特許第6895923号(P6895923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レニショウ パブリック リミテッド カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許6895923-物品を製造する方法 図000002
  • 特許6895923-物品を製造する方法 図000003
  • 特許6895923-物品を製造する方法 図000004
  • 特許6895923-物品を製造する方法 図000005
  • 特許6895923-物品を製造する方法 図000006
  • 特許6895923-物品を製造する方法 図000007
  • 特許6895923-物品を製造する方法 図000008
  • 特許6895923-物品を製造する方法 図000009
  • 特許6895923-物品を製造する方法 図000010
  • 特許6895923-物品を製造する方法 図000011
  • 特許6895923-物品を製造する方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6895923
(24)【登録日】2021年6月10日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】物品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20210621BHJP
   A61C 5/77 20170101ALI20210621BHJP
   A61C 13/003 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   A61C8/00 Z
   A61C5/77
   A61C13/003
【請求項の数】25
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-83405(P2018-83405)
(22)【出願日】2018年4月24日
(62)【分割の表示】特願2015-510878(P2015-510878)の分割
【原出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2018-126588(P2018-126588A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2018年5月24日
(31)【優先権主張番号】12167533.4
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】12167523.5
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】12167541.7
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】1210121.8
(32)【優先日】2012年6月7日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1210120.0
(32)【優先日】2012年6月7日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ビービィ
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0241798(US,A1)
【文献】 特表2005−515458(JP,A)
【文献】 特表2010−507445(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/106830(WO,A1)
【文献】 特開2007−215854(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0031977(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/154301(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/070470(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
A61C 5/77
A61C 13/003
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を製造する方法であって、
加算的製造プロセスを行って初期状態の物品を形成する工程であって、前記物品は、当該物品と一体に形成された運動学的取付け特徴部を備え、前記加算的製造プロセスは、前記物品のコンピュータモデルに従って、前記運動学的取付け特徴部を含む前記物品を材料から加算的に形成することにより、前記運動学的取付け特徴部に対する、前記物品上の所定の特徴部の位置が前記コンピュータモデルから導出可能である、形成する工程と、
第2の製造プロセスを実施することにより前記物品を第2の状態に変形させる工程であって、前記第2の製造プロセスは、
(a)前記加算的製造プロセス時に形成された前記運動学的取付け特徴部を用いて、前記物品に対して作業を行う機械の保持デバイス内に前記物品を取付ける工程であって、前記運動学的取付け特徴部が前記保持デバイス上の対応する運動学的取付け特徴部と係合し、前記物品の前記運動学的取付け特徴部と前記保持デバイスの前記運動学的取付け特徴部は、前記機械の動作空間内の直線3自由度および回転3自由度における前記物品の位置および配向を、対応する数の制約を用いて制約するよう構成され、これにより、過度の制約を避ける、取付ける工程と、
(b)前記物品の前記運動学的取付け特徴部に対する前記所定の特徴部の位置に関する前記コンピュータモデルから導出される情報を用いて、前記物品において前記所定の特徴部を加工する工程と、を含む、変形させる工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記物品は、前記加算的製造プロセス時には、前記物品の下方側の足場により支持されており、前記少なくとも1つの他の特徴部は、前記足場と同一側の前記物品において加工されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
物品を製造する方法であって、
加算的製造プロセスを行って、取付け特徴部を有する初期状態の物品を前記取付け特徴部と一体に形成する工程であって、前記加算的製造プロセスは、前記取付け特徴部を含む前記物品を粉末材料から層ごとに作製する工程を含む、形成する工程と、
第2の製造プロセスを実施することにより前記物品を第2の状態に変形させる工程であって、前記加算的製造プロセス時に形成された前記取付け特徴部を介して、前記物品に対して作業を行う機械の保持デバイス内に前記物品を取付ける工程、および前記物品において所定の特徴部を加工する工程を含む、変形させる工程と
を含み、
前記物品は、前記加算的製造プロセス時には、前記物品の下方側の足場により支持されており、前記所定の特徴部は、前記第2の製造プロセス時に前記足場と同一側の前記物品において加工され
前記取付け特徴部は、工作機械の前記保持デバイス上の対応する運動学的取付け特徴部に係合する運動学的取付け特徴部であり、前記物品の前記運動学的取付け特徴部と前記保持デバイスの前記運動学的取付け特徴部は、前記機械の動作空間内の直線3自由度および回転3自由度における前記物品の位置および配向を、対応する数の制約を用いて制約するよう構成され、これにより、過度の制約を避けるることを特徴とする方法。
【請求項4】
