特許第6896665号(P6896665)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6896665情報送信装置、情報送信方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896665
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】情報送信装置、情報送信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/021 20180101AFI20210621BHJP
   H04W 4/90 20180101ALI20210621BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   H04W4/021
   H04W4/90
   H04M11/04
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-37520(P2018-37520)
(22)【出願日】2018年3月2日
(65)【公開番号】特開2019-153907(P2019-153907A)
(43)【公開日】2019年9月12日
【審査請求日】2020年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】真保 準一
【審査官】 田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−260561(JP,A)
【文献】 特開2007−034966(JP,A)
【文献】 特許第5562456(JP,B2)
【文献】 特開2015−122722(JP,A)
【文献】 特開2010−045747(JP,A)
【文献】 特開2003−121171(JP,A)
【文献】 特開2010−246062(JP,A)
【文献】 特開2015−035654(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/189434(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
DB名 3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
H04M 11/04
G08B 1/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を介して無線端末へ配信するための配信情報と、前記配信情報を配信する対象となる地域を指定する配信先指定情報とを取得する取得部と、
前記配信先指定情報に基づいて、前記配信情報を配信する対象となる地域である配信地域を特定する特定部と、
前記配信地域としての第1配信地域に設置されている第1基地局とともに、前記第1配信地域に隣接する第2配信地域に設置されている第2基地局へ前記配信情報を送信する送信部と、
を備え
前記送信部は、前記第1配信地域を指定する第1配信先指定情報を含む第1配信情報と、前記第2配信地域を指定する第2配信先指定情報を含み、かつ前記第1配信情報と同じ内容の第2配信情報とを前記取得部が取得した場合に、前記第2配信地域に設置されている前記第2基地局に前記第1配信情報又は前記第2配信情報のいずれか1つを送信する
情報送信装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記第1基地局とともに、前記第2配信地域に少なくとも一つのセクタの一部が含まれる前記第2基地局へ前記配信情報を送信する、
請求項に記載の情報送信装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記第1基地局とともに、前記特定部が特定した前記配信地域少なくとも一部を送信電波の送信範囲として含む前記第2基地局へ前記配信情報を送信する、
請求項1又は2に記載の情報送信装置。
【請求項4】
前記取得部は、地理的名称に基づいて指定された前記配信先指定情報を取得する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報送信装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記基地局の位置を示す位置情報を取得し、
前記情報送信装置は、前記位置情報に基づいて、前記基地局を特定するための基地局識別情報と、前記基地局が設置されている前記配信地域に対応する前記配信先指定情報と、前記配信地域に隣接する他の配信地域に対応する前記配信先指定情報と、を関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部をさらに有
