特許第6895909号(P6895909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6895909ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895909
(24)【登録日】2021年6月10日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機
(51)【国際特許分類】
   H02K 19/12 20060101AFI20210621BHJP
   H02K 19/24 20060101ALI20210621BHJP
   H02K 21/38 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   H02K19/12
   H02K19/24 B
   H02K21/38 M
   H02K21/38 G
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-33825(P2018-33825)
(22)【出願日】2018年2月27日
(65)【公開番号】特開2019-149891(P2019-149891A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】森 剛
(72)【発明者】
【氏名】山田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】中野 正嗣
(72)【発明者】
【氏名】深見 正
(72)【発明者】
【氏名】小山 正人
【審査官】 大島 等志
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第203368271(CN,U)
【文献】 特開2003−204661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 19/00−19/38
H02K 21/00−21/48
H02K 16/00−16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の固定子と、
前記第1の固定子と対向している第2の固定子と、
前記第1の固定子および前記第2の固定子の間に設けられている回転子とを備え、
前記第1の固定子は、界磁巻線と、前記回転子の周方向へ並ぶ複数の界磁極形成部とを有し、
前記第2の固定子は、電機子巻線を有し、
前記複数の界磁極形成部のそれぞれは、永久磁石と、前記界磁巻線への通電によって磁極が形成される極ティースとを有し、
前記複数の界磁極形成部のそれぞれでは、前記極ティースの磁極が前記回転子と対向し、かつ前記永久磁石の磁極が前記極ティースの位置から外れた位置で前記回転子と対向しており、
前記複数の界磁極形成部のそれぞれには、前記極ティースの磁極と、前記永久磁石の磁極とによって界磁極が形成され、
前記第1の固定子は、1つの前記界磁巻線を有し、
各前記極ティースには、前記1つの界磁巻線への通電によって磁極がそれぞれ形成されるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機。
【請求項2】
第1の固定子と、
前記第1の固定子と対向している第2の固定子と、
前記第1の固定子および前記第2の固定子の間に設けられている回転子とを備え、
前記第1の固定子は、界磁巻線と、前記回転子の周方向へ並ぶ複数の界磁極形成部とを有し、
前記第2の固定子は、電機子巻線を有し、
前記複数の界磁極形成部のそれぞれは、前記回転子に対向する側の磁極がN極またはS極である永久磁石と、前記界磁巻線への通電によって磁極が形成される極ティースとを有し、
前記複数の界磁極形成部のそれぞれでは、前記極ティースの磁極が前記回転子と対向し、かつ前記永久磁石の磁極が前記極ティースの位置から外れた位置で前記回転子と対向しており、
前記複数の界磁極形成部のそれぞれには、前記極ティースの磁極と、前記永久磁石の磁極とによって界磁極が形成されて前記界磁巻線による起磁力および前記永久磁石の起磁力が並列するハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機。
【請求項3】
前記界磁巻線が巻かれた前記極ティースは、前記永久磁石の外側に配置される請求項2に記載のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機。
【請求項4】
前記第1の固定子は、各前記極ティースに個別に設けられた複数の前記界磁巻線を有している請求項またはに記載のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機。
【請求項5】
前記回転子は、前記回転子の周方向へ並ぶ複数の突極を有し、
前記第2の固定子には、前記回転子の周方向へ並ぶ複数の電機子磁極が前記電機子巻線への通電によって形成され、
前記突極の数をPrとし、前記電機子磁極の極対数をPaとし、前記界磁極の極対数をPfとすると、Pr=|Pa±Pf|の関係を満たす請求項1から4のいずれか1項に記載のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機。
【請求項6】
前記第1の固定子および前記第2の固定子のそれぞれは、前記回転子の軸方向について前記回転子と対向している請求項1から4のいずれか1項に記載のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機。
【請求項7】
