(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6896774
(24)【登録日】2021年6月11日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】鋳造金属部品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B22D 19/00 20060101AFI20210621BHJP
【FI】
B22D19/00 A
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-566634(P2018-566634)
(86)(22)【出願日】2017年3月7日
(65)【公表番号】特表2019-508259(P2019-508259A)
(43)【公表日】2019年3月28日
(86)【国際出願番号】EP2017000304
(87)【国際公開番号】WO2017153045
(87)【国際公開日】20170914
【審査請求日】2020年2月10日
(31)【優先権主張番号】102016002791.6
(32)【優先日】2016年3月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518321484
【氏名又は名称】アイオナキャスト コンサルティング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポール, ユルゲン
【審査官】
瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−137131(JP,A)
【文献】
特開2013−244501(JP,A)
【文献】
特開2015−009260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 19/00
B22D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造金属部品(70)を製造する方法であって、
冷却チャネル(42)を製造するステップと、
前記冷却チャネルを鋳造工具(56、58)内に導入するステップと、
前記鋳造工具を鋳造材料(68)で充填するステップと、
前記鋳造金属部品(70)を成形するステップと
を含み、
前記冷却チャネル(42)を製造する前記ステップは、ローラ(24.1、24.2)を使用して2枚のシート(14、16)を溶接するロール溶接するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記冷却チャネル(42)を製造する前記ステップは、
a)前記2枚のシート(14、16)を提供するステップと、
b)前記シートの少なくとも1つの領域内に離型剤を塗布するステップと、
c)前記シートを加熱するステップと、
d)前記ローラ(24.1、24.2)を使用して、加熱された前記シートを溶接することによって、前記加熱されたシートを前記ロール溶接するステップと、
e)前記離型剤が設けられた前記領域内にチャネル(42)が形成されるように圧力を加えるステップと
を含み、
ステップb)およびc)は同時にまたは逆の順序で行うこともできることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記チャネル(42)を形成するために圧力が加えられるとき、少なくとも1つの当接部が配置され、前記少なくとも1つの当接部は、前記チャネルの外皮が前記少なくとも1つの当接部に当接し、結果、前記チャネルの外皮が前記少なくとも1つの当接部に対応するプロファイルをとるように、配置されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記冷却チャネル(42)を製造する前記ステップは、前記チャネル(42)を形成するために圧力が加えられた前記シートに型抜きをするステップをさらに含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記型抜きの間に、前記鋳造工具(56、58)のコアに対する少なくとも1つの支持部(46)および/または少なくとも1つのスペーサおよび/または少なくとも1つの締結タブが形成されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの前記シート(14,16)および前記鋳造材料(68)の少なくとも一方が、軽金属または軽金属合金を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記シート(14,16)の溶融温度範囲が前記鋳造材料(68)の溶融温度範囲よりも高いことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記鋳造工具(56,58)を前記鋳造材料(68)で充填する前に、少なくとも1つの前記シート(14,16)の少なくとも1つの表面が、プロファイリングされている前記ローラ(24.1、24.2)を前記ロール溶接中に使用することによって、または、前記シート(14,16)をブラストすることによって、粗面化されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却チャネル(42)が、前記鋳造工具(56、58)への導入前または導入中に、所定の形状になることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記鋳造工具(56,58)を前記鋳造材料(68)で充填する前記ステップが、チル鋳造または砂鋳造の鋳造方法の中で行われることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