(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コードの長手方向に沿った一方向の移動に伴って前記保持部材が前記付勢手段の付勢方向に移動して前記回転部材と前記対向部材の少なくとも一方の回転が前記抵抗付与部に伝達され、
前記コードの長手方向に沿った他方向の移動に伴って前記保持部材が前記付勢手段の付勢に抗して移動することで前記回転部材と前記対向部材の少なくとも一方の回転の前記抵抗付与部への伝達が解除される、請求項5に記載の制動装置。
前記拘束手段は、前記保持部材を前記挟着位置から前記非挟着位置に移動させる方向に引張ることで前記挟着位置への移動を規制する拘束コードである、請求項7に記載の制動装置。
前記抵抗付与部は前記回転部材の回転に伴って回転する回転伝達部材と、当該回転伝達部材と係合して回転可能な回転抵抗体とを備え、当該回転抵抗体は、回転に伴って発生する遠心力により径方向外側に移動可能とされ且つ径方向外側に形成された壁面との間の摩擦により回転抵抗を生じさせるよう構成されており、
前記回転伝達部材と前記回転抵抗体の係合が解除されることで前記回転部材への回転抵抗が減少し、前記抵抗付与部によって前記コードの長手方向の移動が制動されない非制動状態となる、請求項2〜請求項6の何れかに記載の制動装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る遮蔽装置の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
1 第1実施形態
1−1 全体構成
第1実施形態に係る遮蔽装置100は、
図1の正面図に示すように、ヘッドボックス101から複数本のラダーコード102を介して複数段のスラット103が吊下支持され、同ラダーコード102の下端にはボトムレール103aが吊下支持される。以下、スラット103とボトムレール103aを合わせて、遮蔽部材103とも呼ぶことにする。また、
図1においては、図面の表裏方向を前後方向、左右方向を幅方向とする。
【0023】
ヘッドボックス101内には、支持部材110が複数個配設され、その支持部材にはチルトドラム104が回転可能に支持される。ラダーコード102の上端部は、チルトドラム104に取着され、そのチルトドラム104の中心部には、ヘッドボックス101の長手方向に延びるシャフト105が全てのチルトドラム104に嵌挿されている。従って、シャフト105が回転されると、全てのチルトドラム104が回転され、そのチルトドラム104の回転にともなって、ラダーコード102の縦糸の一方が引き上げられることにより、各スラット103及びボトムレール103aが同位相で角度調節される。
【0024】
ヘッドボックス101の一端部には、筒体からなる操作棒106が吊下支持されており、操作棒106の下端には操作部106aが設けられている。そして、操作部106aを把持して操作棒106を回転操作すると、ヘッドボックス101内に配設されるギヤ機構を介してシャフト105が回転される。従って、操作棒106の回転操作により、各遮蔽部材103を角度調節可能となっている。
【0025】
また、本実施形態ではヘッドボックス101から3本の昇降コードCD(特許請求の範囲におけるコード)が吊下されており、各昇降コードCDの一端はボトムレール103aに取着される。
【0026】
加えて、上述した支持部材110には、
図12にも示すように、3本の昇降コードCDをそれぞれヘッドボックス101内に案内する案内滑車109が軸支され、ヘッドボックス101に導入された昇降コードCDがヘッドボックスの幅方向(
図1の右方向)に転向案内可能となっている。なお、各支持部材110は他の昇降コードCDを左右方向に通過可能な空間を有している。
【0027】
そして、昇降コードCDは、ヘッドボックス101内に取り付けられたロック部107及び制動装置1000を経てヘッドボックス101端部の前面101fに形成されたコード出口101aから引き出され、筒状の操作棒106内に挿通され、その先端は操作部106aの下方に設けられたコードイコライザ108に接続される。従って、コードイコライザ108を下方へ引いて、ヘッドボックス101から昇降コードCDを引き出すと、ボトムレール103aが引き上げられることにより、各スラット103が順次引き上げられる。
【0028】
ロック部107は、遮蔽部材103の自重降下を防止するために用いられるものであり、本実施形態では、公知のハートカムストッパが用いられる。詳細な説明は省略するが、このロック部107は、ロック状態からコードイコライザ108を一度下方へ引いて手を離すとロックが解除されて遮蔽部材103が降下し、この状態でコードイコライザ108をもう一度下方へ引くと、昇降コードCDがロックされ、自重降下が防止されるよう構成されている。
【0029】
また、制動装置1000は、昇降コードCDの移動を制動し、遮蔽部材が降下する勢いを低減させるものである。以下、
図2〜
図12を参照して、この制動装置1000について詳細に説明する。
【0030】
1−2 制動装置
<制動装置の構成>
本実施形態に係る制動装置1000は、昇降コードCDの移動を回転運動に変換する運動変換部DTと、この回転運動に対し回転抵抗を付与する抵抗付与部RAとが略垂直方向に連結されて成る。本実施形態においては、
図2の分解斜視図に示すように、スライダー20、コイルスプリングSP、シャフト31とローラ部32からなる回転部材としての張力伝達ローラ30、ローラ部32の上下に配置されるリング状部材33,34、シャフト41及びローラ部42からなる対向部材としてのアイドルローラ40、内歯付キャリア260、遊星歯車280及びケース10Aの一部が運動変換部DTを構成し、回転抵抗体としてのウェイト340、回転伝達部材としての太陽歯車付ウェイトホルダ320、ベース70及びケース10Aの一部が抵抗付与部RAを構成する。また、本実施形態において、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40が、昇降コードCDを挟着する挟着体を構成し、挟着体は保持部材としてのスライダー20に保持されている。加えて、本実施形態の制動装置1000は、
図2及び
図13に示すように、スライダー20の移動を拘束する拘束手段としての拘束レバー60も備えている。以下、各部材について説明する。なお、制動装置1000説明においては、
図3(a)に示す矢印の向きをそれぞれ前後、左右、上下とする。すなわち、昇降コードCDが延びる向きを前後方向、より具体的には後述する第1天壁溝16と第2天壁溝17の距離が狭くなる向きを前方とし、これに対応して左右方向(幅方向)、上下方向を定める。
