特許第6896720号(P6896720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6896720クライミング手段が具備された台車を備えた注文準備用システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896720
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】クライミング手段が具備された台車を備えた注文準備用システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/06 20060101AFI20210621BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   B65G1/06 M
   B65G1/00 501C
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-519840(P2018-519840)
(86)(22)【出願日】2016年10月9日
(65)【公表番号】特表2018-530490(P2018-530490A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】FR2016052609
(87)【国際公開番号】WO2017064401
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2019年7月4日
(31)【優先権主張番号】1559698
(32)【優先日】2015年10月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518127451
【氏名又は名称】エグゾテック ソリュシオン
【氏名又は名称原語表記】EXOTEC SOLUTIONS
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ムーラン,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】エツ,ルノー
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−519123(JP,A)
【文献】 特開昭53−027971(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0185657(US,A1)
【文献】 米国特許第07381022(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00−1/133,1/14−1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文準備用システムにおいて、
− 明確に区別された2つの収納棚に一体化された2本の縦材と、
− 前記収納棚のうちの少なくとも1つの中で一注文の目的物を取り出すことを目的とする、少なくとも2つの転動ホイールを有する自動誘導式台車、および前記台車が前記縦材に沿って上昇できるように前記縦材と協働することのできる動力式クライミング手段と、
を含み、
前記クライミング手段が、前記2つの縦材のうちの一方と各々協働することを目的とするほぼ平行な軸の僅か2つのみの刻み目付きベルトおよび/または僅か2つのみの歯付きホイールおよび僅か2つのみの支持体を含み、歯付きホイールの軸および/または前記刻み目付きベルトを駆動する滑車の軸は転動ホイールの軸に直交しており、
前記縦材の各々は、前記縦材の長手方向軸に対してほぼ垂直に延在し、この縦材と協働する前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトの歯を収容することを目的とし、かつ前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトのピッチの値だけ間隔取りされている、複数の切込みを有しており、
歯付きホイールまたは刻み目付きベルトの各々は、2つの位置すなわち、
− 支持体上に組付けられた前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトの少なくとも一部分がシャーシの列の外で横方向に突出している展開位置と、
− 前記支持体上に組付けられた歯付きホイールまたは刻み目付きベルトが前記シャーシと対面している引込位置と、
の間で、前記台車の前記シャーシとの関係において可動である支持体のうちの1つの上に組付けられている、注文準備用システムであって、
前記支持体が、1本の対角線に沿って前記台車のシャーシの相対する2つのほぼ端部に組付けられており、
前記クライミング手段が、前記支持体のうちの1つの上に組付けられた、前記縦材のうちの1つの上を転動することを目的とする少なくとも1つのカウンタホイールを含む、前記台車の転倒を妨げるための手段を含むことを特徴とする、注文準備用システム
【請求項2】
前記縦材がC字形の形鋼レールであることを特徴とする、請求項1に記載の注文準備用システム。
【請求項3】
前記縦材が前記収納棚の縦材であることを特徴とする、請求項1または2に記載の注文準備用システム。
【請求項4】
前記収納棚に対する前記縦材の固定用手段を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1つに記載の注文準備用システム。
【請求項5】
