(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アタッチメントが装着されていない第1状態で被検眼の撮影を行う第1撮影と、前記アタッチメントが装着されている第2状態で前記被検眼の撮影を行う第2撮影とを実行可能な眼科装置であって、
前記第1撮影を行うための第1撮影モード又は前記第2撮影を行うための第2撮影モードを指定するための操作部と、
前記アタッチメントが装着されているか否かを判定する装着判定部と、
前記操作部を用いて指定された撮影モードと前記装着判定部により得られた前記アタッチメントの装着状態との対応関係の適否を、前記撮影モードと前記アタッチメントの装着状態との対応関係を示すテーブル情報に基づいて判定する対応判定部と、
前記対応関係が適正ではないと前記対応判定部により判定された場合、少なくとも前記指定された撮影モードでの撮影を禁止するための制御を行う制御部と
前記被検眼を撮影するための光学系と、
前記被検眼に対する前記光学系の合焦を行うための合焦操作部と、
を含み、
前記光学系は、
前記被検眼の眼底を撮影するための撮影光学系と、
光コヒーレンストモグラフィにより前記被検眼に関する情報を取得するための干渉光学系と、
を含み、
少なくとも眼底撮影モードおよび前眼部撮影モードを実行可能であり、
前記制御部は、前記眼底撮影モードが実行されているときに前記合焦操作部が操作された場合、前記撮影光学系および前記干渉光学系の双方の合焦位置を移動させ、前記前眼部撮影モードが実行されているときに前記合焦操作部が操作された場合、前記撮影光学系の合焦位置のみを移動させ、
前記アタッチメントの装着状態が変更されたとき、前記対応判定部は、前記テーブル情報に基づいて前記対応関係の適否を再度判定し、前記制御部は、前記対応関係が適正であると判定された場合に前記指定された撮影モードの撮影の禁止を解除する、眼科装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明に係る眼科装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の実施形態では、眼科装置として、たとえば特開2008−73099号公報に開示された装置と同様に、フーリエドメインタイプのOCT(より具体的には、スペクトラルドメインOCT)により被検眼のOCT画像および眼底像の双方を取得するための眼科装置を例に説明する。以下の実施形態では、被検眼のOCT画像として、被検眼の眼底および前眼部のOCT画像の取得が可能である。また、以下の実施形態に係る眼科装置は、さらに、被検眼を検査するための眼科検査装置の機能を有していてもよい。
【0011】
また、以下では、アタッチメントの装着状態やその種別に応じて撮影モードを切り替えることにより当該アタッチメントに対応した被検眼の撮影画像を取得する場合について説明するが、これに限定されるものではない。以下では、アタッチメントの装着状態やその種別に対応した撮影モードで、被検眼における所望の撮影対象部位の撮影を行うものとする。アタッチメントには、対物レンズの前側に配置される1以上の光学素子を有する光学的アタッチメントや、被検者の顔を好適位置に配置させる顔受け(額当て、顎受け)アタッチメントなどがあるが、以下の実施形態では、主として、前者を例に説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
[構成]
第1実施形態に係る眼科装置の構成の一例を
図1に示す。眼科装置1は、被検眼Eの撮影を行う機能を備える。特に、眼科装置1は、被検眼Eの眼底Efを撮影する機能と、被検眼Eの前眼部Eaを撮影する機能とを備える。眼科装置1は、光学ユニット2と、移動機構5と、制御部7と、ユーザインターフェイス8とを含む。また、眼科装置1は、光学ユニット2に対して装着自在に構成されたアタッチメント4を含んでもよい。
【0013】
(光学ユニット2)
光学ユニット2は、被検眼Eの撮影を行うための光学系20を有する。光学系20は、被検眼Eの撮影を行うための各種の光学素子を含む。また、光学ユニット2は、光学系20を構成する光学素子を移動させたり回転させたりするための機構を含んでいてもよい。光学系20には、特に、干渉光学系21と、撮影光学系22とが含まれている。
【0014】
干渉光学系21は、一般的なOCT装置と同様に、次の構成要素を含む:光源(低コヒーレンス光源、波長掃引光源など);光源から出力された光を測定光と参照光とに分割し、且つ、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光とを干渉させるファイバカプラ;OCT計測用の光路(測定光および/または参照光の光路)の光路長を変更するための手段;干渉光学系21の合焦位置を変更するための合焦レンズなどの各種の光学素子;ファイバカプラにより生成された干渉光を検出する検出部(分光器、バランスドフォトディテクタなど)。この場合、眼科装置1は、検出部による干渉光の検出結果に基づいて被検眼E(眼底Ef、前眼部Eaなど)の断面像や3次元画像を形成する回路および/またはプロセッサを備える。
【0015】
撮影光学系22は、一般的な眼底カメラと同様に、次の構成要素を含む:各種のレンズ(合焦レンズ、結像レンズ、フォーカシングレンズ、リレーレンズなど);レンズ以外の光学素子(絞りイメージセンサ(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなど)。また、撮影光学系22は、光源を含んでいてよい。この光源は、たとえば、赤外光(近赤外光)および/または可視光を発する。
【0016】
撮影光学系22は、2以上のカメラを含んだ構成であってもよい。たとえば、光学ユニット2の前面(被検者に対向する面)の異なる位置に2つのカメラを設ける。そして、2つのカメラを用いて異なる方向から前眼部Eaを撮影する。すなわち、2つのカメラは、前眼部Eaのステレオ撮影を行う。眼科装置1は、2つのカメラにより実質的に同時に取得された2つの画像に基づいて、前眼部Eaの位置情報を求めることが可能である。
【0017】
一方、
