(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の貫通孔を有し、前記開口部を覆った状態の前記封止シートにおける前記摘み部側とは反対側の表面を被覆するカバー部材を備える、請求項1〜3の何れか1項に記載の香り提示装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい第1実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る香り提示装置1Aを斜め下方から視た斜視図が示されており、
図2には、香り提示装置1Aを斜め上方から視た斜視図が示されている。
図3(a)には、香り提示装置1Aの側面図、
図3(b)には香り提示装置1Aの底面図、
図3(c)には香り提示装置1Aの上面図が示されている。
図4には、
図3(a)に示す香り提示装置のIV−IV線断面の分解斜視図が示されている。
【0011】
本発明の第1実施形態に係る香り提示装置1Aは、香料を含有した液体又は香料を担持した粉粒体である芳香性流動体を収容し、収容した芳香性流動体の香りを外部に放出させる香り提示装置である。
香り提示装置1Aは、封止シート3で覆われた開口部22を有し芳香性流動体が収容された収容部20、及び開口部22の反対側に形成された摘み部23を備えており、封止シート3は、気体は通過させるが前記芳香性流動体は通過させないようになされている。香り提示装置1Aは、摘み部23を上に向け且つ開口部22を下に向けた状態では自立可能であり、開口部22を上に向け且つ摘み部23を下に向けた状態では自立不能になされている。以下の説明において、軸方向Xとは、香り提示装置1Aを、水平面上に、開口部22を下に向けた状態で自立させた状態において、概ね鉛直方向に沿う方向であり、本実施形態の香り提示装置1Aのように、摘み部23の下方に括れ部24を有する場合は、開口部22の中心と括れ部24の中心とを通る直線と平行な方向である。
【0012】
詳述すると、本実施形態では、香り提示装置1Aは、
図1〜
図4に示すように、開口部22を有する収容部20及び摘み部23を有する容器本体2Aと、収容部20の開口部22を覆う封止シート3と、開口部22を封止した封止シート3を容器本体2Aに係止させる係止部材4と、複数の貫通孔52を有し開口部22を覆った状態の封止シート3における摘み部23とは反対側の表面を被覆するカバー部材5と、開口部22と封止シート3との間に配される第1パッキン部材6aと、封止シート3と係止部材4との間に配される第2パッキン部材6bとを備えている。即ち、香り提示装置1Aは、容器本体2Aと、封止シート3と、第1パッキン部材6a及び第2パッキン部材6bと、係止部材4と、カバー部材5とを備えている。
【0013】
容器本体2Aは、前述したように、収容部20と摘み部23とを有している。香り提示装置1Aを自立させた状態において、収容部20は、軸方向Xにおける摘み部23より下方に位置する部分であり、内部に芳香性流動体が収容される内部空間21を有している。
本実施形態において、収容部20は、軸方向Xの一方側から他方側に向かって、外形が漸次小さくなる鐘形に形成されており、一方側に開口部22が形成され、他方側に括れ部24が設けられている。開口部22は、収容部20の内部空間21と外部とを連通させている。括れ部24は、外形が内方に括れた形状に形成されている。また収容部20は、内部空間21が軸方向Xの他方側に向かって漸次小さくなるように形成されている。具体的には、内部空間21は、軸方向Xと直交する断面積が開口部22から軸方向Xの他方側に向かって漸次小さくなるように形成されている。収容部20の外形が括れ部24に向かって漸次小さくなることで、匂いを嗅ぐ際に摘みやすく、また、所定位置に戻した際に自立(正立)して転がり難い。なお、収容部20の内部空間21は、全体が括れ部24に向かって漸次小さくなる必要はなく、少なくとも一部が括れ部24に向かって漸次小さくなっていてもよい。例えば、収容部20内の内部空間21は、内周面が筒状の内部空間と、括れ部24に向かって直径又は断面積が漸次小さくなる内部空間とからなっていてもよい。また、収容部20の内部空間21は、括れ部24に向かって漸次小さくなる部分を有しないものであっても良い。
【0014】
摘み部23は、軸方向Xにおける開口部22と反対側、つまり、香り提示装置1A又は容器本体2Aにおける開口部22側とは反対側に形成されており、香り提示装置1Aを、開口部22側を鉛直方向の下方に向けて自立(正立)させた状態においては、括れ部24より上方に配されている。摘み部23は、略球形状に形成されており、消費者が摘み易い形状となっている。なお、摘み部23の形状は、消費者が摘み易い形状であれば特に制限されない。例えば、本実施形態の略球形状以外にも、略直方体形状、略立方体形状等の軸方向Xに対して対称形状であっても、ツリーや星形状等のデザイン性のある非対称形状であってもよい。
また本実施形態では、摘み部23の内部には、
図4に示すように、内部空間25が設けられており、内部空間25と収容部20の内部空間21とは連通している。なお、摘み部23は、必ずしも収容部20と一体成形されている必要はなく、その内部に内部空間25が設けられていなくても良い。例えば、収容部20の括れ部24の上方に、摘み部23を取り付け可能な取付け部を設け、該取付け部に、摘み部23が融着、嵌合、螺合、接着剤等の任意の手段により取り付けられていても良い。
【0015】
開口部22の外縁部には、前述した係止部材4と係合可能な被係合部26が形成されている。被係合部26は、円環状に形成されており、外径が係止部材4の内径よりも僅かに小さくなるように形成されている。本実施形態では、被係合部26は、該被係合部26の外周面と係止部材4の内周面との間に封止シート3を挟むことが可能な隙間が設けられる大きさに形成されている。
【0016】
図4に示すように、被係合部26の軸方向Xにおける他方側には、カバー部材5を螺合可能な螺合部27が形成されている。螺合部27は、被係合部26の外周面よりも、容器本体2Aの軸方向Xと直交する方向の外方に位置しており、被係合部26の外周面よりも外方側でカバー部材5と螺合されるようになっている。
【0017】