却チャネル(42)が、前記鋳造工具(56,58)を前記鋳造材料(68)で充填する前記ステップの前および/または間に冷却されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記冷却チャネル(42)の外面が被覆されていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記鋳造工具(56,58)が、鋳造プロセス中に超音波を受けることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記冷却チャネル(42)を製造する前記ステップは、形成された前記冷却チャネル(42)を熱処理するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記冷却チャネル(42)が、鋳造プロセスの間に前記冷却チャネル(42)の内部で加圧されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造金属部品、特に電気モータ固定子のハウジング、パワーエレクトロニクスの構成要素のためのハウジング、電池トレイまたは電池ハウジングを製造する方法に関し、方法は、冷却チャネルを製造するステップと、冷却チャネルを鋳造工具内に導入するステップと、鋳造工具を鋳造材料で充填するステップと、鋳造部品を成形するステップとを有する。
【背景技術】
【0002】
上記タイプの方法は公知である。公知の方法では、鋳造工具に導入されることになる冷却チャネルは、例えばシームレス管の形態の押し出し成形によって製造される。そのような方法は非常に複雑である。さらに、製造されることになる鋳造部品の形状によって指定される経路に従うように押し出し管を再成形することは困難である。最後に、押し出し成形して分岐を有する冷却チャネルを製造することは不可能である。
【0003】
原理的には、対応する原料が充填材料を用いて1つまたは2つの溶接部に沿って溶接される溶接方法によって、鋳造工具に挿入されることになる冷却チャネルを製造することも考えられる。しかしながら、特に、この場合に通常使用される充填材料のために、溶接領域内に、冷却チャネルの他の領域とは異なる構造または異なる化学組成が存在し、それによって、鋳造部品の充填中に加熱すると、冷却チャネルの望ましくない制御不可能な変形が生じる。さらに、冷却チャネルとして押し出し管を使用する場合と同様に、溶接される管にも上述したように問題があり、分岐を有する冷却チャネルを製造することは可能ではないか、または製造するのに相当の労力を要する。
【0004】
欧州特許第0 858 692号明細書から、請求項1のプリアンブルによる鋳造金属部品の製造方法が知られている。したがって、冷却チャネルとして使用される管は、好ましくは、鋼または鋼合金から作成される。このような管は高い剛性を有する。したがって、製造されることになる鋳造部品の形状によって与えられる経路に従うようにそれらを再形成することは困難である。また、そのような管から分岐を有する冷却チャネルを製造することは困難であるか、または不可能でさえある。管は、鋳造材料よりも高い融点を有し、予熱された鋳型内に配置される。
【0005】
ドイツ特許出願公開第2 227 427号明細書には、ロール溶接による冷却チャネルの製造が記載されており、使用される材料として純アルミニウムが示されている。このようにして製造される冷却チャネルは、他の同様のチャネルと組み合わされて熱交換器を形成する。
【発明の概要】
【0006】
上述の問題に鑑みて、本発明は、特に、例えば分岐に関連する冷却チャネルの設計における柔軟性が増大し、望ましくない変形が回避されるような、上述したタイプの方法を開発することを目的とする。さらに、この方法は実行が容易でなければならない。
【0007】
本発明によれば、この目的は、冷却チャネルの製造がロール溶接のステップを含むという点において、上記のタイプの方法において達成される。
【0008】
この場合、本発明は、冷却チャネルを分岐させるための問題を伴わずにロール溶接を用いることもできるという知見に基づいている。さらに、本発明は、充填材がなくても機能し、このため、例えば熱応力に起因する望ましくない変形が避けられる。最後に、本発明を実行することは特に容易であり、ロール溶接によって製造される冷却チャネルは、鋳造部品の形状によって予め定められるプロファイルに適合するのにわずかな変形しか必要としない。
【0009】
好ましくは、本発明によれば、冷却チャネルを製造する方法は、
a)2枚のシートを提供するステップと、
b)シートの少なくとも1つの領域内に離型剤を塗布するステップと、
c)シートを加熱するステップと、
d)シートをロール溶接するステップと、
e)離型剤が設けられた領域内にチャネルが形成されるように圧力を加えるステップと
を含み、ステップb)およびc)は同時にまたは逆の順序で行うこともできる。
【0010】
したがって、本発明のこの実施形態によれば、冷却チャネルは、最初に平面構造の形態で生成され、これにより、分岐を含む任意の所定のチャネル経路を実現することが特に容易である。離型剤は、グラファイト離型剤であってもよい。
【0011】
好ましくは、本発明によれば、チャネルを形成するために圧力が加えられると、少なくとも1つの当接部が、チャネルの外皮が当接部に当接し、そのため、当接部に対応するプロファイルをとるように、配置される。
【0012】
その結果、チャネルの断面を予め決定することができる。当接部を適切に設計することによって、断面はまた、チャネルの長さにわたって変化することもできる。
【0013】
同様に、本発明によれば、シートスタックを型抜きするステップが提供されることが好ましい。その結果、充填されることになる板金材料の量を減らすことができ、または最小化することさえできる。