前記送信部は、前記取得部が取得した前記配信先指定情報に基づいて前記特定部が前記配信地域として前記第1配信地域を特定した場合に、前記第1配信地域に設置されている前記第1基地局とともに、前記特定部が特定した前記第1配信地域に対応する前記第1配信先指定情報に関連付けて前記記憶部に記憶された前記第2配信先指定情報に対応する前記第2配信地域に設置されている前記第2基地局に前記配信情報を送信する、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報送信装置。
【請求項6】
前記記憶制御部は、前記基地局に関連付けて電波の送信可能範囲を前記記憶部に記憶させ、前記基地局が送信した前記配信情報を受信した前記無線端末の位置に基づいて、前記記憶部が前記基地局に関連付けて記憶している前記送信可能範囲を更新する、
請求項に記載の情報送信装置。
【請求項7】
基地局を介して無線端末へ配信するための配信情報と、前記配信情報を配信する対象となる地域を指定する配信先指定情報とを取得するステップと、
配信先指定情報に基づいて、前記配信情報を配信する対象となる地域である配信地域を特定するステップと、
前記配信地域としての第1配信地域に設置されている第1基地局とともに、前記第1配信地域に隣接する第2配信地域に設置されている第2基地局へ前記配信情報を送信するステップと、
を有し、
前記配信情報を送信するステップにおいて、前記第1配信地域を指定する第1配信先指定情報を含む第1配信情報と、前記第2配信地域を指定する第2配信先指定情報を含み、かつ前記第1配信情報と同じ内容の第2配信情報とを取得した場合に、前記第2配信地域に設置されている前記第2基地局に前記第1配信情報又は前記第2配信情報のいずれか1つを送信する
情報送信方法。
【請求項8】
コンピュータを、
基地局を介して無線端末へ配信するための配信情報と、前記配信情報を配信する対象となる地域を指定する配信先指定情報とを取得する取得部、
前記配信先指定情報に基づいて、前記配信情報を配信する対象となる地域である配信地域を特定する特定部、及び
前記配信地域としての第1配信地域に設置されている第1基地局とともに、前記第1配信地域に隣接する第2配信地域に設置されている第2基地局へ前記配信情報を送信する送信部、
として機能させ
前記送信部は、前記第1配信地域を指定する第1配信先指定情報を含む第1配信情報と、前記第2配信地域を指定する第2配信先指定情報を含み、かつ前記第1配信情報と同じ内容の第2配信情報とを前記取得部が取得した場合に、前記第2配信地域に設置されている前記第2基地局に前記第1配信情報又は前記第2配信情報のいずれか1つを送信する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信情報を送信するための情報送信装置、情報送信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線基地局から緊急速報を配信することが行われている。特許文献1には、緊急速報を配信する領域を指定する配信領域情報であるEAID(Emergency Area Identification)を含む緊急速報を受信し、受信したEAIDに対応する基地局に緊急速報を送信するゲートウェイ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/027431号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緊急情報を配信するための基地局は、基地局の設置場所に基づいて指定される。例えば、A市内に設置された各基地局には、同一のEAIDが割り当てられ、このEAIDを指定する緊急情報は、A市内の各基地局からA市内の住民に配信される。一方、A市と、他の地域との境界付近では、A市内の住民の携帯端末が他の地域の基地局に接続していることがある。この場合、A市内の各基地局のEAIDを緊急情報の配信先として指定しても、他の地域の基地局に接続している携帯端末の住民には緊急情報が送信されないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、配信地域の境界付近等において緊急情報等の配信情報の配信漏れが生じることを抑制することができる情報送信装置、情報送信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報送信装置は、基地局を介して無線端末へ配信するための配信情報と、前記配信情報を配信する対象となる地域を指定する配信先指定情報とを取得する取得部と、前記配信先指定情報に基づいて、前記配信情報を配信する対象となる地域である配信地域を特定する特定部と、前記特定部が特定した前記配信地域に電波が届く可能性がある複数の基地局へ前記配信情報を送信する送信部と、を備える。
【0007】
前記送信部は、前記特定部が特定した前記配信地域に関連付けられた前記複数の基地局の一つとして、前記配信地域に設置されている基地局へ前記配信情報を送信してもよい。
