(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
異なる部品種の部品をそれぞれ供給する複数の部品供給ユニットがそれぞれ着脱可能にセットされる複数の供給ユニット保持部を有する部品供給部と、前記各部品供給ユニットから部品を採取して基板に実装する部品移載装置とを備えた部品実装機を用いて、所定の生産ジョブを処理する方法であって、
(a)前記生産ジョブを処理する前に、前記基板に実装すべき全ての部品の部品種に対応する数の前記部品供給ユニットを前記部品供給部のメイン領域にセットすると共に、前記生産ジョブの処理中に部品切れになると予測される部品種の予備の部品供給ユニットを前記部品供給部のサブ領域にセットする工程と、
(b)前記生産ジョブの処理開始後、前記部品移載装置に、前記メイン領域にセットされた前記部品供給ユニットから部品を採取させて前記基板に実装させ、前記生産ジョブの処理中に、前記メイン領域にセットされた前記部品供給ユニットに部品切れが発生したならば、前記部品移載装置に、部品切れになった前記部品種の部品については前記予備の部品供給ユニットから採取させて前記基板に実装させると共に、前記予備の部品供給ユニットを前記メイン領域にセットされた前記部品切れになった前記部品供給ユニットと交換する交換作業を促す案内を表示装置に出力し、前記交換作業が終了したならば、前記部品移載装置に、再び前記メイン領域にセットされた前記部品供給ユニットから部品を採取させて前記基板に実装させる工程と、
を含み、
前記工程(a)では、前記予備の部品供給ユニットを前記サブ領域にセットするにあたり、部品切れになると予測されるタイミングの早い部品種の前記予備の部品供給ユニットほど前記メイン領域に近くなるようにセットし、
前記工程(b)では、前記交換作業が終了したならば、次に部品切れになると予測される部品種の前記予備の部品供給ユニットを前記メイン領域の近くへ移動する作業を促す案内を前記表示装置に出力する、
生産ジョブ処理方法。
前記工程(a)では、前記部品供給ユニットを前記メイン領域にセットするにあたり、基板1枚当たりの生産時間が最短になると予測されるレイアウトで前記部品供給ユニットを前記メイン領域にセットする、
請求項1に記載の生産ジョブ処理方法。
前記工程(b)では、前記交換作業を促す案内を前記表示装置に出力する際、更なる予備の部品供給ユニットが必要か否かを判定し、必要であれば更なる前記予備の部品供給ユニットの準備を促す案内を前記表示装置に出力する、
請求項1又は2に記載の生産ジョブ処理方法。
前記工程(a)では、基板の生産予定枚数と、基板1枚あたりの各部品種の部品の装着点数と、前記生産ジョブの処理の開始時に使用される各部品供給ユニットの部品残数と、各予備の部品供給ユニットの部品数とに基づいて、各部品種の部品切れタイミングと各部品供給ユニットの交換回数とを予測し、その予測結果に基づいて各予備の部品供給ユニットを前記サブ領域にセットする、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の生産ジョブ処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の生産ジョブ処理方法及び生産ジョブ処理装置の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1は部品実装システム10の概略説明図、
図2はフィーダ台60にフィーダ50をセットする様子を示す斜視図、
図3は部品実装システム10の電気的接続を示すブロック図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、
図1に示した通りとする。
【0012】
部品実装システム10は、
図1に示すように、部品実装機20と、管理コンピュータ80とを備えている。
【0013】
部品実装機20は、基板搬送装置22と、ヘッド移動装置30と、ヘッドユニット40と、パーツカメラ39と、フィーダ50と、フィーダ台60と、実装制御装置70とを備えている。
【0014】
基板搬送装置22は、前後に間隔を開けて設けられ左右方向に延びる一対のコンベアベルト26,26(
図1では片方のみ図示)を備えている。基板12は、一対のコンベアベルト26,26の上面に乗せられて左から右へと搬送される。この基板12は、所定の取込位置(
図1の基板12の位置)に到達すると、裏面側に多数立設された支持ピン28によって支持される。
【0015】
