(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896222
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】石抜機
(51)【国際特許分類】
B07B 4/08 20060101AFI20210621BHJP
B02B 7/00 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
B07B4/08 A
B02B7/00 104Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-46863(P2017-46863)
(22)【出願日】2017年3月13日
(65)【公開番号】特開2018-149479(P2018-149479A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】頼岡 誠治
【審査官】
目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−134085(JP,A)
【文献】
特開平09−220530(JP,A)
【文献】
特開平08−131957(JP,A)
【文献】
特開2005−066495(JP,A)
【文献】
特開昭63−200870(JP,A)
【文献】
特開2002−292294(JP,A)
【文献】
米国特許第05527219(US,A)
【文献】
実開昭63−028179(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B1/00−15/00
B02B1/00−7/02
B03B1/00−13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔選別板を傾斜状態で配設するとともに、前記多孔選別板の下方には送風機と駆動モータを配設し、前記多孔選別板を揺動させるとともに、前記送風機から前記多孔選別板に風を送り込むことにより、前記多孔選別板上に供給される穀粒を選別する石抜機において、
前記多孔選別板は、一次選別板と二次選別板と残留排出用のバイパス通路を有するとともに、前記一次選別板を連結通路を介して前記二次選別板に連通し、
前記連結通路には、前記一次選別板から排出された穀粒を前記二次選別板に供給するか前記バイパス通路に供給するかを切換可能にした切換弁を設けたことを特徴とする石抜機。
【請求項2】
多孔選別板を傾斜状態で配設するとともに、前記多孔選別板の下方には送風機と駆動モータを配設し、前記多孔選別板を揺動させるとともに、前記送風機から前記多孔選別板に風を送り込むことにより、前記多孔選別板上に供給される穀粒を選別する石抜機において、
前記多孔選別板は、一次選別板と二次選別板を有するとともに、前記一次選別板と前記二次選別板とを連結通路を介して連通し、
前記二次選別板は、
傾斜上方は、前記突起を前記揺動作用によって穀粒を傾斜上方側へ移動させる形状で配設し、
傾斜下方は、前記突起を前記揺動作用によって穀粒を傾斜下方側へ移動させる形状に配設するか平面状に形成し、
前記連結通路には、前記一次選別板から排出された穀粒を前記二次選別板の傾斜上方側に供給するか傾斜下方側に供給するかを切換可能にした切換弁を設けたことを特徴とする石抜機。
【請求項3】
前記バイパス通路における前記送風機からの噴風方向を傾斜下方側へ流れる向きにしたことを特徴とする請求項1の石抜機。
【請求項4】
前記バイパス通路の傾斜角度を、前記一次選別板又は二次選別板よりも急角度に設置したことを特徴とする請求項1又は請求項3の石抜機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒に混入した石を選別除去する石抜機に関し、特に選別運転を終了する際、選別板上に残留した穀粒を速やかに排出する石抜機に関する。
【背景技術】
【0002】
穀粒に混入した石を選別除去する石抜機が知られている。このものは、底面に多数の小孔と突起を有する選別板を機枠内に傾斜状態で配設し、選別板は一次選別板と二次選別板(再選別用)からなり、これら選別板の下方に送風機を配設し、選別板を揺動させるとともに、送風機から選別板に風を送り込むことにより、選別板に供給された穀粒の中から石を選別板上で比重選別し、選別された穀粒を選別板の傾斜下方に設けた精品排出樋から取り出すとともに、選別された石を選別板の傾斜上方に設けた石排出樋から回収する構成になっている。
