(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の理解を容易なものとすべく、本発明が適用される表示装置の原理について、
図1乃至
図3を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、従来の表示装置10は、光学プレート1と、被投影画像を表示するディスプレイ装置2(例えば、液晶モニター)とから成り、ディスプレイ装置2に表示される被投影画像から発せられた光が光学プレート1を透過する際に内部で反射されることで、光学プレート1に対して被投影画像とは面対称となる位置に結像画像3が表示される。
この結像画像3は、その表示面に対して略垂直方向である矢印Aで示す視線方向からの視認性が最も高く、矢印Aで示す視線方向を中心とした所定の視野角(例えば、20°)を含む範囲までが視認可能範囲となる。
しかし、ディスプレイ装置2に表示される被投影画像からの光は、光学プレート1を透過する際に、その全てが結像画像3として結像される方向(結像方向;光学プレート1から見て結像画像3の位置する方向)に出力されるものではなく、結像方向とは異なる方向に出力(放射)されるものもある。
このような場合、例えば、結像画像3を視認する方向(矢印Aで示す視線方向)とは異なる方向(例えば矢印Bで示す視線方向)から、被投影画像の光を視認されるおそれがあり、すなわち、ディスプレイ装置2の存在を確認されてしまうおそれがある。このように、ディスプレイ装置2の存在を確認されてしまうと、結像画像3が表示されている裏の仕組みが分かってしまい、何もない3次元空間に出現する結像画像3の表示効果(驚きや斬新さ)が薄れてしまうおそれがある。そして、この問題は、デジタルサイネージのディスプレイ装置として結像画像を用いる際に、より顕著となる。しかも、矢印Bの視線方向から見る場合、ディスプレイ装置2をさかさまに見ることになる。
【0011】
例えば、展示物を説明する説明パネルとして結像画像3を用いる場合には、ディスプレイ装置2の存在を確認されてしまう可能性はそれほど高くない。
具体的には、説明パネルとして結像画像3を用いる場合には、
図2(1)に示すように、従来の表示装置10を、展示物を展示する壁面に埋め込めばよい。詳細には、結像画像3は、
図2(1)の矢印Aで示す視線方向から視認可能となるため、この矢印Aで示す視線方向が観察者の視線方向となるように埋め込めばよい。したがって、例えば
図2(2)に示すように、展示物の下方に結像画像3が生成されるように、観察者の足元の壁面に従来の表示装置10を埋め込めばよい。このようにすると、観察者が下方を見るときの視線方向(
図2(2)の矢印Aで示す視線方向)が結像画像3を視認可能な方向となることで、観察者は、結像画像3(すなわち、説明パネル)を認識可能となり、ディスプレイ装置2の存在を確認されてしまう方向(例えば、
図2(2)の矢印Bで示す視線方向)は、観察者の足元からの方向となるため、通常では、観察者からディスプレイ装置2の存在を視認されることは少ない。
【0012】
これに対して、デジタルサイネージのディスプレイ装置として結像画像3を用いる場合には、ディスプレイ装置2の存在を確認されてしまう可能性が高くなる。例えば、大規模なデジタルサイネージの利用を想定したとき、
図3に示すように、従来の表示装置10を天井に埋め込むことが考えられる。このようにすると、例えば、天井広告として、多くの観察者に視認してもらうことが可能となり宣伝効果が期待される。具体的には、
図3に示すように、結像画像3は、
図3の矢印Aで示す視線方向から視認可能となるため、結像画像3を視認可能な方向から(
図3の左側から)通行して来る観察者に対して天井広告を視認させることができる。その一方で、
図3の矢印Bで示す視線方向から視認可能な観察者には、ディスプレイ装置2の存在を確認されてしまうおそれがある。このため、
図3の右側から通行して来る観察者には、ディスプレイ装置2の存在を確認されてしまうおそれがある。
【0013】
したがって、デジタルサイネージのディスプレイ装置として結像画像3を用いる場合であっても、ディスプレイ装置2の存在を確認させないような表示装置が望まれる。また、このような表示装置が実現されると、デジタルサイネージのディスプレイ装置としての利用範囲の拡大が期待される。
【0014】
