(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る電気管理システムの構成例を示すブロック構成図である。
図1において、宿泊施設1には、宿泊施設1で使用される複数の電気機器2が備えられている。また、宿泊施設1には、電気機器2の使用電力量を計測する計測部3と、電気機器2に電力を供給する電力供給部4とが備えられている。
【0013】
管理装置10は、宿泊施設1における電気の使用に係る管理を行う装置である。管理装置10は、制御部11と、使用契約情報格納部12と、記録部13と、前払い情報格納部14と、電気料金計算部15と、電気機器状況推定部16と、報知部17と、を備える。制御部11と計測部3とは通信によりデータを送受する。制御部11と電力供給部4とは通信によりデータを送受する。
【0014】
予約サーバ40は、宿泊施設1の宿泊の予約処理を行うサーバである。予約サーバ40は、宿泊施設1の予約に係るデータを、通信により端末30との間で送受する。課金サーバ50は、宿泊施設1の宿泊の課金処理を行うサーバである。予約サーバ40と課金サーバ50とは通信によりデータを送受する。課金サーバ50と管理装置10とは通信によりデータを送受する。
【0015】
計測部3は、電気機器2についての宿泊者の使用契約の単位で電気機器2の使用電力量を計測する。計測部3は、使用電力量の計測値を制御部11へ送信する。電気機器2についての宿泊者の使用契約の単位として、客室単位と電気機器単位とがある。
【0016】
客室単位で電気機器2の使用電力量を計測する場合、計測部3は、客室に備えられた全ての電気機器2の使用電力量を、電気機器2を区別しないでまとめて計測する。したがって、客室単位で電気機器2の使用電力量を計測する場合の計測値は、客室に備えられた全ての電気機器2の総使用電力量である。
【0017】
電気機器単位で電気機器2の使用電力量を計測する場合、計測部3は、客室に備えられた各電気機器2の使用電力量を、電気機器2を区別して個別に計測する。したがって、電気機器単位で電気機器2の使用電力量を計測する場合の計測値は、客室に備えられた各電気機器2の個別使用電力量である。
【0018】
計測部3として、電気機器2と対のコンセント毎に、使用電力量を計測する計測器を設けてもよい。この場合、一のコンセントの計測器の計測値が当該コンセントと対の電気機器2の個別使用電力量になる。また、客室の配電盤に、総使用電力量を計測する計測器を設けてもよい。
【0019】
又は、計測部3として、客室単位の総使用電力量を計測する計測器と、客室単位の総使用電力量の計測値に基づいて当該客室内の各電気機器2の個別使用電力量を推定する推定処理を行う推定演算部とを設けてもよい。推定演算部は、総使用電力量の計測値の変化の情報(変化した時刻及び変化量)と各電気機器2の使用電力量の基準値とに基づいて、使用が開始された電気機器2及び使用が終了された電気機器2を特定し、特定した電気機器2の個別使用電力量の推定値を計算する。
【0020】
電力供給部4は、制御部11の制御に従って電気機器2に電力を供給する。電力供給部4として、電気機器2と対のコンセント毎に、電力の供給のオンとオフを切り替えるスイッチを設けてもよい。これにより、各電気機器2に対して個別に電力の供給のオンとオフを切り替えることができる。また、電力供給部4として、客室の配電盤に、客室への全電力の供給のオンとオフを切り替えるスイッチを設けてもよい。これにより、客室を一括して電力の供給のオンとオフを切り替えることができる。
【0021】
制御部11は、宿泊施設1における電気の使用に係る制御機能を有する。制御部11は、計測部3の使用電力量の計測値に基づいて、電気機器2についての宿泊者の使用契約の使用電力量の上限に達すると、当該使用契約の単位で電力供給を制限する。制御部11は、電力供給部4に対して、電力供給の制限を指示する。電力供給の制限方法として、客室内の全ての電気機器2に対して電力の供給を停止してもよく、又は、客室内の一部の電気機器2のみに対して電力の供給を停止してもよい。