【0014】
本発明によれば、型抜きの間に、少なくとも1つのコアベアリングおよび/または少なくとも1つのスペーサおよび/または少なくとも1つの締結タブが形成されることがさらに好ましい。
【0015】
言い換えれば、本発明のこの実施形態は、コアベアリング、スペーサおよび/または締結タブを、冷却チャネルと一体的に製造する可能性を利用し、鋳造部品の全体的な製造プロセスを単純化する。
【0016】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、冷却チャネルが、鋳造工具への導入前または導入中に、所定の形状、特に溝の形状になることが可能にされる。
【0017】
換言すれば、この実施形態によれば、最初に平面状に製造された構造は、例えば、製造されることになる鋳造部品の溝形状に適合するように、曲げられて溝を形成する。
【0018】
本発明による鋳造工具の充填は、好ましくは、低圧チル鋳造、重力チル鋳造、傾斜チル鋳造などのすべてのサブタイプを含む砂鋳造またはチル鋳造の方法で実施される。使用される方法が鋳造工具に事前に導入されている冷却チャネルに悪影響を及ぼさないことが保証されることを条件として、他の鋳造方法が使用されてもよい。
【0019】
本発明に従って、シートおよび/または鋳造材料の少なくとも1つが、軽金属または軽金属合金を含有することが可能にされることがさらに好ましい。例としては、アルミニウムおよびマグネシウムならびにそれらの合金が挙げられる。シート(複数可)の場合、特に非常に軟質のアルミニウム、例えば、降伏応力R
P, 0, 2が約40N/mm
2のEN AW-1050Aが考慮される。DIN EN 485-2を参照のこと。シート(複数可)に使用される材料は、チャネル形成変形が生じるように、気体媒体を用いて加圧されたときに十分に軟質でなければならない。
【0020】
本発明によれば、シートの溶融範囲が鋳造材料の溶融範囲よりも高いことが特に有利であり得る。これは、鋳造温度を適切に設定することによって、鋳造中に冷却チャネルに悪影響を及ぼすことを回避することができる。
【0021】
付加的または代替的に、本発明に従って、鋳造工具の充填前および/または充填中に冷却チャネルが冷却されることを可能にすることができる。これはまた、鋳造工具の充填中に鋳造材料の高温に起因して鋳造工具に導入される冷却チャネルが損傷するのを防止することも可能にする。
【0022】
加えて、例えば、300℃〜400℃において予熱された冷却チャネルは、常に薄い境界層の溶融に有利であり得、したがって有効接触面積を増加させることができる。
【0023】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、冷却チャネルの外面が被覆されている。このようにして、境界層の改善を達成することができる。適用可能な方法には、例えば、溶融亜鉛めっき、ならびに、亜鉛、マグネシウム、マンガンおよび/またはチタンジルコニウムの母材による電解コーティングが含まれる。
【0024】
コーティングは、この目的のために使用されるシートに対するロール溶接の前または後に、ただし、鋳造工具を鋳造材料で充填する前に、行うことができる。
【0025】
本発明に従って、鋳造工具が鋳造プロセス中に超音波を受けるものとすることがさらに好ましい。この方策はまた、境界層を改善する役割も果たす。
【0026】
さらに、有利には、本発明によれば、冷却チャネルの熱処理が可能にされ得る。上記熱処理は、2つのロール溶接されたシートに圧力を加えて冷却チャネルを形成した後に行うことが好ましい。熱処理は、冷却チャネルの引張強度に積極的に影響を与えることができる。例えば、320℃〜350℃の温度で0.5時間〜2時間の熱処理を行い、その後、冷却することができる。
【0027】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのシートの少なくとも1つの表面が、特にロール溶接中にプロファイルロールを使用することによって、またはシートに砂もしくはステンレス鋼顆粒をブラストすることによって、鋳造工具を充填する前に粗面化される。これにより、鋳造材料によるより良好な鋳型充填が可能になる。
【0028】
さらに好ましい実施形態によれば、鋳造プロセス中に冷却チャネルが内部で加圧されることが可能である。このようにして、鋳造プロセス中の冷却チャネルの任意のさらなる損傷を回避することができる。
【0029】
上記の製造方法に加えて、本発明は、冷却チャネルを有する鋳造部品を作製する。本発明によれば、鋳造部品は、上述の方法によって製造される。
【0030】
この場合、好ましくは、本発明によれば、冷却チャネルは、その長さにわたって少なくとも部分的に拡大する内側断面を有する。
【0031】
このように、冷却剤が冷却チャネルを流れるとき、圧力降下を生じることができ、これによって冷却剤から熱の形でエネルギーが抽出され、それによって冷却効果が増大する。
【0032】
本発明によれば、冷却チャネルは、円形形状から少なくとも部分的に逸脱する内側断面を有することもできる。
【0033】
その結果、冷却時に特別な効果を得ることができる。
【0034】
例えば、本発明に従って、少なくとも部分的に、鋳造部品の厚さ方向における冷却チャネルの内寸が、冷却チャネルの厚さ方向と長手方向の両方に垂直な方向よりも小さくなること可能である。
【0035】
その結果、冷却チャネルを厚さ方向に囲む領域が、円形の冷却チャネルに比べて増加する。同時に、冷却チャネルに半径方向に隣接する領域における鋳造部品の壁厚が増大し、これにより安定性が向上する。
【0036】
最後に、本発明は、鋳造部品におけるロール溶接によって製造される冷却チャネルの使用を含む。
【0037】
