(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記薬学的に許容される担体が、前記最小の微生物コンソーシアムまたは前記生存可能な腸内細菌をカプセル封入する腸溶性被覆組成物を含む、請求項1記載の薬学的組成物。
カプセル封入されている、再構成された凍結乾燥物である、食品である、あるいは、液状物、ゲル、流動ゲル、または液状物におけるナノ粒子として配合される、請求項1〜3のいずれか一項記載の薬学的組成物。
前記生存可能な細菌が、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ(Parabacetroides goldsteinii)またはプレボテラ・タンネラエ(Prevotella tannerae)をさらに含む、請求項1記載の薬学的組成物。
前記生存可能な腸内細菌の種が:クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツムおよびクロストリジウム・サルジニエンシスである、請求項1記載の薬学的組成物。
前記食物アレルギーが、ダイズ、コムギ、卵、乳製品、ピーナッツ、堅果、甲殻類、魚類、キノコ、または核果に対するアレルギーである、請求項1記載の薬学的組成物。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書において提供されるのは、食物アレルギーの処置および/または防止のための方法および組成物であり、これらは部分的には、変化した腸管微生物叢(例えば、抗生物質処置、帝王切開出産、食餌等から生じる変化した腸管微生物叢)が食物アレルギーを促進させる可能性があり、その一方で、微生物の一部の組合せにより、食物アレルギーの防止および/または治癒がもたらされ得るという発見に基づいている。
【0005】
したがって、1つの局面において、(i)その必要性のある個体に投与されたときに食物アレルギーを処置または防止するのに十分な量で、4菌株〜11菌株の生存可能な腸内細菌から本質的になる最小の微生物コンソーシアムを含む調製物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物が本明細書において提供される。
【0006】
本明細書において提供される別の局面は、培養可能な種の最小の微生物コンソーシアムと、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物であって、前記コンソーシアムが、下記の(i)〜(x)からなる群より選択される調製物のうちの少なくとも4つに含まれる、薬学的組成物に関連する:
(i)調節性T細胞(Treg)の発達を促進させる菌体外多糖、リポテイコ酸(LTA)、リポ多糖(LPS)または他の微生物アジュバント分子を発現する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(ii)発酵産物である酪酸および/またはプロピオン酸を炭水化物および他の炭素源の発酵により腸管内腔において産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(iii)胆汁酸変換の完全な補完を単独または組合せで行う、1つまたは複数の生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(iv)アリール炭化水素受容体(AhR)受容体経路を腸上皮細胞、抗原提示細胞および/またはT細胞において刺激して、調節性T細胞応答の発達を刺激することができる化合物を産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(v)有益な効果を腸管バリア機能に対しておよび/または調節性T細胞応答の発達に対して有するプレグナンX受容体を刺激することができる化合物を産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(vi)RORガンマ(RAR関連オーファン受容体ガンマ)経路を刺激して、直接的な刺激またはRORガンマ活性化経路を介する調節性T細胞応答の発達を、調節性T細胞応答を結果的には刺激する腸の抗原提示細胞および/または上皮細胞において刺激することができる化合物を産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(vii)腸管バリア機能および保護的な共生種によるコロニー形成を改善するムチン類および複雑な複合糖質の宿主産生を刺激する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(viii)腸管内腔の環境を変化させて、食物抗原に対する健康に良くないアレルギー性T細胞応答の発達を促進させるディスバイオティック(dysbiotic)種の有害な活性を低下させる、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(ix)腸管内腔の環境を変化させて、上記効果のいずれかのための前記投与されたコンソーシアムの他のメンバーによる改善されたコロニー形成、および/または、患者の基礎となる微生物叢における現存する有益な種によるコロニー形成を促進させる、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(x)上記の(i)〜(ix)の調製物における細菌菌株のコロニー形成または成長をインビボにおいて促進させる、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物。
【0007】
この局面および本明細書において記載されるすべての他の局面の1つの態様において、調節性T細胞(Treg)の発達を促進させる菌体外多糖を発現する前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、ユーバクテリウム・レクタレ(Eubacterium rectale)、クロストリジウム・ラモスム(Clostridium ramosum)、ブチロビブリオ・クロッサツス(Butyrovibrio crossatus)、ロセブリア・インテスチナリス(Roseburia intestinalis)、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)、クロストリジウム・ヒレモナエ(Clostridium hylemonae)、フンガテラ・ハタワイ(Hungatella hathawayi)、クロストリジウム・シンビオスム(Clostridium symbiosum)、フェカリバクテリウム・プラウスニッチイ(Faecalibacterium prausnitzii)、スブドリグラヌルム・バリアビレ(Subdoligranulum variabile)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、パラバセトロイデス・ゴルドステイニイ(Parabacetroides goldsteinii)、パラバクテロイデス・メルダエ(Parabacteroides merdae)、パラバクテロイデス・ジスタソニス(Parabacteroides distasonis)およびプレボテラ・タンネラエ(Prevotella tannerae)からなる群より選択される。
【0008】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、発酵産物である酪酸、プロピオン酸および/またはコハク酸を炭水化物の発酵により腸管内腔において産生する前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、クロストリジウム・サルジニエンシス(Clostridium sardiniensis)、クロストリジウム・ヒラノンシス(Clostridium hiranonsis)、フェカリバクテリウム・プラウスニッチイ、ブチロビブリオ属菌種(Butyrovibrio spp.)、ユーバクテリウム・レクタレおよびロセブリア・インテスチナリスからなる群より選択される。
【0009】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、胆汁酸変換の完全な補完を単独または組合せで行う前記1つまたは複数の生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・サルジニエンシスおよび/またはバクテロイデス属菌種(Bacteroides spp.)である。
【0010】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、宿主アリール炭化水素受容体経路を刺激するのに十分であるアリール炭化水素受容体アゴニストを産生する前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、トリプトファン、チロシンの合成、またはキノン分子の合成に関連する少なくとも1つの遺伝子を含む。
【0011】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、調製物における細菌菌株のコロニー形成または成長を促進させる前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、バクテロイデス・テタイオタオミクロンまたはバクテロイデス・フラギリスである。
【0012】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、有益な効果を腸管バリア機能に対しておよび/または調節性T細胞応答の発達に対して有するプレグナンX受容体を刺激することができる、外因性前駆体を代謝することによってまたは内因的に化合物を産生する前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、デスモラーゼおよび/またはヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを発現する菌株である。この関連において、外因性前駆体には、食餌性の化合物または因子だけでなく、宿主によって産生され、腸管内に排出される因子で、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムの1種または複数種のメンバーが結果的には影響を受ける因子もまた含まれる。
【0013】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、RORガンマ(RAR関連オーファン受容体ガンマ)経路を刺激して、調節性T細胞応答の発達を刺激することができる、外因性前駆体を代謝することによってまたは内因的に化合物を産生する前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、ステロール化合物を代謝することができる少なくとも1つのコレステロールレダクターゼまたは別の酵素を発現する菌株である。
【0014】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、腸管バリア機能および保護的な共生種によるコロニー形成を改善する宿主のムチン類および複雑な複合糖質を刺激することができる前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、バクテロイデス・テタイオタオミクロンまたはバクテロイデス・フラギリスである。
【0015】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、腸管内腔の環境を変化させて、食物抗原に対する病原性アレルギー性T細胞応答の発達に寄与するディスバイオティック種の有害な活性を低下させる前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・フラギリスまたは別のバクテロイデス属菌種である。一例には、エンテロバクター科(Enterobacteriaceae)またはデスルホノビブリオ科(Desulfonovibriaceae)におけるディスバイオティック種のバイオマスを減少させる、かつ/あるいは、これらの種によって発現されるディスバイオティックな生化学的活性または微生物学的活性の完全な発現を妨げる、バクテロイデス属菌種から生じる腸内環境の変化が含まれる。
【0016】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、腸管内腔の環境を変化させて、上記効果のいずれかのための前記投与されたコンソーシアムの他のメンバーによる改善されたコロニー形成、および/または、患者の基礎となる微生物叢における現存する有益な種によるコロニー形成を促進させる前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・フラギリスまたはバクテロイデス属菌種である。この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記有益な種は、クロストリジウム属菌種(Clostridium spp)(例えば、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス(Clostridium bifermentans)、クロストリジウム・レプツム(Clostridium leptum)、クロストリジウム・サルジニエンシス、クロストリジウム・ハテワイ(Clostridium hathewayi)、クロストリジウム・ネキシレ(Clostridium nexile)、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム(Clostridium glycyrrhizinilyticum)、クロストリジウム・ラバレンス(Clostridium lavalense)、クロストリジウム・フィメタリウム(Clostridium fimetarium)、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)など)、または別の非病原性共生菌株を含む。
【0017】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記薬学的に許容される担体は、前記最小の微生物コンソーシアムをカプセル封入する腸溶性被覆組成物を含む。
【0018】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記薬学的組成物は、前記生存可能な細菌を小腸に送達するために配合される。
【0019】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記腸溶性被覆組成物は、カプセル、ゲル、香錠、錠剤または丸剤の形態である。
【0020】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株はヒト腸内細菌である。
【0021】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス(Dialister proprionicfaceins)、ジアリスター・スクシナチフィルス(Dialister succinatiphilus)、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス(Peptostreptococcus anaerobius)、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチ(Veilonella ratti)からなる群より選択される。
【0022】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される。
【0023】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は、(i)クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシス、または(ii)バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される。
【0024】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は、実質的に等しいバイオマスにおいて存在する。
【0025】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、少なくとも1×10
9コロニー形成単位(CFU)の用量を送達するために配合される。
【0026】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、1回の用量あたり30個未満のカプセルにおいて少なくとも1×10
9 CFUを送達するために配合される。
【0027】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は貯蔵のために凍結される。
【0028】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は嫌気性条件のもとでカプセル封入される。
【0029】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は嫌気性条件のもとで凍結乾燥される。
【0030】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、嫌気性条件は下記の1つまたは複数を含む:(i)酸素不透過性カプセル、(ii)N-アセチルシステイン、システインまたはメチレンブルーを含む還元剤を前記組成物に加えること、および(iii)胞子形成する生物については胞子の使用。
【0031】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記コンソーシアムは、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスからなる群より選択される参照菌株の操作的分類単位において存在する16S rDNA配列に対して少なくとも97%同一である16S rDNA配列を含む少なくとも1つの細菌菌株を含み、または、前記コンソーシアムは、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される参照菌株の操作的分類単位において存在する16S rDNA配列に対して少なくとも97%同一である16S rDNA配列を含む少なくとも1つの細菌菌株を含む。
【0032】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記コンソーシアムは下記種のどれも含まない:大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、ビロフィラ・ワズウォルチア(Bilophila wadsworthia)、アリスチペス・オンデルドンキイ(Alistipes onderdonkii)、デスルホビブリオ属菌種(Desulfovibrio species)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsoni)、パラスッテレラ・エクスクレメンチホミニス(Parasutterella excrementihominis)。
【0033】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記コンソーシアムは、ビロフィラ属(Bilophila)、エンテロバクター属(Enterobacter)、大腸菌属(Escherichia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、プロテウス属(Proteus)、アリスチペス属(Alistipes)、ブラウチア属(Blautia)、デスルホビブリオ属(Desulfovibrio)またはパラスッテレラ属(Parasutterella)の細菌を含まない。
【0034】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記コンソーシアムは、デスルホビブリオ科(Desulfovibrionaceae)、エンテロバクター科、リケネラ科(Rikenellaceae)およびスッテレラ科(Sutterellaeae)の細菌を含まない。
【0035】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記コンソーシアムは、ラクトバチルス科(Lactobacillaceae)またはエンテロバクター科の細菌を含まない。
【0036】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記コンソーシアムは、ブルクホルデリア目(Burkholdales)、デスルホビブリオ目(Desulfovibrionales)またはエンテロバクター目(Enterobacteriales)の細菌を含まない。
【0037】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、少なくとも5菌株の生存可能な非病原性腸内細菌を含む。
【0038】
この局面および本明細書において提供される他のすべての局面の別の態様において、前記組成物は、11菌株までの生存可能な非病原性腸内細菌を含む。
【0039】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスを含む。
【0040】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエを含む。
【0041】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエを含む。
【0042】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物における前記細菌菌株は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスから本質的になる。
【0043】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記微生物コンソーシアムは、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエから本質的になる。
【0044】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記微生物コンソーシアムは、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエから本質的になる。
【0045】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記腸溶性被覆は、ポリマー、ナノ粒子、脂肪酸、シェラックまたは植物繊維を含む。
【0046】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物はさらに、プレバイオティック組成物を含む。
【0047】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、カプセル封入されている、再構成された凍結乾燥物である、食品である、あるいは、液状物、ゲル、流動ゲル、または液状物におけるナノ粒子として配合される。
【0048】
本明細書において提供される別の局面は、(i)その必要性のある個体に投与されたときに食物アレルギーを処置または防止するのに十分な量で、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも4菌株の生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌を含む調製物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物に関連する。
【0049】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の1つの態様において、前記組成物は、40菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0050】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、30菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0051】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、20菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0052】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、15菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0053】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、11菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0054】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも5菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0055】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも6菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0056】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも7菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0057】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも8菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0058】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも9菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0059】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも10菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0060】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の他の態様において、前記組成物は、4菌株〜28菌株、4菌株〜35菌株、4菌株〜30菌株、4菌株〜25菌株、4菌株〜20菌株、4菌株〜15菌株、4菌株〜12菌株、4菌株〜11菌株、4菌株〜10菌株、4菌株〜9菌株、4菌株〜8菌株、4菌株〜6菌株、35菌株〜40菌株、30菌株〜40菌株、25菌株〜40菌株、20菌株〜40菌株、15菌株〜40菌株、12菌株〜40菌株、11菌株〜40菌株、10菌株〜40菌株、6菌株〜40菌株、5菌株〜40菌株、10菌株〜20菌株、10菌株〜30菌株、10菌株〜25菌株、15菌株〜40菌株、15菌株〜35菌株、15菌株〜30菌株、15菌株〜25菌株、15菌株〜20菌株、20菌株〜35菌株、20菌株〜30菌株、20菌株〜25菌株、30菌株〜35菌株の範囲の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0061】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌の前記菌株は、(i)クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシス、または(ii)バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される。
【0062】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスのそれぞれを含む生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0063】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエのそれぞれを含む生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0064】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエのそれぞれを含む生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0065】
本明細書において記載される別の局面は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスからなる群より選択される参照菌株の操作的分類単位において存在する16S rDNA配列に対して少なくとも97%同一である16S rDNA配列を含む少なくとも1つの細菌菌株、または、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される参照菌株の操作的分類単位において存在する16S rDNA配列に対して少なくとも97%同一である16S rDNA配列を含む少なくとも1つの細菌菌株を含む少なくとも4菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌(ただし、前記少なくとも4菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌は、その必要性のある個体に投与されたときに食物アレルギーを処置または防止するのに十分な量で存在する)と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物に関連する。
【0066】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、40菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0067】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、30菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0068】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、20菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0069】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、15菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0070】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、11菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0071】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、少なくとも5菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0072】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、少なくとも6菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0073】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、少なくとも7菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0074】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、少なくとも8菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0075】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、少なくとも9菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0076】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、少なくとも10菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0077】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、11菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む。
【0078】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記微生物菌株は下記種のどれも含まない:大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、プロテウス・ミラビリス、エンテロバクター・クロアカ、ビロフィラ・ワズウォルチア、アリスチペス・オンデルドンキイ、デスルホビブリオ属菌種、ラクトバチルス・ジョンソニイおよびパラスッテレラ・エクスクレメンチホミニス。
【0079】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記微生物菌株は、ビロフィラ属、エンテロバクター属、大腸菌属、クレブシエラ属、プロテウス属、アリスチペス属、ブラウチア属、デスルホビブリオ属またはパラスッテレラ属の細菌を含まない。
【0080】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記微生物菌株は、デスルホビブリオ科、エンテロバクター科、リケネラ科およびスッテレラ科の細菌を含まない。
【0081】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記微生物菌株は、ラクトバチルス科またはエンテロバクター科の細菌を含まない。
【0082】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記微生物菌株は、ブルクホルデリア目、デスルホビブリオ目またはエンテロバクター目の細菌を含まない。
【0083】
本明細書において提供される別の局面は、培養可能な種の微生物コンソーシアムと、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物であって、前記組成物が、下記の(i)〜(x)からなる群より選択される少なくとも4つの調製物を含む、薬学的組成物に関連する:
(i)調節性T細胞(Treg)の発達を促進させる菌体外多糖、リポテイコ酸(LTA)、リポ多糖(LPS)または他の微生物アジュバント分子を発現する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株(1つまたは複数の菌株)の調製物;
(ii)発酵産物である酪酸および/またはプロピオン酸を炭水化物および他の炭素源の発酵により腸管内腔において産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株(1つまたは複数の菌株)の調製物;
(iii)胆汁酸変換の完全な補完を単独または組合せで行う、1つまたは複数の生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(iv)アリール炭化水素受容体(AhR)受容体経路を腸上皮細胞、抗原提示細胞および/またはT細胞において刺激して、調節性T細胞応答の発達を刺激することができる化合物を産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株(1つまたは複数の菌株)の調製物;
(v)有益な効果を腸管バリア機能に対しておよび/または調節性T細胞応答の発達に対して有するプレグナンX受容体を刺激することができる化合物を産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株(1つまたは複数の菌株)の調製物;
(vi)RORガンマ(RAR関連オーファン受容体ガンマ)経路を刺激して、直接的な刺激またはRORガンマ活性化経路を介する調節性T細胞応答の発達を、調節性T細胞応答を結果的には刺激する腸の抗原提示細胞および/または上皮細胞において刺激することができる化合物を産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株(1つまたは複数の菌株)の調製物;
(vii)腸管バリア機能および保護的な共生種によるコロニー形成を改善するムチン類および複雑な複合糖質の宿主産生を刺激する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株(1つまたは複数の菌株)の調製物;
(viii)腸管内腔の環境を変化させて、食物抗原に対する健康に良くないアレルギー性T細胞応答の発達を促進させるディスバイオティック種の有害な活性を低下させる、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株(1つまたは複数の菌株)の調製物;
(ix)腸管内腔の環境を変化させて、上記効果のいずれかのための前記投与されたコンソーシアムの他のメンバーによる改善されたコロニー形成、および/または、患者の基礎となる微生物叢における現存する有益な種によるコロニー形成を促進させる、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株(1つまたは複数の菌株)の調製物;ならびに
(x)上記の(i)〜(ix)の調製物における細菌菌株のコロニー形成または成長をインビボにおいて促進させる、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株(1つまたは複数の菌株)の調製物、ただし、前記組成物は、最大で40種の微生物種を含む。
【0084】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の1つの態様において、前記組成物は、最大で30種の微生物種を含む。
【0085】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、最大で20種の微生物種を含む。
【0086】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、最大で15種の微生物種を含む。
【0087】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、最大で11種の微生物種を含む。
【0088】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は前記調製物(i)〜(x)の少なくとも5つを含む。
【0089】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は前記調製物(i)〜(x)の少なくとも6つを含む。
【0090】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は前記調製物(i)〜(x)の少なくとも7つを含む。
【0091】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は前記調製物(i)〜(x)の少なくとも8つを含む。
【0092】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は前記調製物(i)〜(x)の少なくとも9つを含む。
【0093】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は前記調製物(i)〜(x)のそれぞれを含む。