また螺合部27には、カバー部材5の内面に形成された後述する螺合溝53と螺合可能な被螺合溝28が形成されている。被螺合溝28は、カバー部材5を反時計回り(左回り)に回転させることでカバー部材5と螺合し、カバー部材5を時計回り(右回り)に回転させることで、カバー部材5を取り外すことができるようになっている。このように、螺合部27及びカバー部材5とは、一般的な回転方向とは逆方向に、カバー部材5を回転させることで螺合又は取り外しできるようになっており、カバー部材5が消費者によって不要に取り外されないようになっている。
【0018】
被螺合溝28の軸方向Xにおける他方側には、螺合させたカバー部材5の螺合位置を規制するストッパ部29が設けられている。ストッパ部29は、カバー部材5を係止することでカバー部材5の螺合位置を規制している。
【0019】
このように第1実施形態では、香り提示装置1Aの容器本体2Aは、摘み部23を上に向け、開口部22を下に向けた状態で、摘み部23の下方が括れた釣鐘型に形成されている。香り提示装置1Aの容器本体2Aを摘み部23の下方が括れた釣鐘型にすることで、一般的な円筒状の容器に比べて消費者の興味をひくことが可能になり、例えば、消費者が香り提示装置1Aを指で摘んで取ってみる等の行為を行うことを促進することが可能になる。即ち、香り提示装置1Aを消費者に積極的に手に取ってもらうことが可能になる。また、
図7に示すように、消費者に摘み部23を摘ままれた状態で、消費者が開口部22を鼻の近くに近づけようとすると、必然的に、開口部22が上向きになるので、収容部20内に収容された芳香性流動体が自然と撹拌されて香りを放出し易くなる。
【0020】
また第1実施形態では、容器本体2Aは、その内部を視認可能な光透過性を有する有色透明に形成されている。容器本体2Aの内部を視認可能に形成することで、収容部20に収容された芳香性流動体の移動状態やその量等を消費者が容易に目視することができ、香り提示装置1Aにより一層の興味を持たせることができる。なお、第1実施形態では、容器本体2Aを有色透明としたが、容器本体としては、無色透明としても良く、収容された芳香性流動体が消費者に目視可能であれば半透明であっても良い。また、容器本体2Aが有色である場合、芳香性流動体の色と異なる色とすることで、移動状態をより視認しやすくなる。
【0021】
封止シート3は、
図4に示すように、気体は通過させるが芳香性流動体は通過させないシートにより構成されている。第1実施形態では、封止シート3は、芳香性流動体の揮発した香気成分等の気体は通過させるが、芳香性流動体自体は通過させないようになされている。例えば、芳香性流動体が液体の場合、封止シートは気体は通過させるが液体は通過させない多孔質シートが好ましい。また、芳香性流動体が粉粒体の場合には、前記粉粒体が通過しない程度の開口を有するメッシュ等の網状のシートとすることもできる。網状のシートの材質は、合成樹脂や金属等、任意である。
第1実施形態では、封止シート3は、単層の通気性シートである多孔質シートにより構成されている。多孔質シートとしては、樹脂製の多孔質シートや通気孔を有する樹脂性のシートを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等の樹脂製のシートを用いることができる。具体的には、樹脂製の多孔質シートとしては、熱可塑性樹脂及び該樹脂と相溶性のない有機又は無機のフィラーの溶融混練物をフィルム状に形成し、一軸又は二軸延伸して得られたものであり、微細な多孔質構造になっているものを用いることができる。
封止シート3の厚みは、5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0022】
封止シート3の通気度は、1000秒以上とすることが好ましく、10000秒以上とすることがより好ましく、また、匂いの質の観点から100000秒以下とすることが好ましく、50000秒以下とすることがことさら好ましい。封止シート3の通気度は、1000秒以上100000秒以下であることが好まく、10000秒以上50000秒以下であることがより好ましい。なお、通気度は、JIS P8117(2009年改正版)によって測定される値であり、一定の圧力のもとで100mlの空気が6.45cm2の面積を通過する時間で定義される。通気度は、王研式通気度針若しくはそれに準じた測定器で測定することができる。
【0023】
封止シート3としては、上述した多孔質シート以外にも、多孔質フィルムの一面に繊維層を貼り合わせてなる複合シートを用いることもできる。複合シートを用いて開口部22を封止する場合には、繊維層が外面を向くように配することが好ましい。外面とは、多孔質フィルムの面のうち、繊維層との貼合せ面を外面といい、繊維層との貼合せ面と反対の面を内面という。
【0024】
多孔質フィルムは、外面が親水性になっていることが好ましい。多孔質フィルムの外面が親水性となっていることで、例えば、多孔質フィルムの内面に芳香性流動体が接触した際に、芳香性流動体が多孔質フィルムの微細孔を通じて外部に染み出す前に、芳香性流動体を外面の平面方向に拡散させることができる。平面方向に拡散した芳香性流動体は、空気と接触する面積が増大するので、その乾燥速度が高まり、繊維層をドライな状態に保持することができる。また、芳香性流動体の染み出しを防止する観点から、多孔質フィルムの内面は疎水性であることが好ましい。
多孔質フィルムとしては、透湿性シートとして通常用いられるものと同様のものを特に制限なく用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂及び炭酸カルシウム等のフィラーを含む樹脂組成物から得られた成形シートを一軸又は二軸延伸して得られるフィルムを用いることができる。
【0025】
多孔質フィルムの外面における平面方向へ芳香性流動体を拡散させる観点から、繊維層は、疎水性であることが好ましい。同様の観点から、繊維層が疎水性であることに加えて、該繊維層の坪量が20g/m
2以上であることが好ましい。具体的には、繊維層の
坪量は、20〜50g/m
2が好ましく、より好ましくは25〜50g/m
2、さらに好ましくは28〜40g/m
2である。
繊維層としては、各種合成繊維を原料とする繊維や、レーヨンなどの再生繊維、コットン及びパルプ等の天然繊維などを用いることができる。繊維層を疎水性とする場合には、疎水性の合成繊維を原料とする繊維を用いることが好ましい。繊維層の形態としては、ウェブ、該ウェブ中の繊維好転を固定化して得られた不織布、織布、編布などを特に制限なく用いることができる。