ヘッド移動装置30は、X軸スライダ32及びY軸スライダ34を備えており、ヘッド42を有するヘッドユニット40をXY方向に移動させる。ヘッドユニット40は、X軸スライダ32の前面に着脱可能に取り付けられている。X軸スライダ32は、Y軸スライダ34の前面に設けられた左右方向に延びる上下一対のガイドレール34a,34aにスライド可能に取り付けられている。Y軸スライダ34は、前後方向に延びる左右一対のガイドレール36,36にスライド可能に取り付けられている。ヘッドユニット40は、X軸スライダ32が左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ34が前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。なお、各スライダ32,34は、それぞれ駆動モータ(図示せず)により駆動される。
【0016】
ヘッドユニット40は、ノズル44を備えたヘッド42を有している。ノズル44は、圧力を利用して、ノズル先端に部品を吸着したり、ノズル先端に吸着している部品を放したりするものである。このノズル44は、ヘッドユニット40に搭載された図示しないZ軸ボールネジ機構によって高さ調整が可能となっている。ヘッド42やノズル44は、部品の種類や大きさなどに応じて適宜交換される。
【0017】
パーツカメラ39は、フィーダ台60と基板搬送装置22との間であって左右方向の長さの略中央にて、撮像方向が上向きとなるように設置されている。このパーツカメラ39は、その上方を通過するノズル44に吸着された部品を撮像し、撮像により得られた画像を実装制御装置70へ出力する。
【0018】
フィーダ50は、
図2に示すように、リール51と、リール51を回転可能に支持するフィーダ本体53とを備えている。リール51には、長手方向に沿って複数の収容凹部(図示せず)を有するテープ52が巻回されている。各収容凹部には、部品が収容されている。これらの部品は、テープ52の表面を覆うフィルム(図示せず)によって保護されている。フィーダ本体53の後端面には、上下一対の位置決めピン54,54が設けられ、その一対の位置決めピン54,54の間にコネクタ55が設けられている。フィーダ本体53の下面には、前後方向に延びる断面逆T字形のレール56が設けられている。フィーダ50は、テープ送り機構57のスプロケットを回転させ、スプロケットに係合されたテープ52を後方へ送り出す。テープ52の収容凹部に収容された部品を覆うフィルムは、所定の部品供給位置(
図1参照)へ到達する前に剥離される。部品はこの部品供給位置にてノズル44に吸着される。フィーダ50は、
図3に示すように、フィーダ全体の制御を行うフィーダ制御装置58を内蔵している。フィーダ制御装置58は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成され、テープ送り機構57の駆動モータに駆動信号を出力する。
【0019】
フィーダ台60は、
図2に示すように、上面に複数のスロット62を有している。スロット62は、前後方向に延びる断面逆T字溝であり、フィーダ50のレール56が差し込まれるようになっている。フィーダ台60は、後端に立壁を有している。この立壁には、各スロット62に対応する位置にコネクタ65が設けられると共に、コネクタ65の上下に位置決め穴64,64が設けられている。フィーダ50のレール56をスロット62の前方から後方へ差し込んでいくと、フィーダ50の位置決めピン54,54がフィーダ台60の位置決め穴64,64に嵌まり込むと共に、フィーダ50のコネクタ55がフィーダ台60のコネクタ65に電気的に接続される。これにより、フィーダ50には、部品実装機20から電源が供給される。また、
図3に示すように、フィーダ制御装置58は、コネクタ55,65を介して実装制御装置70と双方向通信可能になると共に、実装制御装置70を介して管理コンピュータ80と双方向通信可能になる。
【0020】
部品実装機20は、この他に、各種情報を表示したり作業者からの入力操作を受け付けたりするタッチパネル式の表示操作パネル24を備えている。
【0021】
実装制御装置70は、周知のCPUやROM、HDD、RAMなどで構成されている。
図3に示すように、実装制御装置70は、基板搬送装置22やヘッド移動装置30、ヘッドユニット40などに駆動信号を出力すると共に、表示操作パネル24に画像信号を出力する。実装制御装置70は、パーツカメラ39からの画像信号や表示操作パネル24からの入力信号を入力する。実装制御装置70は、フィーダ制御装置58や管理コンピュータ80と双方向通信が可能である。
【0022】
管理コンピュータ80は、周知のCPUやROM、HDD、RAMなどで構成され、
図3に示すように、LCDなどのディスプレイ82と、キーボードやマウスなどの入力デバイス84とを備えている。管理コンピュータ80は、部品実装機20の実装制御装置70と双方向通信が可能であり、フィーダ50のフィーダ制御装置58と実装制御装置70を介して双方向通信が可能である。管理コンピュータ80のHDDには、生産ジョブが記憶されている。