【0031】
図2(a),(b)に示されるように、整列部材200は、複数の昇降コードCDを挿通し、複数の昇降コードCDを互いに同じ向きに整列させるものである。整列部材200は、例えば、プラスチック等の樹脂で形成することができる。
【0032】
整列部材200は、上下方向に貫通する略直方体のフレーム200aの前方及び後方に昇降コードCDを挿入する略矩形の挿入部201が2つずつ形成された構成となっており、本実施形態においては、3本の昇降コードCDが挿入部201及び挿入部201の上部に通されることで、昇降コードCDが上下方向に略等間隔に整列された状態で挟着体に挟着されることになる。また、
図3に示すように、整列部材200左側の側面には、拘束レバー60を通す矩形状の貫通孔210が形成されている。
【0033】
次に、
図2〜
図5を用いてケース10Aについて説明する。ケース10Aは、ベース70とともに筐体を構成し、その内部にスライダー20、コイルスプリングSP、シャフト31とローラ部32からなる張力伝達ローラ30、リング状部材33,34、シャフト41及びローラ部42からなるアイドルローラ40、ピニオンギア50、内歯付キャリア260、遊星歯車280、プレート300、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340を保持する。
【0034】
図5(a),(b)に示されるように、ケース10Aは、外形が概ね正方形の天壁部11と、天壁部11の前後左右の端部から下方に延びる前側壁部12f、右側壁部12r、左側壁部12l及び後側壁部12b(これらを合わせて側壁部12とする)と、天壁部11に対向し、側壁部12から径方向側に向かって延在する鍔部13と、鍔部13に連結される円筒部13Cと、円筒部13Cに連結されるカバー部112とを主な構成として有する。
【0035】
前側壁部12f及び後側壁部12bには、それぞれガイド溝113が形成されている。これら2つのガイド溝113は、互いに前後方向に対向している。これらのガイド溝113は昇降コードCDを前後方向に挿通するための溝であり、本実施形態では3本の昇降コードCDが縦方向に挿通される(
図3参照)。
【0036】
さらに、右側壁部12r及び左側壁部12lの上方には支持溝114が設けられる。支持溝114は、
図2に示されるように、ケース10Aがスライダー20を内部に保持するにあたり、スライダー20に設けられる突起230を支持するものである。これにより、後述するスライダー20をその底部を浮かせた状態で支持することができる。加えて、左側壁部12lの前方部分には、拘束レバー60を通す矩形状の貫通孔12hが形成されている。この貫通孔12hは、整列部材200の貫通孔210と対応する位置に設けられ、整列部材200をケース10Aに取り付けた際には、貫通孔210と貫通孔12hとが連通するようになっている。
【0037】
天壁部11には、
図4(a)及び
図5に示されるように、第1天壁溝16と第2天壁溝17とが形成されている。第1天壁溝16及び第2天壁溝17は、それぞれ昇降コードCDの長手方向すなわち前後方向に対して斜めに形成されており、昇降コードCDの一方の長手方向である前方に向かうにつれて、第1天壁溝16と第2天壁溝17との距離が小さくされている。
【0038】
具体的には、第1天壁溝16は円弧状に形成されており、第1天壁溝16の円弧は、
図6及び
図11に示される内歯付キャリア260の内周面(内歯車261)と平面視において同心円上となるように形成される(
図4(a)参照)。一方、第2天壁溝17は緩やかなカーブを描いた形状に形成され、前方側が略直線状の形状とされ、後方に向かうにつれて、第1天壁溝16から離れる向きに湾曲している(
図4(a)参照)。これは、第2天壁溝17を略直線状とした場合、第1天壁溝16は後方から前方に向かって昇降コードCDに近づくような円弧であるので、例えばシャフト31及びシャフト41がそれぞれ第1天壁溝16及び第2天壁溝17に沿って移動するときに、昇降コードCDに対する垂直方向の変位が、シャフト31とシャフト41とで異なってしまうことを防ぐためである。
【0039】
このように、シャフト31及びシャフト41の昇降コードCDの鉛直方向に対する変位を近接させることにより、ローラ部32及びローラ部42が適切に昇降コードCDを挟着することが可能となる。
【0040】
第1天壁溝16の縁には、
図4(a)及び
図5に示されるように、ケース10Aの平面視において、第1天壁溝16におけるケース10Aの外側の縁に沿った位置の少なくとも一部に、第1天壁溝16から上方に向かって略垂直に突出する第1ガイド壁16Aが設けられる。第1ガイド壁16Aは、第1天壁溝16に沿って移動するシャフト31の面圧を下げることを目的としており、シャフト31からの圧力によりケース10Aが削れることを防止することが可能となっている。
【0041】
また、第2天壁溝17におけるケース10Aの外側の縁に沿った位置にも、その少なくとも一部に、第2天壁溝17から上方に向かって略垂直に突出する第2ガイド壁17Aが設けられる。そして、この第2ガイド壁17Aにより、シャフト41の面圧を低減することができ、これにより、シャフト41からの圧力によりケース10Aが削れることを防止することが可能となる。
【0042】
鍔部13及び円筒部13Cは、
図5に示すように、側壁部12の下方に形成され、内部にピニオンギア50、内歯付キャリア260、遊星歯車280、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340が配置される。円筒部13Cは、略円筒形状とされ、内面には遊星歯車280と歯合するリング状の内周ギア115(
図9参照)が形成される。
【0043】
カバー部112は、円筒部13Cに連結され、ベース70と嵌合する箇所である。第1実施形態では、カバー部112の外縁は略正方形とされる。
【0044】
スライダー20は、
図6及び
図7に示すように、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40を内部に保持するものであり、ケース10Aの支持溝114に沿って張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40とともに移動(スライド)するよう構成される。スライダー20は、天壁部21、後側壁部22、前側壁部24及び底壁部23とを有する。また、天壁部21には一対の溝である第1天壁溝26及び第2天壁溝27が形成され、底壁部23にはこれらと上下方向に対向する位置に第1底壁溝28及び第2底壁溝29が形成される。第1天壁溝26及び第1底壁溝28の幅の大きさは、シャフト31の直径が収まる程度の大きさであり、第2天壁溝27及び第2底壁溝29の幅の大きさは、シャフト41が収まる程度の大きさである。