【0008】
前記送信部は、前記特定部が特定した前記配信地域に関連付けられた前記複数の基地局の一つとして、前記特定部が特定した前記配信地域に隣接する他の配信地域に設置されている基地局へ前記配信情報を送信してもよい。
【0009】
前記送信部は、前記特定部が特定した前記配信地域に関連付けられた前記複数の基地局の一つとして、前記特定部が特定した前記配信地域に隣接する他の配信地域に少なくとも一つのセクタの一部が含まれる基地局へ前記配信情報を送信してもよい。
【0010】
前記送信部は、前記特定部が特定した前記配信地域に関連付けられた基地局として、前記配信地域の少なくとも一部を送信電波の送信範囲として含む基地局へ前記配信情報を送信してもよい。
【0011】
前記送信部は、第1配信地域を指定する第1配信先指定情報を含む前記配信情報と、前記第1配信地域と異なる第2配信地域を指定する第2配信先指定情報を含む前記配信情報とを前記取得部が取得した場合に、前記第2配信地域に設置されている基地局への前記配信情報の重複送信を行わなくてもよい。
【0012】
前記取得部は、地理的名称に基づいて指定された前記配信先指定情報を取得してもよい。また、前記取得部は、前記基地局の位置を示す位置情報を取得し、前記情報送信装置は、前記位置情報に基づいて、前記基地局を特定するための基地局識別情報と、前記基地局が設置されている前記配信地域に対応する第1配信先指定情報と、前記配信地域に隣接する他の配信地域に対応する第2配信先指定情報と、を関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部をさらに有してもよい。
【0013】
前記記憶制御部は、前記基地局に関連付けて電波の送信可能範囲を前記記憶部に記憶させ、前記基地局が送信した前記配信情報を受信した前記無線端末の位置に基づいて、前記記憶部が前記基地局に関連付けて記憶している前記送信可能範囲を更新してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の情報送信方法は、基地局を介して無線端末へ配信するための配信情報と、前記配信情報を配信する対象となる地域を指定する配信先指定情報とを取得するステップと、配信先指定情報に基づいて、前記配信情報を配信する対象となる地域である配信地域を特定するステップと、特定した前記配信地域に電波が届く可能性がある複数の基地局へ前記配信情報を送信するステップと、を備える。
【0015】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータを、基地局を介して無線端末へ配信するための配信情報と、前記配信情報を配信する対象となる地域を指定する配信先指定情報とを取得する取得部、前記配信先指定情報に基づいて、前記配信情報を配信する対象となる地域である配信地域を特定する特定部、及び前記特定部が特定した前記配信地域に電波が届く可能性がある複数の基地局へ前記配信情報を送信する送信部、として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、配信地域の境界付近等において緊急情報等の配信情報の配信漏れが生じることを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】情報送信システムの概要について説明するための図である。
図2】情報送信装置の構成を示す図である。
図3】基地局の位置を示す基地局情報テーブルを示す図である。
図4】配信先指定情報と配信エリアとの関係を示す配信エリア情報テーブルを示す図である。
図5】各基地局が配信する対象となる配信情報を選択するための配信先指定情報テーブルを示す図である。
図6】制御部の動作手順を示すフローチャートである。
図7】配信先指定情報テーブルを作成する手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[情報送信システムSの概要]
図1は、本発明の実施形態に係る情報送信システムSの概要について説明するための図である。情報送信システムSは、住民の携帯端末に配信情報を配信するためのシステムである。情報送信システムSは、複数の情報発信装置1(1a、1b、・・・)と、情報送信装置100と、携帯電話網の複数の基地局200とを備える。
【0019】
情報発信装置1は、行政機関(例えば国の省庁や市区町村の役所)が管理するサーバであり、行政機関が管轄するエリアの住民に通知するべき配信情報を発信する。なお、住民は、行政機関が管轄するエリアに居住している人に限定されず、エリア内に一時的に在圏する旅行者や移動者を含む。配信情報は、例えば地震又は台風等の災害が発生する可能性があることを警告したり、地震又は事故が発生したことを警告したりすることを目的とする緊急速報であるが、配信情報は緊急速報に限られず、住民に通知する任意の情報であってよい。