【0023】
次に、管理コンピュータ80の動作について説明する。管理コンピュータ80は、生産ジョブ処理前作業ルーチンを実施する。
図4は、生産ジョブ処理前作業ルーチンの一例を示すフローチャートである。管理コンピュータ80は、生産ジョブ処理前作業の開始指示が入力デバイス84から入力されると、生産ジョブ処理前作業のプログラムをHDDから読み出してこれを実行する。なお、生産ジョブの処理の開始時に使用する部品種Xのフィーダ50をフィーダ50Xと称し、部品種Xの1つ目の予備のフィーダ50をフィーダ50X1、2つめの予備のフィーダ50をフィーダ50X2、…と称する。また、フィーダ台60のスロット62の数を、便宜上、11個とし、左から順に#1〜#11のスロット62と称する。
【0024】
管理コンピュータ80は、まず、生産ジョブを取得する(S100)。生産ジョブは、管理コンピュータ80のHDDに記憶されている。生産ジョブの一例を表1に示す。生産ジョブには、生産予定枚数、部品種、各部品種の基板1枚あたりの装着点数、生産前部品残数、リールの部品数などが含まれる。生産予定枚数とは、基板12に多数の部品を実装した実装済み基板の生産予定枚数である。部品種とは、基板12に実装される全ての部品種である。生産前部品残数とは、生産ジョブの処理の開始時に使用されるフィーダ50のリール51に巻かれたテープ52に残っている部品残数である。リールの部品数とは、新しいリール51に巻かれたテープ52が保持している部品数である。これらの情報は、オペレータが入力デバイス84を介して入力したもの、あるいは、管理コンピュータ80が実装制御装置70やフィーダ制御装置58から通信により入力したものである。
【0026】
次に、管理コンピュータ80は、生産ジョブの処理の開始時に使用するフィーダ50のスロット位置及び予備のフィーダ50のスロット位置を決定し、ディスプレイ82及び部品実装機20の表示操作パネル24に表示する(S110)。使用するフィーダ50のスロット位置及び予備のフィーダ50のスロット位置は、例えば以下のように決定される。
【0027】
すなわち、管理コンピュータ80は、生産ジョブに基づいて、横軸を実装済み基板の生産枚数、縦軸をフィーダの部品残数とするグラフを部品種ごとに作成する。このグラフを表1の生産ジョブに基づいて部品種ごとに作成すると、
図5のようになる。部品種Aの部品は、処理開始時のフィーダ50Aの生産前部品残数が800個であり、基板1枚当たりの装着点数が20個である。そのため、フィーダ50Aは、生産枚数が40枚になった時点で部品切れになる。その後、予備のフィーダ50A1から部品種Aの部品が供給される。予備のフィーダ50A1のリール51の部品数は1400個である。そのため、予備のフィーダ50A1は、生産枚数が110枚(=40枚+70枚)になった時点で部品切れになる。その後、別の予備のフィーダ50A2から部品種Aの部品が供給される。予備のフィーダ50A2は、生産枚数が180枚になった時点で部品切れになる。その後、別の予備のフィーダ50A3から部品種Aの部品が供給される。その後、予備のフィーダ50A3の部品切れが発生することなく生産枚数が200枚に達する。部品種B〜Eの部品についても、これと同様にしてグラフを作成する。それらのグラフから、生産ジョブでの部品切れ回数と、部品切れタイミングと、部品切れになる部品種と、部品種ごとの部品切れ回数とを求める。その結果を表2に示す。
【0029】
管理コンピュータ80は、表1及び表2の内容を踏まえたうえで、各種フィーダ50のスロット位置を決定する。管理コンピュータ80は、1枚の基板12に実装すべき全ての部品の部品種はA〜Eの5つであると認識し、生産ジョブの処理の開始時に使用するフィーダ50A〜50Eのスロット位置を決定する。
【0030】
ここでは、スロット位置は、基板1枚あたりの生産時間が短くなるように決定する。ノズル44は、フィーダ50の部品供給位置に移動して部品を吸着し、その後パーツカメラ39の上方を通過してから基板12に移動する。パーツカメラ39は、ノズル44に吸着された部品を下方から撮像する。実装制御装置70は、この撮像画像に基づいてノズル44に吸着された部品の位置ズレや姿勢を認識し、その部品の位置ズレや姿勢を考慮して基板12の所定位置にその部品を実装する。このように、ノズル44はフィーダ50によって供給された部品を吸着したあと必ずパーツカメラ39の上方を通過してから基板12へ向かう。そのため、ノズル44の移動距離(移動時間)は、フィーダ50がフィーダ台60のパーツカメラ39(ここでは中央)に近いスロット62にセットされているほど短くなる。こうしたことから基板1枚当たりの装着点数の多い部品種を供給するフィーダ50ほどフィーダ台60の中央に近いスロット62にセットするのが、基板1枚あたりの生産時間を短縮する上で好ましい。
