(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896719
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】並行に使用されるRFシステムへのMRI起源の干渉を回避するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20210621BHJP
A61B 17/00 20060101ALN20210621BHJP
A61B 8/14 20060101ALN20210621BHJP
【FI】
A61B5/055 390
!A61B17/00 700
!A61B8/14
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-519420(P2018-519420)
(86)(22)【出願日】2016年10月13日
(65)【公表番号】特表2019-500915(P2019-500915A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(86)【国際出願番号】US2016056833
(87)【国際公開番号】WO2017066442
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2019年7月29日
(31)【優先権主張番号】14/883,785
(32)【優先日】2015年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/883,789
(32)【優先日】2015年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/883,788
(32)【優先日】2015年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503038683
【氏名又は名称】インサイテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ベニー・アッシフ
【審査官】
後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−534578(JP,A)
【文献】
Laura Curiel et al.,Progress in Multimodality Imaging: Truly Simultaneous Ultrasound and Magnetic Resonance Imaging,IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING,2007年,vol.26,pp.1740-1746
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01R 33/20−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的領域の磁気共鳴(MR)イメージングを該領域のRF感度測定とともに行う並行作動システムの作動方法であって、
MRパルスを含む第1MRスキャン・シーケンスを実行するステップ、
(i)RFレベルがRF感度測定を干渉するのに十分である場合に、第1MRスキャン・シーケンスの間のインターバルを検出するステップ、ならびに(ii)第1MRスキャン・シーケンスに関するRFデータを検出するステップ、
RF感度測定は、該RF感度測定に関連するデータを備えており、RF感度測定を記録するために、 第1MRスキャン・シーケンスまたは第2MRスキャン・シーケンスと共に並行作動システムを作動させるステップ、ならびに、
記録されたRF感度測定における第1MRスキャン・シーケンスまたは第2MRスキャン・シーケンスから生じる干渉を、
前記インターバルの範囲外のみでRF感度測定に関連するデータを保持すること、または
第1MRスキャンのRFデータおよび第1MRスキャン中に検出されたインターバルに基づいて、第1MRスキャン・シーケンスの勾配アクティブのインターバルを学習し、その学習された勾配アクティブのインターバルを保存し、その学習され保存された勾配アクティブのインターバルに基づいて、検出されたインターバルの範囲外の時間のみでRF感度測定を記録すること、または、
第1MRスキャン・シーケンスの検出されたRFデータに基づいて、検出されたインターバル中に取得され、記録されたRF感度測定に関連するデータを調整すること、
のいずれかによって構成するステップを含んで成る、方法。
【請求項2】
並行作動システムが、アイドリング状態であるか、または無線周波感度測定を並行に測定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
並行作動システムが、無線周波感度測定を並行に測定し、RF感度測定が、それらが構成される場合に記録される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記インターバルの間にRFノイズのパラメータを検出すること、検出されたパラメータを記録すること、およびRFノイズの検出されたパラメータを示すデータを保存することをさらに含んで成る、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記調整が、検出されたインターバルの間に得られた、記録されたRF感度測定から記録されたRFレベルを差し引くことに対応する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記検出されたパラメータが、RFノイズのスペクトルであり、前記差し引くステップが、各RF感度測定について、測定値に対応する信号のスペクトルを取得すること、およびスペクトルにおける各周波数において、前記測定値に対応する信号の大きさからRFノイズの大きさを差し引くことを含んで成る、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記スペクトルが、高速フーリエ変換を使用して時間領域信号測定から得られる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
MRスキャン・シーケンスが、定期的に実行され、RF感度測定が、MRスキャン・シーケンスの少なくとも1つと少なくとも部分的に同期して実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
解剖学的領域の磁気共鳴(MR)イメージングを該領域の無線周波感度(RF感度)測定と共に行うシステムであって、
解剖学的領域をイメージングするためのMRイメージング装置、
RF感度測定を実行するための並行作動システム、ならびに
MRイメージング装置および並行作動システムと連通するコントローラを含んで成り、
コントローラが、
MRパルスを含む第1MRスキャン・シーケンスを実行するようになっており、
(i)RFレベルがRF感度測定を干渉するのに十分である場合に、第1MRスキャン・シーケンスの間のインターバルを検出し、ならびに(ii)第1MRスキャン・シーケンスに関するRFデータを検出するようになっており、
RF感度測定は、該RF感度測定に関連するデータを備えており、RF感度測定を記録するために、第1MRスキャン・シーケンスまたは第2MRスキャン・シーケンスと共に並行作動システムを作動させるようになっており、ならびに、
記録されたRF感度測定における第1MRスキャン・シーケンスまたは第2MRスキャン・シーケンスから生じる干渉を、
前記インターバルの範囲外のみでRF感度測定に関連するデータを保持すること、または
第1MRスキャンのRFデータおよび第1MRスキャン中に検出されたインターバルに基づいて、第1MRスキャン・シーケンスの勾配アクティブのインターバルを学習し、その学習された勾配アクティブのインターバルを保存し、その学習され保存された勾配アクティブのインターバルに基づいて、検出されたインターバルの範囲外の時間のみでRF感度測定を記録すること、または、
第1MRスキャン・シーケンスの検出されたRFデータに基づいて、検出されたインターバル中に取得され、記録されたRF感度測定に関連するデータを調整すること、
のいずれかによって構成するようになっている、システム。
【請求項10】
並行作動システムが、第1MRスキャン・シーケンスの間にアイドリング状態になっているか、または無線周波感度測定を測定するように第1MRスキャン・シーケンスと並行に作動するようになっている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
並行作動システムが、無線周波感度測定を並行に測定する、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
コントローラが、前記インターバルの間にRFノイズのパラメータを検出し、検出されたパラメータを記録し、またRFノイズの検出されたパラメータを示すデータを保存するようにさらになっている、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項13】
前記調整が、検出されたインターバルの間に得られた、記録されたRF感度測定から記録されたRFレベルを差し引くことに対応する、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項14】
