特許第6895823号(P6895823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895823
(24)【登録日】2021年6月10日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】内視鏡用リモートコントローラ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20210621BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   A61B1/00 650
   A61B1/00 682
   A61B1/00 711
   G02B23/24 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-129049(P2017-129049)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2019-10363(P2019-10363A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2020年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 昌典
【審査官】 北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−125180(JP,A)
【文献】 特開2015−024038(JP,A)
【文献】 特開2007−175228(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0096427(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/035429(WO,A1)
【文献】 特開2008−018148(JP,A)
【文献】 特開2006−288663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
G02B 23/24 −23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部を把持する操作者の手の人指し指における第2関節と第3関節との間にリング状部が装着される指輪部と、
前記リング状部近傍の予め定めた領域に設けられる、該リング状部に前記人指し指が装着された状態において、前記挿入部を把持する手の親指が届く範囲内に位置する、少なくとも一つのスイッチと、
前記リング状部に隣設し、該リング状部に前記人指し指を装着した状態において、前記挿入部を把持する手の中指の一部が配置されるU字状部と、
を具備し、
前記U字状部の手のひら側の端部と該手の甲側の端部とが、前記挿入部を把持する手の中指における第3関節近傍まで延出されることを特徴とする内視鏡用リモートコントローラ。
【請求項2】
前記U字状部は、手のひら側から手の甲側に亘るよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用リモートコントローラ。
【請求項3】
前記U字状部には前記挿入部を把持する前記操作者の手の中指における第2関節と第3関節との間が配設されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用リモートコントローラ。
【請求項4】
一端が前記指輪部を構成する膨隆部に設けられた前記スイッチに接続され、他端がケーブルを介して内視鏡用のカメラコントロールユニットに接続されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用リモートコントローラ。
【請求項5】
前記膨隆部には信号送信用の電子機器、バッテリー及びアンテナが収容されていることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡用リモートコントローラ。
【請求項6】
前記電子機器は、前記アンテナを介して前記内視鏡用のカメラコントロールユニットと通信することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡用リモートコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡が備える機能を操作する際に使用される内視鏡操作部とは離れて設けられた内視鏡用リモートコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、細長の挿入部を体腔内等へ挿入して観察を行なうと共に、必要に応じて各種治療処置を行なうことのできる内視鏡が広く使用されている。
【0003】
特許文献1に示すように内視鏡の操作部には、挿入部に設けられた湾曲機構の湾曲操作を行なうための湾曲操作装置、内視鏡の外部装置である光源装置、ビデオプロセッサ(カメラコントロールユニットともいう)に操作指示信号を出力するための内視鏡スイッチ、送気送水を行なうための送気送水釦、吸引を行なうための吸引釦、等が設けられている。
【0004】