このような原理を有する表示装置は、様々な分野への応用が期待されている。例えば、結像画像は、表示媒体(ディスプレイ装置)を必要とすることなく、3次元空間上に出現(表示)させることができるので、障害物になることがない。このため、例えば、展示会場において、展示物を説明する説明パネルとして結像画像を用いることで、通路における歩行の妨げにならないことが期待される。また、講演会において、講演者の原稿を表示するプロンプターとして結像画像を用いることで、従来のカメラ内臓型プロンプターのような大掛かりな機材が不要となり、あるいは、据え置き型プロンプターのように原稿が投影される投影ガラス面が不要となる。また、オフィスにおいて、資料表示やテレビ会議等のディスプレイとして結像画像を用いることで、必要な時にのみディスプレイ表示可能であり、机上にディスプレイ装置がないことにより、オフィス空間の快適化を図ることができる。また、さらに、例えば、結像画像の表示位置にセンサを設けることで、3次元空間中に出現した結像画像に対する操作(つまり、空間に対する操作)が可能となる。このため、タッチパネルの表示画面として結像画像を用いることで、タッチパネルの物理的な故障を考慮する必要がなくなり、また、例えば、衛生面を考慮する必要がある場所(例えば、食品製造施設や、医療施設)において、好適に使用されることが期待される。
【0015】
また、昨今では、屋外、店頭、公共空間、交通機関など、あらゆる場所で、ディスプレイ装置等の電子的な表示機器を使って、広告等の情報を発信するデジタルサイネージの普及が進んでいる。このため、デジタルサイネージのディスプレイ装置として結像画像を用いることが期待される。続いて、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態について図面を用いて説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図4は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置100の構成例を示すための図である。
【0017】
図4に示すように、表示装置100は、光学プレート1と、被投影画像を表示するディスプレイ装置2(例えば、液晶モニター)と、ルーバー4とから成る。このように、第1の実施形態の表示装置100は、光学プレート1と、ディスプレイ装置2とを含む点では、従来の表示装置10と同様であるが、ルーバー4を備える点が異なる。
光学プレート1は、例えば、
図5に示すように形成され(
図5は部分的な分解斜視図)、二つの光パネルを当接又は近接して配置されており、それぞれのパネル内部に一方面に垂直に多数且つ帯状の光反射面を一定の微細なピッチで多数並べて形成している。一方の光パネルの反射面と他方の光パネルの反射面は平面視で交差するように配置している。なお、光学プレート1の形成構造は、
図5に限られず、
図1の仕組みにて立体視できる光学プレートであればどのような形成構造であってもよい。光パネルはガラス又は透明プラスチック等の透明部材から形成されており、反射面は反射性のある金属シート、蒸着金属から形成されている(金属の例としては、アルミニウム、銀、チタン、ニッケル、クロム等)。なお、ここでの説明は例示の構造であって、
図1の構成にて空中に結合画像が表示されるものであればこの構造に限られない。
【0018】
図4に示すように、ルーバー4は、光学プレート1の出力面(被投影画像から入力された光を表示装置100の外部へ出力する面)を覆うように、出力方向側に(
図4に示す光学プレート1の下方)に配設される。
【0019】
図4の拡大図に示すように、ルーバー4は、光学プレート1の出力面と平行になるように配設される枠部材4aと、枠部材4aに固設された複数の羽根部材4bとから成る。複数の羽根部材4bは、それぞれが、枠部材4aに対して同一の所定角度(例えば45度)を成すように、所定間隔毎に互いに並行に配設される。これにより、ルーバー4には、複数の羽根部材4bの互いの間隔によって特定方向(
図4では45度の斜め左下の方向)への光の透過を許容する空隙(光透過路)が形成される。なお、以下では、ルーバー4が光の透過を許容する特定方向のことを光透過方向ということがある。ここで、
図5の光学プレートの場合、ルーバー4の羽部材4bの間隔は、光学プレートの光パネルの反射面ピッチと同一間隔にて構成されてもよいし、この光学プレートの光パネルの反射面ピットとは異なる間隔にて構成されてもよい。ただし、光学プレートの光パネルの反射面ピットとは異なる間隔と構成した場合でも、光学プレートの光パネルの反射面ピッチの倍数倍のピッチであることが望ましい。
