特許第6895839号(P6895839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895839
(24)【登録日】2021年6月10日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】詰め替え容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/18 20060101AFI20210621BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   B65D51/18
   B65D47/12 100
   B65D47/12 200
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-144521(P2017-144521)
(22)【出願日】2017年7月26日
(65)【公開番号】特開2019-26288(P2019-26288A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】 武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−370758(JP,A)
【文献】 特開平8−119306(JP,A)
【文献】 実開昭57−129060(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本容器に詰め替える内容物が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に装着されるとともに、内容物を注出する注出口を有するノズル部材と、
前記注出口を開閉するとともに、前記口部に着脱可能に装着されるキャップ部材と、を備え、
前記ノズル部材は、
前記口部に係合される係合筒と、
前記係合筒の上端部から径方向に張り出すノズルフランジ部と、
前記ノズルフランジ部から容器軸方向に沿う前記容器本体の外側である上方に延設された基筒部、及び前記基筒部から上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延在するとともに前記注出口を画成するリップ部を有し、前記本容器の注入口部内に挿入されるノズル筒と、を備え、
前記キャップ部材は、
前記注出口を上方から覆う天壁部と、
前記天壁部から容器軸方向に沿う前記容器本体の内側である下方に延設され、前記ノズル筒に係合される内筒と、
前記天壁部から下方に延設されるとともに、前記ノズル筒に対して径方向に間隔をあけた状態で前記ノズル筒を径方向の外側から取り囲む外筒と、
前記外筒を径方向の外側から取り囲むとともに、前記口部に装着される装着筒と、を備え、
前記外筒の下端開口縁は、前記天壁部と前記リップ部とが容器軸方向に離間した状態で前記ノズルフランジ部に容器軸方向で当接し
前記ノズルフランジ部は、
前記外筒の下端開口縁が当接する当接部と、
前記当接部から径方向の外側に突設されるとともに、容器軸方向に弾性変形可能とされた係止片と、を有し、
前記装着筒には、前記係止片に前記係止片の下方から係止される係止部が形成されていることを特徴とする詰め替え容器。
【請求項2】
前記口部は、
下筒部と、
前記下筒部から上方に延設され、前記下筒部に対して内径が拡大された上筒部と、を備え、
前記係合筒は、前記上筒部に組み付けられている請求項1に記載の詰め替え容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰め替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、本容器内に詰め替える内容物が収容される詰め替え容器が知られている。例えば下記特許文献1には、詰め替え容器から本容器に内容物を詰め替える際に、詰め替え容器の口部を本容器の注入口部に挿入した状態で行う構成が開示されている。
この構成によれば、詰め替え姿勢を安定させることができ、詰め替え作業時に内容物の飛散等を抑制できると考えられる。
【0003】
下記特許文献1の方法により詰め替え作業を行うためには、詰め替え容器の口部の外径を本容器の注入口部の内径よりも小さくする必要がある。
しかしながら、詰め替え容器をブロー成形(例えば、2軸延伸ブロー成形)により形成する場合には、延伸倍率の関係により、口部の外径に対する胴部の外径の比率を大きくするには限界がある。そのため、詰め替え容器の口部の外径を本容器の注入口部の内径未満に形成すると、胴部の外径を確保できない。その結果、詰め替え容器内に収容できる内容物の容量が制限され、所望量の内容物を詰め替えることができなくなる等の課題がある。
