(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入口に第3の流体を提供することをさらに含み、前記第1の流体は、第1の油を含み、前記第2の流体は、水性試料を含み、前記第3の流体は、第2の油を含む、請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、さらなる分析のための離散体積の試料を生成するための改善された方法、システム、およびデバイスの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、例えば、試料体積の離散化および操作における使用のためのデバイス、システム、および装置を提供する。関連方法もまた提供される。種々の側面では、本開示は、中心領域および外縁を有するディスク形状本体であって、中心軸を中心として回転するために構成され、かつディスク形状本体の中心領域に位置する流体入口ポートと、近位端、遠位端、および流動軸を有する流動チャネルであって、流体入口ポートと流体連通する流動チャネルと、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりと、流動チャネルと連通する流体出口ポートであって、流動チャネルの遠位端よりディスク形状本体の中心領域の近くに位置する、流体出口ポートとをさらに備える、ディスク形状本体を備える、マイクロ流体デバイスを提供する。
【0006】
種々の側面において、本開示は、中心領域、外縁、および中心軸を有するディスク形状本体を備え、このディスク形状本体は、中心軸を中心として回転するために構成され、かつディスク形状本体の中心領域に位置決めされた流体入口ポートと、流動軸および最外領域を有する流動チャネルであって、流動チャネルの最外領域が、中心領域から最も遠い流動チャネルの領域であり、流動チャネルが、流体入口ポートと流体連通する流動チャネルと、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりと、流動チャネルと流体連通する流体出口ポートであって、中心領域から流体出口ポートまでの距離が、流動チャネルの中心領域から最外領域までの距離よりも小さい、流体出口ポートとをさらに備える、マイクロ流体デバイスを提供する。
【0007】
種々の側面において、本開示は、流体をマイクロ流体デバイスに導入するための方法を提供し、本方法は、本開示のマイクロ流体デバイスのうちのいずれかを提供するステップと、第2の流体をマイクロ流体デバイスの第2の流体入口ポートに提供するステップとを含む。特定の側面では、本方法は、マイクロ流体デバイスの流動チャネルに第2の流体を装填するように、その中心軸を中心としてマイクロ流体デバイスを回転させるステップを含む。他の側面では、本方法は、第2の流体に圧力を印加するステップを含み、圧力は、マイクロ流体デバイスの流動チャネルを通じて第2の流体を推し進めるために十分である。さらなる側面では、圧力は、正圧または負圧である。
【0008】
種々の側面において、本開示は、本開示の任意のマイクロ流体デバイスを、その中心軸を中心として回転させるために構成された回転構成要素と、マイクロ流体デバイスの流体溜まりのうちの少なくとも1つを光学的に分析するように構成された光学検出構成要素と、回転構成要素および光学検出構成要素を制御するために構成され、かつ光学検出構成要素から生成されたデータを記憶するために構成された処理装置とを備える、分析システムを提供する。
【0009】
種々の側面において、本開示は、複数のウェルを含むマイクロウェルプレートを備え、ウェルのそれぞれが、ウェルと流体連通する流体入口ポートと、ウェルと流体連通する流体出口ポートと、流動軸を有する流動チャネルであって、流体入口ポートおよび流体出口ポートと流体連通する流動チャネルと、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりとをさらに備える、マイクロ流体デバイスを提供する。
【0010】
種々の側面において、本開示は、流体をマイクロ流体デバイスに導入するための方法を提供し、本方法は、本開示によるマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第1の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップとを含む。
【0011】
種々の側面において、本開示は、流体をマイクロ流体デバイスに導入するための方法を提供し、本方法は、本開示によるマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第2の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップとを含み、第2の流体は水溶液である。
【0012】
種々の側面において、本開示は、流体をマイクロ流体デバイスに導入するための方法を提供し、本方法は、本開示によるマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第1の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、第2の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、第3の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、第4の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、第5の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップとを含み、第1の流体は、油であり、第2の流体は、水溶液であり、第3の流体は、油であり、第4の流体は、油であり、第5の流体は、油であり、第1、第3、第4、および第5の流体は、独立して同じであるか、または互いに異なる。
【0013】
種々の側面において、本開示は、流体をマイクロ流体デバイスに導入する方法を提供し、本方法は、本開示によるマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第1の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、第2の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、第3の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、随意に第4の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、随意に第5の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップとを含み、第1の流体は、油であり、第2の流体は、水溶液であり、第3の流体は、油であり、第4の流体は、油であり、第5の流体は、油であり、第1、第3、第4、および第5の流体は、独立して同じであるか、または互いに異なる。
【0014】
種々の側面において、本開示は、本開示によるマイクロ流体デバイスを受容するように構成されたチャンバと、流動チャネルを通じて流体を推し進めるために十分な圧力を流動チャネルに印加するように構成された流体加圧装置と、マイクロ流体デバイスの流体溜まりのうちの少なくとも1つを光学的に分析するための光学検出構成要素と、光学検出構成要素を制御するように構成され、かつ光学検出構成要素から生成されたデータを記憶するように構成された処理装置とを備える、分析システムを提供する。
【0015】
種々の側面において、本開示は、本開示によるマイクロ流体デバイスを受容するように構成されたチャンバと、流動チャネルの少なくとも一部分を通じて流体を導入するように構成された流体導入構成要素と、流体溜まりを光学的に分析するように構成された光学検出構成要素と、光学検出構成要素を制御するように構成され、かつ光学検出構成要素から生成されたデータを記憶するように構成された処理装置とを備える、分析システムを提供する。
【0016】
種々の側面において、本開示は、流動軸、上流端、および下流端を有する流動チャネルと、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりとを備え、流体溜まりのそれぞれが、上流端および下流端を有し、流動チャネルが、流体溜まりのそれぞれの上流または下流に位置決めされた収縮部を備える、装置を提供する。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
マイクロ流体デバイスであって、
中心領域および外縁を有するディスク形状本体であって、中心軸を中心として回転するために構成され、かつ
前記ディスク形状本体の前記中心領域内に位置する流体入口ポートと、
近位端、遠位端、および流動軸を有する流動チャネルであって、前記流体入口ポートと流体連通する、流動チャネルと、
前記流動チャネルと流体連通し、かつ前記流動軸からずれている複数の流体溜まりと、
前記流動チャネルと連通する流体出口ポートであって、前記流動チャネルの前記遠位端よりも前記ディスク形状本体の前記中心領域の近くに位置する、流体出口ポートと、をさらに備える、ディスク形状本体を備える、マイクロ流体デバイス。
(項目2)
マイクロ流体デバイスであって、
中心領域、外縁、および中心軸を有するディスク形状本体を備え、前記ディスク形状本体は、前記中心軸を中心として回転するために構成され、かつ
前記ディスク形状本体の前記中心領域に位置決めされた流体入口ポートと、
流動軸と最外領域とを有する流動チャネルであって、前記流動チャネルの前記最外領域は前記中心領域から最も遠い前記流動チャネルの領域であり、前記流動チャネルは前記流体入口ポートと流体連通する、流動チャネルと、
前記流動チャネルと流体連通し、かつ前記流動軸からずれている複数の流体溜まりと、
前記流動チャネルと流体連通する流体出口ポートであって、前記中心領域から前記流体出口ポートまでの距離が前記流動チャネルの前記中心領域から前記最外領域までの距離よりも小さい、流体出口ポートと、
をさらに備える、マイクロ流体デバイス。
(項目3)
フローセルをさらに備え、前記フローセルは前記流体入口ポート、前記流体出口ポート、および複数の流動チャネルを備え、前記流動チャネルのそれぞれは、前記流体入口ポートおよび前記流体出口ポートと流体連通する、項目1〜2のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目4)
前記複数の流動チャネルは、各流動チャネルの前記流動軸が前記ディスク形状本体の前記外縁に垂直であるように構成される、項目3に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目5)
前記複数の流動チャネルは、前記流動チャネルが平行に配列されるように構成される、項目3に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目6)
前記流体溜まりのうちの少なくとも1つは、前記流動軸に直交する以外の角度である、項目1〜5のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目7)
前記流体溜まりのうちの少なくとも1つは、前記流動軸に直交する角度である、項目1〜5のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目8)
前記流体溜まりのそれぞれは、開口管路によって前記流動チャネルと流体連通する、項目1〜7のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目9)
前記流体溜まりのうちの少なくとも1つは、前記流動チャネルと流体連通する少なくとも1つのチャネルをさらに備える、項目1〜8のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目10)
前記デバイスは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、熱硬化性ポリエステル(TPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタンメタクリレート、ポリエチレン、ポリエステル(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、パリレン、ポリ塩化ビニル、フルオロエチルプロピレン、レキサン(lexan)、ポリスチレン、環状オレフィンコポリマー、ポリウレタン、ポリアクリレートとブレンドされたポリウレタン、ポリエステルカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリアクリレート、ポリカプロラクトン、ポリケトン、ポリフタルアミド、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、エポキシポリマー、熱可塑性物質、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ガラス、石英、ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ケイ素、溶融シリカ、セラミック、金属、またはそれらの組み合わせから選択される材料を含む、項目1〜9のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目11)
前記流動チャネルおよび前記複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、疎水性表面を備える、項目1〜10のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目12)
前記ディスク形状本体の少なくとも一部分は、天然に疎水性であるか、または表面処理されたポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカーボネート(PC)、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート(PETG)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、多層材料、またはそれらの組み合わせを含む、項目1〜11のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目13)
前記流動チャネルおよび前記複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、親フルオロ性表面を備える、項目1〜12のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目14)
前記デバイスには、第1の流体が装填される、項目1〜13のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目15)
前記第1の流体は、油を含む、項目14に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目16)
前記第1の流体は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせを含む、項目14〜15のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目17)
共通流体リザーバをさらに備え、前記共通流体リザーバは、前記流動チャネルのそれぞれの前記遠位端と流体連通し、前記共通流体リザーバは、前記流体出口ポートと流体連通する、項目3〜16のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目18)
前記流体出口ポートは、前記流体入口ポートよりも前記ディスク形状本体の中心の近くに位置する、項目1〜17のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目19)
前記流体出口ポートは、前記流体入口ポートよりも前記ディスク形状本体の中心から離れて位置する、項目1〜17のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目20)
前記流体出口ポートは、前記流体入口ポートと同等に、前記ディスク形状デバイスの中心の近くに位置する、項目1〜17のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目21)
複数のフローセルをさらに備え、各フローセルは、
複数の流動チャネルと、
流体入口ポートと、
流体出口ポートであって、前記流動チャネルの前記遠位端よりも前記ディスク形状本体の前記中心領域の近くに位置する、流体出口ポートと、
を備える、項目1〜20のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目22)
複数のフローセルをさらに備える、項目3〜20のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目23)
前記フローセルのそれぞれは、複数の流体入口ポート、複数の流体出口ポート、またはそれらの組み合わせを備える、項目21〜22のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目24)
マイクロ流体デバイスに流体を導入するための方法であって、
項目1〜23のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイスを提供するステップと、
前記マイクロ流体デバイスの第2の流体入口ポートに第2の流体を提供するステップと、
を含む、方法。
(項目25)
前記マイクロ流体デバイスをその中心軸を中心として回転させて、前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに前記第2の流体を装填するステップをさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記第2の流体に圧力を印加するステップを含み、前記圧力は、前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルを通じて第2の流体を推し進めるために十分である、項目24に記載の方法。
(項目27)
前記圧力は、正圧または負圧である、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記第2の流体は、水溶液を含む、項目24〜27のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記マイクロ流体デバイスの第1の流体入口ポートに第1の流体を導入するステップをさらに含み、前記第1の流体入口ポートおよび前記第2の流体入口ポートは独立して同じポートまたは異なるポートであり、前記第1の流体は油を含む、項目24〜28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記マイクロ流体デバイスの第3流体入口ポートに第3の流体を導入するステップをさらに含み、前記第1の流体入口ポート、前記第2の流体入口ポート、および前記第3の流体入口ポートは、独立して同じポートまたは異なるポートであり、前記第3の流体は油を含む、項目24〜29のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記第3の流体は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせを含む、項目30に記載の方法。
(項目32)
分析システムであって、
項目1〜23のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイスをその中心軸を中心として回転させるために構成される回転構成要素と、
前記マイクロ流体デバイスの前記流体溜まりのうちの少なくとも1つを光学的に分析するように構成される光学検出構成要素と、
前記回転構成要素と前記光学検出構成要素とを制御するために構成され、かつ前記光学検出構成要素から生成されるデータを記憶するように構成される処理装置と、
を備える、分析システム。
(項目33)
それぞれ流体を収容することができる複数の流体リザーバをさらに備え、前記複数の流体リザーバは、前記流体を前記マイクロ流体デバイスの前記流体入口ポートに提供するように構成される、項目32に記載の分析システム。
(項目34)
前記複数の流体溜まりに熱を付与するように構成される熱制御構成要素をさらに備える、項目32〜33のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目35)
前記熱制御構成要素は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温増幅、またはそれらの組み合わせを行うに十分に前記複数の流体溜まりを加熱するように構成される、項目34に記載の分析システム。
(項目36)
前記流動チャネルを通じて流体を移動させるように構成される流体導入構成要素をさらに備える、項目32〜35のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目37)
前記流体導入構成要素は、前記流体入口ポートのうちの少なくとも1つと流体連通する圧力源を備え、前記圧力源は、前記流動チャネルを通じて流体を移動させるのに十分な正圧または負圧を印加するように構成され、前記正圧または負圧は、気圧、空気圧、水圧、またはその組み合わせからなる群から選択される、項目36に記載の分析システム。
(項目38)
前記流体導入構成要素は、毛管現象、ウィッキング、または遠心力駆動流によって、前記流動チャネルを通って流体を移動させるように構成される、項目32〜37のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目39)
前記光学検出構成要素は、50RPM〜2000RPMで回転する前記マイクロ流体デバイスを分析するように構成される、項目32〜38のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目40)
前記光学検出構成要素は、顕微鏡、レーザスキャナ、光ディスクドライブ、またはそれらの組み合わせを備える、項目32〜39のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目41)
前記回転構成要素は、前記マイクロ流体デバイスの回転速度を調節して、前記光学検出構成要素の読出し速度に一致させるように構成される、項目32〜40のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目42)
前記回転構成要素は、前記マイクロ流体デバイスを50RPM〜5000RPMで回転させるように構成される、項目32〜40のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目43)
光ディスクドライブをさらに備える、項目32〜42のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目44)
前記光ディスクドライブは、コンパクトディスク(CD)ドライブ、デジタルビデオディスク(DVD)ドライブ、ブルーレイドライブ、もしくはそれらの修正版、またはそれらの組み合わせである、項目43に記載の分析システム。
(項目45)
複数のマイクロ流体デバイスを収容、回転、および処理するために構成される、項目32〜44のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目46)
マイクロ流体デバイスであって、
複数のウェルを備えるマイクロウェルプレートを備え、前記ウェルのそれぞれは、
前記ウェルと流体連通する流体入口ポートと、
前記ウェルと流体連通する流体出口ポートと、
流動軸を有する流動チャネルであって、前記流体入口ポートおよび前記流体出口ポートと流体連通する、流動チャネルと、
前記流動チャネルと流体連通し、かつ前記流動軸からずれている複数の流体溜まりと、
を備える、マイクロ流体デバイス。
(項目47)
前記ウェルのうちの少なくとも1つは、複数の流動チャネルを備える、項目46に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目48)
前記ウェルのうちの少なくとも1つは、複数の流体入口ポートを備える、項目46〜47のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目49)
前記ウェルのうちの少なくとも1つは、複数の流体出口ポートを備える、項目46〜48のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目50)
前記複数のウェルは、アレイに配列される、項目46〜49のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目51)
前記複数のウェルは、正方マトリクスアレイに配置される、項目46〜50のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目52)
前記複数のウェルは、2:3または3:4の行対列の比を有する矩形マトリクスアレイに配置される、項目46〜50のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目53)
前記マイクロ流体デバイスは、6、12、24、48、96、384、または1536個のウェルを含む、項目46〜52のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目54)
前記流体溜まりのうちの少なくとも1つは、前記流動軸に直交する以外の角度である、項目46〜53のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目55)
前記流体溜まりのうちの少なくとも1つは、前記流動軸に直交する角度にある、項目46〜54のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目56)