【0026】
第1パッキン部材6aと第2パッキン部材6bの内径は同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、
図4に示すように、封止シート3の内面側の第1パッキン部材6aの内径を、封止シート3の外面側の第2パッキン部材6bの内径よりも大きくしてもよく、封止シート3の外面側の第2パッキン部材6bの内径を封止シート3の内面側の第1パッキン部材6aの内径よりも大きくしてもよい。
このように、封止シート3の外面側及び内面側に内径の異なる第1パッキン部材6a及び第2パッキン部材6bを配することで、香り見本の香りの強さや揮散量を調整することができる。封止シート3の内面とは、収容部20に収容された芳香性流動体側に向けられる面であり、封止シート3の外面とは、芳香性流動体側とは反対側に向けられる面である。
【0027】
本実施形態の香り提示装置1Aにおいて、封止シート3は、その内面側に第1パッキン部材6aが配され、その外面側に第2パッキン部材6bが配されており、封止シート3は、その中央域を囲む外周部が、第1パッキン部材6aと第2パッキン部材6bとの間に挟まれた状態で、香り提示装置1Aに配されている。封止シート3は、収容部20の開口部22から芳香性流動体が漏れ出さないように覆っていればよく、本実施形態におけるように、封止シート3は、収容部20の開口部22の周縁部との間に、第1パッキン部材6a等の他の部材が存在した状態で、該開口部22を覆っていても良い。
封止シート3と第1パッキン部材6aとの間及び封止シート3と第2パッキン部材6bとの間は、それぞれ接合されていなくても良い。
【0028】
また、封止シート3と第1パッキン部材6aとを接合して、封止シート3を第1パッキン部材6aに固定してもよく、封止シート3と第2パッキン部材6bとを接合して、封止シート3を第2パッキン部材6bに固定してもよい。封止シート3と第1パッキン部材6aとの接合方法は、ヒートシール、接着剤、あるいは超音波融着等によりおこなうことができる。同様に、封止シート3と第2パッキン部材6bとの接合方法は、ヒートシール、接着剤、あるいは超音波融着等によりおこなうことができる。
【0029】
第1パッキン部材6a及び第2パッキン部材6bとしては、独立気泡構造を持つ樹脂製の発砲シートを用いることができ、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を発砲させた発砲樹脂シートを用いることができる。ガスを用いた発砲樹脂シートの発砲倍率は、2倍以上3倍以下が好ましい。また第1パッキン部材6a及び第2パッキン部材6bは、樹脂成型したものをそのまま用いることもできるが、PET,PP,PE,AL及びテフロン(登録商標)等を用いたラミネート加工が施されたものが好ましい。第1パッキン部材6a及び第2パッキン部材6bの厚みは、0.5mm以上3mm以下であることが好ましい。
【0030】
図4に示すように、係止部材4は、開口部22を封止した封止シート3を容器本体2Aに係止可能に、前述した被係合部26と係合可能に環状に形成されている。係止部材4は、被係合部26の外周面と係合可能に形成された外面係合部40と、被係合部26の外縁部と係合可能に係合された外縁係合部41とを有している。
外面係合部40は、封止シート3を介して係止部材4を被係合部26に係合させた場合に、被係合部26の外周面とで封止シート3を挟持した状態で固定可能に形成されている。つまり、外面係合部40は、被係合部26の外周面と直交する方向から封止シート3を押さえるように固定する。
外縁係合部41は、外面係合部40の端部から内方に向かって延出しており、封止シート3を介して係止部材4を被係合部26に係合させた場合に、被係合部26の外縁部とで封止シート3を挟持した状態で固定可能に形成されている。つまり、外縁係合部41は、封止シート3を上方から押さえるように固定する。
【0031】
図4に示すように、カバー部材5は、開口部22を被覆する封止シート3の表面を被覆する被覆部50と、前述した螺合部27と螺合可能な螺合部51とを備えている。被覆部50が被覆する封止シート3の表面は、
図4に示すように、封止シート3における摘み部23側とは反対側の表面である。被覆部50は、容器本体2Aに取り付けた際に、容器本体2Aの摘み部23を上に向け且つ開口部22を下に向けた状態で、棚等の平面上に載置可能に形成されている。被覆部50には、該被覆部50を貫通する複数の貫通孔52が形成されている。本実施形態においては、複数の貫通孔52のそれぞれは、ハニカム形状を主体に形成されている。カバー部材5の被覆部50は、封止シート3との間に隙間をするものであっても良いし、隙間を有しないものであっても良い。いずれの場合においても、ヒトの手指や他のものが接触することによるシートの破損等を防止することができる。
【0032】
なお、第1実施形態では、ハニカム形状を主体に複数の貫通孔52を形成したが、本発明においては、複数の貫通孔を用いて所定の模様等を模したものにしても良い。例えば、芳香性流動体の香りを所定のシャンプーの香りと同じにした場合においては、複数の貫通孔52を用いて、該所定のシャンプーのブランドロゴを模したものにしても良い。複数の貫通孔52を用いて、被覆部50にブランドロゴ等を模することで、消費者に、より一層の興味を持たせることが可能になる。また、例えば、消費者が摘み部23を摘まんで被覆部50を見る行為により、収容部に収容された芳香性流動体が撹拌されて香りを放出し易くなる。また、例えば消費者が被覆部50を見ただけで、どのブランドの香りかを認識することが可能になり、消費者に香り提示装置1Aを手に取ってもらえることが期待できる。
【0033】
螺合部51には、螺合部27に形成された被螺合溝28と螺合可能な螺合溝53が形成されている。カバー部材5は、被螺合溝28に螺合溝53を螺合させ、ストッパ部29に螺合位置が規制されることで、螺合部27に固定される。なお、螺合部51における螺合方向は前述した通りである。
【0034】
カバー部材は、
図5に示すカバー部材5’ように、被覆部50の外周部から、封止シート3から離れる方向に延出した脚部54を有していてもよい。言い換えると、被覆部50から軸方向Xの外方に延出する脚部54を有していてもよい。被覆部50から延出する脚部54を設けることで、摘み部23を上に向けた状態で香り提示装置1Aを自立させ易くなる。脚部54は、
