(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896040
(24)【登録日】2021年6月10日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】内燃機関用ピストンとピストンリングとの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
F02F 5/00 20060101AFI20210621BHJP
F02F 3/00 20060101ALI20210621BHJP
F16J 1/01 20060101ALI20210621BHJP
F16J 9/26 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
F02F5/00 F
F02F3/00 G
F02F3/00 302Z
F16J1/01
F16J9/26 C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-186870(P2019-186870)
(22)【出願日】2019年10月10日
(65)【公開番号】特開2021-63443(P2021-63443A)
(43)【公開日】2021年4月22日
【審査請求日】2019年10月11日
【審判番号】不服2020-6328(P2020-6328/J1)
【審判請求日】2020年5月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000215785
【氏名又は名称】TPR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 加奈江
(72)【発明者】
【氏名】岩下 誉二
【合議体】
【審判長】
田村 嘉章
【審判官】
杉山 健一
【審判官】
尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−214870(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/045745(WO,A1)
【文献】
特開2006−283970(JP,A)
【文献】
特開2006−22666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 5/00
F02F 3/00
F16J 1/01
F16J 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンリングが装着されるピストンリング溝を有し、アルミニウム合金からなる内燃機関用ピストン、及び
該ピストンのピストンリング溝に装着され、上下面のうち少なくともいずれかに水素含有DLC被膜を有するピストンリング、を含む、内燃機関用ピストンとピストンリングの組み合わせであって、
前記アルミニウム合金は、Si含有量が2wt%以下である、内燃機関用ピストンとピストンリングの組み合わせ(但し、Si元素を1at%以上10at%以下含有する水素含有DLC被膜を除き、且つ、Si:0.4〜0.7質量%、Fe:1.4〜2.0質量%、Cu:3.5〜5.5質量%、Ni:0.3〜0.8質量%及びMg:1.5〜2.0質量%を少なくとも含有するアルミニウム合金からなる内燃機関用ピストンを除く)。
【請求項2】
ピストンリングが装着されるピストンリング溝を有し、アルミニウム合金からなる内燃機関用ピストン、及び
該ピストンのピストンリング溝に装着され、上下面のうち少なくともいずれかに水素含有DLC被膜を有するピストンリング、を含む、内燃機関用ピストンとピストンリングの組み合わせであって、
前記アルミニウム合金は、Al−Cu系合金であり、且つSi含有量が0.5wt%以下である、内燃機関用ピストンとピストンリングの組み合わせ(但し、Si:0.4〜0.7質量%、Fe:1.4〜2.0質量%、Cu:3.5〜5.5質量%、Ni:0.3〜0.8質量%及びMg:1.5〜2.0質量%を少なくとも含有するアルミニウム合金からなる内燃機関用ピストンを除く)。
【請求項3】
前記内燃機関用ピストンは、トップリング、セカンドリング及びオイルリングを備え、
該トップリング及びセカンドリングの少なくとも一方が、水素含有DLC被膜を上下面のうち少なくともいずれかに有する、請求項1又は2に記載の内燃機関用ピストンとピストンリングの組み合わせ。
【請求項4】
前記ピストンリングは、側面に水素含有DLC被膜を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関用ピストンとピストンリングの組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用ピストンとピストンリングの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンの高出力化・高回転化に伴い、ピストンへも高い圧力がかかることから、高い強度を有するピストン材を選択する必要が出てきている。高い強度を有するピストン材としては、アルミニウム合金があげられる。
【0003】
