【実施例1】
【0022】
図1は、水位センサが原子炉内に設置された、本発明の実施例1による原子炉水位計の全体構成図である。本実施例による原子炉水位計は、原子炉内に設置された水位センサ6、及び水位センサ6に接続された水位計測装置15を備える。水位計測装置15は、温度計測装置16、ヒータ制御装置18、計測制御装置20、温度計回路61の不具合検知装置21、及びヒータ回路64の不具合検知装置22を備える。計測制御装置20は、選択装置19を備える。選択装置19は、後述する選択テーブルを格納している。
【0023】
原子炉圧力容器1の内部には、周囲をシュラウド2で囲まれた炉心3が設置されている。炉心3内では、図示しない多数の燃料集合体が、炉心支持板4と上部格子板5に支持されている。炉心3内には、複数の炉内計装管7が設置されている。
図1では、1つの炉内計装管7のみを示している。
【0024】
水位センサ6は、複数の炉内計装管7内に設置されている。1つの炉内計装管7内には、複数の水位センサ6a〜6fが設置されている。水位センサ6は、
図1には示していないが、ヒータ回路64と温度計回路61を備える。複数の炉内計装管7の間では、設置されている水位センサ6の数、ヒータ回路64が備えるヒータ62の数や高さ方向の位置、及び温度計回路61が備える温度計(例えば、熱電対67)の高さ方向の位置は、互いに同じでも異なっていてもよい。水位センサ6の詳細な構成については、後述する。
【0025】
水位センサ6には、信号ケーブル23及びヒータケーブル24が接続されている。信号ケーブル23は、温度計回路61に接続される。ヒータケーブル24は、ヒータ回路64に接続される。
【0026】
信号ケーブル23及びヒータケーブル24は、炉内計装管7の下端から原子炉圧力容器1の外へ導かれ、水位計測装置15に接続されている。信号ケーブル23は、水位センサ6の温度計回路61と不具合検知装置21を接続し、不具合検知装置21と温度計測装置16を接続する。すなわち、水位センサ6の温度計回路61は、信号ケーブル23によって、温度計回路61の不具合検知装置21を介して温度計測装置16に接続される。ヒータケーブル24は、水位センサ6のヒータ回路64と不具合検知装置22を接続し、不具合検知装置22とヒータ制御装置18を接続する。すなわち、水位センサ6のヒータ回路64は、ヒータケーブル24によって、ヒータ回路64の不具合検知装置22を介してヒータ制御装置18に接続される。
【0027】
温度計測装置16、ヒータ制御装置18、不具合検知装置21、22は、計測制御装置20に接続されている。
【0028】
温度計測装置16は、信号ケーブル23によって水位センサ6の温度計(熱電対67)の測定値を入力し、温度計が検出した温度を計測制御装置20に出力する。
【0029】
ヒータ制御装置18は、計測制御装置20からの指示を入力し、この指示に従って水位センサ6のヒータ62への通電を制御する。ヒータ制御装置18は、ヒータケーブル24によってヒータ62に通電する。
【0030】
計測制御装置20は、水位センサ6のヒータ62に通電し、水位センサ6の温度計(熱電対67)が検出した温度変化から原子炉水位を求める。また、計測制御装置20は、温度計測装置16と、ヒータ制御装置18と、不具合検知装置21、22を制御する。計測制御装置20は、不具合検知装置21、22が水位センサ6の不具合(例えば、温度計回路61とヒータ回路64の断線、短絡、及び地絡などの異常)を検知したら、検知した不具合に基づいて、通電するヒータ回路64を変更したり温度を取得する温度計回路61を変更したりして、水位の計測に使用するヒータ回路64と温度計回路61、または水位の計測に使用する水位センサ6を変更する。
【0031】
