(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施例に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ100の側面図である。
図2はアスファルトフィニッシャ100の上面図である。アスファルトフィニッシャ100は、主に、トラクタ1、ホッパ2及びスクリード3で構成されている。以下では、トラクタ1から見たホッパ2の方向(+X方向)を前方とし、トラクタ1から見たスクリード3の方向(−X方向)を後方とする。
【0010】
トラクタ1は、アスファルトフィニッシャ100を走行させるための車両である。本実施例では、トラクタ1は、後輪走行用油圧モータを用いて後輪5を回転させ、且つ、前輪走行用油圧モータを用いて前輪6を回転させてアスファルトフィニッシャ100を移動させる。後輪走行用油圧モータ及び前輪走行用油圧モータは油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する。後輪5及び前輪6はクローラで置き換えられてもよい。
【0011】
コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100を制御する制御装置である。本実施例では、コントローラ50は、CPU、メモリ等を含むマイクロコンピュータで構成され、トラクタ1に搭載されている。コントローラ50の各種機能は、不揮発性記憶媒体等に格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
【0012】
ホッパ2は、舗装材を受け入れるための機構であり、主に、ホッパウイング20及びホッパシリンダ24を含む。本実施例では、ホッパ2は、トラクタ1の前側に設置されている。ホッパウイング20は、左ホッパシリンダ24LによってY軸方向(車幅方向)に開閉可能な左ホッパウイング20Lと、右ホッパシリンダ24RによってY軸方向(車幅方向)に開閉可能な右ホッパウイング20Rとを含む。アスファルトフィニッシャ100は、通常、ホッパウイング20を全開状態にしてダンプトラックの荷台から舗装材(例えばアスファルト混合物である。)を受け入れる。
図2はホッパウイング20が全開状態であることを示す。ホッパ2内の舗装材が減少するとホッパウイング20が閉じられ、ホッパ2の内壁付近にあった舗装材がホッパ2の中央部分に集められる。ホッパ2の中央部分にあるコンベアCVがトラクタ1の後側に舗装材を継続的に給送できるようにするためである。すなわち、コンベアCV上に舗装材が溜まった状態を維持できるようにするためである。その後、トラクタ1の後側に給送された舗装材は、スクリュSCによってトラクタ1の後側且つスクリード3の前側で車幅方向に敷き拡げられる。本実施例では、スクリュSCは、エクステンションスクリュが左右に連結された状態にある。
図1及び
図2は、スクリュSCによって路盤RB上に敷き拡げられた舗装材PVをドットパターンで示している。
【0013】
スクリード3は、舗装材PVを敷き均すための機構である。本実施例では、スクリード3は、前側スクリード30及び後側スクリード31を含む。スクリード3は、トラクタ1によって牽引される浮動スクリードであり、レベリングアーム3Aを介してトラクタ1に連結されている。スクリード3によって敷き均され且つ締め固められた舗装材PVは、既設舗装体APに隣接する新設舗装体NPを形成する。
【0014】
撮像装置51は、画像を取得する装置である。本実施例では、撮像装置51は、単眼カメラであり、無線又は有線でコントローラ50に接続されている。コントローラ50は、例えば、撮像装置51が撮像した画像に視点変換処理を施すことで、運転席1Sに着座する運転者の視点(以下、「運転席視点」とする。)の画像を生成できる。撮像装置51は、ステレオカメラであってもよく、距離画像カメラであってもよい。本実施例では、撮像装置51は、前カメラ51F、左カメラ51L、右カメラ51R、及び、コンベアカメラ51Cを含む。
【0015】
前カメラ51Fは、運転席視点で死角となるホッパ2の内側の画像を撮像する。本実施例では、前カメラ51Fの光軸と運転席1Sに着座する運転者の(ホッパ2内の一点を視るときの)視軸とが異なるように、トラクタ1に取り付けられている。具体的には、前カメラ51Fの光軸の俯角と運転者の視軸の俯角とが異なるように、トラクタ1の前部であるボンネット1Bに取り付けられている。但し、前カメラ51Fは、その光軸の俯角と運転者の視軸の俯角とが同じになるように取り付けられていてもよく、その光軸と運転者の視軸とが一致するように取り付けられていてもよい。