前記機械の動作空間内の直線3自由度および回転3自由度における前記物品の位置および配向が、前記保持デバイスに前記取付け特徴部を相互作用させることによって認識済みとなるおよび規定されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の特徴部は、前記第2の製造プロセス時に、前記足場が設けられた前記物品の表面において前記物品に加工されることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の製造プロセスは、減算的プロセスを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記機械は、工作機械を備え、前記第2の製造プロセスは、前記物品の少なくとも一部を機械加工する工程を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記物品は、少なくとも1つの歯科修復物を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の製造プロセスは、患者の口腔内の別の部材に接合することとなる前記歯科修復物の一部を機械加工する工程を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記歯科修復物は、インプラント部材に接合するための少なくとも1つの部分を備え、前記第2の製造プロセスは、インプラント部材に接合するための前記少なくとも1つの部分を機械加工する工程を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記物品は、共に接合された、および後に相互から分離される、複数の製品を備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の製品は、複数の歯科修復物を備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記物品は、少なくとも1つの製品と、後に前記少なくとも1つの製品から取り外される前記取付け特徴部がその上に設けられた少なくとも1つの部材とを備えることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの部材は、前記少なくとも1つの製品が周囲に配置された中心ハブを備えることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の製品は、前記少なくとも1つの部材を介して共に接合されることを特徴とする請求項11に従属する場合の請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記物品は、前記加算的製造プロセス時には、前記物品の下方側の足場により支持されており、前記取付け特徴部は、前記足場のない前記物品の異なる側に設けられることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記物品は、前記加算的製造プロセスにより層ごとに形成されたことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記加算的製造プロセスは、レーザ固化プロセスを含むことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記加算的製造プロセスは、レーザ焼結プロセスまたはレーザ溶融プロセスを含むことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記物品は、複数の側部から加工されることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記物品は、前記第2の製造プロセス時に反転されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記所定の特徴部は、前記加算的製造プロセスにより前記物品中に部分的に形成され、
前記所定の特徴部を加工する工程は、前記所定の特徴部を仕上げる工程を含み得ることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記所定の特徴部は、前記第2の製造プロセス時に取り除かれる過多材料を備えることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
物品を製造する方法であって、
(a)加算的製造プロセスを行って初期状態の物品を形成する工程であって、前記物品は、当該物品と一体に形成された取付け特徴部を含む、工程と、
(b)一連の2つ以上の第2の製造プロセスを実施し、前記一連の各第2の製造プロセスは、
(i)前記加算的製造プロセス時に形成される前記取付け特徴部を介して、前記物品を、当該第2の製造プロセス時に記物品に対して作業を行う機械の保持デバイス内に取付ける工程と、
(ii)前記保持デバイスに取付けられた前記物品に対して、前記物品に少なくとも1つの特徴部を加工する工程と、
を含み、
前記物品の前記取付け特徴部は、前記取付け工程(i)で、前記機械の前記保持デバイス上の対応する運動学的取付け特徴部に係合する運動学的取付け特徴部であり、前記物品の前記運動学的取付け特徴部と前記保持デバイスの前記運動学的取付け特徴部は、前記機械の動作空間内の直線3自由度および回転3自由度における前記物品の位置および配向を、対応する数の制約を用いて制約するよう構成され、これにより、過度の制約を避けることを特徴とする方法。
【請求項25】
物品を製造する方法であって、
(a)加算的製造プロセスを行って初期状態の物品を形成する工程であって、前記物品は、当該物品と一体に形成された取付け特徴部を含み、前記加算的製造プロセス時には、支持構造によって支持される、工程と、
(b)第2の製造プロセスを実施することにより前記物品を第2の状態に変形させる工程であって、前記第2の製造プロセスは減算的プロセスである工程と、を含み、前記減算的プロセスは、
(i)加算的製造プロセス時に形成される前記取付け特徴部を介して、前記支持構造または前記支持構造の少なくとも1つの残部の支持の下、前記物品を、前記物品に対して作業を行う機械の保持デバイス内に取付ける工程と、
(ii)前記保持デバイスに取付けられた前記物品に対して、その上に前記支持構造が設けられた前記物品の表面に少なくとも1つの特徴部を加工する工程であって、前記少なくとも1つの特徴部の材料を取り除く、工程と、
を含む、
前記取付け特徴部は、前記機械の前記保持デバイス上の対応する運動学的取付け特徴部に係合する運動学的取付け特徴部であり、前記物品の前記運動学的取付け特徴部は、前記機械の動作空間内の直線3自由度および回転3自由度における前記物品の位置および配向を、対応する数の制約を用いて制約するよう構成され、これにより、過度の制約を避けることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品、例えば少なくとも1つの歯科修復物を備える物品を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
迅速製造技術が、様々な部品の作製を目的としてより広く利用されつつある。特に、層ごとに部品を作製する技術が、特注部品を製造する産業においてより一層知られるようになり、利用されつつある。選択的レーザ焼結は、かかる迅速製造技術の1つであり、これにより、製品を、粉末金属などの粉末材料から層ごとに作製することができる。例えば、粉末材料層が、レーザ焼結機の台に塗布され得ると共に、次いでレーザが、部品の第1の層を形成するために粉末材料の選択部分を焼結または溶融するように制御される。次いで、別の粉末層が、頂部に塗布され、レーザが、部品のもう1つの層を焼結または溶融するように再び制御される。このプロセスは、部品全体が形成されるまで繰り返される。次いで、形成された部品は、粉末台から取り除かれる。かかる技術は、周知であり、例えば特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0003】
ビレットまたはブランクから部品をフライス加工するなどのより従来的な技術に比較すると、かかる技術は、迅速製造を可能にし、複雑な部品の製造を容易化し、材料の浪費を最小限に抑えることの助けとなることができる。結果として、かかる技術を利用した部品の製造がより望ましいものになりつつある。実際に、歯科修復物、特に典型的には複雑な特注部品である歯科フレームワークを形成するために、かかる技術を利用することが知られている。
【0004】
しかし、かかる技術によって作製される製品は、迅速製造技術だけでは実現することができない、部品の表面仕上げおよび/またはいくつかの特徴部の精度を変更するために、時としてさらなる作業を必要とする。
【0005】
