特許第6895385号(P6895385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895385
(24)【登録日】2021年6月9日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】取付けシステム
(51)【国際特許分類】
   A47G 1/17 20060101AFI20210621BHJP
【FI】
   A47G1/17
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-548275(P2017-548275)
(86)(22)【出願日】2016年3月9日
(65)【公表番号】特表2018-512203(P2018-512203A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】US2016021469
(87)【国際公開番号】WO2016148992
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年3月7日
(31)【優先権主張番号】62/134,722
(32)【優先日】2015年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/213,765
(32)【優先日】2015年9月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】カウマン−エガート,クリスティナ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】プリンス,デイヴィッド ジェイ.
【審査官】 程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−508432(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0056597(US,A1)
【文献】 特表平08−508907(JP,A)
【文献】 米国特許第04310137(US,A)
【文献】 特表2011−514418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 1/17
B32B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の主面並びに第1及び第2の端部を有する第1のバッキング層と、
第1の対象物の表面に接合するための、前記第1のバッキング層の前記第1の主面の少なくとも一部の上にある第1の接着層、及び前記第2の主面の少なくとも一部の上にある第2の接着層と、を備える第1の接着構造であって、
前記第1のバッキング層の前記第2の主面は、前記第2の接着層を介して第1の分離可能なコネクタ構成部分に接合され、前記第1の分離可能なコネクタ構成部分は、前記第1のバッキング層の前記第2の主面の少なくとも一部を覆う主面、及び第1の分離可能なコネクタ面を有する、第1の接着構造と、
第1及び第2の主面並びに第1及び第2の端部を有する第2のバッキング層と、
第2の対象物の表面に接合するための、前記第2のバッキング層の前記第1の主面の少なくとも一部の上にある第1の接着層、及び前記第2の主面の少なくとも一部の上にある第2の接着層と、
前記第2のバッキング層の前記第2の主面は、前記第2の接着層を介して第2の分離可能なコネクタ構成部分に接合され、前記第2の分離可能なコネクタ構成部分は、前記第2のバッキング層の前記第2の主面の少なくとも一部を覆う主面、及び第2の分離可能なコネクタ面を有する、第2の接着構造と、
前記第1の分離可能なコネクタ構成部分及び前記第2の分離可能なコネクタ構成部分と接続できる、互いに反対側にある両主面を有する、第3の層と、を備え、
システムが組み立てられたとき、前記第3の層は前記第1及び第2の接着構造の間に配置され、前記第3の層は、その2つの主面の両面上に機械式ファスナを含む、取付けシステム。
【請求項2】
前記第3の層の前記機械式ファスナが、ループ係合部である、請求項1に記載の取付けシステム。
【請求項3】
前記第3の層が、0.127cm2.54cmの厚さを有する、請求項1又は2に記載の取付けシステム。
【請求項4】