前記第1の固定子および前記第2の固定子のそれぞれは、前記回転子の径方向について前記回転子と対向している請求項1から4のいずれか1項に記載のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1の固定子と第2の固定子との間に回転子が設けられているハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、界磁巻線および永久磁石を有する第1の固定子と、三相の電機子巻線を有する第2の固定子との間に回転子が設けられたハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機が知られている。第1の固定子では、1つの環状の界磁巻線の内側および外側のそれぞれに、界磁巻線に沿った2つの環状の永久磁石が配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−89580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機では、界磁巻線が作る磁束の経路上に永久磁石が配置されていることから、界磁巻線の起磁力と永久磁石の起磁力とが磁気回路において直列となっている。このように、界磁巻線の起磁力と永久磁石の起磁力とが直列となっている場合、永久磁石の透磁率が低いため、界磁巻線の電流を調整しても、界磁巻線と永久磁石とによって作られる界磁磁束の増減範囲を拡大することが困難である。その結果、同期機を電動機として使用した場合の定出力運転において、出力範囲が制限されるという課題があった。また、同期機を発電機として使用した場合の定電圧運転において、出力範囲が制限されるという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、出力範囲を拡大することができるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明によるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機は、第1の固定子と、第1の固定子と対向している第2の固定子と、第1の固定子および第2の固定子の間に設けられている回転子とを備えている。第1の固定子は、界磁巻線と、回転子の周方向へ並ぶ複数の界磁極形成部とを有している。第2の固定子は、電機子巻線を有している。複数の界磁極形成部のそれぞれは、永久磁石と、界磁巻線への通電によって磁極が形成される極ティースとを有している。複数の界磁極形成部のそれぞれでは、極ティースの磁極が回転子と対向し、かつ永久磁石の磁極が極ティースの位置から外れた位置で回転子と対向している。複数の界磁極形成部のそれぞれには、極ティースの磁極と、永久磁石の磁極とによって界磁極が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
この発明のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機によれば、界磁巻線による磁束と、永久磁石の磁束とは、別々の磁路を通る。そのため、界磁巻線の起磁力と永久磁石の起磁力とを磁気回路において並列にすることができ、永久磁石の透磁率に関係なく界磁巻線の起磁力を増減することができる。これにより、第1の固定子の界磁磁束の増減範囲を拡大することができ、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機の出力範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明を実施するための実施の形態1によるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機を示す斜視図である。
図2図1のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機を示す分解斜視図である。
図3図2の第1の固定子を示す斜視図である。
図4図1のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機に電力を供給する駆動回路を含めた全体システムを示す図である。
図5図1の第1の固定子における磁気回路を示す部分回路図である。
図6】この発明を実施するための実施の形態2によるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機を示す斜視図である。
図7図6のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機を示す分解斜視図である。
図8図7の第1の固定子を示す斜視図である。
図9】この発明を実施するための実施の形態3によるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機を示す斜視図である。
図10図9の第1の固定子を示す斜視図である。
図11図9の第2の固定子を示す斜視図である。
図12図9の回転子を示す斜視図である。
図13】この発明を実施するための実施の形態4によるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機の第1の固定子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1によるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機を示す斜視図である。図2は、図1のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機を示す分解斜視図である。図3は、図2の第1の固定子を示す斜視図である。
【0011】
ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1は、第1の固定子10と、第2の固定子20と、回転子30とを備えている。第2の固定子20は、回転子30の軸方向について、第1の固定子10と対向している。回転子30は、第1の固定子10および第2の固定子20の間に設けられている。これにより、回転子30は、回転子30の軸方向について、第1の固定子10および第2の固定子20のそれぞれと対向している。第1の固定子10、第2の固定子20および回転子30のそれぞれの形状は、円筒形状である。また、第1の固定子10および回転子30の間には、ギャップが設けられている。回転子30および第2の固定子20の間には、ギャップが設けられている。これにより、実施の形態1によるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1は、アキシャルギャップ型の同期機となっている。回転子30は、図示しない回転軸に固定されている。回転軸は、図示しないハウジングに回転可能に支持されている。回転子30は、回転軸と同軸に配置されている。
【0012】
第1の固定子10は、第1固定子コア100と、複数の界磁巻線120と、複数の永久磁石130と、第1固定子端板140とを有している。第1固定子コア100は、複数の電磁鋼板によって構成されている。第1固定子コア100を構成する複数の電磁鋼板は、回転子30の径方向に積層されている。第1固定子端板140は、第1固定子コア100と一体になっている。また、第1固定子端板140は、第1固定子コア100の回転子30側とは反対側に配置されている。