図1に示す構成例においては、光学系20が光学ユニット2の内部に格納されている。光学系20においては、干渉光学系21から延びる光路と、撮影光学系22から延びる光路とが、ビームスプリッタ23によって合成されている。ビームスプリッタ23としては、たとえば、干渉光学系21により使用される波長帯および撮影光学系22により使用される波長帯に応じて、ダイクロイックミラーやハーフミラーが適用される。ビームスプリッタ23により合成された光路OPには、対物レンズ24が配置されている。
【0018】
光学ユニット2の前面にアタッチメント4を装着することが可能である。なお、
図1はアタッチメント4が装着されている状態を示しているが、アタッチメント4は、対物レンズ24と被検眼Eとの間に配置される。アタッチメント4が装着される光学ユニット2の部位(またはその近傍)には、装着検知部41が設けられている。装着検知部41は、アタッチメント4の装着を検知する。「装着を検知する」とは、たとえば、装着されたことの検知、装着されていることの検知、取り外されたことの検知、取り外されていることの検知など、アタッチメント4の装着に関する任意のイベントの検知および/または任意の状態の検知を意味するものとする。装着検知部41は、たとえば、アタッチメント4の装着(または取り外し)に応じて発生する所定の物理量の変動を受けてアタッチメント4の装着を検知する。この物理量の例として、磁場の大きさ・方向や、圧力の大きさ(有無)などがある。装着検知部41は、検出対象である物理量の種別に応じた構成を有する(たとえば磁気センサや圧力センサやマイクロスイッチなど)。また、検出対象である物理量の種別に応じてアタッチメント4に付加的な構成要素が設けられる(たとえば磁石や凸部や凹部など)。
【0019】
アタッチメント4として、干渉光学系21を用いて前眼部のOCTを実施するための前眼部撮影用アタッチメント(光学アタッチメント)を適用することが可能である。このアタッチメント4には、少なくとも、干渉光学系21から出力された測定光を前眼部Ea(角膜等)に集束させるためのレンズが含まれている。すなわち、このレンズは、本来は眼底Efに集束される測定光を前眼部Eaに集束させるように作用する。
【0020】
移動機構5は、光学ユニット2を移動させるための機構である。移動機構5は、少なくとも前後方向(±z方向)に光学ユニット2を移動させるが、光学ユニット2の移動可能方向はこれには限定されない。光学ユニット2の移動態様は、電動での移動および/または手動での移動である。電動の場合、移動機構5にはアクチュエータ51が設けられる。アクチュエータ51は、たとえばパルスモータを含む。アクチュエータ51は、制御部7からの制御を受けて駆動力を発生する。移動機構5は、アクチュエータ51により出力された駆動力を光学ユニット2まで伝達する機構を含む。なお、制御部7は、既定のコンピュータプログラムにしたがってアクチュエータ51を自動制御し、或いは、制御部7は、ユーザインターフェイス8の操作部82からの操作信号に基づいてアクチュエータ51を制御する。手動の場合、アクチュエータ51は設けられていなくてよい。手動の場合、ユーザは、操作部82を用いて、光学ユニット2を移動させるための操作を行う。この操作により印加された力F1は、図示しない機構を介して移動機構5まで伝達され、移動機構5によって光学ユニット2を移動させるための力F2に変換される。
【0021】
また、干渉光学系21は、干渉光学系21の焦点位置を変更する第1合焦レンズ(図示せず)をその光軸方向に移動させるための移動機構21aを備える。第1合焦レンズは、1以上のレンズにより構成される。第1合焦レンズの移動態様は、電動での移動および/または手動での移動である。電動の場合、移動機構21aにはアクチュエータが設けられる。アクチュエータは、たとえばパルスモータを含む。アクチュエータは、制御部7からの制御を受けて駆動力を発生する。移動機構21aは、アクチュエータにより出力された駆動力を第1合焦レンズまで伝達する機構を含む。なお、制御部7は、既定のコンピュータプログラムにしたがってアクチュエータを自動制御し、或いは、制御部7は、ユーザインターフェイス8の操作部82(合焦操作部822)からの操作信号に基づいてアクチュエータを制御する。手動の場合、アクチュエータは設けられていなくてよい。手動の場合、ユーザは、操作部82(合焦操作部822)を用いて、第1合焦レンズを移動させるための操作を行う。この操作により印加された力F1´は、図示しない機構を介して移動機構21aまで伝達され、移動機構21aによって第1合焦レンズを移動させるための力F2´に変換される。
【0022】
同様に、撮影光学系22は、撮影光学系22の焦点位置を変更する第2合焦レンズ(図示せず)をその光軸方向に移動させるための移動機構22aを備える。第2合焦レンズは、1以上のレンズにより構成される。第2合焦レンズの移動態様は、電動での移動および/または手動での移動である。電動の場合、移動機構22aにはアクチュエータが設けられる。アクチュエータは、たとえばパルスモータを含む。アクチュエータは、制御部7からの制御を受けて駆動力を発生する。移動機構22aは、アクチュエータにより出力された駆動力を第2合焦レンズまで伝達する機構を含む。なお、制御部7は、既定のコンピュータプログラムにしたがってアクチュエータを自動制御し、或いは、制御部7は、ユーザインターフェイス8の操作部82(合焦操作部822)からの操作信号に基づいてアクチュエータを制御する。手動の場合、アクチュエータは設けられていなくてよい。手動の場合、ユーザは、操作部82(合焦操作部822)を用いて、第2合焦レンズを移動させるための操作を行う。この操作により印加された力F1´´は、図示しない機構を介して移動機構22aまで伝達され、移動機構22aによって第2合焦レンズを移動させるための力F2´´に変換される。
【0023】
制御部7は、たとえば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、プログラマブルロジックデバイス、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部7は眼科装置1における各種制御を行う。たとえば、制御部7は、干渉光学系21の制御、撮影光学系22の制御、移動機構5(アクチュエータ)の制御、情報出力部81の制御などを実行する。アタッチメント4に制御可能な構成要素が含まれている場合、制御部7は、当該構成要素の制御を行うことが可能である。
【0024】
