【文献】
古室 正充,やさしくわかる環境会計,株式会社日本実業出版社,2000年 8月20日,初版,pp.124-129
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記境界判定部は、当否何れにも該当しない科目又は細目のレコードに付加するモデル係数を、前記評価指標並びに、対応付けられた前記科目及び細目の1つ以上に基づいて決定する、
請求項2に記載の環境経営に取り組む企業活動評価システム。
前記記憶部は、更に、SDGsに関する評価指標について、前記科目又は細目が、ゴール若しくは、ゴール及びターゲットに該当する否かを示す境界情報を格納すると共に、前記環境活動事例情報を、前記科目又は細目に加えて前記ゴール若しくは、ゴール及びターゲットに対応付けて格納し、
前記事例提供部は、前記ゴール又はターゲットの指定を受け付け、
前記境界判定部は、企業活動情報のレコード毎に、前記境界情報に基づくSDGsに関する評価対象当否の判定を行い、
前記評価部は、SDGsに関する評価対象として当判定がなされた前記レコードについて、指定された前記ゴール又はターゲットに対応する科目又は細目毎に前記GHG排出量を集計することで、前記事例提供部が前記対象科目又は対象細目を決定する、
請求項4〜6の何れかに記載の環境経営に取り組む企業活動評価システム。
前記事例提供部は、前記事例に対応するゴール及びターゲット並びに、前記事例に対応する前記科目又は細目についての前記経済コスト及び環境コストの集計結果の少なくとも1つを前記事例と対応させて表示処理する、
請求項7に記載の環境経営に取り組む企業活動評価システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記事情を鑑みて、本発明は、環境経営に取り組む企業活動評価を効率化・簡単化する新規な技術を提供することを、解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は環境経営に取り組む企業活動評価システムであって、
前記企業活動評価システムは、受付部と、記憶部と、境界判定部と、評価部と、を備え、
前記受付部は、科目及び細目と、その費用を有する企業活動情報の入力を受け付け、
ここで、前記細目は、少なくとも前記科目を親とする細目と、その細目を親とする細目を含んだ階層構造をとり、
前記記憶部は、科目又は細目と対応付けられ、前記費用又は数量に基づいてGHG排出量を算出する為の算出係数と、
環境経営の評価指標について、評価対象に該当する科目又は細目並びに、該当しない科目又は細目を示す境界情報であって、少なくともGHG算出の評価対象当否を示す境界情報を、不揮発性の記録媒体に格納し、
前記境界判定部は、前記企業活動情報のレコード毎に、前記境界情報に基づく評価対象当否の判定を行い、
前記評価部は、前記企業活動情報の費用を示す経済コストを決定し、
前記算出係数に基づき、GHG算出の評価対象として当判定がなされた前記レコード毎にGHG排出量を示す環境コストを決定する。
【0015】
また、本発明は、環境経営に取り組む企業活動評価プログラムであって、
コンピュータを、受付部と、記憶部と、境界判定部と、評価部と、として機能させ、
前記受付部は、科目及び細目と、その費用を有する企業活動情報の入力を受け付け、
ここで、前記細目は、少なくとも前記科目を親とする細目と、その細目を親とする細目を含んだ階層構造をとり、
前記記憶部は、科目又は細目と対応付けられ、前記費用又は数量に基づいてGHG排出量を算出する為の算出係数と、
環境経営の評価指標について、評価対象に該当する科目又は細目並びに、該当しない科目又は細目を示す境界情報であって、少なくともGHG算出の評価対象当否を示す境界情報を格納し、
前記境界判定部は、前記企業活動情報のレコード毎に、前記境界情報に基づく評価対象当否の判定を行い、
前記評価部は、前記企業活動情報の費用を示す経済コストを決定し、
前記算出係数に基づき、GHG算出の評価対象として当判定がなされた前記レコード毎にGHG排出量を示す環境コストを決定する。
【0016】
また、本発明は、環境経営に取り組む企業活動評価方法であって、
企業活動評価システムが、受付ステップと、記憶ステップと、境界判定ステップと、評価ステップと、を実行し、
前記受付ステップでは、科目及び細目と、その費用を有する企業活動情報の入力を受け付け、
ここで、前記細目は、少なくとも前記科目を親とする細目と、その細目を親とする細目を含んだ階層構造をとり、
前記記憶ステップでは、科目又は細目と対応付けられ、前記費用又は数量に基づいてGHG排出量を算出する為の算出係数と、
環境経営の評価指標について、評価対象に該当する科目又は細目並びに、該当しない科目又は細目を示す境界情報であって、少なくともGHG算出の評価対象当否を示す境界情報を、不揮発性の記録媒体に格納し、
前記境界判定ステップでは、前記企業活動情報のレコード毎に、前記境界情報に基づく評価対象当否の判定を行い、
前記評価ステップでは、前記企業活動情報の費用を示す経済コストを決定し、
前記算出係数に基づき、GHG算出の評価対象として当判定がなされた前記レコード毎にGHG排出量を示す環境コストを決定する。
【0017】
このような構成とすることで、科目及び細目と、その費用を有する企業活動情報が入力されると、境界情報に基づいて評価対象当否の判定を行うことができる。科目及び細目と、その費用を有する企業活動情報は、業種に限らず企業であれば保有している為、利用者は、環境経営の評価指標に対する理解が十分でなく、評価のために必要となる情報を十分に理解できていなくても、環境経営に取り組む為の企業活動評価を効率よく、簡単に実現することができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記境界判定部は、前記判定を行うと共に、当否何れにも該当しない前記科目又は細目のレコードに対してモデル係数を付加し、
前記評価部は、前記モデル係数が設定されたレコードは、前記モデル係数に基づいて前記環境コストを決定する。
【0019】
このような構成とすることで、企業活動情報に対して、より精度高くGHG排出量を把握することが可能となる。より詳細には、境界情報に基づいて、評価対象当否の何れにも該当しない科目又は細目が設定されたレコードを、モデル係数を付加することによって集計結果に反映することが可能となる。即ち、企業活動情報として入力された科目あるいは細目において情報が不足したり、不明瞭な情報が含まれている場合、例えば、細目が空欄になっている場合や、交通費の移動手段が細目に含まれていない場合、出張費の宿泊日数が不明の場合等であっても、モデル係数を付加することで環境コストを推定可能とし、環境コストの集計結果に含めることが可能となる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記境界判定部は、当否何れにも該当しない科目又は細目のレコードに付加するモデル係数を、前記評価指標並びに、対応付けられた前記科目及び細目の1つ以上に基づいて決定する。
【0021】
このような構成とすることで、レコードに対して対応付けられた評価指標や科目、細目に応じてモデル係数を付加でき、環境コストの推定精度をより高めることができる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記企業活動評価システムは、更に、事例提供部を有し、
前記記憶部は、環境活動の事例及び事例に対応する前記科目又は細目を対応付けた環境活動事例情報を格納しており、
前記評価部は、前記企業活動情報における前記GHG排出量について、前記科目又は細目に基づいて集計し、