【0022】
使用契約情報格納部12は、宿泊施設1で使用される電気機器2についての宿泊者の使用契約を示す使用契約情報を格納する。使用契約情報は、宿泊者が使用する電気機器2(使用機器)を指定する使用機器情報と、電気機器2についての宿泊者の使用契約の単位(客室単位又は電気機器単位)を示す使用契約単位情報と、使用電力量の上限を示す使用電力量の上限情報とを含む。使用機器情報は、使用機器の電気機器識別情報(電気機器ID)を含む。
【0023】
本実施形態の一例として、宿泊者が使用する電気機器2の指定として、基本プランの電気機器2(基本プラン機器)と、基本プラン機器に加えてさらに追加するオプションの電気機器2(オプション機器)とが指定可能である。本実施形態の一例として、基本プラン機器は、客室の電灯など、客室内での生活に最低限必要と考えられる電気機器2である。本実施形態の一例として、オプション機器は、空調機器、炊飯器、電子調理器、湯沸かし器、洗濯機、ドライヤーなど、客室内での生活に最低限必要と考えられる電気機器2以外の電気機器2である。
使用電力量の上限としては、瞬時値と積算値とがある。
【0024】
図2は、本実施形態に係る使用契約情報の構成例を示す図である。
図2の例では、宿泊者の使用契約識別情報(使用契約ID)毎に、各宿泊者の使用契約情報が設けられる。
図2の例において、使用契約情報は、宿泊者の使用契約IDに対応付けて、使用機器情報と、使用契約単位情報と、使用電力量の上限情報と、宿泊情報とを有する。宿泊情報は、宿泊者が宿泊施設1に宿泊する期間(宿泊期間)と部屋番号とを有する。
【0025】
図2において、例えば、使用契約ID「UID_101」の宿泊者は、宿泊施設1で使用する電気機器2として、基本プラン機器とオプション機器Aとオプション機器Bとオプション機器Fとを指定している。また、使用契約ID「UID_101」の宿泊者は、使用契約の単位として電気機器単位を指定している。また、オプション機器の使用の優先度として、オプション機器Aは優先度「高」、オプション機器Bは優先度「低」、オプション機器Fは優先度「中」が指定されている。また、使用契約ID「UID_101」の宿泊者は、使用電力量の上限として、瞬時値「X」と積算値「Y」とを指定している。また、使用契約ID「UID_101」の宿泊者の宿泊期間は、2017年の11月x日から11月y日までである。
【0026】
また、使用契約ID「UID_105」の宿泊者は、宿泊施設1で使用する電気機器2として、基本プラン機器とオプション機器Aとを指定している。また、使用契約ID「UID_105」の宿泊者は、使用契約の単位として客室単位を指定している。また、使用契約ID「UID_105」の宿泊者は、使用電力量の上限として、積算値「Y」を指定している。また、使用契約ID「UID_105」の宿泊者の宿泊期間は、2017年の11月x日から12月z日までである。
【0027】
記録部13は、計測部3の使用電力量の計測値に基づいて、電気機器2についての宿泊者の使用契約の単位の使用電力量情報を記録する。使用契約の単位(客室単位又は電気機器単位)の使用電力量情報としては、宿泊期間の総使用電力量であってもよく、又は、宿泊期間の時間帯ごとの使用電力量であってもよく、又は、総使用電力量と時間帯ごとの使用電力量との両方であってもよい。
【0028】
図3は、本実施形態に係る使用電力量情報の構成例を示す図である。
図3の例では、使用契約ID毎に、各宿泊者の使用電力量情報が設けられる。
図3の例において、使用電力量情報は、宿泊者の使用契約IDに対応付けて、使用契約の単位(客室単位又は電気機器単位)で使用電力量を示す情報を有する。
【0029】
図3において、例えば、使用契約ID「UID_101」の宿泊者は使用契約の単位が電気機器単位であるので、使用契約ID「UID_101」の使用電力量情報として、電気機器単位の使用電力量(