図5に示すカバー部材5’のように、被覆部50の全周に亘る環状のものに限定されず、自立状態を安定化させ得る各種形態ものを採用することができ、例えば、被覆部50の外周部の複数個所、好ましくは3か所以上に、相互に離間した状態に半球状や円柱状の複数の凸部を設けても良い。
【0035】
香り提示装置1Aに収容される芳香性流動体としては、芳香性流動体の香りの対象となる製品と同じ香料を溶媒で希釈させたものが用いられている。溶媒としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ミリスチン酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、フタル酸ジエチル、安息香酸ベンジル、ファルネセン等が用いられる。水を溶媒として用いる場合は、界面活性剤、可溶化剤及びそれらを組み合わせて、水系溶媒中に乳化または可溶化させることもできる。
また、製品そのもの、もしくはそれを水等の香りを有しない溶媒で希釈したり、固形物であれば溶解することにより、さらに製品に近い香りを体験することもできる。また、洗浄剤のように水で希釈すると起泡する製品の場合は、水と共に、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコールを添加して希釈するか又は微量のシリコーンを添加することにより、起泡を抑制することもできる。さらに、液状香り見本としても香りが変わらない範囲で、それ自体の香りがあまり強くなく、粘度の低下に寄与する香料成分を配合することもできる。具体的には、リモネン、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0036】
芳香性流動体の粘度としては、TV10型粘度計(VISCOMETER、ローターNo.1、30rpm、30℃)で0.1mPa・s〜100mPa・sであることが好ましく、0.1mPa・s〜50mPa・sであることがより好ましい。
【0037】
芳香性流動体としては、粉粒体に香料を担持させたものを用いることもできる。粉粒体の構成材としては、セラミック、合成樹脂、金属、ゼオライト等、及びこれら2以上の組み合わせからなる複合材等が挙げられる。粉粒体の形状としては、球状、楕円状、不定形状、矩形状、粉状等が挙げられるが、球状であることが好ましい。粉粒体の粒径は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.1mm以上であり、また好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下であり、また好ましくは0.01mm以上5mm以下、より好ましくは0.1mm以上3mm以下である。
【0038】
また、第1実施形態では、溶媒に香料を含有させた芳香性流動体を用いたが、該芳香性流動体に色を付する場合には、色素を含有させて色つきの芳香性流動体としても良い。色素を含有させる場合においては、更に水を加えて色素を溶解させると良い。 液体の芳香性流動体が含む香料又は粉粒体に担持させる香料をとしては、各種公知のものを用いることができ、調合香料、天然香料のいずれでもよい。具体的には、『香料と調香の基礎知識』(中島基貴編著,産業図書株式会社,1995年6月21日初版)、『合成香料−化学と商品知識』(印藤元一著、化学工業日報社、2005年3月25日 増補改訂版)、『Perfume and Flavor Chemicals」(ステファン・アークテンダー著、自費出版、1969年)に記載されている香料を使用することができる。
【0039】
次に、上述した第1実施形態に係る香り提示装置1Aを使用した際の作用効果について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
図6には、本発明の第1実施形態に係る香り提示装置1Aが商品棚12に載置された状態を模式的に示す斜視図が示されている。
図7には、
図6に示す香り提示装置を消費者が手に取って匂いを嗅ぐ様子が示されている。
【0040】
図6に示すように、第1実施形態に係る香り提示装置1Aは、該香り提示装置1Aに収容された芳香性流動体と同じ香料が含有されたシャンプー、リンス、洗剤又は柔軟剤等の商品11が陳列された商品棚12の近くに展示される。例えば、商品棚12の前方部分にホルダ13を配し、該ホルダ13上に載置された状態で展示される。ホルダ13には、例えば、「摘まんでみて香りを試してみて」等、消費者に香り提示装置1Aを摘まんで手に取ってもらうことを促す文字が印刷されており、消費者に積極的に手に取ってもらえるようになっている。
【0041】
また香り提示装置1Aは、
図6に示すように、摘み部23を上に向け且つ開口部22を下に向けた状態でのみで自立するように形成されているので、香り提示装置1Aをホルダ13等に載置する場合、必然的に摘み部23が上になり、該摘み部23が香り提示装置1Aの持ち手部分として認識されるようになる。
【0042】
そして、
図7に示すように、消費者が香り提示装置1Aの摘み部23を手の指で摘まんで香り提示装置1Aの開口部22側を鼻の近くに持ってくることで、収容部20内の芳香性流動体が収容部20内で撹拌されて香りを放出し易くなる。このようにして消費者が芳香性流動体の香り、即ち、商品棚12に陳列された商品11と同じ香りを嗅ぐと、当該商品11の購買意欲を向上させることが期待できる。
【0043】
また、香り提示装置1Aには、香り提示装置1Aの上下が分かる表示が付されていることが好ましい。例えば、上記の「促す文字」や「香り見本」といった表示を、その表示の上下と香り提示装置の自立状態における上下とが一致するように表示する。
これらの表示を香り提示装置1Aの表面に付す方法としては、表示が印刷されたシュリンクフィルムを香り提示装置1Aの周囲に装着して表示する方法、容器本体2にインモールドラベルで表示する方法、香り提示装置1Aに表示を任意の印刷方法により直接印刷する方法等が挙げられる。
【0044】
なお、香り提示装置1Aには、香り提示装置1Aがホルダ13等から落下しないように、落下防止措置を講じることが好ましい。例えば、括れ部24に紐等の一端側を括り付け、他端側を商品棚12又はホルダ等に括り付けておくことが好ましい。商品棚12又はホルダ13等と香り提示装置1Aとを繋いでおくことで、香り提示装置1Aがホルダ13から落下したり、香り提示装置1Aを紛失したりすることを防止することができる。
