(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アルミン酸イットリウム(Y−Al−O)領域が、前記窒化アルミニウム(AlN)の粒子領域の三重点(triple point)に配置される、請求項20に記載の装置。
【背景技術】
【0003】
マイクロエレクトロニクス産業界では、部品をさらに小型化して、電子装置の速度及び機能性を高めることに絶えず努力している。そのため、非常に複雑な集積回路をシリコン等の半導体ウエハ上に組立てることになっている。製造された所定数のウエハ当りの使用可能な集積回路の収率を高めるために、多くの加工技術や加工装置が開発されている。
【0004】
ウエハの加工は、加工中のウエハが汚染されないよう、且つ洗浄、エッチング、ドーピング、並びにスパッタリングやプラズマエッチング等のプラズマ処理等による材料の蒸着のために特化された雰囲気などの必要な加工環境に暴露するために、プロセスチャンバとも呼ばれる囲い容器内で行われる。
【0005】
ウエハプロセスチャンバの主要部品の一つには、通常サセプタと呼ばれ、「ヒートチャック」若しくは単に「チャック」と呼ばれることもある、基板支持構造がある。サセプタは、容器内でウエハを支承し、加工中のウエハ温度を制御する助けとなる。代表的には、サセプタは、ウエハを載置するディスク状の頂部プレートを備える。この頂部プレートは、中央から下方に延在する管、つまり台座によって支承されている。このディスクの直径が55cmにも及ぶ組立容器もよく見られる。
【0006】
加工中のウエハ温度を制御する助けとして、「測温抵抗体」(RTD)ライン等の抵抗加熱エレメント及び熱センサ等、多くの構造体をサセプタに設けることができることはよく知られている。組立中は、ウエハを均一温度保持することが好ましい。加熱エレメント及びRTDラインは、プレート内に形成された多数の蛇行抵抗配線とすることができる。このプレートを多数のゾーンに分割し、それぞれに、別個に通電可能な加熱エレメント及びセンサを特定の目的に即した数だけ設けることができる。よって、サセプタの所定ゾーンの上方にあるウエハの所定ゾーンに、他のゾーンとは異なる加熱を施すことができる。中空の接続管つまり台座がプレートに接続されており、加熱エレメントに通じる電力線、センサからの電気信号を搬送する線、及びシールド構造用の接地線を収容する構成となっている。台座の他の目的には、チャンバへ通じる処理ガスや処理液のための通路や、真空路が含まれる。
【0007】
上述のサセプタ設計には、プレート上にある多数の電気素子を電気的に相互接続するには、管に収容できるワイヤの数に限りがあるという問題がある。
【0008】
Yushioらの米国特許出願公開第2003/0066587号(参照により本明細書に援用する)には、窒化アルミニウムを用いてサセプタを作製することが記載されている。Desaiの米国特許第4,799,983号(参照により本明細書に援用する)には、多層セラミック(MLC)技術にアルミナを用いることが記載されている。
【0009】
一般にMLC技術では、アルミナ等の高温耐性セラミック誘電材料の粒子を有機結合剤と混合し、これをテープ成形し、乾燥し、多数の可撓性「グリーンシート(green sheet)」に分ける。このようなシートには、ビア・ホール(via hole)が穿設され、スクリーン印刷され、金属化(メタライズ)パターン等の回路パターンを印刷されて、他のシートと積層すると、配線や導体パッド等の複雑な三次元電子構造を形成するものもある。積層したシートは、所定温度及び圧力でラミネート加工され、「グリーン状態(green state)」の部品となる。使用するセラミック粒子のタイプによっては、この部品を結合剤消散モードで約600℃までゆっくりと加熱して、結合剤の大半を消散させることもできる。この結果として得られる脆い、ベークアウトした、つまり結合剤を飛ばした部品を、次いで加湿水素−窒素等の還元雰囲気下、高温モードで焼成して、残存する結合剤を蒸発させ、残った材料を溶融若しくは焼結して、内部に電気回路を這わせた固体セラミック体とする。アルミナを絶縁材として使用する場合には、上記焼成は代表的には1600℃に達する。金属化には、タングステンやモリブデン等の耐熱金属がよく使用される。
【0010】
部品は、最終的な焼成の際に顕著に収縮することがある。このような収縮は均一ではなく、部品に局所的な応力が生じて、亀裂等の構造的非均等が生じる場合がある。サイズや形状が異なる焼成前の二つのセラミック部品がある場合、これらを互いに接続して一緒に焼成することは、異なる収縮率により接続部が崩壊してしまうので、あまり考えられない。
【0011】
サセプタ設計者が直面するもう一つの問題は、容器内でのエッチング加工によく使用されるフッ素等の腐食性ガスである。このガスは、容器内で使用される大半の金属及び金属酸化物、例えばアルミナ等の材料にとって厳しい環境を形成する。そこで、サセプタ装置の内部構造を設計する際には、このような破壊的雰囲気の存在を受け入れられるよう、特別な配慮が必要となる。
【0012】
このような処理ガスの腐食性を克服する一つの方法として、セラミック材料として窒化アルミニウム(以下AlN)を使用することが挙げられる。AlNは、フッ素等の反応性材料による腐食に対して耐性がある。
【0013】
材料の熱膨張係数(CTE)、単純には熱膨張率は、25℃における長さに対する1℃あたりの長さの変化の比として定義される。この値は、通常一定の温度範囲における平均値として得られる。タングステンとAlNのCTEは同程度で約4.5ppm/℃である。
【0014】
さらに別の留意事項として、タングステンは遊離酸素を含む高温加工において容易に酸化する、ということがある。従って、焼結工程及び後の高温下用途での使用において、タングステンの金属化を遊離酸素への暴露から隔離することが非常に重要となり得る。
【0015】
