特許第6896246号(P6896246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896246
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】液体販売管理装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20210621BHJP
   B67D 1/07 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   B67D1/08 Z
   B67D1/07
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-223949(P2017-223949)
(22)【出願日】2017年11月21日
(65)【公開番号】特開2019-94085(P2019-94085A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2020年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】山下 直之
(72)【発明者】
【氏名】北野 純一
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】楠 健志
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5393389(JP,B2)
【文献】 特開2014−19454(JP,A)
【文献】 特開2003−192096(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/120254(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
B67D 1/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵容器内の液体を、加圧により供給管を通して注出装置へ供給して冷却を行い、該注出装置から飲用容器へ注出する液体供給システムに付加可能な液体販売管理装置であって、
上記飲用容器へ注出される液体量を検出する流量センサを有し、上記注出装置から飲用容器へ注出した液体の実測流量を求める実流量作成部と、
上記液体供給システムにおける洗浄モードを検知する洗浄モード検知部と、
上記実流量作成部及び上記洗浄モード検知部と電気的に接続された消費流量取得部であって、上記洗浄モードの回数、及び洗浄モードで上記液体供給システムにて消費される1回分の既知の液体消費量、並びに、上記実測流量から液体の実消費量を求める消費流量取得部と、
を備えたことを特徴とする液体販売管理装置。
【請求項2】
上記消費流量取得部は、月日時分の時刻情報を生成し、かつ上記洗浄モード及び上記実消費量に上記時刻情報を付加した消費流量情報を生成する時刻情報生成部を有する、請求項1に記載の液体販売管理装置。
【請求項3】
上記消費流量取得部と電気的に接続され、上記洗浄モード及び上記実消費量に関する情報を通信回線へ送信する送信部をさらに備えた、請求項1又は2に記載の液体販売管理装置。
【請求項4】
上記実消費量、及び上記貯蔵容器における初期充填量から、上記貯蔵容器内における液体残量を求める分析部をさらに備えた、請求項1から3のいずれかに記載の液体販売管理装置。
【請求項5】
上記分析部と電気的に接続され上記液体残量を通信回線へ送信する送信部をさらに備えた、請求項4に記載の液体販売管理装置。
【請求項6】
上記分析部は、さらに、求めた液体残量を基に、初期充填量にて上記液体を充填した新貯蔵容器の発注を上記送信部を介して行う、請求項5に記載の液体販売管理装置。
【請求項7】
上記洗浄モード検知部は、上記供給管の内側が気体であることを検知する空液センサ、上記供給管の管圧を検知する圧力センサ、又は、上記供給管に設置された流体流路調整装置におけるオンオフスイッチであり、
ここで上記流体流路調整装置は、上記供給管に設置され、貯蔵容器内液体が無くなり貯蔵容器を交換する際に上記注出装置から加圧気体が噴出するのを防止する流体ストッパ装置を有する装置である、請求項1から6のいずれかに記載の液体販売管理装置。
【請求項8】
上記液体消費量は、上記洗浄モードにおいて、上記液体供給システムから排出される液体の排出量、及び上記液体供給システムへ貯蔵容器から供給される呼込量の合算量である、請求項1から7のいずれかに記載の液体販売管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給システムに付加可能な液体販売管理装置に関し、詳しくは、飲用として提供されずに消費される液体量も含めた実際の液体消費量(実消費量)を把握可能な液体販売管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店にて、液体、例えばビール等、を提供する装置として、液体供給システムが一般的に使用されている。ビールを例に採った場合、該液体供給システムは、炭酸ガスボンベ、ビールが充填されたビール樽、供給管、及びビールディスペンサーを有し、炭酸ガスボンベの炭酸ガスにてビール樽内のビールを加圧し、供給管からビールディスペンサーへ圧送する。ビールディスペンサーは、冷却槽内に設けたビール冷却管、冷凍機、及び注出口を有し、冷却槽内の冷却水の一部を冷凍機にて氷結させ、注出口におけるレバー操作にてビール冷却管内を流しながらビールを冷却し、例えばジョッキ等の飲用容器へ注出する。
