特許第6895514号(P6895514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6895514搬送可能な加工ユニット及びスタック装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895514
(24)【登録日】2021年6月9日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】搬送可能な加工ユニット及びスタック装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 47/02 20060101AFI20210621BHJP
   B23D 45/06 20060101ALI20210621BHJP
   B27B 5/16 20060101ALI20210621BHJP
   B23Q 13/00 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   B23D47/02
   B23D45/06
   B27B5/16
   B23Q13/00
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-518196(P2019-518196)
(86)(22)【出願日】2016年10月5日
(65)【公表番号】特表2019-529144(P2019-529144A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2016073743
(87)【国際公開番号】WO2018065042
(87)【国際公開日】20180412
【審査請求日】2019年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】518407205
【氏名又は名称】フェストール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】エンダー・ドミニク・リヒャルト
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07752699(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0116261(US,A1)
【文献】 特開2001−121509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 45/00−47/12,
B27B 5/00−5/38,
B23Q 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを工具(1)で加工する搬送可能な加工ユニット(10)であって、
加工されるべきワークピースを載置するために用いることが可能なワークピース−載置プレート(4)を備えた下部(3)と、フード状のカバーとして形成された、前記下部(3)に取り外し可能に設けられた上部(16)とを有する、台座に設置可能なケース状の支持構造(2)と、
少なくとも部分的に前記下部(3)に配置され、該下部に動作可能に固定されている、前記工具(1)を機械的に駆動する駆動装置(5)と
を含んでおり、その結果、前記駆動装置(5)によって駆動される前記工具(1)による前記ワークピースの加工時に前記駆動装置(5)が少なくとも部分的に前記下部(3)にとどま
前記支持構造(2)が支持構造−結合手段(6)を備えており、該支持構造−結合手段が上側の支持構造−結合手段(7)を含んでおり、該上側の支持構造−結合手段が、1つの上側のケース状の本体部(21)が当該搬送可能な加工ユニット(10)にスタックされている状態において、前記上側のケース状の本体部(21)との取り外し可能で垂直方向に引張強さをもった結合を提供することに適しており、及び
前記支持構造−結合手段(6)が下側の支持構造−結合手段(8)を含んでおり、該下側の支持構造−結合手段が、当該搬送可能な加工ユニット(10)が1つの下側のケース状の本体部(22)にスタックされている状態において、前記下側のケース状の本体部(22)との取り外し可能で垂直方向に引張強さをもった結合を提供することに適しており、
前記上側の支持構造−結合手段(7)が前記上部(16)に設けられていること
を特徴とする搬送可能な加工ユニット。
【請求項2】
前記支持構造−結合手段(6)が、可動に支持されたロック要素(9)を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の搬送可能な加工ユニット(10)。
【請求項3】
前記支持構造−結合手段(6)が、前記支持構造(2)に位置固定して配置された少なくとも1つのロック係止輪郭部(14;15)を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送可能な加工ユニット(10)。
【請求項4】
前記上部(16)が、垂直方向に前記ワークピース−載置プレート(4)の上方へ延在するフレーム構造(17)を含んでいることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の搬送可能な加工ユニット(10)。
【請求項5】
前記上部(16)の水平断面が、本質的に、前記下部(3)の水平断面と同一の外部輪郭を備えていることを特徴とする請求項に記載の搬送可能な加工ユニット(10)。
【請求項6】
前記工具(1)が、前記駆動装置(5)に設けられているとともに少なくとも部分的に前記ワークピース−載置プレート(4)の上方に配置されており、前記フレーム構造(17)が、前記駆動装置(5)に設けられた前記工具(1)を越えて垂直方向に延在していることを特徴とする請求項又はに記載の搬送可能な加工ユニット(10)。
【請求項7】
記下側の支持構造−結合手段(8)が前記下部(3)に設けられていることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の搬送可能な加工ユニット(10)。
【請求項8】
記上部が、前記下部(3)に設けられた状態で前記ワークピース−載置プレート(4)を覆っていることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の搬送可能な加工ユニット(10)。
【請求項9】