【0004】
そこで、注入口部よりも外径が小さいノズル筒を有するノズル部材を、ブロー成形により形成された容器本体の口部に装着して、詰め替え容器を構成することが検討されている。
この構成によれば、容器本体の口部の外径が注入口部の内径によって制限されないので、容器本体の容積(胴部の外径)を確保できると考えられる。
【0005】
容器本体にノズル部材を組み付ける構成としては、例えば下記特許文献2のように、ノズル部材とキャップ部材が予め組み合わされてなるノズル付キャップを、容器本体に組み付ける構成が知られている。
この構成によれば、ノズル付キャップのキャップ部材を容器本体の口部に装着する過程で、ノズル部材が容器本体の口部に嵌合される。この際、ノズル部材と容器本体との嵌合力を、ノズル部材とキャップ部材との嵌合力に比べて大きく設定しておくことで、キャップ部材を容器本体の口部から取り外す際に、ノズル部材と容器本体との嵌合状態が維持される。これにより、ノズル部材とキャップ部材とを容器本体に別々に組み付ける場合に比べて、容器本体への内容物の充填後における組立工数の削減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5978127号公報
【特許文献2】米国特許第3339772号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献2の構成にあっては、ノズル付キャップを容器本体に組み付ける際にノズル筒の上端開口縁がキャップの天壁部により押圧されるおそれがある。この場合、例えばノズル筒と天壁部との間に作用する組付荷重(容器軸方向の圧縮力)によってノズル筒が変形するおそれがある。仮にノズル筒が変形した場合には、所望の注出形態を得られなくなる。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ノズル付キャップの組付時におけるノズル筒の変形を抑制し、所望の注出態様を得ることができる詰め替え容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る詰め替え容器は、本容器に詰め替える内容物が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に装着されるとともに、内容物を注出する注出口を有するノズル部材と、前記注出口を開閉するとともに、前記口部に着脱可能に装着されるキャップ部材と、を備え、前記ノズル部材は、前記口部に係合される係合筒と、前記係合筒の上端部から径方向に張り出すノズルフランジ部と、前記ノズルフランジ部から容器軸方向に沿う前記容器本体の外側である上方に延設された基筒部、及び前記基筒部から上方に向かうに従い径方向の外側に向けて延在するとともに前記注出口を画成するリップ部を有し、前記本容器の注入口部内に挿入されるノズル筒と、を備え、前記キャップ部材は、前記注出口を上方から覆う天壁部と、前記天壁部から容器軸方向に沿う前記容器本体の内側である下方に延設され、前記ノズル筒に係合される内筒と、前記天壁部から下方に延設されるとともに、前記ノズル筒に対して径方向に間隔をあけた状態で前記ノズル筒を径方向の外側から取り囲む外筒と、前記外筒を径方向の外側から取り囲むとともに、前記口部に装着される装着筒と、を備え、前記外筒の下端開口縁は、前記天壁部と前記リップ部とが容器軸方向に離間した状態で前記ノズルフランジ部に容器軸方向で当接し、前記ノズルフランジ部は、前記外筒の下端開口縁が当接する当接部と、前記当接部から径方向の外側に突設されるとともに、容器軸方向に弾性変形可能とされた係止片と、を有し、前記装着筒には、前記係止片に前記係止片の下方から係止される係止部が形成されている
【0010】
この構成によれば、口部に係合される係合筒がノズル部材に形成され、ノズル筒に係合される内筒がキャップ部材に形成されている。そのため、ノズル筒に内筒を係合しておくことで、ノズル部材及びキャップ部材を容器本体に組み付ける前に予め組み付けておくことができる。すなわち、容器本体への内容物の充填に先行若しくは並行してノズル部材とキャップ部材とを組み付けておくことができる。その後、ノズル部材及びキャップ部材が組み付けられたノズル付キャップを容器本体に組み付けることで、詰め替え容器を組み立てることができる。また、ノズル付キャップが容器本体に組み付けられた状態において、係合筒と口部との係合力をノズル筒と内筒との係合力よりも大きくすることで、容器本体からキャップ部材を取り外す際に、係合筒と口部との係合状態を維持した上で、内筒とノズル筒との係合状態を解除できる。その結果、ノズル部材が容器本体に組み付けられた状態で、キャップ部材を取り外すことができる。これにより、ノズル部材とキャップ部材とを容器本体に別々に組み付ける場合に比べて、容器本体への内容物の充填後における組付工数の削減を図ることができる。