前記検出されたパラメータが、RFノイズのスペクトルであり、前記差し引くステップが、各RF感度測定について、測定値に対応する信号のスペクトルを取得し、スペクトルにおける各周波数において、前記測定値に対応する信号の大きさからRFノイズの大きさを差し引くことを含んで成る、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記スペクトルが、高速フーリエ変換を使用する時間領域信号測定から得られる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
コントローラが、さらに
(i)定期的にMRスキャン・シーケンスを実行するようになっており、また
(ii)MRスキャン・シーケンスの少なくとも1つと少なくとも部分的に同期してRF感度測定を実行するようになっている、請求項9または10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、磁気共鳴イメージング(MRI)によって導かれる医療診断および治療方法に関し、より詳細には、MRI誘発干渉を最小化するアプローチに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージングは、種々の医療用途に焦点を当てた超音波と組み合わせて使用され得る。超音波は、軟組織を十分に貫通し、その短波長に起因して、数ミリメートルの寸法のスポットに焦点をあてることができる。これらの特性の結果として、超音波は、超音波イメージングおよび非侵襲的手術を含む、種々の診断および治療の医療目的に使用することができ、また使用されている。例えば、集束された超音波は、周囲の健康な組織に著しい損傷を引き起こすことなく、罹患した(例えば、癌性の)組織を切除する(ablate)ために使用され得る。超音波集束システムは、一般的に、超音波ビームを生成するために、音響トランスデューサ表面またはトランスデューサ表面のアレイを利用する。トランスデューサ・アレイにおいて、個々の表面または「素子(elements)」は、典型的に、個々に制御可能である。すなわち、それらの振動位相および/または振幅を互いに独立して設定することができ、ビームを所望の方向に操作し、所望の距離に焦点を当てることができる。超音波システムは、しばしば、トランスデューサ・アレイに一体化され、または分離された検出器の形態で供され、主に安全の目的のために集束超音波治療を監視するのに役立つ受信素子も含む。例えば、受信素子は、皮膚の火傷を避けるために除去される必要のある皮膚における気泡に起因する、トランスデューサおよび標的組織間の境界面に反射された超音波を検出するように供することができる。受信素子はまた、過熱組織におけるキャビテーション(すなわち、組織の液体中に形成される泡の崩壊に起因する空洞の形成)を検出するために使用され得る。
【0003】
標的組織を視覚化し、治療中に超音波焦点を誘導するために、磁気共鳴イメージングを使用し得る。つまり、MRIは、対象(例えば、患者)を均一な静磁場内に位置付け、組織内の水素核のスピンを整列させることを含む。次いで、適切な周波数(「共鳴周波数(resonance frequency)」)の無線周波(または高周波、もしくは無線周波数、radio-frequency、RF)電磁パルスを印加することによって、スピンを反転させて一時的にその整列を壊し、応答信号を誘導し得る。異なる組織は、異なる応答信号を生成し、MR画像におけるこれらの組織の間のコントラストをもたらす。応答信号の共振周波数および周波数は磁場強度に依存するため、磁界強度を位置に依存させるために、勾配磁場(gradient fields)を均一磁場に重ねることによって応答信号の起源および周波数を制御することができる。時間変化勾配磁場を用いることにより、組織のMRI「スキャン(scans)」を得ることができる。多くのMRIプロトコルは、2または3の互いに垂直な方向に時間依存性勾配を利用する。勾配磁場およびRFパルスの相対的な強度およびタイミングは、パルス・シーケンスで指定され、パルス・シーケンス図で図示することができる。
【0004】
時間依存磁場勾配(magnetic fields gradient)は、MRI応答信号の組織依存性と組み合わせて、例えば脳腫瘍を視覚化し、患者の頭蓋骨に対するその位置を決定するために利用され得る。ハウジングに取り付けられたトランスデューサ・アレイのような超音波トランスデューサ・システムは、患者の頭部に位置付けられる。超音波トランスデューサは、MRトラッキングコイルまたはMR画像内の標的組織に対するその位置および向きを決定することを可能にする他のマーカを含み得る。必要なトランスデューサ素子の位相および振幅の計算に基づいて、超音波を腫瘍内に集中させるように、トランスデューサ・アレイが駆動される。代替的または追加的に、超音波集束自体は、例えば、熱MRIまたは音響共振力イメージング(ARFI)のような技術を使用して視覚化し得、焦点配置のそのような測定は、焦点位置を調整するために使用し得る。これらの方法は、一般的に、超音波の磁気共鳴ガイド・フォーカシング(MRgFUS)と称される。
【0005】
さらに、MRI装置および超音波イメージング・システム(ultrasound imaging system)を組み合わせて、両方のイメージング・モダリティ(またはイメージング様式、imaging modalities)の強度を供し、それにより、正常組織および疾患組織の形態および機能に対する新規な洞察を供することができる。MRIは、その多平面イメージング能力、高い信号対ノイズ比および軟部組織形態および機能におけるわずかな変化に対する感度を持つために、診断用途および治療用途の両方に広く使用されている。一方、超音波イメージングは、高い時間分解能、音響散乱(例えば、石灰化や気泡)に対する高い感度、優れた視覚化、血流の測定、低コストおよび可搬性などの利点を有する。これらの補完的なモダリティを組み合わせる利点は、手術中の神経外科適用および乳房生検誘導において示されている。両方のモダリティを並行にイメージングすることにより、データセット間の空間的および時間的な位置合わせなどの多くの問題が単純化される。さらに、独自の生理学的パラメータの測定は、発展下における臓器または組織を十分に特徴付けるために各モダリティで行うことができる。
【0006】
しかしながら、超音波およびMRI装置の並行作動は、望ましくない干渉を招く場合がある。例えば、MRIは、集束超音波システムによって生成されるRFノイズに対して非常に高感度である(例えば、米国特許第6,735,461号参照)。逆に、集束超音波処置は、しばしば、RF励起信号および/またはMRIシステムによって生成される時変磁場勾配によって容易に乱されるRF感度動作(例えば、集束超音波による治療を伴う超音波検出)を含む。このような干渉を回避するための従来技術のアプローチは、典型的にシールディング(または遮蔽、shielding)を含む。超音波システムを干渉するMR信号からシールディングすることは、典型的に、トランスデューサおよび関連するケーブルの全体を金属シールド内に被覆または囲むことを必要とする。しかしながら、いくらかのシステムでは、音響的制約により、超音波受信素子の完全な密閉(またはカプセル化、encapsulation)が妨げられ、結果として、例えば、レシーバの前層および/またはある程度のRFノイズによるケーブルにおいて貫通が生じる。したがって、2つのシステム間の干渉を最小化または回避するために、MRgFUSアプリケーションにおける代替アプローチが必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の態様は、解剖学的領域(または解剖学的部位、もしくは身体構造における領域、anatomic region)をイメージング(または画像化、imaging)するためのMRI装置およびMRI干渉を伴わないかまたは低減させるRF感度動作(またはRF感知動作、もしくはRF感度操作、RF sensitive operations)を並行に(または同時に、simultaneously)実行するためのシステム、ならびに並行に作動させるための種々のアプローチを供する。並行作動システム(または同時作動システム、concurrently operated system)は、診断用途および治療用途を有するあらゆるシステムまたはセンサであってもよい。例えば、治療システム(例えば、フェーズド・アレイ(または位相アレイ、phased array)超音波トランスデューサ・システム)、イメージング・システム(例えば、超音波イメージング・プローブ)または信号検出センサ(例えば、超音波キャビテーション・センサ)であってもよい。種々の態様において、MRI装置が(「コールド(cold)」スキャン、すなわち治療、超音波イメージング、またはキャビテーション検出と並行に行われないスキャンを実施するために)正常に作動している間、MRI装置の励起に由来するMR干渉は、後者のシステムがアイドリング状態である場合、すなわちアクティブでないか、エネルギー(例えば、音響エネルギー)をアクティブに送らない場合に、並行作動システムに関連する信号検出センサおよび/または検出チャネルによって、最初に測定される。MR干渉は、典型的には、所望の信号に対する付加的で定常的なノイズであるため、並行作動システムによって測定される信号は、そのシステムおよびMRI装置の両方が並行にアクティブである(すなわち、「ホット(hot)」スキャンを実行する)場合に、コールド・スキャン中に測定されたMR干渉を、ホット・スキャン中に得られた測定信号から差し引くこと(または減算、subtraction)によって補正することができる。したがって、本発明の態様は、並行作動システムによって測定された信号を、MR干渉によって大きく乱されないように補正する。これは、従来技術で必要とされるRF信号をシールディングする必要性を一般的に排除する点で有利である。