前記流体溜まりのそれぞれは、開口管路によって前記流動チャネルと流体連通する、項目46〜55のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目57)
前記流体溜まりのうちの少なくとも1つは、前記流動チャネルと流体連通するチャネルを備える、項目46〜56のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目58)
前記デバイスは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、熱硬化性ポリエステル(TPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタンメタクリレート、ポリエチレン、ポリエステル(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、パリレン、ポリ塩化ビニル、フルオロエチルプロピレン、レキサン(lexan)、ポリスチレン、環状オレフィンコポリマー、ポリウレタン、ポリアクリレートとブレンドされたポリウレタン、ポリエステルカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリアクリレート、ポリカプロラクトン、ポリケトン、ポリフタルアミド、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、エポキシポリマー、熱可塑性物質、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ガラス、石英、ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ケイ素、溶融シリカ、セラミック、金属、またはそれらの組み合わせから選択される材料を含む、項目46〜57のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目59)
前記流動チャネルおよび前記流体溜まりのうちの少なくとも1つは、疎水性表面を備える、項目46〜58のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目60)
各ウェルは、内チャンバと外チャンバとをさらに備え、前記内チャンバは前記入口ポートと流体連通し、前記外チャンバは前記出口ポートと流体連通する、項目46〜59のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目61)
前記内チャンバおよび前記外チャンバの構成は、前記流動チャネルを通る非円形の流動の方向を創出するのに十分である、項目60に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目62)
前記デバイスの少なくとも一部が、天然に疎水性であるか、または表面処理されたポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカーボネート(PC)、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート(PETG)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、または多層材料を含み、前記流動チャネル、前記複数の流体溜まり、またはそれらの組み合わせに疎水性表面を提供する、項目46〜61のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目63)
前記デバイスには、第1の流体が装填され、前記第1の流体は油を含む、項目46〜62のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目64)
前記第1の流体は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせを含む、項目63に記載のマイクロ流体デバイス。
(項目65)
マイクロ流体デバイスに流体を導入する方法であって、
項目1〜23または46〜64のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイスを提供するステップと、
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第1の流体を導入するステップと、
を含む、方法。
(項目66)
前記第1の流体は、油を含む、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記油は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される、項目66に記載の方法。
(項目68)
マイクロ流体デバイスに流体を導入する方法であって、
項目1〜23または46〜64のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイスを提供するステップと、
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第2の流体を導入するステップと、
を含み、前記第2の流体は水溶液である、方法。
(項目69)
前記第2の流体は、検体を含み、前記方法は、前記流体溜まりのうちの少なくとも1つ内で前記検体の分析を行うステップをさらに含む、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記検体は、生物学的材料を含む、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記生物学的材料は、細胞、細菌、ウイルス、プリオン、核酸、タンパク質、遺伝物質の発現産物、結晶化分子、粒子、またはそれらの組み合わせから選択される、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記第2の流体は、第1の核酸分子および第2の核酸分子を含み、前記方法は、前記第1の核酸分子を第1の流体溜まりに分配するステップをさらに含み、前記第1の流体溜まりは、前記第2の核酸分子を含まない、項目68〜71のいずれか1項に記載の方法。
(項目73)
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第1の流体を導入するステップをさらに含み、前記第1の流体は、前記第2の流体が前記流動チャネルに導入される前に前記流動チャネルに導入される、項目65〜67のいずれか1項に記載の方法。
(項目74)
前記第1の流体は、油を含む、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記油は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第3の流体を導入するステップをさらに含む、項目65〜75のいずれか1項に記載の方法。
(項目77)
前記第3の流体は、前記第2の流体が前記流動チャネルに導入された後に前記流動チャネルに導入される、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記第1の流体は油であり、前記第2の流体は水溶液であり、前記第3の流体は油である、項目76または77のいずれか1項に記載の方法。
(項目79)
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第4の流体を導入するステップをさらに含む、項目65〜78のいずれか1項に記載の方法。
(項目80)
前記第4の流体は、前記第1の流体が前記流動チャネルに導入された後、かつ前記第2の流体が前記流動チャネルに導入される前に、前記流動チャネルに導入される、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記第4の流体は、前記第2の流体が前記流動チャネルに導入された後、かつ前記第3の流体が前記流動チャネルに導入される前に、前記流動チャネルに導入される、項目79または80のいずれか1項に記載の方法。
(項目82)
前記第4の流体は、前記第3の流体が前記流動チャネルに導入された後に、前記流動チャネルに導入される、項目79または80のいずれか1項に記載の方法。
(項目83)
前記第1の流体は油であり、前記第2の流体は水溶液であり、前記第3の流体は油であり、前記第4の流体は油であり、前記第1、第3、および第4の流体は、独立して同じであるか互いに異なる、項目79〜82のいずれか1項に記載の方法。
(項目84)
前記油のそれぞれは、独立して、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される、項目83に記載の方法。
(項目85)
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第5の流体を導入するステップをさらに含む、項目65〜84のいずれか1項に記載の方法。
(項目86)
前記第5の流体は、前記第2の流体が前記流動チャネルに導入された後に、前記流動チャネルに導入される、項目85に記載の方法。
(項目87)
前記第5の流体は、前記第3の流体が前記流動チャネルに導入された後に、前記流動チャネルに導入される、項目85および86のいずれか1項に記載の方法。
(項目88)
前記流動チャネルに第4の流体を導入するステップをさらに含み、前記第4の流体は、前記第1の流体が前記流動チャネルに導入された後、かつ前記第2の流体が前記流動チャネルに導入される前に、前記流動チャネルに導入される、項目85〜87のいずれか1項に記載の方法。
(項目89)
前記第1の流体は油であり、前記第2の流体は水溶液であり、前記第3の流体は油であり、前記第4の流体は油であり、前記第5の流体は油であり、前記第1、第3、第4、および第5の流体は、独立して同じであるか互いに異なる、項目85〜88のいずれか1項に記載の方法。
(項目90)
前記油のそれぞれは、独立して、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される、項目89に記載の方法。
(項目91)
マイクロ流体デバイスに流体を導入する方法であって、
項目1〜23または46〜64のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイスを提供するステップと、
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第1の流体を導入するステップと、
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第2の流体を導入するステップと、
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第3の流体を導入するステップと、
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第4の流体を導入するステップと、
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第5の流体を導入するステップと、
を含み、前記第1の流体は油であり、第2の流体は水溶液であり、第3の流体は油であり、第4の流体は油であり、第5の流体は油であり、前記第1、第3、第4、および第5の流体は独立して同じであるか互いに異なる、方法。
(項目92)
前記油のそれぞれは、独立して、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される、項目91に記載の方法。
(項目93)
前記第1の流体は、前記流動チャネルに導入される初期流体であり、前記第1の流体の後に前記第2の流体が導入され、前記第2の流体の後に前記第4の流体が導入され、前記第4の流体の後に前記第3の流体が導入され、前記第3の流体の後に前記第5の流体が導入される、項目91〜92のいずれか1項に記載の方法。
(項目94)
前記第1の流体は、前記流動チャネルに導入される初期流体であり、前記第1の流体の後に前記第4の流体が導入され、前記第4の流体の後に前記第2の流体が導入され、前記第2の流体の後に前記第3の流体が導入され、前記第3の流体の後に前記第5の流体が導入される、項目91〜92のいずれか1項に記載の方法。
(項目95)
マイクロ流体デバイスに流体を導入する方法であって、
項目1〜23または46〜64のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイスを提供するステップと、
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第1の流体を導入するステップと、
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第2の流体を導入するステップと、
前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第3の流体を導入するステップと、
必要に応じて前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第4の流体を導入するステップと、
必要に応じて前記マイクロ流体デバイスの前記流動チャネルに第5の流体を導入するステップと、
を含み、前記第1の流体は油であり、前記第2の流体は水溶液であり、前記第3の流体は油であり、前記第4の流体は油であり、前記第5の流体は油であり、前記第1、第3、第4、および第5の流体は、独立して同じであるか互いに異なる、方法。
(項目96)
前記第1の流体は、最初に導入され、前記第1の流体の後に前記第2の流体が導入され、前記第2の流体の後に前記第4の流体が導入され、前記第4の流体の後に前記第3の流体が導入され、必要に応じて前記第3の流体の後に前記第5の流体が導入される、項目95に記載の方法。
(項目97)
前記第1の流体は、最初に導入され、前記第1の流体の後に第4の流体が導入され、前記第4の流体の後に前記第2の流体が導入され、前記第2の流体の後に前記第3の流体が導入され、必要に応じて第3の流体の後に前記第5の流体が導入される、項目95に記載の方法。
(項目98)
前記流動チャネルへの流体導入のシーケンスは、
(a)油、水溶液、および油、
(b)油、油、水溶液、油、および油、
(c)油、油、水溶液、および油、または
(d)油、水溶液、油、および油、から選択され、前記油のそれぞれの組成は独立して同じであるか異なる、項目65〜97のいずれか1項に記載の方法。
(項目99)
前記シーケンスの任意の時点で、油または水溶液から選択される1つまたはそれを上回る追加の流体を導入することをさらに含む、項目98に記載の方法。
(項目100)
前記流動チャネルに導入される前記第1の流体が油である、項目65〜99のいずれか1項に記載の方法。
(項目101)
前記流動チャネルに導入される前記第1の流体は、水溶液でない、項目65〜100のいずれか1項に記載の方法。
(項目102)
前記流体は、気圧、空気圧、水圧、またはそれらの組み合わせから選択される流体圧を印加することで前記流動チャネルに導入され、前記流体圧は陽流体圧または陰流体圧である、項目65〜101のいずれか1項に記載の方法。
(項目103)
前記流体は、毛管現象またはウィッキングによって前記流動チャネルに導入される、項目65〜101のいずれか1項に記載の方法。
(項目104)
前記流体は、遠心力駆動流によって前記流動チャネルに導入される、項目65〜101のいずれか1項に記載の方法。
(項目105)
前記流体を、前記マイクロ流体デバイスの前記流体入口ポートを介して前記流動チャネルに導入するステップをさらに含む、項目65〜103のいずれか1項に記載の方法。
(項目106)
前記流体は、前記マイクロ流体デバイスの前記流体溜まりを介して前記流動チャネルに導入される、項目65〜105のいずれか1項に記載の方法。
(項目107)
前記複数の流体溜まり内でデジタルポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実行するステップをさらに含む、項目70〜106のいずか1項に記載の方法。
(項目108)
前記複数の流体溜まり内で等温増幅を実行するステップをさらに含む、項目70〜106のいずれか1項に記載の方法。
(項目109)
前記検体は、前記流体溜まり内で結晶化される、項目69〜106のいずれか1項に記載の方法。
(項目110)
前記検体は、悪性表現型を発現する細胞、胎児細胞、循環内皮細胞、腫瘍細胞、ウイルスに感染した細胞、対象とする遺伝子でトランスフェクトした細胞、免疫細胞の亜型、または自己免疫もしくは自己反応性障害に罹患した患者の末梢血中に存在するT細胞もしくはB細胞から選択される、少なくとも1つの希少細胞を含む、項目69〜106のいずれか1項に記載の方法。
(項目111)
前記第1の流体を第1の流体入口ポートに、および前記第2の流体を第2の流体入口ポートに導入するステップをさらに含み、前記第1の流体入口ポートおよび前記第2の流体入口ポートは同じポートまたは異なるポートである、項目68〜110のいずれか1項に記載の方法。
(項目112)
前記第3の流体を第3の流体入口ポートに、前記第4の流体を第4の入口ポートに、および前記第5の流体を流体入口ポートに導入するステップをさらに含み、前記第3の流体入口ポート、前記第4の流体入口ポート、および前記第5の流体入口ポートは独立して同じポートまたは異なるポートであり、前記第3の流体入口ポート、前記第4の流体入口ポート、および前記第5の流体入口ポートは独立して前記第1の流体入口ポートならびに前記第2の流体入口ポートと同じまたは異なるポートである、項目111に記載の方法。
(項目113)
分析システムであって、
項目1〜23または46〜64のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイスを受容するように構成されるチャンバと、
前記流動チャネルを通じて流体を推し進めるために十分な圧力を前記流動チャネルに印加するように構成される流体加圧装置と、
前記マイクロ流体デバイスの前記流体溜まりのうちの少なくとも1つを光学的に分析するための光学検出構成要素と、
前記光学検出構成要素を制御するように構成され、かつ前記光学検出構成要素から生成されるデータを記憶するように構成される処理装置と、
を備える、分析システム。
(項目114)
分析システムであって、
項目1〜23または46〜64のいずれか1項に記載のマイクロ流体デバイスを受容するように構成されるチャンバと、
流動チャネルの少なくとも一部を通って流体を導入するように構成される流体導入構成要素と、
流体溜まりを光学的に分析するように構成される光学検出構成要素と、
前記光学検出構成要素を制御するように構成され、かつ前記光学検出構成要素から生成されるデータを記憶するように構成される処理装置と、
を備える、分析システム。
(項目115)
前記流体導入構成要素は、複数の流動チャネルのうちの少なくとも1つを通じて流体を動かすように構成される、項目114に記載の分析システム。
(項目116)
流体導入構成要素は、気圧源、空気圧源、水圧源、またはそれらの組み合わせから選択され、前記流体導入構成要素は、流体を流動チャネルに流動させるのに十分な正圧または負圧の源を含む、項目114〜115のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目117)
前記流体導入構成要素は、前記流体を、毛管現象、ウィッキング、遠心力、またはそれらの組み合わせによって、少なくとも部分的に流動チャネルを通って動かすように構成される、項目114〜116のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目118)
前記光学検出構成要素は、複数の流体溜まりを光学的に分析するように構成される、項目114〜117のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目119)
前記流体溜まりのうちの少なくとも1つに熱を付与するように構成される熱制御構成要素をさらに備える、項目114〜118のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目120)
前記光学検出構成要素は、撮像デバイス、光ディスクドライブ、レーザスキャナ、またはそれらの組み合わせを備える、項目114〜119のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目121)
流体を収容するための複数の流体リザーバをさらに備え、前記複数の流体リザーバは前記マイクロ流体デバイスの前記流体入口ポートに前記流体を提供するように構成される、項目114〜120のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目122)
第2の流体リザーバおよび第3の流体リザーバをさらに備え、前記第2の流体リザーバは第2の流体を含み、前記第3の流体リザーバは第3の流体を含み、前記第2の流体は水溶液を含み、前記第3の流体は油を含む、項目113〜121のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目123)
前記マイクロ流体デバイスには、第1の流体および前記第2の流体が装填され、前記第1の流体は油を含む、項目114〜122のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目124)
前記光学検出構成要素は、流体溜まり内に存在する検体を検出するように構成される、項目114〜123のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目125)
前記光学検出構成要素および前記処理装置は、前記流体溜まりのうちの少なくともいくつかにおける水溶液の体積を決定するように構成される、項目114〜124のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目126)
前記流体溜まりのそれぞれは、開口管路を通して流動チャネルと流体連通する、項目113〜125のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目127)
前記流体溜まりのうちの少なくとも1つは、前記流動チャネルと流体連通する少なくとも1つチャネルを備える、項目113〜126のいずれか1項に記載の分析システム。
(項目128)
装置であって、
流動軸と、上流端と、下流端とを有する流動チャネルと、
前記流動チャネルと流体連通し、かつ前記流動軸からずれている複数の流体溜まりと、
を備え、前記流体溜まりのそれぞれは、上流端および下流端を有し、前記流動チャネルは、前記流体溜まりそれぞれの上流または下流に位置決めされる収縮部を備える、装置。
(項目129)
前記収縮部は、前記流動チャネルの最大幅のおよそ3分の1の幅である、項目128に記載の装置。
(項目130)
前記複数の流体溜まりは、前記流動チャネルを備える前記デバイスの面の下または上の面に位置決めされる、項目128に記載の装置。
(項目131)
前記流動チャネルは、第2の流体の源、および前記第2の流体とは混合しない第3の流体の源と流体連通している、項目128〜130のいずれか1項に記載の装置。
(項目132)
前記流動チャネルまたは前記複数の流体溜まりのいずれか1つには、第1の流体が装填され、前記第1の流体は、油である、項目128〜131のいずれか1項に記載の装置。
(項目133)
前記流体溜まりのそれぞれは、前記下流端上でテーパー状である、項目128〜132のいずれか1項に記載の装置。
(項目134)
前記流動チャネルの幅と流体溜まりの幅との差は、前記流体溜まりの幅の0.001〜1.5倍の間である、項目128〜133のいずれか1項に記載の装置。
(項目135)
流体溜まりの高さは、前記流動チャネルの高さよりも大きい、項目128〜134のいずれか1項に記載の装置。
(項目136)
流体溜まりの長さは、前記流体溜まりの幅よりも大きい、項目128〜135のいずれか1項に記載の装置。
(項目137)
第1の流体溜まりの前記下流端および第2の流体溜まりの前記上流端は、ある距離で離されており、前記距離は、前記第1の流体溜まりの長さの0.1〜3倍の間である、項目128〜136のいずれか1項に記載の装置。
(項目138)
前記流動チャネルの幅は、流体溜まりの幅よりも大きく、流体溜まりの下流端は、別の流体溜まりの前記上流端に重ならない、項目128〜137のいずれか1項に記載の装置。
(項目139)
項目1〜23および46〜64のいずれか1項に記載のデバイスを備える、装置。
【0017】
(参照による援用)
本明細書において述べられる全ての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照によって援用ことが具体的かつ個々に示されるのと同じ程度に参照によって本明細書に援用される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
本発明は、例えば、試料体積の離散化および操作における使用のためのデバイス、システム、および装置を提供する。関連方法も提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明は、頑強かつ多用途である、試料体積の離散化(デジタル化とも呼ばれる)、操作、および分析のための方法、システム、デバイス、および装置を提供する。いくつかの側面では、流体デバイスは、流体力間の相互作用、界面張力、チャネル幾何形状、形成された液滴および/または離散化された容量の最終安定性を利用することによって試料を分配することができる。これらの区画化された体積は、試料の単離と、続いて操作され、分析され得る局在化アレイへの分配とを可能にする。本発明のデバイスは、種々の方法を使用し、例えば、遠心力または流体圧のいずれかまたは両方を用いて充填され得る。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態は、化学物質、生化学物質、遺伝物質、または生物学的細胞を含むが、これらに限定されない、種の分析のための方法および装置を含むことができ、流体格子を使用して流体パケットを形成する。本発明の実施形態の可能な用途は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸配列ベース増幅(例えば、ループ介在等温増幅(LAMP)および核酸配列ベース増幅(NASBA))、タンパク質および小分子の結晶化、ならびに生物学的液中に存在する細胞(例えば、希少細胞もしくは単細胞)または生物学的粒子(例えば、単離ミトコンドリア)の分析を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明のデバイス、方法、およびシステムは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素PCR(RT−PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ループ介在性増幅(LAMP)(RT−LAMP)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)(RT−HDA)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)(RT−RPA)、および/または鎖置換増幅(SDA)(RT−SDA)に使用され得る。特定の実施形態では、本発明のデバイス、方法、およびシステムは、核酸配列ベース増幅(NASBA)、転写介在性増幅(TMA)、自家持続配列複製(3SR)、および単一プライマー等温増幅(SPIA)に使用され得る。使用され得る他の技法は、例えば、シグナル介在性増幅RNAテクノロジー(SMART)、ローリングサークル増幅(RCA)、超分岐ローリングサークル増幅(HRCA)、指数的増幅反応(EXPAR)、スマート増幅(SmartAmp)、等温およびキメラプライマーで開始された核酸増幅(ICANS)、ならびに多置換増幅(MDA)を含む。