このように、ビール樽内の多くのビールは、顧客への提供用として消費されていく。
【0003】
一方、液体供給システムでは、上述のようにビール冷却管を含めて、ビール樽出口から注出口までビールが流れる比較的長い管路が存在し、該管路の内部には、使用に伴い汚れが付着してくる。該汚れは、雑菌繁殖にもつながり雑味の発生等、美味しくないビールの提供につながる。
したがって、衛生管理上、及び提供ビールの品質管理上の観点から、ビールメーカーは、定期的に例えば営業終了毎に、ビール樽出口から注出口間の管路を洗浄することを、液体供給システムの使用者(例えば飲食店)に指導し、衛生管理及び提供ビールの品質維持を図っている。この洗浄動作の簡易例としては、洗浄水(水道水)の通水による水洗浄がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5393389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の水洗浄動作は、供給管を通過する液体をビールから洗浄水に切り換え、洗浄水を圧送することで行う。この水洗浄動作によって、営業終了時においてビール樽出口から注出口間の管路に残存していたビールは、洗浄水に置換されながら注出口から排出され、廃棄されることになる。即ち、水洗浄動作の実行により、飲用に供されない一定のビール量が消費されることになる。
【0006】
このようにして水洗浄が行われた後、次のビール提供の準備として、ビール樽出口から注出口間の管路に存在する洗浄水は、管路内に炭酸ガスを吹き込むことで炭酸ガスで置換され、管路内は、空液状態にされる。これらの一連の動作にて、水洗浄動作が終了する。
【0007】
このように水洗浄動作終了により、ビール樽から注出口間の管路内は、空液状態になっている。よって次の営業開始時には、空液状態の管路内へビール樽からビールを導入し圧送する(以下、「呼込み」動作という)操作が行われる。この呼込み動作では、ビールと炭酸ガスとが混在した状態の混在液体が上記管路内を流れることから、この呼込み動作におけるビールも、注出口から排出されることになる。よって呼込み動作においても、飲用に供されない一定のビール量が消費される。
【0008】
このように水洗浄動作及び呼込み動作によって一定量のビールが消費されることになる。よって既定量のビールが充填されたビール樽において、顧客に提供される販売量も含めて実際に消費されたビール量は、従来、明確には把握できていない。
【0009】
尚、上記特許文献1は、液体供給システムにおける洗浄動作の有無を判断するようにしたものであり、本願のように、水洗浄動作及び呼込み動作を考慮した上で実際に消費されたビール量を把握しようとするものではない。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、液体の貯蔵容器からの実消費量を把握可能な液体販売管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様における液体販売管理装置は、貯蔵容器内の液体を、加圧により供給管を通して注出装置へ供給して冷却を行い、該注出装置から飲用容器へ注出する液体供給システムに付加可能な液体販売管理装置であって、
上記飲用容器へ注出される液体量を検出する流量センサを有し、上記注出装置から飲用容器へ注出した液体の実測流量を求める実流量作成部と、
上記液体供給システムにおける洗浄モードを検知する洗浄モード検知部と、
上記実流量作成部及び上記洗浄モード検知部と電気的に接続された消費流量取得部であって、上記洗浄モードの回数、及び洗浄モードで上記液体供給システムにて消費される1回分の既知の液体消費量、並びに、上記実測流量から液体の実消費量を求める消費流量取得部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記一態様における液体販売管理装置によれば、消費流量取得部を備えたことで、液体の貯蔵容器からの実消費量を把握することが可能になる。
実消費量の把握が可能になることから、貯蔵容器内の液体残量を正確に把握でき、新たな貯蔵容器の発注を適確に行うことが可能になる。
