特許第6896434号(P6896434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896434
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20210621BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20210621BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20210621BHJP
【FI】
   A01B69/00 303M
   A01B69/00 303V
   A01C11/02 331D
   G05D1/02 N
【請求項の数】6
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-10685(P2017-10685)
(22)【出願日】2017年1月24日
(65)【公開番号】特開2018-117560(P2018-117560A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮本 惇平
(72)【発明者】
【氏名】久保田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 竣也
(72)【発明者】
【氏名】石見 憲一
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−180894(JP,A)
【文献】 特開昭56−140406(JP,A)
【文献】 特開2004−057012(JP,A)
【文献】 特開2016−189051(JP,A)
【文献】 特開2004−254553(JP,A)
【文献】 実開平06−017411(JP,U)
【文献】 特開昭63−039504(JP,A)
【文献】 特開平11−225508(JP,A)
【文献】 特開2003−301940(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0261146(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/009688(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
A01C 11/02
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に対して作業を行う作業装置と、走行機体の位置を検出する測位部と、
前記走行機体が走行する作業走行ラインを取得する作業走行ライン取得部とが備えられ、
前記走行機体の位置に基づいて、前記走行機体が事前に設定された第1設定速度で前記作業走行ラインに沿って走行するように、前記走行機体の走行用の変速装置の操作及び前記走行機体のステアリング操作を自動的に行う自動走行制御部が備えられて、
人為的に操作される変速操作具が備えられ、
前記自動走行制御部の作動状態において、前記変速操作具の前進側の操作領域で前記変速操作具が操作されると、前記自動走行制御部に優先して、前記変速操作具の操作位置に対応する変速位置に前記変速装置が操作されて残され、運転者により操作部が操作されると、前記自動走行制御部により前記第1設定速度で走行する状態に復帰する作業車。
【請求項2】
人為的に操作されるステアリング操作具が備えられて、
前記自動走行制御部の作動状態において、前記ステアリング操作具が操作されると、前記自動走行制御部に優先して、前記ステアリング操作具により前記ステアリング操作が行われる請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記作業走行ラインの端部と次の前記作業走行ラインの端部とを接続する旋回ラインを取得する旋回ライン取得部と、
前記走行機体の位置に基づいて、前記走行機体が事前に設定された第2設定速度で前記旋回ラインに沿って走行するように、前記変速装置の操作及び前記ステアリング操作を自動的に行う自動旋回制御部とが備えられ、
前記走行機体が前記旋回ラインに位置していると、前記変速操作具による前記変速装置の操作を阻止する変速牽制部が備えられている請求項1又は2に記載の作業車。
【請求項4】
前記第2設定速度が前記第1設定速度よりも低速に設定されて、
前記走行機体の前記作業走行ラインから前記旋回ラインへの移行において、前記変速装置を前記第1設定速度から前記第2設定速度に徐々に自動的に減速する自動減速部が備えられ、
前記変速牽制部は、
前記自動減速部の作動状態において、前記変速操作具による前記変速装置の操作を阻止する請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記作業装置が圃場に対して作業を行わない非作業状態に操作されると、前記自動走行制御部を停止させる停止部が備えられている請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項6】
前記作業装置が圃場に対して作業を行わない非作業状態に操作されると、前記作業装置が非作業状態に操作されたときの前記走行機体の位置を記憶する位置記憶部が備えられている請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場で作業を行う作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場で作業を行う作業車の一例である乗用型田植機では、特許文献1に開示されているように、圃場において一方の畦から他方の畦に向って略直進して走行しながら、苗植付装置による苗の植え付け等の作業走行が行われる。次に走行機体が他方の畦に達すると、作業走行を中断して他方の畦際での旋回を行い、他方の畦から一方の畦に向って次の作業走行を開始するのであり、作業走行及び旋回を繰り返している。
【0003】
特許文献1では、苗植付装置による苗の植え付けを行いながら走行機体が走行する作業走行ラインが、一方の畦と他方の畦とに亘って設定され、走行機体の位置を検出する測位部が走行機体に備えられており、走行機体の位置に基づいて、走行機体が設定速度で作業走行ラインに沿って自動的に走行するように構成されている。これにより、運転者の負担が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−92818号公報(図7参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、走行機体が作業走行ラインに沿って走行する場合、走行機体が事前に設定された一定の設定速度で走行するように、走行機体の走行用の変速装置が自動的に操作される。
この場合、走行機体が設定速度で走行する状態として、変速装置が設定速度に対応する変速位置に操作されて保持される状態や、走行機体の走行速度を検出する速度センサーを備えて、速度センサーの検出値が設定速度となるように、変速装置が自動的に操作される状態等がある。
【0006】
これに対して圃場では、泥の深さや泥の硬さ、土の硬さ、作物の生育状態等の各種の条件により、圃場ごとに状態が異なることがある。これにより、走行機体が設定速度で作業走行ラインに沿って走行する場合、一つの圃場では作業に適した設定速度となっても、別の圃場では作業に適さない設定速度となることがある。
【0007】
本発明は、走行機体の位置を検出する測位部を備え、走行機体の位置に基づいて走行機体が作業走行ラインに沿って走行する作業車において、圃場の状態に対応して適切に作業が行えるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の作業車は、
圃場に対して作業を行う作業装置と、走行機体の位置を検出する測位部と、
前記走行機体が走行する作業走行ラインを取得する作業走行ライン取得部とが備えられ、
前記走行機体の位置に基づいて、前記走行機体が事前に設定された第1設定速度で前記作業走行ラインに沿って走行するように、前記走行機体の走行用の変速装置の操作及び前記走行機体のステアリング操作を自動的に行う自動走行制御部が備えられて、
人為的に操作される変速操作具が備えられ、
前記自動走行制御部の作動状態において、前記変速操作具の前進側の操作領域で前記変速操作具が操作されると、前記自動走行制御部に優先して、前記変速操作具の操作位置に対応する変速位置に前記変速装置が操作されて残され、運転者により操作部が操作されると、前記自動走行制御部により前記第1設定速度で走行する状態に復帰する。
【0009】
本発明によると、自動走行制御部により、変速装置の操作及びステアリング操作が行われて、走行機体が第1設定速度で作業走行ラインに沿って走行している状態において、圃場の状態等により、運転者が走行機体の走行速度を変更する必要があると考えた場合、運転者は変速レバーや変速ペダル等の変速操作具を操作すればよい。
【0010】
本発明によると、自動走行制御部の作動状態において、運転者が変速操作具を操作すれば、自動走行制御部に優先して、変速操作具の操作位置に対応する変速位置に変速装置が操作されるのであり、運転者の所望の走行速度で、走行機体を作業走行ラインに沿って走行させることができる。
これにより、圃場の状態が変化しても、運転者の判断により走行機体を適切な走行速度で作業走行ラインに沿って走行させることができるようになって、作業車の作業性能の向上を図ることができる。
【0011】
本発明において、
人為的に操作されるステアリング操作具が備えられて、
前記自動走行制御部の作動状態において、前記ステアリング操作具が操作されると、前記自動走行制御部に優先して、前記ステアリング操作具により前記ステアリング操作が行われると好適である。
【0012】
本発明によると、自動走行制御部により変速装置の操作及びステアリング操作が行われて、走行機体が第1設定速度で作業走行ラインに沿って走行している状態において、圃場の状態等により、運転者が走行機体の向きを変更する必要があると考えた場合や、障害物を回避する必要がある場合、運転者は操縦ハンドルや操縦レバー等のステアリング操作具を操作すればよい。
【0013】
本発明によると、自動走行制御部の作動状態において、運転者がステアリング操作具を操作すれば、自動走行制御部に優先して、ステアリング操作が行われるのであり、走行機体の向きの変更や障害物の回避等を無理なく適切に行うことができる。
【0014】
本発明において、
前記作業走行ラインの端部と次の前記作業走行ラインの端部とを接続する旋回ラインを取得する旋回ライン取得部と、