【0008】
ある態様において、測定されたRF感度信号およびMR干渉を周波数領域に変換するために高速フーリエ変換(FFT)アプローチが使用される。測定された信号からのMR干渉を差し引くことは、スペクトルにおける各周波数で変換された信号に対して実行することができる。これは、並行作動システムの測定信号が位相測定値(例えば、キャビテーション測定値)に影響されず、それによってMRI装置および並行作動システムの作動を正確に同期させる必要性を回避することができる場合に、特に有用である。
【0009】
作動中に、並行作動システムが少なくとも部分的にMRIスキャンと同期される場合(すなわち、1以上の時間枠内でのみ同期される場合)、並行作動システムによって測定される信号は、時間枠内でのMR干渉を識別し(identifying)、そこからMR干渉を差し引くことによって補正されてもよい。ある態様において、MR干渉は、反復時間(time to repeat、TR)毎に擬似定常である。したがって、コールド・スキャンの間に得られたMR干渉は、単一のデータセットに低減することができる。MR干渉データの単一のセットは、例えば、単一のコールド・スキャンTR、複数のコールド・スキャンTRの間に記録されたMR干渉の平均または複数のコールド・スキャンTRの最大MR干渉に対応させることができる。このアプローチは、MRI装置およびRF感度システムの並行作動中に取得されたMR干渉および信号を表す大量のデータ量を処理する場合の複雑さを低減することができる。
【0010】
つまり、並行作動システム(例えば、フェーズド・アレイ超音波トランスデューサ・システム、超音波イメージング・プローブ、および/またはキャビテーション・センサ)を使用して領域の無線周波感度(RF感度)測定(または高周波感度測定、radio-frequency-sensitive measurement)と組み合わせて、解剖学的領域の磁気共鳴(MR)イメージングを行う方法。この方法は、MRパルスを含む第1MRスキャン・シーケンス(scan sequence)を実行するステップ、(i)RFレベルがRF感度測定を干渉するのに十分である場合に、第1MRスキャン・シーケンスの間のインターバル(interval)を検出するステップ、ならびに(ii)第1MRスキャン・シーケンスの時間範囲(または時間的な程度、temporal extent)および第1MRスキャン・シーケンスにおけるそのインターバルの時間範囲に関するRFデータを検出するステップ、第1MRスキャン・シーケンスまたは第2MRスキャン・シーケンスと共に並行作動システムを作動させるステップ、RF感度測定を記録するステップ、ならびに記録されたRF感度測定における第1MRスキャン・シーケンスまたは第2MRスキャン・シーケンスから生じる干渉を、そのインターバルの範囲外でRF感度測定のみを保持すること、または第1MRスキャンおよび第1MRスキャンの間に検出されたインターバルの時間範囲に関するRFデータを保存すること、ならびにその保存されたデータに基づいて、検出されたインターバルの範囲外の時間のみでRF感度測定を記録すること、またはそのインターバルの間にRFレベルを記録すること、および記録されたRFレベルに基づいて検出されたインターバルの間に得られた、記録されたRF感度測定を調整すること、のいずれかによって構成されるステップを含んで成ってもよい。
【0011】
オプションとして、この方法は、ヒトまたは動物の体の処置の方法でなくともよい。例えば、この方法は、処置設定の範囲外(例えば、方法のキャリブレーション(または較正、calibration)時または方法がブランクに適用される場合)で実施されてもよい。本出願を通しての本発明の方法の考察は、非治療的方法に関連してもよい。
【0012】
本発明によるRFデータは、MRスキャンの時間範囲および第1MRスキャンの間に検出されるインターバルに関する。つまり、この方法の間に生成されるRFデータは、無線周波レベルではなく、所定の閾値がRF感度測定を干渉するのに十分なレベルであり、RFレベルがその閾値を超えるMRスキャンの時およびMRスキャンの期間の長さである。
【0013】
RFデータは、方法が第2MRスキャンを含んで成る場合に保存される。保存されたRFデータは、MRスキャンのRFレベルを構成するために使用される。方法が、第1MRスキャンのみを含んで成る場合、第1MRスキャン中に検出されたインターバルの間、RF感度測定値は保持されない。つまり、RF感度測定値は、そのインターバルの間に破棄される。代わりに、RFレベルがインターバルの間に記録され、検出されたインターバルの間に得られた、記録されたRF感度測定値は、記録されたRFレベルに基づいて調整される。つまり、RF感度測定は、第1MRスキャンおよびRF感度測定を通して測定され、維持され、その後、MRスキャンによって生成されたRFレベルを構成するために後処理される。
【0014】
並行作動システムは、無線周波感度測定値を並行に測定することができ、この方法は、RF感度測定値を作成した場合にそれを記録することをさらに含んで成る。
【0015】
この方法は、インターバルの間にRFノイズのパラメータを検出すること、検出されたパラメータを記録すること、およびRFノイズの検出されたパラメータを示すデータを保存することをさらに含む。
【0016】
本発明の別の態様において、解剖学的領域の磁気共鳴(MR)イメージングを、その領域の無線周波感度(RF感度)測定と共に行うためのシステムが供される。このシステムは、解剖学的領域をイメージングするためのMRイメージング装置、RF感度測定を実行するための並行作動システム、ならびにMRイメージング装置および並行作動システムと連通するコントローラを含んで成る。コントローラは、
MRパルスを含む第1MRスキャン・シーケンスを実行するようになっており、
(i)RFレベルがRF感度測定を干渉するのに十分である場合に、第1MRスキャン・シーケンスの間のインターバルを検出し、ならびに(ii)第1MRスキャン・シーケンスの時間範囲および第1MRスキャン・シーケンスにおけるそのインターバルの時間範囲に関するRFデータを検出するようになっており、
第1MRスキャン・シーケンスまたは第2MRスキャン・シーケンスと共に並行作動システムを作動させるようになっており、
RF感度測定を記録するようになっており、ならびに
記録されたRF感度測定における第1MRスキャン・シーケンスまたは第2MRスキャン・シーケンスから生じる干渉を、
そのインターバルの範囲外でRF感度測定のみを保持すること、または
第1MRスキャンおよび第1MRスキャンの間に検出されたインターバルの時間範囲に関するRFデータを保存すること、ならびに該保存されたデータに基づいて、検出されたインターバルの範囲外の時間のみでRF感度測定を記録すること、または
そのインターバルの間にRFレベルを記録すること、および記録されたRFレベルに基づいて検出されたインターバルの間に得られた、記録されたRF感度測定を調整すること、のいずれかによって構成するようになっている。
【0017】
本発明のシステムの並行作動システムは、第1MRスキャン・シーケンス中にアイドリング状態になるように、または第1MRスキャン・シーケンスと並行に作動して無線周波感度測定値を測定するようになっていてもよい。
【0018】
並行作動システムは、無線周波感度測定値を並行に測定するようになっていてもよく、この方法は、RF感度測定が行われたときにそれを記録することをさらに含んで成る。
【0019】
コントローラは、オプションとして、インターバルの間にRFノイズのパラメータを検出し、検出したパラメータを記録し、RFノイズの検出されたパラメータを示すデータを保存するようにさらになっていてもよい。
【0020】
一態様において、本発明は、並行作動システム(例えば、フェーズド・アレイ超音波トランスデューサ・システム、超音波イメージング・プローブ、および/またはキャビテーション・センサ)を使用して、解剖学的領域の磁気共鳴(MR)イメージングを、その領域の無線周波感度(RF感度)測定と共に行う方法に関する。種々の態様において、この方法は、並行作動システムがアイドリング状態の場合、MRパルスを含むMRスキャン・シーケンスを実行するステップ、RFレベルがRF感度測定を干渉するのに十分である場合、MRスキャン・シーケンス中にインターバルを検出するステップ、MRスキャン・シーケンスの時間範囲およびそれらの間で検出されたインターバルを示すデータを保存するステップ、ならびに保存されたデータに少なくとも部分的に基づいて、スキャン・シーケンスを並行に実行し、並行作動システムを作動させるが、記録されたインターバルに対応しない時間中にのみRF感度測定値を取得するステップを含む。検出ステップは、並行作動システムおよび/または並行作動システムの外部の1以上の専用センサによって実行されてもよい。MRスキャン・シーケンスは定期的に実行されてもよく、RF感度測定は、少なくとも部分的にMRスキャン・シーケンスの少なくとも1つと同期して実行されてもよい。
【0021】