図1及び
図2の灰色領域Z1は、前カメラ51Fの撮像範囲を示す。前カメラ51Fの撮像範囲は、ホッパ2の前方の空間を含んでいてもよい。前カメラ51Fは、ホッパ2の内側を撮影するようにホッパ2の後縁部に取り付けられていてもよく、ホッパ2の内部に取り付けられていてもよい。
【0016】
左カメラ51Lは、運転席視点で死角となる左ホッパウイング20Lの車幅方向外側の画像を撮像する。本実施例では、左ホッパウイング20Lの車幅方向外側の死角の画像を撮像できるよう、トラクタ1の左側部から+Y方向(左方)に延びる棒部材BLの先端に取り付けられている。具体的には、左カメラ51Lは、全開状態の左ホッパウイング20Lの左端よりも車幅方向外側(左側)に突出するように取り付けられている。
図1及び
図2の灰色領域Z2は、左カメラ51Lの撮像範囲を示す。
【0017】
右カメラ51Rは、運転席視点で死角となる右ホッパウイング20Rの車幅方向外側の画像を撮像する。本実施例では、右ホッパウイング20Rの車幅方向外側の死角の画像を撮像できるよう、トラクタ1の右側部から−Y方向(右方)に延びる棒部材BRの先端に取り付けられている。具体的には、右カメラ51Rは、全開状態の右ホッパウイング20Rの右端よりも車幅方向外側(右側)に突出するように取り付けられている。
図2の灰色領域Z3は、右カメラ51Rの撮像範囲を示す。
【0018】
棒部材BL、BRは、望ましくは、伸縮可能に構成されている。取り外し可能に構成されていてもよい。アスファルトフィニッシャ100をトレーラ等で輸送する場合に対処するためである。
【0019】
アスファルトフィニッシャ100がキャノピーを備えている場合、左カメラ51Lはキャノピーの天板の左縁部に取り付けられていてもよい。右カメラ51Rについても同様である。この場合、前カメラ51Fがキャノピーの天板の前縁部に取り付けられていてもよい。
【0020】
コンベアカメラ51Cは、トラクタ1の内部にあるコンベアCVの画像を撮像する。本実施例では、コンベアCVのうち、トラクタ1の内部にある部分の画像を撮像できるよう、コンベアCVの上で且つトラクタ1の内部でトラクタ1に取り付けられている。
【0021】
図3は、トラクタ1の図示を省略した状態にあるアスファルトフィニッシャ100の斜視図であり、コンベアカメラ51Cの取り付け位置を示している。コンベアカメラ51Cは、コンベアCVのうち、トラクタ1の内部にあるコンベア部分CV1を撮像する。
図3の灰色領域Z4は、コンベアカメラ51Cの撮像範囲を示す。コンベアカメラ51Cには、暗所での撮像が可能なように照明装置LSが取り付けられている。前カメラ51F、左カメラ51L、及び、右カメラ51Rにも同様に照明装置が取り付けられていてもよい。
【0022】
表示装置52は、各種画像を表示する装置である。本実施例では、表示装置52は、液晶ディスプレイであり、無線又は有線でコントローラ50に接続されている。表示装置52は、運転席1Sに着座する運転者の(ホッパ2内の一点を視るときの)視軸と交差するように配置されている。但し、表示装置52は、運転席1Sに着座する運転者の視軸と交差しないように配置されていてもよい。コントローラ50は、例えば、撮像装置51が撮像した画像に視点変換処理を施して生成した出力画像を表示装置52に表示する。表示装置52は、ヘッドアップディスプレイであってもよく、プロジェクタであってもよい。
【0023】
次に、
図4を参照し、アスファルトフィニッシャ100に搭載される表示システムGSについて説明する。
図4は、表示システムGSの構成例を示すブロック図である。表示システムGSは、主に、コントローラ50、撮像装置51、表示装置52、情報取得装置53、記憶装置54等で構成されている。表示システムGSは、例えば、撮像装置51が撮像した入力画像に基づいて出力画像を生成しその出力画像を表示装置52に表示する。
【0024】
情報取得装置53は、情報を取得し、取得した情報をコントローラ50に対して出力する。情報取得装置53は、例えば、ホッパ開閉スイッチ、ホッパシリンダストロークセンサ、コンベア速度ダイヤル、コンベア速度センサ、コンベアスイッチ等の少なくとも1つを含む。ホッパシリンダストロークセンサは、ホッパシリンダ24のストローク量を検出する。コンベア速度センサは、コンベアCVが舗装材を給送する速度を検出する。コンベアスイッチは、コンベアCVをオン・オフするために操作者が利用可能なスイッチである。
