【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、物品を製造する方法であって、加算的製造プロセスを利用して初期状態に形成される物品を獲得する工程であって、前記物品が、少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を備える、獲得する工程と、第2の製造プロセスを実施することにより前記物品を第2の状態に変形させる工程であって、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を介して前記物品に対して作業を行う機械の保持デバイス内に前記物品を取り付ける工程であって、前記機械の動作空間内の例えば直線3自由度および回転3自由度などにおける前記物品の位置および配向が、前記保持デバイスに前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を相互作用させることによって制約される(ならびに、例えばそれによって認識済みとなるおよび規定される)、取り付ける工程、および前記物品において少なくとも1つの特徴部を加工する工程を含む、変形させる工程とを含む、方法が提供される。
【0010】
したがって、前記加算的製造プロセスは、前記物品のバルクを形成するために利用されており、前記第2の製造プロセスは、前記物品のいくつかの側面部または特徴部を仕上げるために利用され得る。前記機械の動作空間内における前記物品の位置を規定する少なくとも1つの取付け特徴部を設けることにより、前記物品に対する作業の前に前記物品の位置を判定するために前記物品を探査する必要性が解消され得る。前記少なくとも1つの取付け特徴部により、前記物品が前記機械内に取り付けられる場合に、前記物品の位置および配向は、確実に認識され得る。特に、それにより、直交3自由度における横位置と、3つの直交回転軸を中心とする回転配向とが、既知の方法で制約され得る。したがって、前記少なくとも1つの取付け特徴部は、位置規定取付け特徴部として説明され得る。これは、前記物品において前記少なくとも1つの特徴部を加工する前記工程が、例えば前記物品の位置を見出すための前記物品の探査を伴わずになど、前記物品の位置の精査を必要とする多大な時間を要する位置および/または配向特定動作を伴わずに、すぐに実施され得ることを意味し得る。
【0011】
加工すべき前記少なくとも1つの特徴部の位置の誤差には、2つの主な原因が存在し得る。1つの誤差原因は、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部に対する(およびしたがって、前記機械の前記保持デバイスに対する)、機械加工されることとなる前記少なくとも1つの特徴部の位置の不確定性であり得る。この誤差は、前記加算的製造プロセスの精度により左右され得る。したがって、かかる誤差は、前記加算的製造プロセスの精度に応じて変化し得るが、典型的には、認識済みであり、利用されるプロセスに対して規定され得る。もう1つの誤差原因は、前記機械の前記保持デバイスを有する前記物品の位置再現性(前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部および前記保持デバイス上の対応する特徴部の構成により決定され得る)であり得る。好ましくは、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部は、i)前記部分(例えば機械加工されることとなる少なくとも1つの特徴部)の位置の不確定性の、ii)前記物品の位置再現性に対する比率が、50:1以下になるように、より好ましくは10:1以下になるように、特に好ましくは5:1以下になるように、例えば4:1以下になるように、例えば1:2以下になるように、構成される。明らかなように、前記部分の位置の不確定性および前記物品の位置再現性は、位置公差直径として測定され得る。
【0012】
したがって、好ましくは、前記方法は、ならびに例えば前記物品および前記保持デバイスの前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部は、前記物品が前記保持デバイス内に取り付けられる場合に、前記機械の動作空間内における加工されることとなる前記少なくとも1つの特徴部の位置が、例えば予め決定された所要の公差内にて、および例えば100μm(ミクロン)の位置公差直径内にて、より好ましくは50μm(ミクロン)の位置公差直径内にて、認識済みとなるように、構成される。