【0094】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、調節性T細胞(Treg)の発達を促進させる菌体外多糖を発現する前記嫌気性腸内細菌菌株は、ユーバクテリウム・レクタレ、クロストリジウム・ラモスム、ブチロビブリオ・クロッサツス、ロセブリア・インテスチナリス、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒレモナエ、フンガテラ・ハタワイ、クロストリジウム・シンビオスム、フェカリバクテリウム・プラウスニッチイ、スブドリグラヌルム・バリアビレ、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・オバツス、パラバセトロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、パラバクテロイデス・ジスタソニスおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される。
【0095】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、発酵産物である酪酸、プロピオン酸および/またはコハク酸を炭水化物の発酵により腸管内腔において産生する前記嫌気性腸内細菌菌株は、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、クロストリジウム・サルジニエンシス、クロストリジウム・ヒラノンシス、フェカリバクテリウム・プラウスニッチイ、ブチロビブリオ属菌種、ユーバクテリウム・レクタレおよびロセブリア・インテスチナリスからなる群より選択される。
【0096】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、胆汁酸変換の完全な補完を単独または組合せで行う前記嫌気性腸内細菌菌株は、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、クロストリジウム・サルジニエンシス、クロストリジウム・ヒラノンシス、フェカリバクテリウム・プラウスニッチイ、ブチロビブリオ属菌種、ユーバクテリウム・レクタレおよびロセブリア・インテスチナリスからなる群より選択される。
【0097】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、宿主アリール炭化水素受容体経路を刺激するのに十分であるアリール炭化水素受容体アゴニストを産生する前記嫌気性腸内細菌菌株は、トリプトファン、チロシンの合成、またはキノン分子の合成に関連する少なくとも1つの遺伝子を含む。
【0098】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、請求項2に記載される調製物における細菌菌株のコロニー形成または成長を促進させる前記嫌気性腸内細菌菌株は、バクテロイデス・テタイオタオミクロンまたはバクテロイデス・フラギリスである。
【0099】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、有益な効果を腸管バリア機能に対しておよび/または調節性T細胞応答の発達に対して有するプレグナンX受容体を刺激することができる、摂取された前駆体を代謝することによってまたは内因的に化合物を産生する前記嫌気性腸内細菌菌株は、デスモラーゼおよび/またはヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを発現する菌株である。
【0100】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、RORガンマ(RAR関連オーファン受容体ガンマ)経路を刺激して、調節性T細胞応答の発達を刺激することができる、摂取された前駆体を代謝することによってまたは内因的に化合物を産生する前記嫌気性腸内細菌菌株は、ステロール化合物を代謝することができる少なくとも1つのコレステロールレダクターゼまたは別の酵素を発現する菌株である。
【0101】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、腸管バリア機能および保護的な共生種によるコロニー形成を改善する宿主のムチン類および複雑な複合糖質を刺激することができる前記嫌気性腸内細菌菌株は、バクテロイデス・テタイオタオミクロンまたはバクテロイデス・フラギリスである。
【0102】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、腸管内腔の環境を変化させて、食物抗原に対する病原性アレルギー性T細胞応答の発達に寄与するディスバイオティック種の有害な活性を低下させる前記嫌気性腸内細菌菌株は、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・フラギリスまたはバクテロイデス属菌種である。この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記ディスバイオティック種は、エンテロバクター科またはデスルホノビブリオ科における種を含む。
【0103】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、腸管内腔の環境を変化させて、上記効果のいずれかのための前記投与されたコンソーシアムの他のメンバーによる改善されたコロニー形成、および/または、患者の基礎となる微生物叢における現存する有益な種によるコロニー形成を促進させる前記嫌気性腸内細菌菌株は、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・フラギリスまたはバクテロイデス属菌種である。この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記有益な種は、非病原性のクロストリジウム綱菌種(Clostridia spp.)、および他の非病原性共生菌株を含む。
【0104】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記薬学的に許容される担体は、前記嫌気性腸内細菌菌株をカプセル封入する腸溶性被覆組成物を含む。
【0105】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、前記生存可能な細菌を小腸に送達するために配合される。
【0106】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記腸溶性被覆組成物は、カプセル、ゲル、香錠、錠剤または丸剤の形態である。
【0107】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株はヒトの嫌気性腸内細菌である。
【0108】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される。
【0109】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される。
【0110】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は、(i)クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシス、または(ii)バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される。
【0111】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスから本質的になる。
【0112】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエから本質的になる。
【0113】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエから本質的になる。
【0114】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は、実質的に等しいバイオマスにおいて存在する。
【0115】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、少なくとも1×10
9コロニー形成単位(CFU)の用量を送達するために配合される。
【0116】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、1回の用量あたり30個未満のカプセルにおいて少なくとも1×10
9 CFUを送達するために配合される。
【0117】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は貯蔵のために凍結される。
【0118】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は嫌気性条件のもとでカプセル封入される。この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株は嫌気性条件のもとで凍結乾燥される。
【0119】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、嫌気性条件は下記の1つまたは複数を含む:(i)酸素不透過性カプセル、(ii)N-アセチルシステイン、システインまたはメチレンブルーを前記組成物に加えること、(iii)胞子形成する生物については胞子の使用、および(iv)還元性因子を前記組成物に加えること。
【0120】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記腸溶性被覆は、ポリマー、ナノ粒子、脂肪酸、シェラックまたは植物繊維を含む。
【0121】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物はさらに、プレバイオティック組成物を含む。
【0122】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、カプセル封入されている、再構成された凍結乾燥物である、食品である、あるいは、液状物、ゲル、流動ゲル、または液状物におけるナノ粒子として配合される。
【0123】
本明細書において記載される別の局面が、食物アレルギーの発症を対象において防止するための方法であって、本明細書において記載されるような組成物を対象に投与し、それにより、食物アレルギーの発症を前記対象において防止することを含む方法に関連する。
【0124】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の1つの態様において、投与される腸内細菌の前記少なくとも4菌株は、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される。
【0125】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、投与される腸内細菌の前記菌株は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される。
【0126】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、投与される腸内細菌の前記菌株は、(i)クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシス、または(ii)バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される。
【0127】
この局面および本明細書において提供される他のすべての局面の別の態様において、前記組成物は、経口投与、浣腸、坐薬または経口胃チューブによって投与される。
【0128】
この局面および本明細書において提供される他のすべての局面の別の態様において、前記最小の微生物コンソーシアムまたは生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株(1種または複数)は、選択された食物アレルゲンに対して寛容であることが既知の対象から単離および/または精製される。
【0129】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、腸内細菌の前記菌株は嫌気性条件のもとで培養される。
【0130】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記嫌気性条件は下記の1つまたは複数を含む:(i)酸素不透過性カプセル、(ii)N-アセチルシステイン、システイン、メチレンブルーもしくは還元性因子を前記組成物に加えること、または(iii)胞子形成する生物については胞子の使用。
【0131】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、投与される前記組成物はさらに、プレバイオティック組成物を含む。
【0132】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は腸溶性被覆される。
【0133】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、施される前記処置は、Tregおよび他の粘膜T細胞集団のTH2プログラミングを妨げ、かつ/または逆行させる。
【0134】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記対象はヒト対象である。
【0135】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記方法はさらに、食物アレルギーを発症する可能性が高いとして前記対象を診断する工程を含む。
【0136】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記方法はさらに、前記対象からの便サンプルを、前記最小の微生物コンソーシアムにおける前記細菌、または前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の存在および/またはレベルについて試験する工程を含む。
【0137】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記食物アレルギーは、ダイズ、コムギ、卵、乳製品、ピーナッツ、堅果、甲殻類、魚類、キノコ、核果および他の果実に対するアレルギーを含む。
【0138】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、潜在的な食物アレルゲンに対する最初の曝露の前に投与される。
【0139】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物はアトピー症状の臨床的徴候に基づいて投与される。
【0140】
この局面および本明細書において提供される他のすべての局面の別の態様において、前記組成物は、診断された食物アレルギーを有する個体に投与される。
【0141】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記対象は抗生物質による前処置を受ける。
【0142】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記対象は抗生物質による前処置を受けない。
【0143】
本明細書において記載される別の局面は、食物抗原に対する対象の免疫反応を軽減するためのまたは排除するための方法であって、本明細書において記載されるような組成物を対象に投与し、それにより、食物アレルゲンに対する対象の免疫反応を軽減することまたは排除することを含む方法に関連する。
【0144】
この局面および本明細書において提供される他のすべての局面の1つの態様において、投与される細菌の前記菌株は、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される。
【0145】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能な腸内細菌の前記菌株は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される。
【0146】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、生存可能な腸内細菌の前記菌株は、(i)クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシス、または(ii)バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される。
【0147】
この局面および本明細書において提供される他のすべての局面の別の態様において、前記組成物は、経口投与、浣腸、坐薬または経口胃チューブによって投与される。
【0148】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記最小の微生物コンソーシアムまたは前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、選択された食物アレルゲンに対して寛容であることが既知の対象から単離および/または精製される。
【0149】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、細菌または最小の微生物コンソーシアムの前記菌株は嫌気性条件のもとで培養および/または維持される。
【0150】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、嫌気性条件は下記の1つまたは複数を含む:(i)酸素不透過性カプセル、(ii)N-アセチルシステイン、システイン、メチレンブルーもしくは還元性因子を前記組成物に加えること、または(iii)胞子形成する生物については胞子の使用。
【0151】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、投与される前記組成物はさらに、プレバイオティック組成物を含む。
【0152】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は腸溶性被覆される。
【0153】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記処置は、TregのTH2プログラミングを妨げ、かつ/または逆行させる。
【0154】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記対象はヒト対象である。
【0155】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記方法はさらに、IgE媒介の食物アレルギーを有するとして前記対象を診断する工程を含む。
【0156】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記方法はさらに、前記対象からの便サンプルを、前記最小の微生物コンソーシアムにおける前記細菌の存在および/またはレベル、あるいは生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の存在および/またはレベルについて試験する工程を含む。
【0157】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記食物アレルギーは、ダイズ、コムギ、卵、乳製品、ピーナッツ、堅果、甲殻類、魚類、キノコ、核果または他の果実に対するアレルギーを含む。
【0158】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記組成物は、潜在的な食物アレルゲンに対する最初の曝露および/または反応の後に投与される。
【0159】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記投与された組成物における前記微生物のそれぞれのバイオマスが、参照物に適切な前記微生物のそれぞれのバイオマスよりも大きい。
【0160】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記対象は抗生物質による前処置を受ける。
【0161】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記対象は抗生物質による前処置を受けない。
【0162】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記対象は、24時間以下の絶食期間による前処置を受ける。
【0163】
本明細書において提供される別の局面は、対象のミクロビオームをモニターする方法であって、対象から得られる生物学的サンプルにおける、最小の微生物コンソーシアムの少なくとも1つのメンバーの存在および/またはバイオマスを明らかにすることを含み、前記少なくとも1つのメンバーが存在しないか、または、前記少なくとも1つのメンバーの前記バイオマスが参照物に比べて少ないならば、前記対象は、本明細書において記載される組成物により処置される方法に関連する。
【0164】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記方法はさらに、前記少なくとも1つのメンバーが存在しないとき、前記少なくとも1つのメンバーの前記バイオマスが参照物に比べて少ないとき、または、ディスバイオティック種の少なくとも1つのメンバーが存在するかもしくは参照物に比べて増大しているとき、対象は食物アレルゲンに対する免疫応答を有するであろうと予測することを含む。
【0165】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記方法は、少なくともさらに1回繰り返される。
【0166】
この局面および本明細書において提供されるすべての他の局面の別の態様において、前記生物学的サンプルは便サンプルである。
【0167】
本明細書において記載される別の局面は、
(a)4菌株〜6菌株の生存可能な非病原性腸内細菌から本質的になる第1の微生物コンソーシアムであり、生存可能な非病原性腸内細菌の前記菌株が、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスからなる群より選択される第1の微生物コンソーシアムと、
(b)4菌株〜5菌株の生存可能な非病原性腸内細菌から本質的になる第2の微生物コンソーシアムであり、生存可能な非病原性腸内細菌の前記菌株が、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される第2の微生物コンソーシアムと
を含む相乗的な微生物組成物であって、前記第2の微生物コンソーシアムの1つまたは複数のメンバーが前記第1の微生物コンソーシアムの1つまたは複数のメンバーのコロニー形成および/または持続性を哺乳動物宿主において増大させる相乗的な微生物組成物に関連する。
[本発明1001]
(i)その必要性のある個体に投与されたときに食物アレルギーを処置または防止するのに十分な量で、4菌株〜11菌株の生存可能な腸内細菌から本質的になる最小の微生物コンソーシアムを含む調製物、および
(ii)薬学的に許容される担体
を含む、薬学的組成物。
[本発明1002]
培養可能な種の最小の微生物コンソーシアムと、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物であって、
前記コンソーシアムが、以下:
(i)調節性T細胞(Treg)の発達を促進させる菌体外多糖、リポテイコ酸(LTA)、リポ多糖(LPS)または他の微生物アジュバント分子を発現する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(ii)発酵産物である酪酸および/またはプロピオン酸を炭水化物および他の炭素源の発酵により腸管内腔において産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(iii)胆汁酸変換の完全な補完を単独または組合せで行う、1つまたは複数の生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(iv)アリール炭化水素受容体(AhR)受容体経路を腸上皮細胞、抗原提示細胞および/またはT細胞において刺激して、調節性T細胞応答の発達を刺激することができる化合物を産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(v)有益な効果を腸管バリア機能に対しておよび/または調節性T細胞応答の発達に対して有するプレグナンX受容体を刺激することができる化合物を産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(vi)RORガンマ(RAR関連オーファン受容体ガンマ)経路を刺激して、直接的な刺激またはRORガンマ活性化経路を介する調節性T細胞応答の発達を、調節性T細胞応答を結果的には刺激する腸管の抗原提示細胞および/または上皮細胞において刺激することができる化合物を産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(vii)腸管バリア機能および保護的な共生種によるコロニー形成を改善するムチン類および複合糖質の宿主産生を刺激する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(viii)腸管内腔の環境を変化させて、食物抗原に対する健康に良くないアレルギー性T細胞応答の発達を促進させるディスバイオティック(dysbiotic)種の有害な活性を低下させる、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(ix)腸管内腔の環境を変化させて、上記効果のいずれかのための前記投与されたコンソーシアムの他のメンバーによる改善されたコロニー形成、および/または、患者の基礎となる微生物叢における現存する有益な種によるコロニー形成を促進させる、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(x)上記の(i)〜(ix)の調製物における細菌菌株のコロニー形成または成長をインビボにおいて促進させる、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物
からなる群より選択される調製物のうちの少なくとも4つに含まれる、薬学的組成物。
[本発明1003]
調節性T細胞(Treg)の発達を促進させる菌体外多糖を発現する前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株が、ユーバクテリウム・レクタレ(Eubacterium rectale)、クロストリジウム・ラモスム(Clostridium ramosum)、ブチロビブリオ・クロッサツス(Butyrovibrio crossatus)、ロセブリア・インテスチナリス(Roseburia intestinalis)、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)、クロストリジウム・ヒレモナエ(Clostridium hylemonae)、フンガテラ・ハタワイ(Hungatella hathawayi)、クロストリジウム・シンビオスム(Clostridium symbiosum)、フェカリバクテリウム・プラウスニッチイ(Faecalibacterium prausnitzii)、スブドリグラヌルム・バリアビレ(Subdoligranulum variabile)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、パラバセトロイデス・ゴルドステイニイ(Parabacetroides goldsteinii)、パラバクテロイデス・メルダエ(Parabacteroides merdae)、パラバクテロイデス・ジスタソニス(Parabacteroides distasonis)およびプレボテラ・タンネラエ(Prevotella tannerae)からなる群より選択される、本発明1002の薬学的組成物。
[本発明1004]
発酵産物である酪酸、プロピオン酸および/またはコハク酸を炭水化物の発酵により腸管内腔において産生する前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株が、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、クロストリジウム・サルジニエンシス(Clostridium sardiniensis)、クロストリジウム・ヒラノンシス(Clostridium hiranonsis)、フェカリバクテリウム・プラウスニッチイ、ブチロビブリオ属菌種(Butyrovibrio spp.)、ユーバクテリウム・レクタレおよびロセブリア・インテスチナリスからなる群より選択される、本発明1002の薬学的組成物。
[本発明1005]
胆汁酸変換の完全な補完を単独または組合せで行う前記1つまたは複数の生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株が、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・サルジニエンシスおよび/またはバクテロイデス属菌種(Bacteroides spp.)である、本発明1002の薬学的組成物。
[本発明1006]
宿主アリール炭化水素受容体経路を刺激するのに十分であるアリール炭化水素受容体アゴニストを産生する前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株が、トリプトファン、チロシンの合成、またはキノン分子の合成に関連する少なくとも1つの遺伝子を含む、本発明1002の薬学的組成物。
[本発明1007]
本発明1002に記載される調製物における細菌菌株のコロニー形成または成長を促進させる前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株が、バクテロイデス・テタイオタオミクロンまたはバクテロイデス・フラギリスである、本発明1002の薬学的組成物。
[本発明1008]
有益な効果を腸管バリア機能に対しておよび/または調節性T細胞応答の発達に対して有するプレグナンX受容体を刺激することができる、摂取された前駆体を代謝することによってまたは内因的に化合物を産生する前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株が、デスモラーゼおよび/またはヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを発現する菌株である、本発明1002の薬学的組成物。
[本発明1009]
RORガンマ(RAR関連オーファン受容体ガンマ)経路を刺激して、調節性T細胞応答の発達を刺激することができる、摂取された前駆体を代謝することによってまたは内因的に化合物を産生する前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株が、ステロール化合物を代謝することができる少なくとも1つのコレステロールレダクターゼまたは他の酵素を発現する菌株である、本発明1002の薬学的組成物。
[本発明1010]
腸管バリア機能および保護的な共生種によるコロニー形成を改善する宿主のムチン類および複合糖質を刺激することができる前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株が、バクテロイデス・テタイオタオミクロンまたはバクテロイデス・フラギリスである、本発明1002の薬学的組成物。
[本発明1011]
腸管内腔の環境を変化させて、食物抗原に対する病原性アレルギー性T細胞応答の発達に寄与するディスバイオティック種の有害な活性を低下させる前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株が、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・フラギリスまたはバクテロイデス属菌種である、本発明1002の薬学的組成物。
[本発明1012]
腸管内腔の環境を変化させて、上記効果のいずれかのための前記投与されたコンソーシアムの他のメンバーによる改善されたコロニー形成、および/または、患者の基礎となる微生物叢における現存する有益な種によるコロニー形成を促進させる前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株が、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・フラギリスおよびバクテロイデス属菌種である、本発明1002の薬学的組成物。
[本発明1013]
前記薬学的に許容される担体が、前記最小の微生物コンソーシアムまたは前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株をカプセル封入する腸溶性被覆組成物を含む、本発明1001または本発明1002の薬学的組成物。
[本発明1014]
前記生存可能な細菌を小腸に送達するために配合される、本発明1001または本発明1002の薬学的組成物。
[本発明1015]
前記腸溶性被覆組成物が、カプセル、ゲル、香錠、錠剤または丸剤の形態である、本発明1013の組成物。
[本発明1016]
生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株、または前記最小の微生物コンソーシアムの菌株がヒト腸内細菌である、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1017]
生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株、または前記最小の微生物コンソーシアムの菌株が、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス(Clostridium bifermentans)、クロストリジウム・レプツム(Clostridium leptum)、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ(Parabacteroides goldsteinii)、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ(Clostridum hathewayi)、クロストリジウム・ネキシレ(Clostridum nexile)、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム(Clostridium glycyrrhizinilyticum)、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス(Clostridium lavalense)、クロストリジウム・フィメタリウム(Clostridum fimetarium)、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス(Clostridium sporosphaeroides)、ジアリスター・プロプリオニクファセインス(Dialister proprionicfaceins)、ジアリスター・スクシナチフィルス(Dialister succinatiphilus)、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス(Peptostreptococcus anaerobius)、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチ(Veilonella ratti)からなる群より選択される、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1018]
生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株、または前記最小の微生物コンソーシアムの菌株が、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1019]
生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株、または前記最小の微生物コンソーシアムの菌株が、
(i)クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシス、または
(ii)バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエ
からなる群より選択される、本発明1018の組成物。
[本発明1020]
生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株、または前記最小の微生物コンソーシアムの菌株が、実質的に等しいバイオマスにおいて存在する、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1021]
少なくとも1×109コロニー形成単位(CFU)の用量を送達するために配合される、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1022]
1回の用量あたり30個未満のカプセルにおいて少なくとも1×109 CFUを送達するために配合される、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1023]
貯蔵のために凍結される、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1024]
生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌の前記菌株、または前記最小の微生物コンソーシアムの菌株が嫌気性条件のもとでカプセル封入される、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1025]
嫌気性条件が以下の1つまたは複数を含む、本発明1024の組成物:
(i)酸素不透過性カプセル、
(ii)N-アセチルシステイン、システインまたはメチレンブルーを含む還元剤を前記組成物に加えること、あるいは
(iii)胞子形成する生物については胞子の使用。
[本発明1026]
前記組成物が、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスからなる群より選択される参照菌株の操作的分類単位において存在する16S rDNA配列に対して少なくとも97%同一である16S rDNA配列を含む少なくとも1つの細菌菌株を含む、または
前記コンソーシアムが、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される参照菌株の操作的分類単位において存在する16S rDNA配列に対して少なくとも97%同一である16S rDNA配列を含む少なくとも1つの細菌菌株を含む、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1027]
大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、ビロフィラ・ワズウォルチア(Bilophila wadsworthia)、アリスチペス・オンデルドンキイ(Alistipes onderdonkii)、デスルホビブリオ属菌種(Desulfovibrio species)、ラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)またはパラスッテレラ・エクスクレメンチホミニス(Parasutterella excrementihominis)である種のどれも含まない、本発明1026の組成物。
[本発明1028]
ビロフィラ属(Bilophila)、エンテロバクター属(Enterobacter)、大腸菌属(Escherichia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、プロテウス属(Proteus)、アリスチペス属(Alistipes)、ブラウチア属(Blautia)、デスルホビブリオ属(Desulfovibrio)Iおよびパラスッテレラ属(Parasutterella)の細菌を含まない、本発明1026の組成物。
[本発明1029]
デスルホビブリオ科(Desulfovibrionaceae)、エンテロバクター科(Enterobacteriaceae)、リケネラ科(Rikenellaceae)およびスッテレラ科(Sutterellaceae)の細菌を含まない本発明1026の組成物。
