特許第6895768号(P6895768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895768
(24)【登録日】2021年6月10日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】欠陥検査装置、および欠陥検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20210621BHJP
   G02B 21/10 20060101ALI20210621BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20210621BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20210621BHJP
   G02B 21/24 20060101ALI20210621BHJP
   G01N 21/84 20060101ALN20210621BHJP
【FI】
   G01N21/88 Z
   G02B21/10
   G02B21/06
   G02B21/36
   G02B21/24
   !G01N21/84 E
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-37988(P2017-37988)
(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公開番号】特開2018-146239(P2018-146239A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103676
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 康夫
(72)【発明者】
【氏名】田辺 勝
【審査官】 赤木 貴則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−151479(JP,A)
【文献】 特開平11−132748(JP,A)
【文献】 特開2013−167857(JP,A)
【文献】 特開2015−008241(JP,A)
【文献】 特開平05−297262(JP,A)
【文献】 特開2010−223613(JP,A)
【文献】 特開2008−209726(JP,A)
【文献】 特開2000−111482(JP,A)
【文献】 特開2014−052219(JP,A)
【文献】 特開2009−162492(JP,A)
【文献】 特開2000−009591(JP,A)
【文献】 特開2010−123824(JP,A)
【文献】 米国特許第06628379(US,B1)
【文献】 中国特許出願公開第101762611(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
G02B 19/00−21/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板、マスクブランクおよびレジスト付きマスクブランクのいずれかからなる被検査体の欠陥検査が可能な欠陥検査装置であって、
前記被検査体に存在した欠陥によって生じた散乱光を、欠陥検査のための光学系で受光し、受光した散乱光に基づいて欠陥を検出する欠陥検査装置であり、
欠陥検査のための光学系と、欠陥検査のための照明系を有し、
前記照明系は、複数のLEDを円環状に配置するとともに、前記複数のLEDの向きを前記光学系の焦点位置を中心とした領域に向けて配置することによって、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが前記光学系の焦点位置を中心とした領域に集まるようにしたリング照明であり、
前記被検査の前記光学系の側に設置される前記リング照明であって、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが前記被検査体表面に対して鋭角に照射され、前記被検査体からの反射光が、対物レンズに直接入らないように構成した反射の暗視野リング照明と、
前記被検査体の前記光学系とは反対側に設置される前記リング照明であって、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが基板裏面に対して鋭角に照射され、前記被検査体の内部を屈折を経て透過した透過光が、前記対物レンズに直接入らないようにした透過の暗視野リング照明と、
を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
ガラス基板、マスクブランクおよびレジスト付きマスクブランクのいずれかからなる被検査体の欠陥検査が可能な欠陥検査装置であって、
前記被検査体に存在した欠陥によって生じた散乱光を、欠陥検査のための光学系で受光し、受光した散乱光に基づいて欠陥を検出する欠陥検査装置であり、
欠陥検査のための光学系と、欠陥検査のための照明系を有し、
前記照明系は、複数のLEDを円環状に配置するとともに、前記複数のLEDの向きを前記光学系の焦点位置を中心とした領域に向けて配置することによって、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが前記光学系の焦点位置を中心とした領域に集まるようにしたリング照明であり、
前記被検査の前記光学系の側に設置される前記リング照明であって、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが前記被検査体の表面に対して鋭角に照射され、前記被検査体からの反射光が、対物レンズに直接入らないように構成した反射の暗視野リング照明と、
前記被検査体の前記光学系とは反対側に設置される前記リング照明であって、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが前記被検査体の裏面に対して鋭角に照射され、前記被検査体の内部を屈折を経て透過した透過光が、前記対物レンズに直接入らないようにした透過の暗視野リング照明と、
前記被検査体の前記光学系とは反対側に設置される照明であって、前記光学系の光軸と同軸の透過のスポット照明と、
を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項3】
前記光学系の光軸と、前記リング照明における円環の中心軸とを一致させ、同軸としたことを特徴とする請求項1または2記載の欠陥検査装置。
【請求項4】
対物レンズ、結像レンズおよび撮像素子を備える結像光学系を有し、
前記撮像素子はTDIセンサであり、
前記結像光学系は、TDIカメラを含み、
前記被検査体とTDIカメラとを、一定速度で一定方向に相対的に移動させる手段を有し、
前記被検査体上の撮像領域の移動方向および速度とTDIセンサにおけるCCDの電荷転送の方向および速度を合わせることで、CCDの垂直段の数だけ前記撮像領域を繰り返し露光し撮影する手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の欠陥検査装置。
【請求項5】
前記欠陥検査装置は、焦点尤度が±0.1mmより小さい高精度の結像光学系を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の欠陥検査装置。
【請求項6】
前記対物レンズを利用し、レーザービームを用いて、オートフォーカス手段を構築すると共に、
前記オートフォーカス手段に用いる前記レーザービームの前記撮像素子への映り込みを回避する手段を有することを特徴とする請求項4に記載の欠陥検査装置。
【請求項7】
前記照明系に使用する前記LEDは、青色LED(波長:465nm)、黄色LED(波長:592nm)、オレンジ色LED(波長:610nm)から選択されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の欠陥検査装置。
【請求項8】
前記反射の暗視野リング照明に使用する前記LEDは、青色LED(波長:465nm)と、黄色LED(波長:592nm)またはオレンジ色LED(波長:610nm)であって、前記透過の暗視野リング照明に使用する前記LEDは青色LED(波長:465nm)であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の欠陥検査装置。
【請求項9】
請求項1からのいずれかに記載の欠陥検査装置を使用し、前記被検査体を検査することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項10】