前記台車が、目的物保管用トレーの把持用手段を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1つに記載の注文準備用システム。
【請求項6】
前記転動ホイールのうちの少なくとも1つおよび前記動力式クライミング手段が同じモータによって駆動されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1つに記載の注文準備用システム。
【請求項7】
前記クライミング手段の制動手段を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1つに記載の注文準備用システム。
【請求項8】
前記縦材のうちの1つが第1の収納棚の縦材であり、もう一方の縦材が前記第1の収納棚に平行な第2の収納棚の縦材であり、前記第1および第2の収納棚が前記台車の通行路を画定していることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1つに記載の注文準備用システム
【請求項9】
前記縦材の各々に対し1本の鎖が一体化されていること、および前記切込みが前記鎖の環の内部空間によって形成されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1つに記載の注文準備用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、倉庫内物流の分野、詳細には、部品または製品の荷役または輸送の分野である。
【0002】
より厳密には、本発明は注文準備用システムに関する。
【0003】
本発明は、例えば物流ラインの注文準備用倉庫内など、保管用倉庫の流れの管理の自動化において応用される。
【背景技術】
【0004】
包括的物流ラインの中で、倉庫内での製品の流れの管理および取扱は、極めて重要な役割を果たす。
【0005】
従来、注文準備作業者は、一注文中の各製品を、収納棚のラック上の製品の場所から収集するために倉庫内を移動する。
【0006】
このような組織では、一労働日の間に準備作業者が長い行程を走り回ることを意味し、行程が最適化されない場合には、疲労と時間の浪費が引き起こされる。
【0007】
もう1つの欠点は、時間を無駄にしないために準備作業者が倉庫の配設を完璧に知っていなければならない、という点にある。
【0008】
移動に起因する疲労を制限し、ピッキング(または英語で「picking」)の管理を改善し、注文の準備時間およびそのコストを削減するために、製品が注文準備ステーションまで機械によって搬送される倉庫の組織が考案された。
【0009】
こうして、倉庫の内部で収納棚から準備ステーションに至るまで製品を輸送するためのコンベヤの使用が提案された。
【0010】
この公知の技術の欠点は、それが重く高価な基礎部分を必要とするという点にある。
【0011】
この技術の別の欠点は、それを進展させるのが厄介で高コストであるという点にある。
【0012】
さらなる1つの欠点は、コンベヤは嵩が高く、そのため保管有効表面積の損失が大きくなるという点にある。
【0013】
トレーを取り出すかまたは置く目的で収納棚の各レベルに到達できるようにする昇降機を支持する支柱を収納棚に沿って水平方向に移動させることからなる技術も、同様に公知である。
【0014】
この技術の欠点は、倉庫内で1つの収納棚につき1つの支柱を設置することが検討されなければならないという点にある。
【0015】
この公知の技術の別の欠点は、支柱によって取り出されたトレーを注文準備区域に向かって輸送するために各収納棚列の端部に1つ以上のコンベヤを想定する必要があるという点にある。
【0016】
同様の原理に基づいて、レールで形成され、かつ各々1つの収納棚の1つのラックの高さで複数のレベルに配設された通行路上を移動する、自動誘導型シャトルを使用することからなる技術も知られている。レベルを変更するために、シャトルは、収納棚の端部に配置された専用昇降機を利用する。シャトルは、ラック上のトレーを取り出すと、下降して収納棚の根元に位置するコンベヤ上にトレーを置く。
【0017】
この公知の技術の欠点は、シャトルが1つの収納棚から別の収納棚へと移動できず、そのため多数のシャトルを想定する必要があるという点にある。
【0018】
この技術の別の欠点は、通行路とコンベヤを想定しなければならず、そのコストは高いものであるという点にある。
【0019】
さらにこの技術の1つの欠点は、昇降機が解放されるのを待って初めてシャトルはコンベヤにアクセスでき、このため注文の準備が遅くなるという点にある。
【0020】
一変形形態においては、通行路の数を削減するために、シャトルが通行路レベルより上のいくつかの棚に到達できるようにするため通行路上で昇降機を移動させることが考案された。
【0021】
この変形形態の欠点は、その実施がさらに一層高コストで複雑であるということにある。
【0022】
倉庫内に配置された収納棚を自動装置を用いて注文準備区域まで輸送することも同様に提案された。このためには、自動装置が収納棚の下に入りこの収納棚を持ち上げて輸送できるようにする。
【0023】
この公知の技術の欠点は、輸送中の収納棚の転倒を避けるため、保管用容積の高さが制限されるという点にある。
【0024】
その上、倉庫内に保管される容積を増大させるために、上に積重ねられ保管用区域上でまとめられたトレー内に直接商品を保管することが考えられた。
【0025】
