(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
<第1の実施形態の健全性判定システムの構成>
図1は、第1の実施形態に係る健全性判定システムの構成の一例を示すブロック図である。健全性判定システム10は、
図1に示されるように、搭載装置12と健全性判定装置13とを備える。
【0020】
搭載装置12は、移動体に搭載される。移動体としては、例えば、飛行機、無人飛行機の一例であるドローン、ヘリコプター、及び自動車等が挙げられる。搭載装置12は、
図1に示されるように、カメラ14とコンピュータ16とを含んだ構成で表すことができる。カメラ14は撮像装置の一例である。
【0021】
カメラ14は、移動体の位置から撮像される建物の動画像を取得する。例えば、移動体の一例であるヘリコプターに搭載装置12を搭載させた場合、
図2に示されるように、カメラ14は、ヘリコプター2Aの下方向に存在する、単一または複数の建物2Bを含む動画像を撮像する。また、カメラ14により撮像された動画像を安定させるために、例えば、スタビライザー2C等が備えられていても良い。
【0022】
コンピュータ16は、CPU(Central Processing Unit)、各処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、記憶手段としてのメモリ、ネットワークインタフェース等を含んで構成される。コンピュータ16は、機能的には、
図1に示されるように、動画像記憶部18と、制御部20とを含んだ構成で表すことができる。
【0023】
動画像記憶部18には、カメラ14によって撮像された動画像が格納される。
【0024】
制御部20は、所定の制御信号に応じて、動画像記憶部18に格納された動画像を、健全性判定装置13へ出力する。
【0025】
健全性判定装置13は、搭載装置12のカメラ14によって撮像された動画像に基づいて、動画像に含まれる建物の健全性を判定する。健全性判定装置13は、
図1に示されるように、コンピュータ22と、表示部24とを備える。表示部24は、例えばディスプレイ等によって実現される。
【0026】
コンピュータ22は、CPU、各処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM、RAM、メモリ、ネットワークインタフェース等を含んで構成される。コンピュータ22は、機能的には、
図1に示されるように、解析部25と、データ保存部30と、判定部44と、表示制御部46とを含んだ構成で表すことができる。解析部25は、計測装置の一例である。
【0027】
取得部26は、搭載装置12から出力された動画像を取得し、情報記憶部28へ格納する。情報記憶部28には、取得部26によって取得された動画像が格納される。
【0028】
データ保存部30は、建物情報データベース32と、解析結果データベース34と、判定結果データベース36とを備える。
【0029】
建物情報データベース32には、複数の建物の各々について、例えば、建物の識別情報を表すIDと建物の外観に関する情報とが対応付けられて格納されている。例えば、複数の建物の各々について、建物の外観のうち特徴的な部分を表す特徴点及び当該特徴点の特徴量が、建物の外観に関する情報として建物毎に格納される。また、建物の高さや建築面積や構造種別などの情報も格納される。
【0030】
解析結果データベース34には、後述する計測部42によって得られた解析結果が格納される。また、解析結果データベース34には、前回までの処理によって得られた過去の解析結果が建物毎に格納されている。
【0031】
判定結果データベース36には、後述する判定部44によって得られた判定結果が格納される。また、判定結果データベース36には、前回までの処理によって得られた過去の判定結果が建物毎に格納されている。
【0032】
建物識別部38は、情報記憶部28に格納された動画像の各フレーム画像について、複数の建物が含まれているか否かを判定する。例えば、建物識別部38は、画像処理技術を用いて、各フレーム画像に複数の建物が含まれているか否かを判定する。そして、建物識別部38は、判定結果に応じて、動画像の各フレーム画像に含まれている建物の領域を表す建物領域を切り分ける。
【0033】
次に、建物識別部38は、建物情報データベース32を参照し、動画像の各フレーム画像の建物領域が、建物情報データベース32に格納されている何れの建物に該当するかを識別する。例えば、建物識別部38は、画像処理技術の特徴点トラッキングに関する技術を用いて、各フレーム画像の建物領域から得られる特徴点及び特徴量と、建物情報データベース32に建物ID毎に格納されている特徴点及び特徴量との間で対応付けを行う。そして、建物識別部38は、対応付け結果に基づいて、建物領域が何れの建物IDに該当するかを特定することにより、各フレーム画像中の建物を識別する。なお、建物領域の切り分け及び識別は人手によって行ってもよい。
【0034】
除去部40は、情報記憶部28に格納された動画像から、建物IDが同一の建物領域毎に、カメラ14の移動を表す移動成分とカメラ14の振動成分とを除去する。具体的には、除去部40は、動画像の各フレーム画像中の、建物IDが同一の建物領域に対して時空間周波数解析を行い、時空間周波数解析結果から、予め定められたカメラ14の移動を表す移動成分とカメラ14の振動成分とを除去する。
【0035】
建物は常時微動しており、常時微動から建物の固有振動数を取得することができる。また、建物の固有振動数に基づき、建物の健全性を判定することができる。そのため、本実施形態では、移動体に搭載されたカメラ14により撮像された動画像から建物の常時微動を検出し、常時微動から得られる固有振動数に基づいて建物の健全性を判定する。