また、制御部7は、画像形成部または画像処理部としての機能を実行することが可能である。たとえば、制御部7は、干渉光学系21における検出部による干渉光の検出信号に基づいて、被検眼Eの断層像の画像データを形成する。たとえば、この処理には、従来のスペクトラルドメインタイプのOCTと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。他のタイプのOCTが適用される場合、制御部7は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。また、制御部7は、撮影光学系22により撮影して得られた画像を受けて、その画像データに対して所定の画像処理などを施す。
【0025】
また、制御部7は、各種のデータを記憶する。制御部7に記憶されるデータとしては、たとえば、干渉光学系21により取得されたデータ(検査データ、撮影データ)や、撮影光学系22により取得された画像データや、被検者情報や、被検眼情報などがある。また、制御部7には、眼科装置1を動作させるための各種コンピュータプログラムやデータが記憶されている。
【0026】
ユーザインターフェイス8は、情報出力部81と、操作部82とを含む。情報出力部81は、表示デバイス、音声出力デバイス、印刷デバイスなどを含む。情報出力部81は、制御部7による制御を受けて動作する。操作部82は、眼科装置1を操作するためにユーザによって使用される。また、操作部82は、眼科装置1に対して情報を入力するために使用される。このような操作部82は、光学系操作部821を含む。光学系操作部821は、被検眼Eに対する光学系20の合焦を行うための合焦操作部822を含む。操作部82には、眼科装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーやレバーが含まれていてもよい。情報出力部81と操作部82は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。情報出力部81は、この実施形態に係る「表示手段」の一例である。
【0027】
操作部82は、眼科装置1により実行される撮影モードを指定するためにユーザによって使用される。この実施形態では、撮影モードには、少なくとも、被検眼Eの眼底Efを撮影するための眼底撮影モードと、被検眼Eの前眼部Eaを撮影するための前眼部撮影モードとがある。眼科装置1は、アタッチメント4が装着されていない状態で、OCTにより被検眼Eの眼底Efの撮影を行うことが可能である。この眼科装置1にアタッチメント4を装着することにより、眼科装置1は、OCTにより被検眼Eの前眼部Eaの撮影を行うことが可能になる。すなわち、眼科装置1は、アタッチメント4が装着されている第1状態で被検眼Eの前眼部Eaの撮影を行い、アタッチメント4が装着されていない第2状態で被検眼Eの眼底Efの撮影行うことが可能である。
【0028】
光学系操作部821は、光学系20の操作を行うためにユーザによって使用される。光学系20の操作には、干渉光学系21の焦点位置を変更するための操作、干渉光学系21におけるOCT計測用の光路の光路長を変更するための操作、撮影光学系22の焦点位置を変更するための操作、干渉光学系21または撮影光学系22の光源(波長)を切り替えるための操作、干渉光学系21または撮影光学系22の光路に対し所定の光学部材を挿脱させるための操作などがある。合焦操作部822は、干渉光学系21や撮影光学系22の焦点位置を変更するための操作を行うためにユーザによって使用される。制御部7は、光学系操作部821から信号の入力を受けたとき、現に実行されている撮影モードに応じて光学系20の制御を行う。
【0029】
図2に、
図1の制御部7の構成例の機能ブロック図の一例を示す。制御部7は、装着判定部71と、対応判定部72とを含む。
【0030】
装着判定部71は、アタッチメント4が光学ユニット2に装着されているか否かを判定する。その具体例として、装着判定部71は、装着検知部41によるアタッチメント4の装着状態の検知結果を受け、当該検知結果に基づいてアタッチメント4が光学ユニット2に装着されているか否かを判定する。また、光学ユニット2に装着検知部41が搭載されない場合には、情報出力部81によりユーザにアタッチメント4が装着されているか否かを問い合わせ、その回答内容を操作部82に対する操作内容として受け、装着判定部71は、当該操作内容に基づいてアタッチメント4が光学ユニット2に装着されているか否かを判定してもよい。
【0031】
対応判定部72は、操作部82を用いて指定された撮影モードと装着判定部71により得られたアタッチメント4の装着状態との対応関係の適否を判定する。操作部82を用いて指定された撮影モードとアタッチメント4の装着状態との対応関係を示すテーブル情報が、制御部7の図示しない記憶部にあらかじめ記憶されている(
図3参照)。対応判定部72は、記憶部にあらかじめ記憶されたテーブル情報に基づいて、指定された撮影モードとアタッチメント4の装着状態との対応関係の適否を判定することが可能である。
【0032】
操作部82を用いて指定された撮影モードが眼底撮影モードであり、装着判定部71によりアタッチメント4が光学ユニット2に装着されていないと判定された場合、対応判定部72は、
図3に示すテーブル情報に基づいて、撮影モードとアタッチメント4の装着状態との対応関係は適正であると判定する。操作部82を用いて指定された撮影モードが眼底撮影モードであり、装着判定部71によりアタッチメント4が光学ユニット2に装着されていると判定された場合、対応判定部72は、
図3に示すテーブル情報に基づいて、撮影モードとアタッチメント4の装着状態との対応関係は適正ではないと判定する。
【0033】
また、操作部82を用いて指定された撮影モードが前眼部撮影モードであり、装着判定部71によりアタッチメント4が光学ユニット2に装着されていないと判定された場合、対応判定部72は、
図3に示すテーブル情報に基づいて、撮影モードとアタッチメント4の装着状態との対応関係は適正ではないと判定する。操作部82を用いて指定された撮影モードが前眼部撮影モードであり、装着判定部71によりアタッチメント4が光学ユニット2に装着されていると判定された場合、対応判定部72は、
図3に示すテーブル情報に基づいて、撮影モードとアタッチメント4の装着状態との対応関係は適正であると判定する。
【0034】
