(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896695
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】歯科目的のための予備焼結ブランク
(51)【国際特許分類】
A61C 13/083 20060101AFI20210621BHJP
A61C 5/70 20170101ALI20210621BHJP
C03C 10/04 20060101ALI20210621BHJP
C03B 32/02 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
A61C13/083
A61C5/70
C03C10/04
C03B32/02
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-242844(P2018-242844)
(22)【出願日】2018年12月26日
(62)【分割の表示】特願2015-510829(P2015-510829)の分割
【原出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2019-48179(P2019-48179A)
(43)【公開日】2019年3月28日
【審査請求日】2018年12月26日
(31)【優先権主張番号】12167759.5
(32)【優先日】2012年5月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501151539
【氏名又は名称】イフォクレール ヴィヴァデント アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Ivoclar Vivadent AG
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド ビュルケ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン リッツベルガー
(72)【発明者】
【氏名】マルセル シュバイガー
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ラインベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ディアーナ トッシュ
【審査官】
村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−271435(JP,A)
【文献】
特表2004−527280(JP,A)
【文献】
特開2011−062526(JP,A)
【文献】
特開2011−225441(JP,A)
【文献】
特表2010−528730(JP,A)
【文献】
特開2011−016720(JP,A)
【文献】
特開平10−101409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/083
A61C 5/70
C03B 32/02
C03C 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする、歯科目的のための予備焼結ブランクであって、ここで、前記ブランクは、対応する緻密焼結した二ケイ酸リチウムガラスセラミックの真密度に対して、66〜90%の相対密度を有し、そしてここで、前記ブランクは、さらに、
(a)粒子数基準で平均粒径<50μmを有する、対応する出発ガラスの粉末が、20MPa〜200MPaの圧力で一軸的にまたは静水圧的にプレスされ、そして
(b)得られたガラス粉末の圧粉体が、5〜60分間、
(i)500℃〜800℃の範囲にあり、そして
(ii)少なくとも30Kにわたって広がり、そして相対密度が、2.5%未満で変動する範囲にある、
温度で熱処理される場合に得られる相対密度を有する、
ブランク。
【請求項2】
前記ブランクが、対応する緻密焼結した二ケイ酸リチウムガラスセラミックの真密度に対して、68〜88%または70〜86%の相対密度を有する、請求項1に記載のブランク。
【請求項3】
前記粉末が、40〜120MPaまたは50〜100MPaの圧力でプレスされる、請求項1または2に記載のブランク。
【請求項4】
前記得られたガラス粉末の圧粉体が、10〜40分間または15〜30分間、熱処理される、請求項1から3のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項5】
前記得られたガラス粉末の圧粉体が、少なくとも540℃または少なくとも580℃の温度で熱処理される、請求項1から4のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項6】
前記得られたガラス粉末の圧粉体が、少なくとも50Kまたは少なくとも70Kにわたって広がり、そして相対密度が、2.0%未満または1.5%未満で変動する範囲にある温度で熱処理される、請求項1から5のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項7】
実質的にメタケイ酸リチウムガラスセラミックからなる、請求項1から6のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項8】
前記ガラスセラミックが、主結晶相としてメタケイ酸リチウムを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項9】