【0013】
前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部は、前記機械の動作空間内における3つの相互に垂直な軸の全てに沿った線形位置およびそれらの軸を中心とした回転配向が、前記保持デバイスに前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を相互作用させることによって認識済みとなるおよび規定されるように、構成され得る。
【0014】
例えば、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部は、運動学的取付け特徴部であることが可能である。明らかなように、および例えば非特許文献1などに記載されているように、運動学的設計は、最低個数の制約部を使用して本体または特徴部の運動自由度を制約することを伴い、特に過剰な制約を回避することを伴う。これにより、前記保持デバイスに対する前記物品の高い再現性による位置決めが確保され、前記物品が、予測可能な認識済みの様式で前記保持デバイス上に位置することになることを意味する。したがって、かかる運動学的取付け特徴部は、前記物品に対して作業するための工具(例えば工作機械)の前記保持デバイス上の対応する運動学的取付け特徴部に係合することが可能である。
【0015】
機械加工時に被る高負荷により、機械加工のために物品を保持するための運動学的取付け特徴部を使用することは、これまで考えられてこなかった。したがって、この目的における運動学的取付け特徴部の使用に対しては、技術的偏見が存在していた。
【0016】
また、前記物品は、ユーザが前記保持デバイス上に前記物品を配置し得る粗配向に制約を与える粗配向特徴部を備えることも可能である。特に、好ましくは、それらは、前記保持デバイス上において前記物品を1つの配向にのみ配置させ得るように構成される。かかる特徴部は、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部により実現され得る。任意には、それらは、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部とは別個の特徴部として実現される。好ましくは、かかる粗配向特徴部は、前記物品上の前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部と前記保持デバイス上の対応する特徴部との係合により実現される、前記物品の位置および配向の制御を妨害しない。
【0017】
前記物品は、前記物品の例えばCADモデルなどのコンピュータモデルにしたがって、前記加算的製造プロセスにより作製されたものである。
【0018】
したがって、前記第2の製造プロセスは、かかる特徴部の位置に関するデータを使用して前記物品の特徴部の位置を判定する工程を含むことが可能である。かかるデータは、前記コンピュータモデルから導出され得る。したがって、前記方法は、前記物品の少なくともいくつかの特徴部の位置に関するデータを受領する工程を含み得る。
【0019】
前記物品は、前記加算的製造プロセスにより層ごとに作製されたものであり得る。前記物品は、選択的レーザ焼結または選択的レーザ溶融としても知られている、レーザ焼結プロセスまたはレーザ溶融プロセスなどのレーザ固化プロセスにより作製されたものであることが可能である。任意には、前記物品は、レーザクラッディングプロセス、熱溶解積層法(FDM)プロセス、または電子ビーム溶融プロセスにより作製されたものであることが可能である。前記方法は、前記加算的プロセスにより前記物品を形成する工程を含むことが可能である。
【0020】
前記第2の製造プロセスは、減算的プロセスであることが可能である。したがって、少なくとも1つの第1の特徴部を加工する前記工程は、前記物品から材料を除去する工程を含むことが可能である。例えば、前記機械は、工作機械であることが可能であり、前記工作機械において、前記第2の製造プロセスは、前記物品の少なくとも一部を例えばフライス加工するなど機械加工する工程を含む。
【0021】