[本発明1030]
ラクトバチルス科(Lactobacillaceae)またはエンテロバクター科(Enterbacteriaceae)の細菌を含まない、本発明1026の組成物。
[本発明1031]
ブルクホルデリア目(Burkholdales)、デスルホビブリオ目(Desulfovibrionales)またはエンテロバクター目(Enterobacteriales)の細菌を含まない、本発明1026の組成物。
[本発明1032]
少なくとも5菌株の生存可能な非病原性腸内細菌を含む、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1033]
11菌株までの生存可能な非病原性腸内細菌を含む、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1034]
クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスを含む、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1035]
バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエを含む、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1036]
クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエを含む、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1037]
クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスから本質的になる、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1038]
バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエから本質的になる、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1039]
クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエから本質的になる、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1040]
前記腸溶性被覆が、ポリマー、ナノ粒子、脂肪酸、シェラックまたは植物繊維を含む、本発明1013の組成物。
[本発明1041]
プレバイオティック組成物をさらに含む、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1042]
カプセル封入されている、再構成された凍結乾燥物である、食品である、あるいは、液状物、ゲル、流動ゲル、または液状物におけるナノ粒子として配合される、本発明1001または本発明1002の組成物。
[本発明1043]
(i)その必要性のある個体に投与されたときに食物アレルギーを処置または防止するのに十分な量で、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも4菌株の生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌を含む調製物、および
(ii)薬学的に許容される担体
含む、薬学的組成物。
[本発明1044]
40菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043の薬学的組成物。
[本発明1045]
30菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043の薬学的組成物。
[本発明1046]
20菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043の薬学的組成物。
[本発明1047]
15菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043の薬学的組成物。
[本発明1048]
11菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043の薬学的組成物。
[本発明1049]
クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも5菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043〜1048のいずれかの組成物。
[本発明1050]
クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも6菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043〜1048のいずれかの組成物。
[本発明1051]
クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも7菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043〜1048のいずれかの組成物。
[本発明1052]
クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも8菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043〜1048のいずれかの組成物。
[本発明1053]
クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも9菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043〜1048のいずれかの組成物。
[本発明1054]
クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも10菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043〜1048のいずれかの組成物。
[本発明1055]
生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌の前記菌株が、
(i)クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシス、または
(ii)バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエ
からなる群より選択される、本発明1043〜1054のいずれかの組成物。
[本発明1056]
クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスのそれぞれを含む生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043の組成物。
[本発明1057]
バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエのそれぞれを含む生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043の組成物。
[本発明1058]
クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエのそれぞれを含む生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1043の組成物。
[本発明1059]
(i)以下:
クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスからなる群より選択される参照菌株の操作的分類単位において存在する16S rDNA配列に対して少なくとも97%同一である16S rDNA配列を含む少なくとも1つの細菌菌株;または
バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される参照菌株の操作的分類単位において存在する16S rDNA配列に対して少なくとも97%同一である16S rDNA配列を含む少なくとも1つの細菌菌株
を含む、少なくとも4菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌であって、その必要性のある個体に投与されたときに食物アレルギーを処置または防止するのに十分な量で存在する、少なくとも4菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌、ならびに
(ii)薬学的に許容される担体
を含む、薬学的組成物。
[本発明1060]
40菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1059の薬学的組成物。
[本発明1061]
30菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1059の薬学的組成物。
[本発明1062]
20菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1059の薬学的組成物。
[本発明1063]
15菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1059の薬学的組成物。
[本発明1064]
11菌株以下の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1059の薬学的組成物。
[本発明1065]
少なくとも5菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1059の薬学的組成物。
[本発明1066]
少なくとも6菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1059の薬学的組成物。
[本発明1067]
少なくとも7菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1059の薬学的組成物。
[本発明1068]
少なくとも8菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1059の薬学的組成物。
[本発明1069]
少なくとも9菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1059の薬学的組成物。
[本発明1070]
少なくとも10菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1059の薬学的組成物。
[本発明1071]
11菌株の生存可能かつ嫌気性の培養可能な腸内細菌を含む、本発明1059の薬学的組成物。
[本発明1072]
前記微生物菌株が、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、プロテウス・ミラビリス、エンテロバクター・クロアカ、ビロフィラ・ワズウォルチア、アリスチペス・オンデルドンキイ、デスルホビブリオ属菌種、ラクトバチルス・ジョンソニイおよびパラスッテレラ・エクスクレメンチホミニスである種のどれも含まない、本発明1059〜1071のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1073]
前記微生物菌株が、ビロフィラ属、エンテロバクター属、大腸菌属、クレブシエラ属、プロテウス属、アリスチペス属、ブラウチア属、デスルホビブリオ属およびパラスッテレラ属の細菌を含まない、本発明1059〜1071のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1074]
前記微生物菌株が、デスルホビブリオ科、エンテロバクター科、リケネラ科およびスッテレラ科の細菌を含まない、本発明1059〜1071のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1075]
前記微生物菌株が、ラクトバチルス科またはエンテロバクター科の細菌を含まない、本発明1059〜1071のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1076]
前記微生物菌株が、ブルクホルデリア目、デスルホビブリオ目またはエンテロバクター目の細菌を含まない、本発明1059〜1071のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1077]
培養可能な種の微生物コンソーシアムと、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物であって、以下:
(i)調節性T細胞(Treg)の発達を促進させる菌体外多糖、リポテイコ酸(LTA)、リポ多糖(LPS)または他の微生物アジュバント分子を発現する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(ii)発酵産物である酪酸および/またはプロピオン酸を炭水化物および他の炭素源の発酵により腸管内腔において産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(iii)胆汁酸変換の完全な補完を単独または組合せで行う、1つまたは複数の生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(iv)アリール炭化水素受容体(AhR)受容体経路を腸上皮細胞、抗原提示細胞および/またはT細胞において刺激して、調節性T細胞応答の発達を刺激することができる化合物を産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(v)有益な効果を腸管バリア機能に対しておよび/または調節性T細胞応答の発達に対して有するプレグナンX受容体を刺激することができる化合物を産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(vi)RORガンマ(RAR関連オーファン受容体ガンマ)経路を刺激して、直接的な刺激またはRPRガンマ活性化経路を介する調節性T細胞応答の発達を、調節性T細胞応答を結果的には刺激する腸管の抗原提示細胞および/または上皮細胞において刺激することができる化合物を産生する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(vii)腸管バリア機能および保護的な共生種によるコロニー形成を改善するムチン類および複合糖質の宿主産生を刺激する、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(viii)腸管内腔の環境を変化させて、食物抗原に対する健康に良くないアレルギー性T細胞応答の発達を促進させるディスバイオティック(dysbiotic)種の有害な活性を低下させる、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;
(ix)腸管内腔の環境を変化させて、上記効果のいずれかのための前記投与されたコンソーシアムの他のメンバーによる改善されたコロニー形成、および/または、患者の基礎となる微生物叢における現存する有益な種によるコロニー形成を促進させる、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物;ならびに
(x)上記の(i)〜(ix)の調製物における細菌菌株のコロニー形成または成長をインビボにおいて促進させる、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株の調製物
からなる群より選択される調製物のうちの少なくとも4つを含み、かつ
最大で40種の微生物種を含む、薬学的組成物。
[本発明1078]
最大で30種の微生物種を含む、本発明1077の薬学的組成物。
[本発明1079]
最大で20種の微生物種を含む、本発明1077の薬学的組成物。
[本発明1080]
最大で15種の微生物種を含む、本発明1077の薬学的組成物。
[本発明1081]
最大で11種の微生物種を含む、本発明1077の薬学的組成物。
[本発明1082]
前記調製物(i)〜(x)の少なくとも5つを含む、本発明1077〜1081のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1083]
前記調製物(i)〜(x)の少なくとも6つを含む、本発明1077〜1081のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1084]
前記調製物(i)〜(x)の少なくとも7つを含む、本発明1077〜1081のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1085]
前記調製物(i)〜(x)の少なくとも8つを含む、本発明1077〜1081のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1086]
前記調製物(i)〜(x)の少なくとも9つを含む、本発明1077〜1081のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1087]
前記調製物(i)〜(x)のそれぞれを含む、本発明1077〜1081のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1088]
調節性T細胞(Treg)の発達を促進させる菌体外多糖を発現する前記嫌気性腸内細菌菌株が、ユーバクテリウム・レクタレ、クロストリジウム・ラモスム、ブチロビブリオ・クロッサツス、ロセブリア・インテスチナリス、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒレモナエ、フンガテラ・ハタワイ、クロストリジウム・シンビオスム、フェカリバクテリウム・プラウスニッチイ、スブドリグラヌルム・バリアビレ、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・オバツス、パラバセトロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、パラバクテロイデス・ジスタソニスおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される、本発明1077〜1087のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1089]
発酵産物である酪酸、プロピオン酸および/またはコハク酸を炭水化物の発酵により内腔である腸管内腔において産生する前記嫌気性腸内細菌菌株が、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、クロストリジウム・サルジニエンシス、クロストリジウム・ヒラノンシス、フェカリバクテリウム・プラウスニッチイ、ブチロビブリオ属菌種、ユーバクテリウム・レクタレおよびロセブリア・インテスチナリスからなる群より選択される、本発明1077〜1087のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1090]
胆汁酸変換の完全な補完を単独または組合せで行う前記嫌気性腸内細菌菌株が、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・サルジニエンシスおよび/またはバクテロイデス属菌種である、本発明1077〜1087のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1091]
宿主アリール炭化水素受容体経路を刺激するのに十分であるアリール炭化水素受容体アゴニストを産生する前記嫌気性腸内細菌菌株が、トリプトファン、チロシンの合成、またはキノン分子の合成に関連する少なくとも1つの遺伝子を含む、本発明1077〜1087のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1092]
本発明1002に記載される調製物における細菌菌株のコロニー形成または成長を促進させる前記嫌気性腸内細菌菌株が、バクテロイデス・テタイオタオミクロンまたはバクテロイデス・フラギリスである、本発明1077〜1087のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1093]
有益な効果を腸管バリア機能に対しておよび/または調節性T細胞応答の発達に対して有するプレグナンX受容体を刺激することができる、摂取された前駆体を代謝することによってまたは内因的に化合物を産生する前記嫌気性腸内細菌菌株が、デスモラーゼおよび/またはヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを発現する菌株である、本発明1077〜1087のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1094]
RORガンマ(RAR関連オーファン受容体ガンマ)経路を刺激して、調節性T細胞応答の発達を刺激することができる、摂取された前駆体を代謝することによってまたは内因的に化合物を産生する前記嫌気性消化細菌菌株が、ステロール化合物を代謝することができる少なくとも1つのコレステロールレダクターゼまたは別の酵素を発現する株である、本発明1077〜1087のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1095]
腸管バリア機能および保護的な共生種によるコロニー形成を改善する宿主のムチン類および複合糖質を刺激することができる前記嫌気性腸内細菌菌株が、バクテロイデス・テタイオタオミクロンまたはバクテロイデス・フラギリスである、本発明1077〜1087のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1096]
腸管内腔の環境を変化させて、食物抗原に対する病原性アレルギー性T細胞応答の発達に寄与するディスバイオティック種の有害な活性を低下させる前記嫌気性腸内細菌菌株(「例には、腸内細菌科またはデスルホノビブリオ科におけるディスバイオティック種のバイオマスを減少させる、かつ/あるいは、これらの種によって発現されるディスバイオティックな生化学的活性または微生物学的活性の完全な発現を妨げる、バクテロイデス属のコロニー形成から生じる腸内環境の変化が含まれる」)、本発明1077〜1087のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1097]
前記嫌気性腸内細菌菌株が腸管内腔の環境を変化させて、上記効果のいずれかのための前記投与されたコンソーシアムの他のメンバーによる改善されたコロニー形成、および/または、患者の基礎となる微生物叢における現存する有益な種によるコロニー形成を促進させる(「例には、腸内pHに、酸素分圧の低下に、または腸管内腔の還元電位を改善することに、ならびに、望ましいクロストリジウム綱菌種および他の非病原性共生種を含む他の種によるコロニー形成を改善するグリコシダーゼの分泌に影響を与えるためのバクテロイデス属菌種によるコロニー形成が含まれる」)、本発明1077〜1087のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1098]
前記薬学的に許容される担体が、前記最小の微生物コンソーシアムをカプセル封入する腸溶性被覆組成物を含む、本発明1043〜1097のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1099]
前記生存可能な細菌を小腸に送達するために配合される、本発明1043〜1097のいずれかの薬学的組成物。
[本発明1100]
前記腸溶性被覆組成物が、カプセル、ゲル、香錠、錠剤または丸剤の形態である、本発明1098の組成物。
[本発明1101]
生存可能な腸内細菌の前記菌株がヒト腸内細菌である、本発明1043〜1097のいずれかの組成物。
[本発明1102]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される、本発明1043〜1097のいずれかの組成物。
[本発明1103]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される、本発明1043〜1097のいずれかの組成物。
[本発明1104]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が、
(i)クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシス、または
(ii)バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエ
からなる群より選択される、本発明1043〜1097のいずれかの組成物。
[本発明1105]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が、クロストリジウム・ラモサム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスから本質的になる、本発明1043〜1097のいずれかの組成物。
[本発明1106]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエから本質的になる、本発明1043〜1097のいずれかの組成物。
[本発明1107]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエから本質的になる、本発明1043〜1097のいずれかの組成物。
[本発明1108]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が、実質的に等しいバイオマスにおいて存在する、本発明1043〜1107のいずれかの組成物。
[本発明1109]
少なくとも1×109コロニー形成単位(CFU)の用量を送達するために配合される、本発明1043〜1107のいずれかの組成物。
[本発明1110]
1回の用量あたり30個未満のカプセルにおいて少なくとも1×109 CFUを送達するために配合される、本発明1043〜1107のいずれかの組成物。
[本発明1111]
貯蔵のために凍結される、本発明1043〜1107のいずれかの組成物。
[本発明1112]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が嫌気性条件のもとでカプセル封入される、本発明1043〜1107のいずれかの組成物。
[本発明1113]
嫌気性条件が以下の1つまたは複数を含む、本発明1112の組成物:
(i)酸素不透過性カプセル、
(ii)N-アセチルシステイン、システインまたはメチレンブルーを含む還元剤を前記組成物に加えること、あるいは
(iii)胞子形成する生物については胞子の使用。
[本発明1114]
前記腸溶性被覆が、ポリマー、ナノ粒子、脂肪酸、シェラックまたは植物繊維を含む、本発明1098の組成物。
[本発明1115]
プレバイオティック組成物をさらに含む、本発明1043〜1114のいずれかの組成物。
[本発明1116]
カプセル封入されている、再構成された凍結乾燥物である、食品である、あるいは、液状物、ゲル、流動ゲル、または液状物におけるナノ粒子として配合される、本発明1043〜1114のいずれかの組成物。
[本発明1117]
食物アレルギーの発症を対象において防止するための方法であって、本発明1001〜1116のいずれかの組成物を対象に投与し、それにより、食物アレルギーの発症を前記対象において防止することを含む、方法。
[本発明1118]
投与される前記少なくとも4菌株の腸内細菌が、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される、本発明1117の方法。
[本発明1119]
投与される腸内細菌の前記菌株が、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される、本発明1117の方法。
[本発明1120]
投与される腸内細菌の前記菌株が、
(i)クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシス、または
(ii)バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエ
からなる群より選択される、本発明1117の方法。
[本発明1121]
前記組成物が、経口投与、浣腸、坐薬または経口胃チューブによって投与される、本発明1117の方法。
[本発明1122]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が、選択された食物アレルゲンに対して寛容であることが既知の対象から単離および/または精製される、本発明1117の方法。
[本発明1123]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が嫌気性条件のもとで培養される、本発明1117の方法。
[本発明1124]
嫌気性条件が以下の1つまたは複数を含む、本発明1123の方法:
(i)酸素不透過性カプセル、
(ii)N-アセチルシステイン、システインまたはメチレンブルーを含む還元剤を前記組成物に加えること、あるいは
(iii)胞子形成する生物については胞子の使用。
[本発明1125]
投与される前記組成物が、プレバイオティック組成物をさらに含む、本発明1117の方法。
[本発明1126]
前記組成物が腸溶性被覆されている、本発明1117の方法。
[本発明1127]
施される前記処置が、Tregおよび他の粘膜T細胞集団のTH2プログラミングを妨げ、かつ/または逆行させる、本発明1117の方法。
[本発明1128]
前記対象がヒト対象である、本発明1117の方法。
[本発明1129]
前記対象を、食物アレルギーを発症する可能性が高いとして診断する工程をさらに含む、本発明1117の方法。
[本発明1130]
前記対象からの便サンプルを前記最小の微生物コンソーシアムにおける前記細菌の存在および/またはレベルについて試験する工程をさらに含む、本発明1117の方法。
[本発明1131]
前記食物アレルギーが、ダイズ、コムギ、卵、乳製品、ピーナッツ、堅果、甲殻類、魚類、キノコ、核果および他の果実に対するアレルギーを含む、本発明1117の方法。
[本発明1132]
前記組成物が、潜在的な食物アレルゲンに対する最初の曝露の前に投与される、本発明1117の方法。
[本発明1133]
前記組成物がアトピー症状の臨床徴候の際に投与される、本発明1117の方法。
[本発明1134]
前記組成物が、診断された食物アレルギーを有する個体に投与される、本発明1117の方法。
[本発明1135]
前記対象が抗生物質による前処置を受ける、本発明1117の方法。
[本発明1136]
食物抗原に対する対象の免疫反応を軽減するためのまたは排除するための方法であって、本発明1001〜1116のいずれかの組成物を対象に投与し、それにより、食物アレルゲンに対する対象の免疫反応を軽減することまたは排除することを含む、方法。
[本発明1137]
投与される細菌の前記菌株が、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される、本発明1136の方法。
[本発明1138]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される、本発明1136の方法。
[本発明1139]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が、
(i)クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシス、または
(ii)バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエ
からなる群より選択される、本発明1136の方法。
[本発明1140]
前記組成物が、経口投与、浣腸、坐剤または経口胃チューブによって投与される、本発明1136の方法。
[本発明1141]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が、選択された食物アレルゲンに対して寛容であることが既知の対象から単離および/または精製される、本発明1136の方法。
[本発明1142]
生存可能な腸内細菌の前記菌株が嫌気性条件のもとで培養および/または維持される、本発明1136の方法。
[本発明1143]
嫌気性条件が以下の1つまたは複数を含む、本発明1142の方法:
(i)酸素不透過性カプセル、
(ii)N-アセチルシステイン、システイン、メチレンブルーもしくは還元性因子を前記組成物に加えること、または
(iii)胞子形成する生物については胞子の使用。
[本発明1144]
投与される前記組成物が、プレバイオティック組成物をさらに含む、本発明1136の方法。
[本発明1145]
前記組成物が腸溶性被覆されている、本発明1136の方法。
[本発明1146]
前記処置がTregのTH2プログラミングを妨げ、かつ/または逆行させる、本発明1136の方法。
[本発明1147]
前記対象がヒト対象である、本発明1136の方法。
[本発明1148]
IgE媒介食物アレルギーを有するとして前記対象を診断する工程をさらに含む、本発明1136の方法。
[本発明1149]
前記対象からの便サンプルを前記最小の微生物コンソーシアムにおける前記細菌の存在および/またはレベルについて試験する工程をさらに含む、本発明1136の方法。
[本発明1150]
前記食物アレルギーが、ダイズ、コムギ、卵、乳製品、ピーナッツ、堅果、甲殻類、魚類、キノコ、核果または他の果実に対するアレルギーを含む、本発明1136の方法。
[本発明1151]
前記組成物が、潜在的な食物アレルゲンに対する最初の曝露および/または反応の後に投与される、本発明1136の方法。
[本発明1152]
前記投与された組成物における前記微生物のそれぞれのバイオマスが、参照物に対する前記微生物のそれぞれのバイオマスよりも大きい、本発明1136の方法。
[本発明1153]
前記対象が抗生物質による前処置を受ける、本発明1136の方法。
[本発明1154]
前記対象が24時間以下の絶食期間による前処置を受ける、本発明1136の方法。
[本発明1155]
対象のミクロビオームをモニターする方法であって、
対象から得られる生物学的サンプルにおける最小の微生物コンソーシアムの少なくとも1つのメンバーの存在および/またはバイオマスを明らかにする工程を含み、
前記少なくとも1つのメンバーが存在しないか、または、前記少なくとも1つのメンバーの前記バイオマスが参照物に比べて少ないならば、前記対象が、本発明1001〜1116のいずれかの組成物により処置される、方法。
[本発明1156]
前記少なくとも1つのメンバーが存在しないとき、前記少なくとも1つのメンバーの前記バイオマスが参照物に比べて少ないとき、または、ディスバイオティック種の少なくとも1つのメンバーが存在するかもしくは参照物に比べて増大しているとき、対象は食物アレルゲンに対する免疫応答を有するであろうと予測する工程をさらに含む、本発明1155の方法。
[本発明1157]
少なくともさらに1回繰り返される、本発明1155の方法。
[本発明1158]
前記生物学的サンプルが便サンプルである、本発明1155の方法。
[本発明1159]
(a)4菌株〜6菌株の生存可能な腸内細菌から本質的になる第1の微生物コンソーシアムであり、生存可能な腸内細菌の前記菌株が、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスからなる群より選択される、第1の微生物コンソーシアムと
(b)4菌株〜5菌株の生存可能な腸内細菌から本質的になる第2の微生物コンソーシアムであり、生存可能な腸内細菌の前記菌株が、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される、第2の微生物コンソーシアムと
を含む、相乗的な微生物組成物であって、
前記第2の微生物コンソーシアムの1つまたは複数のメンバーが哺乳動物宿主における前記第1の微生物コンソーシアムの1つまたは複数のメンバーのコロニー形成および/または持続性を増大させる、相乗的な微生物組成物。
【発明を実施するための形態】
【0169】
詳細な説明
定義
本明細書において使用される場合、用語「食物アレルギー」は、Th2免疫およびアレルゲン特異的なIgE応答に伴う食物抗原に対する経口免疫寛容の不首尾を示す。すなわち、免疫応答が特定の食物抗原に応答して生じ、蕁麻疹、様々な胃腸症状、腹痛、アナフィラキシー、そして、死さえも引き起こし得る。
【0170】
本明細書において使用される場合、用語「微生物叢」は、ヒトのミクロビオーム、ヒトの微生物叢、またはヒトの腸管微生物叢を示すことができる。ヒトのミクロビオーム(またはヒトの微生物叢)は、皮膚の表面および深部層、唾液および口腔粘膜、結膜、ならびにヒトの尿生殖路および胃腸管に常在する微生物の集合体として理解され得る。ヒトのミクロビオームは、細菌、真菌、ウイルスおよび古細菌から構成される。これらの生物の少なくとも一部が、ヒト宿主にとって有用である様々な仕事をしている。正常な状況のもとでは、これらの微生物は急性疾患をヒト宿主に対して引き起こすのではなく、代わりに、何ら害を引き起こさないか、または健康を維持することに関与する。したがって、この生物集団はしばしば、「正常なフローラ」として示される。ヒトの胃腸管に棲息する微生物の集団は、「微生物フローラ」、「腸内フローラ」および/または「腸内微生物叢」として一般に示される。ヒト腸の微生物フローラは、消化、ビタミンおよび他の代謝産物の合成、ならびにヒトの身体によって産生されない酵素を作り出すことを助ける、広範囲の様々な微生物を包含する。
【0171】
本明細書において使用される場合、用語「最小の微生物コンソーシアム」は、急性疾患を対象において促進させない、少なくとも2種の種の腸内細菌を含む混合された細胞集団を示す。微生物コンソーシアムは、さらなる細菌種が加えられても、アレルギー応答の回避または緩和におけるさらなる利益が認められない(例えば、5%未満である)ときに「最小」である。いくつかの態様において、最小の微生物コンソーシアムは、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、またはそれ以上の異なる種の細菌を含む。いくつかの態様において、最小の微生物コンソーシアムは、クロストリジウム綱および/またはバクテロイデス門の門に由来する少なくとも1種の種の細菌を含む。
【0172】
「操作的分類単位(OTU、複数形はOTUs)」は系統樹における末端葉を示し、特定の遺伝子配列と、この配列に対する指定された程度の配列同一性を種のレベルで共有するすべての配列とによって定義される。所与の「タイプ」または複数の「タイプ」の細菌は所与のOTUまたは複数の異なるOTUを含み、細菌の菌株、種、属、科または目もまた包含する。前記特定の遺伝子配列は、16S rRNA配列、または16S rRNA配列の一部である場合があり、あるいは、真正細菌界全体にわたって広範囲に見出される機能的に保存されたハウスキーピング遺伝子である場合がある。2つ以上のOTUは一般には、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を共有する。OTUはしばしば、配列を生物間において比較することによって定義される。指定された配列同一性に満たない配列(例えば、配列同一性が97%未満である配列)は、同じOTUの一部を形成するとはみなされない。
【0173】
「クレード」は、系統樹における統計学的に妥当な節の下流側にある系統樹のOTUまたはメンバーの集合を示す。クレードは、異なった単系進化単位である系統樹における一組の末端葉を含む。
【0174】
微生物学において、「16S配列決定」または「16S rRNA」または「16S-rRNA」または「16S」は、16SリボソームRNA遺伝子を含むヌクレオチドを特徴づけることによって導かれる配列を示す。細菌の16S rDNAは、長さがおよそ1500ヌクレオチドであり、1つの細菌単離株の、第2の分離株に対する進化的関係および配列類似性を、系統学的アプローチを使用して再構築する際に使用される。16S配列は一般には高度に保存されており、しかし、真菌だけでなく、ほとんどの細菌の属および種を区別するための十分なヌクレオチド多様性を有する特異的な超可変領域を含有するので、様々な16S配列が系統学的再構築のために使用されている。