前記被検査体の種類によって、前記反射の暗視野リング照明に使用する前記LED、および前記透過の暗視野リング照明に使用する前記LEDを適宜選択して前記被検査体を検査することを特徴とする請求項9に記載の欠陥検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検査装置に関するものである。また、本発明は、ガラス基板、マスクブランク(薄膜付き基板)、レジスト付きマスクブランク(レジスト付き基板)などの欠陥検査に適し、FPDなどの表示装置用の大型基板の欠陥検査に適する欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、欠陥検査装置においては、レーザー光などによる特定方向からの照明により基板表面の欠陥やガラス内部の欠陥からの散乱光を検出する。
例えば、基板表面にレーザー光を照射し、基板表面の欠陥からの散乱光を検出光学系で検出する欠陥検査装置がある。
また、例えば、ガラス基板内部にレーザー光を照射(導入)し、ガラス基板内部での全反射の繰り返しによって、ガラス内部全域を照射し、ガラス基板表面の欠陥やガラス内部の欠陥からの散乱光を検出光学系で検出する欠陥検査装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3422935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高精度な欠陥検査には、特定方向からではない照明が必須となる。特定方向からの照明では方向依存性の強いキズなどに対して大幅な欠陥検出力の低下が起こる可能性がある。高精度な欠陥検査では、このような方向依存性の強いキズなどの欠陥に対する高い欠陥検出力が望まれる。
【0005】
また、欠陥からの散乱光の発生が少ないあるいは散乱光の発生が極めて少ないタイプの薄膜欠陥に対しては、散乱光を検出する検査手法のため、大幅な欠陥検出力の低下や検出不能が起こる可能性がある。例えば、明確なエッジを持たず散乱光の発生が少ないハーフピンホールなどに対して大幅な欠陥検出力の低下が起こる可能性がある。また、例えば、薄膜のなだらかな曲面の窪み(グラデェーション)は、散乱光の発生が極めて少ないので、検出できない。高精度な欠陥検査では、このような、欠陥からの散乱光の発生が少ないあるいは散乱光の発生が極めて少ないタイプの薄膜欠陥に対する高い欠陥検出力が望まれる。
【0006】
さらに、薄いキズや白もや(ホワイトスティン)などのコントラストの低い欠陥に対する欠陥検出力の確保の課題がある。高精度な欠陥検査では、これらのコントラストの低い欠陥に対する高い欠陥検出力が望まれる。
【0007】
なお、高精度な欠陥検査においては、上述したような種類の散乱光特性の異なる欠陥が多数存在する。
【0008】
高精度な欠陥検査のためには、検査時間がかかるという課題がある。例えば、弱い散乱光などの検出では、露出時間(検査時間)を長くして感度を上げることで検査精度を上げることができる。
高精度な欠陥検査では、検査スピード(検査時間)を犠牲にしない手法が望まれる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、欠陥の方向性に依存しない安定した高い欠陥検出力を達成できる欠陥検査装置の提供を目的とする。
また、本発明は、欠陥からの散乱光の発生が少ないあるいは散乱光の発生が極めて少ないタイプの薄膜欠陥に対して大幅な欠陥検出力向上が達成できる欠陥検査装置の提供を目的とする。
さらに、本発明は、コントラストの低い欠陥に対する高い欠陥検出力が達成できる欠陥検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明者は、鋭意研究開発を行った。その結果、リング照明の適用を検討した。しかしながら、現状で提供されているリング照明およびそれに改良を加え簡易に作製したリング照明では、さまざまな方向からの照明が可能であるものの、欠陥検査装置に適用しても高い欠陥検出力は得られず、欠陥検出力が不十分で期待する効果が得られないことがわかった。
本発明者は、さらに鋭意研究開発を行った。その結果、現状で提供されているリング照明に比べ、格段に優れたリング照明の開発に成功した。また、この格段に優れたリング照明を用いることによって、360°全ての方向から同時に照明することが可能となり欠陥の方向性に依存しない欠陥検出が可能となることに加え、現状で提供されているリング照明を使用した場合に比べ、格段に安定した高い欠陥検出力が発揮でき、期待する効果が得られることがわかった。
【0011】
上記に加え、本発明では、反射の暗視野リング照明および透過の暗視野リング照明の双方を備える両面同時暗視野照明(反射透過複合の暗視野リング照明)により、前方散乱と後方散乱の双方を同時検出できる。これにより、例えば、前方散乱あるいは後方散乱に偏りのある散乱光が生じるタイプの欠陥に対しても安定した検出ができる。このため、どちらか一方のリング照明を用いる場合に比べ、欠陥検出力が向上する。
これに加え、本発明では、格段に優れたリング照明と両面同時暗視野の構成によって、薄いキズや白もや(ホワイトスティン)などのコントラストの低い欠陥に対する高い欠陥検出力が達成できる。
なお、反射の暗視野リング照明と透過の暗視野リング照明を比べた場合、後者の方が欠陥検出力が高い。これは、散乱理論から言うと、前方散乱と後方散乱とでは、一般的には前方散乱の方がより強度が取れるからである。透過の暗視野リング照明による基板の裏面側から入射し、屈折を経て透過される光は前方散乱になる。
【0012】
本発明者は、散乱光の発生が極めて少ない膜のへこみ(凹部)や、薄膜のなだらかな曲面の窪み(グラデェーション)は、散乱光の発生が極めて少ないので、両面同時暗視野では検出できないことを突き止めた。本発明者は、裏面側からのスポット照明を用いることにより、散乱光の発生が極めて少ない膜のへこみ(凹部)の箇所が透過率の差として検出可能であることを突き止めた。さらに、本発明者は、裏面側からのスポット照明として、平行性が良好で高輝度(高照度)な垂直透過照明を用いることにより、特に検出の困難な、薄膜のなだらかな曲面の窪みの薄い箇所が透過率の差として見えること、このような欠陥に対し安定した高い欠陥検出力が発揮できること、を突き止めた。
本発明では、欠陥かどうかの判定は、2次元画像を微分処理し、濃淡の勾配のあるところだけを残してその部分を欠陥と判断している。薄膜の窪みでも明るさの差が濃淡の勾配となるので検出できる。
上記のことは、欠陥からの散乱光の発生が少ないあるいは散乱光の発生が極めて少ないタイプの薄膜欠陥に対しても同様である。例えば、明確なエッジを持たず散乱光の発生が少ないハーフピンホールや、散乱光の発生が少ない膜のへこみ(凹部)、などに対して大幅な欠陥検出力の向上が達成できる。
【0013】
本発明では、反射の暗視野リング照明および透過の暗視野リング照明の双方を備える構成とし(あるいはさらに裏面側からのスポット照明を加える構成とし)、これらの照明を全て同時に使用することによって、これらの照明に起因(対応)する欠陥を1度に検出でき、1回の検査で欠陥があるかないかを効率良く検査できることを見いだした。本発明では、高精度な欠陥検査において問題となる上述したような種類の異なる欠陥に関し、1回の検査で1度に検出できる。このため効率が良く、種類の異なる欠陥を個別に検出する場合に比べ、トータルの検査時間の短縮を達成できる。本発明では、検出可能な欠陥の種類および数(機会)が相対的に多くなる点で高精度な検査であると言える。
本発明では、欠陥があるかないかを高速・高精度で検査可能な点が最大のメリットである。あらゆる欠陥検出可能な方法をすべて投入して検査してみることが可能となる。
【0014】
本発明では、時間かけても検出できない欠陥が検出できる効果がある。例えば、方向依存性の強いキズや薄膜のなだらかな曲面の窪み(グラデェーション)は特に好例である。
【0015】
なお、ピント(焦点、フォーカス)が合っている状態を維持するオートフォーカシング技術と、良好に欠陥が検出できるように照明する技術は別である。照明やその光源のほうがいくら優秀な照明やその光源でも、結像のほうがピンぼけの状態だと期待する性能が出せない。このため、ピントの合う位置を常時フォーカシング(焦点合わせ)し続けるという技術と併せて本発明に係るリング照明および裏面側からのスポット照明を適用することが最も好ましい。
また、高速で高精度な検査を実現するためには高い精度のオートフォーカシング技術が必要でそれをするための技術として同軸オートフォーカス(AF)がある。同軸AFで常にフォーカシングしている状態だとしても、照明が優れた照明でないとやはり期待する効果が得られないので、期待する効果が得られるように設計した本発明に係るリング照明および裏面側からのスポット照明が必要となる。
【0016】
本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
欠陥検査のための光学系と、欠陥検査のための照明系を有し、
前記照明系は、複数のLEDを円環状に配置するとともに、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが前記光学系の焦点位置を中心とした領域に集まるようにしたリング照明であり、
