(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シール部材に対して、前記ブレードが前記固体燃料を分級した後の空間側からシールガスを噴出するシールガス噴出部を備えている請求項1に記載の固体燃料粉砕装置。
前記シール部材の前記水平面と前記鉛直面とが為す傾斜角度と、前記傾斜面の水平方向に対する傾斜角度との差は、30°よりも大きい請求項9に記載の固体燃料粉砕装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のシールエア供給溝からシールエアを隙間に向かって流出させるという構成を有するローラミルでは、隙間に流入する粗粉炭を含む微粉炭を十分に押し戻すためにはシールエアを隙間に均一に供給する必要があり、さらに多流量のシールエアが必要になるなど、ショートパスを容易に防止することができない可能性があった。このため、ショートパスした粗粉炭を含む微粉炭が、燃焼装置に搬送されることとなり、分級性能を十分に得られない可能性があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、分級性能を向上させることができる固体燃料粉砕装置及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の固体燃料粉砕装置及びその運転方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、回転式分級機を有する固体燃料粉砕装置において、前記回転式分級機は、給炭管に対して回転可能に設けられて粉砕された固体燃料を分級する複数のブレードと、該ブレードの上方に配置される枠体と、該枠体と周方向で対向する対向部材と、を備え、前記枠体と前記対向部材との間には、前記ブレードが前記固体燃料を分級した後の空間及び前記ブレードが前記固体燃料を分級する前の空間を連通するとともに、前記ブレードをバイパスする隙間が形成され、前記枠体及び前記対向部材のいずれか一方から前記隙間側に突出するシール部材が設けられ、前記シール部材は、前記ブレードが前記固体燃料を分級した後の空間側に水平方向に対して傾斜する傾斜面が形成されている。
【0010】
上記構成では、枠体と対向部材との間にブレードをバイパスするように形成されている隙間にシール部材が設けられている。このため、例えば固体燃料として石炭を用いた場合は、粉砕された固体燃料(以下、粉砕された固体燃料を「石炭微粉」という。)が気流搬送され、気流搬送された石炭微粉が、ブレードが石炭微粉を分級する前の空間から、ブレードを介さずに隙間に流入しようとすると、シール部材によって流入が抑制される。これにより、気流搬送された石炭微粉が、枠体と対向部材との間の隙間から(すなわち、ブレードをバイパスする隙間から)、ブレードを介さずにブレードが石炭微粉を分級した後の空間にショートパスして流入するのを抑制することができる。したがって、ブレードが石炭微粉を分級した後の下流側の空間に、ブレードによって分級されていない石炭微粉が流入するのを抑制して、固体燃料粉砕装置の分級性能を向上させることができる。
また、例えば、固体燃料粉砕装置の停止時等には、石炭微粉が重力により下降し、シール部材に堆積する場合がある。シール部材に堆積した石炭微粉は、周囲の気流搬送用の空気により自然発火する可能性がある。上記構成では、シール部材におけるブレードが前記固体燃料を分級した後の空間に通じる側の面が、水平方向に対して傾斜するように形成されているので、シール部材上に落下した石炭微粉は、傾斜面に沿って自重により滑り落ちて落下する。このように、石炭微粉がシール部材に堆積し難い。したがって、石炭微粉がシール部材に多量に堆積し、隙間内に残存することを防止することができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記シール部材は水平方向に延びる水平面と,前記水平面と交差し鉛直方向へ延びる鉛直面と、前記鉛直面と交差する前記傾斜面を有し、前記傾斜面の水平方向に対する傾斜角度は、粉砕された前記固体燃料の安息角よりも大きくてもよい。
【0012】
上記構成では、傾斜面の傾斜角度が、粉砕された石炭微粉の安息角よりも大きいので、傾斜面を固体燃料が滑り落ち易く、傾斜面上に固体燃料が堆積し難い。したがって、粉砕された石炭微粉が隙間内に多量に残存するのを好適に抑制することができる。
また、シール部材は水平方向に延びる水平面を有している。これにより、隙間に流入してこの水平面に衝突した石炭微粉を含む気流は、シール部材の先端方向に設けた狭い微小隙間へと流れる流路抵抗が大きいために、微小隙間へと流れ難い。このように、気流搬送された石炭微粉が隙間に流入して通過することを好適に抑制することができる。したがって、好適に固体燃料粉砕装置の分級性能を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記シール部材の前記水平面と前記鉛直面とが為す傾斜角度と、前記傾斜面の水平方向に対する傾斜角度との差は、30°よりも大きくてもよい。