前記フレーム構造(17)及び前記ワークピース−載置プレート(4)が、共に収納空間(18)を画定しており、前記上部(16)が、取り外し可能及び/又は旋回可能なカバー(19)を有しており、該カバーが、前記フレーム構造(17)に設けられ、開放位置において前記収納空間(18)へのアクセスを解放することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の搬送可能な加工ユニット(10)。
【請求項10】
前記支持構造(2)に設けられた運搬用取っ手(24)が設けられており、前記支持構造(2)が、当該搬送可能な加工ユニット(10)が前記運搬用取っ手(24)で搬送され得るように形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の搬送可能な加工ユニット(10)。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の搬送可能な加工ユニット(10)と、前記上側のケース状の本体部(21)とを含み、該本体部が、前記搬送可能な加工ユニット(10)と共に垂直なスタックを形成するために、前記搬送可能な加工ユニット(10)上に配置されており、前記上側のケース状の本体部(21)が本体部−結合手段(23)を備えており、該本体部−結合手段が、前記上側のケース状の本体部(21)と前記搬送可能な加工ユニット(10)の間の、垂直方向に引張強さをもった結合を提供するために、前記支持構造−結合手段(6)と協働することを特徴とするスタック装置(20)。
【請求項12】
前記上側のケース状の本体部(21)が、容器又は請求項1〜10のいずれか1項に記載の別の搬送可能な加工ユニット(10)であることを特徴とする請求項11に記載のスタック装置(20)。
【請求項13】
前記搬送可能な加工ユニット(10)の水平断面が、本質的に、前記上側のケース状の本体部(21)の水平断面と同一の外部輪郭を備えており、前記搬送可能な加工ユニット(10)が前記上側のケース状の本体部(21)に対して面一に配置されているため、前記搬送可能な加工ユニット(10)及び前記上側のケース状の本体部(21)が、本質的に立方体状のスタックを共に形成していることを特徴とする請求項11又は12に記載のスタック装置(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースを工具で加工する搬送可能な加工ユニット、特に卓上丸のこであって、加工されるべきワークピースを載置するために用いることが可能なワークピース−載置プレートを備えた下部を有する、台座に設置可能なケース状の支持構造と、少なくとも部分的に前記下部に配置され、該下部に動作可能に固定されている、工具を機械的に駆動する駆動装置とを含んでおり、その結果、前記駆動装置によって駆動される前記工具による前記ワークピースの加工時に前記駆動装置が少なくとも部分的に前記下部にとどまる、前記搬送可能な加工ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、周囲側と下側で本質的に閉じた外面を有するハウジングを有する卓上丸のこが記載されている。ハウジングは、載置面を有する動作プレートを支持している。モータ及びのこ刃を収容する機械フレームは、動作プレートの下方に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国実用新案第202004009123号明細書
【特許文献2】欧州特許第2315701号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭に挙げた種類の搬送可能な加工ユニットの操作性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴部分において記載された特徴によって解決される。本発明によれば、支持構造が支持構造−結合手段を備えており、当該支持構造−結合手段は、ケース状の少なくとも1つの本体部と共に垂直なスタックを形成する状態において、ケース状の少なくとも1つの本体部との取り外し可能な垂直方向の引張強さをもった結合を提供するのに適している。
【0006】
搬送可能な加工ユニットが支持構造−結合手段を備えていることで、搬送可能な加工ユニットは、例えばケース状の容器及び/又は別の搬送可能な加工ユニットのようなケース状の本体部から成る垂直なスタックに安定的に格納されることが可能である。したがって、搬送可能な加工ユニットは、非常に実用的な態様で保管され、あるいは積み込まれることが可能である。
【0007】
加えて、搬送可能な加工ユニットは、支持構造−結合手段により、効果的かつ安全な態様で搬送されることが可能である。支持構造−結合手段が垂直方向に引張強さをもった結合に適しているため、スタックは、搬送可能な加工ユニットによって形成されることができ、スタックの個々のスタック要素は、垂直方向に引張強さをもって互いに結合されている。この関係では、垂直方向に引張強さをもった結合により、特に垂直方向に強固で力伝達可能な結合が意図されている。このようなスタックに格納された搬送可能な加工ユニットは、スタックの垂直方向の持上げ時にも、スタックの別の要素に固結されたままであり、したがって、効果的かつ安全な形態でスタックにおいて搬送されることが可能である。
【0008】
したがって、本発明により、特に搬送可能な加工ユニットの積み込み及び搬送に関して、搬送可能な加工ユニットの操作性を改善することが可能である。
【0009】
搬送可能な加工ユニットの基本形状(構成)は、特にケース状の支持構造によって規定される。好ましくは、支持構造の外面は、ハウジングあるいは搬送可能な加工ユニットの外部のハウジング面である。搬送可能な加工ユニットのハウジングあるいは基本形状は、特にシステムボックスの形状を備えている。システムのシステムボックスは、システムにおいて規定された基礎面を有しているとともに、システムにおいて規定された結合手段を備えているため、システムのシステムボックスは、安定的なスタックに組み立てられることが可能である。システムボックスは、例えば、手動の電気工具、付属品及び/又は消耗材料を保管するためのモジュール式の工具ケースとして更に普及されている。本発明による加工ユニットの基本形状あるいはハウジングがシステムボックスの形態で形成されていれば、搬送可能な加工ユニットは、実用的な態様で、システムボックスから成るスタックにおいて積み込まれ、搬送されることが可能である。
【0010】
