【実施例】
【0044】
本発明を以下の各試験例に基づいてさらに説明するが、各試験例は本発明の範囲を限定するものと決して解釈すべきではない。当業者らが本明明細書に接した後は、各試験例についての種々の他の態様、改変、および等価物等が、本発明の要旨または添付した特許請求の範囲から逸脱することなく当業者にとって自明となるであろう。
【0045】
本明細書において開示するBET表面積、細孔容積、および細孔径分布は、それぞれ、BET窒素吸着法(Brunaurら著、米国化学誌、60、309(1938))、およびHalsey Faas訂正を用いたBJH脱湿等温線(Halsey, G.D., J. Chem. Phys.(1948)、16、pp.931)を用いてマイクロメリティクス社のトリスターII3020V1.03上で測定したが、これらの手法は当業者にとって周知である。
【0046】
ケイ酸塩表面上でのCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)吸着、遠心分離によって分離した余剰分および界面活性剤電極を用いラウリル硫酸ナトリウムを用いた滴定によって測定した量により、CTAB表面積を求めた。具体的には、約0.5gのケイ酸塩をCTAB溶液100mL(5.5g/L)を入れた250mLビーカーに入れ、電気撹拌プレート上で1時間混合した後、10,000rpmで30分間遠心分離した。100mLビーカー中で、5mLの上澄液に10%トリトンX−100を1mL添加した。0.1Nの塩酸を用いてpHを3〜3.5に調節し、界面活性剤電極(Brinkmann SUR1501-DL)ブリンクマンを用いて試料を0.01Mのラウリル酸ナトリウムで滴定して終点(the endpoint)を測定した。
【0047】
吸油量値は、ASTM D281に記載の方法により、亜麻仁油を用いて測定した(粒子100g当たりの吸油量(cc))。一般に、吸油量が高いことは、高構造粒子であることを示し、一方、当該値が低くなると低構造粒子であることを示す。
【0048】
(試験例1〜10)
試験例1は、J・M・フーバー・コーポレーションから市販されている非晶質アルミノケイ酸ナトリウムであり、試験例2は、イメリス社から市販されている珪藻土とした。両材料は、いずれも、塗料用途に一般に用いられるものである。試験例3〜6のアルミノケイ酸ナトリウムは、反応温度を調整して微孔質の量を増加させつつ、全体を参照により本明細書に援用する米国特許第3,582,379号明細書に記載の通りに調製した。
【0049】
表Iに、試験例1および試験例3〜6のアルミノケイ酸塩および試験例2の珪藻土の特定の特性および特徴の概要を示す。特に注目すべきは、試験例1〜2と比較して、試験例3はBET表面積が高く、吸油量が低く、細孔径が50Å未満の孔から生じた細孔容積が約25%であった。試験例4〜6は、試験例3と比較して、表面積が高く、吸油量が低く、細孔容積が小さく、ミクロ孔容積の割合が高かった。
【0050】
表IIは、試験例1〜3の材料を評価するのに用いた標準的な45PVC(顔料容積濃度(pigment volume concentration))モデル(コントロール)塗料配合物の一覧であり、塗料中のCaCO
3の5%を置換することにより(この置換に伴いCaCO
3の配合(loading)も15%から10%に減少)評価を行った。表IIIは、中国JC/T1074−2008標準に基づく、試験例7〜10の塗料配合物のVOC除去試験の概要を示す。意外にも、表IIIから、(試験例3のアルミノケイ酸塩を用いた)試験例10が、試験対象とした各VOC除去カテゴリーにおける他の試験例より性能が優れていたことがわかる。さらに、(試験例3のアルミノケイ酸塩を用いる)試験例10は、ホルムアルデヒドの浄化効率のレベルが75%以上で中国JC/T1074−2008標準試験に合格し、ホルムアルデヒドの浄化効率の持続性のレベルが60%以上で中国JC/T1074−2008標準試験に合格し、トルエンの浄化効率のレベルが35%以上で中国JC/T1074−2008標準試験に合格し、トルエンの浄化効率の持続性のレベルが20%以上で中国JC/T1074−2008標準試験に合格したことがわかる。
【0051】
試験例4〜6は、試験例3に比べて、表面積が高く、吸油量が低く、ミクロ孔容積の割合が高いため、試験例4〜6から作成した各コーティングは、試験例10と比較しても、より一層良好なVOC除去性能を有することが期待される。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
