(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1では、左右の操作レバーを用いて、バケットの位置調整が行われ、左右の操作レバーの何れかを用いて、バケットの姿勢調整が行われる。そのため、従来と同様に、バケットを動かすのに必要な操作を両手で行うことになる。したがって、バケットを動かすのに必要な操作が難しいことに変わりはない。
【0012】
本発明の目的は、機体に対して変位可能な作業腕の先端部に作業部材が取り付けられた作業機械において、作業部材を動かすのに必要な操作を容易にすることができる作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の発明者は、上記の目的を達成するために、単一の操作レバーに対する操作に着目して検討を進めた。その結果、以下の知見を得るに至った。
【0014】
作業部材の位置調整は、操作レバーをその中立位置から複数の操作方向の何れかに移動させることで行われる。このような移動操作とは異なる操作によって作業部材の姿勢調整を行うようにすれば、作業部材の位置調整及び姿勢調整を単一の操作レバーに対する操作によって実現することができる。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0015】
本発明による作業機械は、機体と、前記機体に対して変位可能な作業腕と、前記作業腕の先端部に取り付けられ、前記作業腕に対する姿勢を変更可能な作業部材と、前記作業機械のオペレータが把持しながら操作する操作レバーと、前記操作レバーの操作状況に応じて、前記作業腕及び前記作業部材の少なくとも一方の動作を制御する制御装置とを備え、前記操作レバーは、前記操作レバーをその中立位置から複数の操作方向の何れかに移動させる第1操作と、前記第1操作とは異なる操作であって、且つ、前記第1操作が行われている状態でも実行可能な第2操作とを許容し、前記制御装置は、前記第2操作が行われていない場合であって、且つ、前記第1操作が行われている場合には、前記第1操作に対応する方向へ前記作業部材を移動させ、前記第2操作が行われている場合であって、且つ、前記第1操作が行われていない場合には、前記作業腕に対する前記作業部材の姿勢を変更する。
【0016】
上記作業機械においては、作業部材を移動させる操作だけでなく、作業部材の姿勢を変更する操作も、操作レバーに対する操作だけで実現することができる。つまり、上記作業機械においては、作業部材を動かすのに必要な操作を片手で実現することができる。そのため、作業部材を動かすのに必要な操作を容易にすることができる。
【0017】
上記作業機械において
、前記制御装置は、前記第1操作が行われている場合であって、且つ、前記第2操作が行われている場合には、前記第1操作に対応する方向とは異なる方向へ前記作業部材を移動させる。
【0018】
上記の態様においては、作業部材が移動する方向を増やすことができる。そのため、作業部材の動きについての自由度が向上する。
【0019】
上記作業機械において、好ましくは、前記第1操作は、前記操作レバーをその中立位置から第1操作方向へ移動させる第1移動操作と、前記操作レバーをその中立位置から前記第1操作方向とは反対の第2操作方向へ移動させる第2移動操作とを含み、前記制御装置は、前記第2操作が行われていない場合であって、且つ、前記第1移動操作が行われている場合には、前記作業機械の前方へ前記作業部材を移動させ、前記第2操作が行われていない場合であって、且つ、前記第2移動操作が行われている場合には、前記作業機械の後方へ前記作業部材を移動させ、前記第2操作が行われている場合であって、且つ、前記第1移動操作が行われている場合には、前記作業機械の上方へ前記作業部材を移動させ、前記第2操作が行われている場合であって、且つ、前記第2移動操作が行われている場合には、前記作業機械の下方へ前記作業部材を移動させる。
【0020】
上記の態様においては、作業部材を作業機械の前後方向及び上下方向に移動させるための操作を、操作レバーに対する第1移動操作及び第2移動操作と、これらの移動操作と第2操作との組み合わせにより、実現することができる。
【0021】
上記作業機械において、好ましくは、前記第1移動操作は、前記操作レバーをその中立位置から前記作業機械の前方へ移動させる操作であり、前記第2移動操作は、前記操作レバーをその中立位置から前記作業機械の後方へ移動させる操作である。
【0022】