【0014】
上記構成では、シール部材の水平面と鉛直面とが為す傾斜角度と、傾斜面の水平方向に対する傾斜角度との差は、30°よりも大きく形成されているので、好適に傾斜面の傾斜角度を固体燃料の安息角度以上にすることができる。したがって、傾斜面上に固体燃料を堆積し難くすることができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記シール部材に対して、前記ブレードの下流側の空間に通じる側からシールガスを噴出するシールガス噴出部を備えていてもよい。
【0016】
上記構成では、ブレードの下流側の空間に通じる側からシールガスを噴出しているので、隙間に流入しようとする気流搬送された石炭微粉をシールガスによって押し戻すことができる。これにより、気流搬送された石炭微粉が隙間を介してブレードの下流側の空間に流出するのを防止し、固体燃料粉砕装置の分級性能を向上させることができる。また、シール部材の凸部におけるブレードの下流側の空間に通じる側の面が、傾斜面となっているので、シール部材に対して噴出されたシールガスが、傾斜面に沿って流れ易い。これにより、隙間内のシールガスの流れが滑らかとなり、隙間に流入しようとする気流搬送された石炭微粉を好適に押し戻す。これにより、気流搬送された石炭微粉が隙間を通過してブレードを介さずにショートパスして石炭微粉を分級した後の空間に流出するのを防止することができる。したがって、石炭微粉を分級した後の空間内に、分級されていない石炭微粉が流入するのを防止して、固体燃料粉砕装置の分級性能を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記シール部材は、前記枠体に設けられていてもよい。
【0018】
上記構成では、シール部材が上下軸方向を中心に回転する枠体に設けられているので、シール部材も枠体とともに回転する。これにより、シール部材に石炭微粉が堆積した場合、石炭微粉に遠心力が作用することなる。遠心力が作用した石炭微粉は、シール部材(凸部)の先端方向に移動し、やがてシール部材(凸部)の先端から落下する。したがって、石炭微粉がシール部材に、より堆積し難い構成とすることができる。
【0019】
また、本発明の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記シール部材は、前記対向部材に設けられていてもよい。
【0020】
上記構成では、シール部材が回転せずに静止して固定支持されている対向部材に設けられている。したがって、回転しているシール部材よりもシールエアの流れが整然となり、シールエア整流化の効果が期待できる。
【0021】
また、本発明の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記傾斜部は、第一傾斜面と、該第一傾斜面よりも上方に位置する第二傾斜面とを有し、前記第一傾斜面の水平方向に対する傾斜角度は、前記第二傾斜面の水平方向に対する傾斜角度よりも大きくてもよい。
【0022】
上記構成では、凸部が第一傾斜面と第二傾斜面とを有している。これにより、第一傾斜面及び第二傾斜面の傾斜角度を所望の傾斜角度に設定して、傾斜面を所望の傾斜態様に形成することができる。また、第一傾斜面の傾斜角度が、第二傾斜面の傾斜角度よりも大きいので、傾斜面の傾斜角度を上方から段階的に大きくすることができる。したがって、より好適にシールガスを傾斜面に沿って流すことができるので、より均一にシールガスを通過させて、気流搬送された石炭微粉を好適に押し戻し、気流搬送された石炭微粉が隙間を通過してブレードを介さずにショートパスして石炭微粉を分級した後の空間に流出するのを防止することができる。また、より確実に凸部に石炭微粉が積載するのを防止することができる。
【0023】
また、前記シール部材は、前記傾斜面がそれぞれ形成される複数の凸部を有し、複数の前記凸部のうち、最も前記ブレードが前記固体燃料を分級した後の空間に通ずる側に配置された前記凸部の前記傾斜面の水平方向に対する傾斜角度は、最も前記ブレードが前記固体燃料を分級する前の空間に通ずる側に配置された前記凸部の前記傾斜面の水平方向に対する傾斜角度よりも小さくてもよい。
【0024】
上記構成では、最もブレードが前記固体燃料を分級する前の空間に通ずる側に配置された凸部、すなわち、シールガス供給装置から最も遠い位置に配置される凸部の傾斜面の傾斜角度が大きくなっている。これにより、シールガス供給装置から近い位置に配置された凸部は、シールガス供給装置から遠い位置に配置された凸部と比較して、対向するブレードガイドの内周面との流路抵抗が小さい形状として。したがって、シールガスの噴出勢いが最もシールガス供給装置から遠い位置に配置された凸部まで弱まることを抑制することができる。よって、最もシールガス供給装置から遠い位置に配置され凸部においても、好適にシールガスを凸部に沿って流すことができる。
【0025】
また、本発明の一態様に係る固体燃料粉砕装置は、前記隙間は、少なくとも前記シール部材が対向する面が平坦であってもよい。
【0026】