検査対象である基板の前記光学系の側に設置される前記リング照明であって、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが前記基板表面に対して鋭角に照射され、その反射光が、対物レンズに直接入らないように構成した反射の暗視野リング照明と、
前記基板の前記光学系とは反対側に設置される前記リング照明であって、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが基板裏面に対して鋭角に照射され、前記基板内部を屈折を経て透過した透過光が、前記対物レンズに直接入らないようにした透過の暗視野リング照明と、
を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【0017】
(構成2)
欠陥検査のための光学系と、欠陥検査のための照明系を有し、
前記照明系は、複数のLEDを円環状に配置するとともに、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが前記光学系の焦点位置を中心とした領域に集まるようにしたリング照明であり、
検査対象である基板の前記光学系の側に設置される前記リング照明であって、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが前記基板表面に対して鋭角に照射され、その反射光が、対物レンズに直接入らないように構成した反射の暗視野リング照明と、
前記基板の前記光学系とは反対側に設置される前記リング照明であって、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが基板裏面に対して鋭角に照射され、前記基板内部を屈折を経て透過した透過光が、前記対物レンズに直接入らないようにした透過の暗視野リング照明と、
前記基板の前記光学系とは反対側に設置される照明であって、前記光学系の光軸と同軸の透過のスポット照明と、
を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
【0018】
(構成3)
前記光学系の光軸と、前記リング照明における円環の中心軸とを一致させ、同軸としたことを特徴とする構成1または2記載の欠陥検査装置。
【0019】
(構成4)
対物レンズ、結像レンズおよび撮像素子を備える結像光学系を有し、
前記撮像素子はTDIセンサであり、
前記結像光学系は、TDIカメラを含み、
前記基板とTDIカメラとを、一定速度で一定方向に相対的に移動させる手段を有し、
前記基板上の撮像領域の移動方向および速度とTDIセンサにおけるCCDの電荷転送の方向および速度を合わせることで、CCDの垂直段の数だけ前記撮像領域を繰り返し露光し撮影する手段を有することを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の欠陥検査装置。
【0020】
(構成5)
前記欠陥検査装置は、焦点尤度が±0.1mmより小さい高精度の結像光学系を備えることを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の欠陥検査装置。
【0021】
(構成6)
前記対物レンズを利用し、レーザービームを用いて、オートフォーカス手段を構築すると共に、
前記オートフォーカス手段に用いる前記レーザービームの前記撮像素子への映り込みを回避する手段を有することを特徴とする構成4または5のいずれかに記載の欠陥検査装置。
【0022】
(構成7)
欠陥検査のための光学系と、欠陥検査のための照明系を有し、
前記照明系は、複数のLEDを円環状に配置するとともに、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが前記光学系の焦点位置を中心とした領域に集まるようにしたリング照明であり、
前記リング照明は、検査対象である基板の前記光学系の側に設置され、
前記リング照明における前記基板側の先端から前記基板表面までの距離を、前記リング照明の作動距離dとし、
前記リング照明の半径をrとし、
機械的な大きさ制限の観点から、前記dと前記rの範囲を規定し、
前記LEDの光線が前記基板に入射される際、前記光線と前記基板表面とのなす角を、前記リング照明の照射角度αとし、対物レンズに直接照明光が入らないようにする暗視野要請の観点から、前記αの範囲を規定し、
前記リング照明による照射密度をpとし、照射密度pを大きくする観点および前記暗視野要請から前記照射角度αの上限が制限される観点から、前記pの範囲を規定し、
位置関係から定まる数式d=rTan(α)から、照射密度pを考慮しつつ、前記d、前記rおよび前記αの値を決定し、これらの値に基づき装置を製造することを特徴とする欠陥検査装置の製造方法。
【0023】
(構成8)
欠陥検査のための光学系と、欠陥検査のための照明系を有し、
前記照明系は、複数のLEDを円環状に配置するとともに、前記複数のLEDによるスポット光のそれぞれが前記光学系の焦点位置を中心とした領域に集まるようにしたリング照明であり、
前記リング照明は、検査対象である基板の前記光学系とは反対側に設置され、
前記リング照明における前記基板側の先端から前記基板裏面までの距離を、前記リング照明の作動距離dとし、
前記リング照明の半径をrとし、
機械的な大きさ制限の観点から、前記dと前記rの範囲を規定し、
前記LEDの光線が前記基板に入射される際、前記光線と前記基板裏面とのなす角を、前記リング照明の照射角度αとし、対物レンズに直接照明光が入らないようにする暗視野要請の観点から、および、ブリュースター角近傍での入射の要請の観点から、前記αの範囲を規定し、
前記リング照明による照射密度をpとし、照射密度pを大きくする観点並びに前記暗視野要請および前記ブリュースター角近傍での入射の要請によって前記照射角度αの上限が制限される観点から、前記pの範囲を規定し、
ガラスの厚さをgとし、
位置関係から定まる下記数式(3)から、照射密度pを考慮しつつ、前記d、前記rおよび前記αの値を決定し、これらの値に基づき装置を製造することを特徴とする欠陥検査装置の製造方法。
【数1】
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、欠陥の方向性に依存しない安定した高い欠陥検出力が達成できる欠陥検査装置を提供できる。
また、本発明によれば、欠陥からの散乱光の発生が少ないあるいは散乱光の発生が極めて少ないタイプの薄膜欠陥に対して大幅な欠陥検出力向上が達成できる欠陥検査装置を提供できる。
さらに、本発明によれば、コントラストの低い欠陥に対する高い欠陥検出力が達成できる欠陥検査装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の欠陥検査装置の主要部分を説明するための模式図である。
図2】リング照明を説明するための模式図である。
図3】リング照明のハウジングを説明するための図である。
図4】リング照明の作動距離d、リング照明の半径r、リング照明の照射角度αの関係式を説明するための図である。
図5】表面側リング照明の最適設計を説明するための図である。
図6】裏面側リング照明の最適設計を説明するための図である。
図7】本発明の欠陥検査装置のXYZ駆動系を説明するための図である。
図8】非点収差法を説明するための模式図である。
図9】同軸オートフォーカスモジュールの構成を示す図である。
図10】オートフォーカス機能に用いるレーザービームの撮像素子への映り込みを回避する手段を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の欠陥検査装置の主要部分を説明するための模式図である。
図1において、紙面に垂直な方向がX軸、紙面の上下方向がY軸、紙面の左右方向がZ軸、とする。
被検査体1の表面側(図面右側)には、結像光学系100が配設される。結像光学系100はXYZ駆動手段によって、X軸、Y軸、Z軸方向に駆動可能に構成されている。
結像光学系100は、対物レンズ11、結像レンズ12および撮像素子13を備える撮像カメラ(例えばTDIカメラ)10、対物レンズと結像レンズの間に配置されるオートフォーカスモジュール(同軸AFモジュール)20、照明手段31、を有する。照明手段31は対物レンズ11に装着される。
被検査体1の裏面側(図面左側)には、照明手段32、スポット照明手段33、を有する照明系101が配置される。照明系101は、結像光学系100と一体として(または完全に同期して一体的に)、XYZ駆動手段によって、X軸、Y軸、Z軸方向に駆動可能に構成されている。
【0027】
照明手段31は、リング照明である。リング照明は、複数のLEDを円環状に配置するとともに、複数のLEDによるスポット光のそれぞれが撮像カメラ(例えばTDIカメラ)10の焦点位置を中心とした領域(画像取得領域、検査領域、撮像領域)に集まるように、複数のLEDの指向性および光軸を調整した上で、円環状の部材に固定したものである。照明手段31であるリング照明は、前記リング照明における円環の中心軸と前記結像光学系100の光軸Oと、を一致させ同軸としてある。