炉内計装管7は、下部が原子炉圧力容器1の下部に取り付けられた炉内計装ハウジング8及び炉内計装案内管9に挿入されており、上部が上部格子板5に固定されている。炉内計装ハウジング8及び炉内計装管7には、通水口10、11、12が設けられている。通水口10、11は、水位センサ6の下部に設置され、通水口12は、炉内計装管7の上端付近に設置されている。通水口10、11、12は、炉心3の内部と炉内計装管7の内部とを連通し、原子炉水位が上部格子板5よりも下方に低下した場合に、炉内計装管7内の水位と原子炉水位とが一致するように、冷却水13が流れる。炉内計装管7の内部には、止水栓14が設けられている。止水栓14は、通水口11よりも下方に取り付けられており、炉内計装管7の下端から冷却水13が漏えいするのを防止する。
【0032】
炉内計装管7の内部には、中性子検出器34が備えられている。中性子検出器34は、原子炉圧力容器1に設置された中性子束測定装置35に接続されている。さらに、原子炉圧力容器1には、蒸気から水分を除去するための湿分分離器36と蒸気乾燥器37が設置されている。
【0033】
本実施例による原子炉水位計が備える水位センサ6について、詳しく説明する。本実施例による原子炉水位計は、複数の水位センサ6を備える。水位センサ6のそれぞれは、少なくとも1つのヒータ回路64と、少なくとも1つの温度計回路61を備える。ヒータ回路64のそれぞれは、高さ方向の位置が互いに異なる少なくとも1つのヒータ62を備える。温度計回路61のそれぞれは、1つの温度計(例えば、熱電対67)を備える。それぞれの水位センサ6において、温度計は、ヒータ62に通電したときの温度の変化を感度よく検出できるように、ヒータ62の近くに設置するのが好ましい。
【0034】
それぞれの水位センサ6において、温度計(熱電対67)のうち少なくとも1つは、他の水位センサ6の温度計の1つと高さ方向の位置が略同一である。複数の水位センサ6において、それぞれのヒータ回路64の中で最高の位置にあるヒータ62は、他のヒータ回路64の中で最高の位置にあるヒータ62のうちの少なくとも1つと高さ方向の位置が異なる。なお、2つの温度計について高さ方向の位置が略同一とは、計測した水位が同じであるとみなせるような位置に2つの温度計が設置されているということである。
【0035】
原子炉水位計は、水位の低下による炉心3の異常加熱や落下物との衝突などにより、上方に位置する水位センサ6から破損や故障などの不具合が生じると考えられる。本実施例による原子炉水位計は、複数の水位センサ6を備えるので、1つの水位センサ6に不具合が生じても、他の水位センサ6を用いて水位を計測できる。原子炉水位計は、高さ方向の位置が略同一である温度計(熱電対67)を複数備えるので、1つの温度計に不具合が生じても、高さ方向の位置が略同一の他の温度計を用いて水位を計測できる。各ヒータ回路64の中で最高の位置にあるヒータ62は、他のヒータ回路64の中で最高の位置にあるヒータ62のうちの少なくとも1つと高さ方向の位置が異なるので、上方に位置するヒータ62から不具合が生じても、不具合が生じていないヒータ62を用いて水位を計測できるとともに、水位の計測に使用する温度計の数の増加を抑制できる。
【0036】
不具合が生じた場合に備えて設置する水位センサ6の数を増やしても、高さ方向の位置が略同一である複数の温度計を備えているので、水位の計測に使用するヒータ62の数を少なくすることができ、ヒータ62への通電時の消費電力を抑制できる。
【0037】
上記の特徴を備える原子炉水位計の構成例を、
図2〜4を用いて説明する。
【0038】
図2は、本実施例による原子炉水位計の構成の一例を示す図である。
図2には、原子炉水位計に設けられた3つの水位センサ60a〜60cを示している。水位センサ60a〜60cは、
図9を用いて説明したように、金属シース69に収納されたヒータ回路64と温度計回路61を備える。ヒータ回路64は、ヒータ62とヒータリード63を備える。温度計回路61は、温度計である熱電対67を備える。なお、水位センサ60a〜60cは、1つの炉内計装管7の中に設けられていてもよく、複数の炉内計装管7の中に分けて設けられていてもよい。
【0039】
水位センサ60aは、1つのヒータ回路64と、2つの温度計回路61を備える。ヒータ回路64は、1本のヒータリード63に2つのヒータ62(62a1、62a2)が接続された構成を備える。ヒータ62a1とヒータ62a2は、高さ方向の位置が互いに異なる。温度計回路61の一方は、熱電対67(67a1)を備え、他方は、熱電対67(67a2)を備える。