【0175】
16S rRNAの「V1領域〜V9領域」は、細菌サンプルの遺伝子型決定のために使用される16S rRNA遺伝子の1番目から9番目までの超可変領域を示す。細菌におけるこれらの領域は、大腸菌の命名法システムに基づく番号付けを使用して、ヌクレオチド69〜99、ヌクレオチド137〜242、ヌクレオチド433〜497、ヌクレオチド576〜682、ヌクレオチド822〜879、ヌクレオチド986〜1043、ヌクレオチド1117〜1173、ヌクレオチド1243〜1294、およびヌクレオチド1435〜1465によってそれぞれ定義される。Brosius et al., Complete nucleotide sequence of a 16S ribosomal RNA gene from Escherichia coli, PNAS 75(10):4801-4805(1978)。いくつかの態様において、V1領域、V2領域、V3領域、V4領域、V5領域、V6領域、V7領域、V8領域およびV9領域の少なくとも1つが、OTUを特徴づけるために使用される。1つの態様において、V1領域、V2領域およびV3領域が、OTUを特徴づけるために使用される。別の態様において、V3領域、V4領域およびV5領域が、OTUを特徴づけるために使用される。別の態様において、V4領域が、OTUを特徴づけるために使用される。当業者は、候補の16S rRNAの特異的な超可変領域を、問題としている候補配列を参照配列と比較し、超可変領域を参照超可変領域に対する類似性に基づいて特定することによって特定することができる。
【0176】
「ディスバイオシス」は、生態学的ネットワークの正常な多様性および/または機能が乱されている腸または他の身体領域(粘膜表面または皮膚表面を含む)の微生物叢またはミクロビオームの状態を示す。そのようなディスバイオシスが健康における検出可能な低下をもたらさないとしても、微生物叢の好ましい(例えば、理想的な)状態からのどのような乱れも、ディスバイオシスであるとみなすことができる。この状態のディスバイオシスは不健康である場合があり、または、ある特定の条件のもとでのみ不健康である場合があり、または、対象がより健康になることを妨げる場合がある。ディスバイオシスは、多様性における低下、1つまたは複数の病原体または病原性共生体の過剰成長、ある特定の遺伝的条件および/または環境的条件が患者に存在するときにだけ疾患を引き起こし得る共生生物、あるいは、宿主に対する有益な機能をもはや提供しない、したがって、健康をもはや促進しない生態学的ネットワークへの移行のためである場合がある。
【0177】
用語「患者」、用語「対象」および用語「個体」は本明細書において交換可能に使用され、予防的処置を含めて処置が提供される動物(具体的にはヒト)を示す。用語「対象」は、本明細書において使用される場合、ヒトおよび非ヒト動物を示す。用語「非ヒト動物」および用語「非ヒト哺乳動物」は本明細書において交換可能に使用され、すべての脊椎動物、例えば、哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類(具体的には高等霊長類)、ヒツジ、イヌ、齧歯類(例えば、マウスまたはラット)、モルモット、ヤギ、ブタ、ネコ、ウサギ、ウシなど、ならびに、非哺乳動物、例えば、ニワトリ、両生類、爬虫類などを包含する。1つの態様において、対象はヒトである。別の態様において、対象は、疾患モデルとしての実験動物または動物代用物である。別の態様において、対象は、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、ラット、モルモット、ハムスターなど)を含む飼い慣らされた動物である。
【0178】
本明細書において使用される場合、用語「腸溶性被覆薬物送達デバイス」または用語「腸溶性被覆組成物」は、経口投与することができ、しかし、当該デバイスが腸に進入するまでは分解されないまたは活性化されない薬物送達方法をどのようなものであっても示す。そのような方法では、例えば、pH依存的手段を使用して分解される被覆またはカプセル封入を利用することができる(pH依存的手段は、上部胃腸管の至る所に送達または移植されることになる送達デバイスおよび微生物コンソーシアムの保護を、当該デバイスが腸のアルカリ性pHに達するまで可能にする)。1つの態様において、腸溶性被覆薬物送達デバイスはカプセルまたは丸剤を含む。そのような薬物送達デバイスが当業者に公知である。
【0179】
本明細書において使用される場合、「プレバイオティック(prebiotic)」は、宿主に利益を与えることがある(または与えないことがある)胃腸の微生物叢における組成および活性の両方、あるいは組成および活性における特異的な変化を可能にする成分または促進させる成分を示す。いくつかの態様において、プレバイオティックには、下記の1つまたは複数が含まれ得る:フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ヘミセルロース(例えば、アラビノキシラン、キシラン、キシログルカンおよびグルコマンナン)、イヌリン、キチン、ラクツロース、マンナンオリゴ糖、オリゴフルクトース富化イヌリン、ガム(例えば、グアーガム、アラビアゴムおよびカラギーナン)、オリゴフルトース、オリゴデキストロース、タガトース、難消化性マルトデキストリン(例えば、難消化性デンプン)、trans-ガラクトオリゴ糖、ペクチン(例えば、キシロガラクトウロナン、柑橘類ペクチン、リンゴペクチンおよびラムノガラクツロナン-I)、食事性繊維(例えば、ダイズ繊維、サトウダイコン繊維、エンドウ繊維、トウモロコシふすまおよびオートムギ繊維)、およびキシロオリゴ糖。
【0180】
本明細書において使用される場合、用語「投与する」、用語「導入する」および用語「移植する」は、所望の部位(例えば、腸またはその所与領域)における導入細胞の少なくとも部分的な局在化をもたらし、その結果、所望の効果が生じるように(例えば、食物アレルゲンに対する寛容性が生じるように)する方法または経路によって、細胞(例えば、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアム)を対象内に配置するという文脈において交換可能に使用される。前記細胞は、送達された細胞の少なくとも一部または前記細胞の構成要素が依然として生存可能なままである対象体内の所望の場所への送達をもたらす任意の適切な経路によって投与することができる。対象に投与された後における前記細胞の生存可能性の期間は、数時間(例えば、24時間)から数日までほどの短い期間から、数年ほどの長い期間(すなわち、長期間の生着)までであることが可能である。
【0181】
本明細書において使用される場合、「防止する」または「防止」は、どのような方法論であっても、当該方法論(例えば、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムを含む組成物の投与など)の作用に起因して疾患状態が生じない方法論を示す。1つの局面において、防止はまた、処置されていない対照において生じる程度にまで疾患が確立されていないことを意味し得ることが理解される。例えば、処置されていない対照と比較して、疾患確立頻度における5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%の低下が認められ得る。したがって、疾患の防止は、処置されていない対象(例えば、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムを含む組成物により処置されない対象)と比較して、対象が疾患を発症するであろう可能性における低下を包含する。
【0182】
本明細書において使用される場合、用語「胆汁酸変換の完全な補完」は、一次胆汁酸の二次胆汁酸への代謝を示す。腸内微生物によって行われる胆汁酸変換には、脱抱合、グルクロン酸脱抱合、ヒドロキシル基の酸化、ヒドロキシル胆汁酸エピマーを生じさせるためのオキソ基の還元、エステル化および脱ヒドロキシル化が含まれる。胆汁酸に対するこれらの反応は、前記用語が本明細書において使用されるような胆汁酸変換の完全な補完である。
【0183】
「相乗作用」または「相乗的相互作用」は、2つ以上の微生物の個々の効果の和よりも大きい組み合わされた効果を生じさせることになる、当該2つ以上の微生物の相互作用または協同作用を示す。例えば、1つの態様において、2つ以上の微生物の間における「相乗作用」は、第1の微生物が、成長または他のプロセスを促進させるために第2の微生物によって使用される廃棄物または代謝産物を分泌することから生じ得る。
【0184】
本明細書において使用される場合、用語「持続性」は、胃腸管における微生物コンソーシアムの1つまたは複数のメンバーが、食物アレルギーを処置および/または防止するための閾値以上である、数、バイオマスまたは活性で維持されることを示す。持続性は、便サンプルを得て、微生物コンソーシアムの1つまたは複数のメンバーの数、バイオマスおよび/または活性を求めることによって測定することができる。いくつかの態様において、持続性は、便サンプルにおける微生物コンソーシアムの少なくとも2つのメンバーの測定されたバイオマスの比率を得ることによって測定することができる。
【0185】
用語「低下する(させる)」、用語「減少した」、用語「減少」、または用語「阻害する」はすべてが、統計学的有意量の差による特性、レベルまたは他のパラメーターの低下または緩和を意味するために本明細書において使用される。いくつかの態様において、「減少する(させる)」、「減少」または「低下する(させる)」または「阻害する」は典型的には、参照レベル(例えば、所与の処置の非存在)と比較して少なくとも10%の差による低下を意味しており、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%またはそれ以上の差による低下であることを含むことができる。本明細書において使用される場合、「減少」または「阻害」は、参照レベルと比較して完全な阻害または減少を包含しない。「完全な阻害」は、参照レベルと比較して100%の阻害である。低下は好ましくは、所与の障害を有しない個体についての正常の範囲内として許容されるレベルにまで至ることが可能である。
【0186】
用語「増大した」、用語「増大する(させる)」または用語「増強する」または用語「活性化する」はすべてが、統計学的有意量の差による特性、レベルまたは他のパラメーターの増大を一般に意味するために本明細書において使用される;どのような疑念であっても避けるために、用語「増大した」、用語「増大する(させる)」または用語「増強する」または用語「活性化する」は、参照レベルと比較して少なくとも10%の増大を意味しており、例えば、参照レベルと比較して、少なくとも約20%、もしくは少なくとも約30%、もしくは少なくとも約40%、もしくは少なくとも約50%、もしくは少なくとも約60%、もしくは少なくとも約70%、もしくは少なくとも約80%、もしくは少なくとも約90%の増大、または、100%の増大を含めて100%までの増大、または、10%〜100%の間における任意の増大、あるいは、参照レベルと比較して、少なくとも約2倍の増大、または少なくとも約3倍の増大、または少なくとも約4倍の増大、または少なくとも約5倍の増大、または少なくとも約10倍の増大、または少なくとも約20倍の増大、または少なくとも約50倍の増大、または少なくとも約100倍の増大、または少なくとも約1000倍の増大、またはそれ以上を意味する。
【0187】
用語「薬学的に許容される」は、過度の毒性を伴うことなく対象(例えば、哺乳動物またはヒト)に投与することができる化合物および組成物を示すことができる。
【0188】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」は、有効成分と組み合わされるとき、前記成分が生物学的活性を保持し、かつ、対象の免疫系と非反応性である任意の材料または物質を含むことができる。例には、標準的な薬学的担体のいずれか(例えば、リン酸塩緩衝化生理的食塩水溶液など)、乳化物(例えば、油/水型乳化物など)、および様々なタイプの湿潤化剤が含まれるが、これらに限定されない。用語「薬学的に許容される担体」では、組織培養培地は除外される。
【0189】
本明細書において使用される場合、用語「含む」は、提示される定義された要素に加えて他の要素もまた存在し得ることを意味する。「含む」の使用は、限定ではなく、むしろ、包含であることを示す。
【0190】
本明細書において使用される場合、用語「から本質的になる」は、所与の態様のために要求されるそのような要素を示す。この用語は、本発明のその態様の基本的で、かつ新規または機能的な特徴に実質的に影響を与えないさらなる要素の存在を可能にする。
【0191】
用語「からなる」は、本明細書において記載されるような組成物、方法およびそれらのそれぞれの構成要素(ただし、当該態様のその記載において列挙されない要素はどれも除外される)を示す。
【0192】
さらに、文脈によって別途要求される場合を除き、単数形の用語は複数形を包含するものとし、また、複数形の用語は単数形を包含するものとする。
【0193】
本発明は、本明細書において記載される特定の方法論、プロトコルおよび試薬などに限定されず、そのようなものとして、本明細書において記載される特定の方法論、プロトコルおよび試薬などから変化し得ることが理解されなければならない。本明細書において使用される術語は、特定の態様を記載するという目的のためだけにあり、請求項によってのみ定義される本発明の範囲を限定するために意図されていない。
【0194】
微生物フローラ
それぞれの個体は、個々の生物が100兆個にまで達する、消化管に常在する推定では500〜5000またはそれ以上の種の細菌、真菌、ウイルス、古細菌および他の微生物を含む個別的な腸内微生物叢を有しており、これらは、例えば、消化を助けること、栄養を結腸に提供すること、ビタミンを産生すること、免疫系を調節すること、外因性細菌に対する防御を補助すること、エネルギー代謝を調節すること、および短鎖脂肪酸(SCFA)の産生(例えば、SCFA、主に酢酸、プロピオン酸、コハク酸、酪酸、1,2プロパンジオールまたは1,3プロパンジオールを最終産物として生じさせる発酵のための基質である食事性炭水化物(難消化性デンプンおよび食事性繊維を含む)を介しての産生)を含めて様々な有用な共生機能の宿主を提供している。
【0195】
ヒトの身体内および身体表面に見出される微生物フローラにおける不均衡が、様々な疾患状態に関連することが知られている。例えば、ヒトおよび実験マウスモデルの両方における肥満には、病原性であると思われる腸管微生物叢における変化が伴っている。「ディスバイオシス」または乱れた共生の状況では、喪失または撹乱された結果、病原体に対する増大した感受性をもたらし得る微生物叢の作用には、変化した代謝プロファイル、あるいは、局所的炎症もしくは全身的炎症または自己免疫をもたらし得る炎症促進性シグナルの誘導が含まれる。加えて、喘息患者においては、細菌負荷および細菌多様性の両方が、対照対象と比較して有意に高く、この場合、これらはまた、気管支過敏性とも相関していた。したがって、腸管微生物叢は、腸の様々な病原性感染症を含めて多くの疾患および障害の病理発生において重要な役割を果たしている。例えば、正常な腸管微生物叢が広域抗生物質の使用に起因して乱されているとき、患者は病原性感染症をより受けやすくなる。これらの疾患および障害の多くは、患者の生活の質を著しく低下させ、究極的には致命的となり得る慢性状態である。
【0196】
微生物コンソーシアム
いくつかの態様において、微生物コンソーシアムは、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、少なくとも9種、少なくとも10種、少なくとも11種、少なくとも12種、またはそれ以上の異なる生存可能な細菌種(例えば、15種以上、20種以上、25種以上、30種以上、または、それどころか40種以上の異なる生存可能な細菌種)を含む。1つの態様において、微生物コンソーシアムは、40種未満の種(例えば30種以下の種、25種以下の種、20種以下の種、または15種以下の種)を含む。別の態様において、最小の微生物コンソーシアムは、12種以下、11種以下、10種以下、9種以下、8種以下、7種以下、6種以下、5種以下、または4種以下の異なる生存可能な細菌種を含む。1つの態様において、前記構成細菌の少なくとも1種(例えば、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種、少なくとも8種、8種以下、7種以下、6種以下、5種以下、4種以下、3種以下、2種以下)が、非病原性の細菌菌株である。同様に意図されるものが、4種〜40種の種、4種〜30種の種、4種〜25種の種、4種〜20種の種、4種〜15種の種、4種〜11種の種、5種〜40種の種、5種〜30種の種、5種〜25種の種、5種〜20種の種、5種〜15種の種、5種〜11種の種、6種〜40種の種、6種〜30種の種、6種〜25種の種、6種〜20種の種、6種〜15種の種、6種〜11種の種、7種〜40種の種、7種〜30種の種、7種〜25種の種、7種〜20種の種、7種〜15種の種、7種〜11種の種、8種〜40種の種、8種〜30種の種、8種〜25種の種、8種〜20種の種、8種〜15種の種、8種〜11種の種、9種〜40種の種、9種〜30種の種、9種〜25種の種、9種〜20種の種、9種〜15種の種、9種〜11種の種、10種〜40種の種、10種〜30種の種、10種〜25種の種、10種〜20種の種、10種〜15種の種、または10種〜11種の種のコンソーシアムである。
【0197】
1つの態様において、微生物コンソーシアムの前記少なくとも1種の構成細菌が、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される生存可能な腸内細菌の細菌菌株である。
【0198】
別の態様において、生存可能な腸内細菌の前記菌株は、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される。
【0199】
別の態様において、生存可能な腸内細菌の前記菌株は、(i)クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシス、または(ii)バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される。
【0200】
1つの態様において、生存可能な腸内細菌の前記菌株は、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、プロテウス・ミラビリス、エンテロバクター・クロアカ、ビロフィラ・ワズウォルチア、アリスチペス・オンデルドンキイ、デスルホビブリオ属菌種、ラクトバチルス・ジョンソニイおよびパラスッテレラ・エクスクレメンチホミニスを含まない。
【0201】
別の態様において、前記コンソーシアムは、ビロフィラ属、エンテロバクター属、大腸菌属、クレブシエラ属、プロテウス属、アリスチペス属、デスルホビブリオ属、ブラウチア属またはパラスッテレラ属の細菌を含まない。
【0202】
別の態様において、前記コンソーシアムは、デスルホビブリオ科、エンテロバクター科、リケネラ科およびスッテレラ科の細菌を含まない。
【0203】
別の態様において、前記コンソーシアムは、ラクトバチルス科またはエンテロバクター科の細菌を含まない。
【0204】
別の態様において、前記コンソーシアムは、ブルクホルデリア目、デスルホビブリオ目またはエンテロバクター目の細菌を含まない。
【0205】
代謝的特徴: 腸内微生物の様々な特徴が、食物アレルギーを含めてアレルギーからの保護のために、または、食物アレルギーを含めてアレルギーのための治療のために有益である。下記において、腸内微生物の特定の種または分類群を、本明細書において記載されるような保護的または治療的な微生物コンソーシアムのために十分に適したものにするために意図される様々な特徴および対応する機能が記載される。実際には、これらの特徴および対応する機能の4つ以上(例えば、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、または10以上)を含むコンソーシアムが、食物アレルギーについての保護または治療のためのもっともらしい候補であるとみなされる。
【0206】
いくつかの態様において、前記微生物コンソーシアムは、酪酸を哺乳動物対象において産生することができる1つまたは複数のタイプの微生物を含む。酪酸産生微生物を実験によって特定することができ、例えば、微生物産物のNMR分析もしくはガスクロマトグラフィー分析、または比色アッセイによって特定することができる(Rose I A. 1955. Methods Enzymol. 1: 591-5)。酪酸産生微生物はまた、計算的に特定することができ、例えば、酪酸合成に関与する1つまたは複数の酵素を特定することによって特定することができる。酪酸産生微生物において見出される酵素の限定されない例には、酪酸キナーゼ、ホスホトランスブチリラーゼ、およびブチリルCoA:酢酸CoAトランスフェラーゼ(Louis P., et al. 2004. J Bact. 186(7):2099-2106)が含まれる。酪酸産生菌株には、クロストリジウム・サルジニエンシス、クロストリジウム・ヒラノンシス、フェカリバクテリウム・プラウスニッチイ、ブチロビブリオ属菌種、ユーバクテリウム・レクタレおよびロセブリア・インテスチナリスが含まれるが、これらに限定されない。
【0207】
いくつかの態様において、薬学的組成物は2つ以上のタイプの微生物または細菌菌株を含み、ただし、前記少なくとも2つのタイプの微生物は酪酸を哺乳動物対象において産生することができる。他の態様において、前記組成物は2つ以上のタイプの微生物を含み、ただし、前記2つ以上のタイプの微生物は協同して(すなわち、クロスフィード(cross-feed)して)、免疫調節性の短鎖脂肪酸(SCFA)(例えば、酪酸)を哺乳動物対象において産生する。1つの態様において、前記組成物は、プレバイオティック(これには、イヌリン、イヌリン型フルクタン、フコース含有複合糖質(H1抗原、H2抗原、ルイスA抗原、ルイスB抗原、ルイスX抗原またはルイスY抗原を含む)、またはオリゴフルクトースが含まれるが、これらに限定されない)を代謝することができ、その結果、生じた代謝生成物が第2のタイプの微生物(例えば、酪酸産生微生物、例えば、ロセブリア属菌種など)によって免疫調節性SCFA(例えば、酪酸など)に変換され得るようにする少なくとも1つのタイプの微生物(例えば、ビフィドバクテリウム属菌種、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・フラギリスまたはクロストリジウム・ラモスム)を含む(Falony G., ET al. 2006 Appl. Environ. Microbiol. 72(12):7835-7841)。他の局面において、前記組成物は、少なくとも1つの酢酸消費・酪酸産生微生物(例えば、フェカリバクテリウム・プラウスニッチイまたはロセブリア・インテスチナリス)を含む。
【0208】
いくつかの態様において、前記組成物は、プロピオン酸および/またはコハク酸を哺乳動物対象において産生することができる1つまたは複数のタイプの微生物を含み、任意で、プロピオン酸生合成および/またはコハク酸生合成のために適しているプレバイオティックまたは基質をさらに含んでもよい。プロピオン酸の産生のために使用されるプレバイオティックまたは基質の例には、L-ラムノース、D-タガロース、難消化性デンプン、イヌリン、ポリデキストロース、アラビノキシラン、アラビノキシランオリゴ糖、マンノオリゴ糖およびラミナラン類が含まれるが、これらに限定されない(Hosseini E., et al. 2011. Nutrition Reviews. 69(5):245-258)。プロピオン酸産生微生物を実験によって特定することができ、例えば、微生物産物のNMR分析もしくはガスクロマトグラフィー分析、または比色アッセイなどによって特定することができる(Rose I A. 1955. Methods Enzymol. 1: 591-5)。プロピオン産生微生物はまた、計算的に特定することができ、例えば、プロピオン酸合成に関与する1つまたは複数の酵素を特定することによって特定することができる。プロピオン酸産生微生物において見出される酵素の限定されない例には、コハク酸経路の酵素(これには、ホスホエニルピルビン酸カルボキシキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ピルビン酸カルボキシラーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、フマル酸ヒドラターゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、スクシニルCoAシンテターゼ、メチルマロニルCoaデカルボキシラーゼおよびプロピオン酸CoAトランスフェラーゼが含まれるが、これらに限定されない)、同様にまた、アクリル酸経路の酵素(これには、L-乳酸デヒドロゲナーゼ、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ、ラクトイルCoAデヒドラターゼ、アシルCoAデヒドロゲナーゼ、リン酸アセチルトランスフェラーゼおよびプロピオン酸キナーゼが含まれるが、これらに限定されない)が含まれる。例えば、コハク酸経路を利用する微生物には、バクテロイデス属のある特定の種、例えば、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・サルジニエンシスおよびクロストリジウム・ヒラノンシスなどが含まれる。1つの態様において、プロピオン酸産生種は、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロンまたはバクテロイデス・オバツスである。1つの態様において、コハク酸産生種は、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロンまたはバクテロイデス・オバツスである。
【0209】
酪酸、プロピオン酸および/またはコハク酸を産生する種を定義するための機能的方法には、プロピオン酸、酪酸および/またはコハク酸を特定するためにガスクロマトグラフィー/液体クロマトグラフィー(GC/LC)を使用する短鎖脂肪酸(SCFA)産生の分析、あるいは、これらのSCFAを1,2-プロパンジオールおよび1,3-プロパンジオールと同様に検出するための、質量分析法に基づく方法が含まれる。研究を、コロニー形成後のノトバイオートマウスに由来する、また、通常の患者および/または動物サンプルに由来する培養上清において行うことができる。
【0210】
酪酸を産生する種を特定するためのさらなる方法は、酪酸を糖の嫌気性発酵から産生するためにブチリル-CoA:酢酸CoAトランスフェラーゼ(But遺伝子)または酪酸キナーゼ(Buk遺伝子)を発現するそのような種を含む。別の態様において、酪酸を(アミノ酸(例えば、リシンなど)から、グルタル酸経路または4-アミノ酪酸経路で)産生する生物では、例えば、L2Hgdh、2-ヒドロキシグルタル酸デヒドロゲナーゼ;Gct、グルタコン酸CoAトランスフェラーゼ(αサブユニット、βサブユニット);HgCoAd、2-ヒドロキシ-グルタリル-CoAデヒドロゲナーゼ(αサブユニット、βサブユニット、γサブユニット);Gcd、グルタコニル-CoAデカルボキシラーゼ(αサブユニット、βサブユニット);Th1、チオラーゼ;hbd、β-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドロゲナーゼ;Cro、クロトナーゼ;Bcd、ブチリル-CoAデヒドロゲナーゼ(電子伝達タンパク質(αサブユニット、βサブユニット)を含む);KamA、リシン-2,3-アミノムターゼ;KamD,E、β-リシン-5,6-アミノムターゼ(αサブユニット、βサブユニット);Kdd、3,5-ジアミノヘキサン酸デヒドロゲナーゼ;Kce、3-ケト-5-アミノヘキサン酸開裂酵素;Kal、3-アミノブチリル-CoAアンモニアリアーゼ;AbfH、4-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ;AbfD、4-ヒドロキシブチリル-CoAデヒドラターゼ;Isom、ビニルアセチル-CoA 3,2-イソメラーゼ(AbfDと同じタンパク質):4Hbt、ブチリル-CoA:4-ヒドロキシ酪酸CoAトランスフェラーゼ;But、ブチリル-CoA:酢酸CoAトランスフェラーゼ;Ato、ブチリル-CoA:アセト酢酸CoAトランスフェラーゼ(αサブユニット、βサブユニット);Ptb、リン酸ブチリルトランスフェラーゼ;およびBuk、酪酸キナーゼを含めて様々な酵素が発現される(例えば、Vital et al. mBIO 5(2):e00889-14を参照のこと)。
【0211】
いくつかの態様において、微生物コンソーシアムは、腸上皮細胞、抗原提示細胞および/またはT細胞においてアリール炭化水素(AhR)受容体を刺激することができる化合物を産生する少なくとも1種の細菌種を含む。理論によって縛られることを望まないが、AhR受容体の刺激は、食物アレルギーを防止および/または処置することができる調節性T細胞プロセスの発達を助けることができる。宿主のアリール炭化水素受容体経路を刺激する化合物のいくつかの限定されない例には、(i)インドール、(ii)インドール、トリプトファン、チロシンおよびヒスチジンの微生物合成に由来する中間体、(iii)フラボノイド類、フェナジン類および/またはキノン類の微生物合成、あるいは(iv)宿主が摂取したフラボノイド類、フェナジン類および/またはキノン類の代謝の化合物または中間体が含まれる。一例において、生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、宿主のアリール炭化水素受容体経路を刺激するのに十分であるアリール炭化水素受容体アゴニストを産生し、トリプトファンの合成またはキノン分子の合成に関連する少なくとも1つの遺伝子を含む。さらなる一例において、フラボノイド類、フェナジン類および/またはキノン類の微生物合成によって宿主のアリール炭化水素受容体経路を刺激するのに十分であるアリール炭化水素受容体アゴニストを産生する生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株。したがって、フラボノイド類、フェナジン類および/またはキノン類の合成に関与する生合成酵素を発現するか、またはコードする微生物が、宿主アリール炭化水素受容体アゴニストを産生する微生物として特定される。1つの態様において、前記生合成酵素には、例えば、フラボノイド類、フェナジン化合物またはキノン化合物を生成する最終生合成反応を触媒する経路内の最後の酵素が含まれる。
【0212】
いくつかの態様において、微生物コンソーシアムは、例えば、有益な効果を腸管バリア機能に対しておよび/または調節性T細胞プロセスの発達に対して有するプレグナンX受容体を刺激することができる化合物を産生する少なくとも1種の細菌種を含む。プレグナンX受容体を刺激する化合物の限定されない例には、(i)デスモラーゼ、(ii)ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ活性の化合物または中間体、あるいは(iii)フラボノイド代謝酵素に由来する化合物または中間体が含まれる。したがって、ステロイドデスモラーゼ酵素および/またはヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ酵素をコードし、発現する細菌は、プレグナンX受容体を刺激する化合物を産生することが予想される。クロストリジウム・サルジエンシスおよびクロストリジウム・シンデンスが、プレグナンX受容体を刺激することができる化合物を産生する細菌種の限定されない例である。
【0213】
いくつかの態様において、前記微生物コンソーシアムは、RAR関連オーファン受容体ガンマ(RORガンマ)経路を刺激して、例えば、直接的な刺激またはRORガンマ活性化経路を介する調節性T細胞応答の発達を、調節性T細胞応答を結果的には刺激する腸の抗原提示細胞および/または上皮細胞において刺激することができる化合物を産生する少なくとも1種の細菌種を含む。1つの態様において、RORガンマ(RAR関連オーファン受容体ガンマ)経路を刺激して、調節性T細胞応答の発達を刺激することができる、摂取された前駆体を代謝することによってまたは内因的に化合物を産生する前記生存可能かつ培養可能な嫌気性腸内細菌菌株は、ステロール化合物を代謝することができる少なくとも1つのコレステロールレダクターゼまたは他の酵素を発現する菌株である。RORガンマ経路を刺激する化合物を産生する微生物の限定されない例には、クロストリジウム・シンドデン、クロストリジウム・ヒラノンシスおよびクロストリジウム・サルジニエンシスが含まれる。一例において、そのような種は、RORガンマ経路アゴニストもまた産生させることができる胆汁酸変換酵素を発現する。
【0214】
いくつかの態様において、本明細書において記載される微生物コンソーシアムは、腸の機能を、例えば、宿主のムチン類および複雑な複合糖質を刺激し、保護的な共生菌株によるコロニー形成を改善することによって改善する。1つの態様において、前記微生物コンソーシアムは、宿主によるムチン類および複雑な複合糖質の産生を刺激する少なくとも1つの細菌菌株(例えば、バクテロイデス・テタイオタオミクロンなど)を含む。
【0215】
免疫調節: 食物アレルギーの処置のために有用である他の例示的な組成物は、免疫亜集団(例えば、T細胞亜集団、例えば、Treg)の割合を対象において変えることができる細菌菌株を含有する。
【0216】
例えば、免疫調節性細菌は、Treg細胞、Th17細胞、Th1細胞またはTh2細胞の割合を対象において増大させることができ、または低下させることができる。免疫細胞亜集団の割合における増大または低下は全身的であることが可能であり、あるいは、免疫細胞亜集団の割合における増大または低下を、例えば、胃腸管において、または遠位ディスバイオシスの部位において、コロニー形成したコンソーシアムの作用部位に限局化することができる。いくつかの態様において、免疫調節性細菌を含む微生物コンソーシアムが、対象における免疫細胞の亜集団の分化および/または拡大に対するプロバイオティック組成物の所望の効果に基づいて食物アレルギーを処置するために使用される。
【0217】
1つの態様において、前記微生物コンソーシアムは、Treg細胞の割合を対象において、または対象における特定の場所(例えば、腸組織)において増大させる免疫調節性細菌を含有する。1つの態様において、微生物コンソーシアムは、Th17細胞の割合を対象において増大させる免疫調節性細菌を含有する。別の態様において、微生物コンソーシアムは、Th17細胞の割合を対象において低下させる免疫調節性細菌を含有する。1つの態様において、微生物コンソーシアムは、Th1細胞の割合を対象において増大させる免疫調節性細菌を含有する。別の態様において、微生物コンソーシアムは、Th1細胞の割合を対象において低下させる免疫調節性細菌を含有する。1つの態様において、微生物コンソーシアムは、Th2細胞の割合を対象において増大させる免疫調節性細菌を含有する。別の態様において、微生物コンソーシアムは、Th2細胞の割合を対象において低下させる免疫調節性細菌を含有する。
【0218】
1つの態様において、微生物コンソーシアムは、Treg細胞、Th17細胞、Th1細胞、Th2細胞およびそれらの組合せのうちの1つまたは複数の割合を対象において調節することができる免疫調節性細菌を含有する。ある特定の免疫細胞プロファイルが、炎症性障害(例えば、食物アレルギーなど)の処置または防止を行うために特に望ましいと考えられ得る。例えば、いくつかの態様において、例えば、食物アレルギーの処置または防止を、Treg細胞およびTh2細胞の数を増大させ、かつ、Th17細胞およびTh1細胞の数を低下させることによって促進させることができる。したがって、食物アレルギーの処置または防止のための微生物コンソーシアムは、Treg細胞およびTh2細胞を増進させることができ、かつ、Th17およびTh1細胞を減少させることができる微生物コンソーシアムを含有することができる。
【0219】
1つの態様において、本明細書において記載される方法および組成物における嫌気性腸内細菌菌株は、抗原提示細胞、腸上皮細胞および/またはT細胞において、Toll様受容体(TLR)、CD14および/または脂質結合タンパク質に結合し、かつ、それらによって媒介される応答を調節して、調節性T細胞の発達を促進させることができるアゴニストを発現する。TLRアゴニストの限定されない例には、バクテロイデス属の共生するメンバーによって産生されるリポ多糖(LPS)、菌体外多糖(PSA)、ペプチドグリカンまたはCpGモチーフ、あるいは、クロストリジウム属のメンバーによって産生されるリポテイコ酸(LTA)が含まれる。1つの態様において、TLRアゴニストとして作用する嫌気性腸内細菌菌株が下記の表から選択される。
【0221】
胆汁酸変換: 一次胆汁酸(例えば、ヒトにおけるコール酸およびケノデオキシコール酸)が、主にアミノ酸のタウリンまたはグリシンとの抱合によって、ヒトを含めて哺乳動物の肝臓において生じ、胆汁中に分泌される。腸管において、一次胆汁酸が、これらの一次胆汁酸を二次胆汁酸に変換する微生物によって代謝される。一次胆汁酸の腸管微生物による変換には、脱抱合、グルクロン酸脱抱合、ヒドロキシル基の酸化、ヒドロキシル胆汁酸エピマーを生じさせるためのオキソ基の還元、エステル化および脱ヒドロキシル化が含まれ得る。一次胆汁酸の脱抱合を行う細菌の限定されない例には、バクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、クロストリジウム属およびラクトバチルス属が含まれる。一次胆汁酸の酸化およびエピマー化を行う細菌の限定されない例には、バクテロイデス属、クロストリジウム属、エゲルテラ属(Egghertella)、ユーバクテリウム属、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)およびルミノコッカス属(Ruminococcus)が含まれる。一次胆汁酸の7-脱ヒドロキシル化を行う細菌の限定されない例には、クロストリジウム属およびユーバクテリウム属が含まれる。一次胆汁酸のエステル化を行う細菌の限定されない例には、バクテロイデス属、ユーバクテリウム属およびラクトバチルス属が含まれる。
【0222】
1つの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムは、胆汁酸を脱抱合によって変換する少なくとも1種の構成細菌を含む。別の態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムは、胆汁酸を7-脱ヒドロキシル化によって変換する少なくとも1種の構成細菌を含む。別の態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムは、胆汁酸をエステル化によって変換する少なくとも1種の構成細菌を含む。
【0223】
1つの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムは、胆汁酸変換を行う少なくとも2種の構成細菌、少なくとも3種の構成細菌、少なくとも4種の構成細菌、少なくとも5種の構成細菌、少なくとも6種の構成細菌、少なくとも7種の構成細菌、少なくとも8種の構成細菌、少なくとも9種の構成細菌、少なくとも10種の構成細菌、少なくとも11種の構成細菌、またはそれ以上の構成細菌を含む。
【0224】
1つの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムは、胆汁酸変換、例えば、脱抱合、エステル化または7-脱ヒドロキシル化などを行う11種以下の構成細菌、10種以下の構成細菌、9種以下の構成細菌、8種以下の構成細菌、7種以下の構成細菌、6種以下の構成細菌、5種以下の構成細菌、4種以下の構成細菌、3種以下の構成細菌、2種以下の構成細菌、1種以下の構成細菌、または0種の構成細菌を含む。
【0225】
1つの態様において、微生物コンソーシアムは、胆汁酸変換の完全な補完を、単独でまたは組合せで行う、少なくとも1つの嫌気性腸内細菌菌株を含む。
【0226】
