(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態に係る体臭抑制剤は、酸化チタン被覆活性炭、カチオン性ポリマーおよび水を必須の成分として含有する。なお、本明細書においては、酸化チタン被覆活性炭を構成する活性炭を「活性炭」と、酸化チタン被覆活性炭を構成する酸化チタンを「酸化チタン」と称する場合がある。また、本明細書において、「〜」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
【0012】
(酸化チタン被覆活性炭)
本実施形態に係る体臭抑制剤における酸化チタン被覆活性炭は、従来の体臭抑制剤に用いられている消臭成分と比較して、格段に優れた体臭抑制効果を有する。本実施形態に係る体臭抑制剤は、さらに制汗剤や殺菌剤を含有することにより、体臭抑制効果をより一層向上することができる。このため、本実施形態に係る体臭抑制剤は、優れた体臭抑制効果を発揮することができる。
【0013】
また、酸化チタン被覆活性炭は白色であるため、本実施形態に係る体臭抑制剤を塗布した場合に、塗布対象が黒く汚れることがない。このため、皮膚、衣類や履物に塗布して用いることができ、実用適性に優れる。なお、酸化チタン被覆活性炭の代わりに黒色の活性炭を用いた場合には、皮膚や衣類等の塗布対象が黒く汚れてしまうため、実用上これらに直接塗布して用いることができない。
【0014】
酸化チタン被覆活性炭は、活性炭の表面に酸化チタンが存在する構造を有する複合体である。酸化チタン被覆活性炭は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0015】
本実施形態に係る酸化チタン被覆活性炭は、活性炭と、活性炭の表面に存在する酸化チタンを少なくとも含み、活性炭および酸化チタン以外の成分を含んでいてもよい。活性炭および酸化チタン、並びに活性炭および酸化チタン以外の成分は、それぞれ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
活性炭としては、特に限定されないが、多孔質の炭素質物質(例えば、粉末活性炭)が好ましく、炭素以外にも、水素、酸素、無機成分等を含んでいてもよい。
【0017】
活性炭の原料としては、特に限定されず、活性炭の原料として一般的に用いられるものを用いることができる。具体的には、例えば、ヤシ殻、木材、おが屑、石炭、フェノール樹脂、レーヨン、アクリロニトリル、石炭ピッチ、石油ピッチ等が挙げられ、ヤシ殻、木材、フェノール樹脂、石炭が好ましい。
【0018】
活性炭の平均粒子径は、特に限定されないが、15.0〜50.0μmが好ましく、18.0〜45.0μmがより好ましく、20.0〜42.0μmがさらに好ましい。なお、本実施形態において「活性炭の平均粒子径」は、酸化チタン被覆活性炭を構成する活性炭全体の平均粒子径を意味し、市販のレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置により測定することができる。
【0019】
活性炭の平均粒子径が上記範囲内であることにより、酸化チタン被覆活性炭が白色となるため、本実施形態に係る体臭抑制剤を塗布した際に、塗布対象である皮膚等を黒く汚すこと(以下、「塗布汚れ」と称する場合がある)がなく、なおかつ、体臭抑制効果もより優れたものとなり、また使用感にも優れる。さらに、本実施形態に係る体臭抑制剤をスプレー容器に充填して用いる場合には、ノズルの詰まりを防止することができる。上記平均粒子径が15.0μm未満では、酸化チタン被覆活性炭が灰色から黒色となり塗布汚れが生じやすくなる場合、多量の酸化チタンを被覆させて白色化させると吸着能が低下するため、塗布汚れ防止と体臭抑制効果を両立できなくなる。一方、上記平均粒子径が50.0μmを超えると、体臭抑制剤を皮膚に塗布した場合にざらつきが生じ、使用感が低下する。さらに、スプレー容器に充填して用いる場合には、ノズル詰まりが生じやすくなる。
【0020】
活性炭の中心細孔径は、特に限定されないが、酸化チタン被覆活性炭の吸着能を向上させ体臭抑制効果を向上させる観点から、0.1〜10.0nmが好ましく、0.5〜2.0nmがより好ましい。なお、活性炭の中心細孔径は、例えば、日本ベル(株)製の細孔分布測定装置「Belsorp」を用いBET法により測定することができる。
【0021】
活性炭のヨウ素吸着量は、特に限定されないが、酸化チタン被覆活性炭の吸着能を向上させ体臭抑制効果を向上させる観点から、100〜3000mg/gが好ましく、500〜2000mg/gがより好ましい。なお、本明細書において、活性炭のヨウ素吸着量は、JIS K 1417に準拠した滴定法により測定することができる。
【0022】
活性炭は、公知の製造方法により製造することができる。例えば、公知の活性炭を粉砕および分級する方法により製造することができる。また、活性炭は市販品を用いることもできる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、商品名「太閤A」(フタムラ化学(株)製)等が挙げられる。
【0023】