【0045】
また、天壁部21には、その四隅に天壁部21の左右へ突出するように突起230が設けられる。突起230は、組立状態においてケース10Aの支持溝114に収められ、ケース10Aの内部にスライダー20を浮き状態で支持する。すなわち、スライダー20は、下方に位置する内歯付キャリア260と非接触状態で保持されるため、スライダー20と内歯付キャリア260等が接触することによる抵抗力を低減することができる。
【0046】
前側壁部24及び後側壁部22には、それぞれ貫通孔25が形成されている。貫通孔25は、前側壁部24及び後側壁部22の幅方向の略中央において前側壁部24及び後側壁部22を前後方向に貫通し、上下方向に長い略長円形の形状とされ、複数本の昇降コードCDが縦方向に整列した状態で挿通可能な形状である。
【0047】
また、
図6(b)に示されるように、後側壁部22には、貫通孔25の両脇に、後側壁部22の外側面から形成される凹部231が形成され、凹部231内にはコイルスプリングSPが配置される。コイルスプリングSPの一端は、凹部231から突出している。なお、
図6(b)ではコイルスプリングSPの凹部231から突出している部分を省略している。
【0048】
なお、
図7に示すように、このような形状のスライダー20の左右方向の大きさはケース10Aの幅方向の内壁間の距離と概ね同じであり、スライダー20の前後方向の大きさは、ケース10Aの前後方向の内壁間の距離よりも小さくされる。従って、スライダー20がケース10Aの空間内に配置されると、スライダー20の天壁部21及び底壁部23の側面がケース10Aの幅方向において内壁面に当接して、スライダー20はケース10Aに対して幅方向に動きが規制される。この状態において、ケース10Aのガイド溝113とスライダー20の貫通孔25とが互いに前後方向に並ぶため、昇降コードCDをスライダー20内に挿通することができる。一方、スライダー20がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー20とケース10Aの前方の内壁面14d、後方の内壁面15dとの間には、前後方向に隙間が生じ、スライダー20はケース10Aに対して前後方向に動くことができる。また、スライダー20がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー20の後側壁部22の凹部231から突出するコイルスプリングSPがケース10Aの後側壁部12bの内壁面15dを押圧する。従って、スライダー20がケース10Aの空間内に配置された状態で、スライダー20は、前方側に位置し、ケース10A内において前方に押圧された状態となる。なお、上述したように、本実施形態の制動装置1000は、ケース10Aの左側壁部12lの前方に貫通孔12hが設けられており、拘束レバー60は、スライダー20とケース10Aの前方の内壁面14dの間の空間に挿入されるようになっている。この拘束レバー60の動作については後述する。
【0049】
次に、
図2,
図6,
図8及び
図10を用いて、一対の挟着部材の一方である張力伝達ローラ30、一対の挟着部材の他方であるアイドルローラ40、及びピニオンギア50について説明する。
【0050】
張力伝達ローラ30は、シャフト31とシャフト31の外周面を覆う円筒状のローラ部32とを有する。ローラ部32は、シャフト31の一端側に取り付けられ、シャフト31の他端には、ピニオンギア50が挿入されている。ローラ部32は、弾性体から形成されることが好ましく、例えば、ウレタンゴム(PUR)から構成されるのが好適である。ローラ部32が弾性体であることで、昇降コードCDの摩耗を防止することができる。また、複数の昇降コードCDを挟着する際、昇降コードCDの径の寸法誤差があったとしても昇降コードCDごとの挟着力の差を小さくすることができる。
【0051】
ピニオンギア50は、圧入によりシャフト31に取り付けられており、シャフト31を中心として張力伝達ローラ30とともに回転する。また、ピニオンギア50と張力伝達ローラ30との間はスライダー20の底壁部23が介在できる程度に離間している。なお、特に図示しないが、ピニオンギア50とスライダー20の底壁部23との間に、摩擦を低減するためのワッシャー等を介在させても良い。
【0052】
一方、アイドルローラ40は、張力伝達ローラ30のシャフト31と平行なシャフト41と、シャフト41の外周面を覆うローラ部42とを有する。従って、張力伝達ローラ30の回転軸とアイドルローラ40の回転軸とは互いに平行とされる。アイドルローラ40のローラ部42の外径は、張力伝達ローラ30のローラ部32の外径よりも大きくされている。本実施形態において、アイドルローラ40のローラ部42の外周面は樹脂製とされ、金属の平坦な面よりも摩擦係数が高い状態とされる。また、シャフト41の両端部は、ローラ部42から露出している。なお、アイドルローラ40のローラ部42も、張力伝達ローラ30のローラ部32と同様、ウレタンゴム(PUR)等の弾性体で形成してもよい。
【0053】
これら張力伝達ローラ30のローラ部32及びアイドルローラ40のローラ部42は、
図10に示すように、スライダー20の内部に保持され、ピニオンギア50は、スライダー20の外部に保持される。つまり、制動装置1000の組み立て時においては、ローラ部32とピニオンギア50がスライダー20の底壁部23を挟み込むような構成となっている。
【0054】
加えて、
図2及び
図10に示すように、スライダー20の天壁部21の下面とローラ部32の上面の間、底壁部23の上面とローラ部32の下面の間に、それぞれシャフト31に通されたリング状部材33,34が配置される。リング状部材33,34は、張力伝達ローラ30(ローラ部32)がスライダー20に対して回転及び相対移動する際の、ローラ部32とスライダー20の間の摩擦を低減するために設けられる薄型の部材である。リング状部材33,34としては、ローラ部32よりも滑りやすい材質であるものが好ましく、また、ローラ部32よりも硬度の高い材質であるものが好ましい。なお、アイドルローラ40のローラ部42の軸方向両側にも、同様のリング状部材を設けてもよい。
【0055】
次に、
図2、
図8及び
図9を用いて内歯付キャリア260及び遊星歯車280について説明する。
図2に示すように、第1実施形態では、内歯付キャリア260は、平面視において略ドーナツ形状である。内歯付キャリア260は、円柱部264から平面視において外側に突出するフランジ262を備える。
【0056】
