(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記発射用マップ内にある前記計画マーキング点が、前記マーカーを描画済みの実績マーキング点である場合には、前記複数の区画のうち前記実績マーキング点に対応した区画からは前記マーカーを発射させないことを特徴とする請求項1に記載の飛行型描画装置。
前記マーカー発射装置は、前記マーカーを鉛直方向下側に向けて自由落下により発射することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の飛行型描画装置。
前記制御部は、前記複数の計画マーキング点に基づいて作成される複数の予定飛行ラインに沿って前記飛行体を前記描画対象部上で飛行させながら、前記複数の計画マーキング点に前記マーカー発射装置から前記マーカーを発射させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の飛行型描画装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明にかかる飛行型描画装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0028】
図1は、実施形態にかかる飛行型描画装置の概略を示す斜視図であり、
図2は、実施形態にかかる飛行型描画装置の概略構成図である。実施形態にかかる飛行型描画装置1は、例えば土木工事の用地整形や整形後の基礎工事において、地表面を描画対象部100として、描画対象部100上に空中からマーカーを発射してマーキング点を描画するための装置である。なお、マーキング点は、描画対象部100上において何らかの基準となるものであればよく、例えばマラソン等のコースを地表面に描画するものであってもよい。飛行型描画装置1は、
図1及び
図2に示すように、飛行体としてのドローン10と、地上操作装置20と、位置検出支援部30とを備える。
【0029】
ドローン10は、
図2に示すように、飛行装置11と、マーカー発射装置12と、情報取得部13と、ドローン側制御部14と、ドローン側記憶部15と、ドローン側通信部16とを備える。また、地上操作装置20は、地上側記憶部21と、地上側制御部22と、操縦部23と、地上側通信部24とを備える。
【0030】
ドローン10の飛行装置11は、複数(本実施形態では、4つ)のロータ11aと、ロータ11aに取り付けられたプロペラ11bとを含む。ドローン10は、各ロータ11aを個別に回転駆動可能とされており、各ロータ11aの回転に伴って各プロペラ11bが回転することで、空中を飛行することができる。本実施形態において、飛行装置11すなわち各ロータ11aの駆動制御は、ドローン側制御部14により実行される。
【0031】
ドローン10のマーカー発射装置12は、複数の区画ごとにマーカー2を発射可能な装置である。本実施形態において、マーカー発射装置12は、ドローン10の下部に取り付けられている。マーカー発射装置12は、
図1に示すように、隣り合って並べられた格子状の複数の区画12aごとに、複数のマーカー2が収納されており、各区画12aからマーカー2を一つずつ発射可能とされている。なお、
図1においては、区画12aを模式的に示しており、区画12aの実際の数は、図示するものよりも多い。本実施形態において、マーカー発射装置12は、各区画12aからマーカー2を鉛直方向下側に向けて自由落下により発射する。
【0032】
本実施形態において、マーカー2は、空中から発射されることにより、地表面である描画対象部100に突き刺さることが可能な杭状の部材とされている。マーカー2は、描画対象部100に突き刺さった後、地上に露出している部分の少なくとも一部が放射状に展開するものであってもよい。それにより、マーカー2によるマーキング点の視認性を向上させることができる。
【0033】
ドローン10の情報取得部13は、ドローン10の空中における現在位置P(X,Y,Z)、ドローン10の空中における姿勢(回転角度θ(α,β,γ))、及び、ドローン10の飛行速度Vを取得する。本実施形態において、情報取得部13は、GPSの受信機を含み、位置検出支援部30とドローン側通信部16を介して通信して、GPSによりドローン10の現在位置P(X,Y,Z)を取得する。また、情報取得部13は、ドローン10の空中における姿勢を検出するためのジャイロスコープを含む。情報取得部13は、ジャイロスコープにより、ドローン10のX軸回りの回転角度θ(α)、Y軸回りの回転角度θ(β)、Z軸回りの回転角度θ(γ)を計測することができる。また、情報取得部13は、ドローン10の飛行速度Vを検出する速度センサを含む。
【0034】
ドローン10のドローン側制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System−on−a−Chip)、MCU(Micro Control Unit)、及びFPGA(Field−Programmable Gate Array)を含む演算処理装置である。
【0035】
ドローン側制御部14は、地上側制御部22からドローン10の自動飛行指令が出力されている場合、自動飛行指令に従って飛行装置11を駆動制御し、ドローン10を飛行させる。また、ドローン側制御部14は、地上側制御部22からドローン10の手動飛行指令が出力されている場合、地上操作装置20の操縦部23に含まれる飛行操縦装置23aによる操縦指令に従って飛行装置11を駆動制御し、ドローン10を飛行させる。
【0036】
ドローン側制御部14は、地上側制御部22からマーカー発射装置12の自動発射指令が出力されている場合、自動発射指令に従ってマーカー発射装置12を駆動制御し、マーカー発射装置12からマーカー2を発射させる。また、ドローン側制御部14は、地上側制御部22からマーカー発射装置12の手動発射指令が出力されている場合、地上操作装置20の操縦部23に含まれる発射操作装置23bによる操作指令に従ってマーカー発射装置12を駆動制御し、マーカー発射装置12からマーカー2を発射させる。
【0037】
ドローン10のドローン側記憶部15は、飛行装置11の駆動制御やマーカー発射装置12の駆動制御に関する各種プログラム等を記憶している。ドローン側記憶部15は、各種プログラムをドローン側制御部14との間でやりとりする。
【0038】
ドローン10のドローン側通信部16は、地上操作装置20の地上側通信部24と無線により通信し、ドローン側制御部14と地上側制御部22との間での指令信号のやり取りや、情報取得部13と地上側制御部22との間でのドローン10の現在位置P(X,Y,Z)、回転角度θ(α,β,γ)、及び飛行速度Vのやり取りを行う。また、ドローン側通信部16は、位置検出支援部30と通信し、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)のやり取りを行う。ドローン側通信部16の無線規格は、いかなるものであってもよい。