上記の態様においては、第1移動操作及び第2移動操作に伴う操作レバーの操作方向が、これらの移動操作のみを行うときの作業部材の移動方向と一致している。そのため、作業機械のオペレータは、操作レバーを操作するときに、作業部材が移動する方向を直感的に理解することができる。
【0023】
上記作業機械において、好ましくは、前記第1操作は、さらに、前記操作レバーをその中立位置から前記第1操作方向及び前記第2操作方向の各々に垂直な第3操作方向へ移動させる第3移動操作と、前記操作レバーをその中立位置から前記第3操作方向とは反対の第4操作方向へ移動させる第4移動操作とを含み、前記制御装置は、前記第2操作が行われていない場合であって、且つ、前記第3移動操作が行われている場合には、前記作業機械の左方へ前記作業部材を移動させ、前記第2操作が行われていない場合であって、且つ、前記第4移動操作が行われている場合には、前記作業機械の右方へ前記作業部材を移動させる。
【0024】
上記の態様においては、作業部材を作業機械の左右方向に移動させるための操作を、操作レバーに対する第3移動操作及び第4移動操作により、実現することができる。
【0025】
上記作業機械において、好ましくは、前記第3移動操作は、前記操作レバーをその中立位置から前記作業機械の左方へ移動させる操作であり、前記第4移動操作は、前記操作レバーをその中立位置から前記作業機械の右方へ移動させる操作である。
【0026】
上記の態様においては、第3移動操作及び第4移動操作に伴う操作レバーの操作方向が、これらの移動操作のみを行うときの作業部材の移動方向と一致している。そのため、作業機械のオペレータは、操作レバーを操作するときに、作業部材が移動する方向を直感的に理解することができる。
【0027】
上記作業機械において、好ましくは、前記機体は、下部走行体と、前記下部走行体に対して旋回可能に配置され、前記作業腕が設けられた上部旋回体とを含み、前記制御装置は、前記第2操作が行われていない場合であって、且つ、前記第3移動操作が行われている場合には、前記上部旋回体を左旋回させることで、前記作業機械の左方へ前記作業部材を移動させ、前記第2操作が行われていない場合であって、且つ、前記第4移動操作が行われている場合には、前記上部旋回体を右旋回させることで、前記作業機械の右方へ前記作業部材を移動させる。
【0028】
上記の態様においては、上部旋回体に設けられた作業腕が上部旋回体の左右方向への旋回に伴って左右方向に移動することで、作業腕に取り付けられた作業部材が左右方向に移動する。そのため、作業部材を左右方向に移動させるための機構を作業腕そのものに設けなくてもよい。その結果、作業腕の構造が必要以上に複雑になるのを回避することができる。
【0029】
上記作業機械において、好ましくは、前記操作レバーは、前記オペレータが把持するレバー本体と、前記レバー本体に設けられた操作スイッチとを含み、前記第1操作は、前記レバー本体に対する操作であり、前記第2操作は、前記操作スイッチに対する操作である。
【0030】
上記の態様においては、操作スイッチを操作するだけで、第2操作を行うことができる。そのため、第1操作をしながら、第2操作をすることが容易にできる。
【0031】
上記作業機械において、好ましくは、前記作業機械は、油圧ショベルである。
【発明の効果】
【0032】
本発明による作業機械によれば、作業部材を動かすのに必要な操作を容易にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳述する。
【0035】
図1を参照しながら、本発明の実施の形態による作業機械としての油圧ショベル10について説明する。
図1は、油圧ショベル10の概略構成を示す右側面図である。
【0036】
なお、以下の説明において、前後方向、上下方向及び左右方向とは、油圧ショベル10のオペレータから見た方向(つまり、油圧ショベル10が備える上部旋回体14の前後方向、上下方向及び左右方向)のことをいう。
【0037】
油圧ショベル10は、機体としての下部走行体12及び上部旋回体14と、作業装置16とを備える。以下、これらについて説明する。
【0038】
下部走行体12は、左右一対のクローラ121を有する。左右一対のクローラ121が駆動することにより、下部走行体12が地面G1に沿って移動する。
【0039】
上部旋回体14は、下部走行体12の上方に位置している。上部旋回体14は、下部走行体12に対して旋回可能に配置されている。上部旋回体14が旋回するときの中心軸線CL1は、上下方向に延びている。
【0040】
上部旋回体14は、旋回フレーム141と、エンジンルーム142と、キャブ143とを含む。以下、これらについて説明する。