上記構成では、シール部材が対向する面が平坦に形成されているので、この面には粉砕固体燃料が堆積しない。したがって、隙間内に粉砕固体燃料が残存し難い構成とすることができる。また、対向する面が平坦に形成されているので、対向する面がシールガスの流れを妨げない。したがって、好適にシールガスを隙間内から上流空間へと流通させることができる。また、対向する面が平坦なので、簡素な構成としてコストアップを抑制することができる。
【0027】
本発明の一態様に係る固体燃料粉砕装置の運転方法は、回転式分級機を有する固体燃料粉砕装置において、前記回転式分級機は、給炭管に対して回転可能に設けられて粉砕された固体燃料を分級する複数のブレードと、該ブレードの上方に配置される枠体と、該枠体と周方向で対向する対向部材と、を備え、前記枠体と前記対向部材との間には、前記ブレードが前記固体燃料を分級した後の空間及び前記ブレードが固体燃料を分級する前の空間を連通するとともに、前記ブレードをバイパスする隙間が形成され、前記枠体及び前記対向部材のいずれか一方から前記隙間側に突出し、シール部材が設けられ、前記シール部材は、前記ブレードが前記固体燃料を分級した後の空間側に傾斜面が形成されている固体燃料粉砕装置の運転方法であって、前記シール部材に対して、前記ブレードが前記固体燃料を分級した後の空間に通ずる側からシールガスを噴射して、粉砕された前記固体燃料が前記隙間を通過することを抑制するステップと、搬送用空気によって前記固体燃料を前記回転式分級機に導入するステップを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、固体燃料粉砕装置の分級性能を向上させることができる。また、本発明によれば、シール部材に粉砕した固体燃料が堆積することを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、
図1から
図3を用いて説明する。
本実施形態では、固体燃料として例えば石炭を用いたものを説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る竪型ミル(固体燃料粉砕装置)1は、竪型ミル1の外殻をなす円筒中空形状のハウジング2と、ハウジング2の下部側面に連通してハウジング2の内部に搬送用空気を供給する空気供給ダクト3とを備える。ハウジング2の内部には、鉛直上下方向に沿う回転軸を中心として回転可能にハウジング2に対して支持される粉砕テーブル4と、粉砕テーブル4の上で石炭(固体燃料)を粉砕する粉砕ローラ5が収容されている。
【0031】
ハウジング2は、円筒形状であってハウジング2の側面を規定する側面部2aと、ハウジングの鉛直方向上端を規定する天井面部2bと、ハウジングの鉛直方向下端を規定する底面部2cとを有する。ハウジングの上部中央部にはハウジング2の天井面部2bを貫通するように、筒形状の石炭供給管7が設けられる。石炭供給管7は、図示しない石炭供給装置からハウジング2内に石炭を供給するものであり、ハウジング2の中心位置に鉛直上下方向に沿って延在する。また、ハウジング2内の石炭供給管7の周りを回転し、石炭供給管7の長手方向に直交する方向に存在する、ロータリセパレータ(回転式分級機)8が設けられている。ロータリセパレータ8は、粉砕された石炭(以下、粉砕された石炭を「石炭微粉」という。)を所定粒径以下のものへ分級するものである。ハウジング2の天井面部2bには、ロータリセパレータ8で分級された所定粒径以下の石炭微粉である微粉炭をハウジング2の外部へ排出する出口ポート9が設けられている。
【0032】
粉砕テーブル4は、ハウジング2の底面部2cの略中心に回転可能に支持される回転支持部15と、回転支持部15の上端に固定される略円形板状のテーブル部16とを有する。回転支持部15は、図示しない駆動装置により回転駆動する。テーブル部16は、石炭供給管7の鉛直下側の下端部に対向して配置され、回転支持部15とともに回転する。また、粉砕テーブル4の上面は、水平方向に延在し、中心部が外側よりも鉛直上方向に高さが高くなり、中心部から外側に向けて高さが低くなるような傾斜形状をなし、外周部が再び上方に湾曲している。テーブル部16の外端部と、ハウジング2の側面部2aの内面とは接触しておらず、テーブル部16とハウジング2の側面部との間には、隙間が設けられている。
【0033】
粉砕ローラ5は、テーブル部16の外周部分の鉛直上方に、テーブル部16と対向するように配置される。粉砕ローラ5は、第1支持軸17、支持アーム18及び第2支持軸19を介してハウジング2に固定されている。第1支持軸17は、ハウジング2の側面部2aから中心部側へ鉛直下方に傾斜するように延在し、先端部に軸受(図示略)を介して粉砕ローラ5が回転自在に支持されている。即ち、粉砕ローラ5は、粉砕テーブル4の鉛直上方で、上部側が下部側よりもハウジング2の中心部側に向くように位置する傾斜した状態で、回転可能に支持されている。
【0034】