【0031】
いま、表1の生産ジョブでは基板1枚当たりの装着点数の多いものから順に部品種を並べると、A,B,C,D,Eになる。フィーダ台60には上述したように#1〜#11のスロット62があり、#6のスロット62が中央に位置している。そのため、管理コンピュータ80は、生産ジョブの処理開始時に使用するフィーダ50A〜50Eのスロット位置を
図6のように決定する。すなわち、フィーダ50Aを#6、フィーダ50Bを#5、フィーダ50Cを#7、フィーダ50Dを#4、フィーダ50Eを#8に決定する。フィーダ台60のうち生産ジョブの開始時に使用するフィーダ50A〜50Eがセットされる領域(ここでは#4〜#8)をメイン領域という。
【0032】
また、表2を参照して、部品切れタイミングの早いものから順に部品種を並べると、A、D、A、B、D、Aになる。そのため、管理コンピュータ80は、予備のフィーダ50A1,50D1,50A2,50B1,50D2,50A3のスロット位置を、この順にメイン領域に近いスロット62から
図6のように決定していく。つまり、フィーダ50A1を#3、フィーダ50D1を#9、フィーダ50A2を#2、フィーダ50B1を#10、フィーダ50D2を#1、フィーダ50A3を#11に決定する。予備のフィーダ50A1,50D1,50A2,50B1,50D2,50A3がセットされる領域(#1〜#3,#9〜#11)をサブ領域という。
【0033】
管理コンピュータ80は、以上のようにしてメイン領域及びサブ領域にセットすべき各部品種のフィーダ50のスロット位置を決定した後、それをディスプレイ82及び部品実装機20の表示操作パネル24に表示する。このときの画面として、例えば
図6の表示画面SCを採用してもよい。オペレータは、表示画面SCをみながら、各部品種のフィーダ50をフィーダ台60にセットする。
【0034】
その後、管理コンピュータ80は、メイン領域及びサブ領域のすべてのスロット62にフィーダ50がセットされたか否かを判定する(S120)。この判定は、メイン領域及びサブ領域のすべてのスロット62のコネクタ65にフィーダ50のコネクタ55が接続されたか否かによって行う。S120で否定判定だったならば、管理コンピュータ80はそのまま待機する。一方、S120で肯定判定だったならば、管理コンピュータ80は各スロット62に差し込まれたフィーダ50が正しくセットされているか否かを判定する(S130)。管理コンピュータ80は、フィーダ制御装置58からフィーダIDを実装制御装置70を介して受信し、図示しない管理データベースにアクセスしてそのフィーダIDからそのフィーダ50のリール51に巻かれたテープ52に保持されている部品種を読み出し、スロット位置と部品種との対応関係が正しいか否かを判定する。
【0035】
S130で否定判定だったならば、管理コンピュータ80は、ディスプレイ82及び部品実装機20の表示操作パネル24にエラーを表示し(S140)、オペレータがフィーダ50を正しくセットし直すのを待ち、再びS120に戻る。一方、S130で各部品種のフィーダ50がすべて正しくセットされていたならば、管理コンピュータ80は、本ルーチンを終了する。
【0036】
次に、部品実装機20の動作について説明する。生産ジョブ処理前作業が終了したあと、部品実装機20の実装制御装置70は生産ジョブ処理ルーチンを実行する。
図7は、生産ジョブ処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。実装制御装置70は、生産ジョブ処理の開始指示が表示操作パネル24から入力されると、生産ジョブ処理のプログラムをHDDから読み出してこれを実行する。
【0037】
実装制御装置70は、生産ジョブ処理ルーチンを開始すると、まず基板12の搬入及び支持を行う(S200)。ここでは、実装制御装置70は、基板12が部品実装機20内に搬入されるように基板搬送装置22を制御し、基板12が所定の取込位置(
図1の基板12の位置)に到達したときに支持ピン28によって基板12を支持させる。
【0038】
続いて、実装制御装置70は、すべての部品種についてメイン領域のフィーダ50から供給される部品を基板12に実装するように、ヘッド移動装置30及びヘッドユニット40を制御する(S210)。ここでは、ヘッド移動装置30及びヘッドユニット40は、メイン領域の複数のフィーダ50の中から所定の部品種の部品をノズル44に吸着し、そのノズル44をパーツカメラ39の上方を経由して基板12の所定の位置まで移動させてその位置で部品を放す。続いて、実装制御装置70は、基板12にすべての部品を実装したか否かを判定する(S220)。ここでは、実装制御装置70は、各フィーダ50のフィーダ制御装置58から部品切れ発生信号を受信したか否かによってこの判定を実施する。なお、各フィーダ50のフィーダ制御装置58は、フィーダ50に設けられたテープセンサ(図示せず)により部品切れが発生したことを認識すると部品切れ発生信号を実装制御装置70へ送信する。