アルミニウム合金をピストン材として使用する場合、ピストンに設けられたピストンリング溝が、ピストンに装着されたピストンリングの上下面によって叩かれることで、ピストンリングの上下面にアルミニウム凝着が生じるという問題があった。なお、本明細書においてピストンリングの上面とは、ピストンリング溝にピストンリングを装着した際に燃焼室側に位置する面をいい、ピストンリングの下面とは、ピストンリング溝にピストンリングを装着した際にクランク室側に位置する面をいう。また、単にピストンリングの側面と表記した場合には、シリンダボアと摺動するピストンリングの外周面を意味する。
【0004】
このようなアルミニウム凝着を抑止する技術として、ピストンリングの上下面に、特定の元素を含むDLC(ダイアモンドライクカーボン)からなる被膜を有するピストンリングが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3355306号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ピストン材としてアルミニウム合金を使用した場合に生じ得るピストンリング上下面のアルミニウム凝着の問題に対しては、特許文献1の上下面DLC被膜を有するピストンリングにより解決を図ることができる。
一方で、ピストンリングをピストンに装着してエンジンを動かす際には、ピストンリング自体も回転することから、上記ピストンリング上下面のアルミニウム凝着の問題のみならず、ピストンリング上下面とピストンリング溝とが摺動することによる、ピストンリング溝の摩耗の問題も生じるという知見を得た。
本発明は、ピストン材としてアルミニウム合金を使用した場合に生じ得るピストンリング上下面のアルミニウム凝着の問題と、ピストンリング溝の摩耗の問題とを合わせて解決する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく検討し、上下面のうち少なくともいずれかに水素含有DLC被膜を有するピストンリングを用いることで、ピストンリングの上下面のアルミニウム凝着の問題に加え、ピストンリング溝の摩耗の問題も解決できることを見出し、発明を完成させた。
【0008】
本発明の一実施形態は、ピストンリングが装着されるピストンリング溝を有し、アルミニウム合金からなる内燃機関用ピストン、及び
該ピストンのピストンリング溝に装着され、上下面のうち少なくともいずれかに水素含有DLC被膜を有するピストンリング、を含む、内燃機関用ピストンとピストンリングの
組み合わせである。
【0009】
前記アルミニウム合金は、Al−Cu系合金であることが好ましく、Si含有量が2%以下であるアルミニウム合金であることが好ましい。Si含有量が少ないアルミニウム合金は摺動特性が劣る傾向にあり、このようなピストンに対し好適である。
また、前記ピストンリングは、更に側面に水素含有DLC被膜を有してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ピストン材としてアルミニウム合金を使用した場合に生じ得るピストンリング上下面のアルミニウム凝着の問題と、ピストンのピストンリング溝摩耗の問題とを合わせて解決する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ピストンリングが装着されたピストンの一実施形態を示す断面模式図である。
【
図2】本実施形態のピストンリングの一部分の断面図である。
【
図3】実施例で行った叩き摩擦試験に用いた試験機の模式図である。
【
図4】実施例で行った摺動摩擦試験に用いた試験機の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態は、ピストンリングが装着されるピストンリング溝を有し、アルミニウム合金からなる内燃機関用ピストン、及び該ピストンのリング溝に装着され、上下面のうち少なくともいずれかに水素含有DLC被膜を有するピストンリング、を含む、内燃機関用ピストンとピストンリングの組み合わせである。本実施形態について、
図1を用いて説明する。
【0013】
図1は、ピストンリングが装着されたピストンの断面図である。
ピストン2にはピストンリング溝が形成され、燃焼室側から第1の溝3、第2の溝4、及び第3の溝5が形成されている。第1の溝3には、コンプレッションリングであるトップリング13が装着され、第2の溝4には、コンプレッションリングであるセカンドリング14が装着され、第3の溝5には、組合せオイルリング15が装着される。
トップリング13、セカンドリング14、組合せオイルリング15の図中右端部は、シリンダ1の内壁と接触して摺動する摺動面であり、被膜により被覆されていてもよい。
【0014】
本実施形態においてピストン2はアルミニウム合金からなる。アルミニウム合金は、例えばJISで規定するA2000番台のアルミニウム合金(Al−Cu系合金)、JISで規定するA4000番台のアルミニウム合金(Al−Si系合金)、JISで規定するA6000番台のアルミニウム合金(Al−Mg−Si系合金)などがあげられる。これらのうちJISで規定するA2000番台のアルミニウム合金(Al−Cu系合金)であることが、ピストン強度の観点から好ましい。
【0015】