【0036】
また、建物の常時微動に関する振動の時空間周波数帯域は、カメラ14の移動成分の時空間周波数帯域及びカメラ14に起因する振動成分の時空間周波数帯域とは異なる。そのため、除去部40は、動画像の各フレーム画像中の、建物IDが同一の建物領域に対して時空間周波数解析を行い、建物の振動の時空間周波数帯域とは異なる時空間周波数帯域を除去するように、時空間周波数解析結果に対してフィルタリングを行う。時空間周波数解析結果に対するフィルタリングとしては、カメラ14の移動に対応する時空間周波数帯域の成分及びカメラ14に起因する振動に対応する時空間周波数帯域の成分が動画像から除外されるように、時空間周波数解析結果に対し、各時空間周波数帯域の成分に関する閾値を予め設定する。これにより、動画像から、カメラ14の移動を表す移動成分とカメラ14の振動成分とが除去され、建物の振動成分が抽出される。
【0037】
例えば、上記非特許文献1の技術を用いる場合、まず、動画像の各フレーム画像中の、建物IDが同一の建物領域に対して、空間解像度及び方向性毎に複素直交フィルタを用いて空間微分を行い空間的な位相・振幅相当のデータに変換し、動画像の各フレーム画像の建物領域の空間解像度及び方向性毎の空間位相・振幅データを取得する。そして、各フレーム画像の各空間解像度及び各方向性の空間位相データについて、画素毎に時間的な変化を求め、空間位相データの画素毎の時間的な変化に対して時間的な周波数解析を行うことにより、空間解像度及び方向性毎に分解された振動の時間周波数スペクトルデータを求める。この各スペクトルデータが様々な時空間周波数および方向性の情報を含む振動データの集合を表現している。そして、空間解像度及び方向性の選択を行って、さらに時間的なバンドパスフィルタを施すことで、カメラ14の移動に対応する移動量を表す振動データ及びカメラ14に起因する振動に対応する振動データを除去する。これにより、建物の振動の時空間周波数帯域とは異なる時空間周波数帯域が除去され、建物の振動に対応する振動データのみが抽出される。
【0038】
なお、動画像の各フレーム画像中の、建物IDが同一の建物領域に対して、特徴点トラッキングを行い、カメラ14の移動に対応する移動量を表す建物領域の振動データを求め、この移動量を除去するように各フレーム画像に対して射影変換などの画像変換を施すことで、カメラ14の移動に対応する移動量を表す振動データを除去してもよい。
【0039】
計測部42は、建物識別部38によって識別された建物の各々について、除去部40によってカメラ14の移動成分及び振動成分が除去された、動画像の各フレーム画像中の当該建物の振動に対応する振動データに基づいて、当該建物の振動を計測する。
【0040】
具体的には、計測部42は、建物識別部38によって識別された建物の各々について、除去部40によって得られた当該建物の振動データに基づいて、当該建物の振動の一例である固有振動数を計測する。除去部40によって得られた当該建物の振動データは、カメラ14の移動成分及び振動成分が除去されているため、動画像の各フレーム画像に含まれる各建物の固有振動数を取得することができる。また、建物の振動の一例として振動モードを併せて計測してもよい。
【0041】
そして、計測部42は、建物識別部38によって識別された建物の各々について計測された固有振動数を、建物IDと対応付けて解析結果データベース34へ格納する。
【0042】
解析結果データベース34には、建物の識別情報を表す建物IDと、計測部42によって計測された建物の振動とが対応付けられて格納される。また、解析結果データベース34には、過去に撮像された動画像に基づき計測された建物毎の固有振動数が格納されている。
【0043】
図3(A)に、解析結果データベース34に格納される解析結果の一例を示す。解析結果データベース34には、例えば
図3(A)に示されるように、建物IDと、動画像の撮像日と、建物の固有振動数[Hz]と、建物の建築面積[m
2]等とが対応付けられて格納される。固有振動数[Hz]は、対応する撮像日に撮像された動画像に基づき計測されたことを表す。そのため、解析結果データベース34には、建物毎に、過去に撮像された動画像に基づき計測された固有振動数が時系列で格納される。なお、建物構造及び地盤構造等に関する詳細情報が存在する場合には、それらの情報も格納してもよい。
【0044】
判定部44は、解析結果データベース34に格納された建物毎の振動に基づいて、各建物の健全性を判定する。具体的には、判定部44は、解析結果データベース34に格納されている固有振動数の時系列を建物毎に読み出す。次に、判定部44は、建物毎に、建物の健全性の一例である固有振動数の変化率を算出する。例えば、固有振動数の変化率の絶対値が大きいほど建物の健全性は低く、固有振動数の変化率の絶対値が小さいほど建物の健全性高い。そのため、判定部44は、建物毎に、固有振動数の変化率に応じた健全性スコアを算出する。例えば、判定部44は、固有振動数の変化率の絶対値が大きいほど健全性スコアが小さくなり、固有振動数の変化率の絶対値が小さいほど健全性スコアが大きくなるように、各建物の健全性スコアを算出する。
【0045】
また、判定部44は、建物毎に、健全性スコアと予め設定した閾値とに基づいて、建物の状態を判定し、健全性判定結果を得る。そして、判定部44は、建物毎の健全性スコアと健全性判定結果とを、判定結果データベース36に格納する。
【0046】
図3(B)に、判定結果データベース36に格納される判定結果の一例を示す。判定結果データベース36には、例えば