前記走行機体の位置に基づいて、前記走行機体が事前に設定された第2設定速度で前記旋回ラインに沿って走行するように、前記変速装置の操作及び前記ステアリング操作を自動的に行う自動旋回制御部とが備えられ、
前記走行機体が前記旋回ラインに位置していると、前記変速操作具による前記変速装置の操作を阻止する変速牽制部が備えられていると好適である。
【0015】
特許文献1に開示されているように、作業車では一般に、作業走行と旋回とを繰り返す状態となることが多い。
本発明によれば、作業走行ラインの端部と次の作業走行ラインの端部とを接続する旋回ラインを取得する旋回ライン取得部、及び、自動旋回制御部を備えており、走行機体が第2設定速度で旋回ラインに沿って自動的に走行(旋回)するのであり、運転者の負担が軽減される。
【0016】
旋回においては、走行機体の向きが連続して変化しいくので、旋回中に走行機体の走行速度が人為的に変更されると、走行機体の走行(旋回)が不安定な状態になる可能性がある。
【0017】
これに対して、本発明によると、自動旋回制御部により、変速装置の操作及びステアリング操作が行われて、走行機体が第2設定速度で旋回ラインに沿って走行(旋回)している状態において、前述のような変速操作具による変速装置の操作は行われず、走行機体は第2設定速度での走行(旋回)を維持するので、走行機体の走行(旋回)が安定して行われる。
【0018】
本発明において、
前記第2設定速度が前記第1設定速度よりも低速に設定されて、
前記走行機体の前記作業走行ラインから前記旋回ラインへの移行において、前記変速装置を前記第1設定速度から前記第2設定速度に徐々に自動的に減速する自動減速部が備えられ、
前記変速牽制部は、
前記自動減速部の作動状態において、前記変速操作具による前記変速装置の操作を阻止すると好適である。
【0019】
比較的直線である作業走行ラインに対して、旋回ラインは曲がっているので、比較的低速で旋回を行うことが好ましい。
本発明によると、走行機体の作業走行ラインから旋回ラインへの移行において、変速装置が第1設定速度から第2設定速度に徐々に自動的に減速されるので、走行機体は作業走行ラインから旋回ラインに安定して移行することができる。
【0020】
この場合、本発明によると、第1設定速度から第2設定速度への減速の際に、前述のような変速操作具による変速装置の操作は行われないのであり、変速装置の第1設定速度から第2設定速度への減速が安定して行われる。
【0021】
本発明において、
前記作業装置が圃場に対して作業を行わない非作業状態に操作されると、前記自動走行制御部を停止させる停止部が備えられていると好適である。
【0022】
作業車において通常作業以外の補助作業を行う必要が生じた場合、作業装置を非作業状態に操作して、補助作業を行うことがあり、補助作業として、例えば苗や肥料、燃料等の資材の補給があり、作業装置の調整等がある。
本発明によると、作業装置が非作業状態に操作されると、自動走行制御部が停止するので、この後の補助作業を無理なく行うことができる。
【0023】
圃場で作業を行う作業車として、乗用型田植機や乗用型直播機、コンバイン、トラクタ等がある。
乗用型田植機及び乗用型直播機において、作業装置の作業状態とは、苗植付装置(作業装置に相当)及び直播装置(作業装置に相当)が圃場に下降操作されて、苗植付装置及び直播装置が作動した状態と考えられる。作業装置の非作業状態とは、苗植付装置及び直播装置が停止した状態で、苗植付装置及び直播装置が圃場から上昇操作された状態(又は圃場に下降操作された状態)と考えられる。
【0024】
コンバインにおいて、作業装置の作業状態とは、刈取部(作業装置に相当)が圃場に下降操作されて、刈取部が作動した状態と考えられる。作業装置の非作業状態とは、刈取部が作動した状態(又は停止した状態)で、刈取部が圃場から上昇操作された状態と考えられる。
【0025】
トラクタにおいて、作業装置の作業状態とは、ロータリ耕耘装置(作業装置に相当)が圃場に下降操作されて、ロータリ耕耘装置が作動した状態と考えられる。作業装置の非作業状態とは、ロータリ耕耘装置が停止した状態(又は作動した状態)で、ロータリ耕耘装置が圃場から上昇操作された状態と考えられる。
【0026】
本発明において、
前記作業装置が圃場に対して作業を行わない非作業状態に操作されると、前記作業装置が非作業状態に操作されたときの前記走行機体の位置を記憶する位置記憶部が備えられていると好適である。
【0027】
作業車において通常作業以外の補助作業を行う必要が生じた場合、作業装置を非作業状態に操作して、補助作業を行うことがあり、補助作業として、例えば苗や肥料、燃料等の資材の補給があり、作業装置の調整等がある。
この場合、作業装置を非作業状態に操作して作業を中断し、走行機体を例えば畦際に移動させて補助作業を行い、補助作業の終了後に、作業を中断した位置に走行機体を移動させて、作業を再開することがある。
【0028】
本発明によると、補助作業を行う為に作業装置を非作業状態に操作すると、作業装置が非作業状態に操作されたときの走行機体の位置が記憶される。
これにより、作業装置を非作業状態に操作して作業を中断し、走行機体を例えば畦際に移動させて補助作業を行った場合、作業装置が非作業状態に操作されたときの走行機体の位置が記憶されるので、作業を中断した位置に走行機体を無理なく的確に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】乗用型田植機の全体側面図である。
図2】乗用型田植機の全体平面図である。
図3】前輪の操向操作系、前輪及び後輪への伝動系を示す概略平面図である。
図4】制御装置と各部との連係状態を示す図である。
図5】作業走行ライン及び旋回ラインの設定状態を示す平面図である。
図6】作業走行ライン及び旋回ラインの設定状態を示す平面図である。
図7】作業走行ライン及び旋回ラインの設定状態を示す平面図である。
図8】走行機体の作業走行ライン及び旋回ラインに沿っての走行状態を示す平面図である。
図9】走行機体の作業走行ライン及び旋回ラインに沿っての走行状態を示す平面図である。
図10】走行機体の作業走行ライン及び旋回ラインに沿っての走行状態を示す平面図である。
図11】走行機体の回り作業走行での走行状態を示す平面図である。
図12図7に示す状態とは異なる作業走行ライン及び旋回ラインの設定状態を示す平面図である。
図13】走行機体の作業走行ラインから旋回ラインへの移行状態、及び、旋回ラインから作業走行ラインへの移行状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態において、圃場(水田)で植付作業を行う作業車の一例である6条植え型式の乗用型田植機が示されている。
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。走行機体50の走行時における前進側の進行方向が「前」であり、後進側の進行方向が「後」である。前後方向での前向き姿勢を基準として右側に相当する方向が「右」であり、左側に相当する方向が「左」である。
【0031】
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び図2に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2を備えた走行機体50の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられ、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されている。
【0032】
図1及び図2に示すように、苗植付装置5は、左右方向に所定間隔を置いて配置された植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の右及び左側部に回転自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた一対の植付アーム8、フロート9及び苗のせ台10等を備えている。
【0033】
図1及び図4に示すように、右及び左のマーカー19が苗植付装置5の右及び左側部に備えられており、圃場に接地する作用姿勢(図1参照)、及び圃場から上方に離れた格納姿勢(図4参照)に変更自在である。右及び左のマーカー19は上下に揺動自在に苗植付装置5に支持されたアーム部19aと、アーム部19aの先端部に自由回転自在に支持された回転体19bとを備えており、右及び左のマーカー19を作用姿勢及び格納姿勢に操作する電動モータ21が備えられている。
【0034】
(前輪及び後輪への伝動系)
図1及び図3に示すように、走行機体50の前部に備えられたエンジン31の動力が、伝動ベルト32を介して静油圧式の無段変速装置33(走行用の変速装置に相当)、及びミッションケース34に伝達され、ミッションケース34の内部の副変速装置(図示せず)から、前輪デフ機構(図示せず)及び前車軸ケース35の内部の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の前輪1に伝達される。
【0035】
図1及び図3に示すように、副変速装置の動力が伝動軸36、後車軸ケース37の入力軸38、入力軸38に固定されたベベルギヤ38a、ベベルギヤ38aに咬合するベベルギヤ39a、ベベルギヤ39aが固定された伝動軸39、右及び左のサイドクラッチ40を介して、右及び左の後輪2に伝達される。
【0036】
図1,2,4に示すように、操縦ハンドル20の左の横側に、変速レバー45(変速操作具に相当)が備えられており、変速レバー45と無段変速装置33とが、連係機構(図示せず)を介して機械的に接続されている。変速レバー45により、無段変速装置33を中立位置Nから前進側F及び後進側Rに無段階に操作することができる。
【0037】
図3に示すように、ミッションケース34の下部の縦軸芯P2周りに、操向部材41が揺動自在に支持され、操向部材41と右及び左の前輪1とに亘ってタイロッド42が接続されている。図1及び図2に示すように、運転座席13の前側に操縦ハンドル20(ステアリング操作具に相当)が備えられて、操縦ハンドル20と操向部材41とが、ステアリング軸11(図4参照)を介して機械的に接続されている。
【0038】
これにより、図3及び図4に示すように、操縦ハンドル20により操向部材41が揺動操作されるのであり、操縦ハンドル20を操作することによって、右及び左の前輪1を直進位置A1から、右及び左の操向限度A3に亘ってステアリング操作することができる。
【0039】
図3に示すように、右及び左のサイドクラッチ40は摩擦多板式であり、バネ(図示せず)により伝動状態に付勢されている。右及び左のサイドクラッチ40をバネに抗して遮断状態に操作する右及び左の操作軸43が、後車軸ケース37に下向きに支持されて、操向部材41と右及び左の操作軸43とに亘って、右及び左の操作ロッド44が接続されている。右及び左の操作ロッド44において右及び左の操作軸43との接続部分に、融通としての長孔44aが備えられている。