また、洗浄モード検知部を備えたことで、洗浄動作の有無を検知することができる。よって、提供される液体の品質管理がなされているか否かをチェックすることができ、品質管理指導を適確に行うことも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態における液体販売管理装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第2実施形態における液体販売管理装置の構成を示すブロック図である。
図3A図1及び図2に示す液体販売管理装置に備わる洗浄モード検知部の一例に相当する流体流路調整装置に含まれる検出部を示す斜視図である。
図3B図3Aに示す流体流路調整装置の概略構成を示す図である。
図3C図3Aに示す流体流路調整装置に含まれる流体ストッパ装置の概略構成及び動作を説明するための図である。
図3D図3Cに示す流体ストッパ装置の概略構成及び動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態である液体販売管理装置について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。また、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け当業者の理解を容易にするため、既によく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、以下の説明及び添付図面の内容は、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0015】
以下に説明する第1実施形態における液体販売管理装置は、図1に示すように、既存の液体供給システム70に対して付加可能な、つまり電気的に及び機械的に接続可能な、液体販売管理装置101である。本実施形態では、1セットの液体供給システム70に対して1台の液体販売管理装置101を取り付けている。
【0016】
本第1実施形態を含めて以下の各実施形態では、扱う液体の一例としてビールを例に採るが、液体はビールに限定するものではなく、発泡酒、リキュール、チューハイ、ウイスキー、ワイン等のアルコール飲料、飲料水、清涼飲料、炭酸飲料などであってもよい。
【0017】
ここで液体供給システム70は、貯蔵容器10と、加圧源15と、供給管30と、注出装置50とを有し、貯蔵容器10内の液体(上述のように各実施形態ではビール)20を、加圧源15による加圧によって供給管30を通して注出装置50へ供給つまり圧送し、注出装置50から飲用容器(例えばジョッキ)40へ注ぎ出すシステムである。ここで貯蔵容器10は、各実施形態では、ビールメーカーにてビールが充填された、いわゆるビール樽と呼ばれるステンレス製容器であり、例えば5L、10L、19L等の内容量のものがある。加圧源15は、炭酸ガスボンベである。供給管30は、貯蔵容器10と注出装置50との間でビールの通液を可能にする、可撓性を有する例えばポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル等製の樹脂チューブである。後述するように、供給管30には、液体販売管理装置101に含まれる機器が取り付けられる。また、供給管30から注出装置50における液体注出口54に至るまで、流体の通液管路の内径は、スポンジ洗浄が容易なように全て同寸法にて設計されているのが好ましい。
【0018】
上述の注出装置50の一例として、各実施形態ではビールディスペンサー(「ビールサーバー」と称されることもある。)を例に採り説明を行う(よって以下では、ビールディスペンサー50と記す場合もある。)。上で既に説明したように、ビールディスペンサー50は、冷却槽51内に配置した液体冷却管(各実施形態ではビール冷却管)52、冷凍機53、及び液体注出口54を有し、冷却槽51内の冷却水55の一部を冷凍機にて氷結させ、該冷却水55にてビール冷却管52内を通過するビールの冷却を行う。加圧源15にて圧送されるビールは、注出口54におけるレバー56の操作によりビール冷却管52内を通過し冷却され、例えばジョッキ等の飲用容器40へ注出されて、顧客に提供される。
【0019】
尚、ビールディスペンサー50は、一般には、外気温度が5℃以上、40℃以下である環境にて使用される。また、注出装置50が扱う液体はビールに限定されず、上述の飲料水等であってもよい。また、各実施形態では、ビールディスペンサー50は、対象液体であるビールの冷却も行うが、各実施形態に含まれる注出装置50は、対象液体を加熱あるいは保温するものであってもよい。
【0020】
また、貯蔵容器10の出口から注出装置50の液体注出口54までの通液管路、つまり液体供給システム70内、及び供給管30に取り付けられ詳細を以下で説明する液体販売管理装置101に含まれる機器内における通液管路に対して、上で既に説明した水洗浄を行うように指導がなされている。ここで水洗浄動作は、洗浄水として例えば水道水を入れた洗浄水タンクを貯蔵容器10と付け替え、供給管30へ供給する液体をビールから洗浄水に切り換え、炭酸ガスで洗浄水を圧送することで行う。この水洗浄動作によって、洗浄水タンクの出口から注出装置50の液体注出口54までの通液管路が水洗浄される。
