特許第6896468号(P6896468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6896468部品実装機、部品認識方法、部品認識プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896468
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】部品実装機、部品認識方法、部品認識プログラム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20210621BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   H05K13/08 Q
   H05K13/04 B
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-56884(P2017-56884)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-160555(P2018-160555A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年9月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政二
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−016115(JP,A)
【文献】 特開2004−055702(JP,A)
【文献】 特開2016−096174(JP,A)
【文献】 特開2016−201409(JP,A)
【文献】 特開2013−239665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を保持する実装ヘッドと、
前記部品に光を照射する光照射部と、
視野のうち所定の対象領域内の前記部品を選択的に撮像する撮像部と、
それぞれ異なる照明条件で前記光照射部から前記部品に光を照射しつつそれぞれ異なる前記対象領域内の前記部品を前記撮像部により撮像する複数の撮像処理を順番に実行することで、前記複数の部品それぞれの撮像画像を取得する撮像制御部と、
前記複数の部品それぞれに適した前記照明条件を記憶する記憶部と
前記部品を供給する部品供給部と、
前記実装ヘッドにより前記部品供給部からピックアップされた前記複数の部品が実装される基板を保持する基板保持部と、
前記実装ヘッドが前記部品を前記基板に実装する位置を前記部品の撮像画像に基づき調整するヘッド制御部と
を備え、
前記実装ヘッドは、前記複数の部品を前記部品供給部からピックアップすると、前記複数の部品に前記撮像部の前記視野を経由させてから、前記複数の部品を前記基板に実装し、
前記撮像制御部は、前記照明条件を基準に前記部品を類別して、前記照明条件が同一の前記部品を一の撮像処理で同時に撮像するように、前記照明条件毎に前記撮像処理を生成することで、前記複数の部品を、それぞれに適した前記照明条件で光を照射する前記撮像処理に対応付け、前記複数の部品が前記視野内を移動中に前記複数の撮像処理を実行することで、前記複数の部品それぞれの前記撮像画像を取得し、
前記複数の撮像処理のそれぞれでは、前記複数の部品のうち当該撮像処理に対応付けられた前記部品に対して前記対象領域が設定される部品実装機。
【請求項2】
複数の部品を保持する実装ヘッドと、
前記部品に光を照射する光照射部と、
視野のうち所定の対象領域内の前記部品を選択的に撮像する撮像部と、
それぞれ異なる照明条件で前記光照射部から前記部品に光を照射しつつそれぞれ異なる前記対象領域内の前記部品を前記撮像部により撮像する複数の撮像処理を順番に実行することで、前記複数の部品それぞれの撮像画像を取得する撮像制御部と、
前記複数の部品それぞれに適した前記照明条件を記憶する記憶部と
前記部品を供給する部品供給部と、
前記実装ヘッドにより前記部品供給部からピックアップされた前記複数の部品が実装される基板を保持する基板保持部と、
前記実装ヘッドが前記部品を前記基板に実装する位置を前記部品の撮像画像に基づき調整するヘッド制御部と
を備え、
前記実装ヘッドは、前記複数の部品を前記部品供給部からピックアップすると、前記複数の部品に前記撮像部の前記視野を経由させてから、前記複数の部品を前記基板に実装し、
前記撮像制御部は、前記複数の部品を、それぞれに適した前記照明条件で光を照射する前記撮像処理に対応付け、前記複数の部品が前記視野内を移動中に前記複数の撮像処理を実行することで、前記複数の部品それぞれの前記撮像画像を取得し、
前記複数の撮像処理のそれぞれでは、前記複数の部品のうち当該撮像処理に対応付けられた前記部品に対して前記対象領域が設定され、
前記複数の撮像処理は、2個以上の部品を同一の対象領域において同一の照明条件同時に撮像する前記撮像処理を含む部品実装機。
【請求項3】
前記実装ヘッドの移動速度を検出する速度検出部をさらに備え、
前記複数の撮像処理のそれぞれでは、当該撮像処理に対応付けられた前記部品に対する前記対象領域の位置が、前記速度検出部により検出された前記移動速度に基づき決定される請求項1または2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記速度検出部は、検出した前記移動速度を前記撮像制御部に出力し、
前記複数の撮像処理のそれぞれでは、当該撮像処理に対応付けられた前記部品に対する前記対象領域の位置が、前記撮像制御部によって前記移動速度から算出される請求項に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記速度検出部は、検出した前記移動速度を前記撮像制御部に出力し、
前記撮像制御部は、前記速度検出部から受け取った前記移動速度を前記撮像部に出力し、
前記複数の撮像処理のそれぞれでは、当該撮像処理に対応付けられた前記部品に対する前記対象領域の位置が、前記撮像部によって前記移動速度から算出される請求項に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記実装ヘッドの移動速度を検出する速度検出部をさらに備え、
前記ヘッド制御部は、前記複数の部品それぞれを前記基板に実装する位置を、当該部品の前記撮像画像と前記速度検出部により検出された前記移動速度とに基づき調整し、
前記複数の撮像処理のそれぞれでは、当該撮像処理に対応付けられた前記部品に対する前記対象領域の位置が、前記速度検出部により検出された前記移動速度に基づき決定される請求項1または2に記載の部品実装機。
【請求項7】
前記照明条件は、前記光照射部から前記部品に照射する光の照度を含む請求項1ないしのいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項8】