照明手段31であるリング照明は、3つの同心円のそれぞれの円に沿って、LEDを円環状に3重(3列)に配置した構成を有する(図2参照)。外側および内側のLED円環列は、青色LEDが使用され、真ん中のLED円環列は、黄色LEDまたはオレンジ色LEDが使用される。ガラス基板およびマスクブランク(薄膜付き基板)を検査する際は、通常、3列すべて(青色LEDおよび黄色LED)が使用される。レジスト付きマスクブランクを検査する際は、真ん中のLED円環列(黄色LEDのみ)が使用される。レジストの感光を避けるためである。
【0028】
被検査体1の裏面側(図面左側)には、照明手段32、スポット照明手段33、を有する。
照明手段32は、リング照明である。
照明手段32であるリング照明は、3つの同心円のそれぞれの円に沿って、LEDを円環状に3重(3列)に配置した構成を有する(図2参照)。外側、真ん中、内側の各LED円環列は、すべて青色LEDが使用される。ガラス基板およびマスクブランク(薄膜付き基板)を検査する際は、通常、3列すべて(青色LED)が使用される。照明手段32であるリング照明は、前記リング照明における円環の中心軸と前記結像光学系100の光軸Oと、を一致させ同軸としてある。
スポット照明手段33は、透過のスポット照明(例えば平行光のスポットライト)が使用され、青色LEDが使用される。スポット照明手段33は、マスクブランク(薄膜付き基板)におけるピンホールや、明確なエッジを持たず散乱光の発生が少ないハーフピンホールや、散乱光の発生が少ない膜のへこみ(凹部)や、散乱光の発生が極めて少ない薄膜のなだらかな曲面の窪み(グラデェーション)などの検出に効果的である。スポット照明手段33は、スポット照明の中心軸(LEDの光軸)と前記結像光学系100の光軸Oと、を一致させ同軸としてある。
スポット照明手段33は、平行性が良好で高輝度(高照度)なLED光源やランプ光源などによる垂直透過照明である態様や、面発光光源などが含まれる。
【0029】
なお、本発明において、LEDは、円環状に1重(1列)、2重(2列)、4重(4列)以上の多重とする態様が含まれる。
また、本発明には、リング照明によって基板上に形成される照明領域の中心と、リング照明における円環の中心軸とは、一致しない態様(リング照明による偏心的な照明の態様)が含まれる。
【0030】
なお、被検査体1の板厚に応じて、照明手段32であるリング照明の作動距離d(ワーキングディスタンス:WD)を調整できるようになっている。ワーキングディスタンスは、基板表面に対するリング照明の設置距離であり、より詳しくはリング照明の基板側の先端から基板表面までの距離である。
【0031】
ガラス基板を検査する際は、照明手段31および照明手段32が使用されることが好ましく、これらの照明は両方同時に使用されることが好ましい。双方の照明に起因(対応)する欠陥を1度に検出できるからであり、1回の検査で欠陥があるかないかを効率良く検査できるからである。ガラス基板の検査では、キズ、異物、ガラス内部の異物や脈理などの光学的欠陥が検出される。
マスクブランク(薄膜付き基板)を検査する際は、照明手段31、照明手段32およびスポット照明手段33が使用されることが好ましく、これらの照明は全て同時に使用されることが好ましい。全ての照明のそれぞれに起因(対応)する欠陥を1度に検出できるからであり、1回の検査で欠陥があるかないかを効率良く検査できるからである。マスクブランク(薄膜付き基板)の検査では、ピンホール、ハーフピンホール、異物などが検出される。
レジスト付きマスクブランクを検査する際は、照明手段31における真ん中のLED円環列(黄色LEDのみ)が使用される。レジストの感光を避けるためである。レジスト付きマスクブランクの検査では、基板欠陥に加えて、レジストピンホール、レジストハーフピンホール、異物などが検出される。
【0032】
被検査体1としては、ガラス基板、マスクブランク(薄膜付き基板)、レジスト付きマスクブランクなどが挙げられる。マスクブランクは、バイナリーマスク、グレートーンマスク(階調マスク)、位相シフトマスクなどの作製に用いるマスクブランクが挙げられる。
【0033】
マスクブランクの検査は、単層膜の状態で検査する態様の他、2層膜や3層以上の積層膜の状態で検査する態様が含まれる。また、マスクブランクの検査は、2層膜や3層以上の積層膜の場合、成膜する毎に検査する態様が含まれる。
【0034】
被検査体1としては、FPDなどの表示装置用の大型基板や中型・小型基板が含まれる。
本発明において、FPD(フラットパネルディスプレイ)などの表示装置(表示デバイス)としては、液晶表示装置、プラズマ表示装置、EL表示装置、有機EL表示装置、LED表示装置、DMD表示装置が代表的なものである。
【0035】
遮光マスク40は、迷光対策として光学系に挿入される。遮光マスク40は、欠陥像の結像に寄与しないような光(迷光)をカットする。遮光マスク40は、大きさを変えながら迷光対策に適した位置に適した大きさで設置するとよい。遮光マスク40は、遮光板を使用してもよく、絞りを使用してもよい。
遮光マスク40は、例えば、対物レンズ11と結像レンズ12との間に設置される。遮光マスク40は、例えば、対物レンズ11と被検査体1との間、被検査体1と照明手段31との間、被検査体1と照明手段32との間などに設置される。遮光マスク40は、これらの全ての箇所に設置でき、これらのうちの任意の箇所に設置でき、上記以外の光路の任意の箇所にも設置できる。
【0036】
本発明において、撮像素子13としては、CCD、TDI、CMOS、VMISなどの固体撮像装置が代表的なものである。
架台200は、除振台となっている。除振台は、除振機能をロックする機能があり、ロボットによる基板の装置への着脱の際は除振機能をロックすることで装置の空間位置を固定できる。
【0037】
次に本発明に係るLED照明について説明する。
【0038】
リング照明では、LEDの波長、LEDの広がり角、LEDの直径(寸法)、LEDの照射角度などを設計する。これらの値は欠陥検出力の向上の観点から決定される。
LEDの波長は、例えば可視域の範囲に設計される。例えば、LEDの波長は、青色(465nm)、黄色(592nm)、オレンジ色(610nm)などに設計される。
LEDの広がり角は、例えば、照射角が狭いタイプ(半値角±5度)、通常タイプ(半値角±20度)、パワーLEDタイプ(半値角±60度)などから選択できる。
LEDの直径(寸法)は、例えば数mmの範囲に設計される。例えば、LEDの直径(サイズ)は、狭角5.0mmや、超狭角3.1mmなどに設計される。
LEDの照射角度は、例えば10度から40度などの範囲に設計される。
【0039】
リング照明のハウジングは、内径R1、外径R2、厚さt、などを設計する(図3参照)。これらの値は欠陥検出力の向上の観点から決定される。リング照明のハウジングは、円環状であり、円環の内周面にはLEDを取り付けるための傾斜部35が形成されている。ハウジング寸法R3(胴部の厚み)は強度を考慮し設計する(図3参照)。
リング照明のハウジングにおいては、面取り(図示せず)や、遮光板取り付け穴(図示せず)、などを設計できる。これらは、例えば、傾斜部35における検査基板側の面に形成できる。
【0040】
リング照明では、設計で定めた個数の各LEDの光軸の位置出しを行い(方向制御を行い)、ハウジングに固定する。例えば、ハウジング34の内周面の傾斜部35に貼り付けたフレキシブルプリント基板36に各LED37を埋め込んでいく(図3参照)。
LEDの指向性(広がり範囲)の方が位置出し精度より大きいので、このことを考慮して位置出し精度を調整するとよい。
【0041】
本発明において、LEDの指向特性(広がり範囲)は、LEDの直径(サイズ)によって違っている。LEDの直径(サイズ)自体はあまり重要なパラメータではなく、指向特性の方を重視して設計することが好ましい。
LEDの照射角度は、例えば、超狭角:±5.5°や、 ±4.0°などでは、狙ったところだけ光を当てるようにコントロールすることが可能となる。
狭角や超狭角タイプのLEDの直径(サイズ)は、例えば、5.5mm、3.8mmが主流であるが、指向特性の方を重視して設計すると、例えば、狭角5.0mmや、超狭角3.1mmなどに設計される。
【0042】
例えば、LEDの直径(サイズ)が超狭角3.1mmである場合は、LED素子は最密配置でピッチbは4mmとなる(図3参照)。LED素子の配置個数は概ね120素子となる。これにより、360°全ての方向から同時に照明することが可能となる。
【0043】
本発明では、上述した各種の設計および各種の調整を組み合わせることで、現状で提供されているリング照明に比べ、格段に優れたリング照明の開発に成功した。このリング照明は、次世代はもとより、2世代先、3世代先、その後の次々の世代についても対応能力のある照明系である。このリング照明は、発熱の問題、寿命の問題、耐久性の問題についても何ら問題がないことを確認した。
