特許第6896043号(P6896043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6896043電気供給システム及びそのパッケージ構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896043
(24)【登録日】2021年6月10日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】電気供給システム及びそのパッケージ構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/184 20210101AFI20210621BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20210621BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20210621BHJP
   H01M 50/191 20210101ALI20210621BHJP
   H01M 50/195 20210101ALI20210621BHJP
   H01M 50/24 20210101ALI20210621BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20210621BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20210621BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20210621BHJP
   H01M 8/0202 20160101ALI20210621BHJP
   H01M 8/0273 20160101ALI20210621BHJP
   H01M 8/0282 20160101ALI20210621BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20210621BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20210621BHJP
【FI】
   H01M50/184 Z
   H01M50/186
   H01M50/193
   H01M50/191
   H01M50/195
   H01M50/24
   H01M50/202 301
   H01M50/184 G
   H01M10/04 Z
   H01M8/02
   H01M8/0202
   H01M8/0273
   H01M8/0282
   !H01M10/0585
   !H01M10/052
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-196191(P2019-196191)
(22)【出願日】2019年10月29日
(65)【公開番号】特開2021-27024(P2021-27024A)
(43)【公開日】2021年2月22日
【審査請求日】2019年10月30日
(31)【優先権主張番号】16/530,513
(32)【優先日】2019年8月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512306818
【氏名又は名称】輝能科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PROLOGIUM TECHNOLOGY CO., LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】512316932
【氏名又は名称】プロロジウム ホールディング インク
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】楊思▲ダン▼
【審査官】 上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−326228(JP,A)
【文献】 特開平08−171901(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/125352(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第108976965(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/184
H01M 8/02
H01M 8/0202
H01M 8/0273
H01M 8/0282
H01M 10/04
H01M 50/186
H01M 50/191
H01M 50/193
H01M 50/195
H01M 50/202
H01M 50/24
H01M 10/052
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気供給システムであって、
第1の活性材料層、及び、該第1の活性材料層に直接的に接触するとともに第1の封止領域を有する第1の電流コレクタを有する第1の電極、
第2の活性材料層、及び、該第2の活性材料層に直接的に接触するとともに第2の封止領域を有する第2の電流コレクタを有する第2の電極、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置付けられるセパレータ層、並びに、
可撓性の封止フレーム、を備え、
前記第1の電流コレクタの前記第1の封止領域と前記第2の電流コレクタの前記第2の封止領域との間には、前記第1の活性材料、前記第2の活性材料及び前記セパレータ層を蓄積させるために包囲されたスペースを提供するように前記第1の電流コレクタを前記第2の電流コレクタに接着させる前記可撓性の封止フレームが配置され、