別の態様において、本発明は、解剖学的領域のMRイメージングを、その領域のRF感度測定と共に実行するためのシステムに関する。種々の態様において、システムは、解剖学的領域をイメージングするためのMRイメージング装置(RF感度測定を実行するために並行作動システム、MRイメージング装置および並行作動システムと連通するコントローラを備える装置)を含む。一態様において、コントローラは、並行作動システムがアイドリング状態の場合、MRパルスを含むMRスキャン・シーケンスを実行し、RFレベルがRF感度測定値を干渉するのに十分である場合、MRスキャン・シーケンス中のインターバルを決定し、MRスキャン・シーケンスの時間範囲およびそれらの間で検出されたインターバルを示すデータを保存し、保存されたデータに少なくとも部分的に基づいて、スキャン・シーケンスを並行に実行し、並行作動システムを作動させるが、記録されたインターバルに対応しない時間中にのみRF感度測定値を取得するようになっている。インターバルの決定は、並行作動システムおよび/または並行作動システムの外部の1以上の専用センサによって実行されてもよい。種々の態様において、コントローラは、(i)定期的にMRスキャン・シーケンスを実行し、(ii)1以上のMRスキャン・シーケンスと少なくとも部分的に同期してRF感度測定を実行するようにさらになっている。
【0022】
本発明の別の態様は、並行作動システムを使用して、解剖学的領域のMRイメージングを、その領域のRF感度測定と共に行う方法に関する。種々の態様において、この方法は、MRパルスを含むMRスキャン・シーケンスおよびRF感度測定を並行に実行するステップ、RF感度測定値が作成された場合にそれを記録するステップ、RF感度測定を干渉するのにRFレベルが十分である場合、MRスキャン・シーケンス中にインターバルを検出するステップ、ならびに検出されたインターバルの範囲外で実行されるRF感度測定のみを保持するステップを含む。検出ステップは、並行作動システムによって、および/または並行作動システムの外部の1以上の専用センサによって実行されてもよい。
【0023】
さらに別の態様において、本発明は、並行作動システムを使用して、解剖学的領域のMRイメージングを、その領域のRF感度測定と共に実施する方法に関する。種々の態様において、この方法は、MRパルスを含むMRスキャン・シーケンスを実行し、並行にRF感度測定値を得るステップ、RF感度測定値が作成された場合にそれを記録するステップ、RFレベルがRF感度測定を干渉するのに十分である場合、MRスキャン・シーケンス中にインターバルを検出するステップ、ならびに検出されたインターバルの間に検出されたRFレベルを記録するステップ、ならびに記録されたRFレベルに基づいて検出されたインターバルの間に得られた、記録されたRF感度測定値を調整するステップを含む。検出ステップは、並行作動システムによって、および/または並行作動システムの外部の1以上の専用センサによって実行されてもよい。
【0024】
本発明のさらに別の態様において、解剖学的領域のMRイメージングを、その領域のRF感度測定と共に実行するためのシステムに関する。種々の態様において、システムは、解剖学的領域をイメージングするためのMRイメージング装置、RF感度測定を実行するための並行作動システム、ならびにMRイメージング装置および並行作動システムと連通するコントローラを含む。一態様において、コントローラは、MRパルスを含むMRスキャン・シーケンスおよびRF感度測定を並行に実行し、RF感度測定値が作成された場合にそれを記録し、RFレベルがRF感度測定値を干渉するのに十分である場合、MRスキャン・シーケンスの間のインターバルを決定し、また検出されたインターバルの範囲外で実行されるRF感度測定のみを保持するようになっている。インターバルの決定は、並行作動システムによって、および/または並行作動システムの外部の1以上の専用センサによって実行されてもよい。
【0025】
別の態様において、本発明は、解剖学的領域のMRイメージングを、その領域のRF感度測定と共に実行するためのシステムに関する。ある態様において、システムは、解剖学的領域をイメージングするためのMRイメージング装置、RF感度測定を実行するための並行作動システム、ならびにMRイメージング装置および並行作動システムと連通するコントローラを含む。種々の態様において、コントローラは、MRパルスを含むMRスキャン・シーケンスを実行し、並行にRF感度測定値を取得し、RF感度測定値が作成された場合にそれを記録し、RFレベルがRF感度測定値を干渉するのに十分である場合、MRスキャン・シーケンスの間のインターバルを決定し、インターバルの間に検出されたインターバルを記録し、また記録されたRFレベルに基づいて検出されたインターバルの間に得られた、記録されたRF感度測定値を調整するようになっている。インターバルの決定は、並行作動システムによって、および/または並行作動システムの外部の1以上の専用センサによって実行されてもよい。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は、解剖学的領域のMRイメージングを、並行作動システムを使用して、その領域のRF感度測定と共に実施する方法に関する。種々の態様において、この方法は、並行作動システムがアイドリング状態である場合、MRパルスを含むMRスキャン・シーケンスを実行するステップ、RFノイズのレベルがRF感度測定を干渉するのに十分である場合、MRスキャン・シーケンスの間のインターバルを検出するステップ、インターバルの間にRFノイズのパラメータを検出するステップ、検出されたパラメータを記録するステップ、MRスキャン・シーケンスの時間範囲を示すデータならびに検出されたRFノイズのインターバルおよびその間に検出されたパラメータを保存するステップ、MRパルスを含むMRスキャン・シーケンスを実行し、並行にRF感度測定値を取得するステップ、RF感度測定値が作成された場合にそれを記録するステップ、ならびに記録されたRFレベルに基づいて検出されたインターバルの間に得られた、記録されたRF感度性測定値を調整するステップを含む。
【0027】
上記調整は、検出されたインターバルの間に得られた、記録されたRF感度測定値から記録されたRFレベルを差し引くことに対応してもよい。さらに、検出されたパラメータは、RFノイズのスペクトルであってもよく、差し引くステップは、RF感度測定ごとに、測定値に対応する信号のスペクトルを取得し、スペクトルの各周波数において、測定値に対応する信号の大きさからRFノイズの大きさを差し引くことを含んでもよい。高速フーリエ変換を使用して、時間領域信号測定(time-domain signal measurements)からスペクトルを取得してもよい。一態様において、検出されたパラメータは、あるインターバルの間のRFノイズの最大レベルであり、差し引くステップは、対応する記録されたRF感度測定値から最大RFノイズを差し引くことを含む。別の態様において、検出されたパラメータは、RFノイズの平均レベルであり、差し引くステップは、各記録されたRF感度測定値から平均RFノイズを差し引くことを含む。
【0028】
ある態様において、MRスキャン・シーケンスが定期的に実行され、RF感度測定が少なくとも部分的に1以上のMRスキャン・シーケンスと同期して実行される。さらに、この方法は、RF感度測定の時間枠を決定すること、および決定された時間枠内のRFノイズを識別することを含み、記録されたRF感度測定値の調整は、検出された時間枠の間に得られた、記録されたRF感度測定値から識別されたRFノイズを差し引くことに対応する。
【0029】
別の態様において、本発明は、解剖学的領域のMRイメージングを、その領域のRF感度測定と共に実行するためのシステムに関する。種々の態様において、システムは、解剖学的領域をイメージングするためのMRイメージング装置、RF感度測定を実行するための並行作動システム、ならびにMRイメージング装置および並行作動システムと連通するコントローラを含む。一態様において、コントローラは、並行作動システムがアイドリング状態の場合、MRパルスを含むMRスキャン・シーケンスを実行し、RFノイズのレベルがRF感度測定を干渉するのに十分である場合、MRスキャン・シーケンス中のインターバルを決定し、インターバルの間のRFノイズのパラメータを決定し、決定したパラメータを記録し、MRスキャン・シーケンスの時間範囲を示すデータならびに検出されたRFノイズのインターバルおよびその間に検出されたパラメータを保存し、MRパルスを含むMRスキャン・シーケンスを実行し、並行にRF感度測定値を取得し、RF感度測定値が作成された場合にそれを記録し、ならびに記録されたRFレベルに基づいて検出されたインターバルの間に得られた、記録されたRF感度性測定値を調整するようになっている。
【0030】
上記調整は、検出されたインターバルの間に得られた、記録されたRF感度測定値から記録されたRFレベルを差し引くことに対応してもよい。さらに、検出されたパラメータは、RFノイズのスペクトルであってもよく、コントローラは、RF感度測定ごとに、測定に対応する信号のスペクトルを取得し、スペクトルの各周波数において、測定に対応する信号の大きさからRFノイズの大きさを差し引くようになっている。高速フーリエ変換を使用して時間領域信号測定からスペクトルを取得してもよい。一態様において、検出されたパラメータは、インターバルの間のRFノイズの最大レベルであり、コントローラはさらに、対応する記録されたRF感度測定値から最大RFノイズを差し引くようになっている。別の態様において、検出されたパラメータは、RFノイズの平均レベルであり、コントローラはさらに、各記録されたRF感度測定値から平均RFノイズを差し引くようになっている。