【0040】
図3に示すように、右及び左の前輪1が直進位置A1、右及び左の設定角度A2の範囲にステアリング操作されていると、右及び左の操作ロッド44の長孔44aの融通によって、右及び左のサイドクラッチ40は伝動状態に操作されている。これにより、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2(右及び左のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達された状態で、走行機体50は前進(後進)する。
【0041】
図3に示すように、右及び左の前輪1が右の設定角度A2を越えて右の操向限度A3側にステアリング操作されると、右の操作ロッド44の長孔44aの範囲を越えて右の操作ロッド44が引き操作されることになり、右の操作軸43により右のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される。
これにより、右及び左の前輪1、左の後輪2(旋回外側)(左のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達され、右の後輪2(旋回中心側)(右のサイドクラッチ40の遮断状態)が自由回転する状態で、走行機体50は右に旋回する。
【0042】
図3に示すように、右及び左の前輪1が左の設定角度A2を越えて左の操向限度A3側にステアリング操作されると、左の操作ロッド44の長孔44aの範囲を越えて左の操作ロッド44が引き操作されることになり、左の操作軸43により左のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される。
これにより、右及び左の前輪1、右の後輪2(旋回外側)(右のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達され、左の後輪2(旋回中心側)(左のサイドクラッチ40の遮断状態)が自由回転する状態で、走行機体50は左に旋回する。
【0043】
図3に示すように、右及び左の前輪1が右(左)の操向限度A3側から右(左)の設定角度A2を越えて直進位置A1側にステアリング操作されると、遮断状態に操作されていた右(左)のサイドクラッチ40が伝動状態に操作されて、右及び左のサイドクラッチ40が伝動状態に操作された状態に復帰する。
【0044】
(苗植付装置への伝動系)
図1及び図4に示すように、ミッションケース34において、副変速装置の直前から分岐した動力が、植付クラッチ26及びPTO軸25を介して苗植付装置5に伝達されており、植付クラッチ26を伝動及び遮断状態に操作する電動モータ28が備えられている。
【0045】
図1及び図2に示すように、植付クラッチ26が伝動状態に操作されると、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が図1の紙面反時計方向に回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して圃場に植え付ける。植付クラッチ26が遮断状態に操作されると、苗のせ台10及び回転ケース7が停止する。
【0046】
(苗植付装置の自動昇降制御)
図4に示すように、苗植付装置5の横軸芯P1周りに、中央のフロート9の後部が上下に揺動自在に支持されて、苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さを検出するポテンショメータ型式の高さセンサー22が備えられており、高さセンサー22の検出値が制御装置23に入力されている。走行機体50の進行に伴って中央のフロート9が圃場に接地追従するのであり、高さセンサー22の検出値により、圃場(中央のフロート9)から苗植付装置5までの高さを検出することができる。
【0047】
図4に示すように、昇降操作部57がソフトウェアとして制御装置23に備えられており、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する制御弁24が、昇降操作部57により操作される。制御弁24が上昇位置に操作されると、油圧シリンダ4に作動油が供給され、油圧シリンダ4が収縮作動して、苗植付装置5が上昇する。制御弁24が下降位置に操作されると、油圧シリンダ4から作動油が排出され、油圧シリンダ4が伸長作動して、苗植付装置5が下降する。
【0048】
図4に示すように、自動昇降制御の作動状態において、圃場から苗植付装置5までの高さに基づいて、苗植付装置5が圃場から設定高さに維持されるように、昇降操作部57により制御弁24が操作されて、油圧シリンダ4が伸縮作動し、苗植付装置5が自動的に昇降する。これにより、苗の植付深さが設定深さに維持される。
【0049】
(操作レバー)
図1,2,4に示すように、操縦ハンドル20の下側の右の横側に操作レバー12が備えられて、操作レバー12が右の横外側に延出されている。操作レバー12は中立位置N1から上側の第1上昇位置UU1、第2上昇位置UU2、下側の第1下降位置DD1、第2下降位置DD2、後側の右マーカー位置MR及び前側の左マーカー位置MLの十字方向に操作自在に構成されて、中立位置N1に付勢されており、操作レバー12の操作位置が制御装置23に入力されている。
【0050】
図4に示すように、走行機体50に対するリンク機構3の上下角度を検出する角度センサー29が備えられて、角度センサー29の検出値が制御装置23に入力されている。クラッチ操作部58及びマーカー操作部59が、ソフトウェアとして制御装置23に備えられている。
【0051】
後述する(操作レバーの操作に基づく各部の作動)に記載のように、操作レバー12の操作に基づいて、昇降操作部57により制御弁24が上昇、中立及び下降位置に操作されるのであり、前述の苗植付装置5の自動昇降制御が作動状態及び停止状態となる。
【0052】
後述する(操作レバーの操作に基づく各部の作動)に記載のように、操作レバー12の操作に基づいて、クラッチ操作部58により電動モータ28が作動して、植付クラッチ26が伝動状態及び遮断状態に操作されるのであり、マーカー操作部59により電動モータ21が作動して、右及び左のマーカー19が作用姿勢及び格納姿勢に操作される。
【0053】
(操作レバーの操作に基づく各部の作動)
図4に示すように、操作レバー12を第2上昇位置UU2に操作すると、植付クラッチ26が遮断状態に操作され、苗植付装置5の自動昇降制御が停止状態となり、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作され、制御弁24が上昇位置に操作されて、油圧シリンダ4が収縮作動して苗植付装置5が上昇する。苗植付装置5が上限位置に達したことが角度センサー29により検出されると、制御弁24が中立位置に操作されて、油圧シリンダ4が停止する。
【0054】
図4に示すように、操作レバー12を第2下降位置DD2に操作すると、植付クラッチ26が遮断状態に操作され、苗植付装置5の自動昇降制御が停止状態となり、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態で、制御弁24が下降位置に操作されて、油圧シリンダ4が伸長作動して苗植付装置5が下降する。中央のフロート9が圃場に接地すると、苗植付装置5の自動昇降制御により、苗植付装置5が圃場に接地して停止した状態となる。操作レバー12を再び第2下降位置DD2に操作すると、苗植付装置5の自動昇降制御の作動状態で、植付クラッチ26が伝動状態に操作される。
【0055】
苗植付装置5の自動昇降制御の停止状態で、植付クラッチ26が遮断状態に操作され、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態において、図4に示すように、操作レバー12を第1上昇位置UU1に操作すると、制御弁24が上昇位置に操作され、油圧シリンダ4が収縮作動して、操作レバー12が第1上昇位置UU1に操作されている間だけ苗植付装置5が上昇する。操作レバー12を中立位置N1に操作すると、制御弁24が中立位置に操作されて苗植付装置5の上昇が停止する。
【0056】
苗植付装置5の自動昇降制御の停止状態で、植付クラッチ26が遮断状態に操作され、右及び左のマーカー19が格納姿勢に操作された状態において、図4に示すように、操作レバー12を第1下降位置DD1に操作すると、制御弁24が下降位置に操作され、油圧シリンダ4が伸長作動して、操作レバー12が第1下降位置DD1に操作されている間だけ苗植付装置5が下降する。操作レバー12を中立位置N1に操作すると、制御弁24が中立位置に操作されて苗植付装置5の下降が停止する。
【0057】
以上のように操作レバー12を第1上昇位置UU1及び第1下降位置DD1に操作している間だけ、苗植付装置5を上昇及び下降させることができるのであり、苗植付装置5を任意の高さに上昇及び下降させて停止させることができる。
【0058】
図4に示すように、操作レバー12を右マーカー位置MRに操作すると、右のマーカー19が作用姿勢に操作される。操作レバー12を左マーカー位置MLに操作すると、左のマーカー19が作用姿勢に操作される。
【0059】
(走行機体の位置及び走行機体の方位の検出の構成)
図1及び図2に示すように、走行機体50の前部の右部及び左部に右及び左の支持フレーム16が備えられており、支持フレーム16に予備苗のせ台15が支持されている。右及び左の支持フレーム16の上部に亘って、支持フレーム17が連結されている。
【0060】
図1及び図2に示すように、支持フレーム17において、平面視で走行機体50の左右中央CLに位置する部分に、計測装置30(測位部に相当)が取り付けられている。計測装置30には、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(図示せず)、走行機体50の傾き(ピッチ角、ロール角)を検出する慣性計測装置(図示せず)が備えられており、計測装置30は走行機体50の位置を示す測位データを出力する。
【0061】
図1及び図2に示すように、後車軸ケース37において平面視で走行機体50の左右中央CLに位置する部分に、慣性情報を計測する慣性計測装置48が取り付けられている。慣性計測装置48及び計測装置30の慣性計測は、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
【0062】
