(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アライメントの後に前記被検眼の光学的な検査が行われているときに、前記判定部は、前記光学系により検出された前記パターン像を解析してゴーストの有無を判定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の眼科装置。
前記アライメントが行われているときに、前記アライメントのための所定の情報と、前記光学系により検出された前記パターン像とを表示手段に表示させる表示制御部を含む
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の眼科装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献に開示された技術を含む任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
【0026】
実施形態に係る眼科装置は、任意の自覚検査及び任意の他覚測定の少なくとも一方を実行可能である。自覚検査では、被検者に情報(視標など)が呈示され、その情報に対する被検者の応答に基づいて被検眼のデータが求められる。自覚検査には、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレアー検査等の自覚屈折測定や、視野検査などがある。他覚測定では、被検眼に光を投射し、その戻り光の検出結果に基づいて被検眼に関する情報が取得される。他覚測定には、被検眼の特性を取得するための測定と、被検眼の画像を取得するための撮影とが含まれる。他覚測定には、他覚屈折測定、角膜形状測定、眼圧測定、眼底撮影、OCTを用いた断層撮影(OCT撮影)、OCTを用いた計測等がある。
【0027】
以下、実施形態に係る眼科装置は、自覚検査として、遠用検査、近用検査などを実行可能であり、且つ、他覚測定として、波面収差計測による他覚屈折測定、角膜形状測定などを実行可能な装置であるものとする。しかしながら、実施形態に係る眼科装置の構成は、これに限定されるものではない。
【0028】
〈第1実施形態〉
実施形態に係る眼科装置は、ベースに固定された顔受け部と、ベースに対して前後上下左右に移動可能な架台とを備えている。架台には、被検眼の検査(測定)を行うための光学系が収納されたヘッド部が設けられている。検者側の位置に配置された操作部に対して操作を行うことにより、顔受け部とヘッド部とを相対移動することができる。また、眼科装置は、後述のアライメントを実行することにより顔受け部とヘッド部とを自動で相対移動することができる。
【0029】
〈構成〉
実施形態に係る眼科装置の構成例を
図1に示す。眼科装置は、被検眼Eの検査を行うための光学系として、Zアライメント系1、XYアライメント系2、プラチド指標投影系3、視標投影系4、観察系5、収差測定投射系6、及び収差測定受光系7を含む。また、眼科装置は処理部9を含む。また、符号Kは角膜を示し、符号Ecは水晶体又は眼内レンズを示し、符号Efは眼底を示す。
【0030】
(処理部9)
処理部9は、眼科装置の各部を制御する。また、処理部9は、各種の演算処理を実行可能である。処理部9はプロセッサを含む。プロセッサの機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路により実現される。処理部9は、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
【0031】
(観察系5)
観察系5は、被検眼Eの前眼部を動画撮影する。観察系5は、前眼部を照明するための照明光源を含んでいてもよい。
【0032】
被検眼Eの前眼部からの光(例えば、赤外光)は、対物レンズ51を通過し、ダイクロイックミラー52を透過し、絞り53の開口を通過する。絞り53の開口を通過した光は、ハーフミラー22を透過し、リレーレンズ54を通過し、結像レンズ55に導かれる。結像レンズ55は、リレーレンズ54から導かれた前眼部像をエリアセンサー56の受光面に結像する。エリアセンサー56の受光面は、被検眼Eの瞳孔に対して光学的に略共役な位置に配置されている。エリアセンサー56は、所定のレートで撮像及び信号出力を行う。
【0033】
エリアセンサー56の出力(映像信号)は処理部9に入力される。処理部9は、この映像信号に基づく前眼部像E´を表示装置10の表示画面10aに表示させる。前眼部像E´は、例えば赤外動画像である。
【0034】
(Zアライメント系1)
Zアライメント系1は、観察系5の光軸方向(前後方向、Z方向)におけるアライメントを行うための光(赤外光)を被検眼Eに投射する。Zアライメント光源11から出力された光は、角膜Kに投射され、角膜Kにより反射され、結像レンズ12に導かれる。結像レンズ12は、導かれてきた光をラインセンサー13の受光面に結像する。角膜頂点の位置が前後方向に変化すると、ラインセンサー13に対する光の投影位置が変化する。ラインセンサー13の出力は処理部9に入力される。
【0035】
自動でZアライメントを行う場合、処理部9は、ラインセンサー13の特定の受光素子(例えば、ライン配列の中央に位置する受光素子)に角膜反射光が投射されるように、光学系を移動するための機構を制御する。
【0036】
手動でZアライメントを行う場合、処理部9は、ラインセンサー13に対する光の投影位置に基づく情報を表示画面10aに表示させる。この情報については後述する。検者は、この情報を参照しつつ光学系の移動操作を行う。
【0037】
(XYアライメント系2)
XYアライメント系2は、観察系5の光軸に直交する方向(左右方向(水平方向、X方向)、上下方向(Y方向))のアライメントを行うための光(赤外光)を被検眼Eに投射する。
【0038】
XYアライメント系2は、ハーフミラー22により観察系5から分岐された光路に設けられたXYアライメント光源21を含む。XYアライメント光源21から出力された光は、リレーレンズ23を通過し、ハーフミラー22により反射される。ハーフミラー22により反射された光は、観察系5の光軸上の対物レンズ51の前側焦点位置で集光された後、ダイクロイックミラー52を透過し、対物レンズ51により平行光とされ、角膜Kに投射される。
【0039】
角膜Kの表面にて反射された光は、角膜Kの表面の反射焦点位置近傍にプルキンエ像を形成する。XYアライメント光源21は、対物レンズ51の焦点位置に対して光学的に略共役な位置に配置されている。角膜Kによる反射光は、観察系5を通じてエリアセンサー56に導かれる。エリアセンサー56の受光面には、XYアライメント光源21から出力された光のプルキンエ像(輝点)による像Brが形成される。
【0040】
処理部9は、
図1に示すように、輝点像Brと前眼部像E´とアライメントマークALとを表示画面10aに表示させる。手動でXYアライメントを行う場合、検者は、アライメントマークAL内に輝点像Brを誘導するように光学系の移動操作を行う。自動でアライメントを行う場合、処理部9は、アライメントマークALに対する輝点像Brの偏位を打ち消すように、光学系を移動するための機構を制御する。
【0041】
(プラチド指標投影系3)
プラチド指標投影系3は、角膜Kの形状を測定するための同心円状の複数のリング状光束(赤外光)を角膜Kに投影する。プラチド指標投影系3は、プラチド板31と、プラチド光源32とを含む。
【0042】
プラチド板31は、対物レンズ51の近傍に配置されている。プラチド板31には、同心円状の複数の透光部(リングパターン)が形成されている。プラチド板31の背面側(対物レンズ51側)には、プラチド光源32が設けられている。プラチド光源32は、例えば、複数の発光ダイオード(LED)を含む。
【0043】
プラチド光源32からの光でプラチド板31を照明することにより、角膜Kに同心円状の複数のリング状光束が投影される。その反射光(プラチドリング像)はエリアセンサー56により前眼部像とともに検出される。処理部9は、検出されたプラチドリング像を基に公知の演算を行うことで角膜形状パラメータを算出する。なお、プラチド板の代わりにケラト板が配置されていてもよい。