【0045】
以上説明したように、第1実施形態に係る香り提示装置1Aによれば、消費者に香り提示装置1Aを積極的に手に取ってもらうことが可能になり、香り提示装置1Aの香りを、より多くの消費者に楽しんでもらうことができる。
【0046】
次に、本発明の第2実施形態に係る香り提示装置1Bについて、
図8を参照しながら説明する。
図8は、第2実施形態に係る香り提示装置1Bを示す図であり、
図8(a)には上面図、
図8(b)には側面図、
図8(c)には底面図、
図8(d)は斜め上方から視た斜視図、
図8(e)は斜め下方から視た斜視図が示されている。
【0047】
第2実施形態の香り提示装置1Bについては、第1実施形態の香り提示装置1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点については、香り提示装置1Aと同様であり、香り提示装置1Aの説明が適宜適用される。
【0048】
第1実施形態の香り提示装置1Aでは、容器本体2Aに括れ部24を有する鐘形の形状に形成されているところ、第2実施形態の香り提示装置1Bでは、摘み部23と収容部20との間に括れ部24が形成され、収容部20は、括れ部24近傍の外面が外方に向かって凸の垂直断面形状を有する釣鐘形状に形成されている。すなわち、香り提示装置1Bの容器本体2Bは、摘み部23を上に向け、開口部22を下に向けた状態で、所謂、釣鐘型に形成されている。
【0049】
香り提示装置1Bの容器本体2Bを釣鐘型にすることで、消費者の興味をひくことが可能になり、例えば、消費者が香り提示装置1Bを指で摘んで取ってみる等の行為を行うことを促進することが可能になる。
【0050】
香り提示装置1A,1Bは、摘み部23を摘む部位であると容易に認識させる観点、摘み部23の摘み易さ、香り提示装置1A,1Bの審美性の向上、自立状態の安定性の向上点等の観点から、自立状態における香り提示装置における括れ部24より下方に位置する部分である下方部分2u(以下、単に下方部分2uともいう)の直径D1に対する摘み部23の直径D2の比(D2/D1,
図3、
図8参照)が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、また好ましくは0.9以下、より好ましくは0.5以下であり、また好ましくは0.05以上0.9以下、より好ましくは0.1以上0.5以下である。
同様の観点から、香り提示装置1A,1Bは、下方部分2uの直径D1に対する括れ部24の直径D3の比(D3/D1,
図3、
図8参照)が、好ましくは0.04以上、より好ましくは0.08以上、また好ましくは0.8以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下であり、また好ましくは0.04以上0.8以下、より好ましくは0.08以上0.5以下、更に好ましくは0.08以上0.4以下である。
【0051】
摘み部23を摘む部位であると容易に認識させる観点、摘み部23の摘み易さ、香り提示装置の審美性の向上、自立状態の安定性の向上点等の観点の一又は二以上の観点から、香り提示装置1A,1Bは、以下の構成を有することが好ましい。香り提示装置1A,1Bは、摘み部23より下方の部位の最大直径D1、好ましくは下方部分2uの直径D1が、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mmであり、また好ましくは60mm以下、より好ましくは50mm以下であり、また好ましくは10mm以上60mm以下、より好ましくは15mm以上50mm以下である。また摘み部23の直径D2は、好ましくは2mm以上、より好ましくは5mm以上であり、また好ましくは60mm以下、より好ましくは50mm以下であり、また好ましくは2mm以上60mm以下、より好ましくは5mm以上50mm以下である。また、括れ部24の直径D3は、好ましくは2mm以上、より好ましくは4mm以上であり、また好ましくは45mm以下、より好ましくは35mm以下であり、また好ましくは2mm以上45mm以下、より好ましくは4mm以上35mm以下である。
【0052】
下方部分2uの直径は、該下方部分2uの水平断面の外周縁の形状が円形の場合は該円の直径であり、該水平断面の外周縁の形状が円形以外、例えば、四角形又は星形等の場合は、前記水平断面の外周縁上に位置する2点間を結ぶ線分のうち、長さが最長のものをいう。
摘み部23の直径は、該摘み部23の水平断面の外周縁の形状が円形の場合は該円の直径であり、該水平断面の外周縁の形状が円形以外、例えば、直方体形、立方体形又は星形等の場合は、前記水平断面の外周縁上に位置する2点間を結ぶ線分のうち、長さが最長のものをいう。このように定義される、下方部分2uの直径又は摘み部23の直径が、軸方向Xにおいて変化している場合、それぞれの直径が最大となる部位における該直径を、下方部分2uの直径D1又は摘み部23の直径D2とする。
括れ部24の直径D3は、括れ部24の水平断面の外周縁の形状が円形の場合は該円の直径であり、該水平断面の外周縁の形状が円形以外、例えば、四角形又は星形等の場合は、前記水平断面の外周縁上に位置する2点間を結ぶ線分のうち、長さが最小のものをいう。括れ部24の位置は、直径が最も短い位置、又は水平断面の外周縁上に位置する2点間を結ぶ線分のうち長さが最長のものの長さが最小となる位置である。
【0053】
下方部分2uの直径D1は、
図3及び
図8に示すように、括れ部24より下方の部位の直径であることが好ましく、容器本体2A,2Bの最大部分か、又はカバー部材5の直径であることが更に好ましい。
カバー部材5の直径とは、カバー部材5の水平断面の外周縁の形状が円形の場合は該円の直径であり、該水平断面の外周縁の形状が円形以外、例えば、四角形又は星形等の場合は、前記水平断面の外周縁上に位置する2点間を結ぶ線分のうち、長さが最長のものをいう。水平断面は、軸方向X(開口部22の中心と括れ部24の中心とを通る直線と平行な方向)に直交する断面である。垂直断面は、軸方向X(開口部22の中心と括れ部24の中心とを通る直線と平行な方向)と平行な平面による断面である。
摘み部23より下方の部位、括れ部24、カバー部材5は、それぞれの外周部の水平断面形状が円形状であることが好ましい。摘み部23も、外周部の水平断面形状が円形状であることが好ましい。円形状には、円形の他、長軸の長さが短軸の長さの3倍以下の楕円も含まれる。楕円は、長軸の長さが短軸の長さの2倍以下であることが好ましい。