特許文献3は、フレームが、仕上げ工作機械内に保持された状態で、複数の歯科補綴物が、フレーム内にラピッドプロトタイピング方法により形成される技術を開示している。特許文献4は、仕上げ工作機械内に半完成部品を把持するためのグリップ固定およびコネクタ構造体を開示しており、半完成部品は、選択的レーザ焼結により形成される。特許文献5は、基準点を用いたラピッドプロトタイピングにより形成されるドリルテンプレートを開示しており、この基準点は、以降の処理のためにフライス盤においてこのドリルテンプレートを位置決めするために使用される。本出願の優先日以降に公開された特許文献6は、上部構造体を備える歯科ブリッジ中間構造体を開示しており、この上部構造体は、連結片を備え、この連結片は、切歯に歯科ブリッジ中間構造体を連結するための連結手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1021997号明細書
【特許文献2】欧州特許第1464298号明細書
【特許文献3】欧州特許第1974688号明細書
【特許文献4】国際公開第2011/124474号パンフレット
【特許文献5】欧州特許第2238941号明細書
【特許文献6】国際公開第2012/064257号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2013/167905号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】H.J.J.Braddick,“Mechanical Design of Laboratory Apparatus”,Chapman & Hall,London,1960,pages 11−30
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願は、加算的製造プロセスにより物品を製造する方法であって、前記物品が、少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を備え、前記物品が、後に工作機械の保持デバイス内に取り付けられた場合に、既知の位置および配向へと前記物品の位置を制御する、方法を示すものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、物品を製造する方法であって、加算的製造プロセスを利用して初期状態に形成される物品を獲得する工程であって、前記物品が、少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を備える、獲得する工程と、第2の製造プロセスを実施することにより前記物品を第2の状態に変形させる工程であって、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を介して前記物品に対して作業を行う機械の保持デバイス内に前記物品を取り付ける工程であって、前記機械の動作空間内の例えば直線3自由度および回転3自由度などにおける前記物品の位置および配向が、前記保持デバイスに前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を相互作用させることによって制約される(ならびに、例えばそれによって認識済みとなるおよび規定される)、取り付ける工程、および前記物品において少なくとも1つの特徴部を加工する工程を含む、変形させる工程とを含む、方法が提供される。
【0010】
したがって、前記加算的製造プロセスは、前記物品のバルクを形成するために利用されており、前記第2の製造プロセスは、前記物品のいくつかの側面部または特徴部を仕上げるために利用され得る。前記機械の動作空間内における前記物品の位置を規定する少なくとも1つの取付け特徴部を設けることにより、前記物品に対する作業の前に前記物品の位置を判定するために前記物品を探査する必要性が解消され得る。前記少なくとも1つの取付け特徴部により、前記物品が前記機械内に取り付けられる場合に、前記物品の位置および配向は、確実に認識され得る。特に、それにより、直交3自由度における横位置と、3つの直交回転軸を中心とする回転配向とが、既知の方法で制約され得る。したがって、前記少なくとも1つの取付け特徴部は、位置規定取付け特徴部として説明され得る。これは、前記物品において前記少なくとも1つの特徴部を加工する前記工程が、例えば前記物品の位置を見出すための前記物品の探査を伴わずになど、前記物品の位置の精査を必要とする多大な時間を要する位置および/または配向特定動作を伴わずに、すぐに実施され得ることを意味し得る。
【0011】
加工すべき前記少なくとも1つの特徴部の位置の誤差には、2つの主な原因が存在し得る。1つの誤差原因は、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部に対する(およびしたがって、前記機械の前記保持デバイスに対する)、機械加工されることとなる前記少なくとも1つの特徴部の位置の不確定性であり得る。この誤差は、前記加算的製造プロセスの精度により左右され得る。したがって、かかる誤差は、前記加算的製造プロセスの精度に応じて変化し得るが、典型的には、認識済みであり、利用されるプロセスに対して規定され得る。もう1つの誤差原因は、前記機械の前記保持デバイスを有する前記物品の位置再現性(前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部および前記保持デバイス上の対応する特徴部の構成により決定され得る)であり得る。好ましくは、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部は、i)前記部分(例えば機械加工されることとなる少なくとも1つの特徴部)の位置の不確定性の、ii)前記物品の位置再現性に対する比率が、50:1以下になるように、より好ましくは10:1以下になるように、特に好ましくは5:1以下になるように、例えば4:1以下になるように、例えば1:2以下になるように、構成される。明らかなように、前記部分の位置の不確定性および前記物品の位置再現性は、位置公差直径として測定され得る。
【0012】
したがって、好ましくは、前記方法は、ならびに例えば前記物品および前記保持デバイスの前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部は、前記物品が前記保持デバイス内に取り付けられる場合に、前記機械の動作空間内における加工されることとなる前記少なくとも1つの特徴部の位置が、例えば予め決定された所要の公差内にて、および例えば100μm(ミクロン)の位置公差直径内にて、より好ましくは50μm(ミクロン)の位置公差直径内にて、認識済みとなるように、構成される。
【0013】
前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部は、前記機械の動作空間内における3つの相互に垂直な軸の全てに沿った線形位置およびそれらの軸を中心とした回転配向が、前記保持デバイスに前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を相互作用させることによって認識済みとなるおよび規定されるように、構成され得る。
【0014】
例えば、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部は、運動学的取付け特徴部であることが可能である。明らかなように、および例えば非特許文献1などに記載されているように、運動学的設計は、最低個数の制約部を使用して本体または特徴部の運動自由度を制約することを伴い、特に過剰な制約を回避することを伴う。これにより、前記保持デバイスに対する前記物品の高い再現性による位置決めが確保され、前記物品が、予測可能な認識済みの様式で前記保持デバイス上に位置することになることを意味する。したがって、かかる運動学的取付け特徴部は、前記物品に対して作業するための工具(例えば工作機械)の前記保持デバイス上の対応する運動学的取付け特徴部に係合することが可能である。
【0015】
機械加工時に被る高負荷により、機械加工のために物品を保持するための運動学的取付け特徴部を使用することは、これまで考えられてこなかった。したがって、この目的における運動学的取付け特徴部の使用に対しては、技術的偏見が存在していた。
【0016】