【0044】
(視標投影系4)
視標投影系4は、固視標や自覚検査用視標等の各種視標を被検眼Eに呈示する。視標チャート42は、処理部9からの制御を受け、視標を表すパターンを表示する。光源41から出力された光(可視光)は、視標チャート42を背面から照明する。視標チャート42を通過した光は、リレーレンズ43及びフィールドレンズ44を通過し、反射ミラー45により反射され、ダイクロイックミラー68を透過し、ダイクロイックミラー52により反射される。ダイクロイックミラー52により反射された光は、対物レンズ51を通過して眼底Efに投射される。それにより、視標チャート42に提示されているパターンの視標像が眼底Efに投影される。
【0045】
移動ユニット46は、光源41と視標チャート42とを含む。移動ユニット46は、視標投影系4の光軸に沿って移動可能である。眼底Efに対して光学的に略共役な位置に視標チャート42が配置されるように、移動ユニット46の位置が調整される。
【0046】
視標チャート42は、処理部9からの制御を受け、被検眼Eを固視させるための固視標を表すパターンを表示することが可能である。視標チャート42における固視標パターンの表示位置を変更することによって固視位置を変更することができる。それにより、被検眼Eの視線や調節を誘導することができる。
【0047】
視標チャート42は、例えば、液晶パネルやエレクトロルミネッセンス(EL)などを利用した電子表示デバイス、又は、回転するガラス板等に描画された複数の視標を光軸上に選択的に配置可能なターレットタイプの光学部材である。
【0048】
視標投影系4は、前述の視標とともにグレアー光を被検眼Eに投影するためのグレアー検査光学系を含んでもよい。
【0049】
自覚検査を行うとき、処理部9は、事前に行われた他覚測定の結果に基づき移動ユニット46を制御する。処理部9は、検者又は処理部9により選択された視標を視標チャート42に表示させる。それにより、当該視標が被検者に呈示される。被検者は視標に対する応答を行う。応答内容の入力を受けて、処理部9は、更なる制御や、自覚検査値の算出を行う。例えば、視力測定において、処理部9は、ランドルト環等に対する応答に基づいて、次の視標を選択して呈示し、これを繰り返し行うことで自覚屈折力値を決定する。
【0050】
他覚測定(他覚屈折測定など)においては、風景チャートが眼底Efに投影される。風景チャートを被検者に固視させつつアライメントが行われ、雲霧視状態で眼屈折力が測定される。
【0051】
(収差測定投射系6、収差測定受光系7)
収差測定投射系6及び収差測定受光系7は、被検眼Eの眼球収差特性の測定に用いられる。収差測定投射系6は、眼球収差特性測定用の光束(赤外光)を眼底Efに向けて投射する。収差測定受光系7は、収差測定投射系6により投射された光束の被検眼Eからの戻り光を受光する。収差測定受光系7により得られた受光結果から被検眼Eの眼球収差特性が求められる。
【0052】
光源61は、例えば、850nmの近傍の波長の光を発する点光源である。光源61としては、例えば、スーパールミネッセントダイオード(SLD)、レーザーダイオード(LD)、又は、発光径の小さなLEDが用いられる。
【0053】
移動ユニット69は、光源61を含む。移動ユニット69は、収差測定投射系6の光軸に沿って移動可能である。光源61は、眼底Efに対して光学的に略共役な位置に配置される。
【0054】
光源61から出力された光(測定光)は、リレーレンズ62及びフィールドレンズ63を通過し、偏光板64を透過する。偏光板64は、例えば、測定光の偏光成分のうちp偏光成分のみを透過させる。偏光板64を透過した測定光は、絞り65の開口を通過し、p偏光成分を反射する偏光ビームスプリッター66により反射され、ロータリープリズム67を通過し、ダイクロイックミラー68により反射される。ダイクロイックミラー68により反射された測定光は、ダイクロイックミラー52により反射され、対物レンズ51を通過して眼底Efに投射される。
【0055】
ロータリープリズム67は、眼底Efの血管や疾患部位における反射率のムラを平均化させたり、SLD等によるスペックルノイズを軽減したりするために用いられる。
【0056】
なお、光源61の位置に光源装置を配置する代わりに、外部に設けられた光源装置からの光を光ファイバーで眼科装置に導入する構成を採用してもよい。この場合、光ファイバーの眼科装置側の端面(出射端)が、眼底Efに対して光学的に略共役な位置に配置される。
【0057】
一般に、偏光板64によりp偏光成分のみとされて被検眼Eに入射した測定光は、眼底Efでの散乱・反射によって偏光状態が変更される。したがって、被検眼Eからの戻り光は、p偏光成分とs偏光成分とが混在した光となる。このような戻り光は、対物レンズ51を通過し、ダイクロイックミラー52及び68により反射され、ロータリープリズム67を通過し、偏光ビームスプリッター66に導かれる。偏光ビームスプリッター66は、戻り光の偏光成分のうちs偏光成分のみを透過させる。偏光ビームスプリッター66を透過したs偏光成分は、フィールドレンズ71を通過し、反射ミラー72により反射され、リレーレンズ73を通過し、移動ユニット77に導かれる。
【0058】
ここで、対物レンズ51や角膜Kにて正反射した光は、p偏光成分を維持している。このような正反射光は、偏光ビームスプリッター66により反射されるため、収差測定受光系7に入射しない。これにより、ゴーストの発生を軽減することができる。
【0059】
移動ユニット77は、コリメータレンズ74と、ハルトマン板75と、エリアセンサー76とを含む。エリアセンサー76としては、例えば、Charge Coupled Device(CCD)イメージセンサー、又は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーが用いられる。
【0060】
移動ユニット77は、収差測定受光系7の光軸に沿って移動可能である。移動ユニット77は、ハルトマン板75が被検眼Eの瞳孔に対して光学的に略共役な位置に配置されるように、且つ、コリメータレンズ74の前側焦点位置が眼底Efに対して光学的に略共役な位置に配置されるように、被検眼Eの眼屈折力値に応じて光軸に沿って移動される。
【0061】
移動ユニット77に導かれた光は、コリメータレンズ74を通過し、ハルトマン板75に入射する。
【0062】
ハルトマン板75の例を
図2A及び
図2Bに示す。ハルトマン板75は、被検眼Eからの戻り光をパターン像として検出するための光学素子であり、戻り光から複数の集束光を生成するように機能する。ハルトマン板75は、2次元的に配列された複数のマイクロレンズ75A(マイクロレンズアレイ)を含む。複数のマイクロレンズ75Aは、例えば格子状に配列されている。各マイクロレンズ75Aに入射した光は、屈折されて集束光として出射される。
【0063】
図2Aに示すハルトマン板75は、エッチングやモールド等によりガラス板に形成された複数のマイクロレンズ75Aを含む。このようなハルトマン板75によれば、各マイクロレンズ75Aの開口を大きくとることができ、信号の強度を高められるというメリットがある。
【0064】
一方、
図2Bに示すハルトマン板75では、マイクロレンズ75Aの周囲に、クロム遮光膜等によって遮光部75Bが形成されている。本例における複数のマイクロレンズ75Aは、例えば、格子状、同心円状、又は、他のパターンで配列されている。
【0065】
エリアセンサー76の受光面は、複数のマイクロレンズ75Aの焦点面に配置されている。エリアセンサー76は、ハルトマン板75によって生成された複数の集束光を検出する。
【0066】
図3に示すように、エリアセンサー76の受光面には、複数のマイクロレンズ75Aにより生成された複数の集束光に対応する複数の点像A
1、・・・、B
1、・・・、C
1、・・・が形成される。複数の点像A
1、・・・、B
1、・・・、C
1、・・・は、被検眼Eの瞳孔Epにおける測定光の投射領域a
1、・・・、b
1、・・・、c
1、・・・に対応する。
【0067】