【0011】
特に、キャップ部材がノズル部材に組み付けられた状態において、ノズル筒と天壁部とが容器軸方向に離間した状態で、外筒とノズルフランジ部とが当接する構成とした。
この構成によれば、ノズル部材に対するキャップ部材の容器軸方向での接近移動が規制されるので、例えばノズル付キャップを容器本体に組み付ける際に、ノズル筒と天壁部との間に組付荷重が作用することがない。そのため、組付時におけるノズル筒の変形を抑制し、所望の注出態様を得ることができる。
しかも、本発明では、ノズル筒の上端部にリップ部が形成されているため、詰め替え容器内の内容物をスムーズに注出できるとともに、注出終了時における液切れ性を向上させることができる。
リップ部が上方に向かうに従い径方向の外側に延在しているため、内筒とノズル筒との係合面積を低減させることができる。そのため、内筒とノズル筒との係合力を、係合筒と口部との係合力に比べて小さくし易い。これにより、ノズル部材とキャップ部材とを組み付けるにあたって、内筒とノズル筒とを係合させ易くなるので、組付性を向上させることができる。
【0012】
また、例えばノズル付キャップにおいて、キャップ部材に対するノズル部材の下方移動を規制することができる。これにより、ノズル付キャップを容器本体に組み付ける前に、キャップ部材からノズル部材が脱落するのを抑制できる。
キャップ部材の着脱時において、係止部がノズルフランジ部を乗り越えることで、操作者に適度な感触(例えば、抵抗感や操作音)を与えることができる。そのため、操作者に対してキャップ部材の操作感覚を与えることができ、詰め替え容器の開閉状態が認識し易くなる。
【0013】
また、キャップ部材の着脱時において、係止部が係止片を乗り越える際の係止片の弾性変形や、係止部が係止片を乗り越えた後の係止片の復元変形により、操作者に適度な感触(例えば、抵抗感や操作音)を与えることができる。そのため、操作者に対してキャップ部材の操作感覚を与えることができ、詰め替え容器の開閉状態が認識し易くなる。
本発明に係る詰め替え容器において、前記口部は、下筒部と、前記下筒部から上方に延設され、前記下筒部に対して内径が拡大された上筒部と、を備え、前記係合筒は、前記上筒部に組み付けられていてもよい。

【発明の効果】
【0014】
本発明に係る詰め替え容器によれば、ノズル付キャップの組付時におけるノズル筒の変形を抑制し、所望の注出態様を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る詰め替え容器の半断面図である。
図2】詰め替え容器の組立方法を説明するための説明図である。
図3】詰め替え容器の組立方法を説明するための説明図である。
図4】詰め替え容器の詰め替え方法を説明するための説明図である。
図5】詰め替え容器の詰め替え方法を説明するための説明図である。
図6】詰め替え容器の詰め替え方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
図1に示す詰め替え容器1は、有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部3に組み付けられた筒状のノズル部材4と、容器本体2の口部3に着脱可能に装着された有頂筒状のキャップ部材5と、を備えている。
【0017】
なお、容器本体2、ノズル部材4及びキャップ部材5は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。本実施形態では、上述した共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿うキャップ部材5側を上側とし、容器本体2側を下側とする。容器軸O方向から見た平面視で容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
容器本体2は、射出成形等により有底筒状に形成されたプリフォームが、ブロー成形されて形成されている。容器本体2には、詰め替え容器1とは別体の本容器100(図5参照)に詰め替えられる内容物が収容されている。なお、容器本体2は、押出しブロー成形等によって形成されていてもよい。
【0019】
容器本体2の口部3は、下筒部11と、下筒部11から上方に延設された上筒部12と、を有している。
下筒部11の上端部には、径方向の外側に突出する突出部13が形成されている。突出部13は、周方向の全周に亘って形成されている。下筒部11と首部14との境界部分には、径方向の外側に向けて突出するネックリング15が形成されている。
