(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来に比べて装置の厚みを薄くできる車両用カップホルダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) リテーナと、
前記リテーナに収納されるホルダ収納位置と該ホルダ収納位置から車室側に移動したホルダ使用位置とに前記リテーナにスライド可能に支持されるホルダと、
前記ホルダとの間に飲料容器が挿入される開口を形成しており、アーム閉位置と該アーム閉位置から装置幅方向に前記ホルダから離れる方向に移動したアーム開位置とに前記ホルダに移動可能に支持されており、飲料容器の側面を前記ホルダと協働して支持可能なアームと、
トレイ上方位置と該トレイ上方位置から下方に移動したトレイ下方位置とに前記ホルダに移動可能に支持されており、飲料容器の底面を支持可能なトレイと、
を有し、
前記ホルダが前記ホルダ収納位置にあるとき、前記アームが前記アーム閉位置にあり前記トレイが前記トレイ上方位置にあり、前記アームと前記トレイとが同じ高さ位置にあ
り、
前記トレイは、前記容器の底面を支持するトレイ支持体と、前記ホルダと前記トレイ支持体とを連結するトレイアームと、を有しており、前記トレイ支持体は装置幅方向に伸縮可能とされており、
前記ホルダが前記ホルダ収納位置にあるとき、前記トレイ支持体は、前記アーム閉位置にある前記アームにより押されて縮められている、車両用カップホルダ装置。
(2)
前記トレイ支持体は、前記トレイアームに回動可能に連結される第1トレイ支持体と、該第1トレイ支持体に装置幅方向に移動可能に支持される第2トレイ支持体と、該第2トレイ支持体を前記第1トレイ支持体に対して該第1トレイ支持体からの突出量が大となる方向に付勢するトレイ支持体スプリングと、を有しており、
前記トレイ支持体は、前記第2トレイ支持体が、前記トレイ支持体スプリングの付勢力で前記第1トレイ支持体からの突出量が大となる方向に移動すること、前記トレイ支持体スプリングの付勢力に抗して前記第1トレイ支持体からの突出量が小となる方向に押し戻されることで、装置幅方向に伸縮可能とされている、(1)記載の車両用カップホルダ装置。
(3)
前記アーム閉位置にあるときにおける前記アームの、前記トレイ支持体に対向する部位に、該トレイ支持体を受け入れる凹部が設けられている、(1)または(2)記載の車両用カップホルダ装置。
(4)
前記ホルダを前記ホルダ使用位置から前記ホルダ収納位置に移動させるとき、前記トレイが前記トレイ下方位置から前記トレイ上方位置に達した後に前記アームが前記アーム開位置から前記アーム閉位置に達するようになっている、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の車両用カップホルダ装置。
(5)
前記トレイアームは、第1、第2のトレイアームを有しており、該第1、第2のトレイアームは、それぞれ、一端部で前記ホルダに回動可能に連結され他端部で前記トレイ支持体に回動可能に連結されており、
前記第1、第2のトレイアームと前記ホルダおよび前記トレイ支持体との回動連結部は、側面視で平行四辺形の4つの頂点上に位置している、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の車両用カップホルダ装置。
(6)
前記第1、第2のトレイアームの一方には、前記トレイが前記トレイ上方位置にあるときに、前記第1、第2のトレイアームの他方を受け入れる受け入れ凹部が設けられている、(5)記載の車両用カップホルダ装置。
(7)
前記アームは、互いに回動可能に連結される第1、第2のアームを有しており、前記ホルダと協働して、飲料容器が挿入される開口の全周にわたって連続する開口縁を形成している、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の車両用カップホルダ装置。
(8)
前記第1のアームは、一端部で前記ホルダに回動可能に連結されるとともに、他端部で前記第2のアームの一端部に回動可能に連結されており、
前記第2のアームの他端部は、前記ホルダに対して、前記ホルダの前記リテーナに対する移動方向に可動とされている、(7)記載の車両用カップホルダ装置。
