(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、よりスリムでコンパクトな構造を有しRFコネクタが本体内でその厚さ方向に内蔵されたキャビティフィルターを提供することに主な目的がある。
【0008】
また、本発明は、複数個のフィルターの組立時に発生する組立公差の累積量を最小限に抑えることができる組立方式と実装が容易でありながら、フィルターの周波数特性を均一に保つことができるRF信号の接続構造を提供することに主な目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような課題を解決するために、本発明の一実施例に係る移動通信用基地局アンテナに使用され、外部部材上に設けられるキャビティフィルターは、共振素子と、外部部材上に配置され、内部に共振素子を含む第1のケース、及び、第1のケースを貫通して外部部材の電極パッドと共振素子を電気的につなぎ、第1のケースと電気的に絶縁される端子部と、を含み、端子部は、第1のケースの下端面から第1のケースの少なくとも一部が陥没した端子挿入口と、端子挿入口の内部に配置され、一端が共振素子につながるピン部及びピン部の他端から延び、ピン部よりも直径が大きい端子本体部を含むピン部材、及び、弾性を有する導電体からなり、端子本体部と電極パッドとの間で端子本体部と電極パッドとの間に配置されて両側を電気的に接続し、キャビティフィルターが外部部材に設置されると、圧縮されてピン部材と電極パッドに接触圧力を提供するように構成された弾性コネクタと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、端子挿入口に挿入される誘電体ブッシュをさらに含み、端子挿入口は端子本体部と半径方向に一定の空隙(air gap)を有する第3の挿入口と、第3の挿入口よりも小さい直径を有し、誘電体ブッシュの一部が挿入される第2の挿入口、及び、第2の挿入口よりも小さい直径を有し、誘電体ブッシュの一部が挿入される第1の挿入口と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、誘電体ブッシュは、第1の段と、第1の段よりも直径が大きい第2の段を有する2段シリンダーの形態であり、回転軸の中心を貫通する貫通孔が形成され、第2の段側から貫通孔にピン部が挿入され、誘電体ブッシュにピン部材が固定されることを特徴とする。
【0012】
また、ピン部は外周面にピン部が誘電体ブッシュに挿入された反対方向から抜けないように形成されたくさび形態の突起部を含むことを特徴とする。
【0013】
また、端子本体部の第3の挿入口の深さよりも短く形成され、内部に円筒状である中空部、及び、入口から内側に直径が減少する円錐(cone)形状の開口部と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、中空部中空部の内周面に形成される第1の環状凹溝を含むことを特徴とする。
【0015】
また、キャビティフィルターの弾性コネクタは、中空部に挿入される円筒状部材と、円筒状部材の外周面に突出したくさび形態の環状突起部と、円筒状部材から延びて形成され、開口部に挿入されるカットしたコーン形状のピンソケット接触部と、ピンソケット接触部から延びて形成されるインピーダンスマッチング部(impedance matching portion)、及び、弾性コネクタが中空部に挿入された後、外部に露出する外側面から弾性コネクタの中心軸に沿って形成される少なくとも一つの切開部と、を含み、切開部は環状突起部を通る深さまで延び、環状突起部は弾性コネクタが中空部に挿入されると環状凹溝に収容されて弾性コネクタの離脱が防止される大きさに形成することを特徴とする。
【0016】
また、ピンソケット接触部の中心軸からの角度の大きさは、開口部の中心軸からの角度の大きさよりも5〜10度大きく形成することを特徴とする。
【0017】
また、弾性コネクタの外側面とインピーダンスマッチング部の外周面がなす電極の角は、R0.1ないしR0.5の範囲のラウンド状に形成することを特徴とする。
【0018】
また、中空部の内側面と弾性コネクタとの間に挿入される圧縮バネ形態のピンバネをさらに含むことを特徴とする。
【0019】
また、弾性コネクタが両側端部を除いた長さの大部分が一定の幅を有する細長型バネ板材から成形されたものであり、その完成された形は、中央部が円状に成形された円状バネ部、及び、円状バネ部の円周上に隣接する二つの点から円周に対して垂直に突出する2つの板状突起部と、を含み、バネ板材の幅は、中空部の直径よりも小さく、円状バネ部の直径は、端子本体部の直径よりも大きいことを特徴とする。
【0020】
また、開口部は、円状バネ部が外接することができる角度で形成することを特徴とする。
【0021】
また、中空部と中空部に挿入された板状の突出部の間には、はんだが充填されて弾性コネクタとピン部材を電気的かつ機械的につなぐことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の一実施例に係る移動通信用基地局アンテナに用いられるキャビティフィルターは、弾性コネクタの端子挿入口は、第1のケースの下端面から形成され、誘電体ブッシュの2段シリンダー形態のうちの直径が大きい部分と同じサイズの直径を有して下端面に並んで延びる長孔形態の第4の挿入口、及び、第4の挿入口の一側中心位置に形成され、誘電体ブッシュの第1の段が挿入される第5の挿入口を含むことを特徴とする。
【0023】
また、弾性コネクタはピン部に挿入されて端子本体部に支持されるように形成したピン挿入口と、ピン部の中心軸に垂直な方向に延びる第1の延長部、及び、第1の延長部から鈍角を有するように折り曲がり、第1のケースの下端面の外側に突出するように延びる第2の延長部を含む板バネ形であることを特徴とする。
【0024】
また、端子本体部はピン部に弾性コネクタがピン挿入口を介して挿入され、ピン部材が誘電体ブッシュに組み立てられた状態で、端子本体部の外側面が第1のケースの下端面から所定の空隙を有するように形成することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の一実施例に係る移動通信用基地局アンテナに用いられるキャビティフィルターは、第1のケースと電気的につながるスターワッシャー(star washer)をさらに含み、第1のケースは、第3の挿入口を囲む第2の環状凹溝をさらに含み、第2の環状凹溝は、スターワッシャーを収容してスターワッシャーの少なくとも一部が第1のケースの下端面の外側に突出するように形成することを特徴とする。
【0026】
また、第2の環状凹溝は、外径に該当する円周面の深さ方向に直径が大きくなるように環状の蟻(dovetail)形状に形成し、第2の環状凹溝の入口外径は、スターワッシャーが弾性によって縮んで第2の環凹溝に挿入され、離脱が防止される最小限の直径で形成することを特徴とする。