前記光照射部は、互いに異なる角度から前記部品に光を照射する複数の照明を有し、
前記照明条件は、前記複数の照明それぞれが照射する光の照度の組み合わせを含む請求項に記載の部品実装機。
【請求項9】
前記照明条件は、前記光照射部から前記部品に照射する光の波長を含む請求項1ないしのいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項10】
前記撮像部の焦点は可変であり、
前記複数の撮像処理は、それぞれに定められた焦点に前記撮像部の焦点を調整した状態で前記撮像部により前記対象領域内の前記部品を撮像し、
前記記憶部は、前記複数の部品それぞれに適した前記撮像部の焦点を記憶し、
前記撮像制御部は、前記複数の部品を、それぞれに適した前記照明条件で光を照射し、なおかつそれぞれに適した焦点で前記撮像部により撮像する前記撮像処理に対応付ける請求項1ないしのいずれか一項に記載の部品実装機。
【請求項11】
部品を供給する部品供給部から実装ヘッドにより複数の部品を保持する部品保持工程と、
視野のうち所定の対象領域内の前記部品を選択的に撮像する撮像部の前記視野を経由するように、前記実装ヘッドにより前記部品供給部から基板へ移動される前記複数の部品を前記撮像部により撮像する撮像工程と
を備え、
前記撮像工程では、それぞれ異なる照明条件で光照射部から前記部品に光を照射しつつそれぞれ異なる対象領域内の前記部品を撮像部により撮像する複数の撮像処理を、前記複数の部品が前記視野内を移動中に順番に実行することで、前記複数の部品それぞれの撮像画像が取得され、
前記照明条件を基準に前記部品を類別して、前記照明条件が同一の前記部品を一の撮像処理で同時に撮像するように、前記照明条件毎に前記撮像処理を生成することで、前記複数の部品は、それぞれに適した前記照明条件で光を照射する前記撮像処理に対応付けられ、
前記複数の撮像処理のそれぞれでは、前記複数の部品のうち当該撮像処理に対応付けられた前記部品に対して前記対象領域が設定される部品認識方法。
【請求項12】
部品を供給する部品供給部から実装ヘッドにより複数の部品を保持する部品保持工程と、
視野のうち所定の対象領域内の前記部品を選択的に撮像する撮像部の前記視野を経由するように、前記実装ヘッドにより前記部品供給部から基板へ移動される前記複数の部品を前記撮像部により撮像する撮像工程と
をコンピューターに実行させ、
前記撮像工程では、それぞれ異なる照明条件で光照射部から前記部品に光を照射しつつそれぞれ異なる対象領域内の前記部品を撮像部により撮像する複数の撮像処理を、前記複数の部品が前記視野内を移動中に順番に実行することで、前記複数の部品それぞれの撮像画像が取得され、
前記照明条件を基準に前記部品を類別して、前記照明条件が同一の前記部品を一の撮像処理で同時に撮像するように、前記照明条件毎に前記撮像処理を生成することで、前記複数の部品は、それぞれに適した前記照明条件で光を照射する前記撮像処理に対応付けられ、
前記複数の撮像処理のそれぞれでは、前記複数の部品のうち当該撮像処理に対応付けられた前記部品に対して前記対象領域が設定される部品認識プログラム。
【請求項13】
部品を供給する部品供給部から実装ヘッドにより複数の部品を保持する部品保持工程と、
視野のうち所定の対象領域内の前記部品を選択的に撮像する撮像部の前記視野を経由するように、前記実装ヘッドにより前記部品供給部から基板へ移動される前記複数の部品を前記撮像部により撮像する撮像工程と
を備え、
前記撮像工程では、それぞれ異なる照明条件で光照射部から前記部品に光を照射しつつそれぞれ異なる対象領域内の前記部品を撮像部により撮像する複数の撮像処理を、前記複数の部品が前記視野内を移動中に順番に実行することで、前記複数の部品それぞれの撮像画像が取得され、
前記複数の部品は、それぞれに適した前記照明条件で光を照射する前記撮像処理に対応付けられ、
前記複数の撮像処理のそれぞれでは、前記複数の部品のうち当該撮像処理に対応付けられた前記部品に対して前記対象領域が設定され、
前記複数の撮像処理は、2個以上の部品を同一の対象領域において同一の照明条件同時に撮像する前記撮像処理を含む部品認識方法。
【請求項14】
部品を供給する部品供給部から実装ヘッドにより複数の部品を保持する部品保持工程と、
視野のうち所定の対象領域内の前記部品を選択的に撮像する撮像部の前記視野を経由するように、前記実装ヘッドにより前記部品供給部から基板へ移動される前記複数の部品を前記撮像部により撮像する撮像工程と
をコンピューターに実行させ、
前記撮像工程では、それぞれ異なる照明条件で光照射部から前記部品に光を照射しつつそれぞれ異なる対象領域内の前記部品を撮像部により撮像する複数の撮像処理を、前記複数の部品が前記視野内を移動中に順番に実行することで、前記複数の部品それぞれの撮像画像が取得され、
前記複数の部品は、それぞれに適した前記照明条件で光を照射する前記撮像処理に対応付けられ、
前記複数の撮像処理のそれぞれでは、前記複数の部品のうち当該撮像処理に対応付けられた前記部品に対して前記対象領域が設定され、
前記複数の撮像処理は、2個以上の部品を同一の対象領域において同一の照明条件同時に撮像する前記撮像処理を含む部品認識プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に部品を実装する実装ヘッドが保持する複数の部品を撮像する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の部品実装機では、実装ヘッドは複数の吸着ノズルを有し、各吸着ノズルが部品を部品供給装置から吸着して基板に実装する。この際、こうして実装ヘッドにより保持される複数の部品の撮像が適宜実行される。具体的には、部品に光を照射しつつCMOSイメージセンサーにより部品の画像を取得することで部品が撮像される。特に特許文献1では、部品に応じてCMOSイメージセンサーの露光時間を変えるといった制御が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−212449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、形状や材質といった部品の特性が多様化した近年では、良好な部品画像の取得を、露光時間といった撮像部(COMSイメージセンサ)のパラメータの調整により実現するには限界があり、部品に応じた照明条件で光を照射することが求められる場合がある。しかしながら、実装ヘッドに保持される複数の部品の全てに応じた照明条件で光を照射するために、照明条件が等しい複数の部品を選んで実装ヘッドに保持させることは非効率的である。
【0005】
