(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895461
(24)【登録日】2021年6月9日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】フローティングトレイを含む触媒化学反応器
(51)【国際特許分類】
B01J 8/00 20060101AFI20210621BHJP
C10G 45/00 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
B01J8/00 A
C10G45/00
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-565315(P2018-565315)
(86)(22)【出願日】2017年6月8日
(65)【公表番号】特表2019-527127(P2019-527127A)
(43)【公表日】2019年9月26日
(86)【国際出願番号】EP2017063966
(87)【国際公開番号】WO2018001694
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2020年6月3日
(31)【優先権主張番号】PA201600385
(32)【優先日】2016年6月28日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】リスビェア・ヤレコヴ・クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ツァヒロヴィッチ・エミル
【審査官】
松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0300577(US,A1)
【文献】
特表2014−514955(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0269699(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0156111(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00− 8/46
C10G 1/00− 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒床を含む触媒反応器であって、該反応器は、反応器入口の流体流を触媒床へ分配するフローティングトレイ流体分配器を含み、該フローティングトレイは、複数の別個の取り外し可能なトレイセクションと、少なくとも一つの流体分配要素とを備え、複数の該トレイセクションは、該触媒床頂部上に前記フローティングトレイを支持するための少なくとも一つのトレイ支持体をさらに含む、上記の触媒反応器。
【請求項2】
前記フローティングトレイが、反応器入口の流体流から粒子を分離し、かつ、前記入口の流体流を触媒床に分配するための、流体分配器と粒子分離器とを組み合わせたものであり、その際、複数の前記トレイセクションのそれぞれが、粒子を収集するように適合されたセクションベースをさらに備える、請求項1に記載の触媒反応器。
【請求項3】
前記トレイ支持体が、前記フローティングトレイの仕込み物を前記触媒床の頂部に移動させるように適合されたワイヤメッシュを含む、請求項1または2に記載の触媒反応器。
【請求項4】
前記トレイ支持体が、流体流分配器としても作動するように適合されている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【請求項5】
一つの中央のトレイセクションと複数の外側のトレイセクションとを含む、請求項1〜4のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【請求項6】
前記中央のトレイセクションが円形の断面を有し、かつ、前記外側のトレイセクションが円状台形形状(circular trapezoid shape)有し、該外側のトレイセクションの内側の湾曲した基部は、該中央のトレイセクションの外周にフィットするように適合されており、かつ、該外側のトレイセクションの外側の湾曲した基部は、該反応器の内側にフィットするように適合されている、請求項4に記載の触媒反応器。
【請求項7】
前記少なくとも一つの分配要素が、任意の断面形状を有するダクトであり、各ダクトの第一の端部は開口部を有し、かつ、各ダクトの第二の端部はセクションベースに接続されており、各ダクトの第二の端部の周囲内のセクションベース内の開口部は、各ダクトの第一の端部からダクトを通り、そして、セクションベースを通る流体連結を確実にして、フローティングトレイの上方側からフローティングトレイの下方の触媒床に流体を流すことができるようにする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【請求項8】
前記少なくとも一つの分配要素が、前記ダクトの側面のうちの少なくとも一つの上に、一つまたは二つ以上の開口部を含む、請求項7に記載の触媒反応器。