また、前記物品は、ユーザが前記保持デバイス上に前記物品を配置し得る粗配向に制約を与える粗配向特徴部を備えることも可能である。特に、好ましくは、それらは、前記保持デバイス上において前記物品を1つの配向にのみ配置させ得るように構成される。かかる特徴部は、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部により実現され得る。任意には、それらは、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部とは別個の特徴部として実現される。好ましくは、かかる粗配向特徴部は、前記物品上の前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部と前記保持デバイス上の対応する特徴部との係合により実現される、前記物品の位置および配向の制御を妨害しない。
【0017】
前記物品は、前記物品の例えばCADモデルなどのコンピュータモデルにしたがって、前記加算的製造プロセスにより作製されたものである。
【0018】
したがって、前記第2の製造プロセスは、かかる特徴部の位置に関するデータを使用して前記物品の特徴部の位置を判定する工程を含むことが可能である。かかるデータは、前記コンピュータモデルから導出され得る。したがって、前記方法は、前記物品の少なくともいくつかの特徴部の位置に関するデータを受領する工程を含み得る。
【0019】
前記物品は、前記加算的製造プロセスにより層ごとに作製されたものであり得る。前記物品は、選択的レーザ焼結または選択的レーザ溶融としても知られている、レーザ焼結プロセスまたはレーザ溶融プロセスなどのレーザ固化プロセスにより作製されたものであることが可能である。任意には、前記物品は、レーザクラッディングプロセス、熱溶解積層法(FDM)プロセス、または電子ビーム溶融プロセスにより作製されたものであることが可能である。前記方法は、前記加算的プロセスにより前記物品を形成する工程を含むことが可能である。
【0020】
前記第2の製造プロセスは、減算的プロセスであることが可能である。したがって、少なくとも1つの第1の特徴部を加工する前記工程は、前記物品から材料を除去する工程を含むことが可能である。例えば、前記機械は、工作機械であることが可能であり、前記工作機械において、前記第2の製造プロセスは、前記物品の少なくとも一部を例えばフライス加工するなど機械加工する工程を含む。
【0021】
前記物品は、複数の側部から加工され得る。例えば、前記物品は、両側から加工され得る。これは、前記加工機械により複数の側においてアクセスされ得るように前記物品を取り付けることによって、実現され得る。これは、前記第2の製造プロセス時に前記物品を回転させることによって実現され得る。したがって、前記第2の製造プロセスは、前記物品の第1の側部を加工する工程と、その後に前記物品を回転させて前記物品の別の側部において作業を実施する工程とを含むことが可能である。さらに詳細には、前記第2の製造プロセスは、前記物品の第1の側部を加工する工程と、その後に前記物品を反転させて前記物品の対向側側部において作業を実施する工程とを含むことが可能である。これは、例えば、前記物品の第1の側部を機械加工する工程と、その後に前記物品を回転させて前記物品の対向側側部を機械加工する工程とを含むことが可能である。前記物品は、前記保持デバイスにより回転され得る。すなわち、前記保持デバイスは、回転軸を有することが可能である。
【0022】
前記第2の製造プロセス時に、前記少なくとも1つの第1の特徴部が完全に形成されてもよい。任意には、前記少なくとも1つの第1の特徴部は、前記加算的製造プロセスにより、前記物品中に少なくとも部分的に予め形成されたものであることが可能である。したがって、前記少なくとも1つの第1の特徴部を加工する前記工程は、前記少なくとも1つの第1の特徴部を仕上げる工程を含むことが可能である。これは、前記少なくとも1つの第1の特徴部上の材料を除去する工程を含むことが可能である。したがって、前記少なくとも1つの第1の特徴部は、前記第2の製造プロセス時に除去される過多材料を備えることが可能である。したがって、前記方法が、前記加算的プロセスにより前記物品を形成することを含む場合には、この工程は、少なくとも前記少なくとも1つの第1の特徴部に過多材料を付加する工程を含むことが可能である。かかる過多材料は、仕上げられた製品にとって最終的に望ましい量を超過した材料であることが可能である。
【0023】
前記物品は、少なくとも1つの歯科修復物を備えることが可能である。前記物品は、少なくとも1つのインプラントに支持される歯科修復物を備えることが可能である。前記歯科修復物は、アバットメントであることが可能である。前記歯科修復物は、例えばインプラントに支持されるアバットメントまたは歯冠などの、単一の歯修復物であることが可能である。他の材料が、前記修復物を仕上げるために前記歯科修復物に追加され得る。例えば、陶材または歯冠が、天然の歯に美観的により類似した仕上がりを実現するために、追加され得る。
【0024】
前記第2の製造プロセスは、例えば患者の口腔内の別の部材などの別の物体に接合することとなる前記歯科修復物の一部を機械加工する工程を含むことが可能である。これは、良好な嵌りを確保するために重要となり得る。良好な嵌りの確保は、例えば前記歯科修復物の故障の可能性を低減させるために構造的になど、多数の理由により重要となり得る。また、良好な嵌りを確保することは、バクテリアを住み付かせ得る隙間を減少または回避するためにも重要となり得る。例えば、前記方法は、患者の口腔内の「プレップ(prep)」または患者の顎中のインプラントとして一般的に知られている前記修復物を受けるように調製された歯に接合することとなる領域を機械加工する工程を含むことが可能である。前記歯科修復物は、例えば少なくとも1つのインプラント部材などの患者の口腔内の少なくとも1つの部材に接合するための少なくとも1つの部分を備えることが可能であり、前記第2の製造プロセスは、前記少なくとも1つの部分を機械加工する工程を含む。
【0025】
前記物品は、共に接合された複数の製品を備えることが可能である。明らかなように、前記製品は、後に相互から分離され得る。したがって、複数の製品が、同時に形成および加工され得る。それらは、共に接合されるため、前記第2の製造プロセスを実施するための機械内において、共に搬送され共に取り付けられ得る。
【0026】
前記物品は、少なくとも1つの製品と、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部が上に設けられた少なくとも1つの部材とを備えることが可能である。したがって、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部は、前記製品とは別個に設けられ得る。明らかなように、前記少なくとも1つの部材は、前記部材を必要とする全ての加工後に、前記製品から後に分離され得る。前記部材は、前記物品を保持(例えばクランプ)して前記第2の製造プロセス時にその位置を規定および維持することが可能な保持部材(例えばクランプ部材)であることが可能である。前記少なくとも1つの部材は、前記少なくとも1つの製品が周囲に配置される中心ハブを備えてもよい。
【0027】
前記複数の製品は、前記少なくとも1つの部材により共に接合され得る。
【0028】
前記複数の製品は、複数の歯科修復物を備えることが可能である。例えば、前記複数の製品は、複数の歯科アバットメントを備えることが可能である。
【0029】
前記物品が、前記加算的製造プロセス時に前記物品の下方側の足場により支持されている場合には、前記物品において加工されることとなる前記少なくとも1つの特徴部は、前記足場と同一側に位置し得る。
【0030】
前記少なくとも1つの特徴部は、前記第2の製造プロセス時に、前記足場が設けられた前記物品の表面において前記物品に加工され得る。
【0031】
本発明の別の態様によれば、物品を製造する方法であって、加算的製造プロセスを利用して形成される初期状態の物品を獲得する工程であって、前記物品が、少なくとも1つの取付け特徴部を備える、獲得する工程と、第2の製造プロセスを実施することにより前記物品を第2の状態に変形させる工程であって、前記少なくとも1つの取付け特徴部を介して前記物品に対して作業を行う機械の保持デバイス内に前記物品を取り付ける工程、および前記物品において少なくとも1つの特徴部を加工する工程を含む、変形させる工程とを含み、前記物品が、前記加算的製造プロセス時には、前記物品の下方側の足場により支持されており、前記少なくとも1つの特徴部が、前記第2の製造プロセス時に前記足場と同一側の前記物品において加工される、方法が提供される。
【0032】