【0013】
第1固定子コア100は、第1固定子コアベース110と、複数の第1ティース111と、複数の第2ティース112とを有している。第1固定子コアベース110の形状は、円盤形状である。この例では、第1固定子コアベース110、各第1ティース111および各第2ティース112は、回転子30の径方向に積層された複数の電磁鋼板で構成されている。しかし、第1固定子コアベース110は、回転子30の軸方向に積層された複数の電磁鋼板で構成されていてもよい。
【0014】
各第1ティース111は、回転子30の周方向へ互いに間隔をあけて並べられている。各第1ティース111は、第1固定子コアベース110から回転子30の軸方向に、回転子30に向かって突出している。この例では、12個の第1ティース111が第1固定子コアベース110から突出している。各第1ティース111は、極ティースを構成する。
【0015】
各第2ティース112は、各第1ティース111の位置に合わせて、回転子30の周方向へ互いに間隔をあけて並べられている。各第2ティース112は、各第1ティース111よりも回転子30の径方向内側にそれぞれ配置されている。各第1ティース111および各第2ティース112の間には、隙間が設けられている。各第2ティース112は、第1固定子コアベース110から回転子30の軸方向に、回転子30に向かって突出している。
【0016】
各界磁巻線120は、各第1ティース111に個別に巻かれている。各界磁巻線120は、回転子30の軸方向を巻線の軸方向として巻かれている。回転子30から見た場合の各界磁巻線120の巻線方向は、時計回り方向および反時計回り方向の順で回転子30の周方向へ交互になっている。
【0017】
各永久磁石130は、各第2ティース112の回転子30側の面上に、それぞれ配置されている。これにより、各永久磁石130は、回転子30と対向してそれぞれ配置されている。各永久磁石130は、ネオジム磁石である。この例では、12個の永久磁石130が第1固定子コア100に設けられている。各永久磁石130の磁極は、各第1ティース111の位置から外れた位置で回転子30と対向している。回転子30に対向する各永久磁石130の磁極の極性は、N極およびS極の順で回転子30の周方向へ交互になっている。各永久磁石130は、フェライト磁石、アルニコ磁石など、その他の材質の磁石が用いられてもよい。
【0018】
回転子30に対向して回転子30の周方向について位置が合わされている第1ティース111および永久磁石130は、界磁極形成部190をそれぞれ形成している。したがって、第1の固定子10では、第1ティース111および永久磁石130をそれぞれ有する複数の界磁極形成部190が回転子30の周方向へ並んでいる。この例では、12個の界磁極形成部190が回転子30の周方向へ並んでいる。
【0019】
第2の固定子20は、第2固定子コア200と、複数の電機子巻線220と、第2固定子端板240とを有している。第2固定子コア200は、複数の電磁鋼板によって構成されている。第2固定子コア200を構成する複数の電磁鋼板は、回転子30の方向に積層されている。第2固定子端板240は、第2固定子コア200と一体になっている。また、第2固定子端板240は、第2固定子コア200の回転子30側とは反対側に配置されている。
【0020】
第2固定子コア200は、第2固定子コアベース210と、複数の第3ティース211とを有している。第2固定子コアベース210の形状は、円盤形状である。各第3ティース211は、回転子30の周方向へ互いに間隔をあけて並べられている。各第3ティース211は、第2固定子コアベース210から回転子30の軸方向について、回転子30に向かって突出している。この例では、12個の第3ティース211が第2固定子コアベース210から突出している。この例では、第2固定子コアベース210および各第3ティース211は、回転子30の方向に積層された複数の電磁鋼板で構成されている。しかし、第2固定子コアベース210は、回転子30の軸方向に積層された複数の電磁鋼板で構成されていてもよい。
【0021】
各電機子巻線220は、各第3ティース211に個別に巻かれている。各電機子巻線220は、回転子30の軸方向を巻線の軸方向として巻かれている。電機子巻線220は、三相電機子巻線となっている。したがって、各電機子巻線220は、U相、V相およびW相の順で回転子30の周方向へ繰り返し配置されている。この例では、巻治具を用いて導線を巻くことによって各電機子巻線220の形状を完成させた後に、各電機子巻線220が各第3ティース211にそれぞれ装着されている。なお、導線を第3ティース211に直接巻くことにより、各電機子巻線220を各第3ティース211に設けてもよい。例えば、第3ティース211の先端部の断面積が、第3ティースの先端部以外の部分の断面積より大きい場合、導線を第3ティース211に直接巻いて電機子巻線220を第3ティース211に設けることができる。
【0022】
回転子30の形状は、平板形状である。回転子30は、円環状の回転子基部310と、複数の突極311とを有している。各突極311は、回転子基部310から回転子30の径方向外側に向かって突出している。各突極311は、回転子30の周方向へ互いに間隔をあけて並べられている。各突極311は、回転子30の周方向へ等間隔に並べられている。この例では、各突極311は、回転子30の径方向に積層された複数の電磁鋼板で構成されている。
【0023】
図4は、図1のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機に電力を供給する駆動回路を含めた全体システムを示す図である。界磁巻線120には、直流電源400から界磁電流Ifが供給される。第2の固定子20では、各相の電機子巻線220がY結線で接続されている。電機子巻線220には、インバータ回路410から電機子電流が供給される。インバータ回路410には、インバータ回路410へパワーを供給する三相交流電源420が接続されている。なお、インバータ回路410へのパワーは、直流電源であるバッテリから供給されてもよい。
【0024】
