特許第6896760号(P6896760)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896760
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】可変のクランプ力を備える外科器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20210621BHJP
【FI】
   A61B17/32 510
【請求項の数】20
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-550658(P2018-550658)
(86)(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公表番号】特表2019-502510(P2019-502510A)
(43)【公表日】2019年1月31日
(86)【国際出願番号】US2016066465
(87)【国際公開番号】WO2017112470
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2019年12月13日
(31)【優先権主張番号】14/976,087
(32)【優先日】2015年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マダン・アシュバニ・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】グローネ・デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】ボイド・ベンジャミン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ファラー・クレイグ・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジー・ジェイコブ・エス
(72)【発明者】
【氏名】リステンバーグ・ポール・エフ
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−519141(JP,A)
【文献】 特開2001−346806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在し、音響導波管を備えるシャフトアセンブリと、
(c)前記音響導波管と音響的に連通している超音波ブレードを備える、エンドエフェクタと、
d)前超音波ブレードの横方向のたわみのレベルを検出して、組織と相互作用する際に前記超音波ブレードにより経験される圧力の量を決定するように構成されたセンサと、を備え、前記エンドエフェクタが、前記センサによって検された前記超音波ブレードの前記横方向のたわみのレベルに基づいて様々な超音波パワーレベルで起動されるように構成されている、超音波器具。
【請求項2】
前記シャフトアセンブリが遠位封止部を含み、前記音響導波管が前記遠位封止部と連通している、請求項1に記載の超音波器具。
【請求項3】
前記センサが前記遠位封止部上に位置付けられ、前記センサが、前記音響導波管の振動に応答して前記遠位封止部にかかる力を検知するようにさらに構成されている、請求項2に記載の超音波器具。
【請求項4】
前記センサが電気活性材料、圧電構成要素、歪み計、又は強誘電素子を含む、請求項3に記載の超音波器具
【請求項5】
前記センサが前記本体内に位置付けられている、請求項1に記載の超音波器具
【請求項6】
前記エンドエフェクタがクランプアームを備え、前記クランプアームが、前記クランプアームと前記超音波ブレードとの間に前記組織をクランプするために、前記超音波ブレードに向かって及びそれから離れるように枢動可能であり、前記センサが、前記クランプアームと前記超音波ブレードとの間にクランプされた前記組織にかかる前記クランプアームのクランプ力を検出するようにさらに構成されている、請求項1に記載の超音波器具。
【請求項7】
前記本体がバネ要素を備え、前記バネ要素が、前記クランプアームを開位置に付勢するように構成されている、請求項に記載の超音波器具。
【請求項8】
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在し、音響導波管を備えるシャフトアセンブリと、
(c)前記音響導波管と音響的に連通している超音波ブレードを備える、エンドエフェクタと、
(d)前記シャフトアセンブリ及び/又は前記エンドエフェクタのうちの少なくとも1つの特性を検知するように構成されたセンサと、を備え、前記エンドエフェクタが、前記センサによって検知された前記少なくとも1つの特性に基づいて様々な超音波パワーレベルで起動されるように構成されており、
前記エンドエフェクタがクランプアームを備え、前記クランプアームが、前記クランプアームと前記超音波ブレードとの間に組織をクランプするために、前記超音波ブレードに向かって及びそれから離れるように枢動可能であり、前記少なくとも1つの特性が、前記クランプアームと前記超音波ブレードとの間にクランプされた前記組織にかかる前記クランプアームのクランプ力を含み、
前記本体がバネ要素を備え、前記バネ要素が、前記クランプアームを開位置に付勢するように構成されており、
前記センサが、前記バネ要素に接触するように位置付けられている、超音波器具。
【請求項9】
前記本体がトリガを更に備え、前記クランプアームが、前記トリガの作動に応答して前記超音波ブレードに向かって枢動するように構成され、前記バネ要素が、前記トリガの前記作動に応答して圧縮されるように構成されている、請求項に記載の超音波器具。
【請求項10】
前記センサは、前記バネ要素が圧縮されるときに前記バネ要素と接触したままであるように構成されている、請求項に記載の超音波器具。
【請求項11】
前記センサが圧力センサを含む、請求項に記載の超音波器具。
【請求項12】
前記シャフトアセンブリが遠位封止部を含み、前記音響導波管が前記遠位封止部と連通している、請求項8に記載の超音波器具。
【請求項13】
前記センサが前記遠位封止部上に位置付けられ、前記センサが、前記音響導波管の振動に応答して前記遠位封止部にかかる力を検知するようにさらに構成されている、請求項12に記載の超音波器具。
【請求項14】
前記センサが、電気活性材料、圧電構成要素、歪み計、又は強誘電素子を含む、請求項13に記載の超音波器具。
【請求項15】
前記センサが前記本体内に位置付けられている、請求項8に記載の超音波器具。
【請求項16】
ジェネレータを更に備え、前記センサが前記ジェネレータと通信しており、前記ジェネレータが、前記センサからの入力に応答して前記超音波器具にパワーを送達するように構成されている、請求項1又は8に記載の超音波器具。
【請求項17】
前記センサが、情報を前記ジェネレータに無線で送信するように構成されている、請求項16に記載の超音波器具。
【請求項18】
グルスイッチであって、前記トグルスイッチの移動に応じてクランプアームに関連付けられるクランプ力のレベルを調節するように構成されている、トグルスイッチをさらに備える、請求項1又は8に記載の超音波器具。
【請求項19】
前記トグルスイッチが前記本体上に位置付けられている、請求項18に記載の超音波器具。
【請求項20】
前記音響導波管が、前記トグルスイッチの位置に基づいて所定のパワーレベルで起動されるように構成されている、請求項19に記載の超音波器具。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な外科器具が、組織を(例えば、組織細胞内のタンパク質を変性させることにより)切断及び/又は封止するために超音波周波で振動するブレード要素を有するエンドエフェクタを含む。これらの器具は、電力を超音波振動に変換する1つ又は2つ以上の圧電要素を含んでおり、これらの振動は、音響導波管に沿ってブレード要素に伝達される。切断及び凝固の精度は、操作者の技術によって、並びに電力レベル、ブレード縁角度、組織引張、及びブレード圧力を調節することによって、制御され得る。
【0002】
超音波外科器具の実施例としては、HARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及びHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesが挙げられ、これらはいずれもEthicon Endo−Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)製である。かかるデバイス及び関連する概念の更なる実施例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1994年6月21日発行の「Clamp Coagulator/Cutting System for Ultrasonic Surgical Instruments」と題された米国特許第5,322,055号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1999年2月23日発行の「Ultrasonic Clamp Coagulator Apparatus Having Improved Clamp Mechanism」と題された米国特許第5,873,873号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1999年11月9日発行の「Ultrasonic Clamp Coagulator Apparatus Having Improved Clamp Arm Pivot Mount」と題された米国特許第5,980,510号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2001年9月4日発行の「Method of Balancing Asymmetric Ultrasonic Surgical Blades」と題された米国特許第6,283,981号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2001年10月30日発行の「Curved Ultrasonic Blade having a Trapezoidal Cross Section」と題された米国特許第6,309,400号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2001年12月4日発行の「Blades with Functional Balance Asymmetries for use with Ultrasonic Surgical Instruments」と題された米国特許第6,325,811号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2002年7月23日発行の「Ultrasonic Surgical Blade with Improved Cutting and Coagulation