【0041】
旋回フレーム141は、下部走行体12に対して旋回可能に配置されている。旋回フレーム141は、エンジンルーム142と、キャブ143と、作業装置16とを支持する。
【0042】
エンジンルーム142は、旋回フレーム141の上面に配置されている。エンジンルーム142は、油圧ショベル10の駆動源としてのエンジンを収容する。
【0043】
キャブ143は、旋回フレーム141の上面に配置されている。キャブ143は、オペレータが着座する運転席と、オペレータが油圧ショベル10を操作するための各種の操作装置を収容する。
【0044】
作業装置16は、旋回フレーム140の上面に配置されている。作業装置16は、ブーム161と、アーム162と、バケット163と、ブームシリンダ164と、アームシリンダ165と、バケットシリンダ166とを含む。
【0045】
ブーム161は、旋回フレーム140に対して起伏可能に配置されている。アーム162は、ブーム161の先端部に対して揺動可能に配置されている。バケット163は、アーム162の先端部に対して回動可能に配置されている。
【0046】
ブームシリンダ164は、ブーム161を旋回フレーム140に対して起伏させるように駆動する。アームシリンダ165は、アーム162をブーム161に対して揺動させるように駆動する。バケットシリンダ166は、バケット163をアーム162に対して回動させるように駆動する。ブームシリンダ164、アームシリンダ165及びバケットシリンダ166は、それぞれ、油圧シリンダである。
【0047】
図2を参照しながら、油圧ショベル10についてさらに説明する。
図2は、油圧ショベル10の主要な構成要素を示す説明図である。
【0048】
油圧ショベル10は、操作レバー18と、前後方向操作検出センサ20と、旋回方向操作検出センサ22と、第1スイッチ操作検出センサ24と、第2スイッチ操作検出センサ26と、コントローラ28と、旋回モータ30と、旋回モータ用油圧回路32と、ブームシリンダ用油圧回路34と、アームシリンダ用油圧回路36と、バケットシリンダ用油圧回路38とをさらに備える。
【0049】
操作レバー18は、バケット163の動作を制御するときに、油圧ショベル10のオペレータによって操作される。ここで、バケット163の動作は、バケット163の上部旋回体14に対する位置を変更するための動作と、バケット163の下部走行体12に対する位置を変更するための動作と、バケット163のアーム162に対する姿勢を変更するための動作とのうち、少なくとも一つを含む。操作レバー18は、キャブ143内に配置されている。
【0050】
図3を参照しながら、操作レバー18について説明する。
図3は、操作レバー18の概略構成を示す右側面図である。
【0051】
操作レバー18は、基台180と、レバー本体181と、第1操作スイッチ182と、第2操作スイッチ183とを含む。
【0052】
基台180は、レバー本体181を支持する。基台180は、キャブ143内に固定されている。
【0053】
レバー本体181は、油圧ショベル10のオペレータによって把持される。レバー本体181は、バケット163の上部旋回体14に対する位置や、バケット163の下部走行体12に対する位置を変更するときに操作される。
【0054】
レバー本体181は、基台180に対して揺動可能に配置されている。具体的には、レバー本体181は、
図3に示す中立位置から前方、後方、左方及び右方の各々に向かって傾倒可能に配置されている。
【0055】
つまり、本実施の形態では、レバー本体181の前方への傾倒操作が第1移動操作に対応し、レバー本体181の後方への傾倒操作が第2移動操作に対応し、レバー本体181の左方への傾倒操作が第3移動操作に対応し、レバー本体181の右方への傾倒操作が第4移動操作に対応する。
【0056】
レバー本体181は、軸部1811と、頭部1812とを含む。軸部1811は、頭部1812を支持する。軸部1811は、基台180から上方に向かって延びている。
【0057】
第1操作スイッチ182及び第2操作スイッチ183は、バケット163のアーム162に対する姿勢を変更するときに操作される。第1操作スイッチ182及び第2操作スイッチ183は、頭部1812に配置されている。第1操作スイッチ182及び第2操作スイッチ183は、前後方向に並んでいる。第1操作スイッチ182は、第2操作スイッチ183よりも前方に位置している。
【0059】