【0027】
また、第2の環状凹溝は、第2の環状凹溝の周囲に形成される複数の圧入ピン孔、及び、圧入ピン孔に挿入され、挿入されると、第1のケースの下端面に陥没され、少なくとも一部が第2の環状凹溝に突出してスターワッシャーの離脱が防止されるサイズの頭部が形成された圧入ピンを含むことを特徴とする。
【0028】
また、第2の環状凹溝は、第2の環状凹溝の周囲に、第2の環状凹溝に近接して形成されるカシメ穴を含み、スターワッシャーが挿入された後、カシメ加工により第2の環状凹溝の外径に該当する円周面の側壁が第2の環状凹溝の中心軸に向かって陥没してスターワッシャーの離脱が防止されるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、弾性コネクタを含むRFコネクタを本体内に厚さ方向に内蔵したスリムでコンパクトな構造のキャビティフィルターを提供することで、アンテナシステムのサイズを減らすことができ、個別キャビティフィルターの検証を再現性が高く、しかも迅速に行うことができ、移動通信基地局アンテナの内部に多数のキャビティフィルターを容易に実装することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】例示的なMassive MIMOアンテナの積層構造を図式化した図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るキャビティフィルターがアンテナボードとコントロールボードとの間に積層された状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るキャビティフィルターの構造を底側から見た平面透視図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るプッシュピン(push pin)方式の弾性コネクタが採用されたキャビティフィルターの端子部の構造を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施例に係るプッシュピン方式の弾性コネクタが採用されたキャビティフィルターの端子部の構造を示す側断面図である。
【
図6】本発明の一実施例に係るプッシュリング(push ring)方式の弾性コネクタが採用されたキャビティフィルターの端子部の構造の部分断面図である。
【
図7】本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタが採用されたピンアセンブリの組立工程を示す断面図である。
【
図8】本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタが採用されたピンアセンブリを示す平面図及び部分断面図である。
【
図9】本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタの製造方法を示す概念図である。
【
図10】比較のための一般的なプランジャー(plunger)方式の端子部の解析モデルである。
【
図11】
図10の一般的なプランジャー方式の端子部の電界解析結果である。
【
図12】本発明の一実施例に係るプッシュピン方式の弾性コネクタが採用された端子部の解析モデルである。
【
図13】本発明の一実施例に係るプッシュピン方式の弾性コネクタが採用された端子部の電界解析結果である。
【
図14】本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタが採用された端子部の解析モデルである。
【
図15】本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタが採用された端子部の電界解析結果である。
【
図16】
図10、12及び14に開示し、接触式RF端子部の挿入損失解析結果を比較して示したグラフである。
【
図17】
図10、12及び14に開示され、接触式RF端子部の反射損失解析結果を比較して示したグラフである。
【
図18】本発明の一実施例に係る板バネ方式の弾性コネクタが採用されたキャビティフィルターの端子部の構造を示す概念図である。
【
図19】本発明の一実施例に係るキャビティフィルターがアンテナボードの背面のソケットに接続された状態を示す断面図である。
【
図20】本発明の一実施例に係るキャビティフィルターがアンテナボードの背面に取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図21】本発明の一実施例に係るキャビティフィルターのテストボードを示す平面図である。
【
図22】本発明の一実施例に係るキャビティフィルターのテストボードを示す断面図である。
【
図23】本発明の一実施例に係るキャビティフィルターのテストボードを示す平面図であり、弾性コネクタを囲んで配置されるスターワッシャーが省略された構成を示す。
【
図24】本発明の一実施例に係るキャビティフィルターのテストボードを示す、
図23の断面図である。
【
図25】本発明の一実施例に係る板バネ方式の弾性コネクタが採用されたキャビティフィルターのテストボードを示す平面図である。
【
図26】本発明の一実施例に係る板バネ方式の弾性コネクタが採用されたキャビティフィルターのテストボードを示す、
図25の断面図である。
【
図27】本発明の一実施例に係るスターワッシャーを示す概念図である。
【
図28】本発明の一実施例に係るスターワッシャーを収容するダブテイル状の第2の環状凹溝を形成する過程を示す概念図である。
【
図29】本発明の一実施例に係るスターワッシャーを収容する第2の環状凹溝及びスターワッシャーの離脱防止のための圧入ピンを示す概念図である。
【
図30】本発明の一実施例に係るスターワッシャーを収容する第2の環状凹溝及びスターワッシャーの離脱防止のためのカシメ加工を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を用いて詳しく説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されても、可能な限り同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、関連した公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断した場合には、その詳細な説明は省く。
【0032】