前記機械の動作空間内の直線3自由度および回転3自由度における前記物品の位置および配向は、前記保持デバイスに前記少なくとも1つの取付け特徴部を相互作用させることによって、認識済みとなり得る、および規定され得る。
【0033】
前記少なくとも1つの取付け特徴部は、前記工作機械の前記保持デバイス上の対応する運動学的取付け特徴部に係合する運動学的取付け特徴部を備えてもよい。
【0034】
前記少なくとも1つの特徴部は、前記第2の製造プロセス時には、前記足場が設けられた前記物品の表面において前記物品に加工されてもよい。
【0035】
本発明の別の態様によれば、歯科修復物を製造する方法であって、i)加算的プロセスにより初期状態の歯科修復物本体を形成する工程であって、前記歯科修復物本体が、少なくとも1つのセットの位置特徴部を有する取付部を備える、形成する工程と、ii)前記取付部の少なくとも1つのセットの位置特徴部により工作機械内に初期状態の前記歯科修復物本体を取り付ける工程と、iii)前記歯科修復物本体の実質的に対向し合う第1の側部および第2の側部の両方から前記歯科修復物本体を機械加工することにより、前記歯科修復物本体を第2の状態へと変形させる工程とを含む、方法が提供される。
【0036】
したがって、本発明の前記方法は、それぞれ異なる段階にてそれぞれ異なる製造技術を利用することにより、精確な歯科修復物を効率的に形成する。
【0037】
加算的プロセスの利用は、大幅により少ない材料を必要とし、またより少ない時間を必要とし得るため、固体ブランクから歯科修復物本体全体を機械加工するのに比べて有利となり得る。また、それにより、機械加工プロセスのみでは不可能なジオメトリの形成が可能となる。
【0038】
前記位置特徴部を設けることにより、前記工作機械内において前記歯科修復物本体の位置を確認するために探査を行う必要性が解消され得る。前記位置特徴部により、それが前記工作機械内に取り付けられた場合に、前記歯科修復物本体の位置が認識済みとなることが確保され得る。
【0039】
工程iii)は、前記歯科修復物本体の第1の側部から前記歯科修復物本体を機械加工する工程と、前記初期状態歯科修復物本体を再配向する工程と、次いで前記初期状態歯科修復物本体の第2の側部から前記歯科修復物本体を機械加工する工程とを含むことが可能である。
【0040】
前記少なくとも1つのセットの位置特徴部は、少なくとも1つのセットの運動学的取付け特徴部を備えることが可能である。
【0041】
前記歯科修復物本体は、前記歯科修復物の前記第1の側部および前記第2の側部の一方に存在する、患者の顎中のインプラントに接合する(前記患者の顎中に前記歯科修復物を配置するために)ための少なくとも1つの接合部を備えることが可能である。
【0042】
前記少なくとも1つの接合部(前記患者の顎中の前記インプラントに対合する前記歯科修復物本体の領域)が、非常に高精度の仕上がりを有することが、重要となり得る。かかる高精度の仕上がりを伴わない場合には、前記インプラントと前記接合部との間の嵌め合いは、不十分なものとなる恐れがあり、これは、前記歯科修復物が前記患者の顎内において不十分に固定されることにつながり得る。
【0043】
したがって、前記歯科修復物本体の初期状態においては、前記少なくとも1つの接合部は、過剰量の所要材料で形成され得る。前記方法は、前記少なくとも1つの接合部を機械加工して前記過多材料の少なくとも一部を除去する工程をさらに含むことが可能である。
【0044】
複数の接合部が、前記歯科修復物本体に沿って離間されて設けられ得る。これは、前記歯科修復物がインプラントブリッジである場合に、特に当てはまる。例えば前記接合部間の間隔が、前記患者の顎内の前記対応するインプラント間の間隔とは異なる場合など、前記複数の接合部が、精確に形成されない場合には、前記歯科修復物本体は、定位置に固定される場合に歪められた状態になり得ることが判明している。この歪みは、前記歯科修復物本体内の応力につながる恐れがあり、さらに、これは、前記インプラントに対する望ましくない応力につながる恐れがある。前記取付部におけるかかる応力は、着用者に対して不快感を引き起こし、前記歯科修復物本体が緩むまたはさらには故障する傾向をもたらし得る。
【0045】
したがって、前記方法は、前記複数の接合部の中の少なくとも1つを機械加工して過多材料を除去し、それにより前記複数の接合部同士の相互に対する相対位置を操作する工程を含むことが可能である。
【0046】
前記少なくとも1つの接合部は、前記歯科修復物本体の前記第2の側部に設けられ得る。
【0047】
前記少なくとも1つの接合部は、患者の顎中に固定されたインプラントに接合するためのインプラント接合部であることが可能である。
【0048】
初期状態にある前記歯科修復物本体は、患者の顎中のインプラントに前記歯科修復物本体を固定するための固定具を受けるための少なくとも1つの穴を備えることが可能である。明らかなように、固定具の頭部により前記歯科修復物本体が当接させられる表面は、安定的な嵌りを確保するために高レベルの平滑度を必要とし得る。したがって、前記方法は、前記少なくとも1つの穴を機械加工することにより前記少なくとも1つの穴を最終的に形成する工程を含むことが可能である。
【0049】
前記少なくとも1つの穴を機械加工する前記工程は、前記歯科修復物本体の前記第1の側部から実施され得る。
【0050】
加算的プロセスが、選択的レーザ溶融/焼結プロセスを含むことが可能である。
【0051】
前記歯科修復物は、アバットメントであることが可能である。前記歯科修復物は、インプラントに支持されるアバットメントであることが可能である。
【0052】
前記歯科修復物本体は、前記歯科修復物の最終外方形状を形成することが可能である。任意には、前記歯科修復物本体は、前記歯科修復物の前記最終外方形状を与えるために外方構造体が形成され得る本体または「フレームワーク」であることが可能である。したがって、前記方法は、前記本体に外方構造体を追加する工程を含むことが可能である。前記外方構造体は、陶材層を備えることが可能である。
【0053】
本発明の別の態様によれば、物品を製造する方法であって、加算的製造プロセスを利用して初期状態の物品を形成する工程であって、前記物品が、例えば少なくとも1つのセットの運動学的取付け特徴部(すなわち、前記加算的製造プロセスにより形成された)などの、少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を備える、形成する工程を含む、方法が提供される。前記方法は、前記セットの運動学的取付け特徴部を介して機械の保持デバイス内に前記物品を取り付ける工程を含むことが可能である。
【0054】
本発明のさらなる態様によれば、例えば少なくとも1つのセットの運動学的取付け特徴部などの、少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を備える、加算的製造プロセスにより作製される物品が提供される。
【0055】
本発明のさらなる態様によれば、第2の製造プロセスにおける加工を必要とする少なくとも1つの特徴部を備える、加算的製造プロセスにより作製される物品であって、前記物品が、前記加算的製造プロセス時には、前記物品の下方側の足場により支持されており、前記第2の製造プロセス時に加工されることとなる前記少なくとも1つの特徴部が、前記足場と同一側に位置する、物品が提供される。前記足場または少なくともその残部が、前記物品上に残ってもよい。
【0056】
前記物品は、少なくとも1つの歯科修復物を備えてもよい。
【0057】
前記少なくとも1つの特徴部は、患者の口腔内において別の部材に接合することとなる前記歯科修復物の少なくとも一部分を備えてもよい。前記第2の製造プロセスは、前記少なくとも一部分が機械加工されるプロセスであってもよい。
【0058】
前記少なくとも1つの特徴部は、少なくとも1つのインプラント部材に接合するための少なくとも1つの部分を備えてもよい。
【0059】
本発明のさらなる態様によれば、物品を製造する方法であって、初期状態の物品を獲得する工程であって、前記物品が、少なくとも1つの取付け特徴部を備える、獲得する工程と、一連の2つ以上の製造プロセスを実施することにより、前記一連の各製造プロセスにおいて前記物品を異なる各状態へと変形させる工程であって、前記一連の各製造プロセスごとに、前記少なくとも1つの取付け特徴部を介して、前記製造プロセス時に前記物品に対して作業を行う機械の保持デバイス内に前記物品を取り付ける工程であって、前記機械の動作空間内の直線3自由度および回転3自由度における前記物品の位置および配向が、前記保持デバイスに前記少なくとも1つの取付け特徴部を相互作用させることによって、認識済みとなるおよび規定される、取り付ける工程、および前記物品を加工する工程を含む、変形させる工程とを含む、方法が提供される。