【請求項9】
前記ダクトの側部のうちの少なくとも一つの上の一つまたは二つ以上の開口部が、前記フローティングトレイの中心から逸れているように配向されている、請求項8に記載の触媒反応器。
【請求項10】
前記少なくとも一つの分配要素が円形の断面を有する、請求項7〜9のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【請求項11】
複数の前記分配要素を含み、該分配要素が、フローティングトレイの横断面上に均等に分配されていることにより、入口の流体流からフローティングトレイの下方の触媒床への流体の均等な分配が提供されるようにされている、請求項1〜10のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【請求項12】
クイックリリースロックによって複数のトレイセクションが接続されている、請求項1〜11のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【請求項13】
前記クイックリリースロックが、遠隔から解放されるように適合されている、請求項12に記載の触媒反応器。
【請求項14】
前記トレイセクションの少なくとも一つが、少なくとも一つの吊り上げ用アイボルト(lifting eye)を備えていることにより、前記反応器の外部から、該トレイセクションを該反応器の内部に配置し、そして、その反応器から取り外すことができるようにする、請求項1〜13のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【請求項15】
前記吊り上げ用アイボルトの少なくとも一つが、前記トレイセクションの中心から逸れて配置されていることにより、収集された粒子を前記反応器内の前記トレイセクションから排出できるようにされている、請求項2〜14のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【請求項16】
少なくとも一つのトレイセクションが、隣接するトレイセクションによってロックされることなく、前記反応器から取り出すことができる断面幾何学形状を有する複数のセクションを含む、請求項1〜15のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【請求項17】
前記トレイセクションの少なくとも一つが組み立て手段を備えており、そして、前記トレイセクションが、一つの一体化された剛性ユニットとしてフローティングトレイを形成するように組み立てられたときに、該組み立て手段によって相互連結される、請求項1〜16のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【請求項18】
前記トレイセクションの少なくとも一つが、前記フローティングトレイを前記反応器の内側に固定するように適合された装入手段(breaking means)を含む、請求項1〜17のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【請求項19】
前記触媒反応器が水素化処理反応器である、請求項1〜18のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【請求項20】
前記反応器がドーム形状の上部を有し、前記フローティングトレイが、そのドームの下側かまたは該ドームの下部内に位置している、請求項1〜19のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の分配および任意に粒子分離をも備えた触媒化学反応器に関する。より詳細には、本発明は、反応器内の触媒床によって支持され、かつ、フローティングトレイを反応器内で組み立てることを可能にするセグメントで作られており、さらに、反応器の既存のサービス開口部を介して反応器から取り外されて除去される、すなわち、反応器を切り開くことのない、フローティングトレイ流体分配器を含む化学反応器に関する。反応器は、垂直に重ねられた粒状触媒材料の充填床を含むダウンフロー触媒反応器であることができる。このタイプの反応器は、硫黄および窒素転化(HDS/HDN);オレフィンの水素化(HYD)および芳香族化合物の水素化(水素化脱アシル化−HDA)、金属除去(水素化物−金属化−HDM)、酸素転化(水素化脱酸素化−HDO)および水素化分解(HC)のような様々な触媒反応を実施するために石油および化学処理産業で使用されている。
【背景技術】
【0002】
触媒化学反応器では、該反応器内の触媒床への入口のプロセス流体流の均一な分配を提供することが有利であることがあり、これは触媒の利用率および効率を高めるからである。これは、プロセスガス入口の下流の反応器の頂部および触媒床の上方に位置する流体分配器によって達成され得る。
【0003】
ある場合には、反応器に供給されるプロセス流体は粒子を含む。粒子が触媒を詰まらせ得るため、粒子分離器が反応器内のプロセスガス入口と触媒床との間に配置されていれば、触媒の寿命が延びる可能性がある。任意に、流体分配器および粒子分離器は、一つの一体化されたユニットに組み合わされたトレイ流体分配器および粒子分離器であることができる。