操作された微生物: いくつかの態様において、前記微生物コンソーシアムの1つまたは複数のメンバーは、操作された微生物を含む。例えば、操作された微生物には、(i)1つまたは複数の導入された遺伝子変化(ただし、そのような変化は、細菌染色体または内因性プラスミドに含有される1つまたは複数のヌクレオチドの挿入、欠失、転座もしくは置換またはそれらの任意の組合せであり、この場合、前記遺伝子変化は、1つまたは複数のタンパク質コード遺伝子、タンパク質非コード遺伝子、遺伝子調節領域またはそれらの任意の組合せの変更、破壊、除去または付加をもたらすことができ、加えて、そのような変化は2つ以上の別個のゲノム領域の融合であることが可能であり、または合成的に誘導されることが可能である);(ii)内因性遺伝子の変異コピー体を含有する1つまたは複数の外来プラスミド(ただし、そのような変異は、1つまたは複数のヌクレオチドの挿入、欠失もしくは置換またはそれらの任意の組合せである);および(iii)変異型もしくは非変異型の内因性遺伝子、または、2つ以上の内在性遺伝子、外因性遺伝子もしくは混合遺伝子の融合体を含有する1つまたは複数の外来プラスミドを有する微生物が含まれる。このような操作された微生物は、部位特異的変異誘発、トランスポゾン変異誘発、ノックアウト、ノックイン、ポリメラーゼ連鎖反応変異誘発、化学的変異誘発、紫外線変異誘発、形質転換(化学的またはエレクトロポレーションによる)、ファージ形質導入、またはそれらの任意の組合せ(これらに限定されない)を含めて様々な技術を使用して作製することができる。
【0227】
除外細菌: 1つの態様において、微生物コンソーシアムは、病原性生物または日和見性生物として従来分類されている生物を含まない。所与の分類学的群のすべてのメンバーによって共有される機能が、例えば、特定の代謝産物を提供するために有益であり得るかもしれず、それにもかかわらず、他の理由のために、当該群の1つまたは複数の特定のメンバーの全体的な影響が有益でないこと、例えば、病原性であることが起こり得る。明らかに、病理発生(例えば、急性胃腸病理)を引き起こす所与の分類学的群のメンバーは、本明細書において記載される治療的または防止的な方法および組成物から除外されることになる。
【0228】
1つの態様において、前記細菌組成物は、アシダミノコッカス・インテスチナリス(Acidaminococcus intestinalis)、大腸菌、ラクトバチルス・カセイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ラオルテラ属菌種(Raoultella sp.)およびストレプトコッカス・ミチス(Streptococcus mitis)のうちの少なくとも1つを含まない。
【0229】
別の態様において、前記細菌組成物は、バルネシエラ・インテスチニホミニス(Barnesiella intestinihominis);ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri);エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococus faecium)またはエンテロコッカス・デュランス(Enterococcus durans);アナエロスチペス・カッカエ(Anaerostipes caccae)またはクロストリジウム・インドリス(Clostridium indolis);スタフィロコッカス・ワメリ(Staphylococcus wameri)またはスタフィロコッカス・パステウリ(Staphylococcus pasteuri);およびアドレルクロイチア・エクオリファシエンス(Adlercreutzia equolifaciens)のうちの少なくとも1つを含まない。
【0230】
別の態様において、前記細菌組成物は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・カダベリス(Clostridium cadaveris)、クロストリジウム・チャウボエイ(Clostridium chauvoei)、クロストリジウム・クロストリジオホルメ(Clostridium clostridioforme)、クロストリジウム・コクレアリウム(Clostridium cochlearium)、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)、クロストリジウム・ヘモリチクム(Clostridium haemolyticum)、クロストリジウム・ハスチホルメ(Clostridium hastiforme)、クロストリジウム・ヒストリチクム(Clostridium histolyticum)、クロストリジウム・インドリス、クロストリジウム・イレグラレ(Clostridium irregulare)、クロストリジウム・リモスム(Clostridium limosum)、クロストリジウム・マレノミナツム(Clostridium malenominatum)、クロストリジウム・ノビイ(Clostridium novyi)、クロストリジウム・オロチクム(Clostridium oroticum)、クロストリジウム・パラプトリフィクム(Clostridium paraputrificum)、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・ピリホルメ(Clostridium piliforme)、クロストリジウム・プトレファシエンス(Clostridium putrefaciens)、クロストリジウム・プトリフィクム(Clostridium putrificum)、クロストリジウム・セプチクム(Clostridium septicum)、クロストリジウム・ソルデリイ(Clostridium sordellii)、クロストリジウム・スフェノイデス(Clostridium sphenoides)および破傷風菌(Clostridium tetani)のうちの少なくとも1つを含まない。
【0231】
別の態様において、前記細菌組成物は、大腸菌およびラクトバチルス・ジョンソニイのうちの少なくとも1つを含まない。
【0232】
別の態様において、前記細菌組成物は、クロストリジウム・イノクウム(Clostridium innocuum)、クロストリジウム・ブチリクム(Clostridium butyricum)、大腸菌およびブラウチア・プロズクタ(Blautia producta)(これは以前には、ペプトストレプトコッカス・プロズクツス(Peptostreptococcus productus)として知られていた)のうちの少なくとも1つを含まない。
【0233】
別の態様において、前記細菌組成物は、ユーバクテリウム門(Eubacteria)、フソバクテリウム門(Fusobacteria)、プロピオニバクテリア門(Propionibacteria)、大腸菌およびゲムミゲル属(Gemmiger)のうちの少なくとも1つを含まない。
【0234】
別の態様において、本明細書において記載される組成物は、病原性細菌、例えば、エルシニア属(Yersinia)、ビブリオ属(Vibrio)、トレポネマ属(Treponema)、連鎖球菌属(Streptococcus)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、シゲラ属(Shigella)、サルモネラ属(Salmonella)、リケッチア属(Rickettsia)、オリエンチア属(Orientia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ナイセリア属(Neisseria)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、リステリア属(Listeria)、レプトスピラ属(Leptospira)、レジオネラ属(Legionella)、クレブシエラ属、ヘリコバクター属(Helicobacter)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、フランシセラ属(Francisella)、大腸菌属、エールリキア属(Ehrlichia)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、コクシエラ属(Coxiella)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、クラミジア属(Chlamydia)、クラミドフィラ属(Chlamydophila)、カンピロバクター属(Campylobacter)、バークホルデリア属(Burkholderia)、ブルセラ属(Brucella)、ボレリア属(Borrelia)、ボルデテラ属(Bordetella)、バチルス属(Bacillus)、多剤耐性細菌、基質特異性拡張型ベータ-ラクタマーゼ耐性腸球菌(ESBL)、カルバペネム耐性エンテロバクター科(CRE)およびバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)などを含まない。
【0235】
他の態様において、本明細書において記載される組成物は、病原性の種または菌株、例えば、エロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、カンピロバクター・フェツス(Campylobacter fetus)、プレシオモナス・シゲロイデス(Plesiomonas shigelloides)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、ボツリヌス菌、クロストリジウム・ディフィシレ、クロストリジウム・ペルフリンゲンス、腸管凝集性大腸菌、腸管出血性大腸菌、腸管組織侵入性大腸菌、腸毒性大腸菌(例えば、LTおよび/またはSTなど、これらに限定されない)、大腸菌0157:H7、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、クレブシエリア・ニューモニエ(Klebsiellia pneumonia)、リステリア・モノサイトゲネス(Lysteria monocytogenes)、プレシオモナス・シゲロイデス、サルモネラ属菌種(Salmonella spp.)、チフス菌(Salmonella typhi)、パラチフス菌(Salmonella paratyphi)、シゲラ属菌種(Shigella spp.)、ブドウ球菌属菌種(Staphylococcus spp.)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、バンコマイシン耐性腸球菌属菌種、ビブリオ属菌種(Vibrio spp.)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリチクス(Vibrio parahaemolyticus)、ビブリオ・ブルニフィクス(Vibrio vulnificus)およびエルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)などを含まない。
【0236】
1つの態様において、前記微生物コンソーシアムおよびその組成物は、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、プロテウス・ミラビリス、エンテロバクター・クロアカおよび/またはビロフィラ・ワズウォルチアを含まない。
【0237】
病原性生物の減少: いくつかの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムを含む組成物は、ディスバイオシスに対する、あるいは対象となる1つまたは複数のGI病原体による感染症に対する保護効果または治療効果を提供する。1つの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムは、1つまたは複数のディスバイオティック細菌菌株または病原性細菌菌株のバイオマスを減少させる。
【0238】
1つの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムは、1つまたは複数のディスバイオティック細菌菌株または病原性細菌菌株のバイオマスを、そのような微生物コンソーシアムによる処置がない場合における前記1つまたは複数のディスバイオティック細菌菌株または病原性細菌菌株のバイオマスと比較して少なくとも10%低下させる。他の態様において、1つまたは複数の病原性細菌菌株のバイオマスが、前記微生物コンソーシアムまたはその組成物による処置に先立つ対象の腸における前記ディスバイオティック細菌菌株または病原性細菌菌株のバイオマスと比較して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または、それどころか100%(すなわち、アッセイの検出限界未満に)低下させられる。
【0239】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムは、1種または複数種のディスバイオティック生物または病原性生物の数、バイオマスまたは活性が少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または、それどころか100%(すなわち、アッセイの検出限界未満に))低下させられるように腸内環境を変化させる。ほんの一例として、バクテロイデス属のコロニー形成は、エンテロバクター科またはデスルホノビブリオ科におけるディスバイオティック種のバイオマスを低下させる。
【0240】
いくつかの態様において、前記病原性細菌が、エルシニア属、ビブリオ属、トレポネマ属、連鎖球菌属、ブドウ球菌属、大腸菌属/シゲラ属、サルモネラ属、リケッチア属、オリエンチア属、シュードモナス属、ナイセリア属、マイコプラズマ属、マイコバクテリウム属、リステリア属、レプトスピラ属、レジオネラ属、クレブシエラ属、ヘリコバクター属、ヘモフィルス属、フランシセラ属、大腸菌属、エールリキア属、エンテロコッカス属、コクシエラ属、コリネバクテリウム属、クロストリジウム属、クラミジア属、クラミドフィラ属、カンピロバクター属、バークホルデリア属、ブルセラ属、ボレリア属、ボルデテラ属、ビフィドバクテリウム属、バチルス属、ビロフィラ属、デスルホビブリオ属、多剤耐性細菌、基質特異性拡張型ベータ-ラクタマーゼ耐性腸球菌(ESBL)、カルバペネム耐性エンテロバクター科(CRE)およびバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)からなる群より選択される。
【0241】
いくつかの態様において、これらの病原体には、エロモナス・ヒドロフィラ、カンピロバクター・フェツス、プレシオモナス・シゲロイデス、バチルス・セレウス、カンピロバクター・ジェジュニ、ボツリヌス菌、クロストリジウム・ディフィシレ、クロストリジウム・ペルフリンゲンス、腸管凝集性大腸菌、腸管出血性大腸菌、腸管組織侵入性大腸菌、腸毒性大腸菌(例えば、LTおよび/またはSTなど、これらに限定されない)、大腸菌0157:H7、ヘリコバクター・ピロリ、クレブシエリア・ニューモニエ、リステリア・モノサイトゲネス、プレシオモナス・シゲロイデス、サルモネラ属菌種、チフス菌、パラチフス菌、シゲラ属菌種、ブドウ球菌属菌種、黄色ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌属菌種、ビブリオ属菌種、コレラ菌、ビブリオ・パラヘモリチクス、ビブリオ・ブルニフィクスおよびエルシニア・エンテロコリチカが含まれるが、これらに限定されない。
【0242】
1つの態様において、対象となる前記病原体は、クロストリジウム・ディフィシレ、サルモネラ属菌種、病原性大腸菌、バンコマイシン耐性腸球菌属菌種および基質特異性拡張型ベータ-ラクタマーゼ耐性腸球菌(ESBL)から選ばれる少なくとも1つの病原体である。
【0243】
1種または複数種のディスバイオティック生物または病原性生物の数、バイオマスまたは活性を減少させるための微生物組成物を含む組成物の効力を試験するための様々な方法が下記において論じられる。前記方法のいくつかが、C. ディフィシレの減少した数、バイオマスまたは活性をアッセイすることに関して下記において記載されるが、当業者は、1つまたは複数のさらなる微生物菌株の数、バイオマスまたは活性を測定するために前記方法を容易に適合化することができる。
【0244】
1つの態様において、前記細菌組成物またはそのサブセットと、C. ディフィシレまたは他のディスバイオティック菌株もしくは病原性菌株との間における競合を利用するインビトロアッセイが提供される。この試験は当技術分野において公知であり、そのようなものとして、本明細書においては詳しく記載されていない。
【0245】
別の態様において、10%(wt/vol)の無菌ろ過された便を利用するインビトロアッセイが提供される。このアッセイでは、前記微生物組成物の保護効果について試験が行われ、インビトロでのスクリーニングが、所与の病原性微生物またはディスバイオティック微生物の成長を阻害する微生物の組合せについて行われる。このアッセイは、自動化されたハイスループット様式または手動様式で操作することができる。どちらの系のもとでも、ヒトまたは動物の便を嫌気性緩衝液(例えば、予め還元されたPBSまたは他の好適な緩衝液など)に再懸濁することができ、微粒子を遠心分離によって除くことができ、ろ過滅菌することができる。この10%の無菌ろ過された便材料が、インビトロアッセイのための基礎培地として役立つ。細菌組成物を試験するために、研究者は当該細菌組成物を第1のインキュベーション期間にわたって前記無菌ろ過された便材料に加えることができ、その後、前記インキュベーションされた微生物溶液に、対象となる病原性微生物またはディスバイオティック微生物を第2のインキュベーション期間にわたって接種することができる。前記病原性微生物またはディスバイオティック微生物の得られた力価が、多くの方法によって、例えば、下記で記される方法などによって定量化され、病原体の量における変化が、前記細菌組成物の非存在下で培養された前記病原性微生物またはディスバイオティック微生物を含む標準対照に対して比較される。このアッセイは、少なくとも1つの対照を使用して行われる。健康者から得られる便を陽性対照として使用することができる。陰性対照として、抗生物質処置後の便または熱処理後の便を使用することができる。様々な細菌組成物をこの材料において試験することができ、当該細菌組成物は、任意で陽性対照および/または陰性対照と比較することができる。病原性微生物またはディスバイオティック微生物の成長を阻害し得ることを、前記インキュベーションされた材料を選択培地にプレーティングし、コロニーを計数することによって測定することができる。前記細菌組成物と、前記病原性微生物またはディスバイオティック微生物との間における競合の後、インビトロアッセイプレートのそれぞれのウエルが6回にわたって10倍連続希釈され、選択培地にプレーティングされる。クロストリジウム・ディフィシレについては、これは、例えば、シクロセリン・セフォキシチン・マンニトール寒天(CCMA)またはシクロセリン・セフォキシチン・フルクトース寒天(CCFA)を含み、インキュベーションされるであろう。その後、前記病原性微生物またはディスバイオティック微生物のコロニーが、競合終了時のそれぞれのウエルにおける生細胞の濃度を計算するために計数される。
【0246】
代替において、病原性種またはディスバイオティック種の成長を阻害し得ることを、定量的PCR(qPCR)によって測定することができる。標準的な技術に従って、対象となる病原性菌株またはディスバイオティック菌株についての標準曲線を作成することができる。ゲノムDNAを、市販のキット(例えば、Mo Bio Powersoil(登録商標)-htp 96ウエル土壌DNA単離キット(Mo Bio Laboratories、Carlsbad、Calif)、Mo Bio Powersoil(登録商標)DNA単離キット(Mo Bio Laboratories、Carlsbad、Calif)、またはQIAamp DNA便ミニキット(QIAGEN、Valencia、Calif)など)を製造者の説明書に従って使用してサンプルから抽出することができる。qPCRを、HotMasterMix(5PRIME、Gaithersburg、Md.)と、対象となる病原性微生物またはディスバイオティック微生物について特異的なプライマーとを使用して実施することができ、また、バーコードを伴うMicro Amp(登録商標)Fast Optical 96ウエル反応プレート(0.1mL)で実施することができ(Life Technologies、Grand Island、N.Y.)、また、FAMチャネルおよびROXチャネルの蛍光読み取りとともに、CFX96(商標)リアルタイムシステムを備えるBioRad C1000(商標)サーマルサイクラー(BioRad、Hercules、Calif)で実施することができる。FAMチャネルでのそれぞれのウエルについてのCq値が、CFX Manager(商標)ソフトウェア(バージョン2.1)によって求められる。それぞれの実験サンプルのlog
10(cfu/ml)が、標準曲線用ウエルのCq値をそれらのサンプルの既知log
10(cfu/ml)と比較する標準曲線から得られる線形回帰モデルに所与サンプルのCq値を入力することによって計算される。当業者は代替のqPCR様式を用いることができる。
【0247】
また、細菌組成物の保護効果を立証するインビボアッセイもまた提供される。このアッセイが、クロストリジウム・ディフィシレに対する保護効果に関して記載され、しかし、他の病原体またはディスバイオティック種について当業者によって適合化され得る。C. ディフィシレに対する前記細菌組成物の保護効果について試験するためのインビボマウスモデルが提供される。このモデル(これは、Chen, et al., Gastroenterology 135(6):1984-1992(2008)に基づく)において、マウスが、5種〜7種の抗生物質(カナマイシン、コリスチン、ゲンタマイシン、メトロニダゾールおよびバンコマイシンを含み、任意でアンピシリンおよびシプロフロキサシンを含んでもよい)がそれらの飲料水を介して送達される7日間の処置(実験の12日前から5日前まで)、続いて、3日前でのクリンダマイシンによる単回用量によってクロストリジウム・ディフィシレに対して感受性とされ、その後、0日目での3日後において、経口強制投与(すなわち、経口胃灌流)を介してC. ディフィシレの10
4個の胞子により抗原刺激される。細菌組成物を、C. ディフィシレ強制投与の前に(予防的処置)、またはC. ディフィシレ強制投与の後に(治療的処置)、そのどちらかで与えることができる。さらに、細菌組成物を、再発を防止し、したがって、前記病原体をインビボで抑制するその能力を評価するために、(必要に応じた)バンコマイシン処置の後で与えることができる。1日前から6日目(または再発防止についてはそれ以降)まで毎日評価されるアウトカムは、体重、臨床徴候、死亡率、および便におけるC. ディフィシレの排出である。体重減少、疾患の臨床徴候、およびC. ディフィシレの排出が、典型的には、処置がない場合に認められる。1日前から4日目まで経口強制投与によって与えられるバンコマイシンは、これらのアウトカムからの保護をもたらし、陽性対照として役立つ。臨床徴候は主観的であり、経験のある同一観察者によって毎日スコア化される。その体重の25%以上を失う動物は安楽死させられ、感染関連死亡として計数される。マウスケージ(ケージあたり5匹のマウス)から便が毎日集められ、C. ディフィシレの胞子の排出が、上記のインビトロアッセイについて記載されるような選択的プレーティングアッセイを使用して、または毒素遺伝子についてのqPCRにより便において検出される。ヒト便(陽性対照として)、細菌組成物、またはPBS(陰性ビヒクル対照として)の10%懸濁物を含む試験物質の効果が、試験品を0.2mLの体積で前記マウスに経口強制投与により導入することによって、1日前、すなわち、C. ディフィシレによる抗原刺激の1日前に、処置として1日目、2日目および3日目に、または、バンコマイシン処置後では5日目、6日目、7日目および8日目に求められる。上記で論じられたように、バンコマイシンが別の陽性対照として1日目から4日目まで与えられる。代替の服用スケジュールおよび投与経路(例えば、直腸)が、試験品の多数回の用量を含めて用いられる場合があり、また、10
3個〜10
13個の所与の生物または組成物が送達される場合がある。
【0248】
有益な生物の増強: いくつかの態様において、微生物コンソーシアムを含む組成物は、有益な生物をGI管において増強するという治療的効果をもたらす。1つの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムは、1つまたは複数の有益な細菌菌株のバイオマスを少なくとも10%増大させる。他の態様において、1つまたは複数の有益な細菌菌株のバイオマスが、前記微生物コンソーシアムまたはその組成物による処置の前の対象の腸管における当該有益な細菌菌株のバイオマスを超えて少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍、少なくとも5,000倍、少なくとも10,000倍、少なくとも15,000倍、または少なくとも20,000倍増大させられる。1つの態様において、前記有益な生物は、腸管に現在、常在または存在する共生細菌菌株である。別の態様において、前記有益な生物は、前記微生物コンソーシアム自体における有益な細菌菌株の1つまたは複数である。
【0249】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムは、1種または複数種の有益な生物の数、バイオマスまたは活性が少なくとも10%(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍、少なくとも5000倍、少なくとも10,000倍、少なくとも15,000倍、または少なくとも20,000倍)増大させられるように腸内環境を変化させる。例えば、前記微生物コンソーシアムはムチン類および複雑な複合糖質の宿主産生を刺激して、腸管バリア機能および有益な生物のコロニー形成、さらなるプロバイオティック組成物、または前記微生物コンソーシアム自体を改善する。いくつかの態様において、有益な生物のバイオマスおよび/または活性を増強するための前記微生物組成物は、例えば、バクテロイデス・テタイオタオミクロンを含み、これにより、他のバクテロイデス門およびクロストリジウム目によるコロニー形成が増強される。いくつかの態様において、前記微生物コンソーシアムは、腸内pH、酸素分圧の低下、グリコシダーゼの分泌に影響を与え、腸管内腔の還元電位を改善して、有益な生物のコロニー形成を改善する。
【0250】
別の態様において、前記有益な種はクロストリジウム属菌種を含み、例えば、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスムまたはクロストリジウム・スポロスフェロイデスなどを含む。
【0251】
細菌および細菌コンソーシアムの特徴づけ
ある特定の態様において、様々な方法が、微生物コンソーシアムを含む組成物のある特定の特徴を試験するために提供される。例えば、ある特定の環境変数に対する細菌組成物の感受性が、例えば、特定の望ましい特徴について所与の組成物、配合物および/または使用において選択するために明らかにされる。例えば、前記組成物の構成細菌を、構成細菌ごとに個々に、または(この節では微生物コンソーシアムとして総称される)多数の構成細菌から構成される細菌組成物としてまとめてそのどちらであっても、pH耐性、胆汁酸耐性、および/または抗生物質感受性について試験することができる。
【0252】
pH感受性試験: 薬学的組成物が、結腸または直腸の他に投与されるであろうならば(すなわち、例えば、経口経路)、pH耐性についての試験を必要に応じて行うことにより、GI管または尿生殖路の異なった領域の様々なpH環境を通過して可能な限り高い収量で生き延びるであろう微生物または治療用組成物の選択が高まる。細菌組成物がGI管または尿生殖路のpHに対してどのように反応するかを理解することはまた、配合を助けるので、投薬形態物における微生物の数を、有益であれば増大させることができ、かつ/あるいは、前記組成物を腸溶性被覆されたカプセルもしくは錠剤において、または緩衝剤もしくは保護的組成物とともに投与することができる。
【0253】
胃のpHは、高タンパク質食の後では、生理的機構により胃のpHがpH3〜4に調節される前の短期間にわたってpH1〜2に低下する可能性があり、また、多くの場合にはpH4〜5の安静時pHで存在するので、加えて、小腸のpHはpH6からpH7.4にまで及び得るので、これらの様々なpH範囲を生き延びる細菌組成物を調製することができる(この場合、具体的には、細菌の少なくとも1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%もの多くが、様々なpH範囲を通り抜ける腸通過時間を生き延びることができる)。これを、細菌組成物を、それらのpH範囲を通り抜ける予想された腸通過時間にわたって様々なpH範囲に曝すことによって試験することができる。したがって、限定されない一例にすぎないが、1種または複数種の細菌種または細菌菌株を含む組成物の18時間培養物を標準的な培地において、例えば腸内細菌叢培地(「GMM」、Goodman et al., PNAS 108(15):6252-6257(2011)を参照のこと)、または、別の動物産物非含有培地などにおいて成長させることができ、この場合、pH調節剤が、pH1〜2については30分間にわたって、pH3〜4については1時間にわたって、pH4〜5については1〜2時間にわたって、そしてpH6〜7.4については2.5〜3時間にわたって、加えられる。酸に対する安定性を試験するための代替方法が、例えば、米国特許第4,839,281号に記載される。細菌の生存を、当該細菌を培養し、適切な選択培地または非選択培地でのコロニーを計数することによって求めることができる。
【0254】
胆汁酸感受性試験: 加えて、いくつかの態様において、胆汁酸耐性について試験することにより、GI管通過時における胆汁酸に対する曝露を生き延びるであろう微生物または治療用組成物の選択が高まる。胆汁酸が小腸内に分泌され、pHのように細菌組成物の生存に影響を及ぼし得る。これを、組成物を胆汁酸に対する予想された腸内曝露時間にわたって胆汁酸に曝すことによって試験することができる。例えば、胆汁酸溶液を、pHが9である0.05 mM Trisを溶媒として使用して所望の濃度で調製することができる。胆汁酸を溶解させた後、溶液のpHを、10% HClにより7.2に調節することができる。治療用組成物の成分細菌を、患者における胆汁酸の濃度およびタイプを模倣する2.2mlの胆汁酸組成物、1.0mlの10%無菌ろ過された便培地、および0.1mlの所与細菌菌株の18時間培養物において培養することができる。インキュベーションを2.5時間〜3時間またはそれ以上にわたって行うことができる。胆汁酸に対する安定性を試験するための代替方法が、例えば、米国特許第4,839,281号に記載される。細菌の生存を、当該細菌を培養し、適切な選択培地または非選択培地でのコロニーを計数することによって求めることができる。
【0255】
抗生物質感受性試験: 必要に応じたさらなる感受性試験として、前記微生物組成物の成分細菌を抗生物質に対する感受性について試験することができる。1つの態様において、成分細菌を、抗生物質に対して感受性であるように選定し、その結果、必要ならば、成分細菌が、前記細菌組成物を標的とする少なくとも1つの抗生物質によって患者の胃腸管から排除され得るように、または実質的に減少させられ得るようにすることができる。
【0256】
胃腸細胞への付着: 前記組成物は任意で、胃腸細胞への付着能について試験することができる。胃腸細胞への付着を試験するための方法が、例えば、米国特許第4,839,281号に記載される。
【0257】
免疫調節性細菌の特定: いくつかの態様において、免疫調節性細菌が、胞子形成を調節する核酸配列の存在によって特定される。特に、シグネチャーとなる胞子形成遺伝子は、クロストリジウム属およびバチルス属を含む遠縁の属の様々なメンバーの間で高度に保存されている。順遺伝学(forward genetics)の従来的アプローチにより、胞子形成に不可欠である遺伝子(spo)が、すべてでないにしても、多く特定されている。胞子形成の発生プログラムが部分的には、(σF、σE、σGおよびσKの順で出現する)4つの区画特異的なシグマ因子の連続した作用によって支配されており、この場合、それらの活性は前胞子(σFおよびσG)または母細胞(σEおよびσK)に限定されている。他の態様において、免疫調節性細菌が、DPA産生酵素の生化学的活性によって、または培養物のDPA含有量を分析することによって特定される。細菌の胞子形成の一部として、大量のDPAが産生され、胞子の質量の5%〜15%を構成する。すべての生育可能な胞子が公知の培地条件のもとで発芽し、成長するとは限らないので、総胞子数を細菌集団において評価することは困難である。そのようなものとして、DPA含有量の測定値は胞子含有量と非常に相関しており、総胞子含有量を細菌集団において特徴づけるための適切な尺度である。
【0258】
他の態様において、免疫調節性細菌が、細菌をスクリーニングして、当該細菌が宿主細胞による炎症促進性サイトカインまたは抗炎症性サイトカインの分泌を誘導するかどうかを明らかにすることによって特定される。例えば、サイトカインを分泌することができるヒト細胞または哺乳動物細胞、例えば、免疫細胞(例えば、PBMC、マクロファージ、T細胞など)を候補の免疫調節性細菌または候補の免疫調節性細菌の培養物から得られる上清に曝すことができ、サイトカインの発現または分泌における変化を、標準的な技術を使用して、例えば、ELISA、免疫ブロット、Luminex(商標)、抗体アレイ、定量的PCR、マイクロアレイなどを使用して測定することができる。所望のサイトカインプロファイルをヒト細胞または哺乳動物細胞において誘導する能力に基づいて、微生物コンソーシアムに含めるために細菌を選択することができる。例えば、抗炎症性細菌を、1つもしくは複数の抗炎症性サイトカインの分泌を誘導する能力、および/または、1つもしくは複数の炎症促進性サイトカインの分泌を低下させる能力に基づいて、微生物コンソーシアムまたはその組成物における包含(または代替では除外)のために選択することができる。抗炎症性サイトカインには、例えば、IL-10、IL-13、IL-9、IL-4、IL-5、およびそれらの組合せが含まれる。他の炎症性サイトカインには、例えば、TGFβが含まれる。炎症促進性サイトカインには、例えば、IFNγ、IL-12p70、IL-1α、IL-6、IL-8、MCP1、MIP1α、MIP1β、TNFα、およびそれらの組合せが含まれる。いくつかの態様において、抗炎症性細菌を、異なるタイプの細菌(例えば、異なる種に由来する細菌、または同じ種の異なる菌株に由来する細菌)によって誘導される宿主細胞による1つもしくは複数の抗炎症性サイトカインの分泌を調節する能力、および/または、1つもしくは複数の炎症促進性サイトカインの分泌を低下させる能力に基づいて、微生物コンソーシアムに含めるために選択することができる。
【0259】
他の態様において、免疫調節性細菌が、細菌をスクリーニングして、当該細菌が免疫細胞の特定の亜集団の分化および/または拡大に影響を及ぼすかどうかを明らかにすることによって特定される。例えば、候補の細菌を、Treg細胞、Th17細胞、Th1細胞および/またはTh2細胞の、前駆体細胞(例えば、ナイーブT細胞)からの分化および/または拡大を促進させる能力についてスクリーニングすることができる。例として、ナイーブT細胞を候補細菌または候補細菌の培養物から得られる上清の存在下で培養することができ、Treg細胞、Th17細胞、Th1細胞および/またはTh2細胞の数を、標準的な技術を使用して、例えば、FACS分析などを使用して求めることができる。Treg細胞であることを示すマーカーには、例えば、CD25
+CD127
loが含まれる。Th17細胞であることを示すマーカーには、例えば、CXCR3
-CCR6
+が含まれる。Th1細胞であることを示すマーカーには、例えば、CD4
+、CXCR3
+、およびCCR6
-が含まれる。Th2細胞であることを示すマーカーには、例えば、CD4
+、CCR4
+、およびCXCR3
-、CCR6
-が含まれる。特定のT細胞亜集団であることを示す他のマーカーが当技術分野において公知であり、例えば、候補の免疫調節性細菌によって影響を受ける免疫細胞の集団を特定するために、本明細書において記載されるアッセイにおいて使用される場合がある。細菌を、所望の免疫細胞亜集団の分化および/または拡大を促進させる能力に基づいて、微生物コンソーシアムにおける包含(または除外)のために選択することができる。
【0260】
他の態様において、免疫調節性細菌が、細菌をスクリーニングして、当該細菌が短鎖脂肪酸(SCFA)(例えば、酪酸、酢酸、プロピオン酸または吉草酸、あるいはそれらの組合せなど)を分泌するかどうかを明らかにすることによって特定される。例えば、短鎖脂肪酸の細菌上清への分泌を、標準的な技術を使用して測定することができる。1つの態様において、細菌上清をスクリーニングして、1種または複数種の短鎖脂肪酸のレベルを、NMR、質量分析法(例えば、GC-MS、タンデム質量分析法、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化など)、ELISAまたは免疫ブロットを使用して測定することができる。短鎖脂肪酸の産生を担う細菌遺伝子の発現もまた、標準的な技術によって、例えば、ノーザンブロット、マイクロアレイまたは定量的PCRなどによって明らかにすることができる。
【0261】
例示的な最小の微生物コンソーシアム: 様々な最小の微生物コンソーシアムが本明細書において実施例の節で示されており、これらは食物アレルギーの存在する症状を防止および/または処置することができる。これらの例示的な最小の微生物コンソーシアムは限定として解釈してはならず、本明細書において記載される方法および組成物のより良い理解のためにだけ意図される。
【0262】
1つの態様において、最小の微生物コンソーシアムは、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスから本質的になる。
【0263】
1つの態様において、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスから本質的になる最小の微生物コンソーシアムが、食物に対する存在するアレルギー反応の防止および/または処置において使用される。
【0264】
1つの態様において、最小の微生物コンソーシアムは、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエから本質的になる。
【0265】
1つの態様において、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエから本質的になる最小の微生物コンソーシアムが、食物に対する存在するアレルギー反応を処置するために使用される。
【0266】
この文脈における「から本質的になる」によって、別の微生物を加えることにより、本明細書において記載および定義されるようなアレルギーの処置または防止が改善されないならば、その微生物は保護効果または治療効果にとって必須でないことが意味される。
【0267】
プレバイオティック
プレバイオティックは、宿主の安寧および健康に対する中立的または肯定的な利益を与える、胃腸微生物叢における組成および活性の両方/あるいは組成または活性での特異的な変化を可能にする選択的発酵成分である。プレバイオティックには、細菌組成物の生存、コロニー形成および持続性のために有用である複合炭水化物、アミノ酸、ペプチドまたは他の栄養成分が含まれ得る。プレバイオティックには、アミノ酸、ビオチン、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イヌリン、ラクツロース、マンナンオリゴ糖、オリゴフルクトース富化イヌリン、オリゴフルクトース、オリゴデキストロース、タガトース、trans-ガラクトオリゴ糖およびキシロオリゴ糖が含まれるが、これらに限定されない。
【0268】
好適なプレバイオティックは通常、植物由来の複合炭水化物、オリゴ糖または多糖である。一般に、プレバイオティックはヒトによって消化できないか、または完全には消化されず、細菌のための食物源として役立つ。本明細書において提供される薬学的投薬形態物および薬学的組成物において使用され得る場合、プレバイオティックには、限定されないが、ガラクトオリゴ糖(GOS)、trans-ガラクトオリゴ糖、フルクトオリゴ糖またはオリゴフルクトース(FOS)、イヌリン、オリゴフルクトース富化イヌリン、ラクツロース、アラビノキシラン、キシロオリゴ糖(XOS)、マンノオリゴ糖、グアーガム、アラビアゴム、タガトース、アミロース、アミロペクチン、キシランおよびペクチンなど、ならびにそれらの組合せが含まれる。様々なプレバイオティックが、ある特定の食物において、例えば、チコリの根、キクイモ、タンポポの若葉、ニンニク、リーキ、タマネギ、アスパラガス、小麦ふすま、小麦粉、バナナ、ミルク、ヨーグルト、ソルガム、ゴボウ、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、カリフラワー、コラードの若葉、ケール、ハツカダイコンおよびルタバガ、ならびに味噌において見出され得る。代替において、プレバイオティックを精製することができ、あるいは化学的または酵素的に合成することができる。