また、本発明の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用する場合がある。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためで、その用語によって、該当構成要素の本質や順番や順序などが限定されない。明細書全体では、どの部分がどのような構成要素を「含む」、「備える」とするとき、これは特に正反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、明細書に記載された「?部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これはハードウェアやソフトウェアまたはハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで具現される。
【0033】
図1は、例示的なMassive MIMOアンテナの積層構造を図式化した図である。
【0034】
図1は、本発明に係るアンテナアセンブリが内蔵されるアンテナ装置10の例示的な外形を示す斜視図である。アンテナ装置10は、ヒートシンク(heat sink)110が形成されたハウジングと、ハウジングに結合されたレドーム(radome)170を含む。ハウジングとレドーム170との間には、アンテナアセンブリが内蔵される。ハウジングの下部には、例えば、ドッキング(docking)構造を介して、電源ユニット(PSU、power supply unit)120が結合され、電源ユニット120は、アンテナアセンブリに備えられた電子部品を動作させるための動作電源を提供する。
【0035】
通常のアンテナアセンブリは、前面に複数のアンテナ160が配列されるアンテナボード150の背面にキャビティフィルター(cavity filter)18がアンテナ160の個数だけ配置され、関連のPCBボード130が続いて積層された構造を有する。キャビティフィルター140は、実装前に、個別に仕様に合った周波数特性を有するようにチューニング及び検証して準備される。チューニング、検証プロセスは実装状態と同じ特性である環境で迅速に行われることが望ましい。
【0036】
図2は、本発明の一実施例に係るキャビティフィルターがアンテナボードとコントロールボードとの間に積層された状態を示す断面図である。
【0037】
図2を参照すると、通常のRFコネクタ142が排除されることで、接続が容易になり、より低い高さのプロファイルを有するアンテナ構造11を提供することができる。また、高さ方向の両面にRF接続を備えられ、弾性コネクタ240、340、440につなぐことで、アンテナボード150あるいはPCBボード130に振動及び熱変形が発生してもRF接続は同様に維持され、周波数特性の変化がない利点がある。
【0039】
図3は、本発明の一実施例に係るキャビティフィルターの構造を底側から見た平面透視図である。
【0040】
図4は、本発明の一実施例に係るプッシュピン(push pin)方式の弾性コネクタが採用されたキャビティフィルターの端子部の構造を示す断面図である。
【0041】
図3及び
図4において、共振素子を含む内部構造は省略して図示した。
【0042】
図3及び
図4を参照すると、本発明の一実施例に係るキャビティフィルター18は、共振素子(図示せず)を含み、内部が中空である第1のケース180、第1のケース180を覆う第2のケース181、第1のケース180の長さ方向両側にキャビティフィルター18の高さ方向に備えた端子部20、端子部20の両側に備えられた組立孔182を含む。端子部20は、第1のケース180を貫通して外部部材、例えばPCBボード130あるいはアンテナボード150の電極パッドと共振素子を電気的につなぐ。
【0043】
第1のケース180と第2のケース181の端子部20を含む両側組み立て部184は、適用先に応じてその間の領域である下端面186よりも厚く形成される構造を有する。例えば、第1のケース180の下部面186が、様々な素子が実装されたPCBボード130に組み立てられる場合に、両側の組み立て部184は、第1のケース180が実装された素子との干渉を避けることができる厚さを有する。端子部20の外部端子は、
図4に示すように一側が第1のケース180の下端面188に向かい、他側の第2のケース181の組立基準面から突出するように形成してもよい。キャビティフィルター18の実装形態に応じて、端子部20の外部端子は、例えば、第1のケース180の下端面188に同じ方向に露出されるように形成してもよい。
【0044】
図5は、本発明の一実施例に係るプッシュピン方式の弾性コネクタが採用されたキャビティフィルターの端子部の構造を示す側断面図である。
【0045】
本発明の一実施例に係るキャビティフィルター18の端子部20は、端子挿入口210、誘電体ブッシュ(dielectric bush)220、ピン部材230、弾性コネクタ240、ピンバネ250及びスターワッシャー(star washer)260を含む。
【0046】
端子挿入口210は、円筒状であり、第1のケース180の下端面188から形成され、第1のケース180を貫通して備えられるか、第1のケース180の上端面から形成され、第1のケース180を貫通して備えられる。端子挿入口210が、第1のケース180の上端面から形成される場合に、第2のケース181にも貫通口が形成され、これを考慮し、端子挿入口210の深さが調整される。端子挿入口210は、段階的に直径が減少するように3段に形成される。端子挿入口210にて最小の直径を有する部分は第1の挿入口212、その次の直径を有する部分は第2の挿入口214、及び最も大きい直径を有する部分は第3の挿入口216に定義する。
【0047】
誘電体ブッシュ220は、2段シリンダー形態である。誘電体ブッシュ220には、回転軸の中心を貫通する貫通孔226が形成される。誘電体ブッシュ220は、第1の挿入口212及び第2の挿入口214に挿入されて固定されるサイズを有する。誘電体ブッシュ220は、テフロン(登録商標)素材からなる。一実施例では、一つのボディが2段シリンダーの形態で構成したことを例示したが、これに限定するものではなく、互いに直径が異なって形成されて2段シリンダーの形態になるように組み立ててもよい。
【0048】
ピン部材230は、ピン部(pin portion)232と端子本体部234が長さ方向に一体に形成された2段シリンダーの形態である。一実施例では端子本体部234には、ソケット部236が形成される。ピン部材230は、BeCu(Beryllium Copper)素材に金メッキが施されたものである。ピン部232は、誘電体ブッシュ220の貫通孔226に挿入して固定する。ピン部232の外周面には、ピン部232が挿入された反対方向にピン部232が抜けないようにくさび形態の突起部235が形成される。ピン部232と端子本体部234の境界部に形成される環状の段差部は誘電体ブッシュ220の一側面に当接するように組み立てる。端子本体部234は、第3の挿入口216の深さよりも短く形成し、その内部に中空型のソケット部236が形成される。端子本体部234には、入口から内側に向けて直径が減少するコーン形状の開口部238が形成される。本発明の一実施例では、コーン形状の開口部238が形成された領域で端子本体部234の内壁は、例えば中心軸を基準に30度の角度で傾いた形態である。コーン形状である開口部238の内側には、第1の環状凹溝237が形成され、ここに挿入される弾性コネクタ240の離脱を防止する。開口部238の最も内側の内側面と弾性コネクタ240の挿入部先端の間には、弾性コネクタ240を開口部238の外側に押し出す力を追加で提供するバネ250が挿入される。