搬送可能な加工ユニットの支持構造は、複数の目的を充足している。一方では、上述のように、支持構造は、搬送可能な加工ユニットの基本形状を規定するとともに、別のケース状の本体部あるいは搬送可能な加工ユニットから成るスタックにおいて搬送可能な加工ユニットの保管あるいは搬送が可能であるように形成されている。他方では、支持構造は、ワークピースが加工時に載置されるワークピース−載置プレートを提供する。最後に、支持構造では、駆動装置、例えば電気モータが動作可能に格納及び固定されており、その結果、搬送可能な加工ユニットは、合目的には、駆動装置をスタックから改造することなく収容され、始動され、あるいは動作後にスタックに格納されることが可能である。このとき、駆動装置は、常に動作可能に配置で支持構造部にとどまる。特に、駆動装置は、動作状態、すなわち搬送可能な加工ユニットがワークピースの下降のために用いられ得る状態でも、また搬送状態、すなわち搬送可能な加工ユニットがスタックに格納され得る状態でも、動作可能な配置で支持構造にとどまる。したがって、搬送状態と動作状態の間には煩雑な改造は不要であり、その結果、搬送可能な加工ユニットは非常に迅速かつ容易に始動されることが可能である。
【0011】
上述のように、搬送可能な加工ユニットは、支持構造−結合手段により、ケース状の本体部から成るスタックにおいて格納されることが可能である。ケース状の本体部は、例えば容器又は本発明による搬送可能な加工ユニットであり得る。共にスタックを形成する複数のケース状の本体部は、ここではスタック要素とも呼ばれる。
【0012】
好ましい発展形成は、従属請求項の対象である。
【0013】
好ましくは、支持構造−結合手段は上側の支持構造−結合手段を含んでおり、この上側の支持構造−結合手段は、ケース状の本体部が搬送可能な加工ユニットへスタックされた状態で、ケース状の本体部との、取り外し可能な、垂直方向の引張強さをもった結合を提供するのに適している。これに代えて、又はこれに加えて、支持構造−結合手段は下側の支持構造−結合手段を含んでおり、この下側の支持構造−結合手段は、搬送可能な加工ユニットがケース状の本体部へスタックされた状態で、ケース状の本体部との、取り外し可能な、垂直方向の引張強さをもった結合を提供するのに適している。
【0014】
したがって、搬送可能な加工ユニットは、スタックにおいて、安定的にケース状の本体部上及び/又はケース状の本体部の下に配置され、垂直方向に引張強さをもった結合されることが可能である。好ましくは、支持構造−結合手段は、複数の、特に全ての空間方向において引張強さをもった結合を提供するのに適している。
【0015】
支持構造−結合要素は、特に、ケース状の本体部が搬送可能な加工ユニット上又は搬送可能な加工ユニットの下に配置されているとともにこの搬送可能な加工ユニットと共にスタックを形成する場合に、支持構造−結合要素が支持構造−結合要素と同一に形成されたケース状の本体部の本体部−結合手段との結合がなされるように形成されている。
【0016】
好ましい一形態によれば、支持構造−結合手段、好ましくは上側の支持構造−結合手段は可動に支持されたロック要素を含んでおり、このロック要素は、特に支持構造において回転可能に支持されたロータリロックを含んでいる。合目的には、回転軸線は、支持構造のその周壁に対して直交して延びており、支持構造にはロータリロックが配置されている。
【0017】
ロック要素は、例えば可動に支持されることができるとともに、ケース状の本体部が搬送可能な加工ユニット上又は搬送可能な加工ユニットの下に配置されている場合に、結合位置を占めるときに当該ロック要素がケース状の本体部に設けられたロック係止輪郭部と結合係合され得るように配置されることが可能である。好ましくは、ロック要素は、搬送可能な加工ユニットの周壁に設けられている。
【0018】
支持構造−結合手段は、1つ又は複数のロック要素を含むことが可能である。
【0019】
ロック要素は、様々な態様で可動に、例えば回転可能に、旋回可能に、又は摺動可能に支持されることができる。ロータリロックとしてのロック要素の上述の態様に代えて、又はこれに加えて、ロック要素は、旋回可動又は摺動可能に支持されたロックタブを含むことも可能である。この場合、合目的には、旋回軸線は、搬送可能な加工ユニットのその周壁に対して平行に延びており、周壁にはロックタブが配置されている。合目的には、摺動可能な支持の場合の摺動軸線は、垂直方向に延びている。
【0020】
搬送可能な加工ユニットは、可動に支持されたロック要素によって、特に簡易な態様でケース状の本体部に結合あるいはこれから結合解除されることが可能である。ロック要素が回転可能に支持されたロータリロックとして形成されていれば、ロータリロックの回転によって結合/結合解除が可能である。
【0021】
支持構造−結合手段、好ましくは下側の支持構造−結合手段は、合目的には、支持構造に位置固定して配置された少なくとも1つのロック係止輪郭部を含んでいる。
【0022】
ロック係止輪郭部は、例えば、搬送可能な加工ユニットの周壁から突出した少なくとも1つの係止突起として形成されることが可能である。支持構造−結合手段は、1つ又は複数のロック係止輪郭部あるいは係止突起を含むことが可能である。
【0023】
上述のロック要素及びロック係止輪郭部に加えて、支持構造−結合手段は係合構造を備えることができ、当該係合構造は、例えば容器又は別の搬送可能な加工ユニットのようなケース状の本体部の対応する係合構造と係合するのに適している。
【0024】
このようにして、搬送可能な加工ユニットがケース状の本体部と共にスタックを形成している状態において、搬送可能な加工ユニット及びケース状の本体部が垂直方向に対して垂直に互いに対して摺動可能であることが達成され得る。
【0025】
また、係合構造は、垂直方向における結合にも寄与することが可能である。このことは、係合構造の後方係合構成要素のロック式の係合によって行われることができ、ロック式の係合は、ケース状の本体部に対する搬送可能な加工ユニットの相対移動により形成され得る。
【0026】
好ましくは、上側の支持構造−結合手段は、支持構造の上側に配置された、少なくとも1つの係合凹部から成る第1の係合構造を含んでおり、下側の支持構造−結合手段は、支持構造の下側に配置された、少なくとも1つの係合凸部から成る第2の係合構造を含んでいる。少なくとも1つの係合凸部は、例えばスタンド脚部として形成されることが可能である。合目的には、少なくとも1つのスタンド脚部は、少なくとも部分的に上述の後方係合構成要素も形成している。