Features」と題された米国特許第6,423,082号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2004年8月10日発行の「Blades with Functional Balance Asymmetries for Use with Ultrasonic Surgical Instruments」と題された米国特許第6,773,444号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2004年8月31日発行の「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題された米国特許第6,783,524号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2011年11月15日発行の「Ultrasonic Surgical Instrument Blades」と題された米国特許第8,057,498号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年6月11日発行の「Rotating Transducer Mount for Ultrasonic Surgical Instruments」と題された米国特許第8,461,744号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2013年11月26日発行の「Ultrasonic Surgical Instrument Blades」と題された米国特許第8,591,536号、及び、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年1月7日発行の「Ergonomic Surgical Instruments」と題された米国特許第8,623,027号に開示されている。
【0003】
超音波外科器具の更なる実施例は、以下に開示されている:その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2006年4月13日公開の「Tissue Pad for Use with an Ultrasonic Surgical Instrument」と題された米国特許出願公開第2006/0079874号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年8月16日公開の「Ultrasonic Device for Cutting and Coagulating」と題された米国特許出願公開第2007/0191713号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年12月6日公開の「Ultrasonic Waveguide and Blade」と題された米国特許出願公開第2007/0282333号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年8月21日公開の「Ultrasonic Device for Cutting and Coagulating」と題された米国特許出願公開第2008/0200940号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年9月25日公開の「Ultrasonic Surgical Instruments」と題された米国特許出願公開第2008/0234710号、及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年3月18日公開の「Ultrasonic Device for Fingertip Control」と題された米国特許出願公開第2010/0069940号に開示されている。
【0004】
一部の超音波外科器具は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年5月10日公開の「Recharge System for Medical Devices」と題された米国特許出願公開第2012/0112687号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2012年5月10日公開の「Surgical Instrument with Charging Devices」と題された米国特許出願公開第2012/0116265号、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年11月5日出願の「Energy−Based Surgical Instruments」と題された米国特許出願公開第61/410,603号に開示されているもののようなコードレストランスデューサを備え得る。
【0005】
更に、いくつかの超音波外科器具は、関節運動シャフト部分を含み得る。かかる超音波外科器具の実施例は、以下の特許文献に開示されている:その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年1月2日公開の、「Surgical Instruments with Articulating Shafts」と題された米国特許出願公開第2014/0005701号、及びその開示が参照により本明細書に組み込まれる、2014年4月24日公開の「Flexible Harmonic Waveguides/Blades for Surgical Instruments」と題された米国特許出願公開第2014/0114334号に開示されている。
【0006】
いくつかの外科器具及びシステムが作製され使用されてきたが、本発明者らよりも以前に、添付の「特許請求の範囲」に記載する本発明を作製又は使用したものは存在しないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書は、本技術を具体的に指摘し、かつ明確にその権利を特許請求する、「特許請求の範囲」によって完結するが、本技術は、以下の特定の実施例の説明を添付図面と併せ読むことで、より良く理解されるものと考えられ、図面では、同様の参照符号は、同じ要素を特定する。
図1】例示的な外科システムのブロック概略図を示す。
図2図1のシステムの器具がとり得る例示的な形態の側面図を示す。
図3図1のシステムの器具がとり得る例示的な代替形態の側面図を示す。
図4A】第1の部分的に閉じたクランプ構成にある器具のエンドエフェクタを示す、図3の線4−4に沿って切り取った図3の器具の断面図を示す。
図4B】第2の部分的に閉じたクランプ構成にあるエンドエフェクタを示す、図3の線4−4に沿って切り取った図3の器具の断面図を示す。
図4C】完全に閉じたクランプ構成にあるエンドエフェクタを示す、図3の線4−4に沿って切り取った図3の器具の断面図を示す。
図5図3の線5−5に沿って切り取った図3の器具の断面図を示す。
図6図1のシステムの器具がとり得る別の例示的な代替形態の側面図を示す。
図7図6の器具の第1の組の内部構成要素の概略図を示す。
図8図6の器具の第2の組の内部構成要素の概略図を示す。
図9図6の器具に組み込まれ得る例示的なバネ圧縮機構を示す。
図10図6の器具に組み込まれ得る例示的な代替のバネ圧縮機構を示す。
図11図1のシステムの器具がとり得る別の例示的な代替形態の側面図を示す。
図12図11の器具の上面図を示す。
【0008】
図面は、いかなる様式でも限定することを意図するものではなく、本技術の様々な実施形態は、必ずしも図面に示されないものも含め、様々な他の方法で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成す添付の図面は、本技術のいくつかの態様を示しており、その説明と共に本技術の原理を説明するのに役立つものであるが、本技術は、図示される厳密な配置構成に限定されないことが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本技術の特定の実施例に関する以下の説明は、本技術の範囲を限定するために用いられてはならない。本技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、実例として、本技術を実施する上で想到される最良の態様の1つである以下の説明より当業者には明らかとなろう。理解されるように、本明細書に述べられる技術は、いずれもその技術から逸脱することなく、他の異なる明らかな態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0010】
本明細書に述べられる教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ又は2つ以上のものを、本明細書に述べられる他の教示、表現、実施形態、実施例などの任意の1つ又は2つ以上のものと組み合わせることができる点も更に理解されよう。したがって、以下に述べられる教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して個別に考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な適当な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。かかる改変例及び変形例は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0011】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書において、遠位外科エンドエフェクタを有する外科器具を把持する操作者又は他の操作者に対して定義される。「近位」という用語は、当該操作者又は他の操作者により近い要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科器具の外科エンドエフェクタにより近く、かつ当該操作者又は他の操作者からより離れた要素の位置を指す。
【0012】
I.例示的な超音波外科システムの概説
図1は、例示的な外科システム(10)の構成要素を図形的ブロック形態で示したものである。示されるように、システム(10)は、超音波ジェネレータ(12)及び超音波外科器具(20)を備える。以下でより詳細に記載されるように、器具(20)は、超音波振動エネルギーを使用して、実質的に同時に、組織を切開し、組織(例えば、血管など)を封着又は接合するように動作可能である。ジェネレータ(12)及び器具(20)は、ケーブル(14)を介して一緒に連結されている。ケーブル(14)は、複数の導線を備えてもよく、ジェネレータ(12)から器具(20)への一方向の電気的導通、及び/又はジェネレータ(12)と器具(20)との間の双方向の電気的導通を与えることができる。あくまで一実施例として、ケーブル(14)は、外科器具(20)への電力のための「熱」線、アース線、及び外科器具(20)から超音波ジェネレータ(12)に信号を送信するための信号線を備えてもよく、シールドが3本の導線を覆っている。いくつかの変形形態において、別個の起動電圧に対して別個の「熱」線が使用される(例えば、第1の起動電圧に対して1本の「熱」線が使用され、第2の起動電圧に対して別の「熱」線が使用されるか、又はこれらの導線間で要求される出力に比例した可変電圧が使用される、など)。当然のことながら、任意のその他の好適な数又は構成の導線が使用されてもよい。ケーブル(14)が単に省略され得るように、システム(10)のいくつかの変形例が、ジェネレータ(12)を器具(20)内に組み込むことができることも理解されたい。