以下、添付の図面を参照して、好ましい実施形態を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明による製造方法の好ましい例示的な実施形態の個々のステップを示す概略図である。
【
図2】本発明による製造方法の好ましい例示的な実施形態の個々のステップを示す概略図である。
【
図3】
図2(c)の製造ステップの結果であるシートスタックを示す図である。
【
図4】製造方法の説明された例示的な実施形態で使用される鋳造装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、シート14および16のそれぞれの2つのコイル10,12を示している。シート14,16は、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような軽金属から作成される。コイル10,12から解かれた後、シート14,16はローラレベラ18,20を通過する。ローラレベラ20の後、シート16は、離型剤を塗布するためのステーション22を通過する。この場合、離型剤は、後に形成される冷却チャネルに対応するパターンの形態で塗布される。
【0040】
シート14は、ローラレベラ18を通過した後に加熱される。ステーション22を通過した後のシート16についても同様に適用される。次いで、加熱されたシート14,16は、2つの溶接ローラ24.1,24.2を有するロール溶接装置24にともに給送され、ここで、ロール溶接によってシートが互いに溶接される。溶接は、離型剤が供給されていない領域でのみ行われる。これはその後、切断装置26において一定の長さに切断される。次いで、一定の長さに切断されたロール溶接シートが積層されて、スタック28になる。溶接ローラ24.1および24.2は、ロールによってシート14、16の表面が粗面化するようにプロファイリングされている。
【0041】
図2(a)から分かるように、スタック28はアニールされる。その後、
図2(b)に示すように、膨張が行われる。この場合、シートスタックの2枚のシートの間、特に離型剤のためにシートが溶接されていないところに、圧縮空気が吹き付けられる。圧縮空気の代わりに、他の加圧媒体が使用されてもよい。膨張の結果として、2つのシートは、離型剤が設けられた領域において互いに外方に移動し、それによって、それらの間に空洞が形成される。この空洞は、シート16に塗布された離型剤と同じパターンに従って形成され、したがってチャネルを形成する。
【0042】
図2(b)には示されていないが、膨張の間に形成されるチャネルの片側または両側に当接部形成用成形工具を配置することができ、成形工具は膨張によって形成されるチャネルの設計を可能にする。これは、特に円形の断面領域から逸脱した設計である。
さらに、1つまたは複数の成形工具を適切に適用および設計することによって、その長さにわたって膨張によって形成されるチャネルの断面が一定ではなく、例えば絶えず増加または減少することを達成することもできる。その結果、製造されるチャネルの冷却能力の微調整を達成することができる。
【0043】
図2(c)は、
図2(b)によるステーション内で膨張したシートスタックが型抜きされるパンチを示す。
【0044】
次に、
図2(d)に示すように、型抜きされたシートスタックが成型されて溝になる。
【0045】
図3は、
図2(b)による膨張後、
図2(c)によるパンチ30に供給されるときの、2枚のシートからなるシートスタック40を示す。分岐チャネル42の形態で形成された膨張領域が見られる。チャネル42は、本発明による冷却チャネルの例示的な実施形態である。
【0046】
図3の破線44は、シートスタック40がパンチ30内でそれに沿って型抜きされる型抜き輪郭を示している。型抜きは位置決め補助またはコア位置46をもたらす。
【0047】
図3において、冷却剤入口が参照符号48で示され、冷却剤出口が参照符号50で示されている。
【0048】
図4は、冷却チャネル42を有する電池トレイの形の鋳造部品70を製造するための低圧チル鋳造が行われる鋳造装置におけるシートスタック40を示す。スプルー54、上側コア56、下側コア、機械プレート62、絶縁インサート64、およびエジェクタを有するエジェクタプレート66が見て取れる。低圧チル鋳造は、以下のように記載の鋳造装置によって行われる。
【0049】
まず、冷却チャネル42を有するシートスタック40が挿入される。次に、上部コア56が適用される。その後、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの軽金属68がスプルー54を介して導入され圧力上昇または鋳造が行われる。一方、冷却チャネル42は冷却される。軽金属68は、シート14,16よりも低い溶融範囲を有する。
【0050】
軽金属68が固化した後、圧力が解放され、上部コア56が完成した鋳造部品と共に持ち上げられる。次に、エジェクタプレート66のエジェクタが伸張され、完成した鋳造部品が除去される。
【0051】
図5は、図示されている例示的な実施形態においては電池トレイである、上述の方法で示された鋳造部品70の断面図を示す。冷却チャネル42は、
図4の図解では細長く、2つの壁面60と61との間の中央に延伸する。
【0052】
本発明による鋳造部品は、電池トレイだけでなく、電動モータ固定子のハウジングもしくは電池ハウジング、またはパワーエレクトロニクスの構成要素のためのハウジングのような、冷却を必要とする他の構成要素であってもよい。ここでは主に、車両、特に陸上車両などのモバイル用途の構成要素に焦点が当てられている。
【0053】
上記の明細書、特許請求の範囲および図面に開示された本発明の特徴は、その様々な実施形態における本発明の実現のために個々におよび任意の組み合わせの両方において本質的であり得る。