前記ガラスセラミックが、20体積%を超えるメタケイ酸リチウム結晶を含有する、請求項8に記載のブランク。
【請求項10】
前記メタケイ酸リチウムガラスセラミックが、SiO2を50.0〜80.0重量%含有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項11】
前記メタケイ酸リチウムガラスセラミックが、Li2Oを6.0〜20.0重量%含有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項12】
前記メタケイ酸リチウムガラスセラミックが、下記の量で、下記の成分:
成分 重量%
Me(I)2O 0〜10.0
Me(II)O 0〜12.0
Me(III)2O3 0〜8.0
Me(IV)O2 0〜8.0
Me(V)2O5 0〜8.0
Me(VI)O3 0〜8.0
核生成剤 0〜8.0
であって、
ここで、
Me(I)2Oが、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oまたはそれらの混合物から選択され、
Me(II)Oが、CaO、BaO、MgO、SrO、ZnOおよびそれらの混合物から選択され、
Me(III)2O3が、Al2O3、La2O3、Bi2O3、Y2O3、Yb2O3およびそれらの混合物から選択され、
Me(IV)O2が、ZrO2、TiO2、SnO2、GeO2およびそれらの混合物から選択され、
Me(V)2O5が、Ta2O5、Nb2O5およびそれらの混合物から選択され、
Me(VI)O3が、WO3、MoO3およびそれらの混合物から選択され、そして
核生成剤が、P2O5、金属およびそれらの混合物から選択される、成分
の少なくとも1種を含有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項13】
前記メタケイ酸リチウムガラスセラミックが、下記の量で、下記の成分:
成分 重量%
Me(I)2O 0.1〜10.0
Me(II)O 0.1〜12.0
Me(III)2O3 0.1〜8.0
Me(IV)O2 0.1〜8.0
Me(V)2O5 0.1〜8.0
Me(VI)O3 0.1〜8.0
核生成剤 0.1〜8.0
の少なくとも1種を含有する、請求項12に記載のブランク。
【請求項14】
それらの呈色または透光性によって異なる、少なくとも2つの領域を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項15】
それらの呈色または透光性によって異なる、少なくとも2つの層を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項16】
加工装置のための保持具を有する請求項1から15のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項17】
歯科インプラントに接続するための接合部を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載のブランク。
【請求項18】
メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする歯科目的のための予備焼結ブランクの調製方法であって、ここで、前記ブランクは、対応する緻密焼結した二ケイ酸リチウムガラスセラミックの真密度に対して、66〜90%の相対密度を有し、ここで、
(a)粉末または粒状物の形態のケイ酸リチウムガラスがプレスされて、ガラスブランクを形成し、
(b)前記ガラスブランクが、メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする予備焼結ブランクを調製するために熱処理され、ここで、前記熱処理の温度が、
(i)500〜800℃の範囲にあり、そして
(ii)少なくとも30Kにわたって広がり、そして相対密度が、2.5%未満で変動する範囲にある、
方法。
【請求項19】
ステップ(a)において、それらの呈色または透光性に関して異なる、少なくとも2種のケイ酸リチウムガラスが使用される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
歯科修復物の調製方法であって、ここで
(i)請求項1から17のいずれか一項に記載の、前記メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする予備焼結ブランクが、機械加工により成形されて、前記歯科修復物の前駆体を形成し、そして
(ii)前記前駆体が、前記歯科修復物を生成させるために実質的に緻密焼結される、
方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記歯科修復物の表面に、仕上げが提供される、方法。
【請求項22】
前記機械加工が、コンピュータ制御されるミリングおよび/または削合装置により行われる、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
請求項18または19に記載の方法が、前記メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする予備焼結ブランクを得るために行われる、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記歯科修復物が、クラウン、アバットメント、アバットメントクラウン、インレー、アンレー、ベニア、シェル、ブリッジおよび上部構造から選択される、請求項20から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