【0040】
水位センサ60bは、2つのヒータ回路64と、3つの温度計回路61を備える。ヒータ回路64の一方は、1本のヒータリード63に3つのヒータ62(62b1、62b2、62b3)が接続された構成を備え、他方は、1本のヒータリード63に2つのヒータ62(62b4、62b5)が接続された構成を備える。ヒータ62b1とヒータ62b2とヒータ62b3は、高さ方向の位置が互いに異なる。ヒータ62b4とヒータ62b5は、高さ方向の位置が互いに異なる。温度計回路61の1つは、熱電対67(67b1)を備え、他の1つは、熱電対67(67b2)を備え、残りの1つは、熱電対67(67b3)を備える。
【0041】
水位センサ60cは、1つのヒータ回路64と、1つの温度計回路61を備える。ヒータ回路64は、1本のヒータリード63に1つのヒータ62(62c1)が接続された構成を備える。温度計回路61は、熱電対67(67c1)を備える。
【0042】
水位センサ60a〜60cのそれぞれにおいて、熱電対67のうち少なくとも1つは、他の水位センサ60a〜60cの熱電対67の1つと高さ方向の位置が略同一である。
図2に示した例では、水位センサ60aの熱電対67a2は、水位センサ60bの熱電対67b1と高さ方向の位置が略同一である。また、水位センサ60bの熱電対67b3は、水位センサ60cの熱電対67c1と高さ方向の位置が略同一である。
【0043】
水位センサ60a〜60cの各ヒータ回路64において、最高の位置にあるヒータ62は、他のヒータ回路64内の最高の位置にあるヒータ62のうちの少なくとも1つと、高さ方向の位置が異なる。
図2に示した例では、水位センサ60aのヒータ回路64では、ヒータ62a1が最高の位置にあるヒータ62であり、水位センサ60bの2つのヒータ回路64では、ヒータ62b1とヒータ62b4がそれぞれ最高の位置にあるヒータ62であり、水位センサ60cのヒータ回路64では、ヒータ62c1が最高の位置にあるヒータ62である。ヒータ回路64内の最高の位置にあるヒータ62であるヒータ62a1、ヒータ62b1、ヒータ62b4、及びヒータ62c1は、高さ方向の位置が互いに異なる。
【0044】
水位センサ60a〜60cに不具合が起きていないときは、ヒータ62a1、62a2、62b4、62b5と熱電対67a1、67a2、67b2、67b3を用いて水位を計測する。例えば、水位センサ60aに不具合が起きた場合は、ヒータ62b1、62b2、62b3と熱電対67b1、67b2、67b3を用いて水位を計測する。水位センサ60aと、水位計センサ60bのうち上部のヒータ62b1を含むヒータ回路64または熱電対67b1に不具合が生じた場合には、ヒータ62b4、62b5、62c1と熱電対67b2、67b3、67c1を用いて水位を計測する。水位センサ60aと60bの全てに不具合が起きた場合は、ヒータ62c1と熱電対67c1を用いて水位を計測する。このように、ヒータ回路64や温度計回路61(または水位センサ)に不具合が起きた場合には、水位の計測に使用するヒータ回路64と温度計回路61(または水位センサ)を変更することで、継続して水位を計測する。
【0045】
図3は、本実施例による原子炉水位計の構成の別の例を示す図である。
図3には、原子炉水位計に設けられた4つの水位センサ60d〜60gを示している。水位センサ60d〜60gのそれぞれは、ヒータ回路64を1つだけ備える。なお、水位センサ60d〜60gは、1つの炉内計装管7の中に設けられていてもよく、複数の炉内計装管7の中に分けて設けられていてもよい。1つの水位センサが1つのヒータ回路64を備えるので、ヒータ回路64のヒータリード63の直径を大きくして抵抗を小さくでき、ヒータ62への通電時の消費電力を抑制することができる。
【0046】