図3の例では、宿泊期間の総使用電力量)が示されている。具体的には、使用契約ID「UID_101」の宿泊者は、基本プラン機器で使用電力量「Y_101」を使い、オプション機器Aで使用電力量「Y_101A」を使い、オプション機器Bで使用電力量「Y_101B」を使い、オプション機器Fで使用電力量「Y_101F」を使ったことが示されている。
【0030】
また、使用契約ID「UID_105」の宿泊者は、使用契約の単位が客室単位であるので、使用契約ID「UID_105」の使用電力量情報として、客室単位の使用電力量(
図3の例では、宿泊期間の総使用電力量)が示されている。具体的には、使用契約ID「UID_105」の宿泊者は、使用機器である基本プラン機器とオプション機器Aとで合わせて使用電力量「Y_105」を使ったことが示されている。
【0031】
前払い情報格納部14は、宿泊者の前払い額を示す前払い情報を格納する。
図4は、本実施形態に係る前払い情報の構成例を示す図である。
図4の例では、使用契約ID毎に、各宿泊者の前払い情報が設けられる。
図4の例において、前払い情報は、宿泊者の使用契約IDに対応付けて、前払い額を示す情報を有する。
図4において、例えば、使用契約ID「UID_101」の宿泊者は、10,000円を前払いしたことが示されている。また、使用契約ID「UID_105」の宿泊者は、2,000円を前払いしたことが示されている。
【0032】
電気料金計算部15は、電気機器2についての宿泊者の使用契約の単位で使用電力量に対応する電気料金を計算する。使用電力量から電気料金を計算する計算式は、予め、管理装置10に設定される。
【0033】
電気機器状況推定部16は、宿泊者の前払い額と、当該宿泊者について電気料金計算部15により計算された電気料金との差額に基づいて、当該宿泊者が使用する電気機器2の使用可能状況を推定する。電気機器2の使用可能状況として、例えば、電気機器2の使用可能時間と、電気機器2の遂行可能な機能とがある。電気機器2の遂行可能な機能として、例えば、炊飯器のご飯を炊く機能と保温する機能のうち、ご飯を例えば3時間保温できるが、ご飯を炊き上げることはできないことなどが挙げられる。
【0034】
報知部17は、電気機器状況推定部16の電気機器2の使用可能状況の推定結果に基づく当該電気機器2の助言情報を報知する。電気機器2の助言情報として、例えば、電気機器2の使用可能時間と、電気機器2の機能遂行の可否と、前払いの追加額の推奨とがある。電気機器2の機能遂行の可否として、例えば、炊飯器でご飯が炊きあがるか否かを助言情報として報知することが挙げられる。また、前払いの追加額の推奨として、例えば、炊飯器でご飯を炊くには、100円の追加が必要であることを助言情報として報知することが挙げられる。
【0035】
助言情報の報知方法として、音声再生又は画面表示により助言情報を報知する報知装置を客室に設け、通信により管理装置10から報知装置へ助言情報を送信し、報知装置により助言情報を報知(音声再生又は画面表示)してもよい。又は、電子メールやSNS(social networking service)等の特定の個人とのコミュニケーションが可能なコミュニケーション手段を使用して、宿泊者に助言情報を送信してもよい。
【0036】
次に
図5を参照して、本実施形態に係る電気管理システムの動作を説明する。
図5は、本実施形態に係る電気管理方法の例を示すシーケンス図である。
【0037】
(ステップS1) 利用者は、端末30により、自己のユーザ識別情報(ユーザID)を使用して予約サーバ40へアクセスし、宿泊施設1の予約手続きを行う。この宿泊施設1の予約手続きでは、端末30により予約サーバ40へ、宿泊者の使用契約情報が入力される。予約サーバ40は、宿泊者の使用契約IDを発行し、当該使用契約IDと端末30から入力された使用契約情報とを、利用者のユーザIDに対応付けて記録する。予約サーバ40は、利用者の端末30へ、宿泊者の使用契約IDを送信する。利用者は、端末30により予約サーバ40から受信した使用契約IDを宿泊者へ通知する。予約サーバ40は、利用者のユーザIDと宿泊者の使用契約ID及び使用契約情報とを課金サーバ50へ送信する。