【0031】
種々の態様において、コントローラはさらに、(i)MRスキャン・シーケンスを定期的に実行し、(ii)1以上のMRスキャン・シーケンスと少なくとも部分的に同期してRF感度測定を実行するようになっている。さらに、コントローラは、RF感度測定の時間枠を決定し、決定された時間枠内のRFノイズを識別するようになっており、記録されたRF感度測定値の調整は、検出された時間枠の間に得られた、記録されたRF感度測定値から識別されたRFノイズを差し引くことに対応する。
【0032】
本明細書で使用する「おおよそ(approximately、またはroughly)」、および「実質的に(substantially)」という用語は、約10%を意味し、ある態様において約5%を意味する。本明細書を通して、「一例(one example、またはan example)」、「一態様(one embodiment、またはan embodiment)」とは、例に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、現在の技術の少なくとも一例を含むことを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「一例において(in one example、またはin an example)」、「一態様(one embodiment、またはan embodiment)」という語句は必ずしもすべて同じ例を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップ、または特性は、技術の1以上の例において、あらゆる適切な方法で組み合わせてもよい。本明細書で供される見出しは、便宜上のものであり、請求される技術の範囲または意味を限定または解釈することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図面において、同様の参照符号は、概して、異なる図を通して同じ部分を指す。また、図面は必ずしも原寸に比例するものではなく、その代わりに本発明の原理を例示することに重点が置かれている。以下の記載では、本発明の種々の態様を以下の図面を参照して記載する。
【0034】
【
図1A】
図1Aは、本発明の種々の態様による、例示的なMRIシステムを模式的に示す。
【
図1B】
図1Bは、本発明の種々の態様による、MRIシステムと並行に作動する例示的なシステム(例えば、集束超音波システム)を模式的に示す。
【
図2】
図2は、本発明の種々の態様による、MRI装置および並行作動システム間の相互作用を模式的に示す図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の種々の態様による、並行作動システムによって実行される例示的なMRIプロトコルおよび検出期間を示すパルス・シーケンス図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の種々の態様による、いくらかの個々のMRレシーバ/センサによって検出されたアクティブ勾配時間(active-gradient times)の合計に基づいて決定されたMR勾配アクティブ期間を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の種々の態様による、MRI干渉を低減または排除したRF感度信号を測定するための種々のアプローチを示す。
【
図4B】
図4Bは、本発明の種々の態様による、MRI干渉を低減または排除したRF感度信号を測定するための種々のアプローチを示す。
【
図4C】
図4Cは、本発明の種々の態様による、MRI干渉を低減または排除したRF感度信号を測定するための種々のアプローチを示す。
【
図4D】
図4Dは、本発明の種々の態様による、MRI干渉を低減または排除したRF感度信号を測定するための種々のアプローチを示す。
【
図4E】
図4Eは、本発明の種々の態様による、MRI干渉を低減または排除したRF感度信号を測定するための種々のアプローチを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1Aは、例示的なMRI装置102を示す。装置102は、電磁石104のボア106内に必要な静磁場を生成するシリンダー状電磁石104を含んでもよい。医療処置中、患者は、可動支持テーブル108におけるボア106の内側に位置付けられる。患者内の対象領域110(例えば、患者の頭部)は、電磁石104が実質的に均一な場を生成するイメージング領域112内に位置付けられてもよい。1組のシリンダー状勾配磁場コイル(またはグラディエント・コイル、gradient coils)113を、ボア106内に設けて、患者を取り囲むようにしてもよい。勾配磁場コイル113は、所定の大きさ、所定の時間および互いに直交する3方向の磁場勾配を発生する。磁場勾配により、異なる空間位置が異なる歳差運動周波数に関連し、それによりMR画像にその空間解像度を与えることができる。イメージング領域112を取り囲むRFトランスミッタ・コイル114は、患者の組織に磁気共鳴(MR)応答信号を放射させるために、イメージング領域112にRFパルスを放射する。未処理のMR応答信号は、RFコイル114によって感知され、MRコントローラ116に移され、次いで、MR画像がユーザーに表示される。あるいは、別個のMRトランスミッタ・コイルおよびレシーバ・コイルを使用してもよい。MRI装置102を使用して取得された画像は、従来のX線技術で視覚化することができない患者の解剖学的構造の異なる組織および詳細な内部視野間の視覚的コントラストを放射線医師および医師に供することができる。
【0036】
MRIコントローラ116は、パルス・シーケンス(すなわち、磁場勾配およびRF励起パルスおよび応答検出期間の相対的なタイミングおよび強度)を制御してもよい。MR応答信号は、画像処理システムを使用して増幅され、調整され、未処理のデータにデジタル化され、さらに、当業者に既知の方法によって画像データのアレイに変換される。画像データに基づいて、治療領域(例えば、腫瘍)が同定される。画像処理システムは、MRIコントローラ116の一部であってもよいし、MRIコントローラ116と連通する別個のデバイス(例えば、画像処理ソフトウェアを含む汎用コンピュータ)であってもよい。ある態様において、1以上の超音波システム120または1以上のセンサ122が、以下にさらに記載するように、MRI装置102のボア106内で変位する(displaced)。
【0037】
図1Bは、本発明の態様によるMRIシステム102と並行に作動する例示的なシステム150(例えば、超音波システム)を示すが、MRIシステム102に干渉する可能性がある類似または異なる機能を有する代替の並行作動システムも本発明の範囲内である。図示するように、超音波システムは、ハウジング154の表面にアレイ153で配置された複数の超音波トランスデューサ素子152を含む。アレイは、トランスデューサ素子152の単一の行またはマトリクスを含んで成ってもよい。別の態様において、トランスデューサ素子152は、調整なしに配置されてもよく、すなわち、規則的に位置づけられる必要はなく、規則的なパターンで配置される必要もない。アレイは、図示するように湾曲した(例えば、球状または放物線状の)形状を有してもよく、または1以上の平面または他の形状の部分を含んでもよい。その寸法は、用途に応じて、ミリメートルおよび数十センチメートルの間で変化してもよい。トランスデューサ素子152は、圧電セラミック素子であってもよい。圧電複合材、または一般的に、電気エネルギーを音響エネルギーに変換することができるあらゆる材料を使用してもよい。素子152間の機械的結合を減衰させる(または弱める、dump)ために、これらは、シリコーンゴムまたは他の適切な減衰材を使用してハウジング154に取り付けてもよい。
【0038】
トランスデューサ素子152は、別個に制御可能である(すなわち、それらはそれぞれ、他のトランスデューサの振幅および/または位相とは独立した振幅および/または位相で超音波を放射することができる)。トランスデューサ素子152を駆動するためのトランスデューサ・コントローラ156が供される。nトランスデューサ素子の場合、コントローラ156は、振幅および位相遅延回路を含むn制御回路を含んでもよく、それぞれの制御回路がトランスデューサ素子の1つを駆動する。コントローラ156は、典型的には0.1MHz〜4MHzの範囲のRF入力信号を、n制御回路用のnチャネルに分割してもよい。アレイの個々のトランスデューサ素子152を同じ周波数で駆動するようにしてもよいが、集束超音波ビームを集中的に生成するように異なる位相および振幅で駆動するようにしてもよい。トランスデューサ・コントローラ156は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ハードワイヤリング、またはそれらの任意の組合せで実装され、所望の焦点位置のために必要な位相および振幅を計算する計算機能を供することが望ましい。一般的に、コントローラ156は、いくらかの分離可能な装置(例えば、周波数発生機、増幅および位相遅延回路を含むビーム形成機、および計算を実行し、個々のトランスデューサ素子152のために位相および振幅をビーム形成機に送るコンピュータ(例えば、汎用コンピュータ))を含んでもよい。そのようなシステムは、容易に入手可能であるか、過度の実験をすることなく実施することができる。