上記のように眼底Efとコリメータレンズ74の前側焦点位置とが互いに光学的に共役な関係にある場合、複数の点像A
1、・・・、B
1、・・・、C
1、・・・の重心位置の間隔が、複数のマイクロレンズ75Aの中心間距離(光軸間距離)と略等しくなる。
【0068】
このように、エリアセンサー76は、ハルトマン板75により形成された点像群を検出する。処理部9は、点像群を検出したエリアセンサー76からの検出信号と、点像群の検出位置を示す位置情報とを取得する。処理部9は、点像群の位置を解析することにより、ハルトマン板75に投射された光の波面収差を求める。一般的にはゼルニケの多項式に近似することで、被検眼Eの眼球収差特性(波面収差特性)が求められる。処理部9は、求められた眼球収差特性から被検眼Eの眼屈折力値を求めることが可能である。
【0069】
処理部9は、算出された眼屈折力値に基づいて、光源61と眼底Efとコリメータレンズ74の前側焦点位置とが互いに光学的に共役になるように、移動ユニット69及び移動ユニット77をそれぞれ光軸方向に移動させることができる。更に、処理部9は、移動ユニット69及び移動ユニット77の移動に連動して、移動ユニット46を光軸方向に移動させることが可能である。また、移動ユニット69、移動ユニット77及び移動ユニット46のうちのいずれか2つを一体的に構成し、2つの駆動機構によってこれら3つの移動ユニットを移動するようにしてもよい。或いは、移動ユニット69、移動ユニット77及び移動ユニット46を一体的に構成し、単一の駆動機構によってこれら3つの移動ユニットを移動するようにしてもよい。
【0070】
(処理系の構成)
実施形態に係る眼科装置の処理系について説明する。眼科装置の処理系の機能的構成の例を
図4に示す。
【0071】
ヘッド部200には、Zアライメント系1、XYアライメント系2、プラチド指標投影系3、視標投影系4、観察系5、収差測定投射系6、収差測定受光系7等の各種光学系が設けられている。更に、ヘッド部200には、光学部材や光学素子の動作や移動を担う要素(機構、電気回路等)が設けられている。ヘッド部200に設けられた光学系の動作や、それに付随する要素の動作は、制御部100によって制御される。
【0072】
移動機構210は、ヘッド部200を3次元的に移動する。移動機構210は、前述の架台を前後上下左右に移動する。移動機構210は、例えば、電気的に又は非電気的に駆動される。
【0073】
電気的駆動の場合、移動機構210は、モーターと、このモーターにより発生された駆動力に基づきヘッド部200を移動する機構とを含む。更に、移動機構210の動作は、制御部100によって制御される。
【0074】
非電気的駆動の場合、移動機構210は、操作レバー等に対して検者が印加した力を伝達してヘッド部200を移動する機構を含む。この場合、移動機構210は、モーターを含まなくてよい。
【0075】
移動機構210は、例えば、ヘッド部200の位置を検出するセンサー、又は、移動機構210の状態を検出するセンサーを備えていてよい。センサーからの出力は、制御部100に送られる。
【0076】
制御部100、データ処理部300、及び通信部500は、例えば、処理部9に設けられる。ユーザインターフェイス部400は、例えば、処理部9、眼科装置の筐体等に設けられる。或いは、ユーザインターフェイス部400は、眼科装置本体に接続されたデバイスを含んでもよい。
【0077】
(制御部100)
制御部100は、眼科装置の各部を制御するプロセッサを含む。制御部100は、表示制御部101と、報知制御部102と、記憶部110とを含む。
【0078】
記憶部110には、眼科装置を制御するためのコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。コンピュータプログラムには、光学系制御プログラム、ユーザインターフェイス制御プログラム等が含まれる。このようなコンピュータプログラムにしたがって制御部100は各種の制御を実行する。
【0079】
Zアライメント系1に対する制御は、Zアライメント光源11の制御、ラインセンサー13の制御などを含む。XYアライメント系2に対する制御は、XYアライメント光源21の制御などを含む。プラチド指標投影系3に対する制御は、プラチド光源32の制御などを含む。視標投影系4に対する制御は、光源41の制御、視標チャート42の制御、移動ユニット46の移動制御などを含む。観察系5に対する制御は、エリアセンサー56の制御、図示しない前眼部照明光源の制御などを含む。収差測定投射系6に対する制御は、光源61の制御、ロータリープリズム67の制御、移動ユニット69の制御などを含む。収差測定受光系7に対する制御は、エリアセンサー76の制御、移動ユニット77の移動制御などを含む。
【0080】
(表示制御部101)
表示制御部101は、ユーザインターフェイス部400の表示部410に各種情報を表示させる。表示部410に表示される情報には、眼科装置により取得された情報や、外部から取得された情報がある。眼科装置により取得された情報の例として、他覚測定データ、これに基づく画像や情報、自覚検査データ、これに基づく画像や情報などがある。
【0081】
詳細については後述するが、表示制御部101は、アライメントに関する情報と、収差測定投射系6及び収差測定受光系7により検出された点像群(パターン像)とを表示部410に表示させることができる。
【0082】
(報知制御部102)
報知制御部102は、所定の情報を報知するための制御を行う。例えば、報知制御部102は、パターン像にゴースト(フレア、ノイズ光)が含まれるときに報知を行うことができる。
【0083】
報知の態様は任意である。一般に、報知は情報の出力を含み、その例として、表示出力、音声出力、印刷出力、情報付帯などがある。
【0084】
表示出力を行う場合、報知制御部102は、表示部410及び/又は外部の表示デバイスに、所定の視覚情報を表示させる。表示出力のみが採用される場合、報知制御部102は表示制御部101と一体であってよい。
【0085】
音声出力を行う場合、報知制御部102は、図示しない音声出力装置に所定の聴覚情報を出力させる。
【0086】
印刷出力を行う場合、報知制御部102は、図示しない印刷装置に所定の視覚情報を出力させる。
【0087】
情報付帯を行う場合、報知制御部102は、電子カルテデータ、測定データ、画像データ、解析データ等の所定の医療データに、所定の視覚情報(及び聴覚情報)を付帯させる。情報付帯は、医療データのフォーマットや通信プロトコルに準拠した方法で実行される。例えば、報知制御部102は、電子カルテシステムのフォーマット、画像通信規格(DICOM等)のフォーマットなどにしたがって、医療データに情報を付帯させる。
【0088】
(データ処理部300)
データ処理部300は、各種のデータ処理を実行するプロセッサを含む。データ処理部300は、記憶部110に格納されているコンピュータプログラム、データ処理部300内の記憶装置に格納されているコンピュータプログラム、外部から提供されたコンピュータプログラムなどにしたがって動作する。
【0089】
データ処理部300は、光学系により取得されたデータを処理して検査データ(測定データ、画像データ、解析データ等)を生成することができる。
【0090】
例えば、データ処理部300は、Zアライメント系1のラインセンサー13から出力された信号を処理することで、ラインセンサー13に対する光の投影位置を求めることができる。更に、データ処理部300は、求められた投影位置に基づいて、移動機構210の制御内容(Z方向における移動方向及び移動量)を求めることができる。制御部100は、データ処理部300により求められた制御内容に基づき移動機構210を制御することによりZアライメントを行うことができる。
【0091】
また、データ処理部300は、観察系5のエリアセンサー56から出力された映像信号を処理することで、XYアライメント系2に基づく輝点像Brの位置を求めることができる(
