【実施例】
【0021】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0022】
本実施例は、上部開口型の本体部1と焼き網5とを備え、この本体部1内に収容される木炭、練炭、豆炭及び固形燃料のいずれかの燃焼部材20の燃焼熱により前記燃焼部材20の上方に配される焼き網5上に載置した食材30を加熱調理するコンロである。
【0023】
具体的には、本実施例は、
図2に示すように、本体部1と、この本体部1内に配設され木炭などの燃焼部材20を収容する燃焼部材収容部6と、本体部1内に吊設状態に配設される油受け止め部2と、本体部1の上部開口縁部3上に着脱自在に配設される焼き網5とを備える構成とされている。
【0024】
以下、本実施例に係る構成各部について詳述する。
【0025】
本体部1は、金属製であり、七輪のような有底円筒状に形成され、上部開口縁部3が着脱可能に構成とされている。
【0026】
この本体部1は、
図3に示すように、周面部と燃焼部材20を収容する燃焼部材収容部6との間に空間が形成されるように構成され、燃焼部材20の燃焼熱が周面部に伝わりにくい構成とされている。
【0027】
また、この上部開口縁部3は、上部開口部が形成される内側部材3aと、この内側部材3aに連設され本体部1の上端縁に被嵌する外側部材3bとからなる構成とされ、この内側部材3aと外側部材3bとは、
図4に示すように、空間部3cを形成するようにして連設され、本体部1の周面部と同様に、燃焼部材20により加熱される内側部材3aの熱が外側部材3bに伝わりにくい構成とされている。
【0028】
さらに、本実施例の上部開口縁部3は、燃焼部材収容部6と非接触状態に設けられると共に、内側部材3aと外側部材3bとが連結部材(図示省略)以外の箇所では図示するように非接触状態に設けられ、内側部材3aから外側部材3bへの熱伝導が可及的に低減されるように構成されている。
【0029】
また、本体部1の周面部下側には、外気取入部8が設けられている。
【0030】
本実施例の外気取入部8は、本体部1の周面部に形成される外気取入口8aと、この外気取入口8aを開閉自在に閉口する開閉扉部8bとからなる構成とされている。
【0031】
具体的には、外気取入口8aは、本体部1の周面部の周方向に長い横長方形状に形成され、下側開口縁が本体部1の底部と面一となる位置に設けられている。
【0032】
すなわち、本実施例は、この外気取入口8aが本体部1の底部に溜まった燃焼部材20の灰を外部に排出するための排出口を兼用する構成になっていて、この外気取入口8aの下側開口縁が本体部1の底部と面一となるように設けることで、灰を取り出す際に灰が本体部1の周面部(段差面)に引っ掛かることが防止され、底部に溜まった灰をスムーズに外気取入口8aから排出させることができるように構成されている。
【0033】
また、開閉扉部8bは、
図5〜7に示すように、一端部が枢着され外気取入口8aに接離回動可能に設けられると共に、上下方向に対向する一対のガイド板9が内方に向かって突設されている構成とされていて、開閉扉部8bを閉じ回動して外気取入口8aを閉口した状態では一対のガイド板9は本体部1内に収納され、開閉扉部8bを開き回動して外気取入口8aを開口した状態では一対のガイド板9は開閉扉部8bと共に外方に突出して、この一対のガイド板9の対向面と開閉扉部8bの内面部とにより、本体部1の周面部の内面に沿わせるように外気を本体部1内に導入する外気導入路10が形成されるように構成されている。
【0034】
また、この開閉扉部8bに設けられる一対のガイド板9は、上側ガイド板9a若しくは下側ガイド板9bの少なくとも一方が本体部1に摺接するように設けられている。
【0035】
具体的には、本実施例においては下側ガイド板9bが本体部1の底部に摺接するように設けられていて、本実施例の開閉扉部8bは、回動操作時にこの下側ガイド板9bが本体部1の底部に対して摺動し、この摺動時の摺動抵抗によりこの開閉扉部8bの位置を自在に位置決めることができ、所望の開閉度合いに容易に調整することができるように構成されている。なお、上側ガイド板9aを外気取入口8aの上縁部に摺接するように設けても良い。
【0036】
すなわち、本実施例の外気取入部8は、この開閉扉部8bを所望の開閉度合いに容易に調整することができるように構成し、これにより、この開閉扉部8bの回動操作により一対のガイド板9の外気取入口8aからの突出量を変化させて、外気導入路10の外気入口の開口面積を変化させることで、外気導入路10を通じて本体部1内に導入される外気量を調整することができるように構成され、さらに、本実施例の外気取入部8は、