前述の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satelite System)には、代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)が挙げられる。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(走行機体50)が備える受信装置を使用して、計測装置30の受信装置の位置を計測するものである。
【0063】
慣性計測装置48は、走行機体50のヨー角度(走行機体50の旋回角度)の角速度を検出可能なジャイロセンサー(図示せず)、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度センサー(図示せず)を備えている。慣性計測装置48により計測される慣性情報には、ジャイロセンサーにより検出される方位変化情報と、加速度センサーにより検出される位置変化情報とが含まれている。
これにより、計測装置30及び慣性計測装置48によって、走行機体50の位置及び走行機体50の方位が検出される。
【0064】
(走行機体の自動走行に関する構成)
図1,2,4に示すように、変速レバー45の操作位置が制御装置23に入力されている。走行機体50の前部において平面視で走行機体50の左右中央CLの位置に、センターマスコット14が備えられている。操縦ハンドル20(操向部材41)を操作する操向モータ51が備えられ、変速レバー45を操作する変速モータ53が備えられている。
【0065】
図4に示すように、運転者が携帯するスマートフォン46(携帯情報端末)に対応するWi−Fiユニット47が走行機体50に備えられている。スマートフォン46とWi−Fiユニット47とはWi−Fi規格により相互に無線通信するのであり、Wi−Fiユニット47と制御装置23とはCANにより接続されている。スマートフォン46と外部のコンピュータ49とは、インターネットを介した無線のデータ通信により相互に通信することができる。
【0066】
図4に示すように、畦位置取得部52、自動減速部54、作業走行ライン取得部55、旋回ライン取得部56、制御部60、作業走行ライン設定部61、自動走行制御部62、旋回ライン設定部63、自動旋回制御部64、表示制御部65、変速牽制部66が、停止部67、位置記憶部68が、ソフトウェアとして制御装置23に備えられている。
【0067】
図2及び図4に示すように、自動走行制御部62及び自動旋回制御部64を作動状態及び停止状態に人為的に操作する押しボタン型式の操作部18が、変速レバー45の握り部に備えられており、操作部18の操作信号が制御装置23に入力される。操縦ハンドル20の前側に、液晶ディスプレイ等により構成された表示装置27が備えられている。
【0068】
(畦際ラインの位置データの取得)
図5に示すように、例えば畦B1,B2,B3,B4を備えた圃場において、畦B1〜B4の畦際ラインB11,B21,B31,B41の位置データ、及び、圃場の出口B23の位置データを、例えば以下の(1)〜(5)に示す方法のうちのいずれか一つ(又は複数)によって事前に得て、コンピュータ49に記憶しておく。
【0069】
(1)図1及び図2に示す計測装置30を走行機体50から取り外して、計測装置30を持った作業者が畦際ラインB11〜B41に沿って歩行することにより、計測装置30による作業者の位置を示す測位データを、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データとして得る。
【0070】
(2)図1及び図2に示す乗用型田植機(計測装置30が取り付けられた状態)を、畦際ラインB11〜B41に沿って走行させることにより、計測装置30による走行機体50の位置を示す測位データを、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データとして得る。
【0071】
この場合、走行機体50の左右中央CLに位置する部分に、計測装置30が取り付けられており、走行機体50(苗植付装置5)の外端部が、畦際ラインB11〜B41に位置するので、計測装置30による走行機体50の位置を示す測位データから、走行機体50(苗植付装置5)の横幅の1/2だけ外側の位置が、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データとなるように、補正が行われる。
【0072】
(3)同じ乗用型田植機(又は計測装置30を備えた別の乗用型田植機や乗用型播種機)が、過去に圃場を走行(作業)して、圃場を走行した走行機体50の位置を示す測位データを得ていた場合、この測位データを、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データとして利用する。この場合、前項(2)に記載の補正を行っておく。
【0073】
(4)計測装置30を備えたコンバインやトラクタ等の各種の作業車が、過去(又は現在)に圃場を走行(作業)して、圃場を走行した作業車の位置を示す測位データを得ていた場合、この測位データを、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データとして利用する。
【0074】
(5)畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データを記録した市販の記憶媒体が存在すれば、この記憶媒体を利用する。
【0075】
(作業走行ライン及び旋回ラインの設定)(その1)
図5に示すように、乗用型田植機が圃場の近傍に到着すると(走行機体50の位置K1)、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データがコンピュータ49からスマートフォン46に送信される。畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データが、スマートフォン46からWi−Fiユニット47に送信されて、Wi−Fiユニット47から制御装置23に送られる。
【0076】
図5に示す状態は、乗用型田植機が圃場の入口B22に位置した状態である。この場合に、乗用型田植機が圃場の入口B22に位置しなくても、乗用型田植機が圃場の入口B22以外の圃場の近傍に到着すれば、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データがコンピュータ49からスマートフォン46に送信される。
【0077】
これにより、畦際ラインB11〜B41が、畦B1〜B4の位置データとして、畦位置取得部52に取得されて記憶され、圃場の出口B23が、位置データとして、畦位置取得部52に取得されて記憶される。
【0078】
この場合、スマートフォン46と無線通信するWi−Fiユニット47を走行機体50に備えずに、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データが、コンピュータ49から制御装置23に直接に送られ、畦位置取得部52に取得されて記憶されるようにしてもよい。
【0079】
作業走行ライン設定部61及び旋回ライン設定部63により、畦際ラインB11〜B41の位置データ及び圃場の出口B23の位置データに基づいて、後述する(作業走行ライン及び旋回ラインの設定)(その2)、及び図5,6,7に示すように、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6の設定が行われる。圃場は、畦際ラインB11,B21が平行で、畦際ラインB31,B41が平行となるような、平面視で長方形状の圃場を想定している。
【0080】
この場合、図11に示すように、後述する回り作業走行LD1〜LD4において、最後の回り作業走行LD4を終了すると、走行機体50の向きを変更せずに、乗用型田植機が圃場の出口B23から出て行くことができるように、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6の設定が行われる。
【0081】
(作業走行ライン及び旋回ラインの設定)(その2)
図5に示すように、畦際ラインB11,B21から走行機体50(苗植付装置5)の横幅だけ圃場の中央側の位置に、畦際ラインB11,B21に沿って枕地ラインLA1,LA2が設定される。畦際ラインB31,B41から走行機体50(苗植付装置5)の横幅だけ圃場の中央側の位置に、畦際ラインB31,B41に沿って枕地ラインLB1,LB2が設定される。
【0082】
図6に示すように、作業走行ライン設定部61により、枕地ラインLA1,LA2との間において、複数の作業走行ラインLが、枕地ラインLB1,LB2と平行となり且つ互いに平行となるように所定間隔W1(走行機体50(苗植付装置5)の横幅)を置いて、枕地ラインLA1,LA2に亘って設定される。
【0083】
図7に示すように、作業走行ラインL01,L02,L03,L04,L05,L06,L07が設定され、作業走行ラインL01〜L07の向き(図7に示す作業走行ラインL01〜L07の矢印参照)が設定される。
【0084】
図7に示すように、作業走行ラインL01〜L07の始端部(一方の端部)が、作業開始位置C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7となる。作業走行ラインL01〜L07の終端部(他方の端部)が、作業終了位置D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7となる。最初に作業を開始する作業スタート位置は、位置K2となる。
【0085】
図7に示すように、作業終了位置D1と作業開始位置C2とを接続するように、平面視で円状の旋回ラインLL1が圃場に設定される。同様に、作業終了位置D2と作業開始位置C3、作業終了位置D3と作業開始位置C4、作業終了位置D4と作業開始位置C5、作業終了位置D5と作業開始位置C6、作業終了位置D6と作業開始位置C7とを接続するように、平面視で円状の旋回ラインLL2,LL3,LL4,LL5,LL6が設定される。
【0086】
これにより、作業開始位置C1〜C7及び作業終了位置D1〜D7、作業走行ラインL01〜L07、旋回ラインLL1〜LL6、計測装置30による走行機体50の位置が、表示制御部65により表示装置27(図4参照)に表示される。
【0087】
表示装置27に表示された作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6等について、運転者が問題は無いと判断すると、運転者は承認ボタン(図示せず)を押し操作する。これにより、作業走行ラインL01〜L07、作業開始位置C1〜C7及び作業終了位置D1〜D7の位置データが、位置データとして作業走行ライン取得部55に取得されて記憶される。同時に旋回ラインLL1〜LL6が、位置データとして旋回ライン取得部56に取得されて記憶される。