【0023】
いくつかの側面では、本発明は、多種多様な異なる用途および分析方法に適するように調整され得る試料体積の離散化および操作のためのデバイスを含む。デバイスの構成要素は、例えば、隣接した試料区画のアレイと並ぶ主チャネルまたは流動チャネル(単数または複数)を含み得る。「主チャネル」および「流動チャネル」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。一実施形態では、試料区画は、主チャネル上に位置決めされ、その側面に接続することができ、また側方溜まり設計(side−harbor design)とも呼ばれ得る。別の実施形態では、試料区画は、主チャネルの底部または上部にあり得、底部溜まり設計(bottom−harbor design)とも呼ばれ得る。主チャネルおよび試料区画の寸法は、離散化試料の体積、区画位置、および全アレイサイズを画定するために異なり得る。流動チャネルと流体連通する試料区画またはチャンバは、以降「流体溜まり」とも呼ばれる。これらの流体溜まりは、主チャネルを通る流動軸からずれる可能性があり、流体パケットが溜まり内で形成され得るように、チャネル内の流動からのシェルターを提供するチャネルに沿って位置し得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「と流体連通する」という用語(およびその変型)は、構成要素間の流体経路の存在を指し、いかなる中間構造もしくは構成要素の存在も暗示または除外せず、経路が常に開いているか、もしくは流体流動に使用可能であることも暗示しない。
【0025】
(試料体積の自己デジタル化のためのデバイスおよび装置)
特定の実施形態では、本開示の発明は、複数のチャネルと、流体溜まりと、リザーバとを備えるデバイスおよび装置を含む。
図1aを参照すると、本発明のデバイスは、例えば、少なくとも1つの入口(2)または出口(3)の近傍に油または水性試料を保管するために使用される大きなチャンバを含み得る、リザーバ(1)を含み得る。リザーバは、設計に応じて随意である。デバイスは、多種の流動チャネルを含むこともできる。例えば、入口チャネル(単数また複数)(4)は、種々の流体および試料がチップ上に導入され得る場所である。分岐要素(5)をまた使用して流体を分配し、多くの流動チャネルと流体溜まりの組を同時にサンプリングすることもできる。主充填チャネル(6)は、試料を流体溜まり(7)に送達することができ、流体溜まりと直接接触することができる。いくつかの実施形態では、主チャネルは、流体流動を方向付け、それを流体溜まりと接続するのを助けるための特徴(例えば、くぼみまたは突出)を有し得る。主チャネルと流体溜まりとの間の接続はまた、主チャネルに対する流体溜まりの形状、ずれ、および配向によっても異なり得る。排液チャネル(8)は、より小さく、流体溜まりから主充填チャネルに接続して充填中に油を排出するための経路を提供することができる。排液チャネルは、必ずしも必要ではなく、異なる複雑性を有し得、1つまたはそれを上回る排液接合部が所定の流体溜まりに接続されている。チャネルの側方に流体溜まりを伴ういくつかの実施形態は、排液チャネルを利用する一方、チャネルの底部/上部に流体溜まりを伴う実施形態は利用しない。出口チャネル(9)は、任意の過剰な試料または油を流体溜まりから出口または出口リザーバに送達することができる。それらは、主チャネル間のより均一な流動の確立を助けるために「抵抗器」チャネル(10)を含み得る。それらは、出口(リザーバ)に脱分岐的に一緒に接続するか、または個々に接続するかのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、流体溜まりは、例えば、主チャネルおよび任意の排液チャネルの両方に接続され得る。
図1bは、本発明のデバイスの簡略版を表す。
【0026】
いくつかの側面では、流体溜まりはまた、流体溜まりとチャネルとの間の幾何的差異によって、および流体溜まりとチャネルとの間の位置的差異に起因して試料を離散化するように機能することもできる(例えば、流体溜まりは、チャネルからずれ得る)。
【0027】
特定の実施形態では、流体溜まり寸法のうちの1つまたはそれを上回るものは、主チャネルにおける対応寸法よりも大きい。そのような実施形態では、流体溜まり寸法と流動チャネルの対応する寸法との間の差異は、デバイスに装填される水溶液の、より大容量の流体溜まりへの拡張を促進する。理論に束縛されるものではないが、流体溜まり内のより大きな寸法が、主チャネル内のそれらに対して2つの流体間の界面エネルギーを低下させるため、この拡張は、自発的に発生すると考えられる。
【0028】
流動チャネルの上または下に流体溜まりを備える特定の実施形態では、流体溜まりの垂直寸法または高さは、チャネルの高さより大きい。主チャネルの側方に流体溜まりを伴う実施形態の場合、流体溜まりの垂直寸法および水平寸法の両方は、同じ流動チャネル寸法よりも大きい可能性がある。
【0029】
特定の実施形態では、流体溜まりのうちの1つの下流端と、下流流体溜まりの上流端との間の間隔は、流体溜まりの長さの0.1倍〜3.0倍である。特定の好ましい実施形態では、流体溜まりのうちの1つの下流端と、下流流体溜まりの上流端との間の間隔は、0.1〜1である。
【0030】
特定の実施形態では、流動チャネルの幅は、流体溜まりの幅よりも大きい。特定のさらなる実施形態では、流動チャネルの幅と流体溜まりの幅との間の差は、流体溜まりの幅の0.001倍〜3倍である。特定の好ましい実施形態では、流動チャネルの幅と流体溜まりの幅との間の差は、流体溜まりの幅の0.01倍〜1.5倍である。
【0031】
流体溜まりは、多くの異なる配向で位置決めされ得る。特定の実施形態では、流体溜まりは、主チャネルの上部/底部に接続される。他の実施形態では、流体溜まりは、主チャネルの側方に接続される。特定の実施形態では、流体溜まりの「長」軸は、依然として主軸と平行しているが、溜まりは流動チャネルからずれている。(「長」軸は、流体溜まりの最長寸法の方向を指す)。特定のさらなる実施形態では、長軸対短軸の比は、1〜5である。
【0032】
主チャネルの上部/底部に流体溜まりを伴う実施形態の場合、垂直寸法は増加され得る。主チャネルの側方に流体溜まりを伴う実施形態の場合、垂直寸法および水平寸法の両方が増加し得る。特定の実施形態では、流体溜まりは、主チャネルの1つの側方のみに位置する。他の実施形態では、流体溜まりは、例えば、
図2bに示されるように、主チャネルの2つの側方に位置し得る。主チャネルの2つの側方に流体溜まりを有することは、側方および底部溜まり設計の両方に適用することができ、特定の実施形態では、流体溜まりは、3つまたは4つの側方に位置決めされ得る。流体溜まりは、断面が円形、楕円形、正方形、長方形、三角形であるか、またはいくつかの他の多角形寸法を有する形状を含むが、これらに限定されない、種々の幾何形状をとり得る。流体溜まりは、丸い角または面取り角を有することもでき、非対称形状であり得る。
【0033】
流体溜まりは、多くの異なる配向で位置決めされ得る。特定の実施形態では、流体溜まりは、主チャネルの上部/底部に接続される。他の実施形態では、流体溜まりは、主チャネルの側方に接続される。特定の実施形態では、流体溜まりの「長」軸は、依然として主軸と平行しているが、溜まりは流動チャネルからずれている。(「長」軸は、流体溜まりの最長寸法の方向を意味する)。他の実施形態では、溜まりの「長」軸は、主チャネルに垂直である。他の実施形態では、「長」軸は、主流動軸に対していくらかの他の角度で位置決めされる。流体溜まりは、溜まりの中心と流動チャネルの中心線との間に引かれた線が、チャネル壁とその中心線との間の最短距離よりも長い場合、流動チャネルを通る流動軸からずれていると言うこともできる。
【0034】
いくつかの実施形態では、主チャネルは、一定の長方形断面を有し得る。特定の実施形態では、流動チャネル内の追加の収縮または拡張特徴を使用し、流体溜まりへの試料の輸送を促進し、溜まり内の試料を離散化することができる。例えば、
図3Aおよび3Bは、デバイス内の流動チャネルの上または下に位置決めされ得る流体溜まりを示す。
図3C−3Eに示されるように、例えば、流体溜まりおよび/または流動チャネルは、所望の適用により種々の寸法を有するように設計され得る。特定の実施形態では、流体溜まりは、流動チャネルと重なり得(例えば、
図4aを参照)、他の実施形態では、流体溜まりは、チャネル壁と同一平面であり得(例えば、
図4bを参照)、また他の実施形態では、流体溜まりは、突出によって流動チャネルに接続され得る(例えば、
図4cを参照)。代替として、またはこれらの接続に加えて、チャネル内のくぼみは、事実上、チャネルの主軸に対する流体溜まりの位置を調整することなく、チャネルとの重なり、またはチャネルおよび流体溜まりの突出もしくは同一平面合わせの使用を再現することができる。特定の実施形態では、チャネル内のこれらの追加のチャネル特徴(例えば、くぼみまたは突出)を使用して流動を再方向付ける、および/または流体溜まりの単離を助ける。くぼみおよび突出は、特定の性能要件に適するように種々の形状およびサイズを有し得る。側方溜まり設計等の特定の実施形態では、これらの特徴は、流体溜まりとの接続としてチャネルと同じ側にあり得る(例えば、
図4dを参照)。いくつかの実施形態では、収縮または拡張特徴は、チャネルの反対側に位置し得る(例えば、
図4eを参照)。他の実施形態では、他の流動チャネル側方にも同様に特徴が存在し得る。底部溜まり設計等の特定の実施形態では、収縮または拡張特徴は、底部溜まりに隣接するが、チャネルの平面内であり得る(例えば、
図3Dおよび3Eを参照)。
【0035】
改善された装填を支援するために、本発明は、例えば、中心領域および外縁を有する本体(例えば、ディスク形状本体)を含み得るマイクロ流体デバイスも含む。本体は、中心軸を中心として回転するために構成されることができ、種々の構成要素を含み得る。本体は、種々の形状を有し得る。例えば、本体は、一般にディスク形状であり得る。ディスク形状本体は、円形、扁円形、楕円形、正方形、または長方形であり得る。本体は、軸を中心とした回転を可能にするようにディスク形状本体内に置かれ得る軸(例えば、中心軸)を有し得る。
【0036】
いくつかの側面では、マイクロ流体デバイスは、1つまたはそれを上回る流体入口ポートを含み得る。流体入口ポートは、ディスク形状本体の中心領域に位置し得る。デバイスは、1つまたはそれを上回る流動チャネルも含み得る。流動チャネルは、近位端、遠位端、および流動軸を含み得る。流動チャネルは、流体入口ポートと流体連通することもできる。いくつかの実施形態では、流動チャネルの近位端は、中心領域の近くにあるか、または近接し、遠位端は、本体の外縁の近くに位置する。本体の中心領域内の流体入口ポートの位置は、例えば、ディスク本体のスピン時に、流体が流動チャネル内およびディスク形状本体の外縁に向かって方向付けられるように設計され得る。代替として、例えば、圧力負荷によって流体をチャネルに装填するための他の方法を使用することもできる。デバイスは、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりをさらに含み得る。流体溜まりは、下記でより詳細に説明される。
【0037】
本発明のマイクロ流体デバイスは、1つまたはそれを上回る流体出口ポートを含むこともできる。流体出口ポートは、流動チャネルと流体連通し得る。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る流体出口ポートは、流動チャネルの遠位端よりもディスク形状本体の中心領域の近くに位置し得る。流体出口ポートの位置は、流体による流動チャネルおよび流体溜まりの装填に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、出口は、入口の同じ半径位置にあり得るか、または入口よりもデバイスの外部もしくは縁部の近く、またはさらに入口よりもデバイスの内部もしくは中心部の近くにあり得る。ディスク形状本体の外縁の近くではなく、中心領域内に位置する出口を有することは、例えば、流動チャネルおよび流体溜まりを装填するための追加の制御レベルを提供し得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるデバイスは、円形形状を有することができ、例えば、デバイス内のチャネルの充填のために回転されるように構成され得る、ディスク形状本体を有することができる。いくつかの側面では、デバイスの中心領域および外縁は、円形ディスク形状本体の半径により画定され得る。ディスク形状本体は、本体の中心から本体の外縁まで延在する半径を有し得る。本体の中心領域は、本体の半径に沿った位置によって画定され得る。例えば、中心領域は、円形ディスク本体内の円であり得る。いくつかの実施形態では、中心領域は、ディスク形状本体の死点、例えば、円の死点を含み得る。ディスク本体の中心から外縁までの半径が、長さ1である場合、中心領域は、長さ1のその半径のパーセンテージまたは比率によって画定され得る。特定の側面では、ディスク本体上の中心領域は、長さ1の半径の約0〜約0.8未満、約0.01〜約0.8未満、約0.01〜約0.7未満、約0.01〜約0.6未満、約0.01〜約0.5未満、約0.01〜約0.4未満、約0.01〜約0.3未満、約0.01〜約0.2未満、または約0.01〜約0.1未満の半径を有する円によって画定され得る。いくつかの側面では、ディスク本体上の中心領域は、長さ1の半径の約0.1〜約0.40、約0.2〜約0.3、約0.1〜約0.3、または約0.1〜約0.2の半径を有する円によって画定され得る。
【0039】
本明細書で提供されるように、デバイス内の1つまたはそれを上回る流体出口ポートは、ディスク形状本体の中心領域内に位置し得る。流体出口ポートは、流体入口ポートの同じ半径位置に位置決めされ得る。例えば、流体入口および出口ポートは、長さ1の半径の約0.05〜約0.50未満の半径位置にある中心領域内に位置決めされ得る。いくつかの側面では、ディスク本体上の中心領域は、長さ1の半径の約0.1〜約0.40、約0.2〜約0.3、約0.1〜約0.3、または約0.1〜約0.2の半径を有する円によって画定され得る。いくつかの側面では、デバイスは、デバイス、例えば、円形デバイスの死点に位置する1つの入口ポートを含み得る。1つまたはそれを上回る出口ポートは、入口ポートに結合され、デバイス内の種々の半径位置に位置決めされ得る。代替として、流体出口ポートは、中心領域内であるが、流体入口ポートの異なる半径位置に位置決めされ得る。例えば、流体出口ポートは、長さ1の全半径に沿って0.1の半径位置に位置することができ、流体入口ポートは、長さ1の全半径に沿って0.2の半径位置に位置することができる。いくつかの実施形態では、流体出口ポートは、長さ1の全半径に沿って0.2の半径位置に位置することができ、流体入口ポートは、長さ1の全半径に沿って0.1の半径位置に位置することができる。いくつかの実施形態では、異なる流体入口および出口ポートは、中心領域内の異なる半径位置に位置決めされ得る。例えば、1つの流体入口ポートは、0.1の半径位置に位置することができ、別の流体入口ポートは、0.2の半径位置に位置することができる。1つの流体出口ポートは、0.15の半径位置に位置することができ、別の流体入口ポートは、0.25の半径位置に位置することができる。
【0040】
別の側面では、本発明は、1つまたはそれを上回るマイクロウェルプレートを含み得るマイクロ流体デバイスを含むこともできる。マイクロウェルプレートは、例えば、各ウェル中の試料の装填および分析のための流体システムを提供するように設計され得る、複数のウェル(例えば、96ウェルプレート)を含み得る。いくつかの側面では、ウェルは、1つまたはそれを上回る流体入口ポートと、1つまたはそれを上回る流動チャネルと、1つまたはそれを上回る流体出口ポートとを含み得る。構成要素のそれぞれは、流体連通することができる。ウェルは、例えば、ウェルから試料を取り込む流動チャネルのうちの1つまたはそれを上回るものに沿って配置され得る流体溜まりを含むこともできる。
【0041】
ウェルは、種々の方法でデバイスまたはマイクロウェルプレート上に配置され得る。例えば、ウェルは、例えば、流体溜まりの高スループット分析を可能にするようにアレイフォーマットで整列され得る。いくつかの実施形態では、ウェルは、正方マトリクスアレイまたは2:3または3:4の行対列の比を有する長方マトリクスアレイで配置され得る。マイクロ流体デバイスは、所望される場合、デバイス上に正しく適合し得る任意の数のウェルを含み得る。例えば、存在するウェルの数は、例えば、6、12、24、48、96、384、または1536ウェルであり得る。他のウェル構成および数を使用することができる。
【0042】
種々の側面において、本開示は、中心領域および外縁を有するディスク形状本体であって、中心軸を中心として回転するために構成され、かつディスク形状本体の中心領域内に位置する流体入口ポートと、近位端、遠位端、および流動軸を有する流動チャネルであって、流体入口ポートと流体連通する流動チャネルと、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりと、流動チャネルと連通する流体出口ポートとをさらに備えた、ディスク形状本体を備え、流体出口ポートが、流動チャネルの遠位端よりもディスク形状本体の中心領域の近くに位置する、マイクロ流体デバイスを提供する。
【0043】
種々の側面において、本開示は、中心領域、外縁、および中心軸を有するディスク形状本体であって、中心軸を中心として回転するために構成され、かつディスク形状本体の中心領域内に位置決めされた流体入口ポートと、流動軸および最外領域を有する流動チャネルであって、流動チャネルの最外領域が、中心領域から最も遠い流動チャネルの領域であり、流動チャネルが、流体入口ポートと流体連通する流動チャネルと、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりと、流動チャネルと流体連通する流体出口ポートをさらに備えた、ディスク形状本体を備え、中心領域から流体出口ポートまでの距離が、中心領域から流動チャネルの最外領域までの距離よりも小さい、マイクロ流体デバイスを提供する。
【0044】
いくつかの側面では、マイクロ流体デバイスは、フローセルをさらに備え、フローセルは、流体入口ポートと、流体出口ポートと、複数の流動チャネルとを備え、流動チャネルのそれぞれは、流体入口ポートおよび流体出口ポートと流体連通する。他の側面では、デバイスは、各流動チャネルの流動軸がディスク形状本体の外縁に垂直であるように構成された複数の流動チャネルを備える。いくつかの側面では、複数の流動チャネルは、流動チャネルが平行に配置されるように構成される。特定の側面では、流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動軸に直交する以外の角度である。
【0045】
いくつかの側面では、流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動軸に直交する角度である。他の側面では、流体溜まりのそれぞれは、開口管路によって流動チャネルと流体連通する。さらなる側面では、流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動チャネルと流体連通する少なくとも1つの流動チャネルをさらに備える。
【0046】
いくつかの側面では、デバイスは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、熱硬化性ポリエステル(TPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタンメタクリレート、ポリエチレン、ポリエステル(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、パリレン、ポリ塩化ビニル、フルオロエチルプロピレン、レキサン、ポリスチレン、環状オレフィンコポリマー、ポリウレタン、ポリアクリレートとブレンドされたポリウレタン、ポリエステルカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリアクリレート、ポリカプロラクトン、ポリケトン、ポリフタルアミド、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、エポキシポリマー、熱可塑性物質、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ガラス、石英、ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ケイ素、溶融シリカ、セラミック、金属、またはそれらの組み合わせから選択される材料を含む。
【0047】
特定の側面では、流動チャネルおよび複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、疎水性表面を備える。他の側面では、ディスク形状本体の少なくとも一部分は、天然に疎水性であるか、または表面処理されたポリジメチルスロキサン(PDMS)、ポリカーボネート(PC)、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート(PETG)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、多層材料、またはそれらの組み合わせを含む。さらなる側面では、流動チャネルおよび複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、親フッ素表面を含む。
【0048】
いくつかの側面では、本開示は、第1の流体が装填されるマイクロ流体デバイスを提供する。種々の側面において、第1の流体は、油を含む。さらなる側面では、第1の流体は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせを含む。
【0049】
いくつかの側面では、マイクロ流体デバイスは、共通流体リザーバをさらに含み、共通流体リザーバは、流動チャネルのそれぞれの遠位端と流体連通し、共通流体リザーバは、流体出口ポートと流体連通する。他の側面では、流体出口ポートは、流体入口ポートよりもディスク形状本体の中心の近くに位置する。さらなる側面では、流体出口ポートは、流体入口ポートよりもディスク形状本体の中心から離れて位置する。
【0050】
なおもさらなる側面では、流体出口ポートは、流体入口ポートとしてディスク形状のデバイスの中心の近傍に位置する。
【0051】
いくつかの側面では、本開示は、複数のフローセルをさらに備える、マイクロ流体デバイスを提供し、各フローセルは、複数の流動チャネルと、流体入口ポートと、流体出口ポートとを備え、流体出口ポートは、流動チャネルの遠位端よりもディスク形状本体の中心領域の近くに位置する。
【0052】
他の側面では、本開示は、複数のフローセルを提供し、各フローセルは、複数の流動チャネルと、流体入口ポートと、流体出口ポートとを備え、中心領域から流体出口ポートまでの距離は、中心領域から流動チャネルの最外領域までの距離よりも小さい。
【0053】
いくつかの側面では、フローセルのそれぞれは、複数の流体入口ポート、複数の流体出口ポート、またはそれらの組み合わせを備える。
【0054】
種々の側面において、本開示は、本開示の任意のマイクロ流体デバイスを、その中心軸を中心として回転させるために構成された回転構成要素と、マイクロ流体デバイスの流体溜まりのうちの少なくとも1つを光学的に分析するように構成された光学検出構成要素と、回転構成要素、および光学検出構成要素を制御するために構成され、かつ光学検出構成要素から生成されたデータを記憶するために構成された処理装置とを備える、分析システムを提供する。
【0055】
特定の側面では、分析システムは、それぞれが流体を収容することができる複数の流体リザーバをさらに備え、複数の流体リザーバは、マイクロ流体デバイスの流体入口ポートに流体を提供するように構成される。いくつかの側面では、分析システムは、複数の流体溜まりに熱を適用するように構成された熱制御構成要素をさらに備える。
【0056】
いくつかの側面では、熱制御構成要素は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温増幅、またはそれらの組み合わせを行うために、複数の流体溜まりを効率的に加熱するように構成される。
【0057】
いくつかの側面では、分析システムは、流動チャネルを通じて流体を移動させるように構成された流体導入構成要素をさらに備える。特定の側面では、流体導入構成要素は、流体入口ポートのうちの少なくとも1つと流体連通する圧力源を備え、圧力源は、流動チャネルを通じて流体を移動させるために十分な正圧または負圧を印加するように構成され、正圧または負圧は、気圧、空圧、油圧、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。他の側面では、流体導入構成要素は、毛管作用、ウィッキング、または遠心力駆動流によって流動チャネルを通じて流体を移動させるように構成される。