円柱部264の内側の内周面には、
図8及び
図9に示すように、ピニオンギア50と歯合する内歯車261が形成される。そして、フランジ262には、鉛直方向において下向きに突出する支持軸263が形成される(
図2参照)。支持軸263は、等間隔であることが好ましく、本実施形態では支持軸263が等間隔に4つ設けられた構成となっている。
【0057】
そして、
図9に示すように、支持軸263にはそれぞれ、遊星歯車280が回転可能に支持されている。遊星歯車280は、後述する太陽歯車323と、ケース10Aの内部に設けられた内周ギア115と互いに歯合する。そして、内歯車261の中心部を中心として公転することが可能である。従って、ピニオンギア50の回転が内歯車261に伝達されることにより内歯付キャリア260が回転し、それにともない内歯付キャリア260のフランジ262に設けられた支持軸263に回転可能に支持された遊星歯車280が回転することで、ピニオンギア50に起因する回転を増速させることが可能となる。
【0058】
次に、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340について、
図2、
図9及び
図10を用いて説明する。太陽歯車付ウェイトホルダ320は、
図2に示すように、リング状のリング部324の外方に向かって、凸部321及び凹部322が交互に並んで形成される。
図9に示されるように、リング部324の外側の外周面には、遊星歯車280と歯合する太陽歯車323が、回転軸が凸部321の延在方向と略垂直方向を向くように設けられる。そして、それぞれの凹部322には、ウェイト340が配置される。つまり、太陽歯車付ウェイトホルダ320は、制動装置1000の組み立て時において、凸部321を境としてそれぞれの凹部322内にウェイト340を保持する部材であるとも言える。なお、ウェイト340の数は任意であるが、回転時におけるバランスの観点から等間隔であることが好ましい。なお、第1実施形態では、一例として8つのウェイト340を用いている。従って、凸部321及び凹部322もそれぞれ8つずつ設けられている。
【0059】
また、
図10に示すように、各ウェイト340には、ベース70側に突起341が設けられる。かかる突起341により、ベース70と当接する際における抵抗を低減することが可能となる。突起341の数は任意であるが、第1実施形態では、一例として4つの突起341を設けている。
【0060】
ウェイト340は、ピニオンギア50に起因する回転時において、遠心力により内歯車261の中心から遠ざかる方向に移動し、ケース10Aの内周壁と当接することにより、回転に対して遠心ブレーキとして抵抗力を付与するものである。従って、ケース10Aの内周壁、太陽歯車付ウェイトホルダ320及びウェイト340により、抵抗付与部RAが形成されることになる。そして、本実施形態では、運動変換部DTと抵抗付与部RAが略垂直に位置するように設けられる。
【0061】
なお、制動装置1000の組み立て時においては、内歯付キャリア260と太陽歯車付ウェイトホルダ320が、
図2に示すプレート300を介して組み立てられる。具体的には、内歯付キャリア260の円柱部264を太陽歯車付ウェイトホルダ320のリング部324に挿入するように組み立てる。従って、円柱部264の直径は、リング部324の直径よりもわずかに小さく設計される。なお、プレート300は、遊星歯車280の傾きを防止するとともに、遊星歯車280とウェイト340の干渉を防ぐ機能を有する。
【0062】
次に、
図2、
図4(b)及び
図6を用いて、ベース70について説明する。
図1に示されるように、ベース70の略中央には、周囲より嵩高くなっており、下側が凹んでいる円柱部708が設けられる。また、
図3(b)に示されるように、円柱部708の上面に第1ベース溝706、第1ガイド壁706A、第2ベース溝707、第2ガイド壁707Aが設けられる。
【0063】
第1ベース溝706及び第1ガイド壁706Aはそれぞれ、ケース10Aに設けられた第1天壁溝16及び第1ガイド壁16Aに相当するものであり、シャフト31の下端が第1ベース溝706及びその縁に形成された第1ガイド壁706Aと当接する。同様に、第2ベース溝707及び第2ガイド壁707Aはそれぞれ、ケース10Aに設けられた第2天壁溝17及び第2ガイド壁17Aに相当し、シャフト41の下端が第2ベース溝707及びその縁に形成された第2ガイド壁707Aと当接する。
【0064】
このように、円柱部708を設ける等して下側をへこませることにより、シャフト31及びシャフト41の下端が、制動装置1000を載置する載置面と接触することを防ぎ、シャフト31及びシャフト41の下端を適切に挿通することが可能となる(
図10参照)。
【0065】
さらに、
図3(b)に示されるように、ベース70の底面の外側には、ヘッドボックス101内に制動装置1000を配置するときに利用する取付筒702が設けられる。そして、ヘッドボックス101の底面に設けられた上方に突出する取付け軸に取付筒702をはめ込むことにより、制動装置1000をヘッドボックス内にて安定して配置させることが可能となる。
【0066】
1−3 制動装置の組立
次に、制動装置1000を組み立てた状態について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図3は、上述した部材を組み合わせて構成された制動装置1000の組立図である。かかる組立は、
図2に示されるように、各部材同士の中心軸を上下方向に重ねあわせた状態でなされる。
【0067】
具体的には、内歯付キャリア260と、ウェイト340を保持した太陽歯車付ウェイトホルダ320が、プレート300を介して組み立てられる。このとき、内歯付キャリア260に設けられた遊星歯車280と、太陽歯車付ウェイトホルダ320に設けられた太陽歯車323とが互いに歯合するようにする。
【0068】
そして、スライダー20の第1天壁溝26及び第1底壁溝28にシャフト31を水平方向にスライドさせ、ローラ部32をスライダー20内に収容する。この際、ローラ部32の上下には、上述したようにリング状部材33,34が配置される。また、このとき、ピニオンギア50はスライダー20の外部に位置するようにされる。また、第2天壁溝27及び第2底壁溝29にシャフト41水平方向に移動させ、ローラ部42をスライダー20の内部に収容する。そして、内歯付キャリア260に設けられた内歯車261とピニオンギア50が互いに歯合するように、スライダー20と内歯付キャリア260が互いに近づくように相対移動させる。
【0069】
その後、これらの部材の下側にベース70を配置し、ケース10Aを上方から被せる。ここで、ケース10A内にスライダー20を組み付るには、