図3(B)に示されるように、建物IDと、動画像の撮像日と、健全性スコアと、健全性判定結果等とが対応付けられて格納される。そのため、判定結果データベース36には、建物毎に、過去に撮像された動画像に基づき計測された健全性スコア及び健全性判定結果が時系列で格納される。
【0047】
表示制御部46は、建物情報データベース32、解析結果データベース34、及び判定結果データベース36に格納された情報を読み出し、各建物の健全性を表示するように、表示部24を制御する。例えば、表示制御部46は、
図4に示されるように、建物の動画像が撮像された撮像日と、当該撮像日に撮像された動画像から算出された固有振動数と、健全性判定結果とを動画像のフレーム画像と対応付けて、表示部24に表示させる。上記
図4に示す例では、建物4Aには健全性判定結果として「警告」が表示されており、健全性が低いことがわかる。また、建物4Bには健全性判定結果として「安全」が表示されており、健全性は良いことがわかる。
【0048】
ユーザは、表示部24によって表示された結果を確認する。ユーザは、表示部24によって表示された結果に基づき、健全性が疑われる場合は検査員又は作業員へ詳細な調査を促す。
【0049】
<健全性判定装置の作用>
次に、
図5を参照して、健全性判定装置13の作用を説明する。移動体に備えられた搭載装置12のカメラ14によって建物の動画像が撮像され、健全性判定装置13に入力されると、健全性判定装置13の取得部26は、動画像を取得し情報記憶部28へ格納する。そして、健全性判定装置13は、建物の健全性判定開始に関する制御信号を受け付けると、以下の流れに従って健全性判定処理を行う。
【0050】
ステップS100において、建物識別部38は、情報記憶部28に格納された動画像を取得する。
【0051】
ステップS102において、建物識別部38は、画像処理技術を用いて、動画像の各フレーム画像に含まれている建物領域を認識する。
【0052】
ステップS104において、建物識別部38は、上記ステップS102の認識結果に基づいて、動画像の各フレーム画像に複数の建物領域が含まれているか否かを判定する。動画像の各フレーム画像に複数の建物領域が含まれている場合には、ステップS106へ進む。一方、動画像の各フレーム画像に複数の建物領域が含まれていない場合には、ステップS107へ進む。
【0053】
ステップS106において、建物識別部38は、上記ステップS104での判定結果に応じて、動画像の各フレーム画像に含まれている建物領域を切り分ける。
【0054】
ステップS107において、建物識別部38は、上記ステップS106で切り分けられた複数の建物領域のうち、1つの建物領域を設定する。なお、上記ステップS104において単一の建物領域しか存在しないと判定された場合には当該建物領域を設定する。
【0055】
ステップS108において、建物識別部38は、建物情報データベース32を参照し、上記ステップS107で設定された建物領域が、建物情報データベース32に格納されている何れの建物に該当するかを識別する。
【0056】
ステップS110において、除去部40は、上記ステップS100で取得された動画像または上記ステップS106で切り分けられた動画像領域に対して時空間周波数解析を行う。そして、除去部40は、建物の振動の時空間周波数帯域とは異なる時空間周波数帯域を除去するように、時空間周波数解析結果に対してフィルタリングを行い、カメラ14の移動を表す移動成分とカメラ14の振動成分とを除去する。
【0057】
ステップS112において、計測部42は、上記ステップS110で得られた時空間周波数解析結果に基づいて、上記ステップS108で識別された建物についての時間的な固有振動数を計測する。
【0058】
ステップS114において、計測部42は、上記ステップS108で識別された建物について、上記ステップS112で計測された固有振動数を、建物ID及び撮像日と対応付けて解析結果データベース34へ格納する。
【0059】
ステップS116において、判定部44は、上記ステップS108で識別された建物について、判定結果データベース36に格納されている固有振動数の時系列を読み出す。次に、判定部44は、上記ステップS108で識別された建物について、固有振動数の変化率を算出する。そして、判定部44は、固有振動数の変化率に応じて健全性スコアを算出する。また、判定部44は、上記ステップS108で識別された建物について、健全性スコアと予め設定した閾値とに基づいて、建物の状態を判定し、健全性判定結果を得る。
【0060】
ステップS118において、判定部44は、上記ステップS116で算出された健全性スコアと健全性判定結果とを、判定結果データベース36に格納する。
【0061】
ステップS120において、判定部44は、上記ステップS106で切り分けられた複数の建物領域の全てについて、上記ステップS107〜ステップS118の処理を実行したか否かを判定する。全ての建物領域について、上記ステップS107〜ステップS118の処理を実行した場合には、健全性判定処理を終了する。一方、上記ステップS107〜ステップS118の処理を実行していない建物領域が存在する場合には、ステップS107へ戻る。なお、上記ステップS104において、単一の建物領域と判定された場合には、健全性判定処理を終了する。
【0062】
以上詳細に説明したように、第1の実施形態では、移動体が備えるカメラによって撮像された建物の動画像から、カメラ14の移動を表す移動成分を除去し、移動成分が除去された動画像の各フレーム画像に基づいて、建物の振動を計測する。これにより、単一または複数の建物の振動を効率的に取得することができる。