【0269】
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つのプレバイオティックを含む。1つの態様において、前記プレバイオティックは炭水化物である。いくつかの態様において、組成物は、少なくとも1つの炭水化物を含むプレバイオティック混合物を含む。「炭水化物」は、糖または糖のポリマーを示す。用語「糖類」、用語「多糖」、用語「炭水化物」および用語「オリゴ糖」は、交換可能に使用することができる。ほとんどの炭水化物が、多くのヒドロキシル基を有するアルデヒドまたはケトンである(通常の場合、1つのヒドロキシル基が分子の各炭素原子に存在する)。炭水化物は一般には、(CH
2O)nの分子式を有する。炭水化物は、単糖、二糖、三糖、オリゴ糖または多糖であることが可能である。最も基本的な炭水化物が単糖である(例えば、グルコース、スクロース、ガラクトース、マンノース、リボース、アラビノース、キシロースおよびフルクトースなど)。二糖は、2つの結合した単糖である。例示的な二糖には、スクロース、マルトース、セロビオースおよびラクトースが含まれる。典型的には、オリゴ糖は3個〜6個の間の単糖ユニットを含み(例えば、ラフィノース、スタキオース)、多糖は6個以上の単糖ユニット含む。例示的な多糖には、デンプン、グリコーゲンおよびセルロースが含まれる。炭水化物は、修飾された糖類ユニットを含有することができる(例えば、ヒドロキシル基が除去された2’-デオキシリボース、ヒドロキシル基がフッ素により置換された2’-フルオロリボース、またはN-アセチルグルコサミン、グルコースの窒素含有形態など)(例えば、2’-フルオロリボース、デオキシリボースおよびヘキソース)。炭水化物は多くの異なる形態で存在することができ、例えば、配座異性体、環状形態、非環状形態、立体異性体、互変異性体、アノマーおよび異性体で存在することができる。炭水化物は天然の供給源(例えば、植物または微生物の供給源)から精製することができ(すなわち、炭水化物は酵素的に合成されている)、あるいは化学的に合成または修飾することができる。
【0270】
好適なプレバイオティック炭水化物は、炭水化物、炭水化物モノマー、炭水化物オリゴマーまたは炭水化物ポリマーの1つまたは複数を含むことができる。ある特定の態様において、薬学的組成物または投薬形態物は、少なくとも1つのタイプの微生物と、少なくとも1つのタイプの非消化性の糖類(これには、非消化性の単糖、非消化性のオリゴ糖、または非消化性の多糖が含まれる)とを含む。1つの態様において、オリゴ糖または多糖の糖ユニットは、ただ1つだけの直鎖で連結されることが可能であり、あるいは、1つまたは複数の側鎖を有する鎖であることが可能である。オリゴ糖または多糖の長さは供給源ごとに異なり得る。1つの態様において、少量のグルコースもまた、鎖に含有され得る。別の態様において、プレバイオティック組成物は部分加水分解されることが可能であり、または一次オリゴ糖の成分である個々の糖部分を含有することができる(例えば、米国特許第8,486,668号を参照のこと)。
【0271】
プレバイオティック炭水化物には、単糖(例えば、トリオース、テトロース、ペントース、アルドペントース、ケトペントース、ヘキソース、環状ヘミアセタール、ケトヘキソース、ヘプトース)およびそれらの多量体、同様にまた、それらのエピマー、環状異性体、立体異性体およびアノマーが含まれ得るが、これらに限定されない。単糖の限定されない例には、(L-立体配座またはD-立体配座のどちらにおいてであっても)グリセロアルデヒド、トレオース、リボース、アルトロース、グルコース、マンノース、タロース、ガラクトース、グロース、イドース、リキソース、アラバノース(arabanose)、キシロース、アロース、エリトロース、エリトルロース、タガロース(tagalose)、ソルボース、リブロース、プシコース、キシルロース、フルクトース、ジヒドロキシアセトン、およびそれらの環状(アルファまたはベータ)形態が含まれる。それらの多量体(二糖、三糖、オリゴ糖、多糖)には、スクロース、ラクトース、マルトース、ラクツロース、トレハロース、セロビオース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオボイス(gentioboise)、ツラノース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース(gentiobiulose)、マンノビオース、メリビウロース、ルチノース、ルチヌロース(rutinulose)、キシロビオース、プリメベロース(primeverose)、アミロース、アミロペクチン、デンプン(難消化性デンプンを含む)、キチン、セルロース、寒天、アガロース、キシラン、グリコーゲン、細菌多糖(例えば、莢膜多糖、LPSおよびペプチドグリカンなど)、およびバイオフィルム菌体外多糖(例えば、アルギン酸、EPS)、N-結合型グリカン、およびO-結合型グリカンが含まれるが、これらに限定されない。プレバイオティック糖は修飾することができ、炭水化物誘導体には、アミノ糖(例えば、シアル酸、N-アセチルグルコサミン、ガラクトサミン)、デオキシ糖(例えば、ラムノース、フコース、デオキシリボース)、糖リン酸、グリコシルアミン、糖アルコール、および酸性糖(例えば、グルクロン酸、アスコルビン酸)が含まれる。
【0272】
1つの態様において、薬学的組成物のプレバイオティック炭水化物成分は、1つまたは複数の非消化性糖類から本質的になる。
【0273】
1つの態様において、薬学的組成物のプレバイオティック炭水化物成分は、結腸の共生微生物叢(これは、健康状態のミクロビオームに関連する微生物を含むか、または、患者が自己免疫状態もしくは炎症状態を発症することの低い危険性をもたらす)が整然と維持されることを可能にする。1つの態様において、プレバイオティック炭水化物は、同時投与または共配合された微生物(1種または複数種の微生物)が哺乳動物対象において生着し、成長し、かつ/または整然と維持されることを可能にする。いくつかの態様において、前記哺乳動物対象はヒト対象であり、例えば、食物アレルギーを有するか、または食物アレルギーを有すると疑われるヒト対象である。
【0274】
いくつかの態様において、前記プレバイオティックは、投与された微生物の成長に有利であり、この場合、当該投与された微生物の成長および/または当該投与された微生物による前記投与されたプレバイオティックの発酵により、病原体または病原性共生体の成長が遅くなり、または低減される。例えば、FOS、ネオシュガー(neosugar)またはイヌリンは、結腸における酸産生細菌(例えば、ラクトバチルス属またはビフィドバクテリウム属に属する細菌など)の成長を促進させ、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)およびビフィドバクテリウム・ビフィズス(Bifidobacterium bifidus)は、結腸における病原性細菌の数を減少させることにおいて役割を果たすことができる(例えば、米国特許第8,486,668号を参照のこと)。他のポリマー、例えば、様々なガラクタン、ラクツロースおよび炭水化物系ガム(例えば、オオバコ(psyllium)、グアー、カラギーナン、ゲラン(gellan)およびコンニャク(konjac)など)などもまた、胃腸(GI)の健康状態を改善することが知られている。
【0275】
いくつかの態様において、前記プレバイオティックは、GOS、ラクツロース、ラフィノース、スタキオース、ラクトスクロース、FOS(すなわち、オリゴフルクトースまたはオリゴフルクタン)、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、トランスガラクトシル化オリゴ糖(すなわち、トランスガラクト-オリゴ糖)、トランスガラクトシラート二糖、ダイズオリゴ糖(すなわち、ソーヤオリゴ糖)、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、ペプチクオリゴ糖(pecticoligosaccharide)、パラチノース重縮合物、ジフルクトース無水物III、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、ポリオール、ポリデキストロース、還元型パラチノース、セルロース、β-グルコース、β-ガラクトース、β-フルクトース、ベルバスコース、ガラクチノール、およびβ-グルカン、グアーガム、ペクチン、ハイ(high)、アルギン酸ナトリウム、およびラムダカラギーナン、またはそれらの混合物の1つまたは複数を含む。前記GOSは、短鎖GOS、長鎖GOS、またはそれらの任意の組合せである場合がある。前記FOSは、短鎖FOS、長鎖FOS、またはそれらの任意の組合せであることが可能である。
【0276】
いくつかの態様において、プレバイオティック組成物は、2つの炭水化物種(限定されない例がGOSおよびFOSである)を、少なくとも1:1、少なくとも2:1、少なくとも5:1、少なくとも9:1、少なくとも10:1、約20:1、または少なくとも20:1の混合物で含む。
【0277】
いくつかの態様において、前記プレバイオティックは、1つまたは複数の非消化性オリゴ糖、非消化性多糖、遊離単糖、非消化性糖類、デンプンまたは非デンプン多糖の混合物を含む。
【0278】
オリゴ糖は一般には、還元性末端における糖類が実際に還元性の糖であるか否かにかかわらず、還元性末端および非還元性末端を有すると考えられる。本明細書において記載されるほとんどのオリゴ糖が、非還元性糖質についての名称または略号(例えば、GalまたはD-Gal)(この前または後には、グリコシド結合の立体配置(αまたはβ)が伴う)、環結合、当該結合に関与する還元性糖類の環位置、その次に、還元性糖類の名称または略号(例えば、GlcまたはD-Glc)を伴って記載される。2つの糖ユニットの間における連結(例えば、グリコシド結合、ガラクトシド結合、グルコシド結合)は、例えば、1,4、1→4、または(1-4)として表すことができる。
【0279】
FOSおよびGOSの両方が非消化性糖類である。糖類(例えば、FOSおよびGOS(これらに限定されない)において見出される糖類など)のβグリコシド結合により、これらのプレバイオティックは大部分、主に胃および小腸において非消化性かつ非吸収性になり、加えて、α結合したGOS(α-GOS)はまた、ヒト唾液のアミラーゼによって加水分解されず、しかし、ビフィドバクテリウム・ビフィズムおよびクロストリジウム・ブチリクムによって使用され得る(Yamashita A. et al, 2004. J.Appl.Glycosci. 51:115-122)。FOSおよびGOSは、共生微生物と薬学的組成物の一部として投与される共生微生物が当該オリゴ糖を代謝することができる場合を除いて、大部分が無傷で小腸を通過して、大腸(結腸)に入ることができる。
【0280】
GOS(これはまた、ガラクト-オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、trans-スオリゴ糖(TOS)、trans-ガラクト-オリゴ糖(TGOS)およびtrans-ガラクトオリゴ糖として公知である)は、末端が主にグルコース分子であり、またはときには末端がガラクトース分子であり、かつ、様々な程度の重合度(一般に、DPは2〜20の間である)およびタイプの連結を有するガラクトース分子のオリゴマーまたはポリマーである。1つの態様において、GOSはガラクトース分子およびグルコース分子を含む。別の態様において、GOSはガラクトース分子のみを含む。さらなる態様において、GOSは、[β-D-Gal-(1-6)]
n-β-D-Gal-(1-4)-D-Glc(式中、nは2〜20である)の形態のガラクトース含有オリゴ糖である。別の態様において、GOSは、Glc α1-4-[β Gal 1-6)]
n(式中、n=2〜20)の形態のガラクトース含有オリゴ糖である。別の態様において、GOSは、α-D-Glc(1-4)-[β-D-Gal-(1-6)-]
n(式中、n=2〜20)の形態である。Galはガラクトピラノースユニットであり、Glc(またはGlu)はグルコピラノースユニットである。
【0281】
1つの態様において、プレバイオティック組成物はGOS関連化合物を含む。GOS関連化合物は下記の特性を有し得る:(a)「ラクトース」部分;例えば、gal-glu部分と、任意の重合価または連結タイプとを有するGOS;または(b)ヒト胃腸管における「ラクトース発酵」微生物に対して刺激性である;例えば、ラフィノース(gal-fru-glu)は、乳酸桿菌およびビフィズス菌の両方に対して刺激性である「関連した」GOS化合物である。
【0282】
GOSおよび他のオリゴ糖において見出される個々の糖ユニットの間における連結には、β-(1-6)結合、β-(1-4)結合、β-(1-3)結合およびβ-(1-2)結合が含まれる。1つの態様において、投与されたオリゴ糖(例えば、GOS)は分枝型糖類である。別の態様において、投与されたオリゴ糖(例えば、GOS)は直鎖型糖類である。
【0283】
アルファ-GOS(これはまた、アルファ結合GOSまたはアルファ結合型GOSと呼ばれる)は、アルファ-ガラクトピラノシル基を有するオリゴ糖である。アルファ-GOSは、少なくとも1つのアルファグリコシド結合を糖類ユニット間に含む。アルファ-GOSは一般には、α-(Gal)
n(nは通常、2〜10の整数を表す)またはα-(Gal)
nGlc(nは通常、1〜9の整数を表す)によって表される。例には、α-ガラクトシルグルコース、α-ガラクトビオース、α-ガラクトトリオース、α-ガラクトテトラオースおよび高次オリゴ糖の混合物が含まれる。さらなる限定されない例には、メリビオース、マンニノオトリース(manninootriose)、ラフィノースおよびスタキオースなどが含まれる(これらは、ビートオリゴ糖およびダイズオリゴ糖などから製造することができる)。
【0284】
市販のα-GOS製造物および酵素合成されたα-GOS製造物もまた、本明細書において記載される組成物のために有用である。酵素によるアルファ-GOSの合成が、ガラクトース、ガラクトース含有物質またはグルコースを基質として使用することによるα-ガラクトシダーゼの脱水縮合反応を利用して行われる。ガラクトース含有物質には、ガラクトース含有物質の加水分解物、例えば、ベータ-ガラクトシダーゼをラクトースなどに作用させることによって得られるガラクトースおよびグルコースの混合物などが含まれる。グルコースをガラクトースと別々に混合し、α-ガラクトシダーゼとともに基質として使用することができる(例えば、WO 02/18614を参照のこと)。アルファ-GOSを調製する様々な方法が記載されている(例えば、EP 514551およびEP 2027863を参照のこと)。
【0285】
1つの態様において、GOS組成物は、アルファ-GOSである糖類と、β-ガラクトシダーゼを使用するトランスガラクトシル化によって生じる糖類との混合物を含む。別の態様において、GOSはアルファ-GOSを含む。別の態様において、アルファ-GOSはα-(Gal)
2を重量比で10%〜100%で含む。1つの態様において、GOSは、β-ガラクトシダーゼを使用するトランスガラクトシル化によって生じる糖類のみを含む。
【0286】
1つの態様において、薬学的組成物は、1種または複数種の微生物に加えて、1〜20重量%の二糖、1〜20重量%の三糖、1〜20重量%の四糖、および1〜20重量%の五糖を含むオリゴ糖の混合物であるオリゴ糖組成物を含む。別の態様において、オリゴ糖組成物は、1〜20重量%の二糖、1〜20重量%の三糖、1〜20重量%の四糖、および1〜20重量%の五糖から本質的になるオリゴ糖の混合物である。
【0287】
1つの態様において、プレバイオティック組成物は、重合度(DP)が1〜3である糖類の1〜20重量%と、DPが4〜6である糖類の1〜20重量%と、DPが7〜9である糖類の1〜20重量%と、DPが10〜12である糖類の1〜20重量%と、DPが13〜15である糖類の1〜20重量%とを含むオリゴ糖の混合物である。
【0288】
別の態様において、プレバイオティック組成物は、50〜55重量%の二糖、20〜30重量%の三糖、10〜20重量%の四糖、および1〜10重量%の五糖を含むオリゴ糖の混合物を含む。1つの態様において、GOS組成物は、52重量%の二糖、26重量%の三糖、14重量%の四糖、および5重量%の五糖を含むオリゴ糖の混合物である。別の態様において、プレバイオティック組成物は、45〜55重量%の三糖、15〜25重量%の四糖、1〜10重量%の五糖を含むオリゴ糖の混合物を含む。
【0289】
ある特定の態様において、前記組成物は、例えば、WO 2005/039597(N.V. Nutricia)および米国特許出願第20150004130号において開示されるような中性オリゴ糖および酸性オリゴ糖の混合物を含む。1つの態様において、前記酸性オリゴ糖は、重合度(DP)は1〜5000の間である。別の態様において、DPが1〜1000の間である。別の態様において、DPは2〜250の間である。異なる重合度を有する酸性オリゴ糖の混合物が使用されるならば、当該酸性オリゴ糖混合物の平均DPは好ましくは、2〜1000の間である。前記酸性オリゴ糖は、均一または不均一な炭水化物であることが可能である。前記酸性オリゴ糖は、ペクチン、ペクチン酸塩、アルギン酸塩、コンドロイチン、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパラン、細菌炭水化物、シアログリカン、フコイダン、フコオリゴ糖またはカラギーナンから調製することができ、好ましくはペクチンまたはアルギン酸塩から調製される。前記酸性オリゴ糖は、例えば、WO 01/60378(これは本明細書により、参照により組み入れられる)に記載される方法によって調製することができる。前記酸性オリゴ糖は好ましくは、50%を超えるメトキシル化度によって特徴づけられる高メトキシル化ペクチンから調製される。本明細書において使用される場合、「メトキシル化度」(これはまた、DEまたは「エステル化度」として示される)は、ポリガラクツロン酸鎖に含有されるフリー型カルボン酸基が(例えば、メチル化によって)エステル化されている程度を意味することが意図される。いくつかの態様において、前記酸性オリゴ糖は、約10%超、約20%超、約50%超、約70%超のメトキシル化度を有する。いくつかの態様において、前記酸性オリゴ糖は、約10%超、約20%超、約50%超、約70%超のメチル化度を有する。
【0290】
中性オリゴ糖の用語は、本発明において使用される場合、モノースユニットの重合度が2を超える、3を超える、4を超える、または10を超える糖類で、酸、またはヒトの上部消化管(小腸および胃)に存在する消化酵素の作用によって腸において消化されないか、またはほんの一部のみが消化され、しかし、ヒト腸管フローラによって発酵される、好ましくは酸性基を有していない糖類を示す。前記中性オリゴ糖は前記酸性オリゴ糖とは構造的に(化学的に)異なる。用語「中性オリゴ糖」は、本明細書において使用される場合、当該オリゴ糖の重合度が60個未満のモノースユニットである糖類を示す。用語「モノースユニット」は、閉環構造(例えば、ピラノース形態またはフラノース形態)を有するユニットを示す。いくつかの態様において、前記中性オリゴ糖は、マンノース、アラビノース、フルクトース、フコース、ラムノース、ガラクトース、-D-ガラクトピラノース、リボース、グルコース、キシロースおよびそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも90%または少なくとも95%のモノースユニット(当該中性オリゴ糖に含有されるモノースユニットの総数に基づいて計算される)を含む。好適な中性オリゴ糖は好ましくは、腸内フローラによって発酵される。好適な中性オリゴ糖の限定されない例として、セロビオース(4-O-β-D-グルコピラノシル-D-グルコース)、セロデキストリン((4-O-β-D-グルコピラノシル)n-D-グルコース)、β-シクロデキストリン(α-1-4結合したD-グルコースの環状分子;α-シクロデキストリン六量体、β-シクロデキストリン七量体およびγ-シクロデキストリン八量体)、難消化性デキストリン、ゲンチオオリゴ糖(β-1-6結合したグルコース残基の混合物、一部が1-4結合)、グルコオリゴ糖(α-D-グルコースの混合物)、イソマルトオリゴ糖(いくらかの1-4結合を伴う線状のα-1-6結合したグルコース残基)、イソマルトース(6-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコース)、イソマルトリオース(isomaltriose)(6-O-α-D-グルコピラノシル-(1-6)-α-D-グルコピラノシル-D-グルコース)、パノース(panose)(6-O-α-D-グルコピラノシル-(1-6)-α-D-グルコピラノシル-(1-4)-D-グルコース)、ロイクロース(leucrose)(5-O-α-D-グルコピラノシル-D-フルクトピラノシド)、パラチノースまたはイソマルツロース(6-O-α-D-グルコピラノシル-D-フルクトース)、テアンデロース(theanderose)(O-α-D-グルコピラノシル-(1-6)-O-α-D-グルコピラノシル-(1-2)-B-D-フルクトフラノシド)、D-アガトース(agatose)、D-リキソ-ヘキシロース(D-lyxo-hexylose)、ラクトスクロース(lactosucrose)(O-β-D-ガラクトピラノシル-(1-4)-O-α-D-グルコピラノシル-(1-2)-β-D-フルクトフラノシド)、α-ガラクトオリゴ糖(ラフィノース、スタキオースおよび他のダイズオリゴ糖を含む)(O-α-D-ガラクトピラノシル-(1-6)-α-D-グルコピラノシル-β-D-フルクトフラノシド)、β-ガラクトオリゴ糖またはトランスガラクト-オリゴ糖(β-D-ガラクトピラノシル-(1-6)-[β-D-グルコピラノシル]n-(1-4)α-Dグルコース)、ラクツロース(4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-フルクトース)、4’-ガラクトシルラクトース(β-D-ガラクトピラノシル-(1-4)-O-β-D-グルコピラノシル-(1-4)-D-グルコピラノース)、合成ガラクトオリゴ糖(ネオガラクトビオース(neogalactobiose)、イソガラクトビオース(isogalactobiose)、ガルスクロース(galsucrose)、イソラクトースI、イソラクトースIIおよびイソラクトースIII)、フルクタン-レバン型(β-D-(2→6)-フルクトフラノシル)n α-D-グルコピラノシド)、フルクタン-イヌリン型(β-D-((2→1)-フルクトフラノシル)n α-D-グルコピラノシド)、1 f-β-フラクトフラノシルニストース(fructofuranosylnystose)(β-D-((2→1)-フルクトフラノシル)n B-D-フルクトフラノシド)、キシロオリゴ糖(B-D-((1→4)-キシロース)n、ラフィノース(lafinose)、ラクトスクロースおよびアラビノオリゴ糖が挙げられる。
【0291】
いくつかの態様において、前記中性オリゴ糖は、フルクタン類、フルクトオリゴ糖、難消化性デキストリン、ガラクトオリゴ糖(トランスガラクトオリゴ糖を含む)、キシロオリゴ糖、アラビノオリゴ糖、グルコオリゴ糖、マンノオリゴ糖、フコオリゴ糖およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0292】
好適なオリゴ糖およびそれらの製造方法が、Laere K.J.M.(Laere, K.J.M., Degradation of structurally different non-digestible oligosaccharides by intestinal bacteria: glycosylhydrolases of Bi. adolescentis.PhD-thesis(2000), Wageningen Agricultural University, Wageningen, The Netherlands)においてさらに記載される(その内容全体が本明細書により、参照により組み入れられる)。トランスガラクトオリゴ糖(TOS)が、例えば、Vivinal(商標)(Borculo Domo Ingredients、オランダ)の商標で販売されている。トウモロコシデンプンの熱分解によって製造することができる難消化性デキストリンは、天然のデンプンにおいて存在するようなα(1→4)グルコシド結合およびα(1→6)グルコシド結合を含み、1→2結合および1→3結合ならびにレボグルコサンを含有する。これらの構造的特徴のために、難消化性デキストリンは、ヒト消化酵素によって部分的に加水分解される十分に発達した分枝粒子を含有する。難消化性オリゴ糖の数多くの他の市販供給源が容易に入手可能であり、当業者には公知である。例えば、トランスガラクトオリゴ糖が、Yakult Honsha Co.(東京、日本)から入手可能である。ダイズオリゴ糖が、Ajinomoto U.S.A. Inc.(Teaneck、N.J.)によって配給されるCalpis Corporationから入手可能である。
【0293】
さらなる態様において、本明細書において記載される薬学的組成物のプレバイオティック混合物は、ペクチン、アルギン酸塩およびそれらの混合物から調製される、DPが1〜5000の間である酸性オリゴ糖と、フルクタン類、フルクトオリゴ糖、難消化性デキストリン、ガラクトオリゴ糖(トランスガラクトオリゴ糖を含む)、キシロオリゴ糖、アラビノオリゴ糖、グルコオリゴ糖、マンノオリゴ糖、フコオリゴ糖およびそれらの混合物の群から選択される中性オリゴ糖とを含む。
【0294】
ある特定の態様において、前記プレバイオティック混合物はキシロースを含む。他の態様において、前記プレバイオティック混合物はキシロースポリマー(すなわち、キシラン)を含む。いくつかの態様において、前記プレバイオティックは、キシロース誘導体、例えば、キシリトール(キシロースの接触水素化によってキシロースの還元によって生じる糖アルコール)などを含み、加えて、キシロースオリゴマー(例えば、キシロオリゴ糖)もまた含む。キシロースはヒトによってキシロシルトランスフェラーゼ活性により消化され得るが、ヒトによって摂取されるほとんどのキシロースが尿中に排出される。対照的に、一部の微生物がキシロース代謝において効率的であり、または、強化されたキシロース代謝のために選択され得る。微生物のキシロース代謝が、イソメラーゼ経路、Weimburg経路、Dahms経路、および真核微生物についてはオキシドレダクターゼ経路を含めて少なくとも4つの経路によって生じ得る。
【0295】
キシロースイソメラーゼ経路は、キシロースイソメラーゼによるD-キシロースのD-キシルロースへの直接的な転換を伴っており、その後で、D-キシルロースがキシルロースキナーゼによってリン酸化されて、D-キシロース-5-リン酸(ペントースリン酸経路の中間体)が生じる。
【0296】
Weimberg経路において、D-キシロースがD-キシロースデヒドロゲナーゼによってD-キシロノラクトンに酸化される。その後、D-キシロースデヒドロゲナーゼがラクトナーゼによって加水分解されて、D-キシロン酸が生じ、その後、キシロン酸デヒドラターゼ活性により、2-ケト-3-デオキシ-キシロン酸が生じる。Weimberg経路の最後の工程が、2-ケトグルタミン酸セミアルデヒドを形成するためのデヒドラターゼ反応と、2-ケトグルタミン酸(クレブス回路の中間体)を形成するための酸化反応である。
【0297】
Dahms経路は、Weimberg経路と同じ機構に従っており、しかし、2-ケト-3-デオキシ-キシロン酸がWeimberg経路によって生じると分岐する。Dahms経路において、アルドラーゼにより、2-ケト-3-デオキシ-キシロン酸がピルビン酸およびグリコールアルデヒドに分割される。
【0298】
キシロースオキシド-レダクターゼ経路(これはまた、キシロースレダクターゼ-キシリトールデヒドロゲナーゼ経路として公知である)が、キシロースレダクターゼによるD-キシロースのキシリトールへの還元によって始まり、その後、キシリトールデヒドロゲナーゼによるキシリトールのD-キシルロースへの酸化が続く。イソメラーゼ経路の場合のように、オキシド-レダクターゼ経路における次の工程が、D-キシロース-5-リン酸を生じさせるためのキシルロースキナーゼによるD-キシルロースのリン酸化である。
【0299】
キシロースが、果実および野菜のような食物、ならびに、他の植物、例えば、木材製造およびパルプ製造のための樹木などに存在する。したがって、キシロースを、そのような植物の抽出物において得ることができる。キシロースを、酸加水分解、それに続く様々なタイプのクロマトグラフィーを含む公知の方法を使用して様々な植物供給源から得ることができる。キシロースを製造するためのそのような方法の例には、下記において記載される方法が含まれる:Maurelli, L. et al.(2013), Appl. Biochem. Biotechnol. 170:1104-1118; Hooi H.T et al.(2013), Appl. Biochem. Biotechnol. 170:1602-1613; Zhang H-J. et al.(2014), Bioprocess Biosyst. Eng. 37:2425-2436。
【0300】
コンソーシアムメンバーの培養および貯蔵
細胞バンク預託のために、前記細菌組成物に含まれる菌株は、(1)検体から直接に単離することができ、または預託されているストックから得ることができ、(2)任意で、生存可能なバイオマスを生じさせるために成長を支援する栄養寒天またはブロスにおいて培養することができ、加えて、(3)前記バイオマスを任意で、長期保存における多数のアリコートで保存することができる。
【0301】
培養工程を使用する態様において、前記寒天またはブロスは、必須要素を提供する栄養分と、成長を可能にする特定の因子とを含有する。一例として、20g/Lのグルコース、10g/Lの酵母エキス、10g/Lのダイスペプトン、2g/Lのクエン酸、1.5g/Lのリン酸ナトリウム(一塩基性)、100mg/Lのクエン酸第二鉄アンモニウム、80mg/Lの硫酸マグネシウム、10mg/Lのヘミン塩化物、2mg/Lの塩化カルシウム、および1mg/Lのメナジオンから構成される培地が挙げられるであろう。様々な微生物学的培地および変更が当技術分野において周知である(例えば、R.M.Atlas, Handbook of Microbiological Media(2010)CRC Press)。培地を開始時に培養物に加えることができ、または培養期間中に加えることができ、または間欠的/連続的に培養物に加え、流出させることができる。細菌組成物における菌株は単独で、当該細菌組成物のサブセットとして、または当該細菌組成物を含む完全な集合物として培養することができる。一例として、第1の菌株を混合連続培養において第2の菌株と一緒に、培養物が培養から洗い流されないようにどちらかの細胞の最大成長速度よりも低い希釈率で培養することができる。
【0302】
接種された培養物が、好都合な条件のもと、バイオマスを増すために十分な時間にわたってインキュベーションされる。ヒト使用のための細菌組成物については、これは多くの場合、通常の体温(37℃)、pH、および正常なヒト微小環境に類似する値を有する他のパラメーターにおいてである。環境を積極的に制御することができ、または受動的に(例えば、緩衝剤を介して)制御することができ、または変化に任せることができる。例えば、嫌気性細菌組成物(例えば、腸内微生物叢)については、無酸素/還元性環境を用いることができる。これは、還元剤/還元性因子(例えば、システインなど)をブロスに加えること、および/または酸素をブロスから除去することによって達成することができる。一例として、細菌組成物の培養物を、1g/Lのシステイン・HClにより予め還元された上記培地において、37℃、pH7で成長させることができる。
【0303】
培養により、十分なバイオマスが生じたとき、培養物を細胞バンク預託または貯蔵のために保存することができる。前記生物は、(「凍結保護剤」を加えて)凍結から、「ライオプロテクタント(lyoprotectant)を加えて)乾燥から、および/または(「浸透圧保護剤」を加えて)浸透圧ショックから保護する化学的環境に置くことができ、それにより、多数の(任意で同一の)容器に分注して、均一なバンクを作製し、その後、培養物を保存のために処理することができる。容器は一般には不透過性であり、環境からの隔離を保証するクロージャーを有する。凍結保存処理が、液体を極低温(例えば、-80℃以下)で凍結することによって達成される。乾燥保存では、水分が蒸発(スプレー乾燥または「低温乾燥」の場合)によって、または昇華(例えば、凍結乾燥、スプレー凍結乾燥について)によって培養物から除かれる。水を除くことにより、極低温を超えて上昇した温度における長期間の細菌組成物の貯蔵安定性が改善される。細菌組成物が胞子形成種を含み、胞子の生成をもたらすならば、最終組成物は、さらなる手段(例えば、密度勾配遠心分離など)によって精製し、上記で記載される技術を使用して保存することができる。細菌組成物の細胞バンク預託を、前記菌株を個別に培養し、保存することによって、または前記菌株を一緒に混合して、組合せバンクを作製することによって行うことができる。凍結保存の一例として、細菌組成物の培養物を遠心分離によって集めて、細胞を培養培地からペレット化し、上清をデカンテーションによって除き、15%のグリセロールを含有する新鮮な培養ブロスにより置き換えることができる。その後、培養物を1mLの凍結チューブに小分けし、密封し、長期生存性保持のために-80℃に置くことができる。この手順により、許容される生存率が、冷凍貯蔵から回復させたときに達成される。
【0304】
生物の生産を、培地組成および培養条件を含めて、細胞バンク預託と同様の培養工程を使用して行うことができる。これを、とりわけ臨床開発または商業生産のためには、より大きい操作規模で行うことができる。より大きい規模では、細菌組成物の数回の継代培養を最終的な培養に先立って行うことができる。培養が終了したとき、培養物が、投与のための投薬形態物へのさらなる配合を可能にするために集められる。これには、濃縮、望ましくない培地成分の除去、および/または、細菌組成物を保存し、当該細菌組成物を、選ばれた経路による投与のために許容可能にする化学的環境への導入が伴い得る。例えば、細菌組成物を10
10 CFU/mLの濃度にまで培養し、その後、タンジェンシャルフロー精密ろ過によって20倍濃縮することができる; 使用済み培地が、2%のゼラチン、100 mMのトレハロースおよび10 mMのリン酸ナトリウム緩衝液からなる保存培地と透析ろ過によって交換される場合がある。その後、懸濁物を凍結乾燥して粉末とし、力価測定することができる。
【0305】
乾燥後、前記粉末は、適切な効力になるようにブレンドし、他の培養物および/または充填剤(例えば、粘稠度および容易な取り扱いのための微結晶セルロースなど)と混合することができ、そして、細菌組成物を、本明細書において提供されるように配合することができる。
【0306】
1つの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムを含む組成物は、便の移植物ではない。いくつかの態様において、精製された集団に存在する細菌実在物のすべてまたは本質的にすべてが元々は便材料から得られており、続いて、例えば、薬学的組成物の製造のために、本明細書において記載されるように、または他の場合には当技術分野において公知であるように培養で成長させられる。1つの態様において、細菌細胞が、本明細書において記載されるように細菌ストックから培養され、精製される。1つの態様において、細菌細胞の集団のそれぞれが独立して培養され、精製される。例えば、それぞれの集団が別々に培養され、続いて一緒に混合される。1つの態様において、組成物における細菌細胞の集団の1つまたは複数が共培養される。
【0307】
投薬量、投与および配合物
いくつかの態様において、所与の範囲にわたる細胞、例えば、2〜5×10
5個またはそれ以上、例えば、1×10
6個、1×10
7個、1×10
8個、5×10
8個、1×10
9個、5×10
9個、1×10
10個、5×10
10個またはそれ以上の範囲にわたる細胞を、微生物コンソーシアムを含む組成物において投与することができる。細菌についての投薬量範囲は効力に依存しており、所望の効果を生じるために、例えば、処置されている対象での食物アレルギーの少なくとも1つの症状における軽減を生じるのに十分に多い量を含む。投薬量は、許容できない有害な副作用を引き起こすほどに大きくしてはならない。一般には、投薬量は、疾病のタイプ、ならびに患者の年齢、状態および性別により変化することになる。投薬量は当業者によって決定することができ、同様に、どのような合併症の場合でも個々の医師によって調節することができる。
【0308】
本明細書において記載される様々な局面での使用のために、本明細書において記載されるような組成物における細胞の有効量は、少なくとも10
2個の細菌細胞、少なくとも1×10
3個の細菌細胞、少なくとも1×10
4個の細菌細胞、少なくとも1×10
5個の細菌細胞、少なくとも1×10
6個の細菌細胞、少なくとも1×10
7個の細菌細胞、少なくとも1×10
8個の細菌細胞、少なくとも1×10
9個の細菌細胞、少なくとも1×10
10個の細菌細胞、少なくとも1×10
11個の細菌細胞、少なくとも1×10
12個以上の細菌細胞、またはそれ以上の細菌細胞を含む。微生物コンソーシアムが、選択された食物アレルゲンに対して寛容である対象から単離および/または精製される場合、細菌細胞は1つまたは複数のドナーに由来することができ、あるいは自己供給源から得ることができる。本明細書において記載される局面のいくつかの態様において、微生物コンソーシアムの細胞は、それを必要としている対象への投与に先立って培養において拡大または維持される。1つの態様において、前記微生物コンソーシアムが微生物バンクから得られる。治療用コンソーシアムまたは防止/予防用コンソーシアムのメンバーは一般には、一緒にして投与され、例えば、単一の混合物において投与される。しかしながら、所与のコンソーシアムのメンバーが当該コンソーシアムのメンバーの別個の投薬形態物または部分混合物または部分組合せとして投与され得ることが、本明細書において具体的に意図される。したがって、例えば、6種のメンバーからなるコンソーシアムについては、当該コンソーシアムを、例えば、6種すべてのメンバーを含む単一調製物として(1つまたは複数の投薬単位物において、例えば、1つまたは複数のカプセルにおいて)投与することができ、または、当該所与コンソーシアムのすべてのメンバーを合計で含む2つ以上の別個の調製物として投与することができる。単一の混合物としての投与が好ましいが、例えば、コンソーシアムのそれぞれのメンバーについての個々の単位物を使用することの潜在的な利点が、任意の所与の対象に投与される実際の菌株を、必要ならば、例えば、一緒になって所望のコンソーシアムを含む単一種の投薬単位物の適切な組合せを選択することによってあつらえることができるということである。
【0309】
公知のインビボバイオマスに対する、用量あたりの投与された種のバイオマス: 前記コンソーシアム組成物が、「健康な」個体における共生生物の正常なバイオマスよりも多量のバイオマスを送達するために配合されることが、本明細書において意図される。例えば、送達およびコロニー形成のために意図されるバイオマスの範囲が、表1の第3列および第4列において示されるような健康な個体における正常なバイオマスと比較して、表1の第2列に見出すことができる。下記の表には、様々な生物の投与されたバイオマスの範囲が、具体的な部位における発表データと比較して示される。なお、多くの場合、Gustafsson(1982)における細菌定量は、クロストリジウム綱などの生物の一般的なカテゴリーに対してであり、それらの見出しのもとでの組み入れられた多数の種であったことには留意されたい。したがって、コンソーシアムにおける個々の種は、具体的な部位における実際の最大報告バイオマスよりも少ない可能性があるであろう; したがって、小腸および大腸のバイオマスデータは、正常な個体においてインビボで存在するかもしれないものについての上限であるとみなされなければならない。
【0310】
(表2)
参考文献:
1. Gustafsson, BE. The physiological importance of the colonic microflora. Scand J. Gastroenterol Suppl. 1982, 77:1 17-31.