前記事例提供部は、集計結果が閾値を超えた対象科目又は対象細目を決定し、前記対象科目又は対象細目並びに前記環境活動事例情報に基づいて、当該企業活動情報に基づいて提示すべき事例を決定する。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記事例提供部は、環境活動事例情報の指定によって科目又は細目の指定を受け付け、
指定された前記科目又は細目に基づいて、提示すべき事例を決定する。
【0024】
このような構成とすることで、科目及び細目と、その費用を有する企業活動情報は、業種に限らず企業であれば保有している為、利用者は、環境経営の評価指標に対する理解が十分でなく、評価のために必要となる情報を十分に理解できていなくても、環境経営に取り組む為の具体的事例を効率よく、簡単に参照することができる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、環境効果を判断する閾値を対応付けた環境効果測定情報を格納しており、
前記事例提供部は、集計結果及び環境効果測定情報に基づいて、前記対象科目又は対象細目として、前記集計結果が前記閾値を上回る1又は複数の科目又は細目並びに、前記閾値を下回る1又は複数の科目又は細目を決定し、決定した前記対象科目又は対象細目のそれぞれに対して、前記環境活動事例情報に基づいて事例を決定可能に構成される。
【0026】
このような構成とすることで、環境経営に取り組む為の具体的事例を、企業活動の実情に応じて、より精度よく提供することができる。
【0027】
本発明の好ましい形態では、前記記憶部は、更に、SDGsに関する評価指標について、前記科目又は細目が、ゴール若しくは、ゴール及びターゲットに該当する否かを示す境界情報を格納すると共に、前記環境活動事例情報を、前記科目又は細目に加えて前記ゴール若しくは、ゴール及びターゲットに対応付けて格納し、
前記事例提供部は、前記ゴール又はターゲットの指定を受け付け、
前記境界判定部は、企業活動情報のレコード毎に、前記境界情報に基づくSDGsに関する評価対象当否の判定を行い、
前記評価部は、SDGsに関する評価対象として当判定がなされた前記レコードについて、指定された前記ゴール又はターゲットに対応する科目又は細目毎に前記GHG排出量を集計することで、前記事例提供部が前記対象科目又は対象細目を決定する。
【0028】
このような構成とすることで、環境経営の評価指標に対する理解が十分でなく、評価のために必要となる情報を十分に理解できていなくても、SDGsに関する環境経営に取り組む為の具体的事例を効率よく、簡単に参照することができる。
【0029】
本発明の好ましい形態では、前記事例提供部は、前記事例に対応するゴール及びターゲット並びに、前記事例に対応する前記科目又は細目についての前記経済コスト及び環境コストの集計結果の少なくとも1つを前記事例と対応させて表示処理する。
【0030】
本発明の好ましい形態では、前記企業活動評価システムは、更に、分析部を有し、
前記記憶部は、前記細目と代替可能な代替細目、その金額である代替経済コスト及び、前記代替細目と対応した前記算出係数である代替算出係数を格納しており、
前記分析部は、前記企業活動情報のレコードについて代替細目を検索し、代替経済コスト及び代替算出係数に基づいて、前記代替細目の経済コスト及び環境コストを決定し、
前記環境コストの集計結果が削減目標を満たしながら、前記経済コストの集計結果又は、代替点数が最小となるように、前記企業活動情報に含まれた前記細目の経済コスト及び環境コスト並びに、前記代替細目の経済コスト及び環境コストに基づいて、置き換えるべき前記代替細目を決定する処理を含んだ最適化処理を行い、
前記事例提供部は、前記事例に対応付けられた前記科目又は細目毎に前記最適化処理の結果得られた経済コスト削減額及び/又は環境コスト削減量を、前記事例と対応させて表示処理する。
【0031】
このような構成とすることで、事例に関する意義のある情報を、利用者に対して提示することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、環境経営に取り組む企業活動評価を効率化・簡単化する新規な技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0035】
例えば、本実施形態では企業活動評価システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態では、クライアント端末でその機能を実現する為に外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させる、いわゆるサーバ・クライアント型の企業活動評価システムについて説明する。プログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよい。
【0036】
<1.システム構成>
図1は、一実施の形態のシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、企業活動評価システム0は、企業活動評価装置1(サーバ)及び利用者端末装置2(クライアント)を備える。企業活動評価装置1及び利用者端末装置2は、通信ネットワークNWを介して通信可能に構成されている。企業活動評価装置1は、サーバとして動作し、利用者端末装置2は、利用者が操作するスマートフォン、パーソナルコンピュータ等である。
【0037】
企業活動評価装置1として、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。利用者端末装置2として、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等を利用することができる。利用者端末装置2は、企業活動評価装置1に対してリクエストを行い、レスポンスを受け取る為のアプリケーション(典型的には、ウェブブラウザ)を有する。
【0038】
通信ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0039】
<1.1.ハードウェア構成>
図2は、ハードウェア構成図である。
図2(a)に示すように、企業活動評価装置1は、演算装置101、主記憶装置102、補助記憶装置103、入力装置104、出力装置105、通信装置106及びバスインタフェースを有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。企業活動評価装置1のハードウェア構成の少なくとも一部は、SoCまたはSiPの態様をとってよい。また、企業活動評価装置1は、画像処理や機械学習などの所定の処理に特化したカスタマイズド・プロセッサをさらに有してよい。
【0040】
演算装置101は、命令セットを実行可能なCPUなどのプロセッサを有し、本発明に係る企業活動評価プログラム、OSやブラウザソフト、その他のアプリケーションを実行することで、企業活動評価装置1の動作処理全体を制御する。
主記憶装置102は、命令セットを記憶可能なRAMなどの揮発性メモリを有する。
補助記憶装置103は、OS及び企業活動評価プログラムなどを記録可能な、HDDやSSDなどの不揮発性の記録媒体を有する。
入力装置104は、キーボードなどの入力処理が可能な入力デバイスを有する。
出力装置105は、ディスプレイなどの表示処理が可能な表示デバイスを有する。
通信装置106は、ネットワークに物理的に接続するためのインタフェースを有し、通信ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報の入出力を行う。
【0041】
図2(b)に示すように利用者端末装置2は、演算装置001、主記憶装置002、補助記憶装置003、入力装置004、出力装置005、通信装置006及びバスインタフェースを有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0042】