歯科修復物の調製における使用のための、請求項1から17のいずれか一項に記載のブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に歯科修復物の調製に適している、メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする、歯科目的のための予備焼結ブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科における予備焼結ブランクの使用に関する報告は、既に最先端技術においてなされている。
【0003】
WO2010/010087は、加工されて歯科用ベニアを形成する、多孔質ケイ酸塩セラミック造形体を記述している。造形体は、ミリングまたは削合システムによる機械加工の間の、例えば材料破裂による損傷を防ぐため特定の密度を有するべきであり、また選択されたシステムに適しているべきである。
【0004】
US5,106,303は、場合によって予備焼結され得る、成形セラミック体の倣いミリングによる歯冠およびインレーの調製を記述している。所望の幾何学的形状を達成するため、セラミック体は、所望の高密度までのその後の焼結の間に起こる収縮を考慮して、拡大した形状にミリングされる。場合によって強化用添加剤を含み得る酸化アルミニウムが、特にセラミック材料として使用される。
【0005】
US5,775,912は、予備焼結した陶歯ペレットを記述しており、このものからCAD/CAMシステムによって歯牙構造がミリングされる。この歯牙構造は、所望の歯科修復物を生成させるため、埋め込み材料中に埋め込まれ、焼結され、埋め込み材料から取り出される。使用した陶歯は、白榴石系ガラスセラミックである。
【0006】
US6,354,836は、CAD/CAM方法を使用した歯科修復物の製造方法を開示している。このために、セラミック材料、特に酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムの未焼結または予備焼結塊が使用され、このものは拡大した形状にミリングされ、続いて緻密焼結された後、高強度の歯科修復物をもたらす。しかし、最終的に達成される修復物の寸法変動が小さいことを確実にするためには、使用した焼結炉内の温度差が10℃未満であることが不可欠であると考えられる。
【0007】
公知の予備焼結ブランクについて、緻密焼結の間に収縮が生じ、したがって、適用される拡大因子は、適用される予備焼結温度に甚だ大きく依存する。焼結炉内の不均質な温度分布の結果として起こり得るような小さな変動でも、緻密焼結の間に、異なった収縮をもたらす。いかにしても、これらの収縮が、作製される歯科修復物の寸法において所望される小さい許容差を可能にしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2010/010087号
【特許文献2】米国特許5,106,303号明細書
【特許文献3】米国特許5,775,912号明細書
【特許文献4】米国特許6,354,836号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の目的は、これらの不利点を避け、したがってそれらを調製するた
め適用される焼結温度の変動に影響され難いブランクを提供することである。同様に、これらのブランクは、通例の削合およびミリング工程によって容易に造形され、これらの工程の間、液体が供給される必要がなく、所望の幾何学的形状を有する歯科修復物を形成し得るものとするべきである。さらに、これらのブランクは、緻密焼結によって処理されて、高強度および光学的に非常に魅力的な歯科修復物を形成することができるものとするべきである。
【0010】
この目的は、請求項1から9に記載の予備焼結ブランクによって達成される。本発明の他の主題は、請求項10および11に記載のブランクの調製方法、請求項12から15に記載の歯科修復物の調製方法、ならびに請求項16に記載のブランクの使用である。
【0011】
歯科目的のための本発明による予備焼結ブランクは、それが
メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとし、また
対応する緻密焼結された二ケイ酸リチウムガラスセラミックの真密度に対して、66〜90%、特に68〜88%、好ましくは70〜86%の相対密度を有することによって、特徴付けられる。
【0012】
相対密度は、予備焼結ブランクの密度と対応する緻密焼結された二ケイ酸リチウムガラスセラミックの真密度との比率である。
【0013】
予備焼結ブランクの密度は、その重量をはかり、またその体積を形状的に確認することによって決定される。次いで密度は、公知の式
密度=質量/体積
により計算される。
【0014】
対応する緻密焼結された二ケイ酸リチウムガラスセラミックの真密度は、予備焼結ブランクを、920℃に加熱した炉内で20分間熱処理し、得られた対応する緻密焼結された二ケイ酸リチウムガラスセラミックを、粒子数基準で平均粒径10〜30μm、特に20μmを有する粉末まで粉砕し、比重計によって粉末の密度を確認することによって測定される。粒径の測定は、Quantachrome GmbH&Co.KGからのCILAS(登録商標)粒径分析計1064により、ISO13320(2009年)に従って、レーザー回折によって行われた。