【0039】
地上操作装置20の地上側記憶部21は、計画マップ41と、実績マップ42と、予定飛行ラインデータ43とを記憶している。計画マップ41は、
図2に示すように、描画対象部100上にマーカー2を描画するべき位置である複数の計画マーキング点M*を記録したデータである。計画マップ41は、例えば、描画対象部100へのマーキング位置が線画で設定された図示しないCADデータを所定のピッチでドット状に変換したものである。すなわち、計画マップ41の各ドットが描画対象部100への計画マーキング点M*となる。本実施形態では、図示しないCADデータから計画マーキング点M*への変換を予め行った上で、計画マップ41を地上側記憶部21に記憶しておく。なお、描画対象部100へのマーカーの描画を行う際に、CADデータから計画マップ41への変換を行ってもよい。
【0040】
実績マップ42は、計画マップ41に従ってマーカー発射装置12から描画対象部100へとマーカー2を描画した実績マーキング点Mを記録したデータである。実績マップ42は、地上側制御部22が実行するマーカー発射装置12の自動発射制御において作成される。実績マップ42は、マーカー発射装置12の自動発射制御の実行が進むことに伴って、随時更新されていく。
【0041】
予定飛行ラインデータ43は、ドローン10を描画対象部100上で飛行させる複数の予定飛行ラインLn(
図4参照)を規定したデータである。予定飛行ラインデータは、地上側制御部23にて実行されるドローン10の自動飛行制御において作成される。予定飛行ラインLnは、
図2に示すように、所定のピッチで設定されたドット状の複数の目標飛行位置P*をつないだラインである。なお、予定飛行ラインLnは、予め作成されて地上側記憶部21に記憶されるものであってもよい。
【0042】
地上操作装置20の地上側制御部22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System−on−a−Chip)、MCU(Micro Control Unit)、及びFPGA(Field−Programmable Gate Array)を含む演算処理装置である。
【0043】
地上側制御部22は、図示しないインターフェースを介して、ユーザーからドローン10を自動で飛行させる旨の指示がなされている場合、ドローン10の自動飛行制御を実行し、自動飛行制御の実行により作成した自動飛行指令をドローン側制御部14へと送信する。また、地上側制御部22は、図示しないインターフェースを介して、ユーザーからドローン10を手動で飛行させる旨の指示がなされている場合、ドローン10の手動飛行指令をドローン側制御部14、及び操縦部23へと出力する。
【0044】
地上側制御部22は、図示しないインターフェースを介して、ユーザーからマーカー発射装置12からのマーカー2の発射を自動で行う旨の指示がなされている場合、マーカー発射装置12の自動発射制御を実行し、自動発射制御の実行により作成した自動発射指令をドローン側制御部14へと送信する。また、地上側制御部22は、図示しないインターフェースを介して、ユーザーからマーカー発射装置12からのマーカー2の発射を手動で行う旨の指示がなされている場合、マーカー発射装置12の手動発射指令をドローン側制御部14、及び操縦部23へと出力する。
【0045】
地上操作装置20の操縦部23は、飛行操縦装置23aと、発射操作装置23bとを有する。飛行操縦装置23aは、地上側制御部22からドローン10の手動飛行指令が操縦部23へと出力されている場合に、ドローン10の飛行をユーザーが手動により実行するためのインターフェースである。飛行操縦装置23aは、ユーザーの手動操作に従ってドローン10の操縦指令をドローン側制御部14へと出力する。また、発射操作装置23bは、地上側制御部22からマーカー発射装置12の手動発射指令が操縦部23へと出力されている場合に、マーカー発射装置12からのマーカー2の発射をユーザーが手動により実行するためのインターフェースである。発射操作装置23bは、ユーザーの手動操作に従ってマーカー発射装置12からのマーカー2の操作指令をドローン側制御部14へと出力する。
【0046】
地上操作装置20の地上側通信部24は、ドローン側通信部16と無線により通信し、ドローン側制御部14と地上側制御部22との間での指令信号のやり取りや、情報取得部13と地上側制御部22との間でのドローン10の現在位置P(X,Y,Z)、回転角度θ(α,β,γ)、及び飛行速度Vのやり取りを行う。地上側通信部24の無線規格は、いかなるものであってもよい。
【0047】
位置検出支援部30は、本実施形態では、GPSの固定局である。位置検出支援部30は、ドローン側通信部16を介して情報取得部13のGPS受信機と通信し、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)を情報取得部13へと送信する。なお、位置検出支援部30は、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)を、地上側通信部22を介して地上側制御部22へと送信してもよい。
【0048】
次に、地上側制御部22によるドローン10の自動飛行制御、及び、マーカー発射装置12の自動発射制御について説明する。ドローン10の自動飛行制御、及び、マーカー発射装置12の自動発射制御は、地上側制御部22によって並列的に実行される。それにより、ドローン10を描画対象部100上で飛行させながら、描画対象部100上の計画マーキング点M*にマーカー2を描画させていく。まずは、ドローン10の自動飛行制御について説明する。
図3は、地上側制御部によって実行される自動飛行制御の処理の一例を示すフローチャートである。自動飛行制御においては、地上側制御部22からドローン側制御部14へと自動飛行指令が随時出力され、ドローン側制御部14は、自動飛行指令の内容に従ってドローン10が飛行するように飛行装置11を駆動制御する。
【0049】
地上側制御部22は、ステップS1として、マーカー発射開始処理及びドローン10の離陸処理を実行する。地上側制御部22は、マーカー発射開始処理として、地上側記憶部21から、計画マップ41と、実績マップ42とを取得する。なお、実績マップ42は、本制御が開始されたタイミングにおいては、作成されていないが、マーカー発射装置12の自動発射制御の実行が進むに従って、随時更新されていく。また、地上側制御部22は、ドローン側制御部14に飛行装置11を駆動制御させ、ドローン10を離陸させる。地上側制御部22は、計画マップ41と、実績マップ42とを取得すると共に、ドローン10の離陸処理が完了すると、ステップS2に進む。
【0050】