【0039】
超音波イメージングを実行するために、コントローラ156は、トランスデューサ素子152を駆動して、イメージングされる領域に音響信号を送信し、患者の体内の種々の構造および器官からの反射信号を受信する。各トランスデューサ素子152に印加されるパルスを適切に遅延させることによって、集束超音波ビームを所望のスキャン・ラインに沿って伝送することができる。患者の体内の所与の点から反射された音響信号は、異なる時間にトランスデューサ素子152によって受信される。次いで、トランスデューサ素子は、受信した音響信号を電気信号に変換し、電気信号がビーム形成機に供給される。各トランスデューサ素子152からの遅延信号は、ビーム形成機によってまとめられ、所与のスキャン・ラインに沿った反射エネルギーレベルの表示であるスキャナ信号を供する。このプロセスは、患者の体の所定の領域の画像を生成するための信号を供するために、複数のスキャン・ラインに対して繰り返される。典型的には、スキャン・パターンはセクタ・スキャンであり、スキャン・ラインは超音波トランスデューサの中心で始まり、異なる角度に向けられる。線形、曲線またはあらゆる他のスキャン・パターンを利用することもできる。
【0040】
種々の態様において、集束超音波処置の間に伝播する超音波によって生成される負圧に起因する応力により、および/または加熱された液体が破裂してガス/蒸気で満たされたときに生じる応力により、組織に含まれる液体中に小さな気泡(すなわち、「マイクロ・バブル(micro-bubbles)」)が生成される。一方で、マイクロ・バブルは、有利な治療効果を有する。つまり、元の波エネルギーの高調波周波数を生成することにより、組織内のエネルギー吸収を増加させることができる。一方で、相対的に高い割合のマイクロ・バブルを含む組織と超音波エネルギーの継続適用との反応は非線形であり、予測することが困難である。例えば、マイクロ・バブルは、音響場から加えられた応力のために崩壊することがある。「キャビテーション(cavitation)」と呼ばれるこのメカニズムは、対象とする組織を超えて広範な組織損傷を引き起こす可能性がある。したがって、音響波が印加された場合の対象組織内のマイクロ・バブルを監視するために、種々の態様において、並行作動システム150は、1以上の超音波キャビテーション・センサ158を含む。キャビテーション・センサ158は、外部に印加される音響場によって駆動されたときの体積の変化によるマイクロ・バブルによって放射される音響放射を検出する。検出された音響放射のスペクトル特性を分析することによって、キャビテーション・プロセスのダイナミクスに関する詳細な情報を得ることができる。マイクロ・バブルによって放射された音響信号はRF範囲にあるため、RF励起信号および/またはMRIシステム102によって生成される時変磁場勾配によって容易に乱される。したがって、キャビテーション信号を検出する際のMR干渉を排除/回避することも重要である。
【0041】
並行作動システム150(例えば、超音波システムおよび/またはキャビテーション・センサ)は、MRI装置102のボア106内に設けられてもよく、またはMRI装置102の近傍に位置付けられてもよい。例えば、並行作動システム150およびMRI装置102の相対的な位置を決定するのを補助するために、並行作動システム150は、それに関連するMRトラッカー160をさらに含み、システム150に関連する位置および向きの固定位置に配置される。トラッカー160は、例えば、並行作動システムのハウジングに組み込まれてもよく、または取り付けられてもよい。MRトラッカー160および並行作動システム150の相対的な位置および向きが分かっている場合、MRトラッカー160のMRスキャンは、MRI座標(すなわち、MRI装置102の座標系)における並行作動システム150の位置を暗示的に明らかにする。
【0042】
図1Aおよび
図1Bに示すように、MRI装置102および並行作動システム150を含む組み合わされたシステムは、解剖学的対象領域をイメージングし、超音波信号を検出することができる。組み合わされたシステムは、治療目的および/または安全目的のために超音波の適用を監視するのに役立ち得る。例えば、超音波ビーム経路と交差する組織界面からの超音波反射を分析して、治療プロトコルの調整によって必要に応じて、そのような界面が不注意に過熱されないことを確保することができる。さらに、受信されたキャビテーション・スペクトルの測定は、超音波エネルギーと水分を含む組織との相互作用から生じるキャビテーションを検出するために使用されてもよい。さらに、組織および標的の視覚化は、例えば、移動する標的の追跡を容易にするために、超音波イメージングによって補うことができる。超音波検出は超音波トランスデューサ・アレイ153を用いて達成し得る。例えば、治療期間およびイメージング期間をインターリーブ(または交互配置、interleave)してもよく、またはアレイ153の連続部分またはトランスデューサ素子152の不連続なサブセットをイメージング専用にしてもよく、一方でアレイ153の残りの部分は治療目的のために超音波を集中させる。あるいは、例えば単純な超音波プローブまたは素子のアレイであってもよい別個の超音波レシーバ172を設けてもよい。別個のレシーバ172は、超音波トランスデューサ・アレイ153の近傍に位置付けられてもよく、またはそのハウジング154に一体化されてもよい。さらに、レシーバ172は、MRI装置102のボア106内に設けられてもよく、その近傍に位置付けられてもよい。
【0043】
図2は、本発明の種々の態様による、MRI装置200および並行作動システム202(例えば、フェーズド・アレイ超音波トランスデューサ・システム204、超音波イメージング・プローブ206、またはキャビテーション・センサ208)の間の相互作用を模式的に示す。MRI装置200は、イメージングされる組織にわたって時間変化する磁場勾配を生成するためのRFトランスミッタ・コイル(またはRF送信コイル、RF transmitter coils)210および勾配磁場コイル212を含む。トランスミッタ・コイルおよび勾配磁場コイルの両方の放射がRF範囲に入り、超音波治療/イメージング処理および/またはキャビテーション検出(または、他の並行に実行されるRF感度動作)を潜在的に乱す可能性がある。MRIトランスミッタ・コイル210は、約50MHzから約150MHzの範囲の周波数を有する電磁パルスを生成してスピン反転を誘発する。勾配磁場コイル212によって生成される勾配は、典型的には、kHzまたはMHz周波数で更新され、逐次更新の間、実質的に一定である。例えば、勾配値(すなわち、勾配磁場の磁場強度)は、4マイクロ秒ごとに新しい電流を印加することによって250kHzのサンプリングレートでデジタル制御されてもよい。これらの小さな制御ステップは、主にサンプリング周波数(すなわち、一例では250kHz)およびその高調波(すなわち500kHz、750kHzなど)でRFノイズを発生させる。勾配値のステップは、通常、傾きが電流ステップ(current step)に比例する、制御されたランプ(ramp)によって実施される。その結果生じるRFノイズは、一般的に電流ステップにも比例する。しかしながら、名目上静的な勾配の間でさえ、制御ステップが存在し、あるレベルのRFノイズを(傾斜の間に生成されるよりかなり小さいが)生じる。つまり、ゼロでない静的勾配は、動的勾配よりも静止しているが、完全に静止していない。
【0044】
超音波イメージングおよび音響反射キャビテーション・スペクトルの測定は、一般的に、関連性の低い信号電圧(例えば、5mVの範囲以下の電圧)を有する。これらの測定の間、超音波レシーバ(「リスニング」モードで作動するトランスデューサ・アレイ153、または別個の専用レシーバ・デバイス172であってもよい超音波レシーバ)および/またはキャビテーション・センサ208は、音響信号を電気RF信号に変換し得る。このような信号は、MRI装置200からのRF干渉によっても生成され、望ましくない信号成分を生じることがある。検出された信号は、一般的に、例えば集束超音波アブレーション・パルスよりも低いパワーを有するため、これらの摂動(perturbation)に特に高感度である。
【0045】
図3Aは、典型的なMR勾配エコーパルス・シーケンスについて、エコー時間(TE)で生じる、RF励起パルス302、3方向における磁場勾配304、306、308およびMR応答信号310の相対的なタイミングを示すパルス・シーケンス図を示す。シーケンスは定期的に繰り返されてもよく、この期間は、繰返し時間TRとして示され、例えば、20〜30msの範囲内であってもよい。
図3はさらに、並行作動システムの作動が実行され得るタイミングおよび期間を示す。ある態様において、並行作動システムの作動がRFの乱れ(disturbances)に対して特に高感度でない場合(例えば、罹患組織を切除するための集束超音波放射を実行する場合)、それらは、MRI勾配がアクティブである間の期間312を含むあらゆる時点で実行することができる。しかし、並行作動システムがRF感度である場合、MRIシステムの勾配アイドリング時間(gradient idle times)(または、「静止時間(quiet time)」、すなわち、磁場勾配またはその時間変化が実質的に変化しない、および/またはRF信号が励起されない時間インターバル)314の間に検出が実行される。つまり、MRIシステム200および並行作動システム202の作動は、MRコントローラ214によって計算され、制御されるMRIパルス・シーケンスに基づいて同期される。例えば、MRアイドリング時間314の間、MRI装置200は、同期信号を並行作動システム202のコントローラ216に送信し、次いで、スペクトル測定および/または他のRF感度動作を実行することができる。