水位センサ60dは、1つのヒータ回路64と、2つの温度計回路61を備える。ヒータ回路64は、1本のヒータリード63に、2つのヒータ62(62d1、62d2)が接続された構成を備える。ヒータ62d1とヒータ62d2は、高さ方向の位置が互いに異なる。温度計回路61の一方は、熱電対67(67d1)を備え、他方は、熱電対67(67d2)を備える。
【0047】
水位センサ60eは、1つのヒータ回路64と、2つの温度計回路61を備える。ヒータ回路64は、1本のヒータリード63に、2つのヒータ62(62e1、62e2)が接続された構成を備える。ヒータ62e1とヒータ62e2は、高さ方向の位置が互いに異なる。温度計回路61の一方は、熱電対67(67e1)を備え、他方は、熱電対67(67e2)を備える。
【0048】
水位センサ60fは、1つのヒータ回路64と、2つの温度計回路61を備える。ヒータ回路64は、1本のヒータリード63に、2つのヒータ62(62f1、62f2)が接続された構成を備える。ヒータ62f1とヒータ62f2は、高さ方向の位置が互いに異なる。温度計回路61の一方は、熱電対67(67f1)を備え、他方は、熱電対67(67f2)を備える。
【0049】
水位センサ60gは、1つのヒータ回路64と、1つの温度計回路61を備える。ヒータ回路64は、1本のヒータリード63に、1つのヒータ62(62g1)が接続された構成を備える。温度計回路61は、熱電対67(67g1)を備える。
【0050】
水位センサ60d〜60gのそれぞれにおいて、熱電対67のうち少なくとも1つは、他の水位センサ60d〜60gの熱電対67の1つと高さ方向の位置が略同一である。
図3に示した例では、水位センサ60dの熱電対67d2は、水位センサ60eの熱電対67e1と高さ方向の位置が略同一である。水位センサ60eの熱電対67e2は、水位センサ60fの熱電対67f1と高さ方向の位置が略同一である。水位センサ60fの熱電対67f2は、水位センサ60gの熱電対67g1と高さ方向の位置が略同一である。
【0051】
水位センサ60d〜60gの各ヒータ回路64において、最高の位置にあるヒータ62は、他のヒータ回路64内の最高の位置にあるヒータ62のうちの少なくとも1つと、高さ方向の位置が異なる。
図3に示した例では、水位センサ60dのヒータ回路64では、ヒータ62d1が最高の位置にあるヒータ62である。水位センサ60eのヒータ回路64では、ヒータ62e1が最高の位置にあるヒータ62である。水位センサ60fのヒータ回路64では、ヒータ62f1が最高の位置にあるヒータ62である。水位センサ60gのヒータ回路64では、ヒータ62g1が最高の位置にあるヒータ62である。ヒータ回路64内の最高の位置にあるヒータ62であるヒータ62d1、ヒータ62e1、ヒータ62f1、及びヒータ62g1は、高さ方向の位置が互いに異なる。
【0052】
水位センサ60d〜60gに不具合が起きていないときは、ヒータ62d1、62d2、62f1、62f2と熱電対67d1、67d2、67f1、67f2を用いて水位を計測する。例えば、水位センサ60dに不具合が起きた場合は、ヒータ62e1、62e2、62g1と熱電対67e1、67e2、67g1を用いて水位を計測する。水位センサ60d、60eに不具合が起きた場合は、ヒータ62f1、62f2と熱電対67f1、67f2を用いて水位を計測する。このように、ヒータ回路64や温度計回路61(または水位センサ)に不具合が起きた場合には、水位の計測に使用するヒータ回路64と温度計回路61(または水位センサ)を変更することで、継続して水位を計測する。
【0053】
図4は、本実施例による原子炉水位計の構成のさらに別の例を示す図である。
図4には、原子炉水位計に設けられた2つの水位センサ60h〜60iを示している。水位センサ60h〜60iのそれぞれは、複数のヒータ回路64を備える。なお、水位センサ60h〜60iは、1つの炉内計装管7の中に設けられていてもよく、複数の炉内計装管7の中に分けて設けられていてもよい。1つの水位センサが複数のヒータ回路64を備えるので、原子炉水位計の全体で温度計回路61の数が増加するのを抑制できるとともに、1つのヒータ回路64に不具合が起きた場合でも、他のヒータ回路64を用いることで水位を継続して計測することができる。