酸化チタンとしては、特に限定されず、公知の酸化チタン(二酸化チタン)を用いることができる。酸化チタンとしては、特に限定されないが、例えば、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型の酸化チタンが挙げられる。
【0024】
酸化チタンの平均粒子径は、特に限定されないが、0.001〜1.0μmが好ましく、0.01〜0.5μmがより好ましく、0.1〜0.4μmがさらに好ましく、0.2〜0.3μmが特に好ましい。酸化チタンの平均粒子径が上記範囲内であることにより、酸化チタン被覆活性炭を白色とする効果が向上するため、本実施形態に係る体臭抑制剤の塗布汚れを防止する効果がより一層向上する。一方、平均粒子径が0.001μm未満の場合は、酸化チタン被覆活性炭が灰色から黒色となり、塗布汚れが生じ、体臭抑制剤の実用適性が低下する傾向がある。
【0025】
なお、上記「酸化チタンの平均粒子径」は、酸化チタン被覆活性炭を構成する酸化チタン全体の平均粒子径を意味する。また、本明細書において、酸化チタンの平均粒子径(球相当径)は、BET法(または簡易BET法)により測定される比表面積より算出することができる。
【0026】
酸化チタンは市販品を用いることができる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、石原産業(株)製の「タイペークCR−50」、テイカ(株)製の「MT−700B」等が挙げられる。
【0027】
酸化チタン被覆活性炭は、樹脂を含んでいてもよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロース樹脂等が挙げられる。なかでも、アクリル樹脂(特に、水性アクリル樹脂)が好ましく、例えば、アクリル酸アルキル共重合体等が挙げられる。
【0028】
酸化チタン被覆活性炭は、金属塩等を含んでいてもよい。
【0029】
酸化チタン被覆活性炭において、活性炭100質量部に対する、酸化チタンの質量割合は、特に限定されないが、10〜10000質量部が好ましく、より好ましくは100〜5000質量部、より好ましくは500〜2000質量部、より好ましくは500〜1500質量部、より好ましくは550〜1050質量部、さらに好ましくは600〜1000質量部である。すなわち、[活性炭:酸化チタン](質量比)は、1:0.1〜1:100が好ましく、1:1〜1:50がより好ましく、1:5〜1:20がさらに好ましく、1:5〜1:15がさらに好ましく、1:5.5〜1:10.5がさらに好ましく、1:6〜1:10が特に好ましい。活性炭に対する酸化チタンの割合が上記範囲よりも小さい(酸化チタンが少ない)場合には、酸化チタン被覆活性炭が灰色から黒色となり、塗布汚れが生じ体臭抑制剤の実用適性が低下する場合がある。一方、活性炭に対する酸化チタンの割合が上記範囲よりも大きい(酸化チタンが多い)場合には、酸化チタン被覆活性炭の吸着能が低下し、体臭抑制剤の体臭抑制効果が低下する場合がある。
【0030】
酸化チタン被覆活性炭中の、活性炭の含有量と酸化チタンの含有量の合計量は、特に限定されないが、酸化チタン被覆活性炭100質量%に対して、50.0質量%以上(50.0〜100質量%)が好ましく、70.0質量%以上がより好ましく、80.0質量%以上がさらに好ましい。また、上限値は特に限定されず、100質量%以下が好ましく、99.95質量%以下がより好ましい。さらに90.0質量%以下であってもよく、85.0質量%以下であってもよい。
【0031】
酸化チタン被覆活性炭中の樹脂の含有量は、特に限定されないが、活性炭に対する酸化チタンの付着性向上等の観点から、酸化チタン被覆活性炭100質量%に対して、0.005〜10.0質量%が好ましく、0.05〜1.0質量%がより好ましい。
【0032】
酸化チタン被覆活性炭において、酸化チタンは、活性炭の表面に存在する。すなわち、酸化チタン被覆活性炭は、活性炭が酸化チタンにより被覆された構造を有している。なお、酸化チタン被覆活性炭においては、活性炭の表面の全面が酸化チタンによって被覆されていてもよいし、活性炭の表面の一部のみが酸化チタンによって被覆されていてもよい。
【0033】
酸化チタン被覆活性炭は、活性炭の表面上に、酸化チタンを付着させることにより形成される。好ましくは、活性炭の表面上に、上記樹脂を介して酸化チタンを付着させることにより形成される。
【0034】
酸化チタン被覆活性炭の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることが可能で、例えば、特開平4−256436号公報に記載の白色活性炭の製造方法、特開2005−263610号公報に記載の酸化チタン被覆活性炭の製造方法を用いることができる。
【0035】
酸化チタン被覆活性炭の具体的な製造方法としては、例えば、以下のとおりである。活性炭、酸化チタン、および上記樹脂のエマルションを混合し、活性炭の表面を酸化チタンで被覆する。次いで、得られた酸化チタンで被覆された活性炭を乾燥し、さらに必要に応じて、粒状に解砕して、酸化チタン被覆活性炭を得る。
【0036】