【0013】
単なる一実施例として、ジェネレータ(12)は、Ethicon Endo−Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)により販売されているGEN04、GEN11、又はGEN300を含み得る。更に又は代替として、ジェネレータ(12)は、2011年4月14日公開の「Surgical Generator for Ultrasonic and Electrosurgical Devices」と題された米国特許出願公開第2011/0087212号の教示の少なくともいくつかに従って構築され得、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。代替的に、任意の他の好適なジェネレータ(12)が使用されてもよい。以下でより詳細に記載されるように、ジェネレータ(12)は、電力を器具(20)に供給して超音波外科手術を行うように動作可能である。
【0014】
器具(20)は、外科手術中にオペレータの片手(又は両手)で握られ、かつ当該オペレータの片手(又は両手)で操作されるように構成されたハンドピース(22)を含む。例えば、いくつかの変形例では、ハンドピース(22)は、オペレータによって鉛筆のように握られ得る。他のいくつかの変形例では、ハンドピース(22)は、オペレータによって鉛筆のように握られ得るハサミグリップを含んでもよい。他のいくつかの変形例では、ハンドピース(22)は、オペレータによってピストルのように握られ得るピストルグリップを含んでもよい。ハンドピース(22)が他の任意の好適な握り方で握られるように構成されてもよいことは言うまでもない。更に、器具(20)のいくつかの変形例では、ハンドピース(22)の代わりに、器具を(例えば、遠隔制御などを介して)動作させるように構成されたロボット外科システムに連結された本体を使用することができる。本実施例では、ブレード(24)がハンドピース(22)から遠位に延在している。ハンドピース(22)は、超音波トランスデューサ(26)、及び超音波トランスデューサ(26)をブレード(24)と連結する超音波導波管(28)を含む。超音波トランスデューサ(26)は、ケーブル(14)を介してジェネレータ(12)から電力を受け取る。超音波トランスデューサ(26)は、その圧電特性により、かかる電力を超音波振動エネルギーに変換するように動作可能である。
【0015】
超音波導波管(28)は、可撓性、半可撓性、剛性のものであってもよいか、又は任意の他の好適な性質を有してもよい。上述のように、超音波トランスデューサ(26)は、超音波導波管(28)を介してブレード(24)と一体的に連結されている。具体的には、超音波トランスデューサ(26)が超音波周波数で振動するように起動している場合、かかる振動は、超音波導波管(28)を介してブレード(24)に伝達されて、ブレード(24)も超音波周波数で振動することになる。ブレード(24)が起動状態である(すなわち、超音波的に振動している)場合、ブレード(24)は、組織を効果的に切断し、組織を封着するように動作可能である。したがって、超音波トランスデューサ(26)、超音波導波管(28)、及びブレード(24)は、ジェネレータ(12)によって電力供給される際に外科手術を行うための超音波エネルギーを供給する音響アセンブリを一緒に形成する。ハンドピース(22)は、トランスデューサ(26)、超音波導波管(28)、及びブレード(24)によって形成される音響アセンブリの振動からオペレータを実質的に隔離するように構成されている。
【0016】
いくつかの変形例において、超音波導波管(28)は、超音波導波管(28)を介してブレード(24)に伝達される機械的振動を増幅してもよい。超音波導波管(28)は、超音波導波管(28)に沿った長手方向振動の利得を制御するための特徴部、及び/又は超音波導波管(28)をシステム(10)の共振周波数と同調させるための特徴部を更に有してもよい。例えば、超音波導波管(28)は、ほぼ均一な断面などの任意の好適な断面寸法/構成を有してもよく、様々な部分で先細になっていてもよく、その全長に沿って先細になっていてもよく、又は任意の他の好適な構成を有してもよい。超音波導波管(28)は、例えば、システムの波長の1/2の整数倍にほぼ等しい長さ(nλ/2)を有してもよい。超音波導波管(28)及びブレード(24)は、チタン合金(すなわち、Ti−6Al−4V)、アルミニウム合金、サファイア、ステンレス鋼、又は任意の他の音響的に適合した材料若しくは材料の組み合わせなどの、超音波エネルギーを効率的に伝搬する材料又は材料の組み合わせから構築されたソリッドコアシャフトから製作されてもよい。
【0017】
本実施例では、ブレード(24)の遠位端は、組織による負荷が音響アセンブリに加えられていないとき、好ましい共振周波数fに音響アセンブリを同調させるために、導波管(28)を介して伝達される共振超音波振動に関連するアンチノードに対応する位置に(すなわち、音響アンチノードに)位置する。トランスデューサ(26)が通電されると、ブレード(24)の遠位端は、例えば、ピーク間で約10〜500マイクロメートル、場合によっては、例えば、55.5kHzの所定の振動周波数fにて約20〜約200マイクロメートルの範囲で長手方向に移動するように構成されている。本実施例のトランスデューサ(26)が起動しているとき、これらの機械的な振動は、ブレード(24)に到達するように導波管(28)を介して伝達され、それにより共振超音波周波数でブレード(24)の振動をもたらす。このため、ブレード(24)の超音波振動が、組織の切断と隣接した組織細胞内のタンパク質の変性とを同時に行い、それにより比較的少ない熱拡散で凝固効果を提供することができる。いくつかの変形例において、組織を焼灼するために、電流もまたブレード(24)を介して提供されてもよい。
【0018】
あくまで一実施例として、超音波導波管(28)及びブレード(24)は、Ethicon Endo−Surgery,Inc.(Cincinnati,Ohio)により製品コードSNGHK及びSNGCBとして販売されている構成要素を備えてもよい。あくまで更なる一実施例として、超音波導波管(28)及び/又はブレード(24)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2002年7月23日発行の「Ultrasonic Surgical Blade with Improved Cutting and Coagulation Features」と題された米国特許第6,423,082号の教示に従って構築されてもよく、動作可能であり得る。別のあくまで例示的な実施例として、超音波導波管(28)及び/又はブレード(24)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、1994年6月28日発行の「Ultrasonic Scalpel Blade and Methods of Application」と題された米国特許第5,324,299号の教示に従って構築されてもよく、動作可能であり得る。超音波導波管(28)及びブレード(24)の他の好適な特性及び形態が、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。
【0019】
本実施例のハンドピース(22)はまた、制御セレクタ(30)及び作動スイッチ(32)も含み、これらはそれぞれ回路基板(34)と通信している。あくまで一実施例として、回路基板(34)は、従来の回路基板、フレックス回路、リジッドフレックス回路を備えてもよく、又は任意の他の好適な構造を有してもよい。制御セレクタ(30)及び起動スイッチ(32)は、1つ若しくは2つ以上の導線、回路基板若しくはフレックス回路に形成された配線を介して、及び/又は任意の他の好適な方法で、回路基板(34)と連通することができる。回路基板(34)は、ケーブル(14)と連結されており、ケーブル(14)は、次いで、ジェネレータ(12)内の制御回路(16)と連結されている。起動スイッチ(32)は、超音波トランスデューサ(26)への電源を選択的に起動するように動作可能である。特に、スイッチ(32)が起動すると、かかる起動によってケーブル(14)を介して超音波トランスデューサ(26)に適切な電力が伝達される。あくまで一実施例として、起動スイッチ(32)は、本明細書で引用される様々な参照文献の教示のうちのいずれかに従って構築されてもよい。起動スイッチ(32)がとり得る他の様々な形態は、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。
【0020】
本実施例では、外科システム(10)は、少なくとも2つの異なるレベル又は種類の超音波エネルギー(例えば、異なる周波数及び/又は振幅など)をブレード(24)において供給するように動作可能である。そのために、制御セレクタ(30)は、操作者が所望のレベル/振幅の超音波エネルギーを選択することができるように動作可能である。あくまで一実施例として、制御セレクタ(30)は、本明細書で引用される様々な参照文献の教示のうちのいずれかに従って構築されてもよい。制御セレクタ(30)がとり得る他の様々な形態は、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。いくつかの変形例において、操作者が制御セレクタ(30)によって選択を行う場合、操作者の選択は、ケーブル(14)を介してジェネレータ(12)の制御回路(16)に戻して伝達され、これに従って、次回操作者が起動スイッチ(32)を作動させるときに、制御回路(16)がジェネレータ(12)から伝達される電力を調節する。
【0021】
ブレード(24)において供給される超音波エネルギーのレベル/振幅は、ジェネレータ(12)からケーブル(14)を介して器具(20)に伝達される電力の特性の関数であり得ることを理解されたい。したがって、ジェネレータ(12)の制御回路(16)は、制御セレクタ(30)を通じて選択された超音波エネルギーのレベル/振幅又は種類に関連した特性を有する電力を(ケーブル(14)を介して)供給することができる。したがって、ジェネレータ(12)は、制御セレクタ(30)を介して操作者によって行われる選択に基づいて異なる種類又は程度の電力を超音波トランスデューサ(26)に伝達するように動作可能であり得る。具体的には、かつあくまで一実施例として、ジェネレータ(12)は、印加される信号の電圧及び/又は電流を増大させて、音響アセンブリの長手方向振幅を増大させることができる。あくまで例示的な一実施例として、ジェネレータ(12)は、それぞれ、約50マイクロメートル及び約90マイクロメートルのブレード(24)の振動共振振幅に対応し得る「レベル1」と「レベル5」との間の選択可能性を提供することができる。制御回路(16)が構成され得る様々な方法は、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。制御セレクタ(30)及び起動スイッチ(32)の代わりに、2つ又は3つ以上の起動スイッチ(32)が使用され得ることも理解されたい。いくつかのかかる変形例では、ある起動スイッチ(32)は、ある電力レベル/種類でブレード(24)を起動させるように動作可能である一方で、別の起動スイッチ(32)は、別の電力レベル/種類などでブレード(24)を起動させるように動作可能である。