【0054】
香り提示装置1A,1Bは、軸方向Xの長さL1に対する括れ部24から摘み部23の先端までの軸方向Xの長さL2の比(L2/L1,
図3、
図8参照)が、摘み部23を摘む部位であると容易に認識させる観点、摘み部23の摘み易さ、香り提示装置の審美性の向上等の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、また好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下であり、また好ましくは0.05以上0.5以下、より好ましくは0.1以上0.3以下である。
香り提示装置1A,1Bは、軸方向Xの長さL1に対する括れ部24から下方部分2uの下端までの軸方向Xの長さL3の比(L3/L1,
図3、
図8参照)が、摘み部23を摘む部位であると容易に認識させる観点、摘み部23の摘み易さ、香り提示装置の審美性の向上等の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上であり、また好ましくは0.95以下、より好ましくは0.9以下であり、また好ましくは0.5以上0.95以下、より好ましくは0.7以上0.9以下である。
なお、長さL2及び長さL3に関し、摘み部23の下端及び下方部分2uの上端は、括れ部24の直径が最小の部位とする(
図3、
図8参照)。
括れ部24の直径が最小の部位が軸方向Xの所定の長さに亘って延在している場合は、直径が最小の部位が延在する範囲を軸方向Xに2等分する中間点を長さL2と長さL3との境界とする。
【0055】
同様の観点から、香り提示装置1A,1Bは、軸方向Xの長さL1が、好ましくは20mm以上、より好ましくは25mm以上であり、また好ましくは90mm以下、より好ましくは80mm以下であり、また好ましくは20mm以上90mm以下、より好ましくは25mm以上80mm以下である。
【0056】
香り提示装置1A,1Bは、摘み部23を摘む部位であると容易に認識させる観点、摘み部23の摘み易さ、香り提示装置1A,1Bの審美性の向上、自立状態の安定性の向上点等の観点から、下方部分2uの最大矩形面積S1に対する摘み部23の最大矩形面積S2の比(S2/S1)が、好ましくは0.0025以上、より好ましくは0.02以上、また好ましくは0.5以下、より好ましくは0.1以下であり、また好ましくは0.0025以上0.5以下、より好ましくは0.02以上0.1以下である。
【0057】
なお、最大矩形面積は、香り提示装置1(1A,1Bを纏めて1と表記する)の測定対象部位(摘み部23、下方部分2u等)の軸方向Xと直交する断面を囲む直角四辺形のうち、面積が最少となる直角四辺形の面積をいう。
例えば、
図13(a)に示すように、香り提示装置1の測定対象部位の断面形状が楕円形の場合、最大矩形面積は、該楕円形を囲む最小の直角四辺形cの面積であり、
図13(b)に示すように、香り提示装置1の測定対象部位の断面形状が星形の場合、該星形を囲む最小の直角四辺形cの面積である。また
図13(c)に示すように、測定対象部位の断面形状が円形の場合、該円形を囲む最小の直角四辺形cの面積である。いずれの場合も、直角四辺形cの面積は、直交する2辺の長さa,bの積で求められる。
摘み部23及び下方部分2uの最大矩形面積は、それぞれの軸方向Xにおいて、最大矩形面積が最大となる部位における測定値とする。
【0058】
次に、本発明の第3実施形態に係る香り提示装置1Cについて、
図9を参照しながら説明する。
図9は、第3実施形態に係る香り提示装置1Cを示す図であり、
図9(a)には上面図、
図9(b)には側面図、
図9(c)には底面図、
図9(d)は斜め上方から視た斜視図、
図9(e)は斜め下方から視た斜視図が示されている。
【0059】
第3実施形態の香り提示装置1Cについては、第1実施形態の香り提示装置1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点については、香り提示装置1Aと同様であり、香り提示装置1Aの説明が適宜適用される。
【0060】
第1実施形態の香り提示装置1Aでは、摘み部23が収容部20よりも小さくなるように形成しているところ、第3実施形態の香り提示装置1Cでは、
図9に示すように、摘み部23Cが収容部20Cよりも同程度の大きさを有している。
【0061】
香り提示装置1Cの容器本体2Cの摘み部23Cの大きさを収容部20の大きさよりも大きくすることで、消費者の興味をひくことが可能になり、例えば、消費者が香り提示装置1Cを指で摘んで取ってみる等の行為を行うことを促進することが可能になる。
【0062】
次に、本発明の第4実施形態に係る香り提示装置1Dについて、
図10を参照しながら説明する。
図10は、第4実施形態に係る香り提示装置1Dを示す図であり、
図10(a)には上面図、
図10(b)には側面図、
図10(c)には底面図、
図10(d)は斜め上方から視た斜視図、
図10(e)は斜め下方から視た斜視図が示されている。
【0063】
第4実施形態の香り提示装置1Dについては、第1実施形態の香り提示装置1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点については、香り提示装置1Aと同様であり、香り提示装置1Aの説明が適宜適用される。
【0064】
第1実施形態の香り提示装置1Aでは、摘み部23が収容部20よりも小さくなるように形成しているところ、第4実施形態の香り提示装置1Dでは、
図10に示すように、摘み部23Dが収容部20Dよりも大きくなるように形成されている。また香り提示装置1Dでは、収容部20Dの括れ部24Dが香り提示装置1Cの収容部20Cの括れ部24Cよりも括れが小さくなっている。
【0065】
香り提示装置1Dの摘み部23Dの大きさを収容部20Dの大きさよりも大きくすることで、消費者の興味をひくことが可能になり、例えば、消費者が香り提示装置1Cを指で摘んで取ってみる等の行為を行うことを促進することが可能になる。
【0066】