【0060】
前記少なくとも1つの取付け特徴部は、前記機械の前記保持デバイス上の対応する運動学的取付け特徴部に係合する運動学的取付け特徴部を備えてもよい。
【0061】
前記少なくとも1つの取付け特徴部を有する前記初期状態にある前記物品は、加算的製造プロセスを利用して形成されてもよい。
【0062】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載されるような方法により作製される製品または物品が提供される。
【0063】
また、本願は、レーザ焼結プロセスにより粉末材料から層ごとにインプラント部材に接合するための部分を含むアバットメントを作製する工程を含む、歯科インプラントに支持されるアバットメントを製造する方法を説明する。かかる方法は、前記レーザ焼結プロセス後に前記アバットメントの少なくとも一部を加工する工程を含むことが可能である。
【0064】
加工する前記工程は、例えば機械加工を介してなど、前記アバットメントから材料を除去する工程を含むことが可能である。前記方法は、インプラント部材に接合するための部分を加工する工程を含むことが可能である。加工する前記工程は、前記レーザ焼結プロセス後に、加工する前記工程時に前記アバットメントを保持するためのデバイス内に前記アバットメントを取り付ける工程を含むことが可能である。前記レーザ焼結プロセスは、加工する前記プロセス時に前記アバットメントを保持するための前記デバイス内に前記アバットメントを取り付けるための、前記アバットメントに連結された取付部を作製する工程を含むことが可能である。好ましくは、前記アバットメントおよび前記取付部は、前記アバットメントが、加工する前記工程時に前記アバットメントを保持するための前記デバイス内に取り付けられる場合に、現時点において形成されているまたはまだ形成されていない前記アバットメントの穴(インプラントねじまたはインプラントねじを固定するためのねじ回しを受けることが可能な)の軸に対して、および任意には例えば前記インプラント部材に接合するための前記部分の軸に対して、例えば平行であり得るまたはさらには一致し得るアバットメントの長手方向軸が、前記アバットメントを加工するための例えば切削工具などの工具に対して平行になるように、構成される。前記レーザ焼結プロセスは、同一の取付部に連結された複数のアバットメントを作製する工程を含むことが可能である。前記複数のアバットメントの中の少なくとも2つ、および好ましくは全てが、例えばそれらの長手方向軸が相互に対して平行になるようになど、インプラント部材に接合するためのそれらの部分が同一方向に配向されるように、配向され得る。
【0065】
以下、添付の図面を参照として一例の好ましい実施形態として本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】物品を形成するための選択的レーザ焼結機の概略図である。
図2】支持インプラントに装着されたインプラントアバットメントの概略断面図である。
図3a】初期状態において中心ハブに連結された複数のアバットメントを備える物品の概略底面図である。
図3b】初期状態において中心ハブに連結された複数のアバットメントを備える物品の概略底面図である。
図4a図3に示す物品の概略上面図である。
図4b図3に示す物品の概略上面図である。
図5】本発明による方法を示す流れ図である。
図6】製造時に作製プレートに依然として装着された図3および図4のレーザ焼結済み物品の概略断面側面図である。
図7】工作機械において運動学的取付部を使用してクランプされた図3および図4のレーザ焼結済み物品の概略断面側面図である。
図8a】歯科修復物の底面中に機械加工されつつあるインプラント接合部の概略図である。
図8b】アバットメント中に穴ぐりを機械加工する準備においてクランプ部材によって上下反転された物品の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下の説明は、本発明がインプラントに支持されるアバットメントを製造するためにどのように利用され得るかの一例を提示するものである。明らかなように、インプラントに支持されるアバットメントは、使用時には、患者の口腔内に歯科修復物を保持するために患者の顎内に予め埋め込まれた歯科インプラントに固定される、特定のタイプの歯科修復物である。典型的には、インプラントに支持されるアバットメントは、1つの歯と置換するために使用される。インプラントに支持されるアバットメントは、典型的には金属ベース構造体から作製され、それを嵌める前に、陶材、ブリッジ、または歯冠が、アバットメントの所望の仕上げ形状および外観を実現するためにこのアバットメントに追加される。
【0068】
当然のことながら、本発明は、インプラントに支持されるアバットメントの製造に限定されず、例えばブリッジまたは歯冠などの他のタイプの歯科修復物の製造などにおいても利用され得るものである。しかし、本発明は、一般的に歯科修復物にも限定されない。むしろ、本発明は、他のタイプの医用インプラント、航空宇宙部品、および宝石類などの、多様な種々のタイプの製品の製造において利用され得る。
【0069】
明らかなように、インプラントに支持されるアバットメントは、アバットメントが患者の口腔内で快適かつ永続的に嵌められるのを確実にするために、精確に作製される必要がある。CNCフライス盤などの工作機械を使用して、アバットメント全体が単一片として機械加工され得るように、十分な体積のブランクすなわち「ビレット」から歯科アバットメントを作製することが知られている。明らかなように、インプラントに支持されるアバットメントの場合に、ブランクは、例えばチタンまたはコバルトクロム合金などの固体金属片であることが可能である。例えばジルコニアなどの他の材料を使用することが可能であるが、この場合には、金属リンク部材が、ジルコニア本体とインプラントとの間にしばしば必要となる。いずれの場合でも、かかるフライス加工/機械加工技術の結果として、高精度のアバットメントが形成されるが、この技術は、多大な時間を必要とし、高額であり、かなりの材料の浪費を伴う。
【0070】
本発明にしたがって説明される実施形態は、アバットメントの初期形態を作製するために加算的プロセスを利用する。この場合には、追加の機械加工プロセスが、アバットメントの少なくとも選択的領域をさらに加工するために利用される。加算的プロセスの利用は、大幅により少ない材料を必要とし、またより少ない時間を必要とし得るため、固体ブランクから歯科修復物本体全体を機械加工するのに比べて有利となり得る。
【0071】
図1は、選択的レーザ焼結/溶融機の作製チャンバ210の典型的な構成を示す。作製チャンバ210は、下降可能作製プラットフォーム230の上方に空間220を画成する。作製チャンバ210は、作製プラットフォーム230の表面に粉末250を散布するための粉末配給および被覆装置240を備える。チャンバ210の上方壁部中の窓255により、レーザビーム260は、作製表面270に粉末散布物を放射するように向けられて、粉末を選択的に焼結/溶融することにより、製造すべき物品20の層を形成することが可能となる。レーザおよび下降可能プラットフォーム230は、物品20を形成するためのプロセスを規定するプログラムを有する、PCなどの制御装置280により制御され得る。このプログラムは、形成すべき部品のCADデータに基づきレーザ焼結プロセスを制御することが可能である。特に、CADデータは、レーザ焼結プロセスにより形成されることとなる層に各レイヤが対応した複数のレイヤへと分割され得る。
【0072】