演算装置001は、命令セットを実行可能なCPUなどのプロセッサを有し、OSやウェブブラウザ、その他のアプリケーションを実行する。
主記憶装置002は、命令セットを記憶可能なRAMなどの揮発性メモリを有する。
補助記憶装置003は、OS、ウェブブラウザアプリケーション等を記録可能な、HDDやSSDなどの不揮発性の記録媒体を有する。
入力装置004は、キーボードなどの入力処理が可能な入力デバイスを有する。
出力装置005は、ディスプレイなどの表示処理が可能な表示デバイスを有する。
通信装置006は、ネットワークに物理的に接続するためのインタフェースを有し、通信ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報の入出力を行う。
【0043】
<1.2.企業活動評価装置の機能構成>
図3は、企業活動評価装置1の機能ブロック図である。
図3に示すように、企業活動評価装置1は、記憶部10と、受付部11と、境界判定部12と、評価部13と、分析部14と、事例提供部15と、表示処理部16と、データベースDBを有する。これは、ソフトウェア(補助記憶装置103に記憶されている)による情報処理が、ハードウェア(演算装置101等)によって具体的に実現されたものである。
【0044】
なお、本実施形態では、企業活動評価装置1が各機能構成要素(部)を備える構成について例示するが、これらの一部がクライアントである利用者端末装置2に備えられていてもよい。また、利用者端末装置に対して企業活動評価プログラムをインストールすることで、企業活動評価装置を構成してもよい。
【0045】
本実施形態では、企業活動評価システム0は、ウェブアプリケーションの態様で利用者に提供され、利用者端末装置2のウェブブラウザを介して利用される。表示処理部16は、利用者がウェブアプリケーションを利用するための提供画面を表示処理し、表示処理結果を利用者端末装置2に対して送信する。また、表示処理部16は、企業活動情報の入力(アップロード)や操作入力を、提供画面を介して受け付ける。そして、企業活動評価装置1による処理を実行した後、処理結果を利用者端末装置2に送信する。以降は説明の簡略化のため、不明にならない範囲で、表示処理部16の介在を省略して説明する。
【0046】
<1.3.受付部>
受付部11は、企業活動情報の入力を受け付け、この後の処理で使用する企業活動情報を記憶部10に格納する。本実施形態では、受付部11は、入力受付部111と、入力整形部112を有する。
【0047】
入力受付部111は、利用者から企業活動情報の入力を受け付ける。本実施形態では、入力受付部111は、提供画面を介して、科目及び細目と、その費用を有する企業活動情報の入力を受け付ける。入力整形部112は、入力受付部111が受け付けた企業活動情報を整形処理する。整形処理は、利用者が入力した企業活動情報の生データを、企業活動評価装置1で処理する為の所定のデータフォーマット(共通フォーマット)に変換する処理(不要な属性を削除したり、対応する属性名に変換する処理等)や、入力された企業活動情報の項目名(属性名)を、辞書情報等に基づいて置き換えたり、項目(属性)を追加等する処理を含む。整形処理は、対応表等を用いたルールベースの処理であってもよいし、例えば自然言語処理によって行ってもよい。
【0048】
企業活動情報は、企業活動を示す会計情報を含む。企業活動情報中の1要素(1レコード)は、科目並びに1又は複数の細目と、その費用及び数量を有する。ここで、細目は、少なくとも科目を親とする細目と、その細目を親とする細目を含んだ階層構造をとる。例えば、科目は勘定科目、勘定科目を親とする細目は品目、品目(細目)を親とする細目は品名、品名(細目)を親とする細目は摘要、部門名、発注先等に相当する。
【0049】
また、例えば、細目は、科目又は細目と必ずしも親子関係とならないレコードの属性を含んでいて良い。例えば、細目として、企業活動情報が発生あるいは登録された年、月、年月あるいは年月日等を示す日付データ、費用が直接費又は間接費の何れかを示すデータ、費用が変動費又は固定費の何れかを示すデータ、科目・細目を発生させた部門データ(部門名)、レコードに対応する作業・工程の種別を特定可能なプロセスデータ、購入(調達)、製造あるいは販売経路における始点、中継及び終点の何れにおけるレコードかを示す動線フローデータ等を含んでいて良い。これらは、例えば、入力受付部111が受け付けた企業活動情報の各レコードに備わっていてもよいし、入力された企業活動情報の科目又は細目等に基づいて、入力整形部112が付加してもよい。なお、複数の細目は必ずしも直列に階層構造を取る必要はなく、企業活動情報の1レコード中に、共通の細目を親とする複数の細目が存在することを排除しない。
【0050】
図4は、入力された企業活動情報及び、整形された企業活動情報の一例を示す図である。
図4上段に示すデータは入力された企業活動情報(会計情報の生データ)を示し、下段は、整形された企業活動情報の一例を示す。なお、図示された科目名等は、企業活動評価システム0で使用するコードであってもよい。
【0051】
本実施形態では、入力された企業活情報に含まれた科目コード(図示例上段側の「借方科目コード」)に基づいて、レコードの科目及び細目を決定している。これは、例えば、記憶部10に、主要な会計ソフト等の科目コードと、そのコードに対応する科目及び細目を対応付けて保持することで行われる。また、入力された企業活動情報における科目名(図示例上段側の「借方科目名」)を自然言語処理して、対応する科目及び/又は細目(図示例下段側の「科目名」、「品目」、「品名」等)を決定してもよい。あるいは、会計ソフトに限らず、予算管理や購買管理、生産管理、物流管理システム等から出力される出力データを企業活動情報として、出力データのフォーマットに対応する整形処理が行われてよい。
【0052】
入力整形部112は、摘要に含まれた文章から、金額や数量、単価等を決定してよい。これは、摘要に含まれた特定のキーワード(例えば、円や¥、m
3やkWh)に隣接する文字列などを取得することで決定してもよく、例えば、ルールベースでの方法や統計学的手法、機械学習、自然言語処理によって、細目に対応する情報を抽出してよい。
【0053】
ここで、さらに、入力受付部111が受け付けた企業活動情報及び/又は、入力整形部112が整形した企業活動情報を編集可能な編集画面を表示処理し、編集画面での編集処理を経た企業活動情報を、記憶部10のデータベースDBに格納してよい。この時、入力整形部112は、企業活動情報に不足している項目や内容、数値や金額、数量の不整合等がある場合には、編集画面を介してその部分を表示すると共に、入力を受け付けてよい。
【0054】
<1.4.記憶部>
記憶部10は、データベースDBに、算出係数と、モデル係数と、境界情報と、活動事例情報と、環境効果測定情報、代替細目に関する情報等を格納している。
【0055】
<1.5.評価部>
評価部13は、企業活動情報について評価を行う為の情報処理として、コストを決定する処理及び集計処理を行う。本実施形態では、評価部13は、経済コスト評価部131と、環境コスト評価部132を有する。
【0056】
経済コスト評価部131は、企業活動情報の少なくとも一部のレコードについて、費用を示す経済コストを決定する。本実施形態では、企業活動情報中の評価対象とするレコード等に含まれた費用を経済コストとして決定する。企業活動情報が数量を細目として含み、更に、費用が単価を表す場合は、数量及び単価から経済コストを決定する。また、企業活動情報中に含まれた経済コストを集計処理する。
【0057】