【0020】
情報発信装置1の管理者は、例えば河川名や市町村名等のような地理的名称と、配信情報とを関連付けて情報発信装置1に入力する。情報発信装置1は、入力された地理的名称に対応する配信地域に割り当てられた配信先指定情報であるEAIDを含む配信情報を情報送信装置100に送信する。
【0021】
情報送信装置100は、情報発信装置1から受信した配信情報を、配信情報を配信するべきエリアに対応する基地局200に送信するための装置である。情報送信装置100は、例えばLTE(Long Term Evolution)網におけるMME(Mobility Management Entity)に含まれていてもよい。情報送信装置100は、情報発信装置1から配信情報を受信すると、配信情報に含まれている配信先指定情報であるEAIDを参照し、配信情報に含まれているEAIDに対応する配信地域に電波が届く可能性がある基地局200に配信情報を送信する。EAIDに対応する配信地域に電波が届く可能性がある基地局200は、EAIDに対応する配信地域の境界線から、電波の到達距離の最大値以内の距離に設置されている基地局200である。EAIDに対応する配信地域に電波が届く可能性がある基地局200は、例えば、EAIDに対応する配信地域に隣接する地域に設置された基地局200である。
【0022】
複数の基地局200のそれぞれは、自身が設置されている地域に割り当てられた第1配信先指定情報であるEAID(1)と、自身が送信する電波が届く可能性がある地域(例えば隣接する地域)に割り当てられた第2配信先指定情報であるEAID(2)とに関連付けられている。図1に示す例の場合、A市に設置されている基地局200aは、A市に割り当てられている100がEAID(1)として登録されており、A市に隣接するB市に割り当てられている101がEAID(2)として登録されている。
【0023】
一方、B市に設置されている基地局200b及び基地局200cは、B市に割り当てられている101がEAID(1)として登録されており、B市に隣接するA市に割り当てられている100がEAID(2)として登録されている。C市に設置されている基地局200dは、C市に割り当てられている102がEAID(1)として登録されており、C市に隣接するB市に割り当てられている101がEAID(2)として登録されている。
【0024】
情報送信装置100は、例えば図1に示すように、A市に割り当てられたEAID100が含まれている配信情報を情報発信装置1から受信した場合に、EAID(1)又はEAID(2)として100が登録されている基地局200a、200b、200cに配信情報を送信する。一方、情報送信装置100は、EAID(1)又はEAID(2)として100が登録されていない基地局200dには配信情報を送信しない。本実施の形態に係る情報送信装置100は、A市内に設置されている基地局200aだけでなく、A市に隣接するB市のように、A市のエリアにいる住民の携帯端末が電波を受信する可能性がある基地局200b、200cに対しても、A市の住民宛ての配信情報を送信することを特徴としている。
【0025】
基地局200は、携帯電話網の無線回線を介して、住民が使用する無線端末である携帯端末に配信情報を送信する。情報送信装置100が、基地局200b、200cに対しても配信情報を送信するので、基地局200aから電波を受信している住民U1だけでなく、B市の近くに存在し、基地局200bから電波を受信している住民U2も、A市宛ての配信情報を受信することができる。
以下、情報送信装置100の構成及び動作について詳細に説明する。
【0026】
[情報送信装置100の構成]
図2は、情報送信装置100の構成を示す図である。情報送信装置100は、通信部11、記憶部12及び制御部13を備える。通信部11は、基地局200及び情報発信装置1と通信するための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶している。
【0027】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、特定部132、通信制御部133及び記憶制御部134として機能する。
【0028】
取得部131は、通信部11を介して、基地局200を介して携帯端末へ配信するための配信情報と、配信情報を配信する対象となる地域を指定する配信先指定情報としてのEAIDとを取得する。取得部131は、例えば、地理的名称に基づいて指定されたEAIDを取得する。取得部131は、例えば、配信情報を取得すると、配信情報に含まれているEAIDを抽出する。取得部131は、抽出したEAIDを特定部132に通知する。
【0029】
