特許第6896340号(P6896340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896340
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】鏡台装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 67/02 20060101AFI20210621BHJP
   A47K 1/02 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   A47B67/02 502Q
   A47B67/02 502D
   A47B67/02 502E
   A47B67/02 503A
   A47K1/02 B
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-145150(P2017-145150)
(22)【出願日】2017年7月27日
(65)【公開番号】特開2019-24684(P2019-24684A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】荒木 洋一
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−205160(JP,A)
【文献】 特開平11−244166(JP,A)
【文献】 特開2009−272094(JP,A)
【文献】 特開平07−008339(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3043935(JP,U)
【文献】 実開平02−031522(JP,U)
【文献】 特開2016−158688(JP,A)
【文献】 特開平09−203429(JP,A)
【文献】 特開2016−114236(JP,A)
【文献】 特表2015−526617(JP,A)
【文献】 特表2013−507549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/02
A47K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に対して上下方向に揺動する揺動リンクを介して取り付けられた枠体を備え、その枠体に鏡を保持させると共に、その枠体を手前に引くことによって鏡が枠体と共に下方に揺動しながら手前側に移動する鏡台装置において、上記枠体の左右の辺から各々内側に入った位置に1対の垂直な保持辺を設け、その保持辺に上記揺動リンクを連結させたことを特徴とする鏡台装置。
【請求項2】
上記1対の保持辺によって枠体が左右方向に3区分され、各区分に手前に引くことによって横方向に揺動する鏡を設けたことを特徴とする請求項1に記載の鏡台装置。
【請求項3】
上記3枚の鏡のうち、左右の鏡は手前に引くことによって各々内側に向かって揺動することを特徴とする請求項2に記載の鏡台装置。
【請求項4】
上記揺動リンクは2本のリンク棒が上下方向に間隔を存して設けられた平行リンク機構で有り、両リンク棒の間に、枠体及び鏡を上方に移動させる方向にロッドを突き出して付勢する空気バネを設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の鏡台装置。
【請求項5】
上記空気バネは、ロッドの突き出し位置を任意の位置で固定するセルフロック機構を備えており、上記枠体の下辺の下部に、把持することによりこのセルフロック機構を解除するロック解除部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の鏡台装置。
【請求項6】
上記各鏡が上記枠体に対して揺動している状態では上記セルフロック機構の解除を禁止するロック解除禁止機構を上記ロック解除部に設けたことを特徴とする請求項5に記載の鏡台装置。
【請求項7】
上記鏡を左右方向に揺動させる揺動軸は、鏡が枠体に対して閉じた状態から開く動作に連動して隣り合う鏡から離れる方向に移動することによって鏡の開閉時に隣り合う2枚の鏡の干渉を防止するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の鏡台装置。
【請求項8】
上記鏡の少なくとも一部に透光部を形成し、その透光部の背面側に照明部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の鏡台装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面台などが設置されている壁面に取り付けられる鏡台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面台に向かってたった状態で顔などを映すための鏡が壁面に取り付けられている場合が多い。ただし、洗面台が間に存在しているため、鏡との距離がある程度存在し、鏡に顔を近づけたい場合には、洗面台を覆うように腰を曲げる必要がある。このような姿勢は肉体的に無理があり、また下半身に障害があるなどの理由から起立できない場合には、鏡に顔を近づけることは不可能に近かった。
【0003】