支持アーム18は、中間部が水平方向に沿った第2支持軸19によって、ハウジング2の側面部2aに鉛直上下方向に揺動可能に支持されている。そして、支持アーム18は、先端部に粉砕ローラ5が回転可能に装着された第1支持軸17の基端部を支持している。即ち、粉砕ローラ5は、支持アーム18が第2支持軸19を支点として鉛直上下方向に揺動することで、粉砕テーブル4の上面に対して離接可能に支持される。粉砕ローラ5は、外周面が粉砕テーブルの上面に接触した状態でこの粉砕テーブル4が回転すると、粉砕テーブル4から回転力を受けて連れ回り可能となっている。
【0035】
支持アーム18の鉛直上側にある上端部には、押圧装置20が設けられ、支持アーム18の下端部にはストッパ21が設けられている。押圧装置20は、ハウジング2に固定され、粉砕ローラ5を粉砕テーブル4に押し付けるように、支持アーム18等を介して粉砕ローラ5が粉砕テーブル4に押し付ける荷重を付与する。ストッパ21は、ハウジング2に固定され、粉砕ローラ5が鉛直下方側に回動できる量を規制し、粉砕ローラ5が粉砕テーブル4に押し付ける付与荷重を制限する。ストッパ21は、粉砕テーブル4上に石炭が無い場合に、粉砕ローラ5と粉砕テーブル4の間に所定の隙間を確保するためのものであり、粉砕テーブルに石炭が無い状態で、粉砕テーブル4が回転しても、粉砕テーブル4と粉砕ローラ5が接触(メタルタッチ)しないようにし、それぞれが破損しないためのものである。
【0036】
空気供給ダクト3は、横断面が略矩形状とされた角筒状形状または円形筒状形状をしている。また、空気供給ダクト3の一端には、ハウジング2内に開口するダクト出口25が設けられ、他端には、ハウジング2の外に開口するダクト入口26が設けられている。空気供給ダクト3は、水平面に対して略平行もしくは鉛直下側に傾斜角度をもって延在するように設けられ、ハウジング2の側面部2aに連通している。空気供給ダクト3は、図示しない空気供給装置から供給される搬送用空気をダクト入口26から押入して、ダクト出口25から排出することでハウジング2内に搬送用空気を供給する。空気供給ダクトから供給された搬送用空気は、粉砕テーブル4とハウジング2の側面部2aとの隙間から吹出して、粉砕テーブル4で粉砕された石炭微粉をロータリセパレータ8へと気流搬送する。
【0037】
次に、ロータリセパレータ8の構成について、
図1及び
図2に基づいて説明する。なお、
図2は、
図1における二点鎖線円II部分の拡大した縦断面図である。ロータリセパレータ8は、上下方向(鉛直方向)に沿って延びて石炭供給管7の周りを囲むように設けられた回転支持体(図示省略)によって、回転可能に支持されるロータリセパレータ本体部29と、後述するブレード31の外端及び後述する枠体32の外周面と対向するように設けられる環状のブレードガイド(対向部材)33とを備える。
【0038】
ロータリセパレータ本体部29は、
図2に示すように、中心部分に開口(図示省略)が形成された円板形状の上部支持体30と、上部支持体30の下面に周方向に所定の間隔で配設して固定される複数のブレード31と、上部支持体30の外周に沿って設けられて上部支持体30の上面から立設する環状の枠体32とを備える。ブレードガイド33は、ブレード31に対面する内周面が筒状であり、ハウジング2の天井面部2bの下面から鉛直下方側に延びるように設けられている。
【0039】
各ブレード31は、平板形状をなして構成され、上下方向(鉛直方向)に沿って設けられると共に、ロータリセパレータ8の回転の中心に対して外周方向へ放射状となる方向に対して所定の角度になるように設けられている。また、ロータリセパレータ8の回転の中心に対して外周側になる各ブレード31の外端部分は、上端よりも下端がロータリセパレータ8の回転中心側に接近するように傾斜している。
【0040】
ロータリセパレータ本体部29とともに回転するブレード31が、搬送用空気により気流搬送された石炭微粉のうち、所定の粒径を超える大きい石炭微粉(以下、所定の粒径を超える大きい石炭微粉のことを「粗粉炭」という。)は気流搬送された粗粉炭がブレード31に衝突して粗粉炭の気流搬送を阻害する。阻害された粗粉炭は、重力によって落下して再び粉砕テーブル4の上に戻されて再粉砕が行われる。一方、所定の粒径より小さい石炭微粉(以下、所定の粒径より小さい石炭微粉のことを「微粉炭」という。)は、搬送用空気の流れに乗ってブレード31とブレード31の間を通過し、出口ポート9からハウジング2の外部へ搬出される。このように、ロータリセパレータ8では、回転するブレード31によって石炭微粉を粗粉炭と微粉炭とに分級している。つまり、ハウジング2内には、分級前の石炭微粉(すなわち、微粉炭と粗粉炭とが混在している状態)が気流搬送して流通するブレード31が石炭微粉を分級する前の上流側の空間(以下、「上流側空間」という。)36と、分級後の石炭微粉(すなわち、微粉炭のみの状態)が気流搬送して流通するブレード31が石炭微粉を分級した後の下流側の空間(以下、「下流側空間」という。)37とが存在することになる。なお、ここでいう「上流側」及び「下流側」とは、ハウジング2内の気流となる搬送用空気の主流の流れにおけるブレード31に対しての「上流側」及び「下流側」を表している。
【0041】