【0015】
驚くべきことに、本発明によるブランクが、単純な方法で乾式機械加工できるだけでなく、著しく異なる予備焼結温度で調製され得、これが、その後の緻密焼結の間に生じる収縮の実質的変化をもたらさないことが見出されている。したがって、生じる収縮を考慮した拡大因子は、非常に正確に決定され得る。これらの有利な特性は、明らかに、上記において示した相対密度に対する予備焼結の間のメタケイ酸リチウムガラスセラミックの特定の挙動に、また、例えば緻密焼結の間通例適用されるような高温で、高強度二ケイ酸リチウムガラスセラミックに変換されるその能力に帰せられる。
【0016】
本ブランクは、実質的にメタケイ酸リチウムガラスセラミックからなることがさらに好ましい。本ブランクは、メタケイ酸リチウムガラスセラミックからなることが特に好ましい。
【0017】
このガラスセラミックは、好ましい実施形態において、主結晶相としてメタケイ酸リチウムを含む。用語「主結晶相」は、他の結晶相と比べて最高の体積割合を有する結晶相を指す。特にこのガラスセラミックは、全ガラスセラミックに対して20体積%を超える、好ましくは25体積%を超える、特に好ましくは30体積%を超えるメタケイ酸リチウム結晶を含有する。
【0018】
メタケイ酸リチウムガラスセラミックは、SiO
2およびLi
2Oを、好ましくは1.75〜3.0、特に1.8〜2.6、特に好ましくは2.2〜2.5の範囲にあるモル比で、含有する。
【0019】
さらに好ましい実施形態において、メタケイ酸リチウムガラスセラミックは下記の成分:
成分 重量%
SiO
2 50.0〜80.0
Li
2O 6.0〜20.0
Me(I)
2O 0〜10.0、特に0.1〜10.0
Me(II)O 0〜12.0、特に0.1〜12.0
Me(III)
2O
3 0〜8.0、特に0.1〜8.0
Me(IV)O
2 0〜8.0、特に0.1〜8.0
Me(V)
2O
5 0〜8.0、特に0.1〜8.0
Me(VI)O
3 0〜8.0、特に0.1〜8.0
核生成剤 0〜8.0、特に0.1〜8.0、
であって、
Me(I)
2Oが、Na
2O、K
2O、Rb
2O、Cs
2Oまたはそれらの混合物から選択され、
Me(II)Oが、CaO、BaO、MgO、SrO、ZnOおよびそれらの混合物から選択され、
Me(III)
2O
3が、Al
2O
3、La
2O
3、Bi
2O
3、Y
2O
3、Yb
2O
3およびそれらの混合物から選択され、
Me(IV)O
2が、ZrO
2、TiO
2、SnO
2、GeO
2およびそれらの混合物から選択され、
Me(V)
2O
5が、Ta
2O
5、Nb
2O
5、V
2O
5およびそれらの混合物から選択され、
Me(VI)O
3が、WO
3、MoO
3およびそれらの混合物から選択され、ならびに
核生成剤が、P
2O
5、金属およびそれらの混合物から選択される成分
の少なくとも1種を含有する。
【0020】
一価元素の酸化物Me(I)
2Oとして、Na
2OおよびK
2Oが好ましい。
【0021】
二価元素の酸化物Me(II)Oとして、CaO、MgO、SrOおよびZnOが好ましい。
【0022】
三価元素の酸化物Me(III)
2O
3として、Al
2O
3、La
2O
3およびY
2O
3が好ましい。
【0023】
四価元素の酸化物Me(IV)O
2として、ZrO
2、TiO
2およびGeO
2が好ましい。
【0024】
五価元素の酸化物Me(V)
2O
5として、Ta
2O
5およびNb
2O
5が好ましい。
【0025】
六価元素の酸化物Me(VI)O
3として、WO
3およびMoO
3が好ましい。
【0026】
核生成剤として、P
2O
5が好ましい。
【0027】
メタケイ酸リチウムガラスセラミックは、好ましくは着色剤および/または蛍光剤を含
有する。
【0028】
着色剤および蛍光剤の例は、d−およびf−元素の酸化物、例えば、Ti、V、Sc、Mn、Fe、Co、Ta、W、Ce、Pr、Nd、Tb、Er、Dy、Gd、EuおよびYbなどの酸化物、およびセラミック顔料、例えば着色スピネルなどである。金属コロイド、例えば、Ag、AuおよびPdのコロイドは、着色剤としても使用され得、またさらに核生成剤として作用し得る。これらの金属コロイドは、例えば、溶融および結晶化過程の間における対応する酸化物、塩化物または硝酸塩の還元によって形成され得る。
【0029】
本発明によるブランクは、それらの呈色または半透明性に関して異なっている、少なくとも2つの領域、特に層、を有することが好ましい。本ブランクは、呈色または透光性において異なる少なくとも3つかつ10まで、特に好ましくは少なくとも3つかつ8つまで、またより一層好ましくは少なくとも4つかつ6つまでの領域、特に層、を有することが好ましい。天然の歯牙材料の模倣に、丁度いくつかの異なる呈色領域、特に層が存在するので、非常に成功している。連続的な色の遷移を確保するため、少なくとも1つの領域または層が色勾配を有することも可能である。
【0030】
さらなる好ましい実施形態において、本発明によるブランクは、加工装置内にそれを固定するための保持具を有する。他の好ましい実施形態において、本発明によるブランクは、歯科インプラントに接続するための接合部を有する。
【0031】
保持具は、ブランクを加工装置内、特にミリングもしくは削合装置内に固定することを可能にする。保持具は、通常ピンの形態にあり、金属またはプラスチックからなることが好ましい。
【0032】