以上、幾多の態様、実施形態、および特定の試験例を参照して本発明について説明した。上記の詳細な説明に鑑み、多くの変形例が当業者にとって自明である。これらの自明な変形例はすべて、添付の特許請求の範囲において意図した最大限の範囲内にある。本発明の他の実施形態として、限定はしないが、以下のものが挙げられる(各実施形態においては、用語「含む」(comprising)を用いているが、代案として「本質的に〜からなる」(consist essentially of)または「〜からなる」(consist of)であってもよい)。
【0056】
(実施形態1)
非晶質アルミノケイ酸塩粒子であって、以下の特徴、すなわち:
(i)BET表面積が約120
2/g〜450m
2/gの範囲にあり;
(ii)吸油量が約150cc/100g以下であり;
(iii)細孔容積が約0.18cc/g〜約0.6cc/gの範囲にあり;および
(iv)孔径が50Å未満の細孔のミクロ孔容積が細孔容積の約10%〜約80%、
を有する非晶質アルミノケイ酸塩粒子。
【0057】
(実施形態2)
実施形態1に記載の粒子において、BET表面積が、本明細書において開示したBET表面積のうち任意の範囲、例えば、約120m
2/g〜約400m
2/g、約125m
2/g〜約425m
2/g、約125m
2/g〜約375m
2/g等の範囲にある、粒子。
【0058】
(実施形態3)
実施形態1または2に記載の粒子において、吸油量が、本明細書において開示した吸油量の値のうち任意の範囲、例えば、約30cc/100g〜約90cc/100g、約50cc/100g〜約140cc/100g、約50cc/100g〜約100cc/100g等の範囲にある、粒子。
【0059】
(実施形態4)
上記の各実施形態のいずれか一つに記載の粒子において、細孔容積が、本明細書において開示した各細孔容積のうち任意の範囲、例えば、約0.2cc/g〜約0.5cc/g、約0.18cc/g〜約0.4cc/g、約0.2cc/g〜約0.35cc/g等の範囲にある、粒子。
【0060】
(実施形態5)
上記の各実施形態のいずれか一つに記載の粒子において、細孔径が50Å未満の細孔のミクロ孔容積が、本明細書において開示した百分率範囲のうち任意の範囲、例えば、細孔容積の約15%〜約70%、約15%〜約65%、約20%〜約60%等の範囲にある、粒子。
【0061】
(実施形態6)
上記の各実施形態のいずれか一つに記載の粒子において、非晶質アルミノケイ酸塩粒子は、そのCTAB表面積が、本明細書において開示した各CTAB表面積のうち任意の範囲、例えば、約30m
2/g〜約110m
2/g、約35m
2/g〜約110m
2/g、約45m
2/g〜約110m
2/g、等の範囲にあることをさらなる特徴とする、粒子。
【0062】
(実施形態7)
実施形態1〜6のいずれか一つに記載の粒子において、非晶質アルミノケイ酸塩粒子がアルミノケイ酸ナトリウム粒子を含むことを特徴とする、粒子。
【0063】
(実施形態8)
実施形態1〜6のいずれか一つに記載の粒子において、非晶質アルミノケイ酸塩粒子がアルミノケイ酸マグネシウム粒子を含むことを特徴とする、粒子。
【0064】
(実施形態9)
上記の各実施形態のいずれか一つに記載の粒子において、非晶質アルミノケイ酸塩粒子が合成品である、粒子。
【0065】
(実施形態10)
液体および実施形態1〜9のいずれか一つに記載の非晶質アルミノケイ酸塩粒子を含む組成物。
【0066】
(実施形態11)
結合剤(またはビヒクル)、液体(または希釈剤)、および実施形態1〜9のいずれか一つに記載の非晶質アルミノケイ酸塩粒子を含むコーティング組成物(例えば、塗料組成物)。
【0067】
(実施形態12)
実施形態11に記載の組成物であって、当該組成物は、ホルムアルデヒドの浄化効率のレベルが75%以上で中国JC/T1074−2008標準試験に合格する、組成物。
【0068】
(実施形態13)
実施形態11または12に記載の組成物であって、当該組成物は、ホルムアルデヒドの浄化効率の持続性のレベルが60%以上で中国JC/T1074−2008標準試験に合格する、組成物。
【0069】
(実施形態14)
実施形態11〜13のいずれか一つに記載の組成物であって、当該組成物は、トルエンの浄化効率のレベルが35%以上で中国JC/T1074−2008標準試験に合格する、組成物。
【0070】
(実施形態15)
実施形態11〜14のいずれか一つに記載の組成物であって、当該組成物は、トルエンの浄化効率の持続性のレベルが20%以上で中国JC/T1074−2008標準試験に合格する、組成物。