【0039】
S220でまだすべての部品を実装していなかったならば、実装制御装置70はフィーダ50に部品切れが発生したか否かを判定する(S230)。S230で部品切れが発生していなければ、実装制御装置70は、S210に戻り、メイン領域のフィーダ50を使用した部品実装を続行する。一方、S230で部品切れが発生したならば、実装制御装置70は、部品切れになった部品種についてはサブ領域にある予備のフィーダ50から供給される部品を基板12に実装し、残りの部品種についてはメイン領域のフィーダ50から供給される部品を基板12に実装するように、ヘッド移動装置30及びヘッドユニット40を制御する(S240)。そのため、部品切れが発生したとしても、部品実装機20は部品実装を停止することなく続行することができる。但し、サブ領域にある予備のフィーダ50はメイン領域のフィーダ50に比べてパーツカメラ39から距離が離れているため、S240の部品実装はS210の部品実装に比べて時間が長くかかる。
【0040】
続いて、実装制御装置70は、次に部品切れになると予測される部品種の予備のフィーダ50をメイン領域のすぐ隣りへ移動する必要があるか否かと、フィーダ台60にセットされていない予備のフィーダ50を準備する必要があるか否かを判定する(S250)。次に部品切れとなると予測される部品種の予備のフィーダ50が既にサブ領域に配置されている場合、この予備のフィーダ50をメイン領域のすぐ隣へ移動させておけば、次に部品切れが発生した時のヘッドユニット40の移動距離(時間)を短縮できる。また、未だフィーダ台60にセットされていない予備のフィーダ50が存在する場合、将来部品切れが発生した時に備えて準備しておけば、実際に部品切れが発生したときに生産を継続できる。S250で両方とも不要だったならば、実装制御装置70は、予備のフィーダ50をメイン領域にセットされた部品切れになったフィーダ50と交換する交換作業を促す案内(交換案内)を表示操作パネル24に出力する(S252)。S250で移動は必要だが準備は不要だったならば、実装制御装置70は、交換案内と共に、次に部品切れになると予測される部品種の予備のフィーダ50をメイン領域のすぐ隣りへ移動するように促す案内(移動案内)を表示操作パネル24に出力する(S254)。S250で移動は不要だが準備は必要だったならば、実装制御装置70は、交換案内と共に、フィーダ台60にセットされていない予備のフィーダ50を準備してサブ領域の空きスロット62にセットするように促す案内(準備案内)を表示操作パネル24に出力する(S256)。S250で移動も準備も必要だったならば、実装制御装置70は、交換案内と移動案内と準備案内を表示操作パネル24に出力する(S258)。オペレータは、表示操作パネル24に表示された案内にしたがって作業を行う。
【0041】
S252〜S258のいずれかの処理の後、実装制御装置70は、基板12にすべての部品を実装したか否かを判定する(S260)。S260でまだすべての部品を実装していなかったならば、実装制御装置70は、交換作業が終了したか否かを判定する(S270)。実装制御装置70は、部品切れが発生したスロット62のコネクタ65に接続されたフィーダ50のフィーダ制御装置58と双方向通信を行うことによりこの判定を行う。具体的には、実装制御装置70は、そのフィーダ50のフィーダ制御装置58からフィーダIDを受信し、受信したフィーダIDと部品切れになった部品種の予備のフィーダ50のIDとが一致するか否かによって交換作業が終了したか否かを判定する。S270で交換作業が終了していなければ、実装制御装置70は、再びS240に戻る。一方、S270で交換作業が終了したならば、再びS210に戻る。
【0042】
S220又はS260で基板12にすべての部品を実装したならば、実装制御装置70は、基板12の支持解除及び搬出を行う(S280)。ここでは、実装制御装置70は、支持ピン28による基板12の支持を解除したあと、基板12が部品実装機20から搬出されるように基板搬送装置22を制御する。続いて、実装制御装置70は、部品実装済みの基板12の生産枚数が生産予定枚数に到達したか否かを判定し(S290)、到達していなければ再びS200に戻り、到達していたならば本ルーチンを終了する。
【0043】
次に、表1及び表2を例に挙げて、上述した生産ジョブ処理ルーチンを具体的に説明する。生産ジョブの処理の開始時は、