【0058】
いくつかの側面では、光学検出構成要素は、50RPM〜2000RPMで回転するマイクロ流体デバイスを分析するように構成される。特定の側面では、光学検出構成要素は、顕微鏡、レーザ走査装置、光ディスクドライブ、またはそれらの組み合わせを備える。
【0059】
いくつかの側面では、回転構成要素は、マイクロ流体デバイスの回転速度を調整し、光学検出構成要素の読出速度に一致させるように構成される。特定の側面では、回転構成要素は、50RPM〜5000RPMでマイクロ流体デバイスを回転させるように構成される。さらなる側面では、分析システムは、光ディスクドライブをさらに備える。他の側面では、光ディスクドライブは、コンパクトディスク(CD)ドライブ、デジタルビデオディスク(DVD)ドライブ、ブルーレイドライブ、もしくはそれらの修正版、またはそれらの組み合わせである。
【0060】
いくつかの側面では、分析システムは、複数のマイクロ流体デバイスを収容、回転、および処理するように構成される。
【0061】
種々の側面において、本開示は、複数のウェルを含むマイクロウェルプレートを備える、マイクロ流体デバイスを提供し、ウェルのそれぞれは、ウェルと流体連通する流体入口ポートと、ウェルと流体連通する流体出口ポートと、流動軸を有する流動チャネルであって、流体入口ポートおよび流体出口ポートと流体連通する流動チャネルと、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりとをさらに備える。
【0062】
いくつかの側面では、ウェルのうちの少なくとも1つは、複数の流動チャネルを備える。他の側面では、ウェルのうちの少なくとも1つは、複数の流体入口ポートを備える。さらなる側面では、ウェルのうちの少なくとも1つは、複数の流体出口ポートを備える。特定の側面では、複数のウェルは、アレイで配置される。さらなる側面では、複数のウェルは、正方マトリクスアレイで配置される。なおもさらなる側面では、複数のウェルは、2:3または3:4の行対列の比を有する長方マトリクスアレイで配置される。他の側面では、マイクロ流体デバイスは、6、12、24、48、96、384、または1536個のウェルを含む。いくつかの側面では、流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動軸に直交する以外の角度である。他の側面では、流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動軸に直交する角度である。さらなる側面では、流体溜まりのそれぞれは、開口管路によって流動チャネルと流体連通する。いくつかの側面では、流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動チャネルと流体連通する流動チャネルを備える。
【0063】
いくつかの側面では、流動チャネルおよび流体溜まりのうちの少なくとも1つは、疎水性表面を含む。特定の側面では、本開示のマイクロ流体デバイスは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、熱硬化性ポリエステル(TPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタンメタクリレート、ポリエチレン、ポリエステル(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、パリレン、ポリ塩化ビニル、フルオロエチルプロピレン、レキサン、ポリスチレン、環状オレフィンコポリマー、ポリウレタン、ポリアクリレートとブレンドされたポリウレタン、ポリエステルカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリアクリレート、ポリカプロラクトン、ポリケトン、ポリフタルアミド、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、エポキシポリマー、熱可塑性物質、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ガラス、石英、ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ケイ素、溶融シリカ、セラミック、金属、またはそれらの組み合わせから選択される材料を含む。
【0064】
特定の側面では、各ウェルは、内チャンバと外チャンバとをさらに備え、内チャンバは、入口ポートと流体連通し、外チャンバは、出口ポートと流体連通する。さらなる側面では、内チャンバおよび外チャンバの構成は、流動チャネルを通る非円形の流動の方向を創出するのに十分である。
図22Bは、特定の側面による内チャンバおよび外チャンバを表す。
【0065】
いくつかの側面では、デバイスの少なくとも一部分は、天然に疎水性であるか、または表面処理されたポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカーボネート(PC)、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート(PETG)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、または多層材料を含み、流動チャネル、複数の流体溜まり、もしくはそれらの組み合わせに疎水性表面を提供する。
【0066】
特定の側面では、デバイスは、第1の流体が装填され、第1の流体は、油を含む。さらなる側面では、第1の流体は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせを含む。
【0067】
(試料体積の自己デジタル化のための材料)
特定の実施形態では、本発明のデバイスは、デジタル化プロセスを促進するために適した表面特性を伴う材料で構成され得る。例えば、本発明のデバイスは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)または/およびガラスから製造され得る。他の基材は、ケイ素、熱硬化性ポリエステル(TPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタンメタクリレート、ポリエチレン、ポリエステル(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、パリレン、ポリ塩化ビニル、フルオロエチルプロピレン、レキサン、ポリスチレン、環状オレフィンコポリマー、ポリウレタン、ポリアクリレートとブレンドされたポリウレタン、ポリエステルカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリアクリレート、ポリカプロラクトン、ポリケトン、ポリフタルアミド、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、エポキシポリマー、熱可塑性物質、フルオロポリマー、およびポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、無機材料(ガラス、石英、ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ケイ素)、溶融シリカ、セラミック、ガラス(有機)、金属、および/または他の材料、ならびにそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0068】
生物学的アッセイの場合、デバイスは、デバイスが1回切りの使用で廃棄されるように、ポリマー材料に基づき得る。いくつかの実施形態では、本発明のデバイスの一部分(例えば、ディスク形状本体)は、天然に疎水性であるか、または表面処理されたポリジメチルスロキサン(PDMS)、ポリカーボネート(PC)、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート(PETG)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、および例えば、流動チャネル、複数の流体溜まり、またはそれらの組み合わせに疎水性表面を提供することができる多層材料を含み得る。
【0069】
デバイスの表面特性(例えば、チャネルおよび/または流体溜まり)は、特定用途に対して調整され得る。例えば、デバイスのいくつかまたは全ての表面は、疎水性または親水性であり得る。いくつかの実施形態では、特定の表面は、疎水性であり得、特定の表面は、親水性であり得る。特定の実施形態では、表面のいくつかまたは全ては、親フッ素性であり得る。親水性または疎水性である表面は、デバイス中の特定のチャネルおよび/または流体溜まり内の油の装填、ならびに特定のチャネルおよび/または流体溜まり内の水溶液の装填を許すように設計され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、流体溜まりおよび/またはチャネルのいくつかまたは全ては、化学的または生物学的試薬で改質され得、流体と接触している表面を、選択した流体(例えば、油等の上記の第1の流体または第3の流体のいずれか)によって優先的に湿潤するようにする。例えば、表面は、油(例えば、第1の流体)がチャネルおよび流体溜まりを優先的に湿潤するのを許すように改質され得る。この濡れは、デバイスの表面に呼び水を差すことができ、例えば、これは、第1の流体(例えば、油)が排出され、第2の流体(例えば、水溶液)によって置換されるのを容易にし、第3の流体(例えば、油)が第2の流体を置換するのをより困難にするため、離散化を促進することができる。
(試料体積の自己デジタル化のための流体)
【0071】
多種多様な流体または液体は、本発明の種々のデバイス、システム、および方法で使用することができる。種々の流体は、例えば、水系または水性の溶液を含み得る。いくつかの実施形態では、流体は、水溶液中にわずかに溶解する液体を含み得る。例えば、流体は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、または鉱物油等の油を含み得る。有機溶媒を使用することもできる。いくつかの側面では、本発明のデバイスは、少なくとも二相系として機能することができ、2つまたはそれを上回る不混和流体を利用する。例えば、第1の流体、例えば、油相流体を最初にデバイスに充填し、いかなる空気も置換することができる。第1の流体は、第2の流体に対してデバイス表面を優先的に湿潤するように選択され得る。典型的に第1の流体と不混和性である第2の流体、例えば、対象とする試料を含む水相は、次にデバイスを通じて流れ、流体溜まりに入り、油を置換することができる。第1の流体と同じであり得るがその必要はなく、第1の流体と混和性であり得るがその必要はなく、また典型的に第2の流体と不混和性である第3の流体は、次にデバイスを通って流れ、流体溜まりではなく、主チャネル内の水相を置換することができる。特定の側面では、流体溜まりは、流体溜まり内の水相の個々の流体パケットを単離し、デジタル化するためのシェルターとして機能することができる。流体パケットが実質的に流体溜まりの形状を想定し、流体パケットの容量が本質的にその溜まりの寸法によって画定され得るように、流体溜まりは、実質的に水相によって占拠され得るが、必ずしもその必要はない。例えば、流体溜まりが長方形の形状である場合、中に含まれる流体パケットは、実質的に長方形の形状を想定すべきである。
【0072】
一実施形態では、第1および/または第3の流体として使用される油は、鉱物油系である。別の実施形態では、それはフッ化炭素系である。別の実施形態では、油は、シリコーン油系の油である。他の実施形態は、他の「油」相または代替材料を使用することができる。第1/第3の流体は、デバイス表面および第2の流体との所望の相互作用を改善するために、典型的に界面活性剤および/または湿潤剤も含む。特定の実施形態では、第1および第3の流体は、同一である。他の実施形態では、第1および第3の流体は、同じ基材で構成され得るが、異なる界面活性剤/添加剤濃度または組成を有する。複数の油(例えば、第1の流体、第3の流体、および/または第4の流体)が所定の操作方法で使用される場合、油組成は、同じまたは異なり得る。油組成のそれぞれは、独立して、使用中の他の油組成に関わらず独立して選択される。さらに他の実施形態では、第3の流体は、完全に異なる組成からなり得、第1の流体と混和性であり得るが、その必要はない。特定の実施形態では、第1および/または第3の流体は、第2の流体と相互作用する成分、および/または第2の流体内の成分を含み得る。
【0073】
いくつかの側面では、第4の流体が提供される。さらなる側面では、第4の流体は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせ等の油を含む。なおもさらなる側面では、PCRまたは等温増幅等の増幅反応に適合した流体は、第4の流体として使用される。いくつかの側面では、増幅反応を開始してデジタル化検体を増幅させる前に、第4の流体を使用して流動チャネル内の第3の流体を置換することができる。第4の流体は、第1、第2、および/または第3の流体のうちのいずれかと混和性または不混和性であってもよい。特定の側面では、第4の流体は、第1の流体と同じであってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、第5の流体が提供される。いくつかの側面では、第5の流体は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせ等の油を含む。特定の側面では、第5の流体を使用して第1、第2、第3、および/または第4の流体をデバイスから流すことができる。
【0075】
いくつかの側面では、第1、第2、第3、第4、および第5の流体のうちのいずれかは、マイクロ流体デバイス上の流体入口ポートに提供され得る。第1、第2、第3、第4、および第5の流体は、同じ流体入口ポートまたは異なる流体入口ポートに提供され得る。特定の側面では、第1、第2、第3、第4、および第5の流体は、本明細書において提供される順番とは異なる順番でデバイスに提供される。第1、第2、第3、第4、および第5の流体は、任意の順序でデバイスに提供され得、第1、第2、第3、第4、および第5の流体のうちのいずれかは、本方法のいくつかの側面では省略されてもよい。本明細書に記載される順番は、例示的であり、開示される方法の実施に対して非限定的である。
【0076】
いくつかの側面では、第2の流体は、水溶液を含む。特定の側面では、本方法は、流体入口ポート、またはマイクロ流体デバイス上の異なる流体入口ポートに第1の流体を提供するステップをさらに含む。他の側面では、本方法は、流体入口ポート、またはマイクロ流体デバイス上の異なる流体入口ポートに第3の流体を提供するステップをさらに含み、第3の流体は、油を含む。さらなる側面では、第3の流体は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせを含む。
【0077】
種々の側面において、本開示は、流体をマイクロ流体デバイスに導入するための方法を提供し、本方法は、本開示に従ってマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第1の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップとを含む。
【0078】
「提供する」および「導入する」という用語は、例えば、入口またはチャネル等の構造中、またはそれを通じた流体の移動を指すように本明細書において交換可能に使用される。
【0079】
いくつかの側面では、第1の流体は、油を含む。さらなる側面では、油は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0080】
種々の側面において、本開示は、流体をマイクロ流体デバイスに導入するための方法を提供し、本方法は、本開示によるマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第2の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップとを含み、第2の流体は、水溶液である。
【0081】
いくつかの側面では、第2の流体は、検体を含み、流体溜まりのうちの少なくとも1つにおける検体の分析を行うステップをさらに含む。特定の側面では、検体は、生物学的材料を含む。さらなる側面では、生物学的材料は、細胞、細菌、ウイルス、プリオン、核酸、タンパク質、遺伝物質の発現産物、結晶化分子、粒子、またはそれらの組み合わせから選択される。なおもさらなる側面では、第2の流体は、第1の核酸分子および第2の核酸分子を含み、本方法は、第1の核酸分子を第1の流体溜まりに分配するステップをさらに含み、第1の流体溜まりは、第2の核酸分子を含んでいない。
【0082】
いくつかの側面では、本方法は、第1の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップをさらに含み、第1の流体は、第2の流体が流動チャネルに導入される前に流動チャネルに導入される。いくつかの側面では、第1の流体は、油を含む。さらなる側面では、油は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0083】
いくつかの側面では、本方法は、第3の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップをさらに含む。特定の側面では、第3の流体は、第2の流体が流動チャネルに導入された後に流動チャネルに導入される。他の側面では、第1の流体は、油であり、第2の流体は、水溶液であり、第3の流体は、油である。
【0084】
いくつかの側面では、本方法は、第4の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップをさらに含む。特定の側面では、第4の流体は、第1の流体が流動チャネルに導入された後、かつ第2の流体が流動チャネルに導入される前に流動チャネルに導入される。他の側面では、第4の流体は、第2の流体が流動チャネルに導入された後、かつ第3の流体が流動チャネルに導入される前に流動チャネルに導入される。いくつかの側面では、第4の流体は、第3の流体が流動チャネルに導入された後に流動チャネルに導入される。さらなる側面では、第1の流体は、油であり、第2の流体は、水溶液であり、第3の流体は、油であり、第4の流体は、油であり、第5の流体は、油であり、第1、第3、第4、および第5の流体は、独立して同じであるか、または互いに異なる。なおもさらなる側面では、油のそれぞれは、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから独立して選択される。
【0085】
いくつかの側面では、本方法は、第5の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップをさらに含む。特定の側面では、第5の流体は、第2の流体が流動チャネルに導入された後、流動チャネルに導入される。他の側面では、第5の流体は、第3の流体が流動チャネルに導入された後、流動チャネルに導入される。いくつかの側面では、本方法は、第4の流体を流動チャネルに導入するステップをさらに含み、第4の流体は、第1の流体が流動チャネルに導入された後、かつ第2の流体が流動チャネルに導入される前に流動チャネルに導入される。特定の側面では、第1の流体は、油であり、第2の流体は、水溶液であり、第3の流体は、油であり、第4の流体は、油であり、第5の流体は、油であり、第1、第3、第4、および第5の流体は、独立して同じであるか、または互いに異なる。さらなる側面では、油のそれぞれは、独立して、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0086】
特定の実施形態では、本明細書における流体(例えば、水溶液)は、化学物質、生化学物質、遺伝物質(例えば、DNA、RNA等)、遺伝物質の発現産物(例えば、タンパク質および/または代謝物質)、結晶化分子、生体細胞、エキソソーム、ミトコンドリア、薬物、末梢血液もしくはリンパ系中で循環する生物学的粒子、希少細胞、または粒子を含むが、これらに限定されない、種々の検体を含有し得る。例えば、第2の流体として使用され得る可能な水性試料は、種々のPCRおよびRT−PCR溶液、LAMPもしくはNASBAのための等の等温増幅溶液、血液試料、血漿試料、血清試料、細胞溶解物もしくは分泌物または細菌溶解物もしくは分泌物を含有する溶液、ならびにとりわけ、タンパク質、細菌、ウイルス粒子、および/または細胞(真核細胞、原核細胞、もしくはそれらの粒子)を含有する他の生体試料を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、水溶液は、不混和性流体(例えば、第1/第3の流体)および/またはデバイスの材料との所望の相互作用および/または適合性を促進するために、界面活性剤または他の薬剤を含有することもできる。特定の実施形態では、デバイスに装填された水溶液は、悪性表現型を発現する細胞、胎児細胞、循環内皮細胞、腫瘍細胞、ウイルスに感染した細胞、対象とする遺伝子でトランスフェクトした細胞、または自己免疫もしくは自己反応性障害に罹患した対象の末梢血中に存在するT細胞もしくはB細胞、または免疫細胞の他の亜型あるいは末梢血中またはリンパ系もしくは脊髄液または他の体液中を循環する希少細胞もしくは生物学的粒子(例えば、エキソソーム、ミトコンドリア)を有し得る。細胞または生物学的粒子は、場合によっては、試料中で希少であり得、離散化を使用して、例えば、細胞を空間的に単離することができ、それによって希少細胞または生物学的粒子の検出を可能にする。
【0087】
いくつかの側面では、本明細書に開示されるデバイスのうちの1つまたはそれを上回るものを備える装置が提供される。
【0088】
(試料体積の自己デジタル化のための方法)
図5a−5eは、流体溜まりを装填するための例示的シーケンスを表す。図示されるように、デバイス操作は、リザーバ、チャネル、および流体溜まり内により暗い灰色で示される第1の流体を提供するステップを含み得る。特定の実施形態では、第1の流体は、例えば、あらゆる気泡を置換するために、デバイスに導入され得る油を含み得る。特定の実施形態では、水性試料等の第2の流体は、いくつかの装填機構を経由し、入口/入口リザーバ(例えば、
図5bを参照)を通じて提供され、分岐入口によって主チャネルに分配された後、流体溜まりに入り、第1の流体(例えば、油)を置換する。特定の実施形態では、排液チャネルは、排油を促進する(例えば、
図5eを参照)。水性試料が装填された後、第1の流体と同じ油、または異なる油であり得る第3の流体が提供され、流体溜まりではなく、チャネルからの水性試料を置換する(例えば、
図5cを参照)。これは、水性試料を、流体溜まりの寸法によって画定された離散体積に単離または区画化する(例えば、
図5dを参照)。そのような単離または区画化は、デジタル化または離散化として特徴付けられ得る。区画化された体積は、離散化またはデジタル化体積と呼ばれ得る。一実施形態では、全ての水性試料は、流体溜まりに区画化され、「損失の少ない」充填をもたらすが、全ての流体溜まりが完全に充填されるとは限らない。別の実施形態では、全ての流体溜まりが完全に充填されるが、いくらかの試料が出口/出口リザーバへと失われる。
【0089】
排液チャネルは、水性試料による油置換の速度に影響し得、デバイス装填速度ならびに流体溜まりの充填の完全性に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、排液チャネルは、側方溜まり設計において利用される。側方溜まりおよび底部溜まり設計は、多くの類似特徴を共有し得るが、例えば、
図3Bに示されるような流体溜まりと主チャネルとの間の接続の相対サイズは、排油/流体交換の速度に影響し得る。底部溜まり設計は、排液チャネルからの利益を受けない場合があるが、側方溜まり設計は、それらの存在から利益を受け得る。
【0090】
特定の実施形態では、特に側溜まり設計の場合、異なる排液幾何形状の範囲は、流体溜まりの体積および試料の流量等のパラメータに応じて使用され得る。例えば、
図6aは、単一排液チャネルを伴う流体溜まりを表す。
図6bは、2つの排液チャネルを伴う流体溜まりを表し、1つが流体溜まりの各側方で排液する。
図6cは、2つの排液チャネルを伴う流体溜まりを表し、両方が流体溜まりの下流で排液する。
図6dは、主チャネルに接続する前に合流する複数(2つ)の排液チャネルを伴う流体溜まりを表す。
図6eは、主チャネルに接続する前に合流するが、主チャネルとの接合部で分岐して小さな接合幾何形状を維持する、複数(3つ)の排液チャネルを伴う流体溜まりを表す。
図6fは、単一排液チャネルを伴う流体溜まりを示す。
図6gは、2つの排液チャネルを伴う流体溜まりを示し、1つが流体溜まりの各側方で排液する。
図6hは、2つの排液チャネルの組を伴う流体溜まりを示し、チャネルあたり2つのポートが主チャネルに接続する前に合流し、次に分裂する。チャネルは、流体溜まりの各側方で排液する。
図6iは、2組の排液チャネルを伴う流体溜まりを示し、チャネルあたり3つのポートが主チャネルに接続する前に合流し、次に2つに分裂する。チャネルは、流体溜まりの各側方で排液する。
図6jは、2組の排液チャネルを伴う流体溜まりを示し、チャネルあたり2つのポートが主チャネルに接続する前に合流し、次に分裂する。両方のチャネルは、溜まりの同じ下流側に排液する。
図6kは、1組の排液チャネルを伴う流体溜まりを示し、チャネルあたり3つのポートが主チャネルに接続する前に合流し、次に分裂する。
【0091】
チャネルと側方溜まり設計との間のより小さな界面は、排液チャネルの使用を必要とする可能性があり、設計に複雑性を追加し得るが、流体溜まりを互いから清浄に単離し、完全なデジタル化/離散化を達成するのも助ける。底部溜まり設計の場合、排液チャネルの欠如は、より簡素な設計をもたらし得、チャネルの底面積内のウェルの位置と共に、より高密度の流体溜まりをもたらし得る。増加した界面は、溜まり間の流体接続の機会を増加させることもできる。設計の異なる実施形態は、流体溜まりの幅に対するチャネルオーバーハングの導入によって、流体溜まり間の主チャネルにおける収縮部の導入によって、流体溜まり間の間隔をチャネル軸に沿って調整することによって、また流体溜まりの幾何形状を修正することによってデジタル化を改善することができる。