【0063】
また、建物の振動の時空間周波数と異なる時空間周波数帯域に対応するカメラの移動成分や振動成分を除去することにより、単一または複数の建物の振動を精度よく取得することができる。そして、移動体に搭載されたカメラによって撮像された建物の動画像に基づいて、単一または複数の建物の健全性を効率的に判定することができる。
【0064】
従来の建物の健全性判定システムでは、建物毎にセンサを設置する必要があるため、当該健全性判定システムを導入した建物しか健全性を判定することができない。そのため、例えば、震災が発生した場合、健全性判定システムが導入されていない建物については、建設会社又は建物管理会社等が、建物の健全性の一次診断作業を建物毎に個別に実施する必要がある。
【0065】
一方、本実施形態では、カメラによって撮像された動画像から複数の建物の健全性を判定することができるため、各建物へセンサを設置する必要がなく、建物の健全性を広域的かつ迅速に判定することができる。これにより、例えば、震災が発生した場合、広域的な地域で求められた建物の健全性に基づき、個々の建物毎に適切な避難誘導が可能となり、余震等による建物の倒壊などに伴う人命被害を抑制することができる。また、震災後の復旧及び復興計画において、建物の健全性から得られる危険度に応じて、改修又は建築等に関する適切な優先度付けが可能になる。
【0066】
なお、震災が発生した後の道路寸断等の状況を考慮すると、移動体としてはヘリコプター又は無人航空機等が用いられ、空撮によって動画像が撮像されることが好ましい。移動体がヘリコプター又は無人航空機等である場合、空撮による動画像の撮像により、街及び都市レベルの範囲で不特定多数の建物に対する健全性を取得することができる。このため、長期的なモニタリングにより収集された建物の健全性に関する情報を根拠とした、耐震改修計画の策定等の建物のライフサイクル管理等にも活用することができる。
【0067】
<第2の実施形態の建物管理システムのシステム構成>
次に、第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0068】
第2の実施形態では、第1の実施形態の健全性判定システム10によって得られた建物の健全性を管理する点が、第1の実施形態と異なる。
【0069】
図6は、第2の実施形態に係る建物管理システムの構成の一例を示すブロック図である。建物管理システム210は、機能的には、
図6に示すように、健全性管理装置50、データ運用装置60、及びユーザ端末70を含んだ構成で表すことができる。健全性管理装置50、データ運用装置60は、CPU、ROM、RAM、メモリ、ネットワークインタフェース等を含むコンピュータによって構成される。
【0070】
健全性管理装置50は、健全性データベース236と、制御部52と、通信部54とを備える。健全性データベース236は記憶部の一例である。
【0071】
健全性データベース236には、第1の実施形態の健全性判定装置13によって得られた各建物の健全性に関する情報の一例である、固有振動数、健全性スコア、及び健全性判定結果等が格納されている。例えば、健全性データベース236には、
図7(A)に示されるようなテーブルが格納される。
図7(A)に示すテーブルには、建物ID、建物名称、所有者名、撮像日、固有振動数、健全性スコア、及び健全性判定結果等が対応付けられて格納される。
【0072】
制御部52は、後述するデータ運用装置60から送信された、特定の建物に関する情報を含む問い合わせ情報を取得する。特定の建物に関する情報としては、例えば、建物ID及び建物名称等が含まれる。そして、制御部52は、健全性データベース236から、問い合わせ情報と一致する建物ID、建物名称、健全性スコア、及び健全性判定結果の情報を取得し、通信部54を介してデータ運用装置60へ送信する。通信部54は、データ運用装置60との間で情報の送受信を行う。
【0073】
データ運用装置60は、
図6に示されるように、通信部62と、公開情報データベース64と、公開部66と、認証用データベース67と、制御部68とを備える。制御部68は、受付部、問い合わせ処理部、及び出力部の一例である。通信部62は、健全性管理装置50及びユーザ端末70との間で情報の送受信を行う。
【0074】
公開情報データベース64には、単一または複数の建物の各々について、建物の健全性が、第1の実施形態の健全性判定装置13によって判定されているか否かに関係する情報を表す公開情報が格納される。例えば、公開情報データベース64には、建物の動画像が取得済みであるか否かの情報、建物の固有振動数が取得済みであるか否かの情報、及び建物の健全性が判定済みであるか否かの情報の少なくとも1つが、公開情報として格納される。また、建物IDに対応する建物の各々について、当該建物の地図上の位置情報(例えば、住所等)が併せて格納されていてもよい。
【0075】
公開部66は、公開情報データベース64に格納されている公開情報を外部に公開する。例えば、公開部66は、建物の地図上の位置情報と対応付けて、ユーザが公開情報を閲覧できるように公開する。
【0076】
認証用データベース67には、証拠情報及び建物IDが対応付けられて格納される。例えば、認証用データベース67には、
図7(B)に示されるようなテーブルが格納される。
【0077】
制御部68は、後述するユーザ端末70から送信された、問い合わせをする特定の建物に関する情報を含む問い合わせ情報を取得する。特定の建物に関する情報には、例えば建物ID、建物名称、所有者名、及び証拠情報等が含まれる。証拠情報とは、例えば、建物の所有者であることを証明する情報(例えば、不動産登記情報等)である。