前記第2の接着構造の前記第2のバッキング層、並びに前記第2の接着構造の前記第1及び第2の接着層が共に引き伸ばし可能であり、その接着面が前記第2の対象物に接合された後に、前記第2のバッキング層が第1の端部と第2の端部との間を延びている方向に前記第2のバッキング層の前記第1の端部に力を加えることによって、前記第2の対象物から前記接着面の接合を段階的に解除できる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の取付けシステム。
【請求項5】
前記第1のバッキング層の取り外しを容易にするために、前記第1及び前記第2の端部のうちの1つに、非接着性の手動係合可能なタブ部を更に備えた、請求項1〜4のいずれか一項に記載の取付けシステム。
物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概ね、対象物を壁又は垂直面に固定することが可能な取付けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
イーゼルバック付きの絵画フレーム又は写真フレームは、絵画フレーム又は写真フレームの背後に貼付けられてフレームをまっすぐに保持する支持構造を含む。写真フレーム又は絵画フレームと共に使用されるとき、イーゼルバックは、しばしば垂直に対して約20°の角度で、写真又は絵画を垂直に展示することを容易にする。
【0003】
イーゼルバック付きの写真フレームの背後から見た例示的な概略図が、図1に示される。イーゼルバック付きの写真フレーム100は、フレーム部110及びイーゼルバック又はイーゼルスタンド部120を含む。イーゼルバック部120は、ヒンジ130によってフレーム部110に接続される。
【発明の概要】
【0004】
本開示の発明者らは、絵画フレーム又は写真フレームのイーゼルバック又はスタンドは、フレームに設けられた貼付け機構(たとえば鍵穴、鋸歯など)を用いて絵画フレーム又は写真フレームを壁に対して相対的に同一の面にしっかりと貼付ける又は接着することを妨げることが多いことを認識した。これは、イーゼルバック又はイーゼルスタンド部が、釘又は貼付け装置の厚さを超える厚さを有する場合があるためである。更に、イーゼルバック又はイーゼルスタンドは、3M(商標)の「コマンド(商標)」絵画掛けストリップの効果的な使用が困難になり得る厚さを有する。これは、イーゼルバック又はイーゼルスタンドの厚さが、3M(商標)の「コマンド(商標)」絵画掛けストリップの厚さと同じか又は超える場合があるためである。これらの課題はイーゼルバック又はイーゼルスタンドを取り除くことによって解決され得るが、イーゼルスタンド又はイーゼルバックを取り除くことは困難で時間がかかり、フレームを傷付ける、又は破損する可能性がある。
【0005】
更に本開示の発明者らは、住宅設計の傾向の一つは、様々な壁装飾品を、それらの少なくともいくつかを壁又は垂直面から異なる距離で互いに重ね合わせて掛けるものであることを認識した。そのような壁の装飾の2つの例が図2a及び図2bに提供される。
【0006】
これらの問題の少なくともいくつかに対処するため、本開示の発明者らは、改善された、厚さを増した絵画掛けストリップ/取付けシステムを発明した。いくつかの実施形態において、絵画掛けストリップ/取付けシステムは、イーゼルスタンド又はイーゼルバックを取り外す必要なく、対象物(例えばイーゼルバック付き絵画フレーム又は写真フレームを含む)を壁又は垂直面に対して同一面に及び/又は隣接して取付ける、掛ける、又は固定する。いくつかの実施形態において、絵画掛けストリップ/取付けシステムは、壁又は垂直面から所望の距離若しくは奥行きで、壁又は垂直面に対象物(例えばイーゼルバック付き絵画フレーム又は写真フレームを含む)を取付ける、掛ける、又は固定する。例えばいくつかの実施形態において、対象物を掛ける、貼付ける、又は取付けるとき、使用者が対象物を壁又は垂直面から離したい奥行きの実現を容易にする、所望の厚さを有する第3のコネクタを選択することができる。更に、本明細書で説明される取付けシステムの実施形態は、損傷なく掛けることを実現する。
【0007】
いくつかの実施形態は、(A)第1の接着構造であって、第1及び第2の主面並びに第1及び第2の端部を有する第1のバッキング層と、対象物の表面に接合するための、第1のバッキング層における第1の主面の少なくとも一部の上にある第1の接着面と、第1のバッキング層における第2の主面の少なくとも一部の上にある第2の接着面とを備え、第2の接着面は第1の分離可能のコネクタ層に接合され、第2の分離可能のコネクタ層はバッキング層における第2の主面の少なくとも一部を覆う主面を有する、第1の接着構造と、(B)第2の接着構造であって、第1及び第2の主面並びに第1及び第2の端部を有する第2のバッキング層と、他の対象物の表面に接合するための、第2のバッキング層における第1の主面の少なくとも一部の上にある接着面と、第2のバッキング層における第2の主面の少なくとも一部を覆う協働する分離可能のコネクタ面とを備え、協働する分離可能のコネクタ面は、分離可能なコネクタ面、協働する接続面、及び接着テープを破壊することなく、第1のバッキング層の接続面に接続、解放、及び再接続できる性能を有する第2の接着構造と、(C)第1又は第2の分離可能なコネクタ層に接続することができる、互いに反対側にある両主面を有する第3の層と、を備える取付けシステムに関する。