この発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、実装ヘッドが保持する複数の部品それぞれに適した照明条件の異同によらず、各部品を適切な照明条件で撮像することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品実装機は、複数の部品を保持する実装ヘッドと、部品に光を照射する光照射部と、視野のうち所定の対象領域内の部品を選択的に撮像する撮像部と、それぞれ異なる照明条件で光照射部から部品に光を照射しつつそれぞれ異なる対象領域内の部品を撮像部により撮像する複数の撮像処理を順番に実行することで、複数の部品それぞれの撮像画像を取得する撮像制御部と、複数の部品それぞれに適した照明条件を記憶する記憶部とを備え、撮像制御部は、複数の部品を、それぞれに適した照明条件で光を照射する撮像処理に対応付け、複数の撮像処理のそれぞれでは、複数の部品のうち当該撮像処理に対応付けられた部品に対して対象領域が設定される。
【0007】
本発明に係る部品認識方法では、実装ヘッドにより複数の部品を保持する部品保持工程と、視野のうち所定の対象領域内の部品を選択的に撮像する撮像部により部品を撮像する撮像工程とを備え、撮像工程では、それぞれ異なる照明条件で光照射部から部品に光を照射しつつそれぞれ異なる対象領域内の部品を撮像部により撮像する複数の撮像処理を順番に実行することで、複数の部品それぞれの撮像画像が取得され、複数の部品は、それぞれに適した照明条件で光を照射する撮像処理に対応付けられ、複数の撮像処理のそれぞれでは、複数の部品のうち当該撮像処理に対応付けられた部品に対して対象領域が設定される。
【0008】
本発明に係る部品認識プログラムでは、実装ヘッドにより複数の部品を保持する部品保持工程と、視野のうち所定の対象領域内の部品を選択的に撮像する撮像部により部品を撮像する撮像工程とをコンピューターに実行させ、撮像工程では、それぞれ異なる照明条件で光照射部から部品に光を照射しつつそれぞれ異なる対象領域内の部品を撮像部により撮像する複数の撮像処理を順番に実行することで、複数の部品それぞれの撮像画像が取得され、複数の部品は、それぞれに適した照明条件で光を照射する撮像処理に対応付けられ、複数の撮像処理のそれぞれでは、複数の部品のうち当該撮像処理に対応付けられた部品に対して対象領域が設定される。
【0009】
このように構成された本発明(部品実装機、部品認識方法、部品認識プログラム)は、視野のうち所定の対象領域内の部品を選択的に撮像する撮像部を用いて、複数の撮像処理を順番に実行する。具体的には、複数の撮像処理は、それぞれ異なる照明条件で光照射部から部品に光を照射しつつそれぞれ異なる対象領域内の部品を撮像部により撮像する。これに対して、複数の部品は、それぞれに適した照明条件で光を照射する撮像処理に対応付けられており、複数の撮像処理のそれぞれでは、複数の部品のうち当該撮像処理に対応付けられた部品に対して対象領域が設定される。これにより、複数の撮像処理のそれぞれでは当該撮像処理での照明条件が適した部品の画像が取得され、換言すれば、複数の部品はそれぞれに適した照明条件で撮像される。こうして、実装ヘッドが保持する複数の部品それぞれに適した照明条件の異同によらず、各部品を適切な照明条件で撮像することが可能となっている。
【0010】
また、部品を供給する部品供給部と、実装ヘッドにより部品供給部からピックアップされた複数の部品が実装される基板を保持する基板保持部と、実装ヘッドが部品を基板に実装する位置を部品の撮像画像に基づき調整するヘッド制御部とをさらに備え、実装ヘッドは、複数の部品を部品供給部からピックアップすると、複数の部品に撮像部の視野を経由させてから、複数の部品を基板に実装し、撮像制御部は、複数の部品が視野内を移動中に複数の撮像処理を実行することで、複数の部品それぞれの撮像画像を取得するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、複数の部品が部品供給部から基板へ向かう途中で複数の撮像処理を効率的に実行できる。
【0011】
また、実装ヘッドには、基準マークが取り付けられており、撮像制御部は、複数の撮像処理のそれぞれで撮像部により基準マークを撮像し、ヘッド制御部は、複数の部品それぞれを基板に実装する位置を、当該部品の撮像画像と当該部品を撮像した撮像処理で基準マークを撮像した結果とに基づき調整するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、実装ヘッドに取り付けられた基準マークを各撮像処理で撮像した結果に基づいて、部品を基板に実装する位置を高精度に調整することが可能となる。
【0012】
また、実装ヘッドの移動速度を検出する速度検出部をさらに備え、複数の撮像処理のそれぞれでは、当該撮像処理に対応付けられた部品に対する対象領域の位置が、速度検出部により検出された移動速度に基づき決定されるように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、実装ヘッドの移動に応じて対象領域を適切に設定して、部品の撮像画像を的確に取得することが可能となる。
【0013】
具体的には、速度検出部は、検出した移動速度を撮像制御部に出力し、複数の撮像処理のそれぞれでは、当該撮像処理に対応付けられた部品に対する対象領域の位置が、撮像制御部によって移動速度から算出されるように、部品実装機を構成しても良い。あるいは、速度検出部は、検出した移動速度を撮像制御部に出力し、撮像制御部は、速度検出部から受け取った移動速度を撮像部に出力し、複数の撮像処理のそれぞれでは、当該撮像処理に対応付けられた部品に対する対象領域の位置が、撮像部によって移動速度から算出されるように、部品実装機を構成しても良い。
【0014】
また、実装ヘッドの移動速度を検出する速度検出部をさらに備え、ヘッド制御部は、複数の部品それぞれを基板に実装する位置を、当該部品の撮像画像と速度検出部により検出された移動速度とに基づき調整し、複数の撮像処理のそれぞれでは、当該撮像処理に対応付けられた部品に対する対象領域の位置が、速度検出部により検出された移動速度に基づき決定されるように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、速度検出部により検出された実装ヘッドの移動速度に基づいて、部品を基板に実装する位置を高精度に調整することが可能となる。併せて、実装ヘッドの移動に応じて対象領域を適切に設定して、部品の画像を的確に取得することが可能となる。
【0015】
なお、照明条件の具体的内容としては、種々考えられる。例えば、照明条件は、光照射部から部品に照射する光の照度を含むように、部品実装機を構成しても良い。光照射部は、互いに異なる角度から部品に光を照射する複数の照明を有し、照明条件は、複数の照明それぞれが照射する光の照度の組み合わせを含むように、部品実装機を構成しても良い。あるいは、照明条件は、光照射部から部品に照射する光の波長を含むように、部品実装機を構成しても良い。
【0016】