【0003】
このような構成の石抜機においては、新たな原料供給を停止して選別運転を終了する際、選別板上の原料は少量になって一面に残留穀粒が拡散された状態になる。この残留穀粒は、一層状態になるため、このまま石抜機を運転すると、残留穀粒は前記突起の揺動作用によって傾斜上方へと送られ、選別板の傾斜下方側に設けた精品排出樋からは排出されず、最終的に二次選別板の石排出樋から排出されるものとなっている。
【0004】
ところで、残留穀粒を二次選別板の傾斜上方の石排出樋から排出させる際は、前記揺動作用によって徐々に残留穀粒が傾斜に逆らって上るので、全ての残留穀粒を石排出樋から排出し終えるには、相当の時間がかかっていた。
【0005】
そこで、選別運転を終了する際に選別板上の残留穀粒を迅速に排出するために、エアを選別板上に吹きかけて残留穀粒を飛ばす方法や、選別板を開閉自在に構成し残留穀粒の排出経路を設ける方法、揺動方向(推進力の方向)を変えて残留穀粒を精品排出樋から排出させる方法があったが、これらの方法は、別途エアーコンプレッサ等の設備を設ける必要があり、石抜機の構成が複雑になっていた(特許文献1乃至3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−296934
【特許文献2】特開2000−176380
【特許文献3】特許第4268478号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記問題点にかんがみ、複雑な構成を用いることなく、選別運転を終了する際、揺動選別板上の残留穀粒を迅速に排出することができる石抜機を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明の石抜機は、多孔選別板を傾斜状態で配設するとともに、前記多孔選別板の下方には送風機と駆動モータを配設し、前記多孔選別板を揺動させるとともに、前記送風機から前記多孔選別板に風を送り込むことにより、前記多孔選別板上に供給される穀粒を選別する石抜機において、
前記多孔選別板は、一次選別板と二次選別板と残留排出用のバイパス通路を有するとともに、前記一次選別板を
連結通路を介して前記二次選別板に連通し、前記連結通路には、前記一次選別板から排出された穀粒を前記二次選別板に供給するか前記バイパス通路に供給するかを切換可能にした切換弁を設ける
、という技術的手段を講じた。
【0009】
請求項2によれば、多孔選別板を傾斜状態で配設するとともに、前記多孔選別板の下方には送風機と駆動モータを配設し、前記多孔選別板を揺動させるとともに、前記送風機から前記多孔選別板に風を送り込むことにより、前記多孔選別板上に供給される穀粒を選別する石抜機において、
前記多孔選別板は、一次選別板と二次選別板を有するとともに、前記一次選別板と前記二次選別板とを連結通路を介して連通し、
前記二次選別板は、
傾斜上方は、前記突起を前記揺動作用によって穀粒を傾斜上方側へ移動させる形状で配設し、
傾斜下方は、前記突起を前記揺動作用によって穀粒を傾斜下方側へ移動させる形状に配設するか平面状に形成し、前記連結通路には、前記一次選別板から排出された穀粒を前記二次選別板の傾斜上方側に供給するか傾斜下方側に供給するかを切換可能にした切換弁を設ける
という技術的手段を講じた。
【0010】
請求項3によれば、前記バイパス通路における前記送風機からの噴風方向を傾斜下方側へ流れる向きにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項4によれば、前記バイパス通路の傾斜角度を、前記一次選別板又は二次選別板よりも急角度に設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の石抜機によれば、一次選別板と、該一次選別板と二次選別板とを連通する連
結通路と、残留排出用のバイパス通路を設け、前記連