【0008】
いくつかの実施形態において、第1及び/又は第2の接着剤のうちの少なくとも1つは、引き伸ばし可能、可剥性、又は感圧性のうちの少なくとも1つである。いくつかの実施形態において、第1又は第2のバッキング層のうちの少なくとも1つは、引き伸ばし可能及び/又は引き伸ばしにより解放可能である。
【0009】
いくつかの実施形態は、第1のバッキング層の取り外しを容易にするために、第1及び第2の端部の1つに、非接着性の手動係合可能なタブ部を備える。いくつかの実施形態において、タブ部は第1のバッキング層の引き伸ばしを容易にする。
【0010】
いくつかの実施形態において、第2のバッキング層及びその接着面は共に引き伸ばし可能であり、第2のバッキング層の接着面が他の対象物に接合した後、第2のバッキング層が第1の端部と第2の端部との間を延びている方向に第2のバッキング層の第1の端部に力を加えることによって、接着面の接合をその対象物から段階的に解除する。いくつかの実施形態において、第3の分離可能なコネクタ層は、その2つの主面のうちの少なくとも1つにループ係合部を備える。
【0011】
いくつかの実施形態において、第3の分離可能なコネクタは、約0.127cm〜約2.54cmの厚さを有する。いくつかの実施形態において、取付けシステムは約0.381cm〜約12.7cmの厚さを有する。いくつかの実施形態において、取付けシステムは、絵画フレーム又は写真フレームのイーゼルバック又はスタンドの厚さを超える厚さを有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、第3の分離可能なコネクタは、第1又は第2の接着構造のうちの1つに貼付けられるか、又は接着される。
【0013】
いくつかの実施形態において、分離可能なコネクタシステムは、機械式ファスナ材料又はループ係合ファスナ材料のうち少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、分離可能なコネクタシステムはフック要素及びループ要素を含み、フック要素の少なくともいくつかは、キノコ、フック、ヤシの木、釘、Tの字、又はJの字のうちの少なくとも1つの形状を有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、接着構造は、分離後に第1の分離可能なコネクタ層が第1の接着構造と共に残り、第2の分離可能なコネクタ層が第2の接着構造と共に残るように分離可能である。
【0015】
いくつかの実施形態において、第3の層は分離可能なコネクタである。いくつかの実施形態において、第3の層は分離した部片又はユニットである。いくつかの実施形態において、第3の層は第1又は第2の接着構造のうちの1つに貼付けられるか、又は接着される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来技術のイーゼルバック付き絵画フレームを背後から見た概略図である。
図2a】重なり合うことができるように異なる奥行きで壁に掛けた種々の対象物を含む、例示的な壁の概略図である。
図2b】重なり合うことができるように異なる奥行きで壁に掛けた種々の対象物を含む、例示的な壁の概略図である。
図3】本明細書で総じて説明されるタイプの例示的な取付けシステムの斜視図である。
図4】本明細書で総じて説明されるタイプの例示的な取付けシステムの側断面図である。
図5】断面が示された図4の取付けシステムの正面からの概略図である。
図6A】本明細書で説明されるタイプの例示的な取付けシステムの概略側面図である。
図6B】先行技術の絵画掛けストリップの概略側面図である。
図7】本明細書で総じて説明される取付けシステムの少なくとも一部が適用された絵画フレーム又は写真フレームの背面側の概略図である。
【0017】