地上側制御部22は、ステップS2として、計画マーキング点M*にマーカー発射装置12からマーカー2を発射させながら、描画対象部100上でドローン10を飛行させる複数の予定飛行ラインLnを作成する。
図4は、地上側制御部によって作成された複数の予定飛行ラインの一例を示す説明図である。
図4に示す例では、予定飛行ラインLnは、描画対象部100上で間隔を空けて延びる直線状のラインである。本実施形態において、予定飛行ラインLnは、鉛直方向における高さが一定に作成される。ドローン側制御部14は、計画マップ41の計画マーキング点M*及び実績マップ42の実績マーキング点Mの位置に基づいて、マーカー2の描画前の計画マーキング点M*に効率的にマーカー2を描画可能な複数の予定飛行ラインLnを作成する。効率的にマーカー2を描画可能とは、描画対象部100の形状や、各計画マーキング点M*や実績マーキング点Mの位置、及び、マーカー発射装置12の各区画12aの最大幅等を考慮して、描画対象部100上を飛行するドローン10の飛行距離、または、飛行時間が最も少なくなるように、複数の飛行予定ラインLnを作成することを意味する。
【0051】
また、マーカー発射装置12の各区画12aに収容されるマーカー2の数には、制限がある。さらに、本実施形態においては、マーカー2の発射に伴ってドローン10の重心がずれることで、ドローン10の姿勢が安定化しないことを防ぐため、同じタイミングで発射するマーカー2の数に制限を設ける。そのため、ドローン10を各予定飛行ラインLnに沿って1回だけ飛行させても、計画マーキング点M*のすべてにマーカー2を描画できない可能性がある。また、ドローン10の空中での現在位置P(X,Y,Z)が予定飛行ラインLnからずれたり、ドローン10の空中での姿勢が想定したものからずれたりすること等によっても、計画マーキング点M*のすべてにマーカー2を描画できない可能性がある。そこで、地上側制御部22は、各予定飛行ラインLnについて、ドローン10を往復させる回数の上限を設定する。地上側制御部22は、予定飛行ラインLnに沿ってドローン10を飛行させ、後述する自動発射制御を実行した結果、計画マーキング点M*にマーカー2の描画漏れがあった場合、設定した上限の範囲内で、ドローン10を予定飛行ラインLnに沿って往復させる。作成された予定飛行ラインLnは、予定飛行ラインデータ43として地上側記憶部21に記憶される。地上側制御部22は、予定飛行ラインLnを作成すると、ステップS3に進む。
【0052】
地上側制御部22は、ステップS3として、ステップS2で作成し、地上側記憶部21に記憶された予定飛行ラインLnに沿ってドローン10を飛行させるnライン飛行制御を実行する。nライン飛行制御については、後述する。
【0053】
地上側制御部22は、nライン飛行制御が完了すると、ステップS4に進み、計画マップ41に規定されたすべての計画マーキング点M*にマーカー2の描画が完了したか否かを判定する。上述したように、マーカー発射装置12の自動発射制御がドローン10の自動飛行制御と並列的に実行されている。そのため、自動飛行制御の実行中には、計画マーキング点M*にマーカー2の描画が随時行われており、マーカー2の描画が完了した計画マーキング点M*は、実績マップ42において、実績マーキング点Mとして記録されていく。地上側制御部22は、計画マップ41に記録された計画マーキング点M*と、実績マップ42に記録された実績マーキング点Mとに基づいて、すべての計画マーキング点M*にマーカー2の描画が完了したか否かを判定する。
【0054】
地上側制御部22は、すべての計画マーキング点M*にマーカー2の描画が完了していないと判定した場合(ステップS4、No)、再びステップS2以降の処理を実行する。それにより、マーカー2の描画が完了されていない計画マーキング点M*がある領域に向けてドローン10を飛行させる複数の予定飛行ラインLnが新たに作成され(ステップS2)、複数の予定飛行ラインLnに沿ったドローン10のnライン飛行制御が実行される。一方、地上側制御部22は、すべての計画マーキング点M*にマーカー2の描画が完了したと判定した場合(ステップS4、Yes)、自動飛行制御を終了する。
【0055】
次に、ステップS3のnライン飛行制御について説明する。
図5は、nライン飛行制御の処理の一例を示すフローチャートである。
【0056】
地上側制御部22は、ステップS301として、ドローン側制御部14により飛行装置11を駆動制御させ、ドローン10を次の予定飛行ラインLnの始点位置に移動させる。その後、地上側制御部22は、ステップS302に進む。
【0057】
地上側制御部22は、ステップS302として、ドローン側制御部14により飛行装置11を駆動制御させ、予定飛行ラインLn上の次の目標飛行位置P*に向けてドローン10が飛行させる。本実施形態では、ドローン10を停止させる(ホバリング状態とする)ことなく、予定飛行ラインLnに沿って一定の飛行速度Vで飛行させる。また、予定飛行ラインLnは、鉛直方向における高さが一定とされているため、予定飛行ラインLnに沿って飛行するドローン10は、常に同じ高さを飛行することになる。その後、地上側制御部22は、ステップS303に進む。
【0058】
地上側制御部22は、ステップS303として、ドローン側通信部16と地上側通信部24との通信により情報取得部13からドローン10の現在位置P(X,Y,Z)及び回転角度θ(α、β、γ)を入力し、ステップS304に進む。
【0059】
地上側制御部22は、ステップS304として、ドローン10の回転角度θ(α,β,γ)の値が所定角度θ1以上であるか否かを判定する。地上側制御部22は、回転角度θ(α,β,γ)の値が所定角度θ1以上であると判定した場合(ステップS304、Yes)、ドローン10の姿勢が予定飛行ラインLnに対して何れかの方向に傾斜しているため、ステップS305に進む。
【0060】
地上側制御部22は、ステップS305として、回転角度θ(α,β,γ)が所定角度θ1未満となるように、ドローン側制御部14により飛行装置11を駆動制御させ、ドローン10の姿勢を修正する。その後、地上側制御部22は、ステップS306に進む。
【0061】
地上側制御部22は、ドローン10の回転角度θ(α,β,γ)の値が所定角度θ1未満であると判定した場合(ステップS304、No)、ドローン10の姿勢が予定飛行ラインLnに対して傾斜していないため、ステップS305の処理を省略し、ステップS306へと進む。
【0062】
地上側制御部22は、ステップS306として、現在位置P(X,Y,Z)が予定飛行ラインLnから所定距離D1以上に離れているか否かを判定する。地上側制御部22は、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)が予定飛行ラインLnから所定距離D1以上に離れていると判定した場合(ステップS306、Yes)、ステップS307に進む。