また別の留意事項として、チャック内における材料の熱伝導性が挙げられる。材料の熱伝導性(「K」若しくは「TC」)は、単位温度差当り、単位面積に渡って単位厚さを熱が伝達される時間速度、つまりK=WL/AT(Wはワット、Lは厚さ(m)、Aは面積(m
2)、Tは温度差(OK若しくは℃))として定義される。台座がプレートに取付けられている領域付近等、熱伝導性がより高い構造では、その局地的領域から熱を引き出して、ヒーターチャックの熱均一性を乱す傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、多層セラミック技術を利用してサセプタの設計を改善しようとする努力に基づくものである。
【0018】
本発明の主要な及び副次的な目的は、セラミック部品間の密封接合を改善することにある。これら及びその他の目的は、セラミック部品間の界面に、過渡液相(transient liquid phase)促進添加剤を導入することによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
セラミックとして窒化アルミニウム(AlN)を用いる実施態様においては、希土類酸化物を添加剤として使用することができる。
【0020】
ある実施態様では、所定量の過渡液相促進添加剤を含有するセラミック粒子注入拡散ペーストを、焼成前の若しくは焼成されていないグリーン状態の部品間に配置して、焼成中若しくは再焼成中に、部品間にセラミック溶着部を形成する。
【0021】
またある実施態様では、セラミック部品間を密封接合する方法が提供され、この方法は、アスペクト比の異なる、グリーン状態の少なくとも二つの窒化アルミニウム(AlN)粒子部品を選択する工程と、存在するAlNの約1〜5重量%の濃度で第一希土類酸化物を含有する所定量の過渡液相促進添加剤を、前記接触領域付近に分散する工程と、前記部品を、はめ合い接触状態で、実質的に包囲された雰囲気中に配置する工程と、前記部品を共に約60〜300分間同時加熱して、前記接触領域に沿って過渡液相を生成する工程と、前記実質的に包囲された雰囲気中に、蒸発量の前記第一希土類酸化物を生成させる工程であって、該蒸発量は約1.0気圧以下の分圧を有し、それにより、前記同時加熱中に、前記過渡液相がさらに蒸発することを実質的に非加圧下で抑制し、前記部品を室温まで冷却する工程とを含む。
【0022】
ある実施態様では、この方法は、前記同時加熱中に前記領域同士を互いに押圧することを含む。
【0023】
ある実施態様では、前記押圧が、少なくとも0.75〜3.0g/cm
3の圧力をかけることを含む。
【0024】
ある実施態様では、前記押圧が、前記部品のうち第一の部品を他の部品の上に載置する工程と、前記部品のうち前記第一の部品の上にAlN粒子の潤滑性薄層を散布する工程と、前記層の上に錘を載置する工程とを含む。
【0025】
ある実施態様では、前記雰囲気が全圧約1.0気圧以下である。
【0026】
ある実施態様では、前記第一希土類酸化物が、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、並びに遷移金属、アルカリ土類、ランタン及びアクチニウム希土系列の酸化物からなる群より選択される。
【0027】
ある実施態様では、前記窒化アルミニウム粒子が所定量の酸素を含有している。
【0028】
ある実施態様では、前記加熱する工程が、周辺温度を約1780℃〜1840℃まで昇温することを含む。
【0029】
ある実施態様では、この方法は、前記接触領域間の直線方向への収縮の差分が約1〜5%であることをさらに含む。
【0030】
ある実施態様では、窒化アルミニウム(AlN)の粒子を含み、第一の形状を有する第一部品であって、第一の接触領域を有する第一部品と、窒化アルミニウム(AlN)の粒子を含み、第二の形状を有する第二部品であって、第二の接触領域を有する第二部品とを備え、前記第一の形状が前記第二の形状と実質的に異なり、さらに、前記接触領域に沿って延在し、前記第一の部品と第二の部品とを密封結合する溶着接合部を備え、前記接合部の一部分は、前記部品の一方における前記一部分以外の領域における第二の濃度よりも高い第一のY
2O
3濃度を有するアルミン酸イットリウム(Y−Al−O)領域の近傍にある、窒化アルミニウム(AlN)の粒子領域から実質的になる、製品が提供される。
【0031】
ある実施態様では、第一セットの電気配線を有する第一の多層セラミック部品と、第二セットの電気配線を有する第二の多層セラミック部品とを有し、前記第一の部品は、第一配向で配向された複数の層を備え、前記第二の部品は、前記第一配向とは異なる第二配向で配向された複数の層を備え、前記第一の部品と第二の部品とは、該部品間の導電性接点を含む結合ゾーンに沿って結合されている、同時加熱された多層セラミック装置が提供される。
【0032】
ある実施態様では、前記第一の部品は、前記第一セットの配線と電気的に連通している、第一群の複数の導電性導体パッドを有し、前記第二の部品は、前記第二セットの配線と電気的に連通している、第二群の複数の導電性導体パッドを有し、前記第一群は、前記部品を互いに結合すると、前記第二群に導電性接触するように配置及び配向されている。
【0033】
ある実施態様では、前記第一配向が実質的に平坦である。
【0034】
ある実施態様では、前記第二配向が実質的に同心的な円筒形である。
【0035】
ある実施態様では、前記第一配向が前記第二配向に対して実質的に垂直である。
【0036】
ある実施態様では、前記第一の部品が、前記ゾーンに配置された第一表面区画を有し、前記第二の部品が、前記ゾーンに配置された第二表面区画を有し、前記装置はさらに、前記両区画に接触する実質的にセラミックによって溶着された構造体を備え、前記各表面区画及び前記連結構造体は、窒化アルミニウムを含有する材料を含む。
【0037】
ある実施態様では、前記溶着された構造体は、前記区画間に一体的セラミック溶着部を形成する。
【0038】