図8】本明細書で説明される一般的なタイプの取付けシステムを使用して壁に貼付け及び/又は接着した絵画フレーム又は写真フレームの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。いくつかの特徴部は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張されている又は最小化されていることがある。したがって、本明細書に開示される具体的な構造的及び機能的詳細は限定的なものとして解釈されるべきではなく、本発明の様々な使用を当業者に教示するための代表的な根拠としてのみ解釈されるべきである。
【0019】
本開示について、添付図面を参照して、以下により詳しく説明する。添付図面には、例示的な実施形態が示される。しかしながら、本開示の範囲は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に述べられる又は示される実施形態に限定されると解釈されるべきでない。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態は、3M(商標)の「コマンド(商標)」絵画掛けストリップに比べて、厚さを増した絵画掛けストリップシステムを備える取付けシステムを構成する。いくつかの実施形態において、この厚さは、例えば絵画フレーム又は写真フレームのイーゼルバックなどの物品の厚さを超える。いくつかの実施形態において、取付けシステムの厚さは、少なくとも0.381cm0.508cm0.635cm0.762cm1.016cm1.27cm1.524cm1.778cm2.032cm2.286cm2,54cm2.794cm3.048cm3.302cm3.556cm3.81cm4.064cm4.318cm4.572cm4.826cm5.08cm7.62cm10.16cm、又は12.7cmである。いくつかの実施形態において、厚さは約0.381cm〜約12.7cmである。いくつかの実施形態において、取付けシステムの厚さは12.7cm未満、10.16cm未満、7.62cm未満、5.08cm未満、2.54cm未満、1.27cm未満、1.016cm未満、及び/又は0.762cm未満である。
【0021】
絵画掛けストリップは、例えば、米国特許第6,692,807号及び同第6,572,945号に記載されており、これらは共に参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される絵画掛けストリップは総じて、1つ以上の対象物に接着され、1つ以上の対象物から取り外し可能な接着テープ構成を指し、その構成内で再使用可能に分離することができ、それによって対象物を他の対象物から分離し、その後互いに再接続することができる。接着テープ構成は、壁に対する絵画フレームのような堅い対象物を含む対象物の、反対側の表面に接合するために使用でき、接着テープ構成の部分は対象物の間から突出せず、後で、対象物同士を、そのどちらをも損傷させることなく簡単に分離できる。
【0022】
いくつかの実施形態において、接着テープ構成は、再使用可能なコネクタ面と組み合わされた、引き伸ばし解放接着テープ構造を含む。他の実施形態において、接着剤は、可剥性及び/又は感圧性のうちの少なくとも1つである。例示的な可剥性の接着剤として、例えばPCT国際出願第2015/195344号に記載されたものを含む。本明細書で使用する「感圧性」という用語は感圧性タックのためのダルキスト基準に従って構成される接着剤を指す。ダルキスト基準は、25℃、1Hzにおいて3×10Pa以下の係数を有する接着剤配合と定義される(A.V.Pocius,「Adhesives and Adhesion Technology,3rd Ed.」2012,Hanser Publications,Cincinnati,OH;米国特許出願公開第2011/0179549号並びに米国特許第7,605,212号及び同第5,719,247号も参照)。感圧性タックのためのダルキスト基準は、10−6cm/dyneに対する典型的な感圧性接着剤の1秒追従としても記載される(D.A.Satas(ed.),「Handbook of Pressure−Sensitive Adhesive Technology」1982,Van Nostrand Reinhold Company Inc.New York,New York.)。
【0023】
本明細書で総じて説明されるタイプの例示的な取付けシステム/絵画掛けストリップが、図3及び図4に概略的に示される。絵画掛けストリップ/接着テープ構成10は、第1の引き伸ばし解放接着テープ構造12及び第2の引き伸ばし解放接着テープ構造14を含み、それらは、2つの分離可能なコネクタシステム16及び100によって共に接続されている。第1の引き伸ばし解放接着構造12は、分離可能なコネクタシステム16によって第2の引き伸ばし解放接着テープ構造14と接続され、かつ接着テープ10の一方の側を覆う第1のライナー18及び接着テープ10の他方の側を覆う第2のライナー20と接続されている。