【0063】
地上側制御部22は、ステップS307として、ドローン側制御部14により飛行装置11を駆動制御させ、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)が予定飛行ラインLnに近づく方向にドローン10の飛行を修正する。その後、地上側制御部22は、ステップS308に進む。
【0064】
また、地上側制御部22は、現在位置P(X,Y,Z)が予定飛行ラインLnから所定距離D1以上に離れていないと判定した場合(ステップS306、No)、ステップS307の処理を省略し、ステップS308へと進む。
【0065】
地上側制御部22は、ステップS308として、ドローン10が予定飛行ラインLnの終点(最後の目標飛行位置P*)に到達したか否かを判定する。地上側制御部22は、ドローン10が予定飛行ラインLnの終点に到達していないと判定した場合(ステップS308、No)、再びステップS302以降の処理を実行する。また、地上側制御部22は、ドローン10が予定飛行ラインLnの終点に到達したと判定した場合(ステップS308、Yes)、ステップS309に進む。
【0066】
地上側制御部22は、ステップS309として、ステップS302からステップS308までの間に飛行した予定飛行ラインLnにおいて、後述する自動発射制御でマーカー2を描画できなかった計画マーキング点M*があったか否かを判定する。ステップS309の判定は、例えば、ドローン10が位置ずれや姿勢のずれを生じることなく予定飛行ラインLnに沿って飛行した場合にマーカー2が描画されるべき計画マーキング点M*に対して、マーカー2が実際に描画されたか否かを実績マップ42に基づいて判定すればよい。
【0067】
地上側制御部22は、予定飛行ラインLnにおいて、後述する自動発射制御でマーカー2を描画できなかった計画マーキング点M*があったと判定した場合(ステップS309,Yes)、ステップS310に進む。
【0068】
地上側制御部22は、ステップS310として、予定飛行ラインLnの往復の上限回数に達したか否かを判定する。地上側制御部22は、予定飛行ラインLnの往復の上限回数に達していないと判定した場合(ステップS310,No)、ステップS302の処理に戻り、予定飛行ラインLnに沿って、前回とは逆方向からドローン10を飛行させる。
【0069】
一方、地上側制御部22は、予定飛行ラインLnの往復の上限回数に達したと判定した場合(ステップS310,Yes)、ステップS311に進む。また、地上側制御部22は、予定飛行ラインLnにおいて、後述する自動発射制御でマーカー2を描画できなかった計画マーキング点M*がなかった(予定飛行ラインLnにおいて、すべての計画マーキング点M*にマーカー2を描画した)と判定した場合(ステップS309,No)も、ステップS311に進む。
【0070】
地上側制御部22は、ステップS311として、すべての予定飛行ラインLnの飛行が完了したか否かを判定する。地上側制御部22は、すべての予定飛行ラインLnの飛行が完了していないと判定した場合(ステップS311、No)、ステップS301に戻り、次の予定飛行ラインLn+1に沿ってドローン10を飛行させる。また、地上側制御部22は、すべての予定飛行ラインLnの飛行が完了したと判定した場合(ステップS311、Yes)、nライン飛行制御を終了する。
【0071】
次に、マーカー発射装置12の自動発射制御について説明する。
図6は、自動発射制御の処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示す自動発射制御は、ドローン10の自動飛行制御が実行されている間、常時繰り返し実行されている。
【0072】
地上側制御部22は、ステップS11として、ドローン側通信部16と地上側通信部24との通信により情報取得部13からドローン10の現在位置P(X,Y,Z)、回転角度θ(α,β,γ)、及び飛行速度Vを入力し、ステップS12に進む。
【0073】
地上側制御部22は、ステップS12として、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)において、ドローン10が回転角度θ(α,β,γ)の姿勢をとっており、かつ、ドローン10が飛行速度Vで飛行している場合に、マーカー2を描画可能な範囲を規定した発射用マップ44を作成する。地上側制御部22は、発射用マップ44を作成すると、ステップS13に進む。
【0074】
地上側制御部22は、ステップS13として、計画マップ41から計画マーキング点M*を入力し、発射用マップ44内に計画マーキング点M*があるか否かを判定する。地上側制御部22は、発射用マップ44内に計画マーキング点M*がないと判定した場合(ステップS13、No)、再びステップS11以降の処理を実行する。一方、地上側制御部22は、発射用マップ44内に計画マーキング点M*があると判定した場合(ステップS13、Yes)、ステップS14に進む。
【0075】
地上側制御部22は、ステップS14として、地上側記憶部21から現時点での実績マップ42を入力し、発射用マップ44内の計画マーキング点M*に実績マーキング点Mが含まれるか否かを判定する。
【0076】
地上側制御部22は、発射用マップ44内の計画マーキング点M*に実績マーキング点Mが含まれると判定した場合(ステップS14、Yes)、ステップS15に進む。地上側制御部22は、ステップS15として、発射用マップ44内の計画マーキング点M*のうち、実績マーキング点Mを削除し、ステップS16に進む。また、地上側制御部22は、発射用マップ44内の計画マーキング点M*に実績マーキング点Mが含まれないと判定した場合(ステップS14、No)、ステップS15の処理を省略し、ステップS16に進む。
【0077】
地上側制御部22は、ステップS16として、実績マーキング点Mを削除した発射用マップ44内の計画マーキング点M*に対応した区画12aから、マーカー2を発射させる自動発射指令をドローン側制御部14に出力する。それにより、自動発射指令を受け取ったドローン側制御部14が自動発射指令に従ってマーカー発射装置12を駆動制御し、計画マーキング点M*に対応した区画12aからマーカー2を発射させる。その結果、描画対象部100上の計画マーキング点M*に対応した位置にマーカー2が描画される。また、実績マーキング点Mに対応した区画12aからは、マーカー2が発射されない。なお、上述したように、本実施形態では、同じタイミングで発射するマーカー2の数に制限を設ける。そのため、発射用マップ44内の計画マーキング点M*が、同じタイミングで発射するマーカー2の制限数よりも多い場合、ドローン10の進行方向に対して上流側に位置する計画マーキング点M*にのみマーカー2を描画させる。
【0078】