そして、操作者は、例えば右手(不図示)で挿入部(不図示)を把持し、図1に示すように左手で操作部1を把持する。操作者は、この把持状態で湾曲操作装置である湾曲ノブ2,3を適宜操作しつつ挿入部を捻る操作等を行なって先端部を目的部位に向けて挿入していく。
【0005】
また、操作者は、必要に応じて湾曲ノブ2,3に隣接して設けられた、リモートスイッチである内視鏡スイッチ4,5,6,7、あるいは、送気送水釦8、吸引釦9等を適宜操作して所望の観察を行なう。このように、内視鏡スイッチ4,5,6,7、送気送水釦8、吸引釦9が湾曲ノブ2,3に隣接されている。この結果、操作者は、操作部1を持ち替える手間、指の移動、を少なくして各種機能の使用が可能である。
【0006】
なお、内視鏡スイッチ4,5,6,7には、内視鏡が有する数ある機能のうち、例えばフリーズ機能、レリーズ機能、観察モードを切り替える機能、内視鏡のフォーカスを切り替える機能が割り付けてある。
【0007】
しかし、図1に示すように操作部1を把持し、挿入部を該操作部1を把持する手とは異なる手で把持した状態において、当該操作部1を把持する手の指で内視鏡スイッチ4,5,6,7を操作する際、第2内視鏡スイッチ5、第3内視鏡スイッチ6のスイッチ操作が他の内視鏡スイッチ4,7及び送気送水釦8、吸引釦9に比べて操作しづらかった。
【0008】
このため、手の指がスイッチに届きにくい操作者は、観察中に内視鏡スイッチ5,6を操作する必要が生じた際、近くにいる医療従事者にスイッチ操作を依頼していた。しかし、医療従事者に依頼が不可能な状況下の場合、操作者は、挿入部の先端部の位置が移動することを承知のうえ、挿入部から手を離してスイッチ操作を行なうこともある。ここで、挿入部の先端部が位置ずれすると、観察画面上に表示されていた観察対象部位を見失うことになる。
【0009】
特許文献2には、指に装着する第1のリングと、第1のリングの外周を回転する構造を持つ第2のリングと、第2のリングの回転量を検出する回転量検出手段と、回転量検出手段により検出した回転量に応じて、電子装置に対する制御コマンドを発生させるプロセッサと、プロセッサの発生した制御コマンドの送信を実行するための選択確定手段と、プロセッサの発生した制御コマンドを電子装置に送信する送信手段と、を備える指輪型のリモートコントロール装置が開示されている。
【0010】
この指輪型のリモートコントロール装置では、常に指に装着して携帯することが可能であり、第2のリングを回転させるという簡単な操作で、非連続な切り替え、あるいは、連続的な切り替え入力を行うことが可能である。
【0011】
この特許文献2の指輪型のリモートコントロール装置を特許文献1の内視鏡を操作する手の指がスイッチに届きにくい操作者の挿入部を把持する指に装着することによって、当該操作者は、挿入部から手を離すことなく、各種内視鏡機能の動作制御を行えるようになる可能性が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−048803号公報
【特許文献2】特開2001−125722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、内視鏡の挿入部を操作するユーザーの手の指に装着した指輪型のリモートコントロール装置は、第2のリングを回転させる簡単な動作で切り替えを行える。言い換えれば、ユーザーが誤って第2のリングに触れてしまった場合であっても該第2のリングが回転されて制御コマンドがプロセッサに出力されて、内視鏡の機能が切り替えられるという不都合が生じるおそれがある。
【0014】
また、近年において、内視鏡の機能の多様化が進み、操作部に設けられている内視鏡スイッチの数だけでは内視鏡が有する機能を十分に活用することが困難になりつつある。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、操作性を向上させつつ内視鏡スイッチの不足を解消し、かつ、内視鏡操作部に配置されるスイッチの制約に起因する操作上の不具合を改善する内視鏡用リモートコントローラを提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様の内視鏡用リモートコントローラは、内視鏡の挿入部を把持する操作者の手の人指し指における第2関節と第3関節との間にリング状部が装着される指輪部と、前記リング状部近傍の予め定めた領域に設けられる、該リング状部に前記人指し指が装着された状態において、前記挿入部を把持する手の親指が届く範囲内に位置する、少なくとも一つのスイッチと、前記リング状部に隣設し、該リング状部に前記人指し指を装着した状態において、前記挿入部を把持する手の中指の一部が配置されるU字状部と、を具備し、前記U字状部の手のひら側の端部と該手の甲側の端部とが、前記挿入部を把持する手の中指における第3関節近傍まで延出されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、操作性を向上させつつ内視鏡スイッチの不足を解消し、かつ、内視鏡操作部に配置されるスイッチの制約に起因する操作上の不具合を改善する内視鏡用リモートコントローラを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】湾曲ノブに隣接して複数の内視鏡スイッチ、送気送水釦、吸引釦等が配置された内視鏡の操作部と操作部を把持する手指との関係を説明する図