注文の目的物または商品を格納するトレーを抜き出すために、保管用容積の頂部を通行する自動装置が使用される。自動装置が上位のレベルに保管されていないトレーを取り出さなければならない場合、自動装置は、このトレーの上方に位置するトレーを次々と連続的に取り除く。この作業に際して、自動装置は、保管用容積の表面上の空の収納部内に取り除いた各トレーを順次に置き直す。
【0026】
この技術の欠点は、1つのトレーだけを抜き出すために自動装置が大量のトレーを毎回取り扱い、このため注文の準備が遅くなるという点にある。
【0027】
同様に、例えば米国特許第7101139号明細書または米国特許出願公開第2012/003993号明細書から、取り出すべき目的物が内部に保管されているトレーにアクセスするために2つの収納棚の間で、あるいは収納棚式の車庫の1つの場所から降ろすべき自動車のレベルまで、自動装置が上昇できるようにする、収納棚に固定された垂直方向ラックに噛合することを目的とした、自らのシャーシの各々の側で2つの引込式歯付きホイールを備えた自動装置も公知である。
【0028】
4つの引込式歯付きホイールを備えた自動装置というこの公知の技術の欠点は、ラック上の4つの歯付きホイールのうちの1つの高さ方向の進行が各瞬間において他の歯付きホイールの進行と完璧に同一でない場合に、上昇または下降の際に自動装置が不動状態にとどまる可能性がある、という点にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
したがって、本発明の目的は特に、上述の現状技術が有する欠点を軽減することにある。
【0030】
より厳密には、本発明の目的は、人間による介入を制限しかつ実施が簡単な注文準備技術を提供することにある。
【0031】
本発明の別の目的は、コストが低い注文準備技術を提供することにある。
【0032】
さらに本発明の目的は、高密度の保管用区域と適合し得る注文準備技術を提案することにある。
【0033】
本発明の目的は、保管用区域の変化に容易に適応し得る注文準備技術を提供することにある。
【0034】
本発明の目的は、同じ倉庫内で高さおよび/または向きの異なる収納棚を使用できるような技術を提案することにある。
【0035】
本発明の別の目的は、既存の収納棚を使用できる注文準備技術を提供することにもある。
【0036】
さらに本発明の目的は、同じ倉庫内を動き回るオペレータにとって危険の無い注文準備技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0037】
これらの目的ならびに以下で明らかとなる他の目的は、注文準備用システムにおいて、明確に区別された2つの収納棚に一体化された2本の縦材と、前記収納棚のうちの少なくとも1つの中で一注文の目的物を取り出すことを目的とする、少なくとも2つの転動ホイールを有する自動誘導式台車、および前記台車が前記縦材に沿って上昇できるように前記縦材と協働することのできる動力式クライミング手段と、を含むシステムであって、
前記クライミング手段が、前記2つの縦材のうちの一方と各々協働することを目的とするほぼ平行な軸の2つの刻み目付きベルトおよび/または2つの歯付きホイールを含み、歯付きホイールの軸および/または前記刻み目付きベルトを駆動する滑車の軸は転動ホイールの軸に直交しており、
前記縦材の各々は、前記縦材の長手方向軸に対してほぼ垂直に延在し、この縦材と協働する前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトの歯を収容することを目的とし、かつ前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトのピッチの値だけ間隔取りされている、複数の切込みを有しており、
歯付きホイールまたは刻み目付きベルトの各々は、2つの位置すなわち、
− 支持体上に組付けられた前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトの少なくとも一部分がシャーシの列の外で横方向に突出している展開位置と、
− 前記支持体上に組付けられた歯付きホイールまたは刻み目付きベルトが前記シャーシと対面している引込位置と、
の間で、前記台車の前記シャーシとの関係において可動である支持体の上に組付けられている注文準備用システムを用いて達成される。
【0038】
したがって、本発明は、収納棚内の注文された目的物を取り出し、これらの目的物をオペレータが段ボール箱に入れる注文準備用区域まで輸送する少なくとも1つの自動誘導式台車によって、注文された商品の段ボール箱への梱包作業のみに人間の介入を限定することのできるシステムに関する。
【0039】
この台車は有利には、収納棚に対面して、または縦材が収納棚上に固定されているかまたは収納棚に統合されている場合にはこの収納棚に沿って上昇する目的で縦材上をよじ登れるように、すなわちしがみつきながら登るように構成されている。
【0040】
その上、クライミング手段は、台車がその上昇または下降の際に1つまたは複数の縦材と常時嵌合状態にとどまることができるようにし台車をほぼ水平に維持することができ、こうして、台車が担持するトレーまたは目的物の落下を防止することができる。
【0041】
2つの可動支持体はさらに、可動支持体が引込められているときに2つの縦材の間を台車が滑動することができるようにし、次に可動支持体を展開させて縦材に沿ってよじ登ることができるようにする。
【0042】
ここで、台車はこれら2つの収納棚上を跨ってよじ登ることができるように、2つの縦材は、明確に区別される2つの収納棚に一体化されていることが有利であろう。
【0043】