ある実施態様では、前記材料が、酸化イットリウムを含有する焼結助剤を含む。
【0039】
ある実施態様では、前記配線及びパッドがタングステンを含む。
【0040】
ある実施態様では、前記装置が、電子制御されたウエハチャックとして操作される構成である。
【0041】
ある実施態様では、前記配線の第一サブセットが加熱エレメントとして作用し、前記配線の第二サブセットが熱センサへの電気的相互接続として作用し、前記配線の第三サブセットが電気的シールドとして作用する。
【0042】
ある実施態様では、前記サセプタが、頂面領域を含み、該領域は、互いに重複しない複数の領域に再分割され、前記第一サブセットが、前記領域に対応して配置される前記配線の別個のグループを含む。
【0043】
ある実施態様では、前記配線の各サブセットが、前記第一の部品の別個の領域に配置されている。
【0044】
ある実施態様では、前記第一の部品が、冷却流体を搬送するように構成された複数の隣接する層を貫通して延在する少なくとも一つの導管を備える。
【0045】
ある実施態様では、前記装置は、外側タングステン層を有する前記第一の部品と、内部を通る冷却流体搬送通路を有するように形成されたタングステンブロックとをさらに備え、前記ブロックは、前記外側層にろう付けされている。
【0046】
ある実施態様では、前記装置は、前記第一の部品とは別個に、前記ブロックにろう付けされているヒートシンクをさらに備える。
【0047】
ある実施態様では、前記ヒートシンクが銅を含む。
【0048】
ある実施態様では、前記装置は、サセプタプレートである前記第一の部品と、中空のサセプタ台座である前記第二の部品と、前記台座の中央腔に挿入され、前記第一セットの配線と電気的に連通している第一群の複数の導電性導体パッドに接触する金属化ポストとをさらに備える。
【0049】
ある実施態様では、前記装置は、サセプタプレートである前記第一の部品と、中空のサセプタ台座である前記第二の部品と、前記台座の内側表面に形成され、前記第一セットの配線と電気的に連通している第一群の複数の導電性導体パッドに接触する金属化配線とをさらに備える。
【0050】
ある実施態様では、第一多層セラミック部品を第二多層セラミック部品に電気的に連通して結合する方法であって、該方法は、第一群の導電性パッドを有する第一多層セラミックサブアセンブリを形成する工程と、第二群の導電性パッドを有する第二多層セラミックサブアセンブリを形成する工程とを含み、前記第一サブアセンブリは、第一配向で配向された複数の層を備え、前記第二サブアセンブリは、前記第一配向とは異なる第二配向で配向された複数の層を備え、該方法はさらに、導電性粒子含有スラリー材料の第一パッチを、前記第一群上に形成する工程と、セラミック粒子含有スラリー材料の第二パッチを、前記第一群を取り囲むように施す工程と、前記第一群と第二群との間の導電性接点を含む前記第一サブアセンブリと第二サブアセンブリとをはめ合う工程と、前記第二パッチを焼結した結果として生成されるセラミック溶着部によって前記第一サブアセンブリを第二サブアセンブリに結合する温度で、前記サブアセンブリを焼結する工程とを含む、第一多層セラミック部品を第二多層セラミック部品に電気的に連通して結合する方法が提供される。
【0051】
ある実施態様では、前記方法が、非乾燥状態で前記スラリー材料を結合剤除去及び焼結する工程をさらに含む。
【0052】
ある実施態様では、前記第一及び第二サブアセンブリが、予備的結合剤除去及び予備的焼結を含む方法によって形成される。
【0053】
原請求項の内容を、一つ以上の例示的実施態様で特徴を概説するものとして、参照によりここに援用する。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の例示的実施態様を、セラミック製台座部品に実質的に一体的に接合されたセラミックプレート部品を備える、センサ内蔵の加熱可能セラミック製サセプタの製造分野における実施例によって説明する。しかしながら、セラミック接合部を形成するための開示された方法は、他のセラミック構造体の密封接合にも適合させることができることは明らかである。
【0056】
ヒーターチャックと呼ばれることもあるサセプタは、窒化アルミニウム(AlN)セラミック等の耐食性セラミック材料から主に作製することができ、複数の金属化(メタライズ)加熱エレメント配線、RTD配線の形式をとる熱センサ、電子信号搬送用兼電源相互接続用配線及びビア(via)、並びに接地シールド配線及びタングステン使用ビアを備えている。
【0057】
少なくとも一つの実施態様では、テープ成形工程、ブランキング工程、スクリーン印刷工程、金属化(メタライズ)工程、積層工程、ラミネート工程、結合剤除去工程、及び別個のプレート部品サブアセンブリ及び台座部品サブアセンブリの第一焼成工程を含む、分岐した多層高温セラミック法を用いて、サセプタを製造することができる。このサブアセンブリは、セラミック溶着部を用いて、密接にはめ合う接触領域の界面においてはめ合うことができ、このセラミック溶着部は、所定量のセラミック粒子注入拡散ペーストをサブアセンブリ間に配置し、次いで、両サブアセンブリを同時に結合剤再除去及び再焼成することによって形成することができる。ペーストは、高い濡れ性を有する所定量の過渡液相促進添加剤を含有する。再焼成により、ペーストの液相が、界面ゾーンにあるセラミックサブアセンブリの粒界へと浸透・拡散して、さらに濡れ性を高め、よって材料中で界面の両側にある隣接するセラミック粒子のより迅速な焼結を促進し、二つの部品を溶着して、界面を実質的になくす。
【0058】
溶着ゾーン部分の導電性は、接触領域の各サブアセンブリに配置されている整列した連結電子導体パッドに金属化導電性結合ペーストを使用することによって、確保することができる。
【0059】