図3C−3Eは、例えば、チャネル内の収縮部を表す。チャネルの寸法は、主チャネルの高さH
mおよび幅W
main=w+2Wによって画定され、式中、Wは、流動方向(z−方向)に垂直に測定された主チャネルのオーバーハングである。底部流体溜まりの幅、長さ、および深さ(w×l×d)は、δの間隔で離れているか、または各流体溜まりの前および後にδ
cの距離で置かれた幅W
cおよび長さl
cの収縮部によって分離される。主チャネル内のオーバーハングおよび収縮部は(
図3Dおよび
図3E)、流体溜まり間の小体積の単離を改善する。流体溜まりの寸法および/または形状を変えることは(
図3Dと
図3Eとを比較)、試料体積の単離に影響を及ぼす可能性もある。流動チャネルに収縮部を組み込む実施形態では、より優れた液滴単離が達成され得る。
【0092】
図7−9は、デバイス内で充填される高百分率の流体溜まりを表す、種々の実施形態を示す。
図7aは、各流体溜まり(δc)の前および後に収縮部を置くことによる、主チャネルの幾何形状への設計修正の概略を表す。収縮部は、長さl
Cおよびチャネル幅W
Cを有する。
図7bは、主チャネルに収縮部を伴う1,024流体溜まりチップの明視野(BF)および蛍光(F)画像を示し(lC=δ
C=25μm、W
C=w=100μm)、Ca(毛管数)=0.004で充填され、99.5%の試料保持および91.8%の充填効率f
totalをもたらす。スケールバーは、1.0mmに対応する。
図7cは、単一、二重、および多重流体溜まり充填の分析に基づいて、(b)に示されるチップのヒストグラムを表す。
図8aにおいて、主チャネルの収縮部は、最大幅の3分の1であり、流体溜まりは、下流端上のみに先細りを有していた。
図8bは、4,096個の底部流体溜まり(V
w=2nL)を伴うSDチップの実施例を示す。
図8cは、この実施例における試料保持が99.9%であったことを示し、流体溜まりの98.8%が個々の液滴として存在する。
図8dは、異なる数の流体溜まりを伴う(例えば、1,024個、4,096個、または25,600個)底部流体溜まりSDチップにおける試料保持および充填効率の比較を提供する。
図9a−9cは、デバイスが、アレイあたり1,024個〜最大38,400個の流体溜まりを含むことを示す。
図9aは、2nLの流体溜まりを伴うマイクロ流体底部流体溜まりチップにおけるデジタル化試料の蛍光画像を示し、
図9bは、チップスケールアップの写真を示す。
図9cは、保持およびデジタル化効率の要約を提供する。
【0093】
特定の実施形態では、入口、出口、および対応するチャネルを使用し、流体をチャネル/流体溜まりアレイに送達することができる。他の実施形態では、入口および出口リザーバを使用し、デジタル化の前および後に流体を保管/回収する。特定の実施形態では、入口/入口リザーバは、全ての溜まりに流体を送達する単一チャネルにつながり得るが、他の実施形態では、入口は、多くの主チャネルに二分/分岐して、プロセスを並列化し、デジタル化のスループットを増加させることができる。同様に、特定の実施形態では、出口チャネルは、脱分岐的に単一出口に再結し得る(例えば、
図10aを参照)。一方で他の実施形態では、各主チャネルは、出口と個々に接続する出口チャネルに接続する(例えば、
図10bを参照)。特定の実施形態では、小さな抵抗器チャネルが使用され、チャネル間により均一な流動を創出するのを助けることができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書においてさらに説明されるデバイスを充填する方法をさらに含む。例えば、デバイスは、デバイス上の流体入口ポートのうちの1つまたはそれを上回るものに流体を提供することによって、平易に充填され得る。特定の側面では、本明細書に記載されるプラットフォームは、頑強であり得、試料は、装填条件の範囲にわたってデジタル化/離散化され得る。装填条件は、流体組成、流量、および流動導入機構を含み得るが、これらに限定されない。追加として、異なる試料は、同じまたは非常に類似した装填条件を使用してデジタル化/離散化され得る。さらに、類似した条件を使用し、流体溜まりの体積、および/または流体溜まりアレイの数の範囲にわたって、デバイス内でデジタル化/離散化を達成することができる。例えば、
図9および11−14を参照されたい。アレイあたり最大約38,000の離散化が達成され、約50pL〜約100nLの離散化体積を伴い、約0.5μL〜約60μLの範囲の総アレイ体積を伴うアレイが達成された。
図11aは、例えば、ドレインあたり3つのドレインポートを伴う、流体溜まりあたり2組のGKドレインと、PCRミックスで充填された640×約100nLの流体溜まりのアレイとで構成された設計を示す。
図11bは、ドレインあたり2つのドレインポートを伴う、流体溜まりあたり2組のGKドレインと、PCRミックスで充填された1024×約8nLの流体溜まりのアレイとで構成された設計を示す。
図11cは、ドレインあたり1つのポートを伴う、流体溜まりあたり2組のGKドレインと、より大きなアレイからの約10,000×約1nLの流体溜まりの領域とで構成された設計を示す。
図11dは、ドレインあたり1つのポートを伴う、流体溜まりあたり1組のGKドレインと、PCRミックスで充填された10,240×約50pLの流体溜まりのアレイとで構成された設計を示す。
【0095】
デジタル化は、広範なチャネル装填または充填機構を使用して達成され得る。任意の適切なチャネル充填機構またはチャネル充填構成要素を使用し、流動チャネルを通じて流体を移動させることができる。異なる装填機構は、シリンジポンプ駆動流、正圧または負(真空)圧駆動流、および遠心力駆動を含むが、これらに限定されない。いくつかの側面では、装填は、遠心力によってチャネルへの流体装填を駆動するように、本明細書におけるマイクロ流体デバイスを、その中心軸を中心として回転させることによって実行され得る。流体圧は、例えば、正圧または負圧を使用して印加し、デバイス上の流体入口ポートに流体を追い込むこともできる。他の側面では、チャネル充填構成要素は、気圧、空圧、流体動圧もしくは油圧の供給源、または同等物、あるいはそれらの組み合わせであり得る。さらなる側面では、圧力源は、デバイスの流体入口ポートまたは流体出口ポートと流体連通する。
【0096】
他の適切なチャネル充填機構および構成要素は、流体をデバイスに装填するために使用され得る。例えば、流体の装填は、毛管作用を使用して達成され得る。いくつかの側面では、毛管作用は、液体の表面張力および/または液体と構造の内面との間の接着力に起因して、構造と流体連通する液体を構造に流入させるために十分な幾何形状特徴を有する構造を使用して生成される。いくつかの側面では、これは、毛管電気泳動(CE)管等の毛管を使用して達成され得る。他の側面では、毛管作用は、流体を吸収することによってデバイスの流動チャネルを通じて流体を移動させる、濾紙等のウィッキング材料で生成され得る。
【0097】
本明細書で使用される場合、「流体圧」という用語は、流体を導入してチャネル内を移動させることができる任意の圧力または力を意味し、制限なく、正もしくは負の気圧、空圧、流体動圧、油圧、遠心力、毛管作用、ウィッキング、界面もしくは表面張力勾配、熱勾配、またはそれらの組み合わせを含む。
【0098】
流体を装填するために印加される圧力は、所定のチップ設計に対して調整され得る。例えば、流体チャネル寸法は、本発明のマイクロ流体デバイスに流体を装填するために必要とされる圧力の量に影響し得る。遠心装填の場合、回転速度は、マイクロ流体デバイス上の種々の構造の充填を提供することができるように調整され得る。いくつかの実施形態では、本発明のデバイスをスピンさせるための回転速度は、例えば、約数百〜数千の毎分回転数(RPM)であり得る。特定の側面では、スピン速度は、例えば、約1〜5000RPM、約100〜約3000RPM、約100〜約1000RPM、約100〜約500RPM、約500〜約2000RPM、約1000〜約2000RPM、または約500〜約1500RPMの範囲であり得る。特定の側面では、スピン速度は、例えば、1〜500RPM、500〜1000RPM、1000〜1500RPM、1500〜2000RPM、2000〜2500RPM、2500〜3000RPM、3000〜3500RPM、3500〜4000RPM、4000〜4500RPM、または4500〜5000RPMの範囲であり得る。
【0099】
異なる種類の流体の装填および装填のシーケンスは、流体入口ポートのうちの1つまたはそれを上回るものを使用して実行され得る。いくつかの実施形態では、流体は、同じ流体入口ポートを通じて装填される。代替実施形態では、流体は、全ての異なる流体入口ポート上で装填され得るか、またはいくらかの流体が、1つの流体入口ポートに装填され得、いくらかの流体が、異なる流体入口ポートに装填され得る。
【0100】
本発明は、本明細書に記載される種々の装填機構を使用して充填され得る、種々のデバイス実施形態を提供する。例えば、
図12aは、半径方向に位置決めされた流体溜まりを伴い、入口ポートの近くの内部位置に位置決めされた出口ポートまたは複数の出口ポートを伴い、個々のチャネル出口を有する遠心設計を表す。拡大表示は、排液チャネルの設計を示す。
図12bは、PCRミックスで充填されたデバイスの蛍光画像を示す。
図12cは、食用色素を含有するPCRミックスで充填されたデバイスの明視野画像を示す。
図13aは、線形アレイで位置決めされた流体溜まりを伴い(互いに平行な主チャネルを伴い)、入口ポートの近くの内部位置に位置決めされた出口ポートを伴い、再接続チャネル出口を有する別の遠心設計を表す。拡大表示は、排液チャネルの設計を示す。
図13bは、PCRミックスで充填されたデバイスの蛍光画像を示す。
図13cは、食用色素を含有するPCRミックスで充填されたデバイスの明視野画像を示す。いくつかのデバイス側面では(例えば、
図12および13)、複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動軸に直交する角度である。他のデバイス実施形態では(例えば、
図12および13)、複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動軸に直交する以外の角度である(例えば、
図14)。
図14aは、主チャネルに対して45°の角度であり、かつ線形アレイで位置決めされた流体溜まりを伴い(互いに平行な主チャネルを伴い)、入口ポートの近くの内部位置に位置決めされた出口ポートまたは複数の出口ポートを伴い、再接続チャネル出口を有する別の遠心設計を表す。拡大表示は、排液チャネルの設計を示す。
図14bは、PCRミックスで充填されたデバイスの蛍光画像を示す。
図14cは、食用色素を含有するPCRミックスで充填されたデバイスの明視野画像を示す。これらの実施形態に対して種々の修正を行うことができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書でさらに説明されるデバイスにおいてポリマー連鎖反応を行うための方法を含む。PCRは、種々の方法で実行され得る。一側面では、複数の核酸分子を含む流体は、適切な装填機構を使用してデバイスに装填され得る。例えば、少なくとも1つの核酸分子が、流体溜まりのうちの少なくともいくつかに存在するように、核酸分子は、デバイス内に配置された流体溜まりの間で分配され得る。いくつかの実施形態では、わずか1つの核酸分子が、流体溜まりのうちの少なくともいくつかに存在するように、核酸分子は、デバイス内に配置された流体溜まりの間で分配され得る。各流体溜まり中の核酸分子の数は、例えば、装填された試料中の核酸分子の濃度および/または流体溜まりのサイズに依存し得る。核酸分子の装填および流体単離の後、PCRをチップ上で行うことができる。核酸分子上でPCRを行うための試薬は、デバイス上に装填される試料中に存在することもできる。次に分析システムの加熱構成要素を使用し、PCRを行うための温度循環を繰り返すことができる。デバイス内の核酸分子の分配を考慮すると、デジタルPCRを行い、例えば、生物学的および/または化学的分析に使用され得る種々の用途に適用することもできる。
【0102】
図15を参照すると、本発明は、反応の事前装填、充填、増幅、および検出(例えば、撮像および/または分析)のための方法を含むことができる。本発明のマイクロ流体デバイスは、例えば、デジタルPCRを行うために使用することができ、多数の試料を同時に装填することができる遠心に基づく充填機構を含み得る。事前装填ステップを行い、例えば、プライマー(第1の流体)の油を用いてデバイスに呼び水を差すことができる。水性試料(例えば、核酸および増幅試薬を含む)を、デバイスの中心領域に装填することができる。デバイスの回転中、遠心力は、試料をチャネルおよび流体溜まりに追い込み、単離された溜まりのいくつかのアレイをもたらす。プライマー油(第1の流体)は、デバイスから追い出され得る。代替として、デバイスは、第1の流体、次に水性試料の装填前にも同様に乾燥し得る。増幅ステップを実行し、試料からの核酸を収容する流体溜まりから検出可能なシグナルを生成することができる。熱循環の後、個々のアレイは、装填された試料に基づいて固有の結果を付与し得る。例えば、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールを走らせ、核酸を含有する種々の試料と一緒に分析することができる。
【0103】
いくつかの側面では、遠心充填の場合、水性試料は、デバイスの中心の近くの入口または入口リザーバに装填され得、流体溜まりアレイは、デバイスの外側領域に、出口リザーバは、デバイスの再外部に位置決めされるが、実際の出口は、デバイス上の内部位置または外部位置のいずれかに位置し得る(例えば、
図16を参照)。いくつかの側面では、出口リザーバは、共通の流体リザーバであり、複数の流動チャネルは、デバイス上の共通流体リザーバと流体連通し、共通流体リザーバは、流体出口ポートと流体連通する(例えば、
図16)。
【0104】
図16は、遠心デバイスの外側部分または外縁(上列)に出口を置くことに対する潜在的欠点を示す。試料および油は、それらがデバイスの外縁に置かれる場合、出口から漏出して汚す可能性があり、追加として、試料はまた、流体溜まりからより容易に置換される。内部出口(下列)は、全ての溶液をデバイス内に保持し、流体溜まりが崩壊する前に流体流動を減速し、次に停止させる自己計量の役割を果たす。
【0105】
出口リザーバは、油または空気のいずれかを最初に収容し得る。デバイスがスピンする場合、円心力が、試料を入口リザーバから追い出し、最終的に流体溜まりに入り、任意の置換された流体は出口リザーバに入る。外部位置に出口を伴い、リザーバが流体で充填されている場合、流体は、出口を通じて容易に流出することができ、連続した流動を許し、より急速な試料装填を可能にする(例えば、
図16上を参照)。この設計は、デバイスから出て外部環境に入る油または試料放出をもたらし得る。出口が内部位置にある場合、流体は、出口を通じて流出することができないため、リザーバが充填されるにつれて流量が減速し得る(例えば、
図16下を参照)。この設計特徴は、流動が自動的に停止する前に、設定体積の試料/油が、流体溜まり領域を通過する自己計量機構を提供する。次にこれは、水性液または油のさらなる流動を防止し、デジタル化試料を崩壊する危険性なしに回転撮像を可能にする。典型的な装填速度は、約1000RPMであり、修正されたベンチトップ遠心分離器または光ディスクプラットフォームによって容易に達成可能である(例えば、
図17を参照)。
【0106】
示されるように、例えば、
図18および19において、遠心力は、多数の試料を同時に装填する能力を提供することもできる。例えば、デバイスあたり24〜48、またはそれを上回る個々の試料を同時に装填するための設計が可能であり、8個の試料を装填することができる実際のデバイスが
図17に示される。この装填機構は、多数のデバイスが同時に装填されることも許し、スループットをさらに高める。
図20は、例えば、本発明の実施形態による、多数のディスクを一度に装填し、熱循環させることができ、次にそれらを急速に撮像する高スループット器具のための例示的設計を表す。
図20において、システムは、マイクロ流体デバイスを提供するためのポートを含み得る。第1のステップでは、マイクロ流体デバイスは、本明細書に記載されるように、流体で装填および充填され得る。示されるように、例えば、スピン時間およびスピンRPMは、所望の器具により設定され得る。第2のステップでは、マイクロ流体デバイスは、次にシステムの別の部分に移され、PCRの熱循環等の反応条件を受け得る。反応が終了した後、第3のステップは、マイクロ流体デバイス上の反応の結果を分析するステップを含み得る。例えば、システムは、マイクロ流体デバイスに存在する増幅されたDNAの分析を可能にするように、撮像および回転構成要素を含むことができる。システムは、記録された分析データを処理し、記憶することができるコンピュータシステムに結合することもできる。
図21A−21Cは、既存の製造および計装インフラストラクチャーを利用し、器具および消耗品の費用を低減する可能性を含み得る、本発明の他の側面を提供する。これは、既存の光ディスク製造プロセス内の材料および設備を使用してデバイスを製造することによって起こる。光ディスク読取装置の動作制御プラットフォームからの構成要素を利用することによっても起こるであろう。
図23は、本発明の実施形態による、遠心SD装填、撮像、および分析プロトタイプシステムの別の実施例を表す。
【0107】
種々の側面において、本開示は、流体をマイクロ流体デバイスに導入するための方法を提供し、本方法は、本開示のマイクロ流体デバイスのうちのいずれかを提供するステップと、第2の流体をマイクロ流体デバイスの第2の流体入口ポートに提供するステップとを含む。特定の側面では、本方法は、マイクロ流体デバイスを、その中心軸を中心として回転させて、第2の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに装填するステップをさらに含む。他の側面では、本方法は、第2の流体に圧力を印加するステップを含み、圧力は、マイクロ流体デバイスの流動チャネルを通じて第2の流体を推し進めるために十分である。さらなる側面では、圧力は、正圧または負圧である。
【0108】
いくつかの側面では、第2の流体は、水溶液を含む。特定の側面では、本方法は、第1の流体をマイクロ流体デバイスの第1の流体入口ポートに導入するステップをさらに含み、第1の流体入口ポートおよび第2の流体入口ポートは、独立して、同じポートまたは異なるポートであり、第1の流体は、油を含む。他の側面では、本方法は、第3の流体をマイクロ流体デバイスの第3の流体入口ポートに導入するステップをさらに含み、第1の流体入口ポート、第2の流体入口ポート、および第3の流体入口ポートは、独立して、同じポートまたは異なるポートであり、第3の流体は、油を含む。さらなる側面では、第3の流体は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせを含む。
【0109】
種々の側面において、本開示は、流体をマイクロ流体デバイスに導入するための方法を提供し、本方法は、本開示によるマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第1の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップとを含む。
【0110】
いくつかの側面では、第1の流体は、油を含む。さらなる側面では、油は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0111】
種々の側面において、本開示は、流体をマイクロ流体デバイスに導入するための方法を提供し、本方法は、本開示によるマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第2の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップとを含み、第2の流体は、水溶液である。
【0112】
いくつかの側面では、第2の流体は、検体を含み、本方法は、流体溜まりのうちの少なくとも1つにおける検体の分析を行うステップをさらに含む。特定の側面では、検体は、生物学的材料を含む。さらなる側面では、生物学的材料は、細胞、細菌、ウイルス、プリオン、核酸、タンパク質、遺伝物質の発現産物、結晶化分子、または粒子から選択される。なおもさらなる側面では、第2の流体は、複数の核酸分子を含み、本方法は、わずか1つの核酸分子が、流体溜まりのうちの少なくともいくつかに含まれるように、核酸分子のうちの少なくともいくつかを、流体溜まりの別個の流体溜まりに分配するステップをさらに含む。
【0113】
いくつかの側面では、本方法は、第1の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップをさらに含み、第1の流体は、第2の流体が流動チャネルに導入される前に流動チャネルに導入される。いくつかの側面では、第1の流体は、油を含む。さらなる側面では、油は、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0114】
いくつかの側面では、本方法は、第3の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップをさらに含む。特定の側面では、第3の流体は、第2の流体が流動チャネルに導入された後に流動チャネルに導入される。他の側面では、第1の流体は、油であり、第2の流体は、水溶液であり、第3の流体は、油である。
【0115】
いくつかの側面では、本方法は、第4の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップをさらに含む。特定の側面では、第4の流体は、第1の流体が流動チャネルに導入された後、かつ第2の流体が流動チャネルに導入される前に流動チャネルに導入される。他の側面では、第4の流体は、第2の流体が流動チャネルに導入された後、かつ第3の流体が流動チャネルに導入される前に流動チャネルに導入される。いくつかの側面では、第4の流体は、第3の流体が流動チャネルに導入された後に流動チャネルに導入される。さらなる側面では、第1の流体は、油であり、第2の流体は、水溶液であり、第3の流体は、油であり、第4の流体は、油であり、第1、第3、および第4の流体は、独立して同じであるか、または互いに異なる。なおもさらなる側面では、油のそれぞれは、独立して、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0116】
いくつかの側面では、本方法は、第5の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップをさらに含む。特定の側面では、第5の流体は、第2の流体が流動チャネルに導入された後に流動チャネルに導入される。他の側面では、第5の流体は、第3の流体が流動チャネルに導入された後に流動チャネルに導入される。いくつかの側面では、本方法は、第4の流体を流動チャネルに導入するステップをさらに含み、第4の流体は、第1の流体が流動チャネルに導入された後、かつ第2の流体が流動チャネルに導入される前に流動チャネルに導入される。特定の側面では、第1の流体は、油であり、第2の流体は、水溶液であり、第3の流体は、油であり、第4の流体は、油であり、第5の流体は、油であり、第1、第3、第4、および第5の流体は、独立して同じであるか、または互いに異なる。さらなる側面では、油のそれぞれは、独立して、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0117】
種々の側面において、本開示は、流体をマイクロ流体デバイスに導入するための方法を提供し、本方法は、本開示によるマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第1の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、第2の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、第3の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、第4の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、第5の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップとを含み、第1の流体は、油であり、第2の流体は、水溶液であり、第3の流体は、油であり、第4の流体は、油であり、第5の流体は、油であり、第1、第3、第4、および第5の流体は、独立して同じであるか、または互いに異なる。
【0118】
いくつかの側面では、油のそれぞれは、独立して、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、またはそれらの組み合わせから選択される。特定の側面では、第1の流体は、流動チャネルに導入される最初の流体であり、第2の流体は、第1の流体の後に導入され、第4の流体は、第2の流体の後に導入され、第3の流体は、第4の流体の後に導入され、第5の流体は、第3の流体の後に導入される。さらなる側面では、第1の流体は、流動チャネルに導入される最初の流体であり、第4の流体は、第1の流体の後に導入され、第2の流体は、第4の流体の後に導入され、第3の流体は、第2の流体の後に導入され、第5の流体は、第3の流体の後に導入される。
【0119】
種々の側面において、本開示は、流体をマイクロ流体デバイスに導入する方法を提供し、本方法は、本開示によるマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第1の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、第2の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、第3の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、随意に第4の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップと、随意に第5の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルに導入するステップとを含み、第1の流体は、油であり、第2の流体は、水溶液であり、第3の流体は、油であり、第4の流体は、油であり、第5の流体は、油であり、第1、第3、第4、および第5の流体は、独立して同じであるか、または互いに異なる。