図6に示すように、この開閉扉部8bにより適正な導入量に調整された外気が本体部1の周方向に沿って外気導入路10内に導入され、この外気導入路10を介することで外気が本体部1の周面部の内面に沿って流動するように方向付けられ、本体部1内に導入される外気が直接、燃焼部材20に向かって吹き込まないように構成されている。
【0037】
また、本体部1の底部には、燃焼部材収容部6を支持する支持部7が複数設けられていて、この支持部7に燃焼部材収容部6がセットされることで、本体部1の底部と燃焼部材収容部6との間に空間が形成され、この燃焼部材収容部6の底部側から燃焼部材収容部6内に空気が流入し易くなるように構成されている。
【0038】
具体的には、本実施例の支持部7は、
図2,3に示すように、背側(本体部1の周面部に近い側)の下部に切欠き部7aが形成されていて、本実施例は、本体部1内に導入された外気がこの切欠き部7aを通過することで、支持部7に流動を遮られることなく周面部に沿って流動することができるように構成されている。
【0039】
また、本体部1内に設けられる燃焼部材収容部6は、本体部1よりも小径な有底円筒状に形成され、前述した支持部7に着脱自在に設けられ、支持部7にセットされた状態において、本体部1の周面部との間に空間が形成されるように構成されている。
【0040】
すなわち、本実施例は、この燃焼部材収容部6の周面部と本体部1の周面部とが空気層を介した二重壁構造になっていて、本体部1の周面部に燃焼部材20の燃焼熱が伝わりにくく、使用時に本体部1の周面部が高温になりにくい構成とされている。
【0041】
また、本実施例の燃焼部材収容部6は、
図2,3に示すように、底面に通孔6aが穿孔されていて、この通孔6aを介して燃焼部材20に外気(空気)が供給されたり、燃焼部材20の灰が本体部1の底部に落下排出されるように構成されている。
【0042】
また、油受け止め部2は、
図8に示すように、食材30から垂れ落ちた油を受け止める油受け止め面部2aと、この油受け止め面部2aで受け止めた油を貯留する油貯留部2bと、吊設用の掛止片2cとからなり、
図9に示すように、本体部1の上部開口縁部3に吊設されるようにして本体部1内に着脱自在に設けられて、加熱調理時に食材30から滲出し本体部1内に垂れ落ちる油を受け止め、油が燃焼部材20に垂れ落ちることを防止するように構成されている。
【0043】
具体的には、油受け止め面部2aは、油が通過しない目開きの金属製のメッシュ部材により形成されると共に、食材30から垂れ落ちた油が自動的に油貯留部2bに流動し得る斜面を有する形状に形成されている。
【0044】
より具体的には、本実施例の油受け止め面部2aは、上方に凸となる半球形状、半楕円体形状、円錐形状および角錐形状などのドーム状に形成されるのが好ましく、本実施例においては、油受け止め面部2aは、
図8,9に示すように、半球形状に形成されると共に、上部開口縁部3に形成される上部開口部の形状と略同形状に形成されていて、焼き網5上の食材30から垂れ落ちる油を漏れなく受け止めることができるように構成されている。
【0045】
また、油貯留部2bは、凹部(凹溝)に形成され、平面視円形に形成される油受け止め面部2aの下端部(下端縁)全周に亘って設けられている。なお、本実施例の油貯留部2bは、油受け止め面部2aと同様のメッシュ部材で形成(油受け止め面部2aと一体成形)されているが、油を貯留し得る部材であれば適宜設計変更可能なものとする。
【0046】
また、掛止片2cは、
図8に示すように、逆L字状に形成され、垂直片部の長手方向途中に、油受け止め部2を本体部1内に吊設された使用状態から取り外すために上方へ持ち上げるための持ち上げ用把手部2dが内方に突出状態に設けられている。
【0047】
具体的には、本実施例の持ち上げ用把手部2dは、
図8に示すように、平板状の掛止片2cの垂直片部の適宜な位置を凹字状(U字状やV字状でも可)に切込み、切込みの内側を内方に向かって押出し形成した前下がり傾斜状の突片に形成されていて、本実施例の油受け止め部2は、冷めている場合はこの持ち上げ用把手部2dに指などを掛けて持ち上げ、また、熱くなっている場合には箸などの棒状のものを引っ掛けて持ち上げることができるように構成されている。
【0048】
また、本実施例は、本体部1が、
図10,11に示すように、鍋や飯盒などの調理用容器40に設けられる外方突出部40aを上部開口縁部3に掛止させ、調理用容器40の外方突出部40aより下方側を収容し得る形状に形成されている。
【0049】
具体的には、本体部1は、調理用容器40に設けられる外方突出部40aを上部開口縁部3に掛止させて調理用容器40を吊り下げ収納した状態において、この調理用容器40の少なくとも下半部を収容し得る深さを有し、また、上部開口縁部3に形成される上部開口部の形状が、この吊下げ収容した調理用容器40とこの上部開口部との間に隙間が殆ど生じないように設定されている。