図7に示すように、ケース10A内部の下方にスライダー20が位置するように配置し、両者が接近するように上下方向に相対移動させる。そして、ケース10Aの内部に設けられた溝118にスライダー20に設けられた突起230を通す。そして、
図5に示すように、突起230が支持溝114まで到達するまでケース10Aとスライダー20を近づける。すると、スライダー20に設けられたコイルスプリングSPがケース10Aの後方の内壁面15dと当接し、スライダー20を前方に付勢することにより、突起230が溝118よりも前方に位置することとなる。このため、ひとたびケース10Aにスライダー20を取り付けると、突起230が支持溝114から外れることを防止できる。そして、ケース10Aに設けられた第1係合溝111A及び第2係合溝111Bと、ベース70に設けられた第1係合板部701A及び第2係合板部701Bを互いに係合させ(
図3参照)、ケース10Aとベース70を固定し、最後に、ケース10A及びベース70で構成される筐体の上方から、整列部材200を被せる。整列部材200は、例えば整列部材200に設けられた爪部とケース10Aに設けられた係合孔(図示せず)とを係合させることで固定することができる。
【0070】
このようにして組み立てられた制動装置1000が、
図3に示されるものである。そして、制動装置1000の組立が完了した後、3本の昇降コードCDを整列部材200の挿入部201と挿入部201の上部、ケース10Aの前後に設けられたガイド溝113及びスライダー20の前後に設けられた貫通孔25に通される。これにより、
図3(a),(b)に示される状態となる。
【0071】
図3(c)は、制動装置1000の左側面図、つまり、
図3(a)の矢印X方向から見た側面図である。
図3(c)に示されるように、制動装置1000は、側面視において、上側からケース10A、整列部材200、ベース70が視認されることとなる。また、支持溝114により突起230が支持されていることが伺える。
【0072】
また、
図3(a),(b)及び
図4(a)に示されるように、シャフト31及びシャフト41の上端は、スライダー20に設けられた第1天壁溝26、からケース10Aに設けられた第1天壁溝16を挿通し、ケース10Aの外部に露出している。同様に、シャフト41の上端が、スライダー20に設けられた第2天壁溝27からケース10Aに設けられた第2天壁溝17を挿通し、ケース10Aの外部に露出している。このようにシャフト31,41がケース10Aの外部に露出していることから、これらシャフトを容易に移動させることができる。従って、一対の挟着部材である張力伝達ローラ30とアイドルローラ40が昇降コードCDに近接する方向に付勢されている場合であっても、昇降コードCDを容易に挿入できる。
【0073】
また、
図4(b)に示されるように、ベース70は、その底面視において、第1ベース溝706に挿通されたシャフト31の下端と、第2ベース溝707に挿通されたシャフト41の下端を視認することができる。なお、取付筒702が設けられる面において、円柱部708の上を面で覆うことにより、シャフト31及びシャフト41の下端が外部から覆われる構成としてもよい。
【0074】
1−4 制動装置の配置
以上説明した制動装置1000は、
図1に示すように、ヘッドボックス101内における載置面とシャフト105に挟まれるように配置される。つまり、制動装置1000のスライダー20及びF30,40がヘッドボックス101内において水平方向(
図1の左右方向)に移動するよう、また、遊星歯車280の回転軸がヘッドボックス101内において鉛直方向に向くように配置される。このときの制動装置1000の前後(図の左右方向)の向きは、コードイコライザ108を引いて遮蔽部材103を引き上げる際に昇降コードCDの挟着を解除し、コードイコライザ108を手放して遮蔽部材103を自重により降下させる際に昇降コードCDを挟着する向きとされる。また、ロック部107は、
図1及び
図12に示すように、制動装置1000の前方(図の左側)に配置される。
【0075】
1−5 制動装置の動作
次に、
図11及び
図12を用いて第1実施形態に係る制動装置1000の動作について説明する。
図11(a)は昇降コードCDが移動しておらず昇降コードCDに何ら張力が与えられない状態(定常状態)、
図11(b)は昇降コードCDに張力が与えられ、ローラ部32及びローラ部42で昇降コードCDが挟着された状態(挟着状態)、
図11(c)は
図11(a)から
図11(b)へ状態変化する際における各部材の回転方向をまとめた図である。なお、
図11(a),(b)はともに、
図9と同様に、
図3(c)のA−A線切断部断面図である。ここで、説明の都合上、かかる断面図には現れないローラ部42の外周をシャフト41の周囲に、ローラ部32の外周をシャフト31の周囲に重ねて表示した。
【0076】
定常状態において、コイルスプリングSPは、上述したように、ケース10Aの後方の内壁と当接し、スライダー20を前方に押圧する。従って、スライダー20は、
図12(a)の模式図に示されるように、ケース10Aの前方に位置する。このため、スライダー20の第1天壁溝26及び第1底壁溝28により位置が規制されているシャフト31と、第2天壁溝27及び第2底壁溝29により位置が規制されているシャフト41と、がスライダー20とともに前方に移動する。さらに、スライダー20の上部に保持されるケース10Aに設けられた第1天壁溝16と第2天壁溝17は、前方に向かうにつれて互いに距離が小さくなっている。同様に、ベース70に設けられた第1ベース溝706及び第2ベース溝707は、前方に向かうにつれて距離が小さくなっている。従って、シャフト41に回転可能に支持されるローラ部42と、シャフト31に回転可能に支持されるローラ部32との距離も小さくなる。また、
図11に示すように、第1天壁溝16及び第1ベース溝706は、内歯付キャリア260の内周面の中心点と平面視において同心円上に形成されるため、シャフト31がそれぞれの溝内を移動しても、ピニオンギア50は内歯付キャリア260に設けられた内歯車261に歯合し続けることができる。
【0077】
このように、ローラ部32とローラ部42との距離が小さくなると、ローラ部32はローラ部42に押圧され、ローラ部32とローラ部42で昇降コードCDが狭持される。
【0078】