また、取得部131は、携帯電話事業者の管理者のコンピュータ(不図示)から送信された各種の設定用情報を取得する。取得部131は、例えば、EAIDに関連付けて、配信地域を示す緯度・経度情報等の配信エリア情報を取得する。また、取得部131は、各基地局200に関連付けて登録するEAIDを取得する。取得部131は、例えば、新たな基地局200が設置された際に携帯電話事業者の管理者のコンピュータから送信されたEAIDを取得する。取得部131は、携帯電話事業者の管理者のコンピュータから取得した設定用情報を記憶制御部134に通知することにより、設定用情報を記憶部12に記憶させる。
【0030】
特定部132は、取得部131が取得した配信先特定情報であるEAIDに基づいて、取得部131が取得した配信情報を配信する対象となる配信地域を特定する。図1に示す例の場合、配信情報に含まれているEAIDがA市に対応する100であることから、特定部132は、配信地域がA市であることを特定する。特定部132は、特定した配信地域を通信制御部133に通知する。特定部132は、配信地域を示す情報として、取得部131が取得したEAIDを通信制御部133に通知してもよい。
【0031】
通信制御部133は、配信情報を送信する送信部として機能し、特定部132が特定した配信地域に電波が届く可能性がある複数の基地局200へ配信情報を送信する。通信制御部133の機能の詳細については後述する。
【0032】
記憶制御部134は、記憶部12に各種の情報を記憶させる。記憶制御部134は、例えば、EAIDと配信地域を示す配信エリア情報とを関連付けて、配信エリア情報テーブルとして記憶部12に記憶させる。取得部131は、例えば、携帯電話事業者の管理者がコンピュータにおいて入力したEAIDと配信エリア情報とを取得し、記憶制御部134は、取得部131が取得したEAIDと配信エリア情報とを関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0033】
また、記憶制御部134は、基地局200の位置を示す位置情報に基づいて、基地局200を特定するための基地局識別情報である基地局IDと、基地局200が設置されている配信地域に対応する第1配信先指定情報であるEAID(1)と、当該配信地域に隣接する他の配信地域に対応する第2配信先指定情報であるEAID(2)と、を関連付けて配信先指定情報テーブルとして記憶部12に記憶させる。
【0034】
図3から図5は、記憶部12に記憶されている情報の例を示す図である。図3は、基地局200の位置を示す基地局情報テーブルを示す図である。基地局情報テーブルにおいては、基地局IDと基地局200の位置情報とが関連付けられている。基地局200の位置情報は、例えば基地局200でGPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波に基づいて特定される緯度・経度情報である。
【0035】
図4は、配信先指定情報と配信エリアとの関係を示す配信エリア情報テーブルを示す図である。配信エリア情報テーブルにおいては、配信先指定情報の一例であるEAIDと、当該EAIDが含まれる配信情報を配信する対象となるエリアを特定するための緯度・経度情報が含まれている。
【0036】
図5は、各基地局200が配信する対象となる配信情報を選択するための配信先指定情報テーブルを示す図である。配信先指定情報テーブルにおいては、基地局IDと複数のEAIDとが関連付けられている。上述のとおり、EAID(1)は、基地局200が設置された市区町村に対応する第1配信先指定情報である。例えば基地局200aの場合、第1配信先指定情報は100である。
【0037】
EAID(2)は、基地局200が送信する電波が届く可能性がある送信可能範囲を含むエリアのうち、第1配信先指定情報に対応するエリアと異なるエリアに割り当てられた第2配信先指定情報である。例えば基地局200aの場合、第2配信先指定情報は、隣接するB市に割り当てられたEAIDである101である。
【0038】
EAID(2)には、基地局200の少なくとも一つのセクタの一部が含まれているエリアに割り当てられたEAIDが含まれてもよい。例えば、基地局200aが複数のセクタを有しており、一部のセクタがB市のエリアに含まれている場合、基地局200aに対応するEAID(2)にはB市に割り当てられたEAIDである101が含まれることになる。なお、配信先指定情報テーブルにおいては、1つの基地局IDに3つ以上のEAIDが関連付けられていてもよい。
【0039】
通信制御部133は、特定部132が特定した配信地域(以下、第1配信地域という場合がある)に関連付けられた基地局200として、当該配信地域に設置されている基地局200へ配信情報を送信する。通信制御部133は、例えば配信先指定情報テーブルにおける第1配信先指定情報としてのEAID(1)を参照することにより、特定部132が特定した配信地域に設置されている基地局200を特定することができる。図5に示す例の場合、通信制御部133は、特定部132が配信地域としてEAID100に対応するA市を特定した場合、EAID(1)に100が登録されている基地局200aが、A市に設置されている基地局200であると判定し、基地局200aに配信情報を送信する。