【0044】
本発明では結像光学系の集光特性と光源となる複数のLED素子の発光特性から求められる理想的な暗視野照明の配置を定式化した。本発明では機械的な大きさ制限と照明効率から最適な設計に成功した。
【0045】
本発明では、メカ的要請、暗視野要請(光学的要請)および効率要請(照射密度)の3つの要請(制限要素)から、制限範囲や不等式が規定され、LEDの設計が決まる。このとき、作りやすさや制作費用等を考慮し、制限範囲や不等式の範囲内でLEDの設計が決定される。なお、以下で説明する各値は、個別の機械により異なるが、各値の一例を挙げて説明する。
【0046】
(表面側:反射の暗視野リング照明)
メカ的要請(寸法制限)の第1点は、リング照明の作動距離d(ワーキングディスタンス:WD)であり、これは、基板表面に対するリング照明の設置距離であり、より詳しくはリング照明の基板側の先端から基板表面までの距離である。基板保持部とのクリアランスを確保するため、リング照明の作動距離d>15mmである。
メカ的要請(寸法制限)の第2点は、リング照明の外形(半径)である。3台のTDIカメラを連続して互いに接して配置する際の配置ピッチを130mmとしているのでリング照明の外形は128mmが限度となる。これは、リング照明を装着した結像光学系を基板の端から端まで検査のため走査する際に、リング照明の外周部が、基板の端の基板保持機構(特に通常裏面側に配置されるロータリー式基板保持ユニット)や装置のフレームなどと衝突や接触が起こらないように、リング照明の外形寸法を所定範囲内に収める必要からの要請である。リング照明の半径r<62mmである。
【0047】
暗視野要請(光学的要請)は、リング照明の照射角度αである。リング照明の照射角度αは、LEDの光線が基板に入射(照射)される際、光線と基板表面とのなす角である。暗視野照明では、対物レンズに直接照明光が入らないようにする。
暗視野照明の実現には、結像レンズ系を含めた照明設計が必要になる。結像レンズには高開口数(NA)のレンズを使用するため、暗視野照明とするには基板表面に対して鋭角の照射が必要となる。そのため、作動距離の確保には、リング外径を大きくする必要がある。結像光学系における対物レンズの倍率およびNAにより照射角度αの上限が決まる。例えば、対物レンズの倍率が1倍、NAが0.5であるとき、照射角度αの上限は50°になる。また、迷光低減のため、より安全な角度に照射角度を設定するという観点から、照射角度αの上限は30°以下であると好ましい。
【0048】
効率要請は、リング照明による照射密度pである。照射密度を高くする(照明を明るくする)に従い欠陥検出の時間を短くでき、検査効率が高まるので、照射密度は高い程よい。照射密度を高くする観点からは、照射角度αは大きい程よいのだが、上記の暗視野要請から照射角度αの上限は制限される。これにより、照射密度pも制限される。照射密度pの観点からは、照射角度αは20°以上が好ましい。
【0049】
図4に示す位置的な関係から、表面側リング照明では、d=rTan(α)(式1)の関係がある。図5(1)は式1を示す。照射密度pは、LED光源からの距離の二乗に反比例するので、図5の(式2)の関係がある。この3Dグラフを図5(2)に示す。これらの3Dグラフを重ね合わせて図5(3)に示す。図5(3)で、濃い色のグラフ(曲面)は式1を示し、薄い色のグラフ(曲面)は式2を示す。
図5(3)に示すr、d、αの3D図から、照射密度pを考慮しつつ、作りやすさや製作費用等を考慮し、図5(4)に示すように、r:54.0mm、α:25.5°、d:25.0mmに決定した。
なお、表面側の反射のリング照明において、暗視野要請を維持するためには、反射のリング照明は、対物レンズと連動させる必要ある。
【0050】
(裏面側:透過の暗視野リング照明)
裏面側の透過のリング照明では、メカ的要請、暗視野要請(光学的要請)および効率要請(照射密度)の各関係式(不等式)に関しては、上記表面側の反射のリング照明と同じである。
透過のリング照明では、dの式は、ガラスの厚さgと、裏面からの屈折光となる点が上記反射のリング照明と異なり、これによりdの式も変わる。図4に示す位置的な関係から、透過のリング照明では、図6の(式3)の関係がある。この3Dグラフを図6(1)に示す。図6(2)で、濃い色のグラフ(曲面)は式3を示し、薄い色のグラフ(曲面)は式2を示す。なお、図6(3)は図6(2)の拡大図である。
透過の照明では、ブリュースター角近傍での入射の要請、すなわち、α:33.0°の要請が加わる。ブリュースター角は、P偏光の反射率がゼロになる入射角である。ブリュースター角の現象を利用することにより、ガラス表面に到達する有効な照明に対する反射損失を極めて小さくできる。
図6(2)に示すr、d、αの3D図から、照射密度pを考慮しつつ、作りやすさや製作費用等を考慮し、図6(3)に示すように、r:50.0mm、α:33.0°、d:20.0mmに決定した。
なお裏面側の透過の暗視野リング照明は、結像レンズの倍率と連動させる必要がある。このような連動の必要性のため、顕微鏡等では、裏面側照明による透過の暗視野は一般的ではない。同様の理由から、反射及び透過両面同時暗視野も例が見られない。
【0051】
本発明では、上記設計で決定した値に基づいて(若干の数値変更はある)、例えば、表面側(反射側)リング照明は、照射角度αが25°、ハウジングの外径R2が128mm、ハウジングの厚さtが22mmや20mm、などに最終設計される。
裏面側(透過側)リング照明は、照射角度αが31°、ハウジングの外径R2が125mm、ハウジングの厚さtが22mmや19mm、などに最終設計される。
【0052】
本発明では、上記の具体的な表面側の反射の暗視野リング照明について、リング照明の作動距離d(ワーキングディスタンス:WD)を、例えば、18mm、20mm、22mm、25mm、27mmなどと変化させて、基板上にある半径を持った照明領域における輝度分布(明るいほどよい)や光量のプロファイル(フラットで光量が高いほどよい)を調べることで、最適なリング照明の作動距離dを求めることができる。これにより、撮像カメラの視野内で均一な照明が作れる。裏面側の透過の暗視野リング照明についても同様である。
【0053】
本発明では、図3からもわかるように、複数のLEDによるスポット光の集まりによって、基板上にある半径を持った照明領域が形成される。これは、スポットライトと同じで、スポットの当たった箇所のみ明るく照明され、その周辺領域は照明されないので暗くなる。このことは、複数のLEDによるスポット光の集まり(多数のスポット光の重なりで作られるスポット光の集合領域)についても同様である。
本発明においては、複数のLEDによるスポット光の集まりによって基板上形成される前記照明領域の半径は、例えば1mm〜20mm(例えば10mm)の範囲となるようにすることが好ましい。この範囲は、撮像カメラ(例えばTDIカメラ)の焦点位置を中心とした領域(画像取得領域、検査領域、撮像領域)に対応することが好ましい。
【0054】
なお、本発明では、撮像カメラ(例えばTDIカメラ)の焦点位置を中心とした領域(画像取得領域、検査領域、撮像領域)を、検査精度を上げるため相対的に狭くしていく場合(結像レンズ系の収差特性の良い光軸近傍領域のみを使用する場合)において、それに対応して、複数のLEDによるスポット光の集まりによって基板上に形成される前記照明領域の半径も相対的に狭くしていくことができる。
例えば、ハウジング34の内周面の傾斜部35を、集光特性が向上する曲面(または前記曲面に近似する円に内接する多角形の一部)とすることで、前記照明領域の半径も相対的に狭くしていくことができる。
さらには、ハウジング34の内周面の傾斜部35を、複数のLEDによるスポット光がほぼ1点(1スポットの領域)で重なるような集光特性の曲面または前記曲面に近似する円に内接する多角形の一部とすることもできる。
【0055】
本発明において、リング照明の作動距離d(ワーキングディスタンス:WD)は、微調整可能に構成されている。例えば、装置組み立ての際は、決めた値でまず固定し微調整(例えば±1mm単位で微調整)して固定する微調整機構を有する。微調整機構は、装置の使用中にも使用される。これらの際には、照明効果が最大となるよう調整する。照明効果は、視野内で照度が均一で、照射密度が高い(明るい)とよい。特に、TDIの視野の範囲内(TDIの長手方向に対応する視野)において照度が均一で、照射密度が高い(明るい)とよい。
リング照明の作動距離dは、表面側(反射側)は結像レンズとの組み合わせで最適位置に自ずと決まるが、裏面側(透過側)に関してはガラスの厚み(例えば、8mmから13.5mm)に応じて最適な位置が変わってくるのでステージで動的に変化できる機構になっている。
【0056】