前後方向操作検出センサ20は、レバー本体181が前方及び後方の何れに向かって傾倒されているかを検出する。前後方向操作検出センサ20は、レバー本体181が傾倒している方向を示す信号(前後方向操作信号)をコントローラ28に出力する。具体的には、レバー本体181が前方に向かって傾倒されている場合、前後方向操作検出センサ20は、前後方向操作信号として、前方操作信号を出力する。レバー本体181が後方に向かって傾倒されている場合、前後方向操作検出センサ20は、前後方向操作信号として、後方操作信号を出力する。
【0060】
旋回方向操作検出センサ22は、レバー本体181が左方及び右方の何れに向かって傾倒されているかを検出する。旋回方向操作検出センサ22は、レバー本体181が傾倒している方向を示す信号(旋回方向操作信号)をコントローラ28に出力する。具体的には、レバー本体181が左方に向かって傾倒されている場合、旋回方向操作検出センサ22は、旋回方向操作信号として、左旋回操作信号を出力する。レバー本体181が右方に向かって傾倒されている場合、旋回方向操作検出センサ22は、旋回方向操作信号として、右旋回操作信号を出力する。
【0061】
第1スイッチ操作検出センサ24は、第1操作スイッチ182が操作されているか否かを検出する。第1スイッチ操作検出センサ24は、第1操作スイッチ182が操作されていることを示す信号(第1スイッチ操作信号)をコントローラ28に出力する。
【0062】
第2スイッチ操作検出センサ26は、第2操作スイッチ183が操作されているか否かを検出する。第2スイッチ操作検出センサ26は、第2操作スイッチ183が操作されていることを示す信号(第2スイッチ操作信号)をコントローラ28に出力する。
【0063】
コントローラ28は、バケット163の動作を制御する。コントローラ28は、例えば、中央演算処理装置が記憶装置に記憶されているプログラムを読み出して、所定の処理を行うことで実現される。なお、コントローラ28の少なくとも一部を、ASIC等の集積回路によって実現してもよい。コントローラ28の詳細については、後述する。
【0064】
旋回モータ30は、上部旋回体14を下部走行体12に対して旋回させる。旋回モータ30は、油圧モータである。
【0065】
旋回モータ用油圧回路32は、油圧アクチュエータとしての旋回モータ30を油圧によって駆動する回路である。
【0066】
ブームシリンダ用油圧回路34は、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ164を油圧によって駆動する回路である。
【0067】
アームシリンダ用油圧回路36は、油圧アクチュエータとしてのアームシリンダ165を油圧によって駆動する回路である。
【0068】
バケットシリンダ用油圧回路38は、油圧アクチュエータとしてのバケットシリンダ166を油圧によって駆動する回路である。
【0069】
旋回モータ用油圧回路32、ブームシリンダ用油圧回路34、アームシリンダ用油圧回路36及びバケットシリンダ用油圧回路38は、それぞれ、油圧ポンプ、コントロールバルブ及び電磁弁を含む。油圧ポンプは、油圧ショベル10のエンジンによって駆動され、作動油を油圧アクチュエータに供給する。コントロールバルブは、パイロット式の切換弁であり、入力されるパイロット圧に応じて、油圧ポンプから油圧アクチュエータへの作動油の供給を制御する。電磁弁は、コントローラ28からの指令により、パイロット圧を変化させる。したがって、コントローラ28は、各油圧回路32、34、36、38のコントロールバルブを通じて、各油圧アクチュエータ(旋回モータ30、ブームシリンダ164、アームシリンダ165及びバケットシリンダ166)の作動を制御することができる。なお、油圧ポンプは、各油圧回路32、34、36、38に共通のものであってもよい。
【0070】
図4を参照しながら、コントローラ28について説明する。
図4は、コントローラ28の概略構成を示すブロック図である。
【0071】
コントローラ28は、操作内容判定部としての入力信号判定部281と、バケット位置制御部282と、バケット姿勢制御部283とを備える。
【0072】
入力信号判定部281は、前後方向操作検出センサ20、旋回方向操作検出センサ22、第1スイッチ操作検出センサ24及び第2スイッチ操作検出センサ26のうち、何れのセンサからどのような信号が入力されているかを判定する。つまり、入力信号判定部281は、操作レバー18に対する操作内容を確認する。
【0073】
バケット位置制御部282は、操作レバー18に対する操作内容に応じて、バケット163の位置を制御する。バケット163の位置は、ブームシリンダ164、アームシリンダ165及び旋回モータ30のなかから選ばれる1又は複数のアクチュエータを駆動することで制御できる。