ロータリセパレータ8の回転の中心に対して外周側になるブレード31の外端及び枠体32の外周面と、これらに対面するブレードガイド33の内周面との間には、環状の隙間39が形成される。この隙間39は、上流側空間36と下流側空間37とに通じている。すなわち、この隙間39は、ブレード31へ気流が流入することをバイパスするように上流側空間36と下流側空間37とを連通している。
隙間39には、枠体32の外周側にある外面に固定される環状のシール部材40が設けられている。シール部材40は、
図2及び
図3に示すように、枠体32の外面に固定されて該外面からブレードガイド33方向(外周方向)に所定距離だけ突出する固定部41と、固定部41からさらにブレードガイド33方向へ突出して上下方向に沿って複数(本実施形態では3つ)配置される凸部43と、隣接する凸部43間に形成される凹部42とを有する。本実施形態では、凸部43は3つ、凹部42は2つ形成されているがこの数は限定するものではなく、凸部43は少なくとも2つ、凹部42は少なくとも1つが形成されている。なお、本実施形態では、ブレードガイド33の内周面の少なくともシール部材40に対向する面は、凸部43や凹部42と嵌め合うような突起等のない平坦面となるように形成されている。このためブレードガイド33の内周面の加工は従来どおりであり、コストアップを抑制する。
【0042】
図3は、ロータリセパレータ8の回転の中心に対して外周側が紙面右側になり、外周側を外側とする。各凸部43は、それぞれ、
図3に示すように、固定部41から外周方向へ延びる上水平面43aと、上水平面43aの外端から外側下方側に延びる傾斜面43bと、傾斜面43bの外端から鉛直下方側に延びる鉛直面43cと、鉛直面43cの下端から内周方向に水平に延びる下水平面(水平面)43dとを有する。下水平面43dの内端は固定部41に接続される。本実施形態では、下水平面43dと鉛直面43cとが為す傾斜角度θ1と、傾斜面43bと水平面L1とが為す傾斜角度θ2の関係は、
傾斜角度θ1−傾斜角度θ2≧30° ・・・・・(1−1)
傾斜角度θ2≧石炭微粉の安息角度・・・・・・(1−2)
である。
すなわち、凸部43は、外周側の先端部分から所定距離だけ、先端部分から固定部分に向かうにしたがって上下方向の幅(厚さ)が大きくなるように、上面が傾斜している。なお、石炭微粉の安息角は、計測により求められ、例えば、25°から50°の範囲とされ、本実施形態の竪型ミル1では、例えば30°とされている。本実施形態の傾斜角度θ2は、石炭微粉の安息角よりも大きい角度としており、例えばθ2は30°〜60°となっている。また傾斜角度θ1は加工の容易さから90°としている。凸部の先端部分、すなわち、鉛直面43cは、対向するブレードガイド33の内周面に、近接してロータリセパレータ8の回転にあたって各機械的誤差や熱膨張差でも接触して破損しないような微小隙間が設けてある。
また、式(1−1)は、石炭微粉の安息角を考慮した場合に簡易に判断する関係を30°の数値を用いて表記したものである。すなわち,傾斜角度θ1と傾斜角度θ2の差が30°を超えるのは、傾斜角度θ2が小さくなるときであり、凸部43の第二傾斜面52bが水平化してゆき、傾斜角度θ2が石炭微粉の安息角より小さくなり好ましくない。また、凸部43の傾斜角度θ1が90°を大きく超える場合は第一傾斜面52cと第二傾斜面52bで構成される凸部43の外周側先端が鋭角を持って尖ってくる場合になり、対向するブレードガイド33の内周面との間での微小隙間を気流が通過する時間が短くなり、この微小隙間を通過しようとする気流搬送された石炭微粉を押し戻す効果を得ることが難しくなる。
【0043】
また、隙間39の鉛直上方の天井面部2bには、シール部材40に対してシールガス45を噴出するシールガス噴出部46が設けられていてもよい。シールガス噴出部46は、シールガス供給装置(図示省略)から供給されるシールガス45をシールガス噴出孔47からハウジング2内に噴出する。本実施形態では、シールガス噴出部46は天井面部2bに例えば2個から8個などの複数個設けてあり、シールガスが出来るだけ均一に隙間39へと供給されるようにしている。シールガス噴出孔47は、外端がブレードガイド33の上端部近傍に設けられ、内端近傍には上下に延びるシールガスガイド部48が設けられていて、シールガス噴出孔47から噴射されるシールガスが、シール部材40の凸部43の先端部分により均一に供給されるようにしている。凸部の先端部分の鉛直面43cと、対向するブレードガイド33の内周面の間の微小隙間は狭いので、この微小隙間を通過するシールガス45の流速は速くなり、気流搬送された石炭微粉を押し戻す効果を容易に得ることができる。すなわちシールに必要な流速を得やすいので、シールガスの供給流量を削減することが出来る。
なお、シールガス45には、例えば、空気であるが石炭粉体の発火が懸念される場合は窒素ガスや二酸化炭素ガス等の不活性ガスなどを用いることができる。
【0044】
次に、石炭供給管7から粉砕テーブル4上に供給された石炭の主な流れについて
図1及び
図2を用いて説明する。