本発明によると、前記クライミング手段は、前記支持体の1つの上に組付けられた、前記縦材の1つの上を転動することを目的とする少なくとも1つのカウンタホイールを含む、前記台車の転倒を妨げるための手段を含む。
【0044】
こうして、台車のシャーシは傾斜せず、水平状態に完全にとどまり、このため上昇または下降の際に台車が縦材間で不動状態になることは妨げられる。
【0045】
好ましくは、前記クライミング手段は僅か2つのみの歯付きホイールおよび/または僅か2つのみの刻み目付きベルトしか含まない。
【0046】
こうして、縦材の間で台車が不動状態になる危険性は制限される。
【0047】
本発明の特定の一実施形態によると、縦材はC字形の形鋼レールである。
【0048】
本発明の特定の一実施形態によると、縦材はU字形の形鋼レールである。
【0049】
本発明の特定の一実施形態によると、前記縦材は、明確に区別された2つの収納棚の縦材であり、台車がこれら2つの収納棚上を跨ってよじ登ることができるようになっている。
【0050】
本発明の特定の一実施形態によると、上述の注文準備用システムは、前記収納棚に対する前記縦材の固定用手段を含む。
【0051】
本発明の特定の一実施形態において、縦材は、1つ以上の収納棚の近傍で床に固定されている。
【0052】
好ましくは、前記台車は、目的物保管用トレーの把持用手段を有する。
【0053】
台車は、外部からの介入、特に人間による介入無く、収納棚のラック上のトレーの保管場所から自律的にトレーを取り出すかまたはその場所に置くことができる。
【0054】
このような把持用手段は例えば、伸縮式バケット、伸縮式サイドアームおよび/またはトレーを押すかまたは引くかするためのフィンガーを備えた伸縮式フォークを含むこと
ができる。
【0055】
本発明の特定の一実施形態によると、転動ホイールのうちの少なくとも1つおよび動力式クライミング手段は同じモータによって駆動されている。
【0056】
こうして極めて簡単に実施できるシステムが得られる。
【0057】
本発明の有利な一実施形態によると、上述の注文準備用システムは、クライミング手段の制動手段を含む。
【0058】
こうして、台車が故障した場合、特にクライミング手段のモータに給電を行う電池が完全に放電した場合に、台車の下降を安全に行う。
【0059】
本発明の特定の実施形態において、制動は「粘性」タイプのもので、モータの電機子を分流することによる磁気制動により得られてよい。
【0060】
本発明の特定の一実施形態によると、前記縦材のうちの1つは第1の収納棚の縦材であり、もう一方の縦材は前記第1の収納棚に平行な第2の収納棚の縦材であり、前記第1および第2の収納棚は前記台車の通行路を画定している。
【0061】
こうして、台車は、通行路の両側に設置された対面した平行な2つの収納棚の縦材上に跨って支持されてよじ登れる。
【0062】
本発明の特に有利な態様によると前記支持体は、1本の対角線に沿って前記台車のシャーシの相対する2つのほぼ端部に組付けられている。
【0063】
積載されているか否かに関わらず、台車の質量はこうしてシャーシの対角線の両側に分布し、こうして片持ち状態は制限され、カウンタホイール上に及ぼされる力は削減される。
【0064】
好ましくは、前記縦材の各々に対し1本の鎖が一体化されており、前記切込みは前記鎖の環の内部空間によって形成されている。
【0065】
有利には、前記鎖は、縦材を形成するC字形の形鋼レールの底部に組付けられる。
【0066】
こうして、切込みの局所的摩耗の場合、関係する環を交換するだけでよいことから、メンテナンスが極めて容易であり、使用が簡単な収納棚の登攀用梯子が得られる。さらに、摩耗が分布している場合でも、縦材全体よりもむしろ鎖を交換する方が、より簡単で低コストである。
【0067】
有利には、前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトは、独立したモータによって駆動される。
【0068】
こうして、2つのクライミング手段の2つの歯付きホイールは、2つの縦材の切込み間に寸法上の差異が存在する場合、台車を水平に維持するために、制御ユニットによって選択された異なる速度で旋回することができる。
【0069】
本発明の特定の一実施形態によると、転倒を妨げるための前記手段は、対をなして配設され1つの縦材の明確に区別される2つの側面上を転動するようになっている、歯付きホイールまたは刻み目付きベルトの軸に直交する軸を有する、支持体1つあたり4つのカウンタホイールを含む。
【0070】
こうして、台車は、シャーシの前記相対する2つの端部を結ぶ対角線のいずれの側にも傾斜し得ない。
【0071】
有利には、前記クライミング手段は、前記縦材のうちの1つの縦材の収納棚の外側を向いた面上を転動するようになっている、前記歯付きホイールまたは前記刻み目付きベルトの軸に対して平行な軸を有する、少なくとも1つの支えホイールを含む。
【0072】
こうして、2つの収納棚間の台車の横方向位置は一定に維持され、こうして、C字形の形鋼レールの底部で鎖を介して歯付きホイールの歯またはベルトの刻み目が摩擦することが妨げられ、早期に摩耗が生じることが制限される。
【0073】
本発明の他の特徴および利点は、単に非限定的な例示的実施例として与えられている本発明の2つの実施形態についての以下の説明および添付の図面を読了した時点でより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】注文準備用システムの実施形態例を備えた倉庫の概略斜視図である。
図2図1に関連して例示された倉庫内で使用される自動誘導式台車の斜視図による概略的表現である。