【0022】
いくつかの代替変形例では、制御回路(16)はハンドピース(22)内に位置する。例えば、いくつかのかかる変形例では、ジェネレータ(12)は1つのタイプの電力のみ(例えば、利用可能な1つの電圧及び/又は電流のみ)をハンドピース(22)に送信し、ハンドピース(22)内の制御回路(16)は、電力が超音波トランスデューサ(26)に到達する前に、制御セレクタ(30)を介してオペレータによって行われる選択に従って電力(例えば、電力の電圧)を修正するように動作可能である。更に、ジェネレータ(12)は、外科システム(10)の他のすべての構成要素と共にハンドピース(22)内に組み込まれてもよい。例えば、1つ又は2つ以上の電池(図示せず)又は他の携帯型電源がハンドピース(22)内に設けられてもよい。図1に示される構成要素が再配置されるか、又は他の方法で構成若しくは修正され得る更なる他の好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。
【0023】
II.例示的な超音波外科器具の概要
以下の考察は、器具(20)の様々な例示的な構成要素及び構成に関するものである。以下に記載される器具(20)の様々な実施例を、上述の外科システム(10)に容易に組み込むことができることを理解されたい。また、前述した器具(20)の種々の構成要素及び動作性が、後述する器具(110)の例示的な変形例内に容易に組み込まれ得ることも理解されたい。上記及び下記の教示を組み合わせ得る様々な好適な方法が、本明細書の教示を考慮することにより当業者に明らかになるであろう。また、以下の教示が、本明細書で引用される参考文献の様々な教示と容易に組み合わせられ得ることも理解されたい。
【0024】
図2は、例示的な超音波外科器具(110)を示す。器具(110)の少なくとも一部は、米国特許第5,322,055号、米国特許第5,873,873号、米国特許第5,980,510号、米国特許第6,325,811号、米国特許第6,773,444号、米国特許第6,783,524号、米国特許第8,461,744号、米国特許出願公開第2009/0105750号、米国特許出願公開第2006/0079874号、米国特許出願公開第2007/0191713号、米国特許出願公開第2007/0282333号、米国特許出願公開第2008/0200940号、米国特許出願公開第2010/0069940号、米国特許出願公開第2012/0112687号、米国特許出願公開第2012/0116265号、米国特許出願公開第2014/0005701号、米国特許出願公開第2014/0114334号、米国特許出願公開第14/028,717号、及び/又は米国特許出願公開第61/410,603号の教示の少なくとも一部に従って構築され、動作可能であり得る。前述の特許、特許出願公開、及び特許出願の各々の開示が参照により本明細書に組み込まれる。その中に記載され、以下により詳細に記載されるように、器具(110)は、実質的に同時に、組織を切断し、組織を封着又は接合するように動作可能である。また、器具(110)が、HARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及び/又はHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesとの種々の構造的及び機能的な類似性を有し得ることも理解されたい。更に、器具(110)は、本明細書で引用され、参照により本明細書に組み込まれる他の参考文献のうちのいずれかにおいて教示される装置の種々の構造的及び機能的な類似性を有し得る。
【0025】
本明細書に引用される参考文献の教示と、HARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及び/又はHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesの教示と、器具(110)に関する以下の教示との間に何らかの重複が存在する範囲で、本明細書のいかなる記述も従来技術として認められたものであるとみなす意図はない。本明細書のいくつかの教示は、事実、本明細書に引用した参考文献、並びにHARMONIC ACE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC WAVE(登録商標)Ultrasonic Shears、HARMONIC FOCUS(登録商標)Ultrasonic Shears、及びHARMONIC SYNERGY(登録商標)Ultrasonic Bladesの教示の範囲を超えるであろう。
【0026】
本実施例の器具(110)は、ハンドルアセンブリ(120)と、シャフトアセンブリ(130)と、エンドエフェクタ(140)とを備える。ハンドルアセンブリ(120)は、ピストルグリップ(124)と、一対のボタン(126)と、を含む本体(22)を備える。ハンドルアセンブリ(120)は、ピストルグリップ(124)に向かうように、またそれから離れるように枢動可能なトリガ(128)を更に含む。しかしながら、はさみグリップ構成などが挙げられるがこれに限定されない、種々の他の好適な構成が使用され得ることを理解されたい。エンドエフェクタ(140)は、超音波ブレード(160)と、枢動クランプアーム(144)と、を含む。超音波ブレード(160)は、上述の超音波ブレード(24)と同様に構成され、動作可能であり得る。
【0027】
クランプアーム(144)は、シャフトアセンブリ(130)を形成する内側管及び外側管に枢動可能に連結されている。かかる内側管及び外側管の構成は、本明細書に引用される種々の参考文献の教示に従って構成され得る。クランプアーム(144)は、トリガ(128)と更に連結されている。トリガ(128)は、シャフトアセンブリ(130)の管のうちの一方を、シャフトアセンブリ(130)の他方の管が静止してとどまる間に、長手方向に駆動するように動作可能である。シャフトアセンブリ(130)の管間のこの相対的な長手方向の移動は、クランプアーム(144)の枢軸運動をもたらす。クランプアーム(144)は、したがって、ピストルグリップ(124)の向かってのトリガ(128)の枢動に応答して、超音波ブレード(160)に向かって枢動可能であり、また、クランプアーム(144)は、ピストルグリップ(124)から離れるようなトリガ(128)の枢動に応答して、超音波ブレード(160)から離れるように枢動可能である。クランプアーム(144)はそれによって、超音波ブレード(160)と協働して組織を把持及び解放するように動作可能であり、また、クランプアーム(144)は、超音波ブレード(160)に対して組織を圧迫して、それによって超音波ブレード(160)から組織への超音波振動の伝達を向上させるように更に動作可能である。本明細書の教示を考慮すれば、クランプアーム(144)をトリガ(128)と連結させ得る様々な好適な手段が当業者に明らかであろう。いくつかの変形例では、1つ又は2つ以上の弾性部材が、クランプアーム(144)及び/又はトリガ(128)を図2に示す開位置に付勢するために使用される。
【0028】
超音波トランスデューサアセンブリ(112)は、ハンドルアセンブリ(120)の本体(122)から近位に延在する。トランスデューサアセンブリ(112)は、上述のトランスデューサ(26)と同様に構成され、動作可能であり得る。トランスデューサアセンブリ(112)は、ケーブル(114)を介してジェネレータ(116)に連結される。トランスデューサアセンブリ(112)は、ジェネレータ(116)から電力を受信して、圧電原理によってその電力を超音波振動に変換することを理解されたい。ジェネレータ(116)は、上述のジェネレータ(12)と同様に構成され、動作可能であり得る。ジェネレータ(116)は、したがって、電源、及びトランスデューサアセンブリ(112)による超音波振動の生成に特に適した電力プロフィールをトランスデューサアセンブリ(112)に提供するように構成されている制御モジュールを含み得る。更に、ジェネレータ(116)の機能の少なくとも一部がハンドルアセンブリ(120)に組み込まれていてもよく、またハンドルアセンブリ(120)は更に電池又は他の搭載された電源を含んで、その結果ケーブル(114)を省略してよいことも理解されたい。ジェネレータ(116)がとり得る更に他の好適な形態、並びにジェネレータ(116)が提供し得る種々の機能及び動作性が、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0029】
図2に示すように、ボタン(126)のうちの一方は、「封止」モードに関連付けられ得、それにより、ボタン(126)のうちのこの特定のボタンの作動は、組織がクランプアーム(144)とブレード(160)との間にクランプされるときに、組織の封止のみを行い、組織の切断は行わないようになっている。特に、ボタン(136)のうちの第1のボタンの起動は、比較的低い振幅での超音波ブレード(160)の振動を引き起こし得る。同様に、更なる実施例として、ボタン(126)のうちの他方は、「切断及び封止」モードに関連付けられ得、それにより、ボタン(126)のうちのこの特定のボタンの作動は、組織がクランプアーム(44)とブレード(160)との間にクランプされているときに、組織を封止及び切断し得る。特に、ボタン(136)のうちの第2のボタンの起動は、比較的高い振幅での超音波ブレード(160)の振動を引き起こし得る。ボタン(126)に関連付けられ得る他の好適な動作モードが、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0030】
III.例示的な代替の外科器具
器具(110)などの器具は、上述のように組織の切断及び封止に有効であるが、いくつかの実例では、組織の処置を最適化するために、組織に様々な量のエネルギー又はクランプ力を送達することを必要とし得る。例えば、より厚い又は密度の高い組織は、より薄い又は密度の低い組織よりも切断及び/又は封止により多くのエネルギーを必要とし得る。また、処置されている組織が初期の封止されていない状態から封止された状態に変化するにつれて、組織の厚さは減少し得、組織が薄くなるほど切断及び/又は封止に必要とされるエネルギーは少なくなる。組織特性を監視するのに加えて、望ましくない量の発熱を防止するために、組織とブレード(24、160)との間の摩擦に起因する組織の熱的特性を監視することが望ましくあり得る。組織処置を監視し、器具(20、110)の出力を調節するために使用され得る機能の種々の実施例が、下記により詳細に記載される。