【0025】
記憶装置54は、各種情報を記憶するための装置である。本実施例では、記憶装置54は、入力画像・出力画像対応マップ54aを参照可能に記憶する不揮発性記憶装置である。
【0026】
入力画像・出力画像対応マップ54aは、入力画像平面上の座標と出力画像平面上の座標との対応関係を記憶している。その対応関係は、所望の視点変換を実現できるよう、撮像装置51の光学中心、焦点距離、CCDサイズ、光軸方向ベクトル、カメラ水平方向ベクトル、射影方式等の各種パラメータに基づいて予め設定されている。その対応関係は、入力画像が見掛け上の歪曲やアオリを含む場合には、その見掛け上の歪曲やアオリが出力画像に現れないように設定されていてもよい。
【0027】
コントローラ50は、機能要素として視点変換部50a及びモデル作成部50bを含む。視点変換部50a及びモデル作成部50bは、ソフトウェア、ハードウェア又はファームウェアで構成される。
【0028】
視点変換部50aは、出力画像を生成する機能要素である。本実施例では、記憶装置54に記憶された入力画像・出力画像対応マップ54aを参照し、撮像装置51が撮像した入力画像が位置する入力画像平面上の座標と、運転席視点の出力画像が位置する出力画像平面上の座標とを対応付ける。具体的には、視点変換部50aは、入力画像における各画素の値(例えば、輝度値、色相値、彩度値等である。)を出力画像における各画素の値に対応付けて出力画像を生成する。
【0029】
モデル作成部50bは、出力画像上に重畳表示される三次元コンピュータグラフィックスのモデル(以下、「3Dモデル」とする。)を作成する機能要素である。本実施例では、モデル作成部50bは、視点変換部50aによって生成された、ホッパ2の内側の視点変換画像に適合するように、トラクタ1の3Dモデルを作成する。トラクタ1のボンネット1B、ホッパウイング20、ステアリング1H、コントロールパネル1P等の3Dモデルを作成してもよい。
【0030】
本実施例では、コントローラ50は、視点変換部50aにより、入力画像・出力画像対応マップ54aを参照する。そして、出力画像平面上の各座標に対応する入力画像平面上の座標が有する値(例えば、輝度値、色相値、彩度値等である。)を取得し、その取得した値を、対応する出力画像平面上の各座標の値として採用する。
【0031】
その後、コントローラ50は、出力画像平面上の全ての座標の値を入力画像平面上の座標の値に関連付けたか否かを判定する。未だ全ての座標の値を関連付けていないと判定した場合には、上述の処理を繰り返す。
【0032】
一方、全ての座標の値を関連付けたと判定した場合には、コントローラ50は、モデル作成部50bにより、トラクタ1、ホッパウイング20等の3Dモデルを出力画像上に重畳表示する。本実施例では、3Dモデルを重畳させる出力画像上の位置は予め登録されているが、動的に導き出されてもよい。また、コントローラ50は、3Dモデルを表示した後で、入力画像平面上の座標と出力画像平面上の座標との対応付けを行ってもよい。
【0033】
次に、
図5を参照し、アスファルトフィニッシャ100に搭載された4台の撮像装置51(前カメラ51F、左カメラ51L、右カメラ51R、及び、コンベアカメラ51C)のそれぞれが撮像した入力画像を用いて生成される出力画像について説明する。
図5は、出力画像の一例を示す図である。具体的には、
図5(A)は、表示装置52に表示された出力画像の一例を示す。
図5(B)は、
図5(A)の出力画像を生成するために用いられる入力画像の区分を示す。
【0034】
図5(A)の出力画像は、ホッパ2及びコンベアCVの上にある舗装材PVを運転席1Sから見たときの状態を仮想的に表す画像である。
図5(A)の出力画像は、主に、視点変換部50aによって生成される画像G1〜G4と、モデル作成部50bによって作成される3DモデルCG1〜CG8とを含む。
【0035】
3DモデルCG1〜CG5は、ワイヤーフレームモデルで表現されている。サーフェスモデル又はソリッドモデルで表現されていてもよい。サーフェスモデル又はソリッドモデルの場合には半透明で表示される。3DモデルCG6〜CG8は、サーフェスモデルで表現されている。ワイヤーフレームモデル又はソリッドモデルで表現されていてもよい。3DモデルCG1〜CG8は、他の表現方法で表現されていてもよい。