【0049】
弾性コネクタ240は、ソケット部236に挿入される円筒状の構造、コーン形状の開口部238に対応して挿入されるカットしたコーン形状のピンソケット接触部244及びピンソケット接触部244から延びて形成されるインピーダンスマッチング部(impedance matching portion)246が長さ方向に一体に形成される。弾性コネクタ240は、BeCu素材に金メッキしたものである。円筒状の構造の長さ方向の中間には、外周面から突出したくさび形態の環状突起部242が形成される。環状突起部242は、弾性コネクタ240がソケット部236に挿入されると、第1の環状凹溝237に収容されて弾性コネクタ240がソケット部236から離脱することを防止する。
【0050】
ピンソケット接触部244の角度は、ソケット部236のコーン形状の開口部238の角度よりも中心軸を基準に5度ないし10度大きく形成される。また、弾性コネクタ240には、弾性コネクタ240がソケット部236に挿入された後、外部に露出する外側面から中心軸に沿って十字状の切開部248が局部的に形成される。切開部248の深さは、カットしたコーン形状を通り過ぎて弾性コネクタ240の円筒状の構造まで至る。一実施例では、切開部248が十字状であることが例示したが、これに限定するものではなく、一字状、或いは複数のスロットが形成された形態である。
【0051】
弾性コネクタ240は、弾性コネクタ240がソケット部236に挿入されて十字状の切開部248が狭くならない状態で、ソケット部236のコーン形状の開口部238に触れたとき、第1のケース180の下端面188から飛び出し、キャビティフィルター18が実装されたとき、弾性コネクタ240がソケット部236の開口部238を押しながら挿入される長さを有する。
【0052】
弾性コネクタ240の外側面の外側の角は、弾性コネクタ240が狭くなりながらキャビティフィルター18が組み立てられるPCBボード130に形成された電極パッドと電気的につながる領域である。この外側の角は、電極エッジ249として定義する。一実施例では、電極エッジ249は、R0.1ないしR0.5の範囲でラウンド状態で形成し、弾性コネクタ240が狭くなって外側面が平面から凹んだ浅いコーンの形態になっても、電極エッジ249がPCBボード130に形成された電極パッドと均一な接触面積を有するように備えられる。キャビティフィルター18は、実際には、PCBボード130と組み立てされ、様々な高さの偏差を有し、電極エッジ249をラウンド状に形成することにより、弾性コネクタ240が狭くなる程度の差があっても均一した接触面積を有する。
【0053】
開口部238の角度、ピンソケット接触部244の角度、弾性コネクタ240の長さ及び電極エッジ249のラウンドサイズは、第1のケース180の一側面もしくは第2のケース181の組立基準面とPCBボード130が結合したときを基準に選定することが望ましい。より詳しく説明すると、PCBボード130が結合すると、弾性コネクタ240は押され上がり、ソケット部236の開口部238に沿って滑りながら十字状の切開部248が狭くなる。切開部248が狭くなると弾性コネクタ240のピンソケット接触部244の角度が減少し、開口部238とピンソケット接触部244の接触面積が変化する。また、弾性コネクタ240の外側面が浅いコーン形態で狭くなりながら電極エッジ249がPCBボード130の電極パッドと接触する領域も変更する。また、ソケット部236の内部に挿入されたバネ250が弾性コネクタ240をPCBボード130側に押す力とピンソケット接触部244からの反力が含まれた力がそれぞれの接触部に作用し、それぞれの接触面は弾性変形する。
【0054】
このような接触面積を決定するソケット部236、弾性コネクタ240及びバネ250の設計仕様は、端子部20のインピーダンスを考慮して選定することが望ましい。つまり、接触面積及び接触圧力によって決定される接触抵抗を含む端子部20の信号経路によるインピーダンスの変化が最小限に抑えている設計仕様に決定することが望ましい。特に高い周波数が伝達する移動体通信アンテナ信号の場合には、信号ラインの特性インピーダンスが一定でないと、信号の品質が低下する。数ギガヘルツレベルの信号における信号経路のインピーダンスミスマッチング(mismatching)は、電圧定在波比(VSWR:voltage standing wave ratio)を増加させ、信号の反射及び歪みによって、信号の品質が低下する。
【0055】
端子部20のインピーダンスを均一に維持するための検討は、第1の挿入口212ないし第3の挿入口216のサイズ及び端子本体部234の大きさの選定でも必要である。第3の挿入口216は、端子本体部234の外周面と所定の空隙(air gap)を有して離間しており、第1及び第2の挿入口212、214とピン部232との間には、例えば、テフロン素材の誘電体ブッシュ220が媒介する。ピン部材230のピン部232と端子本体部234は、直径段差を有するかたちであり、第2の挿入口214の直径と深さは、これを考慮し、ピン部材230と端子挿入口210間のインピーダンスが一定に維持するように選ぶことが望ましい。
【0056】
テフロン素材の誘電率は、空気の約2倍であり、これを考慮し、第3の挿入口216の直径は、第1及び第2の挿入口212、214の直径よりも大きく形成する。例えばテフロンの代わりに、誘電率が空気の約3倍である、PEEK素材で誘電体ブッシュ220が構成される場合は、第3の挿入口216の直径は、テフロンの場合よりも大きく形成される。
【0057】
図5の(a)ないし(d)は、PCBボード130の電極パッドと接触する弾性コネクタ240の電極エッジ249、インピーダンスマッチング部246の形状を様々な形で例示したものである。このような形状及び大きさは、第3の挿入口216との間隔を考慮して数値解析を実行するか、端子部20のVSWRを例えばネットワークアナライザ(network analyzer)などで評価して選定する。
【0058】
図5の(a)は、インピーダンスマッチング部246がピンソケット接触部244から離れた位置から垂直に突出した形状を有し、電極エッジ249は、微細なR0.1のラウンドが形成された例である。
図5の(b)は、弾性コネクタ240のピンソケット接触部244の傾斜角が維持され、電極エッジ249まで延びた形状を有する例である。