【0040】
通信制御部133は、さらに、特定部132が特定した第1配信地域に隣接する配信地域(以下、第2配信地域という場合がある)に設置されている基地局200へ配信情報を送信する。通信制御部133は、例えば配信先指定情報テーブルにおける第2配信先指定情報としてのEAID(2)を参照することにより、特定部132が特定した第1配信地域に隣接する第2配信地域に設置されている基地局200を特定することができる。
【0041】
図5に示す例の場合、通信制御部133は、特定部132が第1配信地域としてEAID100に対応するA市を特定した場合、EAID(2)に100が登録されている基地局200b、200cが、A市に隣接するB市に設置されている基地局200であると判定し、基地局200b、200cにも配信情報を送信する。一方、通信制御部133は、EAID(1)にもEAID(2)にも100が登録されていない基地局200dには配信情報を送信しない。
【0042】
通信制御部133は、特定部132が特定した配信地域に関連付けられた基地局200として、当該配信地域の少なくとも一部を電波の送信可能範囲として含む基地局200へ配信情報を送信してもよい。基地局200による電波の送信可能範囲は、例えば携帯電話事業者の管理者の入力操作により、予め記憶部12に基地局IDに関連付けて記憶されている。
【0043】
配信先指定情報テーブルに、基地局200の少なくとも一つのセクタの一部が含まれているエリアに割り当てられたEAIDが含まれている場合、通信制御部133は、特定部132が特定した第1配信地域に隣接する第2配信地域に少なくとも一つのセクタの一部が含まれる基地局200へ配信情報を送信する。例えば、基地局200bのセクタの一部がA市に含まれている場合、通信制御部133は、A市に宛てた配信情報を基地局200bにも送信する。
【0044】
このようにすることで、情報発信装置1が情報送信装置100に送信した配信情報がA市宛てである場合に、A市に隣接するB市に設置された基地局200b、200cにも配信情報が配信される。したがって、A市に設置された基地局200aではなく、B市に設置された基地局200b、200cから電波を受ける位置にいる住民も、A市宛ての配信情報を受信することができる。
【0045】
なお、通信制御部133は、第1配信地域を指定するEAIDを含む配信情報と、第2配信地域を指定するEAIDを含む配信情報とを取得部131が取得した場合に、第1配信地域及び第2配信地域に設置されている基地局200への配信情報の重複送信を行わないようにしてもよい。具体的には、通信制御部133は、取得部131が、A市宛てのEAID100を含む配信情報と、B市宛てのEAID101を含み、かつ当該配信情報と同じ内容の配信情報とを取得した場合、配信先指定情報テーブルにおいてEAID100又はEAID101に関連付けられている基地局200に1回だけ配信情報を送信する。通信制御部133は、例えば配信情報の内容に関連付けられている配信情報識別情報が一致するか否かに基づいて、A市宛ての配信情報とB市宛ての配信情報とが同じ内容であるか否かを判定する。
【0046】
このようにすることで、通信制御部133は、同一の内容の配信情報を一つの基地局200から1回だけ送信するようにすることができる。したがって、携帯端末を使用する住民が同一の内容の配信情報を複数回受信してしまうことを防止できる。
【0047】
[配信情報の送信動作]
図6は、制御部13の動作手順を示すフローチャートである。以下、図6を参照しながら、制御部13の動作の詳細について説明する。
【0048】
通信部11が情報発信装置1から配信情報を受信し、取得部131が通信部11を介して配信情報を取得すると(S1)、特定部132は、取得部131が取得した配信先特定情報であるEAIDに基づいて、取得部131が取得した配信情報を配信する対象となる配信地域を特定する(S2)。特定部132は、配信地域を示す情報として、例えば、配信情報に含まれていたEAIDを通信制御部133に通知する。
【0049】
通信制御部133は、図5に示した配信先指定情報テーブルを参照することにより、特定部132が特定した配信地域に対応するEAIDに関連付けられている基地局200を特定する。通信制御部133は、特定部132が特定した配信地域が、EAIDが100のA市である場合、配信先指定情報テーブルのEAID(1)又はEAID(2)に、A市に割り当てられたEAIDである100が登録されている基地局200を特定する(S3)。
【0050】