次に、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1の動作について説明する。ここでは、電動機を例にして、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1の動作を説明する。各第1ティース111には、各界磁巻線120への通電によって、回転子30と対向する磁極が個別に形成される。各第1ティース111への各界磁巻線120の巻き方向は、回転子30の周方向へ交互になっている。このため、回転子30に対向する各第1ティース111の磁極の極性は、N極およびS極の順で回転子30の周方向へ交互になる。したがって、各界磁極形成部190のそれぞれには、第1ティース111の磁極と、永久磁石130の磁極とによって界磁極が形成される。この例では、12極の界磁極が第1の固定子10に形成される。
【0025】
各第1ティース111は、各永久磁石130と異なる位置で回転子30と対向している。したがって、各界磁巻線120への通電によって第1ティース111に生じる磁束は、各永久磁石130の位置を避けた磁路を通る。これにより、各界磁巻線120による起磁力および各永久磁石130の起磁力は、磁気回路において並列となる。第1の固定子10では、各界磁極形成部190の界磁極の極性がN極およびS極の順で回転子30の周方向へ交互になるように、各第1ティース111の起磁力および各永久磁石130の起磁力が設定されている。
【0026】
第1の固定子10に形成される12極の界磁極は、回転子30の10極の突極311によって変調される。これにより、回転子30には、8極の磁極が形成される。一方、第2の固定子20には、インバータ回路410から各電機子巻線220への電機子電流の供給によって回転磁界が発生する。これにより、回転子30は、回転する。また、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1に、同期機としてのトルクが発生する。
【0027】
ここで、各界磁極形成部190によって第1の固定子10に形成される界磁極の極数2Pfは、12である。すなわち、第1の固定子10の界磁極の極対数Pfは、6である。電機子巻線220によって第2の固定子20に発生する電機子磁極の極数2Paは、8である。すなわち、電機子磁極の極対数Paは4である。また、回転子30の突極の数Prは、10である。したがって、この例では、Pr=Pa+Pfの関係を満たしている。このような関係を満たしている場合、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1のトルクを高めることができる。
【0028】
共通の界磁極形成部190において第1ティース111の磁極の極性が永久磁石130の磁極の極性と同じになる界磁電流Ifの方向をプラス方向とする。ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1の回転速度が低速域で大トルクが必要な場合、N極の各永久磁石130の外側にある各第1ティース111にN極が発生するように、各界磁巻線120にプラス方向の界磁電流Ifを流す。N極の各永久磁石130の起磁力およびN極の各第1ティース111の起磁力が並列に配置されているため、これらによって形成される各界磁極形成部190におけるN極の起磁力は増加する。また、N極の各永久磁石130について回転子30の周方向に隣接するS極の各永久磁石130の外側にある各第1ティース111には、S極が発生する。S極の各永久磁石130の起磁力およびS極の各第1ティース111の起磁力が並列に配置されているため、これらによって形成される各界磁極形成部190におけるS極の起磁力は増加する。このように、各界磁巻線120にプラス方向の界磁電流Ifを流すことにより、各第1ティース111の起磁力が増加し、各界磁極形成部190による界磁磁束を増加することができる。
【0029】
一方、回転子30が回転すると、各電機子巻線220に逆起電力が生じる。各電機子巻線220に生じる逆起電力は、回転子30の回転速度が高速になるほど大きくなる。ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1の回転速度が高速域にある場合、各電機子巻線220に生じる逆起電力がハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1への印加電圧と等しくなるまで回転子30の回転速度が上昇すると、各電機子巻線220に電流を流すことができなくなる。これにより、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1の回転速度をさらに高速にすることができなくなってしまう。これを解消する手段としては、各第1ティース111に各永久磁石130と逆向きの磁極を発生させ、各界磁極形成部190による界磁磁束を弱める手段がある。
【0030】
この場合、N極の各永久磁石130の外側にある各第1ティース111にS極が発生するように、各界磁巻線120にマイナス方向の界磁電流Ifを流す。S極の各永久磁石130の外側にある各第1ティース111には、N極が発生する。これにより、各界磁極形成部190による起磁力は減少する。このように、各界磁極形成部190の起磁力は、各界磁巻線120に流す界磁電流Ifによって自由に調節することができる。各界磁極形成部190は、各第1ティース111の起磁力の増減によって、界磁磁束を広く増減することができる。
【0031】
図5は、図1の第1の固定子における磁気回路を示す部分回路図である。第1の固定子10における磁気回路では、各第1ティース111の起磁力F1および各永久磁石130の起磁力F2が並列に接続されている。各第1ティース111を通る磁束を磁束Φ1とし、各永久磁石130を通る磁束を磁束Φ2とする。この場合、各第1ティース111および各永久磁石130が並列となっている部分以外での磁束Φ0は、Φ0=Φ1+Φ2となっている。
【0032】
したがって、各第1ティース111の磁極の極性を反転させる、すなわちΦ1<0とすることにより、磁束Φ0を磁束Φ2より減少させることができる。この場合、各永久磁石130から出た磁束Φ2の全部または一部は、各第1ティース111へ向かうため、第2の固定子20の電機子巻線220が形成する磁束には鎖交しない。さらに、Φ1=−Φ2にして、磁束Φ0=0にすることにより、各界磁極形成部190の起磁力を0とすることもできる。
【0033】
各永久磁石130の透磁率は、各第1ティース111の透磁率より小さい。そのため、各界磁巻線120によって発生する磁束のほとんどは、各第1ティース111を通る。また、各永久磁石130は、各第1ティース111の位置から外れた位置で回転子30と対向しているので、各第1ティース111を通る磁束Φ1は、各永久磁石130を通らない。各磁束Φ1は、各永久磁石130の厚さ分の磁気ギャップの影響を受けない。これにより、各界磁巻線120は、第1ティース111を通る磁束Φ1を効率的に発生させることができる。