【0050】
すなわち、本実施例は、焼き網5と油受け止め部2とを本体部1から取り外し、代わりに鍋や飯盒などの調理用容器40を本体部1にセットし、この調理用容器40内に収容される食材30を加熱調理することができ、さらに、このセットした調理用容器40と上部開口縁部3の上部開口部との間に隙間が殆ど生じず、本体部1内の熱が外部に漏れにくく、効率的に調理用容器40を加熱して、短時間で所望の調理を行うことができるように構成されている。
【0051】
またさらに、本実施例は、
図12に示すように、付設部材として練炭用位置決め部材4を具備しており、この練炭用位置決め部材4を用いて本体部1内に燃焼部材20として練炭20を位置決め状態に配設することができるように構成されている。
【0052】
具体的には、練炭用位置決め部材4は、
図12,13に示すように、上部開口縁部3に上方から載置係合する重合片部4aと、練炭20に被嵌する筒状被嵌部4bとからなる構成とされ、本実施例においては、この練炭用位置決め部材4の重合片部4aを上部開口縁部3の上方から載置係合させて本体部1の燃焼部材収容部6内に載置された練炭20の上部に筒状被嵌部4bを被嵌係合させることで、本体部1内の中心位置に練炭20を位置決めすることができるように構成されている。
【0053】
以上のように構成される本実施例の作用効果について以下に説明する。
【0054】
本実施例は、本体部1の周面部及び上部開口縁部3が二重壁構造となっているから、使用時も高温になりにくく、火傷しにくく、安心して使用することができる。
【0055】
また、本実施例は、外気が本体部1の周方向に沿って外気導入路10内に導入され、この外気導入路10を介することで外気が本体部1の周面部の内面に沿って流動するように導入されるから、本体部1内に導入される外気が直接、燃焼部材20に向かって吹き込まず、よって、燃焼部材20の燃焼が安定し、食材30を焦がしたりすることなく、良好に加熱調理を行うことができる。
【0056】
さらに、本実施例は、この外気が導入される外気取入部8の外気取入口8a(外気取入口8aの下側開口縁)が本体部1の底部と面一になっているから、灰を取り出す際に灰が本体部1の周面部(段差面)に引っ掛かることが防止され、底部に溜まった灰をスムーズに外気取入口8aから排出させることができる。
【0057】
また、本実施例は、油受け止め部2を備えているから、この油受け止め部2をセットすることで、燃焼部材20からの加熱作用を遮ることなく、焼き網5上に載置される食材30から垂れ落ちる油をこの油受け止め部2の油受け止め面部2aで受け止め、油の燃焼部材20へ垂れ落ち(付着)を防止し、油が燃焼部材20に垂れ落ちることにより生じる不具合、すなわち、炎が大きくなって食材30を焦がしたり大量の煙を発生させたりする不具合が生じることなく、焼き網5上の食材30を良好に加熱調理することができる。
【0058】
また、本実施例の油受け止め部2は、油貯留部2bと掛止片2cとを備え、掛止片2cにより本体部1の上部開口縁部3に着脱自在に吊設される構成とされているから、油受け止め面部2aで受け止めた油がこの油受け止め面部2aを流動して油貯留部2bに貯留され、この油貯留部2bに貯留された油を油貯留部2bに貯留された状態のまま、油受け止め部2を上部開口縁部3から取り外して所定の場所に持ってゆき、油貯留部2b内から直接、油を捨てることができるので、本体部1を汚すことなく油捨て作業を簡易に行うことができる。
【0059】
またさらに、本実施例は、焼き網5及び油受け止め部2を取り外して、鍋や飯盒などの調理用容器40をセットすることができるから、焼き加熱調理だけでなく、煮たり蒸したり炊いたりする調理も行うことができ、しかも、調理用容器40をセットした際、調理用容器40と上部開口部との間に隙間が殆ど生じないから、燃焼部材20の燃焼により生じる燃焼熱が本体部1から逃げにくく、これにより、調理用容器40を効率よく加熱することができ、短時間で所望の加熱調理を行うことができる。
【0060】
しかも、本実施例は練炭用位置決め部材4を備え、練炭20を安定的にセットすることができるから、長時間使用することができると共に、使用中(燃焼中)でも安全に持ち運び所望の場所に移動させることができる。
【0061】
このように、本実施例は、焼く、煮る、蒸す、炊くなどの様々な加熱調理に適し、しかも、安全で使い勝手の良い従来にない画期的な作用効果を発揮する極めて実用的なコンロとなる。
【0062】
なお、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。