【0020】
したがって、ルーバー4は、光学プレート1の出力面から出力される光のうち、光透過方向への光の透過を許容する一方で、光透過方向とは異なる方向への光の透過を遮断する。このため、このルーバー4の光透過方向を、結像画像3を視認可能な方向(
図4の矢印Aで示す視線方向)と略一致させることで、結像画像3を視認可能な方向とは異なる方向(例えば、
図4の矢印Bで示す視線方向)から、被投影画像の光が視認されることを防止することができる。
【0021】
具体的には、ディスプレイ装置2に表示される被投影画像から発せられる光は、光学プレート1を介して出力される際に結像画像3として結像されるように、その殆どが
図4の矢印Aで示す視線方向に平行な方向(正確には矢印Aと反対の向きとなる結像方向)に出力される。そして、ルーバー4の光透過方向が矢印Aで示す視線方向に略一致していると、結像画像3として結像されるように光学プレート1を介して出力される被投影画像からの光は、その殆どがルーバー4を透過可能となる。このため、ルーバー4の光透過方向を、結像画像3を視認可能な方向と略一致させることで、結像画像3が生成表示されるとともに、観察者は矢印Aで示す視線方向から結像画像3を視認することが可能となる。
【0022】
一方、ディスプレイ装置2に表示される被投影画像から発生られる光の中には、光学プレート1を介して出力される際に、結像方向(
図4の矢印Aと反対の向き)とは異なる方向に出力(放射)されるものがある。しかし、ルーバー4の光透過方向が矢印Aで示す視線方向に略一致していると、このような光は、ルーバー4により遮断されることになる。このため、ルーバー4の光透過方向を、結像画像3を視認可能な方向と略一致させることで、結像方向(
図4の矢印Aと反対の向き)とは異なる方向(例えば、
図4の矢印Bと反対の向き)には、被投影画像からの光が出力されない。したがって、結像画像3の視認方向(矢印Aで示す視線方向)とは異なる方向(矢印Bで示す視線方向)から当該結像画像3の元となる被投影画像が視認されることを防止することができる。
【0023】
なお、
図4では、光学プレート1とルーバー4は別々に形成されるものとしたが、これらが一体となって形成されるものであってもよい。また、ルーバー4の羽根部材4bの材質については特に言及しなかったが、光を乱反射させることなく吸収する素材であることが好ましい。このような素材であることにより、羽根部材4bによって形成される間隙の方向(光透過方向)以外の光を遮断するとともに、これらの光が光透過方向に乱反射されることを防止することができ、結像画像3として意図しない画像が生成されることを防止することができる。
【0024】
また、ルーバー4の光透過方向は、結像画像3を視認可能な方向(矢印Aで示す視線方向)に応じて適宜変更すればよく、したがって、光学プレート1に対するディスプレイ装置2の相対位置に応じて適宜変更すればよい。
【0025】
また、
図4では、ルーバー4を構成する羽根部材4bは、枠部材4aに対して全て同一の角度で配設されるものとしたが、異なるものであってもよい。具体的には、結像画像3として結像される被投影画像からの光は、光学プレート1の出力面のうちどの位置を介して出力されるかに応じて、そのすべてが同じ方向(例えば、
図4の矢印Aと反対の向き)に出力されない場合がある。すなわち、光学プレート1の出力面から出力されて結像画像3として結像される光は、出力面のどの位置から出力されるかに応じて出力方向(結像方向)が若干異なる場合がある。このため、ルーバー4の羽根部材4bも、光透過方向がそれぞれの結像方向と略一致するように、光学プレート1の出力面のうちどの位置の下方に配設されているかに応じて、その配設角度を異ならせるようにしてもよい。このようにしても、結像方向と異なる方向には、被投影画像からの光は出力されないので、結像画像3の視認方向とは異なる方向から当該結像画像3の元となる被投影画像が視認されることを防止することができるとともに、結像画像3として意図しない画像が生成されることを防止することができる。
【0026】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置200の構成例を示すための図である。