【0034】
このようなハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1によれば、複数の界磁極形成部190のそれぞれにおいて、第1ティース111の磁極が回転子30と対向し、かつ永久磁石130の磁極が第1ティース111の位置から外れた位置で回転子30と対向している。また、複数の界磁極形成部190のそれぞれには、第1ティース111の磁極と、永久磁石130の磁極とによって界磁極が形成される。
【0035】
そのため、界磁巻線120による磁束と、永久磁石130の磁束とを別々の磁路に通すことができる。すなわち、界磁巻線120の起磁力および永久磁石130の起磁力を磁気回路において並列にすることができる。これにより、永久磁石130の位置を避けて界磁巻線120による磁束を通すことができ、界磁巻線120による起磁力を増減させることによって、界磁磁束を広く増減することができる。したがって、第1の固定子10の界磁磁束の増減範囲を拡大することができ、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1の出力範囲を拡大することができる。
【0036】
また、Pr=Pa+Pfの関係を満たしている。これにより、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1のトルクを高めることができる。
【0037】
また、各界磁巻線120は、各第1ティース111に個別に巻かれている。これにより、各第1ティース111の磁束を効率的に発生させることができる。
【0038】
また、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1によれば、第1の固定子10および第2の固定子20のそれぞれは、回転子30の軸方向について、回転子30と対向している。これにより、各第1ティース111に各界磁巻線120を直接巻く作業が容易に行える。または、各界磁巻線120をコイルとして形成した後に、各第1ティース111にはめ込むことが容易に行える。さらに、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1の形状として、扁平形状のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機を作製することができる。
【0039】
各第1ティース111および各永久磁石130が磁気回路において直列になっている場合、次の問題が発生する。各界磁巻線120によって界磁極の磁束を減らす場合、各界磁巻線120による磁束は、各永久磁石130を、各永久磁石130の磁極と逆方向に通過する。そのため、各永久磁石130が永久減磁されるリスクは高くなる。ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1によれば、各第1ティース111および各永久磁石130が磁気回路において並列になっている。そのため、各界磁巻線120による逆方向の磁束は、各永久磁石130を通過しない。これにより、各永久磁石130が永久減磁されるリスクは低くなる。
【0040】
なお、上記の例では、Pr=Pa+Pfの関係を満たしている。しかし、Pr=|Pa−Pf|の関係を満たしている場合においても、同様にハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機1のトルクを高めることができる。
【0041】
なお、上記の例では、第1固定子コア100および第2固定子コア200がそれぞれ積層鉄心により形成されている。しかし、第1固定子コア100および第2固定子コア200を圧粉磁心によって形成してもよい。この場合には、第1固定子端板140および第2固定子端板240は必要としない。また、回転子30を圧粉磁心によって形成してもよい。
【0042】
また、上記の例では、各界磁巻線120が巻かれた各第1ティース111が各永久磁石130および各第2ティース112よりも回転子30の径方向外側に配置されている。しかし、各永久磁石130および各第2ティース112を各界磁巻線120および各第1ティース111よりも径方向外側に配置してもよい。また、各第1ティース111の側面と各第2ティース112の側面とを接触させ、各第1ティース111および各第2ティース112を一体として、各界磁巻線120を巻いてもよい。これにより、各界磁巻線120によって各第2ティース112に発生した磁束を各第1ティース111に流入させることができる。
【0043】
また、上記の例では、各界磁巻線120および各電機子巻線220がそれぞれ集中巻きである場合について説明した。しかし、これらの各巻線は、それぞれ分布巻きでもよい。また、これらの各巻線は、それぞれ集中巻きと分布巻きとの組み合わせであってもよい。また、界磁巻線120および電機子巻線220のうち、一方が他方よりも回転子30の径方向について内側の位置に配置されていてもよい。
【0044】
また、上記の例では、回転子30において(Pa+Pf)個の突極311が円環状の回転子基部310から径方向外側へ突出している構成について説明した。しかし、回転子30は、(Pa+Pf)個の突極を磁気的に有していればよい。すなわち、回転子30の形態は、リラクタンス形回転子であればどのような形態であってもよい。例えば、円筒形の回転子に(Pa+Pf)組のフラックスバリアを設けてもよい。
【0045】
さらに、上記の例では、2Paが8、2Pfが12、Pa+Pfが10となっている。しかし、PaおよびPfは、Pa≠Pf、かつ、|Pa−Pf|≠1であれば、どのような組み合わせでもよい。Pa≠Pfとする理由は、界磁巻線120および電機子巻線220が変圧器結合しないようにするためである。また、|Pa−Pf|≠1とする理由は、第1の固定子10と回転子30との間に働く磁気吸引力、および第2の固定子20と回転子30との間に働く磁気吸引力をそれぞれ平衡させ、回転軸に対して異常な振動または騒音を発生させないようにするためである。ただし、これらの影響により、特性が低下しても問題がない用途であれば、|Pa−Pf|≠1でなくてもよい。
【0046】
また、上記の例では、第2の固定子20における毎極毎相のスロット数は1/2である。しかし、第2の固定子20は、どのようなスロットコンビを用いてもよい。
【0047】
実施の形態2.