上筒部12は、下筒部11に対して内径及び外径が大きくなっている。上筒部12の外周面には、雄ねじ部16が形成されている。なお、本実施形態において、上筒部12の外径は、例えば本容器100の注入口部101の外径よりも大きくなっている。但し、口部3の寸法は、適宜変更が可能である。
【0020】
ノズル部材4は、容器本体2の上筒部12に組み付けられている。ノズル部材4は、係合筒21と、ノズルフランジ部22と、ノズル筒23と、を有している。
係合筒21は、下方に位置するものほど外径が縮径する多段筒状に形成されている。具体的に、係合筒21は、大径部26と、小径部27と、大径部26及び小径部27間を接続する接続部28と、を有している。
【0021】
大径部26の外径は、上筒部12の内径以上になっている。大径部26の外周面は、上筒部12の内周面に圧入やアンダーカット嵌合等の一般的な固定方法(装着方法)で取り付けられている。本明細書では、これらの固定方法を「嵌合」と呼ぶ。これにより、ノズル部材4が容器本体2の口部3に組み付けられている。但し、大径部26は、嵌合以外の方法(例えば、大径部26と上筒部12との容器軸O方向での係止等)によって口部3に係合されていてもよい。
【0022】
小径部27の外径は、上筒部12の内径よりも小さくなっている。小径部27の外周面と上筒部12の内周面とは、径方向に隙間を隔てて配置されている。小径部27の下端開口縁と下筒部11の上端開口縁とは、容器軸O方向に隙間を隔てて配置されている。但し、小径部27の下端開口縁と下筒部11の上端開口縁とは、容器軸O方向で当接していても構わない。
接続部28の外径は、大径部26の下端から小径部27の上端に向かうに従い漸次縮径している。本実施形態において、係合筒21の内周面は、下筒部11の内周面と面一になっている。但し、係合筒21の内周面は、下筒部11の内周面に対して径方向の内側に配置されていても、径方向の外側に配置されていてもよい。
【0023】
ノズルフランジ部22は、係合筒21の上端部から径方向の両側に張り出している。ノズルフランジ部22は、当接部31と、当接部31から径方向の外側に突設された係止片32と、を有している。
当接部31は、容器軸O方向から見た平面視で環状に形成されている。当接部31の内周端は、口部3の下筒部11よりも径方向の内側に位置している。当接部31における係合筒21よりも径方向の外側に位置する部分は、口部3の上端開口縁上に配置されている。なお、当接部31の上面には、径方向に延在するとともに、当接部31の外周面で開口する空気逃げ溝(不図示)が形成されている。
【0024】
係止片32は、容器軸O方向に弾性変形可能に構成されている。係止片32は、容器軸O方向に沿う縦断面視において、径方向の外側に向かうに従い容器軸O方向での厚さが漸次薄くなっている。係止片32における径方向の内側端部での容器軸O方向の厚さは、当接部31の厚さよりも薄くなっている。係止片32における径方向の外側端面は、上筒部12の外周面よりも径方向の外側に突出している。本実施形態の係止片32は、当接部31の外周面において、周方向に間隔をあけて複数(例えば、4つ)形成されている。但し、係止片32は、例えば当接部31の全周に亘って形成されていてもよい。
【0025】
ノズル筒23は、当接部31の内周縁から上方に延設された基筒部41と、基筒部41の上端に連なるリップ部42と、を有している。
基筒部41は、容器軸Oと同軸上において、容器軸O方向に沿って直線状に延在している。
【0026】
リップ部42は、上方に向かうに従い径方向の外側に湾曲しながら延在している。リップ部42は、径方向での厚さが上方に向かうに従い漸次薄くなっている。リップ部42の上端開口部は、内容物が注出される注出口42aを構成している。リップ部42の上端縁は、上方に向けて突の湾曲面とされている。リップ部42の上端縁には、径方向の外側に突出する液切れ突起45が形成されている。なお、リップ部42は、上方に向かうに従い径方向の外側に延在していれば、湾曲状に限らず、直線状であってもよい。リップ部42は、ノズル筒23における周方向の少なくとも一部に形成されている構成であってもよい。
【0027】
本実施形態において、ノズル筒23の最大外径(液切れ突起45の外周縁での外径)は、本容器100の注入口部101の内径よりも小さくなっている。ノズル筒23の容器軸O方向の長さは、ノズル筒23の最大外径よりも長くなっている。但し、ノズル筒23の容器軸O方向の長さは、ノズル筒23の最大外径以下であってもよい。
【0028】
キャップ部材5は、キャップ本体51と、ピルファープルーフ部52と、を有している。