そして、定常状態の制動装置1000において、昇降コードCDに矢印D1の向き(前方)に張力を与えたとする。すると、昇降コードCDとの間に生じる摩擦力により、ローラ部32が反時計回りに、ローラ部42が時計回りに回転する。つまり、ローラ部32を備えた張力伝達ローラ30及びローラ部42を備えたアイドルローラ40は、直線状に延びる昇降コードCDに当接することで、昇降コードCDの長手方向の移動により回転可能とされると言える。そして、ローラ部32の回転により、同じシャフト31を共有して固定されているピニオンギア50もローラ部32と同じ向き(反時計周り)に回転(自転)する。この際、
図12(b)に示されるように、シャフト31及びシャフト41は、平面視において前方に移動し、ケース10Aの第1天壁溝16の挟着案内斜面16a及び第2天壁溝17の挟着案内斜面17aにそれぞれ案内されることで左右方向において互いに近接して、ローラ部32とローラ部42による昇降コードCDの挟着力が強くなり、昇降コードCDの移動に応じてローラ部32が確実に回転するようになる。
【0079】
そして、ローラ部32及びこれと連結されているピニオンギア50が回転すると、
図11に示すように、ピニオンギア50は内歯車261と歯合しているので、ピニオンギア50の歯から与えられる力により、内歯車261が反時計周りに回転(自転)する。これにより、内歯車261とともに内歯付キャリア260も反時計周りに回転(自転)するので、内歯付キャリア260に設けられた遊星歯車280も同様に反時計周りに回転(公転)する。ここで、遊星歯車280は太陽歯車323及びケース10Aにより固定された内周ギア115と互いに歯合しているので、公転方向とは逆向き(時計回り)に自転しつつ、反時計周りに公転することとなる。従って、遊星歯車280の内側で遊星歯車280と歯合する太陽歯車323は、遊星歯車280の自転と逆向き(反時計周り)に回転(自転)する。このとき、遊星歯車280により、太陽歯車323の回転は増速される。これにより、太陽歯車323とともに回転する太陽歯車付ウェイトホルダ320に保持されるウェイト340も回転を開始する。
【0080】
そして、
図11(b)に示されるように、ローラ部32とローラ部42が限界まで近づくと、ローラ部32の自転は続くもののローラ部32の内歯車261に沿った移動が停止する。このとき、ローラ部32の自転に起因した他の部材の回転は継続される。すると、遠心力によりウェイト340がケース10Aの内周壁に当接することにより、回転に対して抵抗力が生じる。つまり、昇降コードCDの移動速度が上昇することで回転速度が上昇し、これにより遠心力が増加する。そして、遠心力が増加することによりウェイト340がケース10Aの内周壁により強く当接することになり、抵抗力が増加する。これにより、昇降コードCDの移動速度を抑えることができ、遮蔽部材103の落下速度を抑えることができる。ここで、
図1において昇降コードCDに昇降可能に吊持される遮蔽部材103が自由落下する場合には、昇降コードCDに加えられる張力とウェイト340とケース10Aの内周壁による抵抗力が釣り合うところで、昇降コードCDの移動速度が略一定となる。従って、制動装置1000により、遮蔽部材103をゆっくりと降下させることが可能となる。
【0081】
以上説明した、定常状態から挟着状態までの変化について、各部材の回転方向(ピニオンギア50については、さらに平面視における前後方向及び締め付け方向も含む)をまとめたものが
図11(c)である。
【0082】
一方、昇降コードCDに矢印D1と逆向き(後方)に張力を与えた場合には、ローラ部32及びローラ部42が上記と逆向きに回転する。その結果、シャフト31及びシャフト41が第1天壁溝16の解除案内斜面16b及び第2天壁溝17の解除案内斜面17bにそれぞれ案内されることで互いに離間するように移動する。すると、昇降コードCDに対するローラ部32の挟着力が弱まり、弱い力で昇降コードCDを引っ張ることが可能となる。
【0083】
従って、
図1に示されるようにヘッドボックス101内に制動装置1000を設ける場合には、
図11において前方に昇降コードCDに張力が加わる向きを遮蔽部材103の下降する向きとし、後方に昇降コードCDに張力が加わる向きを遮蔽部材103の上昇する向きとすると好適である。制動装置1000をこのような向きに取り付けることで、遮蔽部材103が下降しきった状態、すなわち遮蔽装置100の閉状態においては、コードイコライザ108を下方に引っ張ると、張力伝達ローラ30とアイドルローラ40とが離間し、昇降コードCDを小さな抵抗力で引くことができる。一方、遮蔽部材103が下降しきっていない状態において、ロック部107により昇降コードCDがロックされていない状態で昇降コードCDを離すと、遮蔽部材103は自重により下降し、昇降コードCDは制動装置1000の前方に向かって引かれて、
図12等を用いて説明したように、昇降コードCDに制動力が付与される。従って、遮蔽部材103の下降速度が抑えられる。このため、遮蔽部材103の下降速度が超過することによる破損等を抑制することができる。
【0084】
次に、
図12を用いて、定常状態及び挟着状態の状態変化の際におけるスライダー20の移動について説明する。
図12(a)が
図11(a)に、
図12(b)が
図11(b)にそれぞれ対応する。
【0085】
図12(a)の定常状態から
図12(b)の挟着状態に変化するとき、シャフト41とローラ部42、及び、シャフト31とローラ部32は、昇降コードCDとの摩擦力により図中の前方に移動する。このとき、シャフト41が第2天壁溝27及び第2底壁溝29と当接していることにより、シャフト41の前方への移動に伴って、第2天壁溝27及び第2底壁溝29に対して前方へ力が加わる。また、シャフト31が第1天壁溝26及び第1底壁溝28と当接していることにより、シャフト31の前方への移動に伴って、第1天壁溝26及び第1底壁溝28に対して前方へ力が加わる。従って、シャフト31,41が前方にΔ移動すると、スライダー20も前方にΔ移動する。
【0086】
1−6 拘束レバー
ところで、上述した動作を行う制動装置1000を用いると、遮蔽部材を降下させるに際、つまり昇降コードCDが前方(
図1の左方向)に移動する際には、常に昇降コードCDに制動力がかかる。そのため、遮蔽部材を素早く開閉したい場合には、制動装置1000がその妨げとなってしまう、
【0087】
そこで、本実施形態では、
図2及び
図13に示す拘束レバー60により、スライダー20の動作を許容する状態とスライダー20が動作しないよう拘束する状態とを切り替えることで、制動装置1000が昇降コードCDを制動する制動状態と、昇降コードCDを制動しない非制動状態とを切り替えることができるようにしている。以下に、拘束レバー60の構成及び動作を具体的に説明する。
【0088】