【0024】
いくつかの実施形態において、第1の引き伸ばし解放接着構造12は、バッキング層22と、同じ又は異なる感圧性接着組成である、バッキング層22の各側の両主面上の接着層24及び26とを備える。図面の層の厚さは、互いに対して原寸大で描かれているわけではない。いくつかの実施形態において、第2の引き伸ばし解放接着構造14は同様に、バッキング層28と、同じ又は異なる感圧性接着組成である、バッキング層28の各側の両主面上の接着層30及び32とを備える。いくつかの実施形態において、第1及び第2の引き伸ばし解放接着テープ構造12及び14それぞれの接着層24及び32の外面は、それぞれライナー18及び20で覆われている。いくつかの実施形態において、1つ以上の層の厚さは最終的な用途に合わせて調整され得る。例えば、1つ以上の層の厚さは、取付けシステムの合計厚さがイーゼルバック又はスタンドの厚さを確実に超えるように増加させることができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、図示のようにバッキング層22及び28は、引き伸ばし可能なポリマー発泡体層を備える。いくつかの実施形態において、バッキング層22及び28は、代替として引き伸ばし可能なポリマーフィルム層を備える。ポリマー発泡体又はポリマーフィルムの選択は、接着テープ10の具体的な用途による。
【0026】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の引き伸ばし解放接着テープ構造12及び14の各々は、好ましくはタブ34及び36をそれぞれ含む。いくつかの実施形態において、タブ34及び36は、各接着テープ構造12及び14のそれぞれを引き伸ばして解放することを容易にする。タブ34は、好ましくはバッキング層12の延長部として提供される。つまり、バッキング層22は接着層24又は26よりも更に長手方向に延びている。タブ36は、接着層30及び32よりも更に長手方向に延びているバッキング層28の延長部から成る。好ましくは、接着層24、26、30及び32の各々は、バッキング層22及び28それぞれのほぼ同じ領域を覆う。いくつかの実施形態において、以下で説明するように、タブ34及び36は、引き伸ばしによる解放のために容易に把持することができるように特定の形状とすることもできる。固形接着剤が使用される場合は、タブを非接着性とすることが更に望ましい可能性がある。このことは、接着面をマスキングする任意の方法によって、又は接着面を非接着性にする、すなわち接着面に粘着性を与えないことによって可能である。
【0027】
いくつかの実施形態において、分離可能なコネクタシステム16は、好ましくは第1のコネクタ構成部分38及び第2のコネクタ構成部分40を備える。いくつかの実施形態において、第1のコネクタ構成部分38は、接着層26の表面によって、第1の引き伸ばし解放接着テープ構造12に接合される。いくつかの実施形態において、第2のコネクタ構成部分40は、接着層30の表面によって、第2の引き伸ばし解放接着テープ構造14に接合される。いくつかの実施形態において、第1及び第2のコネクタ構成部分38及び40は、好ましくは接着層24、26、30、及び32と同じ範囲を占め、ほぼ同じ領域を覆う。
【0028】
いくつかの実施形態において、分離可能なコネクタシステム16又は100は、第1及び第2の引き伸ばし解放接着テープ構造12及び14を共に接続するために、任意の知られている又は開発された再使用可能コネクタシステムを備えることができる。好ましくは、分離可能なコネクタシステム16は、全体的な面に沿って、引き伸ばし解放接着テープ構造12及び14を再使用可能に分離及び接続することを可能にする。コネクタシステム16は、例えば、(肉眼で見える機械的な変形又は干渉のない接続部を有する)相互係止システム、噛合システムを含む機械式ファスナ、解放可能な接触反応ファスナ等を備えてよい。いくつかの実施形態において、引き伸ばし解放接着テープ構造12及び14は分離可能であり、そのため、コネクタシステム16を分離した後で、第1のコネクタ構成部分38は第1の引き伸ばし解放接着テープ構造12と共に残り、第2のコネクタ構成部分40は第2の引き伸ばし解放接着テープ構造14と共に残る。
【0029】