図3図2に関連して提示された台車のクライミング手段の詳細図である。
図4図1に関連して例示された収納棚の縦材として使用される形鋼の断面図である。
図5A.5B.5C.5D】2つの縦材上をよじ登るための、図2に関連して提示された台車により行われる連続的ステップを例示する。
図6】台車のクライミング手段を中心とした図5Cの詳細図である。
図7】注文準備用システムの別の実施形態例の細部の概略図である。
図8図2に例示した注文準備用システムのクライミング手段の一実施変形形態の細部の概略図である。
図9】本発明に係る注文準備用システムの第1の実施形態例の斜視図による概略的表現である。
図10】収納棚を登攀する、図9に関連して提示された台車の上面図である。
図11】収納棚のレベルでの移動を開始する、図9に関連して提示された台車の斜視図である。
図12】内部で、台車が2つの収納棚間をよじ登っている注文準備用システムの別の実施形態例の斜視図である。
図13図2に関連して例示された注文準備用システムのクライミング手段の別の実施変形形態の斜視図である。
図14】内部で、台車が2つの平行な収納棚に支持されてよじ登っている、本発明に係る注文準備用システムの第2の実施形態例の下面図である。
図15図14に関連して提示された台車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本発明の第1の実施形態例
図10には、平行に配置された同一の収納棚1000を備えた倉庫を例示した。2つの収納棚1000間の空間は、自動装置90のための床通行路として役立つ径間1001を形成する。各収納棚1000の骨組は、径間の先頭に配置された縦材1002、および各縦材1002間で一体化された水平方向横材1003を含む。これらの横材1003は、トレー102の整理または保管用階またはレベル1004に対応する。
【0076】
図9には、自動誘導型台車90のうちの1つが概略的に表現されており、ここでこの台車のシャーシ901は4つのホイール900上に組付けられ、2つのクライミングモジュール91およびトレー102の輸送用のテーブル92が備わっている。この自動装置90には、テーブル92上で輸送されるトレー102を取り扱うための、図示されていない伸縮式バケットが備わっている。
【0077】
クライミングモジュール91は各々、歯付きホイール902、誘導輪903およびカウンタホイール904を担持する可動支持体で形成されている。これらの支持体は、シャーシ901との関係において横方向に可動であり、縦材1002を登攀するために自動装置から側方に展開されるか、または自動装置90が床上または収納棚1000の横材1003上を走行する場合に引込められてよい。各々の可動支持体が展開位置にある場合、歯付きホイール902、誘導輪903およびカウンタホイール904は、シャーシの列から横方向に外に突出して、2つの収納棚の縦材1002と協働することができる。その上、引込位置では、可動支持体は、自動装置90が2つの縦材1002で形成された通路の入口を通過できるようにする。その上、2つの歯付きホイール902の軸が転動用駆動ホイール900の軸にほぼ直交していることが分かる。
【0078】
図10を見れば分かることができるように、自動装置90は、径間1001の端部に存在する縦材1002を利用しながら径間1001の両側に対面して配置された2つの収納棚1000上を跨ってよじ登れる。本発明のこの特定の実施形態において、縦材1002は、自動装置90の歯付きホイール902のための梯子1005として役立つ穴のあいた底部を有するU字形の形鋼である。さらに、自動装置90は、縦材1002に支持されており、各支持体の輪およびカウンタホイールによって保持される。
【0079】
上昇を開始するために、自動装置90は、縦材1002の梯子1005とクライミングモジュール91、より詳細には歯付きホイール902を整列させる。その後自動装置90はクライミングモジュール91を展開させて、歯付きホイール902が梯子1005と噛合するようにする。次に、自動装置は、輸送すべきトレー102が保管されているレベル1004まで梯子1005を登る。
【0080】
図11に例示されているように、レベル1004に到達すると、自動装置90はそのホイール900を側方に広げ、これらのホイールが通路1001の両側で対面する2つの横材1003上に載るようにする。その後自動装置90は、2つのクライミングモジュール91を引込めて、縦材1002から解放される。自動装置90はこうして、自動装置90を支持し自動装置90にとってのガイドまたは走行路として役立つ横材1003上を長手方向に移動することができる。求められているトレー102の貯蔵場所に到達した時点で、自動装置90は、伸縮式バケットを用いて2つの収納棚1000の一方または他方に整列し、トレー102を取り出す。
【0081】
搬送すべきトレー102をひとたび入手すると、自動装置90は収納棚の端部に合流して、縦材1002にしがみつく2つのクライミングモジュール91を用いて床へと再下降する。
【0082】
本発明の第2の実施形態例
図14に例示された本発明の別の実施形態例によると、下面図で表現された自動装置1400は、4つの遊動ホイール1401により担持され、モータ1403によって起動させられる2つの駆動ホイール1402によって牽引されている。こうして、ほぼ平面で水平な床上で、自動誘導型台車1400は、モータの回転の制御に応じて、直線、曲線軌道をたどることができ、それ自体が旋回する。この台車は倉庫内、特にほぼ平行である2つの収納棚1410により画定された通路内を移動する。
【0083】