【0027】
好ましい一形態によれば、支持構造は、垂直方向にワークピース−載置プレートの上方へ延在するフレーム構造を有する、下部に取り外し可能に設けられた上部を含んでいる。
【0028】
フレーム構造は、ワークピース−載置プレートと共に収納空間を規定し、したがって、付属品のための保管可能性を提供する。搬送可能な加工ユニットの動作状態では、ワークピース−載置プレート及び工具に良好にアクセスできるように、上部を下部から取り外すことが可能である。搬送可能な加工ユニットの搬送状態では、収納空間を提供するために、上部が下部に設けられている。
【0029】
可能な一実施形態によれば、フレーム構造が上部となっている。
【0030】
合目的には、上部には上部−結合手段が設けられ、下部には下部−結合手段が設けられ、これら結合手段は、上部と下部の間の垂直方向に引張強さをもった結合を提供するために互いに結合係合されることが可能である。上部−結合手段及び下部−結合手段は、例えば可動のロック要素及び/又はロック係止輪郭部を含んでいる。
【0031】
好ましくは、上部の水平断面、好ましくはフレーム構造の水平断面は、本質的に、下部の水平断面と同一の外部輪郭を備えている。上部及び下部あるいはフレーム構造及び下部は、共にケース状の本体部を形成している。
【0032】
合目的には、工具が駆動装置に設けられているとともに、少なくとも部分的にワークピース−載置プレートの上方に配置されている。好ましくは、フレーム構造は、垂直方向において上方へ駆動装置に取り付けられた工具を越えて延在している。
【0033】
フレーム構造が垂直方向において上方へ駆動装置に取り付けられた工具を越えて延在していることにより、工具を取り外すことなく、搬送可能な加工ユニットは、スタックにおいてケース状の本体部の下に配置されることが可能である。フレーム構造は、特に、少なくとも部分的にワークピース−載置プレートの上方に配置された工具を駆動装置における搬送状態においてもとどめることが可能であるように、垂直方向において必要な空間を得るために用いられる。このようにして、工具は、搬送状態においても動作可能に配置されたままであることができる。
【0034】
上側の支持構造−結合手段は、特に上部に設けられている。これに代えて、又はこれに加えて、下側の支持構造−結合手段は下側に設けられている。
【0035】
好ましい一形態によれば、上部はフード状のカバーとして形成されており、このカバーは、支持構造に設けられた状態で工具−載置プレートを覆っている。
【0036】
好ましくは、フレーム構造及び工具−載置面は、共に収納空間を画定している。特に、上部は、取り外し可能な、及び/又は旋回可能なカバーを有しており、このカバーは、フレーム構造に設けられているとともに、開放位置において収納空間へのアクセスを解放するものである。
【0037】
合目的には、搬送可能な加工ユニットは、運搬用取っ手を有しており、この運搬用取っ手は、支持構造に、好ましくは上部に、特にカバーに設けられている。支持構造は、特に、搬送可能な加工ユニットが運搬用取っ手で運搬され得るように形成されている。
【0038】
また、上述の搬送可能な加工ユニットと、少なくとも1つのケース状の本体部とを含み、該本体部が、搬送可能な加工ユニットと共に垂直なスタックを形成するために、搬送可能な加工ユニット上又は搬送可能な加工ユニットの下に配置されており、ケース状の本体部が本体部−結合手段を備えており、該本体部−結合手段が、ケース状の本体部と搬送可能な加工ユニットの間の、垂直方向に引張強さをもった結合を提供するために、支持構造−結合手段と協働するスタック装置が提供される。
【0039】
好ましい一形態によれば、ケース状の本体部は、容器又は上述の態様による別の加工ユニットである。後者の場合には、本体部−結合手段は、支持構造−結合手段である。
【0040】
好ましくは、搬送可能な加工ユニットの水平断面は、本質的に、ケース状の本体部の水平断面と同一の外部輪郭を備えている。特に、搬送可能な加工ユニットは、ケース状の本体部に対して面一に配置されているため、搬送可能な加工ユニット及びケース状の本体部は共に本質的に立方体状のスタックを形成している。
【0041】
以下に、図面を参照しつつ搬送可能な加工ユニットの例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】搬送可能な加工ユニットの斜視図である。
図2】取り外し可能な上部を有する搬送可能な加工ユニットの前方から見た斜視図である。
図3】取り外し可能な上部を有する搬送可能な加工ユニットの後方から見た斜視図である。
図4】開放されたカバーを有する搬送可能な加工ユニットの斜視図である。
図5】搬送可能な加工ユニット及び2つのケース状の本体部から成るスタック装置の斜視図である。
図6】搬送可能な加工ユニットの下方から見た斜視図である。
図7】制御装置101の概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1図4及び図6には、搬送可能な加工ユニット10の斜視図が示されている。図5には、搬送可能な加工ユニット10が格納されたスタック装置20が示されている。
【0044】
搬送可能な加工ユニット10は、図に記入されたz軸に対して平行に延びる垂直方向へ、図に記入されたx軸に対して平行に延びる長手方向へ、及び図に記入されたy軸に対して平行に延びる横方向へ延在している。x軸、y軸及びz軸は、互いに直交するように向けられている。
【0045】
搬送可能な加工ユニット10は、図示の各図では、例示的に卓上丸のことして形成されている。これに代えて、搬送可能な加工ユニット10は、例えば外形加工装置、糸のこ又はエッジグラインダのような他の半静的な機械として形成されることも可能である。この関係において、半静的な機械は、特に加工ユニットと呼ばれるべきであり、この加工ユニットは、ワークピース加工時に台座に設置され、搬送時に人によって運搬されるのに適している。
【0046】
搬送可能な加工ユニット10は、工具1による不図示のワークピースの加工に用いられる。工具1は、各図では、例示的にのこ刃として形成されている。
【0047】
搬送可能な加工ユニット10は、下部3を有する、台座に設置可能なケース状の支持構造2を含んでおり、下部は、加工されるべきワークピースを載置するために用いることが可能なワークピース−載置プレート4を備えている。合目的には、ケース状の支持構造2は、本質的に立方体状の構造であり、この構造では、外面、好ましくは外面全体が本質的に閉鎖されている。