さらに、地上側制御部22は、ステップS17として、ステップS16においてマーカー2を描画した計画マーキング点M*を、実績マーキング点Mとして実績マップ42を更新し、更新した実績マップ42を地上側記憶部21に記憶させる。その後、地上側制御部22は、ステップS11以降の処理を再度実行する。
【0079】
次に、自動発射制御におけるステップS11からS17の処理内容の例について、詳細に説明する。
図7から
図9は、任意の時刻における発射用マップを模式的に示す説明図である。各図中の二点鎖線は、ドローン10を示す。各図中の破線は、計画マップ41の一部を示し、各図中の白色の円は、計画マップ41に含まれる計画マーキング点M*を示している。また、
図8から
図9中の黒色の円は、実績マーキング点Mを示す。各図中の太い実線で囲んだ範囲は、任意の時刻t1〜t3における発射用マップ441〜443を示し、太い実線で囲んだ範囲内にある実線で区切られた格子状の領域は、発射用マップ441〜443におけるマーカー発射装置12の各区画12aを示す。また、各図中の上下方向に延びる実線矢印は、ドローン10が飛行している予定飛行ラインLnを示す。
【0080】
図7は、任意の時刻t1において、ドローン10が予定飛行ラインLnに沿って、かつ、予定飛行ラインLnに対して傾斜していない状態で、飛行速度Vで飛行している場合の例を示す。
図7に示す例は、ドローン10が予定飛行ラインLnを1回目に飛行している場合を示す。
【0081】
ドローン10が飛行速度Vで飛行しているとき、マーカー発射装置12から発射されるマーカー2は、飛行速度Vに応じてドローン10の進行方向側への慣性力を受けることになる。その結果、マーカー発射装置12から発射されたマーカー2は、想定した発射方向(本実施形態では、鉛直方向)からずれた方向に向かう可能性がある。
【0082】
また、
図7に示す例ではドローン10の姿勢が予定飛行ラインLnに対して傾斜していないものとしているが、ドローン10の姿勢がY軸回りに傾斜している場合にも、マーカー発射装置12から発射されたマーカー2は、想定した発射方向(本実施形態では、鉛直方向)からずれた方向に向かったり、想定した描画位置からずれた位置に描画されたりする可能性がある。
図10は、ドローンの空中での姿勢等に応じて描画対象部上にマーカーが着弾する位置の変化を説明するための模式図である。図中において、実線矢印により挟まれた範囲は、ドローン10が空中で傾斜しておらず、かつ、マーカー発射装置12の区画12aからマーカー2を自由落下させる場合における、マーカー2の最大の描画幅W1を示す。また、図中において、破線矢印により挟まれた範囲は、ドローン10が空中で傾斜しており、かつ、マーカー発射装置12の区画12aからマーカー2を自由落下させる場合における、マーカー2の最大の描画幅W2を示す。図示するように、マーカー2を自由落下させる場合において、ドローン10の空中における姿勢が傾斜している場合のマーカー2の最大の描画幅W2は、ドローン10の空中における姿勢が傾斜していない場合のマーカー2の最大の描画幅W1よりも狭くなることがある。その結果、ドローン10の空中における姿勢が傾斜している場合、マーカー発射装置12から発射されたマーカー2が、想定した描画位置からずれた位置に着弾する可能性がある。
【0083】
そのため、地上側制御部22は、ドローン10の回転角度θ(α,β,γ)と、ドローン10の飛行速度Vとに基づいて、現在位置P(X,Y,Z)において、各区画12aから発射されたマーカー2が描画対象部100に着弾する予測位置を算出する。地上側制御部22は、算出した予測位置を現時点でマーカー2を描画可能な範囲であると判断して、
図7に示す発射用マップ441を作成する(ステップS12)。
【0084】
また、地上側制御部22は、各区画12aに収容されたマーカー2の残数に基づき、現時点で発射可能なマーカー2が残っている区画12aに対応する範囲が、現時点でマーカー2を描画可能な範囲であると判断して、
図7に示す発射用マップ441を作成する(ステップS12)。
【0085】
さらに、地上側制御部22は、予定飛行ラインLnを1回目に飛行している場合、図中に太い実線で囲んだ範囲で示すように、マーカー発射装置12の中心側に位置する区画12aから優先的にマーカー2を発射させるように発射用マップ441を作成する(ステップS12)。それにより、外側に位置する区画12a(図中の太い実線と太い破線とで囲まれる範囲の区画12a)から先にマーカー2が発射されないようにすることができる。その結果、外側に位置する区画12aからマーカー2が発射されることに伴って、マーカー発射装置12の重心がずれやすくなることを抑制し、ドローン10の姿勢の安定化を図ることが可能となる。従って、マーカー2の描画精度をより高めることができる。
【0086】
地上側制御部22は、
図7に示す発射用マップ441内に計画マーキング点M*が含まれるため(ステップS13、Yes)、発射用マップ441内の計画マーキング点M*に実績マーキング点Mが含まれるか否かを判定する(ステップS14)。
図7に示す時刻t1における例では、発射用マップ441内に実績マーキング点Mが含まれないため、ドローン側制御部14は、発射用マップ441内の計画マーキング点M*に対応した区画12aから、マーカー2を発射させる自動発射指令をマーカー発射装置12に出力する(ステップS16)。また、地上側制御部22は、計画マーキング点M*にマーカー2を描画した実績を実績マーキング点M(
図8中の黒色の円参照)として、地上側記憶部21に記憶させる(ステップS17)。
【0087】
次に、
図8は、任意の時刻t2において、ドローン10が予定飛行ラインLnから離れ、かつ、予定飛行ラインLnに対して傾斜した状態で、飛行速度Vで飛行している場合の例を示す。
図8に示す例は、ドローン10が予定飛行ラインLnを1回目に飛行している場合を示す。
【0088】
地上側制御部22は、上述した
図7の例と同様の手順で
図8に示す発射用マップ442を作成する(ステップS12)。すなわち、ドローン側制御部14は、ドローン10の回転角度θ(α,β,γ)と、ドローン10の飛行速度Vとに基づいて、現在位置P(X,Y,Z)において、各区画12aから発射されたマーカー2が描画対象部100に着弾する予測位置を算出する。地上側制御部22は、算出した予測位置を現時点でマーカー2を描画可能な範囲であると判断し、発射用マップ442を作成する。また、地上側制御部22は、現時点で発射可能なマーカー2が残っている区画12aに対応する範囲が現時点でマーカー2を描画可能な範囲であると判断し、発射用マップ442を作成する。さらに、地上側制御部22は、マーカー発射装置12の中心側に位置する区画12aから優先的にマーカー2を発射させるように発射用マップ442を作成する。
【0089】
地上側制御部22は、