前記物品は、複数の側部から加工され得る。例えば、前記物品は、両側から加工され得る。これは、前記加工機械により複数の側においてアクセスされ得るように前記物品を取り付けることによって、実現され得る。これは、前記第2の製造プロセス時に前記物品を回転させることによって実現され得る。したがって、前記第2の製造プロセスは、前記物品の第1の側部を加工する工程と、その後に前記物品を回転させて前記物品の別の側部において作業を実施する工程とを含むことが可能である。さらに詳細には、前記第2の製造プロセスは、前記物品の第1の側部を加工する工程と、その後に前記物品を反転させて前記物品の対向側側部において作業を実施する工程とを含むことが可能である。これは、例えば、前記物品の第1の側部を機械加工する工程と、その後に前記物品を回転させて前記物品の対向側側部を機械加工する工程とを含むことが可能である。前記物品は、前記保持デバイスにより回転され得る。すなわち、前記保持デバイスは、回転軸を有することが可能である。
【0022】
前記第2の製造プロセス時に、前記少なくとも1つの第1の特徴部が完全に形成されてもよい。任意には、前記少なくとも1つの第1の特徴部は、前記加算的製造プロセスにより、前記物品中に少なくとも部分的に予め形成されたものであることが可能である。したがって、前記少なくとも1つの第1の特徴部を加工する前記工程は、前記少なくとも1つの第1の特徴部を仕上げる工程を含むことが可能である。これは、前記少なくとも1つの第1の特徴部上の材料を除去する工程を含むことが可能である。したがって、前記少なくとも1つの第1の特徴部は、前記第2の製造プロセス時に除去される過多材料を備えることが可能である。したがって、前記方法が、前記加算的プロセスにより前記物品を形成することを含む場合には、この工程は、少なくとも前記少なくとも1つの第1の特徴部に過多材料を付加する工程を含むことが可能である。かかる過多材料は、仕上げられた製品にとって最終的に望ましい量を超過した材料であることが可能である。
【0023】
前記物品は、少なくとも1つの歯科修復物を備えることが可能である。前記物品は、少なくとも1つのインプラントに支持される歯科修復物を備えることが可能である。前記歯科修復物は、アバットメントであることが可能である。前記歯科修復物は、例えばインプラントに支持されるアバットメントまたは歯冠などの、単一の歯修復物であることが可能である。他の材料が、前記修復物を仕上げるために前記歯科修復物に追加され得る。例えば、陶材または歯冠が、天然の歯に美観的により類似した仕上がりを実現するために、追加され得る。
【0024】
前記第2の製造プロセスは、例えば患者の口腔内の別の部材などの別の物体に接合することとなる前記歯科修復物の一部を機械加工する工程を含むことが可能である。これは、良好な嵌りを確保するために重要となり得る。良好な嵌りの確保は、例えば前記歯科修復物の故障の可能性を低減させるために構造的になど、多数の理由により重要となり得る。また、良好な嵌りを確保することは、バクテリアを住み付かせ得る隙間を減少または回避するためにも重要となり得る。例えば、前記方法は、患者の口腔内の「プレップ(prep)」または患者の顎中のインプラントとして一般的に知られている前記修復物を受けるように調製された歯に接合することとなる領域を機械加工する工程を含むことが可能である。前記歯科修復物は、例えば少なくとも1つのインプラント部材などの患者の口腔内の少なくとも1つの部材に接合するための少なくとも1つの部分を備えることが可能であり、前記第2の製造プロセスは、前記少なくとも1つの部分を機械加工する工程を含む。
【0025】
前記物品は、共に接合された複数の製品を備えることが可能である。明らかなように、前記製品は、後に相互から分離され得る。したがって、複数の製品が、同時に形成および加工され得る。それらは、共に接合されるため、前記第2の製造プロセスを実施するための機械内において、共に搬送され共に取り付けられ得る。
【0026】
前記物品は、少なくとも1つの製品と、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部が上に設けられた少なくとも1つの部材とを備えることが可能である。したがって、前記少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部は、前記製品とは別個に設けられ得る。明らかなように、前記少なくとも1つの部材は、前記部材を必要とする全ての加工後に、前記製品から後に分離され得る。前記部材は、前記物品を保持(例えばクランプ)して前記第2の製造プロセス時にその位置を規定および維持することが可能な保持部材(例えばクランプ部材)であることが可能である。前記少なくとも1つの部材は、前記少なくとも1つの製品が周囲に配置される中心ハブを備えてもよい。