図1の矢印A1に示されるように石炭が石炭供給管7からハウジング2内に供給されると、この石炭は、粉砕テーブル4上の中心部に供給される。このとき、粉砕テーブル4は、所定の速度で回転していることから、粉砕テーブル4上の中心部に供給された石炭は、遠心力により外周に分散するように移動し、粉砕テーブル4の全面に一定の石炭層が形成される。その後、石炭が粉砕ローラ5と粉砕テーブル4との間に入り込む。
【0045】
粉砕ローラ5と粉砕テーブル4との間に石炭が入り込むと、粉砕テーブル4の回転力が石炭を介して粉砕ローラ5に伝達され、粉砕テーブル4の回転に伴って粉砕ローラ5が回転する。このとき、粉砕ローラ5は、石炭により上昇しようとするが、押圧装置20により、上昇動作が抑制されて石炭に押圧荷重を与える。そのため、粉砕ローラ5は、粉砕テーブル4上の石炭を押圧して粉砕する。
【0046】
粉砕ローラ5により粉砕された石炭は石炭微粉となり、空気供給ダクト3からハウジング2内に送り込まれた搬送用空気(
図1矢印A2参照)が粉砕テーブル4の外周部より噴き上げることにより、乾燥されつつ気流搬送されて上昇する(
図1矢印A3参照)。石炭に混在した礫や金属片などの異物、及び、石炭微粉であっても搬送用空気によって上昇しないほど質量の大きいものなどは、遠心力により粉砕テーブル4の外周部からハウジング2の底面部2cに落下する。粉砕テーブル4の下方には、図示しない掃出し装置が備えられ、底面部2cに落下した異物や石炭微粉は、掃出し装置によってハウジング2の外部へ排出される。
【0047】
搬送用空気により上昇し気流搬送された石炭微粉は、ロータリセパレータ8に流入されてよりロータリセパレータ8の回転するブレード31により分級され、所定サイズを超える粗粉炭は落下して再び粉砕テーブル4上に戻されて再粉砕が行われる。一方、微粉炭は、ロータリセパレータ8を通過し、搬送用空気で気流搬送されて、出口ポート9から排出される(
図1矢印A4参照)。このような流れが、石炭微粉の流れの主流となる。一方、搬送用空気により気流搬送して上昇した石炭微粉の一部は、ロータリセパレータ8に流入されずに、
図2矢印A5に示される、ブレード31の外周側の外端及び枠体32の外周面と、ブレードガイド33の内周面との間の隙間39に流入し、ブレード31への流入をショートパスして通過しようとするものがある。隙間39に流入しようとする気流搬送された石炭微粉は、シール部材40によって、通過を抑制される。また更に、シール部材40の凸部43の先端とブレードガイド33との間を通過しようとする気流搬送された石炭微粉(
図3矢印A5参照)は、シールガス噴出部46から噴出されたシールガス45によって押し戻される。シール部材40によって流入を妨げられた石炭微粉及びシールガス45によって押し戻された石炭微粉は、気流搬送された石炭微粉の主流と合流し、ロータリセパレータ8に流入されて、分級され、微粉炭が気流搬送されて出口ポート9から排出される。
【0048】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、枠体32とブレードガイド33との間に、ブレード31への流入をバイパスするように形成されている隙間39にシール部材40が設けられているので、気流搬送された石炭微粉が、上流側空間36から隙間39に流入しようとすると、シール部材40によって流入が抑制される。これにより、気流搬送された石炭微粉が、枠体32とブレードガイド33との間の隙間39から(すなわち、ブレード31への流入をバイパスする隙間39から)、下流側空間37に流出するのを抑制することができる。したがって、下流側空間37に、ブレード31によって分級されずに粗粉炭を含む石炭微粉が流出するのを抑制して、竪型ミル1の分級性能を向上させることができる。
また、凸部43の下水平面43dが、水平面に対して略平行となっているので、気流搬送された石炭微粉が下水平面43dに衝突した後に石炭微粉含む気流が、凸部43の先端方向に設けた狭い隙間へと流れ難い。このように、隙間39に流入した石炭微粉を好適に止めることができる。したがって、好適に竪型ミル1の分級性能を向上させることができる。また、シール部材40が回転せずに静止して固定支持されている枠体32に設けられている。したがって、シール部材40の交換及びメンテナンスを容易に行うことができる。
また、例えば、竪型ミル1の停止時等には、気流搬送されていた石炭微粉が重力により下降し、シール部材40に堆積する場合がある。シール部材40に堆積した石炭微粉は、多量になると自然発火する可能性がある。本実施形態では、凸部43における下流側空間37に通じる側の面(すなわち傾斜面43b)が、水平面L1に対して傾斜して落下し易いように形成されているので、石炭微粉がシール部材40に堆積し難い。したがって、石炭微粉がシール部材40に多量に堆積し、隙間39内に残存することを防止することができる。
【0049】