【0046】
あるいは、外部制御機構を介して同期を行ってもよい。例えば、再び
図2を参照して、並行作動システム202および/または外部コントローラ218のコントローラ・モジュール216は、MRI装置200から発生するRF信号の測定値に基づいて、RF感度動作のタイミングを、直接またはMRコントローラ214を介して制御し得る。例えば、外部コントローラ218は、それぞれが個々のコントローラを含むMRIおよび並行作動システムと連通してもよい。外部コントローラ218は、例えば、勾配が静止している間の時間インターバルを特定するMRIパルス・シーケンスについて受信した情報に基づいて、勾配磁場アクティビティが静止しているときを決定する制御モジュール222を含んでもよい。制御モジュール222はまた、MRコントローラ214に制御信号を送信し、静止時間を生成するためにシーケンスの終わりにMRI動作を停止し得る。制御モジュール222は、勾配アイドリング時間を、RF感度測定作動を開始させるトリガー・モジュール224に通信してもよい。コントローラ216、218は、例えば、フェーズド・アレイ超音波トランスデューサ・システム204または超音波イメージング・プローブ206に関連する1以上のRFレシーバ(例えば、超音波チャネル)220と連通し、および/または勾配アイドリング時間314の間、RF感度信号測定を実行するための1以上の別個の専用RFセンサ208によって連通する。ある態様において、MRコントローラ214および並行作動システム202のコントローラ216は、同期信号またはクロック信号を装置200,202の両方に並行に送る単一の制御モジュールに一体化されるか、またはRFトランスミッタ・コイル210、勾配磁場コイル212、および並行作動システム202を直接制御してもよい。
【0047】
種々の態様において、MRIシステム200の勾配アイドリング時間314は、フェーズド・アレイ超音波トランスデューサ・システム204または超音波画像プローブ206に関連するRFレシーバ220によって、および/または別個の専用RFセンサ208によって測定された信号に基づいて決定される。一態様において、MRIシステム200は、並行作動システム202がアイドリングしている間、基準動作を実行するために作動している。すなわち、並行作動システム202が非アクティブであるか、または少なくとも1のその機能(例えば、音波の放射)を実行しないが、送信された信号を検出することができる(このプロセスは「コールド」スキャンと称される)。したがって、RF信号がRFレシーバ220および/またはRFセンサ208によって検出され得る期間は、勾配アクティブ時間(gradient-active times)として定義され、一方、検出されたRF信号が閾値未満である期間は、勾配アイドリング時間として定義される。閾値は、RF感度動作を干渉するレベルであってもよい。勾配アクティブ時間および勾配アイドリング時間は、スキャンの期間またはその反復部分に対して定義される。したがって、パルス・シーケンスが繰り返されるので、MRIパルス・シーケンスの勾配アクティブ時間および勾配アイドリング時間のインターバルは、RFレシーバ220および/またはRFセンサ208の測定値に基づいて「学習(learned)」され得る。一態様において、学習された勾配アクティブ時間および勾配アイドリング時間のインターバルは、あらゆるタイプの揮発性または不揮発性(例えば、フラッシュ)メモリとして実装され得るコンピュータメモリに保存される。次いで、並行作動システム202のアクティビティは、メモリから読み込んだ(retrieved)、保存されたMRIパルス・シーケンスに基づいて、MRIシステム200に同期させてもよい。このアプローチは、RF感度動作が実行されるたびにMRI勾配アクティブ時間および勾配アイドリング時間のインターバルを確保するように、MRI装置200から発するRF信号をリアルタイムで測定する必要なしに、その後の(または新しい)MRIパルス・シーケンスにおけるMRIスキャンと並行にRF感度動作を実行することを可能にする。
【0048】
専用センサ208は、MR電磁干渉(MR electromagnetic interference)に高感度であるが、並行作動システム202から生じる測定信号には高感度でないワイヤループまたはソレノイドで作られてもよい。MR電磁干渉センサ208は、各軸に沿った勾配に対して高感度であるが、MRスキャン中にRF感度測定を実行するために並行作動システム202に干渉しない配置において、MRボア106の内側に位置付けることができる。再び、MRI装置200の作動から生じる測定されたRFの乱れに基づいて、RF感度動作のための静止時間(または勾配アイドリング時間)を確保し、勾配アクティブ期間(またはMRアクティブ期間)の間に非RF感度動作を実行するように、MRI装置200および並行作動システム202は、同期される。
【0049】
図3Bを参照して、複数のレシーバ220および/またはセンサ208がRF信号を測定するために並行に使用される場合、各レシーバ220および/またはセンサ208は、異なる振幅および/または位相でRFの乱れを検出し得る。一態様において、MR勾配アクティブ期間は、個々のレシーバ220および/またはセンサ208の少なくともいくらかによって検出されたアクティブ勾配時間の和(すなわち、ユニオン)として定義される。すなわち、MRIパルス・シーケンスが、コントローラ216に利用可能でない場合、それは学習することができる。
【0050】
ある態様において、MRIシーケンスは、完了後に作動を停止し、MR感度動作は、1のシーケンスの終了後、次のシーケンスの開始前に実行される。次のシーケンスは、自動的に開始してもよいし、外部制御信号によってトリガー(または開始、trigger)されてもよい。並行作動システム202は、(例えば、専用レシーバ/センサを使用してMRI装置によって生成されたRF信号を測定することによって)シーケンスの終了を識別し、RF感度測定を実行し、次いで、トリガー・コマンドをRF感度測定の完了を示すMRI装置に送る。次いで、MRI装置200は、次のシーケンスを実行し得る。この遅延は、連続するシーケンスの間に生じてもよく、またはアプリケーションに応じて、RF感度動作が実行される前に、MRIシーケンスが1回以上繰り返されるように、延期されてもよく、時間をずらしてもよい(すなわち、1以上のシーケンス遷移がスキップされる)。このシステムは、特定のMRI処置後にのみ(例えば、熱画像シーケンスの後にのみ)、RF感度測定を実行するようにプログラムされてもよい。外部制御は、一般的に、タイミングのあったMRイメージングおよびRF感度測定では、高度の柔軟性を供し、それにより、全体の処理における時間効率を改善する。
【0051】
一般的に、上記のMRI装置および/または並行作動システムを同期するための機能は、MRIのコントローラおよび/または並行作動システムと一体化されているか、または別個の外部コントローラによって供されているかどうかにかかわらず、ハードウェア、ソフトウェアまたはその両方の組合せで実施される1以上のモジュールで構成されてもよい。機能が1以上のソフトウェア・プログラムとして供される態様では、プログラムは、FORTRAN、PASCAL、JAVA、C、C++、C#、BASIC、様々なスクリプト言語および/またはHTMLなどのいくらかの高レベル言語のいずれかで書かれてもよい。さらに、ソフトウェアは、対象コンピュータに存するマイクロプロセッサに向けられたアセンブリ言語で実装することができる。例えば、ソフトウェアが、IBM PCまたはPCクローンにおいて動作するように構成されている場合、インテル80x86アセンブリ言語で実装してもよい。ソフトウェアは、限定されないが、フロッピー(登録商標)ディスク、ジャンプドライブ、ハードディスク、光ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、EEPROM、フィールド−プログラマブル・ゲートアレイまたはCD−ROMを含む製品で具体的に表現されてもよい。ハードウェア回路を使用する態様は、例えば、1以上のFPGA、CPLDまたはASICプロセッサを使用して実装してもよい。
【0052】
図4Aは、上記のような「コールド」スキャンを必要としない学習手順を示す。代わりに、並行作動システム202は、MR勾配アクティブ期間(すなわち、「ホット・スキャン」)中にRF感度測定を実行する。測定された信号402は、MR電磁干渉を含む。一態様において、MRIおよび並行作動システムの両方が、ホット・スキャン中にアクティブである間に、専用センサ208は、別個にかつ並行にMR干渉404を検出する。専用センサ208は、MRI動作から生じるMR電磁干渉に高感度であるが、並行作動システム202からの測定信号には高感度でないため、専用センサ208を使用して検出された信号を使用して、MR勾配アクティブ期間がコントローラ216に予め分かっていない場合に、それを規定することができる。上記のように、検出されたRF信号が閾値を超える間の期間は、勾配アクティブ時間として定義され、一方、検出されたRF信号が閾値未満である間の期間は、勾配アイドリング時間として定義される。したがって、並行作動システム202を使用して実行されるRF感度測定は、アクティビティ勾配期間に対応する時間インターバルの間に測定されたデータを破棄することによって補正することができ、それらは専用センサ208の測定値に基づいて学習される。