図5の(c)は、ピンソケット接触部244から離れた位置でインピーダンスマッチング部246が逆に直径が再び減少する傾斜面を有するように形成された場合である。
図5の(d)は、ピンソケット接触部244から離れた位置で逆に直径が再び減少する斜面を有し、電極エッジ249がR0.5で比較的大きなラウンドが形成された例である。
図5の(e)は、バネ250が省略された場合であり、弾性コネクタ240と、これに接触するPCBボード130の電極パッドを押す力(接触圧力)が弾性コネクタ240の十字状切開部248が狭くなりながらピンソケット接触部244からの反力によって形成される場合を示す例である。
【0059】
第3の挿入口216の外側には、信号ラインを囲んで円筒部を包み、接地接続が強固に行われるように挿入されるスターワッシャー260を収容する第2の環状凹溝270が形成される。
【0060】
実施例2
図6は、本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタが採用されたキャビティフィルターの端子部の構造の部分断面図である。
【0061】
図6を参照すると、本発明のまた別の一実施例の端子部20は、端子挿入口210、誘電体ブッシュ320、ピン部材330、プッシュリング方式の弾性コネクタ340及びスターワッシャー260を含む。
図6の一実施例は、インピーダンスマッチングをより厳密にする場合であって、誘電体ブッシュ220が着脱型で形成され、2段である誘電体ブッシュ320の貫通孔226の直径が異なるように形成され、ピン部材330のピン部332が誘電体ブッシュ320に対応して2段で形成された例を開示したが、端子挿入口210、誘電体ブッシュ320、ピン部332及びスターワッシャー260は、先に
図4の一実施例と同一の形態で構成してもよい。
【0062】
一実施例に係るピン部材330は、ピン部332及びソケット部336が形成された端子本体部334を含む。ピン部材330は、BeCu素材に金メッキが施されたものである。ピン部332は、誘電体ブッシュ320の貫通孔226に挿入して固定する。ピン部332の外周面には、ピン部材330が挿入された反対方向にピン部材330が抜けないようにくさび形態の突起部235が形成される。ピン部332と端子本体部334の境界部に形成される環状の段差部は誘電体ブッシュ320の一側面に当接するように組み立てられる。端子本体部334は、第3の挿入口216の深さよりも短く形成され、内部が中空であり、入口から内側に直径が減少するコーン形状の開口部338が形成される。本発明の一実施例ではコーン形状の開口部338は、例えば中心軸を基準に60度の角度で傾いたかたちで形成され、プッシュリング方式の弾性コネクタ340の円状バネ部344が外接するように形成される。
【0063】
一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタ340は、両側端部を除いた長さの大部分が一定の幅を有するバネ板材から成形される。弾性コネクタ340は、一側に円状バネ部344及び円状バネ部344の円周上に隣接する2つの地点346から円周に対して垂直に突出する2つの板状突出部342を含む。弾性コネクタ340の幅は、板状突出部342がソケット部336に挿入できる幅で形成される。弾性コネクタ340は、BeCu素材で形成され、金メッキが施されたものであり、二つの板状突出部342が互いに離れるように広がり、円状バネ部344は、その中心方向に外力が作用すると、楕円に変形する板バネとして動作するように形成される。
【0064】
つまり、弾性コネクタ340の両方の板状突出部342は、ソケット部336に挿入されると、互いに広がって二つの板状突出部342の終端部がソケット部336の内周面に密着することで、挿入された状態が維持される。また、円状バネ部344は、コーン形状の開口部338と外接するかたちで密着し、板状突出部342の反対側の位置が第1のケース180の下端面188から所定の距離だけ突出し、キャビティフィルター18が実装されると、電極パッドが円状バネ部344を押すにしたがって楕円状に弾性変形しながらピン部材330と電極パッドが電気的につながり、外部振動が加わっても接触状態に変化がないように接触部位を押す十分な接触圧力を提供する役割をする。
【0065】
図7は、本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタが採用されたピンアセンブリの組立工程を示す断面図である。
【0066】
図8は、本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタが採用されたピンアセンブリを示す平面図及び部分断面図である。
【0067】
図7及び
図8を参照すると、プッシュリング方式の弾性コネクタ340は、ソケット部336に挿入され、ソケット部336の内部の円筒状の孔に挿入される2つの板状突出部342は、はんだによるはんだ付けでつながり、ピン組立体32に結合されることが望ましい。一実施例に係る弾性コネクタ340とピン部材330を組み立てる好ましい実施例は、以下の通りである。
【0068】
ピン部材330のソケット部336の開口部338が上にくるように、多数のピン部材330が用意された状態で一定量のはんだがソケット部336に挿入された後、はんだが溶けるようにピン部材330を加熱した後、弾性コネクタ340を挿入する。ソケット部336に挿入された弾性コネクタ340は、はんだが冷えて固まるまでの位置が維持され、はんだが固まったら弾性コネクタ340とピン部材330の結合が完了する。キャビティフィルター18は、ギガヘルツ(Giga Hertz)レベルの高い周波数の信号を扱い、このような周波数帯域の信号を伝達するにあたり、機械的接触が不完全になり得る部分は最小限にすることが望ましい。
【0069】
キャビティフィルター18が用いられる移動通信基地局アンテナは、作動周波数帯域で極端に低いノイズ特性を確保することが重要である。これにより、さまざまなRF接続素子の機械的接続部だけでなく、金属の接触が行われる部分、異種金属がコーティングされた部品の内部などで引き起こされるPIMD(passive intermodulation distortion)を最小限に抑える必要がある。特に、高い周波数及び高いエネルギーを有する電波信号は、このような接触部などの電圧、電流の非線形性により、多重周波数間のミキシング(mixing)による中間周波数(intermediate frequency)を引き起こす場合がある。このように生じた中間周波数のうちの主要な信号の周波数と近い中間周波数によって、アンテナの信号品質が大幅に低下する。ソケット部336に挿入された板状突出部342をはんだ付けで確実に結合することで、このようなPIMDが最小化する。
【0070】