また、本実施形態では、傾斜面43bの傾斜角度θ2が、石炭微粉の安息角よりも大きいので、傾斜面43b上の石炭微粉が滑り落ち易く、傾斜面43b上に石炭微粉が堆積し難い。したがって、石炭微粉が隙間39内に多量に残存するのを好適に抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、下流側空間37側からシールガス45を噴出しているので、隙間39に流入しようとする気流搬送された石炭微粉をシールガス45によって押し戻して、気流搬送された石炭微粉が隙間39を介して下流側空間37に流出するのを抑制し、竪型ミル1の分級性能を向上させることができる。また、凸部43の上面が傾斜面43bとなっているので、シール部材40に対して噴出されたシールガス45が、傾斜面43bに沿って上流側空間36へと流れ易い。更に、凸部の先端部分の鉛直面43cと、対向するブレードガイド33の内周面の間の微小隙間は狭いので、シールガス45は供給する全体流量は少なくても、気流搬送された石炭微粉を押し戻す効果を得るための流速を得やすいので、シールガス流量を削減することが出来る。これにより、隙間39内のシールガス45の流れが滑らかとなり、隙間39に流入しようとする気流搬送された石炭微粉を好適に押し戻し、石炭微粉が隙間39を介して下流側空間37に流出するのを抑制することができる。したがって、下流側空間37内に、分級されていない石炭微粉が流出するのを抑制して、竪型ミル1の分級精度を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、シール部材40が上下軸方向を中心に回転する枠体32に設けられているので、シール部材40も枠体32とともに回転する。したがって、シール部材40に石炭微粉が堆積した場合、石炭微粉に遠心力が作用することなる。遠心力が作用した石炭微粉は、凸部43の先端方向に移動し、やがて凸部43の先端から落下する。したがって、シール部材40に石炭微粉がより堆積し難い構成とすることができる。
【0052】
また、本実施形態では、シール部材40が設けられていない壁面(ブレードガイド33の内周面)が平坦に形成されているので、該壁面には石炭微粉が堆積しない。したがって、隙間39内に石炭微粉が多量に残存し難い構成とすることができる。また、該壁面が平坦に形成されているので、該壁面がシールガス45の流れを妨げない。したがって、好適にシールガス45を隙間39内から上流側空間36へと流通させることができる。また、該壁面が平坦なので、簡素な構成としてコストアップを抑制することができる。
【0053】
[第1実施形態の変形例1]
次に、本実施形態の凸部の変形例について説明する。
本変形例の凸部の傾斜面は、
図3の破線で示されるように、第一傾斜面52cと第二傾斜面52bとを有する。本変形例では、第二傾斜面52bの下端と、第一傾斜面52cの上端とが接続されている。また、第一傾斜面52cと下水平面43dとが為す傾斜角度θ1´は、第二傾斜面52bの水平方向に対する傾斜角度θ2´よりも大きく形成されている。
【0054】
本変形例によれば、以下の作用効果を奏する。
本変形例では、凸部43が第一傾斜面52cと第二傾斜面52bとを有しているので、第一傾斜面52c及び第二傾斜面52bの傾斜角度θ1´及びθ2´を所望の傾斜角度とすることで、傾斜面を所望の傾斜態様に形成することができる。また、第一傾斜面52cの傾斜角度θ1´が、第二傾斜面52bの傾斜角度θ2´よりも大きいので、凸部43の上面に形成された傾斜面の傾斜角度を上方から下方に向かうにつれて段階的に大きくすることができる。したがって、シールガス45を下流側空間37側から噴出して上流側空間36へと通過させるにあたり、より好適に傾斜面に沿ってより周方向へ均一にシールガス45を流すことができるため、気流搬送された石炭微粉をシールガス45によって押し戻す効果が向上する。また、より確実に、石炭微粉が凸部に堆積するのを防止することができる。なお、第一傾斜面52cと下水平面43dとが為す傾斜角度θ1´は、前述の傾斜角度θ1、傾斜角度θ2の好ましい角度に加えて、傾斜角度θ1´の条件が追加され、
傾斜角度θ1´−傾斜角度θ2´≧30°・・・・(1−1‘)
傾斜角度θ2´≧石炭微粉の安息角度 ・・・・・・(1−2‘)
60°≦傾斜角度θ1´≦90°・・・・・・・・(2−1)
傾斜角度θ1´≧傾斜角度θ2´・・・・・・・・(2−2)
の範囲が好適である。
θ1´を90°以下とすることによって、シールガス45を上流側空間36へと流れ易くすることができ、θ1´を60°以上とすることによって、凸部43のエッジ部分(第一傾斜面52cと下水平面43dとの連結部分)の強度を確保することができる。
【0055】
[第1実施形態の変形例2]
次に、本実施形態のシール部材の変形例について説明する。
本変形例では、
図4に示されているように、各凸部53,54,55のそれぞれの傾斜面53b、54b、55bの水平方向に対する傾斜角度が異なっている。本変形例のシール部材は、最も鉛直方向上方に位置する第一凸部53と、第一凸部53よりも下方に位置する第二凸部54と、第二凸部54よりも下方に位置する第三凸部55とを有する。第一凸部53は第一凸部傾斜面53bを有し、第二凸部54は第二凸部傾斜面54bを有し、第三凸部55は第三凸部傾斜面55bを有している。第一凸部傾斜面53bの水平面L1に対する傾斜角度であるθ3と、第二凸部傾斜面54bの水平面L1に対する傾斜角度であるθ4と、第三凸部傾斜面55bの水平面L1に対する傾斜角度であるθ5とは、前述の傾斜角度θ1の好ましい角度に加えて、今回の傾斜角度θ3,θ4,θ5の相互関係の条件が追加され、
