特許第6895368号(P6895368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6895368電気化学セルスタック、燃料電池および水素発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895368
(24)【登録日】2021年6月9日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】電気化学セルスタック、燃料電池および水素発生装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0276 20160101AFI20210621BHJP
   H01M 8/0247 20160101ALI20210621BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20210621BHJP
   H01M 8/2483 20160101ALI20210621BHJP
   H01M 8/0258 20160101ALI20210621BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20210621BHJP
【FI】
   H01M8/0276
   H01M8/0247
   H01M8/12 102A
   H01M8/2483
   H01M8/0258
   C25B9/00 A
   H01M8/12 101
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-224773(P2017-224773)
(22)【出願日】2017年11月22日
(65)【公開番号】特開2019-96468(P2019-96468A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2020年1月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100118474
【弁理士】
【氏名又は名称】寺脇 秀▲徳▼
(74)【代理人】
【識別番号】100141911
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 譲
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 理子
(72)【発明者】
【氏名】吉野 正人
(72)【発明者】
【氏名】長田 憲和
(72)【発明者】
【氏名】松永 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】浅田 隆利
(72)【発明者】
【氏名】中澤 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】亀田 常治
【審査官】 馳平 憲一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−239254(JP,A)
【文献】 特開2013−239330(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/050715(WO,A1)
【文献】 特開2013−065497(JP,A)
【文献】 特開2013−008688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02、8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極、電解質および空気極を有し、前記電解質と前記空気極との当接面が前記電解質の上面よりも小さくなるように形成されるセルと、
前記セルの一部を収容する溝部および前記溝部に連結された側部を有する仕切板と、前記溝部の底面および外側の側面と当接する凹部を有するセパレータと、
前記仕切板の上面および前記電解質の上面の双方と当接すると共に、前記空気極の周囲を囲うシール材と、
を備え、
前記仕切板は、前記側部が前記セパレータの上面と当接すると共に、前記溝部の内側の側面が少なくとも前記電解質の側面に当接し、
前記セパレータは、前記溝部を貫通して前記燃料極の側面に接続される燃料供給流路および前記シール材で囲われた空間に接続される空気供給流路の少なくとも1つを内部に有する電気化学セルスタック。
【請求項2】
前記燃料供給流路は、前記燃料極の側面と複数箇所で接続され、前記空気供給流路は、前記空隙と複数箇所で接続される請求項に記載の電気化学セルスタック。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気化学セルスタックを備える燃料電池。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電気化学セルスタックを備える水素発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気化学セルスタック、燃料電池および水素発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物形燃料電池(SOFC)および固体酸化物形電解セル(SOEC)の最小構成単位である電気化学セル(以下、単にセルという)は、少なくとも、空気極と、電解質と、燃料極を積層して形成される。例えば、平板型のセルは、燃料極、電解質、空気極を順次積層し、空気極と電解質との当接面が、電解質の上面よりも小さくなるように構成されている。このセルを複数積層した平板型の電気化学セルスタックは、各セルの空気極と燃料極とにそれぞれ異なるガスを供給すると共に、セル同士は積層方向に対して電気的に直列に接続可能な構造を有する。