撮影モードとアタッチメント4の装着状態との対応関係が適正であると対応判定部72により判定された場合、制御部7は、少なくとも、光学系20の制御を行う。光学系20の制御には、指定された撮影モードに対応した光学系20を構成する光学素子の配置制御などの指定された撮影モードでの撮影を準備するための制御や、撮影を開始させるための制御などが含まれる。撮影を準備するための制御には、たとえば、干渉光学系21や撮影光学系22の所定の合焦位置に光学素子を移動させる制御や、測定光および/または参照光の光路長を所定の長さに設定するための制御や、当該撮影モードに関連して受け付けられた各種パラメータに応じた光学素子の制御や、適用される光源や波長を切り替える制御などがある。撮影を開始させるための制御には、ユーザに撮影開始を指示させるための画面を情報出力部81に表示させる制御などがある。
【0035】
撮影モードとアタッチメント4の装着状態との対応関係が適正ではないと対応判定部72により判定された場合、制御部7は、少なくとも、指定された撮影モードでの撮影を禁止するための制御を行う。たとえば、撮影を禁止するための制御には、情報出力部81に報知情報を表示させる表示制御を含む。報知情報の例として、撮影モードにより決められるアタッチメント4の装着状態の誤りを報知するための情報や、撮影モードの切り替えをユーザに促すための情報や、アタッチメント4の装着状態の変更をユーザに促すための情報などがある。
【0036】
なお、撮影モードとアタッチメント4の装着状態との対応関係が適正ではないと対応判定部72により判定された後、対応判定部72がこの対応関係の適否を再度判定し、当該対応関係が適正であると判定された場合、制御部7は、指定された撮影モードの撮影の禁止を解除することが可能である。対応判定部72による対応関係の適否の再判定タイミングは、後述するように、所定の時間間隔であってもよいし、装着判定部71による判定タイミングに同期させるようにしてもよい。また、ユーザが所定の操作を行ったことに対応して再判定を実行するようにしてもよい。
【0037】
これにより、アタッチメント4が装着されていない状態で前眼部撮影モードにより撮影が行われたり、アタッチメント4が装着されている状態で眼底撮影モードにより撮影が行われたりすることがなく、誤った撮影モードで被検眼Eを撮影してしまう事態を防止することが可能になる。
【0038】
[動作]
眼科装置1の動作について説明する。
図4は、眼科装置1の動作の一例を表す。
【0039】
(S1)
まず、制御部7は、操作部82に対するユーザの撮影モードの指定を監視し、操作部82に対してユーザにより指定された撮影モードを受け付ける。
【0040】
(S2)
次に、制御部7は、装着判定部71により、アタッチメント4が光学ユニット2に装着されているか否かを判定する。
【0041】
(S3)
次に、制御部7は、対応判定部72により、たとえば
図3に示すテーブル情報にしたがって、S1において指定された撮影モードとS2において判定されたアタッチメント4の装着状態との対応関係の適否を判定する。S1において指定された撮影モードとS2において判定されたアタッチメント4の装着状態との対応関係が適正であると判定されたとき(S3:Y)、制御部7による制御は、S4に移行する。一方、S1において指定された撮影モードとS2において判定されたアタッチメント4の装着状態との対応関係が適正ではないと判定されたとき(S3:N)、制御部7による制御は、S9に移行する。
【0042】
(S4)
S3において、S1において指定された撮影モードとS2において判定されたアタッチメント4の装着状態との対応関係が適正であると判定されたとき(S3:Y)、制御部7は、S1において指定された撮影モードでの撮影の許可制御を行う。この撮影の許可制御には、S1において指定された撮影モードによる撮影を行うために光学系20を構成する光学素子の配置制御などが含まれる。また、たとえば、制御部7は、S1において指定された撮影モードでの撮影を行うための各種パラメータを設定するための操作部82に対するユーザの操作入力を受け付け可能に変更し、受け付けられた各種パラメータに応じて光学系20を制御することも可能である。
【0043】
S4では、たとえば、次のような制御が可能である。S3において対応判定部72の判定結果に基づいて眼底撮影モードでの撮影が許可された場合、制御部7は、合焦操作部822を用いた操作に基づいて撮影光学系22および干渉光学系21の双方の合焦位置を移動させることが可能である。一方、S3において対応判定部72の判定結果に基づいて前眼部撮影モードでの撮影が許可された場合、制御部7は、干渉光学系21の合焦位置の移動を禁止し、且つ、合焦操作部822を用いた操作に基づいて撮影光学系22の合焦位置を移動させることが可能である。すなわち、制御部7は、眼底撮影モードが実行されているときに合焦操作部822が操作された場合、撮影光学系22および干渉光学系21の双方の合焦位置を移動させ、前眼部撮影モードが実行されているときに合焦操作部822が操作された場合、撮影光学系22の合焦位置のみを移動させることが可能である。このように、S4では、合焦操作部822に対する操作に対して同一の操作を行っても、指定された撮影モードに応じた光学系20の制御が可能である。これにより、撮影モードに応じてユーザの操作性を向上させることができる。
【0044】
(S5)
次に、制御部7は、S1において指定された撮影モードでの撮影開始指示がユーザにより操作部82に対して行われたか否かを監視する(S5:N)。操作部82に対して撮影開始指示が行われたとき(S5:Y)、制御部7による制御は、S6に移行する。
【0045】
(S6)
操作部82に対して撮影開始指示が行われたとき(S5:Y)、制御部7は、S2と同様に、装着判定部71により、アタッチメント4が光学ユニット2に装着されているか否かを判定する。
【0046】
(S7)
次に、制御部7は、S3と同様に、対応判定部72により、たとえば
図3に示すテーブル情報にしたがって、S1において指定された撮影モードとS6において判定されたアタッチメント4の装着状態との対応関係の適否を判定する。S7は、S1の撮影モードの指定後にアタッチメント4の装着状態が変更された場合であっても、誤った撮影モードで被検眼Eを撮影してしまう事態を防止するために実行される。S1において指定された撮影モードとS6において判定されたアタッチメント4の装着状態との対応関係が適正であると判定されたとき(S7:Y)、制御部7による制御は、S8に移行する。一方、S1において指定された撮影モードとS6において判定されたアタッチメント4の装着状態との対応関係が適正ではないと判定されたとき(S7:N)、制御部7による制御は、S11に移行する。