【0048】
また、搬送可能な加工ユニット10は、図7において概略的に示されている駆動装置5を含んでいる。駆動装置5は、例えば、工具1の機械的な駆動のための電気モータを含んでいる。駆動装置5は、ここでの例では、下部3に完全に配置されているとともに、下部3に動作可能に固定されているため、駆動装置5は、ワークピースの加工時に、駆動装置5によって駆動される工具1によって下部3にとどまる。
【0049】
支持構造2は、支持構造−結合手段6を備えている。支持構造−結合手段6は、支持構造2がケース状の少なくとも1つの本体部21,22と共に垂直なスタックを形成する状態において、ケース状の少なくとも1つの本体部との垂直方向の引張強さをもった結合を提供するのに適している。
【0050】
搬送可能な加工ユニット10は、支持構造−結合手段6により、例えばケース状の容器及び/又は別の搬送可能な加工ユニット10のような、ケース状の本体部から成るスタックにおいて安定的に格納されることが可能である。それゆえ、搬送可能な加工ユニット10は、スタックにおいて非常に実用的に積み込まれ、及び/又は確実に搬送されることが可能である。したがって、本発明による搬送可能な加工ユニット10は、改善された操作性を有している。
【0051】
各図から分かるように、搬送可能な加工ユニット10は、特にシステムボックスの基本形状を備えている。各図に示された搬送可能な加工ユニット10は、例えば図5に示されているように、別のシステムボックスのスタックに格納され得るように形成されている。
【0052】
以下では、搬送可能な加工ユニット10の例示的な構成を詳細に説明する。
【0053】
支持構造2は、ケース状に形成されているとともに、互いに直交するように向けられた4つの周壁を備えている。周壁は、前壁12と、後壁13と、側壁25,26とを含んでいる。前壁12及び後壁13は長手方向xに対して平行に向けられており、側壁25,26は、横方向yに対して平行に向けられている。
【0054】
各図に示された搬送可能な加工ユニット10の支持構造2は、下部3に取り外し可能に設けられた上部16を備えている。図1には、上部16が下部3へ載置されつつこれに結合されている状態で加工ユニット10が示されている。図2には、搬送可能な加工ユニット10が、上部16が下部3から取り外された状態で示されている。
【0055】
図示の実施形態に代えて、搬送可能な加工ユニット10は、上部16なしに形成されることも可能である。この場合、合目的には、下部3が支持構造全体となり得る。そして、支持構造−結合手段6は、全て下部3に設けられ得る。
【0056】
支持構造−結合手段6は、例示的に上部16に設けられた上側の支持構造−結合手段7を含んでいる。上側の支持構造−結合手段7は、ケース状の本体部21が搬送可能な加工ユニット10へスタックされた状態で、ケース状の本体部21との、解除可能な、垂直方向の引張強さをもった結合を提供するのに適している。上側の支持構造−結合手段7は、可動に支持されたロック要素9を含んでいる。図示の例では、ロック要素9は、支持構造2において回転可能に支持されたロータリロック11を含んでいる。ロータリロック11は、支持構造2の前壁12に配置されている。ロータリロック11の回転軸線は、前壁12に対して直交して延びている。
【0057】
支持構造−結合手段6は、下部3に設けられた下側の支持構造−結合手段8を更に含んでいる。下側の支持構造−結合手段8は、搬送可能な加工ユニット10がケース状の本体部22へスタックされている状態で、ケース状の本体部22との、解除可能な、垂直方向の引張強さをもった結合を提供するのに適している。下側の支持構造−結合手段8は、支持構造2に位置固定して配置された少なくとも1つの第1のロック係止輪郭部14を含んでいる。図示の例では、第1のロック係止輪郭部14が支持構造2の下部3に配置されている。第1のロック係止輪郭部14は、支持構造2の前壁12に位置しているとともに、長手方向xに関して支持構造2の中央に配置されている。第1のロック係止輪郭部14は、係止突起として形成されているとともに、前壁12から突出している。
【0058】
ロック要素9及びロック係止輪郭部14は、垂直に互いに上下に重ねられた2つの搬送可能な加工ユニット10において1つの搬送可能な加工ユニット10のロック要素9が他の加工ユニット10の第1のロック係止輪郭部14に係合され得るように配置されている。
【0059】
図示の例では、下側の支持構造−結合手段8は、第1のロック係止輪郭部14に加えて、第2のロック係止輪郭部15を更に備えている。第2のロック係止輪郭部15は、係止突起としても形成されているものの、第1のロック係止輪郭部14とは異なり、前壁12の下側のコーナ範囲及び後壁13における下側に位置する側壁25,26のコーナ範囲に配置されている。第2のロック係止輪郭部15は、搬送可能な加工ユニット10を、第2のロック係止輪郭部15と相補的なロック要素を備える容器又は他の対象物に連結するように用いられる。搬送可能な加工ユニット10がこのような容器あるいは対象物に連結されるように構成されていない限り、第2のロック係止輪郭部15も省略することが可能である。
【0060】
支持構造−結合手段6は、冒頭で言及した種類の係合構造も含んでいる。
【0061】
すなわち、上側の支持構造−結合手段7は、支持構造2の上側において分配して配置された複数の係合凹部32を更に含んでいる。係合凹部32は、前壁12の近傍に配置された2つの第1の係合凹部22と、後壁13の近傍に配置された1つの第2の係合凹部34とを含んでいる。
【0062】
下側の支持構造−結合手段8は、支持構造2の下側の4つのコーナ範囲に配置されている、スタンド脚部として形成された4つの係合凸部82を含んでいる。係合凸部82は、例えば図6において見ることができる。係合凸部82及び係合凹部33,34は、垂直に互いに上下に重ねられた2つの搬送可能な加工ユニット10において上側の搬送可能な加工ユニットの係合凸部82が下側の加工ユニットの係合凹部32と係合するように配置されている。
【0063】
係合凸部82及び係合凹部32は、垂直方向における結合にも寄与するものである。このことは、例えば特許文献2に詳細に記載されているように、係合凸部82及び/又は係合凹部32の後方係合構成要素のロック式の係合によって行われることができる。例えば、第2の係合凹部34はアンダーカットされた断面を備えることが可能であり、第2の係合凹部34に係合する対応する係合凸部82は、対応して輪郭付けされた、例えばくさび状に輪郭付けされた後方係合部を備えることが可能である。