キャップ本体51は、ノズル部材4を上方及び径方向の外側から覆った状態で口部3に着脱可能に装着されている。具体的に、キャップ本体51は、天壁部55と、装着筒56と、内筒57と、外筒58と、を有している。
【0029】
天壁部55は、ノズル筒23の上方に、ノズル筒23の上端開口縁(リップ部42の上端縁)に対して容器軸O方向に間隔S1をあけた状態で配置されている。
装着筒56は、天壁部55の外周縁から下方に延設されている。装着筒56の下端部における内周面には、雌ねじ部60が形成されている。雌ねじ部60は、口部3の雄ねじ部16に螺着されている。なお、装着筒56は、螺着以外(例えば、アンダーカット嵌合等)の方法により口部3に装着されていてもよい。
【0030】
装着筒56の内周面において、雌ねじ部60よりも上方に位置する部分には、係止部61が形成されている。係止部61は、装着筒56の内周面から径方向の内側に突出している。係止部61は、上述した係止片32に係止片32の下方から係止可能に構成されている。なお、係止部61は、キャップ部材5がノズル部材4に装着された状態において、係止片32の下面に当接していてもよい。
【0031】
内筒57は、天壁部55において、ノズル筒23よりも径方向の内側に位置する部分から下方に延設されている。内筒57は、下方に向けて一様な径で延在した後、さらに下方に向かうに従い外径が漸次縮小している。内筒57の外周面は、ノズル筒23のうち、基筒部41の上端部(基筒部41とリップ部42の境界部分)における内周面に嵌合されている。これにより、内筒57がノズル筒23に外嵌される場合と異なり、ノズル部材4とキャップ部材5との組み付けに伴うリップ部42の損傷等が抑制される。
【0032】
本実施形態において、基筒部41の内周面と内筒57の外周面との間に作用する嵌合力(摩擦力)は、上筒部12の内周面と大径部26の外周面との間に作用する嵌合力(摩擦力)に比べて小さくなっている。なお、内筒57は、リップ部42に嵌合されていてもよい。内筒57は、嵌合以外の方法(例えば、内筒57とノズル筒23との容器軸O方向での係止等)によってノズル筒23に係合されていてもよい。
【0033】
外筒58は、天壁部55において、ノズル筒23よりも径方向の外側に位置する部分から下方に延設されている。具体的に、外筒58は、ノズル筒23の外周面に対して径方向に間隔S2をあけた状態で、ノズル筒23を径方向の外側から取り囲んでいる。本実施形態では、ノズル筒23の外周面と外筒58の内周面との径方向での対向部分において、ノズル筒23と外筒58とが容器軸O方向の全体に亘って離間するように間隔S2が設定されている。外筒58の下端開口縁は、ノズルフランジ部22(当接部31)の上面にノズルフランジ部22の上方から当接している。これにより、キャップ部材5に対するノズル部材4の上方移動が規制されている。なお、本実施形態において、内筒57及び外筒58は、周方向の全周に亘って形成されていても、周方向の一部が分断されていてもよい。
【0034】
ピルファープルーフ部52は、装着筒56の下端部に破断可能な弱化部62を介して連結されている。ピルファープルーフ部52は、口部3の下筒部11を全周に亘って取り囲む筒状に形成されている。ピルファープルーフ部52の下端開口縁は、容器本体2のネックリング15にネックリング15の上方から近接している。なお、ピルファープルーフ部52は、周方向の一部が分断されていてもよい。弱化部62は、周方向に間隔をあけて配設されていても、ピルファープルーフ部52よりも薄肉の薄肉部が周方向の全周に亘って延在してもよい。
【0035】
ピルファープルーフ部52の内周面には、爪部63が形成されている。爪部63は、径方向の内側に向かうに従い上方に向けて延在している。爪部63の上端縁は、容器本体2の突出部13に突出部13の下方から係止されている。
【0036】
続いて、詰め替え容器1の組立方法について説明する。
本実施形態の詰め替え容器1の組立方法は、サブ組立工程と、メイン組立工程と、を有している。
【0037】
サブ組立工程では、図2に示すように、ノズル部材4とキャップ部材5とを予め組み付ける。具体的には、ノズル部材4のノズル筒23と、キャップ部材5の下端開口部と、を容器軸O方向に対向させた状態で、ノズル部材4とキャップ部材5とを容器軸O方向に接近移動させる。すると、ノズル部材4が、キャップ部材5の下端開口部を通してキャップ部材5の内側に進入する。このとき、外筒58の下端開口縁が当接部31に当接する位置までノズル部材4とキャップ部材5とを接近させる。これにより、内筒57がノズル筒23内に進入する。内筒57は、リップ部42を通過して、基筒部41内に嵌合される。
以上により、ノズル部材4とキャップ部材5とが組み付けられた、ノズル付キャップ80(図3参照)が完成する。
【0038】