図3に示した例では、7つの温度計回路61を用いて4点の水位を計測するが、
図4に示した例では、5つの温度計回路61を用いるだけで4点の水位を計測できる。
【0054】
水位センサ60hは、2つのヒータ回路64と、2つの温度計回路61を備える。ヒータ回路64の一方は、1本のヒータリード63に、2つのヒータ62(62h1、62h2)が接続された構成を備え、他方は、1本のヒータリード63に、1つのヒータ62(62h3)が接続された構成を備える。ヒータ62h1とヒータ62h2は、高さ方向の位置が互いに異なる。温度計回路61の1つは、熱電対67(67h1)を備え、他の1つは、熱電対67(67h2)を備える。
【0055】
水位センサ60iは、2つのヒータ回路64と、3つの温度計回路61を備える。ヒータ回路64の一方は、1本のヒータリード63に、3つのヒータ62(62i1、62i2、62i3)が接続された構成を備え、他方は、1本のヒータリード63に、1つのヒータ62(62i4)が接続された構成を備える。ヒータ62i1とヒータ62i2とヒータ62i3は、高さ方向の位置が互いに異なる。温度計回路61の1つは、熱電対67(67i1)を備え、他の1つは、熱電対67(67i2)を備え、残りの1つは、熱電対67(67i3)を備える。
【0056】
水位センサ60h〜60iのそれぞれにおいて、熱電対67のうち少なくとも1つは、他の水位センサ60h〜60iの熱電対67の1つと高さ方向の位置が略同一である。
図4に示した例では、水位センサ60hの熱電対67h2は、水位センサ60iの熱電対67i1と高さ方向の位置が略同一である。
【0057】
水位センサ60h〜60iの各ヒータ回路64において、最高の位置にあるヒータ62は、他のヒータ回路64内の最高の位置にあるヒータ62のうちの少なくとも1つと、高さ方向の位置が異なる。
図4に示した例では、水位センサ60hの2つのヒータ回路64では、ヒータ62h1とヒータ62h3がそれぞれ最高の位置にあるヒータ62であり、水位センサ60iの2つのヒータ回路64では、ヒータ62i1とヒータ62i4がそれぞれ最高の位置にあるヒータ62である。ヒータ62h1は、ヒータ62h3、ヒータ62i1、及びヒータ62i4と高さ方向の位置が互いに異なり、ヒータ62h3は、ヒータ62h1、及びヒータ62i4と高さ方向の位置が互いに異なり、ヒータ62i1は、ヒータ62h1、及びヒータ62i4と高さ方向の位置が互いに異なり、ヒータ62i4は、ヒータ62h1、ヒータ62h3、及びヒータ62i1と高さ方向の位置が互いに異なる。
【0058】
水位センサ60h〜60iに不具合が起きていないときは、ヒータ62h1、62h2、62i2、62i3と熱電対67h1、67h2、67i2、67i3を用いて水位を計測する(ヒータ62i1は通電される)。例えば、水位センサ60hに不具合が起きた場合は、ヒータ62i1、62i2、62i3と熱電対67i1、67i2、67i3を用いて水位を計測する。水位センサ60hと、水位計センサ60iのうち上部のヒータ62i1を含むヒータ回路64または熱電対67i1に不具合が生じた場合には、ヒータ62i4と熱電対67i3を用いて水位を計測する。このように、ヒータ回路64や温度計回路61(または水位センサ)に不具合が起きた場合には、水位の計測に使用するヒータ回路64と温度計回路61(または水位センサ)を変更することで、継続して水位を計測する。
【0059】
図5は、温度計回路61の不具合検知装置21の構成例を示す図である。不具合検知装置21は、スイッチ41と、不具合検知回路を備える。不具合検知回路は、電源42、電流計43、44、及び抵抗45、46を備える。
【0060】
スイッチ41は、計測制御装置20からの指令により、水位センサ6に接続された信号ケーブル23が、温度計測装置16に接続された信号ケーブル23に接続するのと、不具合検知回路に接続するのを切り替える。