拘束レバー60は、制動装置1000の拘束レバー60以外の構成要素がヘッドボックス101内に設置された状態において、ヘッドボックス101の外側から当該ヘッドボックス101の前面101f(室内側の面)に形成された貫通孔101hに挿入され、さらに貫通孔101hと対応する位置に設けられる整列部材200の貫通孔210及びケース10Aの貫通孔12hに挿入される(
図13参照。ただし、
図13では整列部材200の記載を省略している)。この拘束レバー60は、先細りになった先端部61を有しており、先端部61はケース10Aの貫通孔12hを通ってケース10Aの前方の内壁面14dとスライダー20の間の空間に挿入される(
図13(a)参照)。この状態でさらに拘束レバー60を挿入すると、先端部61のスライダー20側に形成された傾斜面61aがスライダー20を押圧することで、スライダー20が後方に移動するようになっている(
図13(b)参照)。
【0089】
また、拘束レバー60の先端部61と反対側は、ヘッドボックス101の前面101fから露出する操作部62となっており、係止部63を有するスナップフィット機構64を有している。そして、拘束レバー60を13(a)の状態から
図13(b)の状態までヘッドボックス101内に挿入すると、係止部63がヘッドボックス101の前面101fに係止され、拘束レバー60が固定されるようになっている。これにより、スライダー20はコイルスプリングSPの付勢力に抗して後方位置に押しとどめられ、拘束レバー60と係合して前方への移動が規制された状態となる。なお、本実施形態において、この固定を解除するには、操作部62をつまみ、係止部63とヘッドボックスの前面101fとの係止を解除すればよい。
【0090】
以上のような構成となっていることで、挟着体(張力伝達ローラ30、アイドルローラ40)が昇降コードCDを挟着する挟着位置(
図13(a)参照)と、挟着体が昇降コードCDを挟着しない非挟着位置(
図13(b)参照)の間で、スライダー20の位置を切り替えることができるようになっている。つまり、拘束レバー60を挿入してスライダー20を非挟着位置に拘束することで、昇降コードCDに制動力を与えない非制動状態となり、遮蔽部材103を素早く開閉することが可能となっている。この状態から、昇降コードCDに制動力を与える制動状態にするには、上述したように操作部62をつまみ、係止部63とヘッドボックスの前面101fとの係止を解除して拘束レバー60を引き抜けば良い。なお、拘束レバー60を挿入した状態でも、突起230と支持溝114の係合は解除されず、
図7に示す溝118を通ってスライダー20が落下することがないようになっている。
【0091】
なお、拘束レバー60の形状は、上述した形状とする必要はなく、スライダー20の動作を規制する事ができるのであれば、他の任意の形状とすることができる。また、拘束レバー60は、ヘッドボックス101の前面101fから挿入する以外に、ヘッドボックスの底面や上面、さらには後面から挿入する形態とすることも可能である。
【0092】
1−5 作用・効果
第1実施形態に係る遮蔽装置100により、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)拘束レバー60を抜き挿しすることで、昇降コードCDの同一方向の移動に対し、昇降コードCDを制動する制動状態と、昇降コードCDを制動しない非制動状態とを切替可能となっていることから、制動装置1000を非制動状態とすることにより、ユーザは操作が妨げられることなく遮蔽部材103を素早く開閉することができる。
(2)昇降コードCDに前方へ張力が与えられる場合には、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40からなる挟着体が互いに近接するように移動することにより、昇降コードCDを強く挟着することができ、抵抗付与部の抵抗を昇降コードCDに伝えることができる。また、昇降コードCDに後方へ張力が与え得られる場合には、挟着体が互いに離間するように移動することにより、昇降コードCDへの挟着力を弱め、昇降コードCDの自由移動を許可することができる。
(3)挟着体を保持するスライダー20がコイルスプリングSPによって付勢されており、単に拘束レバー60を操作してスライダー20と拘束レバー60の係合を解除するだけで、挟着体が昇降コードCDを挟着する挟着状態とすることができる。
(4)拘束レバー60がヘッドボックス101の前面101fから室内側に露出しているため、ユーザは制動装置1000の制動状態と非制動状態とを容易に切り替えることができる。
【0093】
2.第2実施形態
次に、
図14及び
図15を用いて、本発明の第2実施形態に係る遮蔽装置100について説明する。第2実施形態に係る遮蔽装置100は、第1実施形態の遮蔽装置100と類似しており、制動装置1000のスライダー20の移動を拘束する拘束手段の構成のみが異なっている。以下、この相違点を説明する。
【0094】
上述した第1実施形態では、拘束手段としてスライダー20の前方に挿入する拘束レバー60が用いられたが、本実施形態では、拘束手段としてスライダー20を後方に引っ張る拘束コード65が用いられる。拘束コード65は、一端がスライダー20の後側壁部22(
図6参照)に取り付けられ、ケース10Aの後側壁部12bに形成された貫通孔12i(
図14参照)を通ってケース10Aの外側に引き出される。そして、拘束コード65の他端側は、
図15に示すように、ヘッドボックス101のコード出口101a近傍において、ヘッドボックス101の前面101fに形成された拘束コード出口101bから引き出される。拘束コード65の他端は、環状の係合部65aとなっており、操作棒106の上下2箇所に形成された係合突起106p,106qと係合可能となっている。
【0095】
以上のような構成となっていることによっても、第1実施形態と同様、挟着体(張力伝達ローラ30、アイドルローラ40)が昇降コードCDを挟着する挟着位置(
図14(a)参照)と、挟着体が昇降コードCDを挟着しない非挟着位置(
図14(b)参照)の間で、スライダー20の位置を切り替えることができるようになっている。つまり、
図15(a)に示すように、拘束コード65端部の係合部65aを上側の係合突起106pに係合させた状態では、スライダー20は後方に引っ張られないため昇降コードCDに制動力が与えられる制動状態となる。一方、
図15(b)に示すように、係合部65aを下側の係合突起106qに係合させると、スライダー20は後方に引っ張られて挟着体が昇降コードCDを挟着しない非挟着位置に拘束されるので、昇降コードCDに制動力を与えない非制動状態となり、遮蔽部材103を素早く開閉することが可能となっている。
【0096】
3.第3実施形態
次に、