環境コスト評価部132は、係数に基づき、企業活動情報のGHG排出量を示す環境コストを算出し、企業活動情報の各レコードに対応付ける。本実施形態では、企業活動情報中の評価対象(CO2算出の対象)として評価されたレコードに対して、費用に算出係数又はモデル係数を乗算することで、レコード毎の環境コスト(CO2排出量)を算出すると共に、企業活動情報中の評価対象とするレコードに含まれた環境コストを集計する。
【0058】
算出係数は、例えば、科目又は細目に応じて設定された係数であって、単位がKg−CO2/円等、企業活動情報に含まれる情報(本実施形態では「費用」)に基づいて、CO2排出量を算出する為の係数である。なお、費用に限らず、重量や消費電力等を企業活動情報に含めてもよく、分母が重量や消費電力等の算出係数を記憶部10に格納しておき、環境コスト評価部132は、それらに基づいてCO2等のGHG排出量を算出するようにしてもよい。
【0059】
集計は、企業活動情報全体について行ってもよいし、科目又は細目毎に行ってもよい。例えば、評価部13は、「旅費交通費」の科目が付されたレコードについて経済コストの集計及び、環境コストの集計を行ってよい。また、指定されたプロセスデータ(細目)と共通するプロセスや関連するプロセスが付されたレコード、動線フローデータ(細目)として共通又は関連する始点や中継、終点が付されたレコード等について集計を行ってよい。企業活動情報が日付データ(細目)を有する場合は、1年間等の所定の期間、あるいは利用者から期間の指定を受け付けて、その期間中のコストの集計を行ってよい。
【0060】
なお、好ましくは、算出係数は、環境省などが提示する温室効果ガス排出量 算定方法・排出係数等に基づいて設定される。また、好ましくは、ガス料金、電気料金、水道料金、交通費、材料、部品、完成品等、その事業者・発注先が選択可能な科目又は細目は、事業者・発注先毎に算出係数を持っていてよい。本実施形態では、環境コスト評価部132は、細目(
図4下部側の「発注先」)において指定された事業者に基づいて、GHG排出量を算出する為の算出係数を決定し、その係数をレコードに含まれる金額(
図4下部側の「金額」)にかけ合わせることでGHG排出量を算出する。
【0061】
<1.6.境界判定部>
境界判定部12は、境界情報及び、企業活動情報に含まれた少なくとも科目又は細目に基づいて、企業活動情報に含まれる各要素が(企業活動情報に含まれる各レコードが)環境経営の評価指標について分析等行う際の評価対象に該当するか判定する。ここで、「環境経営の評価指標」とは、例えば、SDGsやGHG排出、サプライチェーン排出量算定、炭素税などの税制、LCA等、環境経営を推進する為の既存あるいは独自の評価指標である。境界判定部12は、例えば、ルールベースでの方法や統計学的手法、機械学習、自然言語処理によって、境界情報に該当する企業活動情報中のレコードを決定してよい。
【0062】
境界情報は、評価対象に該当する科目又は細目及び、評価対象に該当しない科目又は細目を列挙した評価対象当否の基準を示す情報である。境界情報は、システムが想定する複数の評価指標毎に、この基準を示す情報を有していてよい。本実施形態では、SDGs、CO2算出(GHG排出)、CO2削減、LCA、サプライチェーン排出量算定(Scope1,2、Scope3)及び炭素税などの税制に関する複数の評価指標について、評価対象に該当するか否かの基準を有しているものとする。また、例えば、細目が、グリーン購入法に適合するか否かを判断する情報等、その他の基準を更に備えていてもよい。
【0063】
図5は、境界情報の一例を示す図である。図示例に示すように、境界情報は、評価指標別に、科目若しくは、科目及び細目の組み合わせ毎に、評価対象に該当するか/しないかを示す情報(図示例の「対象外フラグ」)を有する。また、境界判定部12が企業活動情報に含まれたレコード毎に評価対象当否を判定する際に、判定済か否かを示す情報(図示例の「判定済フラグ」)を有していてよい。なお、評価指標が複数存在する場合、境界判定部12は、評価指標毎にシリアルに、あるいは、パラレルに当否判定を行ってよい。
【0064】
境界情報は、評価対象に該当する科目又は細目だけでなく、評価対象に該当しない科目又は細目を有する。これにより、企業活動情報のレコードで特定された情報のみからは当否の断定ができない、評価対象に該当する可能性がある科目又は細目を抽出できる。例えば、企業活動情報において、科目が「旅費交通費」で細目が空欄のデータが含まれていた場合、「旅費交通費」が電車代等であればGHG排出の対象に該当し、高速代等であればGHG排出の対象に該当しない。入力された企業活動情報から一意に特定ができない場合は、「旅費交通費」が電車代の時の算出係数よりもさらに小さい係数をモデル係数として用意することで、GHG排出の対象の可能性があるレコードを考慮することが可能となる。
【0065】
また、例えば、科目が「旅費交通費」、2位の細目(細目1)が「出張費」であり、宿泊日数が入力されるべき更に下位の細目が未入力の場合、平均的な宿泊日数(例えば1.2(日))をモデル係数として乗算することで、宿泊日数が不明なレコードについて、より現実に近いGHG排出量等を推定すること可能になる可能性がある。なお、モデル係数と算出係数は同じテーブルにまとめられていてもよいが、その場合、好ましくは両者を識別可能に格納しておくのが好ましい。
【0066】
境界判定に用いられる境界情報には、対応する算出係数又はモデル係数が対応付けられていて良く、例えば、算出係数やモデル係数のマスタに、境界情報の識別子や境界情報で定義された判定基準となる科目及び/又は細目が対応付けられてよい。
【0067】
<1.7.事例提供部>
事例提供部15は、利用者に対して提示する環境活動の事例を決定する。事例提供部15は、例えば、ルールベースでの方法や統計学的手法、機械学習、自然言語処理によって、事例を検索・決定してよい。事例は、環境活動事例情報として記憶部10に格納されている。環境活動事例情報は、環境活動の事例と、事例に対応する科目及び/又は細目と、SDGsにおけるゴール若しくは、ゴール及びターゲットと、を対応付けた情報である。事例は、事例No、事例名称、具体的事例の説明文、事例のタイトル、事例の副タイトル1、事例の副タイトル2を有する。更に、環境活動事例情報には、事例に対応する代替細目又は代替算出係数が対応付けられていてよい。また、環境活動事例情報には、負の影響があるSDGsのゴール若しくは、ゴール及びターゲットが対応付けられてよい。
【0068】
<2.境界判定による環境活動評価の手順>
企業活動評価システム0は、入力された企業活動情報に基づいて、利用者に対して環境活動事例の提示を行う。
図6は、環境活動事例を提供する際の処理フローチャートである。
【0069】
<2.1.企業活動情報の入力ステップ>
まず、企業活動評価システム0は、入力ステップとして、ステップS61及び、ステップS62を実行する。ステップS61では、入力受付部111が、利用者より企業活動情報の入力を受け付ける。ステップS62では、入力整形部112が、受け付けた企業活動情報を整形して、共通フォーマットに整形された企業活動情報を生成する。ステップS61で入力される企業活動情報が既に共通フォーマットに即したデータとなっている場合には、ステップS62は不要である。
【0070】
<2.2.当否判定ステップ>
次いで、企業活動評価システム0は、当否判定ステップとして、ステップS63を実行する。ステップS63では、境界判定部12は、科目又は細目並びに、境界情報に基づいて、共通フォーマットの企業活動情報に含まれたレコード毎に、境界情報に基づく評価対象当否の判定を行う。当判定される企業活動情報のレコードとは、1の算出係数を用いてGHG排出量を算出可能な科目又は細目を有する情報であり、否判定される企業活動情報のレコードとは、算出対象に該当しない科目又は細目を有する情報である。
【0071】