【0047】
(S8)
制御部7は、S1において指定された撮影モードで、且つ、S4において制御された光学系20の配置で、被検眼Eの撮影を行う。
【0048】
(S9)
S3において、S1において指定された撮影モードとS2において判定されたアタッチメント4の装着状態との対応関係が適正ではないと判定されたとき(S3:N)、制御部7は、S1において指定された撮影モードでの撮影の禁止制御を行う。この撮影の禁止制御には、情報出力部81に報知情報を表示させる表示制御を含む。報知情報には、上記のようにアタッチメント4の装着状態の変更をユーザに促すための情報などがある。
【0049】
(S10)
S9の禁止制御が所定の繰り返し回数以内のとき(S10:Y)、制御部7による制御は、S2に移行する。これにより、所定の繰り返し回数以内で、S1において指定された撮影モードでの撮影の禁止を解除することが可能になる。一方、S9の禁止制御が所定の繰り返し回数以内ではないとき(S10:N)、制御部7による制御は、S1に移行する。
【0050】
S1において指定された撮影モードでの撮影の禁止を解除する場合、所定の時間が経過したときにS10からS2に移行させることが可能である。また、装着判定部71によって新たな装着状態の判定タイミングに同期させて、S10からS2に移行させることが可能である。
【0051】
(S11)
S7において、S1において指定された撮影モードとS6において判定されたアタッチメント4の装着状態との対応関係が適正ではないと判定されたとき(S7:N)、制御部7は、S1において指定された撮影モードでの撮影の禁止制御を行う。この撮影の禁止制御には、S9と同様に、情報出力部81に報知情報を表示させる表示制御を含む。
【0052】
(S12)
S11の禁止制御が所定の繰り返し回数以内のとき(S12:Y)、制御部7による制御は、S6に移行する。これにより、所定の繰り返し回数以内で、S1において指定された撮影モードでの撮影の禁止を解除することが可能になる。一方、S11の禁止制御が所定の繰り返し回数以内ではないとき(S12:N)、制御部7による制御は、S1に移行する。
【0053】
S1において指定された撮影モードでの撮影の禁止を解除する場合、所定の時間が経過したときにS12からS6に移行させることが可能である。また、装着判定部71によって新たな装着状態の判定タイミングに同期させて、S12からS6に移行させることが可能である。
【0054】
[効果]
眼科装置1の効果について説明する。
【0055】
眼科装置1は、アタッチメント4が装着されていない第1状態で被検眼Eの撮影を行う眼底撮影モード(第1撮影モード)と、アタッチメント4が装着されている第2状態で被検眼Eの撮影を行う前眼部撮影モード(第2撮影モード)とを選択的に実行可能な装置である。眼科装置1は、操作部82と、装着判定部71と、対応判定部72と、制御部7とを含む。操作部82は、撮影モードを指定するために用いられる。装着判定部71は、アタッチメント4が装着されているか否かを判定する。対応判定部72は、操作部82を用いて指定された撮影モードと装着判定部71により得られたアタッチメント4の装着状態との対応関係の適否を判定する。制御部7は、対応関係が適正ではないと対応判定部72により判定された場合、少なくとも、指定された撮影モードでの撮影を禁止するための制御を行う。
【0056】
このような構成によれば、撮影モードの指定内容とアタッチメントの装着状態とが適正に対応しているか否かを撮影前に判定し、適正ではないと判定されたときに当該撮影モードでの撮影の禁止を制御することが可能になる。これにより、誤った撮影モードで被検眼Eを撮影してしまう事態を防止することが可能である。
【0057】
また、対応関係が適正ではないと対応判定部72により判定された後、対応判定部72が対応関係の適否を再度判定し、対応関係が適正であると判定された場合、制御部7は、指定された撮影モードでの撮影の禁止を解除してもよい。
【0058】
このような構成によれば、撮影モードに対応したアタッチメントの装着状態が適正ではなく、当該撮影モードでの撮影を禁止する制御が行われた場合であっても、対応判定部72による再度の判定を行うことで、撮影禁止制御後の禁止を解除することができる。これにより、ユーザが誤った撮影モードで被検眼Eを撮影しようとして撮影の禁止制御が行われた場合であっても、撮影モードやアタッチメント4の装着状態を変更することにより、所望の撮影モードで被検眼Eを撮影することが可能になる。
【0059】
また、眼科装置1は、被検眼を撮影するための光学系20を含み、対応関係が適正であると対応判定部72により判定された場合、制御部7は、指定された撮影モードに応じて光学系20の制御を行ってもよい。
【0060】
このような構成によれば、対応関係が適正であると判定された場合、当該撮影モードでの撮影の準備などの制御が行われ、ユーザにとって使い勝手の良い眼科装置1を提供することが可能になる。
【0061】
また、撮影を禁止するための制御は、情報出力部81(表示手段)に報知情報を表示させる表示制御を含んでもよい。
【0062】
このような構成によれば、誤った撮影モードで被検眼Eを撮影してしまう事態を事前にユーザに報知することが可能になる。
【0063】
また、アタッチメント4は、前眼部を撮影するための光学アタッチメントであり、第1撮影モードは、眼底撮影モードであり、第2撮影モードは、前眼部撮影モードであってもよい。
【0064】
このような構成によれば、前眼部を撮影するためのアタッチメント4が装着されていない状態で前眼部撮影モードにより撮影が行われたり、前眼部を撮影するためのアタッチメント4が装着されている状態で眼底撮影モードにより撮影が行われたりすることがなく、誤った撮影モードで被検眼Eを撮影してしまう事態を防止することが可能になる。
【0065】
また、眼科装置1は、被検眼Eを撮影するための光学系20と、光学系20の操作を行うための光学系操作部821とを含み、制御部7は、光学系操作部821から信号の入力を受けたとき、現に実行されている撮影モードに応じて光学系20の制御を行うことが可能である。