分離可能なコネクタシステム100は、例えばループ係合ファスナ材料を含む、任意の分離可能なコネクタシステムとすることができる。一般に、ループ係合ヘッドを有するフック要素は、柄の形状とは異なるヘッド形状を有する。本明細書で使用する「ループ係合」という用語は、フック要素をループ状の材料に機械的に貼付けることができる性能に関する。例えば、フック要素は、キノコ(例えば、柄に対して拡大された円形又は楕円ヘッドを有する)、フック、ヤシの木、釘、Tの字、又はJの字の形状であってよい。フック要素のループ係合性は、標準的な織布、不織布、又は編み地材料を使用することによって決定及び画定されることができる。市販で入手可能なループ係合材料の一例は、3M(商標)の「デュアルロック(商標)」ファスナである。下記の任意の参照(その全てが本明細書に組込まれる)に記載された、任意のループ係合材料、装置、デバイス、製造方法、使用方法が、本明細書に記載された任意の実施形態に使用され得る:米国特許第8,777,919号、同第4,699,622号、同第4,894,060号、同第5,077,870号、同第5,312,387号、同第5,344,691号、同第5,399,219号、同第5,487,809号、同第5,537,722号、同第5,554,146号、同第5,705,013号、同第5,759,317号、同第5,851,205号、同第5,957,908号、同第5,985,081号、同第6,030,373号、同第6,051,094号、同第6,075,179号、同第6,190,758号、同第6,406,468号、同第6,544,245号、同第6,575,953号、同第7,032,278号、同第7,125,400号、同第7,361,246号、同第7,371,302号、同第7,517,572号、同第7,578,812号、同第7,658,813号、同第3,471,903号、同第4,120,718号、同第4,223,067号、同第4,216,257号、同第4,391,687号、同第4,322,875号、同第4,415,615号、同第4,454,183号、同第4,563,388号、同第3,353,663号、同第3,408,705号、同第4,977,003号、同第4,679,851号、同第4,819,309号、同第4,776,636号、同第5,308,428号、同第5,135,598号、同第4,910,062号、同第4,887,339号、同第4,985,488号、同第5,679,302号、同第4,894,060号、同第5,145,929号、同第5,908,695号、同第5,024,880号、同第5,852,855号、同第5,040,275号、同第5,149,573号,同第4,290,832号、同第5,453,319号、同第5,614,232号、同第5,691,027号、同第5,713,111号、同第5,671,512号、同第5,625,929号、同第5,671,511号、同第5,851,663号、同第5,654,487号、同第5,602,221号、同第5,598,610号、同第5,691,021号、同第7,879,441号、同第8,277,922号、同第6,470,540号、同第6,076,238号、同第6,592,800号、同第6,630,239号、同第6,588,074号、同第7,217,455号、同第7,703,179号、同第6,874,777号、同第7,140,774号、及び米国特許出願公開第2004/0010217号。
【0030】
いくつかの実施形態において、分離可能なコネクタシステム16又は100の接続の領域及びタイプは、好ましくは、接着テープ10を分離するために必要な力を、使用者が第1及び第2の引き伸ばし解放接着テープ構造12及び14に容易に加えられるように選択される。そのような力は、コネクタシステムの全体的な面に対して実質的に垂直方向に加えてよく、又は、剥離力、分割力、それらの組み合わせ、若しくは他の解放機構によって加えられてよい。加えられる力のタイプは、互いに接合される対象物に大きく依存する。可撓性が高い材料では、剥離力は、分離可能なコネクタシステム16を解放するために利用される主要な力となり得る。堅い材料では、主に分割力が加えられ得る。そこが、人がフレームの底縁部から引っ張って(それにより角度のずれを生じさせ)、上部に位置する接着テープ10の分離可能なコネクタシステム16及び/又は100を解放する箇所である。フレームを垂直方向に解放するために引っ張る場合、垂直の力が加えられる。更に、コネクタシステム16及び100は、特定の用途によっては、複数の対象物間での接着テープ10の使用を基本として、分離可能なコネクタシステム16又は100が分離しないように、それが分離する全体的な面に沿って十分な強度を提供すべきである。