【0027】
前記複数の製品は、前記少なくとも1つの部材により共に接合され得る。
【0028】
前記複数の製品は、複数の歯科修復物を備えることが可能である。例えば、前記複数の製品は、複数の歯科アバットメントを備えることが可能である。
【0029】
前記物品が、前記加算的製造プロセス時に前記物品の下方側の足場により支持されている場合には、前記物品において加工されることとなる前記少なくとも1つの特徴部は、前記足場と同一側に位置し得る。
【0030】
前記少なくとも1つの特徴部は、前記第2の製造プロセス時に、前記足場が設けられた前記物品の表面において前記物品に加工され得る。
【0031】
本発明の別の態様によれば、物品を製造する方法であって、加算的製造プロセスを利用して形成される初期状態の物品を獲得する工程であって、前記物品が、少なくとも1つの取付け特徴部を備える、獲得する工程と、第2の製造プロセスを実施することにより前記物品を第2の状態に変形させる工程であって、前記少なくとも1つの取付け特徴部を介して前記物品に対して作業を行う機械の保持デバイス内に前記物品を取り付ける工程、および前記物品において少なくとも1つの特徴部を加工する工程を含む、変形させる工程とを含み、前記物品が、前記加算的製造プロセス時には、前記物品の下方側の足場により支持されており、前記少なくとも1つの特徴部が、前記第2の製造プロセス時に前記足場と同一側の前記物品において加工される、方法が提供される。
【0032】
前記機械の動作空間内の直線3自由度および回転3自由度における前記物品の位置および配向は、前記保持デバイスに前記少なくとも1つの取付け特徴部を相互作用させることによって、認識済みとなり得る、および規定され得る。
【0033】
前記少なくとも1つの取付け特徴部は、前記工作機械の前記保持デバイス上の対応する運動学的取付け特徴部に係合する運動学的取付け特徴部を備えてもよい。
【0034】
前記少なくとも1つの特徴部は、前記第2の製造プロセス時には、前記足場が設けられた前記物品の表面において前記物品に加工されてもよい。
【0035】
本発明の別の態様によれば、歯科修復物を製造する方法であって、i)加算的プロセスにより初期状態の歯科修復物本体を形成する工程であって、前記歯科修復物本体が、少なくとも1つのセットの位置特徴部を有する取付部を備える、形成する工程と、ii)前記取付部の少なくとも1つのセットの位置特徴部により工作機械内に初期状態の前記歯科修復物本体を取り付ける工程と、iii)前記歯科修復物本体の実質的に対向し合う第1の側部および第2の側部の両方から前記歯科修復物本体を機械加工することにより、前記歯科修復物本体を第2の状態へと変形させる工程とを含む、方法が提供される。
【0036】
したがって、本発明の前記方法は、それぞれ異なる段階にてそれぞれ異なる製造技術を利用することにより、精確な歯科修復物を効率的に形成する。
【0037】
加算的プロセスの利用は、大幅により少ない材料を必要とし、またより少ない時間を必要とし得るため、固体ブランクから歯科修復物本体全体を機械加工するのに比べて有利となり得る。また、それにより、機械加工プロセスのみでは不可能なジオメトリの形成が可能となる。
【0038】
前記位置特徴部を設けることにより、前記工作機械内において前記歯科修復物本体の位置を確認するために探査を行う必要性が解消され得る。前記位置特徴部により、それが前記工作機械内に取り付けられた場合に、前記歯科修復物本体の位置が認識済みとなることが確保され得る。
【0039】
工程iii)は、前記歯科修復物本体の第1の側部から前記歯科修復物本体を機械加工する工程と、前記初期状態歯科修復物本体を再配向する工程と、次いで前記初期状態歯科修復物本体の第2の側部から前記歯科修復物本体を機械加工する工程とを含むことが可能である。
【0040】
前記少なくとも1つのセットの位置特徴部は、少なくとも1つのセットの運動学的取付け特徴部を備えることが可能である。
【0041】
前記歯科修復物本体は、前記歯科修復物の前記第1の側部および前記第2の側部の一方に存在する、患者の顎中のインプラントに接合する(前記患者の顎中に前記歯科修復物を配置するために)ための少なくとも1つの接合部を備えることが可能である。