(9)
前記アームは、さらに、アームリンクバーを有しており、
前記アームリンクバーは、前記ホルダに回動可能に支持される回動軸部と、該回動軸部から延びており延び方向先端部で前記第2のアームの他端部と回動可能に連結される第1延び部と、前記回動軸部から前記第1延び部とは異なる方向に延びる第2延び部と、を有しており、
前記ホルダを前記ホルダ使用位置から前記ホルダ収納位置に移動させるときに、前記第2延び部が前記リテーナに当たって押されることで前記アームリンクバーが前記ホルダに対して回動し、前記第2のアームの他端部を前記ホルダに対して前記ホルダの前記リテーナに対する移動方向に移動させて前記アームを前記アーム開位置から前記アーム閉位置に移動させるようになっている、(8)記載の車両用カップホルダ装置。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)の車両用カップホルダ装置によれば、つぎの効果を得ることができる。
ホルダがホルダ収納位置にあるとき、アームとトレイとが同じ高さ位置にあるため、アームとトレイとを上下に重なり合うことなくリテーナ内に収納することができる。よって、アームとトレイが異なる高さ位置にある場合(従来)に比べて、装置の厚みを薄くすることができる。
【0008】
また、つぎの効果を得ることができる。
トレイが装置幅方向に伸縮可能なトレイ支持体を有しており、ホルダがホルダ収納位置にあるとき、トレイ支持体がアーム閉位置にあるアームにより押されて縮められているため、アームがアーム閉位置にあるときに、トレイ支持体をアームの下面に干渉することなくアームの内側に配置(格納)できる。よって、ホルダがホルダ収納位置にあるときにトレイとアームとを同じ高さ位置にすることができる。
【0009】
上記(
2)の車両用カップホルダ装置によれば、つぎの効果を得ることができる。
トレイ支持体が、第1トレイ支持体と、該第1トレイ支持体に装置幅方向に移動可能に支持される第2トレイ支持体と、第2トレイ支持体を第1トレイ支持体に対して付勢するトレイ支持体スプリングと、を有するため、簡易な構成でトレイ支持体を伸縮可能にすることができる。
【0010】
上記(
3)の車両用カップホルダ装置によれば、つぎの効果を得ることができる。
アームにトレイ支持体を受け入れる凹部が設けられているため、アームによるトレイ支持体の保持力を高めることができる。そのため、アーム閉位置にあるアームでトレイ支持体を押し縮めているときに、車両走行振動等でアームに対してトレイ支持体が上下方向に相対移動してしまうことを効果的に抑制できる。
【0011】
上記(
4)の車両用カップホルダ装置によれば、つぎの効果を得ることができる。
ホルダをホルダ使用位置からホルダ収納位置に移動させるとき、トレイがトレイ下方位置からトレイ上方位置に達した後にアームがアーム開位置からアーム閉位置に達するようになっている。そのため、アーム開位置からアーム閉位置に移動するアームによりトレイ支持体を確実に押し縮めることができる。
【0012】
上記(
5)の車両用カップホルダ装置によれば、つぎの効果を得ることができる。
第1、第2のトレイアームとホルダおよびトレイ支持体との回動連結部(計4個の回動連結部)が、側面視で平行四辺形の4つの頂点上に位置しているため、ホルダ、トレイ支持部および第1、第2のトレイアームで平行四辺形状の4節リンク機構が構成される。そのため、トレイをホルダに対して上下方向に移動させるときにトレイ支持体の角度を一定に保つことができる。よって、トレイがトレイ下方位置にあるときにおいてトレイ支持体の上面が水平面とされている場合、トレイをホルダに対してトレイ上方位置に移動させたときであってもトレイ支持体の上面が水平面を維持でき、トレイがトレイ上方位置にあるときにトレイ支持体が傾いてしまいトレイ支持体の上下方向長さが大になってしまうことを抑制できる。よって、ホルダがホルダ収納位置にあるときにおける装置の厚みを薄くする点において有利である。
【0013】
上記(
6)の車両用カップホルダ装置によれば、つぎの効果を得ることができる。
