【課題を解決するための手段】
【0037】
これらの目的ならびに以下で明らかとなる他の目的は、注文準備用システムにおいて、明確に区別された2つの収納棚に一体化された2本の縦材と、前記収納棚のうちの少なくとも1つの中で一注文の目的物を取り出すことを目的とする、少なくとも2つの転動ホイールを有する自動誘導式台車、および前記台車が前記縦材に沿って上昇できるように前記縦材と協働することのできる動力式クライミング手段と、を含むシステムであって、
前記クライミング手段が、前記2つの縦材のうちの一方と各々協働することを目的とするほぼ平行な軸の2つの刻み目付きベルトおよび/または2つの歯付きホイールを含み、歯付きホイールの軸および/または前記刻み目付きベルトを駆動する滑車の軸は転動ホイールの軸に直交しており、
前記縦材の各々は、前記縦材の長手方向軸に対してほぼ垂直に延在し、この縦材と協働する前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトの歯を収容することを目的とし、かつ前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトのピッチの値だけ間隔取りされている、複数の切込みを有しており、
歯付きホイールまたは刻み目付きベルトの各々は、2つの位置すなわち、
− 支持体上に組付けられた前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトの少なくとも一部分がシャーシの列の外で横方向に突出している展開位置と、
− 前記支持体上に組付けられた歯付きホイールまたは刻み目付きベルトが前記シャーシと対面している引込位置と、
の間で、前記台車の前記シャーシとの関係において可動である支持体の上に組付けられている注文準備用システムを用いて達成される。
【0038】
したがって、本発明は、収納棚内の注文された目的物を取り出し、これらの目的物をオペレータが段ボール箱に入れる注文準備用区域まで輸送する少なくとも1つの自動誘導式台車によって、注文された商品の段ボール箱への梱包作業のみに人間の介入を限定することのできるシステムに関する。
【0039】
この台車は有利には、収納棚に対面して、または縦材が収納棚上に固定されているかまたは収納棚に統合されている場合にはこの収納棚に沿って上昇する目的で縦材上をよじ登れるように、すなわちしがみつきながら登るように構成されている。
【0040】
その上、クライミング手段は、台車がその上昇または下降の際に1つまたは複数の縦材と常時嵌合状態にとどまることができるようにし台車をほぼ水平に維持することができ、こうして、台車が担持するトレーまたは目的物の落下を防止することができる。
【0041】
2つの可動支持体はさらに、可動支持体が引込められているときに2つの縦材の間を台車が滑動することができるようにし、次に可動支持体を展開させて縦材に沿ってよじ登ることができるようにする。
【0042】
ここで、台車はこれら2つの収納棚上を跨ってよじ登ることができるように、2つの縦材は、明確に区別される2つの収納棚に一体化されていることが有利であろう。
【0043】
本発明によると、前記クライミング手段は、前記支持体の1つの上に組付けられた、前記縦材の1つの上を転動することを目的とする少なくとも1つのカウンタホイールを含む、前記台車の転倒を妨げるための手段を含む。
【0044】
こうして、台車のシャーシは傾斜せず、水平状態に完全にとどまり、このため上昇または下降の際に台車が縦材間で不動状態になることは妨げられる。
【0045】
好ましくは、前記クライミング手段は僅か2つのみの歯付きホイールおよび/または僅か2つのみの刻み目付きベルトしか含まない。
【0046】
こうして、縦材の間で台車が不動状態になる危険性は制限される。
【0047】
本発明の特定の一実施形態によると、縦材はC字形の形鋼レールである。
【0048】
本発明の特定の一実施形態によると、縦材はU字形の形鋼レールである。
【0049】
本発明の特定の一実施形態によると、前記縦材は、明確に区別された2つの収納棚の縦材であり、台車がこれら2つの収納棚上を跨ってよじ登ることができるようになっている。
【0050】
本発明の特定の一実施形態によると、上述の注文準備用システムは、前記収納棚に対する前記縦材の固定用手段を含む。