ここで、境界判定部12は、更に、当否何れにも該当しない科目又は細目のレコードに対して、モデル係数を付加する。当否何れにも該当しないレコードとは、複数の算出係数が該当する可能性のある科目又は細目を有したレコード若しくは、1又は複数の算出係数が該当する可能性を含むと共に、算出対象に該当しない可能性を含む科目又は細目を有したレコードである。典型的には、細目の不足あるいは、会計情報等、企業活動情報として取り込む情報の性質上、1の算出係数を用いてGHG排出量を算出可能であること、算出対象に該当しない情報であることが判断できないレコードを指す。
【0072】
境界判定部12は、当否何れにも該当しない科目又は細目のレコードに付加するモデル係数を、評価指標並びに、対応付けられた前記科目及び細目の1つ以上に基づいて決定する。本実施形態では、
図5に示す境界情報、図示しないモデル係数及び算出係数のテーブル、
図7に示す処理フローチャートに従って当否判定を実施することで、当判定のレコードに算出係数を付加すると共に、当否何れにも該当しないレコードにモデル係数若しくは、モデル係数及び算出係数を付加することができる。
【0073】
<2.3.当否判定の処理手順>
図7は、企業活動情報に含まれたレコードk(1,2,・・・,n)を、ある判断基準についての境界情報i(1,2,・・・,l)を用いて、当否判定する際の手順を示す。この時、境界情報iは、
図4に例示するように、少なくとも科目毎に、科目及び細目の階層構造上位(定義された科目若しくは、科目及び細目が少ない順)から順番に、つまり、少なくとも科目毎に、判定順位数が少ないものから順番に当否判定を行うものとして説明する。当否判定・係数の付加手順、境界情報の構造は本例示に限らない。
【0074】
ステップS701において、受付部11を介して企業活動情報が入力され、判定の対象とする科目又は細目を決定する。ここで、一例では、入力された企業活動情報の一部項目又は項目全部を、データベースDB等の新たなテーブルに、係数項目や対象基準項目を有するフォーマットで複製してよい。ステップS702において、ステップS701で決定された科目又は細目について、当否判定に用いる1つ目の境界情報である境界情報1がセットされる。また、ステップS703においては、この境界情報1を用いて判定する企業活動情報中の1つ目のレコードであるレコード1がセットされる。
【0075】
例えば、ステップS701で決定される科目又は細目は、以降で判定する境界情報の親以上に該当する科目又は細目であり、それ単独での当否判定ができない科目又は細目である。例えば、
図4のCO2算出対象の境界情報であれば、ステップS701では、「旅費交通費」の科目が判定対象として決定される。そして、ステップS702でセットされる境界情報は、例えば、ステップS701で指定された「旅費交通費」の子に当たる科目が「旅費交通費」、細目が「鉄道乗車券」の境界情報である。
【0076】
ステップS704において、境界情報1で定義された科目若しくは、科目及び細目を、レコード1が有する科目若しくは、科目及び細目の一部又は全部と比較し、レコード1が境界情報1で定義された科目若しくは、科目及び細目と一致する場合は、ステップS705に進む。
【0077】
ステップS705において、当判定の場合、即ち、レコード1が境界情報1で定義された科目若しくは、科目及び細目を含み、尚且つ、境界情報1に対象外フラグがついていない場合、レコード1に対して係数を設定又は、対象基準を設定する。設定は、係数又は対象基準を付加する処理を指す。
【0078】
ここで、対象基準とは、判断基準がSDGsの場合は、ゴール又は、ゴール及びターゲットであってもよいし、判断基準に該当するか否かを示す情報であってもよい。判断基準がサプライチェーン排出量の場合は、Scope1〜3であってもよいし、判断基準に該当するか否かを示す情報であってもよい。なお、対象基準としてScope1〜3を付加する場合は、細目としてのプロセスデータや動線フローデータ等が、境界情報で設定されてもよい。
【0079】
ステップS705において、否判定の場合、即ち、レコード1が境界情報1で定義された科目若しくは、科目及び細目を含み、尚且つ、境界情報1に対象外フラグがついている場合、レコード1に対して係数を非設定又は、対象基準を非設定とする。非設定は、係数又は対象基準を付加しない処理を指す。
【0080】
ステップS704で該当しなかった場合、つまり、当否何れにも該当しなかった場合、あるいは、S705で当否の何れかに該当し、係数又は対象基準が設定又は非設定されると、ステップS708に進む。すべてのレコードについて判定が完了していない場合(ステップS708でNO)は、ステップS709で次のレコードk+1がセットされ、ステップS705〜S708の処理を全てのレコードについて判定が完了するまで繰り返す。すべてのレコードについて処理が完了した場合(ステップS708でYES)、ステップS710に進む。
【0081】
ステップS701で決定される科目又は細目に関連するすべての境界情報について判定が完了していない場合(ステップS710でNO)は、ステップS711で境界情報1に判定済フラグをセットして、ステップS712に進む。ステップS712では、次の境界情報i+1(例えば、
図4の事例では、科目が「旅費交通費」、細目が「高速代」の境界情報)がセットされ、ステップS705〜S710の処理を全ての境界情報について判定が完了するまで繰り返す。すべての境界情報について処理が完了した場合(ステップS710でYES)、ステップS713に進み、当否何れにも該当しなかったレコードにたいして、モデル係数を付加する。
【0082】
そして、ステップS701〜S713の処理を、S701で設定する科目又は細目毎に繰り返し、すべての境界情報について処理を実行することで、企業活動情報に対する当否判定及び、当否何れにも該当しなかったレコードに対するモデル係数の付加が行われる。なお、ステップS713では、当否何れにも該当しなかったレコードの金額等、係数の乗算先を集計した後に、モデル係数を乗算するように構成してもよい。
【0083】
本実施形態では、まず境界情報を選択して、その境界情報に対する各レコードの判定を行った後、次の境界情報を選択しているが、まずレコードを選択して、そのレコードに含まれた科目若しくは、科目及び細目に対する各境界情報の判定を行った後、次のレコードを選択しても構わない。この処理は、境界情報/レコード毎にシリアル又はパラレルに処理されてよく、また、判定は、判断基準毎にシリアル又はパラレルに処理されてよい。
【0084】
評価部13は、更に、企業活動情報のレコード毎に、境界情報に基づくSDGsに関する評価対象当否の判定を行う。
図7の手順によって、対象基準としてSDGsのゴール若しくは、ゴール及びターゲット、あるいは、対象/対象外を示す情報を設定・非設定することで、企業活動情報に対する評価対象当否の判定が行われる。
【0085】
<2.4.評価ステップ>
ステップS64において、評価部13は、レコード毎に経済コストを決定すると共に、GHG算出の評価対象として当判定がなされたレコード毎にGHG排出量を示す環境コストを決定する。また、モデル係数が設定されたレコードについては、モデル係数に基づいて環境コストを決定する。本実施形態では、レコードに対して算出係数あるいは、モデル係数が付加されているため、評価部13は、ステップS63でレコード毎に設定された係数と費用に基づいて、GHG排出量を決定し、企業活動情報の各レコードに対応付けて格納する。一例では、企業活動情報の一部項目又は項目全部を、データベースDB等の新たなテーブルに複製し、環境コストの項目に対して、決定した環境コストを追加する。
【0086】