本実施形態に係る体臭抑制剤中の酸化チタン被覆活性炭の含有量は、本実施形態に係る体臭抑制剤100質量%に対して、0.10〜2.0質量%が好ましく、0.15〜1.5質量%がより好ましく、0.18〜1.2質量%がさらに好ましく、0.20〜1.0質量%が特に好ましい。酸化チタン被覆活性炭の含有量が0.10質量%以上であることにより、本実施形態に係る体臭抑制剤の体臭抑制効果がより一層向上する。また、酸化チタン被覆活性炭の含有量が2.0質量%以下であることにより、本実施形態に係る体臭抑制剤の皮膚上での白浮きを防止する効果がより一層向上する。
【0037】
(カチオン性ポリマー)
本実施形態に係る体臭抑制剤は、酸化チタン被覆活性炭および水に加え、カチオン性ポリマーを含有させることにより、再分散性および酸化チタン剥離抑制効果に優れる体臭抑制剤とすることができる。
【0038】
カチオン性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオン化セルロース、カチオン化セルロース誘導体、カチオン化澱粉、カチオン化グアーガム、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル四級アンモニウム塩のホモポリマー、四級化ポリビニルピロリドン誘導体、ポリグリコールポリアミン縮合物、ジアルキルジアリルアンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、再分散性および酸化チタン剥離抑制効果により優れることから、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体、アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体が好ましい。
【0039】
カチオン性ポリマーとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、Merquat 10(表示名称「ポリクオタニウム−10」、Lubrizol社製)等のカチオン化セルロース;Merquat 100、Merquat 106(いずれも、表示名称「ポリクオタニウム−6」、Lubrizol社製)等のジメチルジアリルアンモニウムクロライドの重合体;Merquat 550、Merquat 550PR、Merquat S、Merquat 2200、Merquat 740(いずれも、表示名称「ポリクオタニウム−7」、Lubrizol社製)等のジメチルジアリルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体;Merquat 280、Merquat 281、Merquat 295(いずれも、表示名称「ポリクオタニウム−22」、Lubrizol社製)等のアクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体;Merquat PLUS 3330(表示名称「ポリクオタニウム−39」、Lubrizol社製)等のアクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体等が挙げられる。
【0040】
本実施形態に係る体臭抑制剤中のカチオン性ポリマーの含有量は、0.005〜0.090質量%が好ましく、0.010〜0.060質量%がより好ましく、0.015〜0.050質量%がさらに好ましい。カチオン性ポリマーの含有量が前記の範囲にあることにより、粉体が均一に再分散され、その凝集を抑制することができ、目詰りおよびべたつきがない点で有利である。
【0041】
(水)
本実施形態において使用する水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水等が挙げられる。
【0042】
本実施形態に係る体臭抑制剤中の水の含有量は、特に制限されず、酸化チタン被覆活性炭、カチオン性ポリマー、およびその他の成分を除いた残部をその含有量とすることができる。カチオン性ポリマーを充分に溶解させ、カチオン性ポリマーを含有することによる効果をより発揮させるという観点、また使用感の観点から、6.0質量%以上が好ましく、19.0質量%以上がより好ましく、24.0質量%以上がさらに好ましい。一方、上限は特に限定されないが、74.0質量%以下が好ましく、59.0質量%以下がより好ましく、39.0質量%以下がさらに好ましい。
【0043】
(その他の成分)
本実施形態に係る体臭抑制剤は、酸化チタン被覆活性炭、カチオン性ポリマー、および水以外の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、エタノール、界面活性剤、油脂、炭化水素油、ロウ類、高級脂肪酸、エステル油、シリコーン油、高級アルコール、多価アルコール、ステロール類、保湿剤、増粘剤、殺菌剤、pH調整剤、無機顔料、色素、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ビタミン類、収斂剤、美白剤、動植物抽出物、金属イオン封鎖剤、防腐剤、制汗成分、消臭成分、清涼化剤、香料等が挙げられる。