図1には、マイクロエレクトロニック半導体集積回路ウエハ3の組立において、材料を洗浄、エッチング、蒸着するのに用いる処理容器2内で使用する、改良されたサセプタ装置1を示す。容器の内部チャンバ5は、一つ以上の開口4及び/又はチャックの中空台座を通して出入り10するガスによって、様々な環境とすることができる。
【0060】
サセプタ1は、容器内でウエハを固定12するとウエハの底面8に近接する、実質的に平坦な頂面7を有する実質的にディスク状のウエハ熱制御プレート6を備える。このプレートは、チャンバの壁を貫通する実質的に円筒形の支持台座9の近位端に載置される。よって台座の遠位端11は、容器チャンバ2の外13へと延在し得る。
【0061】
支持台座9は、プレート6上に載置されている電子部品を電気的に相互接続するように構成された、実質的に円筒形の本体15を備える。特に電力線16は、プレート内にある複数の加熱エレメントに電力を供給する。信号線17は、プレート上に配置されている複数のRTD熱センサからの電子信号を搬送する。接地シールド線18は、プレートに載置された電気的シールド層に接続される。
【0062】
プレート6の頂面7は、ウエハをプレート上に固定するとウエハの領域A’、B’、C’、D’に対応する、互いに重複しない領域A、B、C、Dに分割することができる。サセプタ領域は、対応するウエハ領域のそれぞれの温度を別個に制御できるように、専用加熱エレメント及び熱センサの別個のサブセット、並びにこれらを電気的に相互接続する配線を備えていてもよい。図には同心的領域を示したが、組立条件によっては、他の領域レイアウトも可能であることが理解できる。
【0063】
図2〜
図4を参照すると、サセプタは、はめ合い工程によって区切られる二つの焼成工程を含む分岐多層セラミック法を用いて形成することができる。この方法の第一の焼成工程により、実質的に堅固な一対のAlN部品サブアセンブリ、つまりチャックのプレート6になるプレートサブアセンブリ26と、ヒーターチャックの台座9になる台座サブアセンブリ29とが得られる。AlNサブアセンブリは、グリーンテープの成形に使用するスラリー材料等の、過渡液相促進添加剤及び結合剤を含有するAlN注入セラミック溶着ペーストによって、互いに溶着可能であり、第二焼成工程においてサブアセンブリとペーストとを一緒に焼成すると、これがセラミック溶着材料若しくは結合界面構造の役割を果たして、最終加工及び組立に供することができるサセプタを形成する。
【0064】
軸20に対して実質的に垂直な面19と実質的に同一平面上に配向された、実質的に平坦なディスク状のグリーンテープ層22を、軸20に対して軸方向に積層することによって、プレートサブアセンブリ26を作製することができる。頂面近くの数層24及び底部の数層25等のいくつかの層は、金属化せずに、完成品のチャックの保護用密封セラミック層として作用するようにしてもよい。他の層は、スクリーン印刷及び金属化して、RTDセンサ配線27、電気的相互接続配線37、及びシールド配線36を含む一つ以上の層35とすることができる。一つ以上の層28は、金属化して、主に加熱エレメント配線30を含むようにし、配線を相互接続及び遮蔽することができる。一つ以上の層31は、金属化して、主に電磁波遮蔽構造32を含むようにし、配線を相互接続することができる。中間層33は、金属化して、多数の電気的相互接続配線34を担持するようにすることができる。これらの複数の配線をプレート中に分配して、画定された複数の領域に渡って熱制御できるようにすることができる。
【0065】
台座サブアセンブリ29は、湾曲したグリーンテープの層23を巻いて実質的に円筒形とすることによって作製することができ、その円筒形において、層は円筒体21及び軸20に対して実質的に半径方向に同心同軸的に配向される。この層は、平らに置くと、実質的に矩形である。連続する層の寸法は、同心的層の直径がわずかに異なっても順応できるように選択可能である。さらに、ラミネート中のテープ層のわずかな変形を吸収して、層間の小さな間隙や空隙を埋めることができるように、幾分異なっていてもよい。
【0066】
外側の数層41等のいくつかの層、及び内側層42は、金属化せずに、完成品のチャックの保護用密封セラミック層として作用するようにしてもよい。他の層は、スクリーン印刷及び金属化して、電気的相互接続配線45及びシールド配線46を含む一つ以上の層43,44とすることができる。このようにして複数の配線を台座中に分配して、各々導電性である複数の線を収容しているプレートに電気的に接続する。
【0067】
プレートサブアセンブリ26底面の中央領域48は、この領域48と相応な形状、寸法、および配向とされた台座サブアセンブリ29の頂端部49と、点線50で示される相互連結接触領域に沿って密接に係合するような形状、寸法、および配向とすることができる。プレート底面のこの接触領域内には、一連の導電性導体パッド51があり、プレート上の電子機器はこれを介して通電する。台座の頂面には、溶着時にプレート上の一連のパッドと接触するように配置・配向された、これに対応する数若しくはグループ化された導電性導体パッド52が設けられている。台座の頂縁部に形成される一つの導体パッドは、図に示されるように、隣接する一つ以上の層の金属化部分によって形成可能であることが理解される。
【0068】
図5を参照して、台座サブアセンブリ29の導体パッド51には、タングステン粒子注入結合ペースト61のパッチを施すことができる。この代わりに、若しくはこれに加えて、プレートサブアセンブリの露出しているパッド上にもパッチを設けることができる。パッド周囲の接触面の残りの部分には、所定量の非導電性セラミック溶着ペースト62を塗布してもよい。完成品のヒーターチャックの外表面が曝される厳しい環境から、導電性パッドを隔離することが重要である。接触領域の露出している縁部に追加のセラミック溶着ペーストの玉縁63を塗布して、最終的に溶着されるサブアセンブリをさらに補強してもよい。
【0069】