【0074】
バケット位置制御部282は、前後位置制御部2821と、左右位置制御部2822と、上下位置制御部2823とを備える。以下、これらについて説明する。
【0075】
前後位置制御部2821は、油圧ショベル10の前後方向でのバケット163の位置を制御する。油圧ショベル10の前後方向でのバケット163の位置は、ブームシリンダ164及びアームシリンダ165を駆動することで制御できる。なお、地面G1(
図1参照)に対するバケット163の姿勢(つまり、バケット163の角度)を維持しながらバケット163を前後方向に移動させてもよい。この場合、ブームシリンダ164及びアームシリンダ165だけでなく、バケットシリンダ166も駆動する必要がある。
【0076】
左右位置制御部2822は、油圧ショベル10の左右方向でのバケット163の位置を制御する。油圧ショベル10の左右方向でのバケット163の位置は、旋回モータ30を駆動することで制御できる。
【0077】
上下位置制御部2823は、油圧ショベル10の上下方向でのバケット163の位置を制御する。油圧ショベル10の上下方向でのバケット163の位置は、ブームシリンダ164及びアームシリンダ165を駆動することで制御できる。なお、地面G1(
図1参照)に対するバケット163の姿勢(つまり、バケット163の角度)を維持しながらバケット163を上下方向に移動させてもよい。この場合、ブームシリンダ164及びアームシリンダ165だけでなく、バケットシリンダ166も駆動する必要がある。
【0078】
バケット姿勢制御部283は、押圧操作された操作スイッチの種類(第1操作スイッチ182及び第2操作スイッチ183の何れか)、つまり、操作レバー18に対する第2操作の内容に応じて、バケット163のアーム162に対する姿勢を制御する。具体的には、以下のとおりである。
【0079】
第1操作スイッチ182が押圧操作されている場合、バケット姿勢制御部283は、バケット163が抱え込んでいる操作対象としての土砂を排出する向き、すなわち、開き方向に、バケット163をアーム162に対して回動させることで、バケット163の姿勢を制御する。第2操作スイッチ183が押圧操作されている場合、バケット姿勢制御部283は、バケット163が土砂を抱え込む向き、すなわち、掬い上げ方向に、バケット163をアーム162に対して回動させることで、バケット163の姿勢を制御する。
【0080】
ここで、入力信号判定部281は、操作レバー18に対する操作内容(つまり、入力されたセンサ信号の種類)に応じて、バケット163の動作を決定し、当該動作を制御する制御部を選択する。バケット163の動作を制御する制御部は、前後位置制御部2821、左右位置制御部2822、上下位置制御部2823及びバケット姿勢制御部283のなかから選択される。入力信号判定部281は、選択した制御部にバケット163の動作を制御させる。具体的には、以下のとおりである。
【0081】
入力信号判定部281は、前後方向操作検出センサ20からの信号がコントローラ28に入力されている場合であって、且つ、第1スイッチ操作検出センサ24及び第2スイッチ操作検出センサ26の何れからも信号が入力されていない場合には、要求されているバケット163の動作が前後方向への移動であると判定し、前後位置制御部2821にバケット163の位置を制御させるために、入力された信号を前後位置制御部2821に出力する。そして、前後位置制御部2821は、現時点での地面G1(
図1参照)に対するバケット163の姿勢(つまり、バケット163の角度)を維持しながら、入力された信号に対応する方向(前方又は後方)にバケット163を移動させる。
【0082】
入力信号判定部281は、旋回方向操作検出センサ22からの信号がコントローラ28に入力されている場合であって、且つ、第1スイッチ操作検出センサ24及び第2スイッチ操作検出センサ26の何れからも信号が入力されていない場合には、要求されているバケット163の動作が左右方向への移動であると判定し、左右位置制御部2822にバケット163の位置を制御させるために、入力された信号を左右位置制御部2822に出力する。そして、左右位置制御部2821は、現時点での地面G1(
図1参照)に対するバケット163の姿勢(つまり、バケット163の角度)を維持しながら、入力された信号に対応する方向(左旋回方向又は右旋回方向)にバケット163を移動させる。
【0083】