【0071】
(実施形態16)
実施形態11〜15のいずれか一つに記載の組成物であって、液体が水を含む、組成物。
【0072】
(実施形態17)
実施形態11〜16のいずれか一つに記載の組成物において、結合剤が、任意の好適な結合剤または本明細書に記載の任意の結合剤、例えば、ラテックス樹脂(アクリル、ビニルアクリル、スチレン化アクリル)、ポリウレタン分散液、高分子溶液分散液等、またはそれらの組み合わせを含む、組成物。
【0073】
(実施形態18)
実施形態11〜17のいずれか一つに記載の組成物であって、TiO
2および/またはCaCO
3を含む組成物。
【0074】
(実施形態19)
実施形態11〜18のいずれか一つに記載の組成物であって、着色剤/顔料をさらに含む組成物。
【0075】
(実施形態20)
実施形態11〜19のいずれか一つに記載の(ウェット)組成物から生成したドライコーティング。
【0076】
(実施形態21)
実施形態1〜9のいずれか一つに記載の非晶質アルミノケイ酸塩粒子を含むドライコーティング。
【0077】
(実施形態22)
実施形態20または21に記載のコーティングであって、ホルムアルデヒドの浄化効率のレベルが75%以上で中国JC/T1074−2008標準試験に合格するコーティング。
【0078】
(実施形態23)
実施形態20〜22のいずれか一つに記載のコーティングであって、ホルムアルデヒドの浄化効率の持続性のレベルが60%以上で中国JC/T1074−2008標準試験に合格するコーティング。
【0079】
(実施形態24)
実施形態20〜23のいずれか一つに記載のコーティングであって、トルエンの浄化効率のレベルが35%以上で中国JC/T1074−2008標準試験に合格するコーティング。
【0080】
(実施形態25)
実施形態20〜24のいずれか一つに記載のコーティングであって、トルエンの浄化効率の持続性のレベルが20%以上で中国JC/T1074−2008標準試験に合格するコーティング。
【0081】
(実施形態26)
実施形態20〜25のいずれか一つに記載のコーティングであって、その厚さが任意の好適な厚さまたは本明細書に開示の任意の範囲、例えば、約1μm〜約500μm、約5μm〜約300μm、約25μm〜約250μm等の範囲にある、コーティング。
【0082】
(実施形態27)
実施形態20〜26のいずれか一つに記載したコーティングで少なくとも部分的に被覆された基板を含む製品において、当該基板は、任意の好適な基板または本明細書に開示の任意の基板を含み、例えば、金属、コンクリート、木材、紙、プラスチック等またはそれらの組み合わせを含む、製品。
【0083】
(実施形態28)
実施形態1〜9のいずれか一つに記載のアルミノケイ酸塩粒子で少なくとも部分的に被覆された基板を含む製品において、当該基板は、任意の好適な基板または本明細書に開示の任意の基板を含み、例えば、金属、コンクリート、木材、紙、プラスチック等またはそれらの組み合わせを含む、製品。
【0084】
(実施形態29)
実施形態27または28に記載の製品において、当該製品は、任意の好適な物品または本明細書に開示の任意の物品であり、例えば、フィルタ繊維、カーペット繊維またはカーペット、建物の壁、床、または天井(例えば、建物の内部)等である、製品。
【0085】
(実施形態30)
基板を被覆する方法であって、
(a)実施形態11〜19のいずれか一つに記載のコーティング組成物を提供すること、
(b)基板の表面に該組成物を塗布すること、および
(c)基板上に組成物を乾燥または硬化させること、を含む方法。
【0086】
(実施形態31)
気流からVOCを除去する方法であって、
当該気流をフィルタに通過させることであって、該フィルタは、実施形態1〜9のいずれか一つに記載のアルミノケイ酸塩粒子で少なくとも部分的に被覆(または、実施形態20〜26のいずれか一つに記載のコーティングで少なくとも部分的に被覆)された繊維を含み、VOCの少なくとも一部を当該繊維に接触させ、かつ、フィルタに流入させるのに十分な条件下で気流をフィルタに通過させることにより、気流からVOCを除去する、方法。
【0087】
(実施形態32)
室内環境からVOCを除去する方法であって、
実施形態20〜26のいずれか一つに記載したコーティング(例えば、塗料)により少なくとも部分的に被覆された室内面を提供する工程と、
当該室内面にVOCを接触させる工程と、を含み、
室内環境におけるVOCの少なくとも一部をコーティングに吸収させる、方法。