プレートサブアセンブリ26と台座サブアセンブリ29とを、接触領域に沿って互いにはめ合わせる。台座とプレートとの間に示されている間隙は、明瞭に示すために誇張されていることに留意されたい。相互連結表面の公差は、はめ合わせたサブアセンブリの再焼成後に、サセプタのプレート部品と台座部品との堅固で実質的に一体的な溶着接合部が得られるように選択する。
【0070】
さらに、プレートサブアセンブリは、第一の方向に配向された、つまり平坦な、複数の層を含む第一の部品をなし、台座は、第一の配向とは異なる第二の方向に配向された、つまり円筒形の、複数の層を含む第二の部品をなすことが理解される。配向が異なるということは、円筒形以外の形状や、同様に成形された層も含む、つまり二つの部品がどちらも平坦な形状であるが配向が異なる、例えば第一の面が水平で、第二の面が第一の面に対してゼロではない角度をなしている、例えば第二の面が第一の面に対して直角をなしているような場合も含むということである。
【0071】
再焼成時に、接触領域に沿って添加剤がなす過渡液相は、部品の接触領域付近へと浸透・拡散し、粒界を濡らし、AlN粒子表面と反応として、焼結を促進する。次いで反応が完了するにつれ、粒子表面からディウェティング(de-wetting)する。これにより、部品の相互密封接合が促進される。さらに二つの部品は、部品間に設けられる一つ以上の導電性端子を備える接触ゾーンに沿って互いに接合することもできる。
【0072】
図7及び
図8を参照して、信号線において生じる電磁妨害雑音をさらに削減するために、加熱配線及び電気的接続信号配線は、斜めに、好ましくは信号線を加熱線上に平面投影すると約90度で互いに交差するように見える実質的に互いに直交する配向で設けることができる。これらの配線セット部分が実質的に互いに直交する配向であることは、高電力配線から低電力信号配線へと電子雑音が磁気的に誘導されるのを最小限とする助けとなる。
図7には、プレートサブアセンブリ26上に、加熱配線66を、同軸的且つ半径方向に離隔する円形の態様で角度を付けて設ける一方で、RTDセンサ配線67を、角度方向に離隔した態様で半径方向に設ける方法の一例が示されている。同様に
図7に示すように、巻いていない状態の台座29には、加熱エレメント電源配線71が、離隔した蛇行態様で設けられる一方、RTD信号線配線72が、この電源配線に対して実質的に直交する離隔した蛇行態様で設けられる。
【0073】
図9を参照すると、別個に部分的に製造された、主に窒化アルミニウム(AlN)等の耐食性セラミック材料からなる多層セラミック部品を、AlN等の同じ耐食性セラミック材料の粒子及び過渡液相促進添加剤を注入した溶着ペーストを用いて、最終焼成中に互いに接合する製造工程が示されている。金属粒子注入導電性結合ペーストを用いた結合ゾーンを通して、電気通信が可能である。
【0074】
多層セラミック技術を利用して、少なくとも二つの部品サブアセンブリを製造する81ことができる。各サブアセンブリは、接触ゾーンに沿って互いに相互連結する形状及び寸法の表面接触領域を有する。各部品の各接触領域は、両部品の接合時に、他方の接触領域にある対応する導体パッドと相互連結する配向、形状、寸法、配置とされた少なくとも一つの電気的導体パッドを含む。
【0075】
導電性ペーストは、タングステン等の導電性高融点金属の粒子と結合剤とからなる。この導電性ペーストを、二つの部品の一方若しくは両方の各導体パッドに、スラリーの局所的パッチとして施す82。
【0076】
部品テープに使用したものと同様のセラミック粒子と過渡液相促進添加剤とを含む非導電性溶着ペーストも作製することができる。例えば、部品の層に使用するグリーンテープを、AlN粒子を用いて作製した場合、セラミック溶着ペーストにもAlN粒子を用いることができる。過渡液相促進添加剤は、酸化イットリウム等の希土類金属酸化物とすることができる。実際、過渡液相促進添加剤を含有する未乾燥テープ成形スラリーは、セラミック溶着ペーストとしても使用可能であることがわかっている。このセラミック溶着ペーストを、二つの部品の一方若しくは両方の接触領域の露出表面領域に施す83。セラミック溶着ペーストを施す際には、厳しい環境に曝されることが意図されているサセプタの外表面に対して、金属化部分を露出しないように注意する。
【0077】
サブアセンブリ部品を、それぞれの導体パッドが実質的に整列した状態で、相互連結接触領域において互いにはめ合わせる84。
【0078】
サブアセンブリ部品をまとめて保持して、ペースト中の結合剤を蒸発させるための第一の結合剤消散加熱工程並びにその後の同時焼成工程85を行うと、ウエハチャックを形成するための最終加工に供すことができる接合された装置が得られる。
【0079】
後により詳細に説明するが、サブアセンブリと溶着材料との間にこれらを含む実質的に一体的なセラミック構造体が形成されることがわかっている。換言すると、導電性ペーストが、対応するサブアセンブリの導体パッド間に統一的且つ一体的接続部を形成しており、セラミック溶着ペーストが、サブアセンブリ間に一体的セラミック材料ブリッジを形成している。実際、500倍の倍率では、溶着部の両側の部品サブアセンブリ間には、あるとしても非常にわずかな粒界しか観察できない。よって、サセプタのプレート及び台座を含むセラミック部分は、実質的に一体的(monolithic)だと言うことができる。
【0080】
図10に示すように、グリーンテープの層91に、印刷若しくはパンチし、金属化部分92を埋め込み、さらにパンチして結合剤インサート93を埋め込み、積層及びラミネートしてプリフォーム90を作製することができる。
【0081】
図11に示すように、結合剤除去及び焼結後、実質的に一体的なセラミック95からなる本体94に、金属化ライン96と、冷却剤等の流体流を搬送するための開放管97とを設けることができる。プレートも台座もどちらにも、開放管及び金属化ラインを設けることができる。
【0082】