次に、実施の形態2におけるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機について、図6から図8を用いて説明する。実施の形態2では、第1の固定子において、界磁巻線の数および各永久磁石の配置が実施の形態1と異なっている。図6は、この発明を実施するための実施の形態2によるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機を示す斜視図である。図7は、図6のハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機を示す分解斜視図である。また、図8は、図7の第1の固定子を示す斜視図である。
【0048】
ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機2は、第1の固定子11と、第2の固定子20と、回転子30とを備えている。第2の固定子20は、回転子30の軸方向について、第1の固定子11と対向している。回転子30は、第1の固定子11および第2の固定子20の間に設けられている。これにより、実施の形態2によるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機2は、アキシャルギャップ型の同期機となっている。
【0049】
第1の固定子11は、第1固定子コア100と、1つの界磁巻線121と、複数の永久磁石131と、複数の永久磁石132と、第1固定子端板140とを有している。第1固定子コア100は、第1固定子コアベース110と、複数の第1ティース111と、複数の第2ティース112とを有している。
【0050】
各永久磁石131は、各第1ティース111上に、回転子30の周方向へ一つ飛ばしでそれぞれ配置されている。また、各永久磁石132は、各第2ティース112上に、回転子30の周方向へ一つ飛ばしでそれぞれ配置されている。この場合、永久磁石131が配置されている各第1ティース111について、回転子30の径方向内側にある各第2ティース112には、永久磁石132は配置されていない。すなわち、各永久磁石132は、各永久磁石131に対して、回転子30の周方向へ、第1ティース111または第2ティース112の1個分ずれて配置されている。また、回転子30に対向する各永久磁石131の磁極の極性は、それぞれN極である。回転子30に対向する各永久磁石132の磁極の極性は、それぞれS極である。すなわち、回転子30に対向する各永久磁石131の磁極の極性および回転子30に対向する各永久磁石132の磁極の極性は、N極およびS極の順で回転子30の周方向へ交互に配置されている。各永久磁石131の配置および各永久磁石132の配置が同じで、回転子30に対向する各永久磁石131の磁極の極性がS極であり、かつ、回転子30に対向する各永久磁石132の磁極の極性がN極であってもよい。
【0051】
各永久磁石131が配置されている各第1ティース111の高さは、永久磁石131が配置されていない第1ティース111の高さよりも各永久磁石131の厚さの分だけ低い。また、各永久磁石132が配置されている各第2ティース112の高さは、永久磁石132が配置されていない第2ティース112の高さよりも各永久磁石132の厚さの分だけ低い。そのため、各永久磁石131、永久磁石131が配置されていない各第1ティース111、各永久磁石132および永久磁石132が配置されていない各第2ティース112の高さはすべて等しい。これにより、各永久磁石131と回転子30とのギャップ、永久磁石131が配置されていない各第1ティース111と回転子30とのギャップ、各永久磁石132と回転子30とのギャップ、および永久磁石132が配置されていない各第2ティース112と回転子30とのギャップは、すべて等しい。
【0052】
界磁巻線121は、各第1ティース111よりも回転子30の径方向内側に配置されている。また、界磁巻線121は、各第2ティース112よりも回転子30の径方向外側に配置されている。これにより、界磁巻線121は、各第1ティース111および各第2ティース112の間に配置されている。また、界磁巻線121は、第1の固定子10の軸線を中心とした環状に配置されている。界磁巻線121は、各第1ティース111間を通らない。そのため、実施の形態1と比較して、各第1ティース111同士の間隔を詰めることができる。回転子30から見た場合の各第1ティース111の断面積を大きく取ることができる。これにより、各第1ティース111による磁束の発生範囲を拡大することができ、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機2の出力範囲をさらに広げることができる。
【0053】
界磁巻線121に界磁電流Ifを流す場合、界磁巻線121の回りに磁束が発生する。各永久磁石131の透磁率および各永久磁石132の透磁率は1.05程度であり、各第1ティース111の透磁率および各第2ティース112の透磁率と比較して小さい。そのため、界磁巻線121による磁束は、各永久磁石131が配置された各第1ティース111よりも、永久磁石131が配置されていない各第1ティース111を優先的に通過する。界磁巻線121による磁束は、各永久磁石132が配置された各第2ティース112よりも、永久磁石132が配置されていない各第2ティース112を優先的に通過する。そのため、永久磁石131が配置されていない各第1ティース111には、磁極がそれぞれ形成される。永久磁石131が配置されていない各第1ティース111よりも回転子30の径方向内側にある各第2ティース112上には、各永久磁石132が配置されている。これにより、回転子30の径方向について位置が合わせられている第1ティース111および永久磁石132は、界磁極を形成する界磁極形成部190をそれぞれ形成する。
【0054】
同様に、永久磁石132が配置されていない各第2ティース112には、磁極がそれぞれ形成される。永久磁石132が配置されていない各第2ティース112よりも回転子30の径方向外側にある各第1ティース111上には、各永久磁石131が配置されている。これにより、回転子30の径方向に位置が合わせられている第2ティース112および永久磁石131は、界磁極を形成する界磁極形成部190をそれぞれ形成する。ここで、永久磁石131が配置されていない各第1ティース111、および永久磁石132が配置されていない各第2ティース112は、極ティースを構成する。
【0055】
回転子30の側から見て、界磁巻線121に反時計回りの界磁電流Ifが流れている場合、回転子30に対向する各第1ティース111の磁極の極性は、すべてS極となる。そのため、永久磁石131が配置されていない各第1ティース111には、S極の大きな起磁力が発生する。回転子30に対向する各永久磁石132の磁極の極性も、S極である。これにより、S極の各永久磁石132およびS極の各第1ティース111からなる界磁極形成部190では、S極の界磁磁束を増加することができる。したがって、この例では、回転子30の側から見て、界磁巻線121に反時計回りの界磁電流Ifが流れている場合がプラス方向となる。
【0056】
また、回転子30に対向する各第2ティース112の磁極の極性は、すべてN極となる。永久磁石132が配置されていない各第2ティース112には、N極の大きな起磁力が発生する。回転子30に対向する各永久磁石131の磁極の極性も、N極である。これにより、N極の各永久磁石131およびN極の各第2ティース112からなる各界磁極形成部190では、N極の界磁磁束を増加することができる。これにより、界磁電流Ifを界磁巻線121のプラス方向に流す場合、界磁極形成部190による界磁磁束を増加することができる。
【0057】
また、界磁電流Ifをマイナス方向に流す場合、回転子30に対向する各第1ティース111の磁極の極性は、N極となる。永久磁石131が配置されていない各第1ティース111よりも回転子30の径方向内側にある各第2ティース112上には、S極の各永久磁石132が配置されている。そのため、各界磁極形成部190は、回転子30の側から見て、N極の各第1ティース111およびS極の各永久磁石132を有する。これにより、各永久磁石132の起磁力は、各第1ティース111の起磁力によって減じられる。このことは、S極の各第2ティース112およびN極の各永久磁石131の組み合わせについても、同様である。これにより、界磁電流Ifを界磁巻線121のマイナス方向に流す場合、界磁極形成部190による界磁磁束を減少することができる。さらに、界磁電流Ifを調整することによって、各界磁極形成部190の起磁力を0にすることも可能である。これにより、界磁電流Ifによって、各界磁極形成部190の起磁力を調節することができ、界磁磁束を広く増減することができる。
【0058】
このようなハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機2においては、第1の固定子11が1つの界磁巻線121を有している。各第1ティース111および各第2ティース112には、1つの界磁巻線121への通電によって磁極がそれぞれ形成されている。これにより、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機2の作製工程を減らすことができる。また、回転子30から見た場合の各第1ティース111の面積を大きくできるため、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機2の出力範囲をさらに広げることができる。
【0059】
実施の形態3.
