(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上部配管の内部には、鉛直下方へ向けて水を供給し散布する洗浄水ノズルと、前記水の供給を制御する弁が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の燃料供給配管構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、石炭火力発電では、石炭燃料を貯留するバンカから給炭機までを鋼管で接続し、給炭機で必要量を計量して粉砕機に燃料を投入する。このとき、一般には、内部が加圧された加圧粉砕機で石炭を粉砕する場合、給炭機内圧を粉砕機内圧よりも大きい値に設定する。これは、加圧粉砕機から加圧ガスが給炭機へ流入することを防止するためである。また、バンカから給炭機までの連結鋼管部(以下、「ダウンスパウト」という。)に積層される石炭充填層のシール性で、給炭機内からバンカ側へ加圧ガスの流れが発生することを防止している。
【0006】
これに対して、バイオマス燃料は、粉砕機で粉砕される前はペレット状とされているので、ペレット間の隙間が大きく石炭と比較してバンカ内部でのガス通過を阻止する吹上シール性が劣り、ダウンスパウトにおける充填層でのシール性が十分に確保できない。このためバイオマス燃料では石炭と比較してより長いダウンスパウト長さが必要になり設備が大型化するという問題がある。
【0007】
これに対して、特許文献1の燃料供給管にはロータリバルブが設けられているので、加圧粉砕機からの加圧ガスをシールすることができる構成となっている。しかし、特許文献1では、バンカや給炭機(燃料供給機)がバイオマス燃料と石炭燃料のそれぞれに設けられており、設備の大型化が避けられないという問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、バイオマス燃料と石炭燃料とを切り替えて運用する場合であっても、可及的に設備を共有してコンパクトに構成することができる燃料供給配管構造およびこれを備えた燃料粉砕供給システムならびに燃料供給配管構造の運用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の燃料供給配管構造およびこれを備えた燃料粉砕供給システムならびに燃料供給配管構造の運用方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる燃料供給配管構造は、粉砕前の燃料を所定の供給量で供給する燃料供給機に接続された上部配管と、粉砕機に接続されて該粉砕機に前記燃料を導く下部配管と、前記上部配管と前記下部配管の間に設けられ、ロータリバルブと接続配管とが交換可能とされた交換部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
粉砕前の燃料は、燃料供給機によって所定の供給量で供給され、上部配管を通り下方の下部配管へと送られ、粉砕機へと導かれる。粉砕機では、燃料を粉砕することによって微粉燃料とし、微粉燃料をボイラ等の燃焼装置へと供給する。
上部配管と下部配管との間に、ロータリバルブと接続配管とが交換可能な交換部を設けることとした。これにより、バイオマス燃料を用いる場合にはロータリバルブを設置して粉砕機からの加圧ガスの吹き上げをロータリバルブでシールし、燃料供給機やさらにその上流のバンカまで加圧ガスが吹き上げることを防止することができる。石炭燃料を用いる場合にはロータリバルブに代えて接続配管を設置する。石炭燃料の場合は、バイオマス燃料に比べて密に貯留されるので、粉砕機からの加圧ガスの吹き上げは燃料供給機やその上流のダウンスパウトで石炭の層によりシールすることができる。
したがって、粉砕機に供給する燃料を石炭燃料もしくはバイオマス燃料のいずれかに切り替えた場合であっても、共通の燃料供給機や粉砕機を利用することができる。
【0011】
さらに、本発明の燃料供給配管構造では、前記上部配管の下端には、該上部配管の本体から分割されるとともに前記交換部に接続される上部配管下端部が設けられ、前記上部配管の前記本体の下端側と前記上部配管下端部の上端側を覆う筒部と、該筒部を外周側から締め付けて固定する締付固定具とを備えるスリーブジョイントを備えていることを特徴とする。
【0012】
上部配管の下端に、上部配管の本体から分割された上部配管下端部を設けた。そして、上部配管の本体の下端側と上部配管下端部の上端側との接続部を筒部で覆い、締付固定具で筒部を締め付けて固定するスリーブジョイントを設けることとした。これにより、上部配管と交換部とを接続する際に上部配管下端部を取り外すことで、交換部を移動し易くして取り外しを容易にした。また、スリーブジョイントにより配管長さの誤差を吸収して交換を容易にすることができる。
