【0005】
以下の詳細な説明は、本発明を実施するための現在考えられる好適な形態に関するものである。この説明は、限定的な意味で理解されるべきではないが、本発明の実施形態の一般原則を説明するために行われるにすぎないものである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定されることが好ましい。
本発明は、完全に組み立てられた形態で
図1〜8に示された僧帽弁アセンブリ100を提供する。アセンブリ100は、自然僧帽弁輪に効果的に固定されることができる簡単な小葉弁支持構造を有するフレーム101(
図4〜5を参照)を有する。さらに、小葉アセンブリ104(
図6〜8を参照)は、弁小葉の迅速な開閉を提供し且つ大きい有効開口オリフィス面積を有する新型の小葉形態を提供する。装置100の構造全体は簡単であり、適切な僧帽弁機能を促進する効果がある。
図1〜5に示すように、フレーム101は、患者の心臓の左心房内に位置するように構成されるボール状の固定部109を有する。二つのレッグ17,18は、固定部109の下流端から自然僧帽弁輪を介して左心室内に延びる。レッグ17,18及び固定部109は、1本の連続ワイヤから製造されることができ、薄壁の生体適合性の金属元素(例えば、ステンレス鋼、Co―Cr系合金、ニチノール(登録商標)、Ta及びTiなど)から製造されることができる。一例としては、ワイヤは、当分野において周知されたニチノール(登録商標)ワイヤから製造されることができ、0.2インチ〜0.4インチの直径を有する。固定部109は、フレーム101内の開放セル103を画定する。各セル103は、セル103を取り囲む複数のストラット103によって画定されることができる。
固定部109は、アセンブリ100、特にフレーム101を左心房内に固定するように機能する。固定部109は、2つの環状列のセル103によって画定された略ボール状の形態を有し、第1列21のセル103が流入端にある頂点20を有し、第2列22のセル103が流出端にある頂点8を有する。各列のセル103は、ピークとバレイを規定するストラットの環状のジグザグ配列を有する。「ボール状」という用語は、自然左心房の形状に類似した略球形または楕円球形を意味することを図る。したがって、固定部109は、拡張形態または展開形態でやや球形のボール状の形態を有し、且つ、頂点20が流入端にある環状開口を画定し、頂部8が流出端にある環状開口を画定するよう形成される。さらに、セル103の形状及びサイズは、固定部109に亘って変わることができる。例えば、セル103は、ややダイヤモンド形であるように示され、且つ、列21のセル103は、通常、列22のセル103よりも大きいことができる。
レッグ17,18は、2つの対向するセル103から延びる。具体的には、レッグ17は、セル103の1つから延びる湾曲部10から始まり、直線部に沿って第2湾曲部11に移行し、次に、もう1つの直線部に沿ってチップまたはロッキングイア13に鉛直に延びる。同様に、レッグ18は、対向するセル103から延びる湾曲部9から始まり、直線部に沿って第2湾曲部12に移行し、次に、もう1つの直線部に沿ってチップまたはロッキングイア14に鉛直に延びる。レッグ17、18は、後述する小葉部1a、1bを支持且つ保持するように機能する。
図1に示すように、小葉部1a、1bは、レッグ17、18に直接縫着されることができる。ロッキングイア13、14は、
図9に示される送達システムのイアハブ2014内にあるものに合わせるように、例えば、リング状、T字状または正方状で設けられる。ロッキングイア13、14は、送達システム内にバルブアセンブリ100を固定するためのものである。
以下は、フレーム101の若干の例示的で非限定的な寸法である。例えば、
図5を参照すると、固定部109の高さHは、15〜40mmであることができる。固定部109の最も広い点における直径Dは、20〜50mmであることができる。
また、レッグ17、18の長さは、そこに支持された小葉部1a、1bのに応じて変わることができる。例えば、
図1〜8に示される、小葉部1a、1bが2つ設けられる実施形態において、レッグ17、18の長さは、略10〜30mmであることができる。小葉部1a、1bが4つ設けられる実施形態において、レッグ17、18の長さは、例えば、10〜20mmであるように短くされることができる。これらの例示的な寸法は、普通の大人のために自然僧帽弁の位置で用いられるように構成されたアセンブリ100のために用いられることができる。
図6〜
図8を参照すると、本発明は、小葉間の一層良い接合を提供する新型の小葉アセンブリを提供する。この小葉アセンブリ104は、2015年1月13日に出願され且つ全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/595,433号に示され且つ説明されたものと同様であることができる。
小葉アセンブリ104は、2つの別々の小葉を提供する。各小葉は、上側のスカート部1a又は1bと下側の小葉洞部2aまたは2bとから構成される。すなわち、スカート部1aと1bは、一方の小葉を構成し、小葉洞部2aと2bは、他方の小葉を構成する。
図6、7A及び7Bによく示されるように、スカート部1aと1bは同様であり、それぞれが大径の半楕円形のフランジ部6aまたは6bと、小径の本体部4aまたは4bとを有する。各本体部4aまたは4bは、交連折り畳みラインとして機能する対向する側縁26aを有し、側縁26aがこの交連折り畳みラインに沿って縫合されることにより、単一の小葉アセンブリ104が2つの別々の小葉から組み立てられる。各本体部4a、4bも、縫合縁29によって画定された中央U字状開口を有し、この​縫合縁29は、対応する小葉洞部2aまたは2bの湾曲した縁を受けるように構成される。各スカート部1a、1bは、自然弁輪の上部にある楕円形の部位を形成する。