図16を用いて、本発明の第3実施形態に係る遮蔽装置100について説明する。第3実施形態に係る遮蔽装置100は、第1実施形態の遮蔽装置100と類似しているが、第1実施形態と異なり、制動装置1000がスライダー20の動きを拘束する構成とはなっていない。本実施形態では、回転抵抗体としてのウェイト340と回転伝達部材としての太陽歯車付ウェイトホルダ320の凸部321の係合が解除されることで太陽歯車付ウェイトホルダ320への回転抵抗が減少し、結果として抵抗付与部RAが昇降コードCDに与える制動力を弱める構成となっている。以下、本実施形態の遮蔽装置100の、主に制動装置1000について具体的に説明する。
【0097】
本実施形態の制動装置1000は、ケース10Aが、円筒部13Cから径方向外側に突出する被支持部18を備え、ヘッドボックス101に形成される支持部101sに支持される構成である。また、本実施形態では、ベース70が、ヘッドボックス101に載置されるベース部71と、ベース部71に対して上下に移動可能な可動部72とに分割して構成される。ベース部は71は、板状の基部71aと、基部から上方に延びる軸部71bと、軸部71bの上端部と接続され、制動装置1000のウェイト340を除く各構成要素を支持する支持部71cとを備える。一方、可動部72は、軸部71bを貫通させる貫通孔72aを中央部に備える略円盤状の部材であり、径方向外側には、ウェイト340を載置する載置部72bが周方向に亘って形成されている。また、可動部72のヘッドボックス101の前面101f側(
図16の右側)には、ヘッドボックス101の前面101fから露出する操作部72cとなっており、可動部72を上下に移動させることが可能となっている。
【0098】
以上のような構成となっていることで、本実施形態の制動装置1000は、
図16(a)に示すように、操作部72cを上方に移動させることで、ウェイト340と太陽歯車付ウェイトホルダ320の凸部321を係合させ、ウェイト340がケース10Aの内周壁との間の摩擦力を昇降コードCDに伝達して、昇降コードCDに制動力が与えられる制動状態とすることができる。また、操作部72cを下方に移動させることで、ウェイト340を下方に移動させてウェイト340と太陽歯車付ウェイトホルダ320の凸部321を係合を解除し、昇降コードCDに制動力を与えない非制動状態とすることができる。
【0099】
なお、本実施形態では、ウェイト340の数を1つとすることが好ましい。これにより、載置部72bを上下に移動させた際に、ウェイト340がと太陽歯車付ウェイトホルダ320の凸部321や他のウェイト340と干渉することを抑制することができる。また、本実施形態において、可動部72は、板ばね等によりベース部71の基部71aに対して上方に保持される構成としてもよく、任意のスナップフィット機構により保持される構成としても良い。
【0100】
4.第4実施形態
次に、
図17及び
図18を用いて、本発明の第4実施形態に係る遮蔽装置100について説明する。本実施形態の遮蔽装置100の制動装置1000は、ケース10Aによりシャフト31を軸支された張力伝達ローラ30と、一対の支持プレート80に支持されたアイドルローラ40とにより昇降コードCDを挟着する挟着体が形成される。本実施形態においても、張力伝達ローラ30の回転が抵抗付与部RAに伝達され、抵抗付与部RAの抵抗力により、昇降コードCDに制動力が与えられる。ただし、
図17及び
図18では、抵抗付与部RAの記載を省略している。
【0101】
本実施形態の支持プレート80は、薄板状の長円形をなし、一端側で回転軸81に支持され、他端側でアイドルローラ40のシャフト41を支持する。アイドルローラ40のシャフト41は、ケース10Aに形成された回転軸81を中心とする円弧状のガイド溝19の内部に保持される。また、シャフト41のガイド溝19と接する部分には、ガイド溝19が形成する円弧の径方向外側に向かって突出する突出部41aが形成され、ガイド溝19の両端部には、当該突出部41aと係合する係合溝19a、19bが形成されている。ここで、係合溝19bに対して、係合溝19aは張力伝達ローラ30に近い位置に形成される。加えて、シャフト41は、ガイド溝19を超えてケース10Aの外部(
図17,
図18の紙面手前側)に突出しており、この部分は、
図17に示すヘッドボックス101の前面101fに形成された貫通孔101hからも露出して、シャフト41をガイド溝19に沿って移動させる操作部41bとなっている。
【0102】
そして、シャフト41の突出部41aとガイド溝19の係合溝19aとが係合する場合は、
図18(a)に示すように、挟着体(張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40)が昇降コードCDを挟着し、突出部41aとガイド溝19の係合溝19bとが係合する場合は、
図18(b)に示すように、挟着体(張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40)が昇降コードCDを挟着しないようになっている。
【0103】
以上のような構成となっていることで、本実施形態の制動装置1000は、操作部41bを操作することで、挟着体を
図18(a)に示す共着位置と、
図18(b)に示す非挟着位置との間で切り替えることがでる。したがって、本実施形態の制動装置1000も、操作部41bの操作により、図示しない抵抗付与部RAの抵抗力を昇降コードCDに伝達して昇降コードCDに制動力を与える制動状態と、抵抗付与部RAの抵抗力を昇降コードCDに伝達せず、昇降コードCDに制動力を与えない非制動状態とを切り替えることができる。
【0104】
なお、本実施形態は、以下の態様でも実施可能である。
【0105】
上記実施形態では、張力伝達ローラ30の回転が抵抗付与部RAに伝達され、抵抗付与部RAから回転抵抗が付与される構成であったが、特許文献1に開示された構成のように、昇降コードCDの移動に伴ってローラが移動することにより昇降コードCDが屈曲し、屈曲抵抗により昇降コードCDに制動力を与える構成であっても良い。この場合も、一対のローラからなる挟着体の距離を離間させた状態で固定する構成を備えることで、制動装置を制動状態と非制動状態とで切り替えることができる。
【0106】
上記実施形態では、遮蔽装置100として横型ブラインドを例に説明したが、本発明の遮蔽装置は、上記実施形態と異なる構成であっても良い。例えば、本発明の遮蔽装置は、プリーツカーテンや、カーテン布が巻き取られるロールカーテンとされても良い。
【0107】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。