該可撓性の封止フレームは、2つの第1のシリコン層、及び、前記2つの第1のシリコン層間に位置付けられて該2つの第1のシリコン層間に接着する第2のシリコン層を含み、
該第1のシリコン層のうちの一方は、前記第1の電流コレクタの前記第1の封止領域に接着し、
該第1のシリコン層のうちの他方は、前記第2の電流コレクタの前記第2の封止領域に接着し、
前記第1のシリコン層及び前記第2のシリコン層の双方は、化学式1の化学調製物I及び化学式2の化学調製物IIからなり、
【化1】
【化2】
前記第1のシリコン層の内部の化学調製物Iの量は、前記第1のシリコン層の内部の化学調製物IIの量よりも多く、
前記第2のシリコン層の内部の化学調製物IIの量は、前記第2のシリコン層の内部の化学調製物Iの量よりも多く、
前記第1のシリコン層のそれぞれは、前記セパレータ層及び前記第1の活性材料層の厚さの和に対して、又は、前記セパレータ層及び前記第2の活性材料層の厚さの和に対して、70パーセント〜90パーセントの範囲の厚さを有することを特徴とする、
電気供給システム。
【請求項2】
前記第1の電流コレクタの前記第1の封止領域は、前記第1の電流コレクタの外周に沿って画成され、前記第2の電流コレクタの前記第2の封止領域は、前記第2の電流コレクタの外周に沿って画成されることを特徴とする、請求項1に記載の電気供給システム。
【請求項3】
前記第1の電流コレクタ及び前記第2の電流コレクタのうちの少なくとも一方は、プリント回路基板の金属層であることを特徴とする、請求項1に記載の電気供給システム。
【請求項4】
前記第1の活性材料層は前記可撓性の封止フレームに直接的に接触し、前記第2の活性材料層は前記可撓性の封止フレームに接触しないことを特徴とする、請求項1に記載の電気供給システム。
【請求項5】
前記第1の活性材料層は陽極活性材料層であり、前記第2の活性材料層は陰極活性材料層であることを特徴とする、請求項4に記載の電気供給システム。
【請求項6】
前記第2の電流コレクタは、前記可撓性の封止フレームと前記第2の活性材料層との間で暴露されることを特徴とする、請求項4に記載の電気供給システム。
【請求項7】
前記第1のシリコン層は、付加型シリコンの比率を高めることによって改質されることを特徴とする、請求項1に記載の電気供給システム。
【請求項8】
前記第1のシリコン層は、エポキシ、アクリル酸又はそれらの組み合わせをシリコンに付加することによって改質されることを特徴とする、請求項1に記載の電気供給システム。
【請求項9】
前記第2のシリコン層はスペーサを更に含み、該スペーサは、二酸化ケイ素粒子、酸化チタン粒子又はそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気供給システム。
【請求項10】
前記第2のシリコン層内の前記化学調製物IIの量は、重量/体積ベースで0.1%〜60%だけ、前記第1のシリコン層のそれぞれの内部の前記化学調製物IIの量よりも多いことを特徴とする、請求項1に記載の電気供給システム。
【請求項11】
前記第2のシリコン層の厚さは、0.5μm〜2.5μmであることを特徴とする、請求項1に記載の電気供給システム。
【請求項12】
前記第2のシリコン層の厚さは、1μm〜2μmであることを特徴とする、請求項11に記載の電気供給システム。
【請求項13】
前記第1のシリコン層のそれぞれは、前記セパレータ層及び前記第1の活性材料層の厚さの和に対して、又は、前記セパレータ層及び前記第2の活性材料層の厚さの和に対して、75パーセント〜80パーセントの範囲の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の電気供給システム。
【請求項14】
前記第2のシリコン層は、水分ブロック結晶構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の電気供給システム。
【請求項15】
前記第2のシリコン層の厚さは設定値であり、該設定値は、前記第1のシリコン層の厚さに応じて変化しないことを特徴とする、請求項1に記載の電気供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ構造及びその関連する電気供給システムに関し、特に、新規の電気伝導モジュール、並びに、耐湿性及び耐ガス性の優れた性能を有する、パッケージ構造及びその関連する電気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス産業では、携帯性及び無線設計が主要な動向である。より軽量でより薄くより小さい設計以外に、電子機器の可撓性にも高い注目が集まっている。したがって、より小さい体積、より軽い重量及びより高いエネルギー密度を有する電気供給システムが、必然的に必要とされている。
しかし、寿命を延ばし、電気供給システムのエネルギー密度を高めるためには、一次電気供給システムは、明らかに、現在の電子機器の需要を満たすことができていない。これは、リチウムバッテリシステム、燃料電池システム、太陽電池システム等の二次電気供給システムが、それらの充電性能のために本流になっている理由である。リチウムバッテリシステムは、その高い発展形の例として挙げられる。
【0003】
図1は、リチウムバッテリシステムの電流セルを示している。主な構造は、陰極電極及び陽極電極によって挟まれるセパレータ層によって構成される。周辺機器に電気的に接続されるリチウムバッテリシステム全体の外側の電極は、陰極電極及び陽極電極双方の電流コレクタ内に位置付けられるタブに個々に溶接されている。