第1、第2のトレイアームの一方に、第1、第2のトレイアームの他方を受け入れる受け入れ凹部が設けられているため、トレイアームが2つのトレイアーム(第1、第2のトレイアーム)を有する場合であっても、トレイがトレイ上方位置にあるときにおけるトレイアームの上下方向厚みを小にすることができる。よって、ホルダがホルダ収納位置にあるときにおける装置の厚みを薄くする点において有利である。
【0014】
上記(
7)の車両用カップホルダ装置によれば、つぎの効果を得ることができる。
アームが、第1、第2のアームを有しており、ホルダと協働して、飲料容器が挿入される開口の全周にわたって連続する開口縁を形成しているため、開口縁が全周にわたって連続して設けられていない場合に比べて、飲料容器の側面の保持性能を高めることができる。
【0015】
上記(
8)の車両用カップホルダ装置によれば、つぎの効果を得ることができる。
第2のアームの他端部が、ホルダに対して、ホルダのリテーナに対する移動方向に可動とされているため、第1のアームが一端部でホルダに回動可能に連結されるとともに他端部で第2のアームの一端部に回動可能に連結されている場合であっても、第2のアームの他端部がホルダに対してホルダのリテーナに対する移動方向に移動することで、アームが突っ張ることなく、アームをホルダに対してアーム開位置からアーム閉位置に移動させることができる。
【0016】
上記(
9)の車両用カップホルダ装置によれば、つぎの効果を得ることができる。
ホルダをホルダ使用位置からホルダ収納位置に移動させるときに、アームリンクバーの第2延び部がリテーナに当たり押されることでアームリンクバーがホルダに対して回動し、第2のアームの他端部をホルダに対してホルダのリテーナに対する移動方向に移動させてアームをアーム開位置からアーム閉位置に移動させるようになっている。そのため、アームをアーム開位置からアーム閉位置に移動させる際に、第1、第2のアームをリテーナ等に当てて移動させる必要が無い。よって、第1、第2のアームがリテーナ等に当たって傷つくことを抑制でき、装置の商品性を保つ点において有利である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明実施例の車両用カップホルダ装置を、図面を参照して、説明する。
本発明実施例の車両用カップホルダ装置(以下、単にホルダ装置、装置ともいう)10は、
図2〜
図4に示すように、たとえば、車両の内装部材であるインストルメントパネル100に配設される車両用カップホルダ装置である。ただし、装置10の配設場所は、インストルメントパネル100に限定されるものではなく、コンソールパネル等であってもよい。なお、本発明実施例および図示例では、装置10がインストルメントパネル100に設けられておりホルダがインストルメントパネル100から車室側である車両後方に突出する場合を説明する。なお、図中UPは上方(車両上方)を示し、DNは下方(車両下方)を示し、FRは前方(車両前方)を示し、RRは後方(車両後方)を示す。
【0019】
装置10は、
図2に示すように、リテーナ20と、ホルダ30と、アーム40と、トレイ50と、を有する。
【0020】
リテーナ20は、インパネ100に図示略のビス等を用いて固定されている。リテーナ20は、たとえば 樹脂製である。リテーナ20は、一部品構成であってもよく、複数部品構成であってもよい。リテーナ20は、リテーナ奥壁21と、リテーナ奥壁21の上端部から後方(車室側)に延びるリテーナ上壁22と、リテーナ奥壁21の下端部から後方に延びリテーナ上壁22と対向するリテーナ下壁23と、リテーナ奥壁21の車両左右方向端部から後方に延びる一対のリテーナ側壁24,24と、を有する。そのため、リテーナ20は、後方(車室側)に開放するボックス形状である。
【0021】
ホルダ30は、たとえば樹脂製である。ホルダ30は、一部品構成であってもよく、複数部品構成であってもよい。ホルダ30は一体または別体のドア部37を有する。ドア部37は、装置10の周囲の車両内装材と意匠が合わせられることで装置10の意匠性を向上させている。ホルダ30は、
図2、
図4に示すように、リテーナ20に収納されるホルダ収納位置30aと該ホルダ収納位置30aから後方(車室側)に移動したホルダ使用位置30bとに、リテーナ20に前後方向にスライド可能に支持されている。
【0022】