【0061】
計測制御装置20は、水位センサ6が水位を計測する(すなわち、温度を測定する)とき以外のときに、スイッチ41を切り替えて水位センサ6に接続された信号ケーブル23を不具合検知回路に接続し、温度計回路61の不具合を検知する。
【0062】
不具合検知装置21は、水位センサ6の温度計回路61の不具合(異常)を検知するための装置である。不具合検知装置21は、水位センサ6に接続された信号ケーブル23が不具合検知回路に接続し、電源42がこの信号ケーブル23に電圧を印加したときに、電流計43、44に流れる電流を測り、電流計43、44の計測値を計測制御装置20に送出する。計測制御装置20は、電流計43に流れる電流から、温度計回路61に接続された不具合検知回路の抵抗を求め、この抵抗が実用上無限大であれば温度計回路61が断線しており、この抵抗が実用上ゼロであれば温度計回路61が短絡していると判定する。また、計測制御装置20は、電流計44に一定以上の電流が流れれば、温度計回路61が地絡していると判定する。不具合検知装置21は、このようにして温度計回路61の異常(断線、短絡、または地絡)を検知することができる。
【0063】
ヒータ回路64の不具合検知装置22は、温度計回路61の不具合検知装置21と同様の構成を備え、水位センサ6のヒータ回路64の不具合(断線、短絡、または地絡という異常)を検知するための装置である。計測制御装置20は、不具合検知装置22の電流計の計測値から、ヒータ回路64が断線、短絡、または地絡していると判定することができる。
【0064】
図6は、計測制御装置20が備える選択装置19(
図1参照)が格納した選択テーブルの一例を示す図である。選択テーブルは、不具合を起こした水位センサ6を示す異常センサ欄と、異常センサ欄の水位センサ6が不具合を起こしたときに水位の計測に使用する水位センサ6を示す選択センサ欄を有する。
図6には、一例として、
図1に示した原子炉水位計の水位センサについての選択テーブルを示している。
【0065】
図6に示した選択テーブルでは、例えば、不具合を起こした水位センサ(異常センサ)が水位センサ6aのみのときは、水位の計測に使用する水位センサ(選択センサ)が水位センサ6b、6d、6fであり、異常センサが水位センサ6a〜6cのときは、選択センサが水位センサ6d、6fであることを示している。なお、異常センサがないときは、水位センサ6a、6c、6eを水位の計測に使用する。
【0066】
計測制御装置20は、水位センサ6の不具合(例えば、温度計回路61やヒータ回路64の断線、短絡、または地絡)を検知したら、選択テーブルに従って水位の計測に使用する水位センサ6を変更し、異常センサに応じた選択センサを用いて水位の計測を継続する。
【0067】
図6に示した選択テーブルには、一例として、水位の低下とともに炉心3が上部から異常加熱していき、上方にある水位センサ6から不具合を生じていく場合について、異常センサと選択センサの組み合わせを示している。本実施例による原子炉水位計では、最大3本の水位センサ6を使用することで、所望の水位が全て計測できる。このため、水位の計測に使用する水位センサ6の数を少なくすることができ、水位の計測で消費される電力を抑制できる。なお、選択テーブルの選択センサは、所望の水位が全て計測できるように異常センサに応じて決めればよく、水位センサ6の温度計の高さ位置に応じて(すなわち、高さ位置が同じ温度計が存在しないように)決めるのが望ましい。
【0068】
なお、
図6に示した選択テーブルは、不具合を起こした水位センサ6と、水位の計測に使用する水位センサ6との対応を示しているが、不具合を起こした温度計回路61とヒータ回路64と、水位の計測に使用する温度計回路61とヒータ回路64との対応を示すこともできる。
【0069】
計測制御装置20は、温度計回路61とヒータ回路64の不具合(断線、短絡、または地絡)を検知したら、選択テーブルに従って水位の計測に使用する温度計回路61とヒータ回路64を変更し、変更後の温度計回路61とヒータ回路64を用いて水位の計測を継続する。