そこで、鏡を手前側に引くように構成することによって無理な姿勢を取ることなく鏡に顔を近づけるようにしたものが知られている。このような鏡を手前に引くことのできるものとして、例えば、1枚の鏡の左右両辺の裏側に揺動リンクの一端を回動自在に連結すると共に、この揺動リンクの他端を壁側に固定された収納ボックスに揺動自在に連結して、通常の状態では鏡で収納ボックスの手前側開口を閉鎖し、その状態から鏡を手前に引けば揺動リンクによって鏡が手前側であって、かつ下方に降りながら揺動するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
あるいは、上記揺動リンクを多段に連結したものを鏡の左右両辺に連結し、収納ボックスを閉塞している状態から鏡を手前側に水平に引き寄せられるように構成したものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−279021号公報(図2
【特許文献2】実開平3−73382号公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のものではいずれも鏡を壁側に連結するリンク機構を鏡の左右両辺の裏側に連結させているため、鏡を手前に引き出し、あるいは引き出した鏡を元の状態に戻す際に、鏡の左右を把持すれば、鏡の裏側に回り込んだ指先がリンク機構に挟まる危険性が存在する。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、鏡を手前に引き出し、あるいは元の状態に収納する際に指先をリンク機構に挟むおそれのない鏡台装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明による鏡台装置は、壁面に対して上下方向に揺動する揺動リンクを介して取り付けられた枠体を備え、その枠体に鏡を保持させると共に、その枠体を手前に引くことによって鏡が枠体と共に下方に揺動しながら手前側に移動する鏡台装置において、上記枠体の左右の辺から各々内側に入った位置に1対の垂直な保持辺を設け、その保持辺に上記揺動リンクを連結させたことを特徴とする。
【0009】
上記保持片は枠体の左右の辺から内側に入った位置に設けられているので、保持辺に揺動リンクが連結されていても、枠体の左右の辺を把持した状態で指が揺動リンクに挟まれるおそれがない。
【0010】
なお、上記1対の保持辺によって枠体が左右方向に3区分され、各区分に手前に引くことによって横方向に揺動する鏡を設ければ、1枚の大きな鏡を揺動させる必要がない。
【0011】
その際に、上記3枚の鏡のうち、左右の鏡は手前に引くことによって各々内側に向かって揺動させれば、いわゆる3面鏡として機能させることができる。
【0012】
ところで、上記揺動リンクは2本のリンク棒が上下方向に間隔を存して設けられた平行リンク機構で有り、両リンク棒の間に、枠体及び鏡を上方に移動させる方向にロッドを突き出して付勢する空気バネを設けることによって、鏡の自重を空気バネによって補助して、重量のある鏡及び枠体であっても少ない力で揺動させることができる。
【0013】
上記空気バネは、ロッドの突き出し位置を任意の位置で固定するセルフロック機構を備えており、上記枠体の下辺の下部に、把持することによりこのセルフロック機構を解除するロック解除部を設けて、鏡を任意の位置で停止させ、その状態でロックさせることが望ましい。
【0014】
また、鏡が開いた状態で枠体全体を揺動させると、開いている鏡が邪魔になる場合が生じるので、上記各鏡が上記枠体に対して揺動している状態では上記セルフロック機構の解除を禁止するロック解除禁止機構を上記ロック解除部に設けることが望ましい。
【0015】
鏡同士の間が空いているとデザイン性が損なわれるが、揺動のための隙間を設ける必要がある。この隙間を可及的に狭くするために、上記鏡を左右方向に揺動させる揺動軸は、鏡が枠体に対して閉じた状態から開く動作に連動して隣り合う鏡から離れる方向に移動することによって鏡の開閉時に隣り合う2枚の鏡の干渉を防止するように構成することが望ましい。
【0016】
なお、上記鏡の少なくとも一部に透光部を形成し、その透光部の背面側に照明部を備えていれば、照明部を設けることによる段差などが鏡の表面に生じなく鏡の表面を一体面にすることができるので、デザイン性の低下を防止することができる。なお、この透光部はハーフミラーや磨りガラスなどなどが考えられる。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明から明らかなように、本発明は、揺動リンクを枠体の左右の辺よりも内側に設けたので、枠体を揺動させる際にわぃたいの左右の辺を把持しても指が揺動リンクに挟まれることがなく、使用勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の鏡台装置を設置した状態を示す図
図2】枠体と揺動リンクとの連結状態を示す図
図3】枠体を手前に移動させた状態を示す側面図
図4】鏡の揺動軸の構成を示す図
図5】ロック解除部の詳細を示す図
図6】ロック解除禁止機構を説明する斜視図
図7】ロック解除禁止機構を説明する側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、本図は本発明による鏡台装置1が収納ボックス11に取り付けられている状態を示している。この収納ボックス11は洗面台Aが設置されいている壁面に固定されている。鏡台装置1には左右方向に長手となる長方形の枠体2が設けられており、この枠体2が収納ボックス11に上下方向に揺動自在に連結されている。そして、枠体2には左右方向に3枚の鏡21,22,23が並設されている。各鏡21,22,23は各々枠体2に対して左右方向に揺動し開閉するように取り付けられている。なお、左右の鏡21,23は各々内側に向かって開くように取り付けられている。