【0004】
当業界、例えば、石油精製業界では、かなりの数の反応器が、従来型のトレイ設計をサポートするためのサポートリングを有していない。しかしながら、流体の分配を最適化するためまたはスケールを収集するため、あるいは、その両方のためのトレイの必要性が依然として存在する可能性がある。その要求を満たすために、本発明は、新しいタイプのトレイを開示し、これは、触媒自体上、すなわちフローティングトレイ上で支持することができる。本発明はさらに、いくつかの特徴に言及するために、反応器内のフローティングトレイの取り付けおよび取り外し、収集された粒子の排出、迅速な接続に関する改善の範囲を説明する。
【0005】
米国特許出願公開第2009177023号明細書(特許文献1)は、気体と液体との並流の下降流による固定床反応器のためのろ過トレイを開示している。この装置は、ろ過媒体を含む特別な分配トレイを使用する、ガスおよび液体の並流の流下モードで機能する反応器に供給される液体原料に含まれる目詰まり粒子を捕捉することができる。該装置は、アセチレン化合物およびジエン化合物を含有する供給物の選択的水素化に特に適用される。
【0006】
欧州特許第0358923号明細書(特許文献2)は、固形物のガス化に由来する生ガスを精製するための方法および装置を開示している。顆粒状および塵状の固体粒子を含有する、固形物のガス化由来の生ガスを精製するための方法および装置には、下流の冷却装置に入る前に、いずれの大きさの固体粒子も生ガスから大部分除去することによる解決法が存在するべきである。これは、ガス化ゾーンからガス保持空間の方向において一直線上にある第一の精製ステージ中に生ガスが向かう場合に達成され、それにより、粒状の固体粒子がガス保持空間の底部で析出し、そしてその後、第二の精製ステージにおいて、部分的に精製された生ガスがガス保持空間から横方向に偏向され、かつ、少なくとも3倍減少した速度に変化し、さらなるガスの偏向の後、実質的に垂直方向において固体フィルターを通過し、そこで塵状の固体粒子は生ガスから除去される。
【0007】
米国特許第7470410号明細書(特許文献3)は、反応器ゾーンを画定し、そして、反応ゾーンに開口部を提供する入口マンウェイ(manway)を有する反応容器と共に使用するための支持システムを開示している。該支持システムは、入口マンウェイによって支持され、かつ、該入口マンウェイの開口部を通って反応ゾーンに延びているマンウェイインサートを含む。マンウェイインサートには、支持ハンガーをマンウェイインサートに接続し、支持ハンガーとマンウェイインサートとを連結して、該支持ハンガーから該マンウェイインサートに仕込み物を伝達するための取り付け手段が取り付けられている。支持ハンガーは、上端部と下端部とを有し、上端部は取り付け手段に固定して取り付けられ、そして、下端部は荷重を支持するための支持構造手段に固定して取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009177023号明細書
【特許文献2】欧州特許第0358923号明細書
【特許文献3】米国特許第7470410号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した公知の技術にもかかわらず、反応器の延長された効果的な運転を保証するために、流体分配器と、任意に粒子分離器であって、これらは、反応器に取り付けられた支持手段を必要とせずに、反応器に取り付けられ、かつ、反応器から容易に取り外すことができ、そして、サービス、組み立ておよび解体のために反応器中の既存の開口部を利用することができる流体分配器および任意の粒子分離器を有する反応器の必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、フローティングトレイ流体分配器と、任意に粒子分離システムとを含む新規な触媒化学反応器を記載する。
【0011】
本発明によれば、フローティングトレイは、反応器内で組み立てられ、かつ、セグメント内の反応器から容易に取り外されるセグメントで作られる。本発明の重要な特徴は、反応器に固定された支持部材を必要とすることなく、フローティングトレイを反応器内の触媒床の頂部上に支持することを可能にする支持部材である。
【0012】