接合部は、インプラントと、その上にはめ込んだ歯科修復物、特にアバットメントクラウンなど、との間の接続を確実にするものであり、ブランクの機械加工および緻密焼結によって得られている。この接続部は、回転して固定されることが好ましい。接合部は、特に、ボアなどの凹部の形態で存在する。接合部の特定の幾何学的形状は、通常、それぞれの場合に使用されるインプラントシステムに応じて選択される。
【0033】
本発明はまた、本発明によるブランクの調製方法であって、
(a)粉末または粒状物の形態のケイ酸リチウムガラスがプレスされて、ガラスブランクを形成し、
(b)このガラスブランクが、メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする予備焼結ブランクを調製するために熱処理され、熱処理の温度が、
(i)少なくとも500℃、特に少なくとも540℃、好ましくは少なくとも580℃であり、および
(ii)少なくとも30K、特に少なくとも50K、好ましくは少なくとも70Kにわたって広がり、相対密度の変動が、2.5%未満、特に2.0%未満、好ましくは1.5%未満である範囲にある
方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、予備焼結温度の関数としての相対密度のグラフ表示を示している。
【
図2】
図2は、通常、ガラス粉末の圧粉体の熱処理の間に経過する相を、実施例1による組成を有する圧粉体の温度に対して拡大因子をプロットすることによって、例示している。
【
図3】
図3は、予備焼結温度の関数としての相対密度のグラフ表示を示している。
【
図4】
図4は、計算した拡大因子を、予備焼結温度に対してプロットしている。
【発明を実施するための形態】
【0035】
段階(a)では、粉末または粒状物の形態のケイ酸リチウムガラスがプレスされて、ガラスブランクを形成する。
【0036】
用いられるケイ酸リチウムガラスは、通常、適切な出発材料、例えば炭酸塩、酸化物、リン酸塩およびフッ化物など、の混合物を、特に1300〜1600℃の温度で2〜10時間溶融することにより、調製される。特に高い均質性を達成するため、得られたガラス溶融物を、ガラス粒状物を形成するため水に注入し、次いで得られた粒状物は再溶融される。
【0037】
粒状物は、次いで所望の粒径まで粉砕され、特に、粒子数基準で平均粒径<50μmを有する粉末まで粉砕される。
【0038】
次いで粒状物または粉末は、場合によってプレス補助剤またはバインダーと一緒に、通常、圧縮成形モールド内に置かれ、プレスされて、ガラスブランクを形成する。加えられる圧力は、特に20〜200MPaの範囲内にある。プレスのため一軸プレスが好ましく使用される。プレスは、特に静水圧プレス、好ましくは冷間静水圧プレスとすることもできる。
【0039】
異なる呈色または透光性を有するガラス粉末またはガラス粒状物の使用により、異なる呈色の、または異なる透光性の領域および特に層を有するガラスブランクを生成し得る。例えば、異なる呈色の粉末または粒状物を、圧縮成形モールドにおいて互いの上部に配置し得、多色ガラスブランクが生成される結果となる。多色により、最終的に調製した歯科修復物に天然歯牙材料の外観を与えることが大幅に可能になる。
【0040】
段階(b)では、得られた単色または多色ガラスブランクが、メタケイ酸リチウムの予備焼結および制御された結晶化、したがってメタケイ酸リチウムガラスセラミックの形成をもたらすために、熱処理に掛けられる。この熱処理は、特に温度500〜800℃、好ましくは540〜800℃、特に好ましくは580〜750℃で行われる。この熱処理は、特に5〜60分、好ましくは10〜40分、特に好ましくは15〜30分の時間の間行われる。
【0041】
温度範囲(b)(ii)は、温度変化にも拘らず、相対密度がほとんど変化しない範囲を記述している。したがってこの範囲は、以下で「プラトー」とも呼ばれる。この範囲において可能な相対密度の変動は、この範囲における相対密度の最大および最小値からの%として、
(最大値−最小値)/最大値×100
から計算される。
【0042】
驚くべきことに、予備焼結の間、特定の温度範囲においてメタケイ酸リチウムガラスセラミックが、相対密度において本質的に全く変化を示さず、したがって緻密焼結の間の線収縮および拡大因子において全く変化しないことが示されている。これらの範囲は、温度に対する相対密度、線収縮または拡大因子のグラフ表示において「プラトー」として認識できる。したがって、この範囲では、その後の歯科修復物のはめ込みの正確さについて重要であるブランクの特性は、本質的に温度に依存しない。この結果は、温度が「プラトー」範囲内にある限り、ブランクが、例えば、焼結炉内の温度変動または温度勾配に影響され難い傾向があるという重要な実際的利点である。
【0043】
したがって、本発明により、本発明の方法を使用して調製されている予備焼結ブランク
が、特に好ましい。
【0044】
特に好ましいものは、本発明によるブランクであって、
(a)粒子数基準で平均粒径<50μmを有する、対応する出発ガラスの粉末が、20〜200MPa、好ましくは40〜120MPa、特に好ましくは50〜100MPaの圧力で一軸的にまたは静水圧的にプレスされ、ならびに
(b)得られたガラス粉末の圧粉体が、5〜60分間、好ましくは10〜40分間、特に好ましくは15〜30分間、
(i)少なくとも500℃、特に少なくとも540℃、好ましくは少なくとも580℃である、および
(ii)少なくとも30K、特に少なくとも50K、好ましくは少なくとも70Kにわたって広がり、相対密度の変動が、2.5%未満、特に2.0%未満、好ましくは1.5%未満である範囲にある