図12には、チャックの冷却機能を高めたサセプタの別の実施態様を示す。サセプタプレート101の一部は、主にAlNセラミック粒子を含むグリーンテープの層105から、多層セラミック技術を用いて形成することができる。この層は、加熱エレメント配線、RTD配線、相互接続配線、及びシールド配線のための金属化部分106並びにビアを含んでいてもよく、その結果、ヒーター、センサ、相互接続部、並びにガス、液体、及び真空等の媒体搬送用導管を備え、且つ加熱及び冷却、並びに他の伝導媒体のために単一若しくは多数に分画可能な一体的AlNセラミックサセプタを得ることができる。
【0083】
この実施態様において、プレートの底層103の底面102には、全体にわたってタングステン104の層が印刷されている。
【0084】
別個のタングステンのブロック109を機械加工によって形成し、焼結後にプレートの底層103と整合する頂面111を有するようにする。このブロック中には、冷却用流体を搬送するための形状及び寸法の複数の通路113が形成される。
【0085】
プレートを焼結後、CuSil若しくは金−錫ろう付けを用いて、タングステンブロックの頂面111にろう付けすることができる。
【0086】
任意に、銅製のヒートシンク構造115を、タングステンブロックの底面112にろう付けしてもよい。このようにして、銅製ヒートシンクとAlNセラミックプレートとの間の熱膨張の不一致を、より可撓性の高いタングステンブロックで吸収することができる。ヒートシンクは、タングステン/銅やモリブデン/銅等、他の材料で作製してもよい。
【0087】
図13に示すように、中空の台座121とプレート122との間の接合部120は、上述の過渡液相接合法によって密封状態とすることができるので、チャックの操作中に、台座の中央腔内部の雰囲気を無酸素状態とすることができる。従って、金、銅、若しくはタングステン配線126、又は他の金属化部分を、管状台座の内側表面127上に形成することができ、CuSilろう付け若しくは他の手段によってプレート内の配線131に電気的に接続している導体パッド130に結合することができる。台座内側表面の配線の代わりに、若しくはこれに加えて、独自の外面配線つまり配線141及び/又は内部配線つまり配線142を有する電子接続ポスト140を用いてもよい。台座−プレート間溶着部を形成後、台座の内腔124に露出しているプレート部分に、内部プレート配線131へと通じる穴143を形成してもよい。この穴に導電性材料を充填して、内在する配線に電気的に接続する導体パッド130を形成してもよい。ポスト140を台座内腔に挿入して、その端部145及び導体パッドが、プレートの導体パッド130と整列し且つこれと結合するようにすることができる。この構成に代えて、若しくはこれに加えて、ポストは、プレートに形成された、冷却用流体搬送のために内部ビア149へと続く少なくとも一つの通路開口148と整列する独自の内腔147を有する構成としてもよい。
【0088】
以下に、上述の用途に利用して、別個に予備成形された少なくとも二つのセラミック部品若しくはサブアセンブリを互いに溶着することができる、例示的セラミック溶着ペーストについて説明する。このペーストは、この二つのサブアセンブリを形成するのに使用したセラミック材料と実質的に同様なセラミック材料の粒子と、過渡液相促進添加剤と、賦形剤若しくは結合剤とを含有する。
【0089】
例えば、二つのサブアセンブリプリフォームがAlN粒子を用いて作製されている場合には、ペーストも、サブアセンブリに使用したのと同様のサイズ範囲のAlN粒子を含む。
【0090】
過渡液相促進添加剤は、湿潤剤誘導剤としての役割を果たし、好ましくは湿潤剤は、濡らされるセラミックに対して比較的大きいぬれ角を示す。完全に濡れた場合がぬれ角0度で、完全に濡れていない場合がぬれ角180度だとすると、好ましい液相結合剤は、液相が両部品の接触ゾーンを貫通して焼結を促すことができるように、0度に近いぬれ角を示す。
【0091】
過渡液相促進添加剤は、主に焼結するセラミック粒子と混合可能な希土類酸化物から選択することができる。AlNセラミック材料の場合には、過渡液相促進添加剤として、希土類酸化物、酸化イットリウム(Y
2O
3)を使用することができ、酸化アルミニウム(Al
2O
3)の存在下で、
図14の状態図に示す相特性を有する、湿潤剤であるアルミン酸イットリウム(Y−Al−O)を生じる。選択した焼成温度において現れるY−Al−Oの相を調整するために、添加剤にAl
2O
3を追加的に添加してもよい。
【0092】
少なくとも1重量%の酸素を含有するAlN粒子であって、その酸素の約50%が表面に存在し、約50%がAlN結晶粒子内に散在しているものを、使用することができる。これは、焼成中にこの酸素がAlN粒子表面へと移動して、液相Al
2O
3が表面を濡らすのに寄与するためである。共晶的組合わせであるAl
2O
3とY
2O
3との組み合わせが望ましいが、実際には、焼成中にAlN粒子がY−Al−O化合物に対してどんな貢献をするのか、予測が難しい場合がある。広範にわたる比率のAlN/Y
2O
3/Al
2O
3が、焼成中にAlN粒子を適当な液相で濡らすことが分かっている。例えば、重量比10/32/58及び90.4/6.4/3.2で適当に作用すると思われる。Al
2O
3及びY
2O
3の濃度が高いと反応性が高くなるが、接触領域に隣接する部品部分への拡散も多くなる。
【0093】
酸化イットリウムに加えて、過渡液相促進添加剤には、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、並びに遷移金属、アルカリ土類、ランタン及びアクチニウム系列の酸化物等、他の酸化物も使用することができる。
【0094】
図15に示すように、再焼成中に、酸化アルミニウム(アルミナ)(Al
2O
3)がAlN粒子中に溶体化すると共にAlN粒子表面を覆う。AlN粒子表面を覆うアルミナは、添加された酸化イットリウムと最初に反応して、最初の液相を形成するアルミナである。