ホルダ30は、
図1に示すように、リテーナ20に対して、後方すなわちホルダ収納位置30aからホルダ使用位置30b側に、コンストンスプリング等の付勢部材32により常時付勢されている。ホルダ30とリテーナ20との間には、ホルダ30のリテーナ20に対する移動速度を抑制させてホルダ30の動きに高級感を付与するために、ダンパ33が設けられていてもよい。
【0023】
ホルダ30が付勢部材32の付勢力により後方にホルダ収納位置30aからホルダ使用位置30b側に移動したとき、ホルダ30に設けられるストッパ突起34がリテーナ20のリテーナ上壁22に設けられるストッパ受け部22aに当接し、それ以上ホルダ30がリテーナ20に対して後方に移動することが規制される。ホルダ30は、付勢部材32の付勢力に抗して前方にホルダ使用位置30bからホルダ収納位置30aに押し込まれることで、ハートカム機構等からなるロック装置35のロックがかかり、リテーナ20に対してホルダ収納位置30aに保持される。
図1に示すように、ロック装置35は、ハートカム機構からなる場合、ハートカム35aと、ロックピン35bと、を備えている。
【0024】
ホルダ30は、薄板形状である。ホルダ30の幅方向側面(装置幅方向の側面、車両幅方向側面)36には、車幅方向に凹む凹部36aが形成されている。凹部36aは、装置10に保持される飲料容器Cの側面C1を周方向の一部から保持するために設けられている。凹部36aは、図示例では装置10が飲料容器Cを車両幅方向に並んで2個保持可能な2個置きタイプを示しているため、ホルダ30の幅方向両側面にそれぞれ1個ずつ設けられている。装置10が飲料容器Cを1個のみ保持可能な1個置きタイプである場合、凹部36aは、ホルダ30の幅方向の片側の側面のみに形成される。本発明図示例では2個置きタイプを示しているが、本発明実施例では2個置きタイプの片側についてのみ説明し、もう一方については前記片側に準じるため同じ符号に´(ダッシュ)を付し、説明は省略する。
【0025】
アーム40は、ホルダ30に支持されている。このため、アーム40は、ホルダ30がリテーナ20に対して前後方向に移動するとき、ホルダ30とともにリテーナ20に対して前後方向に移動する。アーム40は、
図5、
図7に示すように、ホルダ30がホルダ収納位置30aにあるとき(
図5参照)、全体がリテーナ20内に位置しており、ホルダ30がホルダ使用位置30bにあるとき(
図7参照)、リテーナ20から後方に車室内に突出している。
【0026】
アーム40は、ホルダ20の幅方向側面36との間に飲料容器Cが挿入される開口Aを形成している。アーム40は、アーム閉位置40aと該アーム閉位置40aから装置幅方向にホルダ30の側面36から離れる方向に移動したアーム開位置40bとに、ホルダ30に移動可能に支持されている。アーム40がアーム開位置40bにあるときにおける開口Aの面積は、アーム40がアーム閉位置40aにあるときにおける開口Aの面積より、大となっている。アーム40は、飲料容器Cの側面C1をホルダ30とともに(協働して)支持可能である。
【0027】
アーム40は、第1のアーム41と、第2のアーム42と、アームリンクバー43と、を有する。第1のアーム41、第2のアーム42およびアームリンクバー43は、それぞれ、一部品構成である。
【0028】
第1、第2のアーム41,42は、互いに回動可能に連結されている。第1、第2のアーム41,42は、ホルダ30と協働して、平面視で飲料容器Cが挿入される開口Aの全周にわたって連続する開口縁A1を形成している。
【0029】
第1のアーム41は、平面視で略C字形状となっており、一端部41aでホルダ30に回動可能に連結されるとともに、他端部41bでピン41b1等を用いて第2のアーム42の一端部42aに回動可能に連結されている。第1のアーム41の一端部41aは、ホルダ30の凹部36aよりも後方位置で、ホルダ30と回動可能に連結されている。
【0030】