本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタが採用されたピン組立体32は、上述したように、はんだ付けによって電気的かつ物理的につながり、円状板バネの形でキャビティフィルター18が設けられるPCB基板の電極パッドとつながるのが特徴である。特に、円状バネ部344は、電極パッドとの安定した機械的な接続を提供し、信号ラインのインピーダンス変動が小さく、信号の反射が少ない性能を単純な部品構造で具現したのが特徴である。
【0071】
図9は、本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタの製造方法を示す概念図である。
【0072】
図9を参照すると、一実施例に係る弾性コネクタ340は、バネ板材からプレス板金成形されて熱処理を経て、複数の弾性コネクタ340が一側が付いている状態であり、簡単に折り曲げられて分離できる形で製作する。円状バネ部344は、ソケット部336の開口部338及び電極パッドと接触する部分であるため、ファインブランキング(fine blanking)にエッジ部分のバリ(burr)が円状の部分の内側にのみ発生するように加工することが望ましい。
【0073】
円状バネ部344の直径は、端子本体部334の外径を基準に選定する。円状バネ部344は、ソケット部336のコーン形状の開口部338にて2つの地点が密着し、第3の挿入口216の内周面から離間され、所定の特性インピーダンスを有する。このインピーダンス値は、端子本体部334の外径と第3の挿入口216との間の特性インピーダンスと同じであるか類似するように円状バネ部344の直径を形成することが望ましい。数ギガヘルツレベルの信号における信号経路のインピーダンスミスマッチングは、電圧定在波比を増加させ、信号の反射及び歪みによって、信号の品質が低下することから、インピーダンスの変化は最小限になることが望ましい。
【0074】
円状バネ部344は、円状である一側が電極パッドと接触し、二つに分かれて、ソケット部336の開口部338と電気的につながるが、円状バネ部344は、幅に比べて直径が1ー2倍程度のレベルで決定されることから、接地電極に該当する第3の挿入口216の内周面から見た時は電気的に一つの円筒状電極が延びたものとみることができる。すなわち、本発明のようなキャビティフィルター18から伝達される高周波信号帯域では、円状バネ部344の形がソケット部336につながった構造であってもインピーダンスの変動は小さい。
【0075】
図10ないし
図17は、様々な形態の接触式RF端子部20のRF特性及び電界の形態を電算模写を通じて比較したものである。解析モデルの右側は端子部20であり、左側は電極パッドに該当する円筒状の端子であり、これを取り囲んで円筒状の接地端が配置される。
【0076】
図10は、比較のための一般的なプランジャー(plunger)方式の端子部の解析モデルである。
【0077】
図11は
図10の一般的なプランジャー方式の端子部の電界解析結果である。
【0078】
図11を参照すると、従来の一般的なプランジャー構造の端子部は、構造的な制限により、電界分布の中間で断絶した区間が表示されることが確認できる。バネによって支持されるピン部は構造上ピンを収容するピンハウジングよりもかなり小さい直径を有し、円筒状の接地端の内周面を基準には、急激に隙間が離れる区間が存在するしかない。これにより、一般的なプランジャー構造の端子部は、突出したピン部の直径がプランジャー本体の外径に比べて小さく、インピーダンスの急激な変動がもたらされ、これにより、高い挿入損失S21の値と反射損失S11の値を有するようになる。
【0079】
解析結果によると、4GHzでの挿入損失はー0.006dB、反射損失はー28dBである。これは、信号経路の中間のインピーダンス変動領域によって信号の反射が大きく起こるものと解釈される。
【0080】
図12は、本発明の一実施例に係るプッシュピン方式の弾性コネクタが採用された端子部の解析モデルである。
【0081】
図13は、本発明の一実施例に係るプッシュピン方式の弾性コネクタが採用された端子部の電界解析結果である。
【0082】
図13を参照すると、本発明の一実施例に係るプッシュピン方式の弾性コネクタが採用された端子部20の場合に、電界の分布が比較的均一であることが確認できる。プッシュピン方式の弾性コネクタは、インピーダンス不連続区間の間隔を比較的に狭く、例えば0.5mm以下に維持でき、第3の挿入口216の内周面を基準に端子本体部234の外径と同様に形成することができ、インピーダンスの変動を最小限に抑えるのに有利である。解析結果によると、4GHzの挿入損失は−0.0003dB、反射損失は−41dBである。
【0083】
図14は、本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタが採用された端子部の解析モデルである。
【0084】
図15は、本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタが採用された端子部の電界解析結果である。
【0085】
図15を参照すると、本発明の一実施例に係るプッシュリング方式の弾性コネクタが採用された端子部30の場合にも、ピン組立体32は、第3の挿入口216の内周面と、比較的均一な電界を形成することが確認できる。円状バネ部344の内部に電界の形が異なるが、電界の分布は、円状バネ部344の外郭に形成され、第3の挿入口216の内周面を基準には、電界の変化が連続的に行われることが確認できる。つまり、信号ラインのインピーダンスが不連続に変化する区間が存在しないため、挿入損失と反射損失を低く保つことができるという利点がある。一方、円状バネ部344は、十分な接触圧力を確保しながらも、構造が単純で、さまざまなサイズに変形設計することができ、容易にインピーダンスマッチングを行うことができる。解析結果によると、4GHzでの挿入損失は−0.003dB、反射損失は−31dBである。
【0086】
図16は、
図10、12及び14に開示した接触式RF端子部の挿入損失解析結果を比較して示したグラフである。
【0087】
図17は、
図10、12及び14に開示した接触式RF端子部の反射損失解析結果を比較して示したグラフである。
【0088】
図16及び
図17を参照すると、上述した3種類の端子部の挿入損失と反射損失を比較することができ、プッシュピン構造を有する端子部20が最も信号品質が良く、プッシュリング構造を有する端子部30も実使用に十分な性能を示すことが確認された。
【0089】