【0095】
図16に示すように、焼結工程中に、AlN粒子/結晶粒子中に溶体化しているアルミナはゆっくりと拡散して出て行き、アルミン酸イットリウム(Y−Al−O)と反応する。Al
2O
3とY
2O
3との間のこの化学反応は、AlN結晶粒子から酸素が拡散して出て行くための駆動力となっている。
【0096】
図17に示すように、AlN結晶粒子表面におけるアルミナ表面濃度が十分に低くなると、ディウェッティング(de-wetting)反応が生じて、Y−Al−Oが微細構造の三重点(triple point)に集まる。冷却後、その好成果として、二つの部品の接合部には際立った界面の断絶は見られない。
【実施例1】
【0097】
以下の製造工程を経てサセプタを形成した。
【0098】
一部多層セラミック法によって、プレート及び台座のサブアセンブリを形成した。使用したグリーンテープには、最大寸法約1.5〜2.0ミクロンの窒化アルミニウム(AlN)セラミックパウダー粒子が約77〜約80重量%(w%)、過渡液相促進添加剤として最大寸法約1.5〜2.0ミクロンのイットリア粒子が約4〜約6重量%、及び有機結合剤が約15〜18%含有されており、これを成形及び乾燥した。どちらのサブアセンブリも金属化はタングステンで行った。
【0099】
非導電性セラミック溶着ペーストも同様に形成した。
【0100】
導電性ペーストは、最大寸法約2.0〜3.0ミクロンのタングステンパウダー粒子を約75〜約85重量%(w%)、同様の結合剤、及び焼結補助剤を混合することにより形成した。多くの結合剤製剤が利用可能であるが、好ましい製剤はアリゾナ州テンペのCMC Laboratoriesから入手可能である。
【0101】
導電性ペーストのパッチを、台座の導体パッドに施した。所定量の非導電性溶着ペーストを、パッド周囲の接触領域表面の残りの部分に塗布した。溶着ペーストは、平均最大寸法約2.0ミクロンの窒化アルミニウム(AlN)セラミックパウダー粒子を約10重量%(w%)、過渡液相促進添加剤として平均最大寸法約3.0ミクロンの酸化イットリウム(Y
2O
3)粒子を約32重量%、平均最大寸法約3.0ミクロンのアルミナ(Al
2O
3)粒子を約58重量%、及び残部として結合剤を含有していた。
【0102】
これらのサブアセンブリを互いにはめ合わせた。
【0103】
はめ合わせたサブアセンブリを結合剤消散炉に入れ、約400℃までゆっくりと昇温した。次いで、結合剤除去されたはめ合いサブアセンブリを、略大気圧で窒素−水素雰囲気の焼結炉に入れ、約60〜約120分間かけて約1825℃まで昇温した。
【0104】
焼成後の製品を、室温まで放冷した。
【0105】
放冷後、焼結サセプタの比重は、完全ソリッド構造の場合には比重約3.33g/cm
3であるところ、約3.3g/cm
3であった。
【0106】
製品の接合部付近におけるY
2O
3濃度は、接合部からより離れた部分における濃度よりも高かった。つまり、接合部付近に焼結助剤が存在することにより、製品のその部分における三重点に残存するY−Al−O内に、高濃度のY
2O
3が残存する。
【0107】
この実施例で製造したサセプタを1000倍の倍率で観察したところ、粒界が一貫して均質であった。
【0108】
AlNは、アルミナの熱伝導率約20W/m−°Kよりも高い熱伝導率約170W/m−°Kを示すので、サセプタプレート全体に渡って温度の均一性を高めることができる。
【0109】
このように、サセプタの電気的終端が、プレート及び台座近位端の厳しい環境から遠く離れた管の遠位端の外で生じるようにした。よって、サセプタへの電気的接続部として、より廉価で信頼性が高く低耐久性の電気的接続部を使用することができる。
【0110】
このように、プレートの別個の熱制御可能領域を6つまで制御するのに十分な線を収容可能な台座とすることができることがわかった。
【0111】
このようにサセプタは、ゾーンの数を増やし、より多くのセンサを設置し、より多くの相互接続線を設けることにより、より大型の若しくは形状の異なる将来のウエハに合わせて拡張可能であり、プレートの熱領域をさらに微調整することが可能となる。
【0112】
本発明の別の実施態様によれば、プレート6及び台座9を非導電性ペーストで溶着する前にあらかじめ結合剤除去せずに、グリーン状態ではめ合い、同時に結合剤除去及び焼成する。同時に焼成することにより、部品の繋ぎ目が均一になだらかになり、二つの均一な微細構造間に密封接合部を形成することができる。過渡液相促進添加剤を、最初の未焼成AlNセラミック部品に添加するが、これは代表的には希土類酸化物、好ましくは酸化イットリウム(Y
2O
3)であり、プレートと台座との接触領域における境界ゾーン付近のグリーン状態の構造体内に拡散する。
【0113】
より詳細には、プレート及び台座の両方に使用するAlNのグリーンテープ混合物中に、AlN+Y
2O
3含有量の総重量の約1〜7%の割合で、Y
2O
3粒子を拡散させることができる。
【0114】
プレート及び台座のプリフォーム部品は、形状及び寸法が顕著に異なるものとして、さらにはグリーンテープ相の配向が異なるものとして、作製することができる。このように異なる形状とすることにより、部品の接触領域における収縮率が異なってくる。よって、異なる形状及び寸法の二つのセラミック部品は、互いに異なる収縮アスペクト比を有していると言うことができ、そのため、接合された部品間に亀裂や他の欠陥が生じる場合がある。
【0115】
炉の温度を1850℃までゆっくりと昇温して、部品の緻密化及び結合を促進する過渡液相を誘発する。
【0116】
焼成中に、窒化アルミニウム(AlN)セラミック粒子表面上に生じる液状の酸化アルミニウム(Al
2O
3)が、添加剤によって供給される酸化イットリウム(Y
2O
3)と組み合わされて、共晶系付近でアルミン酸イットリウムY−Al−O化合物を生成し、
図16に概略的に示すように、残りの固相AlN粒子を取り囲むように過渡液相が達成される。