第2のアーム42は、平面視で、略C字形状となるC字形状部42cと、C字形状部42cの前端からホルダ30内側かつ前方に向かって延びるエクステンション部42dと、を有する。第1のアーム41の他端部41bと連結される第2のアーム42の一端部42aは、C字形状部42cの後端部にある。第2のアーム42の他端部42bは、第2のアーム42の前端部にありエクステンション部42dの延び方向先端部にある。そして、第2のアーム42の他端部42bは、ホルダ30に対して、ホルダ30のリテーナ20に対する移動方向、すなわち前後方向に可動とされている。
【0031】
アームリンクバー43は、ホルダ30に回動可能に連結されて支持される回動軸部43aと、回動軸部43aから延びており延び方向先端部で第2のアーム42の他端部42bとピン43b1等を用いて回動可能に連結される第1延び部43bと、回動軸部43aから第1延び部43bとは異なる方向に延びる第2延び部43cと、を有し、アームリンクバー付勢スプリング43dにより回動付勢されている。
【0032】
アームリンクバー43が第1延び部43bで第2のアーム42の他端部42bと回動可能に連結されているため、アームリンクバー43がホルダ30に対して回動することで、第2のアーム42の他端部42bをホルダ30に対して前後方向すなわちホルダ30のリテーナ20に対する移動方向に移動させることができる。そして、アーム40は、第2のアーム42の他端部42bが前後方向に移動することで、第1、第2のアーム41,42のなす角が変わり、アーム閉位置40aとアーム開位置40bとに移動する。
【0033】
アームリンクバー43は、アームリンクバー付勢スプリング43dにより、第1延び部43bがホルダ30に対して後方に移動する方向に常時回動付勢されている。アームリンクバー43は、
図5に示すように、ホルダ30がホルダ収納位置30aにあるとき、リテーナ側壁24の内面に当接しており、アームリンクバー付勢スプリング43dの付勢力に抗して第1延び部43bがホルダ30に対して前方に移動する方向に回動させられている。このため、アーム40はアーム閉位置40aにあり、アーム40部位における装置幅方向長さが一対のリテーナ側壁24間の長さよりも小となっている。また、アームリンクバー43は、
図7に示すように、ホルダ30がホルダ使用位置30bにあるとき、リテーナ側壁24から離れており、アームリンクバー付勢スプリング43dの付勢力により第1延び部43bがホルダ30に対して後方に移動する方向に回動させられている。このため、アーム40はアーム開位置40bにあり、アーム40部位における装置幅方向長さが一対のリテーナ側壁24間の長さよりも大となっている。
【0034】
図9に示すように、アームリンクバー43の第2延び部43cは、延び方向先端が自由端となっている。第2延び部43cは、ホルダ30をリテーナ20に対して前方にホルダ使用位置30bからホルダ収納位置30aに移動させるときに、リテーナ側壁24に設けられる段差部25に当たって押される。これにより、アームリンクバー43がホルダ30に対して回動し、第2アーム42の他端部42bをホルダ30に対して前方に移動させてアーム40をアーム開位置40aからアーム閉位置40bに移動させるようになっている。
【0035】
トレイ50は、ホルダ30に支持されている。このため、トレイ50は、ホルダ30がリテーナ20に対して前後方向に移動するとき、ホルダ30とともにリテーナ20に対して前後方向に移動する。トレイ50は、
図6、
図8に示すように、ホルダ30がホルダ収納位置30aにあるとき、全体がリテーナ20内に位置しており、ホルダ30がホルダ使用位置30bにあるとき、リテーナ20から後方に車室内に突出している。
【0036】
トレイ50は、トレイ上方位置50aと該トレイ上方位置50aから下方に移動したトレイ下方位置50bとに、ホルダ30に上下方向に移動可能に支持されている。トレイ50は、容器Cの底面C2を支持するトレイ支持体51と、ホルダ30とトレイ支持体51とを連結するトレイアーム52と、を有している。
【0037】
トレイ支持体51は、トレイ下方位置50bにあるとき、開口Aの下側に位置している。そのため、トレイ50は、トレイ支持体51にて、開口Aに挿入される容器Cの底面C2を支持可能である。トレイ支持体51は平板状(略平板状を含む)であり、トレイ支持体51の上面51eは、上下方向(鉛直方向)と直交(略直交を含む)する水平面とされている。トレイ支持体51には、