本発明においては、迷光対策として、結像に寄与しないような照明光をカットする遮光マスクを、表面側(反射側)リング照明および裏面側(透過側)リング照明に設置してもよい。
照明系による迷光は、表面側(反射側)リング照明では、基板からの反射光の迷光を考慮する。裏面側(透過側)リング照明では、基板裏面での反射光を考慮し、ガラス基板内部の屈折を考慮し、ガラス基板内部からの透過光の迷光を考慮する。
【0057】
本発明の欠陥検査装置は、TDIカメラを用いたものであることが好ましい。
【0058】
本発明の欠陥検査装置は、対物レンズ、結像レンズおよび撮像素子を備える結像光学系を有し、前記撮像素子はTDIセンサであり、前記結像光学系は、TDIカメラを含み、
前記基板とTDIカメラとを、一定速度で一定方向に相対的に移動させる手段を有し、
前記基板上の撮像領域(撮像対象物)の移動方向および速度とTDIセンサにおけるCCDの電荷転送の方向および速度を合わせることで、CCDの垂直段の数だけ前記撮像領域(撮像対象物)を繰り返し露光し撮影する手段を有することが好ましい。
ここで、基板上の撮像領域の移動方向および速度とTDIセンサにおけるCCDの電荷転送の方向および速度を合わせることで、CCDの垂直段の数だけ前記撮像領域を繰り返し露光し撮影する手段は、例えば、TDIカメラ内蔵の制御装置(制御回路、CPU、ソフトウエアなど)で行うことができる。
【0059】
通常のラインセンサは、CCDを一列に並べたものである。TDI(Time Delay Integration)センサー(素子)では、ライン上に配列されたCCD(一列)が、更に前記ラインに沿った方向に対し垂直な方向にも複数列配置されている。複数列のCCDで得られた画像を積分露光することで、高い感度の画像を得ることができるようになる。
一定速度、一定方向に移動する撮影対象物ならば、撮影対象物の移動方向・速度とCCDの電荷転送の方向・速度を合わせることで、CCDの垂直段の数だけ対象物(1列分のCCDに対応する対象物上の同一領域)を繰り返し露光・撮影させる。
1列目のCCDで得られた撮像は、そのまま2列目のCCDに転送される。2列目のCCDでは、前列から送られてきた撮像に、2列目のCCDで得られた撮像を加算して蓄積し、更に3列目のCCDに転送される。n列目のCCDでは、n列目のCCDで得られた撮像を、(n−1)列目までで累積された撮像に加算して、(n+1)列目に転送する。すなわち、x列のCCDを並べたTDIセンサでは、得られた撮像はx倍となって蓄積されることになる。x列の積分露光を行う場合、x倍の光量と√x(ルートx)のノイズ軽減が期待できる。
この結果、格段に高い感度が得られ、高速性と高感度を両立できる。
従来のCCDでは、高解像度であるがゆえの感度不足の低輝度の画像しか得られなかったが、積分露光することにより、高解像度でありながら明るく鮮明な画像が得られるようになる。明るさ不足を補うために、撮影対象物の移動速度を落とす、あるいは停止させてしまうなどの従来方式と比べると、高速かつ短時間で処理ができるようになる。
尚、TDIでは、移動しながら対象を撮影するという性格上、カメラ技術だけでなく。光学技術、搬送技術なども含めた、トータルなソリューション力が必要となる。
【0060】
TDIはコピー機のように流し撮りができる。普通のエリアセンサのように、ある領域を停止状態で撮像し、隣の領域に移動して停止状態で撮像するステップを繰り返すステップアンドリピート方式ではない。TDIの方がトータルスループットは3倍から4倍という状態をつくれる。ステップアンドリピート方式では、重量のある結像光学系の駆動と停止(加速と減速)を高速で繰り返すので、振動が生じるが、TDIではこのような振動は生じ難い。
【0061】
TDIセンサは、例えば、縦長(24mm×1.5mm(128段))で1.5mm幅である。
本発明はラインセンサにも適用可能である。ラインセンサでは、TDIと同様に流し撮りができる。TDIセンサは128段で、ラインセンサの128倍の光量がとれる。光量が取れる分128倍検査スピードを上げることができる。
CCDエリアセンサの場合は、例えば、15mm角である。流し撮りはできない。感度もよくない。
本発明では、TDIセンサが好ましい。ラインセンサや、エリアセンサでは2世代先の欠陥検査は難しい。
【0062】
図7は、本発明の欠陥検査装置のXYZ駆動系等を説明するための図である。架台200上に設置された本体フレーム201の内部に、欠陥検査を行う被検査体(基板)1を垂直に立てた状態に取り付け固定するための(保持手段)(図示せず、後述する)、結像光学系100(欠陥検査を行うための光学系)および観察光学系(欠陥の拡大観察を行うための光学系)を含むヘッド部300、該ヘッド部300をXYZの三方向に移動させるためのX軸、Y軸及びZ軸の各ステージ211、212、213などを配して構成されている。
X軸ステージ211は、Y軸ステージ212をX軸方向(紙面上で左右方向)に移動させることで、ヘッド部300をX軸方向に駆動する。
Y軸ステージ212は、Z軸ステージ213をY軸方向(紙面上で上下方向)に移動させることで、ヘッド部300をY軸方向に駆動する。
Z軸ステージ213は、ヘッド部300をZ軸方向(紙面に垂直な方向)に移動させることで、ヘッド部300をZ軸方向に駆動する。
【0063】
本発明の欠陥検査装置では、ヘッド部300において、例えば、3台のTDIカメラを、例えば図7のY軸方向に連続して互いに接して配置することが好ましい。これにより、X軸方向に3台(3連)のTDIカメラで走査(スキャン)し、3台分の領域を一度に検査できる。TDIカメラが1台の場合に比べ、検査スピードは3倍(検査時間は1/3)になる。TDIカメラの台数は任意の台数に適宜増減できる。
本発明の装置では、ヘッド部300において、例えば図7のX軸方向に互いに隣接してTDIカメラと観察光学系(顕微鏡)を配置することができる。
【0064】
X軸、Y軸及びZ軸の各ステージ211、212、213は、結像光学系(例えばTDIカメラ)によるスキャンの時に動く方向に対して作用するリニアロック機構を有することが好ましい。これは、高精度の観察用の機構で、顕微鏡で像を見るときに非常に細かい振動が残ると像がぶれるので、その非常に細かい振動をステージをロックすることでなくすためである。
【0065】
本発明の装置では、本体のベースとなる部分(架台)に高い剛性を持った材料を採用することが好ましい。架台は、振動の影響を低減する除振機能を有することが好ましい。
また、本発明の装置では、被検査体(基板)1は固定し、結像光学系100を被検査体(基板)1上の所望位置へ移動させることで欠陥検査を実施する構造が好ましい。被検査体(基板)1の方を移動させる構造の場合は、その分の移動スペースが必要となる。また、被検査体(基板)1は重量が非常に大きいので、被検査体(基板)1の移動や反転・停止の際に振動が生じ易い。
【0066】
また、観察光学系および結像光学系100には、欠陥検査中に欠陥位置とその周辺を照明するための照明装置を備える。実際の異物欠陥やキズなどの欠陥は、その形状や材質から照明の種類によっては観察することが難しい場合も有るため、照明は反射照明である同軸落射照明や反射の暗視野リング照明、微分干渉照明、透過照明(例えば同軸垂直透過照明)や透過の暗視野リング照明等と、光の質を変化させるためのカラーフィルター、偏光フィルターなどを装備して、様々な欠陥をよりはっきりと観察できるものを装備することが望ましい。
【0067】
また、観察光学系および結像光学系100では、フォーカスの正しく合った良好な視野で欠陥検査を実施するために、被検査体(基板)1とレンズ先端の距離を一定に保つように、オートフォーカスの手段を具備することが望ましい。例えば、オートフォーカスの種類には、レーザーの反射を利用したもの、フォーカス表面の画像コントラストを利用したものなどがあるが、被検査体(基板)1の場合はコントラストを持った部分が存在しないことがあるため、レーザーの反射を利用したものなどが本発明には好ましい。
オートフォーカス手段では、非点収差法の他、ナイフエッジ法、などが利用できる。
【0068】
また、欠陥箇所を観察するための観察光学系(図示せず、ヘッド部300内に装備される)は、例えば、欠陥箇所の大まかな位置を掴むための低倍率レンズと、微小欠陥を観察する際の高倍率レンズと、それらの中間的な使い方をするいくつかの中倍率レンズとによって構成される。これらの光学レンズは複数の単レンズをレボルバーなどを用いて切り替える方法が好適である。
また、本発明においては、光学系と被検査体(基板)1との間の空間において、光学系に用いる光学レンズは極力作動距離の長いものが好適である。少なくとも数mm、できれば4mm以上の作動距離(レンズのワーキングディスタンス)のものが好適である。
【0069】