図2は、この場合にはインプラントアバットメント12である完成した歯科修復物が、その最終状態において、患者の下顎骨5中のインプラント4にどのように固定され得るかを示している。隣接する歯は、単純化のためにこの図面には示さない。図示するように、陶材3の外方層が、アバットメント12に追加されることにより、歯科修復物2の最終外方形状が実現される。図2には、アバットメント12およびインプラント4が相互に係合する領域であるインプラント/アバットメント接合部6が示されている。これは、高精度に仕上げられるべきアバットメント12の表面の部分である。図示するように、アバットメント12は、インプラントねじ10が中に配置され得る、それに形成された穴ぐり8を備える。穴ぐり8は、上方セクション13および下方セクション15を備える。下方セクション15は、上方セクション13よりも小さな半径を有し、特にインプラント4にアバットメント12を固定するために使用されるねじ10の頭部よりも小さな半径を有する。図示するように、ねじ10は、穴ぐり8を通りインプラント4内へと螺合されると、穴ぐり8を、したがってアバットメント12をインプラント4に対してしっかりと固定する。
【0073】
また、図2には、i)インプラント接合部6とii)陶材/歯冠が追加されるアバットメント12の部分9(しばしば冠状領域9と呼ばれる)との間における出現プロファイル領域7が示される。この出現プロファイル領域は、インプラント接合部6とアバットメントの縁線11との間の領域としても説明され得るものである。明らかなように、この縁線は、陶材または歯冠が設置されるように意図されるアバットメント周囲のエッジとして通常は理解される。したがって、アバットメントの金属表面のこの領域は、露出され、患者の歯肉11すなわち保護歯周組織と直接接触状態になる。この領域は、歯科分野においては、「出現プロファイル」または「移行的保護歯周領域」と通常呼ばれる。この出現プロファイル領域7が、刺激または保護歯周組織を回避するために、およびバクテリアの住み付きを防止するために、平滑であることが重要となり得る。この領域は、適切な研磨技術により平滑化され得る。
【0074】
図3aおよび図3bならびに図4aおよび図4bは、レーザ焼結プロセスにより粉末コバルト−クロムから作製された物品20の底面図および上面図をそれぞれ示す。この物品20は、連結バー21により共通ロケーションハブ22にそれぞれが装着された、複数の個々のアバットメント12を備える。図示するように、各アバットメント12の最下表面は、アバットメント12のインプラント接合部6が機械加工によりやはり形成されることとなる、円形ディスク/ボス状過多材料突出部14を備える。また、これらの図は、ロケーションハブ22の一方の側に、運動学的取付け部を画成する3つのv字状溝特徴部18が存在するのをさらに示している。以下に説明するように、これらの3つのv字状溝特徴部18は、工作機械クランプ25(以下でさらに詳細に説明される)により工作機械装置の空間内における既知の位置および配向に物品20を精確に配置するために使用される。また、図示するように、ロケーションハブ22は、ロケーションハブ22の全長にわたり延在する2つの粗配向穴17をさらに備える。以下で説明されるように、これらの穴17は、工作機械クランプ25内における物品20の正しい粗配向を確保するために使用され得る。図示するように、全てのアバットメント12は、それらの長手方向軸32が相互に平行になるように配向される。さらに(および図8aに示すように)、アバットメントおよび取付部は、物品20が、後の加工時にクランプ25内に取り付けられる場合に、アバットメントの長手方向軸32が、切削工具31の長手方向軸に対して平行になるように、構成される。
【0075】
図5は、本発明の一実施形態によるインプラントに支持されるアバットメント12を作製する方法を示す流れ図である。図示される各工程が、図6図8を参照として説明される。
【0076】
第1の工程110においては、初期状態にあるアバットメント12が、この例では選択的レーザ焼結プロセスである迅速製造プロセスを利用して作製される。明らかなように、選択的レーザ焼結プロセスは、図1に概略的に示され上述されるものなどの選択的レーザ焼結機を使用することにより、物品20に粉末材料層を反復的に追加することを含むものである。高強度レーザが、適切な層について物品20の適切な形状に一致する粉末材料の領域に集束されて、粉末を結合させる。その後、焼結が実施される表面は、粉末材料が次に塗布される場合に、レーザが同一高さにて集束し得るように、下降されるが、粉末中を適切な経路を周りつつ走査される。説明される実施形態においては、このアバットメント12は、やはりレーザ焼結プロセスにより形成されたハブ22に連結された複数のアバットメント12(この例においては8つのアバットメント)を備える物品20の一部として形成される。
【0077】
図6は、選択的レーザ焼結により作製されたが依然として作製プレート24上に位置する物品20の断面図を示す。物品20は、支持構造体23上に載置されており、この支持構造体23は、物品よりも低密度の焼結材料のウェブであるが、物品を支持し、その自重および内部熱応力の両方の下における歪みを防止するのに十分な強度を備える。また、支持構造体23は、本明細書において足場または支持ウェブとも呼ばれる。明らかなように、図示しないが、作製プレート24は、作製される物品20よりもはるかに大きくてもよく、そのため、複数の物品を同時に作製することを可能にし得る。また、図6から分かるように、物品20が、加算的製造プロセス時に物品20の下方側の足場23により支持される場合には、取付け特徴部18は、足場23のない、物品20の異なる側に(すなわち物品20の上方側に)設けられる。
【0078】
第2の工程120は、選択的レーザ焼結プロセスの完了に続いて行われ、選択的レーザ焼結装置から作製プレート24および物品20を取り除くことと、機械加工のためにそれらを準備することとを含む。準備には、応力除去熱処理サイクルが実施され得るように、支持ウェブ23および作製プレート24と共に物品20を工業用オーブン内に配置することなどの、様々なオプション段階が含まれ得る。次いで、物品20は、支持構造体23を切断することにより、作製プレート24から取り除かれ、構造体23の任意の残りの部分は、プライヤおよび研磨回転工具により取り除かれる。次いで、物品20は、表面全体をより平滑にするためにグリットブラスティングを実施され得る。時として(例えば、ブラスティング前の研磨工具の使用などによっては)、グリットブラスティング後も、支持構造体23に連結されていた物品20の側部が、支持構造体23の残部が物品20上に残っていることにより、対向側側部よりも依然として大幅に粗い場合があり得る。図示するように、アバットメント12の出現プロファイル領域7と、インプラント接合部が機械加工されることとなる過多材料14とは、支持構造体23が設けられた物品20の表面上に存在する。
【0079】
前述のように、初期状態にあるアバットメント12の機械加工は、アバットメント12が逆方向からの特徴部の機械加工を必要とし得るため、複数段階プロセスであることが可能である。
【0080】
図7により示されるように、後続工程130は、例えばコンピュータ数値制御(CNC)フライス盤などの工作機械において、この場合ではクランプ25である取付け構造体の上に初期状態の物品20を取り付けることを含む。図7は、クランプ25がロケーションハブ22に係合することにより定位置にクランプされた初期状態の物品20の概略図を示す。クランプ25は、ベース27を備え、ベース27は、その上方表面30に配置された3つの半球状突出部28(図7にはそれらの中の2つのみが図示される)を有する。突出部28は、ロケーションハブ22上の運動学的特徴部18に係合し得るように配置され、それにより、クランプ25に対する物品20の運動学的取付けを容易にする。また、クランプ25は、上方クランプ部材26を備え、この上方クランプ部材26は、ロケーションハブ22に係合することにより、ベース27にロケーションハブ22を付勢し、それにより物品20を定位置にしっかりと保持する。この場合には、上方クランプ部材は、ねじ26であり、このねじ26は、ロケーションハブ22中の穴29を貫通して延在し、それにより、そのねじ山(図示せず)は、ベース部材27中の対応するねじ山に係合し、それが締め付けられることにより、ねじ26の頭部は、ロケーションハブ22の運動学的特徴部18をベース27の運動学的特徴部28へと押し込む。物品20は、機械加工されることとなる表面が上方を向くようにクランプされる。
【0081】