【0044】
エタノールの含有量は、本実施形態に係る体臭抑制剤100質量%に対して、25.0質量%以上が好ましく、40.0質量%以上がより好ましく、60.0質量%以上がさらに好ましい。エタノールの含有量を25.0質量%以上とすることにより、速乾性および使用感が向上する。一方、カチオン性ポリマーの析出防止の観点から、エタノールの含有量は、93.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がより好ましく、75.0質量%以下がさらに好ましい。
【0045】
本実施形態に係る体臭抑制剤は、増粘剤を含有していてもよい。上記増粘剤としては、特に限定されないが、例えば、セルロース系増粘剤、アクリル酸系増粘剤等が挙げられ、セルロース系増粘剤が好ましい。上記増粘剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
上記セルロース系増粘剤としては、特に限定されないが、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。上記アクリル酸系増粘剤としては、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸モノマーおよび/または(メタ)アクリル酸アルキルモノマーを必須の構成成分として形成されたコポリマーおよびクロスポリマーである。具体的には、例えば、カルボキシビニルポリマー、(メタ)アクリル酸アルキルコポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキルコポリマー;アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(20)セチルエーテルコポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルコポリマー、アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(25)べへニルエーテルコポリマー等の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマー;アクリレーツ/イタコン酸ポリオキシエチレン(20)セチルエーテルコポリマー、アクリレーツ/イタコン酸ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルコポリマー等の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルコポリマー;アクリレーツ/メタクリル酸ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテルクロスポリマー等の(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマー;アクリレーツ/ネオデカン酸ビニルクロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、(N−ビニルピロリドン−N、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)クロスポリマー(ポリアクリレート−1)等が挙げられる。中でも、カルボキシビニルポリマー、(メタ)アクリル酸アルキルコポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマーが好ましい。なお、括弧内の数値は、酸化エチレンの平均付加モル数を表す。
【0047】
本実施形態に係る体臭抑制剤中の増粘剤の含有量は、0.1〜5.0質量%が好ましく、0.2〜2.0質量%がより好ましい。増粘剤の含有量を0.1質量%以上とすることにより、本実施形態に係る体臭抑制剤が適度に増粘され、塗布後に垂れ落ちにくくなる。また、増粘剤の含有量を5.0質量%以下とすることにより、塗布後の不快なべたつきを低減することができる。
【0048】
本実施形態に係る体臭抑制剤は、殺菌剤を含有していてもよい。上記殺菌剤は、例えば、体臭の原因となる物質を生成する皮膚常在菌の増殖を抑制する薬剤である。殺菌剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、フェノール、トリクロロカルバニリド、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、トリクロカルバン、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、サリチル酸、ソルビン酸、塩化リゾチーム等が挙げられ、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノールが好ましい。殺菌剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