【0027】
図6(1)に示すように、表示装置200は、光学プレート1と、被投影画像を表示するディスプレイ装置2(例えば、液晶モニター)と、ルーバー4とから成る点で、第1の実施形態に係る表示装置100と同様であるが、ディスプレイ装置2が可動に構成されている点と、ルーバー4の羽根部材4bも可動に構成されている点が異なる。また、図示はしないが、表示装置200は、観察者の位置(あるいは、視線位置)を特定可能なセンサを備えている。なお、このセンサは、表示装置200の構成要素として備わるものであってもよいし、表示装置200とは異なる構成要素として実現されてもよい。
【0028】
第2の実施形態では、観察者が移動しても、結像画像3が適切に視認可能となるとともに、ディスプレイ装置2の存在を視認されてしまうことを防止することができる。以下、
図6等を参照して、その制御について具体的に説明する。
図6(2)は、
図6(1)に示す観察者が右に移動したときを示す図である。
【0029】
図6(1)に示すように、ディスプレイ装置2は、回転軸21を中心軸として回動可能に構成されている。このため、ディスプレイ装置2が回動することで、ディスプレイ装置2と光学プレート1との相対位置が変化し、結像画像3の表示位置が変化する。また、
図6(1)に示すように、ルーバー4の複数の羽根部材4bは、それぞれ回転軸4cを中心軸として枠部材4aに対して回動可能に構成されている。このため、各羽根部材4bが回動することで、ルーバー4の光透過方向が変化する。ルーパーを回動するための構造は、
図6(1)に示す通り、各羽根部材4bの短手方向の両端中心に回転軸を設け、この回転軸をギア(歯車)を介して又はギアを介せず直接一又は複数のモーターと接続して伝道させる構成である。他の構造例としては、
図7に示す通り、各羽根部材5bの長手方向に回転軸を配設し、且つ、各羽根部材5bの短手方向の上部と下部それぞれに点線で示すリードを設け、一方又は両方のリードを横方向に移動させることで羽根部材5bの回転軸を支軸となって、例えば、垂直方向を向いていた羽根部材5b(この姿勢を垂直姿勢と呼ぶ)が、多少傾いた姿勢となる。この構造例は、例えば、羽根部材自体の剛性が強くない場合に適用することが望ましい。
【0030】
観察者が、
図6(1)に示す観察位置にいるときには、観察者が結像画像3を視認するときの視線方向は、矢印Aで示す視線方向であり、結像画像3の表示画面は、この視線方向に対して略垂直方向になるように表示されている。これにより、観察者は、適切に結像画像3を視認することが可能となる。なお、このとき第1の実施形態と同様に、ルーバー4を備えることにより、結像画像3を視認可能な方向とは異なる方向から当該結像画像3の元となる被投影画像が視認されることが防止される。
【0031】
一方、観察者が、
図6(2)に示す観察位置に移動すると、観察者が結像画像3を視認するときの視線方向は変化し、具体的には、矢印Aで示す視線方向から、矢印A’で示す視線方向に変化する。ここで、仮に、結像画像3の表示位置が変化しなければ、観察者の視線方向と結像画像3を視認可能な範囲が一致しないことにより、観察者は結像画像3を適切に視認できなくなるおそれがある。このような場合、結像画像3を適切に視認できる位置が特定の位置(例えば、
図6(1)に示す位置)に限られてしまい、観察者は通行しながら結像画像3を視認することが困難となる。しかし、第2の実施形態では、センサにより観察者の位置(あるいは視線位置)を特定し、観察者の移動に応じて結像画像3の表示位置を変化させることで、観察者は通行しながら結像画像3を適切に視認することが可能となる。
【0032】
具体的には、観察者が
図6(1)に示す位置から
図6(2)に示す位置に移動すると、センサが当該位置の変化を検知し、センサの検知結果に基づいて、観察者の移動後の視線方向(
図6(2)の矢印A’で示す視線方向)が結像画像3を視認可能な範囲になるように、結像画像3の表示位置が変更される。すなわち、このような結像画像3の表示位置となるように、ディスプレイ装置2が回転軸21を中心に回動される(時計回りに回動される;
図6(2)参照)。また、ディスプレイ装置2が回動されると、ディスプレイ装置2と光学プレート1との相対位置が変化するため、光学プレート1の出力面から結像画像3として結像されるように出力される光の出力方向(結像方向)も変化する。このため、ルーバー4の光透過方向が結像方向と略一致するように、ルーバー4の羽根部材4bも回動される(反時計回りに回動される;