【0036】
3DモデルCG1は、トラクタ1の本体の3Dモデルであり、ボンネット1Bの3Dモデルを含む。3DモデルCG2は、左ホッパウイング20Lの3Dモデルである。3DモデルCG3は、コントロールパネル1Pの3Dモデルである。3DモデルCG4は、ステアリング1Hの3Dモデルである。3DモデルCG5は、右ホッパウイング20Rの3Dモデルである。3DモデルCG6は、ガイドレール1Gの3Dモデルである。3DモデルCG7は、左後輪5Lの3Dモデルである。3DモデルCG8は、右後輪5Rの3Dモデルである。
【0037】
画像G1は、アスファルトフィニッシャ100の左前方に存在する作業者の画像である。画像G2は、ホッパ2の内側の画像であり、ホッパ2内の舗装材PVの画像を含む。画像G3は、アスファルトフィニッシャ100の右前方に存在するマンホール蓋の画像である。画像G4は、コンベア部分CV1の画像であり、コンベア部分CV1上の舗装材PVの画像を含む。
【0038】
図5(B)は、
図5(A)に対応する画像であり、3DモデルCG1〜CG8の表示を省略し、画像G1〜G4のみを表示している。
【0039】
図5(B)に示すように、作業者の画像G1は、左画像R1に含まれている。左画像R1は、左カメラ51Lが撮像した入力画像に基づいて生成される画像である。本実施例では、左画像R1は、左ホッパウイング20Lの車幅方向外側(左側)の画像を含む。コントローラ50は、左カメラ51Lが撮像した入力画像の一部を切り出して視点変換部50aによる視点変換処理を施すことで左画像R1を生成する。左画像R1は、出力画像の左側上部に配置される。
【0040】
また、ホッパ2の内側の画像G2は、中央上部画像R2に含まれている。中央上部画像R2は、前カメラ51Fが撮像した入力画像に基づいて生成される画像である。本実施例では、中央上部画像R2は、トラクタ1側からホッパ2の内側を見下ろしたときの様子を表す画像を含む。コントローラ50は、前カメラ51Fが撮像した入力画像の一部を切り出して視点変換処理を施すことで中央上部画像R2を生成する。中央上部画像R2は、出力画像の中央上部に配置される。
【0041】
また、路面情報としてのマンホール蓋の画像G3は、右画像R3に含まれている。右画像R3は、右カメラ51Rが撮像した入力画像に基づいて生成される画像である。本実施例では、右画像R3は、右ホッパウイング20Rの車幅方向外側(右側)の画像を含む。コントローラ50は、右カメラ51Rが撮像した入力画像の一部を切り出して視点変換部50aによる視点変換処理を施すことで右画像R3を生成する。右画像R3は、出力画像の右側上部に配置される。
【0042】
また、コンベア部分CV1の画像G4は、中央下部画像R4に含まれている。中央下部画像R4は、コンベアカメラ51Cが撮像した入力画像に基づいて生成される画像である。本実施例では、中央下部画像R4は、コンベア部分CV1の上面を上から見たときの様子を表す画像を含む。コントローラ50は、コンベアカメラ51Cが撮像した入力画像の一部を切り出して視点変換処理を施すことで中央下部画像R4を生成する。中央下部画像R4は、出力画像の中央下部に配置される。
【0043】
本実施例では、中央下部画像R4は、第1部分R4a、第2部分R4b、及び、第3部分R4cを含む。第1部分R4aは、現時点においてコンベアカメラ51Cが撮像した入力画像に基づいて生成される画像である。第2部分R4bは、現時点より前の第1時点においてコンベアカメラ51Cが撮像した入力画像に基づいて生成される画像である。第3部分R4cは、第1時点より前の第2時点においてコンベアカメラ51Cが撮像した入力画像に基づいて生成される画像である。中央下部画像R4は、現時点でコンベアカメラ51Cが撮像した画像のみに基づいて生成されてもよく、2つ又は4つ以上の時点でコンベアカメラ51Cが撮像した2つ又は4つ以上の画像に基づいて生成されてもよい。コントローラ50は、情報取得装置53としてのコンベア速度センサの出力に基づいて中央下部画像R4の生成方法を変更してもよい。
【0044】
本実施例では、4つのカメラのそれぞれの入力画像に関する入力画像平面上の座標と出力画像平面上の座標との対応関係は、視点変換処理による効果を予め取り込んだ状態で、入力画像・出力画像対応マップ54aに記憶されている。そのため、コントローラ50は、入力画像・出力画像対応マップ54aを参照するだけで複数の入力画像平面上の座標を出力画像平面上の座標に対応付けることができる。その結果、コントローラ50は、比較的低い演算負荷で出力画像を生成し且つ表示できる。