【0066】
このような構成によれば、操作部82を用いて指定された撮影モードに応じて、光学系操作部821により光学系20の操作内容を変更することができる。これにより、ユーザは、撮影モードに応じた光学系20の制御が可能になり、操作性を向上させることができる。
【0067】
また、眼科装置1は、少なくとも眼底撮影モードおよび前眼部撮影モードを実行可能であり、光学系20は、被検眼Eの眼底Efを撮影するための撮影光学系と、OCTにより被検眼Eに関する情報を取得するための干渉光学系21とを含み、光学系操作部821は、被検眼Eに対する光学系20の合焦を行うための合焦操作部822を含み、制御部7は、眼底撮影モードが実行されているときに合焦操作部822が操作された場合、撮影光学系22および干渉光学系21の双方の合焦位置を移動させ、前眼部撮影モードが実行されているときに合焦操作部822が操作された場合、撮影光学系22の合焦位置のみを移動させてもよい。
【0068】
このような構成によれば、光学系操作部821に対する操作に対して同一の操作を行っても、指定された撮影モードに応じた光学系20の制御が可能である。これにより、撮影モードに応じてユーザの操作性を向上させることができる。
【0069】
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、指定された撮影モードとアタッチメント4の装着状態との対応関係の適否に基づいて、当該撮影モードでの撮影を禁止する場合について説明したが、これに限定されるものではない。第2実施形態では、指定された撮影モードとアタッチメント4の種別との対応関係の適否に基づいて、当該撮影モードでの撮影を禁止する。以下では、第2実施形態に係る眼科装置について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0070】
第2実施形態に係る眼科装置の光学ユニットには、2以上の撮影モードに対応する2以上のアタッチメントが選択的に装着可能である。たとえば、2以上の撮影モードには、眼底や前眼部だけではなく、硝子体や水晶体などの被検眼の任意の部位を撮影対象部位とする撮影モードが含まれる。また、アタッチメントもまた、撮影対象部位ごとに用意され、これらが選択的に眼科装置に適用される。
【0071】
このような第2実施形態に係る眼科装置の構成が第1実施形態に係る眼科装置1の構成と異なる点は、制御部7に代えて制御部7aが適用された点である。
【0072】
図5に、第2実施形態に係る制御部の構成例の機能ブロック図を示す。
図5において、
図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。制御部7aは、装着判定部71と、対応判定部72aと、種別特定部73aとを含む。
【0073】
装着判定部71は、アタッチメント4が光学ユニット2に装着されているか否かを判定する。
【0074】
種別特定部73aは、装着判定部71により装着されていると判定されたアタッチメント4の種別を特定する。アタッチメント4の種別には、前眼部撮影用アタッチメントや、水晶体撮影用アタッチメントなどがある。たとえば、種別特定部73aは、アタッチメント4の装着(または取り外し)に応じて発生する所定の物理量に基づいて、アタッチメント4の種別を特定する。装着検知部41が磁気センサによりアタッチメント4の装着状態を検知する場合、種別特定部73aは、アタッチメント4の装着(または取り外し)に応じて発生する磁力の強さまたはその変動(量、方向)に基づいて、アタッチメント4の種別を特定することが可能である。装着検知部41が圧力センサによりアタッチメント4の装着状態を検知する場合、種別特定部73aは、アタッチメント4の装着(または取り外し)に応じて発生する圧力またはその変動に基づいて、アタッチメント4の種別を特定することが可能である。
【0075】
また、装着検知部41が複数のマイクロスイッチを含み、装着されたアタッチメント4の種別に応じてオンになるマイクロスイッチが異なるようにこれらマイクロスイッチが配置されている場合、種別特定部73aは、オンになったマイクロスイッチを特定することにより、アタッチメント4の種別を特定することができる。また、種別特定部73aは、撮影光学系22が有するカメラ(たとえば、ステレオ撮影を行うカメラ)からの画像に基づいて、アタッチメントの種別を特定してもよい。
【0076】
この実施形態では、光学ユニット2にアタッチメント4が装着されていないと装着判定部71により判定された場合、種別特定部73aは、アタッチメント4の種別として「種別なし」と特定する。
【0077】
対応判定部72aは、操作部82を用いて指定された撮影モードと種別特定部73aにより特定されたアタッチメント4の種別との対応関係の適否を判定する。操作部82を用いて指定された撮影モードとアタッチメント4の種別との対応関係を示すテーブル情報が、制御部7aの図示しない記憶部にあらかじめ記憶されている(
図6参照)。対応判定部72aは、記憶部にあらかじめ記憶されたテーブル情報に基づいて、指定された撮影モードとアタッチメント4の種別との対応関係の適否を判定することが可能である。
【0078】
操作部82を用いて指定された撮影モードが眼底撮影モードであり、種別特定部73aによりアタッチメント4の種別が「種別なし」として特定された(装着判定部71によりアタッチメント4が光学ユニット2に装着されていないと判定された)場合、対応判定部72aは、
図6に示すテーブル情報に基づいて、撮影モードとアタッチメント4の種別との対応関係は適正であると判定する。操作部82を用いて指定された撮影モードが眼底撮影モードであり、種別特定部73aによりアタッチメント4の種別が特定された(装着判定部71によりアタッチメント4が光学ユニット2に装着されていると判定された)場合、対応判定部72aは、
図6に示すテーブル情報に基づいて、撮影モードとアタッチメント4の種別との対応関係は適正ではないと判定する。
【0079】
また、操作部82を用いて指定された撮影モードが前眼部撮影モードであり、種別特定部73aによりアタッチメント4の種別が「種別なし」として特定された場合、対応判定部72aは、