結通路には、選別運転中は一次選別板から排出される穀粒を二次選別板に供給する一方、選別運転を終了する際は一次選別板から排出される穀粒(残留穀粒)を前記バイパス通路に供給可能に流路の切換を行う切換弁を設けたので、運転終了する際の一次選別板の穀粒は前記切換弁を介しバイパス通路からスムーズに機外排出される。このため残留排出が短時間に行え、また装置が複雑化することもない。
【0013】
本発明の石抜機によれば、一次選別板と、前記一次選別板と二次選別板とを連通する連
結通路とを備え、前記二次選別板には傾斜上方側と傾斜下方側とで揺動作用によって穀粒を移動させる方向を上方側、下方側にそれぞれ向かわせる突起を設け、前記連
結通路には、選別運転中は一次選別板から排出される穀粒を二次選別板の上方側に供給する一方、選別運転を終了する際は一次選別板から排出される穀粒(残留穀粒)を前記二次選別板の下方側に供給可能に流路の切換を行う切換弁を設けたので、選別運転を終了する際の一次選別板の穀粒は前記切換弁を介し二次選別板の下方側に供給され傾斜下方側に向かわせる前記突起により加速的に流下して機外排出される。このため残留排出がスムーズに短時間に行え、また装置が複雑化することもない。
【0014】
また、バイパス通路における送風機からの噴風方向を傾斜下方側へ流れる向きにしたため、小孔からの噴風方向が傾斜下方側になるためこの噴風によって更に迅速に残留穀粒を排出することができる。
【0015】
また、バイパス通路を急傾斜に設けたため、バイパス通路へ供給された穀粒(残留穀粒)は急傾斜による更なる加速作用が加わり、一層迅速に排出されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】石抜機の一次選別部の石の排出方向を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の石抜機の断面図であり、
図2は石抜機の揺動部であり、
図3は石抜機の二次選別部であり、
図4は石抜機の一次選別部の石の排出方向を示した図であり、
図5は二次選別板の詳細図であり、
図6はバイパス通路の詳細図であり、
図7は別実施例の要部拡大図である。
【0018】
図1に示すように、石抜機1は箱状の外枠10、該外枠10の上部には米等の原料を投入するための投入口2、前面には石等を分離した穀粒を排出するための精品排出樋4及び二次精品排出樋5を設けている。前記外枠10内部には、投入口2から供給された原料から大きな夾雑物を排除するための粗選網11を備える。
該粗選網11の下方には、石抜機1の主要部である多孔選別板(3、5)と該多孔選別板の下部に多孔選別板に向けて送風する送風機(15、16)を設けてある。
多孔選別板(3,5)は傾斜配設し、駆動モータ(図示せず)と偏心カム14によって揺動され、前記送風機(15、16)からの送風により多孔選別板上で比重選別が行われる構成としている。
【0019】
多数の小孔17と突起18を設けた多孔選別板(3,5)は、一次選別板3と二次選別板12から構成され、一次選別板3により選別された石及び穀粒は傾斜上方側に設けた石排出樋7及び連結通路8を経由して、前記二次選別板12に排出される。
【0020】
一次選別板3の突起18は傾斜最上部を除き、揺動作用によって穀粒が上方に移動するような形状とし、また一次選用送風機15からの噴風が傾斜上方側へ流れるように小孔17を配設し、傾斜最上部では、一次選用送風機15からの噴風が石排出樋7へ流れる向きに配設している。
二次選別板12の突起18は、
図1のAに示すように揺動作用によって穀粒が上方に移動するような形状とし傾斜上方では二次選用送風機16からの噴風が傾斜上方側へ流れる向きに配設し、傾斜下方では二次選用送風機16からの噴風が傾斜下方側へ流れる向きに配設してある(
図1のB)。
【0021】
前記二次選別板12の傾斜上方には前記二次選別板12により選別された石を排出する石排出口9を設け、傾斜下方には穀粒を排出する二次精品排出樋5を設ける。
【0022】
石排出口9の上方には、選別運転中の様子を外部から観察することが可能となる窓6を設けている。なお、二次選別板12及びバイパス通路12aは、供給される原料が一次選別板3よりも少量のため、幅を一次選別板3より狭くてもよい。
【0023】