図6(2)参照)。
【0033】
このように、第2の実施形態では、観察者の位置の移動がセンサにより検知され、このセンサの検知結果に基づいて、ディスプレイ装置2が回動し、ディスプレイ装置2の回動に応じて変化する結像方向にルーバー4の光透過方向が略一致するように、ルーバー4の羽根部材4bも回動する。これにより、観察者が移動しても、結像画像3を適切に視認することが可能となるとともに、結像画像3の視認方向(矢印A’で示す視線方向)とは異なる方向から当該結像画像3の元となる被投影画像が視認されることを防止することができる。
上記観察者が単一の場合には、その一人の観察者に対して上記の動作を行えばよいが、複数の観察候補者がいる場合にはその中の一人を対象に上記の動作を行う。観察候補者からの選定は、複数の方法があるが、例えば、最初に観察候補者と認識された観察者を選定する。人や人の視線を検出するセンサ及びそのシステムは既に公知慣用技術である。そして、観察者の移動に伴って上記の回動動作を行うものの、その回動動作によって観察者に結合画像を見せることができる範囲は定まっており、その範囲以外に観察者が移動したことをもってその観察者への出力は終了し、次の観察者の回動動作に移行する。
観察者がいない場合にはルーバー4の羽根部材4bを前記垂直姿勢から90度回転させて遮断姿勢とし、光学プレートからの光が漏れない状態とすることもできる。これにより、観察者がいない場合には遮断姿勢となり光が洩れず、観察者が現れると結合画像が表示され、観察者の移動に伴い追随して最適な表示を維持し、上記表示限界の達したら遮断姿勢に戻る動作を行うことができる。
【0034】
なお、第2の実施形態で説明した制御は、例えば、表示装置200がコンピュータ(制御手段)を備えることで容易に実現される。具体的には、コンピュータのCPUは、センサから観察者の位置情報の変化を取得すると、その変化量に応じて、ディスプレイ装置2を回動させる駆動部(例えばモータ)に制御信号を送信して駆動部を動作させることでディスプレイ装置2を回動させる。そして、CPUは、このディスプレイ装置2の回動量に応じて、羽根部材4bを回動させる駆動部(例えばモータ)に制御信号を送信して駆動部を動作させることで羽根部材4bを回動させる。
【0035】
また、
図6では、ルーバー4を構成する羽根部材4bは、枠部材4aに対して全て同じように回動される(同一の角度となるように回動される)ものとしたが、異なる角度となるように回動されるものであってもよい。具体的には、第1の実施形態でも述べたように、光学プレート1の出力面から出力されて結像画像3として結像される光は、出力面のどの位置から出力されるかに応じて出力方向(結像方向)が若干異なる場合がある。このため、ルーバー4の羽根部材4bも、光透過方向がそれぞれの結像方向と略一致するように、光学プレート1の出力面のうちどの位置の下方に配設されているかに応じて、その配設角度が異なるように回動されるようにしてもよい。このようにしても、結像方向と異なる方向には、被投影画像からの光は出力されないので、観察者が移動しても、結像画像3の視認方向とは異なる方向から当該結像画像3の元となる被投影画像が視認されることを防止することができるとともに、観察者が移動後に視認可能な結像画像3として意図しない画像が生成されることを防止することができる。
【0036】
以上まとめると、本実施形態において、ルーバー4は、以下のような機能又は構成を有することができる。
(1)例えば、ルーバー4は、空中ディスプレイの下にルーバーを配置し逆方向からはモニターが見えないようにすることができる。
(2)例えば、ルーバー4は、輝度が落ちるが遠方からでも認識可能することができる。
(3)例えば、ルーバー4は、ディスプレイ装置2の可動に合わせルーバーが可動することができる。そして、反対方向からはディスプレイ装置2が見えない。
(4)例えば、ルーバー4は、可動ブラインドと類似の構成を採用することができる。
【0037】
また、同様に本実施形態において、ディスプレイ装置2は、以下のような機能又は構成を有することができる。
(1)例えば、ディスプレイ装置2は、赤外線カメラセンサーにより顔を認識し眼の高さ測定を行い、ディスプレイ装置2の位置を可動させることができる。
(2)例えば、ディスプレイ装置2は、人の移動に合わせディスプレイ装置2の位置を可動し、視角範囲を広げることができる。