図8(a)に示すように、メイン領域(#4〜#8)のフィーダ50A〜50Eから供給される部品が基板12に実装される。生産枚数が40枚になると、部品種Aが部品切れになるため、部品種Aの部品についてはサブ領域にある予備のフィーダ50A1から供給され、残りの部品についてはメイン領域のフィーダ50B〜50Eから供給される(
図8(b))。このとき、表示操作パネル24には交換案内が表示される。オペレータは、この交換案内にしたがって予備のフィーダ50A1を部品切れになったフィーダ50Aと交換する(
図8(c))。すると、その後はメイン領域のフィーダ50A1,50B〜50Eから供給される部品が基板12に実装される。生産枚数が50枚になると、部品種Dが部品切れになるため、部品種Dの部品についてはサブ領域にある予備のフィーダ50D1から供給され、残りの部品についてはメイン領域のフィーダ50A1,50B,50C,50Eから供給される(
図8(d))。このとき、表示操作パネル24には交換案内と移動案内が表示される。オペレータは、この交換案内と移動案内にしたがい、予備のフィーダ50D1を部品切れになったフィーダ50Dと交換すると共に次に部品切れになる部品種Aの予備のフィーダ50A2をメイン領域のすぐ隣のスロットに移動する(
図8(e))。生産枚数が110枚になると、部品種Aが部品切れになるため、部品種Aの部品についてはサブ領域にある予備のフィーダ50A2から供給され、残りの部品についてはメイン領域のフィーダ50B、50C,50D1,50Eから供給される(
図8(f))。このとき、表示操作パネル24には交換案内と移動案内が表示される。オペレータは、この交換案内と移動案内にしたがい、予備のフィーダ50A2を部品切れになったフィーダ50A1と交換すると共に次に部品切れになる部品種Bの予備のフィーダ50B1をメイン領域のすぐ隣のスロットに移動する(
図8(g))。以下、これと同様にして表1及び表2にしたがって処理を行っていく(
図8(h)〜
図8(m))。
【0044】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の生産ジョブ処理方法に用いられる構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のフィーダ50が本開示の生産ジョブ処理方法に用いられる部品供給ユニットに相当し、フィーダ台60が部品供給部に相当し、スロット62が供給ユニット保持部に相当し、ヘッド移動装置30及びヘッドユニット40が部品移載装置に相当し、ディスプレイ82及び/又は表示操作パネル24が表示装置に相当する。また、部品実装機20の実装制御装置70が本開示の生産ジョブ処理装置に相当する。
【0045】
以上詳述した実施形態によれば、予備のフィーダ50は、一時的に利用されるだけではなく、最終的にはメイン領域に移動されて利用され続ける。そのため、予備のフィーダ50とは別に、部品切れになった部品種のフィーダ50を準備する必要がない。したがって、生産ジョブの処理中に部品切れが発生した場合にスムーズに部品切れ発生前と同じ手順で(つまりメイン領域のフィーダ50を使用して)各部品を基板12に実装できる。
【0046】
また、生産ジョブの処理の開始時に使用されるフィーダ50は、基板1枚当たりの生産時間が最短になると予測されるレイアウトでメイン領域にセットされる。そのため、生産ジョブを短時間で処理することができる。
【0047】
更に、部品切れになると予測されるタイミングの早い部品種の予備のフィーダ50ほどメイン領域に近くなるようにセットされる。そのため、部品切れになった部品種の予備のフィーダ50から部品移載装置(ヘッド移動装置30及びヘッドユニット40)が部品を吸着して基板12へ実装するのに要する時間を短くすることができる。
【0048】
更にまた、次に部品切れになると予測される部品種の予備のフィーダ50をメイン領域のすぐ隣のスロット62へ移動する作業が必要な場合にはその作業を促す案内が表示される。オペレータはこの案内にしたがって移動作業を行う。そのため、次に部品切れが発生した場合、その部品切れになった部品種の予備のフィーダ50から部品移載装置(ヘッド移動装置30及びヘッドユニット40)が部品を吸着して基板12へ実装するのに要する時間を短くすることができる。
【0049】
そしてまた、生産予定枚数と、基板1枚あたりの装着点数と、生産ジョブの処理の開始時に使用される各フィーダの部品残数(生産前部品残数)と、各予備のフィーダの部品数とに基づいて、各部品種の部品切れタイミングと各部品供給ユニットの交換回数とを予測し、その予測結果に基づいて各予備のフィーダ50をサブ領域にセットする。そのため、予備のフィーダ50を適切にサブ領域にセットすることができる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0051】