上述した比較で、一般的なプランジャー形態のピン部とピンハウジングとの間の内部接触部の不完全さによるPIMD発生などの影響は解釈に考慮しておらず、これを考慮すると、一般的なプランジャー構造は、信号伝達の品質がより低下し得る。一方、プッシュピン構造を有する端子部20は、弾性コネクタ240によって両側接触部がすべて環状の接触面を有して弾性によって強固に接触し、プッシュリング構造を有する端子部30は、ソケット部336にはんだ付けによって直接結合し、PCBボード130には、円状バネ部344の弾性で安定した接触が確保されるので、どちらの場合も、外部振動が印加された場合であってもPIMD増加はなしに、信号の品質が均一に維持される。
【0090】
実施例3
*121
図18は、本発明の一実施例に係る板バネ方式の弾性コネクタが採用されたキャビティフィルターの端子部の構造を示す概念図である。
【0091】
図18の(a)は、キャビティフィルター18の端子挿入口410に挿入されるピン部材構造物及び板バネを示し、
図18の(b)は、板バネ部を示す平面図であり、
図18の(c)は、板バネ接触部を示す側面図である。
【0092】
図18を参照すると、本発明に係るまた別の一実施例の板バネ方式端子部40は、端子挿入口410、誘電体ブッシュ420、ピン部材430及び板バネ方式の弾性コネクタ440を含む。
【0093】
一実施例の端子挿入口410は、第1のケース180の下端面から板バネ方式の弾性コネクタ440を収容する長孔型断面が延びた形態の第4の挿入口412及び第4の挿入口412の長孔形状の一側中心位置に形成された円筒孔状の第5の挿入口414を含む。第4の挿入口412は、
図18の(c)に長方形で示した領域である。
【0094】
誘電体ブッシュ420は、2段シリンダー形態であり、回転軸を中心に貫通する貫通孔が形成される。誘電体ブッシュ420の第1の段は、第5の挿入口414に挿入される大きさの直径で形成され、誘電体ブッシュ420の第1の段よりも大きな直径を有する第2の段は、第4の挿入口412の一側に少なくとも一部が挿入される大きさの直径で形成される。誘電体ブッシュ420の第2の段の高さは弾性コネクタ440及びピン部材430が組み立てられた後、キャビティフィルター18が結合されるPCBボード130の一側面または接地電極面と所定の間隙を有して端子部40全体的に一定のインピーダンスを有する高さに設定する。誘電体ブッシュ420は、テフロン素材からなる。誘電体ブッシュ420の第1の段の外径と貫通孔の大きさは、端子部40が所定の特性インピーダンスを有するように誘電体ブッシュ420の誘電率を考慮して決定される。
【0095】
ピン部材430は、弾性コネクタ440を貫通して誘電体ブッシュ420に挿入されて固定されるピン部432及び弾性コネクタ440を誘電体ブッシュ420に密着する低い高さの頭部(head portion)434を含む。ピン部432の外周面には、ピン部材430が挿入された反対方向に抜けないように形成されたくさび形態の突起部435を含む。ピン部材430は、BeCu素材に金メッキが施されたものであってよい。
【0096】
一実施例に係る板バネ方式の弾性コネクタ440は、中央に貫通孔442が形成された環状部444、環状部444の一側から環状部444より狭い幅を有して延びる第1の延長部446、第1の延長部446から鈍角(例えば120度ないし130度)を有するように折り曲げられて弾性コネクタ440が、第1のケース180の下端面188の外側に突出するように延びる第2の延長部448及び、第1の延長部446と第2の延長部448との間の曲げ部449を含む。第2の延長部448の先端は、これに接触するように形成されたPCBボード130の電極パッドを押すと、所定の接触面積を維持するように形成される。
【0097】
曲げ部449の両側は切り込みが形成され、均一な位置及び角度を有して曲げ処理が実行される。曲げ部449を基準に板バネ方式の弾性コネクタ440は、折り曲げられて曲がった方向に弾性力を提供する。貫通ホール442は、ピン部材430のピン部432のみ貫通できる大きさに形成される。環状部444は、弾性コネクタ440が誘電体ブッシュ420に組み立てられると、頭部434と誘電体ブッシュ420の第2の段の間に密着して弾性コネクタ440とピン部材430が電気的につながるように配置される。弾性コネクタ440とピン部材430との間には、導電性ペースト(paste)が塗布されるか、あるいははんだ付けをして、より強固につなぐことができる。
【0098】
板バネ方式の端子部40が電気的につながるPCBボード130の電極パッドは、第2の延長部448の先端と接触する円状の電極パッドが形成される。また、円状の電極パッドをPCBボード130を貫通する複数の貫通導電ビア(plated thru。via)を、適切な隙間とピッチ(pitch)で配置することで、インピーダンスの変動を最小限にする。
【0099】
図19は、本発明の一実施例に係るキャビティフィルターがアンテナボードの背面のソケットに取り付けられた状態を示す断面図である。
【0100】
図20は、本発明の一実施例に係るキャビティフィルターがアンテナボードの背面に取り付けられた状態を示す断面図である。
【0101】
図19及び
図20を参照すると、本発明の一実施例に係るキャビティフィルター18は、
図19に示すように、アンテナボード150に取り付けられたソケット152に結合する形であり、
図20のように、アンテナボード150に形成した電極パッドに直接接触するように結合される形態である。本発明の一実施例に係るキャビティフィルター18は、弾性コネクタ240、340、440によって、一定レベルの接触圧力を有してアンテナボード150及びPCBボード130につながって組み立て公差とは無関係に一定の品質で、RF信号ラインの接続を提供する。
【0102】
キャビティフィルター18は、個々のアンテナ160ごとに装着されることから、基地局アンテナ装置10に多数が用いられる。このようなキャビティフィルター18を精密かつ迅速にチューニング及び検証することは、基地局アンテナ装置10の品質向上とコスト削減に重要な要素である。
【0103】
本発明の一実施例に係る弾性コネクタ240、340、440方式の端子部20、30、40を含むキャビティフィルター18は、再現性の高いRF信号ラインの接続を提供する。RF接続部に結合ネジやスナップロック部材が必要とせず、組立対象のPCBボード130の電極パッドとRF接続部が弾性コネクタ240、340、440の弾性によって密着して接続が完了し、速やかに着脱が可能なのが特徴である。
【0104】
次は、キャビティのフィルター18の検証に関する記述であり、キャビティフィルター18の端子部20、30、40は、同じ方向に配置された場合を例に挙げる。端子部20、30、40の配置方向が逆の場合であっても、RF信号ラインの接続は、迅速かつ容易に行うことができる。
図21ないし
図24は、プッシュピン方式及びプッシュリング方式の弾性コネクタ240、340が採用されたキャビティフィルター18の場合についての例であり、
図25及び
図26は、板バネ方式の弾性コネクタ440が採用されたキャビティフィルター18の場合についての例である。