図1に示すように、トレイ50がトレイ上方位置50aにあるときにトレイアーム52と干渉するおそれがある場合には、トレイアーム52を避ける逃げ51fが設けられていてもよい。
【0038】
トレイ支持体51は、トレイアーム52に回動可能に連結される第1トレイ支持体51aと、第1トレイ支持体51aに装置幅方向に移動可能に支持される第2トレイ支持体51bと、第2トレイ支持体51bを第1トレイ支持体51aに対して第1トレイ支持体51aからの突出量が大となる方向(装置幅方向外側)に付勢するトレイ支持体スプリング51cと、を有する。トレイ支持体51は、第2トレイ支持体51bの第1トレイ支持体51aに対する移動を補助するガイドピン51dを、さらに有していてもよい。
【0039】
トレイ支持体51は、第2トレイ支持体51bが、トレイ支持体スプリング51cの付勢力で第1トレイ支持体51aからの突出量が大となる方向に移動すること、トレイ支持体スプリング51cの付勢力に抗して第1トレイ支持体51aからの突出量が小となる方向に押し戻されることで、装置幅方向(車両幅方向)に伸縮可能とされている。
【0040】
トレイアーム52は、第1、第2のトレイアーム52a,52bを有している。第1、第2のトレイアーム52a、52bは、ピン53等を用いてそれぞれ、一端部52a1,52b1でホルダ30に回動可能に連結され他端部52a2,52b2でトレイ支持体51に回動可能に連結されている。
図8に示すように、第1、第2のトレイアーム52a、52bとホルダ30およびトレイ支持体51との回動連結部52a1,52b1,52a2,52b2は、側面視(装置幅方向である車両幅方向から見たとき)で平行四辺形の4つの頂点上に位置している。そのため、ホルダ30、トレイ支持体51、第1のトレイアーム52aおよび第2のトレイアーム52bで平行四辺形状の4節リンク機構を構成している。
【0041】
図11、
図12に示すように、第1、第2のトレイアーム52a、52bの一方には、トレイ50がトレイ上方位置50aにあるときに、第1、第2のトレイアーム52a、52bの他方を受け入れる受け入れ凹部52cが設けられている。なお、図示例では、第1のトレイアーム52aに受け入れ凹部52cが設けられている場合を示している。受け入れ凹部52cにより、トレイアーム52が2つのトレイアーム(第1、第2のトレイアーム)52a、52bを有する場合であっても、トレイ50がトレイ上方位置50aにあるときにトレイアーム52の厚みが大になることが抑制されている。
【0042】
トレイ50は、ホルダ30がホルダ収納位置30aにあるとき、トレイ上方位置50aにある。トレイ50がトレイ上方位置50aにあるとき、トレイ50はアーム40と同じ高さ位置にある。ここで、トレイ上方位置50aにあるトレイ50とアーム40とが同じ高さ位置にあるとは、トレイ50がアーム40の高さ寸法内に位置していることであり、トレイ50がアーム40の上端と同じかそれより下方でアーム40の下端と同じかそれより上方に位置していることである。トレイ50は、ホルダ30がホルダ使用位置30bにあるとき、ホルダ30に対して自重で下方に移動しトレイ下方位置50bにある。ホルダ30がホルダ使用位置30bにありトレイ50がトレイ下方位置50bにある状態から、ホルダ30をリテーナ20に対して前方にホルダ使用位置30bからホルダ収納位置30aに移動させるときに、トレイ50はリテーナ20またはインストルメントパネル100に当たり持ち上げられる。これにより、トレイ50がホルダ30に対してトレイ下方位置50bからトレイ上方位置50aに移動するようになっている。なお、トレイ50とリテーナ20またはインストルメントパネル100とが当たり合うときに打音が発生する場合には、打音抑制のためにクッション52d(
図1)が設けられていてもよい。
【0043】
ホルダ30がホルダ収納位置30aにあるとき、トレイ上方位置50aにあるトレイ50は、
図5に示すように、トレイ支持体51がアーム閉位置40aにあるアーム40により保持されるとともに押されて縮められている。このときのアーム30によるトレイ50の保持力を高めるために、