図6に示すテーブル情報に基づいて、撮影モードとアタッチメント4の種別との対応関係は適正ではないと判定する。操作部82を用いて指定された撮影モードが前眼部撮影モードであり、種別特定部73aにより光学ユニット2に装着されたアタッチメント4が前眼部撮影用アタッチメントであると特定された場合、対応判定部72aは、
図6に示すテーブル情報に基づいて、撮影モードとアタッチメント4の種別との対応関係は適正であると判定する。
【0080】
撮影モードとアタッチメント4の種別との対応関係が適正であると対応判定部72aにより判定された場合、制御部7aは、少なくとも、光学系20の制御を行う。光学系20の制御には、第1実施形態と同様に、指定された撮影モードに対応した光学系20を構成する光学素子の配置制御などの指定された撮影モードでの撮影を準備するための制御や、撮影を開始させるための制御などが含まれる。
【0081】
撮影モードとアタッチメント4の種別との対応関係が適正ではないと対応判定部72aにより判定された場合、制御部7aは、少なくとも、指定された撮影モードでの撮影を禁止するための制御を行う。たとえば、撮影を禁止するための制御には、情報出力部81に報知情報を表示させる表示制御を含む。報知情報の例として、撮影モードにより決められるアタッチメント4の種別の誤りを報知するための情報や、撮影モードの切り替えをユーザに促すための情報や、アタッチメント4の種別の変更をユーザに促すための情報などがある。
【0082】
なお、撮影モードとアタッチメント4の種別との対応関係が適正ではないと対応判定部72aにより判定された後、対応判定部72aがこの対応関係の適否を再度判定し、当該対応関係が適正であると判定された場合、制御部7aは、指定された撮影モードの撮影の禁止を解除することが可能である。対応判定部72aによる対応関係の適否の再判定タイミングは、後述するように、所定の時間が経過したときに行われてもよいし、装着判定部71による判定タイミングや種別特定部73aによる種別特定タイミングに同期させるようにしてもよい。
【0083】
これにより、たとえば光学ユニット2に装着されたアタッチメント4の種別が正しくない状態で前眼部撮影モードにより撮影が行われることがなく、誤った撮影モードまたはアタッチメントで被検眼Eを撮影してしまう事態を防止することが可能になる。
【0084】
[動作]
この実施形態に係る眼科装置の動作について説明する。
図7は、この実施形態に係る眼科装置の動作の一例を表す。
【0085】
(S21)
まず、制御部7aは、操作部82に対するユーザの撮影モードの指定を監視し、操作部82に対してユーザにより指定された撮影モードを受け付ける。
【0086】
(S22)
次に、制御部7aは、装着判定部71により、アタッチメント4が光学ユニット2に装着されているか否かを判定する。また、制御部7aは、種別特定部73aにより、装着判定部71により光学ユニット2に装着されていると判定されたアタッチメント4の種別を特定する。
【0087】
(S23)
次に、制御部7aは、対応判定部72aにより、たとえば
図6に示すテーブル情報にしたがって、S21において指定された撮影モードとS22において特定されたアタッチメント4の種別との対応関係の適否を判定する。S21において指定された撮影モードとS22において特定されたアタッチメント4の種別との対応関係が適正であると判定されたとき(S23:Y)、制御部7aによる制御は、S24に移行する。一方、S21において指定された撮影モードとS22において特定されたアタッチメント4の種別との対応関係が適正ではないと判定されたとき(S23:N)、制御部7aによる制御は、S29に移行する。
【0088】
(S24)
S23において、S21において指定された撮影モードとS22において特定されたアタッチメント4の種別との対応関係が適正であると判定されたとき(S23:Y)、制御部7aは、S21において指定された撮影モードでの撮影の許可制御を行う。この撮影の許可制御には、S21において指定された撮影モードによる撮影を行うために光学系20を構成する光学素子の配置制御などが含まれる。また、たとえば、制御部7aは、S21において指定された撮影モードでの撮影を行うための各種パラメータを設定するための操作部82に対するユーザの操作入力を受け付け可能に変更し、受け付けられた各種パラメータに応じて光学系20を制御することも可能である。
【0089】
S24では、たとえば、S4と同様に、次のような制御が可能である。S23において対応判定部72aの判定結果に基づいて眼底撮影モードでの撮影が許可された場合、制御部7aは、合焦操作部822を用いた操作に基づいて撮影光学系22および干渉光学系21の双方の合焦位置を移動させることが可能である。一方、S23において対応判定部72aの判定結果に基づいて前眼部撮影モードでの撮影が許可された場合、制御部7aは、干渉光学系21の合焦位置の移動を禁止し、且つ、合焦操作部822を用いた操作に基づいて撮影光学系22の合焦位置を移動させることが可能である。
【0090】
(S25)
次に、制御部7aは、S21において指定された撮影モードでのユーザによる撮影開始指示が操作部82に対して行われたか否かを監視する(S25:N)。操作部82に対して撮影開始指示が行われたとき(S25:Y)、制御部7aによる制御は、S26に移行する。
【0091】
(S26)
操作部82に対して撮影開始指示が行われたとき(S25:Y)、制御部7aは、S22と同様に、装着判定部71により、アタッチメント4が光学ユニット2に装着されているか否かを判定する。また、制御部7aは、種別特定部73aにより、装着判定部71により光学ユニット2に装着されていると判定されたアタッチメント4の種別を特定する。
【0092】
(S27)
次に、制御部7aは、S23と同様に、対応判定部72aにより、たとえば
図6に示すテーブル情報にしたがって、S21において指定された撮影モードとS26において特定されたアタッチメント4の種別との対応関係の適否を判定する。S27は、S7と同様に、S21の撮影モードの指定後にアタッチメント4の種別(装着状態を含めて)が変更された場合であっても、誤った撮影モードで被検眼を撮影してしまう事態を防止するために実行される。S21において指定された撮影モードとS26において特定されたアタッチメント4の種別との対応関係が適正であると判定されたとき(S27:Y)、制御部7aによる制御は、S28に移行する。一方、S21において指定された撮影モードとS26において特定されたアタッチメント4の種別との対応関係が適正ではないと判定されたとき(S27:N)、制御部7aによる制御は、S31に移行する。