【0031】
A.超音波ブレードのたわみを検出するためのセンサを備えた器具
図3図5は、上述の器具(110)と実質的に同様の例示的な代替の器具(210)を示す。したがって、同一又は同様の構造は、下記で更なる説明なしに同様の参照番号で標示される。したがって、器具(210)は、器具(20)の形態としてシステム(10)に容易に組み込まれ得ることを理解されたい。本実施例の器具(210)は、上述のハンドルアセンブリ(120)のようなハンドルアセンブリ(220)を含む。ハンドルアセンブリ(220)は、超音波トランスデューサ(112)を受容するように構成されている。図3には示していないが、トランスデューサ(112)は、ケーブル(14)を介してジェネレータ(12、116)と通信していてもよいことを理解されたい。シャフトアセンブリ(230)は、ハンドルアセンブリ(220)から遠位に延在する。シャフトアセンブリ(230)は、上述のエンドエフェクタ(140)と実質的に同一に構成され、動作可能なエンドエフェクタ(140)を含む。しかしながら、本実施例のシャフトアセンブリ(230)は、エンドエフェクタ(140)との使用に限定されないことを理解されたい。単なる実施例として、シャフトアセンブリ(230)は代わりに、組織に電気外科エネルギーを印加するように動作可能なエンドエフェクタ、組織にステープルを適用するように動作可能なエンドエフェクタ、組織に縫合を適用するように動作可能なエンドエフェクタ、組織にクリップを適用するように動作可能なエンドエフェクタなどと容易に組み合わされてもよい。
【0032】
シャフトアセンブリ(230)はシャフトアセンブリ(130)と同様であり、このため、それは外側管(232)、管腔(236)を画成する内側管(233)、管(232、233)内に同軸状に配設された導波管(28)、及び管腔(236)の近位部分を封止する遠位封止部材(234)を含む。更に、図5に最も良く示されように、遠位封止部(234)は、遠位封止部(234)に動作可能に連結されているセンサ(238)を含む。遠位封止部(234)の内側開口部(240)は、導波管(28)の外側部分(例えば外径)と接触しているので、導波管(28)の振動(oscillation)に起因する導波管(28)の振動(vibrations)は、遠位封止部(234)、ひいてはセンサ(238)に音響的かつ機械的に伝達される。本実施例では、センサ(238)は、遠位封止部(234)に埋め込まれている。しかしながら、センサ(238)は、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう他の好適な方法で、遠位封止部(234)に連結され又はそれと通信していてもよい。示される実施例では、センサ(238)は、超音波ブレード(160)の横方向のたわみのレベルを検出するように構成され、そこからセンサ(238)は、ブレード(160)が組織と相互作用する間に経験する圧力を判定し得る。
【0033】
本実施例では、センサ(238)は電気活性材料を含む。好適な電気活性材の種々の実施例が、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。他の実施例では、センサ(238)は、グラフェンなどの好適な材料でできた、ひずみゲージ、圧電センサ、強誘電体センサ、感圧層などの他の種類のセンサ、及び/又は任意の他の好適な種類(複数可)のセンサを含み得る。センサ(238)がとり得る他の好適な形態が、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。示される実施例では、単一の種類のセンサ(238)が1つのみ存在する。しかしながら、別の実施例では、単一の種類のセンサ(238)が複数存在してもよく、又は複数の種類のセンサ(238)が複数存在してもよい。
【0034】
センサ(238)は、ワイヤ(240)から、ジェネレータ(12、116)と電気通信している接触リング(242)を介して、検知されたたわみ及び/又は圧力をジェネレータ(12、116)に通信する。接触リング(242)がワイヤ(240)とジェネレータ(12、116)との間の電気通信を提供するように示されているが、他の実施例では、線(240)とジェネレータ(12、116)との間の電気通信を提供する他の好適な構造が存在してもよい。いくつかの実施例では、ワイヤ(240)は省略される。かかる実施例では、センサ(238)は、既知の構成要素及び様式を用いて、検知されたたわみ及び/又は圧力をジェネレータ(12、116)に無線で通信し得る。いくつかの実施例では、検知されたたわみは、器具(210)内に位置するコントローラ(図示せず)に通信され得、コントローラが、次いでたわみデータをたわみデータに関連付けられる圧力レベルに変換し、次いで圧力レベルをジェネレータ(12、116)に通信する。
【0035】
ジェネレータ(12、116)は、ジェネレータ(12、116)に通信された圧力レベルに基づいて、機器(210)に所定のパワープロフィールを送達するように構成されている。実施例として、組織が処置されるにつれて、組織状態は、初期の封止されていない状態(例えば、図4A)から、凝固又は部分的に封止された状態(例えば、図4B)、封止された状態(例えば、図4C)に変化し、組織の厚さは、これらの組織状態の移行を通じて減少する。クランプアーム(144)とブレード(160)との間にクランプされている組織の厚さが減少するにつれて、ブレード(160)が経験する組織からの圧力は減少し、結果としてブレード(160)のたわみが減少する。したがって、ブレード(160)が経験する圧力の値は、組織の状態の情報プロキシとして機能し得る。低下した圧力の信号がジェネレータ(12、116)に通信されると、ジェネレータ(12、116)は、いくつかの実施例において、器具(210)に送達されるパワーを減少させ得る。これにより、ブレード(160)による組織への超音波パワーの伝達を低減し得る。
【0036】
いくつかの実施例では、送達されるパワーレベルの変化は、検知された圧力レベルに応じて線形的に連続的であってもよい。すなわち、検知された圧力レベルが増加する又は減少するにつれて、器具(210)に送達されるパワーのレベルは、それぞれ連続的に線形的に増加又は減少する。代替的に、機器(210)に送達されるパワーのレベルは、段階的様式で調節されてもよい。特に、検知された圧力レベルが閾値圧力レベル間で増加する又は減少するにつれて、器具(210)に送達されるパワーのレベルは、種々の個別に段階的なパワーのレベルのうちでそれぞれ増加又は減少し得る。また、いくつかの実施例では、ジェネレータ(12、116)は、封止された、切断及び封止された、又はパワーの供給を停止することが望ましい他の状態にある組織に関連付けられる圧力レベルを示す信号を受信する場合、パワーの供給を完全に停止し得る。特定の検知された圧力レベルに関連付けられるかかるパワーレベル及び設定は、ジェネレータ(12、116)のメモリに記憶されてもよい。
【0037】
示される実施例では、ジェネレータ(12、116)又は器具(210)は、検知された圧力レベルに基づいて組織の状態を操作者に通信し得る。例えば、ジェネレータ(12、116)又は器具(210)は、検知された圧力レベルに基づいて、組織が初期状態、部分的に封止された状態、封止された状態、切断及び封止された状態、又は本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう別の組織状態にあることの指示を、操作者に提供し得る。操作者への指示は、視覚、音声、物理(例えば、触覚)、任意の他の好適な指示モード、又はそれらの組み合わせであってよい。
【0038】
B.クランプ力を検知するための圧力センサを含む外科器具
図6図8は、外科器具(110)と実質的に同様に動作するように構成されている例示的な代替の器具(310)を示す。したがって、同一又は同様の構造は、下記で更なる説明なしに同様の参照番号で標示される。器具(310)は、器具(20)の形態としてシステム(10)に容易に組み込まれ得ることを理解されたい。エンドエフェクタは図6に示されていないが、器具(310)は、上述のエンドエフェクタ(140)のようなエンドエフェクタを含む。下記により詳細に考察されるように、器具(310)は、エンドエフェクタ(140)によってクランプされている組織をクランプすることに関連付けられる、様々な特性を検知するように構成され、そして、検知された特性に基づいて、特定量のパワーを超音波ブレード(160)に送達するように構成されている。
【0039】
示されるように、器具(310)は、上述のハンドルアセンブリ(120)のようなハンドルアセンブリ(320)を含む。特に、ハンドルアセンブリ(320)は、トリガ(128)、トリガ(124)、及びトリガ(124)に動作可能に連結されている一連のリンク(322a、322b)を含む。リンク(322a、322b)は、クランプアーム(144)がピストルグリップ(128)に対するトリガ(124)の枢動運動に応答して枢動するように、トリガ(124)をクランプアーム(144)に動作可能に連結する。ハンドルアセンブリ(320)はまた、リンク(322b)に連結されている作動リング(324)も含む。リニアドライバ(328)が、作動リング(324)内に同軸状に位置付けられており、ハンドルアセンブリ(320)に対して長手方向に平行移動するように動作可能である。リニアドライバ(328)の遠位端は、リニアドライバ(328)の長手方向の平行移動が、ブレード(160)に向かっての及びそこから離れるようなクランプアーム(144)の枢動運動をもたらすように、クランプアーム(144)に枢動可能に連結されている。リニアドライバ(328)の近位端は、一体型の外側に延在するフランジ(327)を含む。いくつかの変形例では、リニアドライバ(328)は、シャフトアセンブリ(130)の一部を形成する内側管又は外側管を含む。バネスタック(326)が、作動リング(324)とフランジ(327)との間に位置付けられている。下記により詳細に記載されるように、バネスタック(326)は、作動リング(324)の長手方向の平行移動をフランジ(327)に伝えるように動作可能であり、それによってリニアドライバ(328)を所定の力閾値まで平行移動させる。
【0040】
リンク(322a)の遠位端は、枢動点(330)でトリガ(124)に枢動可能に連結されている一方で、リンク(322a)の近位端は、リンク(322b)の近位端に連結されている。作動リング(324)が、リンク(322b)の遠位端に固定されている。本実施例では、バネ(329)が、リンク(322b)を遠位方向に付勢することにより、作動リング(324)を遠位方向に付勢する。本実施例では、バネ(329)は、引張コイルバネを含むが、他の実施例では、任意の好適な種類の弾性部材を含んでもよい。トリガ(124)、リンク(322a、322b)、作動リング(324)、及びリンクシステム(328)間の連結により、バネ(329)の付勢力を克服するのに十分な力でのトリガ(124)の作動が、作動リング(324)の近位方向の平行移動をもたらすことを理解されたい。同様に、トリガ(124)に対する十分な力を解除すると、作動リング(324)は、バネ(329)の弾性付勢力に応答して遠位位置に戻る。