図8に示す発射用マップ442内に計画マーキング点M*が含まれるため(ステップS13、Yes)、発射用マップ442内の計画マーキング点M*に実績マーキング点Mが含まれるか否かを判定する(ステップS14)。
図8に示す例では、発射用マップ442内に黒色の円で示す実績マーキング点Mが含まれている(ステップS14、Yes)。そのため、地上側制御部22は、発射用マップ442内に含まれる計画マーキング点M*のうち、実績マーキング点Mを削除し(ステップS15)、残りの計画マーキング点M*に対応した区画12aから、マーカー2を発射させる自動発射指令をマーカー発射装置12に出力する(ステップS16)。また、地上側制御部22は、計画マーキング点M*にマーカー2を描画した実績を実績マーキング点Mとして、地上側記憶部21に記憶させる(ステップS17)。
【0090】
このように、飛行型描画装置1は、ドローン10が予定飛行ラインLnから離れ、かつ、予定飛行ラインLnに対して傾斜した状態で飛行している場合にも、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)、姿勢(回転角度θ(α,β,γ))、飛行速度Vに基づいて、現時点でマーカー2を描画可能な範囲である発射用マップ442を作成し、発射用マップ442に従って計画マーキング点M*にマーカー2を描画する。そのため、計画マーキング点M*とは異なる位置にマーカー2が描画させることを抑制することができ、マーカー2の描画精度を高めることができる。また、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)や姿勢(回転角度θ(α,β,γ))の修正を行うことなく、速やかに計画マーキング点M*にマーカー2を描画することができる。この手順が繰り返し実行されることにより、予定飛行ラインLnの飛行中に、各計画マーキング点M*にマーカー発射装置12からマーカー2が順次描画されていき、予定飛行ラインLnにおいてマーカー2が描画された位置が実績マーキング点Mとして記憶されていく(
図9の黒色の円参照)。
【0091】
次に、
図9は、任意の時刻t3において、ドローン10が予定飛行ラインLnに沿った状態、かつ、ドローン10が予定飛行ラインLnに対して傾斜していない姿勢に戻った状態で、飛行速度Vで飛行している場合の例を示す。
図9に示す例は、ドローン10が予定飛行ラインLnを2回目以降に飛行する場合を示す。
【0092】
地上側制御部22は、
図7及び
図8に示す例と同様の手順で、発射用マップ433を作成する。ただし、地上側制御部22は、ドローン10が予定飛行ラインLnを2回目以降に飛行する場合、マーカー発射装置12の外側に位置する区画12aからもマーカー2を発射させるように、発射用マップ443を作成する。それにより、
図9に示すように、1回目の予定飛行ラインLnの飛行時においてマーカー2が描画されなかった計画マーキング点M*に、より確実にマーカー2を描画することが可能となる。従って、計画マーキング点M*の描画漏れを良好に抑制することができる。
【0093】
以上説明したように、実施形態にかかる飛行型描画装置1は、飛行体としてのドローン10が描画対象部100上を飛行している間、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)の変化に応じて、現在位置P(X,Y,Z)ごとにマーカー2を描画可能な範囲を規定した発射用マップ44(発射用マップ441〜443)を用いて、発射用マップ44内に含まれる計画マーキング点M*に対応したマーカー発射装置12の各区画12aからマーカー2を発射させることができる。それにより、ドローン10の現在位置P(X,Y.Z)が本来想定する位置からずれている場合に、ドローン10自体を移動させなくとも、計画マーキング点M*と異なる位置にマーカー2を描画することを抑制することができる。また、ドローン10自体を移動させる必要がないため、速やかに計画マーキング点M*にマーカー2を描画することができる。従って、実施形態にかかる飛行型描画装置1は、空中からマーカー2を発射して描画対象部100上に高精度かつ速やかにマーキング点を描画することができる。
【0094】
また、地上側制御部22は、発射用マップ44内にある計画マーキング点M*が、マーカー2を描画済みの実績マーキング点Mである場合には、複数の区画12aのうち実績マーキング点Mに対応した区画12aからはマーカー2を発射させない(ステップS14からステップS16)。
【0095】
この構成によれば、一度マーカー2を描画した箇所に重ねてマーカー2を描画することを防ぐことができるため、マーキング点の描画品質を向上させることができる。
【0096】
また、情報取得部13は、ドローン10の空中での姿勢(回転角度θ(α,β,γ))をさらに取得し、地上側制御部22は、情報取得部13により取得されたドローン10の現在位置P(X,Y,Z)において、ドローン10が情報取得部13により取得された姿勢をとっている場合に、マーカー2を描画可能な範囲を規定した発射用マップ44(発射用マップ442)を作成する。
【0097】
この構成によれば、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)において、ドローン10の空中での姿勢に応じてマーカー2を描画可能な範囲を規定した発射用マップ44(発射用マップ442)を用いて、発射用マップ44(発射用マップ442)内に含まれる計画マーキング点M*に対応したマーカー発射装置12の区画12aからマーカー2を発射させることができる。それにより、ドローン10の空中での姿勢が本来想定する姿勢からずれている場合に、ドローン10の姿勢を修正させることなく、計画マーキング点M*と異なる位置にマーカー2を描画することを抑制することができる。また、ドローン10の姿勢自体を修正する必要がないため、速やかに計画マーキング点M*にマーカー2を描画することができる。
【0098】
また、情報取得部13は、ドローン10の飛行速度Vをさらに取得し、地上側制御部22は、情報取得部13により取得されたドローン10の現在位置P(X,Y,Z)において、ドローン10が情報取得部13により取得された飛行速度Vで飛行している場合に、マーカー2を描画可能な範囲を規定した発射用マップ44(発射用マップ441〜443)を作成する。
【0099】
この構成によれば、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)において、ドローン10の飛行速度Vに応じてマーカー2を描画可能な範囲を規定した発射用マップ44(発射用マップ441〜443)を用いて、発射用マップ44(発射用マップ441〜443)内に含まれる計画マーキング点M*に対応したマーカー発射装置12の区画12aからマーカー2を発射させることができる。それにより、ドローン10の飛行速度Vを原因として、計画マーキング点M*と異なる位置にマーカー2が描画されることを抑制することができる。