【0105】
図21は、本発明の一実施例に係るキャビティフィルターのテストボードを示す平面図である。
【0106】
図22は、本発明の一実施例に係るキャビティフィルターのテストボードを示す断面図である。
【0107】
図21及び
図22は、4つのキャビティフィルター18がキャビティフィルター18のテストボード50に装着された状態で、左右の側面には、SMA形態のRFコネクタ510が装着された状態を概念的に示す。キャビティフィルター18のテストボード50には、弾性コネクタ240、340と電気的に接触する円状の電極パッドが備えられ、円状電極パッドの弾性コネクタ240、340の接触領域を避けて貫通導電ビアがテストボード50の背面につながってSMA RFコネクタ510の中央端子につながる。SMA RFコネクタ510には、ネットワークアナライザなどのデバイスがつながり、複数のキャビティフィルター18が迅速に検証される。
【0108】
図23は、本発明の一実施例に係るキャビティフィルターのテストボードを示す平面図であり、弾性コネクタを囲んで配置されるスターワッシャーが省略された構成を示す。
【0109】
図24は、本発明の一実施例に係るキャビティフィルターのテストボードを示す、
図23の断面図である。
【0110】
図23及び
図24を参照すると、第3の挿入口216の外側を囲む第2の環状凹溝270及びs、これに収容されるスターワッシャー260が省略された構成を示しており、キャビティフィルター18の左右の長さより縮小することができる構成である。端子部20の形態は、
図5に示すように多様に変形できる。
【0111】
図25は、本発明の一実施例に係る板バネ方式の弾性コネクタが採用されたキャビティフィルターのテストボードを示す平面図である。
【0112】
図26は、本発明の一実施例に係る板バネ方式の弾性コネクタが採用されたキャビティフィルターのテストボードを示す、
図25の断面図である。
【0113】
図25及び
図26を参照すると、一実施例に係る板バネ方式の端子部を備えたキャビティフィルター18は、端子部40の全体的な外径を
図22または
図24に示した実施例よりも小さく形成することができ、左右の長さを縮小しようとする場合に有利な構成である。
【0114】
キャビティフィルター18のテストボード54は、基本的には両面に接地電極面が広く形成された形態である。さらにSMA RFコネクタ510の中央端子と弾性コネクタ440がつながる円状のパッドを取り囲んでテストボード54を貫通する複数の貫通導線ビアを適切な隙間とピッチで配置することで、インピーダンスの変動を最小限にすることができる。
【0115】
次は、スターワッシャーを収容する環状凹溝及びスターワッシャーの離脱を防止するための構成を説明する。
【0116】
図27は、本発明の一実施例に係るスターワッシャーを示す概念図である。
【0117】
図28は、本発明の一実施例に係るスターワッシャーを収容するダブテイル状の第2の環状凹溝を形成する過程を示す概念図である。
【0118】
キャビティフィルター18の第1のケース180は、内部が中空でありながら共振素子(図示せず)を含んで複雑な内部形状を有し、通常アルミニウムあるいはマグネシウム合金を含む材料をプレス加工して形成する。
【0119】
図28を参照すると、垂直壁を有するかたちで成形された第1のケース180の第2の環状凹溝270をダブテイル(dovetail)加工工具910で内側エッジの直径が大きくなるように加工してスターワッシャー260収容部を形成する。ダブテイル状の第2の環状凹溝270の入口はスターワッシャー260が弾性によって狭くなって挿入されるような最小限の直径で形成する。
【0120】
図29は、本発明の一実施例に係るスターワッシャーを収容する第2の環状凹溝及びスターワッシャーの離脱防止のための圧入ピンを示す概念図である。
【0121】
図29を参照すると、圧入ピン920が挿入される孔を第2の環状凹溝270'の外側に複数で形成し、ここで薄い頭部が形成された圧入ピン920を3つ以上圧入してスターワッシャー260の離脱を防止する構成である。
【0122】
図30は、本発明の一実施例に係るスターワッシャーを収容する第2の環状凹溝及びスターワッシャーの離脱防止のためのカシメ加工を説明する概念図である。
【0123】
図30を参照すると、第2の環状凹溝270"の外側に複数の穴を形成し、カシメ加工により第2の環状凹溝270"の側壁930をスターワッシャー260側に陥没させてスターワッシャー260の離脱を防止する構成である。カシメ加工により局部的に表面が上に上昇する。したがってPCBボード130と結合する基準面を高く形成したり、第2の環状凹溝270"の側壁930の高さがPCBボード130と結合する基準面よりも低くなるようにカシメ孔940の上端にカウンターボア(図示せず)を浅く形成するとよい。
【0124】
スターワッシャー260と第2の環状凹溝270"との間には、導電性ペーストが塗布されてスターワッシャー260の電気的な接触が常に良好に保てるように補助する。
【0125】
本発明の一実施例に係るキャビティフィルター18は、高さ方向の両面または一面に端子が露出するように形成された弾性コネクタ240、340、440を含むRF接続端子部20、30、40を提供することで、キャビティフィルター18の厚さが減少し、よりスリムでコンパクトな積層構造のMassive MIMOアンテナシステムを構築することができる。
【0126】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したに過ぎず、本実施例の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正や変形が可能である。したがって、本実施例は、本実施例の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような実施例により、本実施例の技術思想の範囲が限定されるものではない。本実施例の保護範囲は次の請求の範囲によって解釈されるべきであり、その同等の範囲内にあるすべての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0127】
CROSSーREFERENCE TO RELATED APPLICATION
*160本特許出願は、2017年01月31日に韓国に出願した特許出願番号第10−2017−0013798号及び2017年06月13日に韓国に出願した特許出願番号第10−2017−0074330号に対する米国特許法119(a)条35 USC§119(a)に基づいて優先権を主張し、そのすべての内容は、参考文献として本特許出願に併合される。さらに、本特許出願は、米国以外の国に対しても、前記と同じ理由で優先権を主張し、そのすべての内容は、参考文献として本特許出願に併合される。