図1を参照)。更に、データ処理部300は、求められた輝点像Brの位置に基づいて、移動機構210の制御内容(X方向における移動方向及び移動量、並びに、Y方向における移動方向及び移動量)を求めることができる。制御部100は、データ処理部300により求められた制御内容に基づき移動機構210を制御することによりXYアライメントを行うことができる。
【0092】
また、データ処理部300は、エリアセンサー56から出力された映像信号を処理することで、プラチド指標投影系3に基づくプラチドリング像を検出することができる。更に、データ処理部300は、検出されたプラチドリング像に公知の演算処理を適用することにより、被検眼Eの角膜形状パラメータを求めることができる。
【0093】
また、データ処理部300は、収差測定受光系7のエリアセンサー76から出力された信号に公知の演算処理を適用することにより、被検眼Eの眼球収差特性を求めることができる。
【0094】
データ処理部300は、判定部310を含む。判定部310は、収差測定投射系6及び収差測定受光系7によって検出されたパターン像(点像群)を解析してゴーストの有無を判定する。
【0095】
ゴーストの有無の判定は、例えば、パターン像におけるゴーストの存在/不存在の判定と、閾値以上のゴーストがパターン像に存在するか否かの判定とのうち、少なくとも一方を含んでよい。前者は、眼内レンズ等に起因するノイズ光(ゴースト)がパターン像に混入しているか否かの判定である。一方、後者は、眼内レンズ等に起因するノイズ光(ゴースト)がどの程度パターン像に混入しているかを基準とした判定である。
【0096】
第1実施形態の判定部310は、例えば、収差測定投射系6及び収差測定受光系7によって検出されたパターン像(点像群)の輝度が所定条件を満足するか判定するように構成される。この所定条件は予め設定される。このような判定部310は、第1判定部に相当する。以下、判定部310が実行する処理の例を説明する。
【0097】
第1の例において、判定部310は、パターン像を構成する複数の画素のうち、閾値以上の輝度値を有する画素が存在するか否か判定する。そのような画素が存在する場合、判定部310は、上記の所定条件が満足されたと判定する。
【0098】
第2の例において、判定部310は、パターン像を構成する複数の画素のうち、閾値以上の輝度値を有する画素の個数を求める。更に、判定部310は、求められた個数が所定個数以上であるか判定する。この個数が所定個数以上であると判定された場合、判定部310は、上記の所定条件が満足されたと判定する。
【0099】
第3の例において、判定部310は、パターン像を構成する複数の画素の少なくとも一部の画素について、輝度値の統計値を求める。この統計値は、例えば次のいずれかであってよい:積分値;平均;中央値;最頻値;分散;標準偏差;最大値;最大値と最小値との差。判定部310は、求められた統計値を閾値と比較する。統計値が閾値以上であると判定された場合、判定部310は、上記の所定条件が満足されたと判定する。なお、適用される統計値の種別に応じて、閾値は事前に設定される。
【0100】
パターン像が所定条件を満足すると判定部310により判定されたとき、報知制御部102は、この判定結果を報知することができる。また、パターン像が所定条件を満足すると判定部310により判定されたとき、表示制御部101は、パターン像の表示を開始することができる。
【0101】
(ユーザインターフェイス部400)
ユーザインターフェイス(UI)部400は、ユーザ(検者、被検者)と眼科撮影装置との間で情報のやりとりを行うための機能を備える。ユーザインターフェイス部400は、表示部410と操作部420とを含む。
【0102】
表示部410は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)を含む。表示部410は、例えば、
図1に示す表示装置10を含む。眼科装置は表示部410を含まなくてもよい。この場合、眼科装置に接続された外部表示装置(例えば表示装置10)が使用される。
【0103】
操作部420は、眼科装置を操作するために使用され、各種のハードウェアキー及び/又はソフトウェアキーを含む。ハードウェアキーは、例えば、レバー、ジョイスティック、ボタン、スイッチなどを含む。ソフトウェアキーは、例えば、タッチパネル式の表示画面(例えば表示画面10a)に表示されるボタン、アイコン、メニューなどを含む。
【0104】
(通信部500)
通信部500は、図示しない外部装置との間でデータの送信/受信を行うための通信インターフェイスを含む。
【0105】
〈動作〉
実施形態に係る眼科装置の動作について説明する。動作の例を
図5に示す。
【0106】
(S1:前眼部の動画撮影を開始)
制御部100は、観察系5を制御して被検眼Eの前眼部の動画撮影を開始する。それにより、エリアセンサー56から制御部100への映像信号の供給が開始される。映像信号は、所定の時間間隔で繰り返し供給される。
【0107】
(S2:アライメントデータの取得を開始)
制御部100は、Zアライメント系1を制御して、被検眼Eに対するZアライメントのための光(Zアライメント指標)の投射を開始する。それにより、Zアライメント系1のラインセンサー13から制御部100への信号の供給が開始される。この信号は、所定の時間間隔で繰り返し供給される。
【0108】
更に、制御部100は、XYアライメント系2を制御して、被検眼Eに対するXYアライメントのための光(XYアライメント指標)の投射を開始する。それにより、エリアセンサー56は、前眼部像とともにXYアライメント指標の像を検出する。つまり、XYアライメント指標の像に相当する信号が、エリアセンサー56から制御部100に供給される映像信号に含まれる。
【0109】
(S3:パターン像の検出を開始)
制御部100は、収差測定投射系6を制御して、被検眼Eに対する測定光の投射を開始する。それにより、収差測定受光系7は、ハルトマン板75により生成される点像群(パターン像)の検出を開始する。収差測定受光系7は、パターン像の検出を所定の時間間隔で繰り返す。パターン像の検出結果(映像信号)は、所定の時間間隔で繰り返し制御部100に供給される。
【0110】
ステップS1〜3に示す3つの処理の実行順序は本例に限定されない。例えば、これら3つの処理を任意の順序で順次に実行することができる。或いは、これら3つの処理のうちのいずれか2つ又は全てを並行して行うことができる。
【0111】
これら3つの処理とは異なる処理を更に行うことも可能である。例えば、制御部100は、視標投影系4を制御して、被検眼Eに固視標を呈示することができる。
【0112】
(S4:前眼部像・アライメント情報・パターン像の表示を開始)
表示制御部101は、観察系5のエリアセンサー56から所定の時間間隔で供給される映像信号に基づいて、前眼部の動画像(前眼部像E´)と、XYアライメント指標の像(輝点像Br)とを、表示部410に表示させる。
【0113】
更に、表示制御部101は、収差測定受光系7から所定の時間間隔で供給される映像信号に基づいて、パターン像を表示部410に表示させる。
【0114】
ステップS4で表示される情報の例を
図6に示す。表示制御部101は、表示部410に画面600を表示させる。符号601は、観察系5からの映像信号に基づく前眼部像を示す。表示制御部101は、観察系5からの映像信号の供給レートに応じて、前眼部像601のフレームを更新する。それにより、前眼部像601は動画像として表示される。
【0115】
符号611は、XYアライメントの目標範囲であるXYアライメントマークを示す。XYアライメントマーク611は、所定のサイズを有し、前眼部像601のフレームの所定の位置に重畳表示される。
【0116】
符号612は、輝点像として表示されるXYアライメント指標像を示す。前眼部像601のフレームの更新にしたがって、換言すると、XYアライメントの状態の経時的変化にしたがって、前眼部像601のフレームにおけるXYアライメント指標像612の位置が変化する。
【0117】
符号620は、Zアライメントの状態(ラインセンサー13に対する光の投影位置)を表すZアライメント指標像を示す。Zアライメント指標像620の個数が、Zアライメントのずれ量の大きさを表す。
【0118】