また、照明条件とは異なる条件を撮像処理によって変えることもできる。例えば、撮像部の焦点は可変であり、複数の撮像処理は、それぞれに定められた焦点に撮像部の焦点を調整した状態で撮像部により対象領域内の部品を撮像し、記憶部は、複数の部品それぞれに適した撮像部の焦点を記憶し、撮像制御部は、複数の部品を、それぞれに適した照明条件で光を照射し、なおかつそれぞれに適した焦点で撮像部により撮像する撮像処理に対応付けるように、部品実装機を構成しても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、実装ヘッドが保持する複数の部品それぞれに適した照明条件の異同によらず、各部品を適切な照明条件で撮像することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る部品実装機を模式的に示す部分平面図。
図2図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図。
図3図1の部品実装機が備える部品認識カメラの構成の一例を模式的に示す図。
図4】部品の種類に応じた照明条件を定めた条件データの一例を模式的に示す図。
図5図1の部品実装機が実行する部品実装の一例を示すフローチャート。
図6図5の部品実装で実行される部品認識の一例を示すフローチャート。
図7図6の部品認識の対象となる吸着グループの一例を模式的に示す図。
図8図7に示す吸着グループに対する撮像処理の一例を示す図。
図9図7に示す吸着グループに対する対象領域の設定態様の一例を示す図。
図10図7に示す吸着グループに対する対象領域の設定態様の第1変形例を示す図。
図11図7に示す吸着グループに対する対象領域の設定態様の第2変形例を示す図。
図12】部品の種類に応じた照明条件および焦点を定めた条件データの一例を模式的に示す図。
図13図7に示す吸着グループに対する撮像処理の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明に係る部品実装機を模式的に示す部分平面図である。図2図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図である。図1および以下の図では、Z方向を鉛直方向とするXYZ直交座標を適宜示す。図2に示すように、部品実装機1は、装置全体を統括的に制御するコントローラー100を備える。コントローラー100は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)で構成されたプロセッサーである演算処理部110およびHDD(Hard Disk Drive)で構成された記憶部120を有するコンピューターである。さらに、コントローラー100は、部品実装機1の駆動系を制御する駆動制御部130と、部品実装機1の撮像系を制御する撮像制御部140とを有する。
【0020】
そして、演算処理部110は記憶部120に記憶されるプログラムSに従って駆動制御部130および撮像制御部140を制御することで、プログラムSが規定する部品実装を実行する。この際、演算処理部110は撮像制御部140が部品認識カメラ5により撮像した画像に基づき、部品実装を制御する。また、部品実装機1には、表示/操作ユニット150が設けられており、演算処理部110は、部品実装機1の状況を表示/操作ユニット150に表示したり、表示/操作ユニット150に入力された作業者からの指示を受け付けたりする。
【0021】
図1に示すように、部品実装機1は、基台11の上に設けられた一対のコンベア12、12を備える。そして、部品実装機1は、コンベア12によりX方向(基板搬送方向)の上流側から実装処理位置(図1の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品を実装し、部品実装を完了した基板Bをコンベア12により実装処理位置からX方向の下流側へ搬出する。
【0022】
部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール21、21と、Y方向に延びるY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モーターMy(サーボモーター)とが設けられ、X軸レール23が一対のY軸レール21、21にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。X軸レール23には、X方向に延びるX軸ボールネジ24と、X軸ボールネジ24を回転駆動するX軸モーターMx(サーボモーター)とが取り付けられており、ヘッドユニット20がX軸レール23にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ24のナットに固定されている。したがって、駆動制御部130は、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット20をY方向に移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ24を回転させてヘッドユニット20をX方向に移動させることができる。
【0023】
一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは、2つの部品供給部3がX方向に並んでいる。各部品供給部3に対しては、複数のテープフィーダー31がX方向に並んで着脱可能に装着されている。テープフィーダー31はY方向に延設されており、Y方向におけるヘッドユニット20側の先端部に部品供給箇所32を有する。そして、集積回路、トランジスター、コンデンサ等の小片状の部品を所定間隔おきに収納したテープがテープフィーダー31に装填されている。各テープフィーダー31は、テープをヘッドユニット20側へ向けてY方向に間欠的に送り出す。これによって、テープ内の部品がY方向(フィード方向)に送り出されて、各テープフィーダー31の部品供給箇所32に順番に供給される。
【0024】
ヘッドユニット20は、いわゆるロータリー型の実装ヘッド4を有する。つまり、実装ヘッド4は、円周状に等角度間隔で配列された複数(8個)のノズル41を着脱自在に有し、実装ヘッド4は、各ノズル41により部品の吸着・実装を行う。具体的には、実装ヘッド4はテープフィーダー31の上方へ移動して、テープフィーダー31により部品供給箇所32に供給された部品を各ノズル41により吸着(ピックアップ)する。実装ヘッド4はこうして複数の部品を保持した状態で、実装処理位置の基板Bの上方に移動して基板Bに各部品を実装する。
【0025】
さらに、部品実装機1は、上方を向いて基台11に取り付けられた部品認識カメラ5をX方向に並ぶ2個の部品供給部3の間に備える。部品認識カメラ5は、上方に位置する実装ヘッド4のノズル41に吸着された部品を、その視野Fに収めつつ下方から撮像する。そして、演算処理部110は、撮像制御部140を介して取得した部品認識カメラ5の撮像結果に基づき、ノズル41による部品の吸着状態を判定することができる。
【0026】