図1に示されているように、リチウムバッテリ1は、セパレータ層11、第1の活性材料層12、第2の活性材料層13、第1の電流コレクタ層14、第2の電流コレクタ層15及びパッケージユニット16を含む。第1の活性材料層12は、セパレータ層11の上に位置付けられている。第1の電流コレクタ層14は、第1の活性材料層12の上に位置付けられている。第2の活性材料層13は、セパレータ層11の下に位置付けられている。第2の電流コレクタ層15は、第2の活性材料層13の下に位置付けられている。パッケージユニット16は、2つのタブ141及び151を除いて、上述した積層構造全体を封止する。したがって、リチウムバッテリ1が電子デバイス2に電気を提供するときに(図1に示されている回路基板は、1つの実施形態に過ぎず、電子デバイス2を限定するものではない)、タブ141及び151は、電子デバイス2の電気入力端子21及び22に電気的に接続され、それによって、リチウムバッテリ1に蓄えられている電気が、電子デバイス2に移動する。その後、電気は、レイアウトによって電子デバイス2の素子エリア23に移動する。
ここで言及される素子エリア23は、回路レイアウト又は表面実装素子であってもよく、通常は、論理回路、能動素子及び受動素子等を含む。しかし、リチウムバッテリ1の電気性能及び安全性能は、セパレータ層11と第1の活性材料層12との間の界面、及び、セパレータ層11と第2の活性材料層13との間の界面の双方の特性によって著しく影響を受ける。現在のリチウムバッテリシステムの場合、これらの界面の特性は、リチウムバッテリシステムの良好な電気性能及び安全性能を確実にするために、ソリッド積層法又は高張力巻回法によって制御される。残念ながら、ソリッド積層法又は高張力巻回法によって作られるリチウムバッテリシステムには、明らかに可撓性がなく、さらには、撓むことが不可能である。積層されたバッテリ又は巻回されたバッテリを強制的に撓ませる場合、セパレータ層11と第1の活性材料層12との間、及び、セパレータ層11と第2の活性材料層13との間の界面に重大な損傷を与えることになる。
【0004】
現在の電気供給システムの現在のパッケージユニットに関して、一次バッテリシステム又は二次バッテリシステムに関係なく、バッテリシステムのパッケージのほとんどは、円筒形のケース及び角柱のケースを含む硬質金属ケースを伴う。例えば、現在のノート型パソコンにおいて用いられるバッテリシステムのほとんどは、硬質金属ケースを有する18650円筒型の形状のリチウムバッテリであり、現在のポータブル通信デバイスにおいて用いられるバッテリシステムのほとんどは、硬質金属ケースを有する383562角型の形状のリチウムバッテリである。
硬質金属ケースの利点は、セルを外力から守ることであり、また、湿気及び酸素等といった環境要因の影響を低減することである。したがって、末端の電子機器の場合、二次バッテリシステムは、実際に、より良好な電気性能及びより良好な安全性能を提供可能であるが、一定のサイズの硬質のケースは、電子機器の大部分との適合に関して大きな制約となる。現在の電子機器において用いられることの難しさを低減するために、ソフトパックのリチウムバッテリシステムが開発されているが、ソフトパックのリチウムバッテリシステムは、硬質金属パッケージを有するリチウムバッテリシステムと比較して、高温のプレス手順によって封止されなければならず、それによって、金属タブとソフトパッケージとの間の界面が劣化する。これは、タブの材料が金属であるのに対し、ソフトパッケージの材料は熱封止ポリマーであるためである。当然ながら、ソフトパッケージの、特に酸素に対する耐ガス性能及び耐湿性能は、溶接封止を用いる硬質金属ケースよりも劣る。さらに、複数回の充電及び放電後に、バッテリシステム全体の寸法は、膨張及び収縮を交互に受けることになる。ソフトパッケージの材料のより弱い応力に起因して、ソフトパッケージを有する二次バッテリは、それ自体の寸法を維持可能ではなく、この欠点は、電子機器の回路設計の致命的な問題である。
【0005】
図1に示されているように、第1の活性材料層12と第2の活性材料層13との間のセパレータ層11は、第1の電極基板(第1の活性材料層11及び第1の電流コレクタ層14を含む)と第2の電極基板(第2の活性材料層13及び第2の電流コレクタ層15を含む)との間の直接的な接続を防止するために主に使用される。第1の電極基板が第2の電極基板に直接的に接続すると、リチウムバッテリ1は、内部の短絡の問題を有することになる。
しかし、リチウムバッテリ1内のイオン移動が依然として必要であるため、セパレータ層11の材料は、電気的に絶縁されるとともに多孔質でなければならず、それによって、セパレータ層11の最も代表的な材料は、PVC、PC及び任意の他のポリマーである。加えて、異なるポリマー又は異なる分子量を有する1つのポリマーのガラス転移温度及び軟化温度に従って、ポリマーの部分的な構造は、特定の温度範囲内で変化する場合がある。したがって、内部の短絡若しくは外部の短絡又は何らかの他の理由に起因してバッテリシステムの内部温度が上昇すると、セパレータ層11の構造は、高温下での反応を回避するとともに、さらに、リチウムバッテリ1の爆発の可能性を低下させるために、リチウムバッテリ1内のイオン移動の経路を塞ぐように変化する。
リチウムバッテリ1の内部温度が特定の理由で依然として上昇する場合、セパレータ層11の構造は、内部温度が150℃〜180℃に達するまで完全に融解する。この場合、融解したセパレータ層11は、第1の電極基板と第2の電極基板との間にいかなる保護も提供できないため、リチウムバッテリ1は完全に短絡し、さらには発火するか又は爆発する。現在のセパレータ層11は、リチウムバッテリ1の安全性にとって明らかに大きな脅威である。
【0006】
上述した欠点に加えて、最も重要なことは、ほぼ全ての回路及び素子が、バッテリシステムを除いて可撓性のデバイスに適合するように可撓性に設計されていることである。現在まで、バッテリシステムの可撓性は、良好な電気性能及び安全性能と共存できていない。その一方で、バッテリシステムの寸法は、より小さくより薄いという要件を満たすのが容易ではなく、それによって、電子機器のほとんどは、バッテリシステムのスペースを確保しなければならず、これは、電子機器の寸法を低減することをはるかにより難しくする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、パッケージ構造及びその関連する電気供給システムを提供することである。本発明において言及するパッケージは、外部からの湿気及びガスをブロックする封止フレームとして作用するため、電気供給ユニットの化学的反応及び電気的反応が影響を受けない。