更に、表示制御部101は、収差測定受光系7からの映像信号に基づいてパターン像630を表示させる。表示制御部101は、収差測定受光系7からの映像信号の供給レートに応じて、パターン像630のフレームを更新する。それにより、パターン像630は動画像として表示される。
【0119】
(S5:ゴーストの判定を開始)
ステップS3におけるパターン像の検出が開始されたことを受けて、制御部100は、判定部310によるゴーストの有無の判定を開始させる。
【0120】
(S6:マニュアルアライメントを開始)
画面600に表示されたら、検者は、マニュアルアライメントを開始することができる。アライメントの操作は、操作部420を用いて行われる。
【0121】
(S7:ヘッド部を移動)
検者は、画面600に表示されている情報を参照しつつアライメントを行う。具体的には、検者は、前眼部像601によって被検眼Eの状態を把握しつつ、次の操作を行う:ヘッド部200をX方向及びY方向に移動させて、XYアライメント指標像612をXYアライメントマーク611内に誘導する;ヘッド部200をZ方向に移動させて、Zアライメント指標像620の個数を減少させる。なお、ヘッド部200の移動は、移動機構210を制御することによって行われる。
【0122】
本例では、このようなマニュアルアライメントにおいて、検者は、パターン像630を参照することができる。例えば、被検眼EがIOL眼である場合、眼内レンズでの反射に起因するノイズ光がパターン像630に混入することがある。典型的には、このようなノイズ光は、測定光の眼底反射光よりも明るい。したがって、眼内レンズに起因するノイズ光が混入している場合、パターン像630の一部の輝度が異常に高くなる。検者は、パターン像630を観察しつつアライメントを行うことで、ノイズ光が混入しない位置に、又は、許容できる程度のノイズ光が混入している位置に、ヘッド部200を配置させることができる。
【0123】
(S8:ゴーストあり?)
ステップS5で開始されたゴーストの判定において、パターン像にゴーストが含まれていないと判定された場合(S8:No)、処理はステップS10に移行する。一方、パターン像にゴーストが含まれていると判定された場合(S8:Yes)、処理はステップS9に移行する。
【0124】
(S9:報知)
ステップS8においてパターン像にゴーストが含まれていると判定された場合(S8:Yes)、報知制御部102は、ゴーストが存在することを表す報知情報を出力するための制御を行う。本ステップにおける報知は、例えば、ゴーストが存在することを表すメッセージ又は画像の表示、警告音の出力等を含んでよい。
【0125】
本ステップにおける報知は、画面600に表示されているオブジェクトの表示態様の切り替えであってもよい。例えば、報知制御部102は、画面600に表示されているアライメント情報の表示態様を変更することができる。例えば、ゴーストが存在すると判定された場合、報知制御部102は、XYアライメントマーク611の表示色を変更したり、XYアライメントマーク611を点滅表示させたりすることができる。或いは、所定閾値以上のゴーストが存在すると判定された場合、報知制御部102は、アライメント情報の表示態様を変更することができる。
【0126】
また、パターン像に含まれているゴーストの程度に応じて、報知情報の態様を切り替えることができる。例えば、パターン像に含まれているゴーストの程度に応じて、XYアライメントマーク611の表示色を「青」、「黄」、「赤」等に切り替えることができる。
【0127】
このような報知によれば、検者は、パターン像にゴーストが混入していることや、どの程度のゴースト光が混入しているかを、容易に把握することができる。特に、パターン像の観察に不慣れな検者であっても、パターン像に異常が生じていることを容易に把握することができる。
【0128】
(S10:アライメント完了?)
このようなマニュアルアライメントを行うことで、検者は、ヘッド部200を所望の位置に配置させる。理想的には、XYアライメント指標像612がXYアライメントマーク611内に配置され、Zアライメント指標像620が表示されず、且つ、ゴーストを含まないパターン像630が得られる位置に、ヘッド部200が配置される。
【0129】
これに対し、XYアライメントの状態、Zアライメントの状態、及び、パターン像630の状態のうちの少なくともいずれか1つについて「妥協」しなければならない場合がある。例えば、ノイズ光の無い(又はノイズ光が少ない)パターン像630を得るために、XYアライメント指標像612がXYアライメントマーク611の枠上又は枠外に配置された状態を許容する場合がある。また、パターン像630の状態よりもアライメントの状態を優先する場合がある。
【0130】
アライメント完了の判断は、検者によってなされる。検者は、操作部420を用いて所定の操作を行うことによってアライメント完了を指示することが可能である(S10:Yes)。
【0131】
(S11:被検眼を測定)
アライメント完了の指示が入力されると、制御部100は、光学系等を制御して被検眼Eの測定を行う。本例では、次のような一連の処理によって測定を行うことができる。
【0132】
なお、測定が開始される前に、画面600に提示されている情報の少なくとも一部を変更することができる。例えば、パターン像630の表示を終了させることができる。逆に、測定が行われている期間の少なくとも一部において、パターン像630を表示させることができる。
【0133】
ここで、パターン像630の表示のオン/オフを操作部420を用いて設定できるように構成することができる。例えば、操作部420は、パターン像630の表示をオンするためのハードウェアキー又はソフトウェアキーと、パターン像630の表示をオフするためのハードウェアキー又はソフトウェアキーとの一方又は双方を含んでいてよい。
【0134】
ユーザが「表示オフ」を設定した場合には光源61が消灯され、「表示オン」を設定した場合には光源61が点灯される。本例では、「表示オン」が設定される。
【0135】
また、詳しくは後述するが、パターン像630の表示のオン/オフを自動で選択するように眼科装置を構成することも可能である。
【0136】
さて、本例の測定では、まず仮測定が行われる。仮測定では、例えば、風景チャート等の固視標が用いられる。この固視標は、視標チャート42に表示され、アライメントの開示時から被検眼Eに提示されている。制御部100による制御の下に、収差測定投射系6及び収差測定受光系7は、被検眼Eに測定光を投射し、その戻り光に基づくパターン像(点像群)をエリアセンサー76にて検出する。
【0137】
データ処理部300は、エリアセンサー76により検出されたパターン像に基づいて被検眼Eの屈折力値を求める。更に、データ処理部300(又は制御部100)は、算出された眼屈折力値に基づいて、移動ユニット46、69及び77のそれぞれの移動目標位置を決定する。制御部100は、決定された移動目標位置(被検眼Eの屈折力を打ち消す位置)に移動ユニット46、69及び77のそれぞれを配置させる。ここで、移動ユニット46、69及び77が好適な位置に配置されるまで、上記制御を繰り返すようにしてもよい。なお、前述したように、移動ユニット46、69及び77を個別に移動させてもよいし、これらのうちのいずれか2つを一体的に移動させてもよいし、これら全てを一体的に移動させてもよい。
【0138】
移動ユニット46、69及び77が被検眼Eの屈折力に対応する位置に配置されたら、制御部100は、少なくとも移動ユニット46を当該位置から例えば1.5ディオプターだけ遠視側に移動させる。これにより、被検眼Eを雲霧させることができる。
【0139】
続いて、処理は本測定に移行する。制御部100による制御の下に、収差測定投射系6及び収差測定受光系7は、測定光の戻り光に基づくパターン像(点像群)をエリアセンサー76にて再び検出する。データ処理部300は、このパターン像を解析することで、被検眼Eの眼球収差特性を測定する。更に、プラチド指標投影系3を用いた角膜形状測定や、視標投影系4を用いた自覚検査などを行うことができる。
【0140】
(S12:アライメントずれ≧閾値?)