【0045】
また、コントローラ50は、トラクタ1の本体の3DモデルCG1の左部分と、左ホッパウイング20Lの3DモデルCG2とを左画像R1上に重畳表示する。そのため、運転席視点の出力画像を見た運転者は、あたかも透明又は半透明であるかのようなトラクタ1及び左ホッパウイング20Lを通して作業者の画像G1を視認できる。その結果、運転者は、作業者がアスファルトフィニッシャ100の左前方に存在することを直感的に把握できる。
【0046】
また、コントローラ50は、トラクタ1の本体の3DモデルCG1の中央部分を中央上部画像R2上に重畳表示する。そのため、運転席視点の出力画像を見た運転者は、あたかも透明又は半透明であるかのようなトラクタ1を通してホッパ2の内側の画像G2を視認できる。その結果、運転者は、ホッパ2の内側がどのようになっているかを直感的に把握できる。例えば、ホッパ2の内側に舗装材PVがどの程度入っているかを直感的に把握できる。
【0047】
また、コントローラ50は、トラクタ1の本体の3DモデルCG1の右部分と、右ホッパウイング20Rの3DモデルCG5とを右画像R3上に重畳表示する。そのため、運転席視点の出力画像を見た運転者は、あたかも透明又は半透明であるかのようなトラクタ1及び右ホッパウイング20Rを通してマンホール蓋の画像G3を視認できる。その結果、運転者は、マンホール蓋がアスファルトフィニッシャ100の右前方に存在することを直感的に把握して後輪5のタイヤ、前輪6のタイヤ等が乗り上げないようにアスファルトフィニッシャ100を操作できる。
【0048】
また、コントローラ50は、トラクタ1の本体の3DモデルCG1の中央部分を中央下部画像R4上に重畳表示する。そのため、運転席視点の出力画像を見た運転者は、あたかも透明又は半透明であるかのようなトラクタ1を通してコンベア部分CV1の画像G4を視認できる。その結果、運転者は、コンベア部分CV1の上がどのようになっているかを直感的に把握できる。例えば、コンベア部分CV1の上に舗装材PVがどの程度載っているかを直感的に把握できる。
【0049】
また、上述の実施例では、左画像R1、中央上部画像R2、右画像R3、及び、中央下部画像R4のそれぞれは、対応する1つのカメラが撮像した入力画像に基づいて生成されている。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、左画像R1、中央上部画像R2、右画像R3、及び、中央下部画像R4のそれぞれは、2つ以上のカメラが撮像した入力画像に基づいて生成されてもよい。
【0050】
上述のように、アスファルトフィニッシャ100は、運転席視点で死角となるホッパ2の内側の画像を撮像する第1撮像装置としての前カメラ51Fと、前カメラ51Fが撮像した画像を視点変換して生成される運転席視点の出力画像(例えば中央上部画像R2を含む出力画像)を表示する表示装置52とを備える。そのため、トラクタ1の前方の様子をより直感的に運転者に認識させることができる。
【0051】
表示装置52は、望ましくは、トラクタ1の3DモデルCG1と共に、運転席視点の出力画像(例えば、左画像R1、中央上部画像R2及び右画像R3を含む出力画像)を表示する。そのため、運転者は、出力画像を見ることで、ホッパ2に関する死角を視認できる。その結果、アスファルトフィニッシャ100は、視認性、安全性、操作性及び作業性を向上させることができる。具体的には、アスファルトフィニッシャ100は、ホッパ2内の舗装材PVの残量、路面情報としての舗装予定の路面における地物(例えば、マンホールである。)の位置等を運転者に直感的に認識させることができる。また、ホッパ2の周辺で作業する作業者の位置を運転者に直感的に認識させることができる。そのため、運転者は、出力画像を見て地物や作業者の位置を確認した上で、ホッパウイング20の開閉、コンベアCVのオン・オフ等の各種操作を実行できる。
【0052】
表示装置52は、例えば、トラクタ1のボンネット1Bの3Dモデルと共に、ホッパ2内の舗装材PVの画像を含む運転席視点の出力画像(例えば中央上部画像R2を含む出力画像)を表示してもよい。この場合、ホッパ2の内側にある舗装材PVの様子をより直感的に運転者に認識させることができる。
【0053】