【0078】
制御部68は、問い合わせ情報が予め定められた条件を満たすか否かを判定する。例えば、制御部68は、認証用データベース67に格納されたテーブルを参照し、建物ID及び証拠情報と、認証用データベース67のテーブルの各情報とが一致するか否かを判定する。そして、制御部68は、問い合わせ情報とテーブルの情報とが一致する場合には、問い合わせ情報を健全性管理装置50へ送信する。ユーザ端末70から送信された建物IDに対応する証拠情報と、認証用データベース67のテーブルに格納された建物IDに対応する証拠情報とが一致するか否かを判定することにより、建物の所有者のみに当該建物の健全性に関する情報が開示される。そして、制御部68は、健全性管理装置50から送信された建物ID及び健全性に関する情報を取得する。そして、制御部68は、取得された健全性に関する情報をユーザ端末70へ出力する。
【0079】
ユーザ端末70は、
図6に示されるように、コンピュータ72と、操作部74と、表示部76とを備える。コンピュータ72は、機能的には、
図6に示されるように、制御部78と、通信部79とを備える。操作部74は、ユーザの操作情報を受け付ける。また、表示部76は、コンピュータ72の制御部78の制御信号に応じて、コンピュータ72による処理結果等を表示する。
【0080】
操作部74が、公開情報の閲覧を指示するユーザからの操作情報を受け付けると、制御部78は、公開部66によって公開されている公開情報を取得し、表示部76に表示させる。そして、ユーザは、表示部76に表示された公開情報を閲覧する。例えば、ユーザが所有する建物の健全性が判定されている旨が公開情報に示されていた場合、ユーザが当該建物の健全性に関する情報を取得したいときには、ユーザは操作部74に問い合わせ情報を入力する。
【0081】
そして、制御部78は、操作部74により受け付けた問い合わせ情報を、通信部79を介してデータ運用装置60へ送信する。データ運用装置60では、認証処理が行われ、認証処理に合格した場合には、データ運用装置60は、建物の健全性に関する情報を健全性管理装置50から取得する。そして、データ運用装置60は、建物の健全性に関する情報をユーザ端末70へ送信する。ユーザ端末70の制御部78は、建物の健全性に関する情報を表示部76に表示させる。ユーザは、表示部76に表示された建物の健全性に関する情報を取得する。
【0082】
<建物管理システムの作用>
次に、
図8を参照して、建物管理システム210の作用を説明する。
【0083】
まず、ステップS200において、ユーザ端末70の操作部74が、公開情報の閲覧を指示するユーザからの操作情報を受け付けると、ユーザ端末70の制御部78は、データ運用装置60の公開部66によって公開されている公開情報を取得する。そして、ユーザ端末70の制御部78は、公開情報を表示部76に表示させる。そして、ユーザは、表示部76に表示された公開情報を閲覧する。
【0084】
上記ステップS200で取得された公開情報の閲覧の結果、ユーザが所有する建物の健全性が判定されている旨が公開情報に示され、かつユーザが当該建物の健全性に関する情報を取得したい場合には、ユーザはユーザ端末70の操作部74へ問い合わせ情報を入力する。
【0085】
ステップS201において、ユーザ端末70の制御部78は、操作部74により受け付けた問い合わせ情報を、通信部79を介してデータ運用装置60へ送信する。
【0086】
データ運用装置60の制御部68は、上記ステップS201でユーザ端末70から送信された問い合わせ情報が、認証用データベース67のテーブルの各情報と一致するか否かを判定する。
【0087】
そして、制御部68は、問い合わせ情報が認証用データベース67のテーブルの各情報と一致する場合、ステップS202において、問い合わせ情報を健全性管理装置50へ送信する。
【0088】
ステップS204において、健全性管理装置50の制御部52は、データ運用装置60から送信された問い合わせ情報に含まれる建物IDに対応する健全性に関する情報を、データ運用装置60へ送信する。
【0089】
ステップS206において、データ運用装置60の制御部68は、上記ステップS204で健全性管理装置50から送信された健全性に関する情報を、ユーザ端末70へ送信する。
【0090】
ユーザ端末70の制御部78は、上記ステップS206でデータ運用装置60から送信された健全性に関する情報を取得し、健全性に関する情報を表示部76に表示させる。ユーザは、表示部76に表示された健全性に関する情報を確認する。
【0091】
以上説明したように、第2の実施形態では、データ運用装置60において、問い合わせ情報が予め定められた条件を満たす場合に、建物の健全性を取得しユーザ端末へ送信する。これにより、建物を所有するユーザに対してのみ当該建物の健全性に関する情報を開示することができる。そのため、単一または複数の建物の健全性に関する情報を適切に管理することができる。
【0092】
<第3の実施形態の建物管理システムのシステム構成>
次に、第3の実施形態について説明する。なお、第1又は第2の実施形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0093】
第3の実施形態では、第三者(例えば、建物を管理する会社又は建物を施工した会社等)が、当該建物の健全性に関する情報を取得したい場合に、建物の所有者に承認を得た上で、当該建物の健全性に関する情報を取得する点が第2の実施形態と異なる。
【0094】