【0013】
さらに、本発明の燃料供給配管構造では、前記ロータリバルブの鉛直下方には、水を供給する水供給部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
水供給部をロータリバルブよりも鉛直上方に設けると、水を散水した際にバイオマス燃料が吸水し湿潤して閉塞してしまうおそれがある。そこで、ロータリバルブの下方に水供給部を設け、下部配管へ向けて水を供給し散水するようにした。これにより、バイオマス燃料によってロータリバルブが閉塞されるおそれを回避する。供給される水は、例えば消火水として用いられる。
【0015】
さらに、本発明の燃料供給配管構造では、前記水供給部は、水平方向に対して安息角以上に傾斜して前記下部配管へと通気する分岐配管に設けられていることを特徴とする。
【0016】
水供給部を分岐配管に設け、分岐配管の水平方向に対する傾斜角度を安息角以上とした。これにより、バイオマス燃料が分岐配管内に入り込んでも分岐配管内に滞留することがない。
【0017】
さらに、本発明の燃料供給配管構造では、前記分岐配管には、パージエア供給部、及び/又は、温度計挿入部、及び/又は、突き棒挿入部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
分岐配管にパージエア供給部を設けることで、下部配管等をパージし、粉砕機内の加圧ガスが下部配管を経由して燃料供給機側へ向かって逆流して流通しないようにすることができる。また、分岐配管に温度計挿入部を設けることで、下部配管内の温度を計測することができる。また、分岐配管に突き棒挿入部を設けることで、突き棒を挿入して下部配管等の詰まりを解消することができる。
【0019】
さらに、本発明の燃料供給配管構造では、前記上部配管の内部には、鉛直下方へ向けて水を供給し散布する洗浄水ノズルと、前記水の供給を制御する弁が設けられていることを特徴とする。
【0020】
上部配管の内部に洗浄水ノズルを設け、鉛直下方へ向けて水を供給し散布することとした。これにより、配管内面を摺動して付着石炭を除去するスクレーパを設ける必要がなくなり、接続配管に交換する際の作業容易性を高めることができる。
なお、バイオマス燃料の場合は、水を供給するとバイオマス燃料が吸水し湿潤して管内を閉塞するおそれがあるので、水の供給を停止するよう開閉する弁を設けてある。
【0021】
さらに、本発明の燃料供給配管構造では、前記下部配管の上端部には、ホッパ部が設けられ、該ホッパ部の内面には耐摩耗材が設けられていることを特徴とする。
【0022】
下部配管の上端部にはホッパ部が設けられ、この鉛直上方に交換部としてのロータリバルブや接続配管が取り付けられる。石炭燃料を使用する際に接続配管が取り付けられると、燃料供給機から供給された石炭は自重で重力落下して加速した状態でホッパ部の内面に衝突する。この衝突によってホッパ部が摩耗するおそれがあるので、ホッパ部の内面に耐摩耗材を設けることとし、ホッパ部の損傷を防止することとした。
【0023】
また、本発明の燃料粉砕供給システムは、燃料を貯留するバンカと、該バンカから燃料を受け入れて所定の供給量で供給する燃料供給機と、請求項1から7のいずれかに記載された燃料供給配管構造と、該燃料供給配管構造の鉛直下方に設けられた粉砕機とを備えていることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の燃料供給配管構造の運用方法は、粉砕前の燃料を所定の供給量で供給する燃料供給機に接続された上部配管と、粉砕機に接続されて該粉砕機に前記燃料を導く下部配管と、前記上部配管と前記下部配管の間に設けられ、ロータリバルブと接続配管とが交換可能とされた交換部と、を備えた燃料供給配管構造の運用方法であって、バイオマス燃料を用いる場合に、前記接続配管に代えて前記ロータリバルブを設置し、石炭を用いる場合に、前記ロータリバルブに代えて前記接続配管を設置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
バイオマス燃料と石炭燃料とを切り替えて運用する場合であっても、可及的に設備を共有してコンパクトに構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本実施形態に係る燃料粉砕供給システム及び燃料供給配管構造を備えたボイラ設備1が示されている。なお、本実施形態では上方とは鉛直上側方向を、下方とは鉛直下側方向を示している。