垂直の壁面に取付ける絵画フレームのような対象物の場合、適用中又は時間の経過と共に絵画フレームが下方にずれることのないよう、コネクタシステム16又は100は、それが分離する全体的な面の方向に十分な強度を有するべきである。分離可能なコネクタシステム16又は100は、対象物を支持するために、接着層24及び32の表面に対して平行方向の内部静的せん断強度を提供し、接着テープ10はその方向で対象物の間に貼付けられる。つまり、コネクタシステム16又は100のせん断強度は好ましくは、感圧性接着剤が適用される表面で、感圧性接着剤が発生させることのできる最大のせん断力と同等であるか、又はそれを超過する(例えば約0.041MPa)
【0031】
図5は、図4の断面図に示される取付けシステムの、写実的な正面図を示す。図6Aは取付けシステム10を概略的に示す。図6Bは従来技術の絵画掛けストリップの断面を概略的に示す。
【0032】
図7及び図8に概略的に示すように、接着テープ10は、第1の対象物50(壁)と第2の対象物52(絵画フレーム)の間から接着テープ10のいかなる部分もはみ出ることなく、第1の対象物50と第2の対象物52との間に位置付けされ得る。絵画フレームは、壁に対してバランスのとれた支持を提供するように位置付けされた単一の接着テープ10によって、接続され得る。しかしながら、任意数の接着テープ10が使用され得る(例えば、図7及び図8では、本明細書で説明されたタイプの取付けシステムが2つ使用されている)。更に、対象物を共に再位置付けできる性能は、正確な位置合せ及びバランスのとれた位置付けを可能にするために促進される。
【0033】
端点による全ての数値範囲の記載は、その範囲内に含まれる全ての数を含むものとする(すなわち、1〜10の範囲には、例えば、1、1.5、3.33、及び10が含まれる)。
【0034】
詳細な説明及び特許請求の範囲における用語、第1、第2、第3などは、類似の要素の間の区別に使用されるものであり、必ずしも順序又は時系列を記述するものではない。そのように使用される用語は、適切な環境下では互換的であること、及び本明細書に記載の本発明の実施形態は本明細書に記載又は例示した以外の順序で操作可能であるということが理解されるべきである。
【0035】
更に、詳細な説明及び特許請求の範囲における用語、最上部、底部、上、下などは説明の目的で使用されるものであり、必ずしも相対的な位置を記述するものではない。そのように使用される用語は、適切な環境下では互換的であること、及び本明細書に記載の本発明の実施形態は本明細書に記載又は例示した以外の配向で操作され得るということが理解されるべきである。
【0036】
本明細書に記述される参考文献は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
コネクタシステムは、特定の用途のため、又は特定のタイプの対象物を共に接続するために特に好適な多くの異なる特性を有し得ることが理解できる。したがって、本発明に従ってこのような任意のコネクタシステムが使用できるが、特定の用途のため、又は特定のタイプの対象物を共に接続するために特に好適な特性を基に選択されたコネクタシステムが有利に選ばれ得る。
【0038】
上記の実施形態及び実施例の詳細には、それらの基礎をなす原理から逸脱することなく多くの変更を加えることができる点は当業者に理解されるであろう。更に、本開示に対する様々な改変及び変形が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく当業者にとって明らかとなろう。したがって、本開示の範囲は、以下の「特許請求の範囲」によってのみ定められるべきものである。
本発明は以下の内容を包含する。
(1)第1及び第2の主面並びに第1及び第2の端部を有する第1のバッキング層と、
対象物の表面に接合するための、前記第1のバッキング層の前記第1の主面の少なくとも一部の上にある第1の接着面と、を備える第1の接着構造であって、
前記第1のバッキング層の前記第2の主面は、第1の分離可能なコネクタ層に貼付けるか又は接合することができ、前記第1の分離可能なコネクタ層は、前記バッキング層の前記第2の主面の少なくとも一部を覆う主面を有する、第1の接着構造と、
第1及び第2の主面並びに第1及び第2の端部を有する第2のバッキング層と、
他の対象物の表面に接合するための、前記第2のバッキング層の前記第1の主面の少なくとも一部の上にある接着面と、