図9は、第3の実施形態に係る建物管理システムの構成の一例を示すブロック図である。建物管理システム310は、機能的には、
図9に示すように、健全性管理装置50、データ運用装置60、ユーザ端末70、及び管理装置80を含んだ構成で表すことができる。
【0095】
管理装置80は、
図9に示されるように、コンピュータ82と、操作部84と、表示部86とを備える。コンピュータ82は、機能的には、
図9に示されるように、制御部88と、通信部89とを備える。操作部84は、ユーザの操作情報を受け付ける。また、表示部86は、コンピュータ82の制御部88の制御信号に応じて、コンピュータ82による処理結果等を表示する。なお、制御部88は、要請情報出力部、承認情報取得部、承認情報出力部、及び健全性情報取得部の一例である。
【0096】
管理装置80のユーザは、例えば、建物を管理する管理会社又は建物を施工する施工会社等である。これらの会社が、自社で管理する建物又は自社が施工した建物についての健全性を取得したい場合、例えば当該会社の従業員である管理ユーザが管理装置80を操作し、特定の建物の健全性に関する情報を取得する。
【0097】
なお、データ運用装置60の認証用データベース67には、特定の建物を所有するユーザからの承認を表す承認情報が格納されている。
【0098】
<建物管理システムの作用>
図10を参照して、建物管理システム310の作用を説明する。
【0099】
ステップS200において、管理装置80の操作部84が、公開情報の閲覧を指示する管理ユーザからの操作情報を受け付けると、制御部88は、データ運用装置60の公開部66によって公開されている公開情報を取得し、表示部86に表示させる。そして、管理ユーザは、表示部86に表示された公開情報を閲覧する。
【0100】
そして、例えば、自社に関連する特定の建物の健全性が判定されている旨が公開情報に示され、かつ管理ユーザが当該建物の健全性に関する情報を取得したい場合、管理ユーザは操作部84に、要請情報を入力する。要請情報は、特定の建物を所有するユーザに対しての、建物の健全性に関する情報の取得許可の要請を表す。
【0101】
ステップS300において、管理装置80の制御部88は、操作部84により受け付けた要請情報を、ユーザ端末70へ送信する。
【0102】
ユーザ端末70の制御部78は、管理装置80から送信された要請情報を取得し、表示部76へ表示させる。ユーザは、表示部76に表示された要請情報を確認し、要請情報の送信元である会社に対して、自らが所有する特定の建物の健全性に関する情報を開示してよいか否かを判断する。そして、要請情報の送信元である会社に対し、自らが所有する特定の建物の健全性に関する情報を開示してよい場合、ユーザは特定の建物の健全性の取得の承認を表す承認情報を操作部74へ入力する。
【0103】
ステップS301において、ユーザ端末70の制御部78は、操作部74により受け付けた承認情報を管理装置80へ送信する。
【0104】
ステップS201において、管理装置80の制御部88は、ユーザ端末70から送信された承認情報を取得し、承認情報を含む問い合わせ情報を、データ運用装置60へ送信する。
【0105】
データ運用装置60の制御部68は、管理装置80から送信された問い合わせ情報を受け付ける。そして、データ運用装置60の制御部68は、認証用データベース67に格納されたテーブルを参照し、問い合わせ情報に含まれる建物ID及び承認情報と、認証用データベース67のテーブルの建物ID及び承認情報とが一致するか否かを判定する。
【0106】
そして、制御部68は、問い合わせ情報とテーブルの各情報とが一致する場合には、ステップS202において、問い合わせ情報を健全性管理装置50へ送信する。
【0107】
ステップS204において、健全性管理装置50の制御部52は、データ運用装置60から送信された問い合わせ情報に含まれる建物IDに対応する健全性に関する情報を、データ運用装置60へ送信する。
【0108】
ステップS206において、データ運用装置60の制御部68は、上記ステップS204で健全性管理装置50から送信された健全性に関する情報を、管理装置80へ送信する。
【0109】
管理装置80の制御部88は、上記ステップS206でデータ運用装置60から送信された健全性に関する情報を取得し、健全性に関する情報を表示部86に表示させる。管理ユーザは、表示部86に表示された健全性に関する情報を確認する。
【0110】
以上説明したように、第3の実施形態では、建物を所有するユーザの承認情報を用いて、単一または複数の建物の健全性に関する情報を適切に管理することができる。これにより、特定の建物の所有者ではない第三者であっても、建物を所有するユーザの承認情報を用いて、特定の建物の健全性に関する情報を取得することができる。
【0111】
<第4の実施形態の建物管理システムのシステム構成>
次に、第3の実施形態について説明する。なお、第1又は第2の実施形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0112】
第4の実施形態では、ユーザが公開情報を閲覧した際に、所定の建物の健全性に関する情報が存在しない場合、当該建物の健全性に関する情報の取得を健全性管理装置50へ依頼する点が第1〜第3の実施形態と異なる。本実施形態では、所定の建物の健全性に関する情報が存在しない場合の一例として、所定の建物の動画像が撮像されていない場合を例に説明する。
【0113】
図11は、第4の実施形態に係る建物管理システムの構成の一例を示すブロック図である。建物管理システム410は、機能的には、
図11に示すように、健全性管理装置450、データ運用装置60、及びユーザ端末70を含んだ構成で表すことができる。