ボイラ設備1は、ボイラ本体3に供給するバイオマス燃料及び石炭燃料を粉砕する粉砕機5を備えている。ここで、バイオマス燃料とは、再生可能な生物由来の有機性資源であり、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などであり、ここに提示したものに限定されることはない。バイオマス燃料は、バイオマスの成育過程において二酸化炭素を取り込むことから、地球温暖化ガスとなる二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルとされるため、その利用が種々検討されている。
粉砕機5には微粉燃料供給管7が接続されており、粉砕機5で粉砕された微粉燃料が搬送ガスとなる熱空気とともに微粉燃料供給管7を介してバーナ9へと導かれるようになっている。
粉砕機5には、バイオマス用サイロ11に貯蔵されたバイオマス燃料がバンカ13を介して導かれる。
粉砕機5には、熱空気供給管15が接続されている。熱空気供給管15は、1次通風機17に接続されており、空気予熱器19によって予熱された空気と、空気予熱器19をバイパスした空気とが混合して温度調整された空気が導かれるようになっている。また、熱空気供給管15には、ガス再循環通風機21を介して電気集塵機23を通過した排ガスの一部が導かれるようになっている。したがって、粉砕機5には、熱空気供給管15を介して、空気予熱器19で温度調整され、かつ排ガスによって酸素濃度調整された混合気が導かれる。
上述したバイオマス用サイロ11からバーナ9までの機器によって、燃料粉砕供給システムが構成されている。
【0028】
ボイラ本体3内の火炉にてバーナ9によって火炎が形成され、ボイラ本体3内の図示しない熱交換器によって蒸気が生成する。生成された蒸気は、図示しない蒸気タービンへと導かれて発電が行われる。
【0029】
ボイラ本体3から排出された排ガスは、脱硝装置25によって脱硝された後に空気予熱器19にて1次通風機17から導かれた空気を加熱した後に電気集塵機23へと導かれる。排ガスは、電気集塵機23で脱塵された後に、誘引通風機27を介して脱硫装置29へと導かれる。誘引通風機27の上流側で、一部の排ガスが抽気されてガス再循環通風機21を介して熱空気供給管15へと導かれる。
誘引通風機27から導かれた排ガスは、脱硫装置29にて脱硫された後に煙突31へと導かれて大気へと放出される。
【0030】
図2には、
図1に示した粉砕機5とバンカ13との間に設けられた燃料供給配管構造40が示されている。
粉砕機5は、加圧式とされた竪型ミルとされており、石炭燃料やバイオマス燃料などの固形物を粉砕する。粉砕機5は、鉛直方向に延在する中心軸線回りを回転する粉砕テーブル42と、粉砕テーブル42の上面に対向して設けられた粉砕ローラ43とを備えている。粉砕テーブル42と粉砕ローラ43との間で石炭燃料やバイオマス燃料(ペレット)が粉砕される。粉砕された燃料は、熱空気供給管15(
図1参照)から供給された熱空気によって巻き上げられ、ロータリセパレータ44を通り微粉のサイズで分級された後に、微粉燃料供給管7(
図1参照)を通りボイラ本体3のバーナ9へと導かれる。
【0031】
粉砕機5の上部中央には、燃料供給配管構造40の下部配管45が固定されている。下部配管45の上方には、ロータリバルブ47および上部配管49がこの順番で接続されている。上部配管49の上方には燃料供給機50が接続されている。
【0032】
燃料供給機50は、石炭燃料の場合は給炭機と称されるものであり、所定量の供給量で燃料を送り出すものである。例えば、燃料供給機50は、ベルトコンベア式とされる。燃料供給機50には、シールエア用バルブ50a1が設けられたシールエア配管50aと、消火水用バルブ50b1が設けられた消火水配管50bとが接続されていてもよい。シールエア用バルブ50a1は、石炭燃料の場合に開とされ、シールエアを燃料供給機50内へと供給することで燃料供給機50の内圧を粉砕機5の内圧より高くして、粉砕機5内の微粉を含む加圧ガスの逆流を防止するようにしてもよい。消火水用バルブ50b1は、石炭燃料の場合に消火が必要となった場合に開とされて散水され、通常時は閉とされる。消火水用バルブ50b1は、バイオマス燃料の場合には吸水により湿潤しないように常に閉とされる。
【0033】