傾斜角度θ1−傾斜角度(θ3,θ4,θ5)≧30°・・・(1−1“)
傾斜角度(θ3,θ4,θ5)≧石炭微粉の安息角度・・・・(1−2“)
60°≦傾斜角度θ1≦90°・・・・・・・・・・・・・・(2−1‘)
傾斜角度θ3≦傾斜角度θ4≦傾斜角度θ5・・・・・・・・(3−1)
の関係になるように設定されている。
【0056】
本変形例によれば、以下の作用効果を奏する。
本変形例では、最も鉛直方向下方側に配置された第三凸部55、すなわち、シールガス噴出部46から最も遠い位置に配置される第三凸部55の第三凸部傾斜面55bの傾斜角度が大きくなっている。したがって、シールガス45の供給に近い位置になる上方側に配置された凸部53は、シールガス45の供給から遠い位置になる下方側に配置された凸部55に対して、対向するブレードガイド33の内周面との流路抵抗が小さくなる形状としているので、シールガス45の噴出勢いが第三凸部55まで弱まることを抑制して第三凸部55においても、好適にシールガス45を凸部に沿って流すことができる。
【0057】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、
図5を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、シール部材60を固定する位置が異なっている。その他の点については、第1実施形態と同様につき同一符号を付しその説明は省略する。
本実施形態では、シール部材60がブレードガイド33の内周面に設けられている。すなわち、シール部材60の固定部41はブレードガイド33の内周面に固定され、凸部43は枠体32方向に突出し、凸部43の先端部分は枠体32の外面と近接している。
【0058】
本実施形態では、シール部材60が静止して固定されているブレードガイド33に設けられているので、シール部材60の交換及びメンテナンスを容易に行うことができる。
【0059】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、
図6を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、シール部材61を設ける位置が異なっている。その他の点については、第1実施形態と同様につき同一符号を付しその説明は省略する。
【0060】
本実施形態では、枠体32の内側に、天井面部2bの下面から下方に延びる第一ガイド部材62を設けている。第一ガイド部材62の外面と枠体32の内面との間に形成される隙間にシール部材61を配置している。シール部材61は、第一ガイド部材62の外面に固定されている。なお、シール部材61は、隙間65に配置されていればよく、枠体32の内面に固定されていてもよい。また、第一ガイド部材62と出口ポート9との間の天井面部2bにシールガス噴出部(
図6では図示を省略している)を設けてもよい。この場合、シールガス噴出部から噴出されたシールガスは、第二ガイド部材63に沿って第一ガイド部材62の外面と枠体32の内面との間に形成される隙間65に流入する。
【0061】
なお、本発明は、上記各実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、隙間のシール部材が固定されていない側の面が平坦である場合を説明したが、シール部材が固定されていない側の面は、
図7に示すように平坦でなく、突起64が形成されていてもよい。凸部43や凹部42と嵌め合うような突起等を形成して、気流搬送された石炭粉炭が通過しにくくして、シールガス45が無くてもショートパスが生じにくくすることが出来る。但しブレードガイド33の内周面の加工が必要となること、凸部43や凹部42と嵌め合うような突起等の相互の位置精度を向上が必要となることがあり、コストアップに配慮を行うことで対応が可能になる。
【0062】
また、上記各実施形態では、傾斜面が直線状に形成された例について説明したが、傾斜面は曲面状に形成されていてもよい。また、上記各実施形態では、シール部材とシール部材が固定される部材とが別体である例について説明したが、シール部材は、隙間を形成する部材と一体に設けられていてもよい。
【0063】
また、上述した各実施形態では、固体燃料として石炭を粉砕としたが、高品位炭や低品位炭、石油コークスなど他の固体燃料でも良く、石炭以外では再生可能な生物由来の有機性資源として使用されるバイオマスであってもよく、例えば間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ等及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などを粉砕することも可能である。