【0042】
前記少なくとも1つの接合部(前記患者の顎中の前記インプラントに対合する前記歯科修復物本体の領域)が、非常に高精度の仕上がりを有することが、重要となり得る。かかる高精度の仕上がりを伴わない場合には、前記インプラントと前記接合部との間の嵌め合いは、不十分なものとなる恐れがあり、これは、前記歯科修復物が前記患者の顎内において不十分に固定されることにつながり得る。
【0043】
したがって、前記歯科修復物本体の初期状態においては、前記少なくとも1つの接合部は、過剰量の所要材料で形成され得る。前記方法は、前記少なくとも1つの接合部を機械加工して前記過多材料の少なくとも一部を除去する工程をさらに含むことが可能である。
【0044】
複数の接合部が、前記歯科修復物本体に沿って離間されて設けられ得る。これは、前記歯科修復物がインプラントブリッジである場合に、特に当てはまる。例えば前記接合部間の間隔が、前記患者の顎内の前記対応するインプラント間の間隔とは異なる場合など、前記複数の接合部が、精確に形成されない場合には、前記歯科修復物本体は、定位置に固定される場合に歪められた状態になり得ることが判明している。この歪みは、前記歯科修復物本体内の応力につながる恐れがあり、さらに、これは、前記インプラントに対する望ましくない応力につながる恐れがある。前記取付部におけるかかる応力は、着用者に対して不快感を引き起こし、前記歯科修復物本体が緩むまたはさらには故障する傾向をもたらし得る。
【0045】
したがって、前記方法は、前記複数の接合部の中の少なくとも1つを機械加工して過多材料を除去し、それにより前記複数の接合部同士の相互に対する相対位置を操作する工程を含むことが可能である。
【0046】
前記少なくとも1つの接合部は、前記歯科修復物本体の前記第2の側部に設けられ得る。
【0047】
前記少なくとも1つの接合部は、患者の顎中に固定されたインプラントに接合するためのインプラント接合部であることが可能である。
【0048】
初期状態にある前記歯科修復物本体は、患者の顎中のインプラントに前記歯科修復物本体を固定するための固定具を受けるための少なくとも1つの穴を備えることが可能である。明らかなように、固定具の頭部により前記歯科修復物本体が当接させられる表面は、安定的な嵌りを確保するために高レベルの平滑度を必要とし得る。したがって、前記方法は、前記少なくとも1つの穴を機械加工することにより前記少なくとも1つの穴を最終的に形成する工程を含むことが可能である。
【0049】
前記少なくとも1つの穴を機械加工する前記工程は、前記歯科修復物本体の前記第1の側部から実施され得る。
【0050】
加算的プロセスが、選択的レーザ溶融/焼結プロセスを含むことが可能である。
【0051】
前記歯科修復物は、アバットメントであることが可能である。前記歯科修復物は、インプラントに支持されるアバットメントであることが可能である。
【0052】
前記歯科修復物本体は、前記歯科修復物の最終外方形状を形成することが可能である。任意には、前記歯科修復物本体は、前記歯科修復物の前記最終外方形状を与えるために外方構造体が形成され得る本体または「フレームワーク」であることが可能である。したがって、前記方法は、前記本体に外方構造体を追加する工程を含むことが可能である。前記外方構造体は、陶材層を備えることが可能である。
【0053】
本発明の別の態様によれば、物品を製造する方法であって、加算的製造プロセスを利用して初期状態の物品を形成する工程であって、前記物品が、例えば少なくとも1つのセットの運動学的取付け特徴部(すなわち、前記加算的製造プロセスにより形成された)などの、少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を備える、形成する工程を含む、方法が提供される。前記方法は、前記セットの運動学的取付け特徴部を介して機械の保持デバイス内に前記物品を取り付ける工程を含むことが可能である。
【0054】
本発明のさらなる態様によれば、例えば少なくとも1つのセットの運動学的取付け特徴部などの、少なくとも1つの(例えばセットの)取付け特徴部を備える、加算的製造プロセスにより作製される物品が提供される。
【0055】