収納棚1410を登攀するために、自動装置1400のシャーシには、シャーシの対角線内で、それぞれその右後端部および左前端部において、自動装置1400が内部に存在する通路を画定する2つの収納棚1410の縦材1411と協働することのできる引込式クライミングモジュール1404が備わっている。各々のクライミングモジュール1404は、1つの歯付きホイール1407、1つの横方向支えホイール1408および4つのカウンタホイール1409を起動させるモータ1406を支持するベッドプレート1405を含む。
【0084】
展開位置にある引込式クライミングモジュール1404の詳細斜視図である図15を見れば分かることができるように、歯付きホイール1407は、収納棚1410の縦材1411に固定されたC字形の形鋼レール1501の底部に維持されたローラ鎖1500の環と協働する。
【0085】
各モータ1406は、自動装置1400が水平にとどまり積荷が落下しないように保証するために、モータのシャフト位置の制御用モジュール(図14および15には図示せず)によって独立して制御されている。こうして、制御用モジュールは、製造上の許容誤差を考慮して、製造時に変動し得る長さを有する各縦材上に固定された鎖のローラ間の差異を補償するために、各モータ1406の速度を適応させる。
【0086】
実際、同じタイプの鎖の備わった10〜12mの縦材上では、2つの鎖の端部ローラ間の位置の差異は20mmに達し得ることを指摘しておくべきである。
【0087】
図15を見ると、同様に、自動装置1400が展開位置と引込位置との間のクライミングモジュール1404の並進運動用システムを含んでいることが分かり得る。この並進運動用システムは、2つの滑車1502およびベッドプレート1405と一体化したぎざぎざのあるベルト1503を含む。クライミングモジュール1404の出し入れを行うために、モータ(図15には図示せず)によって起動させられる駆動滑車1502は、クライミングモジュール1404の並進運動を制御するぎざぎざのあるベルト1503を駆動する。
【0088】
横方向支えホイール1408は、クライミングモジュール1404の退出の際に縦材1411と接触した時点でストッパとして役立つ。したがって、このホイールは、C字形の形鋼1501の底部および鎖1500との関係における歯付きホイール1407の相対的位置を保証し、こうして、歯付きホイール1407の歯が形鋼1501の底部と摩擦するのを避ける。
【0089】
したがって、床移動のための引込位置と収納棚上をよじ登るための展開位置との間でのクライミングモジュール1404の移動を可能にするのは、ステッピングモータの回転方向である。
【0090】
別の実施形態例
図1中には、発送を目的とする製品の保管のための倉庫1が例示された。この倉庫は、保管用区域10と注文準備用区域11とに配分されている。
【0091】
準備用区域11内には、オペレータ13が1件の注文製品の入った輸送荷物14を準備する注文準備用ステーション12が配置されている。
【0092】
保管用区域10は、複数のレベル101上のラックを伴う収納棚100の形に組織され、これらのラックの上に、保管対象の製品または品物を格納するトレー102が保管される。
【0093】
一群の自動誘導式台車103(英語では「Automatic Guided Vehicle」)が、保管用区域10と注文準備用ステーション12との間でのトレー102の輸送を確保する。
【0094】
各々の自動装置103は、オペレータ13のうちの一人によって処理される注文を補完するため、取りに行くべき品物を格納するトレー102の位置決定情報を受信する。自動装置103は、トレー102が整理されている場所に行き、受信した位置決定情報により特定された収納棚100のレベル101からこのトレーを抜き出す。その後、自動装置103は、注文準備用ステーション12までトレー102を輸送する。オペレータ13がなすべきことは、一定量の注文された品物を取り出しそれらを梱包するだけである。自動装置103はその後、トレー102を保管用区域10内のその場所に戻す。
【0095】
図2が例示するように、床上を走行するために、自動装置103には、独立した動力式の2つの前方駆動ホイール200および1つの後方遊動ホイール(図2には図示せず)が備わっている。この遊動ホイールは自動装置103の床上安定性および静定性を保証する。
【0096】
この特定の実施形態の変形形態において、自動装置は2つのホイールおよびすべり板上を移動するか、または複数の遊動ホイールを備えることができる。
【0097】
ホイール200は独立動力式であることから、自動装置は、1つの収納棚と整列するために狭い面積で90度旋回することを可能にする非常に小さい旋回半径を有する。
【0098】
自動装置103はコンパクトで軽量であることが指摘されるであろう。その質量は、実際、30キログラム未満である。
【0099】
図2では、自動装置103のシャーシに、2つの歯付きホイール202または登攀用ピニオン、2つの横方向誘導輪203、および転倒防止装置204が備わり、自動装置が収納棚100上をよじ登ることを可能にしていることが分かり得る。
【0100】
この特定の実施形態において、2つの歯付きホイール202の軸は、転動用駆動ホイール200の軸に対してほぼ平行であり、誘導輪203の軸は歯付きホイール202の軸に直交している。
【0101】
有利には、2つの駆動ホイール200を独立して起動するモータは、各々歯付きホイール202を駆動することで、よじ登る場合の自動装置の運動性を確保する。
【0102】