図3図1の部品実装機が備える部品認識カメラの構成の一例を模式的に示す図である。部品認識カメラ5は、実装ヘッド4が保持する部品に対して光を照射する光照射部51と、光照射部51により光が照射された部品を下方から撮像する撮像部55と、光照射部51および撮像部55を支持するハウジング59とを有する。ハウジング59の上部には凹部591が形成され、凹部591の底部にZ方向へ開口するスリット592が設けられている。また、ハウジング59内のスリット592より下方には、内部空間593が設けられている。
【0027】
光照射部51は、メイン照明511、サイド照明512および同軸照明513を有する。メイン照明511、サイド照明512および同軸照明513のそれぞれは、複数のLED(Light Emitting Diode)を二次元的に配列した構成を有する。メイン照明511は、凹部591の内壁のうち下側に配置されて、斜め下方から部品に光を照射し、サイド照明512は凹部591の内壁のうちメイン照明511より上側に配置されて、側方から部品に光を照射する。また、同軸照明513は、内部空間593の内壁に配置され、ビームスプリッター57を介して、下方から部品に光を照射する。つまり、ハウジング59の内部空間593にはビームスプリッター57が配置されており、同軸照明513から射出された光は、ビームスプリッター57で反射されてから、スリット592を通過して部品に照射される。
【0028】
また、撮像部55は、ハウジング59の内部空間593に配置され、スリット592に下方から対向している。スリット592と撮像部55との間にはビームスプリッター57が配置されており、撮像部55は、光照射部51により照らされた部品により反射されてから、スリット592およびビームスプリッター57を通過した光を撮像する。この撮像部55は、COMS(Complementary MOS)イメージセンサーあるいはCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサー等の固体撮像素子で構成されたエリアセンサー551と、部品により反射された光をエリアセンサー551に結像するレンズ552とを有する。さらに、撮像部55は、エリアセンサー551を制御するセンサーコントローラー553を有し、センサーコントローラー553は、撮像部55の視野Fのうちの対象領域(ROI:Region of Interest)を選択的に撮像する機能を有する。
【0029】
かかる部品認識カメラ5は、メイン照明511、サイド照明512および同軸照明513を撮像対象の部品の特性に応じて使い分けながら、撮像部55により部品を撮像する。例えばQFP(Quad Flat Package)の部品を撮像する場合には、メイン照明511および同軸照明513を点灯させ、BGA(Ball grid array)やCSP(Chip size package)の部品を撮像する場合には、サイド照明512を点灯させるといった使い分けができる。
【0030】
図4は部品の種類に応じた照明条件を定めた条件データの一例を模式的に示す図である。同図の例では、メイン照明511、サイド照明512および同軸照明513それぞれが照射する光の照度は8段階で切り換えられる。そして、メイン照明511、サイド照明512および同軸照明513それぞれが照射する光の照度の組み合わせ、すなわち照明条件Cが部品種Pkに応じて定められている。例えば、部品種Pk1、Pk2、Pk4、Pk9の部品に対しては、メイン照明511および同軸照明513を照度5/8で点灯させ、サイド照明512を消灯させる照明条件C1が定められている。かかる条件データDlは、部品種Pk毎に予めテストした結果に基づき求められて、記憶部120等に記憶される。
【0031】
図5図1の部品実装機が実行する部品実装の一例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、プログラムSに従った演算処理部110の制御により実行される。部品実装が開始されると、実装ヘッド4が部品供給部3の上方に移動し(ステップS101)、部品供給部3から部品を各ノズル41により順に吸着することで、複数の部品を同時に保持する(ステップS102)。ここで、実装ヘッド4が一度に保持する複数の部品からなるグループを吸着グループと称することとする。
【0032】
そして、実装ヘッド4は、2台の部品認識カメラ5のうち近い方の部品認識カメラ5の上方へ移動し(ステップS103)、撮像制御部140が実装ヘッド4に保持される部品の認識を部品認識カメラ5により実行する(ステップS104)。具体的には、部品認識カメラ5は、その視野F内を移動する複数の部品を撮像することで、複数の部品それぞれの画像を取得して撮像制御部140に出力する。そして、撮像制御部140は、各部品の画像に基づき、ノズル41と部品との位置関係等を認識する。なお、部品認識の詳細については後述する。
【0033】
続いて、実装ヘッド4は基板Bの上方に移動し(ステップS105)、吸着グループの部品を順番に基板Bに実装する(ステップS106)。この際、駆動制御部130は、撮像制御部140による部品認識の結果に基づきX軸モーターMxおよびY軸モーターMy等の駆動系を制御することで、各部品が基板Bに実装される位置を調整する。そして、全ての部品の実装が完了するまで(ステップS107で「YES」)、ステップS101〜S107が繰り返されてから、図5の部品実装が終了する。
【0034】
図6図5の部品実装で実行される部品認識の一例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、プログラムSに従った演算処理部110の制御により実行される。また、図7図6の部品認識の対象となる吸着グループの一例を模式的に示す図であり、図8図7に示す吸着グループに対する撮像処理の一例を示す図であり、図9図7に示す吸着グループに対する対象領域の設定態様の一例を示す図である。
【0035】
ステップS201では、撮像制御部140は、吸着グループに属する複数の部品Pに対して実行する撮像処理Iを、各部品Pに適した照明条件Cに応じて生成する。図4に示す条件データDlに従うと、図7の例では、吸着グループを構成する8個の部品Pのうち、部品種Pk1の3個の部品Pの照明条件Cは照明条件C1であり、部品種Pk3の1個の部品Pおよび部品種Pk7の2個の部品Pの照明条件Cは照明条件C2であり、部品種Pk5の1個の部品Pおよび部品種Pk6の1個の部品Pの照明条件Cは照明条件C3である。そこで、撮像制御部140は、照明条件Cを基準に部品Pを類別して、照明条件Cが同一の部品Pを一の撮像処理Iで同時に撮像するように、照明条件C毎に撮像処理I1〜I3を生成する。つまり、図8に示すように、照明条件C1で部品種Pk1の部品Pを撮像する撮像処理I1と、照明条件C2で部品種Pk3および部品種Pk7の部品Pを撮像する撮像処理I2と、照明条件C3で部品種Pk5および部品種Pk6の部品Pを撮像する撮像処理I3とが生成される。これによって、複数の部品Pは、それぞれに適した照明条件C1〜C3で光を照射する撮像処理I1〜I3に対応付けられる。