本発明のさらなる態様によれば、第2の製造プロセスにおける加工を必要とする少なくとも1つの特徴部を備える、加算的製造プロセスにより作製される物品であって、前記物品が、前記加算的製造プロセス時には、前記物品の下方側の足場により支持されており、前記第2の製造プロセス時に加工されることとなる前記少なくとも1つの特徴部が、前記足場と同一側に位置する、物品が提供される。前記足場または少なくともその残部が、前記物品上に残ってもよい。
【0056】
前記物品は、少なくとも1つの歯科修復物を備えてもよい。
【0057】
前記少なくとも1つの特徴部は、患者の口腔内において別の部材に接合することとなる前記歯科修復物の少なくとも一部分を備えてもよい。前記第2の製造プロセスは、前記少なくとも一部分が機械加工されるプロセスであってもよい。
【0058】
前記少なくとも1つの特徴部は、少なくとも1つのインプラント部材に接合するための少なくとも1つの部分を備えてもよい。
【0059】
本発明のさらなる態様によれば、物品を製造する方法であって、初期状態の物品を獲得する工程であって、前記物品が、少なくとも1つの取付け特徴部を備える、獲得する工程と、一連の2つ以上の製造プロセスを実施することにより、前記一連の各製造プロセスにおいて前記物品を異なる各状態へと変形させる工程であって、前記一連の各製造プロセスごとに、前記少なくとも1つの取付け特徴部を介して、前記製造プロセス時に前記物品に対して作業を行う機械の保持デバイス内に前記物品を取り付ける工程であって、前記機械の動作空間内の直線3自由度および回転3自由度における前記物品の位置および配向が、前記保持デバイスに前記少なくとも1つの取付け特徴部を相互作用させることによって、認識済みとなるおよび規定される、取り付ける工程、および前記物品を加工する工程を含む、変形させる工程とを含む、方法が提供される。
【0060】
前記少なくとも1つの取付け特徴部は、前記機械の前記保持デバイス上の対応する運動学的取付け特徴部に係合する運動学的取付け特徴部を備えてもよい。
【0061】
前記少なくとも1つの取付け特徴部を有する前記初期状態にある前記物品は、加算的製造プロセスを利用して形成されてもよい。
【0062】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載されるような方法により作製される製品または物品が提供される。
【0063】
また、本願は、レーザ焼結プロセスにより粉末材料から層ごとにインプラント部材に接合するための部分を含むアバットメントを作製する工程を含む、歯科インプラントに支持されるアバットメントを製造する方法を説明する。かかる方法は、前記レーザ焼結プロセス後に前記アバットメントの少なくとも一部を加工する工程を含むことが可能である。
【0064】
加工する前記工程は、例えば機械加工を介してなど、前記アバットメントから材料を除去する工程を含むことが可能である。前記方法は、インプラント部材に接合するための部分を加工する工程を含むことが可能である。加工する前記工程は、前記レーザ焼結プロセス後に、加工する前記工程時に前記アバットメントを保持するためのデバイス内に前記アバットメントを取り付ける工程を含むことが可能である。前記レーザ焼結プロセスは、加工する前記プロセス時に前記アバットメントを保持するための前記デバイス内に前記アバットメントを取り付けるための、前記アバットメントに連結された取付部を作製する工程を含むことが可能である。好ましくは、前記アバットメントおよび前記取付部は、前記アバットメントが、加工する前記工程時に前記アバットメントを保持するための前記デバイス内に取り付けられる場合に、現時点において形成されているまたはまだ形成されていない前記アバットメントの穴(インプラントねじまたはインプラントねじを固定するためのねじ回しを受けることが可能な)の軸に対して、および任意には例えば前記インプラント部材に接合するための前記部分の軸に対して、例えば平行であり得るまたはさらには一致し得るアバットメントの長手方向軸が、前記アバットメントを加工するための例えば切削工具などの工具に対して平行になるように、構成される。前記レーザ焼結プロセスは、同一の取付部に連結された複数のアバットメントを作製する工程を含むことが可能である。前記複数のアバットメントの中の少なくとも2つ、および好ましくは全てが、例えばそれらの長手方向軸が相互に対して平行になるようになど、インプラント部材に接合するためのそれらの部分が同一方向に配向されるように、配向され得る。
【0065】
以下、添付の図面を参照として一例の好ましい実施形態として本発明を説明する。