燃料供給機50の上方には、ダウンスパウト52を介してバンカ13が接続されている。バンカ13は、バイオマス燃料を用いる際にはベレット状のバイオマス燃料が貯留され、石炭燃料を用いる際には石炭燃料が貯留される。ダウンスパウト52は、鉛直方向に延在する鋼管部とされており、内部に燃料が積層状態で保持されている。石炭燃料の場合には、ダウンスパウト52内に積層された石炭燃料によって粉砕機5側の微粉を含む加圧ガスがバンカ13側へ逆流入しないシール性が確保されるようになっている。
【0034】
バイオマス燃料を用いる際にはベレット状のバイオマス燃料の間には隙間があり、石炭燃料と比較してダウンスパウト52での燃料層によるシール性が不十分になる。このため、バイオマス燃料を用いる際には、上部配管49の下方にロータリバルブ47を設けることで、粉砕機5側の微粉を含む加圧ガスがバンカ13側へ逆流入しないシール性を確保する。また、石炭燃料を用いる際には、石炭による摩耗等を考慮しロータリバルブ47を外してもよい。
上部配管49の下方のロータリバルブ47との間には、上部配管49の本体から分割された上部配管下端部56が設けられている。上部配管下端部56の下端はフランジを介してロータリバルブ47に対して固定される。上部配管49の本体の下側と上部配管下端部56の上側との接続部には、スリーブジョイント54が設けられている。スリーブジョイント54は、ロータリバルブ47と短管(接続配管)48(
図3参照)とを交換する際に取り外しがされる。スリーブジョイント54は、上部配管49の本体の下側と上部配管下端部56の上側との接続部を覆う筒部54aと、筒部54aを外周側から締め付けて固定する締付バンド(締付固定具)54bとを備えている。筒部54aは、例えば可撓性を備えるゴム製とされている。締付バンド54bは、例えば半割りとされたリング形状とされている。上部配管49の本体と上部配管下端部56とを突き合わせた状態で筒部54aを覆うように被せ、締付バンド54bで筒部54aを締め付けることで、上部配管49の本体の下側と上部配管下端部56の上側との間を気密に固定するようになっている。締付バンド54bは複数設けても良い。
【0035】
ロータリバルブ47は、バルブハウジング内に設けられた回転方向に区画された複数の部屋を備える回転部を備えている。回転部に形成された各部屋が独立しているので、バイオマス燃料を供給する場合であっても、下部配管45から上方へ向かう加圧ガスの流れをシールできるようになっている。
ロータリバルブ47には、シールエア用バルブ47a1を介してシールエア配管47aが接続されている。シールエア配管47aから供給されたシールエアによって、バルブハウジングと回転部との摺動部をシールするようになっている。
【0036】
ロータリバルブ47は、
図3に示した短管48と交換ができるようになっている。短管48は、直線状の鋼管とされている。石炭燃料を用いる場合に短管48に交換される。
【0037】
ロータリバルブ47の下方には、分岐配管とされた台座58が設けられている。台座58は、燃料が流通する流路(
図2では下部配管45)から斜め上方に向かって傾斜している。台座58の水平方向に対する傾斜角度θは、バイオマス燃料及び石炭燃料の安息角以上に設定されている。台座58には、消火水用バルブ60aが設けられた消火水配管(水供給部)60と、パージエア用バルブ61aが設けられたパージエア配管61とが接続されている。パージエア用バルブ61aを開としてパージエアを台座58を介して下部配管45へ流すことで、粉砕機5内の加圧ガスがバンカ13に向かって逆流して流通しないようにすることができる。また、下部配管45内をパージエアが流れることで、バイオマス燃料や石炭燃料の固着を抑制することができる。消火水用バルブ60aは、バイオマス燃料の場合に消火が必要となった場合に開とされ、通常時は閉とされる。消火水が散水されても水は上方にあるロータリバルブ47へは流れないので、ロータリバルブ47内でのバイオガス燃料が吸水し湿潤して閉塞することを防止できる。パージエア用バルブ61a及び消火水用バルブ60aは、バイオガス燃料のみならず石炭燃料の場合にも同様に使用される。また、バイオマス燃料を用いる際にもシールエア用バルブ50a1を開として、シールエアを燃料供給機50内へと供給することで燃料供給機50の内圧を粉砕機5の内圧よりも高くして、粉砕機5内の微粉を含む加圧ガスの逆流を防止するようにしてもよい。または、分岐配管とされた台座58からシールエアを供給しても良い。
【0038】