【0008】
本発明の別の目的は、封止フレームを、スクリーン印刷又はコーティングによって第1の基板及び第2の基板上に迅速かつ正確に形成できる、パッケージ構造及びその関連する電気供給システムを提供することである。本発明において言及されるパッケージ構造は、より高い歩留まり率及びより速い生産速度で生産できる。
【0009】
本発明の目的は、電気供給システムが、外部の電気素子に直接的に電気的に接続可能であるため、電子機器において用いられる素子の量を低減でき、電子機器の寸法もより小さくより薄くなることが可能である、パッケージ構造及びその関連する電気供給システムを提供することである。
【0010】
本発明の目的は、電気供給ユニットと一体化でき、それによって、使用される材料が低減され、電子機器の生産コストも低減できる、パッケージ構造及びその関連する電気供給システムを提供することである。
【0011】
本発明の目的は、電気供給システムが外力によって影響を受けると、電気供給ユニットが、パッケージ構造から直ちに分離され、保護開回路を形成するため、電気供給システムの安全性能が高まる、パッケージ構造及びその関連する電気供給システムを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、電気供給ユニットと一体化できるため、電気供給システム内の総界面の量が減り、電気供給システムの内部抵抗を下げるとともに、電気供給システムの電気性能も高める、パッケージ構造及びその関連する電気供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記を実現するために、本発明は、パッケージ構造及びその関連する電気供給システムを開示する。
第1の基板と第2の基板との間のスペースを封止するために可撓性の封止フレームが用いられ、それによって、スペース内に配置される電気供給ユニットを、外部の湿気及びガスから完全に隔離でき、電気供給システムの電気性能及び安全性能を確実にする。第1の基板及び第2の基板のうちの少なくとも一方は、回路基板であることができ、周辺の電子機器に電気的に接続し、それによって、電子機器内で用いられる素子の量が減り、より小さくより薄い設計を実現できる。
【0014】
第1の電極は、第1の活性材料層及び第1の電流コレクタを含む。第1の電流コレクタは、第1の活性材料層に直接的に接触し、第1の封止領域を有する。第2の電極は、第2の活性材料層及び第2の電流コレクタを含む。第2の電流コレクタは、第2の活性材料層に直接的に接触し、第2の封止領域を有する。可撓性の封止フレームは、第1の電流コレクタの第1の封止領域と第2の電流コレクタの第2の封止領域との間に配置される。可撓性の封止フレームは、第1の活性材料、第2の活性材料及びセパレータ層を蓄積させるために包囲されたスペースを提供するように、第1の電流コレクタを第2の電流コレクタに接着させるために使用される。
【0015】
可撓性の封止フレームは、2つの第1のシリコン層及び第2のシリコン層を含む。第1のシリコン層は、以下の化学調製物Iを主に含む。
[化1]
【0016】
第2のシリコン層は、以下の化学調製物IIを主に含む。
[化2]
【0017】
第1のシリコン層及び第2のシリコン層の双方は、化学調製物I及び化学調製物IIを含む。これは、気泡の問題又は基板が容易に剥離するという問題を解決する。シリコンの界面張力及び極性は、異なる材料の接着を高めるように、改質シリコン硬化層のために改質される。その上、封止フレームは、封止後に可撓性であり、内部に配置される可撓性の電気供給ユニットと完全に適合できる。また当然ながら、パッケージ構造は、可撓性の電子機器の要件を満たすことができる。
【0018】
本発明の適用性の更なる範囲は、本明細書において以下で与えられる詳細な説明から明らかとなるであろう。詳細な説明及び特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、しかし専ら例示として与えられ、これは、本発明の主旨及び範囲内の様々な変更及び修正を、この詳細な説明から当業者に明らかとするためであることを理解されたい。
【0019】
本発明は、本明細書において以下では専ら例示として与えられ、したがって、本発明を限定するものではない詳細な説明からより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来技術のリチウムバッテリシステムのセルの例を示す図である。
図2A】本発明の電気供給システムのパッケージ構造を示す図である。
図2B図2AにおけるA−A’線に沿った断面図の構造を示す図である。
図3】パッケージ構造の第1の基板が本発明の回路基板として働く一実施形態を示す図である。
図4A】基板の伝導面が本発明の電流コレクタ層として働く一実施形態を示す図である。
図4B】基板の伝導面が本発明の電流コレクタ層として働かない一実施形態を示す図である。
図5A】本発明のパッケージ構造内に配置される多層電極を有する電気供給システムの断面構造を示す図である。
図5B】本発明のパッケージ構造内に配置される巻回型の電極を有する電気供給システムの断面構造を示す図である。
図6A】電気供給システムの2つの端子が本発明の2つの異なる基板に位置付けられる一実施形態を示す図である。
図6B】電気供給システムの2つの端子が本発明の1つの基板に位置付けられる一実施形態を示す図である。
図7】60℃の温度及び95%RHの湿度という劣化試験条件下における、従来技術及び本発明のパッケージ構造の双方の劣化試験結果を示す図である。
図8図2AにおけるA−A’線に沿った断面図構造を示す図である。
図9A】第1の封止領域の一実施形態を示す、本発明の第1の基板の第1の伝導面を示す図である。