表示装置52は、例えば、左ホッパウイング20Lの3Dモデルと共に、第2撮像装置としての左カメラ51Lが撮像した画像を視点変換して生成される運転席視点の出力画像(例えば左画像R1を含む出力画像)を表示してもよい。この場合、運転席視点で死角となる左ホッパウイング20Lの車幅方向外側(左側)の様子をより直感的に運転者に認識させることができる。同様に、表示装置52は、例えば、右ホッパウイング20Rの3Dモデルと共に、第2撮像装置としての右カメラ51Rが撮像した画像を視点変換して生成される運転席視点の出力画像(例えば右画像R3を含む出力画像)を表示してもよい。この場合、運転席視点で死角となる右ホッパウイング20Rの車幅方向外側(右側)の様子をより直感的に運転者に認識させることができる。
【0054】
表示装置52は、例えば、コンベアCVの上にあるトラクタ1の3Dモデルと共に、第3撮像装置としてのコンベアカメラ51Cが撮像した画像を視点変換して生成される運転席視点の出力画像(例えば中央下部画像R4を含む出力画像)を表示してもよい。この場合、コンベア部分CV1の上にある舗装材PVの様子をより直感的に運転者に認識させることができる。
【0055】
次に、
図6を参照し、表示装置52としてプロジェクタが採用された場合について説明する。
図6は、プロジェクタがトラクタ1の表面に表示(投影)する運転席視点の出力画像(投影画像)の一例を示す図である。具体的には、
図6(A)は、運転席1Sに着座する運転者が視認可能な投影画像PGが投影される前のトラクタ1の表面を示す。
図6(B)は、投影画像PGの一例を示す。
図6(C)は、投影画像PGが投影された後のトラクタ1の表面を示す。
図6の例では、プロジェクタは、運転席1Sの後方で、ガイドレール1Gから鉛直上方に延びる取り付け用ステーの上端に取り付けられている。アスファルトフィニッシャ100がキャノピーを備えている場合、プロジェクタはキャノピーの天井部に取り付けられていてもよい。
【0056】
この例では、投影画像PGは、
図6(B)に示すように、ホッパ2の3DモデルCG10、コンベアCVの3DモデルCG11、ドットパターンで表される画像R10、及び、斜線パターンで表される画像R11を含む。
【0057】
画像R10は、前カメラ51Fが撮像した入力画像に基づいて生成される画像である。この例では、画像R10は、トラクタ1側からホッパ2の内側を見下ろしたときの様子を表す画像を含む。コントローラ50は、前カメラ51Fが撮像した入力画像の一部を切り出して視点変換処理を施すことで画像R10を生成する。この例では、画像R10は、ホッパ2内の舗装材PVの画像を含んでいる。
【0058】
画像R11は、コンベアカメラ51Cが撮像した入力画像に基づいて生成される画像である。この例では、画像R11は、コンベア部分CV1の上面を上から見たときの様子を表す画像を含む。コントローラ50は、コンベアカメラ51Cが撮像した入力画像の一部を切り出して視点変換処理を施すことで画像R11を生成する。この例では、画像R11は、コンベアCVで後方に給送される舗装材PVの画像を含んでいる。
【0059】
この例では、左カメラ51L及び右カメラ51Rのそれぞれが撮像した入力画像は、出力画像の生成には利用されていない。しかしながら、プロジェクタは、例えば、左カメラ51Lが撮像した入力画像に基づいて生成される運転席視点の画像を、左ホッパウイング20Lの3Dモデルのところに投影してもよい。左ホッパウイング20Lの車幅方向外側(左側)の様子をより直感的に運転者に認識させるためである。右カメラ51Rが撮像した入力画像に基づいて生成される画像についても同様である。
【0060】
この構成により、アスファルトフィニッシャ100は、表示装置52としての液晶ディスプレイに
図5の出力画像を表示させる場合と同様の効果を実現できる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施例が説明された。しかしながら、本発明は、上述した実施例に限定されることはない。上述した実施例は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、上述の実施例を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0062】
例えば、アスファルトフィニッシャ100は、グースアスファルト合材を用いるグースアスファルトフィニッシャであってもよい。