詳細図である図3では、転倒防止装置204が、2つの歯付きホイール202にほぼ直角に2本のほぼ垂直なアーム300を含み、これらのアームが、遠位端部にカム302と一体化したシャフト301を支持していることが分かり得る。各カム302の端部には、自由に回転するカウンタホイール303が組付けられている。同様に、カウンタホイール303の軸が駆動ホイール202の軸と平行であることも確認される。
【0103】
最後に、自動装置103は、トレー102を取扱うため、すなわち把持を確保するために伸縮式バケット205を含む。この伸縮式バケット205は、図2に輸送位置で概略的に表現されている。こうして自動装置103は、収納棚100のラックのレベル101の如何に関わらずトレー102を取り出すか置くかをする能力を有する。
【0104】
図5Cの詳細図である図6が例示しているように、収納棚100は、登攀中、自動装置103に対し走行路として役立つ2本の垂直な縦材600を含む。縦材600は、梯子603を形成する切込みまたは孔を含む面601を有する「C字形」の形鋼レールから得られる。歯付きホイール202のピッチの値で規則的に間隔取りされた切込み602は、縦材600の長手方向軸に対してほぼ垂直に延在する。
【0105】
収納棚の縦材として使用される形鋼レールの断面図である図4を見れば分かることができるように、縦材600の形鋼400は、C字形の形鋼であり、この形鋼は、梯子603と反対側の面上で2つの翼402間にスリット401を有する。このスリット401により、歯付きホイール202は形鋼400の底部に到達し、切込み602内に噛合することができる。こうして、歯付きホイール202および梯子603はピニオン−ラック機構のように協働する。
【0106】
図4上では同様に、形鋼400の折り曲げられた翼402がスリット204の両側で2つの維持用表面403を形成していることも確認される。これらの維持用表面403は、梯子603に対面して、カウンタホイール303の支えおよび転動用表面として役立ち、こうして片持ち状態になっている自動装置103およびその積荷の重量に対応する力を回復し、登攀中に自動装置が転倒するのを妨げることを目的としている。
【0107】
カウンタホイール303の通過を可能にするため、図6を見れば分かることができるように、縦材600の形鋼はその下部部分において刳り抜かれている。
【0108】
図5A〜5Dには、収納棚100に接近する自動装置103がそれをよじ登って第2のレベル101に保管されたトレー102に到達できるようにするステップが表現された。
【0109】
第2レベル101のトレー102を取るようにプログラミングされた自動装置103は最初に、図5Aに表現されているように、収納棚100に対面して縦材600上に整列する姿勢を取る。自動装置103はその後、図5Bが例示するように、歯付きホイール202の歯が縦材600の梯子603の切込み602内に進入するまで前進する。
【0110】
その後、転倒防止装置204のカウンタホイール303は、図5Cおよび図6の詳細図上で確認されるように、形鋼400内に導入される。このために、シャフト301は回転304を行い、これによりスリット401内にカム302を挿入し縦材600の内部容積404内にカウンタホイール303を係合させることが可能となる。
【0111】
最終的に、歯付きホイール202の回転は、自動装置103が収納棚100の縦材600上をよじ登れるようにし、一方、カウンタホイール303は縦材600の維持用表面403上を走行し、これにより自動装置103の座りを保ち、転倒を防止することが可能になる。
【0112】
この上昇中、自動装置103は、横方向誘導輪203により縦材600内で横方向に誘導される。
【0113】
自動装置103は、第2レベル101の正面に到達した(図5Dを参照のこと)時点で、概略的に示された伸縮式バケット205を用いてトレー102をつかみ、それを輸送位置でシャーシ201の直上に取込む。
【0114】
収納棚100から下降することにより、自動装置103は、床に達した時点で、縦材600の転倒防止装置204を解放して離れることができるようにし、その後自動装置は注文準備用区域まで走行する。
【0115】
図8に部分的に例示されている一変形形態によると、自動装置には、各縦材内に収納された薄いプレス鋼板で形成されたラック802に噛合する、縦材800上をよじ登るための2つの無限軌道801が備わっている。ラック802のくぼみは無限軌道801と協働するように適応されており、これにより登攀の際に生成されるノイズを削減できるということが指摘されるであろう。
【0116】
この図8では、同様に、無限軌道801が、第1の滑車により駆動され第2の遊動車により張力が加えられる刻み目付きベルトで形成されていることも確認できる。
【0117】
一変形形態によると、各無限軌道801は、収納棚の縦材上で梯子を形成する切込みと協働する。
【0118】
図13を参照して、別の一変形形態によると、自動装置1300には、シャーシ1302の一端部に配置された2つの駆動ホイール1301およびこの同じ端部で取外し可能な2つのカウンタホイール1303が備わっている。
【0119】
床では、駆動ホイール1301が自動装置1300の移動を可能にしている。これらの同じホイール1301によって、自動装置は、収納棚の縦材1305上をよじ登ることができる。
【0120】
上昇の際に、これらの駆動ホイール1301は、縦材1305を構成する形鋼の前面1304と接触しており、一方カウンタホイール1303は、縦材1305の後面1306上に折り返される。有利には、これらのホイール1301のトレッド面はすべり止めであるかまたはスパイクを有する。