摘み部23より下方の部位(下方部分2u)の最大直径D1、摘み部23の直径D2、括れ部24の直径D3、カバー部材5の直径等の定義や、下方部分の最大直径が好ましくはカバー部材5の直径であることは、上述した香り提示装置1A,1Bと同様である。また、摘み部23より下方の部位(下方部分2u)の最大直径D1、摘み部23の直径D2、括れ部24の直径D3、カバー部材5の直径の好ましい範囲やそれらの2以上の比、軸方向Xにおける各部の寸法や各部の寸法比等についても、特に矛盾しないかぎり、上述した香り提示装置1A又は1Bについての説明が適宜適用される。
【0067】
香り提示装置1C,1Dは、軸方向Xの長さL1に対する括れ部24C,24Dの上端から摘み部23C,23Dの先端までの軸方向Xの長さL2の比(L2/L1,
図9参照)が、摘み部23C,23Dを摘む部位であると容易に認識させる観点、摘み部23C,23Dの摘み易さ、香り提示装置の審美性の向上等の観点から、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.5以上であり、また好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下であり、また好ましくは0.55以上0.8以下、より好ましくは0.5以上0.6以下である。
【0068】
香り提示装置1C,1Dは、同様の観点から、下方部分の最大直径D1を有する部分の最大矩形面積S1に対する摘み部23C,23Dの最大直径D2を有する部分の最大矩形面積S2の比(S2/S1、
図9参照)が、好ましくは0.55以上、より好ましくは0.8以上、また好ましくは1.1以下、より好ましくは1.0以下であり、また好ましくは0.55以上1.1以下、より好ましくは0.8以上1.0以下である。なお、最大矩形面積の定義は、上述した香り提示装置1A,1Bと同様である。
【0069】
次に、本発明の第5実施形態に係る香り提示装置1Eについて、
図11を参照しながら説明する。
図11は、第5実施形態に係る香り提示装置1Eを示す図であり、
図11(a)には上面図、
図11(b)には側面図、
図11(c)には底面図、
図11(d)は斜め上方から視た斜視図、
図11(e)は斜め下方から視た斜視図が示されている。
【0070】
第5実施形態の香り提示装置1Eについては、第1実施形態の香り提示装置1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点については、香り提示装置1Aと同様であり、香り提示装置1Aの説明が適宜適用される。香り提示装置1A,1Bにおける下方部分2uの長さL3や直径D3、それらと他の部位における対応する長さや直径との比率等に関する記載は、香り提示装置1Eの摘み部23Eより下方の部位の長さや直径、それらと他の部位における対応する長さや直径との比率等に関する記載として適用可能である。
【0071】
第1実施形態の香り提示装置1Aでは、摘み部23が球形状に形成しているところ、第5実施形態の香り提示装置1Eでは、
図11に示すように、摘み部23Eが板状に形成されている。
香り提示装置1Eの容器本体2Eの摘み部23Eを板状に形成することで、消費者の興味をひくことが可能になり、例えば、消費者が香り提示装置1Eを指で摘んで取ってみる等の行為を行うことを促進することが可能になる。
【0072】
次に、本発明の第6実施形態に係る香り提示装置1Fについて、
図12を参照しながら説明する。
図12には、本発明の第6実施形態に係る香り提示装置1Fの
図4相当図が示されている。第6実施形態の香り提示装置1Fについては、第1実施形態の香り提示装置1Aと異なる点について説明し、特に説明しない点については、香り提示装置1Aと同様であり、香り提示装置1Aの説明が適宜適用される。
【0073】
第1実施形態の香り提示装置1Aにおける封止シート3は、第1パッキン部材6a及び第2パッキン部材6bに挟まれた状態で、係止部材4により、容器本体2Fの収容部20の開口部22に固定されている。これに対して、第6実施形態の香り提示装置1Fにおける封止シート3は、
図12に示すように、封止シート3を挟んだ状態で保持可能な第1部材71及び第2部材75を備えるシート保持体7に保持された状態で、香り提示装置1Fにおける、収容部20の開口部22を被覆可能な所定の部位に固定されている。またシート保持体7は、カバー部材5Fを容器本体2Fに固定する際に、シート保持体7の周縁部を、収容部20の開口部22の周縁部と、該周縁部と相対向するカバー部材5Fの環状部分58との間に挟持させることにより固定されている。
図12には、収容部20の開口部22の周縁部とシート保持体7の周縁部との間に、環状のパッキング部材6aが配されているが、例えば、シート保持体7の第1部材71を比較的柔軟な合成樹脂で形成することにより、パッキング部材6aを省略しても、シート保持体7と開口部22の周縁部との間に十分な液密性又は気密性を得ることもできる。
【0074】
図12に示すシート保持体7における第1部材71は、複数の貫通孔が形成された多孔部73を中央域に有する平板部72及び平板部72の周縁から略垂直に立ち上がる筒状部74を有する偏平な有底筒状部材であり、第2部材75は、第1部材71における多孔部73に対向する部分が開口部75aとなっている扁平な環状部材となっている。
シート保持体7は、第1部材71の筒状部74内に封止シート3を収納した後、筒状部74内に第2部材75を収納することにより、封止シート3の外周部を、第1部材71と第2部材75との間で挟み込むことによって形成することができる。第2部材75の外径は、第1部材71の筒状部74の内径に対して、例えば90%以上102%以下とすることが好ましい。第2部材75を、第1部材71の筒状部74内に押し込むことによって、筒状部74内に固定可能とすることも好ましい。
【0075】
シート保持体7の構成部材である第1部材71及び第2部材75は、封止シート3を挟んだ状態で、嵌合、係合又は螺合等の機械的相互作用により互いに結合一体化させ得るものであることも、封止シート3を保持したシート保持体7の組み立ての容易性、シート保持体7としての取扱性、シート保持体7として香り提示装置1Fに固定された後の封止シート3の固定安定性等の一又は二以上の観点から好ましい。
【0076】
第6実施形態の香り提示装置1Fにおける封止シート3は、収容部20の内部空間21側に向けられる内面側に、多孔部73を有する平板部72が位置し、収容部20の内部空間21側とは反対側に向けられる外面側に、多孔部73と重なる開口部75aを有する環状の第2部材75が位置している。シート保持体7における第1部材71の平板部72は、複数の貫通孔が形成された多孔部73を有する板状体であり、封止シート3は、板状体である平板部72に、収容部20の内部空間21側に向けられる面である内面側を沿わせた状態で配されている。