各小葉洞部2a、2bは略半円形を有し、流出縁3aまたは3bと、縫合縁31によって画定された湾曲した縁とを備える。各小葉洞部2a、2bは、縫合縁31に沿って、対応する本体部4aまたは4bの縫合縁29に縫合される。
小葉材料は、心膜などの処理された動物組織、または、生体適合性ポリマー材料(例えば、PTFE、ダクロン、ウシ、ブタなど)からのものであることができる。小葉部1a、1b、2a及び2bには、性能を向上させ、血栓形成を防止し、内皮化を促進するように薬物膜または生物薬剤膜が設けられることができ、また、石灰化を防止するように表面層/表面膜が設けられることもできる。
本発明のアセンブリ100は、低プロファイルに圧縮され、送達システムに載置され、次に、非侵襲性の医療処置、例えば、経心尖的、経大腿的または経中隔的な処置によっての送達カテーテルの使用によって、目標位置に送達されることができる。アセンブリ100は、目標埋め込み部位に到達すると、送達システムから放されることができ、バルーンの膨張(バルーン拡張可能なワイヤフレーム101の場合)またはフレーム101に蓄えられた弾性エネルギー(フレーム101が自己拡張可能な材料から製造された装置の場合)によって、正常な(拡張の)プロファイルに拡張されることができる。
図9〜
図11Bは、どのように経心尖的な送達を用いることによりアセンブリ100が患者の心臓の肺動脈幹に展開されることができるかを示す。
図9を参照すると、送達システムは、外部シャフト2013と、外部シャフト2013の内腔を貫いて延びる内部コア2012とを有する送達カテーテルを備える。イアハブ2011は内部コア2012から延び、且つ、イアハブ2011は遠位チップ2015に接続される。イアハブ2011には、ロッキングイア13、14(
図1〜5)に合わせるイア2014がある。カプセル2010は、外部シャフト2013の遠位端に接続され、且つ、外部シャフト2013の遠位端から延びており、アセンブリ100を取り囲み、封入するように構成される。シャフトは、レッグ17、18からアセンブリ100の内腔を介して遠位チップ2015に延びる。装置100は、クリンピングされ、内部コア2012に載置され、次に、イア2014(
図9)内にロッキングされたロッキングイア13、14(
図1〜5)によって、イアハブ2011にあるイア2014に圧縮される。ロッキングされたアセンブリ100及びイアハブ2011は、次に、カプセル2010によって覆われる。
図10Aを参照すると、アセンブリ100は、カプセル2010内に押し縮められた形態で示され、経心尖的な送達の技術を介して僧帽弁位置に送達される。
図10Bにおいては、カプセル2010は、アセンブリ100を部分的に露出するように部分的に引き出されることにより、自己拡張式フレーム101は、左心房内に固定部109を展開する。
図10Bに示すように、固定部109は、自然左心房の形状及び形態と一致するように形成されるため、フック、バーブまたは他の組織穿刺機構を使用する必要がなく、固定部109がアセンブリ100全体を多少固定された位置に保持するように固定部109を左心房内に着席させることが可能である。
カプセル2010が完全に引き出されると、
図11A及び
図11Bに示すように、レッグ17、18は、自然弁輪を貫いて延び、且つ、固定部109が左心房内に完全に位置する。小葉部1a、1bは、自然僧帽弁輪を貫いて延びる。
図11Aは、開位置での小葉アセンブリ100を示し、
図11Bは、閉位置での小葉アセンブリ100を示す。これらの図に示すように、アセンブリ100は、自然小葉が正常のように機能することを可能にし、且つ、小葉部1a、1bは、自然小葉の欠陥機能(例えば、僧帽弁逆流−僧帽弁漏れ)を補償するように機能する。
従って、アセンブリ100が展開され且つ自然僧帽弁に合わせると、固定部109のボール状の形態は、フック、バーブまたは他の類似の固定機構を使用することなく、アセンブリ100の大部分が左心房10内に保持され、且つ、小葉部1a、1bが僧帽弁輪内に、これらが押し込まれ且つ押しのけられる位置に確実に位置することを可能にする。小葉部1a、1bは、自然欠陥僧帽弁漏れを補償するように機能するため、漏れや逆流(即ち、左心室から左心房への血液逆流)を防止するための「シール」を形成するように一緒に機能する。
本発明のアセンブリ00は、若干の利点がある。第一、固定部109が左心房内に保持される様態は、フック、バーブまたは他の侵襲性の固定機構を使用することなく、効果的な固定を提供する。この固定は、アセンブリ100の上下移動を低減するため、有効である。第二、固定部109の形態は、アセンブリ100が異なるサイズや形状を有する左心房に適合することを可能にするため、各モデル又はサイズのアセンブリ100が一層広い範囲の患者のために用いられることを可能にすることにより、サイズや形状の問題を低減する。第三、このアセンブリ100は、弁輪を拡張したり大動脈弁機能に影響を及ぼしたりすることなく、患者の解剖学的構造の最小変化を引き起こす。左心室内の固定部109は、自然腱または弁を変えない簡単な構造を有し、血流動力に及ぼされる影響を最小にする。
上記の説明は、本発明の特定の実施形態を参照したが、本発明の要旨を逸脱することなく、多くの変更が可能であると理解されたい。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれる変更を含むことを意図する。