【0021】
以下では、本第1実施形態における液体販売管理装置101について、詳しく説明する。
液体販売管理装置101は、貯蔵容器10に充填された液体(ビール)の実際の消費量(実消費量)を把握可能にする装置であり、基本構成として、実流量作成部110と、洗浄モード検知部120と、消費流量取得部130とを備え、さらに送信部140及び分析部160を備えることもできる。これらの構成部分について、以下に順次説明を行う。
【0022】
実流量作成部110は、飲用容器40へ注出される液体量を検出する流量センサ111を有し、流量センサ111の検出信号を基に注出装置50から飲用容器40へ注出した液体、各実施形態ではビール、の実測流量を求める。
流量センサ111は、各実施形態では、洗浄モード検知部120とビールディスペンサー50との間の適所にて、供給管30を通過するビールを挟むように設置されている。尚、設置位置はこれに限定されず、例えば注出装置50における供給管30に取り付けられてもよい。流量センサ111として、各実施形態では超音波センサを用いる。このような流量センサ111を有する実流量作成部110は、流量センサ111から得られる信号を基に、飲用容器40へ注入される液体(ビール)の実測流量を求める。
【0023】
洗浄モード検知部120は、液体供給システム70が洗浄モードに移行したことを検知する手段である。ここで1回の「洗浄モード」とは、既に上で説明した、水洗浄動作と呼込み動作との1組が相当する。これは水洗浄動作を行ったときには、次に呼込み動作が付随して実行されるからである。
【0024】
「洗浄モード」では供給管30内の状態が変化する。即ち、供給管30内は、概ね、ビール→水→気体→ビールと変化する。よって洗浄モード検知部120は、供給管30内のこのような状態変化を検知可能な手段であればよい。また洗浄モード検知部120は、後述する、貯蔵容器10の空及び交換も検知する必要がある。よって具体的には、供給管30内の液体がビール等の液体、水、又は気体を検知可能な、あるいは少なくとも気体になったことを検知可能な空液検出用センサを用いることができる。空液検出用センサとしては、例えば光センサ、静電容量センサ、導電率センサ等が使用可能である。また、供給管30内の状態変化に応じて、樹脂製の供給管30の管壁に作用する圧力が変化することから、管壁外面に設置した管圧(圧力)センサも使用可能である。
【0025】
また、洗浄モード検知部120として、上述の各種センサに代えて以下の装置を用いることもできる。即ち、各実施形態では、貯蔵容器10とビールディスペンサー50との間で流量センサ111の上流側において、供給管30に流体流路調整装置を設置している。この流体流路調整装置は、オンオフスイッチを有しており、営業終了後、店スタッフにてオフ操作がなされる。上述したように衛生上等の観点から、営業終了後に洗浄することを勧めていることと関連し、このオンオフスイッチのオフ操作にて、水洗浄動作への移行と判断することができる。このように流体流路調整装置を洗浄モード検知部120とみなすことも可能であり、各実施形態では、この構成を採用している(よって、以下、説明の便宜上、流体流路調整装置120Aと符番する)。尚、オンオフスイッチのオフ操作後も流体流路調整装置120A内部、及び流体流路調整装置120Aを含む当該液体販売管理装置101は通電状態にあり、必要機能部分は作動可能状態にある。
【0026】
ここで流体流路調整装置120Aについて、図3Aから図3Dを参照して説明する。
流体流路調整装置120Aは、本願出願人による例えば特許5649801号に開示されるような装置であり、供給管30に設置されて、注出口54から飲用容器40へビール注出中に、貯蔵容器10内のビールが無くなったとき(貯蔵容器10が空になったとき)、また貯蔵容器10を交換する際に、ビールディスペンサー50の液体注出口54から加圧気体である炭酸ガスが噴出するのを防止する装置である。
【0027】
このような炭酸ガスの噴出防止を行うため、流体流路調整装置120Aは、流体ストッパ装置1210及び検出部1220を有している。検出部1220は、図3A及び図3Bに示すように、発光素子1221及び受光素子1222、並びに液体状態判断部1223を有する。発光素子1221及び受光素子1222は、流体流路調整装置120A内の樹脂製の供給管30を挟むように配置された筐体1224に、供給管30を通過するビールを隔てて対向して位置する。発光素子1221は赤外光を照射し、受光素子1222は、照射された赤外光を受光する。発光素子1221及び受光素子1222は、通過するビールの状態を検知する液体状態判断部1223に電気的に接続されている。即ち、発光素子1221から受光素子1222へ進む光は、供給管30を通過する物体が液体、気体、又はその混合物であるかによって、屈折率が相違する。よって受光素子1222における受光量は、供給管30を通過する物体によって変化する。液体状態判断部1223は、受光量の変化を検知し、通過物体が気体になったときには、流体ストッパ装置1210を作動させる。