図9B】第2の封止領域の一実施形態を示す、本発明の第2の基板の第2の伝導面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図2Aは、本発明の電気供給システムのパッケージ構造の外観を示しており、図2Bは、図2AのA−A’線に沿った断面図を示している。
本発明のパッケージ構造31は、電気供給ユニット32を配置するために使用される。パッケージ構造31は、第1の基板311、第2の基板312及び封止フレーム313を含む。パッケージ構造31は、一般的な環境では直接的に暴露でき、外力及び湿気の侵入に抵抗する能力を有する。第1の基板311は、少なくとも1つの第1の伝導面311aを有し、第2の基板312は少なくとも1つの第2の伝導面312aを有する。封止フレーム313は、第1の基板311と第2の基板312との間の縁を囲み、それによって、封止フレーム313、第1の基板311及び第2の基板312の間に形成されるスペースSがある。スペースSは、電気供給ユニット32を配置するために使用される。
【0022】
電気供給ユニット32は、第1の基板311の第1の伝導面311aに電気的に接続され、第2の基板312の第2の伝導面312aにも接続される。封止フレーム313は、2つの第1のシリコン層313a及び第2のシリコン層313bを含む。2つの第1のシリコン層313aは、第1の基板311及び第2の基板312にそれぞれ接着する。すなわち、第1の基板311及び第2の基板312は、第1のシリコン層313aのうちの一方にそれぞれ接着する。
第2のシリコン層313bは、2つの第1のシリコン層313a間に位置付けられ、2つの第1のシリコン層313aを付着させる。すなわち、第1の基板311に取り付けられている第1のシリコン層313a及び第2の基板312に取り付けられている第1のシリコン層313aは、第2のシリコン層313bによって互いに接着する。
【0023】
さらに、図9Aを参照されたい。第1の基板311の第1の伝導面311aは、第1の伝導面311aの外周に沿って画成される第1の封止領域311bを有する。第1の封止領域311bによって囲まれる、第1の基板311の第1の伝導面311aの残りのエリアは、主に、第1の活性材料層の接触エリアとして提供するためである。第1のシリコン層313aのうちの一方は、第1の封止領域311bに接着する。
図9Bを参照されたい。第2の基板312の第2の伝導面312aは、第2の伝導面312aの外周に沿って画成される第2の封止領域312bを有する。他方の第1のシリコン層313aは、第2の封止領域312bに接着する。第2の封止領域312bによって囲まれる、第2の基板312の第2の伝導面312aの残りのエリアは、主に、第2の活性材料層の接触エリアとして提供するためである。
【0024】
異なる接着特性を有する第1のシリコン層313a及び第2のシリコン層313bを製造するために、異なる添加剤又は調製物を使用して、第1のシリコン層313a及び第2のシリコン層313bの接着特性を変更する。第1のシリコン層313aの界面張力及びシリコンの極性は、第1の伝導面311a及び第2の伝導面312aの材料に応じて変更され、異なる材料の接着を高める。表面間の、金属基板及びシリコン等の異なる材料、すなわち第2のシリコン層313bとの第1の接着313aの接着力は、改善される。したがって、第1のシリコン層313aは、第1の基板311と第2の基板312との間でしっかりと接着される。他方で、第2のシリコン層313bは、2つの第1のシリコン層313aを接着させるために使用される。したがって、同じ材料又は特性を有する表面間の第2の接着313bの接着力が改善される。したがって、第1の基板311及び第2の基板312は、第1のシリコン層313a及び第2のシリコン層313bによってしっかりと接着される。また、封止フレーム313、第1の基板311及び第2の基板312間に形成されるスペースSは、外部の湿気及びガスから完全に隔離され、電気供給システムの電気性能及び安全性能を確実にする。
【0025】
第1のシリコン層313aは、以下の化学調製物Iを主に含む。
【0026】
【化1】
【0027】
第2のシリコン層313bは、以下の化学調製物IIを主に含む。
【0028】
【化2】
【0029】
第1のシリコン層313a及び第2のシリコン層313bの双方は、化学調製物I及び化学調製物IIの双方を含む。
【0030】
第1のシリコン層313aのそれぞれの内部の化学調製物Iの量は、第1のシリコン層313aのそれぞれの内部の化学調製物IIの量よりも多い。第2のシリコン層313b内の化学調製物IIの量は、第2のシリコン層313b内の化学調製物Iの量よりも多い。
【0031】
また、第2のシリコン層313b内の化学調製物IIの量は、重量/体積ベースで0.1%〜60%だけ、第1のシリコン層313a内の化学調製物IIの量よりも多い。第1のシリコン層313aは、付加型シリコンの比率を高めるか、及び/又は、エポキシ、アクリル酸若しくはそれらの組み合わせをシリコンに付加することによって、改質される。
【0032】
形成方法の一例として、例えばスクリーン印刷法又はコーティング法によって、第1のシリコン層313aを、第1の基板311の第1の伝導面311a及び第2の基板312の第2の伝導面312aにそれぞれ形成する。次に、第1の伝導面311a及び第2の伝導面312aの表面特性を変更し、後続のプロセスにおける第2のシリコン層313bとの結合能力を高める。換言すると、第1のシリコン層313aは、第1の基板311及び第2の基板312それぞれの表面改質層と考えられる。さらに、第1のシリコン層313aは、第1の伝導面311a及び第2の伝導面312aのそれらの内周に沿って接着する。
【0033】