本発明は、当技術分野で知られている反応器内の触媒床または複数の触媒床を有する触媒反応器に関する。本発明の一実施形態では、反応器は、処理流体入口の下流かつ触媒床の上流に位置する上部中にトレイを有する。該トレイは、反応器に入るプロセス流体の触媒床への均一な分配を提供するように適合される。トレイを反応器内へ簡単に取り付け、反応器から取り外し、空にし、そして除去するために、該トレイは複数のトレイセクションのアセンブリとして作られる。トレイには、上述した均一な流体分配を触媒床に提供する流体分配要素が設けられている。該反応器の重要な特徴は、流体分配トレイが、トレイが触媒床の頂部上に支持される、すなわち、触媒床上に「浮遊」することを可能にする、複数のトレイ支持部を含むことである。元来流体分配トレイのために設計されていない反応器を改良する場合に特に重要であり、これにより、例えば、溶接または支持ハンガーによって反応器に固定された支持体を必要とせずにフローティングトレイを取り付け、支持することが可能になる。触媒床へのプロセス流体の分配が確実に最適化されるように、トレイ支持体は、一実施形態において、ワイヤメッシュを含むことができ、該ワイヤメッシュは、粒子を破砕することなくトレイの仕込み物を触媒床に分配するように適合されているが、依然としてプロセス流体がワイヤメッシュ内の開口部を介して支持体を通過することを可能にする。ワイヤメッシュまたは重いワイヤメッシュは、触媒床の不均一な表面にある程度適合することができ、これはフローティングトレイの仕込み物を均等にするという利点を有する。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、フローティングトレイは、流体分配器として作動するだけでなく、入口のプロセス流体に含まれる少なくともいずれかの粒子を反応器に回収するという特徴を有する。この実施形態では、トレイセクションは、粒子を収集するように適合されたセクションベースを有する。さらなる実施形態において、上述の流体分配要素は、セクションベースに固定された、例えば、円管のような垂直ダクトの形状であり、これらは、一方の開口部およびセクションベース内の開口部および該トレイの上側に流体接続された管の頂部における他方の開口部を通って触媒に流体接続されていることにより、プロセス流体を反応器に進入させる。プロセスガスが反応器の頂部に入ると、プロセス流体がさらに分配要素を通ってトレイの下の触媒床に流れる前に、流速が低減されて、プロセス流体中に存在し得る粒子の少なくとも一部をセクションベース上に沈降させる。これは、収集される粒子によって触媒が汚染されたり詰まったりしないという利点を有する。収集された粒子は、反応器から除去することができるか、あるいは、床が反応器から取り除かれる場合にはトレイセクションを触媒床上に廃棄することができる。プロセス流体は気相を含むことができるので、一実施形態では、流体分配要素は、流体分配要素の側部上に、およびトレイにおける所望の流体レベルに関連したセクションベースより上の高さに、開口部を含むこともできる。
【0014】
本発明の一実施形態では、トレイは、円形断面積を有する一つの中央セクションと、円形の台形形状を有する複数の外側トレイセクションとから作製される。外側トレイセクションの内側の湾曲基部は、中央トレイセクションの外周に適合するように適合されており、そして、外側トレイセクションの外側の湾曲基部は、反応器の内側に適合するように適合される。したがって、トレイセクションが組み立てられるとき、それらは円形の断面積を有する反応器の内側断面積に適合した、一つの一体化されたユニットを形成する。トレイは、全て、当技術分野で知られているいずれの種類の接続手段によって接続することができる。一実施形態において、接続手段は、容易に操作することができ、例えば、プロセスガスの入口開口部を介して反応器の外部から遠隔操作することさえできるクイックリリースロックを含み、これは、人が反応器に入る必要なく、フローティングトレイを容易かつ安全に取り付けかつ取り外すことを容易にする。トレイの取り扱いは、トレイの一部または全部の上の吊り上げ用アイボルト手段によって可能となり得る。トレイの取り付けおよび取り外しをさらに容易にするために、外側トレイセクションの一つは、反応器内の装着から取り外す際に、押しつぶされる(squeeze)のを防止する幾何学的形状を有する複数のセクションを含むことができる。
【0015】
一実施形態において、フローティングトレイは、組み立てられたトレイの剛性および強度のために、場合によってはトレイを反応器の内壁に固定するトレイに取り付けられた破砕手段によって、触媒床が沈降し、いくつかの場所で沈む場合であっても、反応器内のその位置に固定されたままであることができる剛性ユニットを形成する。
【0016】
本発明の触媒反応器は、水素化処理反応器または上述のトレイを含むことによって最適化され得る任意の他のタイプの反応器であってもよい。
【0017】
本発明の特徴
1. 触媒床を含む触媒反応器であって、該反応器は、反応器入口の流体流を触媒床へ分配するフローティングトレイ流体分配器を含み、該フローティングトレイは、複数の別個の取り外し可能なトレイセクションと、少なくとも一つの流体分配要素とを備え、複数の該トレイセクションは、該触媒床頂部上に前記フローティングトレイを支持するための少なくとも一つのトレイ支持体をさらに含む、上記の触媒反応器。
2. 前記フローティングトレイが、反応器入口の流体流から粒子を分離し、かつ、前記入口の流体流を触媒床に分配するための、流体分配器と粒子分離器とを組み合わせたものであり、その際、複数の前記トレイセクションのそれぞれが、粒子を収集するように適合されたセクションベースをさらに備える、上記の特徴1に記載の触媒反応器。