入力信号判定部281は、前後方向操作検出センサ20からの信号(具体的には、前方への操作を示す信号)がコントローラ28に入力されている場合であって、且つ、第1スイッチ操作検出センサ24からの信号が入力されている場合には、要求されているバケット163の動作が下方向への移動であると判定し、上下位置制御部2823にバケット163の位置を制御させるために、入力された信号を上下位置制御部2823に出力する。そして、上下位置制御部2823は、現時点での地面G1(
図1参照)に対するバケット163の姿勢(つまり、バケット163の角度)を維持しながら、バケット163を下方向に移動させる。
【0084】
入力信号判定部281は、前後方向操作検出センサ20からの信号(具体的には、後方への操作を示す信号)がコントローラ28に入力されている場合であって、且つ、第2スイッチ操作検出センサ26からの信号が入力されている場合には、要求されているバケット163の動作が上方向への移動であると判定し、上下位置制御部2823にバケット163の位置を制御させるために、入力された信号を上下位置制御部2823に出力する。そして、上下位置制御部2823は、バケット163が土砂を抱え込むように、バケット163の姿勢を変更した後、このときの地面G1(
図1参照)に対するバケット163の姿勢(つまり、バケット163の角度)を維持しながら、バケット163を上方向に移動させる。
【0085】
入力信号判定部281は、第1スイッチ操作検出センサ24及び第2スイッチ操作検出センサ26の何れかからの信号のみが入力されていない場合には、要求されているバケット163の動作がアーム162に対する姿勢の変更であると判定し、バケット姿勢制御部283にバケット163の姿勢を制御させるために、入力された信号をバケット姿勢制御部283に出力する。そして、バケット姿勢制御部283は、入力された信号に対応する方向(開き方向又は掬い上げ方向)に、バケット163をアーム162に対して回動させる。
【0086】
図5A及び
図5Bを参照しながら、コントローラ28によるバケット163の動作制御を示す。
図5Aは、コントローラ28によるバケット163の動作制御の一部を示すフローチャートである。
図5Bは、コントローラ28によるバケット163の動作制御の他の一部を示すフローチャートである。
【0087】
先ず、コントローラ28は、ステップS11において、操作レバー18が前方向に操作されていることを示す信号が入力されているか否かを判定する。操作レバー18が前方向に操作されている場合(ステップS11:YES)、コントローラ28は、ステップS12において、第1操作スイッチ182が押圧操作されていることを示す信号が入力されているか否かを判定する。
【0088】
第1操作スイッチ182が押圧操作されていない場合(ステップS12:NO)、コントローラ28は、ステップS13において、バケット163をそのままの状態で(具体的には、地面に対する姿勢を変化させずに)前方向に移動させる。その後、コントローラ28は、バケット163の動作制御を終了する。
【0089】
一方、第1操作スイッチ182が押圧操作されている場合(ステップS12:YES)、コントローラ28は、ステップS14において、バケット163が作業対象としての土砂を抱え込むように、バケット163の姿勢を変更した後、バケット163を上方向に移動させる。その後、コントローラ28は、バケット163の動作制御を終了する。
【0090】
操作レバー18が前方向に操作されていない場合(ステップS11:NO)、コントローラ28は、ステップS15において、操作レバー18が後方向に操作されていることを示す信号が入力されているか否かを判定する。操作レバー18が後方向に操作されている場合(ステップS15:YES)、コントローラ28は、ステップS16において、第2操作スイッチ183が押圧操作されていることを示す信号が入力されているか否かを判定する。
【0091】
第2操作スイッチ183が押圧操作されていない場合(ステップS16:NO)、コントローラ28は、ステップS17において、バケット163をそのままの状態で(具体的には、地面に対する姿勢を変化させずに)後方向に移動させる。その後、コントローラ28は、バケット163の動作制御を終了する。
【0092】
一方、第2操作スイッチ183が押圧操作されている場合(ステップS16:YES)、コントローラ28は、ステップS18において、バケット163をそのままの状態で(具体的には、地面に対する姿勢を変化させずに)下方向に移動させる。その後、コントローラ28は、バケット163の動作制御を終了する。