次に、硬化のために重合をゆっくりと行う。第1のシリコン層313aの一方の面には何もなく、ゆっくりと硬化するプロセスが行われるため、生成されるガスを排出できる。また、第1のシリコン層313aは、第1の基板311の第1の伝導面311a及び第2の基板312の第2の伝導面312aそれぞれの材料に応じて改質される。良好な接着状況が、第1のシリコン層313aと第1の基板311との間及び第1のシリコン層313aと第2の基板312との間の界面に存在する。
【0034】
第2のシリコン層313bを、第1のシリコン層313aのうちの一方に配置する。次に、第1の基板311及び第2の基板312を、第2のシリコン層313b及び第1のシリコン層313aと組み合わせる。この重合は、しっかりと結合させるために2段階で形成される。加えて、プレスステップを重合プロセスと組み合わせることができる。
第1の段階の熱処理温度は、第2の段階の熱処理温度よりも低い。第1の段階の熱処理持続時間は、第2の段階の熱処理持続時間よりも長い。第1の段階のより低い温度の間、第2のシリコン層313bの化学調製物IIは、第2のシリコン層313bにおいて結晶構造を形成するための主要な成分である。第2のシリコン層313bの厚さが薄いため、結晶構造は、本質的に、第2のシリコン層313bの主な水分ブロック構造とみなされる。結晶構造は、第2のシリコン層313bと第1のシリコン層313aのいずれか一方との間の界面の水分ブロック能力を高めることができる。これは、リチウムバッテリ等の電気供給システムのパッケージ構造にとって非常に重要な機能である。
【0035】
第2の段階のより高い温度の間に、第2のシリコン層313bの化学調製物Iは、主要な成分であり、化学調製物IIよりも良好な結合能を有する。したがって、第2のシリコン層313b及び第1のシリコン層313aはしっかりと結合される。
好ましくは、第1の段階の熱処理温度は、第2の段階の熱処理温度よりも30℃〜70℃だけ低い。第1の段階の熱処理持続時間は、第2の段階の熱処理持続時間よりも80秒〜300秒だけ長い。第2のシリコン層313bが上述したプロセス中に変形することを防止するために、第2のシリコン層313bはスペーサを更に含む。スペーサは、二酸化ケイ素粒子、酸化チタン粒子又はそれらの組み合わせを含む。
【0036】
第2のシリコン層313bは、同じか又は実質的に同じ材料、すなわちシリコンから作製される第1のシリコン層313a間に配置されるため、それらの間の接着力は高い。ガスが生成される場合であっても、接着構造は容易には弱まらない。また、シリコンは、第1の基板311及び第2の基板312ほど密ではない。極小の視点では、シリコンは、第1の基板311及び第2の基板312の材料よりも大きい穴を内部に有する。第2のシリコン層313bが硬化のために第1のシリコン層313a間に配置される場合であっても、生成されるガスは、第1のシリコン層313aから容易に排出され、容易に集まって気泡を形成しない。
第2のシリコン層313bと第1のシリコン層313aとの間の分子間力は等しい。ガスは、内部を一様に流れる。気泡は、容易に合流してより大きい気泡を形成しない。したがって、第1のシリコン層313aと第2のシリコン層313bとの間の界面に良好な接着状況が存在する。第1のシリコン層313aと第1の基板311との間、及び、第1のシリコン層313aと第2の基板312との間の界面は、従来の界面よりも良好な界面接着を確実にする。
【0037】
第1の基板311及び第2の基板312のうちの少なくとも一方は、プリント回路基板、多層回路基板及び可撓性のプリント回路基板等又は金属層といった回路基板である。第1の基板311又は第2の基板312に関係なく、第1の基板311及び第2の基板312のうちの少なくとも一方は、パッケージ構造31内に配置される電気供給ユニット32に電気的に接続するための伝導面(第1の伝導面311a及び/又は第2の伝導面312a)を有しなければならず、それによって、電気供給ユニット32によって生成される電力は、伝導面(第1の伝導面311a及び/又は第2の伝導面312a)によって収集され、さらに、収集された電力は、異なる機械的設計に従って回路基板に移動できる。
例えば、図3は、回路基板として作用するとともに、1つの伝導面(ここでの例として第1の伝導面311a)を有する基板(ここでの例として第1の基板311)に関して、可能な実施形態のうちの1つを示しており、収集された電力を、伝導面(第1の伝導面311a)によって回路基板(第1の基板311)に直接的に移動できる。1つの伝導面(ここでの例として第2の伝導面312a)しか有しない基板(ここでの例として第2の基板312)に関して、収集された電力は、2つの基板(第1の基板311及び第2の基板312)間の電気的な接続によって移動される。少なくとも、電気供給ユニット32内で完全なループが形成され、電力は、回路基板(第1の基板311)に実装される素子5に移動できる。
第1の基板311及び第2の基板312の双方が回路基板である場合、第1の基板311と第2の基板312との間の電気的な接続は、電力を提供するために使用されるだけではなく、第1の基板311及び第2の基板312に実装される素子の電気経路としても作用する。しかし、回路基板として作用することに加えて、第1の基板311及び第2の基板312は、金属基板、ガラス基板、金属−ポリマー複合基板といった複合基板等として作用することもできる。
【0038】
上述した電気供給ユニット32は、少なくとも2つの電極層321及び322並びに少なくとも1つのセパレータ層323を含む。2つの電極層321及び322は、(図2Bに示されているように)封止フレーム313に直接的に接触するように配置される。他の実施形態では、2つの電極層321、322のうちの一方は、(図8に示されているような)封止フレーム313、通常は陽極電極層に直接的に接触するように配置される。
図8において、封止フレーム313に直接的に接触しない電極層321は、通常は陰極電極層である。また、電極層321が封止フレーム313に直接的に接触しないため、第1の伝導面311aの一部が封止フレーム313と電極層321との間で暴露される。電気供給ユニット32は、リチウム電池のリチウムイオン伝導機能層である。