3. 前記トレイ支持体が、前記フローティングトレイの仕込み物を前記触媒床の頂部に移動させるように適合されたワイヤメッシュを含む、上記の特徴1または2に記載の触媒反応器。
4. 前記トレイ支持体が、流体流分配器としても作動するように適合されている、上記の特徴1〜3のいずれか一つに記載の触媒反応器。
5. 一つの中央のトレイセクションと複数の外側のトレイセクションとを含む、上記の特徴1〜4のいずれか一つに記載の触媒反応器。
6. 前記中央のトレイセクションが円形の断面を有し、かつ、前記外側のトレイセクションが円状台形形状(circular trapezoid shape)有し、該外側のトレイセクションの内側の湾曲した基部は、該中央のトレイセクションの外周にフィットするように適合されており、かつ、該外側のトレイセクションの外側の湾曲した基部は、該反応器の内側にフィットするように適合されている、上記の特徴4に記載の触媒反応器。
7. 前記少なくとも一つの分配要素が、任意の断面形状を有するダクトであり、各ダクトの第一の端部は開口部を有し、かつ、各ダクトの第二の端部はセクションベースに接続されており、各ダクトの第二の端部の周囲内のセクションベース内の開口部は、各ダクトの第一の端部からダクトを通り、そして、セクションベースを通る流体連結を確実にして、フローティングトレイの上方側からフローティングトレイの下方の触媒床に流体を流すことができるようにする、上記の特徴1〜6のいずれか一つに記載の触媒反応器。
8. 前記少なくとも一つの分配要素が、前記ダクトの側面のうちの少なくとも一つの上に、一つまたは二つ以上の開口部を含む、上記の特徴7に記載の触媒反応器。
9. 前記ダクトの側部のうちの少なくとも一つの上の一つまたは二つ以上の開口部が、前記フローティングトレイの中心から逸れているように配向されている、上記の特徴8に記載の触媒反応器。
10. 前記少なくとも一つの分配要素が円形の断面を有する、上記の特徴7〜9のいずれか一つに記載の触媒反応器。
11. 複数の前記分配要素を含み、該分配要素が、フローティングトレイの横断面上に均等に分配されていることにより、入口の流体流からフローティングトレイの下方の触媒床への流体の均等な分配が提供されるようにされている、上記の特徴1〜10のいずれか一つに記載の触媒反応器。
12. クイックリリースロックによって複数のトレイセクションが接続されている、上記の特徴1〜11のいずれか一つに記載の触媒反応器。
13. 前記クイックリリースロックが、遠隔から解放されるように適合されている、上記の特徴12に記載の触媒反応器。
14. 前記トレイセクションの少なくとも一つが、少なくとも一つの吊り上げ用アイボルト(lifting eye)を備えていることにより、前記反応器の外部から、該トレイセクションを該反応器の内部に配置し、そして、その反応器から取り外すことができるようにする、上記の特徴1〜13のいずれか一つに記載の触媒反応器。
15. 前記吊り上げ用アイボルトの少なくとも一つが、前記トレイセクションの中心から逸れて配置されていることにより、収集された粒子を前記反応器内の前記トレイセクションから排出できるようにされている、上記の特徴2〜14のいずれか一つに記載の触媒反応器。
16. 少なくとも一つのトレイセクションが、隣接するトレイセクションによってロックされることなく、前記反応器から取り出すことができる断面幾何学形状を有する複数のセクションを含む、上記の特徴1〜15のいずれか一つに記載の触媒反応器。
17. 前記トレイセクションの少なくとも一つが組み立て手段を備えており、そして、前記トレイセクションが、一つの一体化された剛性ユニットとしてフローティングトレイを形成するように組み立てられたときに、該組み立て手段によって相互連結される、上記の特徴1〜16のいずれか一つに記載の触媒反応器。
18. 前記トレイセクションの少なくとも一つが、前記フローティングトレイを前記反応器の内側に固定するように適合された装入手段(breaking means)を含む、上記の特徴1〜17のいずれか一つに記載の触媒反応器。
19. 前記触媒反応器が水素化処理反応器である、上記の特徴1〜18のいずれか一つに記載の触媒反応器。
20. 前記反応器がドーム形状の上部を有し、前記フローティングトレイが、そのドームの下側かまたは該ドームの下部内に位置している、上記の特徴1〜19のいずれか一つに記載の触媒反応器。
【0018】
本発明を、本発明の実施形態の例を示す添付図面によってさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による触媒化学反応装置(図示せず)のためのフローティングトレイの側面および上面の等角図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による触媒化学反応装置(図示せず)のためのフローティングトレイの側面および底面の等角図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態によるフローティングトレイの詳細を示す切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態は、