【0003】
隣接するセル同士の間は、導電性のセパレータによって隔てられるため、ガスの雰囲気が隔離される。一方、同一セル内の電解質の上面のうち、空気極と接触しない領域には仕切板が設けられ、燃料極と空気極のガスの雰囲気が隔離される。また、仕切板の上面にはシール材が設けられ、積層方向から加圧することによって、この間がシールされる。セパレータには、燃料極および空気極にガスを供給するためのガス供給路が形成され、このガス供給路が、各セルの燃料極と空気極のそれぞれに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−126893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の構造の場合、仕切板と電解質との間にガスの漏れ流路が存在する。したがって、電気化学セルスタック内部のシール性を向上させることが必要となる。例えばSOFCの場合は、ガスの漏れ量が増加すると、発電に必要な燃料ガスの損失が大きくなり、発電効率の低下を招く。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ガスシール性の高い電気化学セルスタック、燃料電池、および水素発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、実施形態の電気化学セルスタックは、燃料極、電解質および空気極を有し、前記電解質と前記空気極との当接面が前記電解質の上面よりも小さくなるように形成されるセルと、前記セルの一部を収容する凹部を有するセパレータと、前記セパレータの上面および前記電解質の上面の双方と当接すると共に、前記空気極の側面の周囲を囲うシール材と、を備え、前記セパレータは、前記電解質の側面が前記凹部の内側の側面に当接すると共に、前記燃料極の側面に接続される燃料供給流路および前記シール材で囲われた空間に接続される空気供給流路の少なくとも1つを内部に有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第一の実施形態に係る電気化学セルスタックの燃料供給路を含む断面図を示す。
図2図1のA−A断面図を示す。
図3】第一の実施形態に係る電気化学セルスタックの空気供給路を含む断面図を示す。
図4図3のB−B断面図を示す。
図5】第二の実施形態に係る電気化学セルスタックの燃料供給路を含む断面図を示す。
図6】第二の実施形態に係る電気化学セルスタックの空気供給路を含む断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る電気化学セルスタック、燃料電池および水素発生装置について説明する。
【0010】
(第一の実施形態)
第一の実施形態について、図1から図4を用いて説明する。図1は、第一の実施形態に係る電気化学セルスタックの燃料供給路を含む断面図を、図2は、図1のA−A断面図を、第一の実施形態に係る電気化学セルスタックの空気供給路を含む断面図を、図3は、第一の実施形態に係る電気化学セルスタックの空気供給路を含む断面図を、図4は、図3のB−B断面図をそれぞれ示す。図1の矢印は燃料が供給されてから排出するまでの流れを、図3の矢印は空気が供給されてから排出するまでの流れをそれぞれ示す。
【0011】
図1に示すように、電気化学セルスタック1は、平板型のセル10と、セパレータ20と、シール材30を備え、これらを一つの単位として、この単位を複数積層する。この電気化学セルスタック1は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)や固体酸化物形電解セル(SOEC)に用いられるスタックである。
【0012】
平板型のセル10は、支持体11と、燃料極12と、電解質13と、空気極14から構成される。本実施形態では、支持体11、燃料極12、電解質13、および空気極14が順次積層される。積層される方向を積層方向とする。
【0013】
支持体11は導電性を有する多孔質の部材であり、燃料極12、電解質13、空気極14と比較して厚みを帯びている。支持体11を厚くする理由は、セル10の機械強度を向上させるためである。
【0014】
燃料極12は、多孔質の固体酸化物を含む平板型の薄膜電極である。燃料極12の積層方向に対する側面12a(以降の説明では、単に側面とする)は、後述する燃料供給路22の燃料分岐路22aと接続する。ここでいう燃料とは、例えばSOFCに用いる場合は水素や一酸化炭素などの気体であり、SOECに用いる場合は主に水蒸気である。
【0015】
電解質13は、酸素イオン導電性を有し、固体酸化物を含む平板型の薄膜であり、ガスが通過しないよう緻密な構造を有する。
【0016】
空気極14は多孔質であって、固体酸化物を含む平板型の薄膜電極であり、積層方向からみた空気極14の断面が、積層方向からみた電解質13の断面よりも小さくなる。ただし、空気極14は、少なくとも電解質13との当接面が、電解質の上面よりも小さくなるように構成されていればよい。空気極14の上面は、後述する空隙21aに露出されている。ここでいう上面とは、空気極14と電解質13との当接面と対向する面のことを指す。
【0017】
セパレータ20は、導電性を有する矩形の部材であり、凹部21と、燃料供給路22と、空気供給路23から構成される。なお、本実施形態では、セパレータ20が矩形の場合を説明したが、セパレータ20は矩形に限定されず、例えば円板であってもよい。