更に、評価部13は、企業活動情報における経済コスト及び環境コストについて科目又は細目毎に集計を行う。科目又は細目毎の集計は、例えば、入力された企業活動情報に含まれた(あるいは、整形後に得られた)科目又は細目毎であってもよいし、利用者から指定を受けた科目又は細目毎であってもよい。科目又は細目の指定方法については後述する。
【0087】
<2.5.事例提供ステップ>
ステップS65において、事例提供部15は、ステップS64における集計結果に基づいて、環境活動事例を決定し、利用者に対して事例を提供する。
【0088】
<3.事例提供の処理手順>
<3.1.共通手順>
次いで、
図8を用いて、事例提供の処理手順について説明する。
ステップS81において、事例提供部15は、事例を検索する為の科目又は細目が指定を受け付ける。ステップS82において、環境コスト評価部132は、ステップS81において指定された科目又は細目を有する企業活動情報のレコードについて、科目又は細目毎にGHG排出量である環境コストを集計する。なお、科目毎並びに、科目及び細目毎に集計を行っても構わない。集計の基準とする細目は任意に設定されるが、例えば品目を示す細目であり、例えば品名を示す細目が、集計の基準となる。例えば、動線フローデータやプロセスデータ、日付データ等の細目別に、科目毎、品目毎又は品名毎の集計が行われてよい。
【0089】
この時、経済コスト評価部131も、ステップS81において指定された科目又は細目を有する企業活動情報のレコードについて、科目又は細目毎に費用である経済コストを集計する。
【0090】
ステップS83では、事例提供部15は、集計した環境コストを、閾値に基づいて判断する。本実施形態では、まず、第1の閾値に基づく判断を行う。ここで、第1の閾値は、集計された環境コストが微小か否か判断するもので、事例提供部15は、微小な環境コストの科目又は細目については事例提示の対象外とする。第1の閾値は、例えば、所定の環境コストであり、一部又は全部の科目又は細目毎に対して、異なる環境コストが設定されてよい。
【0091】
事例提供部15は、該当する集計結果が閾値を超えた科目又は細目を、対象科目又は対象細目として決定する(ステップS83でYES)。そして、ステップS84において、対象科目又は対象細目が対応付けられた環境活動事例情報を検索処理し、ステップS85において、索出された事例を利用者に対して表示処理する。
【0092】
<3.2.事例提供画面>
図9は、事例提供画面の画面表示例である。事例提供部15が、対象科目又は対象細目に基づいて提供すべき事例を決定すると、表示処理部16は、事例提供画面を表示処理する。
図9(a)に示すように、事例提供画面W9は、事例表示領域W91、環境コスト表示領域W92、経済コスト表示領域W93、事例選択ボタンW94及び、逆引きボタンW95を備える。
【0093】
事例表示領域W91には、事例提供部15が決定した環境活動事例情報に基づいて、事例のタイトルが表示される。環境コスト表示領域W92には、この事例に対応付けられた科目又は細目についてのGHG排出量(図示例では、「CO2排出」)が表示される。同様に、経済コスト表示領域W93には、この事例に対応付けられた科目又は細目についての経済コスト(図示例では、「コスト」)が表示される。なお、事例提供部15は、事例に対応するゴール及びターゲット並びに、事例に対応する科目又は細目についての経済コスト及び環境コストの集計結果の少なくとも1つを事例と対応させて表示処理してよい。事例表示領域W91には、環境活動事例情報に対応付けられたゴール若しくは、ゴール及びターゲットが表示されてよい。
【0094】
逆引きボタンW95が押下されると、後述の逆引きが行われる。事例選択ボタンW94が押下されると、表示処理部16は、選択された事例について、
図9(b)に示す個別事例画面W9’を表示処理する。
【0095】
図9(b)は、個別事例画面W9’の画面表示例である。個別事例画面W9’は、環境活動事例情報に含まれた情報を表示する画面である。個別事例画面W9’には、環境活動事例情報の有する事例No、具体的事例、タイトル、ゴール、ターゲット、科目、細目等が表示されてよい。
【0096】
<3.3.削減量の提示>
分析部14は、企業活動情報のコスト削減量を算出する為の情報処理に用いられる。分析部14は、経済コストの削減量を示す情報決定に用いられる経済コスト分析部141及び、環境コストの削減量を示す情報決定に用いられる環境コスト分析部142を備える。
【0097】
個別事例画面W9’には、事例を採用した場合の削減量を示す情報が、事例毎に表示されてよい。削減量を示す情報とは、例えば、削減前後のコスト及び/又は削減率、コストの削減量、等である。
【0098】
分析部14は、事例に対応付けられた細目及びそれに対応する代替細目によって、削減量を示す情報を決定してよい。あるいは、分析部14は、削減係数によって、削減量を示す情報を決定してよい。分析部14は、例えば、ルールベースでの方法や統計学的手法、機械学習、自然言語処理によって、企業活動情報中のレコードに対応する代替細目を決定してよい。
【0099】
代替細目とは、例えば、別品名の商品・役務であってあり、別の提供元から提供される商品・役務等であり、代替経済コスト及び代替環境コストを算出する為の情報が対応付けられる。算出する為の情報は、例えば、代替元のレコードに対応付けられた細目(数量や単価等)、環境コスト、経済コスト等に基づいて、代替細目に置き換えた場合の経済コストや環境コストを算出する為の算出係数(代替算出係数)である。例えば、電気料金に係る代替細目とは、科目として電気代を、細目として発注先を含み、代替環境コストを算出する為の算出係数(代替算出係数)と、代替細目の料金又は料金単価(代替経済コスト)を対応付けて格納したものである。なお、電気料金に関する算出係数は、例えば、環境省が発表する電気事業者別排出係数一覧等に基づくのが好ましい。なお、代替細目は、経済コスト削減に向けられた代替細目をリスト化した代替細目テーブルと、環境コスト削減に向けられた代替細目をリスト化した代替細目テーブルに分けられていてよく、また、両テーブルに、共通の科目又は細目(品目や品名)に対する異なる代替細目(品名や発注先)が含まれていてよい。
【0100】
更に、代替細目には、代替細目を採用することに関連して生じる経済コスト及び/又は環境コストの変動を示す情報が対応付けられていてもよい。代替細目に関連したコスト変動を示す情報は、例えば、代替元のレコードに対応付けられた細目(数量や単価等)、環境コスト、経済コスト等に基づいて、代替細目に置き換えた場合に関連して変動する経済コストや環境コストを算出可能な算出係数(関連算出係数)である。
【0101】
例えば、火力発電等による電力について、発注先(電力会社)を細目、電気代を科目として有するレコードについて、太陽光自家発電やバイオマス自家発電といった代替細目に置き換える場合、発電方法の観点ではGHG排出量(環境コスト)は削減されるが、発電設備の建設に伴う森林伐採等、別の観点では、GHG排出量(環境コスト)の増加する場合がある。また、経済コストについては、固定資産減価償却や設備管理のコスト等が増加する。この時の関連算出係数は、例えば、代替元の細目に対応付けられた金額あるいは、金額及び単価、数量(kWh)等に対して、GHG排出量の増加量(m
3)を算出する為にかけ合わせる係数であり、これにより、代替細目を採用することに関連して生じる環境コストの変動について算出することができる。
【0102】
また、関連算出係数に対して、そのコスト変動が関連する科目又は細目が対応付けられてよい。既述の例では、電力を太陽光自家発電に代替する場合、関連して生じるコスト変動として、太陽光発電設備の減価償却費や保守費の経済コストの増加が挙げられる。この経済コストは、「固定資産」の科目や、「保守費」の細目が対応付けられるものであり、関連算出係数に対して、「固定資産」や「保守費」といった科目又は細目が対応付けられてよい。