2. Bry L, et al. A model of host-microbial interactions in an open mammalian ecosystem. Science. 1996, 273(5280):1380-3.
【0311】
微生物コンソーシアムを含む薬学的組成物は、対象(例えば、ヒト、哺乳動物、動物など)の胃腸管(好ましくは結腸)における付着のために好適である任意の方法によって投与することができる。投与経路の例には、結腸内視鏡法、坐剤、浣腸、上部消化管内視鏡法、またはアッパープッシュ小腸内視鏡法による直腸投与が含まれる。加えて、経鼻胃管、経鼻栄養管または経鼻空腸管による鼻または口腔を通した挿管を利用することができる。固体物(例えば、丸剤、錠剤、懸濁物、ゲル、ゲルタブ、半固体物、錠剤、サシェ剤、口内錠またはカプセル剤もしくはマイクロカプセル剤など)による経口投与、あるいは経腸配合物として経口投与、あるいは、液体物、懸濁物、ゲル、ゲルタブ、半固体物、錠剤、サシェ剤、口内錠もしくはカプセル剤として、または経腸配合物として最終送達のために再配合されたものを同様に利用することができる。本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムが接種される食品もまた本明細書において意図される。組成物は、処理または未処理の便フローラ、完全な(または実質的に完全な)微生物叢、または部分的に、実質的に、もしくは完全に単離または精製された便フローラであることも可能であり、加えて、凍結乾燥すること、冷凍乾燥すること、もしくは凍結すること、または粉末に加工することができる。
【0312】
いくつかの態様において、本明細書において記載される組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む形態で投与することができる。好適な担体が当技術分野において周知であり、これらは、組成物の所望される形態および投与様式とともに変化する。例えば、薬学的に許容される担体には、希釈剤または賦形剤、例えば、充填剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、流動促進剤および滑剤などが含まれ得る。典型的には、前記担体は、固体(粉末を含む)、液体、またはそれらの組合せである場合がある。それぞれの担体が好ましくは、組成物における他の成分との適合性があり、かつ、対象に対して有害でないという意味で「許容される」。前記担体は生物学的に許容され、かつ、不活性である場合がある(例えば、前記担体は、組成物が適切な部位に送達されるまで、当該組成物が生物学的材料の生存性を維持することを可能にする)。
【0313】
経口組成物は、不活性な希釈剤、または食用担体を含むことができる。経口治療投与のために、活性な化合物を賦形剤とともに組み込み、錠剤、口内錠、香錠、トローチ剤またはカプセル剤(例えば、ゼラチンカプセル剤)の形態で使用することができる。経口組成物はまた、本開示の組成物を食物と組合せることによって調製することができる。1つの態様において、投与のために使用される食物は、冷却された、例えば、氷冷された味付け水である。ある特定の態様において、食品は、潜在的にアレルギー性の食品ではない(例えば、ダイズ、コムギ、ピーナッツ、堅果、乳製品、卵、甲殻類または魚類ではない)。薬学的に適合する結合剤および/または補助材料を組成物の一部として含むことができる。錠剤、丸薬、カプセル剤およびトローチ剤などは、下記の成分、または類似する性質の化合物のいずれかを含有することができる:結合剤、例えば、微結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンなど; 賦形剤、例えば、デンプンまたはラクトースなど、崩壊剤、例えば、アルギン酸、プリモゲルまたはトウモロコシデンプンなど;滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステロート(sterote)類など;流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素など;甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリンなど;または香味矯臭剤、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ着香剤または他の好適な着香剤など。これらは例示目的のためだけであり、限定であることは意図されない。
【0314】
微生物コンソーシアムを含む組成物はまた、坐薬(例えば、従来の坐薬基剤(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドなど)を用いた坐薬)の形態で、または直腸送達のための停留浣腸の形態で調製することができる。前記組成物は、前記コンソーシアムを身体からの迅速な排出から保護する担体を用いて調製することができる(例えば、インプラントを含めて、制御放出配合物)。生分解性かつ生体適合性のポリマーを使用することができる(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸など)。そのような配合物を、標準的な技術を使用して調製することができる。これらの材料はまた、例えば、Alza Corporation、およびNova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に得ることができる。リポソーム懸濁物もまた、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、当業者に公知である方法に従って調製することができる。
【0315】
いくつかの態様において、組成物をカプセル封入することができる(例えば、腸溶性被覆配合物)。例えば、組成物が経口投与されることになるとき、投薬形態物が配合され、その結果、組成物が、小腸前の胃腸管において広く認められている状態(例えば、胃において存在する高い酸性度および消化酵素)に曝されないようにされる。組成物を治療的使用のためにカプセル封入することは当技術分野において日常的である。カプセル封入は硬質外殻カプセルを含むことができ、これは、乾燥状態の粉末化された成分の軟質外殻カプセルのために使用することができる。カプセルを、ゲル化剤(例えば、動物タンパク質(例えば、ゼラチン)、カラギーナンのような植物多糖または誘導体、ならびにデンプンおよびセルロースの修飾形態物など)の水溶液から作製することができる。他の成分をゲル化剤溶液に加えることができる(例えば、可塑剤(例えば、グリセリンおよび/またはソルビトール)、着色剤、防腐剤、崩壊剤、滑剤および表面処理剤など)。
【0316】
1つの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムは、腸溶性被覆とともに配合される。腸溶性被覆は、微生物コンソーシアムが消化器系において放出される場所を制御することができる。したがって、腸溶性被覆を使用して、その結果、微生物コンソーシアム含有組成物が、多くの微生物については毒性環境であり得る胃において溶解し微生物を放出するのではなく、むしろ、微生物が生存することができる環境において当該組成物が溶解し微生物を放出する小腸に進むようにすることができる。腸溶性被覆は、(例えば、胃などにおける)低いpHで安定であり得、かつ、(例えば、小腸における)より高いpHで溶解することができる。腸溶性被覆において使用することができる材料には、例えば、アルギン酸、酢酸フタル酸セルロース、プラスチック、ワックス、シェラックおよび脂肪酸(例えば、ステアリン酸、パルミチン酸)が含まれる。腸溶性被覆が、例えば、米国特許第5,225,202号、同第5,733,575号、同第6,139,875号、同第6,420,473号、同第6,455,052号および同第6,569,457号に記載される(これらのすべてがそれらの全体において参照により本明細書に組み入れられる)。腸溶性被覆は、水性の腸溶性被覆であることが可能である。腸溶性被覆において使用することができるポリマーの例には、例えば、シェラック(商品名EmCoat 120 N、Marcoat 125);酢酸フタル酸セルロース(商品名AQUACOAT(商標)、AQUACOAT ECD(商標)、SEPIFILM(商標)、KLUCEL(商標)およびMETOLOSE(商標));フタル酸ポリ酢酸ビニル(商品名SURETERIC(商標));およびメタクリル酸(商品名EUDRAGIT(商標))が含まれる。
【0317】
1つの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムのメンバーを含む腸溶性被覆されたプロバイオティック組成物が対象に投与される。別の態様において、プロバイオティックおよびプレバイオティックの腸溶性被覆された組成物が対象に投与される。
【0318】
直腸投与のために好適である配合物には、ゲル、クリーム、ローション、水性または油性の懸濁液、分散性の粉末または顆粒、エマルション、溶解可能な固体材料、および灌注液などが含まれる。前記配合物は好ましくは、坐剤基剤を形成する1つまたは複数の固体担体(例えば、カカオバター)において有効成分を含む単位用量坐剤として提供される。そのような配合物のための好適な担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびそれらの組合せが含まれる。代替として、本開示の迅速な再コロニー形成展開剤を伴う結腸洗浄液を、結腸投与または直腸投与のために配合することができる。
【0319】
経口投与のために好適である配合物が、所定量の活性な化合物をそれぞれが含有する個別単位物(例えば、錠剤、カプセル剤、カシェ剤、シロップ剤、エリキシル剤、調理済み食品、マイクロエマルション剤、溶液剤、懸濁物、口内錠またはゲル被覆アンプル剤など)として、粉末または顆粒として、水性液体または非水性液体における溶液または懸濁物として、あるいは水中油型エマルションまたは油中水型エマルションとして提供される場合がある。
【0320】
いくつかの態様において、前記微生物コンソーシアムは食品において配合することができる。本明細書において記載される方法および組成物とともに使用されるための食品のいくつかの限定されない例には、ポプシクル、チーズ、クリーム、チョコレート、ミルク、肉、飲料物、ヨーグルト、野菜ピクルス、ケフィア、味噌、ザウアークラウトなどが含まれる。他の態様において、前記食品には、ジュース、清涼飲料水、茶飲料物、飲み物調製物、ゼリー飲料物および機能性飲料物;アルコール性飲料物、例えば、ビールなど;炭水化物含有食物、例えば、米食品、麺類、パンおよびパスタなど;ペースト製造物、例えば、魚肉、ハム、ソーセージ、海産物のペースト製造物など;レトルト食品製造物、例えば、カレー、濃いデンプン質ソースで調理された食物、および中華スープなど;乳製品、例えば、ミルク、乳飲料物、アイスクリーム、チーズおよびヨーグルトなど;発酵製品、例えば、発酵大豆ペースト、発酵飲料物およびピクルスなど;豆製品;ビスケットおよびクッキーなど、キャンデー、チューインガム、グミ、コールドデザート(ゼリー、クリームカラメルおよび冷凍デザートを含む)を含めて様々な菓子製品;インスタント食品、例えば、即席スープおよび即席大豆入りスープなど;その他を挙げることができる。食品調製物は、前記微生物の死滅を避けるために、前記微生物コンソーシアムとの混合の後での加熱調理を必要としないことが好ましい。
【0321】
微生物コンソーシアムの様々な配合物を、任意の好適な方法によって調製することができ、典型的には、当該コンソーシアムを液体または細かく分割された固体担体または両方と、必要とされる割合で均一かつ完全に混合し、その後、必要ならば、得られた混合物を所望の形状に形状化することによって調製することができる。加えて、前記微生物コンソーシアムは、貯蔵寿命を延ばすために処理することができ、好ましくは、所定の腸内フローラの貯蔵寿命が凍結乾燥により延長されるであろう。
【0322】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムは、対象の処置に先立って1種または複数種のさらなるプロバイオティック生物と組み合わされる。本明細書において使用される場合、用語「プロバイオティック」は、一過性または内因性のフローラまたは微生物コンソーシアムの少なくとも一部を形成し、それにより、有益な予防的効果および/または治療的効果を宿主生物に対して示す微生物を示す。プロバイオティックは、臨床的に安全であること(すなわち、非病原性であること)が当業者によって一般に公知である。本発明のプロバイオティックとして有用である典型的な乳酸産生細菌が、病原性生物の成長を阻害するバクテリオシンまたは他の化合物を産生するバチルス属の非病原性のメンバーを含む効率的な乳酸産生者である。
【0323】
乳酸産生かつ非病原性の例示的なバチルス属菌種には、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・コアグランス Hammer、およびバチルス・ブレビス・サブスピーシズ・コアグランス(Bacillus brevis subspecies coagulans)が含まれるが、これらに限定されない。
【0324】
例示的な乳酸産生ラクトバチルス属菌種には、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カセイ、ラクトバチルスDDS-1、ラクトバチルスGG、ラクトバチルス・ラムノスス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・ガッセリイ(Lactobacillus gasserii)、ラクトバチルス・ジェンセニイ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバチルス・デルブロイキイ(Lactobacillus delbruekii)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)およびラクトバチルス・スポロゲネス(Lactobacillus sporogenes)(これはまた、バチルス・コアグランスと呼ばれる)が含まれるが、これらに限定されない。例示的な乳酸産生スポロラクトバチルス属(Sporolactobacillus)菌種には、すべてのスポロラクトバチルス属菌種が含まれる(例えば、スポロラクトバチルスP44)。
【0325】
例示的な乳酸産生ビフィドバクテリウム属菌種には、ビフィドバクテリウム・アドレセンチス(Bifidiobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidiobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidiobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ビフィズス(Bifidiobacterium bifidus)、ビフィドバクテリウム・ブレビ(Bifidiobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンチス(Bifidiobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・インファンツス(Bifidiobacterium infantus)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidiobacterium longum)、およびそれらの任意の遺伝子変化体が含まれるが、これらに限定されない。
【0326】
好適な乳酸非産生バチルスの例には、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・ユニフラジェラタス(Bacillus uniflagellatus)、バチルス・ラテロプソルス(Bacillus lateropsorus)、バチルス・ラテロプソルスBOD、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・ポリミクサ(Bacillus polymyxa)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)およびバチルス・ステロサーモフィルス(Bacillus sterothermophilus)が含まれるが、これらに限定されない。プロバイオティック活性のために用いられ得る他の菌株には、連鎖球菌属(エンテロコッカス属)のメンバーが含まれる。例えば、エンテロコッカス・フェシウムが家畜のプロバイオティックとして一般に使用されており、したがって、共投与剤として利用され得るかもしれない。さらに、当技術分野において公知であるプロバイオティック細菌または栄養細菌の酸産生種のどれもが、本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムを含む組成物において使用され得ることもまた、意図される
【0327】
本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムを含む栄養サプリメントは、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸および非必須アミノ酸、炭水化物、脂質、食品材料、栄養補助食品および短鎖脂肪酸などを含めて様々な栄養性作用物質のどれも含むことができる。好ましい組成物はビタミンおよび/またはミネラルを任意の組合せで含む。本明細書において記載されるような組成物における使用のためのビタミンには、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸、ビタミンK、ナイアシン、および同様なビタミンが含まれ得る。前記組成物は、特定の用途のために有用であると考えられ得るようなビタミンのどれかまたは様々なビタミンを含有することができ、従って、ビタミン含有量は、限定的であるとして解釈してはならない。典型的なビタミンが、例えば、毎日の消費のために、また、推奨1日量(RDA)において推奨されるものであり、だが、正確な量は変化し得る。前記組成物は好ましくは、RDAビタミン、ミネラルおよび微量ミネラル、同様にまた、確立されたRDAを有さないが、有益な役割をヒトまたは哺乳動物の健康な生理学において果たすそのような栄養素の複合体を含むことができる。好ましいミネラル形式はグルコナート形態またはシトラート形態のどちらかである形式を含むであろう。これは、これらの形態が乳酸菌によってより容易に代謝されるからである。関連した態様において、本明細書において記載される組成物は、胃腸管から血液内への物質の効率的かつ健康な吸収を保証することが望ましい場合、生存可能な乳酸菌との組合せでの微生物コンソーシアムを、栄養サプリメント、食品材料、ビタミン、ミネラル、医薬品、治療用組成物、抗生物質、ホルモン、ステロイド、および同様な化合物(これらに限定されない)を含めて吸着されることになる任意の材料との組合せで含むことが意図される。前記組成物に含まれる材料の量は、当該組成物が限定的であるとみなされることがないように、前記材料、およびその吸収のための意図される目的に依存して広範囲に変化し得る。
【0328】
いくつかの態様において、本明細書において記載される組成物はさらに、プレバイオティックおよび/または繊維を含むことができる。多くの形態の「繊維」が、あるレベルのプレバイオティック効果を示す。したがって、「プレバイオティック」として分類され得る物質と、「繊維」として分類され得る物質との間には、かなりの重複が認められる。前記組成物および方法における使用のために好適であるプレバイオティックの限定されない例には、オオバコ、フルクトオリゴ糖、イヌリン、オリゴフルクトース、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖キシロオリゴ糖、ダイズオリゴ糖、グルコオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、アラビノガラクタン、アラビンキシラン(arabinxylan)、ラクトスクロース、グルコマンナン、ラクツロース、ポリデキストロース、オリゴデキストラン、ゲンチオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、キサンタンガム、アラビアゴム、ヘミセルロース、難消化性デンプンおよびその誘導体、ならびにそれらの混合物および/または組合せが含まれる。前記組成物は、1日あたり、または1日1回未満のスケジュールで約100mg〜約100g、代替では約500mg〜約50g、代替では約1g〜約40gのプレバイオティックを含むことができる。
【0329】
本明細書において記載される技術の様々な局面はまた、短鎖脂肪酸(SCFA)および中鎖トリグリセリド(MCT)を含む。短鎖脂肪酸は、免疫調節(すなわち、免疫抑制)効果を有する可能性があり、したがって、それらの産生(すなわち、発酵による生合成または転換)が、自己免疫障害および/または炎症性障害の防止、抑制、軽減および処置のために好都合である(Lara-Villoslada F. et al., 2006. Eur J Nutr. 45(7):418-425)。無菌マウスおよびバンコマイシン処置の通常飼育マウスにおいて、SCFA(酢酸、プロピオン酸または酪酸)の投与により、大腸におけるTregの正常な数が回復した(Smith PM, et al. Science. 2013; 569-573)。短鎖脂肪酸(SCFA)がキシロース発酵の副産物として一部の細菌によって産生される。SCFAは、腸内ミクロビオーム(具体的には、クロストリジウム属、ルミノコッカス属またはブラウチア属のメンバーを含めてクロストリジウム科)によって産生される最も多い代謝産物の1つである。いくつかの局面において、薬学的組成物、投薬形態物またはキットは、当該組成物、投薬形態物またはキットが1つまたは複数の免疫調節性SCFA(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸または吉草酸)のレベルを増大させることができるように、少なくとも1つのタイプの微生物(例えば、1つまたは複数の微生物種(例えば、細菌種、あるいは、特定の微生物種の2つ以上の菌株など)と、少なくとも1つのタイプのプレバイオティックとを含む。任意で、前記薬学的組成物、投薬形態物またはキットはさらに、SCFAを産生する1つまたは複数の発酵経路および/または生合成経路の1つまたは複数の基質を含んでもよい。ある特定の態様において、前記組成物、投薬形態物またはキットを哺乳動物対象に投与することにより、1つまたは複数のSCFAが当該哺乳動物対象においておよそ1.5倍、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、または100倍超で増大する。いくつかの態様において、ディスバイオシスが、短鎖脂肪酸を産生する微生物の欠乏によって引き起こされる。したがって、いくつかの態様において、前記プロバイオティック組成物は、短鎖脂肪酸を産生する細菌の種を含有することができる。
【0330】
MCTは、長鎖脂肪酸または超長鎖脂肪酸のような修飾を必要とすることなく、胃腸管から門脈系に受動的に拡散する(より長い脂肪酸はリンパ系に吸収される)。加えて、MCTは胆汁塩を消化のために必要としない。栄養不良症候群または吸収不良症候群の患者が、MCTは吸収、使用または貯蔵のためにエネルギーを必要としないので、MCTにより処置される。中鎖トリグリセリドは、ヒト身体によってほどよく容易に代謝されることが見出される生物学的に不活性な良好なエネルギー源であると一般にみなされている。中鎖トリグリセリドは、潜在的に有益な特質をタンパク質代謝において有しており、しかし、ケトン生成および代謝性アシドーシスを誘発するそれらの傾向のために一部の状況では禁忌となる場合がある。身体によって急速に吸収され得るために、中鎖トリグリセリドは、様々な吸収不良病状の処置において用途が見出されている。低脂肪食に関するMCT補充が、原発性腸リンパ管拡張症(Waldmann病)のための処置の土台として記載されている。様々なMCTが経口用栄養エマルションにおける成分である。
【0331】
本明細書においてまた意図されるものが、前記コンソーシアムのメンバーのすべてを混合物において含むか、あるいは、前記コンソーシアムのメンバーのすべてを部分組合せまたは部分混合物において含む微生物コンソーシアム調製物または微生物コンソーシアム配合物を最小限で含むキットである。いくつかの態様において、前記キットはさらに、開業医によって充填されるための空のカプセル、ならびに/あるいはそのようなカプセルを腸溶性被覆するための1つまたは複数の試薬を含む。前記微生物調製物が、乾燥された凍結乾燥形態または粉末化形態で提供されることもまた、本明細書において意図される。1つの態様において、前記キットは、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも4菌株を含む。別の態様において、前記キットは、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツム、C. サルジニエンシス、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される少なくとも4菌株を含む。別の態様において、前記キットは、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスからなる群より選択される少なくとも4菌株を含む。別の態様において、前記キットは、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される少なくとも4菌株を含む。1つの態様において、前記キットは、バクテロイデス・テタイオタオミクロンまたはバクテロイデス・フラギリスと、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、バクテロイデス・オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、プレボテラ・タンネラエ、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスム、クロストリジウム・スポロスフェロイデス、ジアリスター・プロプリオニクファセインス、ジアリスター・スクシナチフィルス、パラバクテロイデス・ジスタソニス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイ、パラバクテロイデス・メルダエ、ペプトストレプトコッカス・アナエロビウス、スブドリグラヌルム・バリアビレおよびベイロネラ・ラッチからなる群より選択される少なくとも1菌株を含む。1つの態様において、前記キットは、バクテロイデス・テタイオタオミクロンまたはバクテロイデス・フラギリスと、クロストリジウム・ラモスム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ヒラノンシス、クロストリジウム・ビフェルメンタンス、クロストリジウム・レプツム、クロストリジウム・サルジニエンシス、クロストリジウム・ハテワイ、クロストリジウム・ネキシレ、クロストリジウム・ヒレモナエ、クロストリジウム・グリシルリジニリチクム、クロストリジウム・シンデンス、クロストリジウム・ラバレンス、クロストリジウム・フィメタリウム、クロストリジウム・シンビオスムおよびクロストリジウム・スポロスフェロイデスからなる群より選択される少なくとも1菌株を含む。別の態様において、前記キットは、前記微生物を嫌気性条件のもとで成長させるために、維持するために、および/またはカプセル封入するために、少なくとも1つの還元剤(例えば、N-アセチルシステイン、システインまたはメチレンブルーなど)を含む。本明細書において記載されるキットはまた、微生物調製物を拡大するために必要である細胞成長培地および補充物を含むことが意図される。本明細書において記載されるキットはまた、本明細書において記載されるような1つまたは複数のプレバイオティックを含むことが意図される。
【0332】
前記細菌組成物を投与する前に、患者は任意で、当該細菌組成物を受けるために胃腸管を整えるための前処置プロトコルを有する場合がある。ある特定の態様において、例えば、患者が、非常に回復しやすい病原体による急性感染症を有するときなどには、前記前処置プロトコルが勧められる。他の態様において、例えば、前記感染症を引き起こす前記病原体が回復しやすいものではない場合、または、前記患者が、首尾よく処置された急性感染症を有したことがあり、しかし、前記感染症が再発するかもしれないことが医師によって心配される場合には、前記前処置プロトコルは完全に随意的である。これらの場合において、前記前処置プロトコルは、前記細菌組成物が患者のミクロビオームに影響を及ぼし得ることを高めることができる。代替となる態様において、前記対象は抗生物質による前処置を受けない。
【0333】
患者を前記微生物生態系の投与のために整えるための1つの方法として、少なくとも1つの抗生物質を、前記患者の細菌を変化させるために投与することができる。患者を前記微生物生態系の投与のために整えるための別の方法として、患者を結腸内視鏡検査のために整えるために使用されるなどの標準的な結腸洗浄調製剤を、結腸の内容物を実質的に空にするために前記患者に投与することができる。「結腸の内容物を実質的に空にする」によって、この適用は、結腸内容物の通常量の内容物の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または約100%を除くことを意味する。抗生物質処置は結腸洗浄プロトコルの前に行うことができる。
【0334】
患者が抗生物質を感染症の処置のために受けていたならば、または患者が抗生物質を具体的な前処置プロトコルの一部として受けていたならば、1つの態様において、当該抗生物質は、前記細菌組成物が投与される前に当該抗生物質が腸内の濃度において実質的に低下することを可能にするための十分な時間で中止されなければならない。1つの態様において、前記抗生物質は、前記細菌組成物の投与の1日前、2日前または3日前に中断される場合がある。1つの態様において、前記抗生物質は、前記細菌組成物が投与される前に、抗生物質半減期の3倍、4倍、5倍、6倍または7倍にわたって中断することができる。前記前処置プロトコルが急性感染症の処置の一部であるならば、前記抗生物質は、当該感染症が当該抗生物質に対して感受性であり、しかし、前記細菌組成物における構成成分が当該抗生物質に対して感受性でないように選ばれる場合がある。
【0335】
本明細書において記載される調製物のどれもが、1回の時期に基づいて、または多数回の時期に基づいて1回、例えば、数日間にわたって1日に1回、または投与日において1日に2回以上(1日2回、1日3回、または最大で1日5回を含む)投与することができる。あるいは、調製物は、設定されたスケジュールに従って間欠的に、例えば、週に1回、月に1回、または患者が原発性疾病から再発するときに投与することができる。別の態様において、調製物は、保護効果または治療効果の維持を保証するために長期的に投与することができる。
【0336】
1つの態様において、有益な生物(例えば、バクテロイデス・テタイオタオミクロン)のコロニー形成を高めることが公知である少なくとも1つの細菌種を含む第1の微生物コンソーシアムが、第2の微生物コンソーシアムの投与に先立って対象に投与される。
【0337】
本明細書において記載される別の局面は、微生物コンソーシアムのコロニー形成および/または持続性を増強するための方法であって、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される少なくとも4つの細菌菌株を含む第1の微生物コンソーシアムを、クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスからなる群より選択される少なくとも4つの細菌菌株を含む第2の微生物コンソーシアムを投与する前に対象に投与することを含み、前記第1の微生物コンソーシアムが前記第2の微生物コンソーシアムのコロニー形成および/または持続性を増強する方法に関連する。
【0338】
クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスからなる群より選択される少なくとも4つの細菌菌株を含む第1の微生物コンソーシアムが、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される少なくとも4つの細菌菌株を含む第2の微生物コンソーシアムを投与する前に対象に投与されることもまた、本明細書において意図される。
【0339】
クロストリジウム・ラモスム、C. シンデンス、C. ヒラノンシス、C. ビフェルメンタンス、C. レプツムおよびC. サルジニエンシスからなる群より選択される少なくとも4つの細菌菌株を含む第1の微生物コンソーシアムが、バクテロイデス・フラギリス、B. テタイオタオミクロン、B. オバツス、パラバクテロイデス・ゴルドステイニイおよびプレボテラ・タンネラエからなる群より選択される少なくとも4つの細菌菌株を含む第2の微生物コンソーシアムとの組合せで(例えば、同時に)対象に投与されることもまた、本明細書において意図される。
【0340】
効力
典型的には、食物アレルギー応答が下記の症状または徴候の1つまたは複数とともに現れ得る:(i)深部体温の顕著な低下、(ii)総IgEの増大、(iii)アレルゲン特異的IgEの増大、(iv)肥満細胞の増殖、(v)肥満細胞顆粒プロテアーゼ1(MMCP-1)の放出、および(vi)Th2細胞への傾斜の増大。したがって、本明細書において記載される方法および組成物を使用する食物アレルギーの有効な処置および/または防止により、上記で記載されるような食物アレルギーに伴う症状または徴候の少なくとも1つを軽減することができ、または排除することができる。「軽減された」症状または徴候は、少なくとも20%軽減された、少なくとも30%軽減された、少なくとも40%軽減された、少なくとも50%軽減された、少なくとも60%軽減された、少なくとも70%軽減された、少なくとも80%軽減された、少なくとも90%軽減された、少なくとも95%軽減された、少なくとも98%軽減された、または、それどころか少なくとも99%もしくはさらなる軽減を意味する。これらのパラメーターのそれぞれを測定するための様々な方法が当業者には公知である。
【0341】
本明細書において記載される方法および組成物により、アナフィラキシーを伴う、またはアナフィラキシーを誘発する食物アレルギーの処置または防止、すなわち、IgE媒介のヒスタミン放出、または肥満細胞および好塩基球の直接的なアレルゲン媒介脱顆粒、ならびに結果として生じる病理の処置または防止がもたらされる。限定されない例には、本明細書において他のところで記されるが、とりわけ、ピーナッツ、堅果および甲殻類に対するアレルギーまたはアナフィラキシー反応が含まれる。食物感受性、例えば、ラクトース不耐性またはグルテン不耐性が種々の機構を伴う。本明細書において記載されるような微生物コンソーシアムが、(例えば、ディスバイオティック状態を軽減し、または排除し、それにより、腸の炎症を軽減することによって)食感感受性の人々に利益を与え得ることが意図されるが、食物感受性と、食物アレルギーとの区別は、特に留意されなければならない。まず第一に、感受性はアナフィラキシー反応を誘発させない。
【0342】
食物アレルギーの効果的な防止を、受け入れられている動物モデル(例えば、本明細書において記載される動物モデル、または当業者には公知である他の動物モデルなど)を使用して評価することができ、ただし、この場合、前記動物を微生物コンソーシアム処置の非存在下で所与の食物アレルゲンに対して感作する処置計画は、本明細書において記載されるような保護的微生物コンソーシアムが投与される動物において実質的なアレルギー反応を誘発することができない。本明細書において使用される場合、用語「実質的なアレルギー反応を誘発することができない」は、本明細書において記載されるような保護的または治療的な微生物コンソーシアムが投与されないことを除いてアレルゲンに対して感作された動物において見られる(上記で記載される判断基準(i)〜(vi)の1つまたは複数によって測定されるような)アレルギー応答の20%未満が認められることを意味する。ヒトの臨床診療において、防止または治癒を、所与の微生物コンソーシアムの投与、続いて、医院または病院環境での管理された状況のもとでのアレルゲンの投与によって評価することができる。防止については、前記微生物コンソーシアムを、所与の食物アレルゲンに対する患者の最初の曝露の前、または、所与の食物アレルゲンの患者による最初の消費の前に投与することができる。立証された食物アレルギーのための治療については、前記微生物コンソーシアムを本明細書において記載されるように投与し、続いて、当該食物アレルゲンを管理された臨床環境において消費させることができる。アレルギー反応の欠如、または、それどころか、前記アレルゲンに対する患者の以前のアレルギー反応と比較して、軽減されたアレルギー反応(すなわち、少なくとも20%軽減された、少なくとも30%軽減された、少なくとも40%軽減された、少なくとも50%軽減された、少なくとも60%軽減された、少なくとも70%軽減された、少なくとも80%軽減された、少なくとも90%軽減された、少なくとも95%軽減された、少なくとも98%軽減された、または、それどころか少なくとも99%もしくはさらなる軽減)が、効果的な処置の証拠である。
【0343】
前記微生物コンソーシアムの反復投与が、保護効果または治癒効果を維持するために有益である場合がある。
【0344】
加えて、特定の配合物の効力を、本明細書において記載されるように、または当技術分野において公知であるようにインビトロにおいて、あるいは、インビボまたはインサイチューでのマウスモデルにおいて求めることができる(例えば、Noval Rivas et al. J Allergy Clin Immunol(2013)131(1):201-212、またはNoval Rivas et al., Immunity(2015)42:512-523、これらの内容はそれぞれ、それらの全体が本明細書において組み入れられる)。