また、アルミニウム合金は、Si含有量が2wt%以下であることが好ましく、1wt%以下であることがより好ましく、0.5wt%以下であることが更に好ましい。Si含有量が少ないことで、強度は高くなるが、ピストン材の摺動特性が悪くなる傾向にあるため、ピストンリングとの摺動によってピストンリング溝の摩耗量が大きくなる傾向にある。ピストンリング溝の摩耗を抑制できる本実施形態は、Si含有量が少ないアルミニウム合金からなるピストンに好適である。
【0016】
ピストンのピストンリング溝の摩耗量を少なくする手段として、ピストンにアルマイト処理を施す方法あるいは耐摩環を組み合わせる方法があるが、アルマイト処理はピストン
リング溝の粗さ増大を招き、ブローバイに悪影響を与え、また、ピストンの製造コストを増大させる。耐摩環を組み合わせる方法は、ピストンの重量増加により振動の発生、振動に起因する騒音増大、また、ピストンの製造コストを増大させる。本実施形態のピストンリングと組み合わせることによって、ピストンにアルマイト処理を施す方法あるいは耐摩環を組み合わせる方法を用いなくても、ピストンのピストンリング溝の摩耗量を小さくすることができる。
【0017】
ピストンのピストンリング溝は、少なくとも上下面のいずれかの面の粗さRzが6.3μm以下であってよく、3.2μm以下であってよく、1.6μm以下であってもよい。なお、ピストンリング溝の上面とは、例えば、
図1のピストンリング溝3における上面(燃焼室側の面)であり、ピストンリング溝の下面とは、例えば、
図1のピストンリング溝3における下面(クランク室側)である。RzはJIS B 0601で規定される最大高さである。
【0018】
図2は、本実施形態のピストンリングの一部分の断面図である。ピストンリング20の上下面、及び側面(シリンダボアとの摺動面、外周面ともいう)は、DLC被膜22を有する。本実施形態では、ピストンリング20の上下面のうち少なくともいずれかにDLC被膜22を有するものであるが、外周面にもDLC被膜を有してもよい。外周面のDLC被膜の厚みは、上下面のDLC被膜の厚みよりも薄くてもよく、上下面のDLC被膜の厚みの1/2以下であってもよい。また外周面のDLC被膜の厚みは、上下面より厚くてもよい。更に、内周面にも被膜を有してもよい。
【0019】
ピストンリング20のピストンリング基材21は、従来からピストンリング基材として使用されている材質であれば、材質は特に限定されない。例えば、ステンレス鋼材、鋼材などが好適に用いられ、具体的には、マルテンサイト系ステンレス鋼、シリコンクロム鋼などが好適に用いられる。
【0020】
本実施形態においてDLC被膜は、水素を含有するDLC被膜であり、いわゆる水素フリーDLCではない。一例では水素含有量が5.0at%以上であり、10.0at%以上であってよく、15.0at%以上であってよく、20.0at%以上であってよく、
25.0at%以上であってよく、上限値は特に限定されないが、30.0at%以下であってよい。DLC被膜が水素を含有するDLCであることで、アルミニウム合金からなるピストンとのなじみ性が向上し、ピストンリング溝との間の摩耗を抑制できるとともに、アルミニウム凝着も抑制できる。
【0021】
またDLC被膜はその他の元素を含んでもよく、その他の元素としてW(タングステン)を含有することが、摺動特性を向上させ、また被膜の内部応力を低下させ厚膜化を容易にすることから好ましい。Wを含有する場合、その含有量は1at%以上であってよく、3at%以上であってよく、5at%以上であってよく、また40at%以下であってよく、30at%以下であってよい。
【0022】
DLC被膜の厚さは特段限定されず、通常0.5μm以上であり、1μm以上であってよく、また通常10μm以下であり、5μm以下であってよい。
DLC被膜の硬さは特段限定されないが、HV500以上であってよく、HV700以上であってよく、HV1800以下であってよく、HV1500以下であってよい。
DLC被膜とピストンリング基材との間には、Crめっき被膜、窒化クロム被膜、窒化チタン被膜などを更に有してもよく、DLC被膜との境界にCr、Ti、Si、WCのいずれかの被膜または2種の混合被膜でもよく、ピストンリング基材に直接DLC被膜を形成してもよい。
【0023】
DLC被膜を有するピストンリング上下面は、少なくとも一方の粗さRzが、4.0μm以下であってよく、3.2μm以下であってよく、2.0μm以下であってもよい。
【0024】
ピストンに備えられるピストンリングのうち、トップリング13及びセカンドリング14のうち少なくとも一方が、上記説明した水素含有DLC被膜を上下面のうち少なくともいずれかに有してもよく、トップリング13及びセカンドリング14の両方が、上記説明した水素含有DLC被膜を上下面のうち少なくともいずれかに有してもよい。
組合せオイルリング15は、その外周面がシリンダ内壁を摺動する上下一対のセグメント151及び152と、該セグメント間に配置されるエキスパンダ・スペーサ153を備える。組合せオイルリング15は3ピース構成のオイルリングであるが、これに限られず、2ピース構成のオイルリングであってよい。
【0025】