【0018】
凹部21は、セル10のうち、支持体11、燃料極12、および電解質13を収容し、凹部21の側面が少なくとも電解質13の側面と当接すると共に、凹部21の底面が支持体11の下面と当接する。凹部21の側面が電解質13の側面と当接しているため、この当接面におけるシール性が向上する。なお、ここでいう当接は、燃料または空気が漏洩しない程度に凹部21との間隙を狭めていればよく、例えば燃料極12上面の1辺の長さに対して0.5%以下の間隙を設けていてもよい。また、凹部21の深さは、セパレータ20の上面および電解質13の上面が、同じ高さとなるように設定されることが好ましい。また、本実施形態では、セパレータ20の上面および電解質の上面の高さを同じにする方法として凹部21の深さを調整することを説明したが、支持体11、燃料極12、および電解質13の少なくとも1つの厚さを調整してもよい。さらに、空気極14の周囲には、空気を導入するための空隙21aが設けられ、空気極14がこの空隙21aに露出されるようにする。この空隙21aは、空気極14と後述するシール材30との間に設けられた空間である。以降の説明では、この中央の中心を通る積層方向の軸を中心軸とする。
【0019】
燃料供給路22は、セパレータ20の内部に設けられた流路である。燃料供給路22は、中心軸からみてセル10よりも外側に設けられ、積層方向に延びている。セル10、セパレータ20、シール材30からなる単位を複数積層した際には、燃料導入路22は、これらの単位を貫通するように積層方向に延びた構成となる。
【0020】
また、燃料供給路22は、分岐した燃料分岐路22aを有し、この燃料分岐路22aが、燃料極12の側面12aと接続する。
【0021】
ここで、図2を用いて燃料分岐路22aについて説明する。図2に示すように、燃料分岐路22aは、セパレータ20の内側に複数設けられた流路である。ここでいうセパレータ20の内側とは、セパレータ20の上面と、後述するシール材30の下面との当接面よりも内側のことを指し、セパレータ20の上面は含まない。図1のA−A断面から見た場合に、燃料分岐路22aは、所定の間隔を開けて燃料極12の側面12aと複数箇所で接続する。このような構成とすることにより、燃料は、A−A断面から見て燃料極12へ均一に供給される。
【0022】
なお、本実施形態では、1つの燃料供給路22に対して、複数の燃料分岐路22aが分岐されているが、例えば燃料供給路22が複数あり、かつそれらの燃料供給路22と燃料分岐路22aとが1対1に対応して分岐されてもよい。また、燃料供給路22が複数あり、その一部の燃料供給路22が燃料分岐路22aと1対1に対応して分岐され、残りの燃料供給路22のそれぞれが、複数の燃料分岐路22aに分岐されてもよい。さらに、燃料供給路22が複数あり、その全ての燃料供給路22が、それぞれ複数の燃料分岐路22aに分岐されてもよい。
【0023】
上記の構成により、燃料供給路22に導入される燃料は、燃料分岐路22aを通ってそれぞれのセル10の燃料極12に供給される。
【0024】
次に、図3を用いて空気供給路23について説明する。図3に示すように、空気供給路23は、セパレータ20の内部であって、積層方向に対して燃料供給路22から離間した位置に設けられた流路である。空気供給路23は、燃料供給路22と同様に中心軸からみてセル10よりも外側に設けられ、積層方向に延びている。セル10、セパレータ20、シール材30からなる単位を複数積層した際には、空気導入路23は、これらの単位を貫通するように積層方向に延びた構成となる。
【0025】
また、空気供給路23は、分岐した空気分岐路23aを有し、この空気分岐路23aが、空隙21aと接続する。空気分岐路23aは、積層方向に対して燃料分岐路22aから離間した位置に設けられる。
【0026】
ここで、図4を用いて空気分岐路23aについて説明する。図4に示すように、空気分岐路23aは、空気供給路23と同様にセパレータ20の内部に設けられた流路である。図2のB−B断面から見た場合に、空気分岐路23aは、所定の間隔を開けて空隙21aと複数箇所で接続する。このような構成とすることにより、空気は、B−B断面からみて空気極14へ均一に供給される。
【0027】
なお、本実施形態では、1つの空気供給路23に対して、複数の空気分岐路23aが分岐されているが、例えば空気供給路23が複数あり、かつそれらの空気供給路23と空気分岐路23aとが1対1に対応して分岐されてもよい。また、空気供給路23が複数あり、その一部の空気供給路23が空気分岐路23aと1対1に対応して分岐され、残りの空気供給路23のそれぞれが、複数の空気分岐路23aに分岐されてもよい。さらに、空気供給路23が複数あり、その全ての空気供給路23が、それぞれ複数の空気分岐路23aに分岐されてもよい。
【0028】
上記の構成により、空気供給路23に導入される空気は、空気分岐路23aを通ってそれぞれのセル10の空気極14に供給される。
【0029】
なお、燃料供給路22および燃料分岐路22aからなる燃料の流路と、空気供給路23および空気分岐路23aからなる空気の流路は、互いに干渉しないように設けられていれば、その位置は限定されない。
【0030】