このように、封止シート3が、多孔部73を有する板状体である平板部72に沿わした状態に配されていることにより、香り提示装置1Fが強く振られた場合や落下等により香り提示装置1Fに強い衝撃が加わった場合においても、封止シート3が多孔部73を有する板状体で補強されているため、移動する芳香性流動体等による封止シート3の破損や性能劣化を防止することができる。また、封止シート3の内面側を多孔部73を有する板状体である平板部72に沿わした状態に配されている場合には、移動する芳香性流動体等により封止シート3に加わる圧力が緩和されるため、封止シート3の破損や性能劣化が一層防止することができる。封止シート3は、多孔部73を有する板状体である平板部72に常時、面接触していてもよいし、香り提示装置1Fを振ったときなどに一時的に平板部72に接触してもよい。
また、封止シート3が、その内面側を、多孔部73を有する板状体である平板部72に沿わした状態に配されていると、収容部20に収容された芳香性流動体が、第1部材71の貫通孔を通じて比較的少量ずつ封止シート3に接触するようにすることもできる。そのため、例えば、貫通孔を設ける範囲、貫通孔の内径、貫通孔の等を適宜に設定することにより、放散させる香りの量を制御したり、香りを放散させる持続期間の長期化等を図ること等が可能である。
【0077】
多孔部73に存する貫通孔の数は、好ましくは3以上100以下、より好ましくは5以上50以下であり、更に好ましくは10以上50以下である。
多孔部73に存する貫通孔の面積割合は、好ましくは10%以上80%以下であり、より好ましくは15%以上50%以下である。この面積割合は、収容部20の開口部22の面積に対する貫通孔の合計面積の割合であり、本実施形態においては、パッキング部材6aの内側の面積に対する貫通孔の総面積の割合が、上記の範囲であることが好ましい。
また、各貫通孔の形状には制限がないが、円形状、楕円状、多角形状等で構成され、最長線分の長さが直交線分の長さの4倍以下、より好ましくは2倍以下となるように、異方性を抑えることが好ましい。ここで、最長線分は、貫通孔の平面視において、貫通孔の開口周縁部上に位置する2点間を結ぶ線分のうち、長さが最大の線分であり、直交線分は、貫通孔の開口周縁部上に位置する2点間を結ぶ線分のうち、前記最長線分を2等分する中点を通り且つ該最長線分に垂直な線分である。
また多孔部73に形成する各貫通孔の孔径は、0.5mm以上5mm以下であることが好ましい。貫通孔が非円形である場合、円相当径、すなわち貫通孔の開口面積と同一面積の円の直径が上記の範囲であることが好ましい。
また多孔部73に形成する貫通孔の孔径又は断面積は、カバー部材5Fに存する貫通孔52の孔径又は断面積よりも小さいことが、移動する芳香性流動体等により封止シート3に加わる圧力を緩和する観点から好ましい。
第6実施形態の香り提示装置1Fは、カバー部材5Fにおける貫通孔52が開口する外面が平坦であり、自立(正立)状態が一層安定する。
【0078】
上述した各実施形態の香り提示装置における封止シート及びパッキン部材以外の各部材は、合成樹脂製であることが好ましいが、それに制限されるものではなく、金属製、ガラス製、セラミック製、ガラス製、それらと合成樹脂との複合材等であっても良い。また一つの香り提示装置を構成する部材間で材質が異なっていても良い。
合成樹脂の一例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリスチレン(PS)等のスチレン系樹脂、ナイロン等のポリアミド、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)等が挙げられる。
【0079】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
例えば、第1実施形態においては、カバー部材5の被覆部50は、外方に向けて僅かに隆起した形状に形成したが、被覆部50を平面状に形成してもよい。その場合の香り提示装置も、カバー部材5を、容器本体2Aの摘み部23を上に向け且つ開口部22を下に向けた状態で、棚等の水平面上に自立可能であることが好ましい。
また前記の各実施形態の一又は複数の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の実施形態に適宜に組み合わせることが可能である。
また前記の各実施形態における好ましい寸法の範囲、比率等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に2以上を組み合わせることも可能である。
また第6実施形態におけるシート保持体7の第1部材71は、平板部72及び筒状部74を有するものに代えて多孔部73を有する平板部72のみからなるものでもよく、また封止シート3を沿わせるように配置する板状体は、平板部72のように、多孔部73を有する平板状の部材に代えて、軸方向Xに沿う断面形状が、上方又は下方に向けて凸に湾曲した板状体であっても良い。また、多孔部73を有する板状体は、封止シート3の外面側に配されていてもよく、封止シート3の内面側と外面側の両面に配されていてもよい。それらの場合も、板状体は、封止シート3を沿わした状態に配することが好ましい。
また、封止シート3は、内面側に代えて又は内面側とともに、外面側が、多孔部73を有する平板状の平板部72や軸方向Xに沿う断面形状が上方又は下方に向けて凸に湾曲した形状の板状体に沿った状態で配されていても良い。
【0080】
上述した各実施形態の香り提示装置は、香り見本を収容することによって、本発明の一実施形態である香り提示装置として使用することができるほか、香り見本であるか否かを問わずに香料を含む芳香性液体組成物や液状芳香剤を収容して使用することができる。すなわち、芳香剤容器として使用することができる。
図3、
図8、
図9、
図10に示す香り提示装置又は芳香剤容器の背面図、右側面図及び左側面図は、
図3(a)、
図8(b)、
図9(b)、
図10(b)に示す正面図と同一に表れる。また、
図11に示す香り提示装置又は芳香剤容器の背面図は、
図11(b)に示す正面図と同一に表れる。各実施形態の香り提示装置(又は芳香剤容器)は、各実施形態の収容部を形成する部分が透明又は半透明である。