水素含有DLC被膜をピストンリングに形成する方法は、既知の方法を用いることができ、イオンプレーティング法やスパッタリング法などがあげられる。例えば、真空チャンバ内でワークを回転させつつ、不活性ガスを導入し、アルゴンイオンによるイオンボンバードメントによりワーク表面を清浄化した後に、炭素系ガス(メタン、アセチレン等)をチャンバ内に導入し、ワーク近傍をプラズマ状態に保つと同時にWを蒸発させるスパッタリング法でピストンリング外周面へ成膜することができる。
具体的には、ヒーティングを1h行い、次に中間層としてCr層をスパッタリング出力3000W、バイアス電圧300V、アルゴンガス導入100sccmで処理の後、アセチレンガス200sccm導入を行いながら、バイアス電圧300V、出力3000Wとし、スパッタリングを、W元素を含むターゲットを使用することにより成膜することができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
<参考試験1:叩き摩擦試験(アルミニウム凝着試験)>
ピストンリングの上下面とピストンリング溝との間を想定した叩き摩擦試験を行った。
図3に概要を示す叩き摩擦試験機30を用いて、ピストン材をAl−Cu合金(A2618:Si含有量0.1〜0.25wt%)の場合と、Al−Si(A4032:Si含有量11〜13.5wt%)の場合とで、窒化ピストンリングに対し叩き摩擦試験を行った。試験条件は、以下のとおりとした。結果、アルミニウム凝着までの時間は、Al−Si合金では30分であったのに対し、Al−Cu合金では15分であった。Al−Cu合金がよりアルミニウム凝着が生じやすいことが理解できる。
・叩き荷重 100N
・叩き速度 700回/分
・温度 250℃/170℃(ピストン/ピストンリング)
・潤滑油 10W テスト開始前0.1mL塗布
・ピストン材表面仕上げ 2.0μmRz
【0027】
<実施例1〜2、及び比較例1:叩き摩擦試験(アルミニウム凝着試験)>
参考試験1と同様に
図3に概要を示す叩き摩擦試験機30を用いて、以下の試験を行った。試験に用いたピストンリング被膜は以下のように製造した。
実施例の水素含有DLC:
スパッタリング装置を用いて、ヒーティングを1h行い、次に中間層としてCr層をスパッタリング出力3000W、バイアス電圧300V、アルゴンガス導入100sccmで処理の後、アセチレンガス200sccm導入を行いながら、バイアス電圧300V、出力3000Wとし、スパッタリングをWCターゲットを用いて成膜を行い、狙いの膜厚を処理した。なお、実施例1と2の水素含有DLC被膜は、成膜時の装置炉内圧力を変更することで、被膜中の水素濃度を変化させた。
【0028】
比較例の水素フリーDLC:
アークイオンプレーティング装置を用いて、真空排気の後、ヒーティングを1h行い、次にバイアス電圧を(−500〜−1000)Vの範囲で印加した状態で、Crターゲットを用いて、アーク電流50〜100Aで放電し、Crイオンボンバードを行った。
次にアークイオンプレーティングにて、ピストンリング基材に対してバイアス電圧を(−10〜−100)Vの範囲で印加した状態で、Crターゲットを用いて、アーク電流50〜100Aで放電し、接着層としてCr被膜をピストンリング基材上に成膜した。次にCr被膜上にアモルファスカーボン層を成膜した。アモルファスカーボン層は基材に対してバイアス電圧を(0〜−100)Vの範囲内で印加した状態でカーボンターゲットを用いて、アーク電流50〜100Aで放電し、成膜することで、アモルファスカーボン層を得た。
試験に用いたピストン材、ピストンリング、及び結果を表1にまとめた。
【0029】
【表1】
【0030】
<参考試験2:摺動摩擦試験>
これまで一般的に使用されているピストンリングの上下面用表面処理である窒化処理品とピストン材との間の摩擦試験を行った。ピストンにおけるリング溝の上下面は、ピストンの上下動に伴って、ピストンリング円周方向にピストンリングが回転するモーメントが発生して摩擦が生じることから、
図4に概要を示す往復動摩擦試験機40を用いて摩擦試験を行った。試験条件は、以下のとおりとした。
・荷重 30N
・叩き速度 300回/分
・時間 30分
・温度 室温(23℃)
・潤滑油 軸受油2.0mL/h
参考例1、参考例2ともピン材(リング材)はSU−3窒化品を先端SR18にて鏡面仕上げとした。プレート(ピストン材)は1.3μmRzの表面仕上げとした。結果は、以下の表2のとおりであり、Al−Cu系合金がより摩耗しやすいことが理解できる。
【0031】
【表2】
【0032】
<実施例3、及び比較例2:摺動摩擦試験(DLC)>
参考試験2と同様に
図4に概要を示す往復動摩擦試験機40を用いて、以下の試験を行った。実施例3、比較例2とも、プレート(ピストン材)はAl−Cu合金を用いた。
【0033】
【表3】
【符号の説明】
【0034】
1 シリンダ内壁
2 ピストン
3 第1の溝
4 第2の溝
5 第3の溝
13 トップリング
14 セカンドリング
15 組合せオイルリング
151 上セグメント
152 下セグメント
153 エキスパンダ・スペーサ
20 ピストンリング
21 ピストンリング基材
22 DLC被膜
30 叩き摩擦試験機
31 ピストンリング
32 ピストン材
34 オイル
35 ヒーター
36 スプリング
40 摺動摩擦試験機
41 ピン(リング材)
42 プレート(シリンダボア材)