【0120】
いくつかの側面では、第1の流体は、最初に導入され、第2の流体は、第1の流体の後に導入され、第4の流体は、第2の流体の後に導入され、第3の流体は、第4の流体の後に導入され、第5の流体は、随意に第3の流体の後に導入される。他の側面では、第1の流体は、最初に導入され、第4の流体は、第1の流体の後に導入され、第2の流体は、第4の流体の後に導入され、第3の流体は、第2の流体の後に導入され、第5の流体は、随意に第3の流体の後に導入される。
【0121】
いくつかの側面では、流動チャネルへの流体導入のシーケンスは、(a)油、水溶液、および油;(b)油、油、水溶液、油、および油;(c)油、油、水溶液、および油;または(d)油、水溶液、油、および油から選択され、油のそれぞれの組成は、独立して同じであるか、または異なる。特定の側面では、本方法は、シーケンス中の任意の時点で、油または水溶液から選択される1つまたはそれを上回る追加の流体の導入をさらに含む。いくつかの側面では、流動チャネルに導入される第1の流体は、油である。さらなる側面では、流動チャネルに導入される第1の流体は、水溶液でない。特定の側面では、流体は、気圧、空圧、油圧、またはそれらの組み合わせから選択される流体圧を印加することによって流動チャネルに導入され、流体圧は、正または負の流体圧である。なおもさらなる側面では、流体は、毛管作用またはウィッキングによって流動チャネルに導入される。他の側面では、流体は、遠心力駆動流によって流動チャネルに導入される。さらなる側面では、本方法は、流体をマイクロ流体デバイスの流体入口ポートを経由して流動チャネルに導入するステップをさらに含む。他の側面では、流体は、マイクロ流体デバイスの流体溜まりを経由して流動チャネルに導入される。
【0122】
いくつかの側面では、本方法は、複数の流体溜まり内でデジタルポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うステップをさらに含む。特定の側面では、本方法は、複数の流体溜まり内で等温増幅を行うステップをさらに含む。他の側面では、検体は、流体溜まりにおいて結晶化を受ける。さらなる側面では、検体は、悪性表現型を発現する細胞、胎児細胞、循環内皮細胞、腫瘍細胞、ウイルスに感染した細胞、対象とする遺伝子でトランスフェクトした細胞、免疫細胞の亜型、または自己免疫もしくは自己反応性障害に罹患した対象の末梢血中に存在するT細胞もしくはB細胞から選択された少なくとも1つの希少細胞を含む。
【0123】
いくつかの側面では、本方法は、第1の流体を第1の流体入口ポートに、第2の流体を第2の流体入口ポートに導入するステップをさらに含み、第1の流体入口ポートおよび第2の流体入口ポートは、同じポートまたは異なるポートである。特定の側面では、本方法は、第3の流体を第3の流体入口ポートに、第4の流体を第4の入口ポートに、および第5の流体を流体入口ポートに導入するステップをさらに含み、第3の流体入口ポート、第4の流体入口ポート、および第5の流体入口ポートは、独立して同じポートまたは異なるポートであり、第3の流体入口ポート、第4の流体入口ポート、および第5の流体入口ポートは、独立して、第1の流体入口ポートおよび第2の流体入口ポートと同じまたは異なるポートである。
【0124】
(試料体積の自己デジタル化のためのシステム)
本明細書に記載されるデバイスおよび方法は、検出、撮像、および/または分析をさらに含み得る。いくつかの側面では、本発明は、例えば、本明細書に記載されるマイクロ流体デバイスを受容または収容するように構成されたチャンバを含み得る、分析システムを含むことができる。いくつかの側面では、システムは、複数のマイクロ流体デバイスを収容、回転、および処理するために構成される。本開示の側面による例示的なシステムを
図20に表す。分析システムは、1つまたはそれを上回る流体を収容するための複数の流体リザーバを含むこともできる。複数の流体リザーバは、例えば、流体をマイクロ流体デバイスの流体入口ポートに提供するように構成され得る。システムは、デバイスへの流体の装填を促進するための構成要素を含むこともできる。例えば、システムは、流動チャネルを通じて流体を駆動するか、または推し進めるように、流動チャネルに圧力を印加するように構成された流体加圧装置を含むことができる。システムは、デバイスに結合する回転構成要素(例えば、モータ)を含むこともでき、例えば、マイクロ流体デバイスの中心軸を中心としてデバイスをスピンまたは回転させるように構成される。いくつかの側面では、回転構成要素は、コンパクトディスク(CD)ドライブ、デジタルビデオディスク(DVD)ドライブ、ブルーレイドライブ等の修正された光ディスクドライブ、もしくはそれらの修正版、またはそれらの組み合わせの一部である。
【0125】
種々の反応は、分析システムを使用して実行され得る。反応の場合、システムは、流体溜まりのうちの少なくとも1つに熱を適用するように構成された熱制御構成要素を含み得る。検出および/または撮像は、マイクロ流体デバイスの流体溜まりのうちの少なくとも1つを光学的に分析するために、光学検出構成要素を使用して提供され得る。システムは、例えば、熱制御構成要素と光学検出構成要素とを制御するように構成され、かつ光学検出構成要素から生成されたデータを記憶するように構成された処理装置を含み得る、コンピュータシステムに結合することもできる。
【0126】
いくつかの実施形態では、基本的な広域顕微鏡撮像セットアップを使用し、SDデバイスの明視野および/または蛍光画像を取得することができる。多数のアレイを有するデバイスの場合、自動ステージ/位置付けシステムを使用し、多数のアレイを伴う遠心デバイス(例えば、
図20を参照)、または96ウェルプレートに基づくデバイス(例えば、
図22を参照)、または他の自動化サポートレイアウト等の単一デバイス内の全てのアレイを迅速に撮像することができる。別の実施形態では、撮像は、高い回転分解能を有するロータリーエンコーダを使用するデバイスの回転位置に結合されることができ、デバイスがスピンしている間にそれらの撮像を可能にする。これは、データ取得をさらに加速することができ、リアルタイムで遠心デバイスの装填を監視するために使用することもできる。
【0127】
別の実施形態では、デバイスは、点検出を使用して撮像されるのではなく、(例えば、レーザに基づく励起または発光ダイオード(LED)に基づく励起を用いて)走査され得る。一実施形態は、Typhoon FLA 7000等の市販のレーザ走査装置において使用されるもの等のレーザ走査(線形走査)システムを利用するであろう。別の実施形態では、走査システムは、光ディスク(例えば、CD、DVD、ブルーレイディスク)システムによって使用されるものに類似し得る(例えば、
図21および23を参照)。いくつかの側面では、光学検出構成要素は、コンパクトディスク(CD)ドライブ、デジタルビデオディスク(DVD)ドライブ、ブルーレイドライブ、もしくはそれらの修正版、またはそれらの組み合わせ等の修正された光ディスクドライブの一部である。
【0128】
いくつかの側面では、本開示は、点検出器、画像検出器、または他の適切な測定デバイスを備える光学測定器具を提供する。いくつかの側面では、点検出器は、光電子増倍管(PMT)であり得る。特定の側面では、画像検出器は、CCDであり得る。
【0129】
いくつかの側面では、光学検出構成要素は、光励起の集束ビームでデバイス上の点を励起するように構成されたレーザまたはLED等の電磁放射線源を備える。いくつかの側面では、電磁放射線源は、デバイスが回転するにつれてディスク形状デバイスの放射軸を走査する。さらなる側面では、レンズ等の光学構成要素を使用し、励起源に焦点を合わせることができる。なおもさらなる側面では、光学検出構成要素は、デバイス上の励起点から放出されたシグナルを検出するように構成されたセンサをさらに備える。特定の側面では、センサは、検出されたシグナルをプロセッサにリレーし、プロセッサは、後次分析のための検出されたシグナルを記憶するように構成される。
【0130】
いくつかの側面では、回転構成要素は、光学検出構成要素の読出速度に一致するように、マイクロ流体デバイスの回転速度を調節するように構成される。特定の側面では、回転構成要素は、励起点がデバイスの外縁の近くにある場合はデバイスの回転速度を低減するように、および/または励起点がデバイスの中心領域の近くにある場合はデバイスの回転速度を増加させるように構成される。
【0131】
種々の側面において、本開示は、本開示によるマイクロ流体デバイスを受容するように構成されたチャンバと、流動チャネルを通じて流体を推し進めるために十分な圧力を流動チャネルに印加するように構成された流体加圧装置と、マイクロ流体デバイスの流体溜まりのうちの少なくとも1つを光学的に分析するための光学検出構成要素と、光学検出構成要素を制御するように構成され、かつ光学検出構成要素から生成されたデータを記憶するように構成された処理装置とを備える分析システムを提供する。
【0132】
種々の側面において、本開示は、本開示によるマイクロ流体デバイスを受容するように構成されたチャンバと、流動チャネルの少なくとも一部分を通じて流体を導入するように構成された流体導入構成要素と、流体溜まりを光学的に分析するように構成された光学検出構成要素と、光学検出構成要素を制御するように構成され、かつ光学検出構成要素から生成されたデータを記憶するように構成された処理装置とを備える、分析システムを提供する。
【0133】
いくつかの側面では、流体導入構成要素は、複数の流動チャネルのうちの少なくとも1つを通じて流体を移動させるように構成される。他の側面では、流体導入構成要素は、気圧源、空圧源、油圧源、またはそれらの組み合わせから選択され、流体導入構成要素は、流体を流動チャネルに移動させるため十分な正圧源または負圧源を備える。さらなる側面では、流体導入構成要素は、毛管作用、ウィッキング、遠心力、またはそれらの組み合わせによって、少なくとも部分的に流動チャネルを通じて流体を移動させるように構成される。さらなる側面では、光学検出構成要素は、複数の流体溜まりを光学的に分析するように構成される。いくつかの側面では、本装置は、流体溜まりのうちの少なくとも1つに熱を適用するように構成された熱制御構成要素をさらに備える。いくつかの側面では、光学検出構成要素は、撮像デバイス、光ディスクドライブ、レーザ走査装置、またはそれらの組み合わせを備える。
【0134】
いくつかの側面では、システムは、流体を収容するための複数の流体リザーバをさらに備え、複数の流体リザーバは、マイクロ流体デバイスの流体入口ポートに流体を提供するように構成される。いくつかの側面では、システムは、第2の流体リザーバと、第3の流体リザーバとをさらに備え、第2の流体リザーバは、第2の流体を含み、第3の流体リザーバは、第3の流体を含み、第2の流体は、水溶液を含み、第3の流体は、油を含む。特定の側面では、マイクロ流体デバイスには、第1の流体および第2の流体が装填され、第1の流体は、油を含む。さらなる側面では、光学検出構成要素は、流体溜まりに存在する検体を検出するように構成される。他の側面では、光学検出構成要素および処理装置は、流体溜まりのうちの少なくともいくつかにおける水溶液の体積を決定するように構成される。いくつかの側面では、流体溜まりのそれぞれは、開口管路によって流動チャネルと流体連通する。特定の側面では、流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動チャネルと流体連通する少なくとも1つのチャネルを備える。
【0135】
種々の側面において、本開示は、流動軸、上流端、および下流端を有する流動チャネルと、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりとを備え、流体溜まりのそれぞれが、上流端および下流端を有し、流動チャネルが、流体溜まりのそれぞれの上流または下流に位置決めされた収縮部を含む、装置を提供する。
【0136】
いくつかの側面では、収縮部は、流動チャネルの最大幅の約3分の1の幅である。他の側面では、流体溜まりは、流動チャネルを備えるデバイスの平面の下または上にある平面に位置決めされる。特定の側面では、流動チャネルは、第2の流体源および第2の流体と不混和性の第3の流体源と流体連通する。いくつかの側面では、流動チャネルまたは複数の流体溜まりのうちのいずれか1つには、第1の流体が装填され、第1の流体は、油である。さらなる側面では、流体溜まりのそれぞれは、下流端で先細りする。特定の側面では、流動チャネルの幅と流体溜まりの幅との間の差は、流体溜まりの幅の0.001倍〜1.5倍である。他の側面では、流体溜まりの高さは、流動チャネルの高さよりも大きい。さらなる側面では、流体溜まりの長さは、流体溜まりの幅よりも大きい。
【0137】
特定の側面では、第1の流体溜まりの下流端および第2の流体溜まりの上流端は、ある距離によって分離され、距離は、第1の流体溜まりの長さの0.1倍〜3倍である。特定の側面では、流動チャネルの幅は、流体溜まりの幅より大きく、流体溜まりのどの下流端も、別の流体溜まりの上流端と重ならない。いくつかの側面では、装置は、本開示のデバイスを備える。
【0138】
本明細書に示される詳細は、例として、かつ単に本発明の好ましい実施形態の例証的考察を目的とし、最も有用であると考えられ、本発明の種々の実施形態の原則および概念的側面に関する容易に理解される説明を提供するために提示される。この点において、本発明の構造的詳細を、本発明の基本的理解に必要であるより詳細に示すような試みは行わず、説明は、図面および/または実施例とともに考慮され、本発明のいくつかの形態が、実際にどのように具体化され得るかを当業者に明らかにする。
【0139】
別段の指定がない限り、本明細書で説明される方法およびプロセスは、任意の順序で行われ得る。例えば、ステップ(a)、(b)、および(c)を説明する方法は、最初にステップ(a)、続いてステップ(b)、次にステップ(c)が行われ得る。または、方法は、例えば、最初にステップ(b)、続いてステップ(c)、次にステップ(a)等の異なる順序で行われ得る。さらに、それらのステップは、特殊性で別様に特定されない限り、同時または別個に行われ得る。
【0140】
本明細書で使用される場合、かつ別様に指示されない限り、「a」および「an」という用語は、「1つ」、「少なくとも1つ」、または「1つもしくはそれを上回る」という意味にとられる。文脈によって別様に必要とされない限り、本明細書で使用される単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
【0141】
別様に文脈が明らかに必要としない限り、説明および特許請求の範囲全体で、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、および同等物は、排他的または網羅的意味とは対照的に、包括的意味、つまり「を含むが、これらに限定されない」という意味で解釈されるものとする。単数または複数の数を使用する語は、複数および単数の数もそれぞれ含む。追加として、「本明細書において」、「上記」、および「下記」という語、ならびに類似する意味の語は、本出願において使用される場合、本出願の全体を指すものであり、出願の任意の特定部分を指すものではない。
【0142】
本開示の実施形態の説明は、網羅的であるか、または開示される精密な形態に本開示を限定することを意図しない。本開示の特定の実施形態および実施例は、例証目的で本明細書に記載されるが、関連分野の当業者が認識するように、種々の同等の修正が本開示の範囲内で可能である。
【0143】
任意の前述の実施形態の特定要素は、組み合わされ得るか、または他の実施形態における要素に置換され得る。さらに、本開示の特定の実施形態に伴う利点が、これらの実施形態の文脈において説明されたが、他の実施形態もそのような利点を呈する可能性もあり、全ての実施形態が、必ずしも本開示の範囲に含まれるそのような利点を呈するとは限らない。
【0144】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書において図示および説明されたが、そのような実施形態が単なる例として提供されることは当業者には明らかであろう。ここで当業者は、本発明から逸脱することなく、多くの変型、変更、および置換を思いつくであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する種々の代替例を、本発明を実施する際に用いることができることを理解すべきである。下記特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義すること、ならびにこれらの特許請求の範囲内の方法および構造と、それらの同等物とがそれによって網羅されることが意図される。
【実施例】
【0145】
下記実施例は、本発明のいくつかの側面をさらに説明するために含まれ、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。
【実施例1】
【0146】
(広体積範囲にわたる試料デジタル化)
この実施例は、広体積範囲にわたって試料をデジタル化するためのデバイスを説明する。
【0147】
本明細書に記載されるように、本発明の自己デジタル化(SD)プラットフォームの1つの特徴は、広い体積範囲およびアレイサイズにわたって試料をデジタル化する能力である。これは、高感度アッセイのための大きな試料体積、高分解能アッセイのための大きな流体溜まり数(小さな流体溜まり体積)、ならびに標準実験的用途のための中間流体溜まり体積および/または数を処理することを可能にする。一実施形態では、
図11aは、体積約90nLの640個の流体溜まりを備える設計を示す。約60μLの総体積で、ほぼ50分子/mLの検出制限が達成された。流体溜まりは、例えば、幅520μm×長さ1000μmであり得、100μmのベベルを伴い、高さ約175μmであり得る。流動チャネルは、幅約200μm、高さ約40μmであり得る。例えば、排油をより一層促進するために、流体溜まりあたり2つの排液チャネル、およびチャネルあたり3つの接合部が存在し得る。排液チャネル接合部は、幅約8μmであり得る。いくつかの側面では、排液チャネルは、接合部が合流するにつれて幅広くなり、それが流動チャネルに達すると分裂し、水性試料が排液チャネルを通じて移動するのを防止するように最小断面を維持する。デバイスは、20μL/分の速度で、約5分で充填され得る。
【0148】
例えば、
図11bに示されるような別の実施形態は、体積が約7.5nLであり得る1024個の流体溜まりで構成される設計を含む。必要とされる総試料体積(約8μL)は、多くのアッセイに対する適度な最小試料体積に匹敵する。流体溜まりは、例えば、幅200μm×長さ400μmであり得、50μmのベベルを伴い、高さ約100μmであり得る。流動チャネルは、幅80μm、高さ約25μmであり、流体流動の方向付けを助け、最終油流(第3の流体)が通りぬけて試料をデジタル化する場合、水性試料(第2の流体)の安定した離脱を促進する両側の小さなくぼみ(約20μm×約30μm)を特徴とし得る。チャネルあたり2つの接合部を伴う一対の排液チャネル(幅約8μm)を、各流体溜まりに使用することができる。これは、ほぼ段階的な試料装填を生み出すために十分な急速排油を提供した。装填は、例えば、約8μL/分の流量で、2分未満で達成され得る。デバイスは、約3%またはそれを下回る変動係数(CV)で充填された。
【0149】
例えば、
図11cに示される別の実施形態は、体積が約1nLである10,000超の流体溜まりを含む設計を含む。この数の流体溜まりを用いる場合、約1.05倍〜1.1倍濃度の異なる試料が、95%パワーレベルにおいて少なくとも95%の信頼レベルで達成され得る。80μm×160μmであり、20μmのベベルを伴い、高さ80μmの25,600個の流体溜まり、および100μm×200μmであり、25μmのベベルを伴い、高さ80μmの10,240個の流体溜まりの設計が充填され、デジタル化された。流動チャネルは、幅50μm、高さ約20μmである。排液チャネルは、より少ない体積が置換されなければならないため、より簡素であり、流体溜まりあたり2組の単一接合排液チャネル(幅約8μm)を伴う。デバイスは、15μL/分で、5分未満で充填され、デジタル化された。
【0150】
別の実施形態は、体積が約150pLである10,240個の流体溜まりで構成される設計を含む。この数の流体溜まりを用いる場合、約1.05〜1.1倍濃度の異なる試料が、95%パワーレベルにおいて少なくとも95%の信頼レベルで達成され得る。50μm×80μmであり、10μmのベベルを伴い、高さ約40μmの10,240個の流体溜まりの設計が充填され、デジタル化された。流動チャネルは、幅25μm、高さ約17μmである。排液チャネルは、より少ない体積が置換されるため、より簡素であり、流体溜まりあたり1つの単一接合排液チャネル(幅約8μm)を伴う。デバイスは、2μL/分で、5分未満で充填され、デジタル化された。
【0151】
例えば、
図11dに示される別の実施形態は、体積が約50pLである10,240個の流体溜まりで構成される設計を含む。この数の流体溜まりを用いる場合、約1.05〜1.1倍濃度の異なる試料が、95%パワーレベルにおいて少なくとも95%の信頼レベルで達成され得る。50μm×30μmであり、10μmのベベルを伴い、高さ約40μmの10,240個の流体溜まりの設計が充填され、デジタル化された。流動チャネルは、幅約25μm、高さ約17μmである。排液チャネルは、より少ない体積が置換されなければならないため、より簡素であり、流体溜まりあたり1つの単一接合排液チャネル(幅約8μm)を伴う。デバイスは、2μL/分で、5分未満で充填され、デジタル化された。
【0152】
これらの実施形態の全ては、シリコーン油ベース、鉱物油系、またはフッ化炭素系の油系を含む複数の油系で機能した。フッ化炭素系の一実施形態は、10:1の比率のFC−40:1H,1H,2H,2H−ペルフルオロクタノール(PFO)で構成された。別の実施形態は、BioRadからのddPCRをPFOとともに用いた。別の実施形態は、Pico−Surf 1およびPFOをFC−40中で用いた。鉱物油系の一実施形態は、界面活性剤としてのAbil WE09、湿潤剤として、また粘度を低下させるためのTegosoft DECで構成され、粘度をさらに低下させるためにヘキサデカンも含み得る。Abilは、典型的に約0.02%体積/体積で使用した。Abil濃度が高すぎる場合、合体しないように(流動中に生成され得る)液滴をもたらし得る。液滴形成は、入口または流動チャネル/流体溜まり接合部のいずれかで形成し得る。流動チャネル/流体溜まり接合部での液滴形成は、増加した排油が二重の水性液:油の流動を創出し、液滴形成につながり得るため、より大きな流体溜まりにおいてより顕著である。Tegosoftを、広範囲にわたって使用したが(約3.5%〜約83%)、この範囲に制限されない。いくつかの側面では、ヘキサデカンを使用して粘度を低下させ、典型的に約30%で使用したが、ヘキサデカンは、PDMSの膨張を引き起こし得る。鉱物油系の別の実施形態は、鉱物油中0.02%のモノオレイン酸ソルビタン(スパン80)で構成された。シリコーン油系の一実施形態は、0.01%重量/重量のGransurf77界面活性剤とともに、50センチストロークのシリコーン油で構成された。
【0153】
良好なデジタル化のためのいくつかのパラメータは、油によるデバイスの湿潤性、油/水性表面張力、流量、油粘度、およびデバイス寸法を含む。デバイスが、フルオロシラン(1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクチルトリクロロシラン)で適切に(すなわち、完全に)シラン化される場合、FC−40:PFOの表面張力および粘度は、急速な排油を達成するために適切であり、最終の油が流動チャンバからの水性液を置換し、完全に充填された流体溜まりをもたらすため、流体溜まりの段階的充填および油/水性界面の清浄な離脱を可能にする。鉱物油系において、Tegosoftは、デバイスに対して油の著しい湿潤性を提供するが、粘度が高すぎる場合、排液は減速し得、個々の流体溜まりのより遅い充填をもたらし、より優れた液滴生成がより少ない段階的充填をもたらす。
【実施例2】
【0154】
(出口がディスク形状デバイスの中心の近位にある遠心設計)
この実施例は、流動チャネルおよび出口ポートを有するディスク形状デバイスを説明し、デバイスの中心から流動チャネルの少なくとも一部までの距離は、デバイスの中心から出口ポートまでの距離よりも大きい。
【0155】
SDプラットフォームの一実施形態では、個々のアレイは、ディスク上で半径方向に位置決めされる。ディスクは、スピンすることができ、そのスピンによって生成された遠心力は、デバイスを通じて油および試料を駆動することができ、試料のデジタル化をもたらす。本方法は、多数のアレイが同時に充填されるのを可能にする。遠心力が試料をディスクの外側部に向かって駆動するため、入口および入口リザーバは、ディスクの内側部分に位置決めされる。大きな入口リザーバは、充填プロセス中に追加の装填ステップが必要でないように、全試料および油の保管を可能にし、全ての液体がチップを通過するのを防止する。入口/入口リザーバ設計は、
図19bに示され、大きなチャンバは、流体流動を方向付けるように入口に向かって先細り、2つの小さな穴でキャップされる。1つの穴を使用して油および試料を装填する一方、もう1つは空気が逃げるのを許すが、キャップの存在は、試料をデバイス内に収容した状態で保持する。次に入口は、流動チャネルに対して分岐する。
【0156】
一実施形態では、チャネルは、半径方向に位置決めされる(例えば、
図12を参照)。別の実施形態では、チャネルは、実施例1におけるデバイスと同様に、線形状に位置決めされる(例えば、
図13を参照)。流体溜まりは、それらがチャネルのいずれかの側方に位置決めされる場合に充填されたが、スピン方向の反対側に位置決めされることもできる。排液チャネルは、流体溜まりの片側または両側に位置決めされ得るが、流体溜まりの下流側に位置決めされることができ、これは時としてより良いデジタル化をもたらし得る。試験された流体溜まりは、幅150μm×長さ300であり、25μmのベベルを伴い、高さ約85μmである。
【0157】