【0103】
代替細目と、それに関連したコスト変動との対応付けは、代替細目毎に、関連算出係数と、科目又は細目と、を持たせてもよい。あるいは、代替細目に対してIDを付与しておいて、代替細目が選択された際にIDから参照可能に格納したり、代替細目の科目又は細目から参照可能に格納した関連細目として、経済コスト及び環境コストの変動を示す係数と、それに関連する科目又は細目と、が対応付けられてよい。例えば、関連細目情報として、関連細目のIDと、紐づく代替細目のIDと、関連細目の科目又は細目と、経済コスト及び/又は環境コストの関連算出係数と、を対応付けてデータベースDBに格納してよい。
【0104】
図10は、関連細目に関して表示する場合の個別事例画面の画面表示例である。個別事例画面W10は、環境活動事例情報に含まれた情報を表示する画面である。個別事例画面W10には、環境活動事例情報の有する事例No、具体的事例、タイトル(タイトル、副タイトル1)、ゴール、ターゲット、関連する科目又は細目等が表示されており、これに加えて、環境活動事例情報に対応付けられた負の影響があるSDGsのゴール若しくは、ゴール及びターゲットが表示されている。この負の影響は、正の影響を与える代替細目に関連した、関連細目に対応した事例と言える。関連する科目又は細目は、代替細目に対応付けられた科目又は細目並びに、関連細目に対応付けられた科目又は細目である。
【0105】
ここで、更に、事例に対応付けられた代替細目及び関連細目について、経済コスト及び/又は環境コスト削減の量や金額、削減率、と共に、経済コスト及び/又は環境コスト増加の量や金額、増加率を、並べて表示してよい。評価部13は、代替細目及び関連細目に対応付けられた代替算出係数及び関連算出係数に基づいて、経済コスト及び/又は環境コスト増加量・削減量を算出する。表示処理部16は、評価部13が算出した経済コスト及び/又は環境コスト増加量・削減量について、個別事例画面に加えて、又は代えて、事例提供画面の事例表示領域に、事例毎に表示させてもよい。
【0106】
削減量を示す情報を代替細目に基づいて求める場合、経済コスト分析部141又は、環境コスト分析部142は、事例に対応する科目又は細目を有するレコードと置き換える任意の代替細目を検索し、経済コスト評価部131又は、環境コスト評価部132は、検索された代替細目の代替経済コスト及び、代替算出係数に基づいて算出した代替環境コストを用いて、コストの削減量を示す情報を決定する。この時、関連細目が存在する場合は、関連細目についても、経済コスト及び/又は環境コストを算出して、コストの削減量(あるいは増加量)を示す情報を決定する。
【0107】
なお、コストの削減量を示す情報は、後述の最適化処理によって採用された代替細目に基づいて求めてよい。後述の最適化処理の結果、コストの削減量を示す情報を決定する場合は、事例提供部15は、最適化処理の結果採用されなかった代替細目が関連する事例を、利用者に提示しないようにしてもよい。
【0108】
削減量を示す情報を削減係数に基づいて求める場合、分析部14は、事例の適用による削減量を事前に定義した削減係数を、事例の適用前のコストにかけ合わせることで、削減量を示す情報を決定する。事例の適用前のコストとは、事例に対応付けられた科目又は細目に基づいて、評価部13が集計した経済コスト及び環境コストである。削減係数は、事例を適用した場合に想定される経済コスト・環境コストの変化量を、事例を適用前の集計結果にかけ合わせて算出する為の係数であり、事例毎に、科目又は細目毎に、経済コスト及び環境コスト別に設定されるのが好ましい。
【0109】
<3.4.順引き>
本実施形態では、企業活動評価システム0は、事例提供の方法として、順引きでの事例提供を行う。順引きの場合、ステップS81における科目又は細目の指定は、入力された企業活動情報に含まれた科目又は細目に基づき行われる。この時、環境コスト評価部132は、企業活動情報に含まれた科目毎又は細目毎に、GHG排出量を集計し、事例提供部15は、閾値を超えた対象科目又は対象細目が対応付けられた環境活動事例情報に基づいて、事例を提示してよい。
【0110】
<3.5.任意の科目・細目指定>
ステップS81における科目又は細目の指定は、利用者が任意に指定した科目毎又は細目毎に行われてもよい。この時、事例提供部15は、利用者が任意に選んだ科目又は細目を受け付け、環境コスト評価部132は、受け付けた科目毎又は細目毎に、GHG排出量を集計し、事例提供部15は、閾値を超えた対象科目又は対象細目が対応付けられた環境活動事例情報に基づいて、事例を提示してよい。
【0111】
或いは、利用者がSDGsのゴール又はターゲットの指定を行ってもよい。この時、評価部13は、境界判定部12によって、評価対象として当判定がなされたレコードについて、指定されたゴール又はターゲットに対応する科目又は細目毎にGHG排出量を集計することで、事例提供部が対象科目又は対象細目を決定してよい。
【0112】
<3.6.環境効果測定情報基づく事例の決定>
ここで更に、受付部11又は事例提供部15は、企業活動情報を入力した企業の企業属性の入力を受け付けてよい。企業属性は、企業の業種、上場市場、上場品目、資本金、従業員数等の1又は複数であってよい。
【0113】
事例提供部15は、環境効果測定情報に基づいて、対象科目又は対象細目を決定してよい。環境効果測定情報は、S83で判断が行われる閾値(第2の閾値)であって、環境経営に取り組んでいるといえるGHG排出量値を示す。より具体的には、例えば、CO2排出量等のGHG排出量の業界平均値であり、業界平均値を下回る場合には、環境経営に取り組んでいるといえる可能性がある。この閾値は、科目又は細目毎に複数設定されてよく、更に、企業属性応じて複数設定されてよい。
【0114】
環境コスト評価部132は、企業活動情報に含まれた(入力された企業活動情報に基づいて指定された)科目又は細目毎にGHG排出量を集計し、事例提供部15は、集計結果及び環境効果測定情報に基づいて、集計結果が閾値(第2の閾値)を上回る1又は複数の科目又は細目並びに、閾値(第2の閾値)を下回る1又は複数の科目又は細目を、対象科目又は対象細目として決定する。比較対象の第2の閾値は、集計された科目又は細目に対応するものであり、好ましくは、企業属性に応じて選択される。
【0115】
ここで、第2の閾値を下回る科目又は細目と、第2の閾値を超える科目又は細目を、対象科目又は対象細目として決定する。好ましくは、事例提供部15は、対象科目又は対象細目を、第2の閾値を下回る科目又は細目及び/又は第2の閾値を超える科目又は細目の中から、第2の閾値を基準として選択して、対象科目又は対象細目とする。
【0116】
具体的には、第2の閾値を下回る/上回る科目又は細目のうち、第2の閾値に近い1又は複数の科目又は細目を、対象科目又は対象細目として決定する。あるいは、第2の閾値に対して評価対象に含める帯域や係数(例えば、1.2や、0.8等)を掛け合わせ、第2の閾値を下回り、係数をかけ合わせた第2の閾値を下回らない科目又は細目、並びに、第2の閾値を上回り、係数をかけ合わせた第2の閾値を上回らない科目又は細目を(帯域に含まれる科目又は細目を)、対象科目又は対象細目としてよい。
【0117】
事例提供部15は、集計結果が閾値を上回る1又は複数の対象科目又は対象細目並びに、閾値を下回る1又は複数の対象科目又は対象細目のそれぞれについて、環境活動事例情報に基づいて事例を決定可能に構成される。
【0118】
<3.7.逆引き>
本実施形態では、企業活動評価システム0は、事例提供の方法として、逆引きでの事例提供を行うこともできる。逆引きの場合、ステップS81における科目又は細目の指定は、利用者が指定した環境活動事例情報に対応付けられた科目又は細目に基づいて行われる。この時、環境コスト評価部132は、環境活動事例情報に対応付けられた科目毎又は細目毎にGHG排出量を集計し、事例提供部15は、第1の閾値を超えた対象科目又は対象細目が対応付けられ、少なくとも指定された環境活動事例情報とは別の環境活動事例情報に基づいて、事例を提示してよい。