【0038】
なお、利用者は、自己の前払い額を当該使用契約IDの宿泊者が使ってよいことを許諾する前払い使用許諾設定を予約サーバ40に行ってもよい。予約サーバ40は、利用者から前払い使用許諾設定が行われた場合、利用者のユーザID及び前払い使用許諾ありの情報と宿泊者の使用契約ID及び使用契約情報とを課金サーバ50へ送信する。
【0039】
課金サーバ50は、予約サーバ40から受信した利用者のユーザIDについて前払い使用許諾ありの場合、当該ユーザIDの前払い情報と、予約サーバ40から受信した宿泊者の使用契約ID及び使用契約情報とを管理装置10へ送信する。課金サーバ50は、予約サーバ40から受信した利用者のユーザIDについて前払い使用許諾なしの場合には、予約サーバ40から受信した宿泊者の使用契約ID及び使用契約情報を管理装置10へ送信する。
【0040】
管理装置10は、課金サーバ50から受信した宿泊者の使用契約ID及び使用契約情報を対応付けて使用契約情報格納部12に格納する。また、管理装置10は、課金サーバ50から受信した宿泊者の使用契約ID及び前払い情報を対応付けて前払い情報格納部14に格納する。なお、使用契約情報のうち部屋番号は、宿泊者のチェックイン時に決定されて使用契約情報に含められてもよい。
【0041】
次いで、使用契約IDの宿泊者が宿泊施設1にチェックインしたことが管理装置10に通知されると、管理装置10は当該使用契約IDについての宿泊施設1における電気の使用に係る制御を開始する。宿泊者は、チェックイン後に、宿泊施設1の客室に備えられた電気機器2のうち、使用機器情報で指定した電気機器2(使用機器)の利用を開始する。
【0042】
(ステップS2) 宿泊者は、客室に備えられた電気機器2を利用するための操作を客室の端末により行う。客室の端末は、当該操作を受け付けると、電力供給部4へ、利用対象の電気機器2の利用要求信号を送信する。電力供給部4は、利用対象の電気機器2の利用要求信号を受信すると、利用対象の電気機器2の利用要求を示す利用要求メッセージを管理装置10の制御部11へ送信する。利用要求メッセージは、利用対象の電気機器2の電気機器IDと、利用対象の電気機器2が備えられた客室の部屋番号とを含む。
【0043】
(ステップS3) 管理装置10の制御部11は、電力供給部4から受信した利用要求メッセージの利用対象の電気機器2の利用の可否を判断する。この利用対象の電気機器2の利用の可否の判断方法を説明する。制御部11は、利用対象の電気機器2の電気機器IDを検索キーにして、使用契約情報格納部12の使用契約情報の使用機器情報から利用対象の電気機器2を検索する。制御部11は、当該検索により発見された利用対象の電気機器2に対応する使用契約IDの宿泊期間が本日を含み且つ部屋番号が利用要求メッセージの部屋番号に一致した場合に、利用対象の電気機器2の利用を許可すると判断する。制御部11は、利用対象の電気機器2の利用を許可する場合に、利用対象の電気機器2の利用許可を示す利用許可メッセージを電力供給部4へ返信する。
【0044】
一方、制御部11は、当該検索により利用対象の電気機器2が発見されなかった場合、及び、当該検索により発見された利用対象の電気機器2に対応する使用契約IDの宿泊期間が本日を含まない又は部屋番号が利用要求メッセージの部屋番号に一致しない場合には、利用対象の電気機器2の利用を許可しないと判断する。制御部11は、利用対象の電気機器2の利用を許可しない場合には、利用対象の電気機器2の利用許可を示す利用許可メッセージを電力供給部4へ返信しない、又は、利用対象の電気機器2の利用不許可を示す利用不許可メッセージを電力供給部4へ返信する。
【0045】
(ステップS4) 電力供給部4は、制御部11から利用許可メッセージを受信すると、利用対象の電気機器2へ電力の供給を開始する。これにより、宿泊者は、利用対象の電気機器2を使用することができる。
【0046】