メイン組立工程では、図3に示すように、内容物が収容された容器本体2に対してノズル付キャップ80を組み付ける。具体的には、ノズル付キャップ80の下端開口部と、容器本体2の口部3と、を容器軸O方向に対向させた状態で、キャップ部材5の装着筒56を口部3に対して螺着する。すると、ノズル付キャップ80と容器本体2とが容器軸O方向に接近移動することで、爪部63が上方に弾性変形しながら、口部3の突出部13を乗り越える。これにより、爪部63が突出部13に突出部13の下方から係止され、キャップ部材5が口部3に組み付けられる。なお、ノズル付キャップ80と容器本体2とは、キャップ部材5の雌ねじ部60が口部3の雄ねじ部16を乗り越えるように打栓により組み付けてもよい。
【0039】
ここで、ノズル付キャップ80と容器本体2とが容器軸O方向に接近移動する過程において、係合筒21が口部3の上筒部12内に進入する。これにより、大径部26の外周面が上筒部12の内周面に嵌合される。
以上により、上述した詰め替え容器1が完成する。
【0040】
続いて、詰め替え容器1を本容器100に詰め替える方法について説明する。
まず、詰め替え容器1からキャップ本体51を取り外す。具体的には、図4に示すように、キャップ部材5と容器本体2とを容器軸O回りの緩み方向に相対回転させる。すると、キャップ部材5が容器本体2に対して上方に移動しようとする。このとき、ピルファープルーフ部52は、爪部63によって容器本体2に対する上方移動が規制されている。そのため、キャップ本体51がピルファープルーフ部52に対して上方移動することで、弱化部62が破断される。これにより、キャップ本体51がピルファープルーフ部52から分離し、キャップ本体51が容器本体2から取り外される。
【0041】
ここで、本実施形態では、基筒部41の内周面と内筒57の外周面との間に作用する嵌合力が、上筒部12の内周面と大径部26の外周面との間に作用する嵌合力に比べて小さくなっている。そのため、容器本体2に対するキャップ本体51の上方移動に対して、ノズル部材4が追従しない。すなわち、キャップ本体51の上方移動に伴い、内筒57の外周面がノズル筒23の内周面を摺動することで、内筒57とノズル筒23との嵌合状態が解除される。一方、キャップ本体51が上方移動したとしても、係合筒21と口部3との嵌合状態が維持される。その結果、ノズル部材4が容器本体2に組み付けられた状態で、キャップ本体51のみが容器本体2から取り外される。
【0042】
キャップ本体51が容器本体2から取り外される過程において、キャップ本体51の係止部61がノズル部材4の係止片32に係止片32の下方から当接する。その後、さらにキャップ本体51が上方移動すると、係止部61が係止片32を上方に押し上げる。これにより、係止片32が上方に弾性変形することで、係止部61が係止片32を乗り越える。その結果、係止部61と係止片32との係止が解除される。
【0043】
続いて、正立姿勢に保持された本容器100に対して詰め替え容器1を組み合わせる。具体的には、図5に示すように、詰め替え容器1のノズル筒23を本容器100の注入口部101に接近させた状態で、詰め替え容器1が倒立姿勢になるように徐々に傾ける。すると、詰め替え容器1内の内容物がノズル筒23を通して注出されることで、注入口部101を通して本容器100内に内容物が注入される。
【0044】
その後、図6に示すように、詰め替え容器1が倒立姿勢になった状態で、本容器100に対して詰め替え容器1を下方に移動させ、ノズル筒23を注入口部101内に進入させる。このとき、当接部31が注入口部101の上端開口縁に容器軸O方向で突き当たる位置まで、詰め替え容器1を下方に移動させることが好ましい。これにより、ノズル筒23が注入口部101に挿入された状態で、詰め替え容器1と本容器100とが組み合わされる。ノズル筒23を通して詰め替え容器1から注出される内容物は、注入口部101を通して本容器100に注入される。その結果、詰め替え容器1の内容物が本容器100に詰め替えられる。なお、ノズル筒23は、注入口部101内に嵌合されていてもよい。
【0045】
詰め替え容器1と本容器100とが組み合わされた状態において、本容器100の内外は、ノズル筒23の外周面と注入口部101の内周面と間の隙間や、当接部31と注入口部101との間の隙間(例えば、当接部31に形成された空気逃げ溝)を通して連通している。そのため、本容器100内への内容物の注入に伴い、本容器100内の空気が排出される。これにより、詰め替え作業をスムーズに行うことができる。
【0046】
内容物の注入後、ノズル筒23を注入口部101から引き抜く。
以上により、詰め替え作業が終了する。
【0047】