図12に示すように、アーム閉位置40aにあるときにおけるアーム40の、トレイ支持体51に対向する部位に、トレイ支持体51の少なくとも一部を受け入れる凹部44が設けられている。アーム閉位置40aにあるアーム40により確実にトレイ支持体51を保持するとともに押し縮めるために、ホルダ30をホルダ使用位置30bからホルダ収納位置30aに移動させるとき、トレイ50がトレイ下方位置50bからトレイ上方位置50aに達した後にアーム40がアーム開位置40bからアーム閉位置40aに達するようになっている。
【0044】
図7における符号60は、開口A内で容器Cをアーム40側に押し付けるサポートであり、サポート付勢バネ61によってホルダ30に対して回動付勢されている。サポート60により、容器Cが開口A内でがたつくことが抑制されている。
【0045】
ここで、本発明実施例の作動を説明する。
(a)ホルダ30がホルダ収納位置30aにあるとき、
図5に示すように、ホルダ30は、ロック装置35のロックによりリテーナ20に対してホルダ収納位置30aに保持されている。アーム40は、アームリンクバー43がリテーナ側壁24に当接しており第2のアーム42の他端部42bがホルダ30に対して前方に移動した状態にあり、アーム閉位置40aにある。トレイ50はトレイ上方位置50aにあり、トレイ支持体51がアーム40により保持されるとともに縮められた状態にある。
【0046】
(b)ホルダ30を前方に押し込みロック装置35のロックを解除すると、
図7に示すように、ホルダ30は、付勢部材32の付勢力によりリテーナ20に対して後方にホルダ使用位置30bに移動する。その途中で、アームリンクバー43がリテーナ側壁24から離れアームリンクバー付勢スプリング43dの付勢力でホルダ30に対して回動することで、第2のアーム42の他端部42bがホルダ30に対して後方に移動し、アーム40がアーム閉位置40aからアーム開位置40bに移動する。アーム40がアーム開位置40bに移動した後、トレイ50がホルダ30に対して自重でトレイ上方位置50aからトレイ下方位置50bに移動する。
【0047】
(c)ホルダ30がホルダ使用位置30bにあるとき、アーム40はアーム開位置40bにありトレイ50はトレイ下方位置50bにある。
【0048】
(d)ホルダ使用位置30bにあるホルダ30を、リテーナ20に対して前方にホルダ使用位置30bからホルダ収納位置30aに移動させると、その途中で、トレイ50がリテーナ20またはインストルメントパネル100に当たり持ち上げられ、トレイ50がホルダ30に対してトレイ下方位置50bからトレイ上方位置50aに移動する。トレイ50がトレイ上方位置50aに達した後、アームリンクバー43がリテーナ20の段差部25に当たって押され、アームリンクバー43がホルダ30に対して回動し、第2アーム42の他端部42bがホルダ30に対して前方に移動する。このため、アーム40がアーム開位置40aからアーム閉位置40bに移動する。
【0049】
(e)ロック装置35のロックがかかるまで、ホルダ30をリテーナ20に対してホルダ使用位置30bからホルダ収納位置30aに移動させたとき、上記(a)の状態となる。
【0050】
つぎに、本発明実施例の作用・効果を説明する。
(A)ホルダ30がホルダ収納位置30aにあるとき、アーム40とトレイ50とが同じ高さ位置にあるため、アーム40とトレイ50とを上下に重なり合うことなくリテーナ20内に収納することができる。よって、アーム40とトレイ50が異なる高さ位置にある場合(従来)に比べて、装置10の厚みを薄くすることができる。
【0051】
(B)トレイ50が装置幅方向に伸縮可能なトレイ支持体51を有しており、ホルダ30がホルダ収納位置30aにあるとき、トレイ支持体51がアーム閉位置40aにあるアーム40により押されて縮められているため、アーム40がアーム閉位置40aにあるときに、トレイ支持体51をアーム40の下面に干渉することなくアーム40の内側に配置(格納)できる。よって、ホルダ30がホルダ収納位置30aにあるときにトレイ50とアーム40とを同じ高さ位置にすることができる。
【0052】
(C)トレイ支持体51が、第1トレイ支持体51aと、第1トレイ支持体51aに装置幅方向に移動可能に支持される第2トレイ支持体51bと、第2トレイ支持体51bを第1トレイ支持体51aに対して付勢するトレイ支持体スプリング51cと、を有するため、簡易な構成でトレイ支持体51を伸縮可能にすることができる。