報知制御部102は、アライメントのずれ量が閾値以上であるか判定する。この閾値は、例えば、測定の種別、眼科装置の種別、要求される測定精度などに基づいて、予め設定される。
【0141】
判定は、測定後、測定前、及び測定中のいずれかのタイミングで実行される。また、アライメントのずれ量の検出も、測定後、測定前、及び測定中のいずれかのタイミングで実行される。判定において参照されるアライメントのずれ量は、ステップS6〜S10の間において取得された値でもよいし、その後に新たに取得された値でもよい。
【0142】
アライメントのずれ量の検出は、例えば、XYアライメント指標像612を利用して行われる。典型的には、データ処理部300が、フレームの所定位置(例:XYアライメントマーク611の中心又は枠)に対するXYアライメント指標像612の偏位を求める。報知制御部102は、この偏位の大きさを閾値と比較する。Zアライメントのずれ量を考慮する場合も同様の判定を行うことができる。
【0143】
アライメントのずれ量が閾値以上であると報知制御部102が判定した場合(S12:Yes)、処理は、ステップS13に移行する。一方、アライメントのずれ量が閾値未満であると報知制御部102が判定した場合(S12:No)、処理は、ステップS13をスキップしてステップS14に移行する。
【0144】
(S13:報知情報を表示)
アライメントのずれ量が閾値以上であると判定された場合(S12:Yes)、報知制御部102は、所定の報知情報を表示部410に表示させる。この報知情報は、例えば、アライメントが通常よりも不十分な状態で測定が行われたことを示す情報、又は、測定結果の信頼性(確度、精度など)が通常よりも低いことを示す情報を含む。
【0145】
なお、前述したように、報知の態様は表示には限定されず、音声出力、印刷出力、情報付帯などの任意の態様が含まれていてよい。
【0146】
(S14:測定結果を表示)
表示制御部101は、ステップS11の測定により取得されたデータを表示部410に表示させる。ステップS13が行われた場合、表示部410には、測定結果と報知情報とが表示される。以上で、本例の説明は終了である。
【0147】
〈効果〉
実施形態に係る眼科装置が奏する効果の幾つかについて説明する。
【0148】
実施形態に係る眼科装置は、被検眼を光学的に検査するための機能を備える。更に、実施形態に係る眼科装置は、次のような光学系、アライメント系、及び判定部を含む。
【0149】
光学系は、被検眼の眼底に向けて光束を投射し、その戻り光をパターン像として検出する。第1実施形態において、光学系は、被検眼の眼底に向けて光束を投射する収差測定投射系6と、この測定光の戻り光をパターン像として検出する収差測定受光系7とを含む。
【0150】
アライメント系は、被検眼に対する光学系のアライメントを行うために動作する。第1実施形態において、アライメント系は、マニュアルアライメントのための構成を含んでよい。マニュアルアライメントのための構成は、例えば、操作部420、移動機構210、及び制御部100を含む。また、アライメント系は、オートアライメントのための構成を含んでよい。オートアライメントのための構成は、例えば、Zアライメント系1、XYアライメント系2、観察系5、移動機構210、及び制御部100を含む。
【0151】
判定部は、アライメント系によりアライメントが行われているときに、光学系により検出されたパターン像を解析してゴーストの有無を判定する。第1実施形態において、判定部は、判定部310を含む。
【0152】
このような実施形態に係る眼科装置は、測定前や測定中にパターン像を解析してゴースト(ノイズ光)が含まれていないか判定するように構成されている。それにより、検者は、眼内レンズ等に起因するノイズ光がパターン像に混入していないか確認することができる。或いは、ゴーストが検出されたときに所望の制御を行うように眼科装置を構成することができる。
【0153】
したがって、測定エラーの発生を回避することができ、IOL眼等の検査を好適に行うことができる。なお、特許文献1に記載の技術では、測定後にパターン像を表示しているので、このような効果を得ることは不可能である。
【0154】
実施形態において、判定部は、光学系により検出されたパターン像の輝度が所定条件を満足するか判定する第1判定部を含んでいてよい。第1実施形態では、判定部310が第1判定部に相当する。
【0155】
実施形態において、アライメントの後に被検眼の光学的な検査が行われているときに、判定部は、光学系により検出されたパターン像を解析してゴーストの有無を判定することが可能である。
【0156】
このような構成によれば、アライメント中だけでなく、検査中(測定中)においてもパターン像の状態(ノイズ光の混入の有無・程度など)を確認することができる。したがって、検査を開始した後にノイズ光の混入や増大が発生した場合に、これを検出することが可能である。
【0157】
実施形態において、眼科装置は、パターン像にゴーストが含まれると判定部により判定されたことを報知する報知制御部を含んでいてよい。
【0158】
このような構成によれば、ノイズ光がパターン像に混入していることや、所定閾値以上のノイズがパターン像に含まれていることを、検者、被検者、その他の者に知らせることができる。
【0159】
実施形態において、光学系は、被検眼からの戻り光からパターン光を生成する光学素子と、生成されたパターン光をパターン像として検出するイメージセンサーとを含んでいてよい。第1実施形態では、戻り光から複数の集束光を生成するハルトマン板75が光学素子に相当し、複数の集束光を点像群として検出するエリアセンサー76がイメージセンサーに相当する。なお、光学系の構成はこれに限定されない。例えば、光学系は、リング状の開口又は透過部を有する光学素子と、この光学素子により生成されたリング状のパターン光をリング像として検出するイメージセンサーとを含んでいてよい。ここで、「パターン」は、「配列のパターン」と「形状のパターン」とのいずれか一方又は双方を含んでよい。
【0160】
他の実施形態において、光学系は、所定パターンの光束を眼底に向けて投射する投射光学系を含んでいてよい。投射光学系は、例えば、所定パターンの光(例:リング光)、複数の光束、又は走査光束を出力可能に構成される。
【0161】
実施形態において、光学系は、パターン像の検出を反復的に実行することができる。更に、判定部は、光学系によるパターン像の検出の反復に応じてゴーストの有無の判定を反復的に実行することができる。
【0162】
このような構成によれば、繰り返し取得されるパターン像をリアルタイムで解析してゴーストの有無を判定することができる。それにより、パターン像に混入するノイズ光の状態をより詳細に且つリアルタイムで把握することが可能となる。
【0163】
実施形態において、眼科装置は、アライメントが行われているときに、アライメントのための所定の情報と、光学系により検出されたパターン像とを表示手段に表示させる表示制御部を含んでいてよい。第1実施形態において、表示制御部は、表示制御部101を含む。また、アライメント情報の例として、第1実施形態は、XYアライメントマーク611、XYアライメント指標像612、Zアライメント指標像620などを表示することができる。また、パターン像の例として、パターン像630を表示することができる。なお、表示手段は、実施形態に係る眼科装置に含まれてもよいし、含まれなくてもよい。第1実施形態の表示部410は、前者の例である。後者の場合、眼科装置に接続された表示デバイスを表示制御部が制御可能な構成が適用される。
【0164】