【0064】
支持構造2の上部16は、フード状のカバーとして形成されている。図1に図示された状態では、上部16は、工具載置プレート4を例えば完全に覆っている。上部16は、ワークピース−載置プレート4の上方へ垂直方向に延びるフレーム構造17を含んでいる。上部16あるいはフレーム構造17の水平断面は、本質的に、下部3の水平断面と同一の外部輪郭を備えている。上部16は、下部3に対して面一に配置されているため、下部と共にケース状の支持構造2を形成している。
【0065】
図4に示されているように、フレーム構造17は、本質的に、立方体ジャケット面の形状を備えており、すなわち、フレーム構造17は、互いに対して直交するように向けられた4つの周壁を備えているとともに、開放された下側及び開放された上側を有している。フレーム構造17及び工具−載置面4は、共に収納空間18を画定している。
【0066】
上部16は、フレーム構造17の開放された上側に割り当てられているカバー19を備えている。カバー19は、図1図3及び図5に示されているように、上部16を密閉するために閉鎖位置へ移動することができ、又は図4に示されているように、上部を開放し、収納空間18へのアクセスを解放するために解放位置へ移動することが可能である。カバー19は、後壁13の範囲で旋回可能に、フレーム構造17に連結されている。カバー19は、完全にフレーム構造17に載置されている。カバー19の水平断面の外部輪郭は、フレーム構造17の水平断面の外部輪郭に対応している。カバー19の上側の外面は、支持構造2の上側となっている。
【0067】
上記において既に言及した、例示的にロータリロック11として形成されたロック要素9は、カバー19に取り付けられている。
【0068】
ここでの実施形態では、ロック要素9は、支持構造2とこの支持構造2に載置されたスタック要素の間の垂直方向の引張強さをもった結合を提供するためのみならず、更に、カバー19を、当該カバーが開放位置へ移動することがないようにロックするために用いられる。この目的のために、ロック要素9は、少なくとも、3つの異なる位置へ移動可能な、T字状のロータリロック11として形成されている。
【0069】
図4には、T字状のロータリロック11がこのロータリロック11の下方でフレーム構造17に配置されたロック係止輪郭部35と結合係合していないロータリロック11の第1の位置が示されている。この位置では、カバー19は開放されることが可能である。また、この位置では、搬送可能な加工ユニット10へ載置された(図4では不図示の)スタック要素に対する結合を提供することが可能である。
【0070】
図2には、ロータリロック11がフレーム構造17に配置されたロック係止輪郭部35と結合係合しているものの、スタック要素が搬送可能な加工ユニット10へ載置されていない場合には(図2では不図示の)スタック要素と結合係合していないロータリロック11の第2の位置が示されている。第2の位置では、カバー19がロックされているとともに、搬送可能な加工ユニット10に載置されたスタック要素が結合解除されて取り外されることが可能である。
【0071】
図5には、ロータリロック11が同時にフレーム構造17に設けられたロック係止輪郭部35と、載置されたスタック要素(ここではケース状の容器21)に設けられたロック係止輪郭部とに結合係合しているロータリロック11の第3の位置が示されている。第3の位置では、カバー19がロックされているとともに、搬送可能な加工ユニット10に載置されたスタック要素(ここではケース状の容器21)がこの搬送可能な加工ユニットに結合されている。
【0072】
カバー19には、更に運搬用取っ手24が設けられている。図示の例では、運搬用取っ手24は、カバー10の上側に配置されている。有利には、運搬用取っ手24は、当該運搬用取っ手が選択的にカバー19の上側へ旋回された非使用位置を占めることができるか、又は上方へ旋回され、したがって上方へ上側へ突出した使用位置を占めることができるように、形成されている。有利には、運搬用取っ手は、U字状の形状を有する弓状の運搬用取っ手である。
【0073】
支持構造2は、搬送可能な加工ユニット10が運搬用取っ手24で運搬され得るように形成されている。特に、上部16は、垂直方向に引張強さをもって下部3に結合されているため、運搬用取っ手24を用いた上部16の持上げ時には、下部3も共に持ち上げられ、上部16に安定的にとどまる。図示の例では、特に、カバー19は垂直方向に引張強さをもってフレーム構造17に結合されることができ、フレーム構造17は、垂直方向に引張強さをもって下部3に結合されることが可能である。合目的には、フレーム構造17は、全ての空間方向へ引張強さをもって下部3に結合されており、及び/又はカバー19は、全ての空間方向へ引張強さをもってフレーム構造17に結合されている。
【0074】
カバー19の下側には、例えば予備のこ刃のような予備工具を保管するための保管装置27が配置されている。これに代えて、又はこれに加えて、例えばライビングナイフ(隙間キー)のための保管装置のような付属品のための保管装置もカバー19の下側に設けることが可能である。図示の例では、保管装置27は、平坦で長方形状の基本形状を備えているとともに、旋回可能に後壁13の近傍でカバー19の下側へ結合されている。
【0075】
図2図4に示されているように、例示的にのこ刃として形成された工具1が部分的にワークピース−載置プレート4の上方に配置されている。工具1は、工具載置プレート4の開口部を通過しており、その結果、工具1の一部は、ワークピース−載置プレート4の上方に位置している。ワークピース−載置プレート4の下方では工具1が駆動装置5に取り付けられているか、又はこの駆動装置に結合されているため、工具は、駆動装置5によって駆動されることが可能である。
【0076】
フレーム構造17は、垂直方向において上方へ駆動装置5に取り付けられた工具1を越えて延在している。このようにして、搬送可能な加工ユニット10がスタックにおいて配置されているとともにカバー19が閉鎖されているとしても、工具1は駆動装置5にとどまる。
【0077】
上部16は上部−結合手段28を備え、下部3は下部結合手段29を備えている。上部−結合手段28及び下部結合手段29を用いて、上部16を取り外し可能に、垂直方向に引張強さをもって下部3に結合することが可能である。特に、このとき、上部−結合手段28及び下部結合手段29は、ヒンジ装置を形成している。