【0039】
第1のシリコン層313aは、電極層321、322間の平衡応力関係を得るために電気供給ユニット32を支持するように使用される。したがって、第1のシリコン層313aの厚さは、電極層321、322の厚さに近い。
第1のシリコン層313aのそれぞれは、セパレータ層323及び第1の活性材料層(電極層321)の厚さの和に対して、又は、セパレータ層323及び第2の活性材料層(電極層322)の厚さの和に対して70パーセント〜90パーセントの範囲の厚さを有する。好ましくは、第1のシリコン層313aのそれぞれは、セパレータ層323及び第1の活性材料層(電極層321)の厚さの和に対して、又は、セパレータ層323及び第2の活性材料層(電極層322)の厚さの和に対して80パーセント〜85パーセントの範囲の厚さを有する。
【0040】
第2のシリコン層313bは、本発明では結合層として働き、その厚さは、第1のシリコン層313aに応じて変化しない設定値である。第2のシリコン層313bの厚さは0.5μm〜2.5μmである。第2のシリコン層313bの厚さが薄すぎる場合、すなわち、0.5μmよりも薄い場合、接着が弱くなりすぎる。第2のシリコン層313bの厚さが厚すぎる場合、すなわち、2.5μmよりも厚い場合、水バリア硬化が悪くなりすぎる。好ましくは、第2のシリコン層313bの厚さは1μm〜2μmである。
【0041】
それぞれのセパレータ層323は、隣接する2つの電極層321及び322間に位置付けられる。セパレータ層323の目的のうちの1つは、電極層321が電極層322に直接的に接続することを防止することである。電極層321及び322並びにセパレータ層323は全て、液相電解質、ゲル状電解質及び固相電解質を含む電解質によって湿潤される。セパレータ層323の材料は、ポリマー、セラミクス又はガラス繊維を含む。
【0042】
電極層321は活性材料層A1を含み、電極層322は活性材料層A2を含む。図4Aに示されているように、第1の基板311は、第1の電流コレクタとして働く第1の伝導面311aを有し、第2の基板312は、第2の電流コレクタとして働く第2の伝導面312aを有する。活性材料層A1は、第1の基板311の第1の伝導面311aに直接的に接触するか又は第1の基板311の第1の伝導面311a上に形成され、活性材料層A2は、第2の基板312の第2の伝導面312aに直接的に接触するか又は第2の基板312の第2の伝導面312a上に形成される。すなわち、活性材料層A1と第1の基板311の第1の伝導面311aとの間にはいずれの他の構造も存在せず、活性材料層A2と第2の基板312の第2の伝導面312aとの間にもいずれの他の構造は存在しない。活性材料層A1及びA2の形成方法は、活性材料層A1及びA2を伝導面311a及び312a上に直接的に形成すること、並びに、活性材料層A1及びA2が、真空封止等の機械的設計によって伝導面311a及び312aに接触することを含むことができる。どの種類の形成方法を用いるかにかかわらず、活性材料層A1及びA2によって生成される電力は、第1の基板311及び312の伝導面311a及び312aに直接的に移動できる(この実施形態では、基板311及び312の双方が回路基板として作用する)。
図4Bでは、示されている電流コレクタ層は、図4Aに示されている電流コレクタ層が基板の一部であるのに対して、独立した構成要素である。図4Bに示されている電流コレクタ層C1及びC2は、独立した構成要素であるのに対し、基板311及び312の伝導面311a及び312aは、図4Bに示されている電流コレクタ層として作用する。図4Bに示されている実施形態では、電極層321の定義は、活性材料層A1及び電流コレクタ層C1を含み、活性材料層A1は電流コレクタ層C1上に形成される。電極層322の定義は、活性材料層A2及び電流コレクタ層C2を含み、活性材料層A2は電流コレクタ層C2上に形成される。電気供給ユニット32とパッケージ構造31との間の電気的な接続は、電流コレクタ層C1及びC2と基板311及び312の伝導面311a及び312aとの間の直接的な接続によって、又は、電流コレクタ層C1及びC2と基板311及び312の伝導面311a及び312aとの間の間接的な接続によって実現される。ここで言及される間接的な接続は、電流コレクタ層C1及びC2と基板311及び312の伝導面311a及び312aとの間の電気的な接続であるように、追加の伝導ワイヤ、タブ、又は、金属片、薄い金属板等のような任意の他の伝導構成要素を用いることによって実現できる。
【0043】
したがって、本発明のパッケージ構造31は、電気供給ユニット32に電気的に接続され、電気供給ユニット32とパッケージ構造31との間の電気的な接続は、直接的かつ電気的な接続又は間接的かつ電気的な接続であり得る。パッケージ構造31及び電気供給ユニット32のそのような設計は、電気的な接続の接触エリアを大きく増大させるだけではなく、電気供給ユニット32の抵抗も著しく低下させることができる。同時に、電気供給システム3が衝撃、落下又は爪の貫入等に起因して損傷を受けると、電極層321及び322の活性材料層A1及びA2並びに/又は電極層321及び322の電流コレクタ層C1及びC2は、部分的な高温又は破損した構造の発生のために、電極層321及び322から直ちに分離される。それによって、電気供給ユニット32とパッケージ構造31との間の電気的な接続は完全に破断され、すなわち、電気供給システム3全体が開回路状態になるため、電気供給ユニット32内の化学反応を収束し、電気供給ユニット32内で生じる一連の連鎖反応に起因する電気供給システム3の爆発又は発火を回避できる。
【0044】