図2】内視鏡と内視鏡用リモートコントローラとを説明する図
図3】挿入部を把持する手の指に装着された内視鏡用リモートコントローラを示す図
図4図2の矢印Y4側から内視鏡用リモートコントローラを見た図
図5図4の矢印Y5側から内視鏡用リモートコントローラを見た図
図6図5の矢印Y6側から内視鏡用リモートコントローラを見た図
図7】内視鏡用リモートコントローラの他の構成例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面は、模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識可能な程度に示すために、各部材の寸法関係や縮尺等は、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものもある。本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0020】
図2に示す符号10は内視鏡である。内視鏡10は、挿入部11と、操作部12と、を主に備えて構成されている。操作部12の側部からはユニバーサルコード13が延出している。
【0021】
ユニバーサルコード13の基端部には光源装置(不図示)と着脱自在な内視鏡コネクタ(不図示)が設けられている。また、内視鏡コネクタにはケーブル接続部が設けられている。ケーブル接続部には電気ケーブルが着脱自在に接続され、該電気ケーブルにはカメラコントロールユニット(不図示)に着脱自在なプロセッサ用コネクタが設けられている。
【0022】
挿入部11は、先端側から順に、先端部14と、湾曲部15と、可撓管部16と、を備えている。先端部14には撮像装置(不図示)等が内蔵されている。湾曲部15は、上下左右の四方向に湾曲するように構成されている。なお、湾曲部15は、上下の二方向に湾曲する構成であってもよい。
【0023】
操作部12は、可撓管部16の基端側に設けられている。操作部12には、湾曲操作装置である上下用湾曲ノブ2、左右用湾曲ノブ3、第1リモートスイッチ4、第2リモートスイッチ5、第3リモートスイッチ6、第4リモートスイッチ7、送気送水釦8、吸引釦9、処置具挿入口20等が設けられている。
【0024】
湾曲操作装置は、軸周りに時計回り、反時計回りに回転操作される湾曲ノブに限定されるものでは無く、挿入部長手軸の先端方向、基端方向に移動操作される湾曲レバーであってもよい。
【0025】
各リモートスイッチ4乃至7には内視鏡10が有する各種機能のうち何れかが割り付け可能である。なお、機能を割り付けずに未設定とすることも可能である。
各種機能としては、内視鏡画像を静止するフリーズ機能、内視鏡画像を静止して所定の周辺機器に記録するレリーズ機能、画像を取り込むキャプチャー機能、内視鏡画像を拡大表示する拡大機能、内視鏡のフォーカスを切り替える機能、内視鏡画像のサイズを切り替える機能、内視鏡画像の画像強調モードを切り替える画像強調切り替え機能、観察モードを通常光観察モードとNBI等の特殊光観察モードに切り替える観察モード切り替え機能、内視鏡画像の測光を切り替える機能、明るさを調整する機能、等がある。
【0026】
そして、本実施形態において、第1リモートスイッチ4に例えばフォーカスを切り替える機能を割り当て、第2リモートスイッチ5及び第3リモートスイッチ6を未設定とし、第4リモートスイッチ7に例えば観察モード切り替え機能を割り当てている。
【0027】
図2に示す符号30は内視鏡用リモートコントローラ(以下、リモートコントローラと略記する)である。リモートコントローラ30は、指輪部31と、U字状部32と、を有し、指輪部31にはリング状部33と膨隆部34とが設けられている。
膨隆部34には第1スイッチ41と、第2スイッチ42と、が設けられている。符号43は接続ケーブルである。符号32mは、凹部開口である。
【0028】
図3に示すようにリモートコントローラ30の指輪部31は、内視鏡10の挿入部11を把持する操作者の手50の人指し指52に装着される。
符号51は親指、符号53は中指である。
【0029】
図4図6を参照してリモートコントローラ30を説明する。
図4乃至図6に示すようにリモートコントローラ30には、上述したリング状部33と膨隆部34とを備える指輪部31と、U字状部32と、を有している。
【0030】
リング状部33は、人指し指52が挿入される貫通孔を有して構成されている。リング状部33は、人指し指52における第2関節と第3関節との間に配置されて指輪部31が手の指に装着された状態になる。
【0031】
膨隆部34は、指輪部31に設けられた肉厚部分である。リング状部33近傍の膨隆部34の一面は予め定め他領域であってスイッチ領域34aである。スイッチ領域34aには第1スイッチ41と第2スイッチ42とが設けられている。第1スイッチ41と第2スイッチ42とは操作性を考慮して設けられている。具体的に、スイッチ領域34aは、リモートコントローラ30を挿入部11を把持する手に装着した状態において親指51の指腹が届く移動可能な範囲である。