次いで、工程140にて、および図8aに示すように、各アバットメント12上に設けられた過多材料14は、コンピュータ数値制御(CNC)工作機械装置のフライス工具31により機械加工されて、インプラント4上の対応する特徴部に係合し得るインプラント接合構造体6を形成する。運動学的特徴部は、直線3自由度の全ておよび回転3自由度の全てにおいて、工作機械の動作空間内における物品20のおよびしたがってアバットメント12の位置および配向を制約する。したがって、この機械加工工程は、その位置を判定するために物品20を探査する必要性を伴わずに実施され得る。すなわち、アバットメント12の位置は、ロケーションハブ22に対して位置すべき位置に関する認識から推定され得る。本例では、各物品20は、各過多材料部分14が予め規定された位置に位置すると仮定され得るように、標準モデルにしたがって作製される。すなわち、物品20が、8つのアバットメント12を備えることと、各アバットメント12の過多材料部分14が、ロケーションハブ22に対して予め規定された位置に位置することとが、認識済みとなる。特に、この実施形態では、本方法および特に運動学的特徴部は、アバットメント12の位置およびより詳細には過多材料部分14の位置が、100μm(ミクロン)の位置公差直径内において認識済みとなるように、設定される。したがって、レーザ焼結プロセスの精度は、運動学的取付け特徴部18に対する各アバットメント12の位置の不確定性が、80μm(ミクロン)の位置公差直径内となり、アセンブリの位置再現性が、8μm(ミクロン)の位置公差直径内となるようなものとなる。したがって、i)運動学的取付け特徴部に対する各アバットメント12の位置の不確定性の、ii)運動学的取付け特徴部の再現性に対する比率は、10:1となる。
【0082】
ロケーションハブ22の位置が、ハブ22上の運動学的取付特徴18およびベース27上の運動学的取付特徴28により精確に規定されることにより、過多材料部分の位置もまた、精確に規定および認識され、フライス加工作業を実施する工作機械装置により推定され得る。明らかなように、これは、必ずしもそうである必要はなく、例えば、過多材料部分14などのいくつかの特徴部の位置は、例えばレーザ焼結工程時に物品を作製するために使用される物品のCADモデルなどから判定されるなどのように、特徴部の位置を示唆するデータから判定され得る。
【0083】
既述の実施形態においては、クランプのベース27は、回転軸Aを中心としてクランプ25を回転させ得る回転ユニット33に連結され、それにより、物品20は、工作機械装置において上下反転され得る。較正ルーチンは、軸Aを中心としたクランプ25の回転が物品20の位置にどのように影響を与えるかが認識済みとなるように、既に実施されている。したがって、次の工程150は、図8bにより示されるように物品20を反転させることと、次いで穴ぐり8を機械加工して仕上げることにより、ねじ頭部の肩と穴ぐり8内の対合表面9との間の密着接触を確保することとを伴う。クランプ25が、既に較正されていることにより、インプラント接合構造体6に対して穴ぐり8を精確に仕上げる/形成することが可能となる。これは、インプラントとの穴ぐりの位置合わせを確保して、インプラントにアバットメントを連結するねじに対する過剰な曲げ力を回避するためには重要となる。既述の実施形態においては、穴ぐり8は、加算的製造プロセス時に部分的に形成され、次いでこの機械加工工程時に精確に仕上げられる。しかし、明らかなように、これは、必ずしもそうである必要はなく、例えば、穴ぐりは、この機械加工工程により完全に形成される(すなわち、穴ぐり構造体は、初めに加算的製造工程により全く形成されない)ことが可能である。
【0084】
最終工程160は、工作機械から物品20を取り除くことを含む。ロケーションハブ22およびコネクタ21は、アバットメント12から取り外され、コネクタ21の残りの部分は、手作業により研磨される。次いで、陶材3の層または歯冠構造体が、患者の顎内のインプラント4に固定される前に、アバットメント12に追加されてインプラントアバットメントを形成することができる。
【0085】
本発明の一実施形態は、物品20が、異なる各時点にて複数の異なる機械において加工される必要があり、物品20の部品の位置が認識済みとなるように各機械内に保持されることが必要とされる、物品20の複数段階加工にとって特に有用である。機械動作空間内(複数段階加工における各異なる機械の各動作空間内)において物品20の位置を規定する少なくとも1つの取付け特徴部を物品20上に設けることにより、物品20に対する作業を行う前にその位置を判定するために各段階にて物品20を探査する必要性が解消され得る。少なくとも1つの取付け特徴部により、物品20の位置および配向は、それが複数段階加工の各機械内に取り付けられる場合に、認識済みとなることが確保され得る。かかる利点は、少なくとも1つの取付け特徴部が、どのように形成されるかに関わらず実現され得ることが、すなわち、少なくとも1つの取付け特徴部が、加算的製造プロセスによるものである必要がなく、例えばフライス加工またはこれらの組合せなどの減算的プロセスにより形成され得ることが、理解されよう。例えば、種々の加工段階には、検査段階、1または複数の機械加工段階、および研磨段階、ならびに1または複数のさらなる機械加工段階が含まれ得る。研磨段階の一例については、特許文献7を参照されたい。特許文献7においては、物品は、電解研磨機内において精確な位置および配向に保持されることが必要とされず、したがって位置規定取付け特徴部を備えないが、特許文献7の電解研磨機が、かかる位置規定取付け特徴部を有する物品を受けるように容易に適合化され得ることが、容易に理解されよう。また、特許文献7は、物品が、工作機械内にクランプされ、例えばアバットメントの機械加工/フライス加工などの機械加工作業が、物品に対して実施される、電解研磨段階後の機械加工段階を開示している。
【0086】
再び図6を参照すると、インプラント接合部が機械加工されることとなる過多材料14は、支持構造体23が設けられていた、すなわち支持構造体23と同一側の物品20の表面上に存在することに、再び気付かれる。これは、幾分か反直観的である。なぜならば、通常は、加算的作製プロセス時に、物品20は、非常に重要であると考えられるような表面から離れるように支持構造体23を配置するように、および平滑または精確な仕上げを必要としない表面上にそれらを配置するように、配置されるからである。
【0087】
例えば、歯科フレームワークの場合には、非常に重要な部分は、インプラント接合部であり、フレームワークの上方表面は、あまり重要ではない。なぜならば、それは、いずれにせよ陶材層により覆われることになり、歯科修復物にその最終的な外観を与えるのは、陶材となるからである。実際には、物品20上に残る支持構造体23の残部により引き起こされる表面の粗さは、陶材層をしっかりと保持するためのキーとして機能するため、利点として見なされ得る。
【0088】
しかし、非常に重要な接合部または第2の製造段階で加工されることとなる任意の他の特徴部と同一の側に支持構造体23を配置するという、通常と見なされるものとは逆のことの実施を適用することに重大な利点が存在すると、本出願人は理解している。非常に重要な接合部が、いずれにせよ第2の段階で機械加工されることとなる2段階製造プロセスにおいては、非常に重要な接合部上に支持構造体が存在することが、問題とはならない。また、この配向において加算的製造を実施することにより、手作業による仕上げまたは研磨が、頂部表面(例えばインプラントブリッジの)において不要となり、これに関連して、この頂部表面に予め作製された物品を装着することが、しばしば必要とされ、さらに、それが、その表面上に既に研磨除去済みの支持部を有していた場合には、この表面は、これにより十分な精度を維持する可能性が、低くなる。
【0089】
この利点を実現するためには、取付け特徴部18が、保持デバイスに取付け特徴部18を接合することにより機械動作空間内において物品の位置および配向を精確に規定するタイプの(運動学的など)ものである必要性がない点が理解されよう。したがって、少なくとも1つの取付け特徴部は、工作機械の保持デバイス上の対応する運動学的取付け特徴部に係合する運動学的取付け特徴部を備えてもよいが、これは、必須ではない。かかる事前形成された初期運動学的取付け特徴部18が、設けられない場合には、および、物品20において加工されることとなる特徴部の位置が、重要である(この場合のように)場合には、代替プロセス(例えば、探査作業)が、工作機械の動作空間内における物品20の位置を判定するために利用され得る。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8a
図8b