【0036】
撮像処理Iが生成されると、撮像処理Iの実行回数のカウント値Nをゼロにリセットしてから(ステップS202)、当該カウント値Nをインクリメントする(ステップS203)。ステップS204では、撮像制御部140は、現在のカウント値N(=1)に対応する撮像処理I1での照明条件C1を部品認識カメラ5の光照射部51に設定する。さらに、ステップS205では、撮像制御部140は、撮像処理I1での撮像対象となる部品種Pk1の部品Pに対して対象領域Rを設定するように、センサーコントローラー553に指示する。これによって、図9の「撮像処理I1」の欄に示すように、撮像部55の視野Fのうち、部品種Pk1の部品Pを選択的に含む矩形状の対象領域Rが設定される。
【0037】
そして、光照射部51が照明条件C1に従って部品Pに対して光を照射した状態で(ステップS206)、撮像部55がエリアセンサー551を露光することで、撮像を実行する(ステップS207)。続いて、撮像部55のセンサーコントローラー553は、視野Fのうち対象領域Rに対応する画素のデータをエリアセンサー551から撮像制御部140に出力する(ステップS208)。こうして、撮像制御部140は、撮像処理I1の対象となる各部品Pの撮像画像を取得する。
【0038】
さらに、カウント値NがNmax(=3)となるまでステップS203〜S208が繰り返されることで、撮像処理I2、I3が実行される。つまり、撮像処理I2では、光照射部51が照明条件C2に従って部品Pに対して光を照射した状態で、撮像部55が、視野Fのうち部品種Pk3、Pk7の部品Pを含むように設定された対象領域R内の画像を取得する(図9の「撮像処理I2」の欄)。また、撮像処理I3では、光照射部51が照明条件C3に従って部品Pに対して光を照射した状態で、撮像部55が、視野Fのうち部品種Pk5、Pk6の部品Pを含むように設定された対象領域R内の画像を取得する(図9の「撮像処理I3」の欄)。
【0039】
こうして、吸着グループに属する8個の部品Pそれぞれの撮像画像が取得されると、図6の部品認識を終えて、図5の部品実装に戻る。そして、上述した要領で、ステップS105以後の各ステップが実行される。
【0040】
このように構成された実施形態では、視野Fのうち所定の対象領域R内の部品Pを選択的に撮像する撮像部55を用いて、複数の撮像処理I1〜I3が順番に実行される。具体的には、複数の撮像処理I1〜I3は、それぞれ異なる照明条件C1〜C3で光照射部51から部品Pに光を照射しつつそれぞれ異なる対象領域R内の部品Pを撮像部55により撮像する。これに対して、複数の部品Pは、それぞれに適した照明条件C1〜C3で光を照射する撮像処理I1〜I3に対応付けられており(図8)、複数の撮像処理I1〜I3のそれぞれでは、複数の部品Pのうち当該撮像処理I1〜I3に対応付けられた部品Pに対して対象領域Rが設定される(図9)。これにより、複数の撮像処理I1〜I3のそれぞれでは当該撮像処理I1〜I3での照明条件C1〜C3に適した部品Pの画像が取得され、換言すれば、複数の部品Pはそれぞれに適した照明条件C1〜C3で撮像される。 こうして、実装ヘッド4が保持する複数の部品Pそれぞれに適した照明条件C1〜C3の異同によらず、各部品Pを適切な照明条件C1〜C3で撮像することが可能となっている。
【0041】
特に、吸着グループに属する複数の部品Pの全ての照明条件Cが等しくなるように実装ヘッド4に部品Pを吸着させる必要がなく、換言すれば、部品Pの照明条件Cを特段考慮せず、効率的な手順で実装ヘッド4に部品Pを吸着させることができる。こうして、実装ヘッド4によって効率的な手順で部品Pを保持しつつも、各部品Pに応じた照明条件C1〜C3で撮像を実行することが可能となっている。
【0042】
また、図5を用いて説明したように、実装ヘッド4は、複数の部品Pを部品供給部3からピックアップすると、複数の部品Pに撮像部55の視野F(上方)を経由させてから、複数の部品Pを基板Bに実装する。そして、撮像制御部140は、複数の部品Pが撮像部55の視野F内を移動中に複数の撮像処理I1〜I3を実行することで、複数の部品Pそれぞれの撮像画像を取得する。かかる構成では、複数の部品Pが部品供給部3から基板Bへ向かう途中で複数の撮像処理I1〜I3を効率的に実行できる。
【0043】
続いて、上記実施形態の各変形例について説明を行う。なお、以下では、上記実施形態との差異点を中心に説明を実行し、共通点については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、上記実施形態と共通する構成を備えることで、同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0044】
図10図7に示す吸着グループに対する対象領域の設定態様の第1変形例を示す図である。第1変形例では、実装ヘッド4の底面に付された基準マーク42に基づき部品認識を実行する。この基準マーク42は、円周状に配列された複数のノズル41の配列中心に設けられている。そして、各撮像処理I1〜I3では、視野Fのうち、撮像対象の部品Pおよび基準マーク42のそれぞれを選択的に含むように対象領域Rが設定される。
【0045】
具体的には、撮像処理I1では、撮像部55の視野Fのうち、部品種Pk1の部品Pおよび基準マーク42の両方を選択的に含む矩形状の対象領域Rが設定される(ステップS205)。そして、部品種Pk1の部品Pそれぞれの撮像画像が基準マーク42を撮像したマーク画像とともに取得される(ステップS206〜S208)。撮像処理I2では、撮像部55の視野Fのうち、部品種Pk3、Pk7の部品Pを含むように矩形状の対象領域Rが設定されるとともに、基準マーク42を含むように矩形状の対象領域Rが設定される(ステップS205)。そして、部品種Pk3、Pk7の部品Pそれぞれの撮像画像が基準マーク42のマーク画像とともに取得される(ステップS206〜S208)。撮像処理I3では、撮像部55の視野Fのうち、部品種Pk5、Pk6の部品Pを含むように矩形状の対象領域Rが設定されるとともに、基準マーク42を含むように矩形状の対象領域Rが設定される(ステップS205)。そして、部品種Pk5、Pk6の部品Pそれぞれの撮像画像が基準マーク42のマーク画像とともに取得される(ステップS206〜S208)。
【0046】
こうして複数の部品Pそれぞれの撮像画像が基準マーク42のマーク画像とともに取得されると、部品認識が終了して、図5の部品実装に戻る。そして、ステップS106では、部品Pの撮像画像と基準マーク42のマーク画像との位置関係に基づき撮像制御部140が各部品Pの位置を算出した結果に基づき、駆動制御部130がX軸モーターMxおよびY軸モーターMy等の駆動系を制御することで、各部品Pが基板Bに実装される位置を調整する。
【0047】