【0088】
図12に示すように、圃場に一つの出入口B24が存在する場合、後述する回り作業走行LD1〜LD4において、最後の回り作業走行LD4を終了すると、走行機体50の向きを変更せずに、乗用型田植機が圃場の出入口B24から出て行くことができるように、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6の設定が行われる。最初に作業を開始する作業スタート位置は、位置K10となる。
【0089】
(作業走行ライン及び旋回ラインに沿った走行機体の走行)(その1)
図7に示すように、作業開始位置C1〜C7及び作業終了位置D1〜D7、作業走行ラインL01〜L07、旋回ラインLL1〜LL6が設定された状態において、運転者が操作部18を操作することにより、自動走行制御部62によって、以下に示す操作が行われる。
【0090】
図8に示すように、走行機体50が位置K1に位置した状態において、運転者が操作部18を操作すると、計測装置30による走行機体50の位置及び慣性計測装置48による慣性情報により、変速モータ53(変速レバー45)及び操向モータ51(操縦ハンドル20)が操作される。
これにより、図8に示すように、走行機体50が位置K1を発進し、経路LC1に沿って走行して、最初に作業を開始する作業スタート位置としての位置K2で停止する。
【0091】
図8に示すように、走行機体50が位置K2に位置した状態において、運転者が操作部18を操作すると、後述するように、昇降操作部57により制御弁24が操作され、クラッチ操作部58により植付クラッチ26(電動モータ28)が操作され、マーカー操作部59により右及び左のマーカー19(電動モータ21)が操作され、表示制御部65により表示装置27が操作される。
【0092】
後述する(作業走行ライン及び旋回ラインに沿った走行機体の走行)(その2)に記載のように、計測装置30による走行機体50の位置及び慣性計測装置48による慣性情報に基づいて、制御部60、自動走行制御部62、自動旋回制御部64、自動減速部54により、変速レバー45(変速モータ53)及び操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作される。
【0093】
自動走行制御部62は、変速レバー45(変速モータ53)を、第1設定速度V1に対応する前進側Fの第1変速位置F1(図4参照)に操作して、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に沿って走行するように(計測装置30の位置が作業走行ラインL01〜L07に位置するように)、操縦ハンドル20(操向モータ51)を操作する。
【0094】
自動旋回制御部64は、変速レバー45(変速モータ53)を、第2設定速度V2に対応する前進側Fの第2変速位置F2(図4参照)に操作して、走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に沿って走行するように(計測装置30の位置が旋回ラインLL1〜LL6に位置するように)、操縦ハンドル20(操向モータ51)を操作する。
この場合、第2設定速度V2は第1設定速度V1よりも低速に設定されており、第2変速位置F2は第1変速位置F1よりも低速側(中立位置N側)である。
【0095】
自動走行制御部62が作動(自動旋回制御部64が停止)する作業モード、自動旋回制御部64が作動(自動走行制御部62が停止)する旋回モードが設定されている。制御部60は、作業モードへの切り換え、及び、旋回モードへの切り換えを行い、作業モード及び旋回モードでの自動走行制御部62及び自動旋回制御部64の牽制を行う。
【0096】
作業モードでは、走行機体50の走行速度が比較的高速で、前輪1のステアリング操作が直進位置A1付近の比較的小さな範囲で行われ、前輪1のステアリング操作の速度が比較的低速の状態が想定されている。
自動走行制御部62は、変速レバー45(変速モータ53)及び操縦ハンドル20(操向モータ51)を操作するのにあたり、前述の状態に適した制御機能が備えられている。
【0097】
旋回モードでは、走行機体50の走行速度が比較的低速で、前輪1のステアリング操作が右及び左の操向限度A3に亘る大きな範囲で行われ、前輪1のステアリング操作の速度が比較的高速の状態が想定されている。
自動旋回制御部64は、変速レバー45(変速モータ53)及び操縦ハンドル20(操向モータ51)を操作するのにあたり、前述の状態に適した制御機能が備えられている。
【0098】
(作業走行ライン及び旋回ラインに沿った走行機体の走行)(その2)
図8に示すように、走行機体50が位置K2に位置した状態において、運転者が操作部18を操作すると、作業モードに切り換えられる。
【0099】
これにより、変速レバー45(変速モータ53)が第1変速位置F1に操作されて走行機体50が発進し、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されて走行機体50が作業走行ラインL01に沿って走行するのであり、走行機体50の走行が開始されたことが、表示装置27に表示される。
【0100】
この場合、苗植付装置5(植付アーム8)が作業開始位置C1に達する少し前の位置から、苗植付装置5が圃場に下降操作され、苗植付装置5の自動昇降制御の作動状態となり(植付クラッチ26の遮断状態)、右のマーカー19が作用姿勢に操作される(左のマーカー19は格納姿勢)。苗植付装置5が圃場に下降操作されたこと、及び、右のマーカー19が作用姿勢に操作されたことが、表示装置27に表示される。
【0101】
図8から図9に示すように、苗植付装置5(植付アーム8)が作業開始位置C1に達すると、植付クラッチ26が伝動状態に操作されて、作業開始位置C1から苗の植え付けが開始される。苗の植え付けが開始されたことが、表示装置27に表示される。
【0102】
これにより図9に示すように、走行機体50が作業走行ラインL01に沿って走行しながら、苗の植え付けが行われるのであり、右のマーカー19により、作業走行ラインL02に対応する圃場の位置に指標が形成される(走行機体50の位置K3参照)。
【0103】
図9に示すように、苗植付装置5(植付アーム8)が作業終了位置D1に達すると、植付クラッチ26が遮断状態に操作され(苗の植え付けの停止)、苗植付装置5の自動昇降制御が停止状態となり、苗植付装置5が圃場から上昇操作されて、右のマーカー19が格納姿勢に操作される。
【0104】
これと並行して、走行機体50が作業終了位置D1に達することにより、走行機体50が作業走行ラインL01から旋回ラインLL1に移行することになり、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われる。これにより、変速レバー45(変速モータ53)が第2変速位置F2に操作されて、走行機体50が旋回ラインLL1に沿って走行(旋回)する(走行機体50の位置K4参照)。
苗の植え付けが停止して苗植付装置5が上昇操作されたこと、右のマーカー19が格納姿勢に操作されたこと、及び、右方向への旋回が開始されたことが、表示装置27に表示される。
【0105】
図9に示すように、旋回ラインLL1において(走行機体50の位置K4参照)、走行機体50が作業開始位置C2に達する少し前の位置から、苗植付装置5が圃場に下降操作され、苗植付装置5の自動昇降制御が作動状態となり(植付クラッチ26の遮断状態)、左のマーカー19が作用姿勢に操作される(右のマーカー19は格納姿勢)。苗植付装置5が圃場に下降操作されたこと、及び、左のマーカー19が作用姿勢に操作されたことが表示装置27に表示される。
【0106】
図9から図10に示すように、苗植付装置5(植付アーム8)が作業開始位置C2に達すると、植付クラッチ26が伝動状態に操作されて、作業開始位置C2から苗の植え付けが開始されるのであり、苗の植え付けが開始されたことが、表示装置27に表示される。
【0107】
これと並行して、走行機体50が作業開始位置C2に達することにより、走行機体50が旋回ラインLL1から作業走行ラインL02に移行することになり、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われて、変速レバー45(変速モータ53)が第1変速位置F1に操作され、走行機体50が作業走行ラインL02に沿って走行しながら、苗の植え付けが行われるのであり、左のマーカー19により、作業走行ラインL03に対応する圃場の位置に指標が形成される(走行機体50の位置K5参照)。
【0108】
以上の状態において、枕地ラインLA1,LA2,LB1,LB2、作業開始位置C1〜C7及び作業終了位置D1〜D7、作業走行ラインL01〜L07、旋回ラインLL1〜LL6、計測装置30により検出される走行機体50の位置が、表示装置27に表示されているのであり、表示装置27において、走行機体50が作業走行ラインL01,L02及び旋回ラインLL1に沿って移動する。
【0109】
前述のように、走行機体50が作業走行ラインL02に沿って走行する場合、前回の走行機体50の作業走行ラインL01に沿っての走行状態において、右のマーカー19により、作業走行ラインL02に対応する圃場の位置に指標が形成されている(図9の走行機体50の位置K3参照)。
これにより、運転者は、表示装置27を目視する同時に、センターマスコット14と、前述の作業走行ラインL02に対応する圃場の位置の指標とを目視することによって、走行機体50が作業走行ラインL02に沿って走行することを確認することができる。
【0110】
以上のようにして、図9,10,13に示すように、作業モード(自動走行制御部62)での走行機体50の作業走行ラインL01〜L07に沿っての走行、及び、旋回モード(自動旋回制御部64)での走行機体50の旋回ラインLL1〜LL6に沿っての走行(旋回)が行われる。
【0111】
この場合、センターマスコット14、右及び左のマーカー19を廃止して、右及び左のマーカー19による作業走行ラインL02〜L07に対応する圃場の位置の指標の形成が行われないようにしてもよい。この構成において運転者は、表示装置27を目視することで、走行機体50が作業走行ラインL02〜L07に沿って走行することを確認する。
【0112】
(畦際ライン及び枕地ラインに沿った走行機体の走行)
図11に示すように、走行機体50が作業走行ラインL07から作業終了位置D7に達して、作業走行ラインL01〜L07に沿っての走行を終了すると、走行機体50は作業終了位置D7で停止する。
【0113】