【0032】
膨隆部34は、収容部でもある。スイッチ領域34aの内側にはスイッチ41,42を実装した基板(不図示)が収容される。また、基板に接続された信号線(不図示)が収容される。信号線は、接続ケーブル43内を挿通するよう接続ケーブル内に延伸されている。なお、基板は、スイッチ領域34aの側方部分(手に装着した際に手の甲側に位置する部分)に設けられた収納領域34bに配置してもよい。
【0033】
第1スイッチ41は、内視鏡の機能を割り当て可能な第5リモートスイッチであり、第2スイッチ42は内視鏡の機能を割り当て可能な第6リモートスイッチである。
【0034】
本実施形態において、第1スイッチ41には例えばフリーズ機能を割り当て、第2スイッチ42には例えばレリーズ機能を割り当ててある。
なお、スイッチ領域34aに設けられるスイッチの数は、2つに限定されるものでは無く、1つ、又は、2つ以上であってもよい。
【0035】
図4図5に示すようにU字状部32は、リング状部33に隣設するU字形状の凹部である。凹部開口32mは、リング状部33を挟んでスイッチ領域34aと反対側に位置している。U字状部32は、曲部32cと、該曲部32cを挟んで設けられた第1側端部32aと、第2側端部32bと、を備えて構成されている。
【0036】
第1側端部32aが有する曲部32c側である内方面と、第2側端部32bが有する曲部32c側である内方面と、は対峙している。図6に示すように第1側端部32aの幅は、第2側端部32bの幅に比べて幅狭に設定してある。
【0037】
図5に示すように第1側端部32aの内方面は手の平側面32pであり、第2側端部32bの内方面は手の甲側面32tである。第1側端部32aの手の平側面32p側の端部は、リング状部33に人指し指52を挿入した状態において、その手の中指53の第3関節近傍における手の平側に配置されるように延出されている。
【0038】
これに対して、第2側端部32bの手の甲側面32tの端部は、リング状部33に人指し指52を挿入した状態において、中指53の第3関節近傍に配置されるように延出されており、手の甲側面32tが手の甲の一部を覆うように配置される。
【0039】
第1側端部32aの幅を幅狭に設定していることによって、該第1側端部32aの手の平側面32pを手の平側に配置した状態において、第1側端部32aが挿入部11に当接することが防止されている。
【0040】
図4図6に示す接続ケーブル43は、膨隆部34の第2側端部32b側から延出されている。接続ケーブル43の基端側にはカメラコントロールユニットに設けられた端子に着脱自在な電気的接続部(不図示)が設けられている。
なお、接続ケーブル43を第1側端部32a側から延出させるようにしてもよい。
【0041】
図3に示すようにリモートコントローラ30は、挿入部11を把持する手の人指し指52の第2関節と第3関節との間の部分に指輪部31を配置し、挿入部11を把持する手の中指53の第3関節近傍にU字状部32の第1側端部32aと第2側端部32bとを配置させた状態で、該挿入部11を把持する手に装着される。
【0042】
この装着状態において、親指51を移動させたとき、親指51の指腹がスイッチ領域34aに位置するスイッチ41、42に届くようになっている。したがって、挿入部11を把持しているユーザーは、親指51で第1スイッチ41,または、第2スイッチ42を選択的に操作することができる。
【0043】
このスイッチ操作時において、U字状部32の第1側端部32aと第2側端部32bとが中指53の第3関節近傍に配置される。このため、リモートコントローラ30が人指し指52に対して回転するという操作上の不具合を解消することができる。
これらの結果、親指51の指腹で確実なスイッチ操作を実現できる。
【0044】
ここで、リモートコントローラ30を備える内視鏡10の作用を説明する。
検査を行なう医療従事者(以下、操作者と記載する)は、第2リモートスイッチ5、第3リモートスイッチ6を操作しづらいと感じている。このため、リモートスイッチ5、6には機能を割り当てず、上述したように操作部12の第1リモートスイッチ4にフォーカスを切り替える機能を割り当て、第4リモートスイッチ7に観察モード切り替え機能を割り当て、リモートコントローラ30の第1スイッチ41にフリーズ機能を割り当て、第2スイッチ42にレリーズ機能を割り当ててある。
【0045】
内視鏡検査を行なうにあたって、内視鏡10の内視鏡コネクタを光源装置に接続し、内視鏡コネクタとカメラコントロールユニットとを電気ケーブルで接続する。また、リモートコントローラ30から延出している接続ケーブル43の電気的接続部をカメラコントロールユニットに設けられた端子に接続する。
【0046】
検査を行なう操作者は、リモートコントローラ30のリング状部33内に操作部12を把持する手とは異なる挿入部11を把持する一方の手の人指し指52を図4の矢印Y5に示す方向に移動させて所定の状態に挿入していく。その後、操作者は、スイッチ41,42を親指51が届く範囲内において操作性が最良となる位置に調整する。
【0047】