このような構成によれば、アライメント情報だけでなくパターン像も表示することができる。したがって、検者は、パターン像を観察することで、眼内レンズ等に起因するノイズ光がパターン像に混入していないか確認することができる。それにより、測定エラーの発生を回避することができ、IOL眼等の検査を好適に行うことができる。なお、特許文献1に記載の技術では、測定後にパターン像を表示しているので、このような効果を得ることは不可能である。
【0165】
〈第2実施形態〉
第2実施形態に係る眼科装置は、第1実施形態に係る眼科装置とほぼ同様の構成を備える。特に言及しない限り、第1実施形態と同じ構成が適用されるものとする。なお、これは、第1実施形態と異なる構成を適用することを排除するものではない。
【0166】
第2実施形態に係る眼科装置の処理系の構成例を
図7に示す。第2実施形態では、第1実施形態のデータ処理部300の代わりに、データ処理部302が設けられる。
【0167】
データ処理部302は、演算部321と、判定部322とを含む。演算部321は演算部の例であり、判定部322は第2判定部の例である。演算部321と判定部322との組み合わせは、判定部に相当する
【0168】
演算部321は、光学系により検出されたパターン像を解析して屈折力値を求める。この処理は、第1実施形態と同様にして実行される。演算部321により求められた屈折力値は、被検眼Eの屈折力を忠実に表すものでない可能性がある。例えば、被検眼EがIOL眼である場合において、眼内レンズに起因するノイズ光(ゴースト)がパターン像に混入し、ゴーストからなる輝点を眼底反射による輝点と誤認して屈折力の演算を行うと、強度遠視や超強度遠視に相当する屈折力値が得られることがある。
【0169】
判定部322は、演算部321により求められた屈折力値が閾値以上であるか判定する。この閾値は、例えば、強度遠視又は超強度遠視に相当する屈折力の範囲に基づいて設定される。一例において、強度遠視(又は超強度遠視)に相当する屈折力の範囲の最小値を、閾値に設定することができる。
【0170】
屈折力値が閾値以上であると判定部322により判定されたとき、報知制御部102は、この判定結果を報知することができる。また、屈折力値が閾値以上であると判定部322により判定されたとき、表示制御部101は、パターン像の表示を開始することができる。ここで、検者は、パターン像にゴーストが混入しているか否か確認することができる。パターン像にゴーストが混入していない場合、検者は、被検眼Eが既定閾値を超える遠視眼であると判断し、判定部322により得られた「ゴースト有り」判定を解除することができる。
【0171】
このような実施形態によれば、パターン像に基づき算出された屈折力値に応じてゴーストの有無を判定することができる。
【0172】
〈第3実施形態〉
第3実施形態に係る眼科装置は、第1実施形態(又は第2実施形態)に係る眼科装置とほぼ同様の構成を備える。特に言及しない限り、第1実施形態と同じ構成が適用されるものとする。なお、これは、第1実施形態と異なる構成を適用することを排除するものではない。
【0173】
第3実施形態に係る眼科装置の処理系の構成例を
図8に示す。第3実施形態では、第1実施形態の移動機構210の代わりに、移動機構211が設けられる。移動機構211は、電動的に駆動する。具体的には、移動機構211は、モーター212を含み、モーター212により発生された駆動力に基づきヘッド部200を移動するように構成される。
【0174】
更に、第3実施形態では、第1実施形態の制御部100の代わりに、制御部100Aが設けられる。制御部100Aは、移動制御部103を含む。移動制御部103は、アライメントデータ取得部により取得されたデータに基づいて、移動機構211のモーター212を制御する。移動制御部103は、データ処理部300とともに、移動制御部の一例を構成する。
【0175】
ここで、アライメントデータ取得部は、アライメントを行うためのデータを取得するよう構成される。アライメントデータ取得部は、例えば、XYアライメントのためのデータを取得するXYアライメント系2及び観察系5を含んでよい。この場合、アライメントデータ取得部は、観察系5からの出力に基づいてXYアライメントのずれを求めるデータ処理部300を更に含んでもよい。
【0176】
また、アライメントデータ取得部は、例えば、Zアライメントのためのデータを取得するZアライメント系1を含んでよい。この場合、アライメントデータ取得部は、Zアライメント系1からの出力に基づいてZアライメントのずれを求めるデータ処理部300を更に含んでもよい。
【0177】
移動制御部103(及びデータ処理部300)は、アライメントデータ取得部により取得されたデータに基づきモーター212を制御することにより、通常のアライメントを行うことができる。このアライメントは、例えば、第1実施形態と同様のXYアライメント及びZアライメントのいずれか一方又は双方を含んでよい。アライメントを実行するための制御は、第1制御に相当する。
【0178】
このようなアライメントを実行した後に、移動制御部103(及びデータ処理部300)は、アライメントデータ取得部により取得されたデータと、収差測定投射系6及び収差測定受光系7により検出されたパターン像とに基づいてモーター212を制御することができる。この制御は、第2制御に相当する。第2制御は、第1制御により達成されたアライメント状態を、パターン像を加味して修整するために行われる。このアライメントの修整についても、被検眼に対する光学系の位置を調整する動作であるから、(広義の)アライメントに含まれる。
【0179】
第2制御については、例えば、アライメント状態とパターン像の状態とのいずれを優先するかが、予め又は処理中に設定されてよい。或いは、アライメント状態の許容範囲と、パターン像の状態の許容範囲とが、予め又は処理中に設定されてよい。
【0180】
アライメント状態は、例えば、フレームの所定位置(例:XYアライメントマーク611の中心又は枠)に対するXYアライメント指標像612の偏位の大きさに基づき評価される。また、アライメント状態は、例えば、ラインセンサー13の特定の受光素子(例えば、ライン配列の中央に位置する受光素子)の位置に対する、角膜反射光を検出した受光素子の位置の偏位の大きさに基づき評価される。
【0181】
パターン像の状態は、例えば、第1実施形態の判定部310と同様に、収差測定投射系6及び収差測定受光系7によって検出されたパターン像の輝度に基づき評価される。なお、
図8に示すデータ処理部300は、第1実施形態と同様であるが、第3実施形態のデータ処理部はこれに限定されない。例えば、データ処理部300の代わりに、第2実施形態のデータ処理部302を適用することができる。
【0182】
第3実施形態に係る眼科装置の動作の例を
図9に示す。
【0183】
(S21:アライメントを開始)
まず、アライメントが開始される。アライメントは、自動アライメント(オートアライメント)でも手動アライメント(マニュアルアライメント)でもよい。
【0184】
(S22:ヘッド部を移動)
オートアライメントの場合、移動制御部103(及びデータ処理部300)は、例えば、XYアライメントマーク611に対するXYアライメント指標像612の偏位を打ち消すようにモーター212を制御する。また、移動制御部103(及びデータ処理部300)は、例えば、Zアライメント系1のラインセンサー13の特定の受光素子に角膜反射光が投射されるようにモーター212を制御する。
【0185】
マニュアルアライメントの場合、例えば、第1実施形態の
図5のステップS6〜S7と同様の処理が実行される。
【0186】
(S23:アライメント完了?)