【0100】
また、マーカー発射装置12は、マーカー2を鉛直方向下側に向けて自由落下により発射する。
【0101】
この構成によれば、マーカー2を加速して強制発射する場合に比べて、マーカー2の発射によりドローン10に働く反力を低減することができるため、ドローン10の空中での位置や姿勢の安定化を図ることができる。それにより、計画マーキング点M*に精度良くマーカー2を描画することができる。
【0102】
また、マーカー2は、描画対象部100に着弾して突き刺さる杭状の部材である。
【0103】
この構成によれば、描画対象部100に杭状のマーカー2を着弾させて固定することができるため、例えばマーカー2としてペイントボール等による塗料を用いた場合に、塗料が地表面といった描画対象部100に吸収されてしまうようなことがない。また、マーカー2としてペイントボール等による塗料を用いた場合、描画対象部100上に凹凸(例えば大型土木作業用車両による轍や、局所的な地形の起伏)があり、飛行型描画装置1から描画対象部100までの距離が一定でないことに起因して、ペイントボールが着弾点で破裂せずに塗料が印字されなかったり、塗料による印字状態が大きく変化したり変形したりすることがない。そのため、描画したマーカー2の視認性を向上させることができる。さらに、描画対象部100の起伏形状にかかわらず、ドローン10を一定の高さで飛行させながら、マーカー2を描画することができるため、ドローン10を安定に飛行させることができ、マーカー2の描画精度をより高めることが可能となる。
【0104】
また、地上側制御部22は、複数の計画マーキング点M*に基づいて作成される複数の予定飛行ラインLnに沿ってドローン10を描画対象部100上で飛行させながら、複数の計画マーキング点M*にマーカー発射装置12からマーカー2を発射させる。
【0105】
この構成によれば、複数の計画マーキング点M*の位置を反映して作成された複数の予定飛行ラインLnに沿ってドローン10を飛行させつつ、計画マーキング点M*にマーカー2を描画することができるため、効率的なマーカー2の描画が可能となる。
【0106】
また、地上側制御部22は、予定飛行ラインLnの一つに沿ってドローン10を一定の飛行速度Vで停止させることなく飛行させる。
【0107】
この構成によれば、マーカー2の描画中にドローン10の飛行速度Vが変化しないため、ドローン10の姿勢を安定させ、マーカー2の描画精度を高めることができる。
【0108】
なお、本実施形態では、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)、姿勢(回転角度(θ(α,β,γ))、及び、飛行速度Vのすべてに基づいて、発射用マップ44を作成するものとしたが、発射用マップ44は、少なくともドローン10の現在位置P(X,Y,Z)に基づいて作成されればよい。発射用マップ44は、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)及び姿勢(回転角度(θ(α,β,γ))に基づいて作成されるものであってもよいし、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)、及び、飛行速度Vに基づいて作成されるものであってもよい。
【0109】
また、マーカー発射装置12は、マーカー2を鉛直方向に沿って加速して強制発射するものであってもよい。この場合、情報取得部13は、マーカー発射装置12によるマーカー2の発射速度Vmを取得し、地上側制御部22は、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)において、ドローン10が情報取得部13により取得された姿勢(回転角度θ(α,β,γ)をとっており、発射速度Vmでマーカー2が発射された場合に、マーカー2を描画可能な範囲を規定した発射用マップ44を作成するものであってもよい。
【0110】
図10において、一点鎖線矢印により挟まれた範囲は、ドローン10が空中で傾斜しており、かつ、マーカー発射装置12の区画12aからマーカー2を発射速度Vmで加速して発射させた場合における、マーカー2の最大の描画幅W3を示す。図示するように、ドローン10が空中で傾斜している場合に、マーカー2を発射速度Vmで加速して発射させたときのマーカー2の描画幅W3は、マーカー2を自由落下させたときのマーカー2の描画幅W1,W2よりも広くなることがある。つまり、ドローン10の空中における姿勢が傾斜している場合、マーカー発射装置12から発射されたマーカー2は、発射速度Vmに応じて、想定した描画位置からのずれ量が大きくなる可能性がある。
【0111】
そのため、地上側制御部22は、ドローン10の回転角度θ(α,β,γ)と、ドローン10の飛行速度Vと、マーカー2の発射速度Vmとに基づいて、現在位置P(X,Y,Z)において、各区画12aから発射されたマーカー2が描画対象部100に着弾する予測位置を算出する。地上側制御部22は、算出した予測位置を現時点でマーカー2を描画可能な範囲であると判断して、発射用マップ44を作成する(ステップS12)。
【0112】
この構成によれば、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)において、ドローン10の空中における姿勢及びマーカー2の発射速度Vmに応じてマーカー2を描画可能な範囲を規定した発射用マップ44を用いて、発射用マップ44内に含まれる計画マーキング点M*に対応したマーカー発射装置12の区画12aからマーカー2を発射させることができる。それにより、ドローン10の空中での姿勢が本来想定する姿勢からずれ、かつ、マーカー2の発射速度Vmに応じてマーカー2の着弾位置が本来想定する姿勢からずれ得る場合にも、ドローン10の姿勢を修正させることなく、計画マーキング点M*と異なる位置にマーカー2を描画することを抑制することができる。また、ドローン10の姿勢自体を修正する必要がないため、速やかに計画マーキング点M*にマーカー2を描画することができる。
【0113】
なお、マーカー発射装置12は、マーカー2を鉛直方向に対して所定角度で加速して強制発射するものであってもよい。この場合、情報取得部13は、マーカー発射装置12によるマーカー2の発射速度Vmに加えて、マーカー2の発射の所定角度を取得し、地上側制御部22は、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)において、ドローン10が情報取得部13により取得された姿勢(回転角度θ(α,β,γ)をとっており、発射速度Vm及び所定角度でマーカー2が発射された場合に、マーカー2を描画可能な範囲を規定した発射用マップ44を作成するものであってもよい。
【0114】