調整完了後、操作者は、操作部12を左手で把持して検査を開始する。すなわち、操作者は、左手で湾曲ノブ2、3を適宜操作しつつ右手で挿入部11を捻る操作等を行なって先端部14を目的部位に向けて挿入していく。観察中、操作者は、リモートスイッチ5、6を操作する必要が無く、リモートスイッチ4,7,41,42を操作して所望する検査を行なえる。
【0048】
言い換えれば、操作者は、観察中に近くにいる医療従事者にスイッチ操作を依頼すること無く、また挿入部11から手を離すことなく所望する検査を行なえる。
【0049】
したがって、医療従事者の手を煩わせること、及び挿入部11の先端部14が位置ずれして観察画面上に表示されていた観察対象部位を見失うことから解消される。
【0050】
このように、一方の手に所望する機能を割り付けたスイッチ41、42を備えるリモートコントローラ30を装着すると共に、内視鏡10の操作部12に設けられた各リモートスイッチ4乃至7に所望する機能を割り付ける。この結果、機能を割り付けたスイッチ4,7,41,42をスイッチ操作して所望する検査を行なうことができる。
【0051】
なお、上述した実施形態において、リモートスイッチ5,6には機能を割り当てていなかった。しかし、一方の手に装着されるリモートコントローラ30に設けられているスイッチ41,42と、他方の手で把持される内視鏡10の操作部12に設けられている各リモートスイッチ4乃至7と、に所望する内視鏡の機能を割り付けるようにしてもよい。
【0052】
このように、内視鏡10の操作部12に設けられている各リモートスイッチ4乃至7に加えて、リモートコントローラ30のスイッチ41,42に内視鏡の有する機能を割り付けることによって、内視鏡の機能の多様化に対応した検査等を実現することができる。
【0053】
なお、上述した実施形態においてリモートコントローラ30は、挿入部11を把持する手の人指し指52を貫通孔を有して構成されるリング状部33内に配設して装着状態になる。
【0054】
しかし、図7に示すようにリモートコントローラ30Aを構成するようにしてもよい。図7に示すリモートコントローラ30Aは、略C字状のリング状部33Aを有する指輪部31Aと、U字状部32Aと、有している。U字状部32Aの凹部開口32Amは、リング状部33AのC字開口33Amに隣設している。即ち、凹部開口32AmとC字開口33Amとは、同方向に開口している。
【0055】
リング状部33Aは、予め定めた弾発性を有する第1クリップ部33b及び第2クリップ部33cで略C字状に形作られる。符号33fmは指挿入口であって人指し指52が挿入される。
【0056】
人指し指52を指挿入口33fmから挿入していくことによって、第1クリップ部33bの弾発力及び第2クリップ部33cの弾発力に抗してC字開口33Amが拡開されていく。
【0057】
人指し指52の第2関節と第3関節との間の部分をリング状部33A内に挿入した状態において、第1クリップ部33bの弾発力及び第2クリップ部33cの弾発力によって指輪部31Aが人指し指52に押圧保持される。
一方、中指53の第2関節と第3関節との間の部分は、凹部開口32AmからU字状部32Aの凹部内に配置する。
【0058】
このことによって、リモートコントローラ30Bが挿入部11を把持する手に装着された状態になる。この結果、上述した実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。なお、その他の構成は上述した実施形態と同様であって、同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0059】
なお、上述した実施形態においては、スイッチ41,42から出力される操作指示信号をカメラコントロールユニットに伝送するため、リモートコントローラ30から接続ケーブル43を延出させている。
しかし、膨隆部34内にアンテナ(不図示)と、バッテリ(不図示)と、信号送信用の電子機器((不図示))が実装された信号伝送用基板(不図示)と、を収容して、スイッチ41,42から出力される操作指示信号を無線でカメラコントロールユニットに送信するようにしてもよい。このような構成を採用する場合、バッテリ,基板,アンテナ等は、上述した収納領域34bに収納すればよい。なお、カメラコントロールユニット側には受信用のアンテナが設けてある。
【0060】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0061】
2…上下用湾曲ノブ 3…左右用湾曲ノブ 4…第1リモートスイッチ 5…第2リモートスイッチ 6…第3リモートスイッチ 7…第4リモートスイッチ 8…送気送水釦 9…吸引釦 10…内視鏡 11…挿入部 12…操作部 13…ユニバーサルコード 14…先端部 15…湾曲部 16…可撓管部 20…処置具挿入口 30…内視鏡用リモートコントローラ(リモートコントローラ) 31…指輪部 32…U字状部 32p…手の平側面 32t…手の甲側面 33…リング状部 34…膨隆部 34a…スイッチ領域 34b…収納領域 35…接続ケーブル 36…収容部 41…第1スイッチ 42…第2スイッチ 43…ケーブル 50…操作者の手 51…親指 52…人指し指 53…中指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7