【0093】
操作レバー18が後方向に操作されていない場合(ステップS15:NO)、コントローラ28は、ステップS19において、操作レバー18が左方向に操作されていることを示す信号が入力されているか否かを判定する。操作レバー18が左方向に操作されている場合(ステップS19:YES)、コントローラ28は、ステップS20において、上部旋回体14を下部走行体12に対して左方向に旋回させることにより、バケット163をそのままの状態で(具体的には、地面に対する姿勢を変化させずに)左方向に移動させる。その後、コントローラ28は、バケット163の動作制御を終了する。
【0094】
操作レバー18が左方向に操作されていない場合(ステップS19:NO)、コントローラ28は、ステップS21において、操作レバー18が右方向に操作されていることを示す信号が入力されているか否かを判定する。操作レバー18が右方向に操作されている場合(ステップS21:YES)、コントローラ28は、ステップS22において、上部旋回体14を下部走行体12に対して右方向に旋回させることにより、バケット163をそのままの状態で(具体的には、地面に対する姿勢を変化させずに)右方向に移動させる。その後、コントローラ28は、バケット163の動作制御を終了する。
【0095】
操作レバー18が左方向に操作されていない場合(ステップS21:NO)、コントローラ28は、ステップS23において、第1操作スイッチ182が押圧操作されていることを示す信号が入力されているか否かを判定する。第1操作スイッチ182が押圧操作されている場合(ステップS23:YES)、コントローラ28は、ステップS24において、バケット163が抱え込んでいる土砂を排出するように、バケット163の姿勢を変更する。その後、コントローラ28は、バケット163の動作制御を終了する。
【0096】
第1操作スイッチ182が押圧操作されていない場合(ステップS23:NO)、コントローラ28は、ステップS25において、第2操作スイッチ183が押圧操作されていることを示す信号が入力されているか否かを判定する。第2操作スイッチ183が押圧操作されている場合(ステップS25:YES)、コントローラ28は、ステップS26において、バケット163が土砂を抱え込むように、バケット163の姿勢を変更する。その後、コントローラ28は、バケット163の動作制御を終了する。
【0097】
第2操作スイッチ183が押圧操作されていない場合(ステップS25:NO)、コントローラ28は、バケット163の動作制御を終了する。
【0098】
このように、油圧ショベル10においては、操作レバー18に対する操作内容(つまり、操作レバー18に対する移動操作とスイッチ操作との組み合わせ)に応じて、バケット163の動作を制御する。操作レバー18に対する操作内容と、バケット163の動作内容との組み合わせを、表1に示す。
【0100】
つまり、油圧ショベル10では、操作レバー18が前後方向及び左右方向の何れかに操作される場合には、バケット163が現在の状態(具体的には、地面に対する姿勢)を維持しながら操作レバー18の操作方向に移動する。操作レバー18が前方向に操作されている状態で、第1操作スイッチ182が押圧操作される場合には、バケット163が土砂を抱え込むような姿勢(つまり、土砂がバケット163からこぼれにくい姿勢)になった後で上方向に移動する。操作レバー18が後方向に操作されている状態で、第2操作スイッチ183が押圧操作される場合には、バケット163が現在の状態(具体的には、地面に対する姿勢)を維持しながら下方向に移動する。操作レバー18が移動操作されていない状態で、第1操作スイッチ182が押圧操作される場合には、バケット163が土砂を抱え込むように、バケット163の姿勢が変更される。操作レバー18が移動操作されていない状態で、第2操作スイッチ183が押圧操作される場合には、バケット163が抱え込んでいる土砂を排出するように、バケット163の姿勢が変更される。
【0101】
図6〜
図22を参照しながら、操作レバー18に対する操作内容とバケット163の動作内容との関係について説明する。
【0102】
先ず、
図6に示すように、バケット163が地面G1に接触している状態を想定する。この状態では、
図7に示すように、操作レバー18は、その中立位置にある状態で、第1操作スイッチ182及び第2操作スイッチ183の各々が操作されていない。
【0103】
この状態から、操作レバー18を、
図8に示すように、後方向に操作する。これにより、バケット163は、