(ステップS5) 計測部3は、電気機器2についての宿泊者の使用契約の単位で電気機器2の使用電力量を計測する。計測部3は、使用電力量の計測値を制御部11へ送信する。電気機器2についての宿泊者の使用契約の単位は、制御部11から計測部3へ通知される。
【0047】
制御部11は、例えば、部屋番号「101号室」の使用契約の単位「電気機器単位」を、使用契約情報から取得して計測部3へ通知する。これにより、計測部3は、部屋番号「101号室」の客室について、電気機器単位で電気機器2の使用電力量を計測する。計測部3は、部屋番号「101号室」の客室に備えられた各電気機器2の個別使用電力量の計測値を制御部11へ送信する。
【0048】
また、制御部11は、例えば、部屋番号「105号室」の使用契約の単位「客室単位」を、使用契約情報から取得して計測部3へ通知する。これにより、計測部3は、部屋番号「105号室」の客室について、客室単位で電気機器2の使用電力量を計測する。計測部3は、部屋番号「105号室」の客室に備えられた全ての電気機器2の総使用電力量の計測値を制御部11へ送信する。
【0049】
(ステップS6) 制御部11は、計測部3から受信した使用電力量の計測値を記録部13へ渡して記録させる。制御部11は、例えば、部屋番号「101号室」の客室に備えられた各電気機器2の個別使用電力量の計測値を計測部3から受信すると、当該各電気機器2の個別使用電力量の計測値を、使用契約情報の部屋番号「101号室」に対応する使用契約ID「UID_101」に対応付けて記録部13の使用電力量情報に記録させる。また、制御部11は、例えば、部屋番号「105号室」の客室に備えられた全ての電気機器2の総使用電力量の計測値を計測部3から受信すると、当該全ての電気機器2の総使用電力量の計測値を、使用契約情報の部屋番号「105号室」に対応する使用契約ID「UID_105」に対応付けて記録部13の使用電力量情報に記録させる。
【0050】
(ステップS7) 制御部11は、使用契約ID毎に、電力供給の制限の判断を行う。電力供給制限判断方法の例を以下に説明する。
【0051】
制御部11は、計測部3の使用電力量の計測値に基づいて、電気機器2についての宿泊者の使用契約の使用電力量の上限に達すると、当該使用契約の単位で電力供給を制限する。この電力供給制限方法の例を以下に説明する。
【0052】
(電気機器単位の電力供給制限方法の例)
電気機器単位の電力供給制限方法の例を説明する。例えば、使用契約ID「UID_101」について、使用契約単位情報「電気機器単位」であるので、使用電力量情報の各電気機器2の使用電力量を合計した合計値と使用電力量の上限情報の使用電力量の上限「積算値「Y」」とを比較し、「積算値「Y」」に達した場合に、電気機器単位で電力供給を制限する。また、計測部3の使用電力量の一回の計測値と使用電力量の上限情報の使用電力量の上限「瞬時値「X」」とを比較し、「瞬時値「X」」に達した場合に、電気機器単位で電力供給を制限する。
【0053】
電気機器単位の電力供給制限方法の本実施形態の一例として、使用機器のうちオプション機器のみに対して電力の供給を停止する。これは、本実施形態の一例として、基本プラン機器は客室の電灯など、客室内での生活に最低限必要と考えられる電気機器2であるので、基本プラン機器に対しては電力の供給を停止しないことが好ましいからである。また、オプション機器の使用の優先度が使用機器情報に含まれている場合には、優先度が低い方のオプション機器に対して電力の供給を停止する。一方、オプション機器の使用の優先度が使用機器情報に含まれていないときには、使用電力量の基準値が大きい方のオプション機器に対して電力の供給を停止する。
【0054】
また、計測部3の使用電力量の一回の計測値が使用電力量の上限「瞬時値「X」」に達した場合には、当該計測値の対象の電気機器2がオプション機器であるときには当該オプション機器に対して電力の供給を停止する。
以上が電気機器単位の電力供給制限方法の説明である。
【0055】
(客室単位の電力供給制限方法)