つまり、各ノズル41と基準マーク42との相対的な位置関係は一意的に決まる。したがって、実装ヘッド4が移動しているとしても、部品Pの撮像画像と基準マーク42のマーク画像とを比較することで、部品Pのノズル41に対する位置を的確に認識することができる。そして、この認識結果に基づくことで、各部品Pが実装される位置を高精度に調整することが可能となっている。
【0048】
このように、第1変形例では、基準マーク42が実装ヘッド4に取り付けられており、撮像制御部140は、複数の撮像処理I1〜I3のそれぞれで撮像部55により基準マーク42を撮像する。そして、駆動制御部130は、複数の部品Pそれぞれを基板Bに実装する位置を、当該部品Pの撮像画像と当該部品Pを撮像した撮像処理I1〜I3で基準マーク42を撮像した結果(マーク画像)とに基づき、部品Pを基板Bに実装する位置を調整する。したがって、実装ヘッド4に取り付けられた基準マーク42を各撮像処理I1〜I3で撮像した結果に基づいて、部品Pを基板Bに実装する位置を高精度に調整することが可能となっている。
【0049】
図11図7に示す吸着グループに対する対象領域の設定態様の第2変形例を示す図である。第2変形例では、駆動制御部130が各モーターMx、Myのエンコーダーから算出した実装ヘッド4の移動速度Vに応じて、対象領域Rの設定位置が調整される。つまり、実装ヘッド4の移動速度Vが比較的遅い場合には、対象となる部品Pの存在範囲に対して対象領域Rの大きさに適当なマージンを加えておけば、各撮像処理Iにおいて対象となる部品Pを対象領域Rに収めることができる。しかしながら、実装ヘッド4の移動速度が速いと、かかる手法に限界が生じる場合が想定される。第2変形例は、このような場合に好適に機能しうる。
【0050】
第2変形例では、撮像制御部140は、例えば撮像処理I1〜I3を生成した際に(ステップS201)、基準対象領域Rr1〜Rr3を算出する(図11の「基準対象領域」の欄)。これら基準対象領域Rr1〜Rr3は、最初の撮像処理I1で撮像(ステップS207)を実行する時点(1回目撮像時)における、各撮像処理I1〜I3の撮像対象の存在範囲を含むように算出される。つまり、基準対象領域Rr1は、1回目撮像時における撮像処理I1の対象部品P(部品種Pk1の部品P)の存在範囲を選択的に含むように算出され、基準対象領域Rr2は、1回目撮像時における撮像処理I2の対象部品P(部品種Pk3、Pk7の部品P)の存在範囲を選択的に含むように算出され、基準対象領域Rr3は、1回目撮像時における撮像処理I3の部品P(部品種Pk5、Pk6)の存在範囲を選択的に含むように算出される。
【0051】
撮像処理I1のステップS205では、基準対象領域Rr1がそのまま対象領域Rとして設定される。これによって、撮像処理I1での撮像対象である部品種Pk1を選択的に含むように対象領域Rが設定される。そして、ステップS207では、対象領域Rが設定された部品種Pk1の部品Pの撮像画像が取得される。
【0052】
撮像処理I2のステップS205では、実装ヘッド4の移動速度Vに基づき、対象領域Rが設定される。つまり、撮像制御部140は所定の露光間隔Tでトリガーを撮像部55に与えることで、撮像部55にトリガーの度に撮像(露光)を実行させて、撮像処理I1〜I3それぞれでの撮像(ステップS207)を実行する。そこで、撮像制御部140は、1回目撮像時(図11の「撮像処理I1」の欄に示す時点)から、撮像処理I2で撮像(ステップS207)を実行する2回目撮像時(図11の「撮像処理I2」の欄に示す時点)までに実装ヘッド4が移動する距離L12(=V×T)を、移動速度Vおよび露光間隔Tから算出する。そして、撮像制御部140は、基準対象領域Rr2を実装ヘッド4の移動方向に距離L12だけシフトさせた対象領域Rを設定する。これによって、撮像処理I2での撮像対象である部品種Pk3、Pk7の部品Pを選択的に含むように対象領域Rが設定される。そして、ステップS207では、対象領域Rが設定された部品種Pk3、Pk7の部品Pの撮像画像が取得される。
【0053】
撮像処理I3のステップS205では、撮像制御部140は、1回目撮像時(図11の「撮像処理I1」の欄に示す時点)から、撮像処理I3で撮像(ステップS207)を実行する3回目撮像時(図11の「撮像処理I3」の欄に示す時点)までに実装ヘッド4が移動する距離L23(=V×2×T)を、移動速度Vおよび露光間隔Tから算出する。そして、撮像制御部140は、基準対象領域Rr3を実装ヘッド4の移動方向に距離L223だけシフトさせた対象領域Rを設定する。これによって、撮像処理I3での撮像対象である部品種Pk5、Pk6の部品Pを選択的に含むように対象領域Rが設定される。そして、ステップS207では、対象領域Rが設定された部品種Pk5、Pk6の部品Pの撮像画像が取得される。
【0054】
こうして複数の部品Pそれぞれの撮像画像が取得されると、部品認識が終了して、図5の部品実装に戻る。そして、ステップS106では、部品Pの撮像画像と、当該撮像画像を取得した時点における実装ヘッド4の位置とに基づき、駆動制御部130がX軸モーターMxおよびY軸モーターMy等の駆動系を制御することで、各部品Pが基板Bに実装される位置を調整する。具体的には、実装ヘッド4の位置は、1回目撮像時の実装ヘッド4の位置を起点に求められる。したがって、1回目撮像時の実装ヘッド4の位置は当該起点となり、2回目撮像時の実装ヘッド4の位置は、当該基点から距離D12だけ実装ヘッド4の移動方向にシフトした位置であり、3回目撮像時の実装ヘッド4の位置は、当該基点から距離D23だけ実装ヘッド4の移動方向にシフト位置となる。
【0055】
つまり、各ノズル41と実装ヘッド4との相対的な位置関係は一意的に決まる。したがって、実装ヘッド4が移動しているとしても、各撮像時での実装ヘッド4の位置を参照することで、部品Pのノズル41に対する位置を的確に認識することができる。そして、この認識結果に基づくことで、各部品Pが実装される位置を高精度に調整することが可能となっている。
【0056】
このように第2変形例では、駆動制御部130が実装ヘッド4の移動速度Vを検出する。そして、複数の撮像処理I1〜I3のそれぞれでは、当該撮像処理I1〜I3に対応付けられた部品Pに対する対象領域Rの位置が移動速度Vに基づき、撮像制御部140により決定される。したがって、実装ヘッド4の移動に応じて対象領域Rを適切に設定して、部品Pの撮像画像を的確に取得することが可能となっている。
【0057】
さらに、駆動制御部130は、複数の部品Pそれぞれを基板Bに実装する位置を、当該部品Pの撮像画像と実装ヘッド4の移動速度Vとに基づき調整している。したがって、図10の変形例1で示したような基準マーク42を設けることなく、部品Pを基板Bに実装する位置を高精度に調整することが可能となっている。
【0058】