例えば、上述した実施形態では、フィーダ台60のスロット62の数を11個(#1〜#11)として説明したが、
図9に示すように、スロット62の数を9個(#1〜#9)としてもよい。その場合、表1及び表2にしたがって生産ジョブの処理を行うとすると、#3〜#7のメイン領域に生産ジョブの処理の開始時に使用されるフィーダ50A〜50Eがセットされる。また、#1,#2,#8,#9のサブ領域に予備のフィーダ50A1,A2,B1,D1がセットされる。しかし、生産ジョブの処理の終盤に使用される予備のフィーダ50D2,50A3はフィーダ台60にセットできない。この場合、生産ジョブの処理を行うと、フィーダ台60上のフィーダ50は
図10(a)〜(m)のように推移していく。
図10(a)〜(h)では
図8(a)〜(h)と同様にして推移していくが、
図10(h)で#8の予備のフィーダ50B1を部品切れが発生した#4のフィーダ50Bと交換する際、実装制御装置70は、次に部品切れが発生すると予測される部品種Dの予備のフィーダ50D2が必要であると判定し、予備のフィーダ50D2の準備を促す案内(準備案内)を表示操作パネル24に出力する。この準備案内では、予備のフィーダ50D2をメイン領域のすぐ隣の#2のスロット62にセットするように促す。オペレータはこの案内にしたがって予備のフィーダ50D2を#2のスロット62にセットする(
図10(i))。その後、部品種Dのフィーダ50D1が部品切れとなり、予備のフィーダ50D2から部品が供給されるようになる(
図10(j))。その後、交換案内にしたがって予備のフィーダ50D2を部品切れになったフィーダ50D1と交換する。交換後は、予備のフィーダ50D2から部品が供給されるようになる(
図10(k))。ここでも、実装制御装置70は、次に部品切れが発生すると予測される部品種Aの予備のフィーダ50A3が必要であると判定し、予備のフィーダ50A3の準備を促す案内(準備案内)を表示操作パネル24に出力する。オペレータはこの案内にしたがって予備のフィーダ50A3をメイン領域のすぐ隣のスロット62にセットする(
図10(k))。その後の
図10(k)〜(m)では
図8(k)〜(m)と同様に推移していく。このようにフィーダ台60のサブ領域のサイズが小さくて生産ジョブを処理する前にすべての予備のフィーダ50をフィーダ台60にセットできなかったとしても、交換作業後はサブ領域に空きが生じるため、必要に応じて予備のフィーダ50の準備を促してサブ領域に補充させることができる。
【0052】
上述した実施形態において、実装制御装置70は、生産ジョブ処理ルーチンのS250において、準備すべき予備のフィーダ50が不要な場合には、予備のフィーダ50を準備する必要はない旨の準備不要案内を表示操作パネル24に出力してもよく、移動すべき予備のフィーダ50がない場合には、フィーダ台60にセットされている予備のフィーダ50を移動する必要はない旨の移動不要案内を表示操作パネル24に出力してもよい。こうすれば、無駄な作業をオペレータにさせるのを回避できる。
【0053】
上述した実施形態では、管理コンピュータ80が生産ジョブ処理前作業ルーチンを実行したが、部品実装機20の実装制御装置70が生産ジョブ処理前作業ルーチンを実行してもよい。また、実装制御装置70が生産ジョブ処理ルーチンを実行したが、管理コンピュータ80が生産ジョブ処理ルーチンを実行してもよい。
【0054】
上述した実施形態では、生産ジョブ処理ルーチンで各種案内を表示する際、表示操作パネル24に表示したが、ディスプレイ82に表示してもよいし、表示操作パネル24とディスプレイ82の両方に表示してもよいし、部品実装システム10が設置されている工場の大型ディスプレイに表示してもよい。
【0055】
上述した実施形態では、
図7の生産ジョブ処理ルーチンにおいて、実装制御装置70はS250〜S258を実行したが、その代わりに、S240のあとS252に進んで交換案内を表示し、その後S260に進むようにしてもよい。このようにしても、予備のフィーダ50は、一時的に利用されるだけではなく、最終的にはメイン領域に移動されて利用され続ける。そのため、予備のフィーダ50とは別に、部品切れになった部品種のフィーダ50を準備する必要がない。したがって、生産ジョブの処理中に部品切れが発生した場合にスムーズに部品切れ発生前と同じ手順で各部品を基板12に実装できる。あるいは、実装制御装置70は、S250において移動すべき予備のフィーダ50があるか否かを判定し、否定判定だったならば交換案内のみを表示し(S252)、肯定判定だったならば交換案内と移動案内を表示する(S254)ようにしてもよい。あるいは、実装制御装置70は、S250において準備すべき予備のフィーダ50があるか否かを判定し、否定判定だったならば交換案内のみを表示し(S252)、肯定判定だったならばS254に進んで交換案内と準備案内を表示する(S256)ようにしてもよい。