【0093】
(S28)
制御部7aは、S21において指定された撮影モードで、且つ、S24において制御された光学系20の配置で、被検眼Eの撮影を行う。
【0094】
(S29)
S23において、S21において指定された撮影モードとS22において特定されたアタッチメント4の種別との対応関係が適正ではないと判定されたとき(S23:N)、制御部7aは、S9と同様に、S21において指定された撮影モードでの撮影の禁止制御を行う。
【0095】
(S30)
S29の禁止制御が所定の繰り返し回数以内のとき(S30:Y)、制御部7aによる制御は、S22に移行する。これにより、所定の繰り返し回数以内で、S21において指定された撮影モードでの撮影の禁止を解除することが可能になる。一方、S29の禁止制御が所定の繰り返し回数以内ではないとき(S30:N)、制御部7aによる制御は、S21に移行する。
【0096】
S21において指定された撮影モードでの撮影の禁止を解除する場合、所定の時間が経過したときにS30からS22に移行させることが可能である。また、装着判定部71による新たな装着状態の判定タイミングまたは種別特定部73aによる新たな種別特定タイミングに同期させて、S30からS22に移行させることが可能である。
【0097】
(S31)
S27において、S21において指定された撮影モードとS26において特定されたアタッチメント4の種別との対応関係が適正ではないと判定されたとき(S27:N)、制御部7aは、S11と同様に、S21において指定された撮影モードでの撮影の禁止制御を行う。
【0098】
(S32)
S31の禁止制御が所定の繰り返し回数以内のとき(S32:Y)、制御部7aによる制御は、S26に移行する。これにより、所定の繰り返し回数以内で、S21において指定された撮影モードでの撮影の禁止を解除することが可能になる。一方、S31の禁止制御が所定の繰り返し回数以内ではないとき(S32:N)、制御部7aによる制御は、S21に移行する。
【0099】
S21において指定された撮影モードでの撮影の禁止を解除する場合、所定の時間が経過したときにS32からS26に移行させることが可能である。また、装着判定部71による新たな装着状態の判定タイミングまたは種別特定部73aによる新たな種別特定タイミングに同期させて、S32からS26に移行させることが可能である。
【0100】
[効果]
この実施形態に係る眼科装置の効果について説明する。
【0101】
この実施形態に係る眼科装置は、2以上の撮影モードに対応する2以上のアタッチメントが選択的に装着された状態で被検眼Eの撮影を行う。眼科装置は、操作部82と、種別特定部73aと、対応判定部72aと、制御部7aとを含む。操作部82は、撮影モードを指定するために用いられる。種別特定部73aは、装着されているアタッチメント4の種別を特定する。対応判定部72aは、操作部82を用いて指定された撮影モードと種別特定部73aにより得られたアタッチメントの種別との対応関係の適否を判定する。制御部7aは、対応関係が適正ではないと対応判定部72aにより判定された場合、少なくとも、指定された撮影モードでの撮影を禁止するための制御を行う。
【0102】
このような構成によれば、撮影モードの指定内容とアタッチメントの種別とが適正に対応しているか否かを撮影前に判定し、適正ではないと判定されたときに当該撮影モードでの撮影の禁止を制御することが可能になる。これにより、誤った撮影モードで被検眼Eを撮影してしまう事態を防止することが可能である。
【0103】
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。
【0104】
たとえば、アタッチメントの装着状態に応じて解析モードを切り替えることにより、当該アタッチメントに対応した被検眼の撮影画像の解析処理を行う場合に、上記の実施形態のいずれかを適用することが可能である。解析モードの切り替えの例として、眼底解析モードと前眼部解析モードとの切り替えがある。眼底解析モードでは、たとえば、網膜厚、層形状、病変の態様(ドルーゼン分布等)などがOCT画像や眼底像に基づき評価される。前眼部解析モードでは、たとえば、角膜厚、角膜形状、隅角などがOCT画像や前眼部像に基づき評価される。また、たとえば、アタッチメントの装着状態に応じてスキャンモードを切り替えることにより、当該アタッチメントに対応した被検眼のスキャン画像を取得する場合にも、上記の実施形態のいずれかを適用することが可能である。スキャンモードの例として、OCT画像を取得するための測定光のスキャンパターンがある。
【0105】
また、たとえば、画角を変更するための光学部材を有するアタッチメントの装着状態に応じて通常画角モードや広角撮影モードなどに切り替えることにより撮影画角を切り替える場合にも、上記の実施形態のいずれかを適用することが可能である。また、たとえば、被検眼の屈折力に応じた光学部材を有するアタッチメントの装着状態に応じて通常眼撮影モードや(超)強度近視眼撮影モードなどに切り替えることにより被検眼に適用される屈折力を切り替える場合にも、上記の実施形態のいずれかを適用することが可能である。
【0106】
撮影モードの指定は、撮影モード自体を指定する操作には限定されない。たとえば、疾患名と撮影モードとをあらかじめ関連付けておくことができる。診断(または治療)に関する疾患名を指定する操作が行われたことに対応し、指定された疾患名に関連付けられた撮影モードを(自動で)選択することができる。なお、複数の撮影モードに関連付けられる疾患も存在する。このような場合、2以上の撮影モードに順序を付すことが可能である。たとえば緑内障の診断においては、眼底(視神経乳頭等)と前眼部(隅角等)の双方を考慮することがある。緑内障モードに対して眼底撮影モードと前眼部撮影モードが関連付けられ、眼底撮影モードに「順序1」が付され、前眼部撮影モードに「順序2」が付されている場合において、緑内障モードが指定されると、「順序1」が付された眼底撮影モードがまず選択される。この場合、緑内障モードの指定操作が眼底撮影モードの指定に相当する。さらに、眼底撮影モードの終了トリガまたは前眼部撮影モードの開始トリガを前眼部撮影モードの指定とみなすことが可能である。