【0020】
図2及び図3を参照して、枠体2には左右の辺から内側に位置する2本の保持辺20が設けられており、各保持辺20と収納ボックス11とが揺動リンクを介して連結されている。この揺動リンクは、上リンク部材31と、この上リンク部材31に対して平行な下リンク部材32とから構成された、いわゆる平行リンクである。従って、枠体2は収納ボックス11の前面開口を閉塞する垂直に起立した状態から手前に引くことによって、垂直な状態を保持したまま手前に下降しながら揺動する。その際、枠体2及び3枚の鏡21,22,23の自重をアシストするために、上リンク部材31と下リンク部材32との間に、枠体2を上方に持ち上げる方向に付勢する空気バネ3を配設した。この空気バネ3にはロッドの先端にロック部3aが設けられており、このロック部3aによるロック機能によってロッドを任意の突き出し位置でロックすることができる。従って、ロッドをロックすると、枠体2を揺動軌跡の途中の任意の位置で停止保持することができる。なお、4は後述するロック解除部であり、枠体2を手前に引き寄せる際に把持することによってワイヤ3bを介してロック部3aのロッドに対するロックを解除して、枠体2を手前に引き寄せ、あるいは収納ボックス11側に押し戻すことができるようにする。
【0021】
図4を参照して、各鏡21,22,23の揺動軸25は直接枠体2に連結されているのではなく、アーム部材24を介して枠体2に連結されている。そして、アーム部材24と鏡21,22,23との相対位置を一義的に規制するために、さらに補助アーム部材26を枠体2と鏡21,22,23との間に架設した。このように構成することによって、例えば左側の鏡21であれば、鏡21が閉じている状態から右方向に向かって鏡21を揺動し開ける場合、揺動軸25が隣の鏡22から離れる方向に移動して、鏡21の右辺が鏡22に干渉することを防止することができる。なお、鏡21の開度を90度程度で規制するため、補助アーム部材26にはストッパ部26aが形成されており、このストッパ部26aが揺動軸25の角部27に当接して鏡21,22,23の開度を規制するようにした。なお、5は後述するストッパ部材である。
【0022】
図6を参照して、上述したロック解除部4は、固定カバー41と、この固定カバー41の裏側に、固定カバー41に対して揺動軸42aによって揺動自在に保持された把持部42とが設けられている。ロック解除部4を前方から把持することによって把持部42を手前側に揺動させると、上記空気バネ3のロック部3aのロックが解除され、手を離すとロック部3aによるロックが再度発揮されることになる。
【0023】
5aは固定カバー41に取り付けられた揺動軸であり、この揺動軸5aには上述のロック部材5が前後方向に揺動自在に取り付けられている。
【0024】
図7を合わせて参照して、ロック部材5の上端は枠体2に形成されたスリット2sを通って枠体2内に位置している。このロック部材5は図示しないトーションばねによって前側に揺動するように付勢されており、図7の2点鎖線で示すロック位置ではロック片51が把持部42のロック解除禁止部43に係合して、把持部42が手前に揺動できないようにしている。すなわち、把持部42が手前に揺動できなければ空気バネ3のロック部3aのロック状態の解除を禁止するので、枠体2を移動させることができない。
【0025】
枠体2に対して鏡21,22,23を閉めると、各鏡21,22,23の後ろ側下辺がロック部材5の上端を後方に押して、ロック部材5を図7の実線で示した状態に揺動する。するとロック部材5のロック片51がロック解除禁止部43の軌跡から退避して把持部42を手前側に揺動できる状態、すなわちロック解除が可能な状態にする。つまり、鏡21,22,23が枠体2に対して閉じた状態でなければ空気バネ3のロック部3aのロック状態を解除することができず、従って、鏡21,22,23を閉じなければ枠体2を移動させることができない。なお、左右2個所の把持部42は互いに図示しないクランク状の連結棒によって揺動動作が連結されており、3枚の鏡21,22,23のいずれか1枚でも開いた状態であれば、両方の把持部42を手前に揺動させることができないので、全ての鏡21,22,23を閉じた状態でのみ、空気バネ3のロック状態を解除して枠体2を移動させることができる。
【0026】
ところで、各鏡21,22,23の少なくとも一部を透光部としてハーフミラーとして、そのハーフミラーとした部分の裏側にLEDを配置し、鏡21,22,23越しに照明できるように構成することが望ましい。なお、LEDの配置位置としては、例えば各鏡21,22,23の左右辺あたりに上下方向にLEDを並設することが考えられる。また、透光部はハーフミラーの他に磨りガラスなどにしてもよい。ただし、磨りガラスにすると、その部分は鏡として機能しないが、鏡の表面に段差を設けることなく照明機能を付加することができるので、デザイン性を損なうことがない。
【0027】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0028】
1 鏡台装置
2 枠体
2s スリット
3 空気バネ
3a ロック部
3b ワイヤ
4 ロック解除部
5 ロック部材
11 収納ボックス
20 保持辺
21,22,23 鏡
24 アーム部材
25 揺動軸
26 補助アーム部材
26a ストッパ部
31 上リンク部材
32 下リンク部材
41 固定カバー
42 把持部
43 ロック解除禁止部
A 洗面台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7