【0056】
上述した実施形態において、1回目と2回目に部品切れになる部品種の予備のフィーダ50A1,50D1をメイン領域のすぐ隣のスロット62にセットし、残りの予備のフィーダ50A2,A3,B1,D2を空きスロット62にランダムにセットしてもよい。このようにしても、必要に応じて移動案内を表示し、それにしたがってオペレータが予備のフィーダ50をセットし直すのであれば、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0057】
上述した実施形態では、部品を採取するにあたり、ノズル44で部品を吸着したが、特にノズル44に限定されるものではなく、例えばハンドで部品を掴むようにしてもよい。また、上述した実施形態では、部品供給ユニットとしてフィーダ50を採用したが、特にフィーダ50に限定されるものではなく、例えば、トレイを採用してもよい。
【0058】
上述した実施形態では、生産ジョブ処理前作業ルーチンのS120において、メイン領域及びサブ領域のすべてのスロット62にフィーダ50がセットされたか否かを判定したが、メイン領域のすべてのスロット62にフィーダ50がセットされたか否かを判定してもよい。サブ領域の予備のフィーダ50はセットされていなくても生産を開始することができるからである。サブ領域に予備のフィーダ50がセットされていない場合には、サブ領域にセットすべき予備のフィーダ50のスロット位置が表示操作パネル24等に表示されているため、生産開始後部品切れが発生する前にその表示にしたがってサブ領域に予備のフィーダ50をセットすればよい。
【0059】
本開示の生産ジョブ処理方法は、以下のように構成してもよい。
【0060】
本開示の生産ジョブ処理方法において、前記工程(a)では、前記部品供給ユニットを前記メイン領域にセットするにあたり、基板1枚当たりの生産時間が最短になると予測されるレイアウトで前記部品供給ユニットを前記メイン領域にセットしてもよい。こうすれば、生産ジョブを短時間で処理することができる。
【0061】
本開示の生産ジョブ処理方法において、前記工程(a)では、前記予備の部品供給ユニットを前記サブ領域にセットするにあたり、部品切れになると予測されるタイミングの早い部品種の前記予備の部品供給ユニットほど前記メイン領域に近くなるようにセットしてもよい。こうすれば、部品切れになった部品種の予備の部品供給ユニットから部品移載装置が部品を採取して基板へ実装するのに要する時間を短くすることができる。こうした生産ジョブ処理方法において、前記工程(b)では、前記交換作業が終了したならば、次に部品切れになると予測される部品種の前記予備の部品供給ユニットを前記メイン領域の近くへ移動する作業を促す案内を前記表示装置に出力してもよい。こうすれば、次に部品切れが発生した場合、その部品切れになった部品種の予備の部品供給ユニットから部品移載装置が部品を採取して基板へ実装するのに要する時間を短くすることができる。
【0062】
本開示の生産ジョブ処理方法において、前記工程(b)では、前記交換作業を促す案内を前記表示装置に出力する際、更なる予備の部品供給ユニットが必要か否かを判定し、必要であれば更なる前記予備の部品供給ユニットの準備を促す案内を前記表示装置に出力してもよい。こうすれば、例えば部品供給部のサブ領域のサイズが小さくて生産ジョブを処理する前にすべての予備の部品供給ユニットを部品供給部に保持できなかったとしても、交換作業後はサブ領域に空きが生じるため、必要に応じて予備の部品供給ユニットの準備を促してサブ領域に補充させることができる。なお、更なる予備の部品供給ユニットが必要でなかった場合には、予備の部品供給ユニットの準備は不要であることを伝える案内を前記表示装置に出力してもよい。こうすれば、無駄な作業をオペレータにさせるのを回避できる。
【0063】
前記工程(a)では、基板の生産予定枚数と、基板1枚あたりの各部品種の部品の装着点数と、前記生産ジョブの処理の開始時に使用される各部品供給ユニットの部品残数と、各予備の部品供給ユニットの部品数とに基づいて、各部品種の部品切れタイミングと各部品供給ユニットの交換回数とを予測し、その予測結果に基づいて各予備の部品供給ユニットを前記サブ領域にセットしてもよい。こうすれば、生産ジョブを処理する前に各部品種の部品切れタイミングと各部品供給ユニットの交換回数とを予測するため、予備のフィーダを適切にサブ領域にセットすることができる。