【0053】
別の態様において、並行作動システム202によって測定された信号は、以下でさらに記載する信号補正手順によって補正される。また、
図4Bおよび
図4Cは、MRI装置200および並行作動システム202が並行に作動することを可能にする信号補正手順410を示す(すなわち、MRI装置200はMRI画像を取得し、並行作動システム202はRF感度測定を実行する)。第1ステップ412において、並行作動システム202は、最初にアイドリングモードに設定される(すなわち、電源はオン状態であるが、エネルギーを送るために起動されていない)。例えば、並行作動システム202が、集束超音波システムである場合、超音波チャネルはアクティブに音波を送るように駆動されず、超音波チャネルはアイドリングモードで音響信号を受ける準備ができている。第2ステップ414において、MRI装置200は、通常の処理(すなわち患者の組織にMR応答信号を放射させるように、磁場勾配およびRF励起パルスのパルス・シーケンスをイメージング領域に放射すること)によって活性化され、動作する。上記のように、このステップは、MRスキャン中に並行作動システムが非アクティブであるため、「コールド」スキャンである。第3ステップ416において、MRI装置200の起動から生じるMR干渉418は、並行作動システム202に関連する検出チャネルおよび/またはセンサ(例えば、キャビテーション・センサ)によって測定される。測定されたMR干渉は、あらゆるタイプの揮発性または不揮発性(例えば、フラッシュ)メモリとして実施されるコンピュータメモリに保存されてもよい。第4ステップ420では、MRI装置200および並行作動システム202の両方が並行に起動され(すなわち、「ホット」スキャン)、検出チャネルおよび/またはセンサが、そこに送信された信号422を受信する。MRI干渉418は、典型的には、測定された信号に関する付加的で定常的なノイズであるため、コールド・スキャンの間に学習された干渉MRパルスの時間的配置に基づいて、(第5のステップ424において)並行作動システム202によって検出された信号422は、ホット・スキャン中に得られた検出信号422からコールド・スキャン中に測定されたMRI干渉を差し引くことによって、補正することができる。したがって、このアプローチは、MRI起因の干渉がない(または少なくとも制限される)並行作動システム202によって測定された所望の信号に対して効果的な補正426を供する。
【0054】
図4Dを参照して、並行作動システム202は、繰返し時間TR430よりも短い期間428で起動してもよい。例えば、繰返し時間TRが20〜30msの範囲である間、キャビテーション測定時間は1msのオーダとしてもよい。したがって、キャビテーション(または他の)測定値428は、TR430と同期し得ない。連続する測定枠432、434は、各TRおよび/または連続するTR内の異なるインターバルの間に発生させることができる。一態様において、異なる時間枠中に測定されたキャビテーション信号(または他の信号)を補正するために、TRノイズ・プロファイル436が先に記載したようなコールド・スキャンを使用して最初に設定される(または確立される、established)。MRノイズはTR持続時間全体にわたって変化するので、TRノイズ・プロファイル436は、TR中の時間関数である全体的なMR干渉強度を追跡することを可能にする。並行作動システム202が、ホット・スキャン中にキャビテーション(または他のRF感度)測定438を実行するように起動すると、並行作動コントローラ216は、RF感度測定に関連する時間枠440a〜440gを決定し、続いて設定されたTRノイズ・プロファイル436を使用して、特定の測定枠におけるMR干渉レベルを識別することができる。したがって、測定された信号は、そこから識別されたMR干渉ノイズを差し引くことによって補正することができる。さらに、MR干渉は、勾配振幅で符号化された位相のみがTR間で変更されるように、各シーケンス反復(または反復時間(TR))に対して擬似定常的であってもよい。ある態様において、コールド・スキャンの間に得られたMRI干渉は、例えば、単一のコールド・スキャンTR、複数のコールド・スキャンTRにおけるMR干渉の平均、または複数のコールド・スキャンTRにおける最大のMR干渉から得られる単一のデータセットに低減される。このアプローチは、MRI装置および並行作動システムの並行作動中に取得される信号の大量のデータ量を処理する場合の複雑さを有利に低減し得る。
【0055】
図4Bおよび
図4Cに示す信号補正手順は、
図4Aに示すように、MR勾配アクティブ期間の学習手順と組み合わせてもよい。例えば、各MRシーケンスの終わりに、並行作動システム202のコントローラ216は、
図4Aに記載されているようなアクティブ勾配期間中に測定されたデータを破棄することによって、ホット・スキャン中に測定されたRF感度信号を修正してもよい。しかしながら、廃棄されたデータが閾値(例えば、取得されたデータの30%)を超える場合、
図4Bおよび
図4Cに示すように、コントローラ216は、信号補正手順(すなわち、コールド・スキャン中に測定されたMR干渉を、ホット・スキャン中に得られた、測定されたRF感度信号から差し引くこと)を開始し得、またはその後のMRシーケンスにおけるMR干渉の測定された大きさに基づいて、RF感度測定値を調整し得る。別の例では、コントローラ216は、受信したRF感度信号からMR干渉をリアルタイムで差し引き得る。しかしながら、コントローラ216は、コールド・スキャン中に得られたMRノイズが、信頼できないRF感度測定値をもたらす可能性がある閾値を超えると判断した場合、コントローラ216は、再び、高ノイズ時間の期間中に測定されたRF感度測定値を破棄し、または拒絶し得る。
【0056】
図4Eを参照すると、種々の態様において、コールド・スキャン中に測定されたMR干渉ノイズおよびホット・スキャン中に測定された信号は、例えば高速フーリエ変換(FFT)を使用する周波数領域で信号448、450にそれぞれ変換される(
図4Bにそれぞれ示される、ステップ442および444)。測定された信号450からMRI干渉ノイズ448を差し引くことは、スペクトルにおける各周波数で変換された信号の大きさを直接差し引くことによって実行することができる。これは、並行作動システムの測定された信号が、位相測定値(例えば、集束超音波におけるキャビテーション測定値)に影響されず、MRIスキャンおよび並行作動システムの作動を正確に同期させる必要性を回避する場合に、特に有用である。
【0057】
ある態様において、上記した同期および補正アプローチは、シールディング、信号フィルタリング、および/または処理と共に使用される。例えば、同期アプローチがシールディングと組み合わされる場合、一般的に、使用されるシールディングの量および許容可能な最大ノイズの間にトレードオフが存在する。シールディングが少ないほど、MRIシステムおよび超音波システム(または他の並行作動システム)の間の望ましくない干渉を避けるために、より静止した勾配が必要となる。信号補正アプローチをシールディングと組み合わせると、より多くのシールディングが使用されるほど、補正が少なくて済む。シールディングによるノイズ低減は、使用される特定の材料(例えば、鉄、銅、またはニッケル)ならびに対象の周波数範囲に依存し、また文献において利用し得る吸収係数および反射係数のグラフおよび表に基づいて、容易に確認することができる。例えば、約1MHzの周波数では、厚さ3mmの鉄シールドは、ノイズを約100dB低減する。所与の(システムの信号フィルタリング能力および信号処理能力に依存する)最大許容ノイズレベルに対して、最大許容勾配は、シールディングによって達成されるノイズ低減に基づいて計算することができる。
【0058】
超音波トランスデューサ・システムおよび他の特定の詳細を参照して本発明を記載したが、そのような詳細は、本発明の範囲に対する限定としてみなされるべきではない。例えば、RF感度動作を含む集束超音波療以外の治療モダリティとMRイメージングを同期させるためのシステムおよび方法も、本発明の範囲内に含まれる。さらに、「MR干渉(MR interference)」、「MR干渉ノイズ(MR interference noise)」、「MRノイズ(MR noise)」、「RFノイズ(RF noise)」および「RF干渉(RF disturbance)」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。さらに、本明細書に記載された種々の態様の特徴は、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、必ずしも相互に排他的ではなく、種々の組み合わせおよび順列で存在することが(そのような組合せまたは順列が本明細書で明示されていなくても)できることを理解されたい。実際には、本明細書に記載されているものの変形、修正および他の実装が、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく当業者に想到されるであろう。