図1、
図2および
図3に示される図面を参照して、以下により詳細に説明される。本発明の実施形態は、例により、添付の図面を参照して説明される。添付の図面は、本発明の実施形態の例を示しているに過ぎず、したがって、本発明は他の代替実施形態を認めることができるので、その範囲を限定するものと見なすべきではないことに留意されたい。
【0021】
触媒反応器(図示せず)は、プロセス流体が入る中空の頂部コンパートメントを含む。この中空の空間には、フローティングトレイ01を設置することができ、この実施形態では、反応器のプロセス流体の入口から触媒床(図示せず)へ流体を分配するという特徴だけでなく、反応器に余分な空間の追加を必要することなく、入口のプロセス流体から粒子を分離するという特徴をも提供する。フローティングトレイは、トレイセクション02を一体化された剛性ユニットに組み立てることによって作られている。複数の外側トレイセクションは、円形の台形形状、すなわち、二つの直線辺を有する切断された内側部分と、円弧状の外側面および円弧状の内側面を有するパイ形を有する。円弧状の内側面は、円形の中央トレイセクション07に適合するように適合されている。すべてのトレイセクションは、反応器の頂部のプロセス流体の入口(図示せず)を介して反応器内に取り付けられ、組み立てられ、取り外され、そして除去されることが可能なサイズに形成されており、フローティングトレイを既存の反応器を改造するのに適したものにする。トレイセクションは、クイックリリースロック09、12によって組み立てられて固定されたときに、該トレイセクションを相互にかみ合わせる取り付け手段(図示せず)を備えることができ、それらは
図2のフローティングトレイの一部分の切断図に詳細に示されている。クイックリリースロックは、すべて、フローティングトレイの中央に隣接して配置されており、これは、例えば、反応器の頂部におけるプロセス流体の入口開口部を介して反応器の外部から操作されるフックポールの手段によって、トレイの遠隔での組み立ておよび取り外しを可能にする。全てのトレイセクションは、反応器内で遠隔により持ち上げて移動させるための吊り上げ用アイボルトまたは開口部などの手段を備える。
【0022】
トレイセクションは、プロセス流体の入口流と共に反応器に導入される粒子を収集するのに適したセクションベース03を含む。粒子は、重力および流体流の速度の低下によって入口の流体流から除去され、これは、粒子がトレイセクションのセクションベース上に沈降することを可能にする。セクションベースに固定されているのは管の形状の流体分配要素04である。各流体分配要素の下部は、セクションベース内の開口部を通る流体開口部を有し、そして、各流体分配要素の上部は開放されている。これにより、流体分配要素はフローティングトレイの上側から流体分配要素の内部を通って、セクションベースを通ってフローティングトレイの下側から出る流体接続を提供する。
図1および
図2から分かるように、流体分配要素は、フローティングトレイの断面積全体にわたって均等に分割されている。これにより、フローティングトレイは、中央に配置されたプロセス流体の入口から反応器内部のフローティングトレイの下の触媒床(図示せず)まで浮遊するトレイの上方に入るプロセス流体の均一な流体分配を提供することができる。
図1に見られるように、流体分配要素は、管の側部に開口部をさらに備えていてもよく、該開口部は、トレイから液体を分配して、プロセス流体を下方の触媒床に分配するように適合されている。液体の体積は、セクションベースから管の側面の開口部までの距離に応じた体積を有するフローティングトレイ内であることができる。
【0023】
個々の外側トレイセクションおよび組み立てられたフローティングトレイのそれぞれは、全体として、
図1および
図2に示すようなトレイ支持部05によって支持される。該トレイ支持部は、フローティングトレイを反応器内の触媒床上に支持する(「浮動させる」)ことを可能にする。特に、既存の反応器を改造する場合、これは、フローティングトレイを反応器内の任意の機械的支持体から独立させるので、非常に有益である。また、トレイと反応器との間に溶接部または支持ハンガーを必要としないので、反応器内のフローティングトレイの取り付けが簡単になる。トレイ内の触媒床の触媒を押しつぶしたり損傷させたりすることなく、トレイ支持部の面積は、フローティングトレイの負荷と、収集された粒子および/または流体からの余分な負荷を支持するのに十分な大きさに適合される。本実施形態の特徴は、フローティングトレイの少なくとも一部をワイヤメッシュ06から作製することである。触媒床へのプロセス流体の均一な分配が向上されるため、これは、フローティングトレイ支持体によって覆われている触媒床の部分にも流体流を提供する。
【符号の説明】
【0024】
01 フローティングトレイ
02 トレイセクション
03 セクションベース
04 流体分配要素
05 トレイ支持体
06 ワイヤメッシュ
07 中央トレイセクション
08 外側トレイセクション
09 クイックリリースロック