図11に示すように、走行機体50が作業終了位置D7で停止した状態において、運転者が操作部18を操作すると、計測装置30による走行機体50の位置及び慣性計測装置48による慣性情報により、変速レバー45(変速モータ53)及び操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されて、走行機体50が経路LC2に沿って走行し、走行機体50の向きの修正及び前後進が行われて、走行機体50が位置K6で停止する。
この後、走行機体50が位置K6に位置した状態において、回り作業を開始する為に、運転者が操作部18を操作する。
【0114】
図11に示すように、走行機体50が位置K6に位置した状態において、運転者が操作部18を操作すると、苗植付装置5が圃場に下降操作され、苗植付装置5の自動昇降制御が作動状態となり(植付クラッチ26の遮断状態)、右及び左のマーカー19は作用姿勢に操作されずに格納姿勢に保持される。苗植付装置5が圃場に下降操作されたことが、表示装置27に表示される。
【0115】
この後、図11に示すように、作業モードにより、変速レバー45(変速モータ53)が第1変速位置F1に操作されて、走行機体50が発進し、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されて、走行機体50が畦際ラインB41及び枕地ラインLB2に沿って走行する。走行機体50が発進するのと同時に、植付クラッチ26が伝動状態に操作されて、位置K6から苗の植え付けが開始される。苗の植え付けが開始されたことが、表示装置27に表示される。
これにより、図11に示すように、走行機体50が畦際ラインB41及び枕地ラインLB2に沿って走行しながら、苗の植え付けが行われる(回り作業走行LD1)。
【0116】
図11に示すように、回り作業走行LD1が終了して、走行機体50の前部が畦際ラインB21に達すると、植付クラッチ26が遮断状態に操作され(苗の植え付けの停止)、苗植付装置5の自動昇降制御が停止状態となり、苗植付装置5が圃場から上昇操作されるのであり、変速レバー45が中立位置Nに操作されて、走行機体50が停止する。
次に運転者が操作部18を操作すると、旋回モードにより、走行機体50の向きの修正及び前後進が行われて、走行機体50が位置K7で停止する。
【0117】
図11に示すように、走行機体50が位置K7に位置した状態において、運転者が操作部18を操作すると、前述の回り作業走行LD1と同様に苗植付装置5が圃場に下降操作され、苗植付装置5の自動昇降制御が作動状態となり(植付クラッチ26の遮断状態)、右及び左のマーカー19は作用姿勢に操作されずに格納姿勢に保持される。苗植付装置5が圃場に下降操作されたことが、表示装置27に表示される。
【0118】
この後に、作業モードにより、変速レバー45(変速モータ53)が第1変速位置F1に操作されて、走行機体50が発進し、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されて、走行機体50が畦際ラインB21及び枕地ラインLA2に沿って走行するのであり、走行機体50が発進するのと同時に、植付クラッチ26が伝動状態に操作されて、位置K7から苗の植え付けが開始される。苗の植え付けが開始されたことが、表示装置27に表示される。
これにより、図11に示すように、走行機体50が畦際ラインB21及び枕地ラインLA2に沿って走行しながら、苗の植え付けが行われる(回り作業走行LD2)。
【0119】
この後、図11に示すように、前述の回り作業走行LD1,LD2と同様に、作業モードにより、位置K8からの畦際ラインB31及び枕地ラインLB1に沿っての回り作業走行LD3、及び、位置K9からの畦際ラインB11及び枕地ラインLA1に沿っての回り作業走行LD4が行われるのであり、回り作業走行LD4が終了すると、乗用型田植機は圃場から出て行く。以上のようにして、一つの圃場の苗の植え付けを終了する。
【0120】
この場合、前述の(作業走行ライン及び旋回ラインの設定)(その1)(その2)に記載のように、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6の設定が行われている。これにより、最後の回り作業走行LD4を終了した際に、走行機体50の前方に圃場の出口B23が位置している状態となっており、最後の回り作業走行LD4から走行機体50の向きを変更せずに、乗用型田植機は圃場の出口B23から出て行くことができる。
【0121】
本項の(畦際ライン及び枕地ラインに沿った走行機体の走行)において、図11に示すように、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に沿っての走行を終了して、作業終了位置D7に達した場合、走行機体50が作業終了位置D7で停止せずに、この後の経路LC2に沿っての走行、回り作業走行LD1〜LD4、位置K6〜K9での走行機体50の向きの修正及び苗植付装置5(植付クラッチ26)の操作が、連続して自動的に行われて、圃場の出口B23の手前位置で走行機体50が停止するようにしてもよい。
【0122】
(走行機体の作業走行ラインから旋回ラインへの移行の詳細)
前述の(作業走行ライン及び旋回ラインに沿った走行機体の走行)(その2)において走行機体50が作業走行ラインL01〜L06から旋回ラインLL1〜LL6に移行する場合、各部が以下の説明のように作動している。
この各部の作動の状態について、図13に示すように、走行機体50の作業走行ラインL01から旋回ラインLL1への移行を例として説明する。
【0123】
作業モードにより、走行機体50が作業走行ラインL01に沿って走行している状態において、計測装置30により検出される走行機体50(計測装置30)の位置と作業終了位置D1の位置データとが認識されて、走行機体50(計測装置30)の位置から作業終了位置D1までの距離が検出されている。
【0124】
作業終了位置D1から所定距離だけ手前側の作業走行ラインL01の位置K11に、走行機体50(計測装置30)の位置が達すると、自動減速部54により、変速レバー45(変速モータ53)が第1変速位置F1から低速側に操作され始めて、走行機体50の走行速度が減速され始める。
走行機体50(計測装置30)の位置が作業終了位置D1に接近するほど、自動減速部54により変速レバー45(変速モータ53)が徐々に低速側に操作されて、走行機体50の走行速度が徐々に大きく減速される。
【0125】
走行機体50(計測装置30)の位置が認識されると、計測装置30から苗植付装置5(植付アーム8)までの長さ、及び、走行機体50の方位に基づいて、走行機体50(計測装置30)の位置を補正することによって、苗植付装置5(植付アーム8)の位置を認識することができる。
【0126】
走行機体50(計測装置30)の位置が作業終了位置D1に達すると、作業モードから旋回モードに切り換えられる。
走行機体50(計測装置30)の位置が作業終了位置D1に達すると、変速レバー45(変速モータ53)が第2変速位置F2に操作された状態となり、走行機体50が旋回ラインLL1に沿って走行(旋回)するように、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作される。
【0127】
この場合、右及び左の前輪1が右の設定角度A2を越えて右の操向限度A3側にステアリング操作されることにより、右のサイドクラッチ40が遮断状態に操作されて、右及び左の前輪1、左の後輪2に動力が伝達され、右の後輪2が自由回転する状態で、走行機体50が旋回ラインLL1に沿って走行(旋回)する(前述の(前輪及び後輪への伝動系)参照)。
【0128】
これと同時に苗植付装置5(植付アーム8)の位置が作業終了位置D1に達すると、植付クラッチ26が遮断状態に操作され(苗の植え付けの停止)、苗植付装置5の自動昇降制御が停止状態となり、苗植付装置5が圃場から上昇操作されて、右のマーカー19が格納姿勢に操作される。
【0129】
(走行機体の旋回ラインから作業走行ラインへの移行の詳細)
前述の(作業走行ライン及び旋回ラインに沿った走行機体の走行)(その2)において走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6から作業走行ラインL02〜L07に移行する場合、各部が以下の説明のように作動している。
この各部の作動の状態について、図13に示すように、走行機体50の旋回ラインLL1から作業走行ラインL02への移行を例として説明する。
【0130】
旋回モードにより、走行機体50が旋回ラインLL1に沿って走行(旋回)している状態において、苗植付装置5(植付アーム8)の位置が、作業開始位置C2よりも少し畦際ラインB11側の位置K12に達すると、苗植付装置5が圃場に下降操作され、苗植付装置5の自動昇降制御が作動状態となり(植付クラッチ26の遮断状態)、左のマーカー19が作用姿勢に操作される(右のマーカー19は格納姿勢)。
【0131】
走行機体50(計測装置30)の位置が作業開始位置C2に達すると、旋回モードから作業モードに切り換えられる。
この場合、右及び左の前輪1が右の設定角度A2を越えて直進位置A1側にステアリング操作され、右のサイドクラッチ40が伝動状態に操作されて、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2に動力が伝達されており、走行機体50は略直進状態となっている。
【0132】
苗植付装置5(植付アーム8)が作業開始位置C2に達すると、植付クラッチ26が伝動状態に操作されて、作業開始位置C2から苗の植え付けが開始される。これと同時に、変速レバー45(変速モータ53)が第2変速位置F2から第1変速位置F1に操作され始めて、走行機体50の走行速度が増速され始めるのであり、作業走行ラインL01に少し入った位置で、変速レバー45(変速モータ53)が第1変速位置F1に戻し操作される。
【0133】
(作業モードでの手動操作)
前述のように、作業走行ラインL01〜L07において、作業モードが設定されて、自動走行制御部62が作動している。
自動走行制御部62により、変速レバー45(変速モータ53)が第1変速位置F1(第1設定速度V1)に操作されて、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に沿って走行するように(計測装置30の位置が作業走行ラインL01〜L07に位置するように)、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されている。
【0134】