客室単位の電力供給制限方法を説明する。例えば、使用契約ID「UID_105」について、使用契約単位情報「客室単位」であるので、使用電力量情報の使用電力量と使用電力量の上限情報の使用電力量の上限「積算値「Y」」とを比較し、「積算値「Y」」に達した場合に、客室単位で電力供給を制限する。この場合であっても、本実施形態の一例として、基本プラン機器は客室の電灯など、客室内での生活に最低限必要と考えられる電気機器2であるので、基本プラン機器に対しては電力の供給を停止しないことが好ましい。
以上が客室単位の電力供給制限方法の説明である。
【0056】
他の電力供給制限判断方法を以下に説明する。
【0057】
(前払い額に基づく電力供給制限判断方法の例)
制御部11は、前払い額と電気料金計算部15が計算した電気料金との差額に応じて、電気機器2についての宿泊者の使用契約の単位で電力供給を制限してもよい。
【0058】
例えば、使用契約ID「UID_101」について、前払い情報の前払い額「10,000円」である。電気料金計算部15は、使用契約ID「UID_101」について、使用電力量情報の各電気機器2の使用電力量「Y_101」、「Y_101A」、「Y_101B」、「Y_101F」に対応する電気料金を計算する。制御部11は、当該計算結果の電気料金の合計額と前払い額「10,000円」とを比較し、その差額に応じて、使用契約ID「UID_101」の使用契約の単位「電気機器単位」で電力供給を制限する。
【0059】
また、例えば、使用契約ID「UID_105」について、前払い情報の前払い額「2,000円」である。電気料金計算部15は、使用契約ID「UID_105」について、使用電力量情報の使用電力量「Y_105」に対応する電気料金を計算する。制御部11は、当該計算結果の電気料金と前払い額「2,000円」とを比較し、その差額に応じて、使用契約ID「UID_105」の使用契約の単位「客室単位」で電力供給を制限する。
【0060】
前払い額に基づく電力供給制限方法の例を以下に説明する。なお、使用契約の単位の電力供給制限方法は、本実施形態の一例として、上述した電気機器単位の電力供給制限方法の例及び客室単位の電力供給制限方法の例を適用する。
【0061】
(前払い額に基づく電力供給制限方法の例1)
電気料金の合計額が前払い額に達した場合に、使用契約の単位で電力供給を制限する。
【0062】
(前払い額に基づく電力供給制限方法の例2)
前払い額から電気料金の合計額を減算した結果の差が所定の金額未満になった場合に、使用契約の単位で電力供給を制限する。
以上が前払い額に基づく電力供給制限判断方法の例の説明である。
【0063】
(電気機器の使用可能状況に基づく電力供給制限判断方法の例)
制御部11は、電気機器状況推定部16による電気機器2の使用可能状況の推定結果に基づいて、電気機器2についての宿泊者の使用契約の単位で電力供給を制限してもよい。
【0064】
例えば、使用契約ID「UID_101」について、前払い情報の前払い額「10,000円」である。電気料金計算部15は、使用契約ID「UID_101」について、使用電力量情報の各電気機器2の使用電力量「Y_101」、「Y_101A」、「Y_101B」、「Y_101F」に対応する電気料金を計算する。電気機器状況推定部16は、当該計算結果の電気料金の合計額と前払い額「10,000円」とを比較し、その差額に基づいて、使用契約ID「UID_101」の各使用機器の使用可能状況を推定する。制御部11は、使用契約ID「UID_101」について、各使用機器の使用可能状況の推定結果に基づいて、使用契約ID「UID_101」の使用契約の単位「電気機器単位」で電力供給を制限する。例えば、炊飯器の使用可能状況の推定結果が「ご飯を炊き上げることはできない」である場合には、炊飯器に対して電力の供給を停止する。これにより、炊飯器が使用できなくなるので、宿泊者がご飯を炊こうとして炊飯器を動作させてしまい、ご飯が炊き上がらなくなることを未然に防ぐことができる。
【0065】