出口チャネルの場合、一実施形態では、各流動チャネルは、出口リザーバに直接接続する個々の出口チャネルを有する(例えば、
図12を参照)。別の実施形態では、出口チャネルは、分岐ネットワークを通じて再接続し、単一点で出口リザーバに接続する(例えば、
図13を参照)。
【0158】
過剰な流体(空気または液体)を出口リザーバから逃がす実際の出口は、複数の位置に位置決めされ得る(例えば、
図16を参照)。一実施形態では、出口は、デバイスの外側部に位置決めされる。これは、過剰な流体が放出される低抵抗経路を提供し、試料装填の速度を加速し得るが、またこの結果として、油および潜在的に試料が無制御的にチップから出る。別の実施形態では、出口は、デバイスの内部に向かって位置決めされる(例えば、
図12−14における設計に示される)。出口は、入口の同じ放射位置、または入口よりもデバイスの外部もしくは縁部の近く、または入口よりもデバイスの内部もしくは中心のさらに近くにあり得る。流体がディスクから出ることができないように、出口リザーバは、デバイスが完全に充填され、デジタル化されるのを許すために十分な油および過剰な試料を収容するために十分な大きさであり得る。液体は、出口を通じて空気を追い出すことができるが、相当大きい体積の液体は、標準装填速度下で出口に押し戻されることはできない。この実施形態は、閉じたシステムを創出し、試料が漏出して潜在的に他の試料または装置を汚染するのを防ぎ、自己計量機能も果たす。一旦出口リザーバが充填されると、流体流動は、本質的にデバイス内で停止する。これは、全液体が排出され、気泡を導入することを防ぐのを助け、連続したスピンが起こる場合(例えば、撮像または検出中)であってもデジタル化試料を安定に保持する。
【実施例3】
【0159】
(角度を有する流体溜まり)
この実施例は、流動チャネルに対して垂直以外の角度で位置決めされた流体溜まりを有するデバイスを説明する。
【0160】
流体溜まりは、典型的に流動チャネルに対して垂直に位置決めされ、流体溜まりパッキング密度を最大化するのを助けるが、それはこの機構の要件ではない。流体溜まりは、流動チャネルに対してある角度で位置決めされ(例えば、
図14を参照)、依然として充填され、デジタル化され得る。
図14aは、主チャネルに対して45°の角度であり、線形アレイで位置決めされた(互いに平行な主チャネルを伴う)流体溜まりを伴い、出口ポートまたは複数の出口ポートが、チャネル出口に再接続する入口ポートの近くの内部位置に位置決めされた遠心設計を表す。拡大表示は、排液チャネルの設計を示す。
図14bは、PCRミックスで充填されたデバイスの蛍光画像を示す。
図14cは、食用色素を含有するPCRミックスで充填されたデバイスの明視野画像を示す。
【実施例4】
【0161】
(遠心装填)
この実施例は、遠心力を使用してディスク形状デバイスに流体を装填または充填する方法を説明する。
【0162】
SDディスクデバイスの装填およびデジタル化は、行われるいくつかの例示的実験において、次のプロトコルを使用することができる。使用される典型的な油系は、0.02%のAbil、33%のTegosoft、および67%の鉱物油であった。フッ化炭素を使用することもできる。この実施形態では、SDディスクデバイスは、例えば、
図17Aに示されるように、ディスクに対して設計されたカスタムローターを伴うベンチトップ遠心分離器を使用してスピンさせた。別の実施形態では、光ディスクドライブを含む他のロータリー機構を使用することができる。また別の実施形態では、多数のディスクが一度に装填され得る(例えば、
図20を参照)。PDMSデバイスを、真空デシケーターにおいて5分間を超えて脱気し、PDMS以外の他のブラスチック材料を使用することもできる。次に、油(約20〜30μL)を各入口リザーバに装填し、ディスクを約1250RPMで1分間スピンした。次に水性試料(約10μL)を装填し、残りのリザーバを油で充填した。ディスクの外側部分に出口を伴うデバイスの場合、それらは、約1250RPMで2分間スピンすることによって充填され得る。ディスクの内部に出口を伴うデバイスの場合、それらは約1250RPMで4分間スピンすることによって充填され得る。一旦充填されると、これらのデバイスは、約3000RPMまでの加速下で安定であった。充填されたアレイは、例えば、
図12−14のパートBおよびCにおいて見ることができ、いくつかのアレイからなる充填されたデバイスは、
図20Aおよび24Bに示される。充填中の時系列は、
図17B−17Eにおいて見ることができる。
【実施例5】
【0163】
(ディスク検出および走査方法)
この実施例は、回転するディスク形状デバイスからの光シグナルを検出するための方法およびシステムを説明する。
【0164】
データ分析のために、個々の流体溜まりの蛍光強度を測定することができる。標準蛍光顕微鏡技法は、この用途に適切であり、個々のアレイの全画像が本方法で得られた。標準DSLRカメラを使用し、完全なチップ画像が得られた。Typhoon FLA 9000等の走査装置は、画像検出にも適している。しかしながら、データ取得効率を最大限にし、費用を最小限に抑えるために、さらなるカスタム撮像または検出セットアップが適切であり得る。既存の光ディスク(OD)プラットフォーム(例えば、CD、DVD、ブルーレイ)は、急速撮像または検出がどのように達成され得るかに対するモデルを提供する。ディスクの標準読取速度は、約200〜500RPMであるが、書込速度は、数倍高速であり得、SDディスクデバイスを装填し、読み取るための適切な速度範囲および制御を達成することができる低コストのシステムをもたらす。全てのODプラットフォームは、レーザ走査装置(線形走査装置)をサブミクロンレベルに位置決めする必要があるため、ODプラットフォームの動作制御システムは、SDディスクデバイスを撮像する要件により適している。
図21は、SDディスクシステムを撮像または検出するため、および動作制御のための2つの潜在的プラットフォームを示す。一実施形態では、全ての光学構成要素は、OD構成要素のスケールに低減され、全ては標準OD動作制御ドライブの追跡プラットフォームに取り付けられるであろう。
【0165】
別の実施形態では(例えば、
図21Cを参照)、光ファイバを使用し、線形動作制御ドライブによって移動されなければならない構成要素の数を低減する。1つの光ファイバケーブルは、光源から蛍光フィルタセットアップにレーザ光を方向付けるであろう。レーザ光は、第1のフィルタを通過し、ダイクロイックから離れて第2の光ファイバケーブルに入り、ファイバに取り付けられたレンズに光を送達し、光をディスク上に集束する。同じファイバは、ダイクロイックおよび第2のフィルタを通過し、アバランシェフォトダイオード(APD)もしくは通常のダイオード、または光電子増倍管、またはCCDセンサもしくはCMOSセンサ等の検出器に接続された第3のファイバに入る蛍光光を集合させることもできる。この実施形態では、試料につながるファイバは、線形動作制御ステージに取り付けられ得る。別の実施形態では(
図21Bに類似)、レーザおよびAPD(または他の検出器)は静止し、ファイバは、それらを動作制御ステージに結合し、小型化フィルタ、ダイクロイック、およびレンズは、光を試料に往復させる。
【0166】
光学フィードバックを動作制御構成要素に提供できない場合、回転速度および線形位置に対する制御は低減され得る。いくつかの修正を行うことができる。回転エンコーダは、回転モータ(典型的にブラシレスDC)に取り付けて速度の正確な測定を得ることができ、次にこれを使用して、モータ速度をフィードバックし、制御することができる。いくつかの線形モータは、ステッパモータであるため、いくつかの固有の位置制御を有する。これは、それ自体ではODシステムのサブミクロン位置決め分解能に不十分であり得るが、SDディスク撮像/検出要件の位置制御に十分であり得る。代替として、より高いスレッド数を伴う親ねじを利用し、より優れた位置制御を得ることもできる。最終的に、分解能は、流体溜まりのサイズと、流体溜まり全体が走査されなければならないか、または流体溜まりあたり数ラインの走査が十分であるかどうかの両方に依存するであろう。これは、充填機構の頑強性に大きく依存し得る。わずか数ラインの走査が必要である場合、およそ10〜20μmの位置制御が十分であり得るが、完全な流体溜まり撮像が必要である場合であっても、2〜5μmの画素(およびしたがって位置決めサイズ)は、十分な分解能を提供するはずである。撮像または検出は、必ずしもODシステムが追随するらせん形状をとる必要はなく、完全回転のための設定位置で段階的に走査し、次の位置に移動することができる。
【実施例6】
【0167】
(ディスク撮像方法)
この実施例は、複数の流体溜まりを撮像するための方法を説明する。
【0168】
特定の実施形態では、実施例5に記載される走査方法は、流体溜まりからアッセイ情報を得るために、より低費用のオプションを提供することができる。別の実施形態では、全体アレイまたはアレイの大きな部分が一度に撮像され得る。広域光学構成要素を備えたカメラは、全体アレイのデータ取得を一瞬で可能にし得る。一実施形態では、デバイスは、画像取得が行われる間静止しているであろう。別の実施形態では、画像取得は、特定の回転位置に結合され得、デバイスがスピンする間に画像が取得される。これを使用し、遠心充填中に装填するデバイスを監視すること、または1つの放射デバイス上の多数のアレイを急速に撮像することができる。
【実施例7】
【0169】
(ウェルプレートデザイン)
この実施例は、統合ウェルプレートマイクロ流体デバイス設計を説明する。
【0170】
既存のラボ装置/インフラストラクチャーとのデジタルPCRの統合は、技術の採用を大幅に増加させることができる。例えば、96ウェルプレートフォーマットでの自動試料処理、ならびにこの技術に適合した熱循環器および撮像器が存在するため、これを利用するSD技術を開発することは有意義である。そのようにして、SDプラットフォームの一実施形態は、96ウェルプレート技術を利用することができるデバイスである(例えば、
図22を参照)。この実施形態では、各ウェルは、1ウェルあたり2つの同心に位置決めされた区画を有する。内部円形ウェルは、試料装填のためであり、ウェル構造の中心に位置決めされ、384ウェル設計に匹敵する幾何形状を有することによって、多チャネルピペットまたは自動試料処理システムのいずれかとシームレスに作動するはずである。次に外環は出口となるであろう。デバイス充填中、圧力を(ガスケット/マニホールドを通じて)入口に提供することができ、および/または真空を出口に印加することができる。次にこの力は、試料を入口からマイクロ流体チャネルに追い込み、次に分岐して試料を流動チャネル、および流体溜まりに送達するであろう。これは、96ウェルプレートの各ウェルの約9mm×約9mmの底面積に適合するように、多レベルチャネルネットワークを含み得る。この実施形態では、体積が約50pLである10,240個の流体溜まりのアレイが達成され得る。流体溜まり寸法は、約30μm×約50μm×約40μmであり、流体溜まりの下流に位置決めされた単一の排液チャネルが存在するであろう。このプラットフォームの実装の場合、圧力/真空をウェルに送達するための装置が必要であり得るが、既存の蛍光撮像システムが十分であるはずである。この実施形態では、デバイスの層(流体溜まりの上であるが、入口、出口、および上位チャネルの下)は、背景シグナルを排除するように黒くすることができる。この層は、視覚化目的で
図22から省略されたが、上位分岐を下位分岐に接続する垂直チャネルを伴う層内にあり得る。
【実施例8】
【0171】
(製造技法)
この実施例は、マイクロ流体デバイスを製造する方法を説明する。
【0172】
SDデバイスの製造は、例えば、2ステッププロセス、時として3ステッププロセスであり得る。第1のステップは、流動チャネルおよび排液チャネルの高さを確立する。第2のステップは、流体溜まり、ならびに入口および出口チャネルの高さを確立する。遠心SDデバイスの場合、保管されなければならない比較的大きな体積を収容するために、第3のステップを追加して、入口および出口リザーバの高さを確立することができる。各ステップが別個に行われる場合、第2層のSU−8が注入されると、第1層内の小さな密集した特徴が気泡を固定することができるため、気泡/欠陥が第2層に導入される危険性を増加させ得る(この場合、シリコーン特徴上にSU−8を製造するためにSU−8が使用されるが、SU−8の使用を必要としない深反応性イオンエッチング等の他のプロセスを使用することもできる)。これを回避するために、任意の特徴の現像を行う前に、第2のステップを第1のステップと組み合わせる。次のプロトコルが使用され得る。SU−8層は、スピンおよびベークされ、整列マーカーのみを含むマスクを通じて露光され、その後ウエハは、ポストベーク、現像、およびハードベークされる。これは、第1層および第2層の両方に整列マーカーを提供する。整列マーカーをテープで被覆し、第1のSU−8層をスピンさせる。次に、テープを除去し、ウエハをプリベークする。次に第1層マスクを通じてウエハを露光し、ポストベークする。この後に新しいテープを使用して整列マーカーを被覆し、第2のSU−8層をスピンさせる。次にテープを除去し、ウエハをプリベークする。次に第2層マスクを通じてウエハを露光し、ポストベークする。次にそれを現像し、ハードベークする。2層デバイスの場合、このプロセスを行う。これは、第1層の露光時間および/または露光後ベーク時間を短縮し、第2層ベーキングステップ中に起こり得る任意の広域化を最小化するために適切であり得る。3層デバイスの場合、第3層は主に入口および出口において役立つため、流体溜まり/チャネル特徴によって捕捉された任意の気泡は、露光された領域内にないため、第3層は、以前に現像されたチップに適用され得る。これは、第1層および第2層における精細特徴のさらなる現像を防止する。SU−8を使用する製造に加えて、当該技術分野において既知のような、深反応性イオンエッチング等のシリコーン微細加工を、SDデバイスを複製するためのマスタの製造に使用することもできる。当該技術分野において既知のようなエンボス加工および射出成形を使用し、SDデバイスの複製を作製することもできる。
【実施例9】
【0173】
(流動チャネルの底部と流体連通する流体溜まりを伴うデバイス)
この実施例は、流動チャネルの下に位置決めされた流体溜まりを有するデバイスを説明する。
【0174】
流体溜まりは、主チャネルの側方または流動チャネルの底部/上部のいずれかにおいて流動チャネルに接続され得る(例えば、
図3Bを参照)。底部/上部に位置決めされた場合、2つの領域間の界面は、より大きく、より急速な流体交換を可能にする。
【0175】
流動チャネルが収縮部を有しない一実施形態では、流体溜まりは、幅100μm×長さ200μm×深さ100μmであり、2nLの体積を付与した。主チャネルは、深さ20μmであり、1、25、50、または100μmの各側方に少なくともオーバーハング長を伴う流体溜まりと同じ幅であり、流体溜まり間の間隔は、50、100、または200μmであった。アレイあたりの流体溜まりの数は、1024、4096、10240、25600を含んだ。この設計を用いて、水性試料を収容する流体溜まりの数は、典型的に80〜90%であり、流体溜まりの80〜90%が単離され、残りは流体溜まり間にいくらかの相互接続を示した。
【0176】
別の実施形態では、流体溜まり寸法は、同じであったが、主チャネルは、流体溜まりのそれぞれの上流に収縮部を含んでいた。一実施形態では、収縮部は、長さ25μm、幅100μmであった(チャネルの最大幅の半分)。流体溜まり前の収縮部のいずれかの側方に25μmのより幅広い主チャネルが存在した(
図7)。アレイあたりの流体溜まりの数は、例えば、1024、4096、10240、25600、またはそれを上回るものであり得る。収縮部を有する場合、試料を収容する流体溜まりの数は、約99%に増加し、単離された溜まりの数は、約90%である。
【0177】
別の実施形態では、収縮部におけるチャネル幅は、わずか50μmの幅、または流動チャネルの最大幅の3分の1であった。流体溜まりは、デバイスの下流端に先細りも示した(
図8a)。アレイ内の流体溜まりの数は、アレイあたり1024、4096、25600、または38400個の流体溜まりで構成された。単離された流体溜まりのパーセントは、この実施形態を用いて約95%までさらに増加した。
【実施例10】
【0178】
(試料デジタル化の組織的研究)
この実施例は、流動チャネルの底部に流体溜まりを伴う設計における試料デジタル化の組織的研究を説明する。
【0179】
3次元多相計算流体力学(CFD)シミュレーションを実行し、いくつかの設計パラメータを研究した。モデルは、単一チャネルおよび1つまたはそれを上回る流体溜まりであった。研究されたパラメータは、毛管数(ca)およびチャネルと、流体溜まりサイズと、間隔とを見るいくつかの比率を含むが、これらに限定されない。
【0180】
計算研究の場合、底部流体溜まりにおける試料デジタル化の3次元多相流体シミュレーションは、計算流体力学(CFD)パッケージを用いて行った(Fluent, Version 6.3.26、Fluent Inc.、ANSYS,Inc.,Lebanon,NH)。100μm×200μm×100μm(w×l×d)を測定する底部流体溜まりを伴う主チャネルの異なる粘性/界面特性(Ca)および可変寸法(W
m、H
m)について、液滴デジタル化をシミュレートした。設計は、ノード点間に2.5〜5.0μmの分解能を伴う六面体メッシング戦略を使用して有限要素に変換された。シミュレーションにおいて、水(ρ=998kg m
−3、μ=1.003×10
−3kg m
−1s
−1)およびシリコーン油(50cSt、ρ=980kg m
−3、μ=0.049kg
m
−1s
−1)を水溶液および油相としてそれぞれ使用した。モデルソルバーは、圧力に基づく3次元として、絶対速度公式、および非反復時間経過とともに一次陰関数非定常公式を用いて定義された。
【0181】
流体の体積(VOF)ソルバーは、2相、明示的VOFスキーム、および0.25のクーラント数を伴う多相モデルに使用した。相の相互作用は、壁接着特性および例えば、5〜30mN m
−1の範囲の水−油界面に対する異なるγ値を用いて定義した。境界条件を次のとおり設定した。単一の入口は、研究されるパラメータに依存する平坦速度プロフィールを用いて定義された。出口は、定圧による流出として定義された(P
Outlet=P
atm=101325Pa)。主チャネルおよび流体溜まりを包囲する壁は、175°の疎水性接触角度を有するように設定された。次に主チャネルおよび底部流体溜まりは、Fluentの「Adapt」ツールを使用して油相および水溶液を事前充填することができ、流体溜まり体積の1.5〜2.0倍の体積を伴う水性プラグをもたらし、流体溜まりの前に最大25μmに達する。流体流動プロフィールおよび体積フラクションは、圧力−速度結合のためのフラクションステップでシミュレートされ得る。空間離散化は、運動量の一次風上スキームおよび圧力に設定された圧力段状化オプション(PRESTO!)によって実装された。体積フラクションは、Geo−Reconstructオプションを使用して離散化された。残留許容量は、0.001に設定された。シミュレーションは、0.1〜5.0μsの範囲の時間ステップで続いて反復された。
【0182】
真っ直ぐな主チャネルの下に流体溜まりを伴うチップ内の試料体積の自己デジタル化は、主チャネルの寸法および毛管数(Ca)に対する強い依存性を示した。デバイス設計の異なるパラメータを研究した。一実施形態では、チップあたり1,024個の流体溜まりのアレイを使用し、充填およびデジタル化に影響する異なるパラメータを調査した。これらのパラメータは、流体溜まりの幅wに対する主チャネルのオーバーハングW(W/w)、正規化した流体溜まり間の間隔(δ/w)、および流動方向に対する流体溜まりのアスペクト比(l/w)を含んでいた。パラメータ研究からの結果は、油充填された非蛍光チップ(
図25aにおける暗部)に対して充填された流体溜まり(
図25aにおける明部)の蛍光顕微鏡画像に基づいた。
図25aは、Ca=0.015での1,024−流体溜まりチップにおける試料デジタル化の蛍光画像シーケンスを表す。x−z−中央平面で撮像された、3つの流体溜まりにおける0.01% w/wのGransurf 77を含む50cStのシリコーン油による水性試料(フルオレセインを補充した)のせん断が示される。バルク水溶液からのデジタル化前の流体溜まり間の水相の切込に留意されたい。スケールバーは、200μmに対応する。
【0183】
図25bは、3次元油中水多相流動CFD分析によって、液滴破壊前(t
0)、破壊中(t
1)、および破壊後(t
2)に充填する流体溜まりの実施例を表し、等表面として示される、油から水までの範囲の水体積フラクションおよび水/油界面のx−z−およびy−z−中央平面での等角図、上面図、および側面図に外郭が示される。
図25aおよび25b)における流動は、左から右である。
【0184】
結果は、保持比(R)および総充填(またはデジタル化)効率(f
total)として提示される。保持比は、主チャネルへの接続を維持する流体溜まりから独立して、チップあたりの充填された流体溜まりの数として定義され得(主チャネルを通る接続は、閾値スキームによって濾過されるため)、チップあたりの流体溜まりの層数に正規化される。対照的に、充填効率またはデジタル化効率は、主チャネルを通じて水性架橋によって接続されたままである流体溜まりを説明する。いくつかの流体溜まりにわたって広がり、主チャネルを通じて接続されたままである水性試料は、1つの液滴として処理される。充填効率は、チップあたりの流体溜まりの総数によって正規化することもできる。充填効率1は、主チャネルを通じて近くの流体溜まりへのいかなる相互接続もなしに、単一流体溜まりを占める水性試料での全体チップの充填を表す(完全デジタル化)。充填効率を減少させると、単一流体溜まりよりも体積が大きい水性試料のフラクションは、増加する(例えば、近くの流体溜まりに接続する水性架橋の結果として)。したがって、保持比は、SDチップあたりいくつの流体溜まりが水性試料で充填されたかを説明し、充填効率は、デジタル化の質の尺度である(すなわち、低いfは、多くの相互接続された液滴に対応し、高いfは、数滴からゼロに対応する)。本研究の目標は、それぞれが単一流体溜まりの体積を伴う、デジタル化水性試料での全体チップの完全充填を達成することであった。
【0185】
図25c−eは、異なる設計パラメータの特性化、具体的には、正規化した主チャネルオーバーハング(W/w)(
図25c)、正規化した流体溜まり間の間隔(δ/w)(
図25d)、ならびに流動方向(l/w)、およびその充填効率に対する影響(f
total)と試料保持比(R
total)に関する流体溜まりのアスペクト比(
図25e)を要約する。研究は、高さ20μm(H
m)の主チャネルと、それらの下に流体溜まりを伴うチップ内で行った。データは、平均±SD(n=2)として表される。
【0186】
一側面では、実験的研究は、試料保持の50%超が、最高CaおよびW/wを除いて、研究されたチャネルオーバーハング(W)およびCa範囲の全範囲に対して達成されたことを示した(
図25cの右パネル)。同時に、充填効率は、W/wの増加に伴って減少するように思われた(
図25cの左パネル)。オーバーハングがないと考えられる実験的研究において(W/w=0)、充填効率は、Caの増加に伴って増加を示した。全体として、充填効率は、Caの減少およびW/wの増加に伴って減少することが予測され得る。これは、より幅広いチャネル(高いW/w)と比較して、細いチャネル(低いW/w)における油相のより高いせん断流に起因する。パラメータW/wの場合、実験は、0〜0.5のW/w値、および高いCa(0.02〜0.03)に対して、比較的高い試料保持および充填効率が達成され得ることを示す。Caは、油相の線形流速に直接比例するため、デジタル化中に使用される高いCa値は、チップを充填し、デジタル化するために必要とされる時間を最小限にするためにも有益であり得る。しかしながら、研究された最高Caにおいて、せん断流は、流体溜まりあたり多くの小さな乳化液滴の生成をもたらし、計算された保持よりも充填効率を人為的に上昇させた(
図25c)。この乳化は、オーバーハングおよび高いCaを持たないと考えられるパラメータに対してのみ見られた。
【0187】
図25gは、異なるHmを用いたパラメトリックCFD研究からの結果を示す(白色記号=25μm、灰色記号=50μm)。Ca>0.02を超える試料保持における明確なカットオフ、および使用されるデータの差異にもかかわらず、f)とg)との間の保持カットオフ(Ca)における類似性(保持された試料の面積対体積)に留意されたい。試料デジタル化のCFDシミュレーションは、オーバーハングがなかった場合、つまりW/w=0の場合、Caが非常に低かった場合を除いて、実際に試料が保持されなかったことを示した(
図25gにおける丸記号を参照)。シミュレーションは、試料がデジタル化され、保持されるのを許すために、小さいWが必要であったことも示した。このシミュレーション結果を、上記のオンチップ実験と対比し、W/wが0であると考えられる場合であっても試料保持を示した(
図25c)。この明らかな矛盾は、多層微細製造プロセスにおける不完全性によって説明され得る。第1層(主チャネル)と、流体溜まりを含む第2層との間の製造プロセスのわずかな不整合は、液滴保持を支持する縁部をもたらし得る。実際に、明視野顕微鏡によって測定されるような約1〜2μmの不整合は、いかなるオーバーハングも有するべきでないと考えられるマスタ内に存在し、このわずかな不整合は、現行の製造プロセスでは克服困難であった。シミュレーションから、このわずかなオーバーハングは、流体溜まりへの試料デジタル化を可能にし、実験観察と一致した。
【0188】
対照的に、より大きなWは、高い充填効率の効果を反転させ、これはバルク水溶液が、各流体溜まり内でデジタル化される方法によって説明された(
図25a、b)。各流体溜まり内の水性区画は、隣接した流体溜まり間の油相のせん断によってバルク水溶液からピンチオフされた。より幅広い主チャネルは、より弱いせん断力をもたらし、したがって、それが流体溜まり内に充填された後に水性液滴のピンチングを低減し、結果として、隣接した流体溜まり内の水性液滴が、主チャネル内の水性架橋によって相互接続されたままであり、それらが主チャネル内の流動によって流体溜まりから除去される機会も増加した。
【0189】