【0028】
流体ストッパ装置1210は、図3C及び図3Dに示すように、一構成例としてループ状に配置した供給管30、及び供給管30を保持した保持部を移動させる移動機構1211を有し、液体状態判断部1223の制御により移動機構1211が供給管30を矢印方向に移動することで、供給管30を屈曲させ押し潰すことで流路の遮断を行う。尚、流路遮断された供給管30は、移動機構1211にて復帰する。
【0029】
また、洗浄モード検知部120は、貯蔵容器10が空になったこと、そして新しい貯蔵容器10への交換が行われたことを検知するためにも使用される。即ち、各実施形態のように流体流路調整装置120Aを設置している構成では、上述のように流体流路調整装置120Aにおける流体ストッパ装置1210の作動によって、貯蔵容器10の空、及び貯蔵容器10の交換を検知できる。
【0030】
一方、流体流路調整装置120Aを設置していない構成では、上述の空液検出用センサ等によって貯蔵容器10の空及び交換を検知できる。即ち、貯蔵容器10が空になったときには、供給管30内の状態は、概ねビール→気体へと変化することから、また貯蔵容器10の交換も含めると概ねビール→気体→ビールへと変化することから、上述の空液検出用センサ等によって、貯蔵容器10の空、及び貯蔵容器10の交換を検知することができる。
【0031】
また、以下で説明するように、各実施形態の液体販売管理装置101等によれば貯蔵容器10内の液体残量を認識可能であり、貯蔵容器10の空、及び交換は検知可能である。そして、貯蔵容器10が空になり交換した旨の信号を発するための例えばボタン等を洗浄モード検知部120等に設けることで、外部への通知が可能になる。
【0032】
次に、消費流量取得部130について説明する。
消費流量取得部130は、実流量作成部110及び洗浄モード検知部120と電気的に接続され、洗浄モードの回数、及び洗浄モードで液体供給システム70にて消費される1回分の既知のビール(液体)消費量、並びに、ビールの実測流量からビールの実消費量を求める。ここで1回分の既知のビール(液体)消費量は、消費流量取得部130へ入力される、あるいは、後述の分析装置200から通信回線150を介して消費流量取得部130へ供給されてもよい。
【0033】
洗浄モード検知部120から供給される、「洗浄モード」に入ったことを示す信号の取得回数によって、消費流量取得部130は洗浄モードの回数を認識する。尚、「洗浄モード」信号の供給以後、供給管30を流れる流体はビール以外のものも含むことから、実流量作成部110で得られる流量測定値は正確でない場合もある。よって消費流量取得部130は、「洗浄モード」後、実流量作成部110からの流量測定値を無視する。
一方、上述の水洗浄動作及び呼込み動作において液体供給システム70で消費されるビール量である液体消費量は、ビールディスペンサー50の容量等に依存する、各液体供給システム70において固有の既知量である。よって消費流量取得部130は、洗浄モードの回数によって、洗浄モード、つまり水洗浄動作及び呼込み動作において貯蔵容器10から消費されるビール量を求めることができる。
したがって消費流量取得部130は、実流量作成部110から供給される、飲用に供されたビール量つまり実測流量と、水洗浄動作及び呼込み動作において消費されたビール量つまり液体消費量とを合算することで、貯蔵容器10における実消費量を求めることができる。
【0034】
また、上述のように消費流量取得部130には洗浄モード検知部120から「洗浄モード」信号が供給されることから、消費流量取得部130は、当該液体供給システム70において洗浄モードが実行されているか否かを検知することが可能になる。よって、当該液体供給システム70を設置している飲食店は、提供するビールの品質管理を適確に実行しているか否かを、ビールメーカー側でチェックすることも可能になる。
【0035】
このような消費流量取得部130は、実際にはコンピュータを用いて実現され、上述の各機能に対応するソフトウェアと、これを実行するためのCPU(中央演算処理装置)、及びメモリ等のハードウェアとから構成されている。尚、上記コンピュータは、実際には当該液体販売管理装置101に組み込まれたマイクロコンピュータに相当するのが好ましいが、スタンドアロン型のパーソナルコンピュータを用いることもできる。
【0036】
また消費流量取得部130は、時刻情報生成部131を有することもでき、時刻情報生成部131は、月日時分の時刻情報を生成し、かつ洗浄モード及び上記実消費量に時刻情報を付加した消費流量情報を生成する。
また消費流量取得部130は、上記時刻情報を基に、当該飲食店の営業時間内において実流量作成部110から供給される、飲用に供されたビール量つまり実測流量を時分単位で把握することも可能である。
【0037】
さらに、第1実施形態の液体販売管理装置101は、このような消費流量取得部130と電気的に接続した送信部140を備えることもでき、送信部140は、上記消費流量情報を通信回線150へ送信する。ここで送信部140は、時刻情報を付加することなく、単に洗浄モード及び実測流量に関する情報を送信することもできる。