温度で熱処理される場合に得られる相対密度を有するブランクである。
【0045】
図2は、通常、ガラス粉末の圧粉体の熱処理の間に経過する相を、実施例1による組成を有する圧粉体の温度に対して拡大因子をプロットすることによって、例示している。約400℃までの相Iにおいて、加熱および存在する任意のバインダーの除去が行われる。約400〜約600℃の相IIにおいて、焼結および結晶化が行われ、また約600〜約700℃のプラトーである相IIIにおいてメタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする本発明による予備焼結ブランクが存在する。次いで、約700℃から始まる相IVにおいて、緻密焼結および二ケイ酸リチウムの結晶化が行われる。
【0046】
本発明による予備焼結ブランクは、塊、円板または円筒の形態で存在することが好ましい。これらの形態において、所望の歯科修復物を形成するさらなる加工が特に容易である。
【0047】
予備焼結ブランクは、特にさらに加工されて、歯科修復物を形成する。したがって、本発明はまた、歯科修復物の調製方法であって、
(i)メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする本発明にしたがう予備焼結ブランクが、機械加工により成形されて、歯科修復物の前駆体を形成し、
(ii)この前駆体が、歯科修復物を生成させるため実質的に緻密焼結され、ならびに
(iii)場合によってこの歯科修復物の表面に、仕上げが提供される
方法にも関する。
【0048】
段階(i)において、機械加工は通常、材料除去工程、特にミリングおよび/または削合によって行われる。機械加工は、コンピュータ制御されるミリングおよび/または削合装置により行われることが好ましい。特に好ましくは、機械的作業がCAD/CAM方法のステップとして行われる。
【0049】
本発明によるブランクは、特に、開放気孔を有しかつ低強度であるため、非常に容易に機械加工され得る。削合またはミリングの間液体を使用する必要がないことが特に有利である。これに反して、従来のブランクでは、いわゆる湿式削合方法がしばしば必要である。
【0050】
機械加工は、通常、得られた前駆体が、所望される歯科修復物から拡大された形態となるような形で行われる。それによって、その後の緻密焼結の間に起こる収縮が考慮されている。本発明によるブランクは、それに適用される拡大因子が、非常に正確に決定され得るという特有の利点を有する。拡大因子は、それにより、緻密焼結後に得られた歯科修復物が所望の寸法を有するように、予備焼結ブランクから前駆体が拡大されて削合またはミ
リングされなければならない係数である。
【0051】
拡大因子F
v、相対密度ρ
r、および残余線収縮Sは、下記のように互いに変換され得る:
S=1−ρ
r1/3
F
v=1/(1−S)
好ましい実施形態において、本発明により、上述の方法により作製されたブランクが予備焼結ブランクとして使用される。
【0052】
段階(ii)において、得られた前駆体は、所望の幾何学的形状を有する歯科修復物を生成させるように、実質的に緻密焼結される。
【0053】
緻密焼結のために、前駆体は、温度800〜1000℃、特に850〜950℃で熱処理されることが好ましい。熱処理は、通常2〜40分、特に2〜30分、特に好ましくは5〜15分の期間の間行われる。この熱処理の間、緻密焼結が行われるだけでなく、通常メタケイ酸リチウムガラスセラミックから二ケイ酸リチウムガラスセラミックへの変換も行われる。
【0054】
そのとき、二ケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする歯科修復物が存在する。このガラスセラミックにおいて、二ケイ酸リチウムが主結晶を構成することが好ましい。この二ケイ酸リチウムガラスセラミックは、優れた光学的および機械的特性ならびに高い化学的安定性を有する。こうして、本発明による方法を用いて、それらに向けられた高い要求を満たす歯科修復物を調製し得る。
【0055】
歯科修復物は、クラウン、アバットメント、アバットメントクラウン、インレー、アンレー、ベニア、シェルおよびブリッジならびに、例えば、酸化物セラミック、金属もしくは歯科用合金からなり得るマルチパート修復フレーム向けの上部構造から選択されることが好ましい。
【0056】
変形を避けるために歯科修復物の前駆体が支持されることは、緻密焼結にとって有利となり得る。支持体は、前駆体と同一の材料からなり、したがって焼結の際に同一の収縮を示すことが好ましい。支持体は、それらの幾何学的形状に関して前駆体に適応させた、例えば、支持構造体または支持モールドの形態であり得る。
【0057】
場合による段階(iii)において、歯科修復物の表面に、仕上げを提供することもできる。特に、温度700〜900℃で施釉焼成を行うこと、または歯科修復物を研磨することも可能である。
【0058】
本発明による予備焼結ブランクの記述された特性のため、予備焼結ブランクは、とりわけ歯科修復物を作製するのに適している。したがって、本発明はまた、歯科修復物を調製するための、また特に、クラウン、アバットメント、アバットメントクラウン、インレー、アンレー、ベニア、シェルおよびブリッジならびに上部構造を調製するための本ブランクの使用にも関する。
【0059】
粒子数基準で示された平均粒径は、ISO13320(2009年)に従って、Quantachrome GmbH&Co.KGからのCILAS(登録商標)粒径分析計1064により、レーザー回折によって決定された。