観察光学系における照明装置で用いる光源の波長としては、380〜800nmの範囲を用いることが好ましい。380nmより小さい波長の紫外域の光を含むと、紫外域対応の光学部品が必要となり高価となる。また800nmより大きい赤外域の光を含むと、熱をもつことから、被検査体や観察装置に対し悪影響を及ぼす危険性がある。光源の波長は、同様の観点からさらに好ましくは400〜750nmである。波長帯の選択は、光源装置内において、波長フィルターを設けて選択することが好ましい。
【0070】
また、用いる波長又は波長帯により、欠陥の種類によって欠陥が顕在化され易い場合がある等の理由により、光の波長又は波長帯をさらに選択したい場合には、光源と被検査体の間、又は被検査体と観察装置との間に、波長フィルターを設けることもできる。
【0071】
光源として、平行性が良好である光源を用いることにより欠陥の顕在化をより安定的にすることができる。しかも、高輝度(高照度)な光源を用いることによって、受光光学系に受光される光量が増えるため、観察可能なピンホールのサイズが広がる。また、観察可能な欠陥が、ハーフピンホールや薄膜の凹部などの欠陥まで広がる。
【0072】
本発明は、高精度の結像光学系を備える欠陥検査装置に適する。高精度な欠陥検査には、高精度な結像光学系で検査することが必要だからである。本発明の欠陥検査装置は、焦点尤度が±0.1mmより小さい高精度の結像光学系を備える欠陥検査装置に適し、焦点尤度が±0.05mmより小さい高精度の結像光学系を備える欠陥検査装置に適し、焦点尤度が±0.03mmより小さい高精度の結像光学系を備える欠陥検査装置に適し、焦点尤度が±0.02mmより小さい高精度の結像光学系を備える欠陥検査装置に適する。
【0073】
高精度な欠陥検査には、高精度な焦点調整が必須となる。大型基板は高精度の基板垂直保持が難しく、0.05°程度の傾きは発生する。この傾きは、1000mm長では約0.9mmのズレとなる。レーザー変位計と結像光学系の光軸が100mm離れていると約0.09mmの測定誤差が発生する。高精度の結像光学系では焦点尤度が±0.03mm程度のため、焦点がずれた状態(焦点尤度を超えた状態)での画像取得となり、大幅な欠陥検出力の低下が起こる可能性がある。この問題に対しては、次に説明するオートフォーカス機能で対応できる。
【0074】
本発明の欠陥検査装置は、非点収差法を用いたオートフォーカス機能を有するものであることが好ましい。
【0075】
図8は、非点収差法を説明するための模式図である。
非点収差法では一般的にシリンドリカルレンズ(円柱レンズ、かまぼこ形状のレンズ)を使用する。被検査体1の表面で反射され、4分割フォトディテクタ(PD)への戻り光路中にシリンドリカルレンズを挿入すると、シリンドリカルレンズは図のX軸方向にのみレンズ効果があるため、X軸方向の焦点位置とY軸方向の焦点位置がずれて非点収差が発生し、ビームの形状は光軸上の距離によって、1(縦長楕円)→2(円形)→3(横長楕円)のように変化する(図8の上方の図)。
ここで、上から時計回りにA、B、C、Dに4分割されたフォトディテクタでビームを受光すると、1〜3それぞれの場合にA〜Dの入射光量のバランスが変化する。
1の場合、AおよびCの入射光量が大きい(図8中の1の下方の図)。
2の場合、A.B.C.Dの4つの入射光量が等しい。
3の場合、B及びDの入射光量が大きい。
【0076】
被検査体1の表面にレーザービームの焦点が合っているときに、4つの入射光量が等しくなり、ビームの形状が円形になるように光学系を調整しておけば、(A+C)−(B+D)の演算結果から、(A+C)−(B+D)=0となるように結像光学系100の位置を制御することにより、常に被検査体1の表面にレーザービームの焦点が合っている状態を保つことができる。(A+C)−(B+D)をフォーカスエラー信号(FE)という。結像光学系100の位置は駆動機構(例えば、リニアモータステージ)により動かすことが可能で、高速かつ正確に制御することができる。
FE>0の場合は、手前にフォーカスがずれている(被検査体1が近い)。
FE=0の場合は、フォーカスが合っている(合焦)。
FE<0の場合は、奥側にフォーカスがずれている(被検査体1が遠い)。
【0077】
図9は、同軸オートフォーカスモジュールの構成を示す図である。
同軸オートフォーカスモジュールは、レーザー光源(レーザーダイオード)21、絞り22、偏光ビームスプリッタ(PBS)23、1/4波長板24、反射素子(プリズムミラー)25、集光レンズ26、シリンドリカルレンズ27、4分割フォトディテクタ(光検出器)28で構成される。
【0078】
レーザー光源(レーザーダイオード)21から発せられたレーザービームは、絞り22を介して、偏光ビームスプリッタ(PBS)23に入射され、その透過光は、1/4波長板24を透過し、反射素子(プリズムミラー)25に入射され、反射素子(プリズムミラー)25で反射されて、結像光学系100の光軸Oに沿って対物レンズ11を透過し、被検査体1の表面に入射し、反射される。この反射光は、結像光学系100の光軸Oに沿って対物レンズ11を透過し、反射素子(プリズムミラー)25に入射され、その反射光は、1/4波長板24を透過し、偏光ビームスプリッタ(PBS)23に入射され、その反射光が、集光レンズ26、シリンドリカルレンズ27を順次透過して、4分割フォトディテクタ28に入射される。
【0079】
本発明は、結像光学系と同軸の非点収差法を用いたオートフォーカス機能を有すると共に、オートフォーカス機能に用いるレーザービーム(参照光)の撮像素子への映り込みを回避した欠陥検査装置に適用することが好ましい。
図10は、オートフォーカス機能に用いるレーザービームの撮像素子への映り込みを回避する手段を説明するための図である。
詳しくは、図10(1)は、撮像カメラ(例えばTDIカメラ)の結像光学系(対物レンズ)による被検査基板上の映像取得領域と被検査基板上のレーザービームのスポットとの位置関係を説明するための図である。図10(1)は、映像取得領域を正面から見た図(対物レンズを通して見た図)である。
図10(2)は、撮像素子(例えばTDIセンサ)を含む受光平面における、撮像素子(例えばTDIセンサ)領域と、レーザービームが被検査基板で反射され、その反射光が結像光学系を介して撮像素子(例えばTDIセンサ)を含む受光平面上に結像する位置との位置関係を説明するための図である。図10(2)は、受光平面を背面から見た図である。
TDIセンサは、CCDを横方向に一列に並べ、更に縦方向にもCCDを複数列並べたものである。複数列のCCDで得られた画像を積分露光することで、高い感度の画像を得ることができるようになる。
【0080】
図10に示すように、対物レンズで捉えられる被検査基板上の映像取得領域Aと(図10(1))、これに対応する、結像レンズで映し出される領域Bがある(図10(2))。これらの領域は、結像光学系100の視野の領域である。
本発明では、図10(2)に示すように、結像レンズで映し出される領域Bの一部を使用する撮像素子Tを用いる。
そして、本発明では、図10(1)に示すように、対物レンズで捉えられる被検査基板上の映像取得領域Aのうちの撮像素子に対応する画像取得領域T’、を除く領域にレーザービームのスポットSが位置するようにする。これにより、図10(2)に示すように、撮像素子Tを除く領域にレーザービームのスポットの像S’が位置するようにした。
このように、例えば、図10(1)に示すように、レーザービームのスポットSの位置(レーザービームの集光位置)を、光軸Oから僅かにずらすことで(映像取得領域Aの面上で平行移動させ画像取得領域T’の外にずらすことで)、レーザービームのスポットの像S’が撮像素子Tに映り込むことを回避する。
【0081】
このためには、例えば、図9に示す同軸オートフォーカスモジュールにおいて、レーザー光源(レーザーダイオード)21、または、反射素子(プリズムミラー)25を、レーザービームが光軸Oを通る状態から、僅かに傾ける。
なお、「僅かに」とは、レーザービームのスポットの像S’が撮像素子Tに映り込むことを回避できる程度である。レーザービームのスポットの像S’は、フォーカスのずれに応じて拡大するので、それを考慮し、撮像素子に映り込むことや、撮像素子に影響を与えること(例えばノイズ)を回避できるようにする。また、レーザービームのスポットの像S’は、レーザー光源(レーザーダイオード)を置く位置やレーザー光源の太さ(ビームの径)に応じて大きさが変化するので、それを考慮し、撮像素子に映り込むことや、撮像素子に影響を与えること(例えばノイズ)を回避できるように、レーザー光源(レーザーダイオード)の配置や絞り22を調整する。
【0082】
本発明では、高い欠陥検出力が得られるが、これは、本発明に係る照明系、高NAの光学系の適用、TDIカメラの適用、リアルタイムオートフォーカスの適用などの相乗効果による。
本発明では、上述したように、格段に優れたリング照明を用いることによって、360°全ての方向から同時に照明することが可能となり欠陥の方向性に依存しない欠陥検出が可能となることに加え、現状で提供されているリング照明を使用した場合に比べ、格段に安定した高い欠陥検出力が発揮でき、期待する効果が得られる。