また、例えば、使用契約ID「UID_105」について、前払い情報の前払い額「2,000円」である。電気料金計算部15は、使用契約ID「UID_105」について、使用電力量情報の使用電力量「Y_105」に対応する電気料金を計算する。電気機器状況推定部16は、当該計算結果の電気料金と前払い額「2,000円」とを比較し、その差額に基づいて、使用契約ID「UID_105」の各使用機器の使用可能状況を推定する。制御部11は、使用契約ID「UID_105」について、各使用機器の使用可能状況の推定結果に基づいて、使用契約ID「UID_105」の使用契約の単位「客室単位」で電力供給を制限する。例えば、使用契約ID「UID_105」の各使用機器の使用可能状況の推定結果の中に、電気機器2の機能として十分な遂行ができない推定結果が存在する場合には、使用契約ID「UID_105」の使用契約の単位「客室単位」で電力供給を制限する。例えば、使用契約ID「UID_105」の使用機器のうち炊飯器の使用可能状況の推定結果が「ご飯を炊き上げることはできない」である場合には、使用契約ID「UID_105」の使用契約の単位「客室単位」で電力供給を制限する。この客室単位の電力供給制限方法は、本実施形態の一例として、上述した客室単位の電力供給制限方法の例を適用する。
以上が電気機器の使用可能状況に基づく電力供給制限判断方法の例の説明である。
【0066】
以上が電力供給制限判断方法の例の説明である。
【0067】
(ステップS8) 制御部11は、ステップS7の電力供給の制限の判断結果に従って、利用停止要求メッセージを電力供給部4へ送信する。利用停止要求メッセージは、電力の供給を停止する対象の電気機器2の電気機器IDと、当該電気機器2が備えられた客室の部屋番号とを含む。
【0068】
(ステップS9) 電力供給部4は、制御部11から利用停止要求メッセージを受信すると、電力の供給を停止する対象の電気機器2に対して電力の供給を停止する。これにより、宿泊者は、当該電気機器2を使用することができなくなる。
【0069】
次いで、使用契約IDの宿泊者が宿泊施設1をチェックアウトしたことが管理装置10に通知されると、管理装置10は当該使用契約IDについての宿泊施設1における電気の使用に係る制御を終了する。宿泊者は、チェックアウトにより、宿泊施設1の客室に備えられた電気機器2の利用を終了する。
【0070】
(ステップS10) 管理装置10は、チェックアウトした宿泊者の使用契約ID及び課金情報を課金サーバ50へ送信する。課金情報は、チェックアウトした宿泊者の電気料金の情報である。課金情報は、チェックアウトした宿泊者の使用契約IDの使用電力量情報であってもよい。又は、課金情報は、チェックアウトした宿泊者の使用契約IDの使用電力量情報を使用して電気料金計算部15により計算した電気料金であってもよい。
【0071】
(ステップS11) 課金サーバ50は、管理装置10から受信した課金情報に基づいた課金通知を予約サーバ40へ送信する。課金通知は、管理装置10から受信した使用契約IDの課金情報による電気料金から、当該使用契約IDの宿泊者に対して前払い使用許諾ありとした利用者のユーザIDの前払い情報の前払い額を減算した結果の残りの電気料金の金額を示す電気料金請求額を含む。管理装置10から受信した使用契約IDの課金情報による電気料金よりも前払い額の方が多い場合には、電気料金請求額は0円である。課金サーバ50は、当該利用者のユーザIDの前払い情報の前払い額から、管理装置10から受信した使用契約IDの課金情報による電気料金を減算した残額を、当該利用者のユーザIDの前払い情報の更新後の前払い額として、当該利用者のユーザIDの前払い情報を更新する。
【0072】
(ステップS12) 予約サーバ40は、課金サーバ50から受信した課金通知に基づいた請求通知を利用者の端末30へ送信する。請求通知は、課金サーバ50から受信した課金通知の電気料金請求額を含む。また、請求通知は、課金サーバ50から受信した課金通知の電気料金請求額と、宿泊施設1の電気料金以外の代金(例えば、宿泊代や食事代など)とを含んでもよい。
【0073】