このように本実施形態では、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、実装ヘッド4が本発明の「実装ヘッド」の一例に相当し、光照射部51が本発明の「光照射部」の一例に相当し、照明条件C、C1〜C3が本発明の「照明条件」の一例に相当し、撮像部55が本発明の「撮像部」の一例に相当し、視野Fが本発明の「視野」の一例に相当し、対象領域Rが本発明の「対象領域」の一例に相当し、撮像制御部140が本発明の「撮像制御部」の一例に相当し、撮像処理I、I1〜I3が本発明の「撮像処理」の一例に相当し、記憶部120が本発明の「記憶部」の一例に相当し、プログラムSが本発明の「部品認識プログラム」の一例に相当し、コントローラー100が本発明の「コンピューター」の一例に相当し、部品供給部3が本発明の「部品供給部」の一例に相当し、コンベア12が本発明の「基板保持部」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、部品Pが本発明の「部品」の一例に相当し、駆動制御部130が本発明の「ヘッド制御部」および「速度検出部」それぞれの一例に相当し、移動速度Vが本発明の「移動速度」の一例に相当し、基準マーク42が本発明の「基準マーク」の一例に相当する。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、図10を用いて説明した第1変形例において、図11を用いて説明した第2変形例のように、実装ヘッド4の移動速度Vに応じて対象領域Rを設定しても良い。かかる変形例では、撮像制御部140が検出した実装ヘッド4の移動速度Vに応じて、各撮像処理I1〜I3において対象領域Rを適切に設定して、部品Pの撮像画像を的確に取得することが可能となる。さらに、実装ヘッド4に取り付けられた基準マーク42を各撮像処理I1〜I3で撮像した結果に基づいて、部品Pを基板Bに実装する位置を高精度に調整することも併せて可能となる。
【0060】
また、図11を用いて説明した第2変形例では、撮像処理I2、I3での対象領域Rの位置の設定を撮像制御部140で実行していた。しかしながら、撮像処理I2、I3での対象領域Rの位置の設定を、撮像部55のセンサーコントローラー553で実行するようにしても良い。この場合、撮像制御部140は、撮像処理I1〜I3の度に対象領域Rの設定のための演算を行う必要がなく、図11の「基準対象領域」の欄に示した各対象領域Rを求めてセンサーコントローラー553へ送信すれば足りるといった利点がある。
【0061】
また、照明条件Cの具体的な内容としては、上述の光の照度に限られない。例えば、認識に適切な光の波長が部品Pによって異なる場合には、光の波長を照明条件Cとして用いても構わない。なお、適切な光の波長は、部品種Pk毎に予めテストした結果に基づき求めることができる。
【0062】
また、照明条件Cとは異なる条件を撮像処理Iによって変えることもできる。例えば、次の図12および図13を用いて説明するように、撮像処理Iでの撮像対象となる部品Pの厚みに応じて撮像部55の焦点を調整することもできる。
【0063】
図12は部品の種類に応じた照明条件および焦点を定めた条件データの一例を模式的に示す図である。同図の例では、照明条件Cと撮像部55の焦点Hとが部品種Pkに応じて定められている。照明条件Cについては上述と同様であるので、撮像部55の焦点Hについて説明すると、部品種Pk1〜Pk5、Pk7〜Pk9の部品Pの焦点Hは、焦点H1であるのに対して、部品種Pk6の焦点Hは、焦点H1と異なる焦点H2である。各部品Pの焦点Hは、当該部品Pの厚みに適した値に決定されている。
【0064】
図13図7に示す吸着グループに対する撮像処理の変形例を示す図である。つまり、図12に示す条件データDlに従うと、図7の例では、吸着グループを構成する8個の部品Pのうち、部品種Pk1の3個の部品Pについては、照明条件Cが照明条件C1であるとともに焦点Hが焦点H1であり、部品種Pk3の1個の部品Pおよび部品種Pk7の2個の部品Pについては、照明条件Cが照明条件C2であるとともに焦点Hが焦点H1であり、部品種Pk5の1個の部品Pについては、照明条件Cが照明条件C3であるとともに焦点Hが焦点H1であり、部品種Pk6の1個の部品Pについては、照明条件Cが照明条件C3であるとともに焦点Hが焦点H2である。そこで、撮像制御部140は、照明条件Cと焦点Hとを基準に部品Pを類別して、照明条件Cおよび焦点Hが同一の部品Pを一の撮像処理Iで同時に撮像するように、撮像処理I1〜I4を生成する。
【0065】
かかる図12および図13の変形例では、複数の撮像処理I1〜I4は、それぞれに定められた焦点H1、H2に撮像部55の焦点Hを調整した状態で撮像部55により対象領域R内の部品Pを撮像する。これに対して、記憶部120は、複数の部品Pそれぞれに適した撮像部55の焦点Hを定めた条件データDlを記憶している。そして、撮像制御部140は、複数の部品Pを、それぞれに適した照明条件C1〜C3で光を照射し、なおかつそれぞれに適した焦点H1、H2で撮像部55により撮像する撮像処理I1〜I4に対応付ける。これによって、各部品Pの認識を、適切な照明条件Cおよび焦点Hで実行することが可能となっている。
【0066】
また、図12および13で示した変形とは異なる変形を加えることもできる。例えば、上記実施形態では、実装ヘッド4を移動させながら、実装ヘッド4に保持される複数の部品Pを認識していた。しかしながら、実装ヘッド4を停止させた状態で、実装ヘッド4に保持される部品Pを認識しても良い。
【0067】
また、上記の例では、同じ撮像処理Iで撮像される部品Pが隣接するように実装ヘッド4に保持されていた。しかしながら、同じ撮像処理Iで撮像される各部品Pが離散するように実装ヘッド4に保持されていても構わない。この場合には、部品Pに個別に対象領域Rを設定すれば良い。
【0068】
また、対象領域Rの形状は上記の矩形に限られず、例えば円形でも構わない。
【0069】
また、光照射部51の構成も適宜変更が可能である。したがって、光照射部51が具備する照明の配置や個数も適宜変更が可能であり、照明の個数は1個でも構わない。
【0070】
また、実装ヘッド4に関する構成も適宜変更が可能である。例えば、特開2012−054384号公報に示されるように、複数の実装ヘッド4を設けるように構成しても良い。あるいは、実装ヘッド4におけるノズル41の配列は円周状に限られず、直線状でも構わない。
【符号の説明】
【0071】
1…部品実装機(部品実装機)、12…コンベア(基板保持部)、3…部品供給部、4…実装ヘッド、42…基準マーク、51…光照射部、55…撮像部、100…コントローラー、120…記憶部、130…駆動制御部(ヘッド制御部、速度検出部)、140…撮像制御部、B…基板、C、C1〜C3…照明条件、F…視野、I、I1〜I3…撮像処理、P…部品、R…対象領域、S…プログラム(部品認識プログラム)、V…移動速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13