オーバーハング研究(W/w)からの結果に基づいて、大きな流体溜まり間の間隔(δ)が、デジタル化を促進し、高い試料保持および充填効率を達成するために有益であり得ると主張したくなる。流体溜まりの間隔W/wの影響を調査するために、W/wは、0.5で固定され得、異なるδの結果は、流体溜まりの幅に対して正規化した。実験結果は、Caの増加に伴うR
totalの減少にもかかわらず、小さなδ/wが、研究されたCa範囲に対して高い試料保持をもたらしたことを示した(
図25d)。大きなδ/wの結果は、試料保持に対するCaの顕著な影響を示した。ここで、小さなCaは、水性試料の保持を許したが、大きなCa(≧0.02)において、水性試料は、SDチップから流し出され得る。小さなδ/wおよび低いCaにおいて、低いf
totalが存在し、水性区画のうちの多くが、隣接した流体溜まり間の架橋を通じて相互接続されたままであったことを示す。より高いCaの使用、したがって油相のより高いせん断率は、充填効率の増加を可能にした。しかしこれらの増加は、低いδ/wに限定された。これらの結果は、δが、主チャネルオーバーハングとして(すなわち、油相によるせん断中の切込またはピンチングによって)バルク水溶液からの個々の液滴の破壊に対して類似の効果を有することを示した。小さなδは、流体溜まりサイズの水性液滴のデジタル化を支持する傾向があったが、大きなδは、強力に低減された試料保持につながった。さらに、流体溜まり間の間隔は、マイクロ流体チャネルの下に位置する流体溜まりの密度に対して強い影響を及ぼした。より大きな流体溜まり間の間隔は、所定のチップ領域に対してチップ内でデジタル化または保持され得る全体試料体積を低減した。
【0190】
試料保持に影響した別のパラメータは、主チャネル流動の方向の流体溜まりの長さ(l)であった。W/wが0.5である場合、0.5のl/w(すなわち、流動方向に垂直な幅広い流体溜まり)は、高いf
totalおよびR
totalに対して最も有益でない可能性がある。正方形断面を伴う流体溜まり(l/w=1.0)は、Caの増加に伴ってより高いf
totalおよびR
totalを示した。試料デジタル化および保持における全体傾向は、流体溜まりの「長」軸が、流動方向に対して平行であるように、流動方向に置かれた長方形の流体溜まり(l/w)が、高いf
totalおよびR
totalに対して最も有益であることを示唆した(
図25e)。
【0191】
試料保持に対するCaの重要性を強調するために、パラメトリック研究からのデータを単一プロットに複合した(
図25f)。プロットは、Caの増加に伴い、試料の保持(R
total)において明確な傾向があったことを示す。試料のほぼ100%は、0.020よりも小さいCaにおいて、チップ内に保持され得る。より高いCaにおいて、水性試料の大部分は、油相をせん断することによってチップから流し出されることができ、したがってR
totalを減少させる。
【0192】
CFDは、側チャンバSDチップに対するプロセスパラメータを研究するための強力なツールであり得る。類似の技法を使用し、主チャネルの下に流体溜まりを伴うSDチップにおける試料のデジタル化を改善することができるパラメータを調査した。可変主チャネル高さ(H
m)を伴う底部流体溜まりSDチップを用いた予備的シミュレーションおよび実験的研究は、臨界高さを示し、それを超えると試料のデジタル化が大幅に低減された。これらの研究では、2nLの流体溜まり体積を伴う底部流体溜まりSDチップを使用した。これらのチップは、正規化したチャネルオーバーハング(W/w)0.25、正規化した流体溜まりの間隔(δ/w)0.5、および流体溜まりアスペクト比(l/w)2.0を有した。実験的研究は、H
mが30〜40μmよりも大きい場合、R
totalおよびf
totalがゼロに近付いたことを示した。試料のデジタル化に対する主チャネル幾何形状およびCaの変化の効果をさらに調査するために、CFDモデルを使用し、単一流体溜まりの充填をシミュレートした。CFD研究の実施例は、水溶液での流体溜まりの充填前および充填中(t
0、t
1)、ならびに油相によるせん断後(t
2)のステージとともに、
図25bに示される。CFD研究では、オンチップ実験において使用される材料特性(油および水)も使用した。オンチップ研究とは異なり、CFD研究は、保持された水性試料体積の直接読出を可能にし、Caプロットにおいて、流体溜まりの体積V
wに対して正規化した結果が提示される(
図25g)。
【0193】
主チャネル高さ25μm(
図25gにおける白抜きの記号)の研究において、V/V
wは、Caの増加にともなって減少し、0.020のCaにおいてゼロに近付くことがわかった(W/w=0の研究を除く)。さらに、W/wが増加するにつれて、保持された試料体積の比率が増加した。W/w=0において、試料は、低いCaにおいてのみ保持された。この結果は、試料が流体溜まり内に保持されるのを許すための小さな主チャネルオーバーハングの要件を示す。Caが流体溜まり内の試料の保持または非保持の指標として使用された場合、全体傾向は、
図25に示されるオンチップとCFDデータとの間で類似することがわかった。保持された液滴の体積の変化は、CFDデータによって直接定量化され得る。したがって、
図25fに示される保持データは、試料の断面積に基づくが、
図25gでは、保持された液滴の全試料体積が考慮されることに留意しなければならない。
【0194】
H
mが50μmに増加した場合(
図25gにおける灰色記号)、デジタル化試料のより大きなフラクションは、試料液滴が流体溜まりを超える主チャネル体積を充填すると、主チャネル中に拡張した(したがって、V/V
w>>1.0)。試料保持は、H
m=25μmと比較した場合(Ca=0.020を下回る保持)、はるかに低いCa(約0.0065)において急激にゼロに近付いた。しかしながら、W/w<0.25において、H
mが50μmであった場合、およびCFD研究において使用されるCa範囲(Ca=0.0016〜0.0196)に対して、水性試料のいずれも流体溜まり内に保持されなかった。
【0195】
主チャネル高さの変化についてのCFD研究の結果は、試料保持および試料デジタル化が、主チャネルのオーバーハング(W)に依存するだけでなく、主チャネルの高さによって大幅に影響されることを示した。この観察は、油相をせん断することによる水溶液のピンチングが、主チャネルの幾何形状(H
mおよびW
m-)によって左右されることを示唆した。データは、H
mが臨界値を超える場合、水溶液試料のいずれもデジタル化され得ないことも示す。
【0196】
(追加の側面)
いくつかの側面では、本開示は、中心領域および外縁を有するディスク形状本体であって、中心軸を中心として回転するために構成され、かつディスク形状本体の中心領域に位置する流体入口ポートと、近位端、遠位端、および流動軸を有し、流体入口ポートと流体連通する流動チャネルと、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりと、流動チャネルと連通する流体出口ポートとをさらに備えた、ディスク形状本体を備え、流体出口ポートが、流動チャネルの遠位端よりもディスク形状本体の中心領域の近くに位置する、マイクロ流体デバイスを提供する。
【0197】
いくつかの側面では、マイクロ流体デバイスは、複数の流動チャネルを備え、それぞれが流体入口ポートおよび流体出口ポートと流体連通する。いくつかの側面では、複数の流動チャネルは、各流動チャネルの流動軸が、ディスク形状本体の外縁に垂直であるように構成される。いくつかの側面では、複数の流動チャネルは、平行に配置される。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動軸に直交する以外の角度である。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのそれぞれは、開口管路によって流動チャネルと流体連通する。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動チャネルと流体連通する少なくとも1つのチャネルをさらに備える。いくつかの側面では、流動チャネルおよび複数の流体溜まりは、疎水性表面を含む。いくつかの側面では、ディスク形状本体の少なくとも一部分は、天然に疎水性であるか、または表面処理されたポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカーボネート(PC)、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート(PETG)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、および流動チャネル、複数の流体溜まり、またはそれらの組み合わせに疎水性表面を提供する多層材料を含む。いくつかの側面では、流動チャネルおよび複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、親フッ素表面を含む。いくつかの側面では、デバイスは、プライマー流体が装填される。
【0198】
いくつかの側面では、流体は、水性液体、水性液体と不混和性の流体、有機溶媒、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、鉱物油、または任意の他の適切な油を含む。いくつかの側面では、複数の流動チャネルのそれぞれの遠位端は、デバイス上の共通流体リザーバと流体連通し、共通流体リザーバは、流体出口ポートと流体連通する。いくつかの側面では、流体出口ポートは、流体入口ポートよりもディスク形状本体の中心の近くに位置する。いくつかの側面では、流体出口ポートは、流体入口ポートよりもディスク形状本体の中心から遠くに位置する。いくつかの側面では、少なくとも1つの流体出口ポートは、少なくとも1つの流体入口ポートと同様にディスク形状デバイスの中心の近くに位置する。いくつかの側面では、マイクロ流体デバイスは、複数のフローセルを備え、各フローセルは、複数の流動チャネルを備え、独立して少なくとも1つの流体入口ポートと、少なくとも1つの流体出口ポートとを含み、少なくとも1つの流体出口ポートは、複数の流動チャネルの遠位端よりもディスク形状本体の中心領域の近くに位置する。
【0199】
いくつかの側面では、本開示は、マイクロ流体デバイスを充填する方法を提供し、請求項1に記載のマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第1の流体を流体入口ポートに提供するステップとを含む。いくつかの側面では、本方法は、マイクロ流体デバイスを、その中心軸を中心として回転させ、第1の流体をマイクロ流体デバイス上に装填するステップを含む。いくつかの側面では、本方法は、圧力を第1の流体に印加するステップを含み、圧力は、第1の流体をマイクロ流体デバイスの流動チャネルを通じて推し進めるために十分である。いくつかの側面では、圧力は、正または負の圧力である。いくつかの側面では、マイクロ流体デバイスには、プライマー流体が装填され、第1の流体は、水溶液を含む。いくつかの側面では、本方法は、第2の流体をマイクロ流体デバイス上の流体入口ポートまたは異なる流体入口ポートに提供することを含む。いくつかの側面では、本方法は、第3の流体を、マイクロ流体デバイス上の流体入口ポートまたは異なる流体入口ポートに提供するステップを含む。いくつかの側面では、第1の流体は、油を含み、本方法は、第2および第3の流体を、マイクロ流体デバイス上の流体入口ポートまたは異なる流体入口ポートに提供するステップをさらに含み、第2の流体は、水溶液を含み、第3の流体は、油を含む。いくつかの側面では、第2の流体は、検体を含み、本方法は、複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つにおける第2の流体の分析を行うステップをさらに含む。いくつかの側面では、検体は、生物学的材料を含む。いくつかの側面では、生物学的材料は、細胞、細菌、ウイルス、プリオン、核酸、タンパク質、遺伝物質の発現産物、結晶化分子、または粒子から選択される。いくつかの側面では、第2の流体は、複数の核酸分子を含み、本方法は、わずか1つの核酸分子が複数の流体溜まりのうちの少なくともいくつかに含まれるように、複数の流体溜まり内の複数の核酸分子のうちの少なくともいくつかを分配するステップを含む。いくつかの側面では、第2の流体は、複数の核酸分子を含み、本方法は、少なくとも1つの核酸分子が、複数の流体溜まりのうちの少なくともいくつかに含まれるように、複数の流体溜まり内の複数の核酸分子のうちの少なくともいくつかを分配するステップを含む。いくつかの側面では、本方法は、複数の流体溜まり内でデジタルポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うステップをさらに含む。いくつかの側面では、本方法は、複数の流体溜まり内で等温増幅を行うステップをさらに含む。いくつかの側面では、検体は、流体溜まり内で結晶化を受ける。いくつかの側面では、検体は、悪性表現型を発現する細胞、胎児細胞、循環内皮細胞、腫瘍細胞、ウイルスに感染した細胞、対象とする遺伝子でトランスフェクトした細胞、免疫細胞の亜型、または自己免疫もしくは自己反応性障害に罹患した対象の末梢血中に存在するT細胞もしくはB細胞から選択された少なくとも1つの希少細胞を含有する。いくつかの側面では、本方法は、第2の流体を、マイクロ流体デバイス上の流体入口ポートまたは異なる流体入口ポートに提供するステップを含み、第1の流体は、油を含み、第2の流体は、水溶液を含む。
【0200】
いくつかの側面では、本開示は、請求項1に記載のマイクロ流体デバイスを、その中心軸を中心として回転させるために構成された回転構成要素と、マイクロ流体デバイスの複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つを光学的に分析するように構成された光学検出構成要素と、回転構成要素および光学検出構成要素を制御するように構成され、かつ光学検出構成要から生成されたデータを記憶するために構成された処理装置とを備える、分析システムを提供する。いくつかの側面では、分析システムは、複数の流体リザーバを含み、それぞれが流体を収容することができ、複数の流体リザーバは、流体をマイクロ流体デバイスの流体入口ポートに提供するように構成される。いくつかの側面では、分析システムは、複数の流体溜まりに熱を適用するように構成された熱制御構成要素をさらに備える。いくつかの側面では、熱制御構成要素は、ポリメラーゼ連鎖反応を行うために十分な複数の流体溜まりを加熱するために構成される。いくつかの側面では、分析システムは、複数の流体入口ポートのうちの少なくとも1つと流体連通する加圧構成要素をさらに備え、加圧構成要素は、流動チャネルを通じて流体を推し進めるために十分な圧力を印加するように構成される。いくつかの側面では、光学検出構成要素は、1〜5,000RPMで回転するマイクロ流体デバイスを分析するように構成される。いくつかの側面では、回転構成要素は、光学検出構成要素の読出速度と一致するように、マイクロ流体デバイスの回転速度を調整するように構成される。いくつかの側面では、分析システムは、請求項1に記載の複数のマイクロ流体デバイスを収容、回転、および処理するために構成される。
【0201】
いくつかの側面では、本開示は、複数のウェルを含むマイクロウェルプレートを備える、マイクロ流体デバイスを提供し、複数のウェルのそれぞれは、複数のウェルのうちの少なくとも1つと流体連通する少なくとも1つの流体入口ポートと、少なくとも1つの流体出口ポートと、流動軸を有する少なくとも1つの流動チャネルと、少なくとも1つの流体入口ポートおよび少なくとも1つの流体出口ポートと流体連通する流動チャネルと、少なくとも1つの流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりとをさらに備える。いくつかの側面では、複数の流体溜まりは、アレイで配置される。いくつかの側面では、複数の流体溜まりは、正方マトリクスアレイで配置される。いくつかの側面では、複数のウェルは、2:3の長方マトリクスアレイである。いくつかの側面では、マイクロ流体デバイスは、6、12、24、48、96、または384個のウェルを標準ウェルプレートフォーマットで含む。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動軸に直交する以外の角度である。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動軸に直交する角度である。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのそれぞれは、開口管路によって流動チャネルと流体連通する。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動チャネルと流体連通する少なくとも1つのチャネルを備える。いくつかの側面では、複数の流動チャネルおよび複数の流体溜まりは、疎水性表面を含む。いくつかの側面では、デバイスの少なくとも一部分は、天然に疎水性であるか、または表面処理されたポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカーボネート(PC)、グリコール改質ポリエチレンテレフタレート(PETG)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、および流動チャネル、複数の流体溜まり、またはそれらの組み合わせに疎水性表面を提供する多層材料を含む。請求項44に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、入口ポートは、流体と流体連通する。いくつかの側面では、流体は、水性液体、水性液体と不混和性の流体、有機溶媒、フッ素化油、炭化水素油、シリコーン油、または任意の他の適切な油、またはそれらの組み合わせを含む。
【0202】
いくつかの側面では、本開示は、マイクロ流体フローセルを充填する方法を提供し、請求項44に列挙されるようなマイクロ流体デバイスを提供するステップと、第1の流体を複数の流動チャネルのうちの少なくとも1つを提供するステップと、複数のウェルのうちの少なくとも1つに圧力を印加するステップとを含み、圧力は、複数の流動チャネルのうちの少なくとも1つを通じて第1の流体を推し進めるために十分である。いくつかの側面では、マイクロ流体フローセルを充填する方法は、第2の流体を複数のウェルのうちの少なくとも1つに提供するステップと、複数の流動チャネルのうちの少なくとも1つを通じて第2の流体を押し進めるのに十分な圧力を、複数のウェルのうちの少なくとも1つに印加するステップとをさらに含む。いくつかの側面では、第2の流体は、検体を含有し、本方法は、複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つにおいて第2の流体の分析を行うステップをさらに含む。いくつかの側面では、検体は、生物学的材料を含む。いくつかの側面では、生物学的材料は、細胞、細菌、ウイルス、プリオン、核酸、タンパク質、遺伝物質の発現産物、結晶化分子、または粒子から選択される。いくつかの側面では、第2の流体は、複数の核酸分子を含み、本方法は、わずか1つの核酸分子が、複数の流体溜まりのうちの少なくともいくつかに含まれるように、複数の流体溜まり内の複数の核酸分子のうちの少なくともいくつかを分配するステップを含む。いくつかの側面では、第2の流体は、複数の核酸分子を含み、本方法は、少なくとも1つの核酸分子が、複数の流体溜まりのうちの少なくともいくつかに収容されるように、複数の流体溜まり内の複数の核酸分子のうちの少なくともいくつかを分配するステップを含む。いくつかの側面では、本方法は、複数の流体溜まり内でデジタルポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うステップをさらに含む。いくつかの側面では、本方法は、複数の流体溜まり内で等温増幅を行うステップをさらに含む。いくつかの側面では、検体は、流体溜まり内で結晶化を受ける。いくつかの側面では、検体は、悪性表現型を発現する細胞、胎児細胞、循環内皮細胞、腫瘍細胞、ウイルスに感染した細胞、対象とする遺伝子でトランスフェクトした細胞、免疫細胞の亜型、または自己免疫もしくは自己反応性障害に罹患した対象の末梢血中に存在するT細胞もしくはB細胞から選択された少なくとも1つの希少細胞を含有する。いくつかの側面では、マイクロ流体デバイスには、プライマー流体が装填され、第1の流体は、水溶液を含む。
【0203】
いくつかの側面では、本開示は、請求項1に記載のマイクロ流体デバイスを受容するように構成されたチャンバと、流動チャネルを通じて流体を推し進めるために十分な圧力を流動チャネルに印加するように構成された流体加圧装置と、マイクロ流体デバイスの複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つを光学的に分析するための光学検出構成要素とを備える、マイクロ流体デバイスの分析システム、および光学検出構成要素を制御するように構成され、かつ光学検出構成要素から生成されたデータを記憶するように構成された処理装置を提供する。いくつかの側面では、分析システムは、流体を収容するための複数の流体リザーバをさらに備え、複数の流体リザーバは、流体をマイクロ流体デバイスの流体入口ポートに提供するように構成される。いくつかの側面では、分析システムは、複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つに熱を適用するように構成された熱制御構成要素をさらに備える。いくつかの側面では、光学検出構成要素は、撮像デバイスを備える。いくつかの側面では、複数の流体リザーバのうちの異なる流体リザーバは、第1の流体および第2の流体を収容する。いくつかの側面では、マイクロ流体デバイスには、プライマー流体が装填され、第1の流体は、水溶液を含む。いくつかの側面では、光学検出構成要素は、水溶液を収容する複数の流体溜まりのうちの少なくともいくつかを撮像するように構成される。いくつかの側面では、光学検出構成要素および処理装置は、複数の流体溜まりのうちの少なくともいくつかにおける水溶液の体積を決定するように構成される。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのうちのそれぞれは、開口管路によって流動チャネルと流体連通する。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのうちの少なくとも1つは、流動チャネルと流体連通する少なくとも1つのチャネルを備える。
【0204】
いくつかの側面では、本開示は、流動軸、上流端、および下流端を有する流動チャネルと、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりとを備え、複数の流体溜のそれぞれが上流および/または下流端を有し、流動チャネルが、複数の流体溜まりのそれぞれの上流および/または下流に収縮部を含む、装置を提供する。いくつかの側面では、収縮部は、流動チャネルの最大幅の3分の1の幅である。いくつかの側面では、複数の流体溜まりは、流動チャネルを備えるデバイスの平面の下または上に位置決めされる。いくつかの側面では、流動チャネルは、第1の流体源および第1の流体と不混和性の第2の流体源と流体連通する。いくつかの側面では、少なくとも流動チャネルおよび/または複数の流体溜まりには、第1の流体が装填される。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのそれぞれは、下流端で先細りする。いくつかの側面では、本開示は、流動軸、上流端、および下流端、幅、ならびに高さを有する流動チャネルと、上流端および下流端、流動軸に平行な長さ、幅、ならびに高さを有する、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりとを備え、流動チャネルの幅が、複数の流体溜まりの幅よりも広く、複数の流体溜まりのうちのどの下流端も、別の流体溜まりの上流端と重ならない、装置を提供する。いくつかの側面では、流動チャネルの幅と複数の流体溜まりの幅との間の差は、複数の流体溜まりの幅の0.001倍〜1.5倍である。いくつかの側面では、複数の流体溜まりは、流動チャネルを備えるデバイスの平面の下または上に平面に位置決めされる。いくつかの側面では、流動チャネルは、第1の流体源および第1の流体と不混和性の第2の流体源と流体連通する。いくつかの側面では、少なくとも流動チャネルおよび/または複数の流体溜まりには、第1の流体が装填される。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのそれぞれは、下流端で先細りする。いくつかの側面では、流体溜まりの高さは、流動チャネルの高さよりも大きい。いくつかの側面では、流体溜まりの長さは、流体溜まりの幅よりも大きい。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのうちの1番目のものの下流端と、第1の流体溜まりから下流にある複数の流体溜まりの2番目のものの上流端との間の間隔は、複数の流体溜まりの長さの0.1倍〜3倍である。
【0205】
いくつかの側面では、本開示は、流動軸、上流端および下流端、幅、ならびに高さを有する流動チャネルと、幅および高さを有する、流動チャネルと流体連通し、かつ流動軸からずれている複数の流体溜まりとを備え、複数の流体溜まりのそれぞれが、上流端および下流端を有し、流体溜まりの高さが、流動チャネルの高さよりも大きい、装置を提供する。いくつかの側面では、複数の流体溜まりは、流動チャネルを備えるデバイスの平面の下または上にある平面に位置決めされる。いくつかの側面では、流動チャネルは、第1の流体源および第1の流体と不混和性の第2の流体源と流体連通する。いくつかの側面では、少なくとも流動チャネルおよび/または複数の流体溜まりには、第1の流体が装填される。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのそれぞれは、下流端上で先細りする。いくつかの側面では、流体溜まりの長さは、流体溜まりの幅よりも大きい。いくつかの側面では、複数の流体溜まりのうちの1番目のものの下流端と、第1の流体溜まりから下流にある複数の流体溜まりのうちの2番目のものの上流端との間の間隔は、複数の流体溜まりの長さの0.1倍〜3倍である。いくつかの側面では、流動チャネルの幅は、複数の流体溜まりの幅よりも大きく、複数の流体溜まりのうちのいずれかのどの下流端も、別の流体溜まりの上流端と重ならない。