また、本実施形態では、1回目の予定飛行ラインLnの飛行時には、マーカー発射装置12の中心側に位置する区画12aから優先的にマーカー2を発射させ、2回目以降の予定飛行ラインLnの飛行時には、マーカー発射装置12の外側に位置する区画12aからもマーカー2を発射させるように、発射用マップ44を作成するものとした。マーカー発射装置12の中心側に位置する区画12aと、外側に位置する区画12aとの区分は、いずれの位置で区分されてもよいし、2つ以上に区分されてもよい。また、1回目の予定飛行ラインLnの飛行時においても、マーカー発射装置12の外側に位置する区画12aからもマーカー2を発射させるように発射用マップ44を作成してもよい。また、2回目以降ではなく、3回目以降の予定飛行ラインLnの飛行時に、マーカー発射装置12の外側に位置する区画12aからもマーカー2を発射させるように発射用マップ44を作成してもよい。
【0115】
また、情報取得部13は、描画対象部100の起伏形状を取得可能なものであってもよい。例えば、ドローン10に描画対象部100の起伏形状を取得可能なスキャン装置を搭載しておき、マーカー2を描画する制御を実行する前に、一旦ドローン10を描画対象部100上で飛行させ、起伏形状を取得する。そして、発射用マップ44を作成する際に、情報取得部13により取得した描画対象部100の起伏形状と、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)とに基づいて、ドローン10から描画対象部100までの鉛直方向の距離を算出する。その上で、算出したドローン10から描画対象部100までの鉛直方向の距離と、ドローン10の回転角度θ(α,β,γ)と、ドローン10の飛行速度Vとに基づいて(さらに、マーカー2の発射速度Vmやマーカー2の発射の所定角度にも基づいて)、現在位置P(X,Y,Z)において、各区画12aから発射されたマーカー2が描画対象部100に着弾する予測位置を算出する。これにより、マーカー2が描画対象部100に着弾する予測位置をより精度良く算出して発射用マップ44を作成することができる。その結果、ドローン10を一定の高さで飛行させる場合にも、計画マーキング点M*へのマーカー2の描画精度をさらに高めることができる。
【0116】
また、本実施形態では、ドローン10を停止させる(ホバリング状態とする)ことなく、予定飛行ラインLnに沿って一定の飛行速度Vで飛行させるものとしたが、ドローン10は、予定飛行ラインLnのいずれかの位置で停止してもよい(ホバリング状態となってもよい)し、飛行速度Vは、一定でなくてもよい。例えば、ドローン10が予定飛行ラインLnに沿って飛行している際に、計画マップ41において計画マーキング点M*が存在しない範囲が所定距離以上続く場合、飛行速度Vを大きくするものとしてもよい。また、予定飛行ラインLnは、鉛直方向における高さが一定とされるものでなくともよい。すなわち、予定飛行ラインLnに沿って飛行するドローン10は、常に同じ高さを飛行するものでなくともよい。
【0117】
また、飛行体は、ドローン10に限られず、無線ヘリコプターや無人航空機(UAV)、または、航空機等の有人の飛行体であってオートパイロット機能付きのもの、地上側制御部24からの飛行指示に従ってパイロットが操作する飛行体等であってもよい。
【0118】
また、マーカー2は、描画対象部100に着弾して突き刺さる杭状の部材に限られず、塗料を含んだペイントボール等であってもよい。
【0119】
また、本実施形態では、地上側記憶部21が計画マップ41、実績マップ42及び予定飛行ラインデータ43を記憶するものとし、地上側制御部22がドローン10の自動飛行制御及びマーカー装置12の自動発射制御を実行するものとした。それにより、ドローン側制御部14及びドローン側記憶部15の機能を簡易化し、大型化を抑制することができる。その結果、ドローン10の小型化や軽量化を図ることが可能となる。
【0120】
なお、地上側記憶部21及び地上側制御部22が備える機能の一部は、ドローン10側に持たせるものとしてもよい。例えば、ドローン10の自動飛行制御をドローン側制御部14が実行し、自動飛行制御において作成された(または、予め作成された)予定飛行ラインデータ43をドローン側記憶部15に記憶させてもよい。この場合、ドローン側制御部14は、地上側記憶部21から計画マップ41や実績マップ42を通信により取得し、取得した計画マップ41や実績マップ42に基づいて、自動飛行制御において予定飛行ラインデータ43を作成すると共に、予定飛行ラインLnに沿ったドローン10のnライン飛行制御を実行すればよい。
【0121】
また、マーカー発射装置12の自動発射制御をドローン側制御部14が実行してもよい。この場合も、ドローン側制御部14は、地上側記憶部21から計画マップ41や実績マップ42を通信により取得し、取得した計画マップ41や実績マップ42に基づいて、自動発射制御において発射用マップ44を作成すると共に、作成した発射用マップ44に基づいてマーカー発射装置12の自動発射制御を実行すればよい。また、自動発射制御により実績マップ42を更新し、更新した実績マップ42を地上側記憶部21へと送信すればよい。このように、自動飛行制御や自動発射制御をドローン側制御部14において実行することで、制御応答性を高めることが可能となる。
【0122】
また、位置検出支援部30は、レーザートラッカーであってもよい。この場合、ドローン10にレーザートラッカーからのレーザー光を反射させる反射ターゲットを取り付け、レーザートラッカーからドローン10の反射ターゲットに向けてレーザー光を照射すると共に、反射ターゲットから反射されたレーザー光を入力することで、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)および回転角度θ(α,β,γ)を計測することができる。また、位置検出支援部30は、複数の撮影機器により描画対象部100上を飛行するドローン10を周辺映像も含めて撮影し、撮影した映像を合成処理することで、ドローン10の現在位置P(X,Y,Z)を計測する機能をもった画像処理による位置検出装置であってもよい。
【0123】
また、位置検出支援部30は、
図5に示すnライン飛行制御において、ステップS305のドローン10の姿勢の修正や、ステップS307のドローン10の飛行方向の修正に際して、GPSにより取得またはレーザートラッカーや画像処理による位置算出装置により計測したドローン10の現在位置P(X,Y,Z)、回転角度θ(α,β,γ)に基づいて、現在位置P(X,Y,Z)、回転角度θ(α,β,γ)の補正量を算出し、地上側制御部22へと送信する補正量算出部を備えてもよい。地上側制御部22は、補正量算出部から受信した現在位置P(X,Y,Z)、回転角度θ(α,β,γ)の補正量に基づいて、ドローン10の姿勢の修正または飛行方向の修正を行う。