図5に示した配信先指定情報テーブルにおいては、基地局200a、200b、200cに対応するEAID(1)又はEAID(2)に100が登録されており、基地局200dに対応するEAID(1)及びEAID(2)に100が登録されていない。この場合、通信制御部133は、配信情報を送信する配信先となる基地局200として、基地局200a、200b、200cを特定する。続いて、通信制御部133は、配信先として特定した基地局200に配信情報を送信する(S4)。
【0051】
[配信先指定情報テーブルの作成手順]
図7は、配信先指定情報テーブルを作成する手順を示すシーケンス図である。まず、記憶制御部134は、携帯電話事業者の管理者により入力された情報に基づいて、図4に示した配信エリア情報テーブルを作成する(S11)。具体的には、記憶制御部134は、取得部131を介してEAIDと、EAIDに対応する配信地域を特定するための緯度・経度情報を取得すると、EAIDと緯度・経度情報とを関連付けて記憶部12に記憶させる。
【0052】
続いて、配信先指定情報テーブルに登録する対象となる基地局200は、GPS衛星から受信した電波に基づいて特定した位置情報、又は携帯電話事業者の管理者によって設定された位置情報を情報送信装置100に送信する(S12)。情報送信装置100においては、取得部131が基地局200から位置情報を取得すると、記憶制御部134が、ステップS11で作成した配信エリア情報テーブルを参照し、基地局200から取得した位置情報に対応する緯度・経度の位置が含まれる、第1配信地域のEAIDを特定する(S13)。記憶制御部134は、特定したEAIDを第1配信先指定情報として配信先指定情報テーブルに登録する(S14)。
【0053】
続いて、記憶制御部134は、ステップS11で作成した配信エリア情報テーブルを参照し、基地局200が送信する電波が到達する範囲である送信範囲が含まれるエリアのうち、第1配信地域以外のエリアを特定する。記憶制御部134は、例えば基地局200の送信範囲の緯度・経度を含むEAIDのうち、第1配信地域に対応するEAID以外のEAIDを第2配信地域のEAIDとして特定する(S15)。
【0054】
記憶制御部134は、特定したEAIDを第2配信先指定情報として配信先指定情報テーブルに登録する(S16)。具体的には、記憶制御部134は、基地局200aに対応する第2配信先指定情報を登録する際、基地局200aが送信する電波がB市に届くことから、B市に対応するEAID101を第2配信先指定情報として登録する。
【0055】
なお、記憶制御部134は、基地局200が送信した配信情報を受信した携帯端末の位置に基づいて、記憶部12が基地局200に関連付けて記憶している電波の送信可能範囲を更新してもよい。具体的には、記憶制御部134は、各基地局200を介して、各基地局200が送信した配信情報を受信して受信応答を基地局200に送信した携帯端末の位置を示す位置情報を取得し、取得した位置情報が含まれる範囲と送信可能範囲との差が所定の量以上ある場合に、送信可能範囲を更新する。
【0056】
記憶制御部134は、例えば、配信情報に対する受信応答を送信した複数の携帯端末の位置を含む範囲を、新たな送信可能範囲として記憶部12に記憶させる。このようにすることで、基地局200の周辺の電波伝搬状況に変化が生じた場合に、携帯電話事業者が送信可能範囲を設定し直すことなく、基地局200の送信可能範囲が適切な範囲に設定されるので、情報送信装置100は、適切なエリアに配信情報を配信することが可能になる。
【0057】
[情報送信装置100による効果]
以上説明したように、情報送信装置100においては、取得部131が、携帯端末の住民に配信するべき配信情報を情報発信装置1から取得し、特定部132が、配信情報に含まれるEAIDに基づいて、配信情報を配信する対象となる地域である配信地域を特定する。そして、通信制御部133は、特定部132が特定した配信地域に電波が届く可能性がある複数の基地局200へ配信情報を送信する。
【0058】
通信制御部133は、例えば、EAIDに対応するA市のエリアに電波が届く可能性がある基地局200a、200b、200cに配信情報を送信する。このようにすることで、基地局200a、200b、200cがA市に宛てた配信情報を送信するので、A市内に設置された基地局200aの電波が届かないエリアにいる住民にも配信情報が送信される。したがって、情報送信装置100は、配信地域の境界付近等において緊急情報等の配信情報の配信漏れが生じることを抑制することができる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0060】
1 情報発信装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
100 情報送信装置
131 取得部
132 特定部
133 通信制御部
134 記憶制御部
200 基地局
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7