作業モードにおいて、運転者が変速レバー45を操作すると、変速モータ53が逆駆動される状態となり、この状態が変速モータ53の電流値の変化によって検出される。運転者が変速レバー45を操作したことが検出されると、制御部60により自動走行制御部62の変速機能が一時停止される。
これにより、運転者は自動走行制御部62の変速機能に優先して、変速レバー45を第1変速位置F1から高速側及び低速側の別の変速位置に任意に操作することができる(以下、自動走行制御部62の変速機能の一時停止状態と称する)。
【0135】
作業モードにおいて、運転者が操縦ハンドル20を操作すると、操向モータ51が逆駆動される状態となり、この状態が操向モータ51の電流値の変化によって検出される。運転者が操縦ハンドル20を操作したことが検出されると、制御部60により自動走行制御部62のステアリング機能が一時停止される。
これにより、運転者は自動走行制御部62のステアリング機能に優先して、操縦ハンドル20を任意に操作することができる(以下、自動走行制御部62のステアリング機能の一時停止状態と称する)。
【0136】
自動走行制御部62の変速機能の一時停止状態、及び、自動走行制御部62のステアリング機能の一時停止状態は、各々が独立しており、一方の一時停止状態が生じたり、両方の一時停止状態が生じたりする。
【0137】
自動走行制御部62の変速機能の一時停止状態において、運転者が操作部18を操作すると、自動走行制御部62の変速機能が復帰して、変速レバー45(変速モータ53)が第1変速位置F1(第1設定速度V1)に操作される。
【0138】
自動走行制御部62のステアリング機能の一時停止状態において、運転者が操作部18を操作すると、自動走行制御部62のステアリング機能が復帰して、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に沿って走行するように、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作される。
【0139】
(自動減速部の作動状態での手動操作)
前述の(走行機体の作業走行ラインから旋回ラインへの移行の詳細)の記載及び図13に示すように、位置K11から作業終了位置D1において、自動減速部54により、変速レバー45(変速モータ53)が第1変速位置F1から第2変速位置F2に操作される(自動減速部54の作動状態)。
【0140】
前述の自動減速部54の作動状態において、運転者が変速レバー45を操作しようとしても、変速牽制部66により変速モータ53の駆動力が高められており、運転者は変速モータ53に抗して変速レバー45を操作することができない。
【0141】
同様に前述の自動減速部54の作動状態において、運転者が操縦ハンドル20を操作しようとしても、変速牽制部66により操向モータ51の駆動力が高められており、運転者は操向モータ51に抗して操縦ハンドル20を操作することができない。
【0142】
図13に示すように、走行機体50(計測装置30)の位置が位置K11に達する前において、自動走行制御部62の変速機能の一時停止状態となっていた場合、走行機体50(計測装置30)の位置が位置K11に達すると、自動走行制御部62の変速機能が復帰し、変速牽制部66により運転者が変速モータ53に抗して変速レバー45を操作することができない状態となる。次に自動減速部54により、運転者によって操作された変速レバー45の変速位置から、変速レバー45(変速モータ53)が第2変速位置F2に操作される。
【0143】
この場合、運転者によって操作された変速レバー45の変速位置が第2変速位置F2よりも低速であると、自動減速部54による変速レバー45(変速モータ53)の操作は行われず、運転者によって操作された変速レバー45の変速位置が維持された状態で、旋回モードに入り、運転者によって操作された変速レバー45の変速位置で、自動旋回制御部64による走行機体50の走行(旋回)が行われる。
【0144】
図13に示すように、走行機体50(計測装置30)の位置が位置K11に達する前において、自動走行制御部62のステアリング機能の一時停止状態となっていた場合、走行機体50(計測装置30)の位置が位置K11に達すると、自動走行制御部62のステアリング機能が復帰し、変速牽制部66により運転者が操向モータ51に抗して操縦ハンドル20を操作することができない状態となる。
【0145】
(旋回モードでの手動操作)
前述のように、旋回ラインLL1〜LL6において、旋回モードが設定されて、自動旋回制御部64が作動している。
自動旋回制御部64により、変速レバー45(変速モータ53)が第2変速位置F2(第2設定速度V2)に操作されて、走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に沿って走行(旋回)するように(計測装置30の位置が旋回ラインLL1〜LL6に位置するように)、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されている。
【0146】
旋回モードにおいて、運転者が変速レバー45を操作しようとしても、変速牽制部66により変速モータ53の駆動力が高められており、運転者は変速モータ53に抗して変速レバー45を操作することができない。
【0147】
旋回モードにおいて、運転者が操縦ハンドル20を操作しようとしても、変速牽制部66により操向モータ51の駆動力が高められており、運転者は操向モータ51に抗して操縦ハンドル20を操作することができない。
【0148】
(作業モードでの操作レバーの操作)(その1)
作業モード(作業走行ラインL01〜L07)において、苗のせ台10の苗が少なくなって、予備苗のせ台15の苗を苗のせ台10に補給する必要が生じた場合、運転者は、変速レバー45を中立位置Nに操作して走行機体50を停止させると同時に、操作レバー12を操作して苗植付装置5を圃場から上昇させる(前述の(操作レバー)(操作レバーの操作に基づく各部の作動)参照)(作業装置を非作業状態に操作する状態に相当)。
【0149】
これにより、運転者は予備苗のせ台15から苗を取り出して苗のせ台10に補給する。この場合、運転者が変速レバー45を中立位置Nに操作することにより、自動走行制御部62の変速機能の一時停止状態となることに加えて(前述の(作業モードでの手動操作)参照)、運転者が操作レバー12を第2上昇位置UU2(第1上昇位置UU1)に操作したことにより、停止部67(図4参照)によって、自動走行制御部62のステアリング機能の一時停止状態となる。
【0150】
苗のせ台10への苗の補給を終了すると、運転者は、操作レバー12を操作して苗植付装置5を圃場に下降させ(前述の(操作レバー)(操作レバーの操作に基づく各部の作動)参照)、操作部18を操作する。このように操作部18を操作することにより、自動走行制御部62の変速機能及びステアリング機能が復帰し、走行機体50が発進して、苗の植え付けが再開される。
【0151】
圃場に肥料を供給する施肥装置(図示せず)や薬剤散布装置(図示せず)を装備した乗用型田植機においても、運転者は前述と同様な操作を行って、走行機体50に搭載された肥料や薬剤を施肥装置や薬剤散布装置に補給する。
【0152】
前述のように操作レバー12により苗植付装置5を圃場から上昇させると、苗植付装置5を圃場から上昇したときの走行機体50の位置が、位置記憶部68(図4参照)により記憶される。
【0153】
一つの圃場において、苗植付装置5を圃場から上昇させた位置(苗の植え付けが一時中断された位置)を記憶することにより、次年度の同じ圃場での苗の植え付けの際に、苗の植え付けが一時中断された位置の位置データが参考となる。
【0154】
(作業モードでの操作レバーの操作)(その2)
作業モード(作業走行ラインL01〜L07)において、予備苗のせ台15の苗が少なくなって、予備苗のせ台15に苗を補給する必要が生じた場合、苗の植え付けを一時中断し、走行機体50を畦際に移動させて、畦B1〜B4から予備苗のせ台15に苗を補給する必要がある。
【0155】
前述の状態において、運転者は、操作レバー12を操作して苗植付装置5を圃場から上昇させ(前述の(操作レバー)(操作レバーの操作に基づく各部の作動)参照)(作業装置を非作業状態に操作する状態に相当)、走行機体を50を停止させずに畦際に移動させる。
【0156】
この場合、運転者が操作レバー12を第2上昇位置UU2(第1上昇位置UU1)に操作したことにより、停止部67(図4参照)によって、自動走行制御部62の変速機能の一時停止状態となり、自動走行制御部62のステアリング機能の一時停止状態となる。
これにより、運転者は、操縦ハンドル20及び変速レバー45を操作して、走行機体50を畦際に移動させ停止させて、畦B1〜B4から予備苗のせ台15に苗を補給する。
【0157】
前述のように、操作レバー12により苗植付装置5を圃場から上昇させると、苗植付装置5を圃場から上昇したときの走行機体50の位置が、位置記憶部68(図4参照)により記憶されるのであり、苗植付装置5を圃場から上昇したときの走行機体50の位置を、表示装置27に表示させることができる。
【0158】
これにより、畦B1〜B4から予備苗のせ台15への苗の補給を終了すると、運転者は、表示装置27を目視しながら操縦ハンドル20及び変速レバー45を操作して、苗植付装置5を圃場から上昇したときの走行機体50の位置に、走行機体50を無理なく的確に移動させることができる。
【0159】
苗植付装置5を圃場から上昇したときの走行機体50の位置に、走行機体50を移動させた後において、運転者は操作部18を操作する。このように操作部18を操作することにより、自動走行制御部62の変速機能及びステアリング機能が復帰し、走行機体50が発進して、苗の植え付けが再開される。
【0160】
乗用型田植機において燃料が少なくなった場合や、圃場に肥料を供給する施肥装置(図示せず)や薬剤散布装置(図示せず)を装備した乗用型田植機において、走行機体50に搭載された肥料や薬剤が少なくなった場合においても、運転者は前述と同様な操作を行って、畦B1〜B4から燃料、肥料や薬剤を走行機体50に補給する。
【0161】
前述の(作業モードでの操作レバーの操作)(その1)及び本項の(作業モードでの操作レバーの操作)(その2)において、操作レバー12により苗植付装置5を圃場から上昇させると、自動走行制御部62の変速機能及びステアリング機能の一時停止状態となることに加えて、変速レバー45(変速モータ53)が自動的に中立位置Nに操作されて、走行機体50が停止し、変速レバー45(変速モータ53)が中立位置Nに操作されたことが表示装置27に表示されるようにしてもよい。
【0162】
(発明の実施の第1別形態)
前述の(発明を実施するための形態)では、変速レバー45と無段変速装置33とが連係機構(図示せず)を介して機械的に接続され、操縦ハンドル20と前輪1とがステアリング軸11を介して機械的に接続されている。