【0114】
ユーザ端末70の制御部78は、公開情報を表示部76に表示させる。そして、ユーザは、表示部76に表示された公開情報を閲覧する。
【0115】
公開情報の閲覧の結果、所定の建物の動画像が取得されておらず、かつユーザが当該建物の健全性に関する情報を取得したい場合には、ユーザはユーザ端末70の操作部74へ、所定の建物の動画像の撮像に対する依頼情報を入力する。
【0116】
データ運用装置60の制御部68は、ユーザ端末70から送信された、所定の建物の健全性に関する情報の取得に対する依頼情報を取得する。そして、制御部68は、依頼情報を健全性管理装置450へ送信する。なお、所定の建物の健全性に関する情報の取得に対する依頼情報として、地域名であってもよい。制御部68は、依頼情報出力部の一例である。
【0117】
健全性管理装置450の制御部58は、ユーザ端末70から送信された所定の建物の依頼情報を受け付け、依頼情報に対応する建物の動画像を撮像するように設定し、依頼情報データベース437に格納する。制御部58は、依頼情報受付部及び設定部の一例である。
【0118】
健全性管理装置450の依頼情報データベース437には、動画像が撮像されていない所定の建物に対しての、動画像の撮像についての依頼情報が格納される。
【0119】
第1の実施形態の健全性判定システム10は、健全性管理装置450の依頼情報データベース437に格納された依頼情報を取得し、動画像を撮像するように設定された建物の動画像を撮像する。具体的には、健全性判定システム10のユーザが、動画像を撮像するように依頼された建物のリストを確認し、移動体の搭載装置12により建物の動画像が撮像されるように手配する。
【0120】
そして、動画像を撮像するように依頼された建物の動画像が撮像されると、健全性判定システム10の健全性判定装置13は、新たに動画像が撮像された建物の固有振動数と健全性スコアとを取得し、固有振動数と健全性スコアとを健全性管理装置450へ送信する。
【0121】
健全性管理装置450の制御部52は、健全性判定装置13から送信された固有振動数と健全性スコアとを取得し、建物IDと対応付けて健全性データベース236へ格納する。そして、制御部52は、建物の健全性が新たに判定されたことを表す更新情報をデータ運用装置60へ送信する。
【0122】
<建物管理システムの作用>
図12を参照して、建物管理システム410の作用を説明する。
【0123】
まず、ステップS200において、ユーザ端末70の制御部78は、公開情報を表示部76に表示させる。そして、ユーザは、表示部76に表示された公開情報を閲覧する。
【0124】
上記ステップS200で取得された公開情報の閲覧の結果、所定の建物の動画像が取得されておらず、かつユーザが当該建物の健全性に関する情報を取得したい場合には、ユーザはユーザ端末70の操作部74へ、所定の建物の動画像の撮像に対する依頼情報を入力する。
【0125】
そして、ステップS401において、ユーザ端末70の制御部78は、ユーザ端末70の操作部74により受け付けた依頼情報を、データ運用装置60へ送信する。
【0126】
データ運用装置60の制御部68は、上記ステップS401でユーザ端末70から送信された依頼情報を取得する。そして、ステップS402において、データ運用装置60の制御部68は、依頼情報を健全性管理装置50へ送信する。
【0127】
健全性管理装置50の制御部58は、データ運用装置60から送信された依頼情報を取得する。そして、制御部58は、データ運用装置60から送信された所定の建物の依頼情報を取得し、依頼情報に対応する建物の動画像を撮像するように設定し、依頼情報データベース437に格納する。
【0128】
第1の実施形態の健全性判定システム10は、健全性管理装置450の依頼情報データベース437に格納された依頼情報を取得し、動画像を撮像するように設定された建物の動画像を撮像する。そして、動画像を撮像するように依頼された建物の動画像が撮像されると、健全性判定システム10の健全性判定装置13は、新たに動画像が撮像された建物の固有振動数と健全性スコアとを取得し、固有振動数と健全性スコアとを健全性管理装置450へ送信する。
【0129】
健全性管理装置450の制御部52は、健全性判定装置13から送信された固有振動数と健全性スコアとを取得し、建物IDと対応付けて健全性データベース236へ格納する。
【0130】
ステップS404において、健全性管理装置50の制御部58は、新たに健全性が判定された建物についての更新情報をデータ運用装置60へ送信する。
【0131】
ステップS406において、データ運用装置60の制御部68は、健全性管理装置50から送信された更新情報を取得し、ユーザ端末70へ送信する。
【0132】
ユーザ端末70の制御部78は、データ運用装置60から送信された更新情報を取得し、表示部76へ表示させる。
【0133】
ユーザ端末70のユーザは、ユーザ端末70の表示部76に表示された更新情報を確認する。そして、ユーザは、第2の実施形態と同様に、ユーザ端末70の操作部74へ問い合わせ情報を入力して、データ運用装置60を介して所定の建物の健全性を取得する。
【0134】
以上説明したように、第4の実施形態では、所定の建物の健全性に関する情報の一例である動画像の撮像が行われていない場合に、所定の建物の動画像の撮像を適切に依頼することができる。これにより、健全性が判定されていない建物であっても、ユーザからの依頼に基づき、建物の健全性を判定することができる。
【0135】
なお、第2〜第4の各実施形態における表示部には、例えば、