本実施形態に係る体臭抑制剤中の殺菌剤の含有量は、0.05〜1.0質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%がより好ましい。殺菌剤の含有量を0.05質量%以上とすることにより、殺菌効果による体臭抑制効果がより一層向上する。また、殺菌剤の含有量を1.0質量%以下とすることにより、体臭抑制剤の低刺激性が向上する。
【0050】
本実施形態に係る体臭抑制剤は、制汗成分を含有してもよい。上記制汗成分は、皮膚を収斂することにより汗の発生を抑制する薬剤である。上記制汗成分としては、特に限定されないが、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛等が挙げられる。
【0051】
本実施形態に係る体臭抑制剤は、酸化チタン被覆活性炭以外の消臭成分を含有してもよい。上記消臭成分は、臭いを発する物質と反応したり、臭いを発する物質を吸着したり、臭いをマスクしたりして、臭いを消す効果を有する薬剤である。上記消臭成分としては、特に限定されないが、例えば、酸化亜鉛等の金属酸化物、シリカ、アルキルジエタノールアミド、ヒドロキシアパタイト、茶抽出物、香料、酸化防止剤等が挙げられる。
【0052】
上記油脂としては、特に限定されないが、例えば、アボガド油、つばき油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油等が挙げられる。上記ロウ類としては、特に限定されないが、例えば、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン等が挙げられる。上記炭化水素油としては、特に限定されないが、例えば、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワレン、スクワラン等が挙げられる。上記エステル油としては、特に限定されないが、例えば、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸ポリグリセリル等が挙げられる。上記シリコーン油としては、特に限定されないが、例えば、メチルポリシロキサン、平均重合度が650〜7000である高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン等が挙げられる。
【0053】
上記高級アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール等が挙げられる。
【0054】
上記界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルグリセリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、グリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、シリコーン界面活性剤等のノニオン性界面活性剤;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩等のアニオン性界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0055】
上記清涼化剤としては、特に限定されないが、例えば、メントール、メンチルグリセリルエーテル、乳酸メンチル、ハッカ油、ペパーミント油、カンファー、イシリン等が挙げられる。上記酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、トコフェロールおよびその誘導体、アスコルビン酸およびその誘導体等が挙げられる。上記金属イオン封鎖剤としては、特に限定されないが、例えば、エデト酸塩、リン酸、ポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。上記pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
【0056】
本実施形態に係る体臭抑制剤は、体臭を抑制する目的で用いられる防臭剤(消臭剤、デオドラント剤とも称する)である。本実施形態に係る体臭抑制剤は、特に限定されないが、塗布汚れを防止する効果を有する観点から、皮膚に対して用いられる皮膚用の体臭抑制剤、衣類に対して用いられる衣類用の体臭抑制剤、または、履物に対して用いられる履物用の体臭抑制剤であることが好ましい。さらに、皮膚、衣類または履物に塗布(特に直接塗布)して用いる体臭抑制剤であることが好ましい。特に、皮膚に直接塗布して用いる体臭抑制剤であることが好ましい。なお、上記塗布(直接塗布)とは、噴霧、噴射による塗布の意味も含むものとする。置き型や吊り下げ型の防臭剤としては、本実施形態に係る効果が十分に発揮されない場合がある。本実施形態に係る体臭抑制剤を、身体に塗布する場合の塗布部としては、特に限定されないが、例えば、腋下、腕、足、足裏、首、胸、臀部等が挙げられる。上記衣類としては、特に限定されないが、例えば、ジャケット、ワイシャツ、コート、Tシャツ、トレーナー、セーター、ジャージ、ズボン、スラックス、ジーンズ、スカート、ワンピース、ドレス、下着、パジャマ、浴衣、帽子、スカーフ、バンダナ、マフラー、ネクタイ、手袋、帯、ベルト、靴下、足袋、レッグウォーマー、タイツ等が挙げられる。上記履物としては、特に限定されないが、例えば、靴、スニーカー、ハイヒール、パンプス、ミュール、ブーツ、サンダル、スリッパ、下駄等が挙げられる。