なお、利用者及び宿泊者は、自己のスマートフォン等の端末30により、所望のタイミングで、宿泊施設1の電気の使用に係る情報をモニタすることができる。管理装置10は、端末30から使用契約IDが指定されたモニタ要求を受けると、当該使用契約IDの使用電力量情報や前払い情報に基づいたモニタ画面情報を当該端末30へ送信する。端末30は、管理装置10から受信したモニタ画面情報に基づいてモニタ画面を表示する。
【0074】
図6は、端末30のモニタ画面の構成例を示す図である。
図6の例では、端末30から指定した使用契約IDについて、前払い情報の前払い額(チャージ金額「10,000円」)と、宿泊期間における使用電力量情報の使用電力量から計算された電気料金「300円」と、その電気料金「300円」の内訳である各電気機器2の個別の使用電力量から計算された電気料金(ご使用の電気料金の詳細)とがモニタ画面上に表示されている。これにより、利用者及び宿泊者は、どのくらいの電気料金が発生しているのか、また現在の前払い額で足りるのかなどを随時に把握することができる。
【0075】
また、管理装置10は、報知部17により、適宜、電気機器状況推定部16の電気機器2の使用可能状況の推定結果に基づく当該電気機器2の助言情報を報知してもよい。例えば、炊飯器が使用機器情報に含まれる使用契約IDの宿泊者に対して、夕食の支度を開始すると考えられる所定の時刻に、炊飯器の機能遂行の可否として炊飯器でご飯が炊きあがるか否か、又は、前払いの追加額の推奨として炊飯器でご飯を炊くには100円の追加が必要であることなどを助言情報として報知する。
【0076】
上述した実施形態によれば、宿泊施設1で使用される電気機器2についての宿泊者の使用契約の使用電力量の上限に達すると、当該使用契約の単位で電力供給が制限されるので、宿泊施設1で使用される電気機器2の使用電力の従量制課金において、宿泊者が電気機器2を使いすぎて高額の電気料金が発生することを未然に防止することができる。また、使用契約の単位の使用電力量情報が記録されるので、記録された使用電力量情報の使用電力量により電気料金の課金額を報知することができる。これにより、宿泊者は電気料金の課金額を把握することができるので、宿泊者が電気料金を気にして電気機器2の使用を控えることで不便な思いをすることを未然に防止することができる。
【0077】
上述したように本実施形態によれば、宿泊施設1で使用される電気機器2の使用電力の従量制課金における宿泊者の不都合の解消を図ることができるという効果が得られる。
【0078】
なお、制御部11は、ある使用契約IDに対して、前払い額と電気料金計算部15が計算した電気料金との差額に応じて電力供給を制限している場合において、当該使用契約IDについての前払いの追加があったときには、当該使用契約IDについての電力供給の制限を解除してもよい。この場合、前払いの追加額が所定の追加額条件を満たすことを条件にして電力供給の制限を解除してもよい。例えば、前払いの追加額が、報知部17により報知した助言情報の前払いの追加額の推奨値以上である場合に、電力供給の制限を解除してもよい。例えば、前払いの追加額を含む前払いの総額が、使用電力量から計算された電気料金以上である場合、又は、使用電力量から計算された電気料金に所定の金額を上乗せした合計額以上である場合に、電力供給の制限を解除してもよい。使用契約IDについての前払いの追加額は、課金サーバ50から管理装置10へ通知される。管理装置10は、課金サーバ50から通知された使用契約ID及び前払いの追加額に基づいて、前払い情報格納部14の前払い情報の当該使用契約IDの前払い額を更新する。
【0079】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0080】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0081】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。