【0119】
<3.8.逆引き画面>
図11は、逆引き画面の画面表示例である。利用者からの表示処理要求を受け付けると、表示処理部16は、逆引き画面W11が表示処理される。表示処理要求は、例えば、事例提供画面W9において、逆引きボタンW95が押下されることを指す。なお、事例提供画面中の一部又は全部要素と、逆引き画面中の一部又は全部要素が同一画面中に配置されてもよい。
【0120】
図11に示すように、逆引き画面W11は、事例指定領域W111、逆引き事例表示領域W112及び、削減コスト表示領域W113を備える。事例指定領域W111は、事例提供画面において指定された事例を指定する順引き事例指定領域W114、データベースDBに格納された環境活動事例情報を検索して、その検索結果を指定可能にした事例検索領域W115を備える。事例検索領域W115を介して利用者が検索クエリを送信すると、事例提供部15は、環境活動事例情報を検索処理し、表示処理部16は処理結果を表示させる。利用者が、検索された環境活動事例情報を選択することで、事例提供部15は、逆引きで事例を検索する為の科目又は細目を受け付ける。なお、事例検索領域W115では、例えば、単語ベクトル等による類語エンジンや自然言語処理を利用して、検索クエリが完全一致しない事例についても検索可能であってよい。
【0121】
逆引き事例表示領域W112は、事例の選択により指定された科目又は細目に基づいて、事例提供部15が検索した事例をリスト表示する。逆引き事例表示領域W112は、事例毎に、事例を実施することで生じる経済コスト、環境コストの削減量を表示してよい。なお、経済コスト、環境コストの削減量は、少なくとも一方が増加する(削減量が負)の場合が含まれ得る。更に、逆引き事例表示領域W112にリスト表示された事例が選択可能に構成され、事例提供部15は、ここで選択された事例の経済コスト、環境コストの削減量の総計を、削減コスト表示領域W113に表示する。表示処理部16は、評価部13が算出した経済コスト及び/又は環境コスト増加量・削減量について、逆引き事例表示領域に、事例毎に表示させてもよい。
【0122】
<4.最適化処理の利用>
<4.1.分析部による最適化処理>
ここで、順引きや逆引きの際に提示される経済コスト、環境コストの削減量を示す情報は、分析部14による最適化処理の結果、与えられてよい。本実施形態では、分析部14は、更に、最適解分析部143を備える。最適解分析部143は、企業活動情報についての最適化処理を行う。
【0123】
<4.2.最適解分析部>
最適解分析部143は、企業活動情報に含まれたレコードの経済コスト及び環境コストと、対応する代替細目レコードの経済コスト及び環境コストに基づいて、細目の最適化処理を行う。
【0124】
最適解分析部143は、代替細目の経済コスト及び環境コストに基づいて、代替細目毎に採用候補とするか否か、判断する。例えば、代替細目の経済コスト及び環境コスト並びに、代替前のレコードにおける経済コスト及び環境コストから、経済コスト削減量及び環境コスト削減量を算出し、経済コスト削減量及び/又は環境コスト削減量に対して所定の係数をかけ合わせて、両者の多少を比較可能に単位を揃えたり、無次元量化(ポイント化)して、それら足し合わせて削減がなされる場合には、代替候補の当判定を行う。
【0125】
例えば、経済コスト及び環境コスト双方が削減される場合や、環境コストについて削減がされ、経済コストが変化なしのような場合は、最適解分析部143は、代替候補の当判定を行う。環境コストについて若干削減がされるが、経済コストが大幅に増加して、両者のポイントを足し合わせた結果がコストの増加を示す場合は、最適解分析部143は、代替候補の否判定を行う。
【0126】
<4.3.最適化処理の処理手順>
図12は、最適化処理の処理手順を示す処理フローチャートである。ステップS121において、経済コスト分析部141は、企業活動情報のレコード毎に、経済コスト削減のための代替細目テーブルを検索し、代替細目リストに索出した代替細目を格納する。経済コスト評価部131は、代替細目に対応付けられた代替経済コストに基づいて、代替細目の経済コストを決定し、環境コスト評価部132は、経済コスト削減のための代替細目テーブルから検索した代替細目に対応付けられた代替算出係数に基づいて、代替細目の環境コストを算出する。
【0127】
同様に、ステップS122において、環境コスト分析部142は、企業活動情報のレコード毎に、環境コスト削減のための代替細目テーブルを検索し、代替細目リストに索出した代替細目を格納する。環境コスト評価部132は、代替細目に対応付けられた代替環境コストに基づいて、代替細目の環境コストを決定し、経済コスト評価部131は、環境コスト削減のための代替細目テーブルから検索した代替細目に対応付けられた経済コストを算出する。関連細目があれば、合わせてコスト算出を行ってよい。そして、最適解分析部143は、代替細目の経済コスト及び環境コストに基づいて、代替細目毎に採用候補とするか否か、判断する。
【0128】
ステップS123において、最適解分析部143は、採用候補となった代替細目の組み合わせを最適化することで、最適化処理を行う。最適解分析部143は、任意の目的関数及び判断基準を設けて最適化処理を実行する。本実施形態では、代替細目を採用した場合の企業活動情報の環境コストの集計結果が削減目標を満たしながら、経済コストの集計結果又は、代替点数が最小となるように、採用候補の代替細目の採用の組み合わせを試算することで、最適化処理を実行する。
【0129】
事例提供部15は、事例に対応付けられた科目又は細目に基づいて、最適化処理の結果得られた経済コスト削減量及び/又は環境コスト削減量を、事例と対応させて表示処理する。最適化処理の結果得られた経済コスト削減量及び/又は環境コスト削減量は、各事例に対応付けられた科目又は細目に基づいて、評価部13が集計したものである。
【0130】
なお、経済コスト分析部141及び、環境コスト分析部142は、企業活動情報に含まれたレコードの代替細目への置き換えに加えて、購入・販売路の一元化・分散化や、購入・販売時の輸送経路の変更等によって、科目又は細目に対する変更案を提示してよい。これは、同じ品目(細目)や品名(細目)を含み、発注先(細目)が異なるレコードが企業活動情報に含まれていた場合に、単価が安い発注先の単価に統一したりすることを指す。この時、購入・販売路の一元化・分散化や、購入・販売時の輸送経路の変更毎に設定された削減係数をコストに乗算し、削減量を示す情報を決定してもよい。
【解決手段】環境経営に取り組む企業活動評価システムであって、前記企業活動評価システムは、受付部と、記憶部と、境界判定部と、評価部と、を備え、前記受付部は、科目及び細目と、その費用を有する企業活動情報の入力を受け付け、ここで、前記細目は、少なくとも前記科目を親とする細目と、その細目を親とする細目を含んだ階層構造をとり、前記記憶部は、科目又は細目と対応付けられ、前記費用又は数量に基づいてGHG排出量を算出する為の算出係数と、環境経営の評価指標について、評価対象に該当する科目又は細目並びに、該当しない科目又は細目を示す境界情報であって、少なくともGHG算出の評価対象当否を示す境界情報を、不揮発性の記録媒体に格納し、前記境界判定部は、前記企業活動情報のレコード毎に、前記境界情報に基づく評価対象当否の判定を行い、前記評価部は、前記企業活動情報の費用を示す経済コストを決定し、前記算出係数に基づき、GHG算出の評価対象として当判定がなされた前記レコード毎にGHG排出量を示す環境コストを決定する。