【0038】
以上説明した構成を有する、第1実施形態の液体販売管理装置101は、以下のように動作する。
営業中では、ビールディスペンサー50におけるレバー56の店スタッフによる操作により、ビールが飲用容器40に注出される。その注出量は、実流量作成部110で求められ、実測流量として消費流量取得部130へ供給され、メモリに蓄積されていく。このとき、各実測流量には時刻情報が付加されてもよい。
【0039】
例えば、流体流路調整装置120Aにおけるオンオフスイッチのオフ操作にて、あるいは上述の各種センサによる検知にて、洗浄モード検知部120は、洗浄モードへの移行を検知し、「洗浄モード」信号を消費流量取得部130へ送出する。これに応じて消費流量取得部130は、上述したように水洗浄動作及び呼込み動作における液体消費量を求める。そして消費流量取得部130は、上記実測流量と上記液体消費量とから、貯蔵容器10における液体の実消費量を求める。また、洗浄モード検知部120は、流体流路調整装置120Aの作動、あるいは上述の各種センサによる検知にて、貯蔵容器10の交換の有無も検知可能であり、消費流量取得部130は、実消費量を基に貯蔵容器10内液体の残量を求めてもよい。
このように消費流量取得部130で求められた各種情報は、送信部140から通信回線150へ送出される。
【0040】
以上説明した第1実施形態の液体販売管理装置101は、以下のような効果を奏する。
送信部140から各種情報が通信回線150へ送出されることから、通信回線150に接続した、例えばビールメーカー側の分析装置200(コンピュータ)では、飲食店単位にて、消費流量取得部130が送出する、上述の、営業時間内において飲用に供されたビール量つまり実測流量を時分単位で把握することが可能であり、さらに、洗浄モード実行の有無、かつ、その洗浄モードがいつ行われたか、つまりその時間帯及び頻度を把握することが可能である。
【0041】
さらにまた、分析装置200では、各店舗における貯蔵容器10の容量を把握しており、あるいは容量値の入力により、さらに、新貯蔵容器10への交換時点を認識していることから、上述の、実測流量と液体消費量とから求まる実消費量を基に、貯蔵容器10における液体の残量を店舗毎に時刻情報付きで把握することが可能である。したがって、分析装置200は、初期充填量にてビール(液体)を充填した新しい貯蔵容器10(ビール樽)を自動的に発注することも可能であり、各飲食店における新貯蔵容器10の発注作業を効率化することができる。また、貯蔵容器10の空及び交換の有無、その頻度も把握可能である。
【0042】
一方、図2に示す第2実施形態の液体販売管理装置101−2のように、上述した第1実施形態の液体販売管理装置101における構成に加えて、分析部160及び表示部170を備えることもできる。
【0043】
分析部160は、貯蔵容器10における上述の実消費量、及び貯蔵容器10における初期充填量から、貯蔵容器10内におけるビールの残量(液体残量)を求める。さらに分析部160は、当該店舗における貯蔵容器10の容量を入力しておくことで、新しい貯蔵容器10の発注を知らせる情報の生成を行ってもよい。
【0044】
表示部170は、分析部160に電気的に接続され、上述のビール残量を表示する。表示方法は、特に限定されず、例えば、その数値を表示してもよいし、残量に応じた色別表示等でもよい。また、貯蔵容器10の自動発注済を表示してもよい。
【0045】
さらに分析部160は、送信部140と電気的に接続される。よって第2実施形態の液体販売管理装置101−2では、ビール残量の情報及び貯蔵容器10の発注は、分析部160が行う。また送信部140には、消費流量取得部130も電気的に接続されている。
よって、第2実施形態の液体販売管理装置101−2においても、分析装置200では、上述した第1実施形態の液体販売管理装置101の場合と同様の効果を得ることができる。
【0046】
尚、第1実施形態の液体販売管理装置101において、消費流量取得部130に表示部170を電気的に接続して、各種情報を表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、液体供給システムに付加可能な液体販売管理装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
10…貯蔵容器、30…供給管、40…飲用容器、50…注出装置、
70…液体供給システム、
101、101−2…液体販売管理装置、110…実流量作成部、
111…流量センサ、120…洗浄モード検知部、120A…流体流路調整装置、
130…消費流量取得部、131…時刻情報生成部、140…送信部、
150…通信回線、160…分析部、
1210…流体ストッパ装置、1220…検出部。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D