本実施形態では、口部3(上筒部12)内に嵌合される係合筒21がノズル部材4に形成され、ノズル筒23(基筒部41)内に嵌合される内筒57がキャップ部材5に形成された構成とした。
この構成によれば、ノズル筒23内に内筒57を嵌合しておくことで、ノズル部材4及びキャップ部材5を容器本体2に組み付ける前に予め組み付けておくことができる。すなわち、容器本体2への内容物の充填に先行若しくは並行してノズル部材4とキャップ部材5とを組み付けておくことができる。また、ノズル付キャップ80が容器本体2に組み付けられた状態において、係合筒21と口部3との嵌合力をノズル筒23と内筒57との嵌合力よりも大きくすることで、ノズル部材4と容器本体2との嵌合状態を維持した上で、キャップ本体51を容器本体2から取り外すことができる。これにより、ノズル部材4とキャップ部材5とを容器本体2に別々に組み付ける場合に比べて、容器本体2への内容物の充填後における組付工数の削減を図ることができる。
【0048】
特に、本実施形態では、キャップ部材5がノズル部材4に組み付けられた状態において、ノズル筒23と天壁部55とが離間した状態で、外筒58とノズルフランジ部22とが当接する構成とした。
この構成によれば、ノズル部材4に対するキャップ部材5の容器軸O方向での接近移動が規制されるので、例えばノズル付キャップ80を容器本体2に組み付ける際に、ノズル筒23と天壁部55との間に組付荷重が作用することがない。そのため、組付時におけるノズル筒23の変形を抑制し、所望の注出態様を得ることができる。
【0049】
しかも、本実施形態では、ノズル筒23の上端部にリップ部42が形成されているため、詰め替え容器1内の内容物をスムーズに注出できるとともに、注出終了時における液切れ性を向上させることができる。
リップ部42が上方に向かうに従い径方向の外側に延在しているため、内筒57とノズル筒23との接触面積を低減させることができる。そのため、内筒57とノズル筒23との嵌合力を、係合筒21と口部3との嵌合力に比べて小さくし易い。これにより、ノズル部材4とキャップ部材5とを組み付けるにあたって、内筒57をノズル筒23内に挿入させ易くなるので、組付性を向上させることができる。
【0050】
本実施形態では、装着筒56の係止部61が、ノズルフランジ部22(係止片32)にノズルフランジ部22の下方から係止される構成とした。
この構成によれば、例えばノズル付キャップ80において、キャップ部材5に対するノズル部材4の下方移動を規制することができる。これにより、ノズル付キャップ80を容器本体2に組み付ける前に、キャップ部材5からノズル部材4が脱落するのを抑制できる。
キャップ本体51の着脱時において、係止部61がノズルフランジ部22を乗り越えることで、操作者に適度な感触(例えば、抵抗感や操作音)を与えることができる。そのため、操作者に対してキャップ部材5の操作感覚を与えることができ、詰め替え容器1の開閉状態が認識し易くなる。
【0051】
特に、本実施形態では、係止片32が弾性変形可能に構成されている。そのため、キャップ本体51の着脱時において、係止部61が係止片32を乗り越える際の係止片32の弾性変形や、係止部61が係止片32を乗り越えた後の係止片32の復元変形により、操作者により適度な感触(例えば、抵抗感や操作音)を与えることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
上述した実施形態では、ノズルフランジ部22の係止片32が装着筒56の係止部61に係止される構成について説明したが、この構成のみに限られない。ノズルフランジ部22が係止片32を有さない構成(係止部61が当接部31に係止される構成)であってもよい。
【0053】
なお、基筒部41と内筒57との間に作用する嵌合力や、上筒部12と大径部26との間に作用する嵌合力は、締め代や接触面積等を変更することで適宜調整が可能である。
上述した実施形態では、口部3内に係合筒21が嵌合される構成について説明したが、係合筒21内に口部3が嵌合される構成であってもよい。同様に、ノズル筒23が内筒57内に嵌合される構成であってもよい。
【0054】
このように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…詰め替え容器
2…容器本体
3…口部
4…ノズル部材
5…キャップ部材
21…係合筒
22…ノズルフランジ部
23…ノズル筒
31…当接部
32…係止片
41…基筒部
42…リップ部
42a…注出口
55…天壁部
56…装着筒
57…内筒
58…外筒
61…係止部
100…本容器
101…注入口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6