロール基板
4 センサー電極およびスイッチデザイン
5 プリント基板
6 LEDバックライト
7 LEDバックライトおよびタッチスイッチコントロール部
8 接続部
9 タッチスイッチコントロール配線網
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10