【0041】
上述のように、バネスタック(326)は、作動リング(324)の長手方向の平行移動をフランジ(327)に伝えるように動作可能であり、それによってリニアドライバ(328)を所定の力閾値作動まで平行移動させることで、バネスタック(326)が作動リング(324)からフランジ(327)への力の伝達に対する力制限部として作用するようになっている。換言すると、バネスタック(326)は、トリガ(124)がピストルグリップ(128)に向かって枢動運動することに応答してクランプアーム(144)に伝達され得る、クランプ力の量を制限するように構成されている。本実施例では、バネスタック(326)は、同軸状に整列された波バネのスタックを含む。しかしながら、他の実施例では、バネスタック(326)は、任意の好適な種類の弾性部材(複数可)及び配置を含み得る。
【0042】
クランプアーム(144)をブレード(160)に向かって枢動させるバネ(329)の付勢力を克服することに加えて、クランプアーム(144)はまた、特にクランプアーム(144)とブレード(160)との間での組織のクランプ中に、組織からブレード(160)に向かって閉じる又は枢動することに抗う抵抗力を受ける。したがって、クランプアーム(144)は、クランプアーム(144)が組織をブレード(160)に対して圧迫するときに、クランプ作用に対してある程度の機械的抵抗力を提供し得る。バネスタック(326)は、クランプアーム(144)がある特定の所定の閾値までの機械抵抗力を提供するときに作動リング(324)の線形運動をフランジ(327)に完全に伝達するのに十分な剛性を有する。機械的抵抗力がこの閾値を下回る場合、バネスタック(326)は圧縮しない。しかしながら、クランプアーム(144)が閾値を超える機械的抵抗力を提供すると、バネスタック(326)は圧縮し始め、それにより、トリガ(124)の更なる枢動運動は、フランジ(324)又はリニアドライバ(328)の更なる近位移動をもたらすことなく、作動リング(324)の更なる近位移動をもたらす。このバネスタック(326)の圧縮は、器具(310)の構成要素への過度の損傷及び/又はエンドエフェクタ(140)によって圧迫されている組織への過度の損傷を防止し得る。バネスタック(326)を通して提供され得る種々の好適な力閾値が、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0043】
本実施例の器具(310)は、組織のクランプ中にクランプアーム(144)が経験するクランプ力を検知するように構成されている複数のセンサ(340、342、344、346)を更に含む。示される実施例では、センサ(340、342、344、346)は各々、圧力センサであるが、他の実施例では、センサのうちの1つ又は2つ以上は、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう他の好適な種類のセンサであってもよい。示されるように、センサ(340、342、344、346)は4つあるが、センサ(340、342、344、346)は、1つ、2つ、若しくは3つのセンサなど、4つよりも少なくてもよく、又は4つよりも多くのセンサがあってもよいことが理解されよう。例えば、バネスタック(326)に動作可能に連結されたセンサ(例えば、センサ(340))が1つのみあってもよい。
【0044】
本実施例では、センサ(340)は、センサが(340)がバネスタック(326)の遠位部分(348)に接触するように作動リング(324)上に位置付けられている。センサ(342)は、センサ(342)がバネスタック(326)の近位部分(350)に接触するようにフランジ(327)上に位置付けられている。したがって、トリガ(124)の作動に応答して作動リング(324)が近位方向に付勢されると、センサ(340、342)は、作動リング(324)からバネスタック(326)に対する、及びバネスタック(326)とフランジ(327)との間の力及び/又は圧力をそれぞれ受ける。センサ(344)は、バネ(329)の遠位で、リンク(322b)の近位端に位置付けられる一方で、センサ(346)は、バネ(329)の遠位に位置付けられ、ハンドルシャフトアセンブリ(320)のハウジングに連結されている。したがって、トリガ(124)が作動されるのに応答してリンク(322b)が近位方向に移動すると、センサ(344、346)は、リンク(322b)からバネ(329)に対する、及びハンドルアセンブリ(320)のハウジングからバネ(329)に対する力を受ける。センサ(340、342、344、346)の他の好適な構成及び位置が、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0045】
器具(310)は、センサ(340、342、344、346)のうちの1つ又は2つ以上により検知されたクランプ力に基づいて、導波管(28)、ひいてはブレード(160)にある量のエネルギーを送達するように構成されている。特に、本実施例では、ジェネレータ(12、116)は、ジェネレータ(12、116)に伝えられる圧力レベルに基づいて、機器(310)に所定のパワープロフィールを送達するように構成されている。より低い圧力レベルがセンサ(340、342、344、346)のうちの1つ又は2つ以上によって検知されると、ジェネレータ(12、116)は、「低」レベルのパワーを送達し、それによってブレード(160)が比較的低いレベルの超音波パワーで振動するようにする。同様に、より高い圧力レベルがセンサ(240、242、244、246)のうちの1つ又は2つ以上によって検知されると、ジェネレータ(12、116)は、「高」レベルのパワーを送達し、それによってブレード(160)が比較的高いレベルの超音波パワーで振動するようにする。「高」及び「低」レベルに関連付けられる好適なパワーの量が、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0046】
上述のように、組織が処置されるにつれて、組織状態は、初期の封止されていない状態(例えば、図4A)から、凝固又は部分的に封止された状態(例えば、図4B)、封止された状態(例えば、図4C)に変化し、組織の厚さは、これらの移行を通じて減少する。クランプアーム(144)とブレード(160)との間にクランプされている組織の厚さが減少するにつれて、組織に対する必要なクランプ力は減少するため、いくつかの実施例において、センサ(340、342、344、346)によって読み取られる圧力レベルは減少し得る。低下した圧力の信号がジェネレータ(12、116)に通信されると、ジェネレータ(12、116)は、器具(310)に送達されるパワーを減少させ得る。いくつかの実施例では、送達されるパワーレベルの変化は、検知された圧力レベルに応じて線形的に連続的であってもよい。すなわち、検知された圧力レベルが増加する又は減少するにつれて、器具(310)に送達されるパワーのレベルは、それぞれ連続的に線形的に増加又は減少する。代替的に、機器(310)に送達されるパワーのレベルは、段階的様式で調節されてもよい。特に、検知された圧力レベルが閾値圧力レベル間で増加する又は減少するにつれて、器具(310)に送達されるパワーのレベルは、種々の個別に段階的なパワーのレベルのうちでそれぞれ増加又は減少し得る。また、いくつかの実施例では、ジェネレータ(12、116)は、封止された、切断及び封止された、又はパワーの供給を停止することが望ましい他の状態にある組織に関連付けられる圧力レベルを示す信号を受信する場合、パワーの供給を完全に停止し得る。特定の検知された圧力レベルに関連付けられるかかるパワーレベル及び設定は、ジェネレータ(12、116)のメモリに記憶されてもよい。
【0047】
パワー出力を変化させて、送達されるエネルギー及び(それ故に摩擦により発生する熱)の量を変更することに加えて、又はその代わりに、クランプアーム(144)のクランプ力を調節してもよいことが理解されよう。これは、当業者であれば理解するであろうが、摩擦による発熱が、等式Q=μ×V×F(式中、μは動摩擦係数であり、Vは表面間の相対速度であり、Fは垂直源(normal source)である)によって定義される故である。したがって、ブレード(160)へのパワー出力を減少又は増加させることによってそれぞれVを減少又は増加させるのではなく、垂直力(すなわち、クランプ力)を減少又は増加させてもよい。例えば、組織の厚さが減少するにつれて、発熱を減少させるために、及び場合によっては、封止のみが所望される場合などに組織の切断を防止するために、クランプ力を減少させることが好ましくあり得る。しかしながら、操作者の技能、又は操作中に操作者に提供される触覚、視覚、若しくは他のフィードバックに完全に依存することなくそれを行うことが好ましくあり得る。
【0048】
図7に示すように、器具(310)は、バネスタック(326)に動作可能に連結されているバネ圧縮機構(360)を含む。示される実施例では、バネ圧縮機構(360)は、バネスタック(326)の予圧を調節するように動作可能である。バネスタック(326)の予圧を調節することによって、バネ圧縮機構(360)は、バネスタック(326)によって提供される機械抵抗力閾値を調節するように動作可能である。換言すると、バネ圧縮機構(360)は、バネスタック(326)が、全伝達状態(すなわち、バネスタック(326)が、フランジ(327)への作動リング(324)の近位移動の完全な伝達を提供する)から、非伝達状態(すなわち、バネスタック(326)が、作動リング(324)の近位移動に応答して、近位移動をフランジ(327)に伝達することなく圧縮する)へと移行する点を調節するように動作可能である。これは転じて、トリガ(124)の作動に起因するクランプアーム(144)のクランプ力を効果的に減少させ得る。同様に、バネ圧縮機構(360)は、バネスタック(326)の予圧を増大させるように動作可能であり、それによってトリガ(124)の作動に起因するクランプアーム(144)のクランプ力を増大させる。バネスタック(326)の予圧を変化させても、トリガ(124)は同じ十分な力で作動され得るが、異なるレベルの予圧下でのかかる作動は、クランプアーム(144)が提供し得るクランプ力の違いをもたらすことが理解されよう。
【0049】
本実施例では、センサ(340、342、344、346)のうちの1つは、周波数傾斜を検出するように構成され得る。他の実施例では、器具(310)は、器具(310)の動作中に周波数傾斜を検出するように構成されている追加のセンサ(単数又は複数)を含み得る。いずれの関連においても、バネ圧縮機構(360)は、センサ(340、342、344、346)のうちの1つの周波数傾斜検出に基づいて、バネスタック(326)にかかる予圧を自動的に増大又は低減するように構成され得る。更に又は代替として、バネ圧縮機構(360)は、センサ(340、342、344、346)のうちの1つ又は2つ以上からの検知された圧力データに基づいて、バネスタック(326)にかかる予圧を自動的に増大又は低減するように構成され得る。更に又は代替として、バネ圧縮機構(360)は、温度センサ又は他の種類のセンサ(例えば、シャフトアセンブリ(130)及び/又はエンドエフェクタ(140)に位置付けられた)などの、他のセンサと動作可能に連結されてもよく、これは、バネ圧縮機構(360)がバネスタック(326)にかかる予圧を自動的に増大又は低減するのに更に影響を及ぼし得る。