シール材30は、電気的な絶縁性を有する部材であり、空気極14の側面から離間してその周囲を囲う。ここでいう周囲とは、中心軸を基準とした空気極14の周方向を指す。この際に、空気極14の周りに設けられる空間、言い換えるとシール材30によって囲まれた内側の空間が、空隙21aとなる。なお、本実施形態では、シール材30は空気極14の側面から離間して空気極14を囲っている場合を例として説明するが、シール材70は、空気極14の側面と当接してもよい。シール材30の下面は、同じ単位内のセパレータ20の上面およびセル10の電解質13の上面の双方と当接し、この状態で圧着される。シール材30は、燃料極に供給される燃料がこの圧着面を通過して空気極14へ漏洩するのを抑制すると共に、空気極14に供給される空気がこの圧着面を通過して燃料極12へ漏洩するのを抑制する。
【0031】
上述した第一の実施形態によれば、凹部21の側面が電解質13の側面と当接した状態で、シール材30の下面と、セパレータ20の上面および電解質13の上面の双方とを圧着させることで、高いガスシール性を保つことができる。
【0032】
なお、第一の実施形態において、支持体11は、燃料極12と同一の材料を用いて、燃料極12と共に積層してもよい。また、燃料供給路22および燃料分岐路22aからなる燃料の流路と、空気供給路23および空気分岐路23aからなる空気の流路は、セパレータ20を切削加工して作製されることが好ましいが、例えば溶接や接合などの方法を用いて作製してもよい。
【0033】
さらに、第一の実施形態では、燃料供給路22および燃料分岐路22aからなる燃料の流路と、空気供給路23および空気分岐路23aからなる空気の流路の双方が設けられた場合を説明したが、この燃料の流路および空気の流路は、少なくとも一方を設けていればよい。
【0034】
(第二の実施形態)
次に、第二の実施形態について、図5および図6を用いて説明する。図5は、第二の実施形態に係る電気化学セルスタックの燃料供給路を含む断面図を、図6は、第二の実施形態に係る電気化学セルスタックの空気供給路を含む断面図をそれぞれ示す。第一の実施形態に係る電気化学セルスタックとの違いは、同じ単位内のセル10とセパレータ50との間、および同じ単位内のセパレータ50とシール材70との間に仕切板60を設けたことである。なお、第一の実施形態と類似する箇所については、説明を省略する。
【0035】
電気化学セルスタック41は、平板型のセル10と、セパレータ50と、シール材70と、仕切板60を備え、これらを一つの単位として、この単位を複数積層する。
【0036】
図5に示すように、燃料供給路52は、セパレータ50の内部に設けられた流路である。燃料供給路52は、分岐した燃料分岐路52aを有し、この燃料分岐路52aが燃料極12の側面と接続する。
【0037】
図6に示すように、空気供給路53は、セパレータ50の内部に設けられた流路である。空気供給路53は、分岐した空気分岐路53aを有し、この空気分岐路53aが、空隙51aと接続する。
【0038】
仕切板60は、導電性を有する薄膜部材であり、凹部51の側面および底面と当接すると共に内側の側面が電解質13の側面と当接する溝部61と、セパレータ50の上面と当接する側部62を備える。
【0039】
溝部61は、支持体11、燃料極12、および電解質13を収容し、溝部61の内側の側面が少なくとも電解質13の側面と当接すると共に、溝部61の底面が支持体11の下面と当接する。溝部61の内側の側面には、燃料分岐路52aを貫通させる孔が設けられ、溝部61が燃料分岐路52aを塞がないように設置される。
【0040】
側部62には、燃料供給路52および空気供給路53を貫通させる孔がそれぞれ設けられる。側部62は、積層方向から見た場合に、これらの孔と燃料供給路52および空気供給路53とが合うように、すなわち側部62が燃料供給路52および空気供給路53を塞がないように設置される。
【0041】
シール材70は、電気的な絶縁性を有する部材であり、空気極14の側面から離間してその周囲を囲う。ここでいう周囲とは、中心軸を基準とした空気極14の周方向を指す。この際に、空気極14の周りに設けられる空間、言い換えるとシール材70によって囲まれた内側の空間が、空隙51aとなる。なお、本実施形態では、シール材70は空気極14の側面から離間して空気極14を囲っている場合を例として説明するが、シール材70は、空気極14の側面と当接してもよい。シール材70の下面は、側部62の上面および電解質13の上面の双方と当接し、この状態で圧着される。この際に、溝部61の内側の側面が電解質13の側面と当接しているため、この当接面におけるシール性が向上する。さらに、側部62とシール材70の下面を当接させるため、セパレータの上面とシール材の下面とを直接当接させる場合と比較して側部62と当接する領域でのシール材70の機械強度が向上する。
【0042】
上述した第二の実施形態によれば、仕切板60の溝部61の側面が電解質13の側面と当接した状態で、シール材30の下面と、セパレータ20の上面および電解質13の上面の双方とを圧着させることで、高いガスシール性を保つことができる。また、側部62とシール材70の下面を当接させることで、この当接面におけるシール材70の機械強度が向上する。
【0043】
以上、説明した少なくとも一つの実施形態によれば、ガスシール性を高くすることができる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1、41.電気化学セルスタック、10.セル、11.支持体、12.燃料極、12a.側面、13.電解質、14.空気極、20、50.セパレータ、21.凹部、21a、51a.空隙、22、52.燃料供給路、22a、52a.燃料分岐路、23、53.空気供給路、23a、53a.空気分岐路、30、70.シール材、60.仕切板、61.溝部、62.側部
図1
図2
図3
図4
図5
図6