前記第2のバッキング層の前記第2の主面の少なくとも一部を覆う第2の分離可能なコネクタ面を有する、協働する第2の分離可能なコネクタ層と、を備える第2の接着構造であって、
前記協働する第2の分離可能なコネクタ層は、前記第1又は前記第2の分離可能な接続層の接続面及び/又は前記第1及び前記第2の接着面を破壊することなく、前記第1のバッキング層の前記接続面に接続、解放、及び再接続できる性能を有する、第2の接着構造と、
前記第1又は前記第2の分離可能なコネクタ層のうち少なくとも1つと接続できる、互いに反対側にある両主面を有する、第3の層と、を備える取付けシステム。
(2)前記第3の分離可能なコネクタ層が、2つの主面のうちの少なくとも1つにループ係合部を備えている、上記(1)に記載の取付けシステム。
(3)前記第3の分離可能なコネクタが、約0.05〜約1.0インチの厚さを有する、上記(1)又は(2)に記載の取付けシステム。
(4)0.15インチ〜約5インチの厚さを有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の取付けシステム。
(5)絵画フレーム又は写真フレームのイーゼルバック又はスタンドの厚さを超える厚さを有する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の取付けシステム。
(6)前記第3の分離可能なコネクタが、前記第1又は前記第2の接着構造のうちの1つに貼付けられるか又は接着される、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の取付けシステム。
(7)前記第1及び前記第2の接着構造のうちの少なくとも1つは引き伸ばしにより解放可能である、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の取付けシステム。
(8)前記第1及び前記第2のバッキング層のうちの少なくとも1つが引き伸ばし可能である、上記(7)に記載の取付けシステム。
(9)前記第2のバッキング層及びその接着面が共に引き伸ばし可能であり、その接着面が前記他方の対象物に接合された後に、前記第2のバッキング層が第1の端部と第2の端部との間を延びている方向に前記第2のバッキング層の前記第1の端部に力を加えることによって、前記他方の対象物から前記接着面の接合を段階的に解除できる、上記(7)又は(8)に記載の取付けシステム。
(10)前記第1のバッキング層の取り外しを容易にするために、前記第1及び前記第2の端部のうちの1つに、非接着性の手動係合可能なタブ部を更に備えた、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の取付けシステム。
(11)前記タブ部が前記第1のバッキング層の引き伸ばしを容易にする、上記(7)〜(10)のいずれかに記載の取付けシステム。
(12)前記第1及び前記第2の接着構造のうちの少なくとも1つが可剥性である、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の取付けシステム。
(13)前記第1及び前記第2の接着構造のうちの少なくとも1つが感圧性接着剤である、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の取付けシステム。
(14)前記分離可能なコネクタシステムが、機械式ファスナ材料又はループ係合ファスナ材料のうちの少なくとも1つを含む、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の取付けシステム。
(15)前記分離可能なコネクタシステムがフック要素及びループ要素を含み、前記フック要素の少なくともいくつかは、キノコ、フック、ヤシの木、釘、Tの字、又はJの字のうちの少なくとも1つの形状を有する、上記(14)に記載の取付けシステム。
(16)分離後に前記第1の分離可能なコネクタ層が前記第1の接着構造と共に残り、前記第2の分離可能なコネクタ層が前記第2の接着構造と共に残るように、前記接着構造が分離可能である、上記(1)〜(15)のいずれかに記載の取付けシステム。
(17)前記第3の層が分離可能なコネクタである、上記(1)〜(16)のいずれかに記載の取付けシステム。
(18)前記第1のバッキング層の前記第2の主面の少なくとも一部が、前記第1の分離可能なコネクタ層に貼付け又は接合可能な接着剤を含む、上記(1)〜(17)のいずれかに記載の取付けシステム。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8