【0050】
図9に示す実施例では、バネ圧縮機構(360)は、センサ(320、322、324、326)のうちの1つによって検知されたデータに応答してバネスタック(326)の予圧を調節するように構成されているソレノイド(370)を含む。かかる実施例では、ソレノイド(370)は、バネスタック(326)を個別的な予圧レベルの間で圧縮し、それ故にクランプアーム(144)のクランプ力を個別的なクランプ力量の間で変化させるように動作可能であり得る。ソレノイド(370)の好適な構成が、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。他の実施例では、ソレノイドの調節に基づくクランプ力の増大及び低減は、線形的に連続的であってもよい。
【0051】
図10に示す実施例では、バネ圧縮機構(360)は、螺刻ロッド(384)の周りにネジ止めされたナット(382)を含むねじれナット駆動調節システム(380)を含む。この実施例では、ナット(382)は、検知されたデータに応答して、予圧を増大させるために一方向に回転され、予圧を低減するために第2の逆方向に回転され得る。バネスタック(326)にかかる予圧を増大又は低減するのに好適なバネ圧縮機構(360)の他の構成が、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。また、バネ圧縮機構(360)は、センサ(320、322、324、326)からの力データに基づいてブレード(160)へのパワー出力を調節することに加えて、又はその代わりに使用されてもよいことも理解されたい。
【0052】
C.使用者により調節可能なクランプ力を有する器具
図11図12は、外科器具(110)と実質的に同様に動作するように構成されている例示的な代替の器具(410)を示す。したがって、同一又は同様の構造は、下記で更なる説明なしに同様の参照番号で標示される。器具(410)は、器具(20)の形態としてシステム(10)に容易に組み込まれ得ることを理解されたい。エンドエフェクタは図11に示されていないが、器具(410)は、上述のエンドエフェクタ(140)のようなエンドエフェクタを含む。また、器具(410)は、示される実施例において、センサ(340、342、344、346)などのある特定の要素が省略されていることを除いて、上述のハンドルアセンブリ(320)のようなハンドルアセンブリ(420)を含む。しかしながら、かかる要素及びそれらの機能性は、所望であれば、器具(410)に組み込まれ得ることを理解されたい。
【0053】
器具(410)は、バネスタック(326)の予圧を変更するためにバネスタック(326)に動作可能に連結されている、トグルスイッチ(460)を含む。すなわち、バネトグルスイッチ(460)は、バネスタック(326)にかかる予圧を低減して、これによりトリガ(124)の作動に起因するクランプアーム(144)の有効クランプ力を低減するように動作可能である。同様に、トグルスイッチ(460)は、バネスタック(326)にかかる予圧を増大して、これによりトリガ(124)の作動に起因するクランプアーム(144)の有効クランプ力を増大するように動作可能である。特に、示されるように、操作者は、トグルスイッチ(460)を第1の位置(「−」記号に隣接する)から第2の位置(「+」記号に隣接する)に、又は第1の位置と第2の位置との間の位置に、トグルで切り替え得る。
【0054】
示される実施例では、トグルスイッチ(460)は、軸を中心に第1の位置と第2の位置との間で枢動するが、他の実施例では、軸方向に又は他の好適な様式で移動し得る。示される実施例では、第1の位置は、クランプアーム(144)の「低」設定又はクランプ力に関連付けられる一方で、第2の位置は、「高」設定又はクランプ力に関連付けられる。第1の位置と第2の位置との間のトグルスイッチ(460)の位置は、「低」設定と「高」設定との間の設定に関連付けられる。したがって、操作者がトグルスイッチ(460)を第1の位置と第2の位置との間で時計回りにトグルで切り替えると、バネスタック(326)の予圧が増大する一方で、スイッチ(460)の反時計方向へのトグル切り替えは、バネスタック(326)の予圧の低減をもたらす。クランプ力の「高」、「低」、及び他の設定に関連付けられる好適な量のクランプ力が、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0055】
したがって、トグルスイッチ(460)は、操作者にエンドエフェクタ(140)のクランプ力を調節する能力を提供する。いくつかの実施例では、バネスタック(326)は、トグルスイッチ(460)のトグル切り替えに応答して個別的な予圧レベルの間で移動し、それ故にクランプアーム(144)のクランプ力を個別的なクランプ力量の間で変化させ得る。しかしながら、他の実施例では、トグルスイッチ(460)の調節に基づくクランプ力の増大及び低減は、線形的に連続的であってもよい。トグルスイッチ(460)の他の好適な構成が、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。同様に、調節可能な予圧及びクランプ力を提供するためにトグルスイッチ(460)とバネスタック(326)との間で連結され得る種々の好適な構造が、本明細書における教示を考慮すれば当業者には明らかとなろう。
【0056】
いくつかの実施例では、スイッチ(460)は、トグルスイッチ(460)の位置に基づいてブレード(160)に送達されるパワーを自動的に又は手動で調節する、調節可能な振幅スイッチと併せて使用されてもよい。パワーは、手動で又は自動的に(例えば、センサ(340、342、344、346)のようなセンサからの入力に応答して)又はトグルスイッチ(460)の位置に基づいて、調節されてもよい。いくつかの実施例では、トグルスイッチ(460)は、シャフトアセンブリ(130)の構成要素の回転を可能にするために、シャフトアセンブリ(130)から選択的に係脱可能であり得る。
【0057】
IV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得るいずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない点は理解されるべきである。一切の放棄を意図するものではない。以下の実施例は単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると企図される。また、いくつかの変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してもよいことも企図される。したがって、本発明者によって、又は本発明者の利益となる継承者によって、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、これらの更なる特徴は、特許性に関連するいずれの理由によって追加されたものとしても仮定されるべきではない。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
(a)本体と、(b)本体から遠位に延在し、音響導波管を備えるシャフトアセンブリと、(c)音響導波管と音響的に連通している超音波ブレードを備える、エンドエフェクタと、(e)シャフトアセンブリ及び/又はエンドエフェクタのうちの少なくとも1つの特性を検知するように構成されたセンサと、を備え、エンドエフェクタが、センサによって検知された少なくとも1つの特性に基づいて様々な超音波パワーレベルで起動されるように構成されている、超音波器具。
【0059】
(実施例2)
シャフトアセンブリが遠位封止部を含み、音響導波管が遠位封止部と連通している、請求項1に記載の超音波器具。
【0060】
(実施例3)
センサが遠位封止部上に位置付けられ、当該センサが、超音波導波管の振動に応答して遠位封止部にかかる力を検知するように構成されている、請求項2に記載の超音波器具。
【0061】
(実施例4)
センサが電気活性材料を含む、請求項3に記載の超音波導波管。
【0062】
(実施例5)
センサが圧電構成要素を含む、請求項3に記載の超音波導波管。
【0063】
(実施例6)
センサが歪み計を含む、請求項3に記載の超音波導波管。
【0064】
(実施例7)
センサが強誘電素子を含む、請求項3に記載の超音波導波管。
【0065】
(実施例8)
センサが本体内に位置付けられている、請求項1に記載の超音波導波管。
【0066】
(実施例9)
エンドエフェクタがクランプアームを備え、クランプアームが、クランプアームと超音波ブレードとの間に組織をクランプするために、超音波ブレードに向かって及びそれから離れるように枢動可能であり、少なくとも1つの特性が、クランプアームと超音波ブレードとの間にクランプされた組織にかかるクランプアームのクランプ力を含む、請求項1に記載の超音波器具。
【0067】
(実施例10)
本体がバネ要素を備え、バネ要素が、クランプアームを開位置に付勢するように構成されている、請求項9に記載の超音波器具。
【0068】
(実施例11)
センサが、バネ要素に接触するように位置付けられている、請求項10に記載の超音波器具。
【0069】
(実施例12)
本体がトリガを更に備え、クランプアームが、トリガの作動に応答して超音波ブレードに向かって枢動するように構成され、バネ要素が、トリガの作動に応答して圧縮されるように構成されている、請求項11に記載の超音波器具。
【0070】
(実施例13)
センサは、バネ要素が圧縮されるときにバネ要素と接触したままであるように構成されている、請求項12に記載の超音波器具。
【0071】
(実施例14)
センサが圧力センサを含む、請求項11に記載の超音波器具。
【0072】
(実施例15)
ジェネレータを更に備え、センサがジェネレータと通信しており、ジェネレータが、センサからの入力に応答して超音波器具にパワーを送達するように構成されている、請求項1に記載の超音波器具。
【0073】
(実施例16)
センサが、情報をジェネレータに無線で送信するように構成されている、請求項15に記載の超音波器具。
【0074】
(実施例17)
(a)本体と、(b)本体から遠位に延在し、音響導波管を備えるシャフトアセンブリと、(c)エンドエフェクタであって、(i)音響導波管と音響的に連通している超音波ブレード、及び(ii)エンドエフェクタと超音波ブレードとの間に組織をクランプするために、超音波ブレードに向かって及びそれから離れて枢動可能である、クランプアームを備える、エンドエフェクタと、(d)トグルスイッチであって、トグルスイッチの移動に応じてクランプアームに関連付けられるクランプ力のレベルを調節するように構成されている、トグルスイッチと、を備える、超音波器具。
【0075】
(実施例18)
トグルスイッチが本体上に位置付けられている、請求項17に記載の超音波器具。