【0078】
各図では、上部−結合手段28は、例示的に、支持構造2の前側2に設けられた、例えばロータリロックとして形成された可動に支持されたロック要素31を含んでいる。ロータリロックは、前壁12に対して直交するように向けられた回転軸線を中心に回転可能に支持されている。例えば、ロータリロックは、本質的に長方形状に形成されているとともに、前壁12に対して平行に配置されている。上部−結合手段28は、例えば後壁13に結合された2つのタブ36を更に含んでいる。タブ36は、例えば、横方向に対して垂直に向けられた平坦な長方形状の本体部37を備えており、この本体部の下側エッジには、長手方向に対して平行に向けられた支持延長部38が設けられている。
【0079】
下部結合手段29は、例えば下部3における前壁12にロック係止輪郭部39を含んでいる。ロック係止輪郭部39は、前壁12から垂直に突出しているとともに、上部16が下部3に載置されている状態で、ロック要素31が結合位置を占めるときにロック係止輪郭部39と結合係合され得るように配置されている。
【0080】
下部結合手段28は、下部3における収容装置41を更に含んでいる。収容装置41は、支持構造2の後壁13に配置されている。収容装置41は、支持延長部38が下部3との上部16の結合のために収容装置41内へ吊設され得るように形成されている。したがって、タブ36及び収容装置41を用いて、垂直方向zに互いに離間しつつ長手方向xへ向けられた2つの旋回軸線を有するヒンジ装置を形成することが可能である。ヒンジ装置により、上部16は、少なくとも後壁13の範囲において、垂直方向に引張強さをもって下部3に結合されることが可能である。
【0081】
上述のように、例示的にのこ刃として形成された工具1は、ワークピース−載置プレート4に設けられた開口部を通過している。のこ刃は、横方向に対して平行に、あるいは支持構造2の側壁25,26に対して平行に向けられている。のこ刃は、保護フード42によってカバーされる。保護カバー42はライビングナイフ43に固定されており、このライビングナイフは、開口部を通過し、ワークピース−載置プレート4の下方に配置された固定装置44に固定されている。のこ刃及び/又はライビングナイフ42は、好ましくは下部3における後壁13に設けられた開口部46を通してアクセス可能であるとともに、例えば迅速クランプシステム45を用いて交換可能である。
【0082】
ワークピース−載置プレート4の上側は、図示の例では細溝を有している。これに代えて、ワークピース−載置プレート4の上側は、細溝なしあるいは平坦であるか、又は他の構造部を有することも可能である。
【0083】
のこ刃は、横方向yに延びる、ワークピース−載置プレート4を長手方向において2つのプレート部分47,48に分割する仮想的な線上に位置している。のこ刃は、好ましくは長手方向においてワークピース−載置プレート4に対して偏心して配置されており、その結果、第2のプレート部分48は、第1のプレート部分47よりも長い。例えば、第2のプレート部分48は、長手方向において第1のプレート部分47よりも例えば二倍の長さであり得る。好ましくは、第1のプレート部分47は工具1に対して固定されている一方、第2のプレート部分48は、少なくとも横方向yにおいて変位可能に支持されており、その結果、第2のプレート部分は、工具1に対して横方向yにおいて変位することが可能である。変位可能に支持された第2のプレート部分48により、ワークピースは、加工時に工具1に対して相対的にガイドあるいは移動されることが可能である。不図示の係止装置に基づき、第2のプレート部分48は工具1あるいは下部3に対して固定されることが可能である。固定は、例えば下部3の側壁26に設けられた回転ヘッド49を介して調整されることが可能である。
【0084】
第2のプレート部分48は、特に搬送位置において固定されることができ、この搬送位置では、第2のプレート部分は、下部3あるいは上部16に対して面一に配置されている。各図には、第2のプレート部分48は、搬送位置において示されている。特に、ワークピース−載置プレート4の水平断面は、搬送位置において、下部3及び/又は上部16の水平断面と本質的に同一の外部輪郭を備えている。
【0085】
第2のプレート部分48には溝配置51が設けられており、この溝配置では、ストッパ装置52をガイドすることが可能である。ストッパ装置52は、例えばアングルストッパとして形成されているとともに、特に溝配置51においてガイド可能な固定要素53と、固定要素53に対して相対的に旋回可能なアングル要素54と、アングル要素54に設けられたガイドレール55とを含んでいる。ストッパ装置52は、特にストッパ装置52が溝配置51においてガイドされている状態で当該ストッパ装置が収納空間18に適合するように、寸法設定されている。
【0086】
支持構造2の前壁12は、長手方向xにおいて2つの側方の壁部分56,57と、中央の壁部分58とを備えており、この中央の壁部分は、側方の壁部分56,57に対して後ろへ、すなわち後壁13へ向けて横方向yへずらされているため、前壁12は、長手方向xにおいて中央に横方向yにおける凹部を備えている。図示の例では、凹部は、支持構造2の下側から上側まで前壁12の垂直範囲全体にわたって、したがって下部3及び上部16にわたって延在している。上述のロック要素11,31及びロック係止輪郭部14,35,39は、好ましくは各図に示されているように、中央の壁部分58あるいはここで説明している凹部に設けられている。
【0087】
中央の壁部分58には、更に操作装置59が設けられている。操作装置59は、下部3に配置されているとともに、好ましくは搬送可能な加工ユニット10についてのパラメータを調整するための回転ダイヤル102,104及び/又はボタン105,106,107,108を備えている。図示の例のように、搬送可能な加工ユニット10が卓上丸のこであれば、操作装置59に基づき、例えばのこ刃の高さ調整及び/又は角度調整を行うことが可能である。操作装置59は、特に、当該操作装置が横方向において側方の壁部分56,57から突出しないように寸法設定されている。
【0088】