言及した電気供給ユニット32の構造は、図5Aに示されているように、1つの陰極電極層321、1つのセパレータ層323及び1つの陽極電極層322の積層構造、又は、複数の陰極電極層321、複数のセパレータ層323及び複数の陽極電極層322の積層構造であり得る。また、電気供給ユニット32’の構造は、図5Bに示されているような巻回構造であることができる。当然ながら、本発明において言及される電気供給ユニット32の構造は、限定することなく任意の種類の構造であることができる。これは、本発明と従来技術との主な違いが、電気供給ユニット32とパッケージ構造31との間の電気的な接続であるのに対し、現在の電気供給システムと現在のパッケージ構造との間にはいずれの電気的な接続もないためである。
【0045】
パッケージ構造31は少なくとも2つの端子T1及びT2を含む。端子T1の一端は、電気供給ユニット32の陰極電極層321に電気的に接続され、一方で、端子T1のもう一方の端は、パッケージ構造31の第1の基板311に位置付けられ、周辺機器(図示せず)に接続するための接続点として作用する。端子T2の一端は、電気供給ユニット32の陽極電極層322に電気的に接続され、一方で、端子T2の他端は、パッケージ構造31の第2の基板312に位置付けられ、周辺機器(図示せず)に接続するための接続点として作用する。端子T1及びT2は、同じ基板311若しくは312に位置付けるか、又は、異なる基板311若しくは312に位置付けることができる。
図6Aに示されているように、端子T1は第1の基板311に位置付けられており、端子T2は第2の基板312に位置付けられている。電極層321は、基板311の伝導面311aと電気供給ユニット32の電極層321との間の電気的な接続に起因して、端子T1に電気的に接続される。電極層322は、基板312の伝導面312aと電気供給ユニット32の電極層322との間の電気的な接続に起因して、端子T2に電気的に接続される。また、端子T1と電極321との間、及び、端子T2と電極322との間の電気的な接続は、直接的な回路レイアウト又は任意の伝導構成要素によって実現できる。
図6Bにおいて、2つの端子T1及びT2は、同じ基板311又は312に位置付けられているため、電極層321及び322は、基板311及び312の伝導面311a及び312aと電気供給ユニット32の電極層321及び322との間の電気的な接続に起因して、端子T1及びT2に個々に電気的に接続される。このように、伝導性接着剤等の伝導性素子6によって、基板311の電極層321によって生成される電力は、基板311の伝導面311a上の端子T1から、基板312の伝導面312a上の端子T2に移動可能である。
【0046】
上述したパッケージ構造は、主に4つの機能を有する。
第1の機能は、パッケージ構造内の電気供給システムを完全に封止することである。既知であるように、電気供給システム内で生じる化学電気反応が作用可能であることができるように、大量の電解質が電気供給システムによって含浸されなければならない。幸いにも、封止フレーム及び電解質の極性は互いに異なるため、2つの基板上に第1のシリコン層を形成するとともに少なくとも1つの第1のシリコン層上に第2のシリコン層を形成した後で、電解質が付着する接着層は、接着層上に付着する電解質がはじかれるため、依然として互いに接着可能であることができる。このように、基板への第1のシリコン層の接着能及び第2のシリコン層への第1のシリコン層の接着能は、電気供給システムが大量の電解質に浸漬されても影響を受けない。加えて、電解質及び接着層の反発によって、電解質の大部分は、プレスプロセス中に電気供給システム内に保たれる。
第2の機能は、リチウム金属形成の可能性を低下させることである。この主な理由は、封止フレームの材料が金属ではなくポリマーであるためである。電気化学反応が約0Vで生じると、リチウムイオンは、銅又はニッケル等の金属材料と接触する場合に、リチウム金属を容易に形成する。
第3の機能は、熱硬化プロセス後であっても優れた可撓性を提供することである。封止フレームの材料は主にシリコンであるため、材料は熱可塑性材料ではなく、これが、封止フレームが熱処理下であってもその可撓性を保つことが可能な理由である。
第4の機能は、耐湿性を高めることである。また、封止フレームは或る種の疎水性構成要素である。封止フレームが疎水性であるため、封止フレーム内の湿気は、拡散によってしか移動できない。湿気が封止フレーム内に完全に拡散し、すなわち、封止フレームの含水率が飽和に達すると、次に、湿気は、パッケージ構造内の電気供給システム内に徐々に侵入可能である。したがって、封止フレームは、湿気の侵入の速度を遅らせるのに役立つ。
図7に示されているように、従来技術と比較して、60℃の温度及び95%RHの湿気の劣化試験条件下で、本発明のパッケージ構造は、最初の7日間の試験ではより高い水分含量であるが、実際には、14日間の試験及び21日間の試験でははるかに低い水分含量でもある。この劣化試験に従って、最初の7日間の結果を、通常の条件下でのパッケージ構造の1年使用とすることができ(パッケージ構造は、1年の室温及び湿気下で動作した)、14日間の結果及び21日間の結果は、2年の使用状況及び3年の使用状況を個々に明らかにする。パッケージ構造は、明らかに長期の使用に関してより良好な耐湿性能を示す。
【0047】
パッケージ構造の2つの基板は電気供給システムの電流コレクタとして直接的又は間接的に働くため、電気供給システムは、回路基板と直接的に一体化でき、通常のPCB又はSMTプロセスによって処理もできる。例えば、電気供給システムは、SMTの素子とみなすことができ、それによって、SMTプロセスを電気供給システムの作製に用いることも可能であり、当然ながら、プロセスのコストを下げることができる。加えて、基板の表面を、幾つかの周辺機器の電子素子又は電気回路を実装するために使用でき、電子機器の寸法をはるかにより小さくより薄くできる。
【0048】
本発明をこのように記載したが、本発明を多くの方法で変更できることは自明である。そのような変更は、本発明の主旨及び範囲から逸脱するものとみなされるべきではなく、全てのそのような修正は、当業者には自明であるように、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B