【0053】
(D)アーム40にトレイ支持体51を受け入れる凹部44が設けられているため、アーム40によるトレイ支持体51の保持力を高めることができる。そのため、アーム閉位置40aにあるアーム40でトレイ支持体51を押し縮めているときに、車両走行振動等でアーム40に対してトレイ支持体51が上下方向に相対移動してしまうことを効果的に抑制できる。
【0054】
(E)ホルダ30をホルダ使用位置30bからホルダ収納位置30aに移動させるとき、トレイ50がトレイ下方位置50bからトレイ上方位置50aに達した後にアーム40がアーム開位置40bからアーム閉位置40aに達するようになっている。そのため、アーム開位置40bからアーム閉位置40aに移動するアーム40によりトレイ支持体51を確実に押し縮めることができる。
【0055】
(F)第1、第2のトレイアーム52a,52bとホルダ30およびトレイ支持体51との回動連結部(計4個の回動連結部)52a1,52b1,52a2,52b2が、側面視で平行四辺形の4つの頂点上に位置しているため、ホルダ30、トレイ支持部51および第1、第2のトレイアーム52a,52bで平行四辺形状の4節リンク機構が構成される。そのため、トレイ50をホルダ30に対して上下方向に移動させるときにトレイ支持体51のホルダ30に対する角度を一定に保つことができる。よって、トレイ50がトレイ下方位置にあるときにおいてトレイ支持体51の上面51eが水平面とされている場合、トレイ50をホルダ30に対してトレイ上方位置50aに移動させたときであってもトレイ支持体51の上面51eが水平面を維持でき、トレイ50がトレイ上方位置50aにあるときにトレイ支持体51が傾いてしまいトレイ支持体51の上下方向長さが大になってしまうことを抑制できる。よって、ホルダ30がホルダ収納位置30aにあるときにおける装置10の厚みを薄くする点において有利である。
【0056】
(G)第1、第2のトレイアーム52a,52bの一方に、第1、第2のトレイアーム52a,52bの他方を受け入れる受け入れ凹部52cが設けられているため、トレイアーム52が2つのトレイアーム(第1、第2のトレイアーム)52a,52bを有する場合であっても、トレイ50がトレイ上方位置50aにあるときにおけるトレイアーム52の上下方向厚みを小にすることができる。よって、ホルダ30がホルダ収納位置30aにあるときにおける装置10の厚みを薄くする点において有利である。
【0057】
(H)アーム40が、第1、第2のアーム41,42を有しており、ホルダ30と協働して、飲料容器Cが挿入される開口Aの全周にわたって連続する開口縁A1を形成しているため、開口縁A1が全周にわたって連続して設けられていない場合に比べて、飲料容器Cの側面C1の保持性能を高めることができる。
【0058】
(I)第2のアーム42の他端部42bが、ホルダ30に対して、ホルダ30のリテーナ20に対する移動方向(前後方向)に可動とされているため、第1のアーム41が一端部41aでホルダ30に回動可能に連結されるとともに他端部41bで第2のアーム42の一端部42aに回動可能に連結されている場合であっても、第2のアーム42の他端部42bがホルダ30に対してホルダ30のリテーナ20に対する移動方向に移動することで、アーム40が突っ張ることなく、アーム40をホルダ30に対してアーム開位置40bからアーム閉位置40aに移動させることができる。
【0059】
(J)ホルダ30をホルダ使用位置30bからホルダ収納位置30aに移動させるときに、アームリンクバー43の第2延び部43cがリテーナ20に当たり押されることでアームリンクバー43がホルダ30に対して回動し、第2のアーム42の他端部42bをホルダ30に対してホルダ30のリテーナ20に対する移動方向に移動させてアーム40をアーム開位置40bからアーム閉位置40aに移動させるようになっている。そのため、アーム40をアーム開位置40bからアーム閉位置40aに移動させる際に、第1、第2のアーム41,42をリテーナ20等に当てて移動させる必要が無い。よって、第1、第2のアーム41,42がリテーナ20等に当たって傷つくことを抑制でき、装置10の商品性を保つ点において有利である。