台座58には、消火水配管60及びパージエア配管61との接続部よりも上方に、ボール弁62が設けられ、ボール弁62のさらに上方の開口端にはキャップ63が設けられている。ボール弁62は、常時は閉とされており、突き棒を挿入する際に開とされる。突き棒は、キャップ63を取り外して開放端から挿入される。突き棒によって、下部配管45等の詰まりが解消されるようになっている。また、ボール弁62は、熱電対など(温度計)を挿入する場合にも開とされる。粉砕機5内の加圧ガスは、熱空気であるので、燃料供給機50側へと逆流が生じていないかを温度により確認する場合など、必要時に熱電対などを台座58に介して挿入することで、下部配管45等における温度を計測することができる。
【0039】
図4に示すように、ホッパ部70を備える中継管65を設けても良い。この場合、台座58は、ロータリバルブ47の下方に設けた中継管65に取り付けるようにしても良い。これにより、接続する下部配管45等の口径が異なる場合でも、口径を合わせた中継管65を介して台座58を取り付けることができる。また、台座58をバイオマス燃料時のみに使用する場合は、ロータリバルブ47とともに、取り外すことができる。
【0040】
図5には、上部配管49に設けられた洗浄水ノズル67が示されている。
図5は、
図3におけるA−A断面である。洗浄水ノズル67は、上部配管49の内周面に沿って配置された2つの略半円弧状のヘッダ67aから洗浄水を下方に向かって供給し散布する。これにより、石炭燃料の際に短管48の内面に付着した石炭を洗い流すようになっている。洗浄水ノズル67には、洗浄水供給配管68が接続されている。洗浄水は、洗浄水供給配管68に設けられた洗浄水用ボール弁69によって供給及び停止が制御される。洗浄水用ボール弁69は、バイオマス燃料の際には常に閉とされ、バイオマス燃料が吸水し湿潤してロータリバルブ47などに閉塞することを抑制する。
【0041】
本実施形態では、粉砕機5の上流側にホッパ部70を備える場合がある。
図6に示されているように、下部配管45の上端部には、上方に向かって拡径するホッパ部70が設けられている。なお、
図6には燃料供給機50内に設けられたベルトコンベア51が示されている。このベルトコンベア51によって燃料が順次下方へと送り出されるようになっている。
【0042】
ホッパ部70の内面には、耐摩耗材が設けられている。耐摩耗材としては、例えば、セラミックスや、硬化肉盛溶接が挙げられる。
ホッパ部70の内面に耐摩耗材を設ける理由は以下のとおりである。
図6のようにロータリバルブ47が存在していると、燃料がホッパ部70に直接衝突することはなく、またロータリバルブ47を用いる場合は燃料がバイオマス燃料とされるのでホッパ部70の内面が損傷するおそれはない。これに対して、ロータリバルブ47を設置した状態から、
図7に示すように短管48を設置した状態に交換すると、短管48が存在するだけなので燃料供給機50から落下した石炭は重力で加速して直接ホッパ部70に衝突するものがある。また、ロータリバルブ47との交換を前提とした構造となっているので、ホッパ部70の位置はロータリバルブ47の下方になる方が便宜であり、この場合は燃料供給機50からホッパ部70までの距離が長くなる。比較例として
図8の場合のように石炭専用の場合にはロータリバルブ47との交換を前提としないので、給炭管40’の上端部側に設けたホッパ部70’は、燃料供給機50の近傍に近づけて配置することができる。したがって、
図7に示したようにロータリバルブ47を設置した状態から短管48を設置した状態に交換することが可能な構造を採用する場合には、燃料供給機50からホッパ部70までの距離が長くなるために、ホッパ部70の内面に重力落下で加速した石炭が高速で衝突することになる。したがって、ホッパ部70の内面に耐摩耗材を設けることは、ホッパ部70の内面の損傷を低減する上で有効となる。
【0043】
次に、
図9を用いて、
図2に示したロータリバルブ47と、
図3に示した短管48とを交換する工程について説明する。
図9に示されているように、粉砕機5は、下部床F1上に設置され、燃料供給機50は上部床F2上に設置されている。下部床F1と上部床F2との間で、ロータリバルブ47の設置位置よりも下方でかつ下部配管45の上部付近の接続部分の高さ位置に、中間床F3が設けられている。
【0044】
以下に、ロータリバルブ47を取り外して、短管48を取り付ける工程について説明する。
まず、スリーブジョイント54の筒部54aを締め付けている半割とされた締付バンド54bを緩める、または取外す(符号S1参照)。
次に、スリーブジョイント54の筒部54aを上方向へスライドする(符号S2参照)。なお、筒部54aを下方向へスライドさせても良い。
次に、上部配管下端部56を水平方向に移動して取り外す(符号S3参照)。これにより、ロータリバルブ47の上方に空間が形成され、ロータリバルブ47の取外しが容易になる。