オートアライメントは、例えば、ラインセンサー13の特定の受光素子に角膜反射光が投射されている状態と、XYアライメント指標像612がXYアライメントマーク611内に位置している状態とが両立されたときに完了となる。
【0187】
マニュアルアライメントは、第1実施形態と同様に、検者の判断にしたがって完了となる。
【0188】
(S24:パターン像を取得)
制御部100は、収差測定投射系6を制御して、被検眼Eに対する測定光の投射を開始する。それにより、収差測定受光系7は、ハルトマン板75により生成される点像群(パターン像)の検出を開始する。
【0189】
本例では、第1実施形態の
図5に示す動作例と異なり、パターン像の検出を繰り返し行う必要はない。
【0190】
(S25:ゴーストあり?)
データ処理部300は、ステップS24で取得されたパターン像にゴーストが含まれているか判定する。この処理は、例えば、第1実施形態の判定部310と同様にして実行される。
【0191】
パターン像にゴーストが含まれていないと判定された場合(S25:No)、処理はステップS28に移行する。一方、パターン像にゴーストが含まれていると判定された場合(S25:Yes)、処理はステップS26に移行する。
【0192】
(S26:アライメントを修整)
ステップS25においてパターン像にゴーストが含まれていると判定された場合(S25:Yes)、移動制御部103及びデータ処理部300は、アライメント状態を修整するための処理を実行する。
【0193】
例えば、制御部100は、ヘッド部200の移動と、アライメント状態の判定と、パターン像の状態の判定とを実行させる。ヘッド部200の移動は、移動制御部103(及びデータ処理部300)により実行される。アライメント状態の判定は、Zアライメント系1、XYアライメント系2、データ処理部300等によって実行される。パターン像の状態の判定は、収差測定投射系6、収差測定受光系7、データ処理部300等によって実行される。
【0194】
典型的には、ヘッド部200の移動に伴って、アライメントデータとパターン像とをそれぞれ2回以上取得する。アライメント状態については、2つ以上のアライメントデータを比較することにより、ヘッド部200の移動目標位置を決定することができる。或いは、ヘッド部200を移動させながらアライメントずれが小さくなる位置を探索するようにしてもよい。
【0195】
(S27:ゴーストあり?)
データ処理部300は、ステップS25よりも後に取得されたパターン像にゴーストが含まれているか判定する。この処理は、ステップS25と同様にして実行される。
【0196】
パターン像にゴーストが含まれていないと判定された場合(S27:No)、処理はステップS28に移行する。一方、パターン像にゴーストが含まれていると判定された場合(S27:Yes)、処理はステップS26に戻る。
【0197】
ステップS26〜S27の繰り返しは、例えば、アライメント状態とパターン像の状態との双方が好適になるまで継続される。或いは、アライメント状態とパターン像の状態とのうちの一方(優先される側)が好適になり、且つ、他方が許容範囲に含まれる状態になるまで、ステップS26〜S27の繰り返しを継続するようにしてもよい。この許容範囲は、通常の許容範囲よりも広く設定されてよい。
【0198】
ステップS26〜S27の繰り返しが所定時間(又は所定回数)継続されたとき、制御部100は、アライメントモードをマニュアルアライメントに切り替えることできる。或いは、ステップS26〜S27の繰り返しが所定時間(又は所定回数)継続されたとき、制御部100は、マニュアルアライメントへの切り替えを促す情報や、警告情報を、表示部410に表示させることができる。
【0199】
(S28:被検眼を測定)
ステップS27においてパターン像にゴーストが含まれていないと判定されると(S27:No)、第1実施形態の
図5のステップS11と同じ要領で、被検眼Eの測定が行われる。
【0200】
(S29:アライメントずれ≧閾値?)
第1実施形態の
図5のステップS12と同じ要領で、報知制御部102は、アライメントのずれ量が閾値以上であるか判定する。
【0201】
アライメントのずれ量が閾値以上であると報知制御部102が判定した場合(S29:Yes)、処理は、ステップS30に移行する。一方、アライメントのずれ量が閾値未満であると報知制御部102が判定した場合(S29:No)、処理は、ステップS30をスキップしてステップS31に移行する。
【0202】
(S30:報知情報を表示)
アライメントのずれ量が閾値以上であると判定された場合(S29:Yes)、報知制御部102は、所定の報知情報を表示部410に表示させる。この処理は、第1実施形態の
図5のステップS13と同じ要領で実行される。
【0203】
(S31:測定結果を表示)
表示制御部101は、ステップS28の測定により取得されたデータを表示部410に表示させる。ステップS30が行われた場合、表示部410には、測定結果と報知情報とが表示される。以上で、本例の説明は終了である。
【0204】
このような実施形態によれば、アライメント情報とパターン像の双方を考慮した(オート)アライメントを実現することができる。
【0205】
〈変形例等〉
以上に示された実施形態は、この発明を実施するための例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
【0206】
上記した第1〜第3実施形態のうちのいずれか2つ以上を組み合わせることが可能である。
【0207】
アライメントの方式は任意である。例えば、上記実施形態のZアライメント系1、XYアライメント系2、観察系5などの代わりに(又は、これらに加えて)、特開2013−248376号公報などに開示された、ステレオカメラ方式を採用することができる。ステレオカメラ方式では、前眼部を異なる方向から撮影可能な2以上の撮影部(2以上のカメラ)と、2以上の撮影部により実質的に同時に取得された2以上の撮影画像を解析することで被検眼の3次元位置を求める解析部とが設けられる。解析は、公知の三角法を利用する。
【0208】
アライメント中だけでなく検査中(測定中)においてもパターン像を表示できる構成が適用される場合、アライメント中と検査中とでパターン像の表示態様を変更することができる。例えば、上記実施形態において、アライメント中と検査中とでパターン像の表示輝度とを変更することができる。
【0209】
アライメント中に光源61を点灯したときにはロータリープリズム67を回転させる必要はない。一方、検査中(測定中)に光源61を点灯したときにはロータリープリズム67を回転させる。
【0210】
実施形態は、被検眼を光学的に検査するための眼科装置の制御方法を含む。この制御方法は、次のステップを含む:被検眼に対する眼科装置のアライメントを行う第1ステップ;第1ステップのアライメントが行われているときに、被検眼の眼底に向けて光束を投射し、その戻り光をパターン像として検出する第2ステップ;第1ステップのアライメントが行われているときに、第2ステップで検出されたパターン像を解析してゴーストの有無を判定する第3ステップ。
【0211】
このような実施形態によれば、ゴーストの混入等に起因する測定エラーの発生を回避することができ、IOL眼等の検査を好適に行うことができる。
【0212】
実施形態は、次のいずれかを実現ためのコンピュータプログラムを含む:実施形態に係る眼科装置;実施形態に係る眼科装置の構成要素の任意の組み合わせ:実施形態に係る制御方法;実施形態に係る制御方法の構成要素の任意の組み合わせ。
【0213】
実施形態は、上記したコンピュータプログラムのいずれかが記憶された記録媒体を含む。実施形態に係る記録媒体を用いて、上記したコンピュータプログラムのいずれかを、眼科装置やコンピュータにインストールすることが可能である。実施形態に係る記録媒体は、非一過性の記録媒体であってよい。非一過性の記録媒体の種類は特に限定されない。例えば、CD−ROMを非一過性の記録媒体として用いることができる。