【0121】
駆動ホイール1301との関係において片持ち状態になっている自動装置1300の重量は、縦材の登攀を可能にする摩擦力を生成する突っ張りを作り出す。有利にも、摩擦力が自動装置1300の重量およびトレー102内の自動装置の積荷の重量と共に増大するということが指摘されるであろう。
【0122】
別の実施形態例
別の実施形態例によると、自動装置には、各々自動装置シャーシの一方の側に組付けられた2つの動力式ドラム700が備わっている。図7を見れば分かることができるように、各ドラム700は、リンクロッド702により一体化した状態に維持されている2つのディスク701で形成されている。登攀のため、縦材703は、縦材703の頂部に固定された第1の端部を有し、第2の端部に固定されたフック705を有するストラップ704の備わったU字形の形鋼である。
【0123】
縦材をよじ登るために、自動装置は、ドラムのロッド702をフック705に掛けるようにするのと同時にドラム700の回転を駆動するモータの回転を開始させる。その後、自動装置は、巻上機の要領でドラム700の周りでストラップ704を巻回することによって収納棚に沿って上昇する。再び下降するためには、ドラムの周りでストラップ704を巻出すだけでよい。
【0124】
垂直方向移動の際には、ドラム700のディスク701は、縦材703の側面706により横方向で誘導される。
【0125】
別の実施形態例
図12上に例示された別の実施形態例において、自動装置1200には、可動軸上に各々組付けられた2つの引込式歯付きホイール対1202がシャーシ1201の4つの端部に備わっている。
【0126】
図12を見れば分かることができるように、自動装置1200は、通路1204の両側で対面している平行に配置された2つの収納棚1203の間を上昇することができ、これらの収納棚の上に、図4および6に関連して提案されたものと同一の互いに対面する縦材1205が固定されている。
【0127】
収納棚1203を登攀するために、自動装置1200は、縦材1205に対して整列した後、可動軸を起動させることによって4つの歯付きホイール1202を広げ、こうして、歯付きホイール1202は、4つの縦材1205の梯子上に噛合することができる。歯付きホイール1202の回転は、自動装置1200の垂直方向移動を可能にし、自動装置は、縦材に沿ってよじ登るかまたは下降することができる。
【0128】
この特定の実施形態において、自動装置1200の重量は、4つの縦材1205上に配分されているということが指摘されるであろう。
【0129】
本発明の他の任意の特徴および利点
以上で詳述された本発明の実施形態の変形形態においては、同様に、以下のことを想定することも可能である、
− 2つの遊動ホイールが周囲に配置され台車の安定性を確保している一方で、自動誘導式台車上に心出しされた2つの駆動ホイールをこの自動誘導式台車に備えること。このとき、走行輪列のこの幾何形状は、振り子システムと結合され、このシステムにより、床の欠陥とは無関係に静定性を保証すること、4つのホイール上に自動装置の重量およびその積荷の重量を配分することが可能になっている、
− 上昇および下降段階のための自動装置上の制動装置、
− 例えば電力が喪失した場合などの異常事態の際の、自動装置の自動的下降。この状況下で、把持用ツールは収納され、ブレーキは解放され、床までの下降速度は、クライミング手段の1つまたは複数のモータ上に磁場を及ぼすことによって粘性ブレーキを作り出す形で制限される、
− トレーを支持するラックの認識、例えばRFIDチップ(英語のRadio Frequency Indentificationの頭文字)を用いたトレーの認識、さらには登攀用梯子を形成する切込みまたは刻み目による、高度的位置決定、
− トレーを持ち上げ、並進運動させ、降ろすための自動装置上のフォークまたは伸縮式バケット。この場合、自動装置の垂直方向移動がトレーを捕捉するかまたは置くために必要なその上げ下げを可能にする、
− トレーをそれらのラック上で摺動させることにより、トレーを押すことおよび/または引くことを可能にする自動装置上の伸縮式サイドアーム、
− トレーをそのラック上で摺動させることにより、前方からトレーを押しかつ/または引くアーム、
− トレーを押すことまたは引くことを可能にする伸縮式フォークの先端にあるフィンガー、
− トレーの棚卸しの連続的管理を行うことを可能にするトレーの重さを量るはかりを台車に備えること、
− 自動装置が収納棚に沿って上昇および下降できるようにし、床または収納棚に固定可能である、収納棚の直近に設置された登攀用縦材、
− 縦材の切込み付き梯子に置き換わる鎖。
【0130】
上述の注文準備用システムの実施例は、異なるタイプの産業用環境において、および例えば注文準備用物流センターにおいて、または生産ラインの切り離されている部品または構成要素の補給用物流ライン内で利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0131】
【特許文献1】米国特許第7101139号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/003993号明細書
【符号の説明】
【0132】
1 倉庫
10 保管用区域
11 注文準備用区域
12 注文準備用ステーション
13 オペレータ
14 輸送荷物
100 収納棚
102 トレー
103 自動装置
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15