【0076】
(実施例19)
音響導波管が、トグルスイッチの位置に基づいて所定のパワーレベルで起動されるように構成されている、請求項18に記載の超音波器具。
【0077】
(実施例20)
(a)本体と、(b)本体から遠位に延在し、音響導波管を備えるシャフトアセンブリと、(c)エンドエフェクタであって、(i)音響導波管と音響的に連通している超音波ブレード、及び(ii)エンドエフェクタと超音波ブレードとの間に組織をクランプするために、超音波ブレードに向かって及びそれから離れて枢動可能である、クランプアームを備える、エンドエフェクタと、(d)エンドエフェクタ上には位置付けられておらず、クランプアームに関連付けられるクランプ力を検知するように構成されている、センサと、を備える、超音波器具。
【0078】
V.その他
明細書に記載される器具のいずれの変形形態も、上述されるものに加えて、又はそれらの代わりに、様々なその他の特徴を含んでもよいことを理解されたい。あくまで一(実施例として、本明細書で説明する器具のいずれもが、参照により本明細書に組み込まれる様々な参考文献のいずれかで開示されている様々な特徴の1つ又は2つ以上を含むこともできる。本明細書の教示は、本明細書で引用される他の参考文献のいずれかに記載される器具のいずれにも容易に適用され得るため、本明細書の教示は、本明細書で引用される参考文献のいずれかの教示と多くの方法で容易に組み合わせることができることも理解されたい。本明細書の教示が組み込まれ得る他の種類の器具が、当業者には明らかとなるであろう。
【0079】
また、本明細書で言及する値の一切の範囲はかかる範囲の上下限を含むと読み取るべきであることも理解されたい。例えば、「約2.54センチメートル〜約3.8センチメートル(約1.0インチ〜約1.5インチ)」の範囲にわたると表現された範囲は、これらの上方及び下方境界の間の値を含むことに加えて、約2.54センチメートルと約3.8センチメートルと(約1.0インチと約1.5インチと)を含むと読まなければならない。
【0080】
参照により本明細書に組み込まれると言及されたいかなる特許、刊行物、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載された他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれることを認識されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれるものとするが、既存の定義、記載、又は本明細書に記載される他の開示文献と矛盾する任意の文献、又はそれらの部分は、組み込まれる文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれるものとする。
【0081】
上述の装置の変形例は、医療専門家によって行われる従来の治療及び処置での用途だけでなく、ロボット支援された治療及び処置での用途も有することができる。単なる実施例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムに容易に組み込まれ得る。同様に、当業者には明らかとなることであるが、本明細書の様々な教示は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2004年8月31日公開の「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題された米国特許第6,783,524号の様々な教示と容易に組み合わされ得る。
【0082】
上述の変形形態は、1回の使用後に廃棄されるように設計されてもよいし、又は複数回使用されるように設計されることもできる。いずれか又は両方の場合において、変形例は、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含み得る。特に、装置のいくつかの変形例は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部材又は部品を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、デバイスのいくつかの変形形態は、再調整用の施設で、又は手技の直前に操作者によって、その後の使用のために再組立され得る。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を使用できる点を認識するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、すべて本出願の範囲内にある。
【0083】
単なる実施例として、本明細書に記載される変形例は、手術の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌法では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなどの閉鎖及び密封された容器に入れる。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置くことができる。放射線は、装置の表面及び容器内の細菌を死滅させることができる。この後、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器中で保管することができる。デバイスはまた、β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の別の技術を用いて滅菌され得る。
【0084】
以上、本発明の様々な実施形態を図示及び説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な改変により、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上記で論じた実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の「特許請求の範囲」の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解されたい。
【0085】
〔実施の態様〕
(1) (a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在し、音響導波管を備えるシャフトアセンブリと、
(c)前記音響導波管と音響的に連通している超音波ブレードを備える、エンドエフェクタと、
(e)前記シャフトアセンブリ及び/又は前記エンドエフェクタのうちの少なくとも1つの特性を検知するように構成されたセンサと、を備え、前記エンドエフェクタが、前記センサによって検知された前記少なくとも1つの特性に基づいて様々な超音波パワーレベルで起動されるように構成されている、超音波器具。
(2) 前記シャフトアセンブリが遠位封止部を含み、前記音響導波管が前記遠位封止部と連通している、実施態様1に記載の超音波器具。
(3) 前記センサが前記遠位封止部上に位置付けられ、前記センサが、前記超音波導波管の振動に応答して前記遠位封止部にかかる力を検知するように構成されている、実施態様2に記載の超音波器具。
(4) 前記センサが電気活性材料を含む、実施態様3に記載の超音波導波管。
(5) 前記センサが圧電構成要素を含む、実施態様3に記載の超音波導波管。
【0086】
(6) 前記センサが歪み計を含む、実施態様3に記載の超音波導波管。
(7) 前記センサが強誘電素子を含む、実施態様3に記載の超音波導波管。
(8) 前記センサが前記本体内に位置付けられている、実施態様1に記載の超音波導波管。
(9) 前記エンドエフェクタがクランプアームを備え、前記クランプアームが、前記クランプアームと前記超音波ブレードとの間に組織をクランプするために、前記超音波ブレードに向かって及びそれから離れるように枢動可能であり、前記少なくとも1つの特性が、前記クランプアームと前記超音波ブレードとの間にクランプされた組織にかかる前記クランプアームのクランプ力を含む、実施態様1に記載の超音波器具。
(10) 前記本体がバネ要素を備え、前記バネ要素が、前記クランプアームを開位置に付勢するように構成されている、実施態様9に記載の超音波器具。
【0087】
(11) 前記センサが、前記バネ要素に接触するように位置付けられている、実施態様10に記載の超音波器具。
(12) 前記本体がトリガを更に備え、前記クランプアームが、前記トリガの作動に応答して前記超音波ブレードに向かって枢動するように構成され、前記バネ要素が、前記トリガの作動に応答して圧縮されるように構成されている、実施態様11に記載の超音波器具。
(13) 前記センサは、前記バネ要素が圧縮されるときに前記バネ要素と接触したままであるように構成されている、実施態様12に記載の超音波器具。
(14) 前記センサが圧力センサを含む、実施態様11に記載の超音波器具。
(15) ジェネレータを更に備え、前記センサが前記ジェネレータと通信しており、前記ジェネレータが、前記センサからの入力に応答して前記超音波器具にパワーを送達するように構成されている、実施態様1に記載の超音波器具。
【0088】
(16) 前記センサが、情報を前記ジェネレータに無線で送信するように構成されている、実施態様15に記載の超音波器具。
(17) (a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在し、音響導波管を備えるシャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響的に連通している、超音波ブレード、及び
(ii)前記エンドエフェクタと前記超音波ブレードとの間に組織をクランプするために、前記超音波ブレードに向かって及びそれから離れるように枢動可能である、クランプアームを備える、エンドエフェクタと、
(d)トグルスイッチであって、前記トグルスイッチの移動に応じて前記クランプアームに関連付けられるクランプ力のレベルを調節するように構成されている、トグルスイッチと、を備える、超音波器具。
(18) 前記トグルスイッチが前記本体上に位置付けられている、実施態様17に記載の超音波器具。
(19) 前記音響導波管が、前記トグルスイッチの位置に基づいて所定のパワーレベルで起動されるように構成されている、実施態様18に記載の超音波器具。
(20) (a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在し、音響導波管を備えるシャフトアセンブリと、
(c)エンドエフェクタであって、
(i)前記音響導波管と音響的に連通している、超音波ブレード、及び
(ii)前記エンドエフェクタと前記超音波ブレードとの間に組織をクランプするために、前記超音波ブレードに向かって及びそれから離れるように枢動可能である、クランプアームを備える、エンドエフェクタと、
(d)前記エンドエフェクタ上には位置付けられておらず、前記クランプアームに関連付けられるクランプ力を検知するように構成されている、センサと、を備える、超音波器具。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12