次に、実施の形態3におけるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機について、図9から図12を用いて説明する。図9は、この発明を実施するための実施の形態3によるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機を示す斜視図である。
【0060】
ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機3は、第1の固定子12と、第2の固定子22と、回転子32とを備えている。第2の固定子22は、回転子32の径方向について、第1の固定子12と対向している。回転子32は、第1の固定子12および第2の固定子22の間に設けられている。第1の固定子12、第2の固定子22および回転子32の形状は、それぞれ円筒形状である。また、第1の固定子12および回転子32の間には、ギャップが設けられている。回転子32および第2の固定子22の間には、ギャップが設けられている。これにより、実施の形態3によるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機3は、ラジアルギャップ型の同期機となっている。回転子32は、図示しない回転軸に固定されている。回転軸は、図示しないハウジングに回転可能に支持されている。回転子32は、回転軸と同軸に配置されている。
【0061】
図10は、図9の第1の固定子を示す斜視図である。第1の固定子12は、第1固定子コア101と、複数の界磁巻線122と、複数の永久磁石133とを有している。第1固定子コア101は、第1固定子コアベース115と、複数の第1ティース116とを有している。第1固定子コアベース115の形状は、円柱形状である。第1固定子コア101は、第1固定子コアベース115の外周面に、回転子32の軸方向について、一方の側の第1の領域171と、他方の側の第2の領域172とを有している。
【0062】
第1の領域171には、各永久磁石133が、回転子32の周方向へ互いに間隔をあけて並べられている。各永久磁石133の形状は、直方体形状である。回転子32に対向する各永久磁石133の磁極の極性は、N極およびS極の順で回転子32の周方向へ交互に配置されている。この例では、12個の永久磁石133が第1の領域171に並べられている。
【0063】
第2の領域172には、各第1ティース116が、各永久磁石133の位置に合わせて、回転子32の周方向へ互いに間隔をあけて並べられている。各第1ティース116は、各永久磁石133と、回転子32の軸方向へ間隔をあけて配置されている。各第1ティース116は、第1固定子コアベース115から、回転子32の径方向外側に向けて突出している。各第1ティース116の形状は、直方体形状である。
【0064】
各界磁巻線122は、各第1ティース116に個別に巻かれている。各界磁巻線122は、回転子32の径方向を巻線の軸方向として巻かれている。各界磁巻線122の巻線方向は、回転子32から見て時計回り方向および反時計回り方向の順で回転子32の周方向へ交互になっている。各第1ティース116は、それぞれ極ティースを構成する。各第1ティース116は、各界磁巻線122への通電によって磁極が形成される。なお、複数の永久磁石133が第2の領域172に並べられ、複数の第1ティース116が第1の領域171に並べられてもよい。
【0065】
図11は、図9の第2の固定子を示す斜視図である。第2の固定子22は、第2固定子コア201と、複数の電機子巻線221とを有している。第2固定子コア201は、第2固定子コアベース215と、複数の第3ティース216とを有している。第2固定子コアベース215の形状は、円筒形状である。各第3ティース216は、第2固定子コアベース215から、回転子32の径方向内側に突出している。各第3ティース216の形状は、直方体形状である。各電機子巻線221は、各第3ティース216に個別に巻かれている。この例では、12個の第3ティース216が第2固定子コアベース215に設けられている。
【0066】
図12は、図9の回転子を示す斜視図である。回転子32の形状は、円筒形状である。回転子32は、複数の突極312と、複数の樹脂部320とを有している。複数の突極312および複数の樹脂部320は、一体成形されている。各突極312および各樹脂部320は、回転子32の周方向へ交互に配置されている。この例では、各突極312および各樹脂部320は、10個ずつ配置されている。各突極312は、回転子32の周方向へ等間隔に配置されている。
【0067】
各突極312は、磁性材料によって形成されている。樹脂部320は、樹脂材料によって形成されている。樹脂部320は、非磁性の特性を有している。そのため、磁気的に見ると、突極312のみが空間に配置されている状態になる。この例では、各突極312同士の間にのみ、樹脂部320が配置されている。しかし、樹脂部320が円筒形を構成し、樹脂部320が、回転子32の周方向について部分的に各突極312を個別に包み込む構成を採ってもよい。
【0068】
回転子32の軸方向に位置が合わされて配置されている第1ティース116および永久磁石133は、それぞれ界磁極形成部190を形成している。界磁極形成部190のそれぞれは、永久磁石133と、界磁巻線122への通電によって磁極が形成される第1ティース116を有している。これにより、界磁極形成部190のそれぞれには、第1ティース116の磁極と、永久磁石133の磁極とによって界磁極が形成される。
【0069】
N極の各永久磁石133の位置に合わせて設けられている各第1ティース116において、回転子32に対向する各第1ティース116の磁極の極性がN極となるように、各界磁巻線122に界磁電流Ifを流す。この場合、S極の各永久磁石133の位置に合わせて設けられている各第1ティース116において、回転子32に対向する各第1ティース116の磁極の極性は、S極となる。これにより、界磁極形成部190の界磁磁束は増加する。一方、各界磁巻線122に界磁電流Ifを逆方向に流した場合、界磁極形成部190の界磁磁束は減少する。これにより、出力範囲の広いハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機3を得ることができる。
【0070】
このようなハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機3によれば、第1の固定子12および第2の固定子22のそれぞれは、回転子32の径方向について、回転子32と対向している。これにより、回転子32の軸方向に細長い形状のモータを作製することができる。
【0071】
実施の形態4.