【0117】
AlN結晶粒子表面が酸素欠乏となることにより、元のセラミック部品及びその接合領域の両方において、AlN表面でディウェッティングが生じ、微細構造中の三重点へY−Al−Oが移動する。その好成果として、AlN結晶粒子と、
図17に概略的に示すように主にAlN微細構造の三重点に配置されるY−Al−O結晶粒子とからなる一体的本体が形成され、二つの部品の接合部には際立った界面の断絶は見られない。
【0118】
図18に示すように、均一な結合を確実にし、部品間の収縮率の差異を制御するための助けとなるように、はめ合わせた部品202、203を容器200に入れるが、その内部雰囲気201は、セラミック体中の非AlN化合物液相と同じ組成の蒸気分圧を含む。この分圧は、部品中の液相と実質的に平衡となるように維持される。代表的には、1気圧以下の揮発性酸素分圧が維持される。この雰囲気は、接合部の均一な形成を促進する液相を安定化させる。容器は気密である必要はなく、よって容器内部の雰囲気は、実質的に密閉されていると言うことができる。
【0119】
焼成中に、グリーン状態の別個の部品を、二つのセラミック構造体202、203間に接合部が形成されるまで、互いに密着状態で維持するために、プレート部品上に錘204が配置され、その横方向への収縮を制限するのを助ける。好ましくはこの錘は、炉チャンバ内の雰囲気に耐えられる、所定量のタングステン若しくはセラミックである。部品の上に錘を置くことにより、非平衡、特異的等に、方向的に非均一に力をかけることができ、収縮の方向を制御することができることが理解されるであろう。つまり、好ましい追加的収縮の方向に力をかけることができる。
【0120】
換言すると、Y−Al−Oのこの非AlN液相は、Al
2O
3とY
2O
3との基本的に共晶的組合わせであり、焼結中に、部品外部の同様な組成を有する蒸気相と平衡となる。部品を取り巻く蒸気が閉じ込められていない場合には、より多くの蒸気が液体から蒸発し、セラミック中に存在する過渡液相の量が枯渇して平衡となる。これはセラミック中の液体の枯渇につながり、よって過渡液相によるさらなる結合を効果的に停止させる。液体はまずセラミック体の表面及び縁部から蒸発するので、これらの部分は均一には収縮しない。よって、収縮率が潜在的に非常に異なる別個の二つのグリーン状態の部品を結合するには、別個に焼結する場合、容器は必須である。線形収縮差分は5%まで許容できることがわかっている。
【0121】
従って、焼成中、部品を取り巻く蒸気を閉じ込めることにより、液相Y−Al−Oの量が安定するので、完全に濡らすことができ、適当な緻密焼結を達成することができる。さらに、焼結中に部品を取り巻く雰囲気を約1気圧に維持することにより、プロセスを基本的に「非加圧下」とすることによって、低コストでの製造を維持することができる。これは、焼結チャンバを非気密シールとすることにより、簡単に達成することができる。このようにして、蒸気相Y−Al−Oと、N
2やH
2等の還元ガス成分との分圧の組合わせが約1気圧となる。よってY−Al−O蒸気の分圧は約1気圧よりも高くなることはない。
【0122】
接触面の歪を防ぐためには、焼成及び液相結合プロセス中に、二つの部品を互いに押圧することも有効である。サセプタ組立体で使用する大半のプレートの場合、約0.75〜3.0g/cm
3の圧力が適当であることが分かっている。
【0123】
部品202に錘204を載せ、錘の表面に付着しないように収縮させることも有効である。これは、AlN粒子の潤滑性薄膜205(図面では厚さを誇張している)を上側の部品の頂面に施すことにより、容易に行うことができる。直径約0.25〜0.5mmの比較的サイズの大きい窒化アルミニウム粒子のパウダー205を、潤滑剤として錘と上側の構造体との間に散布して、錘に対するセラミック構造体の横方向への膨張を容易にする。この粒子は、ピザ生地にコーンミールを散布するのと同様な方法で散布することができる。その後、潤滑剤粒子の層の上に錘を置く。
【実施例2】
【0124】
AlN粒子、有機結合剤、及び過渡液相促進添加剤の混合物を混合物全量に対して以下の重量比としたものから、所定量のグリーンテープを成形する。平均粒子幅約1〜2μmのアルミナでコーティングしたAlN粒子約93〜97重量%を選択する。平均粒子幅約1〜10μmのY
2O
3粒子約3〜7重量%を選択する。混合物の残部は主に結合剤である。
【0125】
厚さ約75μm〜約750μmのグリーンシートを成形した。このシートにビア及び金属化配線を刻設し、積層、ラミネートして、別個の二つのプリフォームを作製した。このプリフォームを、囲まれてはいるが完全に気密ではない焼結炉内で垂直配向で互いに積層した。約100〜300gのAlN材料からなる錘を、二つのプリフォームのうち上側にあるものの上に載置し、形状収縮をさらに制御した。錘の表面積は、上側のプリフォームの最も高さのある表面と少なくとも同じとした。炉の雰囲気を、全雰囲気の約1〜5%がH
2、残部がN
2となるようにした。
【0126】
プリフォームを以下の焼成プロフィールに従って加熱した。最初の結合剤消散段階では、温度を約400℃までゆっくりと昇温した。次いで、結合剤除去されたはめ合い部品を、約60〜約120分間で約1825℃まで加熱した。雰囲気に約1.0気圧以下の蒸発Y−Al−Oガス分圧を受け入れ、これを実質的に含むものとして、液相Y−Al−Oがさらに蒸発しないように抑制した。
【0127】
冷却後、部品の一体本体最終密度は97%を越え、99%を越える可能性もあった。部品間の接合領域の気密性を試験したところ、He試験で約10〜6気圧cc/秒未満に達し、より好ましくは10〜8気圧cc/秒未満となることもよくあり、倍率30倍の光学検査でも亀裂等の欠陥の痕跡はなかった。
【0128】
本発明の好ましい実施態様を説明してきたが、変更は可能であり、本発明の精神及び添付した特許請求の範囲から逸脱することなく、他の実施態様も考えられる。