【0057】
本実施形態に係る体臭抑制剤は、ローション、ジェル、ロールオン、ウォーター等の剤型であることが好ましく、ウォーターまたはロールオンの剤型であることがより好ましい。
【0058】
本実施形態に係る体臭抑制剤を、ロールオン製品として用いる場合は、ロールオン容器と、該ロールオン容器内に充填されている本実施形態に係る体臭抑制剤とを備える。ロールオン容器は、塗布部にロールを備える。ロールは、円筒部材であってもよく、球状部材であってもよい。
【0059】
本実施形態に係る体臭抑制剤の製剤化は、一般に知られている製造方法により行うことができる。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。なお、配合量は、特記しない限り、有効成分の配合量であり、体臭抑制剤100質量%に対する「質量%」を表す。
【0061】
以下、実施例および比較例において用いた各種材料をまとめて示す。
カチオン性ポリマー1:Lubrizol社製のMerquat 550PR(表示名称「ポリクオタニウム−7」、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体)
カチオン性ポリマー2:Lubrizol社製のMerquat PLUS 3330(表示名称「ポリクオタニウム−39」、アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体)
アニオン性ポリマー:Lubrizol Advanced Materials社製のCARBOPOL 980 POLYMER(表示名称「カルボマー」)
【0062】
酸化チタン被覆活性炭の製造
活性炭(商品名「GW−B32/60」、クラレケミカル(株)製)を解砕機を用いて破砕し、さらに分級して、平均粒子径:40.9μmの活性炭(粉末活性炭)を得た。
45%アクリル酸アルキル共重合体液(商品名「ヨドゾールGH800F」、アクゾノーベル(AkzoNobel)社製)0.1gに、精製水5.1gを加え、十分に撹拌し、混合液(1)を得た。
混合液(1)2.7gを撹拌しながら、混合液(1)を上記で得られた活性炭(平均粒子径:40.9μm)1.8gに混合し、混合液(2)を得た。
得られた混合液(2)に酸化チタン(商品名「CR−50」、石原産業(株)製、平均粒子径:0.25μm)10.8gを混合し、混合液(3)を得た。
次いで、得られた混合液(3)を115℃で2時間乾燥し、さらに、乾燥物を解砕機にて粉状に解砕して酸化チタン被覆活性炭を得た。
【0063】
(実施例1〜15および比較例1〜4)
上記酸化チタン被覆活性炭を用い、表1および表2に示した組成(配合量)に従い、各成分を混合し、体臭抑制剤を調製した。得られた各体臭抑制剤について、下記評価を行った。
【0064】
(1)再分散性
容量120mLのガラス瓶(マヨネーズ瓶)に前記試料を100mL入れ、1000rpmで2分間遠心分離して粉体を沈降させた後、15cmの振り幅で縦に振盪(1往復/秒)を繰り返し、底面の粉体が完全に分散するまでの振盪回数を計測した。計測結果は、下記の基準に従って評価した。
[評価基準]
3点(優れる):5回以内に底面の残留がなくなり、均一分散する。
2点(良好):6回以上、10回以内に底面の残留がなくなり、均一分散する。
1点(不十分):11回以上、50回以内に底面の残留がなくなり、均一分散する。
0点(不良):51回以上振盪しても底面に残留が確認できる、または均一分散できない。
【0065】
(2)剥離抑制効果
容量120mLのガラス瓶(マヨネーズ瓶)に前記試料を100mL入れ、粉体が均一に分散するまで振盪後、5分間静置させることで粉体を沈降させた後、試料中の液相の透明度を目視により観察し、酸化チタン被覆活性炭から剥離して沈降せずに液相中を分散している酸化チタンの量を観察した。観察結果は、下記の基準に従って評価した。
[評価基準]
3点(優れる):液相が透明である。
2点(良好):液相が濁っているが背後が見える。
1点(不良):液相が濁って背後が見えない。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
表1および表2の結果より、本実施形態に係る体臭抑制剤は、再分散性が良好で、かつ酸化チタン被覆活性炭から酸化チタンが剥離せず、皮膚等を黒く汚すことがないという優れた特性を有することがわかる。
【0069】
以下に、本発明の体臭抑制剤の処方例を示す。
【0070】
処方例1(ロールオン)
酸化チタン被覆活性炭 1.0質量%
ポリクオタニウム−7 0.03質量%
ヒドロキシプロピルセルロース 0.3質量%
シメン−5−オール 0.1質量%
エタノール 70.0質量%
精製水 残部
【0071】
処方例2(ウォーター)
酸化チタン被覆活性炭 1.0質量%
ポリクオタニウム−7 0.03質量%
クロルヒドロキシアルミニウム 10.0質量%
エタノール 70.0質量%
精製水 残部