次に、ロータリバルブ47を、上部床F2から吊り下げたロープ72を利用し、吊り下げて水平方向に移動する(符号S4参照)。例えば、上部床F2に設けたホイスト又はモノレールから吊り下げたロープの下端を、ロータリバルブ47に設けたアイプレートに取り付けて吊り下げる。なお、中間床F3に下部レールや、台車、コロ等の横引装置を設けてロータリバルブ47を移動させても良い。
次に、ロータリバルブ47をさらに水平方向に吊り下げて移動させ(符号S5参照)、中間床F3上の所定位置に保管する。
以上により、ロータリバルブ47の搬出及び保管が終了する。
【0045】
そして、短管48を上部配管49と下部配管45との間の交換位置にロープ73で吊下げて移動し(符号S6参照)、上部配管下端部56と短管48とを取り付ける。その後、スリーブジョイント54の筒部54aを下方へスライドし、締付バンド54bを取り付けて締め付けて固定する。これにより、短管48の取り付けが終了する。
【0046】
短管48からロータリバルブ47に交換する手順は、上記と逆の手順になる。
【0047】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上部配管49と下部配管45との間に、ロータリバルブ47と短管48とが交換可能な交換部を設けることとした。これにより、バイオマス燃料を用いる場合にはロータリバルブ47を設置して粉砕機5からの加圧ガスの吹き上げをロータリバルブ47でシールし、燃料供給機50やさらにその上流のバンカ13まで加圧ガスが吹き上げることを防止することができる。石炭燃料を用いる場合にはロータリバルブ47に代えて短管48を設置する。石炭燃料の場合は、バイオマス燃料に比べて密に貯留されるので、粉砕機5からの加圧ガスの吹き上げは燃料供給機50やその上流のダウンスパウト52でシールすることができる。
したがって、バイオマス燃料を石炭燃料から切り替えた場合であっても、共通の燃料供給機50や粉砕機5を利用することができる。
【0048】
上部配管49の下端に、上部配管49の本体から分割された上部配管下端部56を設け、上部配管49の本体と上部配管下端部56との接続部を筒部54aで覆い、締付バンド54bで筒部54aを締め付けて気密に固定するスリーブジョイント54を設けることとした。これにより、上部配管49とロータリバルブ47又は短管48とを接続する際に、配管長さの誤差を吸収して交換を容易にすることができる。
【0049】
バイオマス燃料を用いる場合に、ロータリバルブ47よりも上方から水を供給すると、バイオマス燃料が吸水し湿潤してロータリバルブ47内で閉塞してしまうおそれがある。そこで、ロータリバルブの下方に台座58を設けて消火水配管60を取り付けて、消火が必要になった場合に下部配管45へ向けて水を供給し散布するようにした。これにより、バイオマス燃料によってロータリバルブ47が閉塞されるおそれを回避する。
【0050】
石炭を供給する上部配管49などの給炭管に対しては、配管内面を摺動して付着石炭を除去するスクレーパを設けることがある。しかし、本実施形態のように石炭燃料を用いる場合には短管48に交換する構成となっているので、短管48に対してスクレーパを設けることは構造上困難である。そこで、上部配管49に洗浄水ノズル67(
図5参照)を設け、石炭燃料の場合に下方へ向けて水を散布することとした。これにより、短管48にスクレーパを設ける必要がなくなり、短管48に交換する際の作業容易性を高めることができる。
【0051】
石炭燃料を使用する際に短管48が取り付けられると、燃料供給機50から供給された石炭燃料が落下して重力で加速した状態でホッパ部70の内面に衝突する(
図7参照)。そこで、ホッパ部70の内面に耐摩耗材を設けることとし、ホッパ部70の損傷を防止することができる。
【0052】
また、ロータリバルブ47と短管48とを交換可能として、バイオマス燃料と石炭燃料とを使い分けることができるようにした。これにより、バイオマス燃料が使用できない期間や、FIT(Feed-in Tariff:固定価格買取制度)運用からバイオマス燃料を使用しない期間には、石炭燃料による運転が可能となるので、燃料供給設備を最小の変更を行うことで設備の大型化を抑制して、効率的なプラント運用が可能になる。
また、上述した実施形態では、バイオマス燃料としては全てをバイオマス系燃料を用いて粉砕する粉砕機5として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、石炭とともにバイオマス燃料を混合して粉砕する粉砕機に対しても用いることができる。