また、本実施形態において、以下の構成とすることもできる。
(1)本実施形態ではルーバーとディスプレイ装置を回動させる構成としたが、ディスプレイ装置は回動させる仕組みを導入せず固定とし、ルーバーのみが回動する構成としてもよい。これにより、観察者がいる場合にのみ、ルーバーを回動させて結合画像が視認できる姿勢とし、観察者がいない場合にはルーバーを遮断姿勢とすることができる。
(2)本実施形態ではルーバーとディスプレイ装置を回動させる構成としたが、ルーバーは回動させる仕組みを導入せず固定とし、ディスプレイ装置のみが回動する構成としてもよい。これにより、ディスプレイ装置が所定位置にある場合にのみルーバーの羽部部材から光が外部に出力され、観察者が特定位置のみにいる場合又は観察者が特定方向に視線を向けた場合にのみ結合画像を見ることができる。
(3)本実施形態ではルーバーとディスプレイ装置を回動させる構成としたが、ルーバーとその回動の仕組みを導入せず、ディスプレイ装置を回動させる構成としてもよく、ルーバーがなくとも、ディスプレイ装置が回動することで観察者は適切に結合画像を視認することができる。
【0038】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0039】
例えば、第2の実施形態では、ルーバー4は、羽根部材4bが回動することにより光透過方向が変化するものとしたが、光透過方向が変化するものであれば、これに限られるものではなく、例えば、ルーバー4と光学プレート1の相対位置を変化させるものであってもよい。
【0040】
また例えば、第1、第2の実施形態では、表示装置100、200は、天井に表示されるデジタルサイネージ(天井広告)のディスプレイ装置として用いられる例について説明したが、これに限らず、他のディスプレイ装置として用いられてもよい。例えば、壁面広告のディスプレイ装置として用いられてもよいし、広告に限らず、非常時の誘導灯として用いられてもよい。
【0041】
また例えば、第2の実施形態における一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであっても良い。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他、スマートフォンやパーソナルコンピュータ、又は各種デバイス等であってもよい。
【0042】
また例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、利用者にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で利用者に提供される記録媒体等で構成されるものであってもよい。
【0043】
以上を換言すると、本発明が適用される表示装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される表示装置(例えば、表示装置100及び表示装置200)は、
所定画像を表示している表示デバイス(例えば、
図4及び5のディスプレイ装置2)からの光を所定の屈折率で透過させて所定位置で結像させることで、当該所定画像に対応する結像画像を表示させる光学プレート(例えば
図4及び5の光学プレート1:空中ディスプレイ)と、
前記光学プレートを透過した前記光のうち、特定方向への光の透過を許容し、当該特定方向とは異なる方向への光の透過を遮断するルーバーであって、当該特定方向を変化させる機構を有するルーバー(例えば
図4及び5のルーバー4)と、
を備える
これによれば、結像画像を視認可能な方向とは異なる方向から、被投影画像からの光が視認されることを防止することができる。
【0044】
また、本発明が適用される表示装置は、以下のような構成をさらに備えるものであってもよい。
即ち、表示面の法線方向を変化させる機構(例えば
図6の回転軸21)を有する前記表示デバイスと、
前記表示デバイスの前記表示面の法線方向の変化に応じて、前記ルーバーを駆動して前記特定方向を変化させる制御を実行するルーバー制御手段(例えば
図6のルーバー4)と、
をさらに備えることができる。
これによれば、観察者が移動することで、その視線方向が変化しても、結像画像を適切に視認することが可能となるとともに、結像画像を視認可能な方向とは異なる方向から、被投影画像からの光が視認されることを防止することができる。