【0345】
「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」の単数用語は、文脈が明らかにそうでないことを示している場合を除き、複数の指示対象を包含する。同様に、「または(あるいは、もしくは)」という語は、文脈が明らかにそうでないことを示している場合を除き、「および(ならびに)」を包含することが意図される。本明細書において記載される方法および材料と類似する、または同等である方法および材料を、本開示の実施または試験において使用することができるにもかかわらず、好適な方法および材料が下記において記載される。略語「e.g.(例えば)」は、ラテン語のexempli gratiaに由来するものであり、限定されない例を示すために本明細書において使用される。したがって、略語「e.g.(例えば)」は、用語「for example(例えば)」と同義である。
【0346】
細胞生物学および分子生物学における一般的な用語の定義が下記において見出され得る:“The Merck Manual of Diagnosis and Therapy”、第19版、発行:Merck Research Laboratories、2006年(ISBN 0-911910-19-0);Robert S. Porter et al.(eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology、発行:Blackwell Science Ltd.、1994年(ISBN 0-632-02182-9);Benjamin Lewin, Genes X、発行:Jones&Bartlett Publishing、2009年(ISBN-10:0763766321);Kendrew et al.(eds.)、Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference、発行:VCH Publishers, Inc.、1995年(ISBN 1-56081-569-8)、およびCurrent Protocols in Protein Sciences 2009、Wiley Intersciences、編者:Coligan et al.。
【0347】
別途言及される場合を除き、本発明は、例えば、下記において記載されるように標準的な手順を使用して行われた:Sambrook et al.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual(4 ed.)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、USA(2012);Davis et al.、Basic Methods in Molecular Biology、Elsevier Science Publishing, Inc.、New York、USA(1995);またはMethods in Enzymology: Guide to Molecular Cloning Techniques Vol.152、S. L.Berger and A.R.Kimmel Eds.、Academic Press Inc.、San Diego、USA(1987);Current Protocols in Protein Science(CPPS)(John E. Coligan, et. al., ed.、John Wiley and Sons, Inc.)、Current Protocols in Cell Biology(CPCB)(Juan S. Bonifacino et. al. ed.、John Wiley and Sons, Inc.)、およびCulture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique、R.Ian Freshney、発行者:Wiley-Liss;第5版(2005)、Animal Cell Culture Methods(Methods in Cell Biology、Vol.57、編者:Jennie P.Mather and David Barnes、Academic Press、第1版、1998)、これらはすべて、それらの全体が参照により本明細書において組み入れられる。
【0348】
他の用語は本発明の様々な局面の説明の中で本明細書において定義される。
【0349】
本出願の全体にわたって引用されるすべての特許およびその他の刊行物(文献参照物、発行された特許、公開された特許出願、および同時係属中の特許出願を含む)は、例えば、本明細書において記載される技術に関連して使用されるかもしれない、そのような刊行物において記載される方法論を記載し、また、開示するという目的のために参照により本明細書において明示的に組み入れられる。これらの刊行物は、本出願の出願日の前におけるそれらの開示のためにだけ提供される。この点では何ものも、本発明者らには、先行発明によって、またはどのような他の理由によってでも、そのような開示に先立っている資格がないことを認めるものとして解釈してはならない。これらの文書の内容に関する日付または表現に関するすべての言及は、本出願者らに入手できる情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正しさに関して何ら認めるものではない。
【0350】
本開示の様々な態様の説明は、包括的であるように、または、本開示を開示されたまさにその形態に限定するように意図されていない。本開示の具体的な態様および本開示についての具体的な実施例が例示目的のために本明細書において記載されているが、様々な同等な改変が、当業者が認識するであろうに開示の範囲の範囲内において可能である。例えば、方法の工程または機能が所与の順序で示されるが、代替の態様では、様々な機能が、異なる順序で成し遂げられる場合があり、または様々な機能が実質的に同時に成し遂げられる場合がある。本明細書において提供される開示の教示は、適するように他の手順または方法に適用することができる。本明細書において記載される様々な態様は、さらなる態様を提供するために組合せることができる。本開示の様々な局面が、必要ならば、上記の参考文献および出願の組成物、機能および概念を用いて、本開示のなおさらなる態様を提供するために改変され得る。そのうえ、生物学的な機能的同等性が考慮されるために、いくらかの変更を、種類または量における生物学的または化学的な作用に影響を与えることなく、タンパク質構造において行うことができる。これらの変更および他の変更を、詳細な説明に照らして本開示に対して行うことができる。すべてのそのような改変が、添付された請求項の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【0351】
前述の態様のいずれかの様々な具体的な要素は他の態様において組み合わせることができ、または、他の態様において様々な要素の代わりに使用することができる。さらに、本開示のある特定の態様に関連する様々な利点がこれらの態様の状況において記載されているが、他の態様もまた、そのような利点を示す場合があり、また、必ずしもすべての態様が、本開示の範囲の範囲内に入るようにそのような利点を必然的に示す必要はない。
【0352】
本明細書において記載される技術が、さらに限定であるとして決して解釈してはならない下記の実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0353】
本明細書において、例えば、図面および他のところにおいて提供されるデータは、数種の種(すなわち、例えば、2種、3種、4種、5種または6種の種)からなる微生物コンソーシアムが、マウスモデルにおいて食物アレルギーを発症することを防ぐことができることを示す。細菌のそのようなコンソーシアムによる処置はTregのTH2プログラミングを逆行させることができる。ヒトにおける微生物の類似する微生物コンソーシアムを使用する食物アレルギーの処置および/または防止が具体的に示される。
【0354】
食物アレルギーのマウスモデルにおける微生物コンソーシアムの効力を試験するための、または測定するためのさらなる方法が当技術分野において公知であり、かつ/または、例えば、下記において見出され得る:Noval Rivas et al. J Allergy Clin Immunol(2013)131(1):201-212、またはNoval Rivas et al., Immunity(2015)42:512-523(これらの内容はそれぞれ、それらの全体が本明細書において組み入れられる)。
【0355】
実施例1:食物アレルギーを処置するための治療用微生物叢
概要
食物アレルギーは、増大しつつある国家的問題の1つであり、6%の子供、ならびに3%の米国の十代および成人に影響を与えている。これらの子供およびそれらの家族にとって残念なことに、標準治療は依然として、有害な食物を避け、症状が現れたら症状を管理することである。経口脱感作を単独で使用する、または抗IgE(Omalizumab(商標))とともに使用する様々な治療法の成功は限定されており、依然として実験的なままである。異常な免疫応答を標的とする治療法が求められている。そのようなものとして、本研究では、Th2/アレルギー応答の影響を防止または緩和することができる寛容化応答を促進させるための治療的介入としての腸内微生物叢の使用が示される。
【0356】
様々な食物アレルギーが、食品材料に対するTh2アレルギー応答の発達とともに生じており、このことは、そのような応答を粘膜により緩和するT調節応答を寛容化することとは対照的である。Th2応答は、調節性応答とは対照的であるが、これらの効果を阻害する食物抗原特異的IgE抗体および粘膜肥満細胞の動員を促進させる。1つまたは複数の食物抗原に対して感作されると、再曝露により、生命を脅かすアナフィラキシー応答が誘導され得る。寛容化応答を促進させることができることが、既に感作された患者におけるのと同様に曝露の初期段階において作用して、様々な食品材料にわたる異常なアレルギー応答を防止することが可能である広範囲にわたる治療的アプローチを裏づけている。
【0357】
食物アレルギーの遺伝的感受性のIL4RA F709マウスモデル[1,2]を利用して、食物アレルギーの防止および治癒の両方を前臨床モデルにおいてもたらすことができる定義されたヒト共生生物群集が開発されている。これらの群集では、患者のための新しい治療経路、すなわち、腸管の内腔側(腸内微生物叢が存在する空間)からの免疫調節が利用される。ヒトの腸内微生物叢は、免疫系を成熟させること、必須栄養素(例えば、B群ビタミンおよびビタミンKなど)を提供すること、ならびに、食事性化合物および外因性化合物(薬物および摂取された食品材料を含む)の消化および代謝を助けることからの、ヒトの正常な発達および健康状態における非常に重要な機能を提供する何百種類の種からなる。
【0358】
背景
治療用コンソーシアムは、保護的な調節性T細胞応答を腸において刺激する定義された培養可能なヒト共生菌株からなる。2つの保護的な群集が開発されている:Gut-Protect I(GP-I)、およびGut-Protect II(GP-II)。すべてが完全またはコンティグレベルのゲノム配列を有しており、それぞれの群に由来する選ばれたメンバーを遺伝子操作することができる。加えて、悪化した影響を明らかにする第3の群集(陰性対照コンソーシアム、Neg-CC)が開発されており、この群集は、インビボでのディスバイオティック影響、および、診断と、処置の選択とを助けるための潜在的なバイオマーカーに関するさらなる情報を提供しつつある。
【0359】
(1)Gut-protect I:処置保護効力および処置治癒効力がIL4RA F709マウスの食物抗原感作において明らかにされた、培養可能な腸内共生菌の群集。
【0360】
(2)Gut-protect II:動物モデルにおけるロバストな処置防止効力と、Gut-protect Iよりも小さいロバストな処置治癒効力とが明らかにされた、培養可能な腸内共生菌の群集。宿主に投与される標準溶液において、この群集は、Gut-protect I群集よりも周囲大気への曝露に対する許容性について優れている。
【0361】
(3)陰性対照群集:処置防止計画および処置治癒計画において食物抗原感作を促進させる、培養可能な腸管共生菌の群集。この群集は食物アレルギーにおけるディスバイオシスの性質を定義しており、かつ、食物アレルギーの発症に対する感受性を高める微生物叢由来因子を予測し得るかもしれないバイオマーカーの開発を裏づけている。
【0362】
卵に対する食物アレルギーの前臨床モデルにおいて、アジュバントの使用を必要としない感受性マウスモデルを利用して、GP-IおよびGP-IIはそれぞれが、処置防止効力を、アレルギー誘発食品材料に対する感作の期間において使用されたときに明らかにした。GP-Iはまた、生命を脅かすアナフィラキシー応答が再曝露によって誘導されるであろうという点で、卵タンパク質に対して既に感作されている動物において使用されたとき、処置治癒計画において効果的であった。対照的に、陰性対照群集は影響を悪化させたが、食物アレルギーの発達の一因であるかもしれない根底にあるディスバイオシスに関するさらなる洞察を提供しており、その一方で、危険性のある個体、または微生物療法が有効であるかもしれない個体を特定するための潜在的なバイオマーカーもまた提供している。
【0363】
コンソーシアムの開発
マウスでの前臨床試験において、成分のメンバーを適切な嫌気性条件のもと、富栄養培地において個々に成長させ、バイオマスについて定量化し、その後、コンソーシアムをほぼ等しいバイオマスのそれぞれの成分生物と嫌気性条件のもとで混合して、約5.0×10
8コロニー形成単位(CFU)/mLの最終濃度にする。それぞれの種についての投入培養量は100 mL〜1 Lの範囲であった。必要に応じて、定常期バイオマスが5×10
8 CFU/mL未満である培養物は、嫌気性条件のもとで取り扱われる再懸濁を伴う遠心分離によって濃縮される。
【0364】
混合されたとき、総バイオマスが依然として、約5×10
8 CFU/mLのままである。嫌気性/予め還元された雰囲気にて2 mLのアリコートをクライオバイアルに入れ、液体窒素で急速凍結し、使用まで-80℃で貯蔵する。急速凍結は、対数で1/2未満の影響を成分生物のバイオマスに対して有し、動物モデルにおける効力に対しては影響を何ら有していないことが示されている。研究のために、チューブを解凍し、マウスに、200 uLのこの溶液を経口強制投与によって週1回〜週2回投与し、これにより、総導入バイオマスを1×10
8 CFU/マウスとした。成体マウスにおける(胃から肛門までの)腸内容物の測定値は、材料について4〜8 mLの範囲である。したがって、強制投与されたコンソーシアムはマウスの腸における内容物の総体積の2.5〜5%であり、小腸における内容物の体積の10%超である。
【0365】
通常の微生物叢に由来する既存の微生物バイオマスに関して、マウス小腸は平均では、近位十二指腸において約10
4 CFU/mLを有し、回腸において10
8 CFU/mLにまで増大する。バイオマスが、盲腸および結腸において10
9〜10
10 CFU/mLにまで増大する。調節性T細胞応答を促進させるためのコンソーシアムの主要な作用部位であるマウス小腸における様々な場所での微生物バイオマスの観点から、コンソーシアムは十二指腸微生物叢のバイオマスの10,000倍であり、空腸および回腸の微生物叢のバイオマスの1〜2倍である。
【0366】
比較において、成人の腸には、4.5 Lの物質を含有し得、そのうちの1 Lが、摂取された食品材料に関連し、3.5 Lが、唾液、胆汁、ならびに膵臓および腸からの他の液体を含む分泌物である[3]。これらの液体および電解質は、便の圧縮および通過の後、大部分が右結腸において再吸収される。腸内において、生物のバイオマスもまた変化し、盲腸および結腸の右側において最大濃度である(10
10〜10
12 CFU/mL)。対照的に、小腸において、すなわち、考えられる作用部位において、バイオマスはまた、十二指腸における10
4 CFU/mLから、回腸における10
8 CFU/mLにまで及ぶ[4,5]。
【0367】
ヒトでの投薬
ヒトのためのCFU/用量は下記のパラメーターに基づく。
【0368】
(1)ヒト便の経口カプセル配合物によるC. ディフィシレの処置:OpenBiomeおよび他のグループから得られるデータは、1回の用量あたり与えられる12個〜30個のカプセルの範囲で3〜5×10
9 CFUを投与するカプセル配合物による、C. ディフィシレ大腸炎の処置の成功を示している[6]。12個のカプセルによる標準的計画では、およそ4.2×10
9 CFUが1回の用量あたり送達されることが予想される。
【0369】
(2)小腸の微生物叢を変化させて、免疫調節を促進させる。内容物を近位小腸において放出するカプセル封入配合物は、3〜5×10
9 CFUの用量を送達することになり、これは十二指腸バイオマスを10,000倍上回り、空腸および回腸における群集に関して1:1の比に近い。
【0370】
ナノ粒子を液体において、コロニー形成および生存性を増強するための必要に応じたプレバイオティック化合物、または再構成された凍結乾燥物とともに含む他の配合物が意図され、しかしながら、酸素に対する曝露を防止しなければならないことを考慮すると、また、貯蔵および投与の容易さのために、最初の配合では、カプセル封入物が使用される。
【0371】
投与
成分種の偏性的嫌気性を考慮すると、第I相試験では、下記の特性を有するカプセル封入配合物が使用されるであろう。
【0372】
ステージI:
・成人または8歳超の子供によって飲み込まれ得ること。
・酸素を排除すること。
・体積を、1回の用量あたり15個以下のカプセルを摂取することが必要とされるように保持すること。
・冷凍保存(-20℃または-80℃)および投与前の解凍が可能であること。
・内容物を、胃を通過した後で放出すること。
【0373】
1つの態様において、経口FMT療法のためにOpenBiome(商標)によって使用されるカプセルは、GP-IおよびGP-IIの混合物をカプセル封入するために使用される[4]。他の選択肢もまた商業的に利用可能であり、本明細書において意図される。いくつかの態様において、カプセルは、投与前に解凍され、かつ、小腸内にまで無傷で生き延びる材料を用いて無酸素下でカプセル封入される、(適切な製造物を保証するための)凍結材料からなる。
【0374】
培養規模
動物研究では、100〜1000mLの範囲でのパイロット培養物を使用した。ヒト用の用量物を作製するために、培養は少なくとも10倍スケールアップされる。以下の工程が本明細書において意図される。
(1)異なる培地条件において成長曲線を実行する。これは成長条件を最適化し、OD600をプレーティングバイオマスと相関させるためである。
(2)成分のメンバーを液体培地において嫌気的に成長させる。培地を予め還元し、最大の培養密度を保証するためのある程度の撹拌とともに(例えば、150rpm)(または撹拌/発酵槽バッフルを用いて)37℃でインキュベーションする。発酵槽システムに依存して、窒素または嫌気性ガス混合物を、嫌気性条件を維持するために散布することができる。しかしながら、成分種のどれもが、適切な酸/塩基バランスを維持することを超えて、H
2またはCO
2を成長のために必要としない。
(3)選ばれたメンバーを、所望の投入密度を得るために必要に応じて濃縮する:これは一般には、嫌気性条件のもとでの上清の抜き取り、およびより少量の新しい培養培地または適切な懸濁緩衝液における再懸濁を伴って、5〜10K RPMでの遠心分離によって行われる。新しい培養密度がOD600の読み取りによって確認され、生存性が、固体培地へのプレーティングによって確認される。
(4)培養物を集めて、組み合わされたコンソーシアムにする:OD600の読み取りから得られる推定されたバイオマスを使用して、体積を推定し、集合体を調製する。
(5)カプセルを調製する:これは、生存性を保つために嫌気性条件のもとで行われる。
(6)カプセルを貯蔵する:臨床的に利用可能な状態(例えば、-20℃)で貯蔵するために最適である。
(7)品質管理:前の工程および培地についてのQCに加えて、最終的な群集は、適切な種が存在することを保証するために、また、所望の生存可能なバイオマスにおいて評価されるであろう。前臨床研究のための材料に関する分析では、qPCRに基づく方法による16S rRNA遺伝子の系統型決定が使用された。メタゲノムアプローチもまた、非細菌種またはウイルスによる混入を除外するために使用される場合がある。
【0375】
成長条件が、規模に応じた培養のために最適化されることが、本明細書においてさらに意図される。
【0376】
いくつかの態様において、様々な培地配合物が、食品材料における感作抗原に関連し得る動物産物および/または基質を欠くように開発される。加えて、当業者は、接種物に対する添加物が生存性をカプセルにおいて高め、そして、放出されると、インビボにおいて高めるかどうかを評価することができる。材料は防腐剤およびプレバイオティック化合物を含むことができる。
【0377】
ステージII:
本明細書において記載されるコンソーシアムは、乳児および幼児に投与することができる液体配合物として配合されることが、本明細書においてさらに意図される。そのような配合物は、限定された耐気性を有する胞子非形成性の偏性嫌気性菌を利用して、加えて、周囲空気における、また、消化管に入ったときの酸素に対する短期間の曝露を和らげるために還元性因子を液体処方物に含んで、胞子形成種からの胞子の混合物を含むことが、本明細書において意図される。これまで乳児において治療的に使用され、ロバストな安全性プロファイルを有する化合物(例えば、アミノ酸のシステインまたはn-アセチルシステインなど)が意図される[7,8]。
【0378】
配合物を試験する際の使用のためのさらなる前臨床動物モデルには、例えば、ヒトおよびブタの両方の食餌において一般的な食品材料についてのものを含めて、食物アレルギーの新生仔ブタモデルが含まれる[9]。
【0379】
参考文献:
【0380】
実施例2:ヒトおよび動物での研究から得られるデータのためのOTUクラスター化方法
16S rRNA遺伝子の系統型決定のためのDNA抽出および配列決定。 16S rDNA遺伝子のV4領域にわたる多重化アンプリコンライブラリーを、厚い細胞壁を有するグラム陽性共生菌の溶解を増強するための独自の改変を伴うMO BIO(商標)Power-Fecal(商標)DNA単離キット(MO BIO(商標)Laboratories)を使用して、ヒト便、マウス便ペレット、または急速凍結された腸組織の様々な区域から抽出されたDNAから作製した。ライブラリー調製物の残りは、二重インデックスバーコードとともに[1]のプロトコルに従った。まとめられたライブラリーが、対形成末端の250bpの読み取りをIllumina(商標)MiSeqプラットフォームで行うことにより配列決定される。まとめられたライブラリープールを、製造者の説明書に従ってPippin(商標)prep 1.5%アガロースカセット(Sage Sciences(商標))で300bpから500bpまでサイズ選択した。プール物の濃度をqPCR(Kapa Biosystems(商標))によって測定し、低い塩基多様性をIllumina(商標)の標準的な負荷プロトコルに従って補うための20% phiX spike-inとともに6〜9pMでMiSeq(商標)(Illumina(商標))に負荷する。
【0381】
16S rRNAデータの前処理。 配列決定は、品質フィルタリング後にサンプルあたり10〜50 Kの使用可能な読み取りを得ることを目的とする。未処理の配列決定読み取りを、ノイズ除去、品質フィルタリング、16S rDNA遺伝子配列のARB Silva参照データベースに対するアライメント、および、97%の同一性での操作的分類単位(OTU)へのクラスター化を行うmothurソフトウェアパッケージ(v.1.35.1)[2]ならびに特注のPythonスクリプトおよびRスクリプト[3]を使用して処理した。
【0382】
16S rRNAデータの分析。 微生物分類群(OTU)の存在量における、対照対象と、食物アレルギー対象との間での差異について統計学的に調べるために、DESeq2ソフトウェアパッケージを、宿主の共変量(例えば、ヒトコホートにおける年齢、食物アレルギー状態、食餌および抗生物質使用など)に対する分析を裏づけるために用い、有意差を示すOTUを、(1)0.1以下の調整されたp値、(2)対照群または食物アレルギー群のどちらかにおける0.01以上の相対的存在量、(3)2以上のlog2(変化倍率)の絶対値によって定義した。
【0383】
分類学的呼び出しの分解能を向上させ、系統学的関係を示すために、個別の方法で、個々のOTUの系統学的配置を行うためのpplacerソフトウェアパッケージが使用された[4]。Pplacerでは、尤度に基づく方法論が、16S rRNAアンプリコンの短い配列決定読み取りを参照樹に配置するために使用され、また、前記短い配列決定読み取りの分類学的分類もまた、最も少ない共通祖先に基づくアルゴリズムを使用して作製される。系統学的設置のために必要とされる参照樹が、Ribosomal Database Project(RDP)[5]から得られるタイプ株の全長またはほぼ全長(1,200nt超)の16S rDNA配列を使用して作製される。
【0384】
16S rDNAのデータ分析のためのすべての統計学的試験のために、p値を、Benjamini and Hochberg(BH)の方法[6]を使用して多重仮説検定のために調節した。ヒートマッププロットが、独自のRスクリプト[3]を使用して作製される。
【0385】
アルファ多様性の値(サンプルにおいて認められるOTUの多様性に関してのサンプルの豊かさ)を、多様性をそれぞれのサンプルにおいて測定するためにシャノンエントロピーを使用して計算した。ベータ多様性の値(それぞれのサンプルに存在するOTUの差に基づくサンプル間の距離)を、非加重/加重Unifrac非類似度尺度を使用して計算して、全体的な微生物群集構造における差異を評価した。
【0386】
(3)定義された種のOTUマッピング
下記の操作的分類単位により、これらのコンソーシアムがコロニー形成するノトバイオートマウスにおいて特定されるような、定義された種に対してマッピングが行われる。便ペレットを、V4可変領域にわたる上記の16S rRNA遺伝子系統型決定に付した。
【0387】
(表2)16S rRNA V4領域に基づくOTUに対する定義された治療種のマッピング
【0388】
(表3)16S rRNA V4領域に基づくOTUに対するディスバイオティックコンソーシアム種のマッピング
【0389】
(表4)食物アレルギーの発症からの保護に関連するとして縦断的小児ヒトコホートにおいて特定される、さらなる「有益な」OTU
【0390】
(表5)食物アレルギーの発症に関連するとして縦断的小児ヒトコホートにおいて同定される、さらなる「ディスバイオティック」OTU
【0391】
参考文献:
【0392】
実施例3:定義された種の選択において使用される微生物学レベルでの活性
定義されたコンソーシアムにおける種を、宿主における有益な免疫調節性応答に影響を及ぼす能力とともに公知の生化学的機能、免疫学的機能および微生物学的機能に従って選択した。理論によって縛られることを望まないが、微生物学的な作用機構には、下記が含まれ得る。
【0393】
調節性T細胞の発生を、TLR→MyD88および他の免疫細胞経路を介して刺激するための微生物産物のアジュバント効果。 リポテイコ酸(LTA)、菌体外多糖(PSA)、LPS、細菌フラジェリンおよび細菌DNAを含めて共生嫌気性菌由来の主要な微生物抗原の産生は、粘膜T細胞を、アレルギー表現型に対して調節性表現型に傾けるようにtoll様受容体経路を刺激することを介して作用し得る。対照的に、発表されたデータは、陰性対照コンソーシアムのメンバーからの細菌細胞壁分画物が、アレルギー性(Th2)応答および炎症促進性(Th1)応答の両方の異常な刺激を促進し得ることを示している。アレルギーまたは炎症に対して寛容性の方に傾けるこれらの分子の別個の部分が、病原性の免疫応答を誘発することに対して健康な恒常性を維持するように宿主にシグナル伝達する微生物産物を含めて、哺乳動物宿主と、コロニー形成微生物叢との間での相互作用を強調している。
【0394】
代謝の微生物最終産物の粘膜機能および免疫防御機能: 短鎖脂肪酸(SCFA)は、種々の炭素源の嫌気性発酵から生じるさらなる小分子代謝産物であるような微生物の嫌気性発酵の天然の最終産物である。様々な最終産物(例えば、酪酸など)が、一次エネルギー源を消化管上皮に提供し、粘膜位置における寛容化応答の発達に寄与することが示されている。選択されたコンソーシアムでは、腸管内腔に存在し得る単純炭水化物および複合炭水化物の発酵から生じる酪酸およびプロピオン酸の優位性が、食餌および宿主因子の分泌によって生じている。これらの因子は、所望の免疫調節性効果を媒介するために他の微生物活性との組合せで作用する可能性が高いであろう。
【0395】
生化学的活性: 選択された種は胆汁酸変換の完全な補完を行い、また、他のコレステロール誘導体、生体アミン、脂質を含めて様々な他の分子も変換し、加えて、微生物シデロフォアとして役立ち得るアリール炭化水素、集団感知分子および他の代謝中間物の微生物細胞内の産生も行う。そのような代謝産物は、腸粘膜における寛容化応答を促進させることもまた明らかにされている宿主アリール炭化水素受容体(AHR)経路を潜在的に刺激することができる。
【0396】
腸の状態調節: 微生物学的には、コンソーシアムの選ばれたメンバーは、他の種のその後のコロニー形成、生化学的およびさらなる免疫保護的な役割を助けることが知られている。バクテロイデス・フラギリスおよびバクテロイデス・テタイオタオミクロンはともに、定義されたフローラに含まれるとき、バクテロイデス門、フィルミクテス門(Firmicutes)および放線菌門(Actinobacteria)のより選好性のメンバーの成長を助ける。クロストリジウム・ラモスムでは、同程度の効果が、他の共生菌を伴う無菌マウスの規定されたコロニー形成において明らかにされている。効果は多因子的であり、効果には、腸管上皮応答の成熟化、共生フローラのための炭素源として役立ち得る複合糖質の変化した宿主分泌、腸管の蠕動および消化を増強すること、内腔の腸管酸素分圧を低下させ、その結果、より偏性的な嫌気性種が栄え得ること、加えて、代謝産物、ならびに/あるいは、炭素源および/または窒素源、ビタミン、そして他の必須微量栄養素を提供することによってさらなる種の成長を支援する微生物消化の細胞外産物を放出することが含まれる。
【0397】
ディスバイオティック種または病原性種のバイオマスを減少させること: 本発明者らのグループによって実施された動物モデルはまた、腸管保護群集における種が陰性対照コンソーシアムにおけるプロテオバクテリア菌種のバイオマスを減少させ得ることを示している。理論によって縛られることを望まないが、機構的にはこれらのバイオマス減少はまた、アレルギー応答の方に優先的に傾けるこれらの種からの生成物の抗原負荷を減少させる。
【0398】
実施例4:GP-IコンソーシアムおよびGP-IIコンソーシアムは、食物アレルギーを通常飼育の野生型マウスおよびIL4RA F709マウスにおいて防止するための処置において効果的である
コンソーシアムGP-I(クロストリジウム属菌種)およびコンソーシアムGP-II(バクテロイデス門菌種)の保護効果を、通常飼育かつ食物アレルギー易発性のIL4RA F709マウスにおいて調べた。この一連の実験において、動物は通常飼育であり、すなわち、無菌ではなかった。動物を、卵オボアルブミン(OVA)およびブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)による感作を開始する1週間前に1クールの経口広域抗生物質により処置した。抗生物質処置後、マウスは、GP-Iコンソーシアム、GP-IIコンソーシアムまたは陰性対照コンソーシアム(NCC)の週1回の用量と、OVA-SEBの週1回の用量とを、経口オボアルブミンによる8週目での抗原刺激の前に受けた。
図21Aを参照のこと。抗原刺激後、動物を、温度低下(
図21B)、総IgE力価およびOVA特異的IgE力価(
図21C)、肥満細胞プロテアーゼ-1のレベル(
図21D)、小腸へのマスト細胞動員(
図2E)、ならびに、IL-4産生T細胞(
図21Hおよび
図21I)の発達に対するFoxP3+調節性T細胞の発達(
図21Fおよび
図21G)について調べた。データは、クロストリジウム目コンソーシアムおよびバクテロイデス門コンソーシアム(それぞれ、GP-IおよびGP-II)が、これらの判定基準によって測定されるようなアレルギーからの保護をもたらし、その一方で、陰性対照コンソーシアム(「プロテオバクテリア」と表示される)により処置される動物、または、細菌非含有により処置される動物は、明確なアレルギー応答を示したことを明瞭に示す。したがって、GP-IIおよびGP-IIは、食物アレルギーの発症を防止するために効果的である。
【0399】
実施例5:GP-IコンソーシアムおよびGP-IIコンソーシアムは処置防止計画において無菌マウスを保護する
GP-IコンソーシアムおよびGP-IIコンソーシアムの保護効果を、生理食塩水(PBS)またはOVA-SEBにより処置される無菌マウスにおいて調べた。無菌マウスは、OVA-SEBの7回の週1回の感作用量の前に、細菌非含有またはコンソーシアム(GP-IまたはGP-II)のどちらかを受けた(
図22Aを参照のこと)。抗原刺激をOVAにより8週目に行い、マウスを、実施例4において記載されるようなアレルギー反応の証拠について調べた。データ(
図22B〜
図22Hを参照のこと)は、細菌非含有を受ける動物とは異なり、GP-IコンソーシアムおよびGP-IIコンソーシアムが投与された無菌動物は、感作用食物アレルゲンによる抗原刺激を行ったときには、アレルギー反応を実質的に経験しなかったことを明瞭に示す。
【0400】
実施例6:GP-IコンソーシアムおよびGP-IIコンソーシアムは、通常飼育のIL4RA F709マウスにおいて食物アレルギーを治癒し、陰性対照コンソーシアムは治癒しない
食物アレルギーの発症に対して保護的であることが本明細書において示されるコンソーシアムによる処置の前に食物アレルゲンに対して感作された動物はアレルギー感受性が治癒され得るかどうかを調べるために、通常飼育の(すなわち、非無菌の)IL4RA F709マウスを、上記で記載される実験において行われるようにOVA-SEBによる8回の週1回の処置によってオボアルブミンに対して感作した(実験予定表については
図23Aを参照のこと)。その後、動物を抗生物質により処置して、動物の平常時腸内細菌を無力化し、その後、4回の週1回の用量を使用して、GP-Iコンソーシアム、GP-IIコンソーシアムまたはNCCコンソーシアムにより処置した。試験コンソーシアムの4回目の週1回の用量の後、動物をOVAにより抗原刺激した。データは、実施例4および実施例5において調べられる同じ判定基準を試験したものであり、GP-I(クロストリジウム目)コンソーシアムおよびGP-II(バクテロイデス門)コンソーシアムにより処置される動物はアレルギー反応から実質的に保護され、一方、陰性対照(プロテオバクテリア)コンソーシアムを受ける動物は保護されなかったことを示す(
図23B〜
図23Hを参照のこと)。これらのデータは、食物アレルギーが、本明細書において記載される微生物コンソーシアムの投与により発症から保護され得るだけでなく、確立された食物アレルギーもまた、同じ保護的コンソーシアムの投与によって処置され得ることを明らかにする。
【0401】
実施例7:GP-IIコンソーシアム(バクテロイデス門)は、抗生物質によるフローラの事前の抑制を伴うことなく、食物アレルギーからの保護をもたらす
保護を通常飼育のマウスにおいて得るために平常時腸内微生物叢を抗生物質処置により最初に抑制することが必要であるかどうかを調べるために、そのような動物に、GP-IコンソーシアムおよびGP-IIコンソーシアムの8回の週1回の用量を投与したか、または、さらなる細菌処置を施さず、その一方で、マウスを週1回のOVA-SEB処置により8週間にわたってOVAに対して感作した(実験予定表については
図24Aを参照のこと)。OVAによるその後の抗原刺激により、GP-IまたはGP-IIによる処置に先立つ平常時フローラの抑制がない場合、バクテロイデス門コンソーシアム、すなわち、GP-IIは、食物アレルギーの発症からの保護をもたらしたことが明らかにされた(
図24B〜
図24Lを参照のこと)。GP-IIと、GP-Iの種の1種または複数種、あるいはそれどころかすべてとの組合せを投与することにより、改善された効果が初期の応答もしくは保護に関して、かつ/またはそのような保護の持続性にもたらされるであろうことが、特に意図される。
【0402】
実施例8:GP-Iコンソーシアム(クロストリジウム目)は、通常飼育のマウスにおいて、抗生物質を使用することなく食物アレルギーを治癒することができる
通常飼育のマウスにおいて食物アレルギーを治癒するために、平常時腸内微生物叢を抑制することが必要であるかどうかを調べるために、通常飼育の野生型マウスおよびIL4RA F709変異マウスを、OVA-SEBの8回の週1回の用量によりオボアルブミンに対して感作し、続いて、平常時腸内微生物叢を抗生物質により事前に抑制することなく、GP-I(クロストリジウム目)コンソーシアムを4週間にわたって週2回投与した(実験予定表については
図25Aを参照のこと)。抗原刺激を4週間のGP-I投与の後で行ったとき、データは、GP-Iコンソーシアムが、野生型動物およびアレルギー易発性動物の両方において調べられるすべての尺度によってアレルギー症状を軽減させるために効果的であったことを示す(
図25B〜
図25Iを参照のこと)。データは、GP-Iコンソーシアムの投与により、平常時腸内フローラの存在下において食物アレルギーを治癒することができること、すなわち、保護的な微生物コンソーシアム(例えば、GP-Iコンソーシアムなど)を使用して食物アレルギーを効果的に処置するために平常時腸内微生物叢を最初に抑制することは必要でないことを示している。