図4は、選別運転時の一次選別板3における石の動きを示した図である。小孔17からの噴風、突起18及び揺動作用により、比重の大きい石は一次選別板3を傾斜方向上方に登って行き、石排出樋7を通って排出される。
【0024】
図5は、二次選別板12の詳細図である。二次選別板12の傾斜上方側は二次選用送風機16から傾斜上方側へ噴風されるのに対し、傾斜下方側は二次選用送風機16から傾斜下方側へ噴風されるように、突起18の向きを変更している。
【0025】
図6は、バイパス通路12aの詳細図である。バイパス通路12aは、全てにわたって二次選用送風機16から傾斜下方側へ噴風されるように、突起18を構成する。そのためバイパス通路12aには選別作用は働かず、バイパス通路12a上の穀粒(残留穀粒)は、バイパス通路12aの揺動方向に関わらず、全て二次精品排出樋5へ送られる。
【0026】
別の実施例を説明する。
図7に示すように、前記バイパス12aを設けずに、連結通路8に設けた切換弁13によって、前記一次選別板3から排出された穀粒を前記二次選別板の傾斜上方に供給するか傾斜下方に供給するかを切換可能にした切換弁13を設けている。
選別運転中は原料が前記二次選別板12の上方側に落下するようにし(A図)、選別運転終了後は原料(残留穀粒)が二次選別板12の下方側に落下するようにする(B図)。
図5に示したように、二次選別板12上の噴風の向きが上方側と下方側とで異なっているので、選別運転中に上方側に落下した原料は比重選別を受け、選別運転終了後に下方側に落下した原料(残留穀粒)は、比重選別を受けることなく前記二次選用送風機16からの噴風により前記二次精品排出樋5から排出される構造である。
【0027】
前記バイパス通路12aは、選別運転終了後の残留穀粒を排出することが目的であるため、石と穀粒を選別する機能は不要である。よって、突起18は送風機からの噴風が傾斜下方側へ流れるように構成すればよく、突起18の形状、個数は任意に設定すればよい。また前記バイパス通路12aは、前記一次選別板3及び前記二次選別板12よりも急角度に取り付ければ、重力の作用を強く受けることができるのでより迅速に残留穀粒を二次精品排出樋5から排出することが可能となる。
【0029】
投入口2から投入された原料は、揺動する粗選網11により、大きな異物が取り除かれ、前記粗選網11を通過した穀粒や石は一次選別板3上に落下し、揺動作用及び一次選用送風機15からの噴風により比重選別される。
【0030】
比重選別作用により、穀粒は一次選別板3の下方へ送られ精品排出樋4から排出される。一方、石及び一部の穀粒は一次選別板3の上方へ送られ、石排出樋7、連結通路8を介して二次選別板12へ排出される。
【0031】
二次選別板12へ供給された原料は、再度比重による選別を受け、穀粒は二次選別板12の下方へ送られ二次精品排出樋5から排出される。一方、石は二次選別板12の上方へ送られ、石排出口9へ排出される。本石抜機1では、二次選別板12を設けているため、一次選別板3で石と共に排出された穀粒を、二次選別板12で再度選別により回収できるので、歩留りを上げることができる。
【0032】
選別運転終了後、つまり選別板上が穀粒のみとなったタイミングで、切換弁13をバイパス12a側へ切換えて、残留穀粒は全て前記バイパス12a側へ供給されるようにする。前記バイパス12aの小孔17からは二次製品排出樋5に向かって噴風されているので、残留穀粒は当該噴風により迅速に二次精品排出樋5から排出される。
【0033】
別の実施例として、前記バイパス通路12aを設けない場合の作用を説明する。切換弁13によって残留穀粒の落下位置を二次選別板の傾斜下方側へ供給されるように切換れば、残留穀粒は小孔17からの噴風により、二次精品排出樋5へ排出される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の石抜機は、選別運転終了後の選別板上に残った残留穀粒を迅速に排出することができ、極めて有用である。
【符号の説明】
【0035】
1 石抜機
2 投入口
3 一次選別板
4 精品排出樋
5 二次精品排出樋
6 窓
7 石排出樋
8 連結通路
9 石排出口
10 外枠
11 粗選網
12 二次選別板
12a バイパス通路
13 切換弁
14 偏心カム
15 一次選用送風機
16 二次選用送風機
17 小孔
18 突起