図9に示すように、後方向に移動する。その結果、地面G1上に存在する作業対象としての土砂SLがバケット163によって掻き集められる。
【0104】
この状態で、
図10に示すように、第2操作スイッチ183を押圧操作すると、バケット163が、
図11に示すように、掻き集めた土砂SLを落とし難くなる姿勢(つまり、土砂SLを抱え込む姿勢)になった後、
図12に示すように、その状態(具体的には、地面G1に対する姿勢)を維持しながら、上方向に移動する。
【0105】
続いて、操作レバー18を、
図13に示すように、左方向に操作すると、バケット163は、
図14に示すように、左方向に旋回する。また、操作レバー18を、
図15に示すように、前方向に操作すると、バケット163は、
図16に示すように、現在の状態(具体的には、地面G1に対する姿勢)を維持しながら、前方向に移動する。
【0106】
そして、操作レバー18を、
図17に示すように、その中立位置に戻した状態で、第1操作スイッチ182を押圧操作することにより、バケット163は、
図18に示すように、抱え込んでいる土砂SLを排出するように、その姿勢を変更する。
【0107】
その後、
図19に示すように、操作レバー18を前方向に移動しながら、第1操作スイッチ182を押圧操作することにより、バケット163は、
図20に示すように、現在の状態(具体的には、地面G1に対する姿勢)を維持しながら、下方向に向かって移動する。
【0108】
また、操作レバー18を、
図15に示すように、前方向に移動させると、バケット163は、
図21に示すように、現在の状態(具体的には、地面G1に対する姿勢)を維持しながら、前方向に移動する。その後、
図19に示すように、第1操作スイッチ182を押圧操作することにより、バケット163は、
図22に示すように、現在の状態(具体的には、地面G1に対する姿勢)を維持しながら、下方向に移動する。
【0109】
油圧ショベル10においては、バケット163を移動させる操作だけでなく、バケット163の姿勢を変更する操作も、操作レバー18に対する操作だけで実現することができる。つまり、油圧ショベル10においては、バケット163を動かすのに必要な操作を片手で実現することができる。そのため、バケット163を動かすのに必要な操作を容易にすることができる。
【0110】
油圧ショベル10においては、バケット163が前後方向及び左右方向の何れかに移動するときに、バケット163の移動方向が操作レバー18の操作方向に一致している。そのため、油圧ショベル10のオペレータは、操作レバー18を操作するときに、バケット163が移動する方向を直感的に理解することができる。
【0111】
油圧ショベル10においては、レバー本体181に対して第1操作スイッチ182及び第2操作スイッチ183が設けられているので、レバー本体181に対する操作と、第1操作スイッチ182及び第2操作スイッチ183の何れかに対する操作とを同時にすることが容易にできる。
【0112】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、上述の実施の形態の記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0113】
本発明の作業機械は、作業部材としてのバケットを備える油圧ショベルに限定されず、例えば、作業部材としてのニブラを備える解体機であってもよい。本発明の作業機械は、作業部材が作業腕に対して着脱可能に取り付けられたものであってもよい。本発明の作業機械は、油圧式でなくてもよい。
【0114】
本発明における操作レバーの第1操作は、操作レバーの傾倒操作に限定されず、例えば、操作レバーのスライド操作であってもよい。
【0115】
本発明における操作レバーの第2操作は、操作レバーが備える操作スイッチの押圧操作に限定されず、例えば、操作レバーをその軸線周りに回動させる操作であってもよい。また、上記実施の形態では、第2操作が操作スイッチの押圧操作である場合の例として、2つの操作スイッチ(第1操作スイッチ181及び第2操作スイッチ183)を備える場合について説明したが、例えば、2つの操作スイッチの代わりに、1つのシーソースイッチを採用してもよいし、操作スイッチを1つだけ採用するようにしてもよい。
【0116】
本発明では、作業部材を左右方向に移動させながら、作業部材の作業腕に対する姿勢を変更してもよい。例えば、上記実施の形態において、バケット163が左右方向に移動しているときに、バケット163が抱え込んでいる土砂を排出するようにしてもよい。