【0163】
これに代えて、変速レバー45の変速位置を検出する位置センサー(図示せず)と、無段変速装置33を操作する変速アクチュエータ(図示せず)とを備えて、変速レバー45と無段変速装置33とを機械的に接続しないようにしてもよい。
操縦ハンドル20の操作位置を検出する位置センサー(図示せず)と、前輪1をステアリング操作するステアリングアクチュエータ(図示せず)とを備えて、操縦ハンドル20と前輪1とを機械的に接続しないようにしてもよい。
以上の構成において、前述の(発明を実施するための形態)のように構成してもよい。
【0164】
この場合に、変速牽制部66によって、変速操作具による変速装置の操作が阻止される状態、及びステアリング操作具によるステアリング操作が阻止される状態とは、運転者が変速操作具及びステアリング操作具を操作することは可能であるが、変速操作具及びステアリング操作具が操作されても、変速アクチェータによる変速装置の操作が行われない状態、及びステアリングアクチェータによるステアリング操作が行われない状態である。
【0165】
(発明の実施の第2別形態)
前述の(発明を実施するための形態)及び(発明の実施の第1別形態)において、走行機体50の走行速度を検出する走行速度センサー(図示せず)を備えることにより、作業モード及び旋回モードにおいて、圃場から走行機体50に掛かる負荷の変化に関係なく、走行機体50が第1設定速度V1及び第2設定速度V2で走行(旋回)するように、変速モータ53及び変速アクチュエータにより、無段変速装置33が自動的に操作されるようにしてもよい。
【0166】
(発明の実施の第3別形態)
前述の(作業モードでの手動操作)に記載のように、作業モードにおいて運転者が操縦ハンドル20を操作した状態と同様に、旋回モードにおいて、運転者が操縦ハンドル20を操作すると、制御部60により自動旋回制御部64のステアリング機能が一時停止されるようにしてもよい。
この場合に、運転者が操作部18を操作すると、自動旋回制御部64のステアリング機能が復帰して、走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に沿って走行(旋回)するように、操縦ハンドル20(操向モータ51)が操作されるようにすればよい。
【0167】
旋回モードにおいて、運転者が変速レバー45を操作しようとした場合、変速牽制部66により、変速レバー45を高速側の変速位置に操作することはできないが、変速レバー45を低速側の変速位置に操作することはできるようにしてもよい。
【0168】
(発明の実施の第4別形態)
作業走行ラインL01〜L07に対して第1設定速度V1が設定され、旋回ラインLL1〜LL6に対して第2設定速度V2が設定される場合、第1設定速度V1及び第2設定速度V2を、任意に変更できるようにしてもよい。
【0169】
作業走行ラインL01〜L07に対して第1設定速度V1が設定される場合、単一の第1設定速度V1ではなく、作業走行ラインL01〜L07によって異なる第1設定速度V1が設定されるようにしてもよい。
旋回ラインLL1〜LL6に対して第2設定速度V2が設定される場合、単一の第2設定速度V2ではなく、旋回ラインLL1〜LL6によって異なる第2設定速度V2が設定されるようにしてもよい。
【0170】
(発明の実施の第5別形態)
作業装置を含む作業車の全体において、任意の位置を特定位置(走行機体50の位置に相当)として設定したとする。例えば乗用型田植機では、苗植付装置5(植付アーム8)の位置や、走行機体50の前端部の位置、運転座席13の位置、これら以外の位置等がある。
【0171】
これにより、前述の特定位置が、作業終了位置D1〜D7に達すると、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われるようにしてもよい。
前述の作業車の特定位置が作業開始位置C1〜C7に達すると、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われるようにしてもよい。
【0172】
前述の作業車の特定位置が、作業終了位置D1〜D7から少し作業走行ラインL01〜L07に戻った位置に達すると、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われるようにしてもよい。
この場合、旋回ラインLL1〜LL6に入る前の少しの間だけ、走行機体50は旋回モードで作業走行ラインL01〜L07に沿って走行するのであり、この間は走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に位置すると見なして、前述の(旋回モードでの手動操作)に記載のように変速牽制部66が作動するようにしてもよい。
【0173】
前述の作業車の特定位置が、作業終了位置D1〜D7から少し旋回ラインLL1〜LL6に入った位置に達すると、作業モードから旋回モードへの切り換えが行われるようにしてもよい。
この場合、旋回ラインLL1〜LL6に入ってから少しの間だけ、走行機体50は作業モードで旋回ラインLL1〜LL6に沿って走行(旋回)するのであり、この間は走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に位置すると見なして、前述の(作業モードでの手動操作)に記載のように変速牽制部66が作動するようにしてもよい。
【0174】
前述の特定位置が作業開始位置C1〜C7から少し旋回ラインLL1〜LL6に戻った位置に達すると、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われるようにしてもよい。この場合、作業走行ラインL01〜L07に入る前の少しの間だけ、走行機体50は作業モードで旋回ラインLL1〜LL6に沿って走行(旋回)するのであり、この間は走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に位置すると見なして、前述の(作業モードでの手動操作)に記載のように変速牽制部66が作動するようにしてもよい。
【0175】
前述の特定位置が作業開始位置C1〜C7から少し作業走行ラインL01〜L07に入った位置に達すると、旋回モードから作業モードへの切り換えが行われるようにしてもよい。この場合、作業走行ラインL01〜L07に入ってから少しの間だけ、走行機体50は旋回モードで作業走行ラインL01〜L07に沿って走行するのであり、この間は走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に位置すると見なして、前述の(旋回モードでの手動操作)に記載のように変速牽制部66が作動するようにしてもよい。
【0176】
(発明の実施の第6別形態)
図5において、一方の枕地ラインLB1と反対側の枕地ラインLB2との間で、複数の作業走行ラインL(L01〜L07)を、枕地ラインLA1,LA2(畦際ラインB11,B21)と平行となり、且つ、互いに平行となるように所定間隔W1(走行機体50(苗植付装置5)の横幅)を置いて、枕地ラインLB1,LB2に亘って設定してもよい。
図7図13に示す旋回ラインLL1〜LL6は平面視で円状であるが、旋回ラインLL1〜LL6を平面視で楕円状や、円弧と直線を組み合わせた形状に設定してもよい。
【0177】
前述の(発明を実施するための形態)(発明の実施の第1別形態)〜(発明の実施の第5別形態)、本項(発明の実施の第6別形態)に記載の作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6は、走行機体50の後部にロータリ耕耘装置(作業装置に相当)(図示せず)を昇降自在に支持したトラクタ(作業車の一例)(図示せず)においても適用できる。
【0178】
(発明の実施の第7別形態)
変速レバー45に代えて、変速ペダル(変速操作具に相当)(図示せず)により無段変速装置33を操作するようにしてもよく、操縦ハンドル20に代えて、左右に倒し操作されるステアリングレバー(ステアリング操作具に相当)(図示せず)によりステアリング操作が行われるようにしてもよい。
【0179】
無段変速装置33に代えて、有段型式の変速装置(図示せず)を走行用の変速装置としてもよい。
コンバイン等のように、前輪1及び後輪2に代えて、右及び左のクローラ走行装置(図示せず)を装備した作業車において、右及び左のクローラ走行装置に駆動速度差を与えることにより、ステアリング操作が行われるようにしてもよい。
【0180】
(発明の実施の第8別形態)
作業走行ライン設定部61及び旋回ライン設定部63を、制御装置23に備えなくてもよい。
この場合、作業走行ライン設定部61及び旋回ライン設定部63を、ソフトウェアとして、走行機体50とは別に設置されるコンピュータ等(例えば図4に示すコンピュータ49等)に備える。
【0181】
これにより、作業走行ライン設定部61及び旋回ライン設定部63により設定された作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6が、前述のコンピュータからスマートフォン46や制御装置23に送信されて、又は記憶媒体を介して、作業走行ライン取得部55及び旋回ライン取得部56に取得されて記憶される。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本発明は、走行機体50の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)を昇降自在に備えた乗用型田植機ばかりではなく、走行機体50の後部に播種装置(作業装置に相当)を昇降自在に備えた乗用型直播機、走行機体50の後部にロータリ耕耘装置(作業装置に相当)や薬剤散布装置(作業装置に相当)を昇降自在に備えたトラクタ、走行機体50の前部に刈取部(作業装置に相当)を昇降自在に備えたコンバイン等のように、圃場に対して作業を行いながら走行する作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0183】
5 作業装置
18 操作部
20 ステアリング操作具
30 測位部
33 変速装置
45 変速操作具
50 走行機体
54 自動減速部
55 作業走行ライン取得部
56 旋回ライン取得部
62 自動走行制御部
64 自動旋回制御部
66 変速牽制部
67 停止部
68 位置記憶部
F 前進側
L01〜L07 作業走行ライン
LL1〜LL6 旋回ライン
V1 第1設定速度
V2 第2設定速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13