【0060】
本発明は、実施例によって以下においてより詳細に説明される。
【実施例】
【0061】
(実施例1〜16)
表I中に示した組成を有する、主結晶相としてメタケイ酸リチウムを有する合計16個のガラスセラミックは、対応する出発ガラスを溶融し、次いで、熱処理によって、それらから作製した、プレスしたガラス粉末ブランクを予備焼結し、かつ同時にメタケイ酸リチウムを結晶化することによって調製した。
【0062】
この目的のため、100〜200gの規模の出発ガラスを、通例の原料から最初に1400〜1500℃で溶融し、その際、溶融は、気泡または条痕を形成せずに、非常に容易に実施可能であった。出発ガラスを水に注入することによって、ガラスフリットを調製し、次いでこれを二回目は均質化のため1450〜1550℃で1〜3時間溶融した。
【0063】
得られたガラス溶融物を、次いで1400℃まで冷却し、水に注入することによって微粒子粒状物に変換した。粒状物を乾燥し、粒子数基準で平均粒径<100μmを有する粉末まで粉砕した。これらの粉末を、噴霧乾燥機内で、当業界における通例のバインダーで湿らせ、次いで20〜200MPaのプレス圧でプレスして、粉末の圧粉体を形成した。
【0064】
これらの粉末の圧粉体を、次いで、表Iにおいてそれぞれの組成物についてプラトーとして示される範囲にある温度で、2〜120分間熱処理した。この熱処理後、予備焼結された、かつメタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする本発明によるブランクが存在していた。
【0065】
【表1-1】
【0066】
【表1-2】
(実施例17)
実施例1による組成物の焼結挙動の試験
実施例1による組成を有するガラスを溶融し、粒子数基準で平均粒径20μmを有するガラス粉末まで粉砕した。このガラス粉末に、当業界における通例のバインダーを提供し、一軸プレスして、圧力80MPaで円筒を形成した。これらの円筒形ブランクの焼結挙動は、Ivoclar Vivadent AGからのProgramat(登録商標)P700型の炉内で、種々の温度でそれらを熱処理することによって試験した。それぞれの場合に、加熱速度10℃/分およびそれぞれの温度における保持時間15分を選択した。その後、ブランクを室温まで冷却し、次いで、それぞれの場合に、対応する緻密焼結した二ケイ酸リチウムガラスセラミックの真密度に対するブランクの相対密度を決定した。相対密度から、残余線収縮、およびそれから、選択される拡大因子を計算した。
【0067】
25〜870℃の範囲における焼結温度についての結果は、下記の表II中に示される。相対密度74.7〜75.4%を有する本発明による予備焼結したメタケイ酸リチウムガラスセラミックが、600から700℃の間に存在していた。
【0068】
【表2】
図1において、予備焼結温度の関数としての相対密度のグラフ表示を示している。
【0069】
図2において、計算した拡大因子を、予備焼結温度に対してプロットしている。これから、驚くべきことに、600〜700℃の範囲において拡大因子が実質的に一定のままであり、曲線がプラトーを形成することを見ることができる。したがって、この領域で予備焼結を適用する場合、選択する拡大因子の非常に正確な仕様が可能である本発明によるブランクを生成し得る。
【0070】
(実施例18)
実施例8による組成物の焼結挙動の試験
実施例8による組成物の焼結挙動を実施例17と同様に試験した。実施例8による組成を有するガラスを溶融し、粒子数基準で平均粒径15μmを有するガラス粉末まで粉砕した。前述した通りに、このガラス粉末をプレスして、円筒を形成した。これらの円筒形ブランクの焼結挙動は、Ivoclar Vivadent AGからのProgramat(登録商標)P700型の炉内で、種々の温度で試験片を熱処理することによって試験した。それぞれの場合に、加熱速度10℃/分およびそれぞれの温度における保持時間2分を選択した。その後、ブランクを室温まで冷却し、次いで、それぞれの場合に、対応する緻密焼結した二ケイ酸リチウムガラスセラミックの密度に対するブランクの相対密度を測定した。相対密度から残余線収縮、およびそれから、選択される拡大因子を計算した。
【0071】
25〜870℃の範囲における焼結温度についての結果は、下記の表III中に示される。相対密度74.4〜75.1%を有する本発明による予備焼結したメタケイ酸リチウムガラスセラミックが、580℃から700℃の間に存在していた。
【0072】
【表3】
図3において、予備焼結温度の関数としての相対密度のグラフ表示を示している。
【0073】
図4において、計算した拡大因子を、予備焼結温度に対してプロットしている。これから、驚くべきことに、580〜700℃の範囲において拡大因子が実質的に一定のままであり、曲線がプラトーを形成することを見ることができる。したがって、この領域で予備焼結を適用する場合、選択する拡大因子の非常に正確な仕様が可能である本発明によるブランクを生成させることができる。
【0074】
この範囲(「プラトー」)を決定するのと同一の方法を、表I中に示した他の組成物について使用した。
【0075】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする、歯科目的のための予備焼結ブランクであって、対応する緻密焼結した二ケイ酸リチウムガラスセラミックの真密度に対して、66〜90%、特に68〜88%、好ましくは70〜86%の相対密度を有するブランク。