次に、実施の形態4におけるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機について、図13を用いて説明する。実施の形態4では、第1の固定子において、界磁巻線の数および各永久磁石の配置が実施の形態3と異なっている。図13は、この発明を実施するための実施の形態4によるハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機の第1の固定子を示す斜視図である。
【0072】
第1の固定子13は、第1固定子コア101と、1つの界磁巻線123と、複数の永久磁石134と、複数の永久磁石135とを有している。第1固定子コア101は、第1固定子コアベース115と、複数の第1ティース116と、複数の第2ティース117とを有している。各第1ティース116および各第2ティース117は、第1固定子コアベース115から、回転子32の径方向外側に向けて突出している。
【0073】
第1の領域171には、各永久磁石134および各第1ティース116が、回転子32の周方向へ互いに間隔をあけて、交互に並べられている。各永久磁石134の形状は、直方体形状である。回転子32に対向する各永久磁石134の磁極の極性は、N極である。この例では、各第1ティース116および各永久磁石134は、回転子32の周方向へ互いに等間隔に並べられている。
【0074】
第2の領域172には、各永久磁石135および各第2ティース117が、回転子32の周方向へ互いに間隔をあけて、交互に並べられている。各永久磁石135は、回転子32の軸方向について、各第1ティース116の位置に合わせて配置されている。各永久磁石135と各第1ティース116との間には、隙間が設けられている。各第2ティース117は、回転子32の軸方向について、各永久磁石134の位置に合わせて配置されている。各第2ティース117と各永久磁石134との間には、隙間が設けられている。各永久磁石135の形状は、直方体形状である。回転子32に対向する各永久磁石135の磁極の極性は、S極である。
【0075】
界磁巻線123は、第1の領域171および第2の領域172の境界において、回転子32の周方向へ巻かれている。界磁巻線123は、各永久磁石134と各第2ティース117との間を通っている。また、界磁巻線123は、各第1ティース116と各永久磁石135との間を通っている。各第1ティース116および各第2ティース117は、極ティースを構成する。各第1ティース116および各第2ティース117には、界磁巻線123への通電によって磁極がそれぞれ形成される。永久磁石134および各第2ティース117は、界磁極形成部190を形成する。また、永久磁石135および各第1ティース116は、界磁極形成部190を形成する。
【0076】
界磁巻線123に、第1の領域171から第2の領域172を見た場合に時計回りとなる方向に界磁電流Ifを流す。この場合、回転子32に対向する各第2ティース117の磁極の極性は、N極となる。界磁極形成部190には、第2ティース117の磁極と、永久磁石134の磁極とによって界磁極が形成される。N極の各永久磁石134およびN極の各第2ティース117からなる界磁極形成部190では、N極の界磁磁束を増加することができる。また、回転子32に対向する各第1ティース116の磁極の極性は、S極となる。界磁極形成部190には、第1ティース116の磁極と、永久磁石135の磁極とによって界磁極が形成される。S極の各永久磁石135およびS極の各第1ティース116からなる界磁極形成部190では、S極の界磁磁束を増加することができる。そのため、界磁極形成部190のそれぞれは、界磁磁束を増加することができる。
【0077】
一方、界磁巻線123に、第1の領域171から第2の領域172を見た場合に反時計回りとなる方向に界磁電流Ifを流した場合には、界磁磁束を減少することができる。これにより、第1の固定子13の界磁磁束の増減範囲を拡大することができ、ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機の出力範囲を拡大することができる。
【0078】
このようなハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機によれば、界磁巻線の巻線工程の分だけハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機の作製工程を減らすことができる。
【符号の説明】
【0079】
1,2,3 ハイブリッド界磁式ダブルギャップ同期機、10,11,12,13 第1の固定子、20,22 第2の固定子、30,32 回転子、111,116 第1ティース(極ティ−ス)、112,117 第2ティース(極ティ−ス)、120,121,122,123 界磁巻線、130,131,132,133,134,135 永久磁石、190 界磁極形成部、220,221 電機子巻線、311,312 突極。
図1
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