図13に示されるような画面が表示される。
【0136】
例えば、
図13の表示画面における、「データ取得エリア」は動画像が撮像されたエリアを表し、「判定済エリア」は建物の健全性が判定されているエリアを表す。また、「撮影要請物件」は、第4の実施形態のように動画像の撮像が依頼されている建物を表す。「データ取得エリア」、「判定済エリア」、及び「撮影要請物件」は公開情報の一例であり、
図13に示されているように、地図上の位置と対応付けられて表示されていてもよい。また、
図13の表示画面における「物件情報一覧」をクリックすると、健全性が判定されている建物のリストが表示される。
【0137】
また、
図13における表示画面において、ユーザが特定の建物の健全性を取得したい場合、各ユーザは自らの属性に応じた入力欄に問い合わせ情報を入力する。例えば、ユーザが建物の所有者である場合には「ビルオーナー」の欄に問い合わせ情報を入力し、ユーザが建物管理会社又は建設会社である場合には、「ビル管理会社・施工会社」の欄に問い合わせ情報を入力する。また、建物の動画の撮像を依頼する場合には、「データ取得(撮影)依頼」の欄に問い合わせ情報を入力する。
【0138】
そして、データ運用装置によって、入力された問い合わせ情報が予め定められた条件を満たすと判定された場合、「出力欄:これまでの判定結果」の欄に、特定の建物の健全性に関する情報が表示される。
【0139】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0140】
例えば、第1の実施形態では、動画像に対する時空間周波数解析を行い、動画像に対して時間的及び空間的フィルタリングを行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、搭載装置12は、カメラ14の位置情報又は姿勢情報を取得するセンサを更に備え、カメラ14によって撮像された建物の動画像と、カメラ14の位置情報又は姿勢情報の時系列と、カメラ14の画角とに基づいて、動画像から移動成分を除去するようにしてもよい。例えば、カメラ14の位置情報の時系列から得られる移動距離とカメラ14の画角とに基づいて、カメラ14の移動に起因する動画像の各フレーム画像の動き成分を推定して、動画像からカメラ14の移動成分を除去しても良い。なお、カメラ14の位置情報又は姿勢情報を取得するセンサとしては、例えばGPSセンサや加速度センサが挙げられる。
【0141】
また、第1の実施形態では、建物の固有振動数の変化率に基づいて健全性を算出する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、建物の建物構造及び地盤構造等に関する詳細情報が存在する場合は、上記特許文献7の手法等を併せて用いることもできる。また、例えば、健全性の算出対象の建物の動画像が初めて撮像され、健全性を算出する対象の建物について過去の固有振動数が算出されていない場合、対象の建物と類似する建物の健全性に基づき対象の建物の健全性を推定してもよい。具体的には、建物の高さ、建築面積、及び構造種別(例えばRC、S等)等、固有振動数に影響を与える情報に基づいて、ニューラルネットワークなどのクラスタリング手法を用いて、建物の健全性を推定してもよい。
【0142】
また、第1の実施形態に係る健全性判定システム10は、上記
図1に示されるように、搭載装置12を含む構成を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、健全性判定システム10は、健全性判定装置13のみによって構成され、健全性判定装置13の外部から建物の動画像を取得するようにしてもよい。
【0143】
また、第2〜第4の実施形態では公開部66による公開情報の提示後に制御部68又は制御部88にて認証を実施する手順を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、建物管理システム210、310、410を会員制システムなどの形態として運用することで、制御部68又は制御部88にて認証を得た後で公開部66による公開情報を提示するようにしてもよい。これにより、判定情報の有無自体の情報を不特定多数のユーザに公開されることを防止することも可能となる。
【0144】
また、第4の実施形態では、所定の建物の健全性に関する情報が存在しない場合の一例として、所定の建物の動画像が撮像されていない場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、動画像が撮像されており、健全性が判定されていない場合には、ユーザ端末から送信された依頼情報に応じて、建物の健全性が判定される。
【0145】
また、第4の実施形態では、建物所有者であるユーザからの依頼を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、対象の建物を建設した建設会社を表すユーザ、対象の建物である賃貸集合住宅の居住者であるユーザ、又は対象の建物とは関係ないユーザ等、建物所有者とは異なるユーザからの依頼を対象としてもよい。この場合には、建物所有者とは異なるユーザがユーザ端末70を操作して、対象の建物についての健全性に関する情報の取得が依頼される。
【0146】
また、上記では本発明に係るプログラムがプログラム記憶部(図示省略)に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係るプログラムは、CD−ROM、DVD−ROM及びマイクロSDカード等の記録媒体の何れかに記録されている形態で提供することも可能である。