(項2)
実質的に二ケイ酸リチウムガラスセラミックからなる、上記項1に記載のブランク。
(項3)
前記ガラスセラミックが、主結晶相としてメタケイ酸リチウムを含み、特に20体積%を超える、好ましくは25体積%を超える、特に好ましくは30体積%を超える二ケイ酸リチウム結晶を含有する、上記項1から2のいずれか一項に記載のブランク。
(項4)
前記メタケイ酸リチウムガラスセラミックが、下記の成分:
成分 重量%
SiO
2 50.0〜80.0
Li
2O 6.0〜20.0
Me(I)
2O 0〜10.0、特に0.1〜10.0
Me(II)O 0〜12.0、特に0.1〜12.0
Me(III)
2O
3 0〜8.0、特に0.1〜8.0
Me(IV)O
2 0〜8.0、特に0.1〜8.0
Me(V)
2O
5 0〜8.0、特に0.1〜8.0
Me(VI)O
3 0〜8.0、特に0.1〜8.0
核生成剤 0〜8.0、特に0.1〜8.0、
であって、
Me(I)
2Oが、Na
2O、K
2O、Rb
2O、Cs
2Oまたはそれらの混合物から選択され、
Me(II)Oが、CaO、BaO、MgO、SrO、ZnOおよびそれらの混合物から選択され、
Me(III)
2O
3が、Al
2O
3、La
2O
3、Bi
2O
3、Y
2O
3、Yb
2O
3およびそれらの混合物から選択され、
Me(IV)O
2が、ZrO
2、TiO
2、SnO
2、GeO
2およびそれらの混合物から選択され、
Me(V)
2O
5が、Ta
2O
5、Nb
2O
5およびそれらの混合物から選択され、
Me(VI)O
3が、WO
3、MoO
3およびそれらの混合物から選択され、ならびに
核生成剤が、P
2O
5、金属およびそれらの混合物から選択される成分
の少なくとも1種を含有する、上記項1から3のいずれか一項に記載のブランク。
(項5)
それらの呈色または透光性によって異なる、少なくとも2つの領域、特に層を有する、上記項1から4のいずれか一項に記載のブランク。
(項6)
加工装置のための保持具を有する上記項1から5のいずれか一項に記載のブランク。
(項7)
歯科インプラントに接続するための接合部であり、特に凹部の形態の接合部を有する、上記項1から6のいずれか一項に記載のブランク。
(項8)
上記項10または11のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、上記項1から7のいずれか一項に記載のブランク。
(項9)
(a)粒子数基準で平均粒径<50μmを有する、対応する出発ガラスの粉末が、20MPa〜200MPa、好ましくは40〜120MPa、特に好ましくは50〜100MPaの圧力で一軸的にまたは静水圧的にプレスされ、ならびに
(b)得られたガラス粉末の圧粉体が、5〜60分間、好ましくは10〜40分間、特に好ましくは15〜30分間、
(i)少なくとも500℃、特に少なくとも540℃、好ましくは少なくとも580℃である、および
(ii)少なくとも30K、特に少なくとも50K、好ましくは少なくとも70Kにわたって広がり、相対密度が、2.5%未満、特に2.0%未満、好ましくは1.5%未満で変動する範囲にある
温度で熱処理される場合に得られる相対密度を有する、上記項1から8のいずれか一項に記載のブランク。
(項10)
上記項1から7または上記項9のいずれか一項に記載のブランクの調製方法であって、
(a)粉末または粒状物の形態のケイ酸リチウムガラスがプレスされて、ガラスブラン
クを形成し、
(b)前記ガラスブランクが、メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする予備焼結ブランクを調製するために熱処理され、前記熱処理の温度が、
(i)少なくとも500℃、特に少なくとも540℃、好ましくは少なくとも580℃であり、および
(ii)少なくとも30K、特に少なくとも50K、好ましくは少なくとも70Kにわたって広がり、相対密度が、2.5%未満、特に2.0%未満、好ましくは1.5%未満で変動する範囲にある
方法。
(項11)
ステップ(a)において、それらの呈色または透光性に関して異なる、少なくとも2種のケイ酸リチウムガラスが使用される、上記項10に記載の方法。
(項12)
歯科修復物の調製方法であって、
(i)上記項1から9のいずれか一項に記載の、前記メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする予備焼結ブランクが、機械加工により成形されて、前記歯科修復物の前駆体を形成し、
(ii)前記前駆体が、前記歯科修復物を生成させるため実質的に緻密焼結され、ならびに
(iii)場合によって前記歯科修復物の表面に、仕上げが提供される
方法。
(項13)
前記機械加工が、コンピュータ制御されるミリングおよび/または削合装置により行われる、上記項12に記載の方法。
(項14)
上記項10または11に記載の方法が、前記メタケイ酸リチウムガラスセラミックをベースとする予備焼結ブランクを得るために行われる、上記項12または13に記載の方法。
(項15)
前記歯科修復物が、クラウン、アバットメント、アバットメントクラウン、インレー、アンレー、ベニア、シェル、ブリッジおよび上部構造から選択される、上記項12から14のいずれか一項に記載の方法。
(項16)
歯科修復物および、特にクラウン、アバットメント、アバットメントクラウン、インレー、アンレー、ベニア、シェル、ブリッジおよび上部構造を調製するための、上記項1から9のいずれか一項に記載のブランクの使用。