前壁12には始動ボタン61及び停止ボタン62を有するスイッチ装置が設けられている。図示の例では、スイッチ装置は、側方の壁部56に設けられている。スイッチ装置は、下部3に配置されている。停止ボタン62は、好ましくは2つの異なる位置である、停止ボタン62が前壁12において下降されているか、あるいは前壁12に対して一直線に配置されている搬送位置と、停止ボタン62が前壁12から横方向において前方へ延在するか、あるいは前壁から横方向へ突出する(不図示の)非常停止位置とにずらされることが可能である。非常停止位置では、停止ボタン62は、容易に見つけられると共に操作されることができ、したがって非常停止スイッチとして用いられる。したがって、追加的で専用の非常停止スイッチを設ける必要がない。スイッチ装置は、特に、始動ボタン61の押圧時に停止ボタン62が非常停止位置を占めるように形成されている。さらに、スイッチ装置62は、合目的には、停止ボタン62が強い押圧によって搬送位置へずらされることができ、強い押圧時又は弱い押圧時に搬送可能な加工ユニット10あるいはその駆動装置5の停止がなされるように形成されている。
【0089】
側壁26では、下部3において収容チャンバ63が開口しており、収容チャンバには、収集容器64が配置されている。(不図示の)管装置により、工具1において生じる塵埃あるいはワークピースから除去された材料を収集容器64へ導くことが可能である。収集容器64が外部から直接アクセス可能であることにより、収集容器は、特に容易に空にされることが可能である。
【0090】
図5には、どのように搬送可能な加工ユニット10が2つの別のケース状の本体部21,22を有するスタック状に配置されているかが例示的に示されている。
【0091】
図5に示されたスタック装置20は、上述の搬送可能な加工ユニット10と、搬送可能な加工ユニット10に配置されている上側のケース状の本体部21と、搬送可能な加工ユニット10の下方に配置されている下側のケース状の本体部22とを含んでいる。ケース状の両本体部21,22は、図5では例示的にケース状の容器として形成されている。これに代えて、ケース状の各本体部21,22を別の加工ユニット10として構成することも可能である。
【0092】
ケース状の両本体部21,22は、搬送可能な加工ユニット10と共に垂直なスタックを形成している。ケース状の本体部21,22は本体部−結合手段23を備えており、この支持構造−結合手段は、ケース状の本体部21,22と搬送可能な加工ユニット10の間の取り外し可能な、垂直方向の引張強さをもった結合を提供するために、支持構造−結合手段6と協働する。
【0093】
搬送可能な加工ユニット10の水平断面は、本質的に、ケース状の本体部21,22の水平断面と同一の外部輪郭を備えている。搬送可能な加工ユニット10は、ケース状の本体部21,22に対して面一に配置されているため、搬送可能な加工ユニット10及びケース状の本体部21,22は、共に本質的に立方体状のスタックを形成している。
【0094】
本体部−結合手段23は、支持構造−結合手段6と同様に形成されることが可能である。そして、本体部−結合手段23と支持構造−結合手段6の間の結合は、2つの搬送可能な加工ユニット10の支持構造−結合手段6間の上述の結合と同様に行われ得る。
【0095】
特に、本体部−結合手段23は、好ましくはロータリロックとして形成されたロック要素65と、ロック係止輪郭部66と、係合構造67とを含んでいる。
【0096】
図5では、搬送可能な加工ユニット10に載置された上側のケース状の本体部21のロック係止輪郭部66は、搬送可能な加工ユニット10のロック要素9と結合係合している。搬送可能な加工ユニット10のロック要素9は、更に搬送可能な加工ユニット10のロック係止輪郭部35と結合係合している。上部16に設けられたロック要素31は、下部3に設けられたロック係止輪郭部39と結合係合している。搬送可能な加工ユニット10のロック係止輪郭部14は、下側のケース状の本体部22のロック要素65と結合係合している。
【0097】
また、例示的なスタック装置20においては、上述の係合構造は、搬送可能な加工ユニット10とケース状の本体部21,22の間の結合に寄与するものである。特に上側のケース状の本体部21はその下側に係合凸部を備えており、当該係合凸部は、搬送可能な加工ユニット10の上述の係合凸部82に対応するとともに、搬送可能な加工ユニット10の係合凹部32に係合する。また、下側のケース状の本体部22は、その上側に係合凹部を備えており、当該係合凹部は、搬送可能な加工ユニット10の上述の係合凹部32に対応するとともに、搬送可能な加工ユニット10の係合凸部82に係合している。
【0098】
図7には、搬送可能な加工ユニット10に統合され得る制御装置101の概略的なブロック図が示されている。
【0099】
制御装置101は、上述の操作装置59と、駆動装置5と、制御ユニット112と、電気的な調整装置103とを含んでいる。また、制御装置101は、上述の始動ボタン61と、停止ボタン62とを含むことができる。
【0100】
操作装置59は、多数の操作要素を含んでいる。操作装置59は、例示的に第1の回転ダイヤル102と、第2の回転ダイヤル104とを含んでいる。さらに、操作装置59は、例示的に、短縮選択ボタン105,106,107,108と、キャリブレーションボタン109と、表示部111とを含んでいる。
【0101】
制御ユニット112は、例えばマイクロコントローラとして形成されている。操作装置59あるいはその操作要素は、制御ユニット112に接続されている。また、例えば、駆動装置5及び電気的な調整装置103も盛業ユニット112に接続されている。加えて、始動ボタン61及び停止ボタン62も、制御ユニット112に接続されることが可能である。
【0102】
電気的な調整装置103は、例えば、リニア駆動部114と、旋回駆動部115とを含んでおり、これら駆動部は、制御ユニット12による作動に従い工具1がワークピース−載置プレート4に対して相対的に位置決めされるように形成されている。工具1の位置は、例えば、回転ダイヤル102,104及び/又は短縮選択ボタン105,106,107,108を介して調整されることが可能である。
【0103】
駆動装置5は、例えば、電気モータ、特に回転駆動部として形成されているとともに、工具1の機械的な駆動のために用いられる。駆動装置5は下部3に動作可能に固定されているため、駆動装置5は、ワークピース1の加工時に、駆動装置5によって駆動される工具1によって下部3にとどまる。駆動装置による工具1の駆動は、例えば始動ボタン61の操作によって開始され、停止ボタン62の操作によって停止されることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7