【0051】
本発明の特定の一実施形態において、縦材は、1つ以上の収納棚の近傍で床に固定されている。
【0052】
好ましくは、前記台車は、目的物保管用トレーの把持用手段を有する。
【0053】
台車は、外部からの介入、特に人間による介入無く、収納棚のラック上のトレーの保管場所から自律的にトレーを取り出すかまたはその場所に置くことができる。
【0054】
このような把持用手段は例えば、伸縮式バケット、伸縮式サイドアームおよび/またはトレーを押すかまたは引くかするためのフィンガーを備えた伸縮式フォークを含むこと
ができる。
【0055】
本発明の特定の一実施形態によると、転動ホイールのうちの少なくとも1つおよび動力式クライミング手段は同じモータによって駆動されている。
【0056】
こうして極めて簡単に実施できるシステムが得られる。
【0057】
本発明の有利な一実施形態によると、上述の注文準備用システムは、クライミング手段の制動手段を含む。
【0058】
こうして、台車が故障した場合、特にクライミング手段のモータに給電を行う電池が完全に放電した場合に、台車の下降を安全に行う。
【0059】
本発明の特定の実施形態において、制動は「粘性」タイプのもので、モータの電機子を分流することによる磁気制動により得られてよい。
【0060】
本発明の特定の一実施形態によると、前記縦材のうちの1つは第1の収納棚の縦材であり、もう一方の縦材は前記第1の収納棚に平行な第2の収納棚の縦材であり、前記第1および第2の収納棚は前記台車の通行路を画定している。
【0061】
こうして、台車は、通行路の両側に設置された対面した平行な2つの収納棚の縦材上に跨って支持されてよじ登れる。
【0062】
本発明の特に有利な態様によると前記支持体は、1本の対角線に沿って前記台車のシャーシの相対する2つのほぼ端部に組付けられている。
【0063】
積載されているか否かに関わらず、台車の質量はこうしてシャーシの対角線の両側に分布し、こうして片持ち状態は制限され、カウンタホイール上に及ぼされる力は削減される。
【0064】
好ましくは、前記縦材の各々に対し1本の鎖が一体化されており、前記切込みは前記鎖の環の内部空間によって形成されている。
【0065】
有利には、前記鎖は、縦材を形成するC字形の形鋼レールの底部に組付けられる。
【0066】
こうして、切込みの局所的摩耗の場合、関係する環を交換するだけでよいことから、メンテナンスが極めて容易であり、使用が簡単な収納棚の登攀用梯子が得られる。さらに、摩耗が分布している場合でも、縦材全体よりもむしろ鎖を交換する方が、より簡単で低コストである。
【0067】
有利には、前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトは、独立したモータによって駆動される。
【0068】
こうして、2つのクライミング手段の2つの歯付きホイールは、2つの縦材の切込み間に寸法上の差異が存在する場合、台車を水平に維持するために、制御ユニットによって選択された異なる速度で旋回することができる。
【0069】
本発明の特定の一実施形態によると、転倒を妨げるための前記手段は、対をなして配設され1つの縦材の明確に区別される2つの側面上を転動するようになっている、歯付きホイールまたは刻み目付きベルトの軸に直交する軸を有する、支持体1つあたり4つのカウンタホイールを含む。
【0070】
こうして、台車は、シャーシの前記相対する2つの端部を結ぶ対角線のいずれの側にも傾斜し得ない。
【0071】
有利には、前記クライミング手段は、前記縦材のうちの1つの縦材の収納棚の外側を向いた面上を転動するようになっている、前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトの軸に対して平行な軸を有する、少なくとも1つの支えホイールを含む。
【0072】
こうして、2つの収納棚間の台車の横方向位置は一定に維持され、こうして、C字形の形鋼レールの底部で鎖を介して歯付きホイールの歯またはベルトの刻み目が摩擦することが妨げられ、早期に摩耗が生じることが制限される。
【0073】
本発明の他の特徴および利点は、単に非限定的な例示的実施例として与えられている本発明の2つの実施形態についての以下の説明および添付の図面を読了した時点でより明確になるであろう。