本発明では、高精度の結像光学系(高NAにより明るく高解像で焦点尤度が極小)を用いることによって、このような光学系を用いない場合に比べ、欠陥検出の精度が高精度であり、検出可能な欠陥サイズが相対的に小さくなる点で高精度である。
さらに、本発明では、TDIカメラの適用で高感度検査に対応できる。これに加え、本発明では、画像取得位置での極めて正確な焦点調整の適用で高感度検査に対応できる。
本発明では、本発明に係る照明系で照明しつつ、常にフォーカッシングしつつTDIセンサでデータを取得することによって、TDIセンサでつくる2次元像の精度が向上する。これにより、欠陥検出精度の向上をより図ることが可能となる。
また、本発明では、TDIカメラの適用で高速検査に対応できる。これに加え、本発明では、リアルタイムオートフォーカス制御にて高速検査に対応できる。
本発明では、高精度の結像光学系(高NAで明るく高解像で焦点尤度が極小)を用いた検査における上述した焦点尤度の問題を解消した点で、高精度の結像光学系を用いるが本願発明のリアルタイムオートフォーカスを用いない場合(この場合上記焦点尤度の問題のためピントが合わない場合がある)に比べ欠陥検出の精度が高精度である。
本発明では、リアルタイムオートフォーカスの適用により、画像取得位置での極めて正確な焦点調整が可能となり、基板姿勢に依存しない安定した高い欠陥検出力を発揮できる。
【実施例】
【0083】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
[欠陥検査装置の製造]
【0084】
図1に示す欠陥検査装置に、焦点尤度が±0.02mmのTDIカメラを用い、図9に示す同軸オートフォーカスモジュールを組み込みんだ。TDIカメラの対物レンズの倍率は1倍、NAは0.3とした。
基板の傾きは、図1のX軸方向に0.05度であり、図1のX軸方向上で100mm離れていると約0.09mmのZ軸方向のずれが生じる。TDIカメラの走査の方向はX軸方向である。
【0085】
照明手段は、図2で説明した照明手段31および照明手段32であるリング照明であって、図5で説明した表面側の反射の暗視野リング照明、図6で説明した裏面側の透過の暗視野リング照明、図1で説明したスポット照明手段33のすべて装備した。
【0086】
照明手段31である反射の暗視野リング照明(表面側)は、3つの同心円のそれぞれの円に沿って、LEDを円環状に3重(3列)に配置した構成を有する(図2参照)。外側および内側のLED円環列は、青色LED(波長465nm)を使用し、真ん中のLED円環列は、オレンジ色LED(波長610nm)を使用した。
LEDの直径(サイズ)は超狭角3.1mmとした。LED素子の配置個数は120素子とした。
図3に示すハウジングを用いた。照射角度αは25°(暗視野照明)、ハウジングの外径R2は128mm、ハウジングの厚さtは20mmとした。
照明手段31である反射の暗視野リング照明(表面側)の作動距離dは、25.0mmとした。作動距離dは、LED照明の基板側の先端から基板表面までの距離である。
【0087】
照明手段32である透過の暗視野リング照明(裏面側)は、3つの同心円のそれぞれの円に沿って、LEDを円環状に3重(3列)に配置した構成を有する(図2参照)。外側、真ん中、内側の各LED円環列は、すべて青色LED(波長465nm)を使用した。
LEDの直径(サイズ)は超狭角3.1mmとした。LED素子の配置個数は120素子とした。
図3に示すハウジングを用いた。照射角度αは31°(暗視野照明)、ハウジングの外径R2は125mm、ハウジングの厚さtは19mmとした。
照明手段32である透過の暗視野リング照明(裏面側)の作動距離dは、20.0mmとした。作動距離dは、LED照明の基板側の先端から基板表面までの距離である。
【0088】
スポット照明手段33は、平行光のスポットライト(高輝度(高照度)なLED光源)を使用し、青色LEDを使用した(図1参照)。
【0089】
(比較例1)
比較例1では、現状で提供されている市販のリング照明を用いた。また、一般的なスポット照明手段を用いた。それ以外は、実施例1と同様とした。
LEDの直径(サイズ)は120mmであった。LED素子の配置個数は120素子であった。照射角度αは概ね30°であった。明視野光と暗視野光が含まれる複合照明となり、欠陥部分のコントラストが低下した。
スポット照明手段33は、平行光でなく、高輝度(高照度)でないスポットライト(青色LED)を使用した。
【0090】
(比較例2)
比較例1では、現状で提供されているリング照明に改良を加え簡易に作製したリング照明を用いた。また、一般的なスポット照明手段を用いた。それ以外は、実施例1と同様とした。
LEDの直径(サイズ)は120mmであった。LED素子の配置個数は120素子であった。照射角度αは概ね25°であった。明視野光と暗視野光が含まれる複合照明となり、欠陥部分のコントラストが低下した。
比較例2では、実施例1に比べ、見落とす欠陥が多く発生した。
スポット照明手段33は、高輝度(高照度)だが、平行光でないスポットライト(青色LED)を使用した。
【0091】
[欠陥検査]
実施例1、比較例1および比較例2の欠陥検査装置を用いて欠陥検査を行った。
ガラス基板を検査する際は、照明手段31および照明手段32を両方同時に使用した。
マスクブランク(薄膜付き基板)を検査する際は、照明手段31、照明手段32およびスポット照明手段33の全てを同時に使用した。
レジスト付きマスクブランクを検査する際は、照明手段31における真ん中のLED円環列(オレンジ色LEDのみ)を使用した。
【0092】
実施例1では、ガラス基板の検査において、キズ、異物、ガラス内部の異物や脈理などの光学的欠陥が非常によく検出でき、高い欠陥検出力が得られた。
比較例1では、欠陥検出がほとんどできなかった。
比較例2では、結像レンズ系の光軸近傍領域では高い欠陥検出力を確認したが、それ以外の視野領域では高い欠陥検出力は得られず、欠陥検出力が不十分で期待する効果が得られなかった。
【0093】
実施例1では、マスクブランク(薄膜付き基板)の検査において、ピンホールや、明確なエッジを持たず散乱光の発生が少ないハーフピンホールや、散乱光の発生が少ない膜のへこみ(凹部)や、散乱光の発生が極めて少ない薄膜のなだらかな曲面の窪み(グラデェーション)などの検出を行うことができた。
比較例1では、欠陥検出がほとんどできなかった。
比較例2では、結像レンズ系の光軸近傍領域では高い欠陥検出力を確認したが、それ以外の視野領域では高い欠陥検出力は得られず、欠陥検出力が不十分で期待する効果が得られなかった。
【0094】
薄膜上の異物に関しては、実施例1では、高い欠陥検出力が得られた。
比較例1では、欠陥検出がほとんどできなかった。
比較例2では、高い欠陥検出力は得られず、欠陥検出力が不十分で期待する効果が得られなかった。
【0095】
実施例1では、レジスト付きマスクブランクを検査において、異物などの欠陥が非常によく検出でき、高い欠陥検出力が得られた。比較例2では、高い欠陥検出力は得られず、欠陥検出力が不十分で期待する効果が得られなかった。
【0096】
(実施例2)
実施例2では、実施例1において同軸オートフォーカスモジュールを作動させなかった。それ以外は、実施例1と同様とした。
その結果、欠陥検出の出来る部分と出来ない部分の差が大きかった。
【0097】
(実施例3)
実施例2では、実施例1において同軸オートフォーカスモジュールを作動させなかった。また、実施例1においてTDIカメラの代わりにラインセンサを用いた。検査時間は実施例1の20倍とした。それ以外は、実施例1と同様とした。
その結果、欠陥検出がほとんどできなかった。
【0098】
(実施例4)
実施例4では、実施例1において、裏面側の透過の暗視野リング照明のみを点灯させた。
実施例4では、実施例1に比べ、異物の検出が劣っていた。
【0099】
(実施例5)
実施例5では、実施例1において、表面側の反射の暗視野リング照明のみを点灯させた。
実施例5では、実施例1に比べ、キズ及びピンホールの検出が劣っていた。
【0100】
なお、実施例4では、実施例5に比べ、得意とする欠陥の種類に差があった。
これは、散乱理論から言うと、前方散乱と後方散乱とでは、一般的には前方散乱の方がより強度が取れるからであり、透過の暗視野リング照明による基板の裏面側から入射し、透過される光は前方散乱になるからである。
【0101】
(実施例6)
実施例6では、実施例1において、スポット照明手段のみを点灯させた。
実施例6では、実施例1に比べ、異物、ハーフピンホールの検出が劣っていた。
【符号の説明】
【0102】
1 被検査基板
10 撮像カメラ(例えばTDIカメラ)
11 対物レンズ
12 結像レンズ
13 撮像素子
20 オートフォーカスモジュール
31 照明手段
32 照明手段
33 照明手段
100 結像光学系
200 架台
300 ヘッド部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10